JP4826166B2 - 車両用無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

車両用無段変速機の油圧制御装置 Download PDF

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本発明は車両用無段変速機の油圧制御装置に係り、特に、入力側油圧室の油圧のフィードバック制御が不可の時に走行条件の相違に拘らず適切な変速比γとなるように入力側油圧室の油圧を制御できる油圧制御装置に関するものである。
駆動源側の入力側油圧室と、駆動輪側の出力側油圧室とを有し、回転速度に基づいてその入力側油圧室の油圧をフィードバック制御する車両用無段変速機の油圧制御装置が広く知られているが、回転速度センサが回転速度を検出不可或いは誤検出する可能性のある場合や、回転速度センサがフェールした場合には、フィードバック制御が不可になるため、入力側油圧室の油圧が出力側油圧室の油圧に対して所定の比率となるように、その入力側油圧室の油圧を制御することが提案されている。特許文献1に記載の油圧制御装置はその一例で、ベルト式無段変速機に関するものであり、プライマリシーブ圧(入力側油圧室の油圧)を制御する減圧弁に対してセカンダリシーブ圧(出力側油圧室の油圧)を導入し、そのセカンダリシーブ圧に対してプライマリーシーブ圧が所定の比率となるように制御している。すなわち、プライマリシーブ圧に対するセカンダリシーブ圧の比率である推力比τ(=セカンダリシーブ圧/プライマリシーブ圧)が大きくなる程、セカンダリシーブのベルト掛かり径が大きくなってベルト式無段変速機の変速比γ(=プライマリシーブの回転速度/セカンダリシーブの回転速度)は大きくなるため、この推力比τによって例えば変速比γが最大になるように制御することができるのである。これにより、発進時に最大変速比による大きな駆動力で発進できるようになる。
特開2005−42799号公報
しかしながら、変速比γは推力比τに応じて一義的に定まるものではなく、駆動か被駆動か、或いはセーフティファクター(限界伝達トルク容量/実際の伝達トルク)等の走行条件によって変化するため、変速比γが小さくなって発進性能が低下したり、必要以上に大きな推力(油圧)により伝達効率が低下したり耐久性が損なわれたりする可能性があった。
すなわち、図8に示すように、基本的には推力比τが大きくなる程変速比γは大きくなるが、駆動源側から駆動輪側へ動力伝達する駆動時には、無負荷の時よりも変速比γが大きくなるように特性が変化し、逆にエンジンブレーキ時のように駆動輪側から駆動源側へ動力伝達する被駆動時には、無負荷の時よりも変速比γが小さくなるように特性が変化する。また、駆動時においてセーフティファクターS.F.が小さくなると、変速比γが更に大きくなるように特性が変化し、被駆動時においてセーフティファクターS.F.が小さくなると、変速比γが更に小さくなるように特性が変化する。このため、発進時等の駆動時で且つ伝達トルクが大きくてセーフティファクターS.F.が小さい場合に変速比γが最大となるように推力比τを定める、つまり前述の減圧弁の所定比率を定めると、コースト走行等の被駆動状態で停車した場合には変速比γが小さくなるため、その後の発進時に十分な駆動力が得られず、もたつき感を生じさせる恐れがある。これに対し、被駆動時で且つ伝達トルクが大きくてセーフティファクターS.F.が小さい場合に変速比γが最大となるように、最も大きい推力比τを定めれば、つまり前述の減圧弁の所定比率を定めると、停車時の走行条件に拘らず変速比γは最大に保持され、常に大きな変速比γによる大きな駆動力で良好に発進できるようになるが、駆動時にベルト滑り防止のためにプライマリシーブ圧を高くすると、推力比τ、つまり前述の減圧弁の所定の比率に応じてセカンダリシーブ圧を必要以上に高くする必要があるため、伝達効率が悪化したり耐久性が損なわれたりする恐れがある。
また、推力比τが一定となるように入力側油圧室の油圧および出力側油圧室の油圧が制御されると、走行中に回転速度センサ等のフェールでフィードバック制御が不可になった場合、その時の走行条件と推力比τとに応じて変速比γが一義的に定まるため、変速比γが急に大きく変化したり、変速比γが増大して駆動源の回転速度が異常に高くなったりエンジンブレーキ等により大きな減速度が生じたりする可能性がある。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、入力側油圧室の油圧のフィードバック制御が不可の時に、走行条件の相違に拘らず適切な変速比γとなるように入力側油圧室の油圧を制御できるようにすることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、駆動源側の入力側油圧室と、駆動輪側の出力側油圧室とを有し、回転速度に基づいてその入力側油圧室の油圧をフィードバック制御する車両用無段変速機の油圧制御装置において、(a) 前記フィードバック制御が不可の時には、所定の変速比γが得られる推力比τを駆動状態か被駆動状態か、セーフティファクターの大小、および車速の少なくとも一つを含む走行条件に応じて求め、その推力比τとなるようにソレノイド油圧を用いて前記入力側油圧室の油圧を制御する推力比制御手段を有し、且つ、(b) 前記出力側油圧室の油圧がパイロット圧として導入されるとともに前記ソレノイド油圧が供給される推力比コントロールバルブを備えており、その推力比コントロールバルブから出力されるコントロール圧に基づいて前記入力側油圧室の油圧が制御されることにより前記推力比τが制御されるとともに、(c) その推力比コントロールバルブは、前記ソレノイド油圧を出力するソレノイドバルブが非励磁の場合にそのソレノイド油圧によって制御される前記コントロール圧により、前記変速比γを最大にすることができる最も小さい推力比τ min となり、そのソレノイドバルブが励磁されることによって推力比τを増大させるように構成されていることを特徴とする。
第2発明は、第1発明の車両用無段変速機の油圧制御装置において、前記ソレノイド油圧は、駆動源と無段変速機との間に配設される流体式伝動装置のロックアップクラッチの係合圧を制御するロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブの出力油圧であることを特徴とする。
このような車両用無段変速機の油圧制御装置においては、所定の変速比γが得られる推力比τを駆動状態か被駆動状態か、セーフティファクターの大小、および車速の少なくとも一つを含む走行条件に応じて求め、その推力比τとなるようにソレノイド油圧を用いて入力側油圧室の油圧を制御するため、その走行条件の相違に拘らず適切な変速比γとなるように、入力側油圧室の油圧を制御することが可能となる。これにより、例えば極低車速で回転速度センサによる回転速度の検出が困難でフィードバック制御が不可の場合には、駆動状態か被駆動状態か、或いはセーフティファクターの大小等に拘らず常に最大の変速比γとなるように、それ等の走行条件に応じて求められる所定の推力比τとなるように、ソレノイド油圧により入力側油圧室の油圧を制御すれば、発進時には常に変速比γが最大になり、優れた発進性能を確保しつつ、駆動時等に推力比τを低下させることにより出力側油圧室の油圧が必要以上に大きくなることを抑制し、伝達効率が悪化したり耐久性が損なわれたりすることを防止できる。また、走行中に回転速度センサのフェールでフィードバック制御が不可になった場合には、その時の車速等に応じて定められる適切な変速比γとなるように、駆動状態か被駆動状態か、セーフティファクターの大きさ等の走行条件に応じて求められる所定の推力比τとなるように、ソレノイド油圧により入力側油圧室の油圧を制御することにより、変速比γが急に大きく変化したり駆動源の回転速度が異常に高くなったり駆動源ブレーキで大きな減速度が発生したりすることを防止できる。
第2発明では、ロックアップクラッチの係合圧を制御するロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブを利用して入力側油圧室の油圧を制御するため、新たにソレノイドバルブを追加して設ける場合に比較して、装置を簡単且つ安価に構成できる。すなわち、本発明の制御は、通常は車両発進時等の極低車速時に行われるが、その極低車速時にはロックアップクラッチは解放状態であり、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブは使われていないため、ロックアップクラッチが係合しない範囲でこれを利用することにより、新たなソレノイドバルブを追加することなく入力側油圧室の油圧を制御することができるのである。
なお、このようにロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブから油圧が出力されると、その出力油圧により例えばロックアップコントロールバルブが作動してロックアップ係合圧が発生し、ロックアップクラッチが係合してエンジンストールを生じる可能性があるが、ロックアップコントロールバルブの作動初期圧が高くなるようにスプリングや受圧面積等を設定して不感帯を設けたり、車両発進時に出力される油圧、例えばクラッチアプライコントロールバルブを切換制御するソレノイドバルブの出力油圧をロックアップコントロールバルブに導入したりして、そのロックアップコントロールバルブの作動を制限することにより、ロックアップクラッチの係合を確実に防止することができる。
本発明の車両用無段変速機としては、例えば(a) 有効径が可変のプライマリシーブ(入力側可変プーリ)およびセカンダリシーブ(出力側可変プーリ)と、(b) それ等のプライマリシーブおよびセカンダリシーブに巻き掛けられて摩擦力により動力伝達を行う伝動ベルトと、を有するベルト式無段変速機が好適に用いられる。前記入力側油圧室は、プライマリシーブの有効径を変化させる油圧シリンダ等で、プライマリシーブに一体的に設けられ、出力側油圧室は、セカンダリシーブの有効径を変化させる油圧シリンダ等で、セカンダリシーブに一体的に設けられる。
無段変速機の通常の変速制御、すなわち回転速度センサによる回転速度の検出が困難な極低車速より高速の通常走行時の変速制御は、例えば予め定められた変速条件に従って目標変速比を求め、実際の変速比が目標変速比になるように入力側油圧室の油圧をフィードバック制御したり、車速や出力軸回転速度(駆動輪側回転速度)などに応じて入力側(駆動源側)の目標回転速度を求め、実際の入力軸回転速度が目標回転速度になるように入力側油圧室の油圧をフィードバック制御したりするなど、種々の態様を採用できる。
予め定められた変速条件は、例えばアクセル操作量などの運転者の出力要求量および車速(出力軸回転速度に対応)などの運転状態をパラメータとするマップや演算式などによって設定される。
フィードバック制御が不可の時の油圧制御は、出力側油圧室の油圧がパイロット圧として導入されるとともに前記ソレノイド油圧が供給される推力比コントロールバルブを用いて行われ、その推力比コントロールバルブから出力されるコントロール圧に基づいて入力側油圧室の油圧が制御されることにより、入力側油圧室の油圧に対する出力側油圧室の油圧の比である推力比τ(=出力側油圧室の油圧/入力側油圧室の油圧)をソレノイド油圧によって制御するように構成される
出力側油圧室の油圧とライン圧とを共通のソレノイドでコントロールする制御系の場合には、出力側油圧室の油圧の代わりにライン圧を上記推力比コントロールバルブに導入し、そのライン圧および前記ソレノイド油圧に基づいてコントロール圧、更には入力側油圧室の油圧を制御することもできる。
所定の推力比τとなるようにソレノイド油圧を制御する推力比制御手段は、例えば駆動状態か被駆動状態か、セーフティファクター(限界伝達トルク容量/実際の伝達トルク)の大小、或いは車速等を判断する走行条件判断手段を有し、その走行条件に応じて適切な変速比γが得られる推力比τを求め、その推力比τとなるようにソレノイド油圧を制御するように構成される。ソレノイド油圧の制御は、例えばON、OFF等の2段階で切り換えるだけでも良いが、3段階以上の多段階で変更したり連続的に変化させたりして、入力側油圧室の油圧や前記推力比τをきめ細かく制御できるようにすることが望ましい。
前記推力比コントロールバルブは、例えばソレノイド油圧を出力するソレノイドバルブ(ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブなど)がOFF状態(非励磁)でソレノイド油圧=0の時のコントロール圧により、変速比γを最大にすることができる最も小さい推力比τmin となるように、スプリングや各部の受圧面積等が設定され、走行条件に応じてソレノイドバルブが励磁され、そのソレノイド油圧が上昇させられることにより、入力側油圧室の油圧を低下させて推力比τを増大させるように構成されるが、ソレノイド油圧の上昇に伴って入力側油圧室の油圧を上昇させるものなど種々の態様が可能である。
推力比制御手段は、例えば極低車速時には駆動状態か被駆動状態か、或いはセーフティファクターの大小等の走行条件に拘らず常に最大の変速比γとなるように、それ等の走行条件に応じて推力比τを求めてソレノイド油圧を制御し、極低車速よりも車速が高い通常走行時には、車速等に応じて定められる適切な変速比γとなるように駆動、被駆動等の走行条件に応じて推力比τを求めてソレノイド油圧を制御するように構成される。
第2発明では、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブを利用して入力側油圧室の油圧を制御するが、可能であれば他のソレノイドバルブを利用しても良いし、専用のソレノイドバルブを新たに設けることも可能である。また、第2発明の流体式伝動装置は、トルクコンバータやフルードカップリングなどである。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10の骨子図である。この車両用駆動装置10は横置き型で、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の駆動源として用いられる内燃機関としてエンジン12を備えている。エンジン12の出力は、トルクコンバータ14から前後進切換装置16、ベルト式の無段変速機(CVT)18、減速歯車20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右の駆動輪24L、24Rへ分配される。
トルクコンバータ14は流体式伝動装置に相当し、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、およびタービン軸34を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tの間にはロックアップクラッチ26が設けられ、それ等を一体的に連結して一体回転させることができるようになっている。このロックアップクラッチ26は、ロックアップ制御回路74(図2、図3参照)により係合解放制御される。上記ポンプ翼車14pには、無段変速機18を変速制御したりベルト挟圧力を発生させたり、ロックアップクラッチ26を係合解放制御したり、或いは各部に潤滑油を供給したりするための油圧を発生する機械式のオイルポンプ28が設けられている。
前後進切換装置16は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置にて構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸34はサンギヤ16sに連結され、無段変速機18の入力軸36はキャリア16cに連結されている。そして、キャリア16cとサンギヤ16sとの間に配設された前進用クラッチC1が係合させられると、前後進切換装置16は一体回転させられてタービン軸34が入力軸36に直結され、前進方向の駆動力が駆動輪24R、24Lに伝達される。また、リングギヤ16rとハウジングとの間に配設された後進用ブレーキB1が係合させられるとともに上記前進用クラッチC1が開放されると、入力軸36はタービン軸34に対して逆回転させられ、後進方向の駆動力が駆動輪24R、24Lに伝達される。
無段変速機18は、上記入力軸36に設けられた有効径が可変のプライマリシーブ(入力側可変プーリ)42と、出力軸44に設けられた有効径が可変のセカンダリシーブ(出力側可変プーリ)46と、それ等のプライマリシーブ42、セカンダリシーブ46に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、両シーブ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。プライマリシーブ42、セカンダリシーブ46はそれぞれV溝幅が可変で、油圧シリンダを備えて構成されており、プライマリシーブ42の油圧シリンダの油圧(プライマリシーブ圧PPRI)が変速制御回路50(図2、図3参照)によって制御されることにより、両シーブ42、46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が連続的に変化させられる。また、セカンダリシーブ46の油圧シリンダの油圧(セカンダリシーブ圧PSEC)は、伝動ベルト48が滑りを生じないように挟圧力制御回路70(図2、図3参照)によって調圧制御される。プライマリシーブ42の油圧シリンダは入力側油圧室に相当し、セカンダリシーブ46の油圧シリンダは出力側油圧室に相当する。また、変速制御回路50、挟圧力制御回路70、およびロックアップ制御回路74は油圧制御回路で、図2のCVTコントローラ80と共に油圧制御装置を構成している。
図3は、上記変速制御回路50、挟圧力制御回路70、およびロックアップ制御回路74の要部を示す回路図で、変速制御回路50は、変速比γを小さくするアップシフト用の流量制御弁54、および変速比γを大きくするダウンシフト用の流量制御弁58を備えている。流量制御弁54は、ライン圧PLが供給されるライン圧ポート54a、CVT油路60を介してプライマリシーブ42の油圧シリンダに接続されたCVTポート54b、連通油路62を介してダウンシフト用の流量制御弁58に接続されたダウンシフト用ポート54cを備えており、中心線より左側半分に示すようにスプール54dがスプリング54gの付勢力に従って原位置に保持されている閉じ状態では、CVTポート54bとダウンシフト用ポート54cとが連通させられ、プライマリシーブ42の油圧シリンダの作動油がCVT油路60および連通油路62を経てダウンシフト用の流量制御弁58へ流通することを許容する。一方、アップシフト用のデューティソレノイドDS1がCVTコントローラ80(図2参照)によりデューティ制御されることによって出力されるアップシフト信号圧PDS1が信号圧室54eへ供給されると、中心線より右側半分に示すようにスプール54dがそのアップシフト信号圧PDS1に応じてスプリング54gの付勢力に抗してアップシフト側(図3の上方)へ移動させられ、ライン圧ポート54aとCVTポート54bとが連通させられて、ライン圧PLがアップシフト信号圧PDS1に対応する流量でCVT油路60からプライマリシーブ42の油圧シリンダに供給され、そのプライマリシーブ42のV溝幅が狭くなって無段変速機18がアップシフトされるとともに、ダウンシフト用ポート54cが遮断されてダウンシフト用の流量制御弁58側への作動油の流通が阻止される。
前記流量制御弁58は、前記連通油路62に接続されたCVTポート58aおよびドレーン油路に接続されたドレーンポート58bを備えており、中心線より右側半分に示すようにスプール58cがスプリング58gの付勢力に従って原位置に保持されている閉じ状態では、僅かな流通断面積でCVTポート58aとドレーンポート58bとが連通させられ、漏れ程度の僅かな流量で作動油がドレーンされる。一方、ダウンシフト用のデューティソレノイドDS2がCVTコントローラ80によりデューティ制御されることによって出力されるダウンシフト信号圧PDS2が信号圧室58dへ供給されると、スプール58cがそのダウンシフト信号圧PDS2に応じてスプリング58gの付勢力に抗してダウンシフト側(図3の下方)へ移動させられ、そのダウンシフト信号圧PDS2に対応するドレーン開度でCVTポート58aとドレーンポート58bとが連通させられて、プライマリシーブ42の油圧シリンダの作動油がダウンシフト信号圧PDS2に対応する流量で連通油路62からドレーンポート58bを経てドレーンされ、そのプライマリシーブ42のV溝幅が広くなってダウンシフトされる。
流量制御弁58はまた、推力比コントロールバルブ66の出力ポート66eから連通油路68を経て推力比コントロール圧PSTが供給される推力比制御ポート58eを備えており、スプール58cが原位置に保持されている閉じ状態において所定の流通断面積でCVTポート58aと連通させられ、前記アップシフト用の流量制御弁54も閉じ状態とされた非変速制御時には、プライマリシーブ42の油圧すなわちプライマリシーブ圧PPRIがその推力比コントロール圧PSTと一致させられる。推力比コントロールバルブ66には、前記ライン圧PLが供給されるライン圧ポート66aの他、セカンダリシーブ46の油圧シリンダの油圧すなわちセカンダリシーブ圧PSECが供給される第1パイロットポート66b、およびロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUの出力油圧PDSUが供給される第2パイロットポート66cが設けられており、出力ポート66eから出力される上記推力比コントロール圧PSTは、それ等のセカンダリシーブ圧PSECおよびDSU出力油圧PDSUに応じて次式(1) で表す油圧に制御される。
PST=a・PSEC−b・PDSU+c ・・・(1)
上記(1) 式のa,b,cは、各部の受圧面積やスプリング66dの付勢力によって定まる定数であり、推力比コントロール圧PSTは、セカンダリシーブ圧PSECが高くなるに従って高くなるとともに、DSU出力油圧PDSUが高くなるに従って低くなる。すなわち、セカンダリシーブ圧PSECが同じ場合、図6に示すように、DSU出力油圧PDSUを高くすると推力比コントロール圧PSTは低下し、その推力比コントロール圧PSTと一致するプライマリシーブ圧PPRIも低下するため、プライマリシーブ圧PPRIに対するセカンダリシーブ圧PSECの比である推力比τ(=PSEC/PPRI)は、DSU出力油圧PDSUが高くなるに従って大きくなる。このように、両流量制御弁54、58が何れも閉じ状態とされた非変速制御状態においても、CVTコントローラ80によりロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUの出力油圧PDSUを制御することにより、推力比τを変更することが可能で、前記図8から明らかなように、その推力比τに応じて変速比γを制御することができる。この出力油圧PDSUは請求項1のソレノイド油圧に相当する。
また、前記アップシフト用のデューティソレノイドDS1から出力されたアップシフト信号圧PDS1は、ダウンシフト用の流量制御弁58のバックアップ室58fに供給され、ダウンシフト信号圧PDS2に拘らずその流量制御弁58を閉じてダウンシフトを制限する一方、ダウンシフト用のデューティソレノイドDS2から出力されたダウンシフト信号圧PDS2は、アップシフト用の流量制御弁54のバックアップ室54fに供給され、アップシフト信号圧PDS1に拘らずその流量制御弁54を閉じてアップシフトを禁止するようになっている。これにより、電気系統の故障などでDS1、DS2の一方が機能しなくなり、アップシフト信号圧PDS1またはダウンシフト信号圧PDS2が最大圧で出力しっぱなしになった場合でも、急なアップシフトやダウンシフトが生じたり、その急変速に起因してベルト滑りが発生したりすることが防止される。
なお、上記流量制御弁54のダウンシフト用ポート54cを省略して、連通油路62をCVT油路60に直接接続するとともに、その連通油路62に、アップシフト制御時には流量制御弁58側へ作動油が流れることを制限するが、それ以外は流量制御弁58側へ作動油が流れることを許容するが開閉弁装置を設けるようにしても良い。開閉弁装置としては、例えばアップシフト信号圧PDS1が供給されると機械的に閉じるが、アップシフト信号圧PDS1の出力が停止すると開いて流量制御弁58側へ作動油が流れることを許容するパイロット弁が好適に用いられる。
一方、セカンダリシーブ46の油圧シリンダの油圧であるセカンダリシーブ圧PSECを制御する挟圧力制御回路70は、ライン圧モジュレータNo1バルブ72を備えている。ライン圧モジュレータNo1バルブ72は、前記ライン圧PLが供給されるライン圧ポート72a、および図示しないリニアソレノイドバルブSLSの出力油圧PSLSが供給されるパイロットポート72bを備えており、その出力油圧PSLSに従ってライン圧PLを減圧することにより、セカンダリシーブ圧PSECを出力ポート72cから出力し、セカンダリシーブ46および推力比コントロールバルブ66へ供給する。このセカンダリシーブ圧PSECは、伝動ベルト48が滑りを生じないように、リニアソレノイドバルブSLSの出力油圧PSLSに応じて調圧制御される。
ロックアップクラッチ26を係合解放制御するロックアップ制御回路74は、ロックアップコントロールバルブ76を備えている。ロックアップコントロールバルブ76は、係合解放用元圧PLUが供給される一対の第1ライン圧ポート76aおよび第2ライン圧ポート76b、トルクコンバータ14の係合側油室14aに接続された係合側ポート76c、トルクコンバータ14の解放側油室14bに接続された解放側ポート76d、前記ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUの出力油圧PDSUが供給されるパイロットポート76eを備えており、その出力油圧PDSUが供給されることによりスプール76fが中心線より右側半分に示すようにスプリング76gの付勢力に抗して下方へ移動させられたON状態になると、第1ライン圧ポート76aと係合側ポート76cとが連通させられ、ロックアップ係合油圧PAPPLYが係合側油室14aへ供給されるとともに、解放側ポート76dがドレーンポート76hに連通させられることにより、解放側油室14b内の作動油がドレーンされ、ロックアップクラッチ26が係合させられる。ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUは、OFF(非励磁)では油圧PDSUの出力を停止するが、油圧PDSUを出力する励磁状態では、CVTコントローラ80によって励磁電流が連続的に変化させられることにより出力油圧PDSUが連続的に変化させられ、その出力油圧PDSUに応じてロックアップ係合油圧PAPPLYも連続的に変化させられ、これによりロックアップクラッチ26の係合圧が変化して所定のスリップ状態で係合させることができる。
上記ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUがOFF(非励磁)となり、出力油圧PDSUの出力が停止させられると、ロックアップコントロールバルブ76は、中心線より左側半分に示すようにスプリング76gの付勢力に従ってスプール76fが上方へ移動させられて原位置に保持されるOFF状態になり、第2ライン圧ポート76bと解放側ポート76dとが連通させられ、係合解放用元圧PLUがロックアップ解放油圧PRELEASEとして解放側油室14bへ供給されるとともに、係合側ポート76cがドレーンポート76iに連通させられることにより、係合側油室14a内の作動油がドレーンされ、ロックアップクラッチ26が解放される。
ロックアップコントロールバルブ76にはまた、クラッチ過渡係合切替用ソレノイドバルブSLの出力油圧PSLが供給されるバックアップポート76jが設けられており、その出力油圧PSLが供給されると、前記出力油圧PDSUの供給に拘らずロックアップコントロールバルブ76をOFF状態に維持してロックアップクラッチ26を強制的に解放する。クラッチ過渡係合切替用ソレノイドバルブSLはON−OFFソレノイドバルブで、ソレノイド元圧PSOL をそのまま出力油圧PSLとして出力するものであり、例えば発進停止時等の低車速時に油圧PSLを出力することにより、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUのONフェール等によりロックアップクラッチ26が係合してエンジンストールが発生することを防止できる。
クラッチ過渡係合切替用ソレノイドバルブSLの出力油圧PSLは、クラッチアプライコントロールバルブ78にも供給される。クラッチアプライコントロールバルブ78は、前記前進用クラッチC1や後進用ブレーキB1を係合させるための油圧を切り換えるためのもので、例えば所定車速以下の低車速時や車両停止時等にクラッチ過渡係合切替用ソレノイドバルブSLから油圧PSLが供給されると、中心線より右側半分に示すコントロール状態となり、図示しないリニアソレノイドバルブSLTの出力油圧PSLTをクラッチC1やブレーキB1に供給する。これにより、そのクラッチC1やブレーキB1の係合過渡油圧をリニアソレノイドバルブSLTによって調圧できる。また、クラッチC1やブレーキB1が完全に係合させられた所定車速以上の定常走行時等に、クラッチ過渡係合切替用ソレノイドバルブSLの油圧PSLの出力が停止させられると、クラッチアプライコントロールバルブ78は中心線より左側半分に示すノーマル状態となり、図示しないライン圧モジュレータNo2バルブから出力されるNo2モジュレータ油圧PM2をクラッチC1やブレーキB1に供給し、それ等の係合状態を維持する。クラッチアプライコントロールバルブ78からは、図示しないマニュアルバルブを経てクラッチC1またはブレーキB1へ選択的に油圧が供給されるようになっており、シフトレバーが前進走行用のDポジションへ操作されるとクラッチC1へ油圧が供給され、後進走行用のRポジションへ操作されるとブレーキB1へ油圧が供給される。
前記ロックアップクラッチ26は、クラッチ過渡係合切替用ソレノイドバルブSLの油圧PSLの出力が停止させられることにより係合可能となるが、ロックアップクラッチ26は所定車速以上の定常走行時に係合させられるため、シフトレバー操作に従って前記クラッチC1やブレーキB1を係合させるガレージシフト時にはロックアップクラッチ26は解放状態であり、クラッチ過渡係合切替用ソレノイドバルブSLから油圧PSLが出力されても何等差し支えはない。
図2のCVTコントローラ80はマイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、前記無段変速機18の変速制御や挟圧力制御、ロックアップクラッチ26の係合解放制御を行うもので、シフトポジションセンサ82、アクセル操作量センサ84、エンジン回転速度センサ86、出力軸回転速度センサ88、入力軸回転速度センサ90などから、それぞれシフトレバーのシフトポジションSFTP、アクセルペダルの操作量θACC 、エンジン回転速度NE、出力軸回転速度NOUT(車速Vに対応)、入力軸回転速度NINなどを表す信号が供給されるようになっている。
上記CVTコントローラ80による変速制御は、例えば図5に示すように運転者の出力要求量を表すアクセル操作量θACC および車速Vをパラメータとして予め定められた変速マップから入力側の目標回転速度NINTを算出し、実際の入力軸回転速度NINが目標回転速度NINTと一致するように、それ等の偏差に応じて無段変速機18の変速制御、具体的には変速制御回路50のデューティソレノイドDS1、DS2のアップシフト信号圧PDS1、ダウンシフト信号圧PDS2をフィードバック制御することにより、流量制御弁54、58を介してプライマリシーブ42の油圧シリンダに対する作動油の供給、排出を制御する。図5のマップは変速条件に相当するもので、車速Vが小さくアクセル操作量θACC が大きい程大きな変速比γになる目標回転速度NINTが設定されるようになっている。また、車速Vは出力軸回転速度NOUTに対応するため、入力軸回転速度NINの目標値である目標回転速度NINTは目標変速比に対応し、無段変速機18の最小変速比γmin と最大変速比γmax の範囲内で定められている。上記変速マップは、CVTコントローラ80のマップ記憶装置(ROMなど)92に予め記憶されている。
無段変速機18の挟圧力制御は、例えば図4に示すように伝達トルクに対応するアクセル操作量θACC および変速比γをパラメータとしてベルト滑りが生じないように予め定められた必要油圧(ベルト挟圧力に相当)のマップに従って、挟圧力制御回路70のリニアソレノイドバルブSLSの出力油圧PSLSを制御することにより、無段変速機18のベルト挟圧力、具体的にはセカンダリシーブ46の油圧シリンダの油圧(セカンダリシーブ圧)PSECを調圧制御する。図4の必要油圧マップは挟圧力制御条件に相当し、前記変速マップと同様にCVTコントローラ80のマップ記憶装置92に予め記憶されている。
また、ロックアップクラッチ26の係合解放制御は、予め定められたロックアップ係合解放マップに従って、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUの出力油圧PDSUを制御することにより、ロックアップコントロールバルブ76を介して係合側油室14a、解放側油室14bに対する油圧の供給排出状態を切り換え、ロックアップクラッチ26を係合、解放したり、係合時にロックアップ係合油圧PAPPLYを制御することにより、ロックアップクラッチ26をスリップ係合させたりする。ロックアップ係合解放マップは、例えば運転者の出力要求量を表すアクセル操作量θACC および車速Vをパラメータとして、ロックアップ係合領域、解放領域、およびそれ等の境界部分のスリップ係合領域が定められ、所定車速以上の定常走行状態で係合またはスリップ係合させるようになっており、CVTコントローラ80のマップ記憶装置92に予め記憶されている。
CVTコントローラ80はまた、図7の機能ブロック線図に示すように、前記フィードバック制御による無段変速機18の変速制御が不可の場合に推力比τ(=PSEC/PPRI)を制御する推力比制御手段100を備えている。推力比制御手段100は、フィードバック制御不可判断手段102、走行条件判断手段104、推力比設定手段106、およびDSU制御手段108を備えており、フィードバック制御不可判断手段102は、フィードバック制御に必要な出力軸回転速度NOUTおよび入力軸回転速度NINを検出するための出力軸回転速度センサ88や入力軸回転速度センサ90、或いはそれ等の電気系統がフェールしたか否か、それ等が正常であっても検出不可或いは誤検出する可能性のある極低車速時(例えば2km/h以下の発進時や停車時など)か否か、等を判断し、センサフェール時や極低車速時、或いは車両停止時にはフィードバック制御不可と判断する。
そして、上記フィードバック制御不可判断手段102によりフィードバック制御不可と判断された場合は、走行条件判断手段104により、例えば駆動状態か被駆動状態か、その駆動、被駆動の程度、セーフティファクター(限界伝達トルク容量/実際の伝達トルク)の大きさ、或いは車速V等の走行条件を判断するとともに、推力比設定手段106によりその走行条件に応じて適切な推力比τを設定する。すなわち、極低車速時(車両停止時を含む)の場合には走行条件の相違に拘らず常に変速比γが最大になるように、図8に示すようなデータマップに基づいて駆動状態か被駆動状態か、或いはその駆動、被駆動の程度、セーフティファクターS.F.の大きさ等の走行条件に応じて推力比τを決定する。また、上記極低車速よりも車速Vが高い通常の走行時に、回転速度センサ88、90等のフェールによりフィードバック制御が不可となって推力比制御へ移行した場合には、その移行に伴って変速比γが大きくなると、エンジン回転速度NEが異常に高くなったりエンジンブレーキで大きな減速度が発生したりして乗員に違和感を生じさせるため、車速Vに応じて定められる適切な変速比γとなるように、同じく図8に示すようなデータマップに基づいて駆動状態か被駆動状態か、或いはその駆動、被駆動の程度、セーフティファクターS.F.の大きさ等の走行条件に応じて推力比τを決定する。
DSU制御手段108は、上記推力比設定手段106により決定された推力比τとなるように、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUにより推力比コントロールバルブ66を介してプライマリシーブ圧PPRIを制御する。すなわち、その推力比τが得られるDSU出力油圧PDSUを、セカンダリシーブ圧PSECをパラメータとして予め定められた図6に一点鎖線で示すようなデータマップや前記(1) 式に基づいて定められた演算式等から求め、そのDSU出力油圧PDSUとなるようにロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUを制御する。本実施例の推力比コントロールバルブ66は、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUがOFF(非励磁)で油圧PDSU=0の時に出力される推力比コントロール圧PST(=PPRI)により、変速比γを最大にすることができる最も小さい推力比、言い換えれば大きな駆動状態でセーフティファクターS.F.が最小の場合に変速比γを最大にできる最も小さい推力比τmin となるように、スプリング66gや各部の受圧面積等が設定されており、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUを励磁して、第2パイロットポート66cに供給されるDSU出力油圧PDSUを上昇させることにより、推力比コントロール圧PST(=PPRI)を低下させて推力比τを増大させることができる。
上記DSU制御手段108によるDSU制御時には、前記アップシフト信号圧PDS1およびダウンシフト信号圧PDS2の出力を停止して流量制御弁54、58を閉じ制御するとともに、クラッチ過渡係合切替用ソレノイドバルブSLから油圧PSLを出力することにより、油圧PDSUの出力に拘らずロックアップコントロールバルブ76をOFF状態に維持してロックアップクラッチ26が係合されることを防止する。クラッチ過渡係合切替用ソレノイドバルブSLから油圧PSLが出力されると、クラッチアプライコントロールバルブ78がコントロール状態に切り換えられ、リニアソレノイドバルブSLTの出力油圧PSLTがクラッチC1やブレーキB1へ供給されるが、リニアソレノイドバルブSLTによりクラッチC1やブレーキB1の係合圧制御が可能となるだけで差し支えない。なお、低車速時には元々クラッチ過渡係合切替用ソレノイドバルブSLから油圧PSLが出力されて、クラッチアプライコントロールバルブ78がコントロール状態に切り換えられ、車両停止時のガレージシフト時(N→DまたはN→Rシフト)にリニアソレノイドバルブSLTによってクラッチC1やブレーキB1の係合過渡油圧が制御される。
また、上記推力比制御では、伝達トルクに応じた所定のベルト挟圧力が得られるように、プライマリシーブ圧PPRIおよびセカンダリシーブ圧PSECのうちシリンダ移動が小さい側の油圧、すなわち推力比τが1.0以上の場合はプライマリシーブ圧PPRIを制御し、推力比τが1.0より低い場合はセカンダリシーブ圧PSECを制御するようになっている。その場合に、推力比τは、走行条件に応じて変速比γが最大になる必要最小限の値に制御されるため、セカンダリシーブ圧PSECが必要以上に過大になって伝達効率が悪化したり耐久性が損なわれたりすることが抑制される。
このように、本実施例の車両用無段変速機の油圧制御装置においては、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUの出力油圧PDSUを推力比コントロールバルブ66に導入し、プライマリシーブ圧PPRIを制御する推力比コントロール圧PSTを出力油圧PDSUにより制御できるようにしたため、駆動状態か被駆動状態か、セーフティファクターの大きさ、或いは車速V等の走行条件の相違に拘らず常に適切な変速比γとなるように推力比τを制御することが可能で、発進停止時には優れた発進性能を確保しつつ伝達効率が悪化したり耐久性が損なわれたりすることを防止できる一方、通常の走行時にセンサフェールにより変速比γのフィードバック制御が不可となった場合には、変速比γが急に大きく変化したりエンジン回転速度NEが異常に高くなったりエンジンブレーキで大きな減速度が発生したりすることが防止される。
具体的には、変速比γのフィードバック制御が不可となる極低車速時には、駆動状態か被駆動状態か、或いはその駆動、被駆動の程度、セーフティファクターS.F.の大きさ等に拘らず常に変速比γが最大となるように、それ等の走行条件をパラメータとして予め定められたデータマップ等により推力比τを決定し、その推力比τが得られるDSU出力油圧PDSUを、セカンダリシーブ圧PSECをパラメータとして予め定められたデータマップや演算式から求め、そのDSU出力油圧PDSUとなるようにロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUを制御することにより、発進時には常に変速比γが最大になり、優れた発進性能が得られる。また、推力比τは、走行条件に応じて変速比γが最大になる必要最小限の値に制御されるため、駆動時等には推力比τが低下させられ、セカンダリシーブ圧PSECが必要以上に過大になって伝達効率が悪化したり耐久性が損なわれたりすることが抑制される。
一方、走行中に回転速度センサ88、90等のフェールによりフィードバック制御が不可となって推力比制御へ移行した場合には、車速Vに応じて定められる所定の変速比γとなるように、駆動状態か被駆動状態か、或いはその駆動、被駆動の程度、セーフティファクターS.F.の大きさ等の走行条件に応じて推力比τが決定され、その推力比τに応じてDSU出力油圧PDSUが制御されるため、変速比γが急に大きく変化したり、変速比γが増大してエンジン回転速度NEが異常に高くなったりエンジンブレーキで大きな減速度が発生したりすることが防止される。
また、本実施例ではロックアップクラッチ26の係合圧を制御するロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUを利用してプライマリシーブ圧PPRI、更には推力比τを制御するため、新たにソレノイドバルブを追加して設ける場合に比較して、装置を簡単且つ安価に構成できる。その場合に、DSU制御手段108により推力比制御を実行する際には、クラッチ過渡係合切替用ソレノイドバルブSLから油圧PSLを出力してロックアップコントロールバルブ76をOFF状態とし、ロックアップクラッチ26が係合することを防止しているため、極低車速時にロックアップクラッチ26が係合してエンジンストールが発生することが確実に防止される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が適用された車両用駆動装置の骨子図である。 図1の車両用駆動装置における無段変速機の制御系統を説明するブロック線図である。 図1の無段変速機の油圧制御回路の要部を示す回路図である。 図2のCVTコントローラによって行われるベルト挟圧力制御において必要油圧を求める際に用いられる必要油圧マップの一例を示す図である。 図2のCVTコントローラによって行われる変速制御において目標回転速度NINTを求める際に用いられる変速マップの一例を示す図である。 図3の推力比コントロールバルブの油圧特性を推力比τと関連付けて説明する図である。 ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブDSUを利用した推力比制御に関して図2のCVTコントローラが備えている機能を説明するブロック線図である。 推力比τと変速比γとの特性を、駆動状態か被駆動状態か、或いはセーフティファクターS.F.の大きさとの関係で説明する図である。
符号の説明
12:エンジン(駆動源) 14:トルクコンバータ(流体式伝動装置) 18:ベルト式無段変速機 24R、24L:駆動輪 26:ロックアップクラッチ 42:プライマリシーブ(入力側油圧室) 46:セカンダリシーブ(出力側油圧室) 66:推力比コントロールバルブ 80:CVTコントローラ 100:推力比制御手段 PPRI:プライマリシーブ圧(入力側油圧室の油圧) PSEC:セカンダリシーブ圧(出力側油圧室の油圧) DSU:ロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブ(ソレノイドバルブ) PDSU:出力油圧(ソレノイド油圧) PST:推力比コントロール圧(コントロール圧)

Claims (2)

  1. 駆動源側の入力側油圧室と、駆動輪側の出力側油圧室とを有し、回転速度に基づいて該入力側油圧室の油圧をフィードバック制御する車両用無段変速機の油圧制御装置において、
    前記フィードバック制御が不可の時には、所定の変速比γが得られる推力比τを駆動状態か被駆動状態か、セーフティファクターの大小、および車速の少なくとも一つを含む走行条件に応じて求め、該推力比τとなるようにソレノイド油圧を用いて前記入力側油圧室の油圧を制御する推力比制御手段を有し、
    且つ、前記出力側油圧室の油圧がパイロット圧として導入されるとともに前記ソレノイド油圧が供給される推力比コントロールバルブを備えており、該推力比コントロールバルブから出力されるコントロール圧に基づいて前記入力側油圧室の油圧が制御されることにより前記推力比τが制御されるとともに、
    該推力比コントロールバルブは、前記ソレノイド油圧を出力するソレノイドバルブが非励磁の場合に該ソレノイド油圧によって制御される前記コントロール圧により、前記変速比γを最大にすることができる最も小さい推力比τ min となり、該ソレノイドバルブが励磁されることによって推力比τを増大させるように構成されている
    ことを特徴とする車両用無段変速機の油圧制御装置。
  2. 前記ソレノイド油圧は、駆動源と無段変速機との間に配設される流体式伝動装置のロックアップクラッチの係合圧を制御するロックアップ係合圧制御用ソレノイドバルブの出力油圧である
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用無段変速機の油圧制御装置。
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