JP2004036325A - 舗装構造体の施工方法及びアスファルト舗装構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材との接着一体性をより確実に確保でき、しかも、この接着一体性を環境温度の変化に影響されることなく安定に維持できる舗装構造体の施工方法及びアスファルト舗装構造体を提供する。
【解決手段】アスファルトコンクリート舗装合材3のアスファルト分が浸透可能な布状又は網状の接着用敷設物2を舗装下地1上に敷設した後、この接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設して、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2と舗装下地1とを接着一体化する。接着用敷設物2の舗装下地1に対する固定は、プライマー等による接着固定、硬化前の打設コンクリート上への敷設による接着などによって実現できる。
【選択図】 図1
【解決手段】アスファルトコンクリート舗装合材3のアスファルト分が浸透可能な布状又は網状の接着用敷設物2を舗装下地1上に敷設した後、この接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設して、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2と舗装下地1とを接着一体化する。接着用敷設物2の舗装下地1に対する固定は、プライマー等による接着固定、硬化前の打設コンクリート上への敷設による接着などによって実現できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、砕石路盤、コンクリート路盤、鋼構造路盤、上層切削アスファルトコンクリート舗装などである舗装下地と、この舗装下地上に敷設するアスファルトコンクリート舗装合材との接着一体性を向上させる舗装構造体の施工方法及びアスファルト舗装構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、道路の舗装は、アスファルトコンクリート舗装(撓み性舗装)とコンクリート舗装(剛性舗装)に大別される。アスファルトコンクリート舗装は、コンクリート舗装と比較して、敷設後の養生の必要がなく、施工速度が速く、施工後直ぐに供用が可能、伸縮目地が不要で連続的に平坦に仕上げることが可能、撓み性が大きく下地に馴染み易いため、ひび割れし難い、維持補修が容易で段階的な施工が可能であるなどの特徴がある。
【0003】
通常、砕石路盤上にアスファルトコンクリート舗装合材を敷設する際には、両者の接着一体性を高めるために、砕石路盤上に比較的低粘度のプライムコートを散布または塗布する。コンクリート路盤、鋼構造路盤、上層切削アスファルトコンクリート舗装などの上に、アスファルトコンクリート舗装合材を敷設する際には、タックコートを散布または塗布する。
【0004】
プライムコートとしては、カットバックアスファルト、舗装タール、アスファルト乳剤などが挙げられる。カットバックアスファルトや舗装タールは、散布または塗布後24時間以上の養生が必要であるため、気象条件がよく、工期に余裕がある場合に用いられる。アスファルト乳剤は、気象条件が悪く、路盤に水分が多く含まれる場合や、工期に余裕がない場合にも使用可能なため、広く用いられている。
【0005】
また、タックコートとしては、アスファルト乳剤、カットバックアスファルト、ストレートアスファルトなどが用いられるが、その性質、性状はプライムコートに準ずる。
これらプライムコートおよびタックコートは全て、瀝青材料であるために、温度の影響を受け易い土木材料であり、温度上昇に伴って、固形状から液状に変化する性質を持っている。
【0006】
さらに、舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材との一体性を高めるために、以下のような方法が採用されている。例えば、熱可塑性樹脂ペレットを舗装下地上に散布する方法、アスファルト粒状物を散布する方法、アスファルト乳剤に熱可塑性樹脂を分散させたものを塗布する方法などであり、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設時の熱で熱可塑性樹脂を溶融させ、舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材とを一体化する方法が採用されている。
あるいは、PC床版や鋼床版等である舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材との間に熱可塑性樹脂シートを介入(アスファルトコンクリート舗装合材の敷設前に熱可塑性樹脂シートを舗装下地に貼り合わせる)させて、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設時の熱で熱可塑性樹脂シートを溶融させ、熱硬化性樹脂塗膜とアスファルトコンクリート舗装合材とを一体化する方法も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
プライムコートやタックコートとして瀝青材料であるカットバックアスファルト、舗装タール、アスファルト乳剤、ストレートアスファルトなどを使用した場合、前述のように、瀝青材料の物性が温度によって大きく変化することから、路盤などとアスファルトコンクリート舗装合材との接着一体性を左右してしまう。瀝青材料のプライムコートやタックコートを採用した場合、例えば、夏季の高温時には、アスファルトコンクリート舗装合材を上記舗装下地に固定しておくためのプライムコートやタックコートの接着力が低下し易く、また、アスファルトコンクリート舗装合材自体も軟化し易いため、アスファルトコンクリート舗装合材上を大型車両などが通行すると、タイヤからかかる荷重によって、轍掘れが発生し易くなったり、車両走行の荷重によって鉛直方向から加えられる力や、発進時や停止時にせん断方向に加えられる力によって、轍掘れや舗装の割れが発生し易くなってしまう。
【0008】
加えて、熱可塑性(ホットメルト)ペレットを散布する方法では、施工時に吹いている風によって、このペレットが施工部以外(施工部の周辺)にまで飛散し、施工部周辺に環境問題を発生させる可能性がある。さらに、砕石路盤や上層切削アスファルトコンクリート舗装の表面のように凹凸が激しい場合、散布した熱可塑性ペレットが凸部上に存在せず、凹部に堆積してしまう。そのため、凹部に堆積した熱可塑性ペレットは、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設時の熱によって充分に溶融しないことがある上に、凸部では、このペレットが存在しないために、充分な接着力が得られないという問題があった。
また、熱可塑性樹脂シートを舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材との間に介入する方法では、熱可塑性樹脂シートを舗装下地に貼り合わせる時に、シートと舗装下地との間に空気を巻き込み易く、密着、一体化し難いという欠点がある。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、周辺環境を汚染することなく施工可能で、環境温度の変化に影響されることなく、舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材との接着一体性をより確実に維持、確保することができる舗装構造体の施工方法及びアスファルト舗装構造体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題の解決手段として、アスファルトコンクリート舗装合材を敷設する舗装下地上に、布状または網状に形成されアスファルトコンクリート舗装合材のアスファルト分が浸透可能な接着用敷設物を敷設し、該接着用敷設物の上に加熱したアスファルトコンクリート舗装合材を敷設して、前記舗装下地と前記接着用敷設物と前記アスファルトコンクリート舗装合材とを接着一体化することを特徴とする舗装構造体の施工方法、並びに、この施工方法によって構築されたことを特徴とするアスファルト舗装構造体を提供する。
【0011】
この発明において、舗装下地に接着用敷設物を接着させる手法には特に限定は無く、各種採用可能である。例として、以下の構成が採用可能である。
1.前記舗装下地が現場打ちコンクリートによって形成されるものである場合、該舗装下地を形成するコンクリートの硬化前に、該コンクリートの上に前記接着用敷設物を敷設し、該コンクリートと該接着用敷設物とを接着一体化する。
2.前記舗装下地上に敷設した前記接着用敷設物を、プライマーまたは接着剤によって前記舗装下地に接着一体化する。砕石路盤、コンクリート路盤、鋼構造路盤、上層切削アスファルトコンクリート舗装などである舗装下地上にコンクリートを打設し、この打設コンクリートの硬化前に、該コンクリートの上に前記接着用敷設物を敷設し、該コンクリートと該接着用敷設物とを接着一体化することも可能である。
3.熱可塑性樹脂の繊維(単繊維、集束繊維のいずれも可)を用いて形成された接着用敷設物を採用する。接着用敷設物を形成する熱可塑性樹脂として、敷設するアスファルトコンクリート舗装合材の敷設時温度で溶融又は軟化するものを採用し、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設によって該アスファルトコンクリート舗装合材の熱で、舗装下地及びアスファルトコンクリート舗装合材に対して接着用敷設物が接着一体化されるようにする。
4.アスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤などの熱可塑性接着材料を予め含浸処理した接着用敷設物を採用する。ここで採用する熱可塑性接着材料は、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設時温度で溶融又は軟化するものであり、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設によって該アスファルトコンクリート舗装合材の熱で、舗装下地及びアスファルトコンクリート舗装合材に対して接着用敷設物が接着一体化されるようにする。
【0012】
本発明では、前記舗装下地上にメンブレン防水層、緩衝層、吸音層、遮音層、制振層などの上層(以下「下地上層」とも言う)を形成した上で、この下地上層上に接着用敷設物を敷設することも可能である。
この場合は、アスファルトコンクリート舗装合材と、接着用敷設物と、下地上層と、舗装下地とが接着一体化されたアスファルト舗装構造体を構築する。下地上層がメンブレン防水層の場合は、アスファルト舗装構造体の防水性を確保できることは言うまでも無い。
【0013】
メンブレン防水層としては、舗装下地に対して接着一体化できるものを採用することが好ましい。メンブレン防水層と接着用敷設物との間の接着一体化は、プライマーや接着剤を用いた接着、熱可塑性樹脂の繊維を用いて形成された接着用敷設物又は熱可塑性接着材料を予め含浸処理した接着用敷設物の使用などによって実現できる。
舗装下地に対する接着性確保の点では、メンブレン防水層として防水塗膜等を採用することが好ましい。ここで、防水塗膜は、例えばウレタン防水材など、防水性を有する合成樹脂材料の塗布によって形成される塗膜である。防水塗膜の場合、例えば、防水塗膜を構成する合成樹脂材料の塗布後、硬化前に、該防水塗膜の上に前記接着用敷設物を敷設して、該防水塗膜と該接着用敷設物とを接着一体化することも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を図1を参照して説明する。
図中、符号1はアスファルトコンクリート舗装合材を敷設する舗装下地、2は接着用敷設物、3はアスファルトコンクリート舗装合材、Aはアスファルト舗装構造体を示す。
【0016】
接着用敷設物2は、例えば、織布(布)、不織布(布)、ネットクロス(網状の布)など、単繊維もしくは集束繊維によって布状または網状に形成されたものである。
織布としては、目付量が10g/m2〜900g/m2のものが好ましく、目付量が30g/m2〜500g/m2のものがより好ましい。不織布としては、目付量が10g/m2〜900g/m2のものが好ましく、目付量が30g/m2〜500g/m2のものがより好ましい。ネットクロスとしては、目付量が30g/m2〜900g/m2、網を形成する繊維のピッチが1本/25mm幅〜80本/25mm幅のものが好ましく、目付量が30g/m2〜500g/m2、網を形成する繊維のピッチが5本/25mm幅〜50本/25mm幅のものがより好ましい。なお、いずれも目付量の下限は防水塗膜3と接着用敷設物2との接着力を確保するためのものであり、上限は接着用敷設物2の重さ、施工性などにより限定されるものである。
【0017】
また、接着用敷設物2は、アスファルトコンクリート舗装合材3が敷き均される際の転圧などにより、横滑りするのを防止する観点から、その厚みが厚過ぎない方が好ましい。具体的には、接着用敷設物2の厚みは0.05〜5.0mmが好ましく、0.1〜3.5mmがより好ましい。
好ましい接着用敷設物2の厚みの上限は、アスファルトコンクリート舗装合材3の敷き均し時の横滑りなどを効果的に防止できる。これにより、アスファルトコンクリート舗装合材3のひび割れや轍掘れなどを有効に防止でき、施工品質の向上、長寿命化を実現できる。
【0018】
接着用敷設物2を構成する繊維としては、綿、麻などからなる天然繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂からなる合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維などが用いられる。
これらの中でも、融点および軟化点がアスファルトコンクリート舗装合材3の敷設温度よりも低い熱可塑性樹脂からなる合成繊維で構成される接着用敷設物2を用いることが好ましい。具体的には、接着用敷設物2を構成する合成繊維を形成する熱可塑性樹脂としては、温度60℃程度では溶融または軟化して、べたつくことがなく、温度90℃以上で溶融または軟化するものが好ましく用いられる。このような熱可塑性樹脂からなる合成繊維で構成される接着用敷設物2を用いれば、アスファルトコンクリート舗装合材3の敷設時の熱で接着用敷設物2が溶融または軟化し、アスファルトコンクリート舗装合材1と強固に一体化する。
【0019】
この実施形態の施工方法は、まず、現場打ちコンクリートによって形成される舗装下地1のコンクリートの硬化前、あるいは、砕石路盤、コンクリート路盤、鋼構造路盤、上層切削アスファルトコンクリート舗装などである舗装下地1上に塗工したコンクリートの硬化前に、このコンクリート上に接着用敷設物2を敷設することで、舗装下地1と接着用敷設物2とを接着一体化する。
【0020】
このように、接着用敷設物2を硬化前のコンクリート上に敷設すると、接着用敷設物2を構成する繊維の間に、コンクリートの一部が浸透し、このコンクリートが接着用敷設物2に絡まるため、コンクリートに対して接着用敷設物2を強固に接着固定でき、舗装下地1に対して接着用敷設物2を強固に接着一体化できる。また、コンクリートの硬化を待つことなく接着用敷設物2の敷設作業を進めることができるため、施工時間の短縮などを実現できる。
また、布状又は網状の接着用敷設物2であれば、コンクリート上に敷設した際にコンクリートとの間に巻き込んだ空気が接着用敷設物2を透過して簡単に抜けるため、敷設によって簡単かつ確実にコンクリートに密着させることできる利点がある。敷設作業によって接着用敷設物2下に巻き込んだ空気の押し出し作業等も必要無い。
【0021】
次いで、接着用敷設物2の上に、加熱したアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設する。
アスファルトコンクリート舗装合材3としては、道路などの舗装に用いられるアスファルトコンクリート舗装合材であれば良く、特に限定は無い。アスファルトコンクリート舗装合材3の厚さは、目的に応じて適宜設定できるが、一般的には20〜100mm程度とするのが好ましい。
【0022】
加熱したアスファルトコンクリート舗装合材3を、接着用敷設物2の上に敷設すると、アスファルトコンクリート舗装合材3中に含まれるアスファルト分が接着用敷設物2に浸透し、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2とが強固に一体化し、結果として、舗装下地1と接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化されたアスファルト舗装構造体Aを構築できる。
【0023】
特に、接着用敷設物2として、アスファルトコンクリート舗装合材3の敷設時の熱により溶融もしくは軟化する熱可塑性樹脂からなる合成繊維を用いて構成されているものを採用した場合は、アスファルトコンクリート舗装合材3のアスファルト分の接着用敷設物2への浸透に加えて、接着用敷設物2が溶融または軟化によって舗装下地1やアスファルト舗装合材3に対して確実に接着一体化するようになるため、結果として、舗装下地1と接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とをより強固に接着一体化することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図2を参照して説明する。
図2において、図1に示した第1の実施形態の構成部分と同じ構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の施工方法は、舗装下地1の上に下地用プライマー4を塗布し、この下地用プライマー4上に接着用敷設物2を敷設して、前記下地用プライマー4によって、接着用敷設物2を舗装下地1に接着する点が、前述の第1の実施形態と異なる。舗装下地1上に接着用敷設物2を敷設した後、この接着用敷設物2の上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設することで、アスファルトコンクリート舗装合材3のアスファルト分が接着用敷設物2に浸透する結果、接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化することは、前述の第1の実施形態と同様である。接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3が敷設されることで、舗装下地1と接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化されたアスファルト舗装構造体が構築される。
【0025】
下地用プライマー4としては、舗装下地1上面の形成材料や接着用敷設物2との親和性はもちろんのこと、アスファルトコンクリート舗装合材3のアスファルト分との親和性も有するものであることが好ましく、例えば常温硬化性のウレタン系樹脂などからなるプライマーまたは接着剤を用いることができる。
接着用敷設物2は、舗装下地1上に塗布した下地用プライマー4の硬化前に舗装下地1上に敷設することで、下地用プライマー4によって舗装下地1と接着一体化する。
なお、この実施形態において適用可能な舗装下地1としては、特に限定は無く、砕石路盤、コンクリート路盤、鋼構造路盤、上層切削アスファルトコンクリート舗装など各種適用可能である。
【0026】
下地用プライマー4の具体例としては、ウレタン系樹脂を溶剤に溶解した溶液を例示できる。この場合、下地用プライマー4として用いられるウレタン系樹脂などの溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、塗布時の取り扱い性を考慮して、15〜50質量%の濃度範囲で適宜設定される。
下地用プライマー4を舗装下地1の上に塗布する方法としては、スプレーガンによって噴射する方法、あるいは、ローラーや刷毛もしくはレーキによって塗布する方法などが好ましい。
【0027】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図3を参照して説明する。
図3において、図1に示した第1の実施形態の構成部分と同じ構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の施工方法は、接着用敷設物2を舗装下地1上に敷設した後、接着用敷設物2の上に、熱可塑性接着材料として、アスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤などのアスファルト剤5を塗布、浸透させ、その後、接着用敷設物2の上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設する。
なお、この実施形態でも、前述の第2の実施形態と同様に、舗装下地1上に上述の下地用プライマー4と同様の下地用プライマーを塗布して、舗装下地1と接着用敷設物2との間の接着力を高めることが好ましい。
【0028】
接着用敷設物2の上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設することで、アスファルトコンクリート舗装合材3のアスファルト分が接着用敷設物2に浸透する結果、接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化することは、前述の第1の実施形態と同様である。接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3が敷設されることで、舗装下地1と接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化されたアスファルト舗装構造体が構築される。
【0029】
アスファルト剤5としては、アスファルトコンクリート舗装合材3の敷設時の熱によって溶融あるいは軟化するものが採用される。このため、アスファルト剤5を塗布、浸透させた接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設すると、アスファルトコンクリート舗装合材3の熱によって溶融あるいは軟化したアスファルト剤5と、アスファルトコンクリート舗装合材3から接着用敷設物2に浸透してきたアスファルト分とが一体化して、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2との接着強度を向上できる利点がある。
【0030】
なお、上述の第1または第2の実施形態においても、接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設する前に、接着用敷設物2の上にアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤などを塗布、浸透させるようにすることは可能である。
また、上述の第1〜第3の実施形態において、接着用敷設物2として、あらかじめアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤が含浸処理されたものを用いてもよい(ただし、この場合も、接着用敷設物2としては、敷設時に下側に巻き込んだ空気を容易に排除できるように、穴、空隙などによって通気性が確保されていることが好ましい)。このような接着用敷設物2を用いれば、アスファルトコンクリート舗装合材3と、接着用敷設物2内に含浸されているアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤との親和性により、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2とを強固に一体化できる。
【0031】
以下、第4〜第6の実施形態は、舗装下地上に該舗装下地と一体化させて形成した上層(下地上層)の上に、アスファルトコンクリート舗装合材を敷設して、アスファルト舗装構造体を施工する場合であり、特に、下地上層として防水塗膜からなるメンブレン防水層を採用した場合を説明する。
【0032】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態を図4を参照して説明する。
図4において、図1に示した第1の実施形態の構成部分と同じ構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
なお、図4中、符号6は下地用プライマー、7は防水塗膜(メンブレン防水層)である。
【0033】
舗装下地1は、特に限定されるものではないが、ここでは、コンクリート製橋桁などの床版や駐車場、道路などの路床であり、現場打ちコンクリート、コンクリート系合成床版、PC(Prestressed Concrete、プレストレスト・コンクリート)床版、鋼床版などによって形成されている。舗装下地1としては、路床に限定されず、路盤などでも良い。路盤の場合、コンクリート製のものの他、例えば砕石路盤なども採用可能である。また、砕石等からなる層上にコンクリート層を形成して、合成樹脂製防水塗膜の形成を容易にしたものなども採用可能である。
【0034】
この実施形態の施工方法は、まず、必要に応じて、研削等によって舗装下地1の表面の凹凸や不陸を調整する下地調整を行った後、舗装下地1の表面を清掃して、ゴミ、異物などを除去する。
次いで、清掃済みの舗装下地1の上に、下地用プライマー6を塗布する。
下地用プライマー6は、防水塗膜7の舗装下地1に対する接着性を高めるためのものであり、また、舗装下地1が湿っている場合もあることから、湿潤面に接着可能であるものが好ましい。このような下地用プライマー6としては、湿潤程度の水分では実質的に発泡しない樹脂が用いられ、湿潤面接着用接着剤として用いられる常温硬化性のウレタン系樹脂や、エポキシ樹脂からなるプライマーが好ましく用いられ、1液硬化型でも2液硬化型でもよい。
下地用プライマー6を舗装下地1の上に塗布する方法としては、スプレーガンによって噴射する方法、あるいは、ローラーや刷毛もしくはレーキによって塗布する方法が好ましい。
下地用プライマー6の塗布量は、好ましくは0.1〜0.5kg/m2、より好ましくは0.15〜0.4kg/m2とする。
なお、舗装下地1の表面状態などによっては、下地用プライマー6の塗布を省略してもよい。
【0035】
次いで、舗装下地1の上に、熱硬化性樹脂からなる防水塗膜7を施工する。防水塗膜7の施工前には、下地用プライマー6の上に撒き砂がなされていないことが好ましい。
道路などの舗装の工事は、夜間など、交通量が少ない時間帯を見計らって、短時間、交通を遮断して行われる。したがって、防水塗膜7の形成には、超速硬化性の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0036】
防水塗膜7を形成する超速硬化性の熱硬化性樹脂としては、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設時の熱によって、その防水性、遮塩性、防食性が損なわれないものが用いられ、具体的には、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂などが用いられる。これらの熱硬化性樹脂の中でも、超速硬化性のポリウレタン系樹脂またはポリウレア系樹脂を用いるのが好ましい。超速硬化性のポリウレタン系樹脂としては、エバーコートSP100、エバーコートSP200、プラマックス500、プラマックス1000、プラマックス2000、また、ポリウレア系樹脂としては、プラマックス5000(いずれも商品名、ダイフレックス社製)などが挙げられる。
また、防水塗膜7を形成する熱硬化性樹脂としては、可撓性を有するものが好ましい。防水塗膜7が可撓性を有する熱硬化性樹脂で形成されていれば、防水塗膜7は、床版などの撓みなどによる変形に追従して変形し、破断し難い。
なお、駐車場など、交通量が少なく、機械塗装し難いような場所にある舗装下地1へ防水塗膜7を施工する場合、例えば、熱硬化性樹脂を手塗りすることもあるので、超速硬化性の熱硬化性樹脂でない方が好ましい場合もある。
【0037】
防水塗膜7を舗装下地1の上に施工する方法としては、上記の熱硬化性樹脂をスプレーガンによって噴射する方法、あるいは、ローラーや鏝もしくはレーキによって塗布する方法が好ましい。例えば、熱硬化性樹脂としてポリウレタン系樹脂を用いた場合、スプレーガンによる噴射では、イソシアネート成分とポリオール成分をあらかじめ混合してなる硬化性混合物を、スプレーガンで噴射して防水塗膜7を形成してもよく、あるいは、スプレーガンにイソシアネート成分とポリオール成分とを別々に供給してスプレーガン内で混合して得られる混合物を舗装下地1上に噴射して防水塗膜7を形成してもよい。ローラーなどによる塗布では、イソシアネート成分とポリオール成分をあらかじめ混合してなる硬化性混合物を、舗装下地1上に塗布してもよい。
【0038】
この防水塗膜7は、緻密層でも、独立気泡を含む発泡層でも、熱硬化性樹脂のモルタルからなる層であってもよい。防水塗膜7を、発泡層とする場合は、硬化性混合物に発泡用ガスを混合すればよく、熱硬化性樹脂のモルタルからなる層とする場合は、硬化性混合物に骨材を混合すればよい。
【0039】
次いで、防水塗膜7が硬化する前に、布状または網状の接着用敷設物4を防水塗膜7の上に敷設し、防水塗膜7と接着用敷設物2とを接着一体化する。
接着用敷設物2としては第1の実施形態で述べたものを採用可能できるが、この実施形態でも、熱可塑性樹脂からなる合成繊維で構成される接着用敷設物2を用いれば、アスファルトコンクリート舗装合材3の敷設時の熱で接着用敷設物2が溶融または軟化してアスファルトコンクリート舗装合材3と良く密着するため、アスファルトコンクリート舗装合材3との接着力を強化できることは言うまでもない。
【0040】
また、接着用敷設物2が熱可塑性樹脂からなる合成繊維で形成されている場合、接着用敷設物2を形成する熱可塑性樹脂と、防水塗膜7を形成する熱硬化性樹脂との組み合わせは、接着力を確保する観点から、両者の極性が近いもの、相溶性が高いもの、反応性が高い(架橋構造を形成し易い)ものが採用される。
【0041】
接着用敷設物2を防水塗膜7の上に敷設する方法としては、防水塗膜7を舗装下地1の上に施工した後、防水塗膜7が硬化する前に、ドラムなどに巻き付けられた長尺の布状または網状の接着用敷設物2をローラーなどによって、連続的に防水塗膜7の上に敷設する方法が好ましい。
このように、接着用敷設物2を、防水塗膜7が硬化する前に、その上に敷設することによって、接着用敷設物2を構成する繊維の間に、防水塗膜7を形成する熱硬化性樹脂が浸透し、この熱硬化性樹脂が接着用敷設物2に絡まるため、防水塗膜7と接着用敷設物2とが強固に接着一体化する。また、接着用敷設物2を防水塗膜7の上に敷設した際に、両者の間に巻き込んだ空気が、接着用敷設物2を構成する繊維の間を通って、両者の界面から外部に放出される。したがって、防水塗膜7と接着用敷設物2との間に巻き込んだ空気に起因する両者の一体性の低下を生じることがない。
【0042】
次いで、接着用敷設物2の上に、加熱したアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設する。
アスファルトコンクリート舗装合材3としては、道路などの舗装に用いられるアスファルトコンクリート舗装合材であれば、どのようなものでも用いることができる。アスファルトコンクリート舗装合材3の厚さは、目的に応じて適宜設定することができるが、一般的には20〜100mm程度とするのが好ましい。
【0043】
加熱したアスファルトコンクリート舗装合材3を、接着用敷設物2の上に敷設することによって、アスファルトコンクリート舗装合材3中に含まれるアスファルト分が接着用敷設物2に浸透し、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2とが強固に一体化し、結果として、防水塗膜7とアスファルトコンクリート舗装合材3とが強固に接着一体化したアスファルト舗装構造体が形成される。
【0044】
特に、接着用敷設物2が熱可塑性樹脂からなる合成繊維で構成されている場合、加熱したアスファルトコンクリート舗装合材3の敷設時の熱により、接着用敷設物2が溶融流動もしくは軟化して、接着用敷設物2がアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化するとともに防水塗膜7とも接着一体化し、結果として、防水塗膜7とアスファルトコンクリート舗装合材3とが強固に接着一体化する。
【0045】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を図5を参照して説明する。
図5において、図4に示した第4の実施形態の構成部分と同じ構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
この実施形態の施工方法は、舗装下地1上に防水塗膜7を施工するところまでは前述の第4の実施形態と同じであるが、防水塗膜7の硬化後、この防水塗膜7上にプライマー8を塗布してから、防水塗膜7上に接着用敷設物2を敷設する点で、第4の実施形態と異なる。接着用敷設物2の敷設後、接着用敷設物2上へのアスファルトコンクリート舗装合材3の敷設は第4の実施形態と同様に行う。
【0047】
プライマー8としては、防水塗膜7を形成する熱硬化性樹脂との親和性はもちろんのこと、防水塗膜7の上に敷設される接着用敷設物2との親和性も有するものであることが好ましく、常温硬化性のポリウレタン系樹脂などからなるプライマーまたは接着剤が用いられる。このようなプライマー8の具体例としては、ポリウレタン系樹脂を溶剤に溶解した溶液を例示できる。
このプライマー8は、防水塗膜7の上に均一に塗布して防水塗膜7に強固に接着し、かつ、プライマー8の硬化前に、防水塗膜7の上に敷設される接着用敷設物2を接着一体化できればよいため、プライマー8として用いられるウレタン系樹脂などの溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、塗布時の取り扱い性を考慮して、15〜50質量%の濃度範囲で適宜設定される。
プライマー8を防水塗膜7の上に塗布する方法としては、スプレーガンによって噴射する方法、あるいは、ローラーや刷毛もしくはレーキによって塗布する方法が好ましい。
【0048】
接着用敷設物2は、防水塗膜7上にプライマー8を塗布した後、プライマー8が硬化する前に防水塗膜7の上に敷設し、プライマー8を接着用敷設物2に浸透させ、防水塗膜7と接着用敷設物2とを強固に接着一体化する。
【0049】
道路などの舗装の工事においては、舗装下地1上への防水塗膜7の施工後、施工した防水塗膜7が硬化する前に接着用敷設物2を防水塗膜7上に敷設するといった方法を採用できない場合があり得るが、その場合、この実施形態のように、プライマー8によって、防水塗膜7と接着用敷設物2とを接着一体化すれば、結果として、第1の実施形態と同様に、防水塗膜7とアスファルトコンクリート舗装合材3とを強固に接着一体化することができる。
【0050】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態を図6を参照して説明する。
図6において、図4に示した第4の実施形態の構成部分と同じ構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
この実施形態の施工方法は、舗装下地1上に防水塗膜7を施工し、この防水塗膜7の硬化前に、接着用敷設物2を防水塗膜7の上に敷設して、防水塗膜7と接着用敷設物2とを接着一体化するところまでは前述の第4の実施形態と同じであるが、接着用敷設物2の上にアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤などのアスファルト剤9を塗布してから、接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設する点が第4の実施形態と異なる。
【0052】
アスファルト剤9は、防水塗膜7上に敷設した接着用敷設物2に塗布し、浸透させる。次いで、この接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設すると、アスファルトコンクリート舗装合材3と、接着用敷設物2内に浸透したアスファルト剤9との親和性により、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2とが強固に一体化し、結果として、防水塗膜7とアスファルトコンクリート舗装合材3とが強固に接着一体化する。
【0053】
なお、上述の第4または第5の実施形態においても、接着用敷設物2の上にアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤などである熱可塑性接着材料を塗布、浸透させた後、接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設してもよい。
また、上述の第4〜第6の実施形態において、接着用敷設物2として、あらかじめアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤が含浸処理されたものを用いてもよい(ただし、この場合も、接着用敷設物2としては、敷設時に下側に巻き込んだ空気を容易に排除できるように、穴、空隙などによって通気性が確保されていることが好ましい)。このような接着用敷設物2を用いれば、アスファルトコンクリート舗装合材3と、接着用敷設物2内に含浸されているアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤との親和性により、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2とが強固に一体化し、結果として、防水塗膜7とアスファルトコンクリート舗装合材3とが強固に接着一体化する。
【0054】
なお、上述の第1〜第6の実施形態において、接着用敷設物2を単層で用いた例を示したが、本発明の舗装方法はこれに限定されるものではなく、複数の接着用敷設物を強固に固定して積層、一体化した構成の接着用敷設物を用いることも可能である。
積層構造の接着用敷設物としては、例えば、硬化前の防水塗膜7やプライマーとの接着性に優れた(防水塗膜を形成する樹脂材料やプライマーが容易に浸透できる構造であったり、これら防水塗膜を形成する樹脂材料やプライマーに対して親和性を有する材質の繊維を用いて形成されていることなど)接着用敷設物と、アスファルトコンクリート舗装合材3との接着性に優れた(アスファルトコンクリート舗装合材3中に含まれるアスファルト分が容易に浸透できる構造であったり、アスファルト分に対して親和性を有する材質の繊維を用いて形成されていることなど)接着用敷設物とを積層したものなど、それぞれ接着材として機能する材料に対する接着性を良好に確保できる複数種類の接着用敷設物を積層、一体化した構成とすることが可能である。
【0055】
メンブレン防水層としては、日本建築学会の建築工事標準仕様書の「JASS8 防水工事」に標準化されたものに準拠するものであれば、いずれも採用可能であり、前述の防水塗膜に限定されない。但し、防水塗膜であれば、舗装下地に対する接着一体化が容易である点で特に好ましい。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、舗装下地と接着用敷設物とアスファルトコンクリート舗装合材とが接着一体化したアスファルト舗装構造体が得られる。また、本発明によれば、瀝青材料によって前記舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材との接着力を確保する構成に比べて、周囲の環境温度の変化に対してアスファルトコンクリート舗装合材と舗装下地との間の接着力を安定に維持できるため、轍掘れや舗装の割れ等の不都合を効果的に防止できる。また、従来の熱可塑性ペレットの散布では均等散布が難しく、接着力のばらつきが生じやすいことに比べて、舗装下地上への接着用敷設物の敷設であれば、均等敷設することは極めて容易であるため、アスファルトコンクリート舗装合材と舗装下地とを満遍なく、ほぼ均等の接着力をもって接着、一体化することができる。さらに、ペレットの飛散等の環境悪化も無いため、作業性に優れるといった利点もある。また、舗装下地上への接着用敷設物の敷設では、従来の熱可塑性樹脂シートの敷設で生じるような、敷設時の空気の巻き込み等の問題が生じないため、舗装下地(あるいは舗装下地上に形成したメンブレン防水層等の下地上層)に対して接着用敷設物を密着させることが容易であり、敷設作業の作業性を向上できる。しかも、接着用敷設物の通気性によって、防水塗膜やプライマー等に含まれる溶剤や舗装下地からの水分などの揮発したガスが接着用敷設物下に溜まることを防止できるため、この揮発ガスによって接着用敷設物が局所的に膨れるといった不都合を確実に防止でき、舗装下地に対するアスファルトコンクリート舗装合材の一体性が低下することがない。
さらに、接着用敷設物上に敷設したアスファルトコンクリート舗装合材のアスファルト分を接着用敷設物に浸透させることで、接着用敷設物とアスファルトコンクリート舗装合材とを強固に接着一体化できる構成であるため、例えば舗装下地や下地上層が、アスファルトコンクリート舗装合材のアスファルトに対する接着性の確保が難しい材質で形成されている場合(下地上層として防水塗膜等の合成樹脂層が形成されている場合など)でも、舗装下地あるいは舗装下地上に形成された下地上層に対して固定する接着用敷設物を介して、舗装下地や下地上層に対してアスファルトコンクリート舗装合材を容易に接着一体化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す断面模式図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す断面模式図である。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す断面模式図である。
【図4】本発明の第4の実施形態を示す断面模式図である。
【図5】本発明の第5の実施形態を示す断面模式図である。
【図6】本発明の第6の実施形態を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1…舗設下地、2…接着用敷設物、3…アスファルトコンクリート、4…下地プライマー、5…アスファルト剤、6…下地用プライマー、7…メンブレン層,防水塗膜、8…プライマー、9…アスファルト剤、A…アスファルト舗装構造体
【発明の属する技術分野】
本発明は、砕石路盤、コンクリート路盤、鋼構造路盤、上層切削アスファルトコンクリート舗装などである舗装下地と、この舗装下地上に敷設するアスファルトコンクリート舗装合材との接着一体性を向上させる舗装構造体の施工方法及びアスファルト舗装構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、道路の舗装は、アスファルトコンクリート舗装(撓み性舗装)とコンクリート舗装(剛性舗装)に大別される。アスファルトコンクリート舗装は、コンクリート舗装と比較して、敷設後の養生の必要がなく、施工速度が速く、施工後直ぐに供用が可能、伸縮目地が不要で連続的に平坦に仕上げることが可能、撓み性が大きく下地に馴染み易いため、ひび割れし難い、維持補修が容易で段階的な施工が可能であるなどの特徴がある。
【0003】
通常、砕石路盤上にアスファルトコンクリート舗装合材を敷設する際には、両者の接着一体性を高めるために、砕石路盤上に比較的低粘度のプライムコートを散布または塗布する。コンクリート路盤、鋼構造路盤、上層切削アスファルトコンクリート舗装などの上に、アスファルトコンクリート舗装合材を敷設する際には、タックコートを散布または塗布する。
【0004】
プライムコートとしては、カットバックアスファルト、舗装タール、アスファルト乳剤などが挙げられる。カットバックアスファルトや舗装タールは、散布または塗布後24時間以上の養生が必要であるため、気象条件がよく、工期に余裕がある場合に用いられる。アスファルト乳剤は、気象条件が悪く、路盤に水分が多く含まれる場合や、工期に余裕がない場合にも使用可能なため、広く用いられている。
【0005】
また、タックコートとしては、アスファルト乳剤、カットバックアスファルト、ストレートアスファルトなどが用いられるが、その性質、性状はプライムコートに準ずる。
これらプライムコートおよびタックコートは全て、瀝青材料であるために、温度の影響を受け易い土木材料であり、温度上昇に伴って、固形状から液状に変化する性質を持っている。
【0006】
さらに、舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材との一体性を高めるために、以下のような方法が採用されている。例えば、熱可塑性樹脂ペレットを舗装下地上に散布する方法、アスファルト粒状物を散布する方法、アスファルト乳剤に熱可塑性樹脂を分散させたものを塗布する方法などであり、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設時の熱で熱可塑性樹脂を溶融させ、舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材とを一体化する方法が採用されている。
あるいは、PC床版や鋼床版等である舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材との間に熱可塑性樹脂シートを介入(アスファルトコンクリート舗装合材の敷設前に熱可塑性樹脂シートを舗装下地に貼り合わせる)させて、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設時の熱で熱可塑性樹脂シートを溶融させ、熱硬化性樹脂塗膜とアスファルトコンクリート舗装合材とを一体化する方法も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
プライムコートやタックコートとして瀝青材料であるカットバックアスファルト、舗装タール、アスファルト乳剤、ストレートアスファルトなどを使用した場合、前述のように、瀝青材料の物性が温度によって大きく変化することから、路盤などとアスファルトコンクリート舗装合材との接着一体性を左右してしまう。瀝青材料のプライムコートやタックコートを採用した場合、例えば、夏季の高温時には、アスファルトコンクリート舗装合材を上記舗装下地に固定しておくためのプライムコートやタックコートの接着力が低下し易く、また、アスファルトコンクリート舗装合材自体も軟化し易いため、アスファルトコンクリート舗装合材上を大型車両などが通行すると、タイヤからかかる荷重によって、轍掘れが発生し易くなったり、車両走行の荷重によって鉛直方向から加えられる力や、発進時や停止時にせん断方向に加えられる力によって、轍掘れや舗装の割れが発生し易くなってしまう。
【0008】
加えて、熱可塑性(ホットメルト)ペレットを散布する方法では、施工時に吹いている風によって、このペレットが施工部以外(施工部の周辺)にまで飛散し、施工部周辺に環境問題を発生させる可能性がある。さらに、砕石路盤や上層切削アスファルトコンクリート舗装の表面のように凹凸が激しい場合、散布した熱可塑性ペレットが凸部上に存在せず、凹部に堆積してしまう。そのため、凹部に堆積した熱可塑性ペレットは、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設時の熱によって充分に溶融しないことがある上に、凸部では、このペレットが存在しないために、充分な接着力が得られないという問題があった。
また、熱可塑性樹脂シートを舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材との間に介入する方法では、熱可塑性樹脂シートを舗装下地に貼り合わせる時に、シートと舗装下地との間に空気を巻き込み易く、密着、一体化し難いという欠点がある。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、周辺環境を汚染することなく施工可能で、環境温度の変化に影響されることなく、舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材との接着一体性をより確実に維持、確保することができる舗装構造体の施工方法及びアスファルト舗装構造体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題の解決手段として、アスファルトコンクリート舗装合材を敷設する舗装下地上に、布状または網状に形成されアスファルトコンクリート舗装合材のアスファルト分が浸透可能な接着用敷設物を敷設し、該接着用敷設物の上に加熱したアスファルトコンクリート舗装合材を敷設して、前記舗装下地と前記接着用敷設物と前記アスファルトコンクリート舗装合材とを接着一体化することを特徴とする舗装構造体の施工方法、並びに、この施工方法によって構築されたことを特徴とするアスファルト舗装構造体を提供する。
【0011】
この発明において、舗装下地に接着用敷設物を接着させる手法には特に限定は無く、各種採用可能である。例として、以下の構成が採用可能である。
1.前記舗装下地が現場打ちコンクリートによって形成されるものである場合、該舗装下地を形成するコンクリートの硬化前に、該コンクリートの上に前記接着用敷設物を敷設し、該コンクリートと該接着用敷設物とを接着一体化する。
2.前記舗装下地上に敷設した前記接着用敷設物を、プライマーまたは接着剤によって前記舗装下地に接着一体化する。砕石路盤、コンクリート路盤、鋼構造路盤、上層切削アスファルトコンクリート舗装などである舗装下地上にコンクリートを打設し、この打設コンクリートの硬化前に、該コンクリートの上に前記接着用敷設物を敷設し、該コンクリートと該接着用敷設物とを接着一体化することも可能である。
3.熱可塑性樹脂の繊維(単繊維、集束繊維のいずれも可)を用いて形成された接着用敷設物を採用する。接着用敷設物を形成する熱可塑性樹脂として、敷設するアスファルトコンクリート舗装合材の敷設時温度で溶融又は軟化するものを採用し、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設によって該アスファルトコンクリート舗装合材の熱で、舗装下地及びアスファルトコンクリート舗装合材に対して接着用敷設物が接着一体化されるようにする。
4.アスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤などの熱可塑性接着材料を予め含浸処理した接着用敷設物を採用する。ここで採用する熱可塑性接着材料は、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設時温度で溶融又は軟化するものであり、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設によって該アスファルトコンクリート舗装合材の熱で、舗装下地及びアスファルトコンクリート舗装合材に対して接着用敷設物が接着一体化されるようにする。
【0012】
本発明では、前記舗装下地上にメンブレン防水層、緩衝層、吸音層、遮音層、制振層などの上層(以下「下地上層」とも言う)を形成した上で、この下地上層上に接着用敷設物を敷設することも可能である。
この場合は、アスファルトコンクリート舗装合材と、接着用敷設物と、下地上層と、舗装下地とが接着一体化されたアスファルト舗装構造体を構築する。下地上層がメンブレン防水層の場合は、アスファルト舗装構造体の防水性を確保できることは言うまでも無い。
【0013】
メンブレン防水層としては、舗装下地に対して接着一体化できるものを採用することが好ましい。メンブレン防水層と接着用敷設物との間の接着一体化は、プライマーや接着剤を用いた接着、熱可塑性樹脂の繊維を用いて形成された接着用敷設物又は熱可塑性接着材料を予め含浸処理した接着用敷設物の使用などによって実現できる。
舗装下地に対する接着性確保の点では、メンブレン防水層として防水塗膜等を採用することが好ましい。ここで、防水塗膜は、例えばウレタン防水材など、防水性を有する合成樹脂材料の塗布によって形成される塗膜である。防水塗膜の場合、例えば、防水塗膜を構成する合成樹脂材料の塗布後、硬化前に、該防水塗膜の上に前記接着用敷設物を敷設して、該防水塗膜と該接着用敷設物とを接着一体化することも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を図1を参照して説明する。
図中、符号1はアスファルトコンクリート舗装合材を敷設する舗装下地、2は接着用敷設物、3はアスファルトコンクリート舗装合材、Aはアスファルト舗装構造体を示す。
【0016】
接着用敷設物2は、例えば、織布(布)、不織布(布)、ネットクロス(網状の布)など、単繊維もしくは集束繊維によって布状または網状に形成されたものである。
織布としては、目付量が10g/m2〜900g/m2のものが好ましく、目付量が30g/m2〜500g/m2のものがより好ましい。不織布としては、目付量が10g/m2〜900g/m2のものが好ましく、目付量が30g/m2〜500g/m2のものがより好ましい。ネットクロスとしては、目付量が30g/m2〜900g/m2、網を形成する繊維のピッチが1本/25mm幅〜80本/25mm幅のものが好ましく、目付量が30g/m2〜500g/m2、網を形成する繊維のピッチが5本/25mm幅〜50本/25mm幅のものがより好ましい。なお、いずれも目付量の下限は防水塗膜3と接着用敷設物2との接着力を確保するためのものであり、上限は接着用敷設物2の重さ、施工性などにより限定されるものである。
【0017】
また、接着用敷設物2は、アスファルトコンクリート舗装合材3が敷き均される際の転圧などにより、横滑りするのを防止する観点から、その厚みが厚過ぎない方が好ましい。具体的には、接着用敷設物2の厚みは0.05〜5.0mmが好ましく、0.1〜3.5mmがより好ましい。
好ましい接着用敷設物2の厚みの上限は、アスファルトコンクリート舗装合材3の敷き均し時の横滑りなどを効果的に防止できる。これにより、アスファルトコンクリート舗装合材3のひび割れや轍掘れなどを有効に防止でき、施工品質の向上、長寿命化を実現できる。
【0018】
接着用敷設物2を構成する繊維としては、綿、麻などからなる天然繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂からなる合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維などが用いられる。
これらの中でも、融点および軟化点がアスファルトコンクリート舗装合材3の敷設温度よりも低い熱可塑性樹脂からなる合成繊維で構成される接着用敷設物2を用いることが好ましい。具体的には、接着用敷設物2を構成する合成繊維を形成する熱可塑性樹脂としては、温度60℃程度では溶融または軟化して、べたつくことがなく、温度90℃以上で溶融または軟化するものが好ましく用いられる。このような熱可塑性樹脂からなる合成繊維で構成される接着用敷設物2を用いれば、アスファルトコンクリート舗装合材3の敷設時の熱で接着用敷設物2が溶融または軟化し、アスファルトコンクリート舗装合材1と強固に一体化する。
【0019】
この実施形態の施工方法は、まず、現場打ちコンクリートによって形成される舗装下地1のコンクリートの硬化前、あるいは、砕石路盤、コンクリート路盤、鋼構造路盤、上層切削アスファルトコンクリート舗装などである舗装下地1上に塗工したコンクリートの硬化前に、このコンクリート上に接着用敷設物2を敷設することで、舗装下地1と接着用敷設物2とを接着一体化する。
【0020】
このように、接着用敷設物2を硬化前のコンクリート上に敷設すると、接着用敷設物2を構成する繊維の間に、コンクリートの一部が浸透し、このコンクリートが接着用敷設物2に絡まるため、コンクリートに対して接着用敷設物2を強固に接着固定でき、舗装下地1に対して接着用敷設物2を強固に接着一体化できる。また、コンクリートの硬化を待つことなく接着用敷設物2の敷設作業を進めることができるため、施工時間の短縮などを実現できる。
また、布状又は網状の接着用敷設物2であれば、コンクリート上に敷設した際にコンクリートとの間に巻き込んだ空気が接着用敷設物2を透過して簡単に抜けるため、敷設によって簡単かつ確実にコンクリートに密着させることできる利点がある。敷設作業によって接着用敷設物2下に巻き込んだ空気の押し出し作業等も必要無い。
【0021】
次いで、接着用敷設物2の上に、加熱したアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設する。
アスファルトコンクリート舗装合材3としては、道路などの舗装に用いられるアスファルトコンクリート舗装合材であれば良く、特に限定は無い。アスファルトコンクリート舗装合材3の厚さは、目的に応じて適宜設定できるが、一般的には20〜100mm程度とするのが好ましい。
【0022】
加熱したアスファルトコンクリート舗装合材3を、接着用敷設物2の上に敷設すると、アスファルトコンクリート舗装合材3中に含まれるアスファルト分が接着用敷設物2に浸透し、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2とが強固に一体化し、結果として、舗装下地1と接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化されたアスファルト舗装構造体Aを構築できる。
【0023】
特に、接着用敷設物2として、アスファルトコンクリート舗装合材3の敷設時の熱により溶融もしくは軟化する熱可塑性樹脂からなる合成繊維を用いて構成されているものを採用した場合は、アスファルトコンクリート舗装合材3のアスファルト分の接着用敷設物2への浸透に加えて、接着用敷設物2が溶融または軟化によって舗装下地1やアスファルト舗装合材3に対して確実に接着一体化するようになるため、結果として、舗装下地1と接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とをより強固に接着一体化することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図2を参照して説明する。
図2において、図1に示した第1の実施形態の構成部分と同じ構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の施工方法は、舗装下地1の上に下地用プライマー4を塗布し、この下地用プライマー4上に接着用敷設物2を敷設して、前記下地用プライマー4によって、接着用敷設物2を舗装下地1に接着する点が、前述の第1の実施形態と異なる。舗装下地1上に接着用敷設物2を敷設した後、この接着用敷設物2の上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設することで、アスファルトコンクリート舗装合材3のアスファルト分が接着用敷設物2に浸透する結果、接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化することは、前述の第1の実施形態と同様である。接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3が敷設されることで、舗装下地1と接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化されたアスファルト舗装構造体が構築される。
【0025】
下地用プライマー4としては、舗装下地1上面の形成材料や接着用敷設物2との親和性はもちろんのこと、アスファルトコンクリート舗装合材3のアスファルト分との親和性も有するものであることが好ましく、例えば常温硬化性のウレタン系樹脂などからなるプライマーまたは接着剤を用いることができる。
接着用敷設物2は、舗装下地1上に塗布した下地用プライマー4の硬化前に舗装下地1上に敷設することで、下地用プライマー4によって舗装下地1と接着一体化する。
なお、この実施形態において適用可能な舗装下地1としては、特に限定は無く、砕石路盤、コンクリート路盤、鋼構造路盤、上層切削アスファルトコンクリート舗装など各種適用可能である。
【0026】
下地用プライマー4の具体例としては、ウレタン系樹脂を溶剤に溶解した溶液を例示できる。この場合、下地用プライマー4として用いられるウレタン系樹脂などの溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、塗布時の取り扱い性を考慮して、15〜50質量%の濃度範囲で適宜設定される。
下地用プライマー4を舗装下地1の上に塗布する方法としては、スプレーガンによって噴射する方法、あるいは、ローラーや刷毛もしくはレーキによって塗布する方法などが好ましい。
【0027】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図3を参照して説明する。
図3において、図1に示した第1の実施形態の構成部分と同じ構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態の施工方法は、接着用敷設物2を舗装下地1上に敷設した後、接着用敷設物2の上に、熱可塑性接着材料として、アスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤などのアスファルト剤5を塗布、浸透させ、その後、接着用敷設物2の上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設する。
なお、この実施形態でも、前述の第2の実施形態と同様に、舗装下地1上に上述の下地用プライマー4と同様の下地用プライマーを塗布して、舗装下地1と接着用敷設物2との間の接着力を高めることが好ましい。
【0028】
接着用敷設物2の上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設することで、アスファルトコンクリート舗装合材3のアスファルト分が接着用敷設物2に浸透する結果、接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化することは、前述の第1の実施形態と同様である。接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3が敷設されることで、舗装下地1と接着用敷設物2とアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化されたアスファルト舗装構造体が構築される。
【0029】
アスファルト剤5としては、アスファルトコンクリート舗装合材3の敷設時の熱によって溶融あるいは軟化するものが採用される。このため、アスファルト剤5を塗布、浸透させた接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設すると、アスファルトコンクリート舗装合材3の熱によって溶融あるいは軟化したアスファルト剤5と、アスファルトコンクリート舗装合材3から接着用敷設物2に浸透してきたアスファルト分とが一体化して、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2との接着強度を向上できる利点がある。
【0030】
なお、上述の第1または第2の実施形態においても、接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設する前に、接着用敷設物2の上にアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤などを塗布、浸透させるようにすることは可能である。
また、上述の第1〜第3の実施形態において、接着用敷設物2として、あらかじめアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤が含浸処理されたものを用いてもよい(ただし、この場合も、接着用敷設物2としては、敷設時に下側に巻き込んだ空気を容易に排除できるように、穴、空隙などによって通気性が確保されていることが好ましい)。このような接着用敷設物2を用いれば、アスファルトコンクリート舗装合材3と、接着用敷設物2内に含浸されているアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤との親和性により、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2とを強固に一体化できる。
【0031】
以下、第4〜第6の実施形態は、舗装下地上に該舗装下地と一体化させて形成した上層(下地上層)の上に、アスファルトコンクリート舗装合材を敷設して、アスファルト舗装構造体を施工する場合であり、特に、下地上層として防水塗膜からなるメンブレン防水層を採用した場合を説明する。
【0032】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態を図4を参照して説明する。
図4において、図1に示した第1の実施形態の構成部分と同じ構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
なお、図4中、符号6は下地用プライマー、7は防水塗膜(メンブレン防水層)である。
【0033】
舗装下地1は、特に限定されるものではないが、ここでは、コンクリート製橋桁などの床版や駐車場、道路などの路床であり、現場打ちコンクリート、コンクリート系合成床版、PC(Prestressed Concrete、プレストレスト・コンクリート)床版、鋼床版などによって形成されている。舗装下地1としては、路床に限定されず、路盤などでも良い。路盤の場合、コンクリート製のものの他、例えば砕石路盤なども採用可能である。また、砕石等からなる層上にコンクリート層を形成して、合成樹脂製防水塗膜の形成を容易にしたものなども採用可能である。
【0034】
この実施形態の施工方法は、まず、必要に応じて、研削等によって舗装下地1の表面の凹凸や不陸を調整する下地調整を行った後、舗装下地1の表面を清掃して、ゴミ、異物などを除去する。
次いで、清掃済みの舗装下地1の上に、下地用プライマー6を塗布する。
下地用プライマー6は、防水塗膜7の舗装下地1に対する接着性を高めるためのものであり、また、舗装下地1が湿っている場合もあることから、湿潤面に接着可能であるものが好ましい。このような下地用プライマー6としては、湿潤程度の水分では実質的に発泡しない樹脂が用いられ、湿潤面接着用接着剤として用いられる常温硬化性のウレタン系樹脂や、エポキシ樹脂からなるプライマーが好ましく用いられ、1液硬化型でも2液硬化型でもよい。
下地用プライマー6を舗装下地1の上に塗布する方法としては、スプレーガンによって噴射する方法、あるいは、ローラーや刷毛もしくはレーキによって塗布する方法が好ましい。
下地用プライマー6の塗布量は、好ましくは0.1〜0.5kg/m2、より好ましくは0.15〜0.4kg/m2とする。
なお、舗装下地1の表面状態などによっては、下地用プライマー6の塗布を省略してもよい。
【0035】
次いで、舗装下地1の上に、熱硬化性樹脂からなる防水塗膜7を施工する。防水塗膜7の施工前には、下地用プライマー6の上に撒き砂がなされていないことが好ましい。
道路などの舗装の工事は、夜間など、交通量が少ない時間帯を見計らって、短時間、交通を遮断して行われる。したがって、防水塗膜7の形成には、超速硬化性の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0036】
防水塗膜7を形成する超速硬化性の熱硬化性樹脂としては、アスファルトコンクリート舗装合材の敷設時の熱によって、その防水性、遮塩性、防食性が損なわれないものが用いられ、具体的には、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂などが用いられる。これらの熱硬化性樹脂の中でも、超速硬化性のポリウレタン系樹脂またはポリウレア系樹脂を用いるのが好ましい。超速硬化性のポリウレタン系樹脂としては、エバーコートSP100、エバーコートSP200、プラマックス500、プラマックス1000、プラマックス2000、また、ポリウレア系樹脂としては、プラマックス5000(いずれも商品名、ダイフレックス社製)などが挙げられる。
また、防水塗膜7を形成する熱硬化性樹脂としては、可撓性を有するものが好ましい。防水塗膜7が可撓性を有する熱硬化性樹脂で形成されていれば、防水塗膜7は、床版などの撓みなどによる変形に追従して変形し、破断し難い。
なお、駐車場など、交通量が少なく、機械塗装し難いような場所にある舗装下地1へ防水塗膜7を施工する場合、例えば、熱硬化性樹脂を手塗りすることもあるので、超速硬化性の熱硬化性樹脂でない方が好ましい場合もある。
【0037】
防水塗膜7を舗装下地1の上に施工する方法としては、上記の熱硬化性樹脂をスプレーガンによって噴射する方法、あるいは、ローラーや鏝もしくはレーキによって塗布する方法が好ましい。例えば、熱硬化性樹脂としてポリウレタン系樹脂を用いた場合、スプレーガンによる噴射では、イソシアネート成分とポリオール成分をあらかじめ混合してなる硬化性混合物を、スプレーガンで噴射して防水塗膜7を形成してもよく、あるいは、スプレーガンにイソシアネート成分とポリオール成分とを別々に供給してスプレーガン内で混合して得られる混合物を舗装下地1上に噴射して防水塗膜7を形成してもよい。ローラーなどによる塗布では、イソシアネート成分とポリオール成分をあらかじめ混合してなる硬化性混合物を、舗装下地1上に塗布してもよい。
【0038】
この防水塗膜7は、緻密層でも、独立気泡を含む発泡層でも、熱硬化性樹脂のモルタルからなる層であってもよい。防水塗膜7を、発泡層とする場合は、硬化性混合物に発泡用ガスを混合すればよく、熱硬化性樹脂のモルタルからなる層とする場合は、硬化性混合物に骨材を混合すればよい。
【0039】
次いで、防水塗膜7が硬化する前に、布状または網状の接着用敷設物4を防水塗膜7の上に敷設し、防水塗膜7と接着用敷設物2とを接着一体化する。
接着用敷設物2としては第1の実施形態で述べたものを採用可能できるが、この実施形態でも、熱可塑性樹脂からなる合成繊維で構成される接着用敷設物2を用いれば、アスファルトコンクリート舗装合材3の敷設時の熱で接着用敷設物2が溶融または軟化してアスファルトコンクリート舗装合材3と良く密着するため、アスファルトコンクリート舗装合材3との接着力を強化できることは言うまでもない。
【0040】
また、接着用敷設物2が熱可塑性樹脂からなる合成繊維で形成されている場合、接着用敷設物2を形成する熱可塑性樹脂と、防水塗膜7を形成する熱硬化性樹脂との組み合わせは、接着力を確保する観点から、両者の極性が近いもの、相溶性が高いもの、反応性が高い(架橋構造を形成し易い)ものが採用される。
【0041】
接着用敷設物2を防水塗膜7の上に敷設する方法としては、防水塗膜7を舗装下地1の上に施工した後、防水塗膜7が硬化する前に、ドラムなどに巻き付けられた長尺の布状または網状の接着用敷設物2をローラーなどによって、連続的に防水塗膜7の上に敷設する方法が好ましい。
このように、接着用敷設物2を、防水塗膜7が硬化する前に、その上に敷設することによって、接着用敷設物2を構成する繊維の間に、防水塗膜7を形成する熱硬化性樹脂が浸透し、この熱硬化性樹脂が接着用敷設物2に絡まるため、防水塗膜7と接着用敷設物2とが強固に接着一体化する。また、接着用敷設物2を防水塗膜7の上に敷設した際に、両者の間に巻き込んだ空気が、接着用敷設物2を構成する繊維の間を通って、両者の界面から外部に放出される。したがって、防水塗膜7と接着用敷設物2との間に巻き込んだ空気に起因する両者の一体性の低下を生じることがない。
【0042】
次いで、接着用敷設物2の上に、加熱したアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設する。
アスファルトコンクリート舗装合材3としては、道路などの舗装に用いられるアスファルトコンクリート舗装合材であれば、どのようなものでも用いることができる。アスファルトコンクリート舗装合材3の厚さは、目的に応じて適宜設定することができるが、一般的には20〜100mm程度とするのが好ましい。
【0043】
加熱したアスファルトコンクリート舗装合材3を、接着用敷設物2の上に敷設することによって、アスファルトコンクリート舗装合材3中に含まれるアスファルト分が接着用敷設物2に浸透し、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2とが強固に一体化し、結果として、防水塗膜7とアスファルトコンクリート舗装合材3とが強固に接着一体化したアスファルト舗装構造体が形成される。
【0044】
特に、接着用敷設物2が熱可塑性樹脂からなる合成繊維で構成されている場合、加熱したアスファルトコンクリート舗装合材3の敷設時の熱により、接着用敷設物2が溶融流動もしくは軟化して、接着用敷設物2がアスファルトコンクリート舗装合材3とが接着一体化するとともに防水塗膜7とも接着一体化し、結果として、防水塗膜7とアスファルトコンクリート舗装合材3とが強固に接着一体化する。
【0045】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を図5を参照して説明する。
図5において、図4に示した第4の実施形態の構成部分と同じ構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
この実施形態の施工方法は、舗装下地1上に防水塗膜7を施工するところまでは前述の第4の実施形態と同じであるが、防水塗膜7の硬化後、この防水塗膜7上にプライマー8を塗布してから、防水塗膜7上に接着用敷設物2を敷設する点で、第4の実施形態と異なる。接着用敷設物2の敷設後、接着用敷設物2上へのアスファルトコンクリート舗装合材3の敷設は第4の実施形態と同様に行う。
【0047】
プライマー8としては、防水塗膜7を形成する熱硬化性樹脂との親和性はもちろんのこと、防水塗膜7の上に敷設される接着用敷設物2との親和性も有するものであることが好ましく、常温硬化性のポリウレタン系樹脂などからなるプライマーまたは接着剤が用いられる。このようなプライマー8の具体例としては、ポリウレタン系樹脂を溶剤に溶解した溶液を例示できる。
このプライマー8は、防水塗膜7の上に均一に塗布して防水塗膜7に強固に接着し、かつ、プライマー8の硬化前に、防水塗膜7の上に敷設される接着用敷設物2を接着一体化できればよいため、プライマー8として用いられるウレタン系樹脂などの溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、塗布時の取り扱い性を考慮して、15〜50質量%の濃度範囲で適宜設定される。
プライマー8を防水塗膜7の上に塗布する方法としては、スプレーガンによって噴射する方法、あるいは、ローラーや刷毛もしくはレーキによって塗布する方法が好ましい。
【0048】
接着用敷設物2は、防水塗膜7上にプライマー8を塗布した後、プライマー8が硬化する前に防水塗膜7の上に敷設し、プライマー8を接着用敷設物2に浸透させ、防水塗膜7と接着用敷設物2とを強固に接着一体化する。
【0049】
道路などの舗装の工事においては、舗装下地1上への防水塗膜7の施工後、施工した防水塗膜7が硬化する前に接着用敷設物2を防水塗膜7上に敷設するといった方法を採用できない場合があり得るが、その場合、この実施形態のように、プライマー8によって、防水塗膜7と接着用敷設物2とを接着一体化すれば、結果として、第1の実施形態と同様に、防水塗膜7とアスファルトコンクリート舗装合材3とを強固に接着一体化することができる。
【0050】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態を図6を参照して説明する。
図6において、図4に示した第4の実施形態の構成部分と同じ構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
この実施形態の施工方法は、舗装下地1上に防水塗膜7を施工し、この防水塗膜7の硬化前に、接着用敷設物2を防水塗膜7の上に敷設して、防水塗膜7と接着用敷設物2とを接着一体化するところまでは前述の第4の実施形態と同じであるが、接着用敷設物2の上にアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤などのアスファルト剤9を塗布してから、接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設する点が第4の実施形態と異なる。
【0052】
アスファルト剤9は、防水塗膜7上に敷設した接着用敷設物2に塗布し、浸透させる。次いで、この接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設すると、アスファルトコンクリート舗装合材3と、接着用敷設物2内に浸透したアスファルト剤9との親和性により、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2とが強固に一体化し、結果として、防水塗膜7とアスファルトコンクリート舗装合材3とが強固に接着一体化する。
【0053】
なお、上述の第4または第5の実施形態においても、接着用敷設物2の上にアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤などである熱可塑性接着材料を塗布、浸透させた後、接着用敷設物2上にアスファルトコンクリート舗装合材3を敷設してもよい。
また、上述の第4〜第6の実施形態において、接着用敷設物2として、あらかじめアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤が含浸処理されたものを用いてもよい(ただし、この場合も、接着用敷設物2としては、敷設時に下側に巻き込んだ空気を容易に排除できるように、穴、空隙などによって通気性が確保されていることが好ましい)。このような接着用敷設物2を用いれば、アスファルトコンクリート舗装合材3と、接着用敷設物2内に含浸されているアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤との親和性により、アスファルトコンクリート舗装合材3と接着用敷設物2とが強固に一体化し、結果として、防水塗膜7とアスファルトコンクリート舗装合材3とが強固に接着一体化する。
【0054】
なお、上述の第1〜第6の実施形態において、接着用敷設物2を単層で用いた例を示したが、本発明の舗装方法はこれに限定されるものではなく、複数の接着用敷設物を強固に固定して積層、一体化した構成の接着用敷設物を用いることも可能である。
積層構造の接着用敷設物としては、例えば、硬化前の防水塗膜7やプライマーとの接着性に優れた(防水塗膜を形成する樹脂材料やプライマーが容易に浸透できる構造であったり、これら防水塗膜を形成する樹脂材料やプライマーに対して親和性を有する材質の繊維を用いて形成されていることなど)接着用敷設物と、アスファルトコンクリート舗装合材3との接着性に優れた(アスファルトコンクリート舗装合材3中に含まれるアスファルト分が容易に浸透できる構造であったり、アスファルト分に対して親和性を有する材質の繊維を用いて形成されていることなど)接着用敷設物とを積層したものなど、それぞれ接着材として機能する材料に対する接着性を良好に確保できる複数種類の接着用敷設物を積層、一体化した構成とすることが可能である。
【0055】
メンブレン防水層としては、日本建築学会の建築工事標準仕様書の「JASS8 防水工事」に標準化されたものに準拠するものであれば、いずれも採用可能であり、前述の防水塗膜に限定されない。但し、防水塗膜であれば、舗装下地に対する接着一体化が容易である点で特に好ましい。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、舗装下地と接着用敷設物とアスファルトコンクリート舗装合材とが接着一体化したアスファルト舗装構造体が得られる。また、本発明によれば、瀝青材料によって前記舗装下地とアスファルトコンクリート舗装合材との接着力を確保する構成に比べて、周囲の環境温度の変化に対してアスファルトコンクリート舗装合材と舗装下地との間の接着力を安定に維持できるため、轍掘れや舗装の割れ等の不都合を効果的に防止できる。また、従来の熱可塑性ペレットの散布では均等散布が難しく、接着力のばらつきが生じやすいことに比べて、舗装下地上への接着用敷設物の敷設であれば、均等敷設することは極めて容易であるため、アスファルトコンクリート舗装合材と舗装下地とを満遍なく、ほぼ均等の接着力をもって接着、一体化することができる。さらに、ペレットの飛散等の環境悪化も無いため、作業性に優れるといった利点もある。また、舗装下地上への接着用敷設物の敷設では、従来の熱可塑性樹脂シートの敷設で生じるような、敷設時の空気の巻き込み等の問題が生じないため、舗装下地(あるいは舗装下地上に形成したメンブレン防水層等の下地上層)に対して接着用敷設物を密着させることが容易であり、敷設作業の作業性を向上できる。しかも、接着用敷設物の通気性によって、防水塗膜やプライマー等に含まれる溶剤や舗装下地からの水分などの揮発したガスが接着用敷設物下に溜まることを防止できるため、この揮発ガスによって接着用敷設物が局所的に膨れるといった不都合を確実に防止でき、舗装下地に対するアスファルトコンクリート舗装合材の一体性が低下することがない。
さらに、接着用敷設物上に敷設したアスファルトコンクリート舗装合材のアスファルト分を接着用敷設物に浸透させることで、接着用敷設物とアスファルトコンクリート舗装合材とを強固に接着一体化できる構成であるため、例えば舗装下地や下地上層が、アスファルトコンクリート舗装合材のアスファルトに対する接着性の確保が難しい材質で形成されている場合(下地上層として防水塗膜等の合成樹脂層が形成されている場合など)でも、舗装下地あるいは舗装下地上に形成された下地上層に対して固定する接着用敷設物を介して、舗装下地や下地上層に対してアスファルトコンクリート舗装合材を容易に接着一体化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す断面模式図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す断面模式図である。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す断面模式図である。
【図4】本発明の第4の実施形態を示す断面模式図である。
【図5】本発明の第5の実施形態を示す断面模式図である。
【図6】本発明の第6の実施形態を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1…舗設下地、2…接着用敷設物、3…アスファルトコンクリート、4…下地プライマー、5…アスファルト剤、6…下地用プライマー、7…メンブレン層,防水塗膜、8…プライマー、9…アスファルト剤、A…アスファルト舗装構造体
Claims (11)
- アスファルトコンクリート舗装合材を敷設する舗装下地上に、布状または網状に形成されアスファルトコンクリート舗装合材のアスファルト分が浸透可能な接着用敷設物を敷設し、該接着用敷設物の上に加熱したアスファルトコンクリート舗装合材を敷設して、前記舗装下地と前記接着用敷設物と前記アスファルトコンクリート舗装合材とを接着一体化することを特徴とする舗装構造体の施工方法。
- 前記舗装下地が現場打ちコンクリートによって形成されるものであり、該舗装下地を形成するコンクリートの硬化前に、該コンクリートの上に前記接着用敷設物を敷設し、該コンクリートと該接着用敷設物とを接着一体化することを特徴とする請求項1記載の舗装構造体の施工方法。
- 前記舗装下地上に敷設した前記接着用敷設物を、プライマーまたは接着剤によって前記舗装下地に接着一体化することを特徴とする請求項1記載の舗装構造体の施工方法。
- 前記舗装下地上にメンブレン防水層を形成し、このメンブレン防水層上に前記接着用敷設物を敷設することを特徴とする請求項1記載の舗装構造体の施工方法。
- 前記メンブレン防水層上に敷設した前記接着用敷設物を、プライマーまたは接着剤によって前記メンブレン防水層に接着一体化することを特徴とする請求項4記載の舗装構造体の施工方法。
- 前記メンブレン防水層が防水塗膜であることを特徴とする請求項5記載の舗装構造体の施工方法。
- 前記防水塗膜の硬化前に、該防水塗膜の上に前記接着用敷設物を敷設し、該防水塗膜と該接着用敷設物とを接着一体化することを特徴とする請求項6記載の舗装構造体の施工方法。
- 前記接着用敷設物が熱可塑性樹脂で形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の舗装構造体の施工方法。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の舗装構造体の施工方法において、
前記接着用敷設物として予めアスファルト乳剤またはゴムアスファルト系接着剤を含浸処理したものを用いることを特徴とする舗装構造体の施工方法。 - 前記接着用敷設物を複数積層して用いることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の舗装構造体の施工方法。
- 請求項1ないし10のいずれかに記載の舗装構造体の施工方法によって構築されたことを特徴とするアスファルト舗装構造体。
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