JP6050144B2 - 床版用防水部材、床版防水構造、及び床版防水構造の施工方法 - Google Patents

床版用防水部材、床版防水構造、及び床版防水構造の施工方法 Download PDF

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本発明は床版用防水部材、該床版用防水部材を備えた床版防水構造、および該床版防水構造の施工方法に関する。
近年、橋梁等のコンクリート床版では、雨水等の水分が侵入することによる劣化亀裂の問題が生じることが言われている。そのため、床版上に防水層を介してアスファルト舗装材を設けた床版防水構造とすることが一般的である。従来は防水層としても舗装材と同じアスファルト系のものを用いることが一般的であった。この場合、舗装材と防水層とが同種のアスファルト系の素材であり、両者の接着性が良好であるという利点を有する。しかしながら、アスファルト系防水層は耐久性に問題があると言われている。
そこで、アスファルト系防水層に代わる防水層として、高温(50℃以上)で強度を維持しつつ、低温(−30℃以下)では弾性を維持する熱硬化性樹脂を塗布して形成した樹脂塗膜防水層などが注目されている。しかしながら、当該樹脂塗膜防水層はアスファルト舗装体との接合性が不十分であるという問題や、アスファルト舗装体との接合を行うための接着層を設ける際の施工性が悪い等の問題があった。
例えば、上記従来の樹脂塗膜防水層を用いる工法として、ウレタン系樹脂を含む樹脂塗膜防水層とアスファルト舗装体とを接合するために、熱可塑性樹脂の粉末やペレットを樹脂塗膜防水層の表面に散布する方法が試みられていた。しかしながら、アスファルト舗装体を敷設するためにトラックやフィニシャーが面上を走行するとき、熱可塑性樹脂の飛散や偏りが生じ、表面に熱可塑性樹脂を均一に分散させにくく、結果として樹脂塗膜防水層とアスファルト舗装体とが十分に接合されにくかった。
下記特許文献1に記載された技術では、樹脂塗膜防水層とアスファルト舗装体との接合において特定の熱可塑性樹脂シートを利用した接着材層を設けることによって、上述したような問題の解決を図っている。即ち、下記特許文献1に記載された技術は、橋梁等の床版上に、樹脂塗膜防水材層、アスファルト舗装体を積層してなる床版防水構造であって、樹脂塗膜防水材層とアスファルト舗装体とが特定の熱可塑性樹脂シートを介して接合されているものである。
特許第3956757号公報
上記特許文献1に記載された技術では、ウレタン系樹脂を含む樹脂塗膜防水層(ウレタン系防水層)の上にウレタン系樹脂などの接着剤を薄く塗布し、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)系熱可塑性樹脂シートを敷き詰めている(特許文献1の0010段落など参照。)。
ウレタン系防水層を用いた従来の一般的な床版防水構造は、プライマー樹脂層、ウレタン系防水層、ウレタン樹脂接着剤層、EVA系熱可塑性樹脂シートを順次積層してなる構成である。このような従来の構成の床版防水構造は、プライマー樹脂層およびウレタン系防水層を形成した後、ウレタン樹脂接着剤の主剤/硬化剤(イソシアネート/ポリオール)を工事現場で混合し、それをローラ刷毛等で薄く均一に塗布し、熱可塑性樹脂シートを敷き均して施工する。プライマー樹脂層の形成(プライマーの硬化(乾燥))には冬季の場合は1時間程度要し、さらにウレタン樹脂接着剤を硬化(乾燥)させるには2〜3時間以上の時間を費やしていた。即ち、従来の床版防水構造の施工方法は工程数が多く、かつ接着剤等の硬化(乾燥)・養生に多くの時間を必要としていた。
一方、供用中の道路橋梁の舗装および防水層の補修工事は一般的に短い道路規制時間(夜間8〜10時間)内に行う必要がある。上記のような従来の床版防水構造は施工に時間がかかり過ぎるため、このような短時間で行うべき補修工事等には不向きであった。
そこで本発明は、短時間に床版防水構造の施工を可能とする床版用防水部材を提供することを課題とする。また、該床版用防水部材を備えた床版防水構造、及び該床版防水構造の施工方法を提供する。
本発明の第1の態様は、床版とアスファルト舗装体との間に設けられる床版用防水部材であって、軟化点が110℃以上の熱可塑性樹脂を含む織布または不織布である熱可塑性樹脂繊維シートと、軟化点が150℃以下の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂シートと、が積層されて一体化されている、床版用防水部材である。
上記本発明の第1の態様にかかる床版用防水部材において、熱可塑性樹脂繊維シートは常温(5℃以上35℃以下)での引張伸度が20%以上であることが好ましい。
上記本発明の第1の態様にかかる床版用防水部材は、厚さ方向に貫通した通気孔を有することが好ましい。
本発明の第2の態様は、床版上に設けられる床版防水構造であって、床版上に形成された、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびウレタン樹脂のうち少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂からなる熱硬化性樹脂層と、上記本発明の第1の態様にかかる床版用防水部材と、を有し、該床版用防水部材が、熱可塑性樹脂繊維シートが熱硬化性樹脂層に接するように熱硬化性樹脂層上に敷設されるとともに、熱硬化性樹脂層を構成する熱硬化性樹脂の少なくとも一部が熱可塑性樹脂繊維シートに含浸されている、床版防水構造である。
上記本発明の第2の態様にかかる床版防水構造は、熱可塑性樹脂シート上にアスファルト舗装体が敷設されていることが好ましい。
本発明の第3の態様は、床版上に設ける床版防水構造の施工方法であって、エポキシ樹脂、アクリル樹脂またはウレタン樹脂の少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂を床版上に塗布または散布する工程と、熱硬化性樹脂が硬化する前に、上記本発明の第1の態様にかかる床版用防水部材を、熱硬化性樹脂の少なくとも一部が熱可塑性樹脂繊維シートに含浸されるように敷設する工程と、熱可塑性樹脂シート上にアスファルト舗装体を敷設する工程と、を有する床版防水構造の施工方法である。
本発明によれば、短時間で床版防水構造を施工することができる。
床版防水構造10を説明する断面図である。 引張接着試験の方法を説明する図である。
本発明の上記作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、以下に示す図は構成を概略的に示したものであり、各構成要素の大きさや形状を正確に示すものではない。
1.床版防水構造
図1は本発明の床版防水構造の一例である床版防水構造10を概略的に示した断面図である。図1に示したように、床版防水構造10は、床版1、熱硬化性樹脂層2、床版用防水部材4およびアスファルト舗装体3を備えている。また、床版用防水部材4は、熱可塑性樹脂繊維シート5および熱可塑性樹脂シート6を備えている。
以下、床版防水構造10を構成するこれらの構成要素について説明する。
(床版1)
床版1は道路や橋等の床版である。床版1を構成する材料は特に限定されない。床版1を構成する材料の例としては、コンクリートや鋼などがあり、コンクリートと鋼とを合成させたものもある。
(熱硬化性樹脂層2)
熱硬化性樹脂層2は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂またはウレタン樹脂(ウレア樹脂、ウレタン樹脂、ウレアウレタン樹脂等)の少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂からなる層である。熱硬化性樹脂層2は床版1上に形成されるプライマー層としての機能を有するとともに、アスファルト舗装体3側から床版1へと水が侵入することを抑制する防止層としての機能も有する。
熱硬化性樹脂層2は、床版1のひび割れや振動(たわみ)に追従できるように可撓性を有していることが好ましい。また、熱硬化性樹脂層2を構成する熱硬化性樹脂は、床版防水構造10の施工時間を短縮させるため、短時間(例えば、30分以上2時間以下程度)で硬化するものであることが好ましい。
熱硬化性樹脂層2は熱硬化性樹脂を床版1上に塗布または散布することによって形成できる。当該熱硬化性樹脂を塗布する方法は特に限定されず、スプレー塗布、ローラー刷毛塗布、刷毛塗布などの方法が挙げられる。また、当該熱硬化性樹脂を塗布する量は、例えば0.3kg/m以上2.0kg/m以下とすることができ、0.8kg/m以上1.5kg/m以下程度であることが好ましい。熱硬化性樹脂の塗布量を上記範囲の下限以上とすることによって、床版用防水部材4と十分に接着させやすく、また、熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂繊維シート5に含浸させやすくなる。一方、上記範囲の上限以下とすることにより、製造コストが余計に高くなることを抑制できる。
(床版用防水部材4)
床版用防水部材4は、熱硬化性樹脂層2を構成する熱硬化性樹脂の少なくとも一部を含浸し一体となって硬化することにより、アスファルト舗装体3側から床版1へと水が侵入することを抑制することができ、熱硬化性樹脂層2およびアスファルト舗装体3に接着させることが可能な部材である。床版用防水部材4は床版1とアスファルト舗装体3との間に設けられており、熱可塑性樹脂繊維シート5および熱可塑性樹脂シート6が積層されて一体化されている。
熱可塑性樹脂繊維シート5と熱可塑性樹脂シート6とを積層する方法は特に限定されない。熱可塑性樹脂繊維シート5と熱可塑性樹脂シート6とを積層する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂繊維シート5に熱可塑性樹脂シート6を構成する熱可塑性樹脂を塗布する方法や、熱可塑性樹脂繊維シート5と熱可塑性樹脂シート6を別々に作製した後に両者を重ねて熱溶着する方法などがある。
床版用防水部材4は、熱可塑性樹脂繊維シート5が熱硬化性樹脂層2に接するように熱硬化性樹脂層2上に敷設されており、熱硬化性樹脂層2を構成する熱硬化性樹脂の少なくとも一部が熱可塑性樹脂繊維シート5に含浸されている。このように熱硬化性樹脂が熱可塑性樹脂繊維シート5に含浸して硬化することによって、熱可塑性樹脂繊維シート5は破損しにくいFRP(Fiber Reinforced Plastics)構造を有する防水層(以下、「FRP防水層」ということがある。)となる。床版用防水部材4上に敷設されるアスファルト舗装体3には尖った部分が形成されることがあるが、熱可塑性樹脂繊維シート5を上記のように頑強なFRP防水層とすることによって、防水層がアスファルト舗装体3によって破壊されることを抑制できる。
熱可塑性樹脂繊維シート5は熱可塑性樹脂を含む織布または不織布であるが、上記のように熱硬化性樹脂を含浸させやすくする観点からは、熱可塑性樹脂繊維シート5は織布であることが好ましい。
熱可塑性樹脂繊維シート5は、熱硬化性樹脂層2と一体となって可撓性のあるFRP防水層を構成することが好ましい。したがって、熱可塑性樹脂繊維シート5の常温での引張伸度は20%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
また、アスファルト舗装体3を敷設するときの熱によって熱可塑性樹脂繊維シート5が溶融することを防止するため、熱可塑性樹脂繊維シート5を構成する熱可塑性樹脂の軟化点は110℃以上であり、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは180℃以上である。
このような熱可塑性樹脂繊維シート5を構成する熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステルなどを挙げることができ、ポリエチレンテレフタレートを主成分とすることが好ましい。
熱可塑性樹脂繊維シート5は、例えば0.4kg/m以上の目付け量(単位重量)で、厚さ0.6mm以上とすることが好ましい。熱可塑性樹脂繊維シート5をこのようにある程度厚く形成することによって、アスファルト舗装体3を敷設するときに破壊される(孔があいて防水性が低下する)ことを抑制できる。
一方、熱可塑性樹脂シート6は、自己接着性または加熱によって一旦溶融した後に硬化することによって、熱可塑性樹脂繊維シート5およびアスファルト舗装体3に強固に接着することができる。上記のようにして構成されたFRP防水層(熱可塑性樹脂繊維シート5)およびアスファルト舗装体3は、熱可塑性樹脂シート6を介して接合される。
熱可塑性樹脂シート6は、アスファルト舗装体3を敷設するときの熱によって少なくても一部が一旦溶融し、アスファルト舗装体3に浸透して固化することによって、アスファルト舗装体3と強固に結合することが好ましい。このように、熱可塑性樹脂シート6はアスファルト舗装体3を敷設するときの熱によって少なくとも一部が溶融してアスファルト舗装体3に接着することが好ましいため、熱可塑性樹脂シート6を構成する熱可塑性樹脂の軟化点は150℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることがさらに好ましい。
また、熱可塑性樹脂シート6を構成する熱可塑性樹脂の軟化点は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂シート6を構成する熱可塑性樹脂の軟化点を50℃以上とすることによって、特に夏季に、アスファルト舗装体3を舗設する機械(アスファルトフィニッシャー、ダンプトラック等)のタイヤに熱可塑性樹脂シート6が溶けてひっつくということを抑制できる。
本発明者は、特定のポリアミド樹脂やEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)樹脂が、PET(またはポリエステル等)を主成分とする熱可塑性樹脂繊維シートや、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に対して強固に接着し、かつアスファルト舗装体とも溶融接着することを見出した。従って、熱可塑性樹脂シート6を構成する熱可塑性樹脂はポリアミド樹脂やVA(酢酸ビニル)コンテントが高い(30%以上)EVA樹脂を含むことが好ましく、ポリアミド樹脂を含むことが特に好ましい。
熱可塑性樹脂シート6は、例えば0.3kg/m以上0.8kg/m以下の目付け量で、厚さを0.5mm以上1.5mm以下程度とすることができる。目付け量を上記範囲の下限以上とすることによって、熱可塑性樹脂シート6の引張強度を確保しやすくなる。また、目付け量を上記範囲の上限以下とすることによって、製造コストが余計に高くなることを抑制でき、また、アスファルト舗装体3を敷設するときの熱によって熱可塑性樹脂シート6を溶けやすくしてアスファルト舗装体3との接着強度を高めやすくなる。
床版用防水部材4は、厚さ方向に貫通した通気孔を有していることが好ましい。当該通気孔は、孔径が0.01mm以上2mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1mm以下であることがより好ましい。また、当該通気孔は、0.5cm以上5cm以下おきで略等間隔に設けられていることが好ましい。このような通気孔を床版用防水部材4に設けることによって、床版用防水部材4と熱硬化性樹脂層2との間に気泡が残留することを抑制しやすくなる。
上述したように、床版用防水部材4は防水層を構成するとともに熱硬化性樹脂層2およびアスファルト舗装体3と簡易且つ強固に接着することができる。このような床版用防水部材4を工場等で作製して予め準備しておくことにより、熱硬化性樹脂層2を構成する熱硬化性樹脂を床版1上に塗布または散布した直後に、床版用防水部材4を敷設し、アスファルト舗装体3を敷設することによって、床版1、熱硬化性樹脂層2、床版用防水部材4、およびアスファルト舗装体3が強固に結合した耐久性があって高性能な床版防水構造10を短時間で施工することができる。したがって、本発明の床版用防水部材は、改修工事など短期間で施工する必要がある場合に好適である。
従来の一般的な樹脂塗膜防水材(プライマー、樹脂塗膜防水層、舗装接着剤層)を用いた床版防止構造の施工では、各層を硬化(乾燥)させるために少なくとも合計4時間以上は必要であった。一方、床版用防水部材4を用いる場合は、熱硬化性樹脂層2を構成する熱硬化性樹脂を床版1上に塗布または散布した直後に、床版用防水部材4を敷設し、熱硬化性樹脂層2を硬化(通常30分以上2時間以下程度の時間を要する)させてすぐにアスファルト舗装体3を敷設することができる。
(アスファルト舗装体3)
アスファルト舗装体3は熱可塑性樹脂シート6上に敷設される。アスファルト舗装体3としては、従来のアスファルト舗装体を特に限定することなく用いることができる。アスファルト舗装体3は、例えば40mm以上200mm以下程度の厚さに敷設することができる。また、アスファルト舗装体3は、施工時の環境や構成材料などによって異なるが、例えば110℃以上や130℃以上、または180℃以上の温度で加熱転圧して敷設できる。このとき、アスファルト舗装体3の下部の熱可塑性樹脂シート6は少なくとも一部が一時的に溶融してアスファルト舗装体3に浸透した後に硬化することで、熱可塑性樹脂シート6とアスファルト舗装体3とを強固に接着させることができる。
2.床版防水構造の施工方法
次に、上述した床版防水構造10の施工方法を例にして本発明の床版防水構造の施工方法について説明する。
床版防水構造10は、熱硬化性樹脂層2、床版用防水部材4、アスファルト舗装体3を床版1上に順次積層することによって施工できる。
熱硬化性樹脂層2は、床版1の表面に上述した熱硬化性樹脂層2を構成する熱硬化性樹脂を塗布または散布することよって形成できる。熱硬化性樹脂層2は、スプレー塗布、ローラー刷毛塗布、刷毛塗布などによって、例えば0.30kg/m以上2.0kg/m以下、好ましくは0.80kg/m以上1.5kg/m以下程度で床版1の表面に上記熱硬化性樹脂を塗布することよって形成できる。
熱硬化性樹脂層2を形成する際、上記熱硬化性樹脂を塗布または散布する前に、床版1の表面からコンクリートのレイタンスなどの脆弱層や油などの異物、また補修床版における以前の防水層などはきれいに除去しておくことが好ましい。このような場合は、床版1の表面を、研掃、清掃、洗浄、及び乾燥後、必要に応じて、ショットブラスト処理を行うことが好ましい。
また熱硬化性樹脂層2は、補修床版などにおける切削不陸や欠損部などを平滑にすることが好ましい。このような方法としては、熱硬化性樹脂層2を構成する組成物に硅砂などの骨材を予め混合し不陸部を補修する方法や、熱硬化性樹脂層2を構成する熱硬化性樹脂を塗布した後に、その上から硅砂などの骨材を散布し、その上にさらに熱硬化性樹脂層2を構成する熱硬化性樹脂を塗布する方法等がある。このようにして熱硬化性樹脂層2をできるだけ平坦に形成することによって、熱硬化性樹脂層2と熱可塑性樹脂繊維シート5との間に空気が残留することを抑制しやすくなる。
上記のようにして熱硬化性樹脂を塗布または散布した後、該熱硬化性樹脂が硬化する前に、熱硬化性樹脂の少なくとも一部が熱可塑性樹脂繊維シート5に含浸されるように床版用防水部材4を敷設する。このようにして床版用防水部材4と熱硬化性樹脂層2とを強固に接着させるとともに上述したFRP防水層を構成することができる。
次に、熱可塑性樹脂シート6上にアスファルト舗装体3を敷設する。アスファルト舗装体3を敷設する方法は特に限定されず、上述した所定の温度でアスファルト舗装体3を構成する材料を加熱転圧することで敷設できる。このとき、アスファルト舗装体3の下部の熱可塑性樹脂シート6は少なくとも一部が一時的に溶融してアスファルト舗装体3に浸透した後に硬化することで、熱可塑性樹脂シート6とアスファルト舗装体3とを強固に接着させることができる。
上記のようにして、床版1、熱硬化性樹脂層2、床版用防水部材4、およびアスファルト舗装体3が強固に結合した耐久性があって高性能な床版防水構造10を短時間で施工することができる。したがって、本発明の床版防水構造の施工方法は、改修工事など短期間で施工する必要がある場合に好適である。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
1.事前検討
表1のような3種類の繊維シートを用意し、防水性床版防水便覧(日本道路協会)の試験方法「ひび割れ追従試験II」を行った。なお、試験片は、エポキシ樹脂(伸び率70%)を0.8kg/m塗った直後に、所定の大きさに予め切っておいた各繊維シートを接着させ、20℃で7日養生後、試験方法に沿って試験した。その結果、表1のように、繊維シートCは0.5mmで破断してしまい、橋梁の目地の収縮等に追従できない可能性があった。
上述したように、床版用防水部材上には高温のアスファルト舗装体が敷設される。したがって、次に、繊維シートが高温環境に耐えられるかを検討した。10cm角に切断した繊維シートを所定の温度(110℃、140℃、180℃)の恒温槽に入れ、30分後の状況を観察した。表1のように、繊維シートBは180℃で溶解した。
Figure 0006050144
以上の結果から、本発明の床版用防水部材には繊維シートAが最適であると考え、以下の実施例では繊維シートAを使用した。
2.床版防水構造の作製
以下のようにして各例にかかる床版防水構造を作製した。
(実施例1)
30cm×30cm×6cmのコンクリート版(JIS A 5317のI類に規格の普通平板、略号:N、呼び300)の表面をショットブラスト等で処理してレイタンス等を除去し、次に、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂(三菱樹脂株式会社製、エポレイヤー主剤/硬化剤)を塗布量が1.0kg/mとなるようにローラー刷毛で塗布した。その直後に、熱可塑性樹脂繊維シート(繊維シートA)と熱可塑性樹脂シート(株式会社T&A TOKA製のトーマイド1320およびトーマイド210をトーマイド1320:トーマイド210=1:1(重量比)の割合で200℃で10分間混合し、0.6mm厚の型枠に流し入れて作製した0.6kg/m(30cm角)のシート。軟化点は78℃。)を予め一体化した床版用防水部材を、熱可塑性樹脂繊維シートが下(熱硬化性樹脂が塗布された側)となるようにして敷設した。当該床版用防水部材には複数の通気孔を設けておいた。次に、熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂繊維シートに含浸させて20℃で90分間養生(硬化)させた。その後、熱可塑性樹脂シート上に、常法により140℃に加熱されたアスファルト舗装体を厚さ4cmで舗設した。以上のようにして、実施例1かかる床版防水構造を作製した。
表2には、アスファルト舗装体を舗設する際の条件を示した。表2に示したアスファルト舗装体転圧温度[℃]はアスファルト舗装体を舗設したときのアスファルト舗装体の温度であり、コンクリート版温度[℃]はスファルト舗装体を舗設したときのコンクリート版(床版)の温度である。
また、表3には各工程に要した時間と床版防水構造の施工に要した合計時間を示した。
(実施例2)
アスファルト舗装体を敷設するときの温度を110℃とした以外は実施例1と同様にして、実施例2かかる床版防水構造を作製した。
(比較例1)
30cm×30cm×6cmのコンクリート版(JIS A 5317のI類に規格の普通平板、略号:N、呼び300)の表面をショットブラスト等で処理してレイタンス等を除去し、次に、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂(三菱樹脂株式会社製、商品名:ノバレタンPR−200(主剤/硬化剤)(ノバレタンは登録商標))を塗布量が0.2kg/mとなるようにローラー刷毛で塗布して乾燥(養生)させ、プライマー層を形成した。その後、常温硬化2液型ポリウレタン樹脂防水材(三菱樹脂株式会社製、商品名:ノバレタンES(ノバレタンは登録商標))をプライマー層上にスプレーガンにて吹きつけて硬化させ、防水層を形成した。その後、防水層上に舗装接着剤層を形成した。すなわち、ウレタン系接着剤を目付量が0.2kg/mとなるようにローラー刷毛で防水層上に塗布した後、接着層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるシート(EVAシート)を敷き詰め、ウレタン系接着剤を硬化(養生)させた。その後、EVAシート上に、常法により140℃に加熱されたアスファルト舗装体を厚さ4cmで舗設した。以上のようにして比較例1かかる床版防水構造を作製した。
(比較例2)
アスファルト舗装体を敷設するときの温度を110℃とした以外は比較例1と同様にして、比較例2かかる床版防水構造を作製した。
3.評価
上記のようにして作製した各例にかかる床版防水構造について、以下のように道路橋床版防水便覧(平成19年3月 社団法人日本道路協会)に記載の「6.引張接着試験」に基づいて引張接着強度を評価した。
まず、各例にかかる床版防水構造について、アスファルト舗装体側からコンクリート版に達するまで、コアカッタを用いて図2に示したように直径100mmの円柱状に切り込みを入れた。図2は、床版防水構造をアスファルト舗装体側から見た図である。上記のように切り込みを入れた後、切り込みを入れた部分に直径100mmの鋼製の引張試験冶具を接着剤で接着した。その後、23℃±2℃の恒温槽に入れて6時間以上静置した。次に、恒温槽から取り出して直ちに引張試験冶具を引張試験機に取り付け、載荷速度約毎秒0.1N/mmで引張試験冶具を鉛直方向に引っ張り、床版防水構造が破壊したときの最大荷重を測定した。その最大荷重[N]を接着面積(7850[mm])で除した値を引張接着強度[N/mm]とし、表2に示した。
また、各例にかかる床版防水構造の施工に要した時間を表3に示した。
Figure 0006050144
Figure 0006050144
表2に示した通り、実施例1、2にかかる床版防水構造は、比較例1、2にかかる床版防水構造と同等以上の引張接着強度を有していた。また、表3に示したように、実施例1、2にかかる床版防水構造によれは、比較例1、2にかかる床版防水構造に比べて施工時間を大幅に短縮させることができた。
1 床版
2 熱硬化性樹脂層
3 アスファルト舗装体
4 床版用防水部材
5 熱可塑性樹脂繊維シート
6 熱可塑性樹脂シート
10 床版防水構造

Claims (6)

  1. 床版とアスファルト舗装体との間に設けられる床版用防水部材であって、
    軟化点が110℃以上の熱可塑性樹脂を含む織布または不織布である熱可塑性樹脂繊維シートと、軟化点が150℃以下の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂シートと、が積層されて一体化されている、床版用防水部材。
  2. 前記熱可塑性樹脂繊維シートの常温での引張伸度が20%以上である、請求項1に記載の床版用防水部材。
  3. 厚さ方向に貫通した通気孔を有する、請求項1または2に記載の床版用防水部材。
  4. 床版上に設けられる床版防水構造であって、
    前記床版上に形成された、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびウレタン樹脂のうち少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂からなる熱硬化性樹脂層と、請求項1乃至3のいずれかに記載された床版用防水部材と、を有し
    前記床版用防水部材が、前記熱可塑性樹脂繊維シートが前記熱硬化性樹脂層に接するように前記熱硬化性樹脂層上に敷設されるとともに、前記熱硬化性樹脂層を構成する前記熱硬化性樹脂の少なくとも一部が前記熱可塑性樹脂繊維シートに含浸されている、床版防水構造。
  5. 前記熱可塑性樹脂シート上にアスファルト舗装体が敷設されている、請求項4に記載の床版防水構造。
  6. 床版上に設ける床版防水構造の施工方法であって、
    エポキシ樹脂、アクリル樹脂またはウレタン樹脂の少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂を前記床版上に塗布または散布する工程と、
    前記熱硬化性樹脂が硬化する前に、請求項1乃至3のいずれかに記載された床版用防水部材を、前記熱硬化性樹脂の少なくとも一部が前記熱可塑性樹脂繊維シートに含浸されるように敷設する工程と、
    前記熱可塑性樹脂シート上にアスファルト舗装体を敷設する工程と、
    を有する床版防水構造の施工方法。
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