JP2003269588A - 無段変速機の入力回転速度予測装置、無段変速機の入力慣性トルク算出装置、それらのいずれかを含む無段変速機の制御装置、無段変速機の入力回転速度予測方法、無段変速機の入力慣性トルク算出方法及びそれらのいずれかを用いた無段変速機の制御方法 - Google Patents

無段変速機の入力回転速度予測装置、無段変速機の入力慣性トルク算出装置、それらのいずれかを含む無段変速機の制御装置、無段変速機の入力回転速度予測方法、無段変速機の入力慣性トルク算出方法及びそれらのいずれかを用いた無段変速機の制御方法

Info

Publication number
JP2003269588A
JP2003269588A JP2002072878A JP2002072878A JP2003269588A JP 2003269588 A JP2003269588 A JP 2003269588A JP 2002072878 A JP2002072878 A JP 2002072878A JP 2002072878 A JP2002072878 A JP 2002072878A JP 2003269588 A JP2003269588 A JP 2003269588A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotation speed
input
continuously variable
variable transmission
flow rate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002072878A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Taniguchi
浩司 谷口
Katsumi Kono
克己 河野
Kenji Matsuo
賢治 松尾
Masato Terajima
正人 寺島
Hiroki Kondo
宏紀 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2002072878A priority Critical patent/JP2003269588A/ja
Publication of JP2003269588A publication Critical patent/JP2003269588A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 無段変速機のVベルトの滑りを抑えると同時
に燃費低減を実現する。 【解決手段】 プライマリ油室30cへ流入している作
動油流量Qmodel(n)を物理モデルを用いて算出する
(S105)。次に、この流量Qmodel(n)を用いて所
定時間δT後の変速比予測値γmodel(n+δT)を算出
し、所定時間δT後の入力軸26回転速度予測値NIN
model(n+δT)を算出する(S106〜S108)。
そして、この入力軸26回転速度予測値NINmodel(n
+δT)を用いて入力慣性トルクTRQI(n)を算出
し、この慣性トルクTRQI(n)分を考慮してベルト挟
圧力Pout(n)を増加させる(S109〜S111)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機の制御
装置及び方法に関し、特に無段変速機の入力回転速度を
予測する装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
自動車等の変速機として、無段変速機が利用されてい
る。この無段変速機では、ベルト式においては、エンジ
ン側のプライマリシーブと車輪側のセカンダリシーブと
にVベルトが掛け回され、プライマリシーブ及びセカン
ダリシーブの溝幅を変更することで変速比を連続的に変
更している。
【0003】この無段変速機において変速比を変更する
ための駆動力については、一般的に油圧アクチュエータ
からの油圧によって発生させる。具体的には、プライマ
リシーブの油室に供給する油圧を油圧アクチュエータに
よって制御することで、Vベルトがプライマリシーブ及
びセカンダリシーブに巻きかかる部分の回転半径が変化
して変速動作が行われる。一方、セカンダリシーブの油
室には、無段変速機への入力トルクに応じて別の油圧ア
クチュエータによって制御された油圧が供給される。こ
れによってVベルトに適正な挟圧力を与え、シーブとV
ベルトとの間に発生する滑りを抑え、かつVベルトの耐
久性向上を図っている。
【0004】上記のように、ベルト挟圧力は無段変速機
への入力トルクに応じて制御されるが、無段変速機への
入力トルクについては、エンジンの出力トルクの他に、
エンジンのクランク軸や無段変速機の入力軸等のイナー
シャによる慣性トルク分も含まれる。特に、無段変速機
の入力回転速度の時間変化が大きい場合には、この慣性
トルク分もベルト挟圧力の制御の際に考慮する必要があ
る。
【0005】慣性トルクは無段変速機の入力回転速度の
時間変化に基づいて算出される。しかし、この入力回転
速度の時間変化は、現時点の入力回転速度と過去の入力
回転速度との差分に基づいて算出されるため、この差分
に基づいて算出した慣性トルクは実際の慣性トルクに対
して時間遅れが発生している。したがって、ベルト挟圧
力の制御にも応答遅れが発生し、シーブとVベルトとの
間に滑りが発生してしまう。
【0006】特開2001−90825号公報において
は、アクセル開度情報、車速情報に基づいて所定時間後
の目標入力回転速度を設定し、この目標入力回転速度と
現時点の入力回転速度に基づいて慣性トルクを算出して
いる。このように過去の入力回転速度を用いずに所定時
間後の目標入力回転速度を用いて慣性トルクを算出する
ことで、慣性トルク算出の際の時間遅れの防止を図って
いる。
【0007】しかしながら、この従来の装置において
は、設定された目標入力回転速度と実際の入力回転速度
との間に偏差が発生する場合は、算出した慣性トルクと
実際の慣性トルクとの間に誤差が発生する。特に、油圧
アクチュエータを用いて無段変速機の入力回転速度を制
御する際には、油圧アクチュエータの応答遅れ及び油圧
アクチュエータへの指令信号と無段変速機の入力回転速
度との間の動特性を変動させる複数のパラメータ(例え
ば入力トルク)が存在するため、入力回転速度を必ずし
も目標入力回転速度通りに制御できている保証はない。
したがって、この従来の装置においては、慣性トルク及
びその算出に用いる所定時間後の入力回転速度を精度よ
く算出できないという課題があった。したがって、ベル
ト挟圧力を最適に制御することができず、シーブとVベ
ルトとの間に発生する滑りを押さえるために必要以上の
ベルト挟圧力を発生させることになり、燃費の悪化を招
いていた。
【0008】また、無段変速機の変速制御の際には、実
際の入力回転速度が目標入力回転速度と一致するように
フィードバック制御を行っている。そのフィードバック
ゲインについては、油圧アクチュエータへの指令信号と
無段変速機の入力回転速度との間の特性を変動させるパ
ラメータに基づいて設定される。例えば、そのパラメー
タとしての作動油温度、入力トルク、出力回転速度及び
変速比からフィードバックゲインを決定するための制御
マップを電子制御装置内に記憶させておき、電子制御装
置内では、検出した作動油温度、入力トルク、出力回転
速度及び変速比とこの制御マップからフィードバックゲ
インを算出している。
【0009】しかしながら、この従来の装置において、
フィードバックゲインを算出するためには、油圧アクチ
ュエータへの指令信号と無段変速機の入力回転速度との
間の特性を変動させるパラメータの数だけ次元を追加し
た制御マップをあらかじめ作成しておかなければならな
い。特に、油圧アクチュエータを用いて無段変速機の変
速制御を行う際には、油圧アクチュエータへの指令信号
と無段変速機の入力回転速度との間の特性を変動させる
パラメータが多数(上記の例では4つ)存在する。した
がって、制御マップの作成工数がパラメータの数に対し
て指数的に増大してしまい、フィードバックゲインを算
出するための制御マップの作成に多大な時間を要すると
いう課題があった。
【0010】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あり、所定時間後の入力回転速度を精度よく算出できる
無段変速機の入力回転速度予測装置及び方法を提供する
ことを目的とする。
【0011】また、本発明は、入力慣性トルクを精度よ
く算出できる無段変速機の入力慣性トルク算出装置及び
方法を提供することを目的とする。
【0012】また、本発明は、ベルト挟圧力を最適に制
御でき、燃費低減を実現できる無段変速機の制御装置及
び方法を提供することを目的とする。
【0013】また、本発明は、フィードバックゲインを
算出するための制御マップの作成時間を大幅に短縮する
ことのできる無段変速機の制御装置及び方法を提供する
ことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、第1の本発明に係る無段変速機の入力回転速
度予測装置は、作動油の流入出によって駆動されること
で変速比を連続的に変化させる変速機構を有する無段変
速機の入力回転速度を予測する装置であって、無段変速
機の入力回転速度を検出する入力回転速度検出手段と、
無段変速機の出力回転速度を検出する出力回転速度検出
手段と、入力される油圧制御信号に基づいて、前記変速
機構において流入出する作動油流量を制御する流量制御
手段と、前記入力回転速度検出手段の検出値、前記出力
回転速度検出手段の検出値及び前記油圧制御信号に基づ
いて所定時間後における入力回転速度予測値を算出する
入力回転速度予測手段と、を有することを特徴とする。
【0015】このように、入力回転速度検出手段の検出
値、出力回転速度検出手段の検出値及び油圧制御信号に
基づいて所定時間後における入力回転速度予測値を算出
するので、所定時間後における入力回転速度予測値を精
度よく算出することができる。
【0016】第2の本発明に係る無段変速機の入力回転
速度予測装置は、第1の本発明に記載の装置であって、
前記入力回転速度予測手段は、前記流量制御手段前後に
おける作動油の圧力差を検出する差圧検出手段と、前記
油圧制御信号と前記差圧検出手段の検出値に基づいて前
記変速機構において流入出する作動油流量を算出する油
流量算出手段と、を有し、前記入力回転速度検出手段の
検出値、前記出力回転速度検出手段の検出値及び前記油
流量算出手段の算出値に基づいて前記入力回転速度予測
値を算出することを特徴とする。
【0017】第3の本発明に係る無段変速機の入力回転
速度予測装置は、第2の本発明に記載の装置であって、
前記油流量算出手段は、前記油圧制御信号、前記差圧検
出手段の検出値及び前記油圧制御信号と前記流量制御手
段の流量制御出力との間の動特性モデルに基づいて前記
変速機構において流入出する作動油流量を算出すること
を特徴とする。
【0018】このように、油圧制御信号と流量制御出力
との間の動特性モデルに基づいて変速機構において流入
出する作動油流量を算出するので、流量制御手段の応答
遅れを考慮することができ、所定時間後における入力回
転速度予測値をより精度よく算出することができる。
【0019】第4の本発明に係る無段変速機の入力回転
速度予測装置は、第2または第3の本発明に記載の装置
であって、前記変速機構は、原動機からの駆動トルクが
入力されるプライマリシーブと、該駆動トルクを負荷へ
出力するセカンダリシーブと、プライマリシーブ及びセ
カンダリシーブに掛け回されたベルトと、を備え、前記
流量制御手段は、プライマリシーブにおいて流入出する
作動油流量を制御することで変速比を制御する無段変速
機の入力回転速度予測装置において、プライマリシーブ
への入力トルクを検出する入力トルク検出手段と、セカ
ンダリシーブ内の作動油圧力を検出するセカンダリ圧力
検出手段と、をさらに有し、前記差圧検出手段は、前記
入力回転速度検出手段の検出値、前記出力回転速度検出
手段の検出値、前記入力トルク検出手段の検出値及び前
記セカンダリ圧力検出手段の検出値に基づいて前記流量
制御手段前後における作動油の圧力差を検出することを
特徴とする。
【0020】このように、プライマリシーブの回転速
度、セカンダリシーブの回転速度、プライマリシーブへ
の入力トルク及びセカンダリシーブ内の作動油圧力に基
づいて流量制御手段前後における作動油の圧力差を検出
するので、プライマリシーブ内の作動油圧力を検出する
ための圧力センサを省略することができ、コスト削減が
図れる。
【0021】第5の本発明に係る無段変速機の入力回転
速度予測装置は、第3の本発明に記載の装置であって、
前記流量制御出力は、前記流量制御手段のオリフィス面
積であることを特徴とする。
【0022】第6の本発明に係る無段変速機の入力慣性
トルク算出装置は、第1〜3の本発明のいずれか1に記
載の装置を含む無段変速機の入力慣性トルク算出装置で
あって、前記入力回転速度予測値及び前記入力回転速度
検出手段の検出値に基づいて無段変速機の入力慣性トル
クを算出する慣性トルク算出手段をさらに有することを
特徴とする。
【0023】このように、入力回転速度予測値及び入力
回転速度検出手段の検出値に基づいて無段変速機の入力
慣性トルクを算出するので、実際の慣性トルクに対する
時間遅れが発生せず、かつ精度よく慣性トルクを算出す
ることができる。
【0024】第7の本発明に係る無段変速機の制御装置
は、第6の本発明に記載の装置を含む無段変速機の制御
装置であって、前記変速機構は、原動機からの駆動トル
クが入力されるプライマリシーブと、該駆動トルクを負
荷へ出力するセカンダリシーブと、プライマリシーブ及
びセカンダリシーブに掛け回されたベルトと、備え、前
記流量制御手段は、プライマリシーブにおいて流入出す
る作動油流量を制御することで変速比を制御する無段変
速機の制御装置において、入力される挟圧制御信号に基
づいてセカンダリシーブへ供給する油圧を制御すること
でベルト挟圧力を制御するベルト挟圧力制御手段と、前
記慣性トルク算出手段により算出された入力慣性トルク
に基づいて前記挟圧制御信号を算出するベルト挟圧力算
出手段と、をさらに有することを特徴とする。
【0025】このように、慣性トルク算出手段により算
出された入力慣性トルクに基づいて挟圧制御信号を算出
するので、ベルト挟圧力を入力トルクに応じて最適に制
御することができる。したがって、ベルトの滑りを抑え
ると同時に燃費低減が実現できる。
【0026】第8の本発明に係る無段変速機の制御装置
は、第7の本発明に記載の装置であって、所定時間後に
おけるベルト挟圧力最大値を考慮したベルト挟圧力予測
値を算出するベルト挟圧力予測手段と、前記ベルト挟圧
力予測値が前記慣性トルク算出手段により算出された入
力慣性トルクに基づく所定値より小さい場合は、前記ベ
ルト挟圧力予測値、前記入力回転速度検出手段の検出値
及び前記出力回転速度検出手段の検出値に基づいて前記
油圧制御信号を算出し直し、この算出し直した油圧制御
信号を前記流量制御手段に入力する変速速度制限手段
と、をさらに有することを特徴とする。
【0027】このように、ベルト挟圧力予測値が慣性ト
ルク算出手段により算出された入力慣性トルクに基づく
所定値より小さい場合は、算出し直した油圧制御信号を
流量制御手段に入力して変速速度を制限しているので、
あらゆる走行条件において確実にベルトの滑りを抑える
ことができる。
【0028】第9の本発明に係る無段変速機の制御装置
は、第1〜5の本発明のいずれか1に記載の装置を含む
無段変速機の制御装置であって、前記入力回転速度検出
手段の検出値または変速比をフィードバックして前記油
圧制御信号を補償するフィードバック補償手段をさらに
有し、該フィードバック補償手段は、前記入力回転速度
予測値及び前記入力回転速度検出手段の検出値に基づい
てフィードバックゲインを算出することを特徴とする。
【0029】このように、入力回転速度予測値及び入力
回転速度検出手段の検出値に基づいてフィードバックゲ
インを算出するので、現時点での入力回転速度の時間変
化を考慮したフィードバックゲインを設定することがで
き、あらゆる走行状態においてフィードバックゲインを
適正化することができる。したがって、フィードバック
ゲインを算出するための制御マップの作成時間を大幅に
短縮することができる。
【0030】第10の本発明に係る無段変速機の入力回
転速度予測方法は、作動油の流入出によって駆動される
ことで変速比を連続的に変化させる変速機構を有する無
段変速機の入力回転速度を予測する方法であって、油圧
制御信号を流量制御手段に入力して前記変速機構におい
て流入出する作動油流量を制御し、無段変速機の入力回
転速度を検出し、無段変速機の出力回転速度を検出し、
前記入力回転速度、前記出力回転速度及び前記油圧制御
信号に基づいて所定時間後における入力回転速度予測値
を算出することを特徴とする。
【0031】第11の本発明に係る無段変速機の入力回
転速度予測方法は、第10の本発明に記載の方法であっ
て、前記流量制御手段前後における作動油の圧力差を検
出し、前記油圧制御信号と前記圧力差に基づいて前記変
速機構において流入出する作動油流量を算出し、前記入
力回転速度、前記出力回転速度及び前記作動油流量に基
づいて所定時間後における入力回転速度予測値を算出す
ることを特徴とする。
【0032】第12の本発明に係る無段変速機の入力回
転速度予測方法は、第11の本発明に記載の方法であっ
て、前記油圧制御信号、前記圧力差及び前記油圧制御信
号と前記流量制御手段の流量制御出力との間の動特性モ
デルに基づいて前記変速機構において流入出する作動油
流量を算出することを特徴とする。
【0033】第13の本発明に係る無段変速機の入力回
転速度予測方法は、第11または第12の本発明に記載
の方法であって、前記変速機構は、原動機からの駆動ト
ルクが入力されるプライマリシーブと、該駆動トルクを
負荷へ出力するセカンダリシーブと、プライマリシーブ
及びセカンダリシーブに掛け回されたベルトと、を備
え、前記流量制御手段は、プライマリシーブにおいて流
入出する作動油流量を制御することで変速比を制御し、
プライマリシーブへの入力トルクを検出し、セカンダリ
シーブ内の作動油圧力を検出し、前記入力回転速度、前
記出力回転速度、前記入力トルク及び前記セカンダリシ
ーブ内の作動油圧力に基づいて前記流量制御手段前後に
おける作動油の圧力差を検出することを特徴とする。
【0034】第14の本発明に係る無段変速機の入力回
転速度予測方法は、第12の本発明に記載の方法であっ
て、前記流量制御出力は、前記流量制御手段のオリフィ
ス面積であることを特徴とする。
【0035】第15の本発明に係る無段変速機の入力慣
性トルク算出方法は、第10〜12の本発明のいずれか
1に記載の方法を用いた無段変速機の入力慣性トルク算
出方法であって、前記入力回転速度予測値及び前記入力
回転速度に基づいて無段変速機の入力慣性トルクを算出
することを特徴とする。
【0036】第16の本発明に係る無段変速機の制御方
法は、第15の本発明に記載の方法を用いた無段変速機
の制御方法であって、前記変速機構は、原動機からの駆
動トルクが入力されるプライマリシーブと、該駆動トル
クを負荷へ出力するセカンダリシーブと、プライマリシ
ーブ及びセカンダリシーブに掛け回されたベルトと、を
備え、前記流量制御手段は、プライマリシーブにおいて
流入出する作動油流量を制御することで変速比を制御
し、前記入力慣性トルクに基づいて挟圧制御信号を算出
し、該挟圧制御信号をベルト挟圧力制御手段に入力して
セカンダリシーブへ供給する油圧を制御することでベル
ト挟圧力を制御することを特徴とする。
【0037】第17の本発明に係る無段変速機の制御方
法は、第16の本発明に記載の方法であって、所定時間
後におけるベルト挟圧力最大値を考慮したベルト挟圧力
予測値を算出し、前記ベルト挟圧力予測値が前記入力慣
性トルクに基づく所定値より小さい場合は、前記ベルト
挟圧力予測値、前記入力回転速度及び前記出力回転速度
に基づいて前記油圧制御信号を算出し直し、この算出し
直した油圧制御信号を前記流量制御手段に入力すること
を特徴とする。
【0038】第18の本発明に係る無段変速機の制御方
法は、第10〜14の本発明のいずれか1に記載の方法
を用いた無段変速機の制御方法であって、前記入力回転
速度または変速比をフィードバックして前記油圧制御信
号をフィードバック補償し、そのフィードバックゲイン
は、前記入力回転速度予測値及び前記入力回転速度に基
づいて算出されることを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下
実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0040】(1)第1実施形態 本発明の第1実施形態に係る図1は、本発明をベルト式
無段変速機の制御に適用した全体構成図を示し、エンジ
ン出力軸22に連結されるトルクコンバータ10、前後
進切換装置12、ベルト式無段変速機14、変速機14
の変速比を制御する油圧制御装置40、油圧制御装置4
0の油圧を制御する電子制御装置42を備えている。エ
ンジンから出力される駆動トルクは、トルクコンバータ
10、前後進切換装置12、ベルト式無段変速機14及
び図示しない差動歯車装置を経て図示しない駆動輪へ伝
達される。
【0041】トルクコンバータ10は、エンジン出力軸
22に連結されたポンプ翼車10aと、トルクコンバー
タ出力軸24に連結され流体を介してポンプ翼車10a
から駆動トルクが伝達されるタービン翼車10bと、ワ
ンウェイクラッチ10eを介して位置固定のハウジング
10fに固定された固定翼車10cと、ポンプ翼車10
aとタービン翼車10bとをダンパを介して締結するロ
ックアップクラッチ10dを備えている。
【0042】前後進切換装置12は、ダブルプラネタリ
式歯車装置を備え、サンギヤ12s、キャリア12c及
びリングギヤ12rを有している。サンギヤ12sは、
トルクコンバータ出力軸24に連結されている。キャリ
ア12c群は、クラッチ28を介してトルクコンバータ
出力軸24に連結されると共に、ベルト式無段変速機入
力軸26に連結されている。リングギヤ12rは、ブレ
ーキ12bに連結されている。
【0043】ベルト式無段変速機14は、入力軸26に
連結されたプライマリシーブ30、出力軸36に連結さ
れたセカンダリシーブ32及びプライマリシーブ30と
セカンダリシーブ32とに掛け回されたV字型断面のV
ベルト34を備え、入力軸26からプライマリシーブ3
0へ伝達されたトルクをVベルト34及びセカンダリシ
ーブ32を介して出力軸36へ伝達する。
【0044】プライマリシーブ30は、入力軸26方向
に移動可能なプライマリ可動側シーブ半体30aとプラ
イマリ固定側シーブ半体30bで構成されている。同様
にセカンダリシーブ32は、出力軸36方向に移動可能
なセカンダリ可動側シーブ半体32aとセカンダリ固定
側シーブ半体32bで構成されている。プライマリ可動
側シーブ半体30aは、プライマリ油室30cに供給さ
れる油圧によって入力軸26方向に移動する。これによ
ってVベルト34がプライマリシーブ30及びセカンダ
リシーブ32に巻きかかる部分の回転半径が変化し、ベ
ルト式無段変速機14の変速比が連続的に変化する。ま
た、セカンダリ可動側シーブ半体32aに設けられたセ
カンダリ油室32cへ供給される油圧によってVベルト
34にベルト挟圧力が与えられる。これによって、シー
ブとVベルト34との間に発生する滑りを抑制してい
る。
【0045】ベルト式無段変速機14のプライマリ油室
30cとセカンダリ油室32cに供給される油圧は、油
圧制御装置40によって供給され、それらの油圧は電子
制御装置42によって制御される。
【0046】電子制御装置42には、スロットル開度T
Aを検出するスロットル開度センサ76、エンジン回転
速度Neを検出するエンジン回転速度センサ78、入力
軸26の回転速度Ninを検出する入力軸回転速度センサ
80、出力軸36の回転速度Noutを検出する出力軸回
転速度センサ82、油圧制御装置40内の作動油の油温
OILを検出する油温センサ88及びベルト挟圧力とし
てのセカンダリ油室32c内の作動油圧力Poutを検出
する圧力センサ74等からの信号が入力される。電子制
御装置42は、上記入力信号を処理し、その処理結果に
基づいて、ベルト式無段変速機14のプライマリ油室3
0cとセカンダリ油室32cに供給する油圧を制御す
る。
【0047】次に油圧制御装置40の主な構成について
図2を用いて説明する。
【0048】ライン圧制御装置90は、図示しないリニ
アソレノイド弁を備えており、エンジンによって回転駆
動されるポンプ52からの油圧をリニアソレノイド弁に
よって調圧したライン圧PLを油路R1に出力する。こ
こで、挟圧制御信号としてのリニアソレノイド弁への制
御指令値は入力軸26トルクに基づいて決定され、入力
軸26トルクに応じてライン圧PLが制御される。セカ
ンダリ圧制御装置60は、油路R1内のライン圧PLに
応じて調圧されたベルト挟圧力を油路R3を通じてセカ
ンダリ油室32cへ供給する。このベルト挟圧力はライ
ン圧PLを制御するためのリニアソレノイド弁によって
制御される。このように、ライン圧制御装置90及びセ
カンダリ圧制御装置60でベルト挟圧力制御手段を構成
している。また、油路R1にはライン圧PLを常に一定
の油圧となるように調圧して出力するための一定圧制御
装置70が設けられている。一定圧制御装置70によっ
て一定に維持された油圧は、油路R7を通じて後述する
増速用電磁弁66及び減速用電磁弁68に供給される。
【0049】流量制御装置50は、プライマリシーブ3
0のプライマリ油室30cに流入出する作動油の流量を
制御し、増速用流量制御弁62及び減速用流量制御弁6
4と、増速用流量制御弁62及び減速用流量制御弁64
にそれぞれ制御圧を供給する増速用電磁弁66及び減速
用電磁弁68を備えている。増速用流量制御弁62は、
4つのポート62a、62b、62c、62d、図2の
上下方向に移動するスプール62s、スプール62sを
図2の下方に押圧するばね62f及び制御圧が供給され
る制御圧室62hを有している。増速用電磁弁66は、
3つのポート66a、66b、66cを有している。増
速用電磁弁66がオンのとき(図2の右側)、ポート6
6aと66bとが連通する。そして、増速用電磁弁66
はオンとオフを繰り返すデュ−ティ制御により油路R7
内の一定に調圧された油圧を大気圧からこの一定圧の間
で制御し、制御圧として増速用流量制御弁62のポート
62aから制御圧室62hに供給する。また、増速用電
磁弁66がオフのとき(図2の左側)、ポート66bと
66cとが連通し、制御圧室62hの油圧がポート66
cから排出され、大気圧まで減圧される。
【0050】増速用流量制御弁62のポート62aから
増速用電磁弁66からの制御圧が制御圧室62hに供給
されると、この制御圧によってスプール62sは図2の
上方に押圧される。一方、ばね62fによってスプール
62sは図2の下方に押圧されており、これらの力のバ
ランスにより油路R4を通じてポート62cから供給さ
れたライン圧PLが調圧され、ポート62dから油路R
5を介してプライマリ油室30cへ供給される。
【0051】同様に、減速用流量制御弁64は、4つの
ポート64a、64b、64c、64d、図2の上下方
向に移動するスプール64s、スプール64sを図2の
下方に押圧するばね64f及び制御圧が供給される制御
圧室64hを有している。減速用電磁弁68は、3つの
ポート68a、68b、68cを有している。減速用電
磁弁68がオンのとき(図2の右側)、ポート68aと
68bとが連通する。そして、減速用電磁弁68はオン
とオフを繰り返すデュ−ティ制御により油路R7内の一
定に調圧された油圧を大気圧からこの一定圧の間で制御
し、制御圧として減速用流量制御弁64のポート64a
から制御圧室64hに供給する。また、減速用電磁弁6
8がオフのとき(図2の左側)、ポート68bと68c
とが連通し、制御圧室64hの油圧がポート68cから
ドレインされ、大気圧まで減圧される。
【0052】減速用流量制御弁64のポート64aから
減速用電磁弁68からの制御圧が制御圧室64hに供給
されると、この制御圧によってスプール64sは図2の
上方に押圧される。一方、ばね64fによってスプール
64sは図2の下方に押圧されており、これらの力のバ
ランスによりポート64cとポート64dとの連通状態
が制御され、プライマリ油室30cへ供給されている油
圧が油路R5を通じてポート64dから排出される。
【0053】次に、図2における電子制御装置42内の
主な構成について説明する。
【0054】電子制御装置42内には、増速用電磁弁6
6及び減速用電磁弁68へのデュ−ティ制御指令値のデ
ュ−ティ比を算出する油圧制御信号算出手段124が設
けられている。油圧制御信号算出手段124は、流量制
御装置50の油圧制御信号−流量制御出力特性としての
デュ−ティ比−オリフィス面積特性を記憶しており、こ
の特性に基づいて所望の入力軸26回転速度を得るため
のオリフィス面積に対応したデュ−ティ比を算出し、こ
のデュ−ティ比のデュ−ティ制御指令値を増速用電磁弁
66または減速用電磁弁68へ出力する。さらに本実施
形態においては、電子制御装置42は、所定時間後にお
ける入力軸26回転速度予測値を算出する入力回転速度
予測手段126、この予測手段126で算出された入力
軸26回転速度予測値を用いて入力慣性トルクを算出す
る慣性トルク算出手段130及びこの算出手段130で
算出された入力慣性トルクを用いて挟圧制御信号を算出
しリニアソレノイドへ出力するベルト挟圧力算出手段1
32を備えている。そして、入力回転速度予測手段12
6は、増速用流量制御弁62及び減速用流量制御弁64
前後における作動油の圧力差を算出する差圧検出手段1
28及びプライマリ油室30cにおいて流入出する作動
油流量を算出する油流量算出手段122を備えている。
【0055】次に電子制御装置42内で実行されるベル
ト挟圧力算出ルーチンについて図3に示すフローチャー
ト及び図4に示すタイムチャートを用いて説明する。こ
のベルト挟圧力算出ルーチンの実行はある所定時間おき
ごとに繰り返される。ただし、ここではアップシフト時
にベルト挟圧力を増加させる場合についてのみ説明し、
ダウンシフト時にベルト挟圧力を減少させる場合につい
ては説明を省略するが、ダウンシフト時も同様のルーチ
ンで実現できる。
【0056】まずステップ(以下Sとする)101にお
いて、現サンプル時刻nでのエンジン回転速度Ne
(n)、入力軸26回転速度Nin(n)、出力軸36回転速
度Nout(n)、スロットル開度TA(n)及びセカンダリ
油室32c内の作動油圧力Pout(n)が読み込まれる。
次にS102に進み、時刻nでの入力軸26目標回転速
度NT(n)と入力軸26回転速度Nin(n)との差が負で
あるか否かを判定することで、アップシフトを行うか否
かを判定する。S102の判定結果がNOの場合は、本
ルーチンの実行を終了する。一方、S102の判定結果
がYESの場合はS103に進み、油圧制御信号算出手
段124内で算出された入力軸26回転速度目標値NT
(n)に基づいて、増速用電磁弁66へ出力するための時
刻nでのデュ−ティ制御指令値のデュ−ティ比DS1
(n)を算出する。
【0057】S104では、時刻nでのプライマリ油室
30cの圧力Pin(n)を算出する。ここで、プライマリ
油室30cの圧力Pin(n)については、圧力センサを用
いない場合は、差圧検出手段128において、(1)式
から算出することができる。
【0058】
【数1】 Pin(n)=(Win(n)−kin×Nin(n)2)/Sin (1) ここで、kinはプライマリシーブ遠心油圧係数、Sin
プライマリ可動側シーブ半体30aの受圧面積である。
in(n)は時刻nでのプライマリ可動側シーブ半体30
aの推力であり、(2)式で表される。
【0059】
【数2】 Win(n)=Wout(n)/ (a+b×log10γ(n)+c×Tin(n)+d×Nin(n)) (2) ここで、係数a、b、c、dは実験により求められる。
γ(n)は時刻nでの変速比であり、入力軸26回転速度
in(n)、出力軸36回転速度Nout(n)から算出する
ことができる。Tin(n)は時刻nでの入力軸26トルク
であり、エンジントルクTe(n)、トルクコンバータ1
0のトルク比t(n)及び入力慣性トルクに基づいて算出
することができる。ここで、エンジントルクTe(n)は
例えばスロットル開度TA(n)及びエンジン回転速度N
e(n)から算出することができ、トルク比t(n)は(N
in(n)/Ne(n))の関数であり、入力慣性トルクは入
力軸26回転速度Nin(n)の時間変化量から算出するこ
とができる。Wout(n)は時刻nでのセカンダリ可動側
シーブ半体32aの推力であり、(3)式で表される。
【0060】
【数3】 Wout(n)=Pout(n)×Sout+kout×Nout(n)2 (3) ここで、koutはセカンダリシーブ遠心油圧係数、Nout
(n)は時刻nでの出力軸36回転速度、Soutはセカン
ダリ可動側シーブ半体32aの受圧面積である。
【0061】S105では、油流量算出手段122にお
いて、時刻nでのプライマリ油室30cへ流入している
流量Qmodel(n)を以下に示す物理モデルを用いて算出
する。ここで、流量Qmodel(n)は(4)式で表され
る。
【0062】
【数4】 Qmodel(n)=C×A(n)×(2×δP(n)/ρ)0.5 (4) ここで、Cは流量係数、A(n)は時刻nでの増速用流量
制御弁62内のオリフィス面積、ρは油の密度、δP
(n)は時刻nで増速用流量制御弁62前後における圧力
差である。流量係数Cは、オリフィス面積A(n)、作動
油温度等から実験により設定される。δP(n)は、アッ
プシフト時は時刻nでのライン圧PL(n)とプライマリ
油室30cの圧力Pin(n)との差となる。ライン圧PL
(n)は、セカンダリ油室32c内の作動油圧力P
out(n)から算出することができる。オリフィス面積A
(n)については、増速用電磁弁66へのデュ−ティ制御
指令値のデュ−ティ比DS1(n)と増速用流量制御弁6
2内のオリフィス面積A(n)と間の動特性を考慮した特
性モデルを用いて算出することができる。例えば、デュ
−ティ比DS1(n)とオリフィス面積A(n)との間の動
特性は、時定数t0の1次遅れモデルで考える。ここ
で、t0の値については、実験により設定され、作動油
温度の関数である。
【0063】S106では、入力回転速度予測手段12
6において、流量Qmodel(n)からプライマリ可動側シ
ーブ半体30aの移動速度を算出する。次にS107に
進み、入力回転速度予測手段126において、時刻nか
ら所定時間δT後の変速比予測値γmodel(n+δT)
を、シーブ半体位置−変速比特性の非線型特性を考慮し
て以下のようにして算出する。まず変速比γ(n)とシー
ブ半体位置−変速比特性から時刻nでのプライマリ可動
側シーブ半体30aの位置x(n)を算出し、次に所定時
間δT後のプライマリ可動側シーブ半体30aの予測位
置xmodel(n+δT)を流量Qmodel(n)が一定であると
して算出する。そして、予測位置xmodel(n+δT)と
シーブ半体位置−変速比特性から変速比予測値γ
model(n+δT)を算出する。
【0064】S108では、入力回転速度予測手段12
6において、時刻nから所定時間δT後の入力軸26回
転速度予測値NINmodel(n+δT)を算出する。ここ
で、予測値NINmodel(n+δT)は(5)式で表され
る。
【0065】
【数5】 NINmodel(n+δT)=γmodel(n+δT)×Nout(n) (5) S109では、慣性トルク算出手段130において、S
108で算出された入力軸26回転速度予測値NIN
model(n+δT)を用いて入力軸26回転速度の時間変
化量δNINmodel(n)を算出する。ここで、時間変化
量δNINmodel(n)はアップシフトの場合は(6)式
で表される。
【0066】
【数6】 δNINmodel(n)=(Nin(n)−NINmodel(n+δT))/δT (6) S110では、慣性トルク算出手段130において、S
109で算出された入力軸26回転速度の時間変化量δ
NINmodel(n)を用いて入力慣性トルクTRQI(n)
を算出する。図4のタイムチャートに示すように、入力
軸26トルクはエンジントルク分だけでなく慣性トルク
分も考慮に入れて算出する。ここで、入力慣性トルクT
RQI(n)は(7)式で表される。
【0067】
【数7】 TRQI(n)=Ie×t(n)×δNe(n)+ (Iin+Mblt×RIN(n)2)×δNINmodel(n) (7) ここで、Ieはエンジン、ポンプ翼車10a等のエンジ
ン系イナーシャ、Iinはタービン翼車10b、前後進
切換装置12、プライマリシーブ30等のインプット系
イナーシャ、MbltはVベルト34の質量、RIN
(n)はVベルト34のプライマリシーブ30への懸かり
半径(変速比γ(n)の関数)である。δNe(n)はエン
ジン回転速度の時間変化量で、トルクコンバータ10の
ロックアップON時(t(n)=1)は、δNe(n)=δ
NINmodel(n)であり、ロックアップOFF時は、δ
Ne(n)=δNINmodel(n)×(Ne(n)/N
in(n))である。
【0068】S111では、ベルト挟圧力算出手段13
2において、セカンダリ油室32c内の作動油圧力目標
値PT(n)を算出し、この目標値PT(n)に基づいた挟
圧制御指令値をリニアソレノイドへ出力して本ルーチン
の実行を終了する。図4のタイムチャートに示すよう
に、ベルト挟圧力Pout(n)は慣性トルクTRQI(n)
分も考慮に入れてさらに増加させる。ここで、セカンダ
リ油室32c内の作動油圧力目標値PT(n)は(8)式
で表される。
【0069】
【数8】 PT(n)=K×(Te(n)×t(n)+TRQI(n))×cosα/ (2×μ×RIN(n)×Sout) (8) ここで、Kは1以上の係数であり、安全率として設定す
る。αはシーブの傾き角で、μはVベルト34とシーブ
との間の摩擦係数である。
【0070】本実施形態においては、まずプライマリ油
室30cへ流入している作動油流量Qmodel(n)を
(4)式に示す物理モデルを用いて算出する。次に、こ
の流量Qm odel(n)を用いて所定時間δT後の変速比予
測値γmodel(n+δT)を算出し、所定時間δT後の入
力軸26回転速度予測値NINmodel(n+δT)を算出
する。このように、実際の変速制御の際のデュ−ティ制
御指令値と入力軸26回転速度Nin(n)との間の物理モ
デルを用いて所定時間δT後の入力軸26回転速度予測
値NINmodel(n+δT)を算出することで、入力軸2
6回転速度予測値NINmodel(n+δT)を精度よく算
出することができる。そして、デュ−ティ比と流量制御
弁内のオリフィス面積との間の動特性を考慮して流量Q
model(n)を算出しているので、流量Qmodel(n)をより
精度よく算出することができ、入力軸26回転速度予測
値NINmodel(n+δT)をより精度よく算出すること
ができる。また、流量Qmodel(n)算出の際に、プライ
マリ油室30c内の作動油圧力Pin(n)を(1)〜
(3)式に示す物理モデルを用いて求めているので、プ
ライマリ油室30c内の作動油圧力を検出するための圧
力センサを省略することができ、コスト削減が図れる。
【0071】そして本実施形態においては、この入力軸
26回転速度予測値NINmodel(n+δT)を用いて入
力慣性トルクTRQI(n)を算出しているので、実際の
慣性トルクに対する時間遅れが発生せず、かつ精度よく
慣性トルクを算出することができる。したがって、ベル
ト挟圧力を入力トルクに応じて最適に制御することがで
きるので、Vベルトの滑りを抑えると同時に燃費低減が
実現できる。
【0072】(2)第2実施形態 図5は、本発明の第2実施形態に係るベルト挟圧力算出
ルーチンを示すフローチャートであり、第1実施形態と
同様にアップシフト時について示したものである。ただ
し、ダウンシフト時も同様のルーチンで実現できる。な
お、図示はしていないが電子制御装置42には、後述す
るベルト挟圧力予測手段及び変速速度制限手段が第1実
施形態からさらに追加されている。その他の油圧制御装
置40等の全体構成については第1実施形態と同様であ
るので説明を省略する。
【0073】S201〜S211については、第1実施
形態のS101〜S111と同様のため説明を省略す
る。S212では、ベルト挟圧力予測手段において、所
定時間δT後におけるセカンダリ油室32c内の作動油
圧力予測値を算出する。ここで、この作動油圧力予測値
については、リニアソレノイドの挟圧制御指令値−圧力
特性の動特性及びポンプ52からの吐出流量と流量制御
装置50やリニアソレノイドでの消費流量に基づいたセ
カンダリ油室32cへ供給可能な圧力最大値を考慮して
算出する。
【0074】S213では、セカンダリ油室32c内の
作動油圧力予測値とセカンダリ油室32c内の作動油圧
力目標値PT(n)との差が負であるか否かが判定され
る。ただし、ここでは予測値の精度を考慮して予測値と
目標値PT(n)との差が閾値以下であるか否かを判定し
てもよい。S213の判定結果がNOの場合は、ベルト
挟圧力を目標値まで発生させることができると判断して
本ルーチンの実行を終了する。一方、S213の判定結
果がYESの場合は、ベルト挟圧力を目標値まで発生さ
せることができないと判断してS214に進む。
【0075】S214〜S221では、変速速度制限手
段において、ベルト滑りの発生しないデュ−ティ比DS
1lim(n)を算出し直し、このデュ−ティ比DS1l
im(n)のデュ−ティ制御指令値を増速用電磁弁66へ
入力して変速速度を制限する。まずS214では、セカ
ンダリ油室32c内の作動油圧力予測値Pmodel(n+δ
T)と(8)式から入力慣性トルク目標値を算出する。
次にS215では、この入力慣性トルク目標値と(7)
式から入力軸26回転速度の時間変化目標値を算出す
る。S216では、この入力軸26回転速度の時間変化
目標値と(6)式から所定時間δT後の入力軸26回転
速度目標値を算出する。S217では、入力軸26回転
速度目標値と(5)式から所定時間δT後の変速比目標
値を算出する。S218では、この変速比目標値、変速
比γ(n)及びシーブ半体位置−変速比特性からプライマ
リ可動側シーブ半体30aの移動速度目標値を算出す
る。S219では、この移動速度目標値からプライマリ
油室30cへ流入する流量目標値を算出する。S220
では、この流量目標値、(4)式及びデュ−ティ比−オ
リフィス面積特性からベルト滑りの発生しないデュ−テ
ィ比DS1lim(n)を算出する。S221では、この
デュ−ティ比DS1lim(n)のデュ−ティ制御指令値
を増速用電磁弁66へ入力することで変速速度を制限し
て本ルーチンの実行を終了する。
【0076】本実施形態においても燃費低減を実現でき
る。さらに本実施形態においては、リニアソレノイドの
動特性及びセカンダリ油室32cへ供給可能な圧力最大
値を考慮してセカンダリ油室32c内の作動油圧力予測
値を算出することで、ベルト挟圧力を目標値まで発生さ
せることができるか否かを判定している。特にエンジン
回転速度Ne(n)が低いときや流量制御装置50、リニ
アソレノイドでの消費流量が大きいときは、ポンプ52
がVベルトの滑りを抑えるための十分な油圧をリニアソ
レノイドへ供給できない場合があり、その場合はVベル
トの滑りが発生する。しかし本実施形態では、ベルト挟
圧力を目標値まで発生させることができない場合は、V
ベルトの滑りが発生しないデュ−ティ比DS1lim
(n)を算出し直し、このデュ−ティ比DS1lim(n)
のデュ−ティ制御指令値を増速用電磁弁66へ入力して
図6のタイムチャートに示すように変速速度を制限して
いる。図6においては、アップシフト動作の初期にデュ
−ティ比を下げて変速速度を制限している場合について
示している。このように、本実施形態ではあらゆる走行
条件において確実にVベルトの滑りを抑えることができ
る。
【0077】(3)第3実施形態 図7は、本発明の第3実施形態に係るフィードバック補
償値算出ルーチンを示すフローチャートであり、第1実
施形態と同様にアップシフト時について示したものであ
る。ただし、ダウンシフト時も同様のルーチンで実現で
きる。そして、ここではフィードバック補償値の比例項
の算出についてのみ説明するが、積分項及び微分項につ
いても比例項と同様の方法で算出できる。なお、図示は
していないが電子制御装置42には、入力軸26回転速
度をフィードバックしてデュ−ティ制御指令値を補償す
るフィードバック補償手段が第1実施形態からさらに追
加されている。その他の油圧制御装置40等の全体構成
については第1実施形態と同様であるので説明を省略す
る。
【0078】S301、S302については、第1実施
形態のS101、S102と同様のため説明を省略す
る。S302の判定結果がYESの場合はS303に進
み、入力軸26回転速度目標値NT(n)と入力軸26回
転速度Nin(n)との偏差が算出される。
【0079】S304〜S310については、第1実施
形態のS103〜S109と同様のため説明を省略す
る。次にS311では、フィードバック補償手段におい
て、フィードバックゲインKp(n)を算出する。フィー
ドバックゲインKp(n)は(9)式で表される。
【0080】
【数9】 Kp(n)=Kref×δNINref(n)/δNINmodel(n) (9) ここで、Krefは、標準走行状態(作動油温度TOIL、変
速比γ(n)、出力軸36回転速度Nout(n)及び入力軸
26トルクTin(n)がそれぞれ所定値)において適合を
行った最適フィードバックゲインである。δNIN
ref(n)は、上記の標準状態において、デュ−ティ比D
S1(n)における入力軸26回転速度の時間変化量で、
デュ−ティ比DS1(n)と増速用流量制御弁62内のオ
リフィス面積A(n)と間の動特性及びプライマリ可動側
シーブ半体30aの動特性を考慮して算出する。
【0081】S312では、フィードバック補償手段に
おいて、デュ−ティ比の補償値DFB(n)を算出し、こ
の補償値DFB(n)分補償されたデュ−ティ比のデュ−
ティ制御指令値を増速用電磁弁66へ出力して本ルーチ
ンの実行を終了する。ここで、補償値DFB(n)は(1
0)式で表される。
【0082】
【数10】 DFB(n)=Kp(n)×|NT(n)−Nin(n)| (10) 本実施形態においては、第1実施形態と同様に入力軸2
6回転速度予測値NINmodel(n+δT)を用いて入力
軸26回転速度の時間変化量δNINmodel(n)を算出
し、この入力軸26回転速度の時間変化量δNIN
model(n)と標準走行状態における入力軸26回転速度
の時間変化量δNINref(n)に基づいて、フィードバ
ックゲインKp(n)を算出している。ここで、δNIN
model(n)が標準走行状態のδNINref(n)より大きい
場合はKp(n)が標準走行状態のKrefより小さくな
り、δNINmodel(n)が標準走行状態のδNIN
ref(n)より小さい場合はKp(n)が標準走行状態のK
refより大きくなるようにKp(n)が算出される。入力
軸26回転速度の時間変化量δNINmodel(n)は、時
間遅れなく、かつ精度よく算出することができるので、
(9)式によりフィードバックゲインKp(n)を算出す
ることで、標準走行状態におけるフィードバックゲイン
の適合を行うだけで、他のあらゆる走行状態においても
フィードバックゲインを適正化することができる。した
がって、フィードバックゲインKp(n)を算出するため
の制御マップの作成時間を大幅に短縮することができ
る。
【0083】なお、本実施形態におけるフィードバック
ゲインKp(n)の算出方法は(9)式に限るものではな
く、δNINmodel(n)がδNINref(n)より大きい場
合はKp(n)がKrefより小さくなり、δNIN
model(n)がδNINref(n)より小さい場合はKp(n)
がKrefより大きくなるようにKp(n)を設定すること
で、あらゆる走行状態において適合されたフィードバッ
クゲインを設定することができる。また、本実施形態で
は変速比γ(n)をフィードバックして設定された変速比
目標値と一致するようにフィードバック制御を行っても
よい。
【0084】以上の実施形態においては、ベルト式無段
変速機の場合について説明したが、各実施形態における
入力回転速度予測手段と慣性トルク算出手段及び第3実
施形態におけるフィードバック補償手段については、エ
ンジン側の入力ディスクと車輪側の出力ディスクとの間
に挟持されたパワーローラの傾転角を変更することで変
速比を連続的に変更するトロイダル式無段変速機の場合
についても適用可能である。そして、各実施形態におけ
るルーチンについては、アップシフトの場合について説
明したが、本発明はダウンシフトの場合についても適用
できる。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
入力回転速度検出手段の検出値、出力回転速度検出手段
の検出値及び油圧制御信号に基づいて所定時間後におけ
る無段変速機の入力回転速度予測値を算出するので、所
定時間後の入力回転速度を精度よく算出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る無段変速機の制御装
置を含む車両用動力伝達装置の構成を示す図である。
【図2】 本発明の実施形態における油圧制御装置及び
電子制御装置の構成の概略を示す図である。
【図3】 本発明の第1実施形態におけるベルト挟圧力
算出ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】 本発明の第1実施形態におけるアップシフト
時の入力軸回転速度、デュ−ティ比、変速比、入力トル
ク及びベルト挟圧力の時間変化を示すタイムチャートで
ある。
【図5】 本発明の第2実施形態におけるベルト挟圧力
算出ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】 本発明の第2実施形態におけるアップシフト
時の入力軸回転速度、デュ−ティ比、変速比、入力トル
ク及びベルト挟圧力の時間変化を示すタイムチャートで
ある。
【図7】 本発明の第3実施形態におけるフィードバッ
ク補償値算出ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 トルクコンバータ、12 前後進切換装置、14
ベルト式無段変速機、30 プライマリシーブ、32
セカンダリシーブ、34 Vベルト、40油圧制御装
置、42 電子制御装置、50 流量制御装置、60
セカンダリ圧制御装置、62 増速用流量制御弁、64
減速用流量制御弁、66 増速用電磁弁、68 減速
用電磁弁、90 ライン圧制御装置、122 油流量算
出手段、124 油圧制御信号算出手段、126 入力
回転速度予測手段、128 差圧検出手段、130 慣
性トルク算出手段、132 ベルト挟圧力算出手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 59:42 F16H 59:42 59:68 59:68 63:06 63:06 (72)発明者 松尾 賢治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 寺島 正人 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 近藤 宏紀 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3J552 MA07 MA09 MA12 MA26 NA01 NB01 PA59 SA59 TA01 VA32W VA34W VA37W VA48Z VA52W VC01Z VC03Z (54)【発明の名称】 無段変速機の入力回転速度予測装置、無段変速機の入力慣性トルク算出装置、それらのいずれか を含む無段変速機の制御装置、無段変速機の入力回転速度予測方法、無段変速機の入力慣性トル ク算出方法及びそれらのいずれかを用いた無段変速機の制御方法

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動油の流入出によって駆動されること
    で変速比を連続的に変化させる変速機構を有する無段変
    速機の入力回転速度を予測する装置であって、 無段変速機の入力回転速度を検出する入力回転速度検出
    手段と、 無段変速機の出力回転速度を検出する出力回転速度検出
    手段と、 入力される油圧制御信号に基づいて、前記変速機構にお
    いて流入出する作動油流量を制御する流量制御手段と、 前記入力回転速度検出手段の検出値、前記出力回転速度
    検出手段の検出値及び前記油圧制御信号に基づいて所定
    時間後における入力回転速度予測値を算出する入力回転
    速度予測手段と、 を有することを特徴とする無段変速機の入力回転速度予
    測装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の無段変速機の入力回転
    速度予測装置であって、 前記入力回転速度予測手段は、 前記流量制御手段前後における作動油の圧力差を検出す
    る差圧検出手段と、前記油圧制御信号と前記差圧検出手
    段の検出値に基づいて前記変速機構において流入出する
    作動油流量を算出する油流量算出手段と、を有し、 前記入力回転速度検出手段の検出値、前記出力回転速度
    検出手段の検出値及び前記油流量算出手段の算出値に基
    づいて前記入力回転速度予測値を算出することを特徴と
    する無段変速機の入力回転速度予測装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の無段変速機の入力回転
    速度予測装置であって、 前記油流量算出手段は、前記油圧制御信号、前記差圧検
    出手段の検出値及び前記油圧制御信号と前記流量制御手
    段の流量制御出力との間の動特性モデルに基づいて前記
    変速機構において流入出する作動油流量を算出すること
    を特徴とする無段変速機の入力回転速度予測装置。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の無段変速機の
    入力回転速度予測装置であって、 前記変速機構は、原動機からの駆動トルクが入力される
    プライマリシーブと、該駆動トルクを負荷へ出力するセ
    カンダリシーブと、プライマリシーブ及びセカンダリシ
    ーブに掛け回されたベルトと、を備え、 前記流量制御手段は、プライマリシーブにおいて流入出
    する作動油流量を制御することで変速比を制御する無段
    変速機の入力回転速度予測装置において、 プライマリシーブへの入力トルクを検出する入力トルク
    検出手段と、 セカンダリシーブ内の作動油圧力を検出するセカンダリ
    圧力検出手段と、 をさらに有し、 前記差圧検出手段は、前記入力回転速度検出手段の検出
    値、前記出力回転速度検出手段の検出値、前記入力トル
    ク検出手段の検出値及び前記セカンダリ圧力検出手段の
    検出値に基づいて前記流量制御手段前後における作動油
    の圧力差を検出することを特徴とする無段変速機の入力
    回転速度予測装置。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の無段変速機の入力回転
    速度予測装置であって、 前記流量制御出力は、前記流量制御手段のオリフィス面
    積であることを特徴とする無段変速機の入力回転速度予
    測装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれか1に記載の無段
    変速機の入力回転速度予測装置を含む無段変速機の入力
    慣性トルク算出装置であって、 前記入力回転速度予測値及び前記入力回転速度検出手段
    の検出値に基づいて無段変速機の入力慣性トルクを算出
    する慣性トルク算出手段をさらに有することを特徴とす
    る無段変速機の入力慣性トルク算出装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の無段変速機の入力慣性
    トルク算出装置を含む無段変速機の制御装置であって、 前記変速機構は、原動機からの駆動トルクが入力される
    プライマリシーブと、該駆動トルクを負荷へ出力するセ
    カンダリシーブと、プライマリシーブ及びセカンダリシ
    ーブに掛け回されたベルトと、備え、 前記流量制御手段は、プライマリシーブにおいて流入出
    する作動油流量を制御することで変速比を制御する無段
    変速機の制御装置において、 入力される挟圧制御信号に基づいてセカンダリシーブへ
    供給する油圧を制御することでベルト挟圧力を制御する
    ベルト挟圧力制御手段と、 前記慣性トルク算出手段により算出された入力慣性トル
    クに基づいて前記挟圧制御信号を算出するベルト挟圧力
    算出手段と、 をさらに有することを特徴とする無段変速機の制御装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の無段変速機の制御装置
    であって、 所定時間後におけるベルト挟圧力最大値を考慮したベル
    ト挟圧力予測値を算出するベルト挟圧力予測手段と、 前記ベルト挟圧力予測値が前記慣性トルク算出手段によ
    り算出された入力慣性トルクに基づく所定値より小さい
    場合は、前記ベルト挟圧力予測値、前記入力回転速度検
    出手段の検出値及び前記出力回転速度検出手段の検出値
    に基づいて前記油圧制御信号を算出し直し、この算出し
    直した油圧制御信号を前記流量制御手段に入力する変速
    速度制限手段と、 をさらに有することを特徴とする無段変速機の制御装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれか1に記載の無段
    変速機の入力回転速度予測装置を含む無段変速機の制御
    装置であって、 前記入力回転速度検出手段の検出値または変速比をフィ
    ードバックして前記油圧制御信号を補償するフィードバ
    ック補償手段をさらに有し、 該フィードバック補償手段は、前記入力回転速度予測値
    及び前記入力回転速度検出手段の検出値に基づいてフィ
    ードバックゲインを算出することを特徴とする無段変速
    機の制御装置。
  10. 【請求項10】 作動油の流入出によって駆動されるこ
    とで変速比を連続的に変化させる変速機構を有する無段
    変速機の入力回転速度を予測する方法であって、 油圧制御信号を流量制御手段に入力して前記変速機構に
    おいて流入出する作動油流量を制御し、 無段変速機の入力回転速度を検出し、 無段変速機の出力回転速度を検出し、 前記入力回転速度、前記出力回転速度及び前記油圧制御
    信号に基づいて所定時間後における入力回転速度予測値
    を算出することを特徴とする無段変速機の入力回転速度
    予測方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の無段変速機の入力
    回転速度予測方法であって、 前記流量制御手段前後における作動油の圧力差を検出
    し、 前記油圧制御信号と前記圧力差に基づいて前記変速機構
    において流入出する作動油流量を算出し、 前記入力回転速度、前記出力回転速度及び前記作動油流
    量に基づいて所定時間後における入力回転速度予測値を
    算出することを特徴とする無段変速機の入力回転速度予
    測方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の無段変速機の入力
    回転速度予測方法であって、 前記油圧制御信号、前記圧力差及び前記油圧制御信号と
    前記流量制御手段の流量制御出力との間の動特性モデル
    に基づいて前記変速機構において流入出する作動油流量
    を算出することを特徴とする無段変速機の入力回転速度
    予測方法。
  13. 【請求項13】 請求項11または12に記載の無段変
    速機の入力回転速度予測方法であって、 前記変速機構は、原動機からの駆動トルクが入力される
    プライマリシーブと、該駆動トルクを負荷へ出力するセ
    カンダリシーブと、プライマリシーブ及びセカンダリシ
    ーブに掛け回されたベルトと、を備え、 前記流量制御手段は、プライマリシーブにおいて流入出
    する作動油流量を制御することで変速比を制御し、 プライマリシーブへの入力トルクを検出し、 セカンダリシーブ内の作動油圧力を検出し、 前記入力回転速度、前記出力回転速度、前記入力トルク
    及び前記セカンダリシーブ内の作動油圧力に基づいて前
    記流量制御手段前後における作動油の圧力差を検出する
    ことを特徴とする無段変速機の入力回転速度予測方法。
  14. 【請求項14】 請求項12に記載の無段変速機の入力
    回転速度予測方法であって、 前記流量制御出力は、前記流量制御手段のオリフィス面
    積であることを特徴とする無段変速機の入力回転速度予
    測方法。
  15. 【請求項15】 請求項10〜12のいずれか1に記載
    の無段変速機の入力回転速度予測方法を用いた無段変速
    機の入力慣性トルク算出方法であって、 前記入力回転速度予測値及び前記入力回転速度に基づい
    て無段変速機の入力慣性トルクを算出することを特徴と
    する無段変速機の入力慣性トルク算出方法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の無段変速機の入力
    慣性トルク算出方法を用いた無段変速機の制御方法であ
    って、 前記変速機構は、原動機からの駆動トルクが入力される
    プライマリシーブと、該駆動トルクを負荷へ出力するセ
    カンダリシーブと、プライマリシーブ及びセカンダリシ
    ーブに掛け回されたベルトと、を備え、 前記流量制御手段は、プライマリシーブにおいて流入出
    する作動油流量を制御することで変速比を制御し、 前記入力慣性トルクに基づいて挟圧制御信号を算出し、 該挟圧制御信号をベルト挟圧力制御手段に入力してセカ
    ンダリシーブへ供給する油圧を制御することでベルト挟
    圧力を制御することを特徴とする無段変速機の制御方
    法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の無段変速機の制御
    方法であって、 所定時間後におけるベルト挟圧力最大値を考慮したベル
    ト挟圧力予測値を算出し、 前記ベルト挟圧力予測値が前記入力慣性トルクに基づく
    所定値より小さい場合は、前記ベルト挟圧力予測値、前
    記入力回転速度及び前記出力回転速度に基づいて前記油
    圧制御信号を算出し直し、この算出し直した油圧制御信
    号を前記流量制御手段に入力することを特徴とする無段
    変速機の制御方法。
  18. 【請求項18】 請求項10〜14のいずれか1に記載
    の無段変速機の入力回転速度予測方法を用いた無段変速
    機の制御方法であって、 前記入力回転速度または変速比をフィードバックして前
    記油圧制御信号をフィードバック補償し、 そのフィードバックゲインは、前記入力回転速度予測値
    及び前記入力回転速度に基づいて算出されることを特徴
    とする無段変速機の制御方法。
JP2002072878A 2002-03-15 2002-03-15 無段変速機の入力回転速度予測装置、無段変速機の入力慣性トルク算出装置、それらのいずれかを含む無段変速機の制御装置、無段変速機の入力回転速度予測方法、無段変速機の入力慣性トルク算出方法及びそれらのいずれかを用いた無段変速機の制御方法 Pending JP2003269588A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002072878A JP2003269588A (ja) 2002-03-15 2002-03-15 無段変速機の入力回転速度予測装置、無段変速機の入力慣性トルク算出装置、それらのいずれかを含む無段変速機の制御装置、無段変速機の入力回転速度予測方法、無段変速機の入力慣性トルク算出方法及びそれらのいずれかを用いた無段変速機の制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002072878A JP2003269588A (ja) 2002-03-15 2002-03-15 無段変速機の入力回転速度予測装置、無段変速機の入力慣性トルク算出装置、それらのいずれかを含む無段変速機の制御装置、無段変速機の入力回転速度予測方法、無段変速機の入力慣性トルク算出方法及びそれらのいずれかを用いた無段変速機の制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003269588A true JP2003269588A (ja) 2003-09-25

Family

ID=29202754

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002072878A Pending JP2003269588A (ja) 2002-03-15 2002-03-15 無段変速機の入力回転速度予測装置、無段変速機の入力慣性トルク算出装置、それらのいずれかを含む無段変速機の制御装置、無段変速機の入力回転速度予測方法、無段変速機の入力慣性トルク算出方法及びそれらのいずれかを用いた無段変速機の制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003269588A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7654935B2 (en) 2006-07-10 2010-02-02 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Shift control system and shift control method for continuously variable transmission
JP2011047459A (ja) * 2009-08-26 2011-03-10 Jatco Ltd 無段変速機及びその制御方法
WO2013094292A1 (ja) * 2011-12-19 2013-06-27 日産自動車株式会社 Vベルト式無段変速機のベルト挟圧力制御装置
WO2013094291A1 (ja) * 2011-12-19 2013-06-27 日産自動車株式会社 Vベルト式無段変速機のベルト挟圧力制御装置
WO2019167507A1 (ja) * 2018-02-27 2019-09-06 ジヤトコ株式会社 自動変速機のロックアップ制御装置および制御方法

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61271134A (ja) * 1985-05-28 1986-12-01 Toyota Motor Corp 車両用無段変速機の速度比制御装置
JPH03189457A (ja) * 1989-12-20 1991-08-19 Fuji Heavy Ind Ltd 無段変速機の制御装置
JPH0611022A (ja) * 1992-06-23 1994-01-21 Hitachi Ltd Vベルト式無段階変速装置の制御方法及びその制御装置
JPH08338515A (ja) * 1995-04-12 1996-12-24 Nissan Motor Co Ltd 無段自動変速機の制御装置
JPH1182715A (ja) * 1997-09-01 1999-03-26 Nissan Motor Co Ltd 無段変速機の変速制御装置
JPH11166612A (ja) * 1997-12-02 1999-06-22 Nissan Motor Co Ltd トロイダル型無段変速機の変速制御装置
JP2000337488A (ja) * 1999-05-26 2000-12-05 Nissan Motor Co Ltd 自動変速機の油圧制御装置
JP2001021031A (ja) * 1999-07-07 2001-01-26 Mitsubishi Motors Corp 車両用無段変速機の変速制御装置
JP2001090825A (ja) * 1999-09-24 2001-04-03 Mitsubishi Motors Corp 変速機の入力トルク算出装置
JP2001182816A (ja) * 1999-12-28 2001-07-06 Unisia Jecs Corp 自動変速機の制御装置
JP2001221334A (ja) * 2000-02-04 2001-08-17 Unisia Jecs Corp 自動変速機の制御装置
JP2001324007A (ja) * 2000-05-16 2001-11-22 Toyota Motor Corp 無段変速機の変速制御装置

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61271134A (ja) * 1985-05-28 1986-12-01 Toyota Motor Corp 車両用無段変速機の速度比制御装置
JPH03189457A (ja) * 1989-12-20 1991-08-19 Fuji Heavy Ind Ltd 無段変速機の制御装置
JPH0611022A (ja) * 1992-06-23 1994-01-21 Hitachi Ltd Vベルト式無段階変速装置の制御方法及びその制御装置
JPH08338515A (ja) * 1995-04-12 1996-12-24 Nissan Motor Co Ltd 無段自動変速機の制御装置
JPH1182715A (ja) * 1997-09-01 1999-03-26 Nissan Motor Co Ltd 無段変速機の変速制御装置
JPH11166612A (ja) * 1997-12-02 1999-06-22 Nissan Motor Co Ltd トロイダル型無段変速機の変速制御装置
JP2000337488A (ja) * 1999-05-26 2000-12-05 Nissan Motor Co Ltd 自動変速機の油圧制御装置
JP2001021031A (ja) * 1999-07-07 2001-01-26 Mitsubishi Motors Corp 車両用無段変速機の変速制御装置
JP2001090825A (ja) * 1999-09-24 2001-04-03 Mitsubishi Motors Corp 変速機の入力トルク算出装置
JP2001182816A (ja) * 1999-12-28 2001-07-06 Unisia Jecs Corp 自動変速機の制御装置
JP2001221334A (ja) * 2000-02-04 2001-08-17 Unisia Jecs Corp 自動変速機の制御装置
JP2001324007A (ja) * 2000-05-16 2001-11-22 Toyota Motor Corp 無段変速機の変速制御装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7654935B2 (en) 2006-07-10 2010-02-02 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Shift control system and shift control method for continuously variable transmission
JP2011047459A (ja) * 2009-08-26 2011-03-10 Jatco Ltd 無段変速機及びその制御方法
WO2013094292A1 (ja) * 2011-12-19 2013-06-27 日産自動車株式会社 Vベルト式無段変速機のベルト挟圧力制御装置
WO2013094291A1 (ja) * 2011-12-19 2013-06-27 日産自動車株式会社 Vベルト式無段変速機のベルト挟圧力制御装置
WO2019167507A1 (ja) * 2018-02-27 2019-09-06 ジヤトコ株式会社 自動変速機のロックアップ制御装置および制御方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1158215B1 (en) Method and apparatus to control continuously variable transmission of motor vehicle
US20050215393A1 (en) Shift control apparatus and method for belt type continuously variable transmission
JPH08285021A (ja) 無段変速機の制御装置
JP4034148B2 (ja) ベルト式無段変速機
JP2003343709A (ja) 無段変速機の制御装置
JP2001330140A (ja) 車両用クラッチの制御装置
JP4395137B2 (ja) 車両のトルク制御装置
US8831846B2 (en) Controller of continuously variable transmission
JP2003269588A (ja) 無段変速機の入力回転速度予測装置、無段変速機の入力慣性トルク算出装置、それらのいずれかを含む無段変速機の制御装置、無段変速機の入力回転速度予測方法、無段変速機の入力慣性トルク算出方法及びそれらのいずれかを用いた無段変速機の制御方法
JP2007296959A (ja) 車両の制御装置
JP4951172B2 (ja) 無段変速機の制御装置
JP2006214555A (ja) 無段変速機制御装置及び無段変速機制御方法
JP2003343711A (ja) 車両用ベルト式無段変速機のベルト滑り判定装置及びそれを含む車両用ベルト式無段変速機の制御装置
JP2003227564A (ja) 無段変速機の制御装置
US20070197323A1 (en) Hydraulic pressure control device for vehicle continuously variable transmission
JP4826166B2 (ja) 車両用無段変速機の油圧制御装置
JP4561437B2 (ja) ベルト式無段変速機の変速制御装置
JP4561412B2 (ja) ベルト式無段変速機の変速制御装置
JP4277763B2 (ja) 無段変速機の油圧制御装置
JP2007192335A (ja) 発進摩擦要素制御装置
JP2005172011A (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP4110837B2 (ja) 無段変速機の作動油漏れ量算出装置及びそれを含む無段変速機の制御装置
JP4339565B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP4700275B2 (ja) 無段変速機の制御装置
JP5374880B2 (ja) 無段変速機の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080520

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081014