JP2003310627A - 外科用巾着縫合装置及び外科用針 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 組織を大きく開くことなく、巾着縫合を配置
する。 【構成】 歯の各の頂部が列の方向と平行に走るこの中
の溝を有し、各列の溝の総ては列の歯の総てを通る糸引
きの針の移動用の実質的に真っすぐな通路をその底部に
おいて定めるように整列され、各溝の底部は、ジョーが
組織を横切って把持されたときに通路を強制通過させら
れる針が組織の次の隣接管壁を貫くことなく各歯の頂部
に接触しかつ重なっている組織の波状管壁だけを通って
走り得るに十分に歯の基部に近い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、管状組織の腸又はその
他の部分内に巾着縫合（ｐｕｒｓｅ ｓｔｒｉｎｇ ｓ
ｕｔｕｒｅ）を置く方法、及び迅速でかつ患者を完全に
開腹する必要なしにこの処置を実施できる装置に関す
る。

【０００２】

【従来技術及びその課題】管状組織に巾着縫合を置くた
めに、消化管の部分に手術することが必要な場合が時々
ある。これは、例えば腸の切断端を吻合術により再接合
するときに生ずる。逆吻合（ｉｎｖｅｒｔｅｄ ａｎａ
ｓｔｏｍｏｓｉｓ）において腸管の端部間の接触を維持
する機械的固定用連結を与えるために生物的に分解可能
な吻合リングが使用される。リングのバレルの周囲で腸
管の切断端の各をきちんと引っ張るために巾着縫合が使
用される。リングは、腸管の端部の漿膜と漿膜の安全な
並置を作り、癒合が生じ更にリングが小さな無害の断片
に分解し、身体から無くなるまで満足な開存を維持す
る。吻合リングは、腸管の切除及び吻合を意味する種々
の疾病、例えば癌、憩室疾患、及び結腸造瘻術の閉鎖の
処置に使用される。この処置の説明は、例えば、米国特
許第４４６７８０４号、第４５５２１４８号及び第４７
６６８９８号に見ることができる。

【０００３】管状組織に巾着縫合を置くには、一般に体
腔を完全に開くことが要求される。例えば、差し込まれ
た１個又は２個のカニューレを通じて体腔に接近するこ
とにより、かかる大きな切開なしにこれを行う方法があ
るならば、これは非常に望ましいことである。

【０００４】管状組織の腸又はその他の部分に巾着縫合
を迅速かつ効果的に置く方法及び装置を提供することが
本発明の主要な目的である。

【０００５】体腔を完全に開くことなく最小又は最小
限、侵入外科（ｉｎｖａｓｉｖｅ ｓｕｒｇｅｒｙ）と
して知られた技術を使用して管状組織に巾着縫合を置く
方法及び手段を提供することが本発明の別の目的であ
る。

【０００６】これら及びその他の目的は本発明の外科用
巾着縫合装置の使用により達成される。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の態様に従
って、縫合装置の主要構成は、少なくも約１８０°の平
面円弧内を揺動しかつ管状組織を両側から掴むように一
方の端部が旋回可能に一緒に連結された１対の細長いジ
ョーである。このジョーの各は、１列の隙間の空いた一
様な大きさの歯を持つ。２列が対向しかつ互いに食い違
いにされ、ジョーが閉じられたときに歯列が噛み合う。
このとき、２列の歯はその間で組織を波状に曲げる。組
織の管は潰されるので、組織の２個の管壁が各の歯の頂
部と重なる。各歯の頂部に歯列方向と平行に走る溝が切
り込まれる。各列のこれら溝の総ては整列し、歯の間の
隙間により分断され又は中断された実質的に真っすぐな
通路を溝底に定める。この通路により、縫合糸付きの針
は列の歯の総てを通って移動できる。分断された溝底
は、ジョーが組織を両側から掴んだ状態で針がこの通路
を通過するように強制されたとき、針が各歯の頂部と重
なりかつ接触している組織の波状の管壁を貫いて刺し移
動できるが組織の次の隣接管壁を貫くことを避けるに十
分に歯の基底部に近い。この方法で、針は、針が通過す
る歯と接触する組織の管壁だけに縫合用材料を通し、閉
鎖された管に縫うことはない。縫合糸の両端に取り付け
られた２個の針を、これが（各通路に１個の針で）通路
及び組織を完全に通過するように強制することにより、
管状組織の管壁の周囲の一連の縫合を作る。各針は縫合
の付近で折られて取り出され、次いで装置のジョーが開
かれ組織が解放される。次いで組織の良好な端部が吻合
リング又は類似物の上に置かれる。次に、糸がきちんと
引かれ、その端部が通常の巾着縫合の結紮方法で一緒に
結ばれる。

【０００８】針の通路は各歯の頂部に切り込まれた溝の
底にあるにで、ジョーが開かれたときは、縫合糸は歯に
妨げられず溝を通って滑る。好ましくは、各歯を通る溝
の断面は実質的に鍵穴の形である。溝の底では丸い断面
であり、この丸い部分から歯の頂部に幅の狭いスロット
部分が延びる。この好ましい実施例を使用したときは、
丸い部分の通過には十分に適した小さい直径であるがス
ロットに入るには大きすぎる直径を持った針が使用され
る。これにより、針を溝の底において希望の方向に保持
できると同時に、ジョーが開かれたときの小直径の糸の
解放が可能である。

【０００９】装置のジョーを少なくも約１８０°旋回し
開けるようにすることにより、この装置は、これを完全
開口状態で第１のカニューレを通じて身体内に挿入でき
る。次いで、後続側のジョーが縫合される管状組織の部
分に対してこれを横切って位置決めされる。第２のカニ
ューレを通して装置に接近し、先行側のジョーを閉じる
ように旋回させ、これにより２列の歯の間に組織を掴
む。ジョーを互いにきつく締めるために、新奇な掴み用
配列を患者の体外から操作できる。創傷外部で作業して
いる外科医は、拇指で針の後端を押すことにより縫合糸
付きの針を装置の２個の通路内に押し込むことができ
る。このために、後端は尖らすべきでなく、例えば９０
°曲げる。糸が露出するに十分な距離にジョーの旋回側
端部から針の先端が突き出すと、第２のカニューレを通
る鉗子により糸の端部を掴み、糸を針から離すように切
断する。次いで、糸の端部が組織に引き戻されないよう
に端部を保持しながら、針を装置から引き出す。この後
で、先行側ジョーを完全開口状態に旋回させ、第１のカ
ニューレを通して装置を引き抜くことができる。

【００１０】別の方法においては、糸の各端部は針の両
端の中間点においてその針に取り付けられ、各針は取付
け点の付近ではあるがこの点と針の後端との間にノッチ
を持つ。針のノッチは、針が針を破断させるに十分な曲
げ力を受けたときに針がノッチにおいて破断するに十分
な深さである。この実施例を使用して、糸が露出するよ
うに針の先端がジョーの旋回側端部から十分に突き出し
たとき、先端を第２のカニューレを通して鉗子で掴み、
曲げて破断させる。次に、針のシャンク部を装置から引
き出し、これに続いて糸を切断し、更に針先を第２のカ
ニューレを通して引き出す。この次序によれば、針が引
かれるときに不注意により糸の端部が装置を通して引き
戻されることが無くて好ましい。これは、針先が鉗子に
より掴まれる剛体であること、及び針先が歯の溝で捕捉
できる大きな輪郭を与えることによる。

【００１１】この新奇な縫合用装置の歯は、２列の方向
で計ったときに、その頂部よりも基部における方が広い
ことが好ましい。

【００１２】装置は、ジョーの旋回円弧を約１８１°と
１８７°の範囲の値に限定する停止手段を備えることが
好ましい。これは、装置が第１のカニューレを通って体
内に挿入されるときに先行側ジョーがジャックナイフ状
に閉じることに対する保安を支援する。

【００１３】本発明の装置は、ジョーが閉じられたとき
にジョーを互いに締め付けるカム手段、並びにジョーが
体内で管状組織の部分を両側から掴んだときに患者の体
外のある位置からカム手段を駆動する遠隔操作手段を備
えることもまた好ましい。更に、本装置は、ジョーがカ
ム手段の操作により互いに締め付けられた後、ジョーを
解放可能に一緒に固定する手段を有することが好まし
い。また、この固定用手段が患者の体外から操作できる
ことも好ましい。

【００１４】好ましいカム手段は、上方の第１のジョー
と一体でかつジョーの旋回点ではない方の端部又はその
付近に置かれた１対の傾斜面又は斜面を備えたものであ
る。かかる傾斜面は針の通路の各側にあるべきである。
この面の各はジョーに関して長さ方向に傾斜すべきであ
る。この面の傾斜の方向は、ジョーが閉じられたとき、
下方、第２のジョーに近い方の面の端部が上方、第１の
ジョーの旋回側ではない端部に近い方の面の端部でもあ
るようにすべきである。この目的はすぐに明らかにされ
るであろう。

【００１５】この好ましいカム手段は、手元側端部と末
端とを有する細長いハウジング又は主軸も有するであろ
う。ハウジングは、その末端において第２のジョーの旋
回点側ではない方の端部に取り付けられ、ここから長手
方向に延びる。ハウジングはこれを延びている２個のス
ロットを持つ。スロットは、ジョーが閉じられたときに
傾斜面と揃うように位置決めされる。各スロットに駆動
ロッドが取り付けられ、その一方の端部は組になった傾
斜面と当たる。駆動ロッドを押すために、操作用手段は
細長いハウジングの手元側端部に取り付けられたレバー
を備える。このレバー機構により、ロッドを傾斜面に対
して、交互に押し更にこれから引き離すことができる。
傾斜面のこの方向のため、ロッドが傾斜面に対して押さ
れたときは、これらはジョーを更にきつく閉じるように
カム作用する。レバー組立体は好ましくは手操作可能で
あり、かつロッドを傾斜面から離させようとする強制手
段（例えば、圧縮ばね又は類似物）を備える。

【００１６】細長いハウジングは、ジョーが閉じられた
ときに針の通路と一線に揃う１対の長手方向の内部導管
を備えることが好ましい。これら導管は針通路とほぼ同
じ直径とすべきである。また、糸がハウジングを通過で
きるように、２個の導管は、これをスロットによりその
全長に亙り一緒に連結すべきであり、スロットは歯を通
る溝のスロット部分とほぼ同じ幅を有することが好まし
い。

【００１７】本発明の別の態様によれば、装置の主要構
成は主軸；間に管状組織を掴む１対の相対運動できるジ
ョー、第１のジョーは主軸の第１の旋回中心軸の周りで
第２のジョーに関して実質的に１８０°旋回可能であ
り、各ジョーは１列の隙間を空けた一様な大きさの歯を
有し；及び第１のジョーを主軸に沿った挿入位置から第
１の歯列が第２の歯列と噛み合う第２の位置に実質的に
１８０°動かすための機構を備える。かかる装置に使用
により、２列の歯がその間の組織を波状に曲げる。組織
の管が潰されるため、組織の２個の管壁が各歯の頂部と
重なる。各歯は上述と同じ形状のものであり、従って、
針は、針が通過する歯と接触している組織の管壁のみを
通って縫合材料を通し、閉鎖管に縫うことはない。縫合
糸の両端に取り付けられた２個の針を、これが歯の各列
に形成された溝により形成された通路と組織とを（各通
路に１個の針で）完全に通過するように強制することに
より、管状組織の管壁の周囲の一連の縫合を作る。各針
は縫合の付近で切断され取り出され、次いで装置のジョ
ーが開かれ組織が解放される。次いで組織の良好な端部
が吻合リング又は類似物の上に置かれる。次に、糸がき
ちんと引かれ、その端部が通常の巾着縫合の結紮方法で
一緒に結ばれる。

【００１８】装置のジョーを開くように約１８０°相対
旋回させることにより、この装置は、患者を完全に開腹
することなく、装置の完全開口状態でカニューレを通じ
て身体内に挿入できる。第１のジョーが第１の旋回中心
軸の周りで挿入位置から第２のジョーに隣接した中間位
置に旋回される。次いで、第１及び第２のジョーが、第
１の旋回中心軸と直交する第２及び第３の旋回中心軸の
周りで旋回される。その後で、第１及び第２のジョーが
管状組織の部分に接しかつこれを横切って位置決めさ
れ、ジョーに十分な把握力が加えられ、組織の２個の管
壁が各歯の頂部に重なり、掴まれた組織を波状に曲げ
る。このとき、組織は、その第１の管壁が針通路内に入
るには十分であるが、第２の管壁に対してはそうでない
深さになるように歯と歯との空間内に強制される。次
に、生体分解可能な糸の両端に取り付けられた２本の針
が、各通路に１個の針で、通路及び組織を完通するよう
に強制され、これにより管状組織を取り巻く一連の縫い
目を作る。次いで、針が糸から外され身体から取り出さ
れ、これにより、管状組織内に巾着縫合を残し、きちん
と引かれ結ばれる。

【００１９】ジョーを互いにきつく締めるために、新奇
な掴み用配列を患者の体外から操作できることが好まし
い。創傷外部で作業している外科医は、鉗子の使用によ
り、糸の付けられた針を装置の２個の通路内に押し込む
ことができる。針の先端が糸の露出に十分な距離だけジ
ョーの端部から先に突き出すと、糸の端部を第２のカニ
ューレを通った鉗子で掴み、例えばこれを針から解放す
るように切断する。次いで、端部が組織に戻らないよう
に保持しながら、針を装置から引き抜く。この後、掴み
機構が緩められ、ジョーは完全開口状態に旋回し、第１
のカニューレを通して装置を引き抜くことができる。

【００２０】好ましい運動機構は、挿入位置と掴み位置
との間の中間位置及び挿入位置の間で第１のジョーを動
かす位置決め具、及び第１のジョーを掴み位置に動かす
ように１対のジョーに掴み力を加える掴み具を備える。

【００２１】好ましくは、位置決め具は、第１のジョー
を挿入位置と中間位置との間の第１の旋回中心軸まわり
に押し引きするための患者の体外から操作可能のケーブ
ルを備える。

【００２２】第１のジョーが支持梁に連結され、掴み具
はジョーの対に掴み力を発生させるように主軸及び支持
梁に沿って摺動可能な管を備えることが好ましい。

【００２３】掴み具が、主軸に沿って管を選択的に押し
引きするための、主軸の手元側端部に取り付けられかつ
患者の体外で操作できるレバー組立体を更に備えること
も好ましい。

【００２４】好ましくは、外科用縫合装置は、掴み具に
よりジョーが互いにきつく押し合わせられた後にジョー
を解放可能に固定する器具も備え、この固定具もまたジ
ョーが体内の管状組織に部分を両側から掴んだときに、
患者の体外から操作可能である。

【００２５】第１及び第２のジョーが、それぞれ第１の
旋回中心軸と直交する第２及び第３の旋回中心軸まわり
に回転可能であることが好ましい。

【００２６】本発明のなお別の態様によれば、縫合装置
は、細長い軸；間に管状組織を掴むための１対の相互運
動可能なジョー、第１のジョーは第１の旋回中心軸の周
りで第２のジョーに関して実質的に旋回可能であり、更
に各ジョーは１列の隙間を空けた一様な大きさの歯を有
し；１対のジョーを第１の旋回中心軸と直交する第２の
旋回中心軸まわりで関節接合させる機構；及び管状組織
を間に掴むようにジョーを一緒に閉鎖させる機構を備え
る。管状組織は第１のジョーの歯の列と第２のジョーの
歯の列との噛み合いにより掴まれ、この間の組織は波状
に曲げられ、管は潰され各歯の頂部と重なる組織の２個
の管壁を形成する。各歯は上述と同じ形状のものであ
り、従って、針は、針が通過する歯と接触する組織の管
壁のみを通って縫合用材料を通し、閉鎖管に縫うことは
ない。縫合糸の両端に取り付けられた２個の針を、これ
が歯の各列に形成された溝により組織内に形成された通
路を完通するように強制することにより、管状組織の管
壁を囲む一連の縫合を作る。各針は縫合の付近で切断さ
れ、針の頭部と縫合糸とはカニューレを経て身体から取
り出され、一方、針の軸は通路を通って引き戻される。
次いで、装置のジョーが開かれ組織が解放される。ジョ
ーが再び閉じられ体内の別のカニューレを経て縫合装置
を引き抜く。縫合糸の端部が針の頭部から切断され、吻
合リング又は類似物の周りできちんと引かれ、巾着縫合
を形成するように結紮される。

【００２７】好ましい作動用機構は、第１及び第２のジ
ョーを第１の旋回中心軸の周りで旋回させる駆動用ロッ
ドを備える。駆動用ロッドは、一方のジョーを第１の旋
回中心軸と平行な第３の旋回中心軸の周りで上下させる
ように空転レバーを経てこのジョーに連結されることが
好ましい。第１及び第３の旋回中心軸は、空転レバーの
掴み力を増加させるように互いに食い違いにされること
が好ましい。

【００２８】関節接合機構は、ジョーの一方と当たり１
対のジョーを第２の旋回中心軸の周りで旋回させるカム
ロッドを備えることが好ましい。この関節接合機構もま
たジョーの関節運動を制限する停止手段を備える。

【００２９】本発明のこれら及びその他の目的、態様、
特徴、及び利点は、図面に関連して得られる好ましい実
施例の以下の詳細な説明より明らかとなるであろう。

【００３０】

【実施例】図１ないし１２は、本発明の第１の実施例に
よる巾着縫合装置を示す。

【００３１】図１は本発明の巾着縫合装置の主要部分を
示す。この装置は、主軸１０、下方ジョー１２及び相補
的な上方ジョー１４を備える。下方ジョー１２の手元側
端部は主軸１０の端末に固定される。ジョー１２、１４
は、巾着縫合の置かれる点で管状組織を掴むように設計
される。ヒンジ２０が下方ジョー１２の端末に固定さ
れ、ヒンジ２２が上方ジョー１４のヒンジ端に固定され
る。２個の比較的短い旋回ピン２４がヒンジ２０、２２
の相補的に置かれた穴の中に差し込まれ、旋回中心軸を
確立する。取り付けられたとき、ピン２４は、旋回中心
軸の方向に沿って間隔を空けられ、ピン間に空間を形成
する。上方ジョーと下方ジョーとは、開口位置と閉鎖位
置との間で旋回中心軸まわりの平面円弧内で相対運動で
きる。開口位置においては、上方ジョーは、閉鎖位置か
らほぼ１８１°から１８７°、より好ましくは１８４°
旋回される。上方ジョー１４は、ヒンジ２０、２２上に
設けられた停止具により更に旋回することが防止され
る。

【００３２】下方ジョー１２には、一様な大きさと間隔
の１列の間隔を空けた歯１６が設けられる。上方ジョー
１４にも、間隔を空けられた相補的な歯１８が設けられ
る。歯１８と歯１６とは食い違いにされ、上方ジョーが
旋回中心軸の周りで加工ジョーと向かい合う閉鎖位置に
旋回したとき、歯１６は歯１８と噛み合う（図６、７及
び８参照）。下方ジョー１２の各歯１６の頂部に溝２６
が形成される。各溝２６は歯列の方向と平行に走る。断
面においては、各溝は、底部、即ち溝が形成された歯の
頂部から最も離れた位置に丸い部分、及び丸い部分から
延びている長方形部分又はスロットを含んだ鍵穴状に形
成される。歯１６の列の溝の丸い部分が実質的に真っす
ぐな通路を形成するように整列され、この通路は歯の間
の隙間により分割され又は分断される。上方ジョーの歯
１８には、平行な通路を形成するように同様な溝２７が
形成される。

【００３３】主軸１０の周囲の１２時の位置に形成され
た長手方向スロット１０ａ内に、針案内２６ａと２６ｂ
とが置かれる。各針案内は細長い部材として押し出しプ
ラスチックで形成される。針案内２６ａの内面に長手方
向の溝２８ａが形成される。断面においては、溝２８ａ
は直線部分が跨ぐ２個の間隔を空けた半円形部分を備え
る。針案内２６ｂは同様な溝２８ｂと共に案内２６ａの
鏡像形に形成される。溝２８ａ、２８ｂが互いに隣接し
て置かれるように、主軸１０の長手方向スロット内で案
内２６ａ、２６ｂが互いに接する。この方法で、溝２８
ａ、２８ｂが組み合って、直線溝により連結された２個
の円形導管を有する「ドッグボーン」形（メガネ形）の
通路３１（図９）を形成する。或いは、針案内をドッグ
ボーン形通路を有する一体型押し出し片として形成する
ことができる。

【００３４】針案内２６ａ、２６ｂは、案内の下半部が
下方ジョー１２と接し、又はその近傍で整列して主軸１
０に取り付けられる。通路３１の下方導管は下方ジョー
１２の歯の溝２６により定められる通路と揃えられる。
上方ジョー１４が閉鎖位置にあるときは、案内２６ａ、
２６ｂの上半部は上方ジョーと揃えられ、通路３１の上
方導管は上方ジョーの歯の溝２７により定められる通路
と揃えられる。通路３１の上方導管と下方導管との間の
間隔は、ジョーの溝２６と２７とが完全に閉じられたと
きのこれらの間の間隔よりもわずかに大きくして、ジョ
ーが完全閉鎖に僅かに及ばないときに針が溝に確実に入
るようにする。

【００３５】２個の傾斜した平面のカム斜面を有する分
岐したカム部材３０が、上方ジョー１４のヒンジ側端部
と反対側の端部に設けられる。各カム斜面３０ａは各押
し棒３２の掴み端部３２ａと組み合うことができる。押
し棒３２が作動されカム部材３０の方に強制されると、
合成力は上方ジョー１４を下方ジョー１２と更に噛み合
わせる位置に下方に強制する。押し棒３２は、主軸１０
の周囲の３時の位置と９時の位置に設けられた細長いス
ロット１０ｂ内を摺動できる。

【００３６】針案内２６ａ、２６ｂ及び押し棒３２がそ
れぞれのスロット内に置かれた後で、金属板製のばねバ
ンド３４が主軸１０の周囲に嵌められ、案内と押し棒を
保持する。ばねバンドの隙間は、隙間の角度位置と無関
係に、いかなる部材も滑り出せないように十分に小さ
い。

【００３７】本発明は上述の形状には限定されない。上
述の要素の多くの組合せを単一に形成することが可能で
ある。例えば、上方ジョー１４、ヒンジ２２、及びカム
部材３０を一体に形成でき、主軸１０、下方ジョー１２
及びヒンジ２０、又は下方ジョー１２及びヒンジ２０、
等も同様である。

【００３８】図２及び３に示されるように、押し棒３２
は回転可能なレバー３８により駆動される。このレバー
はハンドル３６に関して回転可能であり、更にハンドル
３６を通って設けられたピン４０の周りで旋回可能であ
る。このハンドルは握り部分３６ａと連結部分３６ｂと
を備える。連結部分には穴が形成され、この中に主軸１
０が置かれる。ハンドル３６を主軸１０に把持結合で固
定するようにねじ４４が締められる。レバー３８は、握
り部分３８ａ及び握り部分３８ａに関して実質的に直角
に曲げられた分岐したＵ字形部分３８ｂを備える。Ｕ字
形部分３８ｂの各アームはその内側にスロットを有し、
押し棒３２の手元側端部の切欠き３２ｂと組み合う。図
４及び５参照。この切欠きはスロットの長さに沿って自
由に動くことができ、その運動の全範囲を通じてＵ字形
部分３８ｂの角度方向の変化を受け入れる。

【００３９】レバー３８は、ばね４２によりハンドル３
６から離れるように強制され、これにより通常は押し棒
３２を後退させる。この配列により、使用者は、片手で
ハンドル３６を掴みかつレバー３８を絞ることができ
る。従って、使用者は、片手で下方ジョー１２と上方ジ
ョー１４との間の掴み圧力を効果的に制御できる。

【００４０】ラチェット歯を有する強固な固定用機構４
６がハンドル３６の手元側端部に設けられる。相補的な
ラチェット歯を有する回転可能な固定用機構４８がレバ
ー３８の手元側端部に設けられる。レバー３８がハンド
ル３６に向かって絞られると、回転可能な固定用機構４
８の歯は強固な固定用機構４８の歯と順に噛み合ってい
き、これによりハンドル３６とレバー３８の相対位置を
固定する。回転可能な固定用機構４８は、押し棒３２を
後退させるために、強固な固定用機構４６との噛み合い
を外して回転されハンドルとレバーとの固定を解除す
る。

【００４１】１本の生体吸収可能な単繊維縫合糸５８の
各端部が針５６の先端５６ａに取り付けられる。針の直
径は、針案内２６ａ、２６ｂの円形導管及び歯の円形通
路を通って摺動するに十分に細いが、円形導管及び通路
からの滑り出しを防ぐに十分な太さである。先端５６ａ
を折り取れるように、針５６の先端と主体部とが出会う
位置にノッチ５６ｃを設けることができる。各針の手元
側端部５６ｂは押し又は引く力を受けるために直角に曲
げられる。縫合糸５８は、歯の溝２６、２７のスロット
の幅、及びドッグボーン通路３０の真っすぐな溝の幅よ
り小さい直径のものである。

【００４２】本発明の縫合装置を使用した管状組織の巾
着縫合の形成方法が、以下詳細に説明されるであろう。

【００４３】最初に、本発明の巾着縫合装置が、例えば
腹壁５２に挿入された小さなカニューレ５４を経て挿入
される。カニューレ５４の直径は、例えば１２mm台であ
り、かつ下方ジョー１２と上方ジョー１４とが開かれた
位置にあるときにこれを内部に挿入し得るような大きさ
にされる。しかし、ジョーが閉じた位置にあるときは、
カニューレはジョーが入り得るのには小さすぎる。ま
た、カニューレは、主軸１０がハンドル３６とのその連
結部まで入り得るに十分な大きさである。従って、本装
置の挿入には身体の小さな開口を必要とするだけであ
る。

【００４４】図２を参照すれば、ジョーが開口位置にあ
る状態の縫合装置の端末が、縫合される管状組織の付近
でカニューレ５４内に挿入される。開口位置において
は、先行の上方ジョー１４は、下方ジョー１２に対して
ある角度、例えば１８４°にある。従って、カム部材３
０のある上方ジョー１４は、ある角度で挿入される。こ
れにより、カム部材３０をより高く形成でき、これが押
し棒３２のカム端部に従動するより大きな輪郭を与え
る。また、ジョーはこの角度において運動を限定され停
止されるので、この角度での挿入の際は不注意でジャッ
クナイフのように閉鎖位置に戻ることが少ない。

【００４５】縫合装置の末端が完全に挿入されると、図
６に示されるように、下方ジョー１２を下方位置として
縫合すべき管状組織を横切る。第２のカニューレ（図示
せず）を通して鉗子５７が挿入され、上方ジョー１４を
掴み、管状組織がジョーの間にある状態で上方ジョーを
閉鎖位置に回転させる。次いで、鉗子５７を使用して、
図７に示されるように、カム部材３０のカム斜面３０ａ
が、押し棒３２のカム面３２ａと揃うようにカム部材３
０を下方に押す。揃ったときに、レバー３８が絞られ、
押し棒３２を前進させる。押し棒が前進すると、カム面
３２ａがカム斜面３０ａと接触し、図８に示されるよう
にカム部材３０と上方ジョー１４とを下方に強制する。
こうして、管状組織５０は希望の大きさの力で上方ジョ
ーと下方ジョーとの間に掴まれ、これが固定用機構４
６、４８の歯の相互組合いにより維持される。

【００４６】ジョーが希望の大きさの力で管状組織を掴
むと、対向した歯列１６、１８がこれらの間の組織５０
を波状に曲げる。図８に示されるように、組織５０の管
は潰され、各歯の頂部に組織の２個の管壁が重なる。

【００４７】このとき、縫合糸５８の端部に各が取り付
けられた針５６が、針案内２６ａ、２６ｂにより定めら
れた通路３０の円形導管内に差し込まれ、ジョー１２、
１４の歯１６、１８に形成された溝２６、２７により定
められた通路を通る。各針がジョーの歯から歯に移動す
ると、針は他方のジョーと接触している組織の管壁を貫
くことなしに、このジョーと接触している組織の管壁を
刺す。この方法で、各針は、管を閉鎖するように縫うこ
となく組織の２個の管壁の一方に縫合糸を通す。縫合糸
の端部が導管及び通路を通って進むとき、縫合糸を連結
している輪は、ドッグボーン形通路３０のスロットを自
由に通過できる。針がヒンジピン２４の間を通過するの
で、ピン２４が針の前進を妨害することはない。縫合糸
５８の端部を伴った各針の先端５６ａがジョーの端末か
ら出た後で、管状組織の管壁にこれを囲んだ一連の縫い
目が形成されるであろう。

【００４８】もし針５６に破断しうるノッチ５６ｃが設
けられているならば、第２のカニューレを通じて操作さ
れる鉗子により各針の端部を折り取ることができる。次
いで、針の残りの部分が通路を通して引き戻される。組
織は、これを閉鎖されたジョーの一方の側、又は他方の
側で切断することができる。その後、固定用機構が解放
され、上方ジョーが開口位置に旋回され、第１のカニュ
ーレ５４を通して縫合装置が引き抜かれる。ジョーが管
状組織から取り去られると、縫い目は、歯に形成された
溝２６、２７のスロットを通って自由に通り抜けられ
る。その後で、管状組織の端部が吻合リング又は類似物
の上に置かれ、次いでリング上で巾着縫合にきちんと引
かれ、通常の方法で結ばれる。

【００４９】針が破断可能でないときは、まず、縫合糸
の各端部に輪を作るように針が少し引かれる。これらの
輪が切られ、縫合糸の自由端は鉗子により掴まれる。次
に、針全体が引かれ、縫合装置は上と同じ方法で取り出
される。

【００５０】図１３ないし２６は、本発明の第２の実施
例による巾着縫合装置を示す。

【００５１】図１３は本発明の巾着縫合装置の主要部分
を示す。この装置は、主軸１１０、第１のジョー１１２
及び相補的な第２のジョー１１４を備える。第１のジョ
ー１１２は支持梁１２０を経て主軸１１０に連結され、
図１４に示されるように、これは主軸の旋回中心軸１２
８の周りで回転可能である。第２のジョー１１４は支持
梁１１０ｂに固定され、図１４に示されるように、この
支持梁は主軸１１０の端末に一体に形成される。ジョー
１１２、１１４は、巾着縫合が置かれる点において管状
組織を掴むように設計される。

【００５２】図１４に明らかなように、第１のジョー１
１２には、一様な大きさ及び間隔の１列の間隔を空けた
歯１１６が設けられる。第２のジョー１１４にも、間隔
を空けられた相補的な歯１１８の列が設けられる。歯１
１８と歯１１６とは食い違いにされ、第１のジョーが旋
回中心軸１２８の周りで第２のジョーと向かい合う掴み
位置（閉鎖位置）に旋回されたとき、歯１１６は歯１１
８と噛み合う。第１のジョー１１２の各歯１１６の頂部
に溝１１６ａが形成される。各溝１１６ａは歯列の方向
と平行に走る。断面において、各溝は、その底部、即ち
溝が形成された歯の頂部から最も離れた位置の丸い部
分、及び丸い部分から歯の頂部に延びている長方形部分
又はスロットを含んだ鍵穴状に形成される。歯１１６の
列の溝の丸い部分は実質的に真っすぐな通路を形成する
ように整列され、この通路は歯の間の隙間により分割さ
れ又は分断される。第２のジョーの歯１１８には、平行
な通路を形成するように、同様な溝１１８ａが形成され
る。

【００５３】図１３に示されるように、１本の生体吸収
可能な単繊維縫合糸１６２の各端部が針１６０の先端１
６０ａに取り付けられる。針の直径は、歯の溝１１６
ａ、１１８ａの円形通路を通って摺動するに十分に細い
が、通路からの滑り出しを防ぐに十分な太さである。先
端１６０ａを折り取れるように、針１６０の先端と主体
部とが出会う位置にノッチ１６０ｃを設けることができ
る。縫合糸１６２は、歯の溝１１６ａ、１１８ａのスロ
ットの幅より小さい直径のものである。

【００５４】図１４ないし１９を参照すれば、各ジョー
は、それぞれ支持梁１２０、１１０ｂにピン１１３ａ、
１１５ｂ周りで回転可能に取り付けられ、かつジョーを
各梁の平らな部分１２０ａ、１１０ａにジョーを押し付
けるヘヤーピン状の板ばね１１３、１１５により、支持
梁に押し付けられ保持される。

【００５５】図１３においては、ジョーは、閉鎖位置
（掴み位置）において示される。ジョーは、ジョー支持
梁１１０ｂ、１２０上に乗っているスリーブ１３０の作
用により押され閉鎖される。スリーブ１３０は摺動管で
あり、２個のジョー支持梁１１０ｂ、１２０間でカム作
用を生じてジョー１１２、１１４を一緒に絞る位置へ、
軸１１０に沿って端末方向に動くことができる。或い
は、ジョーと梁との組立体が後退したときに、隠れてい
た部分１１０ｃを露出させるように手元側に軸に沿って
動き得る。スリーブの端部付近の広げられたフランジ領
域１３０ａは、スリーブの手元側端部の一体部品として
内側に固定された気密ダイヤフラム（図示せず）を備え
る。プッシャー１３６のフォーク状の端部１３６ａと組
み合うように、スリーブのフランジ領域に溝１３０ｂが
設けられる。溝１３０ｂとプッシャー１３６のフォーク
状端部１３６ａとの間には十分な隙間があり、従ってプ
ッシャーは、ピン１４６において旋回側端部を軸１１０
に向け又はこれから離すように、フォークを溝の中で拘
束することなしに合理的な距離を運動させることができ
る。上述のダイヤフラムは軸１１０に対する気密を提供
する。縫合装置が挿入されるカニューレにも、気密具と
してスリーブ１３０を払拭するダイヤフラムを設けるべ
きである。これは縫合手術中の加圧された腹部からの漏
洩を防止する。

【００５６】再び図１３を参照すれば、ハンドル１３２
は、例えばピン１４４又は把持具により主軸１１０の手
元側端部に固定される。レバー１３４がピン１４２によ
りハンドルに旋回可能に取り付けられる。レバー１３４
は、ピン１４６によりプッシャー１３６に連結され、レ
バーが静止ハンドル１３２の限定停止具、即ちハンドル
取付け用ピン１４４に達するまでばね１４０により強制
され開かれ、これにより通常はプッシャー１３６を経て
管１３０を後退させている。この配列により、使用者は
片手でハンドル１３２を掴みレバー１３４を絞ることが
できる。従って、使用者は、片手で第１のジョー１１２
と第２のジョー１１４との間の掴み圧力を効果的に制御
できる。

【００５７】ラチェット歯を有する強固な固定用機構１
３２ａがハンドル１３２の手元側端部に設けられる。相
補的なラチェット歯を有する回転可能な固定用機構１３
８がレバー１３４の手元側端部に設けられる。レバー１
３４がハンドル１３２に向かって絞られると、回転可能
な固定用機構１３８の歯は、強固な固定用機構１３２ａ
の歯と順に噛み合っていき、これによりハンドル１３２
とレバー１３４の相対位置を固定する。プッシャー１３
６及び管１３０を後退させるためには、回転可能な固定
用機構１３８が強固な固定用機構１３２ａとの組み合い
を外して回転され、ハンドルとレバーとの固定を解除す
る。

【００５８】フォーク状のプッシャー１３６がレバー１
３４の頂部に旋回可能に取り付けられ、ハンドル１３２
に向かうレバーの絞りが、スリーブ１３０をジョー支持
梁１１０ｂ、１２０上の前述のカム作用位置に駆動す
る。プッシャーのフォーク状端部１３６ａはスリーブ１
３０の手元側端部の溝１３０ｂ内に適合し、従ってスリ
ーブはレバー１１２の運動に指示されたいずれの方向に
も駆動される。プッシャーのフォーク状端部１３６ａ
は、スリーブ１３０の端部の溝１３０ｂとの組合いから
外れて上方に旋回でき、スリーブは、図１４に示された
ように、ジョーを収納するに要する長さの距離を工具の
手元側端部に向かって動くことができる。

【００５９】頑丈なプッシュプル棒１４８が軸１１０の
中央を通って伸びる。プッシュプル棒１４８はその手元
側端部にノブ１５０を有し、これにより使用者はこれを
作動させることができる。プッシュプル棒は、図２０に
特に示されるような軸の内側のケーブル１４８ａに連結
される。このケーブルの目的は、支持梁１２０をこの梁
が支持するジョー１１２と共に回転させることであり、
この回転により支持梁はスリーブ１３０と作用する中間
部分に位置決めされ、更に巾着縫合術後にスリーブ１３
０が入れ子部分１１０ｃを塞がないように十分に後退さ
せられたとき、前記回転がこの組立体を軸１１０の入れ
子部分１１０ｃ内に後退させる。

【００６０】図１４において、旋回可能の支持梁１２０
及びこれが支持するジョー１１２は、ピン１２８の周り
を軸１１０の入れ子部分１１０ｃ内に旋回させられてい
る。ジョーは、カニューレ（図示せず）を通って出入す
るときはこの位置に留められる。スリーブ１３０は、図
示のようにジョー１１２が入ったときのその最も後退し
た（手元側）位置において示される。強度のため、及び
使用されるカニューレの細い内径に対してジョーに要求
される大きさのため、スリーブ１３０は、ジョー１１２
の上方に適合するようには設計されないが、カニューレ
の通過には適するように設計される。最末端のジョー１
１４は、主軸１１０の部分である非回転支持梁１１０ｂ
の梁の端部にある。この状態においては、ジョー及びそ
の支持梁は比較的小直径のカニューレを通って挿入でき
る。最手元側のジョー１１２（カニューレを通過する最
後のジョー）がカニューレを通過し終わると、以下更に
説明されるようにケーブル１４８ａを進めるようにノブ
１５０を押すことにより、このジョーはその支持梁１２
０と共に旋回して凹所又は入れ子部分１１０ｃから出て
ピン１２８の周りで旋回する。ピン１２８は軸１１０と
支持梁１２０とを通る横断方向の中心軸を有し、従って
ジョー１１２が回転させられる。この回転は、支持梁と
ジョー１１２とが他方のジョー１１４の付近にきてこれ
と接触するまで、又はこれに対して閉じるまで続く。

【００６１】再び図１５、１６、１７及び１８を参照す
れば、軸１１０は、手元側端部の円柱状本体、端末のジ
ョー支持梁１１０ｂ、及び凹所１１０ｃのある入れ子部
分を囲んだ一体部材であり、更にこの凹所はジョー１１
２と支持梁１２０とが装置の想像中心線上で十分に後退
し入れ子となりうる長さを有する中間部であり、従って
組立体が小直径カニューレの通過に適合できることに注
意すべきである。更に、凹所１１０ｃは軸１１０を完全
に通過して切り取られ、従って行き止まりのポケット部
が形成されず、このため、この入れ子部分には物質が停
滞せず、カニューレを通じての装置の取り出しの前にジ
ョー／梁の組立体のこの入れ子部分内への旋回を妨げな
いことにも注意すべきである。凹所１１０ｃの殻１１０
ｄは、ジョー１１２が凹所１１０ｃ内に後退したときの
このジョーのための停止部として作用する。これによ
り、ジョーは最小の全体寸法で定位置に確実に収められ
る。凹所１１０ｃの部分に沿った軸１１０の外面は、こ
れらの図面では便宜上平坦で示したが、実際は、要求さ
れるように切取り部分１１０ｃ及び１１０ｄにより中断
された旋回ピン１２８までの同一円筒状軸の延長部とす
ることができる。

【００６２】図１９を参照すれば、ジョー１１２、１１
４を支持梁１１０ｂ、１２０に押し付けて保持している
ヘヤーピン状ばね１１３、１１５が示される。このヘヤ
ーピン状ばねは、リベット１１３ｂ、１１５ｂによりそ
れぞれのジョーに永久固定される。ヘヤーピン状ばね
は、もし拘束されていなければ図示されたものより更に
閉じた位置に戻ることが通常であるように形成され、こ
の方法で、これらのばねは常に支持梁に対してばねによ
る強制力を与える。旋回ピン１１３ａ、１１５ａはそれ
ぞれのジョーに永久固定されかつ十分に突き出し、従っ
て、更にジョーがその支持梁に関して回転したとき、回
り止の移動は克服され、かつ支持梁がピン端部から滑り
出す危険がない。各ヘヤーピン状ばねは、その旋回ピン
の周りに隙間のある穴を使用するがその位置の確立には
ピンを使わない。従って、各ヘヤーピン状ばねは、旋回
ピンの端部を完全に離れて撓むことができ、支持梁に力
を加え続ける。旋回ピン１１３ａ及び１１５ａは、組立
体のその他の部分と共にカニューレの通過にちょうど適
合する合理的な長さに限定される。

【００６３】図１８に見られるように、各ジョーの下側
は角度の付けられた壁１１２ｂ，１１４ｂを有し、これ
らは一線の回り止溝を描く。挿入中、各支持梁はヘヤー
ピン状ばねの力により回り止溝の中に保持されるので、
ジョーはそれぞれの支持梁と平行に置かれる。ジョーを
作動位置に動かすために、各ジョーに外力を加え回り止
力を克服しかつジョーをそれぞれの支持梁に関してある
角度で回転させる。このとき、ばね力は各ジョーの下側
の平らな隆起を支持梁の平面１１０ａ、１２０ａに対し
て同一面に保持するであろう。

【００６４】さて、図２０を参照すれば、回転可能な支
持梁１２０に取り付けられたピン１２０ｃに取り付けら
れた可撓性部材としてケーブル１４８ａが示される。こ
のピン１２０ｃは、ケーブルによりピン１２０に対して
加えられる押し又は引きの作用が支持梁１２０をジョー
１１２と共に旋回ピン１２８の周りで回転させるよう
に、旋回ピン１２８に関して位置決めされる。この方法
で、梁及びジョーの組立体を、軸１１０を入れ子部分に
出入させるために遠隔的に旋回させることができる。ケ
ーブル１４８ａは、これがプッシュプル棒１４８と結合
するまで軸に沿い、又は軸を通って移動する。ケーブル
を、これに加えられた軸方向の力に応答しかつ適正に撓
むように、ケーブルを座屈しないように保持しかつピン
１２０への適正な方向の力を与えさせるために、計画的
に位置決めされた拘束具が必要である。この拘束部は、
典型的には、ジョー入れ子凹所１１０ｃの底部において
軸１１０を架橋するブリッジ１１０ｅ、１１０ｆの形式
である。

【００６５】本発明の縫合装置を使用した巾着縫合の形
成手順が以下詳細に説明されるであろう。

【００６６】最初に、本発明の巾着縫合装置が、例えば
腹壁に挿入された小さなカニューレを経て挿入される。
カニューレ（図示せず）の直径は、例えば１０mm台であ
り、かつ縫合装置が（開かれた）挿入位置にあるときに
第１のジョー１１２と第２のジョー１１４とを内部に挿
入し得るような大きさにされる。しかし、ジョーが（閉
じた）掴み位置にあるときは、カニューレはジョーが入
り得るのには小さすぎる。また、カニューレは、スリー
ブ１３０を含んだ主軸１１０が拡大フランジ部分１３０
ａまで入り得るに十分な大きさである。従って、本装置
の挿入には身体の小さな開口を必要とするだけである。

【００６７】ジョーが開口位置にある状態の縫合装置の
端末が、縫合される管状組織の付近でカニューレ内に挿
入される。開口位置においては先行のジョー１１４は、
ジョー１１２に対してある角度、実質的に１８０°にあ
る。

【００６８】工具がカニューレを通して十分に挿入さ
れ、最も手元側のジョー１１２（カニューレを通過する
最後のもの）がカニューレを通り抜けると、手術者によ
りノブ１５０が押され、これにより、梁１２０及びジョ
ー１１２の組立体は、図２１に示されたように、その最
も手元側位置（挿入位置）から他方のジョー１１４に向
かい端末寄り位置（中間位置）に回転させられる。組立
体は、軸１１０と支持梁１２０とを通る横断方向中心軸
を有するピン１２８の周りを旋回する。

【００６９】次に、図２２を参照すれば、ジョー１１２
と１１４とは、プローブの鉗子（図示せず）のような適
宜のその他の別に導入された工具の使用により掴まれ、
梁１１０ｂ、１２０を中央に維持している角度付きの縁
を越え、ばねで押さえられた回り止位置から外れて側方
外向きにひねられる。両方のジョーは同じ方向及び角度
にひねられる。この段階では、ヘヤーピン状ばねにより
与えられる力により、支持梁端部１１０ａ及び１２０ａ
の端部の角度付きの平面と、各ジョーの２個の背後の最
も隆起した頂部により現される平面とが押し付けられ保
持される。

【００７０】図２３、２４、２５及び２６を参照すれ
ば、各が軸１１０に対してある角度、典型的には４５°
にひねられたジョー１１２、１１４は、完全に掴むため
の機能的な位置又は準備位置にある。

【００７１】工具は、ジョー１１２、１１４が縫合すべ
き組織（図示せず）上に希望のように置かれるようにひ
ねられ、位置決めされる。次いで、軸１１０上でスリー
ブ１３０が手で滑り降ろされ、これが支持梁１１０ｂ、
１２０上に達するまで滑り続ける。スリーブは、その最
手元側端部を軸上におき、かつその末端を予め入れ子に
されたジョー１１２がちょうど明らかにされた状態で予
め位置決めされる。スリーブは、手で押してこの位置に
動かされるとき、２個の気密のゴムダイアフラムの摩擦
だけを克服しなければならない。ダイアフラムの一方は
スリーブを軸に対して封鎖し、もう一つはカニューレを
軸に対して封鎖する。次に、レバー１３４がプッシャー
１３６の旋回により定位置に組み合わせられ、プッシャ
ー１３６のフォーク状端部１３６ａがスリーブ１３０の
溝１３０ｂと組み合う。

【００７２】ここで、巾着縫合用掴みジョーによる組織
の最終閉鎖の進行が準備される。レバー１３４がハンド
ル１３２に関して絞られ、フォーク状のプッシャー１３
６が所望の力でスリーブ１３０を押す。固定用機構１３
２ａ、１３８の歯が噛み合い、レバーを所望の位置及び
掴み圧力に保持する。ジョーのピン１１３ａ、１１５ａ
による支持梁の旋回取り付けがピンの周囲の僅かな量の
隙間を許し、従ってジョーは、組織の不規則な形の潰れ
の上を絞るとき自己水準化をする。

【００７３】掴み位置に接近するとジョーの下側を支持
している支持梁１１０ｂ、１２０の平坦部１１０ａ、１
２０ａの面が平行になるので、ジョーは互いに面と面と
が平らな状態に達するであろう。ジョーが、梁の回り止
作用を解除するに十分に少なくも約３０°ひねられ又は
角度を付けられる限り、梁回り止作用がその他の極限の
ひねりにおいて達せられるまでは、ジョーが適宜の別の
角度に回転された場合でも、上述の類推が生ずるであろ
うということに注意すべきである。これは、ジョーの下
側が梁の平坦部に乗るようにジョーが十分にひねられた
後に、これらはほぼ１２０°の相補的位置に達するまで
のどの角度においても効果的に機能することができると
いうことを意味する。ジョーがひねられて、梁／溝の回
り止システムを外し、かつそれらの下側が梁の角度付き
平坦部の上に乗るまで、ジョーは互いに平坦部を閉じら
れないことに注意すべきである。

【００７４】ジョーが所望の大きさの力で管状組織を掴
むと、歯１１６、１１８の対向した列がこれらの間の組
織を波状に曲げる。組織の管が潰されるので、組織の２
個の管厚が各歯の上に重なる。

【００７５】巾着縫合装置が組織の所望部位に置かれ又
は把持されたとき、それぞれが縫合糸１６２の端部に取
り付けられた針１６０が、ジョー１１２、１１４の歯１
１６、１１８に形成された溝１１６ａ、１１８ａにより
定められた通路内に差し込まれる。各針は、一方のジョ
ーの歯から歯へと移動してこの壁と接触している組織の
管壁を刺し、他方のジョーと接触する組織の管壁を貫く
ことはない。この方法で、各針は、組織の２個の管壁の
一方の管壁に縫合糸を通し、管を閉じるように縫うこと
はしない。両方の針を同時に刺すことは必要でない。縫
合糸１６２の端部を有する各針の先端１６０ａがジョー
の端末から現れた後に、一連の囲んだ縫い目が管状組織
の管壁に形成されるであろう。

【００７６】もし針１６０に破断しうるノッチ１６０ｃ
が設けられているならば、例えば、第２のカニューレを
通じて操作される鉗子により各針の端部１６０ａを折り
取ることができる。次いで、針の残りの部分が通路を通
して引き戻される。組織は、閉鎖されたジョーの一方又
は他方の上でこれを切断できる。

【００７７】針が破断可能でないときは、まず、縫合糸
の各端部に輪を作るように針が少し引かれる。これらの
輪は切られ、縫合糸の自由端は鉗子により掴まれる。次
に、針全体が引かれ、縫合装置は上と同じ方法で取り出
される。

【００７８】巾着縫合装置を取り出すには、レバー１３
４が解除され、フォーク状プッシャー１３６をスリーブ
スロット１３０ｂとの組合いから外し、更にスリーブ１
３０をその最も手元側位置に後退させなければならな
い。次いで、ジョーをそれらの支持針との回り止整列位
置にひねり戻さねばならない。次に、ノブ１５０を引き
戻し、梁１２０とジョー１１２との組立体を軸１１０の
凹所１１０ｃ内に戻すことによりこれを後退させる。こ
のとき、組立体は、ジョー１１２がずっと旋回して戻り
うるに十分までまだカニューレを通って差し込まれたま
まである。ここでカニューレを通して工具を引き抜くこ
とができる。

【００７９】図２７ないし３２、３４及び３５は、本発
明の巾着縫合装置の第３の実施例を示す。

【００８０】まず図２７及び２８を参照すれば、この縫
合装置は、第１のジョー２１０及び第１の旋回中心軸の
周りを旋回運動できるように、旋回ピン２１４により連
結された第２のジョー２１２を備える。各ジョーは、一
様な大きさで一様に間隔を空けた１列の歯２１６を持
つ。歯は、第１及び第２の実施例に関連して上述された
歯と同じ形状にされ、かつ同じ方法で歯の間に組織を掴
むように作用する。

【００８１】図２８に示されるように、第２のジョー２
１２は、カムロッド２２０と当たるカム面２１８をその
手元側端部に備える。更に、第２のジョーは、針カート
リッジを受け入れる湾曲した通路２２２、及び以下詳細
に説明される方法で限界ピンを受け入れるノッチ２２４
を持つ。

【００８２】第１のジョー２１０はその手元側端部に延
長部２２６を有し、この延長部は、第１の旋回中心軸と
平行な第２の旋回中心軸周りの旋回運動ができるよう
に、旋回ピン２１４によりトグル又は空転レバー２２８
に連結される。空転レバーは第１の連結具２３４とリン
クピン２３６とによりリンク２３２に連結される。リン
ク２３２は、第２の連結具２４０とリンクピン２４２と
により駆動ロッド２３８にも連結される。認められるよ
うに、各連結具２３４及び２４０は円柱状の一端を持
つ。これにより、リンク２３２は、両リンクピンまわり
に旋回すると共にその長手方向中心軸まわりに回転でき
る。

【００８３】細長い軸２４４がそれぞれ細長いスロット
２４６及び２４８内のカムロッド２２０及び駆動ロッド
２３８を摺動可能に収容する。軸（及びカムロッドと駆
動ロッド）の長さは任意であるが、一般に図２８に示さ
れたものよりは長い。軸２４４の端末には大きな穴２５
０と小さな穴２５２とがある。関節接合ピン２５４が大
きな穴２５０を通り第２のジョー２５０の同寸法の穴２
５６内に延び、これにより、カムロッド２２０がカム面
２１８を押したときに、連結されたジョーの対は、第１
の旋回中心軸と直交する第３の旋回中心軸まわりに旋回
できる。限界ピン２５８が小さな穴２５２を通って延
び、第２のジョーのノッチ２２４内で摺動できる。限界
ピンはノッチの閉じた端部に当たり、第３の旋回中心軸
まわりの反時計方向のジョーの関節運動を制限する。軸
の下側に突起（図示せず）があり、これが第２のジョー
のカム面と当たり、ジョーが軸と軸方向で一線になる位
置へのジョーの第３の旋回中心軸まわりの時計方向運動
を限定する。軸は、以下説明されるように針案内又はカ
ートリッジ２６２を摺動可能に受け入れる細長いスロッ
ト２６０を備える。カムロッド、駆動ロッド及び針案内
を細長い軸のそれぞれのスロット内に収容するように、
バンド２６４が軸上でその細くされた部分２６６に滑
る。

【００８４】針カートリッジ２６２は、可撓性材料、例
えば適切なポリマープラスチックで作られ、かつその細
長い本体を通って軸方向に延びる開口２６８を持つ。こ
の開口は、２本の外科用針及び閉鎖ループを形成するよ
うに各端において針の一つに連結された生体吸収可能な
外科用縫合糸を受け入れるように設計される。従って、
この開口は溝２７２で結ばれた２個の円形部分２７０を
有する実質的にドッグボーン形の断面を持つ。外科用針
は円形断面の各の中に装填される。認められるように、
溝は、針がそれぞれの円形部分から横方向に外れずに滑
り得るように針の直径より小さな幅を有するように設計
される。以下詳細に説明されるように、針が開口内を軸
方向に移動すると、外科用縫合糸はこの溝を通過するこ
とにより針に追随する。

【００８５】本発明の外科用縫合装置の開示された３種
の実施例に好ましく使用される外科用針が図３３に詳細
に示される。この針は、細長い針軸２７４及び破断しう
る頸部２７８により一緒に連結された尖った針頭２７６
を備える。針軸２７４の手元側端部は、使用者が針カー
トリッジと組織とを通して針を押すことを助けるために
角度付きの部分２８０を持つ。針を押すためのその他の
手段、例えば針軸の端部上のプラスチックキャップも予
想される。破断可能な頸部は、部分図３３Ａに示され
た、例えば９０°のノッチを形成するように角度を付け
られた２個の角度部分２７８、２８０で形成された小直
径部分を持つ。小直径部分は、縫合糸が組織を縫った後
における針頭と縫合糸との針軸からの切離しを容易にす
るために設けられる。

【００８６】針頭に外科用糸を固定する方法の一つは、
部分図３３Ｃに示されるように、糸を受け入れるために
針頭に長手方向のスロット２８４を設けることである。
糸の周囲でスロットを圧縮させるように針頭を静かに縮
らせる。この外科用針の別の特徴は長手方向の溝２８６
であり、これは、図３３Ｂ及び３３Ｃに示されるよう
に、スロットから延びて針軸に沿って連なる。長手方向
の溝（及びスロット）は外科用糸よりも大きい寸法にさ
れ、従って糸は針の全体周囲寸法を増すことなしに溝内
に適合できる。この方法で、針と各ジョーの歯列の針通
路との間に非常に狭い許容差を維持できる。従って、溝
の長さは少なくも針通路の長さとすべきである。

【００８７】外科用針の尖った端部に、針の尖端２９０
から半径方向外向きに延びている切断用の刃２８８を設
けることもできる。部分図３３Ｄは互いに１２０°の等
間隔に置かれた３個の切断刃２８８を示す。切断用の刃
は、針が組織を通って移動するとき組織を切断する。

【００８８】図３４及び３５は、掴み用ロッド２２０及
び駆動用ロッド２３８を操作するためのハンドル組立体
の１形式を示す。この組立体は、細長い軸２４４の手元
側端部に固定されたＬ字形ハンドル２９２を備える。し
かし、便宜上、このハンドル組立体に連結されたカムロ
ッド２２０及び駆動用ロッド２３８のみしか示されな
い。絞り得るＬ字形のアクチュエーター２９４が、旋回
ピン２９６によりハンドル２９２に旋回できるように取
り付けられ、かつばね２９８により上方位置又は開口位
置に強制される。アクチュエーターはピン３００により
駆動用ロッド２３８に連結され、アクチュエーターがハ
ンドルの方に絞られたときに駆動用ロッドを前方に滑ら
せる。ハンドルの下側に旋回停止部材３０２が取り付け
られ、アクチュエーターの受けピン３０４と組み合い、
ジョーを閉鎖するがきつく掴まない位置に駆動用ロッド
の摺動を停止させる。（図３４及び３５の両図に示され
るように）受けピンが組み合わないように停止部材が旋
回して定位置から外れると、アクチュエーターは、駆動
用ロッドを後退させジョーを開くように完全上方位置に
強制される。揺動可能な固定用部材３０６がハンドルの
手元側端部に旋回可能に取り付けられ、図３５に示され
たようにアクチュエーターのノッチ３０８と組み合うよ
うに上方に揺動することができる。回転可能なノブ３１
０が締められ、アクチュエーターをその絞られた位置又
は閉鎖された位置に固定し、ジョーをきつく掴むことが
できる。

【００８９】ピン３１４によりカムロッド２２０に摺動
スプール３１２が取り付けられる。このスプールは、ハ
ンドルから延びているロッド３１６に沿って滑り、カム
ロッドを前後に作動させる。ロッド３１６の手元側端部
にはねじが設けられ、更に摺動スプールをその最前方位
置に固定するように締め得る固定用ナット３１８を備え
る。

【００９０】使用の際は、この縫合装置は、図２７に示
されるようにジョーを閉鎖しかつ細長い軸と軸方向で一
線に揃えられて、例えば１２mmのカニューレにより身体
内に差し込まれる。この状態にするために、カムロッド
をできるだけハンドルの方に後退させ、駆動用ロッドは
ジョーを閉じるように引かれてジョー閉鎖位置（ここで
アクチュエーター２９４上の限定ピン３０４がハンドル
３０８の停止レバー３０２と当たる）にほとんど戻され
る。

【００９１】外科用装置がカニューレを通して挿入され
た後に、ハンドルのロッド３１６に沿ったスプール３１
２の滑りによりカムロッドが前方に摺動される。この作
用により、カムロッドの端末が第２のジョーのカム面２
１８と当たり、第１のジョーと第２のジョーを作動ピン
２５４の周りで関節接合運動、又は旋回させる。ジョー
は、これがスプールに当たるまでロッドの固定用ナット
３１８の回転により図２９に示された関節接合運動位置
に固定される。ジョーを関節接合位置又は角度位置に置
くことの利点は、掴まれる組織の部分の良好な観察を外
科医−使用者に提供することである。この装置の別の利
点は、体腔を横切る角度付けによる接近性の提供であ
る。

【００９２】次の段階は、駆動用ロッド２３８の完全後
退によりジョーを開くことである。これは、ハンドルの
停止レバー３０２を回転させてこれをアクチュエーター
の限界ピン３０４との接触から外すことにより達成され
る。次いで、アクチュエーター２９４をばね２９８の力
により旋回ピン２９６まわりで更に図３４に示されたそ
の完全強制位置に旋回させる。空転旋回ピン２３０がジ
ョー旋回ピン２１４の垂直方向上方に動かされるので、
駆動用ロッド（及び空転レバー）の後退がジョー旋回ピ
ンまわりのモーメントを生じ、ジョーは図３０に示され
るように開くことができる。

【００９３】ジョーが開いた位置にくると、管状の解剖
学的部位を開いたジョーの間でかつこれを横切って位置
決めするように縫合装置が操作される。次いで、ジョー
は、管状部位の周りで閉じられこれを掴むように準備さ
れる。

【００９４】ジョーを閉じるにはアクチュエーターを絞
り、駆動用ロッドを前方、又は縫合装置の端末の方に滑
らせる。図３１及び３２を参照すれば、この作用が（リ
ンク２３２に連結された）第２のユニバーサルピン２４
０と駆動用ロッド２３８とを結んでいる旋回ピン２４２
をまわる旋回点及び（トグル又は空転レバー２２８に連
結された）第１のユニバーサルピン２３４とリンク２３
２とを結んでいる旋回ピン２３６をまわる旋回点を作
る。（垂直方向及び水平方向に配置された）空転旋回ピ
ン２３０とジョー旋回ピン２１４との間の方向で支点の
周りのより長い（かつより大きな）モーメントをピン２
１４において作る持ち上げられた空転レバーにより、ジ
ョーの間の組織をきつく絞るようにかなり大きな掴み力
がジョーにより達成される。

【００９５】図２９ないし３２の各において、針案内２
６８は第２のジョーの湾曲通路２２２内に突き出してい
るように示されるが、針カートリッジは、ジョーが組織
の周りで掴まれるまで、縫合装置の軸にちょうど入った
位置に置かれることが好ましい。針カートリッジは、次
いで湾曲通路内に延びるように前方に押され、その末端
がジョーの歯の前面の列に当たるように位置決めされ
る。この位置において、針カートリッジの開口２６８の
円形部分２７０が歯に形成された通路と揃えられる。

【００９６】次に、外科用針及びこれに連結された縫合
糸が通路内に進むように強制され、組織を刺し、第１及
び第２の実施例において上述された方法と同じ方法で巾
着縫合を形成する。好ましくは、針の頭は、体内の第２
のカニューレを経て鉗子を使用して切り取られ、縫合糸
と共に引かれる。認められるように、針と縫合糸とは、
カートリッジが縫合装置内に挿入される前、或いは針カ
ートリッジが軸のその細長いスロット内又は第２のジョ
ーの通路内に置かれた後の任意の段階で、針カートリッ
ジ内に装填することができる。

【００９７】縫合装置を引き抜くには、アクチュエータ
ーが解除され、閉じられたジョーの位置を空転レバー２
２８に下げる。クランプナット３１８が緩められる。次
に、ジョーが、例えば鉗子により関節運動をされ、これ
らを細長い軸と軸方向で揃えられる。次いで、縫合装置
がカニューレを通して身体から引き抜かれる。

【００９８】本発明の特別の実施例が以上詳細に説明さ
れたが、この説明は単に解説の目的にためだけのもので
あることが理解されよう。上述のものに加えて好ましい
実施例の開示された構造に相当する同等構造の種々の変
更が、以下の請求項に定められる本発明の精神から離れ
ることなく熟練技術者により行うことができる。本発明
の精神は、かかる変更した構造及び同等の構造を含むよ
うに最も広い解釈を与えるべきである。

【００９９】本発明の実施態様は次の通りである。 １．１対のジョー；開いた位置と閉じた位置との間を第
１の旋回中心軸の周りで相対旋回運動ができるように前
記ジョーを一緒に連結しているヒンジ手段；及び第１の
端部と第２の端部とを有し、前記ジョーの一方と共に旋
回運動できるようにこれと連結されたレバーを有するア
クチュエーター手段；前記レバーの前記第２の端部に連
結された関節接合リンク；及び前進位置と後退位置との
間を往復運動できるように取り付けられ、前記リンクに
連結された駆動用ロッドを備え、前記駆動用ロッドが前
進位置に動かされたときに、前記レバーと前記リンクと
による前記駆動用ロッドと前記ジョーの一方との相互連
結が前記ジョーを閉じた位置に動かし、更に前記駆動用
ロッドが後退位置に動かされたときに前記ジョーを開い
た位置に動かす医用器具。 ２．前記リンクを前記レバーの前記第１の端部に連結し
ている第１のユニバーサルピン及び前記リンクを前記駆
動用ロッドに連結している第２のユニバーサルピンを更
に備え、前記第１及び第２のユニバーサルピンが前記リ
ンクにその長手方向中心軸まわりでかつ前記レバーと前
記駆動用ロッドとに関する回転を許す実施態様１による
医用器具。 ３．前記器具が管状組織に巾着縫合を置く外科用縫合装
置であり；前記１対のジョーがその間に管状組織を掴む
ためのものであり、各ジョーは１列の間隔を明けられた
均一な大きさの歯を有し；更に前記アクチュエーター手
段は前記ジョーの対を、管状組織を受け入れる開いた位
置と前記第１のジョーの歯列が前記第２のジョーの歯列
と噛み合う掴み位置との間で作動させる実施態様１によ
る医用器具。 ４．各歯が基部と頂部とを有し、ジョーが閉じられたと
きに歯列が噛み合うように掴み位置において２列が対向
しかつ互いに食い違いにされ、これにより歯列間の管状
組織を２個の管壁の組織が歯列間の管状組織を各歯の頂
部と重なっている状態で波状に曲げる実施態様３による
外科用縫合装置。 ５．前記ジョーの対を第１の旋回中心軸を横切る第３の
旋回中心軸の周りで旋回させる関節接合手段を更に有す
る実施態様１による医用器具。 ６．前記関節接合手段が前記ジョーの一方と組み合うよ
うに摺動可能に配置されたカムロッドを有しかつ前記ジ
ョーの対を第３の旋回中心軸まわりに旋回させる実施態
様５による外科用縫合装置。 ７．第１の旋回中心軸まわりに前記ジョーの対を作動さ
せるように前記駆動用ロッドを滑らせ、かつ第３の旋回
中心軸まわりに前記ジョーの対を関節運動させるように
前記カムロッドを滑らせるためのハンドル手段を更に備
えた実施態様６による外科用縫合装置。 ８．前記カムロッドと前記駆動用ロッドとを摺動可能に
収容する細長い軸を更に備え、前記軸が第１の端部にお
いて前記ハンドル手段に連結され第２の端部において前
記ジョーの対に連結される実施態様７による外科用縫合
装置。 ９．前記軸が前記ジョーの対の関節運動を限定する停止
手段を有する実施態様８による外科用縫合装置。 １０．腸又は管状組織のその他の部分に巾着縫合を置く
ための外科用縫合装置にして、少なくも約１８０°の平
面円弧において揺動しかつ管状組織を横切って掴むため
に一方の端部において一緒に旋回可能に連結された１対
の細長いジョー、を備え、各ジョーは１列の間隔を空け
られた一様な寸法の歯を有し、各歯は基部と頂部とを有
し、ジョーが閉じられたときに歯列が噛み合うように２
列が互いに向かい合いかつ食い違いにされ、これにより
前記組織の２個の管壁が各歯の頂部に重なった状態で歯
列間の組織を波状に曲げ、前記歯の各の頂部が列の方向
と平行に走るこの中の溝を有し、各列の前記溝の総ては
列の歯の総てを通る糸引きの針の移動用の実質的に真っ
すぐな通路をその底部において定めるように整列され、
各溝の底部は、ジョーが組織を横切って把持されたとき
に通路を強制通過させられる針が組織の次の隣接管壁を
貫くことなく各歯の頂部に接触しかつ重なっている組織
の波状管壁だけを通って走り得るに十分に歯の基部に近
い外科用縫合装置。 １１．各歯を通る溝の断面が、溝の底部の円形部分と前
記円形部分から歯の頂部に延びている狭い幅のスロット
部分を有する実質的に鍵穴状である実施態様１０による
外科用縫合装置。 １２．更に各歯列に１本で２本の針を備え、各針は針に
より引かれる糸の端部をこれに取り付ける手段を有し、
更に前記針の各は尖端及び通路を通って針を押すための
鈍い後端を有し、前記針の各の直径はこれと組になった
鍵穴形の溝の円形部分の直径より小さいが前記溝のスロ
ット部分の幅より大きい実施態様１１による外科用縫合
装置。 １３．細長い針軸；尖端を有する針の頭部；及び小断面
部分を有し、前記針軸と前記針頭部とを連結する破断可
能な頸部を備え、前記頸部は前記針頭部が前記針軸から
切り取られることを許す外科用針。 １４．前記針頭部がこれに縫合糸を固定するための固定
用手段を有する実施態様１３による外科用針。 １５．外科用針を押すために前記細長い針軸の一方の端
部の押し手段を更に備えた実施態様１３による外科用
針。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例による巾着縫合装置の主
要部分の分解図である。

【図２】開いた位置における第１の実施例の巾着縫合装
置の端末（ジョー端部）の部分図である。

【図３】本発明の第１の実施例の縫合装置のハンドル組
立体の部分図である。

【図４】図３に示されたハンドル組立体の部分平面図で
ある。

【図５】本発明の第１の実施例の縫合装置の押し棒の一
つの手元側端部の部分的部分図である。

【図６】管状組織の周りの掴み位置に向かい動いている
本発明の第１の実施例の縫合装置の末端（ジョー端部）
の側面図である。

【図７】把持された位置における本発明の第１の実施例
の縫合装置の末端の側面図である。

【図８】縫合針が挿入された完全に把持された位置にお
ける本発明の第１の実施例の縫合装置の末端の側面図で
ある。

【図９】図８の線９−９に沿った断面図である。

【図１０】図８の線１０−１０に沿った断面図である。

【図１１】本発明において使用される縫合用針の拡大側
面図である。

【図１２】本発明の縫合装置の手元側端部の立面図であ
る。

【図１３】本発明の第２の実施例による巾着縫合装置の
等角図である。

【図１４】挿入位置（開いた位置）における本発明の第
２の実施例の巾着縫合装置の末端（ジョー端部）の部分
図である。

【図１５】本発明の第２の実施例の縫合装置の末端の分
解図である。

【図１６】本発明の第２の実施例の縫合装置の末端の部
分的に垂直方向断面とした分解図である。

【図１７】本発明の第２の実施例の縫合装置の末端の底
部の等角図である。

【図１８】本発明の第２の実施例の縫合装置の末端の底
部の分解図である。

【図１９】本発明の第２の実施例の縫合装置の末端の垂
直方向断面図である。

【図２０】本発明の第２の実施例の縫合装置の末端の旋
回部分の拡大垂直方向断面図である。

【図２１】中間位置におけるジョーを有する本発明の第
２の実施例の縫合装置の末端の等角図である。

【図２２】作動位置に回転されたジョーを有する本発明
の第２の実施例の縫合装置の末端の等角図である。

【図２３】掴み位置におけるジョーを有する本発明の第
２の実施例の縫合装置の末端の等角図である。

【図２４】掴み位置におけるジョーを有する本発明の第
２の実施例の縫合装置の末端の拡大等角図である。

【図２５】掴み位置におけるジョーを有する本発明の第
２の実施例の縫合装置の末端の別の等角図である。

【図２６】掴み位置に回転されたジョーを有する本発明
の第２の実施例の縫合装置の末端の平面図である。

【図２７】本発明の第３の実施例による巾着縫合装置の
等角図である。

【図２８】本発明の第３の実施例の巾着縫合装置の分解
図である。

【図２９】閉じられかつ関節接合位置にあるジョーを有
する本発明の第３の実施例の巾着縫合装置の等角図であ
る。

【図３０】開かれかつ関節接合位置にあるジョーを有す
る本発明の第３の実施例の縫合装置の等角図である。

【図３１】関節接合されかつ把持された位置にあるジョ
ーを有する本発明の第３の実施例の縫合装置の等角図で
ある。

【図３２】関節接合されかつ把持された位置にあるジョ
ーを有する本発明の第３の実施例の縫合装置の側面図で
ある。

【図３３】本発明による縫合用針の側面図及び拡大等角
図である。

【図３４】開いた位置における本発明の第３の実施例の
縫合装置用のハンドルの一方の側面を示す側面図であ
る。そして、

【図３５】閉鎖位置における本発明の第３の実施例のハ
ンドルの反対側の側面を示す側面図である。

【符号の説明】

１０ 主軸 １２ 下方ジヨー １４ 上方ジヨー １６ 歯 １８ 歯 ２０ ヒンジ ２２ ヒンジ ２６ 溝 ３０ カム部材 ３２ 押し棒 ３４ ハンドル ３６ ハンドル ３８ レバー ５４ カニューレ ５６ 針 ５８ 縫合糸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウイリアム・ジエイ・アレン アメリカ合衆国コネチカツト州06496スト ラツトフオード・カツトスプリングロード 30 (72)発明者 ジヨージ・ジエサツプ オーストラリア・ニユーサウスウエールズ 2135・ストラスフイールド・ハワードスト リート22 (72)発明者 フレデリツク・エフ・アハリ アメリカ合衆国コネチカツト州06490サウ スポート・サウスポートウツズドライブ87 (72)発明者 ロバート・エイ・ラビナー アメリカ合衆国ニユージヤージイ州07748 ミドルタウン・デイルロード17 (72)発明者 ジヨン・イー・バーバンク・ザサード アメリカ合衆国コネチカツト州06877リツ ジフイールド・ハビランドロード106 Ｆターム(参考） 4C060 BB02

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 腸又は管状組織のその他の部分に巾着縫
   合を置くための外科用縫合装置にして、 少なくも約１８０°の平面円弧において揺動しかつ管状
   組織を横切って掴むために一方の端部において一緒に旋
   回可能に連結された１対の細長いジョー、を備え、 各ジョーは１列の間隔を空けられた一様な寸法の歯を有
   し、各歯は基部と頂部とを有し、ジョーが閉じられたと
   きに歯列が噛み合うように２列が互いに向かい合いかつ
   食い違いにされ、これにより前記組織の２個の管壁が各
   歯の頂部に重なった状態で歯列間の組織を波状に曲げ、 前記歯の各の頂部が列の方向と平行に走るこの中の溝を
   有し、各列の前記溝の総ては列の歯の総てを通る糸引き
   の針の移動用の実質的に真っすぐな通路をその底部にお
   いて定めるように整列され、各溝の底部は、ジョーが組
   織を横切って把持されたときに通路を強制通過させられ
   る針が組織の次の隣接管壁を貫くことなく各歯の頂部に
   接触しかつ重なっている組織の波状管壁だけを通って走
   り得るに十分に歯の基部に近い外科用縫合装置。
2. 【請求項２】 細長い針軸；尖端を有する針の頭部；及
   び小断面部分を有し、前記針軸と前記針頭部とを連結す
   る破断可能な頸部を備え、前記頸部は前記針頭部が前記
   針軸から切り取られることを許す外科用針。