JP2004125009A - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライバビリティや耐久性の低下を抑制する効果を十分に得ることのできる無段変速機の変速制御装置を提供する。
【解決手段】変速制御装置は、入力側油圧シリンダへの作動油の供給流量又は排出流量を調整するアップシフト用又はダウンシフト用の流量制御弁、各流量制御弁に供給される制御圧を調整するアップシフト用又はダウンシフト用の電磁開閉弁、各電磁開閉弁をデューティ制御する電子制御装置(ECU)を備える。ECUは、入力側油圧シリンダ内の作動油の油圧Pin、及び変速に伴う作動油の変速流量Qsft に基づき、流量制御弁の等価絞り径dinを推定する(ステップ110〜120)。この等価絞り径dinと、等価絞り径推定時の電磁開閉弁の制御量に対応する標準絞り径din0 との偏差Δdinを求め、これを記憶及び更新し(ステップ125,130)、この偏差Δdinを電磁開閉弁の制御に反映する。
【選択図】 図9
【解決手段】変速制御装置は、入力側油圧シリンダへの作動油の供給流量又は排出流量を調整するアップシフト用又はダウンシフト用の流量制御弁、各流量制御弁に供給される制御圧を調整するアップシフト用又はダウンシフト用の電磁開閉弁、各電磁開閉弁をデューティ制御する電子制御装置(ECU)を備える。ECUは、入力側油圧シリンダ内の作動油の油圧Pin、及び変速に伴う作動油の変速流量Qsft に基づき、流量制御弁の等価絞り径dinを推定する(ステップ110〜120)。この等価絞り径dinと、等価絞り径推定時の電磁開閉弁の制御量に対応する標準絞り径din0 との偏差Δdinを求め、これを記憶及び更新し(ステップ125,130)、この偏差Δdinを電磁開閉弁の制御に反映する。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両のエンジン等の動力源と駆動輪との間に介在される無段変速機の変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用の変速機として、油圧アクチュエータにより押圧される動力伝達部材を介して動力を伝達するとともに、その油圧アクチュエータに作動油を供給又は排出させることにより、変速を連続的に(無段階)に行うようにした無段変速機が知られている。
【0003】
こうした無段変速機の一つにベルト式無段変速機がある。このタイプの無段変速機は、それぞれ有効径を可変にした入力側及び出力側の可変プーリと、両可変プーリに巻き掛けられて動力を伝達する伝動ベルトと、各可変プーリの溝幅を変化させる入力側及び出力側の油圧シリンダとを備えている。この無段変速機では、例えば、入力側油圧シリンダに対し作動油が供給又は排出されることにより変速比が制御される。また、出力側油圧シリンダ内の油圧が調圧されることにより、滑りが発生しないように伝動ベルトの張力が制御される。
【0004】
上述したベルト式無段変速機では、特に、変速比の制御のために、入力側油圧シリンダへ作動油を供給する油路(供給油路)にアップシフト用の供給流量調整弁(流量制御弁)が設けられている。この供給流量調整弁では、アップシフト用の制御圧調整弁(電磁弁)から供給される制御圧に応じて可変絞りとしての弁体が変位する。この変位に応じて弁体の絞り径、ひいては供給油路の流路面積が変化し、作動油の供給流量が調整される。また、入力側油圧シリンダ内の作動油を排出する油路(排出油路)にダウンシフト用の排出流量調整弁(流量制御弁)が設けられている。この排出流量調整弁では、ダウンシフト用の制御圧調整弁(電磁弁)から供給される制御圧に応じて可変絞りとしての弁体が変位する。この変位に応じて弁体の絞り径、ひいては排出油路の流路面積が変化し、作動油の排出量が調整される。
【0005】
一方、変速比の制御に際し、アクセル開度、車速等の車両の状況に応じ、無段変速機における入力軸の目標回転速度Nint が求められ、実際の入力軸の回転速度(入力側回転速度Nin)を目標回転速度Nint に一致させるための駆動デューティ比が求められる。そして、この駆動デューティ比に基づき制御圧調整弁への通電が制御されることにより、供給流量調整弁及び排出流量調整弁に供給される各制御圧が調整される。この調整に伴い各弁体が変位して絞り径(供給油路及び排出油路の各流路面積)が変化して入力側油圧シリンダに対する作動油の供給・排出が行われる。
【0006】
ところで、前述した無段変速機では、構成部品のばらつき、経時変化等に起因して、変速制御ラインにおいて、漏れ量等の流量特性がばらつくと、駆動デューティ比と各流量調整弁での絞り径との関係が、予め定められた標準の関係からずれる。ここで、漏れが問題となる構成部品としては、例えば、供給流量調整弁、排出流量調整弁、バルブボディ、入力側油圧シリンダ等である。そして、例えば、駆動デューティ比に対する絞り径が標準の絞り径よりも小さい場合には、入力側油圧シリンダへの単位時間当たりの作動油供給量が不足し、必要量の作動油が供給されるまでに時間がかかり、変速が遅れる。これとは逆に、駆動デューティ比に対する絞り径が標準の絞り径よりも大きい場合には、入力側油圧シリンダへの単位時間当たりの作動油供給量が過剰となり、入力側回転速度Ninが目標回転速度Nint を越える現象、すなわちオーバシュートが発生する。そして、これらの変速の応答遅れやオーバシュートが原因でドライバビリティが損なわれるおそれがある。
【0007】
また、前記流量特性のばらつきにより、変速時に入力側油圧シリンダについて必要な油圧を確保できない場合が起り得る。この場合には、伝動ベルトが滑って無段変速機の耐久性の低下を招くおそれがある。
【0008】
そこで、こういった不具合を解消するための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、入力側油圧シリンダ内の油圧を推定し、その油圧に基づき両流量制御弁の開口面積比(両絞り径の比)を求め、このときの駆動デューティ比と開口面積比との関係に基づいて、予め設定された標準の関係(駆動デューティ比に対する開口面積比の特性)を補正するものである。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−210189号公報(第5−6頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に記載された技術では、前記の補正により、流量特性のばらつきに起因する特性(駆動デューティ比に対する開口面積比の特性)のずれを吸収することができる。これに伴い、前述した変速の応答遅れ、オーバシュート等に起因するドライバビリティの悪化や、伝動ベルトの滑りに起因する無段変速機の耐久性低下等の不具合を解消できる。しかし、この技術では、入力側油圧シリンダ内の油圧の推定が定常時に限られ、その推定の機会、ひいては開口面積比(両絞り径の比)の算出の機会が少ないという問題がある。これは、入力側油圧シリンダに流入する作動油の流量と、入力側油圧シリンダから排出される作動油の流量とが定常時に同一になることを利用して、オリフィス前後の流量の一般式に基づいて入力側油圧シリンダ内の油圧を推定しているからである。
【0011】
このため、流量特性のばらつきが変化した場合、次の定常時までの期間は、前回定常時に推定された油圧や開口面積比、すなわち、実際の状態とは異なる油圧や開口面積比が、駆動デューティ比に対する開口面積比の特性の反映に用いられることとなる。その結果、意図する効果が十分に得られないおそれがある。
【0012】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ドライバビリティや耐久性の低下を抑制する効果を十分に得ることのできる無段変速機の変速制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、供給用の制御圧調整弁からの制御圧に応じて変位する弁体を有し、その変位に伴う絞り径の変更により、変速用の油圧アクチュエータへの作動油の供給流量を調整する供給流量調整弁と、排出用の制御圧調整弁からの制御圧に応じて変位する弁体を有し、その変位に伴う絞り径の変更により、前記油圧アクチュエータからの作動油の排出流量を調整する排出流量調整弁と、前記両制御圧調整弁をそれぞれ駆動制御する制御手段とを備え、前記油圧アクチュエータに対する作動油の供給及び排出により連続的に変速を行うようにした無段変速機の変速制御装置において、少なくとも前記油圧アクチュエータ内の作動油の油圧、及び前記油圧アクチュエータでの変速に伴う作動油の変速流量に基づき、前記供給流量調整弁及び前記排出流量調整弁での前記弁体の等価絞り径を推定する推定手段と、前記推定手段による等価絞り径と、等価絞り径推定時の前記制御手段の制御量に対応する標準絞り径との偏差を求め、記憶及び更新する学習手段と、前記学習手段による偏差を、前記制御手段による前記両制御圧調整弁の制御に反映する偏差反映手段とを備えている。
【0014】
上記の構成によれば、供給流量調整弁では、供給用の制御圧調整弁から供給される制御圧に応じて弁体が変位する。この変位に伴い絞り径が変化し、変速用の油圧アクチュエータへの作動油の供給流量が調整される。また、排出流量調整弁では、排出用の制御圧調整弁から供給される制御圧に応じて弁体が変位する。この変位に伴い絞り径が変化し、油圧アクチュエータからの作動油の排出流量が調整される。各制御圧は、制御手段による各制御圧調整弁の駆動制御に応じて変化する。そして、油圧アクチュエータに作動油が供給されること、及び作動油が排出されることにより変速が連続的に行われる。
【0015】
一方、推定手段では、供給流量調整弁及び排出流量調整弁での弁体の等価絞り径が推定される。この推定は、少なくとも油圧アクチュエータ内の作動油の油圧と、油圧アクチュエータでの変速に伴う作動油の変速流量とに基づいて行われる。また、学習手段では、前記のようにして推定された等価絞り径と、この等価絞り径が推定されたときの制御手段の制御量に対応する標準絞り径との偏差が求められ、記憶及び更新される。そして、偏差反映手段では、そのときに学習手段に記憶されている偏差が、制御手段による両制御圧調整弁の制御に反映される。
【0016】
従って、無段変速機における構成部品のばらつき、経時変化等に起因して、作動油の漏れ量等といった流量特性がばらついて、等価絞り径と制御量との関係が、予め定められた標準絞り径と制御量との関係からずれたとしても、このずれを前記反映により吸収することができる。その結果、油圧アクチュエータへの時間当たりの作動油供給量が不足して変速が遅れる現象を抑制することができる。また、単位時間当たりの作動油の供給量が過剰となって、入力軸の回転速度が目標回転速度を越える、いわゆるオーバシュートが発生する現象を抑制することができる。その結果、これらの変速の応答遅れやオーバシュートを原因とするドライバビリティの低下を回避できる。さらに、油圧アクチュエータにおいて、変速に必要な油圧を確保できるようになり、伝動ベルト等が滑ることによる無段変速機の耐久性低下も抑制できる。
【0017】
また、等価絞り径の推定に際し、油圧アクチュエータ内の作動油の油圧に加え、油圧アクチュエータでの変速に伴う作動油の変速流量を用いている。この推定には、油圧アクチュエータに流入する作動油の流量と排出される作動油の流量とが同一であることが前提されていない。従って、この推定は定常時に限らず、変速中であっても実行可能である。このように、請求項1に記載の発明では、推定が定常時に限られる場合に比べ、推定の機会が多くなる。表現を変えると、推定のサイクルが短くなる。これに伴い、学習手段における偏差の記憶及び更新の頻度、ひいては偏差反映手段での偏差の反映頻度を多くすることが可能となる。その結果、実際の状態に近い等価絞り径や偏差が両制御圧調整弁の制御に反映されることとなり、前述したドライバビリティや耐久性の低下を抑制するといった効果を十分に得ることが可能となる。
【0018】
上記請求項1に記載の発明における制御手段としては、例えば、請求項2に記載の発明のように、前記供給流量調整弁及び前記排出流量調整弁の一方を開弁させるとき、他方が閉弁状態に保持されるよう前記両制御圧調整弁を駆動制御するものが挙げられる。
【0019】
上記請求項2に記載の発明の構成によれば、供給用及び排出用の両制御圧調整弁が制御手段によって制御されることで、供給流量調整弁及び排出流量調整弁の一方が開弁されているときには、他方が閉弁状態に保持される。表現を変えると、供給流量調整弁及び排出流量調整弁の一方の絞り径が変化するときには、他方の絞り径が一定の値に保持されている。
【0020】
例えば、供給流量調整弁での絞り径の変更により、変速用の油圧アクチュエータへの作動油の供給量が調整されているときには、排出流量調整弁では絞り径が一定の値に保持されて閉弁されている。このため、油圧アクチュエータ内の作動油は排出されない。逆に、排出流量調整弁での絞り径の変更により、変速用の油圧アクチュエータからの作動油の排出量が調整されているときには、供給流量調整弁では絞り径が一定の値に保持されて閉弁されている。このため、油圧アクチュエータに作動油が供給されない。
【0021】
これに伴い、油圧アクチュエータへの作動油の供給時には、推定手段では、供給流量調整弁での弁体の等価絞り径が推定される。学習手段では、等価絞り径と、供給用制御圧調整弁の制御量に対応する標準絞り径との偏差が求められ、これが記憶及び更新される。偏差反映手段では、そのときに学習手段に記憶されている偏差が、制御手段による供給用制御圧調整弁の制御量に反映される。
【0022】
また、油圧アクチュエータからの作動油の排出時には、推定手段では、排出流量調整弁での弁体の等価絞り径が推定される。学習手段では、等価絞り径と、排出用制御圧調整弁の制御量に対応する標準絞り径との偏差が求められ、これが記憶及び更新される。偏差反映手段では、そのときに学習手段に記憶されている偏差が、制御手段による排出用制御圧調整弁の制御量に反映される。
【0023】
従って、この場合にも、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
上記請求項1又は2に記載の発明における無段変速機としては、例えば、請求項3に記載の発明のように、入力軸に設けられ、かつ溝幅を可変に構成した入力側可変プーリと、出力軸に設けられ、かつ溝幅を可変に構成した出力側可変プーリと、前記入力側可変プーリ及び出力側可変プーリに巻き掛けられて摩擦力により動力伝達を行う伝動ベルトと、前記入力側可変プーリの溝幅を変化させる入力側油圧シリンダと、前記出力側可変プーリの溝幅を変化させる出力側油圧シリンダとを備え、前記入力側油圧シリンダ及び出力側油圧シリンダの一方が前記変速用の油圧アクチュエータにより構成されたものが挙げられる。
【0024】
上記請求項3に記載の発明の構成によれば、変速用の油圧アクチュエータに対する作動油の供給及び排出が行われると、無段変速機では、入力側油圧シリンダ及び出力側油圧シリンダのうち、前記変速用の油圧アクチュエータによって構成されたものが作動する。この作動に応じ、入力側可変プーリ又は出力側可変プーリの溝幅が変化し、伝動ベルトの巻き掛け半径が変更される。これに伴い、入力軸の回転速度と出力軸の回転速度との比である変速比が連続的(無段階に)変化させられる。
【0025】
ここで、無段変速機が、前記変速用の油圧アクチュエータを前記入力側油圧シリンダとして備えるとともに、その出力側油圧シリンダ内の作動油の油圧を検出する油圧検出手段を備えているが、入力側油圧シリンダ内の作動油の油圧を検出する手段を備えていない場合があり得る。一方、推定手段での等価絞り径を推定する際には、入力側油圧シリンダ内の作動油の油圧が用いられる。この場合には、同油圧を算出する必要が生ずる。
【0026】
そこで、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記無段変速機は、前記変速用の油圧アクチュエータを前記入力側油圧シリンダとして備えるとともに、前記出力側油圧シリンダ内の作動油の油圧を検出する油圧検出手段を備えており、前記推定手段における入力側油圧シリンダ内の作動油の油圧は、前記油圧検出手段による油圧と、前記入力側油圧シリンダ及び前記出力側油圧シリンダの推力比とに基づいて算出されるものであるとしている。
【0027】
上記の構成によれば、油圧検出手段によって検出される出力側油圧シリンダ内の作動油の油圧と、入力側及び出力側の両油圧アクチュエータの推力比とに基づいて、入力側油圧シリンダ内の作動油の油圧を求めることができる。
【0028】
上記請求項1に記載の発明では、前述したように弁体の等価絞り径の推定に際し、変速用の油圧アクチュエータ(請求項3及び4では入力側油圧シリンダ)での変速に伴う作動油の変速流量が用いられる。この変速流量と無段変速機の変速速度との間には相関関係が見られる。そこで、この変速流量は例えば次のようにして求めることができる。
【0029】
すなわち、請求項5に記載の発明では、請求項3又は4に記載の発明において、前記無段変速機は、前記入力軸の回転速度を検出する入力回転速度検出手段と、前記出力軸の回転速度を検出する出力回転速度検出手段とを備えており、前記推定手段における前記変速流量は、前記入力回転速度検出手段及び前記出力回転速度検出手段による両回転速度の比の変化量である変速速度に基づいて算出されるものであるとしている。
【0030】
上記の構成によれば、入力回転速度検出手段によって入力軸の回転速度が検出され、出力回転速度検出手段によって出力軸の回転速度が検出される。これらの回転速度の比(変速比)の単位時間当たりの変化量を求めることにより、変速速度が得られる。そして、この変速速度に基づいて変速流量が算出される。
【0031】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、さらに前記変速速度が所定の領域から外れていると、少なくとも前記学習手段による前記偏差の更新を禁止する禁止手段を備えるものとする。
【0032】
ここで、変速速度が所定の領域から外れるほど急激に変化した場合には、管路抵抗等が大きく変化し、推定手段での等価絞り径の推定に影響を及ぼすおそれがある。
【0033】
この点、請求項6に記載の発明の構成によれば、禁止手段では、変速速度が所定の領域から外れている場合、少なくとも学習手段による偏差の更新が禁止される。従って、管路抵抗等の影響を受けた精度の低い等価絞り径に基づき算出された偏差が、制御手段での制御圧調整弁の制御に反映されるのを防止することができる。
【0034】
ここで、請求項1〜6のいずれかに記載の発明における制御手段としては、請求項7に記載の発明のように、前記標準絞り径とその標準絞り径に対応する制御圧調整弁の制御量との関係に基づき、そのときの標準絞り径に応じた制御量に基づき前記制御圧調整弁を駆動制御するようにしてもよい。この場合には、同請求項7に記載の発明のように、前記偏差反映手段は、前記学習手段による前記偏差に基づき、前記標準絞り径と前記制御量との関係を補正することが望ましい。
【0035】
上記の構成によれば、標準絞り径とその標準絞り径に対応する制御圧調整弁の制御量との関係が予め定められており、制御手段では、この関係に基づき、そのときの標準絞り径に応じた制御量に基づき制御圧調整弁が駆動制御される。一方、偏差反映手段では、学習手段によって記憶及び更新された偏差に基づき、前記標準絞り径と制御量との関係が補正される。補正後の関係は、作動油の漏れ量等といった流量特性のばらつきを考慮したものとなる。従って、この補正後の関係に基づいて制御圧調整弁を駆動制御することにより、等価絞り径を、変速用の油圧アクチュエータに対し、所望の量の作動油を供給又は排出するために要求される等価絞り径にすることが可能となる。
【0036】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記制御手段は、変速停止に関する所定の条件が満たされたとき、前記両制御圧調整弁の駆動制御を通じて、前記供給流量調整弁及び前記排出流量調整弁を共に閉弁させることにより、前記変速用の油圧アクチュエータ内に前記作動油を閉じ込めた状態に保持する閉じ込み制御手段と、前記閉じ込み制御手段による閉じ込み制御中に前記供給流量調整弁又は前記排出流量調整弁に所定圧の作動油を供給することにより、その閉じ込み制御中における変速比の変化を抑制する作動油供給制御手段とを含んでおり、さらに、前記作動油供給制御手段による前記所定圧を、前記学習手段による偏差に基づき補正する補正手段を設けるものとする。
【0037】
上記の構成によれば、閉じ込み制御手段では、変速停止に関する所定の条件が満たされたとき、両制御圧調整弁が駆動制御されることで、供給流量調整弁及び排出流量調整弁が共に閉弁される。この閉弁により変速用の油圧アクチュエータ内に作動油が閉じ込められた状態に保持される。
【0038】
また、この閉じ込み制御中には、作動油の僅かな漏れが原因で変速比が不意に変化するのを防止する目的で、作動油供給制御手段の制御が行われる。この制御では、供給流量調整弁又は排出流量調整弁に所定圧の作動油が供給される。
【0039】
ここで、無段変速機における構成部品のばらつき、経時変化等に起因して、作動油の漏れ量等といった流量特性がばらついた場合、供給流量調整弁又は排出流量調整弁に所定圧の作動油が供給されない場合が起り得る。そして、例えば所定圧よりも高い油圧が供給されると、閉じ込み制御中の入力側油圧シリンダ及び出力側油圧シリンダの推力比が適切でない値となって、不意のアップシフトが起るおそれがある。
【0040】
この点、請求項8に記載の発明では、作動油供給制御手段の制御中には、前記所定圧が補正手段により、学習手段による偏差に基づいて補正される。従って、閉じ込み制御中には、供給流量調整弁又は排出流量調整弁を通じて、入力側油圧シリンダ及び出力側油圧シリンダに所定圧の油圧を供給することができる。その結果、推力比を適切な値にして、前述したような不意の変速(アップシフト)を抑制することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の無段変速機の変速制御装置を具体化した一実施形態について、図面に従って説明する。
【0042】
図1は、例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両に横置きに搭載される動力伝達装置11の概略構成を示している。動力伝達装置11は、エンジン12、モータジェネレータ13及び遊星歯車装置14を備えている。エンジン12は燃料の燃焼によって動力を発生する。モータジェネレータ13は、電動機として作動するとともに、発電機(オルタネータ)としても作動する。これらのエンジン12及びモータジェネレータ13は、車両走行用の動力源として用いられている。
【0043】
遊星歯車装置14としては、サンギヤ15、キャリヤ16及びリングギヤ17を有するダブルピニオン型が用いられている。サンギヤ15にはエンジン12が連結され、キャリヤ16にはモータジェネレータ13が連結されている。リングギヤ17は第1ブレーキ(B1)18を介して無段変速機(CVT)20のケース19に連結されている。キャリヤ16は、第1クラッチ(C1)21を介して無段変速機20の入力軸22に連結されている。リングギヤ17は、第2クラッチ(C2)23を介して入力軸22に連結されている。両クラッチ21,23及び第1ブレーキ18は、いずれも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる湿式多板式の油圧式摩擦係合装置であり、バルブボディ(図示略)内の油圧制御回路25(図3参照)から供給される作動油によって摩擦係合させられる。
【0044】
前記入力軸22を通じて無段変速機20に入力された動力は、出力軸26からカウンタ歯車27を経て差動装置28のリングギヤ29に伝達される。この動力は差動装置28により左右の駆動輪(前輪)31に分配される。
【0045】
無段変速機20は、入力軸22に設けられた入力側可変プーリ32と、出力軸26に設けられた出力側可変プーリ33とを備えている。図2に示すように、入力側可変プーリ32は、固定回転体38、シリンダボディ39及び可動回転体41を備えている。固定回転体38及びシリンダボディ39は共に入力軸22に固定されている。可動回転体41は、入力軸22に軸方向(図2の左右方向)の移動可能かつ軸まわりの相対回転不能に取付けられており、固定回転体38との間に断面略V字状の溝(以下、V溝という)43を形成する。可動回転体41は、シリンダボディ39に対しては摺動可能に嵌合しており、ピストンとして機能する。そして、これらのシリンダボディ39及び可動回転体41によって、V溝43の溝幅を変化させる入力側油圧シリンダ42が構成されている。この入力側油圧シリンダ42は変速用の油圧アクチュエータとして機能する。
【0046】
同様に、出力側可変プーリ33は、固定回転体44、シリンダボディ45及び可動回転体46を備えている。固定回転体44及びシリンダボディ45は共に出力軸26に固定されている。可動回転体46は、出力軸26に軸方向の移動可能かつ軸まわりの相対回転不能に取付けられており、固定回転体44との間に断面略V字状の溝(以下、V溝という)49を形成する。可動回転体46は、シリンダボディ45に対しては摺動可能に嵌合しており、ピストンとして機能する。そして、これらのシリンダボディ45及び可動回転体46によって、V溝49の溝幅を変化させる出力側油圧シリンダ47が構成されている。
【0047】
なお、両油圧シリンダ42,47において、シリンダボディ39,45と可動回転体41,46との間には、油圧シリンダ42,47からの作動油の漏出を防止するためのシール部材40がそれぞれ設けられている。
【0048】
前記両V溝43,49には、動力伝達部材としての伝動ベルト34が巻き掛けられている。そして、無段変速機20では、伝動ベルト34と両V溝43,49の壁面との間の摩擦力によって動力伝達が行われる。
【0049】
前記入力側可変プーリ32では、入力側油圧シリンダ42に供給或いはそれから排出される作動油の流量が、油圧制御回路25内の変速制御回路59(図4参照)によって調整される。この調整により、可動回転体41が軸方向へ移動し、V溝43の溝幅が変化する。この変化に伴い伝動ベルト34の掛かり径(巻き掛け半径)、すなわち有効径が変更され、変速比γ(=入力側回転速度Nin/出力側回転速度Nout )が連続的に(無段階に)変化させられる。このように、入力側可変プーリ32は溝幅(有効径)を可変に構成されている。
【0050】
また、出力側可変プーリ33では、可動回転体46及び固定回転体44間で伝動ベルト34を挟み込む力(挟圧力)が、出力側油圧シリンダ47内の油圧Pout に応じて変化する。この挟圧力は、伝動ベルト34の張力に対応している。油圧Pout は、油圧制御回路25内の挟圧制御弁81(図3参照)によって、伝動ベルト34が滑りを生じないように調圧される。
【0051】
前記油圧制御回路25は、無段変速機20の変速比γやベルト張力を制御するための回路を備えており、共通の電動式油圧発生装置48からの作動油がこの回路に供給される。図3は油圧制御回路25のうち、元圧PCの基になるライン油圧PL を発生する部分を示している。
【0052】
電動式油圧発生装置48は、歯車ポンプ等の回転式ポンプからなるオイルポンプ51と、このオイルポンプ51を回転駆動する電動モータ52とを含んでいる。そして、オイルポンプ51によりストレーナ53を介して吸い上げられた作動油は、圧力制御弁として機能するプライマリレギュレータバルブ54によって所定のライン油圧PL に調圧される。プライマリレギュレータバルブ54には、リニアソレノイド弁55の信号圧Psls が供給され、その信号圧Psls に応じてライン油圧PL が制御されるとともに、余剰の作動油が油路56へドレンされる。
【0053】
ライン油圧PL は、元圧PCの基になるほか、無段変速機20の変速制御やベルト挟圧力の制御にも用いられるものであり、目標ライン油圧PLoutとなるように調圧される。目標ライン油圧PLoutは、例えば、無段変速機20に入力されるトルク、変速比γ等をパラメータとして求められる。油路56の作動油は、油圧制御回路25の各部の潤滑部位や、オイルクーラ57へ供給される。この際、適量の作動油が潤滑部位、オイルクーラ57等へ供給されるように、作動油の油圧は調圧弁58によって所定値に調圧される。
【0054】
図4は、無段変速機20の変速比γを制御する変速制御回路59の一例を示している。変速制御回路59には、供給用の制御圧調整弁としての電磁開閉弁61と、供給流量調整弁としての流量制御弁62とが設けられている。これらの電磁開閉弁61及び流量制御弁62は、変速比γを小さくするアップシフト用の弁として用いられている。また、変速制御回路59には、排出用の制御圧調整弁としての電磁開閉弁63と、排出流量調整弁としての流量制御弁64とが設けられている。これらの電磁開閉弁63及び流量制御弁64は、変速比γを大きくするダウンシフト用の弁として用いられている。
【0055】
アップシフト用の流量制御弁62は、弁体としてのスプール弁子65、スプリング66及び制御油室67を備えている。スプール弁子65は、ライン油圧PL を導くライン油路68と、作動油を入力側油圧シリンダ42に供給する供給油路69との間に設けられている。スプール弁子65はその位置に応じて、ライン油路68及び供給油路69間の流路面積を変化させる可変絞りとして機能する。スプリング66は、スプール弁子65を常に閉弁方向に付勢している。制御油室67には、アップシフト用の電磁開閉弁61から供給され、かつモジュレータ圧PM を減圧した所定の制御圧Pvuが導かれる。
【0056】
流量制御弁62では、この制御圧Pvuによりスプール弁子65がスプリング66に抗して変位する。この変位に伴いスプール弁子65による流量制御弁62の絞り径が変化し、ライン油圧PL が絞り径に応じた値に調圧される。調圧後のライン油圧PL は供給油路69を通じて入力側油圧シリンダ42に供給される。この供給により、入力側可変プーリ32のV溝43の溝幅が狭くなって変速比γがアップシフト側へ連続的に変化する(小さくなる)。このようにして、アップシフト用の流量制御弁62では、電磁開閉弁61からの制御圧Pvuに応じてスプール弁子65が変位する。この変位に伴う絞り径の変更により、ライン油圧PL の作動油が入力側油圧シリンダ42へ供給され、かつその作動油の流量が調整され、アップシフト方向の変速速度が制御される。
【0057】
また、ダウンシフト用の流量制御弁64は、弁体としてのスプール弁子71、スプリング72及び制御油室73を備えている。スプール弁子71は、入力側油圧シリンダ42からの作動油の排出油路74と、流量制御弁64において大気に開放されたドレンポート75との間に設けられている。スプール弁子71はその位置に応じて、排出油路74及びドレンポート75間の流路面積を変化させる可変絞りとして機能する。スプリング72は、スプール弁子71を常に閉弁方向に付勢している。制御油室73には、ダウンシフト用の電磁開閉弁63から供給され、かつモジュレータ圧PM を減圧した所定の制御圧Pvdが導かれる。
【0058】
流量制御弁64では、この制御圧Pvdによりスプール弁子71がスプリング72に抗して変位する。この変位に伴いスプール弁子71による流量制御弁64の絞り径が変化し、入力側油圧シリンダ42内の作動油が排出油路74及びドレンポート75から所定の流量でドレンされる。このドレンにより入力側可変プーリ32のV溝43の溝幅が広くなり、変速比γがダウンシフト側へ連続的に変化する(大きくなる)。このように、ダウンシフト用の流量制御弁64では、電磁開閉弁63からの制御圧Pvdに応じてスプール弁子71が変位する。この変位に伴う絞り径の変更により、入力側油圧シリンダ42から排出される作動油の流量が調整され、ダウンシフト方向の変速速度が制御される。
【0059】
なお、ダウンシフト用の流量制御弁64には、そのスプール弁子71の閉位置においてライン油路68と入力側油圧シリンダ42との間に僅かな流通断面積の流通路76が形成されるようになっている。そして、上記アップシフト用及びダウンシフト用の流量制御弁62,64が共に閉状態であるときには、変速比γを変化させないために、ライン油路68から絞り77、一方向弁78、上記流通路76を通して作動油が僅かに供給されるようになっている。これは、入力側油圧シリンダ42及び出力側油圧シリンダ47の回転軸心に対して偏った荷重が加えられること等により、シール部材40が摺動部分に設けられているにも拘らず作動油の僅かな漏れが存在するからである。
【0060】
一方、出力側油圧シリンダ47の油圧Pout は、伝動ベルト34が滑りを生じないように、前述した図3に示す挟圧制御弁81によって調圧される。挟圧制御弁81には、前記ライン油圧PL 、信号圧Psls 及びモジュレータ圧PM が供給される。油圧Pout は、リニアソレノイド弁55から出力される信号圧Psls に応じて連続的に制御される。油圧Pout は信号圧Psls が高くなるに従って上昇させられる。伝動ベルト34が滑りを生じない範囲で可及的にその伝動ベルト34に対する挟圧力(ベルト張力)が小さくなるようにする。そして、油圧Pout が高くなるに従ってベルト挟圧力、すなわち可変プーリ32,33と伝動ベルト34との間の摩擦力が増大させられ、伝達トルク容量が大きくなる。
【0061】
車両には、無段変速機20の作動状態等を検出するために、図5に示すように、アクセル操作量センサ86、入力回転速度検出手段としての入力側回転速度センサ87、出力回転速度検出手段としての出力側回転速度センサ88、油圧検出手段としての油圧センサ89等の各種センサが設けられている。アクセル操作量センサ86は、車両の運転席近傍に設けられたアクセルペダルの開度(アクセル開度θacc )を検出する。入力側回転速度センサ87は、無段変速機20における入力軸22の回転速度(入力側回転速度Nin)を検出し、出力側回転速度センサ88は出力軸26の回転速度(出力側回転速度Nout )を検出する。油圧センサ89は、出力側油圧シリンダ47内の油圧Pout (ベルト挟圧力制御圧)を検出する。なお、入力側油圧シリンダ42内の油圧Pinを検出するセンサは設けられていない。
【0062】
前記各種センサ86〜89の検出信号等に基づいて無段変速機20の各部を制御するために、マイクロコンピュータを中心として構成された電子制御装置(Electronic Control Unit :ECU)91が設けられている。ECU91は中央処理装置(CPU)92、読み出し専用メモリ(ROM)93、ランダムアクセスメモリ(RAM)94、バックアップRAM95、外部入力回路96及び外部出力回路97を備えている。これらの各回路はバス98によって互いに接続されている。
【0063】
ROM93は、所定の制御プログラムや初期データを予め記憶している。CPU92は、外部入力回路96を介して各種センサ86〜89の検出信号等を入力し、これらの信号に基づき、ROM93に記憶されている制御プログラム及び初期データに従って各種の演算処理を行う。そして、CPU92は、これらの演算結果に基づき、外部出力回路97を介してリニアソレノイド弁55、電磁開閉弁61,63等に対し制御信号を出力して、各種制御を実行する。RAM94は、CPU92による演算結果を一時的に記憶する。バックアップRAM95は、ECU91に対する電源供給が停止された後にも、RAM94内の各種データを保持するために、バッテリ(図示略)によってバックアップされている。
【0064】
上記ECU91による制御には、前述したライン油圧PL の制御、変速制御、ベルト挟圧力制御等が含まれる。
変速制御では、車両の走行中において、アクセル開度θacc 及び車速V(出力側回転速度Nout に対応)に基づいて入力側の目標回転速度Nint を算出する。ここで、アクセル開度θacc (%)は、実際の運転者の要求出力量を表すもの(アクセル操作量)として用いられる。この目標回転速度Nint の算出に際しては、例えば図6に示すように、アクセル開度θacc 及び車速V(出力側回転速度Nout に対応)をパラメータとして予め定められたマップが用いられる。このマップは、エンジン12をその出力及び燃費が最適となる最適曲線に沿って作動させるために求められたものである。また、このマップでは、車速Vが低くアクセル開度θacc が大きいほど大きな変速比γになる目標回転速度Nint が設定されている。
【0065】
図6中、γmax は最大変速比であり、入力側可変プーリ32に対する伝動ベルト34の巻き掛け半径が最小で、かつ出力側可変プーリ33に対する伝動ベルト34の巻き掛け半径が最大のときに設定される。また、γmin は最小変速比であり、入力側可変プーリ32に対する伝動ベルト34の巻き掛け半径が最大で、かつ出力側可変プーリ33に対する伝動ベルト34の巻き掛け半径が最小のときに設定される。
【0066】
前記のようにして目標回転速度Nint を算出すると、実際の入力側回転速度Ninを目標回転速度Nint に一致させるための駆動デューティ比Dout (%)を決定する。この駆動デューティ比Dout に基づき、アップシフト用及びダウンシフト用の電磁開閉弁61,63への通電をデューティ制御する。この制御により、連続的に変化する制御圧Pvu,Pvdが制御油室67,73に供給される。この供給に応じ、各流量制御弁62,64におけるスプール弁子65,71が変位して絞り径が変化し、供給油路69又は排出油路74の流路面積が変化する。
【0067】
なお、電磁開閉弁61,63の一方に対する通電が前記駆動デューティ比Dout に基づいて制御される場合には、他方への通電が停止(Dout =0)される。従って、流量制御弁62,64の一方が開弁されるとき、他方は閉弁状体に保持される。
【0068】
そして、前記流路面積の変化に応じて、変速比γが目標回転速度Nint に対応する所定の目標変速比に一致するように、入力側油圧シリンダ42内へ供給される作動油、或いはその入力側油圧シリンダ42内から排出される作動油の流量が調整される。この調整に応じ、入力側可変プーリ32では可動回転体41が軸方向に移動し、V溝43の溝幅が変化して伝動ベルト34の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γがアップ側及びダウン側へ連続的に変化する。このようにして、変速制御では、目標回転速度Nint 及び実際の入力側回転速度Ninの偏差に基づき変速比γがフィードバック制御される。
【0069】
また、上記変速制御には、アップシフト用の流量制御弁62から入力側油圧シリンダ42に作動油を供給せず、また作動油をダウンシフト用の流量制御弁64から排出させないようにすることにより、入力側油圧シリンダ42内に作動油を閉じ込めた状態に保持する制御(閉じ込み制御)が含まれる。この制御は、一定の条件(閉じ込み実行条件)が満たされた場合、例えば車両の走行が停止されている場合に行われるもので、両電磁開閉弁61,63に対する駆動デューティ比Dout が特定の値(例えば「0」)に設定される。ただし、このときには、前述したように変速比γを変化させないために、ライン油路68から絞り77、一方向弁78及び流通路76を通してダウンシフト用の流量制御弁64に僅かな作動油を供給するためのライン油圧PL の制御、すなわち、リニアソレノイド弁55のデューティ制御が行われる。
【0070】
一方、ベルト挟圧力制御では、無段変速機20の実際の入力トルクTin或いは伝達トルクに対応するアクセル開度θacc 及び実際の変速比γに基づいてベルト挟圧力制御圧(目標値)を算出する。この算出には、例えば伝達トルクに対応するアクセル開度θacc 及び変速比γをパラメータとして、ベルト滑りが生じないように予め定められた必要油圧のマップが用いられる。そして、前記ベルト挟圧力制御圧(目標値)が得られるように、油圧制御回路25内のリニアソレノイド弁55に対する通電が制御される。この制御に応じ、ベルト挟圧力、すなわち出力側可変プーリ内の油圧Pout が調圧される。
【0071】
ECU91は、前述した制御のほかにも、変速制御回路59における漏れに関する流量特性を推定し、これを記憶及び随時更新する学習制御、及びその記憶した流量特性を前述した変速制御等に反映する制御も行う。次に、これらの制御の詳細を図9及び図10のフローチャートに従って説明する。
【0072】
図9のフローチャートは、流量特性を学習する流量特性学習ルーチンを示しており、所定のタイミング、例えば一定時間毎に繰り返し実行される。ここでは、両流量制御弁62,64における等価絞り径dinの標準絞り径din0 からのずれ(偏差Δdin)を流量特性としている。等価絞り径dinは、変速制御回路59の構成部材、例えば両流量制御弁62,64、バルブボディ、油圧シリンダ42,47等で生じている作動油の漏れを考慮した両流量制御弁62,64の絞り径である。また、標準絞り径din0 は、作動油の漏れがないことを前提に設定された両流量制御弁62,64の絞り径であり、図7に示すように、電磁開閉弁61,63に対する通電の駆動デューティ比Dout に対応している。
【0073】
この流量特性学習ルーチンでは、ECU91はまずステップ105において、流量特性を学習する条件(学習実行条件)が満たされているかどうかを判定する。この学習実行条件としては、例えば、「変速速度が所定の範囲に収まっていること」が挙げられる。これは、変速速度が急激に変化すると、管路抵抗が急激に変化する等して、後述する変速流量Qsft 、油圧Pin、等価絞り径din等の関係(式(5),(6)参照)が成立しなくなるおそれがあるからである。なお、変速速度は変速比γの一定時間における変化量である。
【0074】
ステップ105の判定条件が満たされていると、次のステップ110〜130の処理を行う。ステップ110では、出力側油圧シリンダ47内の油圧Pout と推力比τとに基づき、入力側油圧シリンダ42内の油圧Pinを推定する。ここで、油圧Pinを推定するのは、出力側油圧シリンダ47内の油圧Pout を検出するセンサ(油圧センサ89)が設けられているのに対し、入力側油圧シリンダ42内の油圧Pinを検出するセンサが設けられていないからである。油圧Pout としては、油圧センサ89によって検出される値が用いられる。また、入力側可変プーリ32における可動回転体41の推力をWinとし、出力側可変プーリ33における可動回転体46の推力をWout とすると、推力比τは次式(1)で表される。
【0075】
τ=Wout /Win ………(1)
一方、この推力比τは、変速比γ、車速V、油圧の安全率(余裕率)等に基づき求めることができる。
【0076】
また、入力側可変プーリ32における可動回転体41の受圧面積をAinとすると、次式(2)が成立する。同様に、出力側可変プーリ33における可動回転体46の受圧面積をAout とすると、次式(3)が成立する。ただし、ここでは遠心油圧、与圧スプリングのセット荷重は無視されている。
【0077】
Win =Pin・Ain ………(2)
Wout =Pout ・Aout ………(3)
上記式(1)〜(3)を整理すると、次式(4)が得られる。
【0078】
そこで、油圧Pout 、受圧面積Aout ,Ain及び推力比τに基づき、上記式(4)に従って油圧Pinを算出する。
【0079】
次に、ステップ115において、作動油の変速流量Qsft を推定する。変速流量Qsft は、変速に伴い入力側油圧シリンダ42に単位時間当たりに流入する作動油の流量である。変速流量Qsft は、例えば変速速度に基づいて、さらに詳しくは変速速度応じた可動回転体41の移動速度と受圧面積Ainとを乗算することによって求まる。可動回転体41の移動速度は、伝動ベルト34の掛かり径の変化速度に基づき求めることができる。
【0080】
続いて、ステップ120において、前記油圧Pin、変速流量Qsft 等を用い、次式(5)又は式(6)に基づき等価絞り径dinを算出する。この算出に際しては、アップシフト時には式(5)が用いられ、ダウンシフト時には式(6)が用いられる。
【0081】
Qsft=C{(π・din^2)/4}・√{(PL−Pin)/ρ} ……(5)
Qsft=C{(π・din^2)/4}・√(Pin/ρ) ……(6)
上記式(5),(6)中のCは流量係数であり、ρは作動油の密度である。また、^2 は2乗を意味している。
【0082】
次に、ステップ125において、現在(等価絞り径din推定時)出力されている駆動デューティ比Dout に対応する標準絞り径din0 を算出する。この算出には、例えば図7において実線で示すように、駆動デューティ比Dout に対する標準絞り径din0 を、予め実験等によって規定したマップを用いる。このマップでは、駆動デューティ比Dout が0のとき、すなわち、電磁開閉弁61,63に通電が行われないとき、標準絞り径din0 が最小値(=「0」)に設定されている。そして、標準絞り径din0 は、駆動デューティ比Dout が大きくなるに従い大きくなる。
【0083】
ステップ130において、前記ステップ120で求めた等価絞り径dinと、前記ステップ125で求めた標準絞り径din0 との偏差Δdin、すなわち等価絞り径dinの標準絞り径din0 からのずれ量を算出する。この偏差Δdinは、変速制御回路59での漏れ量に相当する。この偏差ΔdinをバックアップRAM95に記憶し、その後、この流量特性学習ルーチンを一旦終了する。そして、ステップ130の処理を行う毎に、バックアップRAM95に記憶されている偏差Δdinを更新する。
【0084】
なお、前記ステップ105の判定条件が満たされていない場合には、前記ステップ110から130の処理を行うことなく、流量特性学習ルーチンを一旦終了する。すなわち、変速速度が所定の領域から外れていると、偏差Δdinの学習(算出、記憶及び更新)を禁止する。
【0085】
一方、図10のフローチャートは、前記のようにして学習された流量特性(偏差Δdin)を反映した変速制御ルーチンを示しており、所定のタイミング、例えば一定時間毎に繰り返し実行される。
【0086】
ECU91はまずステップ205において、変速制御において、両流量制御弁62,64を共に閉弁して入力側油圧シリンダ42内に作動油を閉じ込めた状態に保持する「閉じ込み制御」を行う条件(閉じ込み実行条件)が満たされているかどうかを判定する。この閉じ込み実行条件としては、例えば、前述したように「車両の走行が停止されていること」が挙げられる。この判定条件が満たされていないと、ステップ210〜240の一連の処理を行う。
【0087】
ステップ210では、入力側回転速度センサ87によって検出される実際の入力側回転速度Ninを目標回転速度Nint に一致させるための目標変速流量Qt を算出する。ここで、目標回転速度Nint は、前述したようにアクセル開度θacc 及び車速V(出力側回転速度Nout に対応)に基づいて算出されるものである。また、目標変速流量Qt は前述したオリフィスの式、すなわちアップシフト時には式(5)に基づき算出され、ダウンシフト時には式(6)に基づき算出される。
【0088】
次に、ステップ215では、前記目標変速流量Qt に対応する基本デューティ比Dbse を算出する。この基本デューティ比Dbse は、例えば、目標変速流量Qt と基本デューティ比Dbse との対応関係を予め実験等により規定したマップに従って算出することができる。
【0089】
続いて、ステップ220において、前記流量特性学習ルーチンで記憶した偏差Δdinに対応するデューティ補正量Dadj を算出する。このデューティ補正量Dadj は、例えば偏差Δdinと、その偏差Δdinが大きくなるに従い多くなるデューティ補正量Dadj との関係を規定したマップを参照して求めることができる。
【0090】
続いて、ステップ225において、前記ステップ215での基本デューティ比Dbse に前記ステップ220でのデューティ補正量Dadj を加算することにより、駆動デューティ比Dout を算出する。そして、ステップ230において、前記駆動デューティ比Dout が予め設定された規定範囲に収まっているかどうかを判定する。具体的には、駆動デューティ比Dout が下限値以上であり、かつ上限値以下であるかをどうかを判定する。この判定条件が満たされていると、駆動デューティ比Dout が正常であるとして、ステップ240へ移行する。
【0091】
これに対し、ステップ230の判定条件が満たされていないと、すなわち規定範囲から外れていると、駆動デューティ比Dout が異常であるとして、ステップ235においてガード処理を行う。例えば、駆動デューティ比Dout が上限値を上回っていると、その上限値を今回の駆動デューティ比Dout として設定する。また、駆動デューティ比Dout が下限値を下回っていると、その下限値を今回の駆動デューティ比Dout として設定する。そして、ステップ235の処理を経た後、ステップ240へ移行する。
【0092】
ステップ240では、前記ステップ230又はステップ235で設定した駆動デューティ比Dout に基づき電磁開閉弁61,63への通電を制御する。そして、このステップ240の処理を経た後、変速制御ルーチンを一旦終了する。なお、図10では図示が省略されているが、ステップ210〜240の一連の処理の対象は、両電磁開閉弁61,63の一方であり、他方については駆動デューティ比Dout が「0」に設定され通電が停止される。詳しくは、アップシフト時には電磁開閉弁61が前記一連の処理の対象となり、ダウンシフト用の電磁開閉弁63については通電が停止される。また、ダウンシフト時には、電磁開閉弁63が前記一連の処理の対象となり、アップシフト用の電磁開閉弁61については通電が停止される。
【0093】
一方、前記ステップ205の判定条件が満たされていると、すなわち、閉じ込み実行条件が成立していると、ステップ245において、両電磁開閉弁61,63への通電を停止(駆動デューティ比Dout =0)する。この通電停止に伴い両流量制御弁62,64が共に閉弁され、入力側油圧シリンダ42内に作動油が閉じ込められた状態に保持される。この場合には、前記ステップ210〜240で説明したような、駆動デューティ比Dout による等価絞り径dinの調整を行うことができない。そこで、ステップ250〜270において、推力比τが適正領域に収まるように、前記流量特性学習ルーチンで算出、記憶及び更新した流量特性(偏差Δdin)をライン油圧PL の制御に反映する。
【0094】
ステップ250では、偏差Δdinに応じたライン圧補正量PLadjを算出する。この算出には、例えば、図8に示すように、偏差Δdinと、その偏差Δdinが多くなるほど増加するライン圧補正量PLadjとの関係を予め定めたマップを用いることができる。
【0095】
次に、ステップ255において、基本ライン油圧PLbseに前記ステップ250でのライン圧補正量PLadjを加算することにより、目標ライン油圧PLoutを算出する。ここで、基本ライン油圧PLbseは、無段変速機20に入力されるトルク、変速比γ等に基づいて別途算出されたものである。
【0096】
続いて、ステップ260において、前記目標ライン油圧PLoutが予め設定された下限値以上であるかどうかを判定する。下限値は、少なくとも伝動ベルト34が滑らないことを観点に設定されている。この判定条件が満たされていると、目標ライン油圧PLoutが正常であるとしてステップ270へ移行する。
【0097】
これに対し、ステップ260の判定条件が満たされていないと、すなわち目標ライン油圧PLoutが下限値未満であると、目標ライン油圧PLoutが異常であるとして、ステップ265においてガード処理を行う。ガード処理としては、例えば、下限値を今回の目標ライン油圧PLoutとして設定する。ステップ265の処理を経た後、ステップ270へ移行する。
【0098】
ステップ270では、実際のライン油圧PL が前記ステップ260又は265で設定した目標ライン油圧PLoutに一致するようにリニアソレノイド弁55への通電を制御する。そして、ステップ270の処理を経た後、変速制御ルーチンを一旦終了する。
【0099】
上記のように構成された本実施形態では、流量特性学習ルーチンにおけるステップ120の処理が流量制御弁62,64の等価絞り径dinを推定する推定手段に相当する。また、ステップ125,130の処理が偏差Δdinを算出、記憶及び更新する学習手段に相当する。ステップ105→リターンの処理が、学習実行条件不成立の場合に偏差Δdinの更新等を禁止する禁止手段に相当する。
【0100】
変速制御ルーチンにおけるステップ240,245の処理が、両電磁開閉弁61,63をそれぞれ駆動制御する制御手段に相当する。ステップ220,225の処理が、偏差Δdinを電磁開閉弁61,63の制御に反映する偏差反映手段に相当する。ステップ205,245の処理が、両電磁開閉弁61,63の制御を通じて、入力側油圧シリンダ42内に作動油を閉じ込めた状態に保持する閉じ込み制御手段に相当する。また、ステップ270の処理が、閉じ込み制御中における変速比の変化を抑制する作動油供給制御手段に相当する。さらに、ステップ250,255の処理が、基本ライン油圧PLbseを偏差Δdinに基づき補正する補正手段に相当する。
【0101】
本実施形態によると、流量制御弁62,64でのスプール弁子65,71の等価絞り径dinが推定される(ステップ120)。この推定は、入力側油圧シリンダ42内の作動油の油圧Pinと、入力側油圧シリンダ42での変速に伴う作動油の変速流量Qsft とに基づいて行われる。
【0102】
ここで、無段変速機20には、出力側油圧シリンダ47内の作動油の油圧Pout を検出する手段(油圧センサ89)が設けられているが、入力側油圧シリンダ42内の作動油の油圧Pinを検出する手段が設けられていない。しかし、この油圧Pinは、油圧センサ89によって検出される油圧Pout と両油圧シリンダ42,47の推力比τとに基づいて求められる(ステップ110)。
【0103】
また、変速流量Qsft と無段変速機20の変速速度との間には相関関係が見られることから、本実施形態では、変速比γの単位時間当たりの変化量である変速速度が求められ、この変速速度に基づいて変速流量Qsft が算出される(ステップ115)。
【0104】
従って、変速制御回路59において、作動油の漏れ量等の流量特性がばらついて、図7において二点鎖線で示す駆動デューティ比Dout と等価絞り径dinとの関係が、同図において実線で示す駆動デューティ比Dout と標準絞り径din0 との関係からずれたとしても、このずれが前記反映により吸収される。すなわち、ずれは、偏差Δdinに応じたデューティ補正量Dadj を基本デューティ比Dbse に足し込むことで吸収される。その結果、入力側油圧シリンダ42への時間当たりの作動油供給量が不足して変速が遅れる現象が抑制される。また、単位時間当たりの作動油の供給量が過剰となって、入力側回転速度Ninが目標回転速度Nint を越える、いわゆるオーバシュートが発生する現象が抑制される。
【0105】
また、等価絞り径の推定に際し、入力側油圧シリンダ42内の作動油の油圧Pinに加え、同入力側油圧シリンダ42での変速に伴う作動油の変速流量Qsft が用いられている(ステップ120)。従来技術とは異なり、この推定には、入力側油圧シリンダ42に流入する作動油の流量と排出される作動油の流量とが同一であることが前提されていない。従って、前記推定は定常時に限らず、変速中であっても行うことが可能である。このように、推定が定常時に限られる場合(従来技術に相当)に比べ、推定の機会が多くなって、推定のサイクルが短くなる。
【0106】
ここで、変速速度が所定の領域から外れるほど急激に変化した場合には、管路抵抗等が大きく変化し、等価絞り径dinの推定に影響を及ぼすおそれがある。しかし、本実施形態では、変速速度が所定の領域から外れていて学習実行条件が成立していない場合には、油圧Pin、変速流量Qsft 、等価絞り径din、標準絞り径din0 の各算出と、偏差Δdinの算出、記憶及び更新とが禁止される(ステップ105→リターン)。
【0107】
さらに、閉じ込み制御中には、作動油の僅かな漏れが原因で変速比γが不用意に変化するのを防止する目的で、リニアソレノイド弁55を制御することにより、ダウンシフト用の流量制御弁64に所定圧(基本ライン油圧PLbse)の作動油が供給される(ステップ270)。
【0108】
ここで、変速制御回路59での作動油の漏れ量等といった流量特性がばらついた場合、流量制御弁64に所定圧の作動油が供給されない場合が起り得る。そして、例えば基本ライン油圧PLbseよりも高い油圧が供給されると、閉じ込み制御中の入力側油圧シリンダ42及び出力側油圧シリンダ47の推力比τが適切でない値となって、不意のアップシフトが起るおそれがある。
【0109】
この点、本実施形態では、前記基本ライン油圧PLbseが、偏差Δdinに応じたデューティ補正量Dadj に基づいて補正される(ステップ250,255)。従って、閉じ込み制御中には、流量制御弁62を通じて入力側油圧シリンダ42に対し、推力比τを適切な値にするための所定の油圧が供給される。
【0110】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)流量制御弁62,64でのスプール弁子65,71の等価絞り径dinを推定すると共に、この等価絞り径dinと、等価絞り径推定時の駆動デューティ比Dout に対応する標準絞り径din0 との偏差Δdinを求め、これを記憶及び更新している。そして、この偏差Δdinを、両流量制御弁62,64の制御に反映するようにしている。
【0111】
このため、変速制御回路59での作動油の漏れ量等の流量特性のばらつきに起因する変速の応答遅れやオーバシュートを抑制して、ドライバビリティの低下を回避することができる。また、入力側油圧シリンダ42において変速に必要な油圧を確保できるようになり、伝動ベルト34等が滑ることによる無段変速機20の耐久性低下を抑制することができる。
【0112】
(2)等価絞り径dinの推定に際し、入力側油圧シリンダ42内の作動油の油圧Pinに加え作動油の変速流量Qsft を用いている。このため、偏差Δdinの記憶及び更新の頻度、ひいては偏差Δdinの反映頻度を多くすることが可能となる。その結果、実際の状態に近い等価絞り径dinや偏差Δdinを両電磁開閉弁61,63の制御に反映することができ、前述したドライバビリティや耐久性の低下を抑制するという効果を十分に得ることができるようになる。
【0113】
(3)無段変速機20には、入力側油圧シリンダ42内の作動油の油圧Pinを検出する手段が設けられていない。しかし、この油圧Pinを、油圧センサ89によって検出される油圧Pout と両油圧シリンダ42,47の推力比τとに基づいて求めるようにしている。そのため、この油圧Pinを用いた等価絞り径dinの演算に支障を及ぼすことはない。
【0114】
(4)変速流量Qsft と、無段変速機20の変速速度との間に相関関係が見られることに着目し、変速比γの単位時間当たりの変化量である変速速度を求め、この変速速度に基づいて変速流量Qsft を算出するようにしている。そのため、この変速流量Qsft を用いた等価絞り径dinの演算に支障を及ぼすことがない。
【0115】
(5)変速速度が所定の領域から外れていて学習実行条件が満たされていない場合、油圧Pin、変速流量Qsft 、等価絞り径din、標準絞り径din0 の各算出と、偏差Δdinの算出、記憶及び更新とを禁止するようにしている。このため、管路抵抗等の影響を受けた精度の低い等価絞り径dinに基づき算出された偏差Δdinが、両電磁開閉弁61,63の制御に反映されるのを防止することができる。
【0116】
(6)閉じ込み制御中の基本ライン油圧PLbseを、偏差Δdinに応じたデューティ補正量Dadj に基づいて補正し、実際のライン油圧PL がその補正後の目標ライン油圧PLoutとなるようにリニアソレノイド弁55を駆動制御するようにしている。このため、推力比τを適切な値にして不意の変速(アップシフト)を抑制することができる。
【0117】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・入力側油圧シリンダ42の油圧Pinを検出するセンサを新たに設けてもよい。この場合、流量特性学習ルーチンにおけるステップ110の処理が不要となる。
【0118】
・前記実施形態では、入力側油圧シリンダ42を変速用の油圧アクチュエータとしたが、これに代えて、出力側油圧シリンダ47を変速用の油圧アクチュエータとしてもよい。
【0119】
・本発明は、前記実施形態のように、流量制御弁62,64の一方が開弁されるとき、他方が閉弁状態に保持されるよう両電磁開閉弁61,63を駆動制御するものに限らず、流量制御弁62,64が両方とも開弁状態となるように両電磁開閉弁61,63を駆動制御するものにも適用可能である。
【0120】
・本発明は、標準絞り径din0 とその標準絞り径din0 に対応する電磁開閉弁61,63への駆動デューティ比Dout との関係に基づき、そのときの標準絞り径din0 に応じた駆動デューティ比Dout に基づき電磁開閉弁61,63を駆動制御するようにしたものにも適用可能である。この場合には、偏差Δdinに基づき、標準絞り径din0 と駆動デューティ比Dout との関係を補正してもよい。
【0121】
このようにすれば、補正後の標準絞り径din0 と駆動デューティ比Dout との関係は、作動油の漏れ量等といった流量特性のばらつきを考慮したものとなる。従って、この補正後の関係に基づいて電磁開閉弁61,63を駆動制御することにより、等価絞り径dinを、入力側油圧シリンダ42に対し、所望の量の作動油を供給又は排出するために要求される等価絞り径にすることができる。
【0122】
・学習の機会をさらに確保する手段として、工場出荷時に初期学習モードを設定し、図9のステップ110〜130の一連の処理を行うようにしてもよい。
・本発明は、ベルト式の無段変速機20に限らず、油圧アクチュエータを用いた他のタイプの無段変速機にも適用可能である。
【0123】
・本発明は、車両走行用の動力源を1つ有する動力伝達装置にも適用可能である。例えば、動力源としてエンジンを用い、そのエンジンの駆動力をトルクコンバータを介して無段変速機へ伝達するタイプの動力伝達装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態における動力伝達装置の概略図。
【図2】無段変速機の一部を破断して示す正面図。
【図3】油圧制御回路のうち油圧を発生する部分及び挟圧力制御を行う部分を示す回路図。
【図4】油圧制御回路のうち変速制御を行う部分を示す回路図。
【図5】無段変速機の変速制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図6】目標回転速度の決定に用いられるマップのマップ構造を示す略図。
【図7】駆動デューティ比と標準絞り径との関係を示す特性図。
【図8】ライン圧補正量の決定に用いられるマップのマップ構造を示す略図。
【図9】流量特性を学習する手順を示すフローチャート。
【図10】変速を制御する手順を示すフローチャート。
【符号の説明】20…無段変速機、22…入力軸、26…出力軸、32…入力側可変プーリ、33…出力側可変プーリ、34…伝動ベルト、42…入力側油圧シリンダ(変速用の油圧アクチュエータ)、47…出力側油圧シリンダ、61…アップシフト用の電磁開閉弁(供給用の制御圧調整弁)、62…アップシフト用の流量制御弁(供給流量調整弁)、63…ダウンシフト用の電磁開閉弁(排出用の制御圧調整弁)、64…ダウンシフト用の流量制御弁(排出流量調整弁)、65,71…スプール弁子(弁体)、87…入力側回転速度センサ(入力回転速度検出手段)、88…出力側回転速度センサ(出力回転速度検出手段)、89…油圧センサ(油圧検出手段)、91…ECU(制御手段、推定手段、学習手段、偏差反映手段、禁止手段、閉じ込み制御手段、作動油供給制御手段、補正手段)、γ…変速比、τ…推力比、din…等価絞り径、din0 …標準絞り径、Δdin…偏差、Nin…入力側回転速度、Nout …出力側回転速度、Pin,Pout …油圧、Pvd,Pvu…制御圧、Qsft …変速流量。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両のエンジン等の動力源と駆動輪との間に介在される無段変速機の変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用の変速機として、油圧アクチュエータにより押圧される動力伝達部材を介して動力を伝達するとともに、その油圧アクチュエータに作動油を供給又は排出させることにより、変速を連続的に(無段階)に行うようにした無段変速機が知られている。
【0003】
こうした無段変速機の一つにベルト式無段変速機がある。このタイプの無段変速機は、それぞれ有効径を可変にした入力側及び出力側の可変プーリと、両可変プーリに巻き掛けられて動力を伝達する伝動ベルトと、各可変プーリの溝幅を変化させる入力側及び出力側の油圧シリンダとを備えている。この無段変速機では、例えば、入力側油圧シリンダに対し作動油が供給又は排出されることにより変速比が制御される。また、出力側油圧シリンダ内の油圧が調圧されることにより、滑りが発生しないように伝動ベルトの張力が制御される。
【0004】
上述したベルト式無段変速機では、特に、変速比の制御のために、入力側油圧シリンダへ作動油を供給する油路(供給油路)にアップシフト用の供給流量調整弁(流量制御弁)が設けられている。この供給流量調整弁では、アップシフト用の制御圧調整弁(電磁弁)から供給される制御圧に応じて可変絞りとしての弁体が変位する。この変位に応じて弁体の絞り径、ひいては供給油路の流路面積が変化し、作動油の供給流量が調整される。また、入力側油圧シリンダ内の作動油を排出する油路(排出油路)にダウンシフト用の排出流量調整弁(流量制御弁)が設けられている。この排出流量調整弁では、ダウンシフト用の制御圧調整弁(電磁弁)から供給される制御圧に応じて可変絞りとしての弁体が変位する。この変位に応じて弁体の絞り径、ひいては排出油路の流路面積が変化し、作動油の排出量が調整される。
【0005】
一方、変速比の制御に際し、アクセル開度、車速等の車両の状況に応じ、無段変速機における入力軸の目標回転速度Nint が求められ、実際の入力軸の回転速度(入力側回転速度Nin)を目標回転速度Nint に一致させるための駆動デューティ比が求められる。そして、この駆動デューティ比に基づき制御圧調整弁への通電が制御されることにより、供給流量調整弁及び排出流量調整弁に供給される各制御圧が調整される。この調整に伴い各弁体が変位して絞り径(供給油路及び排出油路の各流路面積)が変化して入力側油圧シリンダに対する作動油の供給・排出が行われる。
【0006】
ところで、前述した無段変速機では、構成部品のばらつき、経時変化等に起因して、変速制御ラインにおいて、漏れ量等の流量特性がばらつくと、駆動デューティ比と各流量調整弁での絞り径との関係が、予め定められた標準の関係からずれる。ここで、漏れが問題となる構成部品としては、例えば、供給流量調整弁、排出流量調整弁、バルブボディ、入力側油圧シリンダ等である。そして、例えば、駆動デューティ比に対する絞り径が標準の絞り径よりも小さい場合には、入力側油圧シリンダへの単位時間当たりの作動油供給量が不足し、必要量の作動油が供給されるまでに時間がかかり、変速が遅れる。これとは逆に、駆動デューティ比に対する絞り径が標準の絞り径よりも大きい場合には、入力側油圧シリンダへの単位時間当たりの作動油供給量が過剰となり、入力側回転速度Ninが目標回転速度Nint を越える現象、すなわちオーバシュートが発生する。そして、これらの変速の応答遅れやオーバシュートが原因でドライバビリティが損なわれるおそれがある。
【0007】
また、前記流量特性のばらつきにより、変速時に入力側油圧シリンダについて必要な油圧を確保できない場合が起り得る。この場合には、伝動ベルトが滑って無段変速機の耐久性の低下を招くおそれがある。
【0008】
そこで、こういった不具合を解消するための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、入力側油圧シリンダ内の油圧を推定し、その油圧に基づき両流量制御弁の開口面積比(両絞り径の比)を求め、このときの駆動デューティ比と開口面積比との関係に基づいて、予め設定された標準の関係(駆動デューティ比に対する開口面積比の特性)を補正するものである。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−210189号公報(第5−6頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に記載された技術では、前記の補正により、流量特性のばらつきに起因する特性(駆動デューティ比に対する開口面積比の特性)のずれを吸収することができる。これに伴い、前述した変速の応答遅れ、オーバシュート等に起因するドライバビリティの悪化や、伝動ベルトの滑りに起因する無段変速機の耐久性低下等の不具合を解消できる。しかし、この技術では、入力側油圧シリンダ内の油圧の推定が定常時に限られ、その推定の機会、ひいては開口面積比(両絞り径の比)の算出の機会が少ないという問題がある。これは、入力側油圧シリンダに流入する作動油の流量と、入力側油圧シリンダから排出される作動油の流量とが定常時に同一になることを利用して、オリフィス前後の流量の一般式に基づいて入力側油圧シリンダ内の油圧を推定しているからである。
【0011】
このため、流量特性のばらつきが変化した場合、次の定常時までの期間は、前回定常時に推定された油圧や開口面積比、すなわち、実際の状態とは異なる油圧や開口面積比が、駆動デューティ比に対する開口面積比の特性の反映に用いられることとなる。その結果、意図する効果が十分に得られないおそれがある。
【0012】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ドライバビリティや耐久性の低下を抑制する効果を十分に得ることのできる無段変速機の変速制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、供給用の制御圧調整弁からの制御圧に応じて変位する弁体を有し、その変位に伴う絞り径の変更により、変速用の油圧アクチュエータへの作動油の供給流量を調整する供給流量調整弁と、排出用の制御圧調整弁からの制御圧に応じて変位する弁体を有し、その変位に伴う絞り径の変更により、前記油圧アクチュエータからの作動油の排出流量を調整する排出流量調整弁と、前記両制御圧調整弁をそれぞれ駆動制御する制御手段とを備え、前記油圧アクチュエータに対する作動油の供給及び排出により連続的に変速を行うようにした無段変速機の変速制御装置において、少なくとも前記油圧アクチュエータ内の作動油の油圧、及び前記油圧アクチュエータでの変速に伴う作動油の変速流量に基づき、前記供給流量調整弁及び前記排出流量調整弁での前記弁体の等価絞り径を推定する推定手段と、前記推定手段による等価絞り径と、等価絞り径推定時の前記制御手段の制御量に対応する標準絞り径との偏差を求め、記憶及び更新する学習手段と、前記学習手段による偏差を、前記制御手段による前記両制御圧調整弁の制御に反映する偏差反映手段とを備えている。
【0014】
上記の構成によれば、供給流量調整弁では、供給用の制御圧調整弁から供給される制御圧に応じて弁体が変位する。この変位に伴い絞り径が変化し、変速用の油圧アクチュエータへの作動油の供給流量が調整される。また、排出流量調整弁では、排出用の制御圧調整弁から供給される制御圧に応じて弁体が変位する。この変位に伴い絞り径が変化し、油圧アクチュエータからの作動油の排出流量が調整される。各制御圧は、制御手段による各制御圧調整弁の駆動制御に応じて変化する。そして、油圧アクチュエータに作動油が供給されること、及び作動油が排出されることにより変速が連続的に行われる。
【0015】
一方、推定手段では、供給流量調整弁及び排出流量調整弁での弁体の等価絞り径が推定される。この推定は、少なくとも油圧アクチュエータ内の作動油の油圧と、油圧アクチュエータでの変速に伴う作動油の変速流量とに基づいて行われる。また、学習手段では、前記のようにして推定された等価絞り径と、この等価絞り径が推定されたときの制御手段の制御量に対応する標準絞り径との偏差が求められ、記憶及び更新される。そして、偏差反映手段では、そのときに学習手段に記憶されている偏差が、制御手段による両制御圧調整弁の制御に反映される。
【0016】
従って、無段変速機における構成部品のばらつき、経時変化等に起因して、作動油の漏れ量等といった流量特性がばらついて、等価絞り径と制御量との関係が、予め定められた標準絞り径と制御量との関係からずれたとしても、このずれを前記反映により吸収することができる。その結果、油圧アクチュエータへの時間当たりの作動油供給量が不足して変速が遅れる現象を抑制することができる。また、単位時間当たりの作動油の供給量が過剰となって、入力軸の回転速度が目標回転速度を越える、いわゆるオーバシュートが発生する現象を抑制することができる。その結果、これらの変速の応答遅れやオーバシュートを原因とするドライバビリティの低下を回避できる。さらに、油圧アクチュエータにおいて、変速に必要な油圧を確保できるようになり、伝動ベルト等が滑ることによる無段変速機の耐久性低下も抑制できる。
【0017】
また、等価絞り径の推定に際し、油圧アクチュエータ内の作動油の油圧に加え、油圧アクチュエータでの変速に伴う作動油の変速流量を用いている。この推定には、油圧アクチュエータに流入する作動油の流量と排出される作動油の流量とが同一であることが前提されていない。従って、この推定は定常時に限らず、変速中であっても実行可能である。このように、請求項1に記載の発明では、推定が定常時に限られる場合に比べ、推定の機会が多くなる。表現を変えると、推定のサイクルが短くなる。これに伴い、学習手段における偏差の記憶及び更新の頻度、ひいては偏差反映手段での偏差の反映頻度を多くすることが可能となる。その結果、実際の状態に近い等価絞り径や偏差が両制御圧調整弁の制御に反映されることとなり、前述したドライバビリティや耐久性の低下を抑制するといった効果を十分に得ることが可能となる。
【0018】
上記請求項1に記載の発明における制御手段としては、例えば、請求項2に記載の発明のように、前記供給流量調整弁及び前記排出流量調整弁の一方を開弁させるとき、他方が閉弁状態に保持されるよう前記両制御圧調整弁を駆動制御するものが挙げられる。
【0019】
上記請求項2に記載の発明の構成によれば、供給用及び排出用の両制御圧調整弁が制御手段によって制御されることで、供給流量調整弁及び排出流量調整弁の一方が開弁されているときには、他方が閉弁状態に保持される。表現を変えると、供給流量調整弁及び排出流量調整弁の一方の絞り径が変化するときには、他方の絞り径が一定の値に保持されている。
【0020】
例えば、供給流量調整弁での絞り径の変更により、変速用の油圧アクチュエータへの作動油の供給量が調整されているときには、排出流量調整弁では絞り径が一定の値に保持されて閉弁されている。このため、油圧アクチュエータ内の作動油は排出されない。逆に、排出流量調整弁での絞り径の変更により、変速用の油圧アクチュエータからの作動油の排出量が調整されているときには、供給流量調整弁では絞り径が一定の値に保持されて閉弁されている。このため、油圧アクチュエータに作動油が供給されない。
【0021】
これに伴い、油圧アクチュエータへの作動油の供給時には、推定手段では、供給流量調整弁での弁体の等価絞り径が推定される。学習手段では、等価絞り径と、供給用制御圧調整弁の制御量に対応する標準絞り径との偏差が求められ、これが記憶及び更新される。偏差反映手段では、そのときに学習手段に記憶されている偏差が、制御手段による供給用制御圧調整弁の制御量に反映される。
【0022】
また、油圧アクチュエータからの作動油の排出時には、推定手段では、排出流量調整弁での弁体の等価絞り径が推定される。学習手段では、等価絞り径と、排出用制御圧調整弁の制御量に対応する標準絞り径との偏差が求められ、これが記憶及び更新される。偏差反映手段では、そのときに学習手段に記憶されている偏差が、制御手段による排出用制御圧調整弁の制御量に反映される。
【0023】
従って、この場合にも、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
上記請求項1又は2に記載の発明における無段変速機としては、例えば、請求項3に記載の発明のように、入力軸に設けられ、かつ溝幅を可変に構成した入力側可変プーリと、出力軸に設けられ、かつ溝幅を可変に構成した出力側可変プーリと、前記入力側可変プーリ及び出力側可変プーリに巻き掛けられて摩擦力により動力伝達を行う伝動ベルトと、前記入力側可変プーリの溝幅を変化させる入力側油圧シリンダと、前記出力側可変プーリの溝幅を変化させる出力側油圧シリンダとを備え、前記入力側油圧シリンダ及び出力側油圧シリンダの一方が前記変速用の油圧アクチュエータにより構成されたものが挙げられる。
【0024】
上記請求項3に記載の発明の構成によれば、変速用の油圧アクチュエータに対する作動油の供給及び排出が行われると、無段変速機では、入力側油圧シリンダ及び出力側油圧シリンダのうち、前記変速用の油圧アクチュエータによって構成されたものが作動する。この作動に応じ、入力側可変プーリ又は出力側可変プーリの溝幅が変化し、伝動ベルトの巻き掛け半径が変更される。これに伴い、入力軸の回転速度と出力軸の回転速度との比である変速比が連続的(無段階に)変化させられる。
【0025】
ここで、無段変速機が、前記変速用の油圧アクチュエータを前記入力側油圧シリンダとして備えるとともに、その出力側油圧シリンダ内の作動油の油圧を検出する油圧検出手段を備えているが、入力側油圧シリンダ内の作動油の油圧を検出する手段を備えていない場合があり得る。一方、推定手段での等価絞り径を推定する際には、入力側油圧シリンダ内の作動油の油圧が用いられる。この場合には、同油圧を算出する必要が生ずる。
【0026】
そこで、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記無段変速機は、前記変速用の油圧アクチュエータを前記入力側油圧シリンダとして備えるとともに、前記出力側油圧シリンダ内の作動油の油圧を検出する油圧検出手段を備えており、前記推定手段における入力側油圧シリンダ内の作動油の油圧は、前記油圧検出手段による油圧と、前記入力側油圧シリンダ及び前記出力側油圧シリンダの推力比とに基づいて算出されるものであるとしている。
【0027】
上記の構成によれば、油圧検出手段によって検出される出力側油圧シリンダ内の作動油の油圧と、入力側及び出力側の両油圧アクチュエータの推力比とに基づいて、入力側油圧シリンダ内の作動油の油圧を求めることができる。
【0028】
上記請求項1に記載の発明では、前述したように弁体の等価絞り径の推定に際し、変速用の油圧アクチュエータ(請求項3及び4では入力側油圧シリンダ)での変速に伴う作動油の変速流量が用いられる。この変速流量と無段変速機の変速速度との間には相関関係が見られる。そこで、この変速流量は例えば次のようにして求めることができる。
【0029】
すなわち、請求項5に記載の発明では、請求項3又は4に記載の発明において、前記無段変速機は、前記入力軸の回転速度を検出する入力回転速度検出手段と、前記出力軸の回転速度を検出する出力回転速度検出手段とを備えており、前記推定手段における前記変速流量は、前記入力回転速度検出手段及び前記出力回転速度検出手段による両回転速度の比の変化量である変速速度に基づいて算出されるものであるとしている。
【0030】
上記の構成によれば、入力回転速度検出手段によって入力軸の回転速度が検出され、出力回転速度検出手段によって出力軸の回転速度が検出される。これらの回転速度の比(変速比)の単位時間当たりの変化量を求めることにより、変速速度が得られる。そして、この変速速度に基づいて変速流量が算出される。
【0031】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、さらに前記変速速度が所定の領域から外れていると、少なくとも前記学習手段による前記偏差の更新を禁止する禁止手段を備えるものとする。
【0032】
ここで、変速速度が所定の領域から外れるほど急激に変化した場合には、管路抵抗等が大きく変化し、推定手段での等価絞り径の推定に影響を及ぼすおそれがある。
【0033】
この点、請求項6に記載の発明の構成によれば、禁止手段では、変速速度が所定の領域から外れている場合、少なくとも学習手段による偏差の更新が禁止される。従って、管路抵抗等の影響を受けた精度の低い等価絞り径に基づき算出された偏差が、制御手段での制御圧調整弁の制御に反映されるのを防止することができる。
【0034】
ここで、請求項1〜6のいずれかに記載の発明における制御手段としては、請求項7に記載の発明のように、前記標準絞り径とその標準絞り径に対応する制御圧調整弁の制御量との関係に基づき、そのときの標準絞り径に応じた制御量に基づき前記制御圧調整弁を駆動制御するようにしてもよい。この場合には、同請求項7に記載の発明のように、前記偏差反映手段は、前記学習手段による前記偏差に基づき、前記標準絞り径と前記制御量との関係を補正することが望ましい。
【0035】
上記の構成によれば、標準絞り径とその標準絞り径に対応する制御圧調整弁の制御量との関係が予め定められており、制御手段では、この関係に基づき、そのときの標準絞り径に応じた制御量に基づき制御圧調整弁が駆動制御される。一方、偏差反映手段では、学習手段によって記憶及び更新された偏差に基づき、前記標準絞り径と制御量との関係が補正される。補正後の関係は、作動油の漏れ量等といった流量特性のばらつきを考慮したものとなる。従って、この補正後の関係に基づいて制御圧調整弁を駆動制御することにより、等価絞り径を、変速用の油圧アクチュエータに対し、所望の量の作動油を供給又は排出するために要求される等価絞り径にすることが可能となる。
【0036】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記制御手段は、変速停止に関する所定の条件が満たされたとき、前記両制御圧調整弁の駆動制御を通じて、前記供給流量調整弁及び前記排出流量調整弁を共に閉弁させることにより、前記変速用の油圧アクチュエータ内に前記作動油を閉じ込めた状態に保持する閉じ込み制御手段と、前記閉じ込み制御手段による閉じ込み制御中に前記供給流量調整弁又は前記排出流量調整弁に所定圧の作動油を供給することにより、その閉じ込み制御中における変速比の変化を抑制する作動油供給制御手段とを含んでおり、さらに、前記作動油供給制御手段による前記所定圧を、前記学習手段による偏差に基づき補正する補正手段を設けるものとする。
【0037】
上記の構成によれば、閉じ込み制御手段では、変速停止に関する所定の条件が満たされたとき、両制御圧調整弁が駆動制御されることで、供給流量調整弁及び排出流量調整弁が共に閉弁される。この閉弁により変速用の油圧アクチュエータ内に作動油が閉じ込められた状態に保持される。
【0038】
また、この閉じ込み制御中には、作動油の僅かな漏れが原因で変速比が不意に変化するのを防止する目的で、作動油供給制御手段の制御が行われる。この制御では、供給流量調整弁又は排出流量調整弁に所定圧の作動油が供給される。
【0039】
ここで、無段変速機における構成部品のばらつき、経時変化等に起因して、作動油の漏れ量等といった流量特性がばらついた場合、供給流量調整弁又は排出流量調整弁に所定圧の作動油が供給されない場合が起り得る。そして、例えば所定圧よりも高い油圧が供給されると、閉じ込み制御中の入力側油圧シリンダ及び出力側油圧シリンダの推力比が適切でない値となって、不意のアップシフトが起るおそれがある。
【0040】
この点、請求項8に記載の発明では、作動油供給制御手段の制御中には、前記所定圧が補正手段により、学習手段による偏差に基づいて補正される。従って、閉じ込み制御中には、供給流量調整弁又は排出流量調整弁を通じて、入力側油圧シリンダ及び出力側油圧シリンダに所定圧の油圧を供給することができる。その結果、推力比を適切な値にして、前述したような不意の変速(アップシフト)を抑制することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の無段変速機の変速制御装置を具体化した一実施形態について、図面に従って説明する。
【0042】
図1は、例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両に横置きに搭載される動力伝達装置11の概略構成を示している。動力伝達装置11は、エンジン12、モータジェネレータ13及び遊星歯車装置14を備えている。エンジン12は燃料の燃焼によって動力を発生する。モータジェネレータ13は、電動機として作動するとともに、発電機(オルタネータ)としても作動する。これらのエンジン12及びモータジェネレータ13は、車両走行用の動力源として用いられている。
【0043】
遊星歯車装置14としては、サンギヤ15、キャリヤ16及びリングギヤ17を有するダブルピニオン型が用いられている。サンギヤ15にはエンジン12が連結され、キャリヤ16にはモータジェネレータ13が連結されている。リングギヤ17は第1ブレーキ(B1)18を介して無段変速機(CVT)20のケース19に連結されている。キャリヤ16は、第1クラッチ(C1)21を介して無段変速機20の入力軸22に連結されている。リングギヤ17は、第2クラッチ(C2)23を介して入力軸22に連結されている。両クラッチ21,23及び第1ブレーキ18は、いずれも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる湿式多板式の油圧式摩擦係合装置であり、バルブボディ(図示略)内の油圧制御回路25(図3参照)から供給される作動油によって摩擦係合させられる。
【0044】
前記入力軸22を通じて無段変速機20に入力された動力は、出力軸26からカウンタ歯車27を経て差動装置28のリングギヤ29に伝達される。この動力は差動装置28により左右の駆動輪(前輪)31に分配される。
【0045】
無段変速機20は、入力軸22に設けられた入力側可変プーリ32と、出力軸26に設けられた出力側可変プーリ33とを備えている。図2に示すように、入力側可変プーリ32は、固定回転体38、シリンダボディ39及び可動回転体41を備えている。固定回転体38及びシリンダボディ39は共に入力軸22に固定されている。可動回転体41は、入力軸22に軸方向(図2の左右方向)の移動可能かつ軸まわりの相対回転不能に取付けられており、固定回転体38との間に断面略V字状の溝(以下、V溝という)43を形成する。可動回転体41は、シリンダボディ39に対しては摺動可能に嵌合しており、ピストンとして機能する。そして、これらのシリンダボディ39及び可動回転体41によって、V溝43の溝幅を変化させる入力側油圧シリンダ42が構成されている。この入力側油圧シリンダ42は変速用の油圧アクチュエータとして機能する。
【0046】
同様に、出力側可変プーリ33は、固定回転体44、シリンダボディ45及び可動回転体46を備えている。固定回転体44及びシリンダボディ45は共に出力軸26に固定されている。可動回転体46は、出力軸26に軸方向の移動可能かつ軸まわりの相対回転不能に取付けられており、固定回転体44との間に断面略V字状の溝(以下、V溝という)49を形成する。可動回転体46は、シリンダボディ45に対しては摺動可能に嵌合しており、ピストンとして機能する。そして、これらのシリンダボディ45及び可動回転体46によって、V溝49の溝幅を変化させる出力側油圧シリンダ47が構成されている。
【0047】
なお、両油圧シリンダ42,47において、シリンダボディ39,45と可動回転体41,46との間には、油圧シリンダ42,47からの作動油の漏出を防止するためのシール部材40がそれぞれ設けられている。
【0048】
前記両V溝43,49には、動力伝達部材としての伝動ベルト34が巻き掛けられている。そして、無段変速機20では、伝動ベルト34と両V溝43,49の壁面との間の摩擦力によって動力伝達が行われる。
【0049】
前記入力側可変プーリ32では、入力側油圧シリンダ42に供給或いはそれから排出される作動油の流量が、油圧制御回路25内の変速制御回路59(図4参照)によって調整される。この調整により、可動回転体41が軸方向へ移動し、V溝43の溝幅が変化する。この変化に伴い伝動ベルト34の掛かり径(巻き掛け半径)、すなわち有効径が変更され、変速比γ(=入力側回転速度Nin/出力側回転速度Nout )が連続的に(無段階に)変化させられる。このように、入力側可変プーリ32は溝幅(有効径)を可変に構成されている。
【0050】
また、出力側可変プーリ33では、可動回転体46及び固定回転体44間で伝動ベルト34を挟み込む力(挟圧力)が、出力側油圧シリンダ47内の油圧Pout に応じて変化する。この挟圧力は、伝動ベルト34の張力に対応している。油圧Pout は、油圧制御回路25内の挟圧制御弁81(図3参照)によって、伝動ベルト34が滑りを生じないように調圧される。
【0051】
前記油圧制御回路25は、無段変速機20の変速比γやベルト張力を制御するための回路を備えており、共通の電動式油圧発生装置48からの作動油がこの回路に供給される。図3は油圧制御回路25のうち、元圧PCの基になるライン油圧PL を発生する部分を示している。
【0052】
電動式油圧発生装置48は、歯車ポンプ等の回転式ポンプからなるオイルポンプ51と、このオイルポンプ51を回転駆動する電動モータ52とを含んでいる。そして、オイルポンプ51によりストレーナ53を介して吸い上げられた作動油は、圧力制御弁として機能するプライマリレギュレータバルブ54によって所定のライン油圧PL に調圧される。プライマリレギュレータバルブ54には、リニアソレノイド弁55の信号圧Psls が供給され、その信号圧Psls に応じてライン油圧PL が制御されるとともに、余剰の作動油が油路56へドレンされる。
【0053】
ライン油圧PL は、元圧PCの基になるほか、無段変速機20の変速制御やベルト挟圧力の制御にも用いられるものであり、目標ライン油圧PLoutとなるように調圧される。目標ライン油圧PLoutは、例えば、無段変速機20に入力されるトルク、変速比γ等をパラメータとして求められる。油路56の作動油は、油圧制御回路25の各部の潤滑部位や、オイルクーラ57へ供給される。この際、適量の作動油が潤滑部位、オイルクーラ57等へ供給されるように、作動油の油圧は調圧弁58によって所定値に調圧される。
【0054】
図4は、無段変速機20の変速比γを制御する変速制御回路59の一例を示している。変速制御回路59には、供給用の制御圧調整弁としての電磁開閉弁61と、供給流量調整弁としての流量制御弁62とが設けられている。これらの電磁開閉弁61及び流量制御弁62は、変速比γを小さくするアップシフト用の弁として用いられている。また、変速制御回路59には、排出用の制御圧調整弁としての電磁開閉弁63と、排出流量調整弁としての流量制御弁64とが設けられている。これらの電磁開閉弁63及び流量制御弁64は、変速比γを大きくするダウンシフト用の弁として用いられている。
【0055】
アップシフト用の流量制御弁62は、弁体としてのスプール弁子65、スプリング66及び制御油室67を備えている。スプール弁子65は、ライン油圧PL を導くライン油路68と、作動油を入力側油圧シリンダ42に供給する供給油路69との間に設けられている。スプール弁子65はその位置に応じて、ライン油路68及び供給油路69間の流路面積を変化させる可変絞りとして機能する。スプリング66は、スプール弁子65を常に閉弁方向に付勢している。制御油室67には、アップシフト用の電磁開閉弁61から供給され、かつモジュレータ圧PM を減圧した所定の制御圧Pvuが導かれる。
【0056】
流量制御弁62では、この制御圧Pvuによりスプール弁子65がスプリング66に抗して変位する。この変位に伴いスプール弁子65による流量制御弁62の絞り径が変化し、ライン油圧PL が絞り径に応じた値に調圧される。調圧後のライン油圧PL は供給油路69を通じて入力側油圧シリンダ42に供給される。この供給により、入力側可変プーリ32のV溝43の溝幅が狭くなって変速比γがアップシフト側へ連続的に変化する(小さくなる)。このようにして、アップシフト用の流量制御弁62では、電磁開閉弁61からの制御圧Pvuに応じてスプール弁子65が変位する。この変位に伴う絞り径の変更により、ライン油圧PL の作動油が入力側油圧シリンダ42へ供給され、かつその作動油の流量が調整され、アップシフト方向の変速速度が制御される。
【0057】
また、ダウンシフト用の流量制御弁64は、弁体としてのスプール弁子71、スプリング72及び制御油室73を備えている。スプール弁子71は、入力側油圧シリンダ42からの作動油の排出油路74と、流量制御弁64において大気に開放されたドレンポート75との間に設けられている。スプール弁子71はその位置に応じて、排出油路74及びドレンポート75間の流路面積を変化させる可変絞りとして機能する。スプリング72は、スプール弁子71を常に閉弁方向に付勢している。制御油室73には、ダウンシフト用の電磁開閉弁63から供給され、かつモジュレータ圧PM を減圧した所定の制御圧Pvdが導かれる。
【0058】
流量制御弁64では、この制御圧Pvdによりスプール弁子71がスプリング72に抗して変位する。この変位に伴いスプール弁子71による流量制御弁64の絞り径が変化し、入力側油圧シリンダ42内の作動油が排出油路74及びドレンポート75から所定の流量でドレンされる。このドレンにより入力側可変プーリ32のV溝43の溝幅が広くなり、変速比γがダウンシフト側へ連続的に変化する(大きくなる)。このように、ダウンシフト用の流量制御弁64では、電磁開閉弁63からの制御圧Pvdに応じてスプール弁子71が変位する。この変位に伴う絞り径の変更により、入力側油圧シリンダ42から排出される作動油の流量が調整され、ダウンシフト方向の変速速度が制御される。
【0059】
なお、ダウンシフト用の流量制御弁64には、そのスプール弁子71の閉位置においてライン油路68と入力側油圧シリンダ42との間に僅かな流通断面積の流通路76が形成されるようになっている。そして、上記アップシフト用及びダウンシフト用の流量制御弁62,64が共に閉状態であるときには、変速比γを変化させないために、ライン油路68から絞り77、一方向弁78、上記流通路76を通して作動油が僅かに供給されるようになっている。これは、入力側油圧シリンダ42及び出力側油圧シリンダ47の回転軸心に対して偏った荷重が加えられること等により、シール部材40が摺動部分に設けられているにも拘らず作動油の僅かな漏れが存在するからである。
【0060】
一方、出力側油圧シリンダ47の油圧Pout は、伝動ベルト34が滑りを生じないように、前述した図3に示す挟圧制御弁81によって調圧される。挟圧制御弁81には、前記ライン油圧PL 、信号圧Psls 及びモジュレータ圧PM が供給される。油圧Pout は、リニアソレノイド弁55から出力される信号圧Psls に応じて連続的に制御される。油圧Pout は信号圧Psls が高くなるに従って上昇させられる。伝動ベルト34が滑りを生じない範囲で可及的にその伝動ベルト34に対する挟圧力(ベルト張力)が小さくなるようにする。そして、油圧Pout が高くなるに従ってベルト挟圧力、すなわち可変プーリ32,33と伝動ベルト34との間の摩擦力が増大させられ、伝達トルク容量が大きくなる。
【0061】
車両には、無段変速機20の作動状態等を検出するために、図5に示すように、アクセル操作量センサ86、入力回転速度検出手段としての入力側回転速度センサ87、出力回転速度検出手段としての出力側回転速度センサ88、油圧検出手段としての油圧センサ89等の各種センサが設けられている。アクセル操作量センサ86は、車両の運転席近傍に設けられたアクセルペダルの開度(アクセル開度θacc )を検出する。入力側回転速度センサ87は、無段変速機20における入力軸22の回転速度(入力側回転速度Nin)を検出し、出力側回転速度センサ88は出力軸26の回転速度(出力側回転速度Nout )を検出する。油圧センサ89は、出力側油圧シリンダ47内の油圧Pout (ベルト挟圧力制御圧)を検出する。なお、入力側油圧シリンダ42内の油圧Pinを検出するセンサは設けられていない。
【0062】
前記各種センサ86〜89の検出信号等に基づいて無段変速機20の各部を制御するために、マイクロコンピュータを中心として構成された電子制御装置(Electronic Control Unit :ECU)91が設けられている。ECU91は中央処理装置(CPU)92、読み出し専用メモリ(ROM)93、ランダムアクセスメモリ(RAM)94、バックアップRAM95、外部入力回路96及び外部出力回路97を備えている。これらの各回路はバス98によって互いに接続されている。
【0063】
ROM93は、所定の制御プログラムや初期データを予め記憶している。CPU92は、外部入力回路96を介して各種センサ86〜89の検出信号等を入力し、これらの信号に基づき、ROM93に記憶されている制御プログラム及び初期データに従って各種の演算処理を行う。そして、CPU92は、これらの演算結果に基づき、外部出力回路97を介してリニアソレノイド弁55、電磁開閉弁61,63等に対し制御信号を出力して、各種制御を実行する。RAM94は、CPU92による演算結果を一時的に記憶する。バックアップRAM95は、ECU91に対する電源供給が停止された後にも、RAM94内の各種データを保持するために、バッテリ(図示略)によってバックアップされている。
【0064】
上記ECU91による制御には、前述したライン油圧PL の制御、変速制御、ベルト挟圧力制御等が含まれる。
変速制御では、車両の走行中において、アクセル開度θacc 及び車速V(出力側回転速度Nout に対応)に基づいて入力側の目標回転速度Nint を算出する。ここで、アクセル開度θacc (%)は、実際の運転者の要求出力量を表すもの(アクセル操作量)として用いられる。この目標回転速度Nint の算出に際しては、例えば図6に示すように、アクセル開度θacc 及び車速V(出力側回転速度Nout に対応)をパラメータとして予め定められたマップが用いられる。このマップは、エンジン12をその出力及び燃費が最適となる最適曲線に沿って作動させるために求められたものである。また、このマップでは、車速Vが低くアクセル開度θacc が大きいほど大きな変速比γになる目標回転速度Nint が設定されている。
【0065】
図6中、γmax は最大変速比であり、入力側可変プーリ32に対する伝動ベルト34の巻き掛け半径が最小で、かつ出力側可変プーリ33に対する伝動ベルト34の巻き掛け半径が最大のときに設定される。また、γmin は最小変速比であり、入力側可変プーリ32に対する伝動ベルト34の巻き掛け半径が最大で、かつ出力側可変プーリ33に対する伝動ベルト34の巻き掛け半径が最小のときに設定される。
【0066】
前記のようにして目標回転速度Nint を算出すると、実際の入力側回転速度Ninを目標回転速度Nint に一致させるための駆動デューティ比Dout (%)を決定する。この駆動デューティ比Dout に基づき、アップシフト用及びダウンシフト用の電磁開閉弁61,63への通電をデューティ制御する。この制御により、連続的に変化する制御圧Pvu,Pvdが制御油室67,73に供給される。この供給に応じ、各流量制御弁62,64におけるスプール弁子65,71が変位して絞り径が変化し、供給油路69又は排出油路74の流路面積が変化する。
【0067】
なお、電磁開閉弁61,63の一方に対する通電が前記駆動デューティ比Dout に基づいて制御される場合には、他方への通電が停止(Dout =0)される。従って、流量制御弁62,64の一方が開弁されるとき、他方は閉弁状体に保持される。
【0068】
そして、前記流路面積の変化に応じて、変速比γが目標回転速度Nint に対応する所定の目標変速比に一致するように、入力側油圧シリンダ42内へ供給される作動油、或いはその入力側油圧シリンダ42内から排出される作動油の流量が調整される。この調整に応じ、入力側可変プーリ32では可動回転体41が軸方向に移動し、V溝43の溝幅が変化して伝動ベルト34の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γがアップ側及びダウン側へ連続的に変化する。このようにして、変速制御では、目標回転速度Nint 及び実際の入力側回転速度Ninの偏差に基づき変速比γがフィードバック制御される。
【0069】
また、上記変速制御には、アップシフト用の流量制御弁62から入力側油圧シリンダ42に作動油を供給せず、また作動油をダウンシフト用の流量制御弁64から排出させないようにすることにより、入力側油圧シリンダ42内に作動油を閉じ込めた状態に保持する制御(閉じ込み制御)が含まれる。この制御は、一定の条件(閉じ込み実行条件)が満たされた場合、例えば車両の走行が停止されている場合に行われるもので、両電磁開閉弁61,63に対する駆動デューティ比Dout が特定の値(例えば「0」)に設定される。ただし、このときには、前述したように変速比γを変化させないために、ライン油路68から絞り77、一方向弁78及び流通路76を通してダウンシフト用の流量制御弁64に僅かな作動油を供給するためのライン油圧PL の制御、すなわち、リニアソレノイド弁55のデューティ制御が行われる。
【0070】
一方、ベルト挟圧力制御では、無段変速機20の実際の入力トルクTin或いは伝達トルクに対応するアクセル開度θacc 及び実際の変速比γに基づいてベルト挟圧力制御圧(目標値)を算出する。この算出には、例えば伝達トルクに対応するアクセル開度θacc 及び変速比γをパラメータとして、ベルト滑りが生じないように予め定められた必要油圧のマップが用いられる。そして、前記ベルト挟圧力制御圧(目標値)が得られるように、油圧制御回路25内のリニアソレノイド弁55に対する通電が制御される。この制御に応じ、ベルト挟圧力、すなわち出力側可変プーリ内の油圧Pout が調圧される。
【0071】
ECU91は、前述した制御のほかにも、変速制御回路59における漏れに関する流量特性を推定し、これを記憶及び随時更新する学習制御、及びその記憶した流量特性を前述した変速制御等に反映する制御も行う。次に、これらの制御の詳細を図9及び図10のフローチャートに従って説明する。
【0072】
図9のフローチャートは、流量特性を学習する流量特性学習ルーチンを示しており、所定のタイミング、例えば一定時間毎に繰り返し実行される。ここでは、両流量制御弁62,64における等価絞り径dinの標準絞り径din0 からのずれ(偏差Δdin)を流量特性としている。等価絞り径dinは、変速制御回路59の構成部材、例えば両流量制御弁62,64、バルブボディ、油圧シリンダ42,47等で生じている作動油の漏れを考慮した両流量制御弁62,64の絞り径である。また、標準絞り径din0 は、作動油の漏れがないことを前提に設定された両流量制御弁62,64の絞り径であり、図7に示すように、電磁開閉弁61,63に対する通電の駆動デューティ比Dout に対応している。
【0073】
この流量特性学習ルーチンでは、ECU91はまずステップ105において、流量特性を学習する条件(学習実行条件)が満たされているかどうかを判定する。この学習実行条件としては、例えば、「変速速度が所定の範囲に収まっていること」が挙げられる。これは、変速速度が急激に変化すると、管路抵抗が急激に変化する等して、後述する変速流量Qsft 、油圧Pin、等価絞り径din等の関係(式(5),(6)参照)が成立しなくなるおそれがあるからである。なお、変速速度は変速比γの一定時間における変化量である。
【0074】
ステップ105の判定条件が満たされていると、次のステップ110〜130の処理を行う。ステップ110では、出力側油圧シリンダ47内の油圧Pout と推力比τとに基づき、入力側油圧シリンダ42内の油圧Pinを推定する。ここで、油圧Pinを推定するのは、出力側油圧シリンダ47内の油圧Pout を検出するセンサ(油圧センサ89)が設けられているのに対し、入力側油圧シリンダ42内の油圧Pinを検出するセンサが設けられていないからである。油圧Pout としては、油圧センサ89によって検出される値が用いられる。また、入力側可変プーリ32における可動回転体41の推力をWinとし、出力側可変プーリ33における可動回転体46の推力をWout とすると、推力比τは次式(1)で表される。
【0075】
τ=Wout /Win ………(1)
一方、この推力比τは、変速比γ、車速V、油圧の安全率(余裕率)等に基づき求めることができる。
【0076】
また、入力側可変プーリ32における可動回転体41の受圧面積をAinとすると、次式(2)が成立する。同様に、出力側可変プーリ33における可動回転体46の受圧面積をAout とすると、次式(3)が成立する。ただし、ここでは遠心油圧、与圧スプリングのセット荷重は無視されている。
【0077】
Win =Pin・Ain ………(2)
Wout =Pout ・Aout ………(3)
上記式(1)〜(3)を整理すると、次式(4)が得られる。
【0078】
そこで、油圧Pout 、受圧面積Aout ,Ain及び推力比τに基づき、上記式(4)に従って油圧Pinを算出する。
【0079】
次に、ステップ115において、作動油の変速流量Qsft を推定する。変速流量Qsft は、変速に伴い入力側油圧シリンダ42に単位時間当たりに流入する作動油の流量である。変速流量Qsft は、例えば変速速度に基づいて、さらに詳しくは変速速度応じた可動回転体41の移動速度と受圧面積Ainとを乗算することによって求まる。可動回転体41の移動速度は、伝動ベルト34の掛かり径の変化速度に基づき求めることができる。
【0080】
続いて、ステップ120において、前記油圧Pin、変速流量Qsft 等を用い、次式(5)又は式(6)に基づき等価絞り径dinを算出する。この算出に際しては、アップシフト時には式(5)が用いられ、ダウンシフト時には式(6)が用いられる。
【0081】
Qsft=C{(π・din^2)/4}・√{(PL−Pin)/ρ} ……(5)
Qsft=C{(π・din^2)/4}・√(Pin/ρ) ……(6)
上記式(5),(6)中のCは流量係数であり、ρは作動油の密度である。また、^2 は2乗を意味している。
【0082】
次に、ステップ125において、現在(等価絞り径din推定時)出力されている駆動デューティ比Dout に対応する標準絞り径din0 を算出する。この算出には、例えば図7において実線で示すように、駆動デューティ比Dout に対する標準絞り径din0 を、予め実験等によって規定したマップを用いる。このマップでは、駆動デューティ比Dout が0のとき、すなわち、電磁開閉弁61,63に通電が行われないとき、標準絞り径din0 が最小値(=「0」)に設定されている。そして、標準絞り径din0 は、駆動デューティ比Dout が大きくなるに従い大きくなる。
【0083】
ステップ130において、前記ステップ120で求めた等価絞り径dinと、前記ステップ125で求めた標準絞り径din0 との偏差Δdin、すなわち等価絞り径dinの標準絞り径din0 からのずれ量を算出する。この偏差Δdinは、変速制御回路59での漏れ量に相当する。この偏差ΔdinをバックアップRAM95に記憶し、その後、この流量特性学習ルーチンを一旦終了する。そして、ステップ130の処理を行う毎に、バックアップRAM95に記憶されている偏差Δdinを更新する。
【0084】
なお、前記ステップ105の判定条件が満たされていない場合には、前記ステップ110から130の処理を行うことなく、流量特性学習ルーチンを一旦終了する。すなわち、変速速度が所定の領域から外れていると、偏差Δdinの学習(算出、記憶及び更新)を禁止する。
【0085】
一方、図10のフローチャートは、前記のようにして学習された流量特性(偏差Δdin)を反映した変速制御ルーチンを示しており、所定のタイミング、例えば一定時間毎に繰り返し実行される。
【0086】
ECU91はまずステップ205において、変速制御において、両流量制御弁62,64を共に閉弁して入力側油圧シリンダ42内に作動油を閉じ込めた状態に保持する「閉じ込み制御」を行う条件(閉じ込み実行条件)が満たされているかどうかを判定する。この閉じ込み実行条件としては、例えば、前述したように「車両の走行が停止されていること」が挙げられる。この判定条件が満たされていないと、ステップ210〜240の一連の処理を行う。
【0087】
ステップ210では、入力側回転速度センサ87によって検出される実際の入力側回転速度Ninを目標回転速度Nint に一致させるための目標変速流量Qt を算出する。ここで、目標回転速度Nint は、前述したようにアクセル開度θacc 及び車速V(出力側回転速度Nout に対応)に基づいて算出されるものである。また、目標変速流量Qt は前述したオリフィスの式、すなわちアップシフト時には式(5)に基づき算出され、ダウンシフト時には式(6)に基づき算出される。
【0088】
次に、ステップ215では、前記目標変速流量Qt に対応する基本デューティ比Dbse を算出する。この基本デューティ比Dbse は、例えば、目標変速流量Qt と基本デューティ比Dbse との対応関係を予め実験等により規定したマップに従って算出することができる。
【0089】
続いて、ステップ220において、前記流量特性学習ルーチンで記憶した偏差Δdinに対応するデューティ補正量Dadj を算出する。このデューティ補正量Dadj は、例えば偏差Δdinと、その偏差Δdinが大きくなるに従い多くなるデューティ補正量Dadj との関係を規定したマップを参照して求めることができる。
【0090】
続いて、ステップ225において、前記ステップ215での基本デューティ比Dbse に前記ステップ220でのデューティ補正量Dadj を加算することにより、駆動デューティ比Dout を算出する。そして、ステップ230において、前記駆動デューティ比Dout が予め設定された規定範囲に収まっているかどうかを判定する。具体的には、駆動デューティ比Dout が下限値以上であり、かつ上限値以下であるかをどうかを判定する。この判定条件が満たされていると、駆動デューティ比Dout が正常であるとして、ステップ240へ移行する。
【0091】
これに対し、ステップ230の判定条件が満たされていないと、すなわち規定範囲から外れていると、駆動デューティ比Dout が異常であるとして、ステップ235においてガード処理を行う。例えば、駆動デューティ比Dout が上限値を上回っていると、その上限値を今回の駆動デューティ比Dout として設定する。また、駆動デューティ比Dout が下限値を下回っていると、その下限値を今回の駆動デューティ比Dout として設定する。そして、ステップ235の処理を経た後、ステップ240へ移行する。
【0092】
ステップ240では、前記ステップ230又はステップ235で設定した駆動デューティ比Dout に基づき電磁開閉弁61,63への通電を制御する。そして、このステップ240の処理を経た後、変速制御ルーチンを一旦終了する。なお、図10では図示が省略されているが、ステップ210〜240の一連の処理の対象は、両電磁開閉弁61,63の一方であり、他方については駆動デューティ比Dout が「0」に設定され通電が停止される。詳しくは、アップシフト時には電磁開閉弁61が前記一連の処理の対象となり、ダウンシフト用の電磁開閉弁63については通電が停止される。また、ダウンシフト時には、電磁開閉弁63が前記一連の処理の対象となり、アップシフト用の電磁開閉弁61については通電が停止される。
【0093】
一方、前記ステップ205の判定条件が満たされていると、すなわち、閉じ込み実行条件が成立していると、ステップ245において、両電磁開閉弁61,63への通電を停止(駆動デューティ比Dout =0)する。この通電停止に伴い両流量制御弁62,64が共に閉弁され、入力側油圧シリンダ42内に作動油が閉じ込められた状態に保持される。この場合には、前記ステップ210〜240で説明したような、駆動デューティ比Dout による等価絞り径dinの調整を行うことができない。そこで、ステップ250〜270において、推力比τが適正領域に収まるように、前記流量特性学習ルーチンで算出、記憶及び更新した流量特性(偏差Δdin)をライン油圧PL の制御に反映する。
【0094】
ステップ250では、偏差Δdinに応じたライン圧補正量PLadjを算出する。この算出には、例えば、図8に示すように、偏差Δdinと、その偏差Δdinが多くなるほど増加するライン圧補正量PLadjとの関係を予め定めたマップを用いることができる。
【0095】
次に、ステップ255において、基本ライン油圧PLbseに前記ステップ250でのライン圧補正量PLadjを加算することにより、目標ライン油圧PLoutを算出する。ここで、基本ライン油圧PLbseは、無段変速機20に入力されるトルク、変速比γ等に基づいて別途算出されたものである。
【0096】
続いて、ステップ260において、前記目標ライン油圧PLoutが予め設定された下限値以上であるかどうかを判定する。下限値は、少なくとも伝動ベルト34が滑らないことを観点に設定されている。この判定条件が満たされていると、目標ライン油圧PLoutが正常であるとしてステップ270へ移行する。
【0097】
これに対し、ステップ260の判定条件が満たされていないと、すなわち目標ライン油圧PLoutが下限値未満であると、目標ライン油圧PLoutが異常であるとして、ステップ265においてガード処理を行う。ガード処理としては、例えば、下限値を今回の目標ライン油圧PLoutとして設定する。ステップ265の処理を経た後、ステップ270へ移行する。
【0098】
ステップ270では、実際のライン油圧PL が前記ステップ260又は265で設定した目標ライン油圧PLoutに一致するようにリニアソレノイド弁55への通電を制御する。そして、ステップ270の処理を経た後、変速制御ルーチンを一旦終了する。
【0099】
上記のように構成された本実施形態では、流量特性学習ルーチンにおけるステップ120の処理が流量制御弁62,64の等価絞り径dinを推定する推定手段に相当する。また、ステップ125,130の処理が偏差Δdinを算出、記憶及び更新する学習手段に相当する。ステップ105→リターンの処理が、学習実行条件不成立の場合に偏差Δdinの更新等を禁止する禁止手段に相当する。
【0100】
変速制御ルーチンにおけるステップ240,245の処理が、両電磁開閉弁61,63をそれぞれ駆動制御する制御手段に相当する。ステップ220,225の処理が、偏差Δdinを電磁開閉弁61,63の制御に反映する偏差反映手段に相当する。ステップ205,245の処理が、両電磁開閉弁61,63の制御を通じて、入力側油圧シリンダ42内に作動油を閉じ込めた状態に保持する閉じ込み制御手段に相当する。また、ステップ270の処理が、閉じ込み制御中における変速比の変化を抑制する作動油供給制御手段に相当する。さらに、ステップ250,255の処理が、基本ライン油圧PLbseを偏差Δdinに基づき補正する補正手段に相当する。
【0101】
本実施形態によると、流量制御弁62,64でのスプール弁子65,71の等価絞り径dinが推定される(ステップ120)。この推定は、入力側油圧シリンダ42内の作動油の油圧Pinと、入力側油圧シリンダ42での変速に伴う作動油の変速流量Qsft とに基づいて行われる。
【0102】
ここで、無段変速機20には、出力側油圧シリンダ47内の作動油の油圧Pout を検出する手段(油圧センサ89)が設けられているが、入力側油圧シリンダ42内の作動油の油圧Pinを検出する手段が設けられていない。しかし、この油圧Pinは、油圧センサ89によって検出される油圧Pout と両油圧シリンダ42,47の推力比τとに基づいて求められる(ステップ110)。
【0103】
また、変速流量Qsft と無段変速機20の変速速度との間には相関関係が見られることから、本実施形態では、変速比γの単位時間当たりの変化量である変速速度が求められ、この変速速度に基づいて変速流量Qsft が算出される(ステップ115)。
【0104】
従って、変速制御回路59において、作動油の漏れ量等の流量特性がばらついて、図7において二点鎖線で示す駆動デューティ比Dout と等価絞り径dinとの関係が、同図において実線で示す駆動デューティ比Dout と標準絞り径din0 との関係からずれたとしても、このずれが前記反映により吸収される。すなわち、ずれは、偏差Δdinに応じたデューティ補正量Dadj を基本デューティ比Dbse に足し込むことで吸収される。その結果、入力側油圧シリンダ42への時間当たりの作動油供給量が不足して変速が遅れる現象が抑制される。また、単位時間当たりの作動油の供給量が過剰となって、入力側回転速度Ninが目標回転速度Nint を越える、いわゆるオーバシュートが発生する現象が抑制される。
【0105】
また、等価絞り径の推定に際し、入力側油圧シリンダ42内の作動油の油圧Pinに加え、同入力側油圧シリンダ42での変速に伴う作動油の変速流量Qsft が用いられている(ステップ120)。従来技術とは異なり、この推定には、入力側油圧シリンダ42に流入する作動油の流量と排出される作動油の流量とが同一であることが前提されていない。従って、前記推定は定常時に限らず、変速中であっても行うことが可能である。このように、推定が定常時に限られる場合(従来技術に相当)に比べ、推定の機会が多くなって、推定のサイクルが短くなる。
【0106】
ここで、変速速度が所定の領域から外れるほど急激に変化した場合には、管路抵抗等が大きく変化し、等価絞り径dinの推定に影響を及ぼすおそれがある。しかし、本実施形態では、変速速度が所定の領域から外れていて学習実行条件が成立していない場合には、油圧Pin、変速流量Qsft 、等価絞り径din、標準絞り径din0 の各算出と、偏差Δdinの算出、記憶及び更新とが禁止される(ステップ105→リターン)。
【0107】
さらに、閉じ込み制御中には、作動油の僅かな漏れが原因で変速比γが不用意に変化するのを防止する目的で、リニアソレノイド弁55を制御することにより、ダウンシフト用の流量制御弁64に所定圧(基本ライン油圧PLbse)の作動油が供給される(ステップ270)。
【0108】
ここで、変速制御回路59での作動油の漏れ量等といった流量特性がばらついた場合、流量制御弁64に所定圧の作動油が供給されない場合が起り得る。そして、例えば基本ライン油圧PLbseよりも高い油圧が供給されると、閉じ込み制御中の入力側油圧シリンダ42及び出力側油圧シリンダ47の推力比τが適切でない値となって、不意のアップシフトが起るおそれがある。
【0109】
この点、本実施形態では、前記基本ライン油圧PLbseが、偏差Δdinに応じたデューティ補正量Dadj に基づいて補正される(ステップ250,255)。従って、閉じ込み制御中には、流量制御弁62を通じて入力側油圧シリンダ42に対し、推力比τを適切な値にするための所定の油圧が供給される。
【0110】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)流量制御弁62,64でのスプール弁子65,71の等価絞り径dinを推定すると共に、この等価絞り径dinと、等価絞り径推定時の駆動デューティ比Dout に対応する標準絞り径din0 との偏差Δdinを求め、これを記憶及び更新している。そして、この偏差Δdinを、両流量制御弁62,64の制御に反映するようにしている。
【0111】
このため、変速制御回路59での作動油の漏れ量等の流量特性のばらつきに起因する変速の応答遅れやオーバシュートを抑制して、ドライバビリティの低下を回避することができる。また、入力側油圧シリンダ42において変速に必要な油圧を確保できるようになり、伝動ベルト34等が滑ることによる無段変速機20の耐久性低下を抑制することができる。
【0112】
(2)等価絞り径dinの推定に際し、入力側油圧シリンダ42内の作動油の油圧Pinに加え作動油の変速流量Qsft を用いている。このため、偏差Δdinの記憶及び更新の頻度、ひいては偏差Δdinの反映頻度を多くすることが可能となる。その結果、実際の状態に近い等価絞り径dinや偏差Δdinを両電磁開閉弁61,63の制御に反映することができ、前述したドライバビリティや耐久性の低下を抑制するという効果を十分に得ることができるようになる。
【0113】
(3)無段変速機20には、入力側油圧シリンダ42内の作動油の油圧Pinを検出する手段が設けられていない。しかし、この油圧Pinを、油圧センサ89によって検出される油圧Pout と両油圧シリンダ42,47の推力比τとに基づいて求めるようにしている。そのため、この油圧Pinを用いた等価絞り径dinの演算に支障を及ぼすことはない。
【0114】
(4)変速流量Qsft と、無段変速機20の変速速度との間に相関関係が見られることに着目し、変速比γの単位時間当たりの変化量である変速速度を求め、この変速速度に基づいて変速流量Qsft を算出するようにしている。そのため、この変速流量Qsft を用いた等価絞り径dinの演算に支障を及ぼすことがない。
【0115】
(5)変速速度が所定の領域から外れていて学習実行条件が満たされていない場合、油圧Pin、変速流量Qsft 、等価絞り径din、標準絞り径din0 の各算出と、偏差Δdinの算出、記憶及び更新とを禁止するようにしている。このため、管路抵抗等の影響を受けた精度の低い等価絞り径dinに基づき算出された偏差Δdinが、両電磁開閉弁61,63の制御に反映されるのを防止することができる。
【0116】
(6)閉じ込み制御中の基本ライン油圧PLbseを、偏差Δdinに応じたデューティ補正量Dadj に基づいて補正し、実際のライン油圧PL がその補正後の目標ライン油圧PLoutとなるようにリニアソレノイド弁55を駆動制御するようにしている。このため、推力比τを適切な値にして不意の変速(アップシフト)を抑制することができる。
【0117】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・入力側油圧シリンダ42の油圧Pinを検出するセンサを新たに設けてもよい。この場合、流量特性学習ルーチンにおけるステップ110の処理が不要となる。
【0118】
・前記実施形態では、入力側油圧シリンダ42を変速用の油圧アクチュエータとしたが、これに代えて、出力側油圧シリンダ47を変速用の油圧アクチュエータとしてもよい。
【0119】
・本発明は、前記実施形態のように、流量制御弁62,64の一方が開弁されるとき、他方が閉弁状態に保持されるよう両電磁開閉弁61,63を駆動制御するものに限らず、流量制御弁62,64が両方とも開弁状態となるように両電磁開閉弁61,63を駆動制御するものにも適用可能である。
【0120】
・本発明は、標準絞り径din0 とその標準絞り径din0 に対応する電磁開閉弁61,63への駆動デューティ比Dout との関係に基づき、そのときの標準絞り径din0 に応じた駆動デューティ比Dout に基づき電磁開閉弁61,63を駆動制御するようにしたものにも適用可能である。この場合には、偏差Δdinに基づき、標準絞り径din0 と駆動デューティ比Dout との関係を補正してもよい。
【0121】
このようにすれば、補正後の標準絞り径din0 と駆動デューティ比Dout との関係は、作動油の漏れ量等といった流量特性のばらつきを考慮したものとなる。従って、この補正後の関係に基づいて電磁開閉弁61,63を駆動制御することにより、等価絞り径dinを、入力側油圧シリンダ42に対し、所望の量の作動油を供給又は排出するために要求される等価絞り径にすることができる。
【0122】
・学習の機会をさらに確保する手段として、工場出荷時に初期学習モードを設定し、図9のステップ110〜130の一連の処理を行うようにしてもよい。
・本発明は、ベルト式の無段変速機20に限らず、油圧アクチュエータを用いた他のタイプの無段変速機にも適用可能である。
【0123】
・本発明は、車両走行用の動力源を1つ有する動力伝達装置にも適用可能である。例えば、動力源としてエンジンを用い、そのエンジンの駆動力をトルクコンバータを介して無段変速機へ伝達するタイプの動力伝達装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施形態における動力伝達装置の概略図。
【図2】無段変速機の一部を破断して示す正面図。
【図3】油圧制御回路のうち油圧を発生する部分及び挟圧力制御を行う部分を示す回路図。
【図4】油圧制御回路のうち変速制御を行う部分を示す回路図。
【図5】無段変速機の変速制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図6】目標回転速度の決定に用いられるマップのマップ構造を示す略図。
【図7】駆動デューティ比と標準絞り径との関係を示す特性図。
【図8】ライン圧補正量の決定に用いられるマップのマップ構造を示す略図。
【図9】流量特性を学習する手順を示すフローチャート。
【図10】変速を制御する手順を示すフローチャート。
【符号の説明】20…無段変速機、22…入力軸、26…出力軸、32…入力側可変プーリ、33…出力側可変プーリ、34…伝動ベルト、42…入力側油圧シリンダ(変速用の油圧アクチュエータ)、47…出力側油圧シリンダ、61…アップシフト用の電磁開閉弁(供給用の制御圧調整弁)、62…アップシフト用の流量制御弁(供給流量調整弁)、63…ダウンシフト用の電磁開閉弁(排出用の制御圧調整弁)、64…ダウンシフト用の流量制御弁(排出流量調整弁)、65,71…スプール弁子(弁体)、87…入力側回転速度センサ(入力回転速度検出手段)、88…出力側回転速度センサ(出力回転速度検出手段)、89…油圧センサ(油圧検出手段)、91…ECU(制御手段、推定手段、学習手段、偏差反映手段、禁止手段、閉じ込み制御手段、作動油供給制御手段、補正手段)、γ…変速比、τ…推力比、din…等価絞り径、din0 …標準絞り径、Δdin…偏差、Nin…入力側回転速度、Nout …出力側回転速度、Pin,Pout …油圧、Pvd,Pvu…制御圧、Qsft …変速流量。
Claims (8)
- 供給用の制御圧調整弁からの制御圧に応じて変位する弁体を有し、その変位に伴う絞り径の変更により、変速用の油圧アクチュエータへの作動油の供給流量を調整する供給流量調整弁と、排出用の制御圧調整弁からの制御圧に応じて変位する弁体を有し、その変位に伴う絞り径の変更により、前記油圧アクチュエータからの作動油の排出流量を調整する排出流量調整弁と、前記両制御圧調整弁をそれぞれ駆動制御する制御手段とを備え、前記油圧アクチュエータに対する作動油の供給及び排出により連続的に変速を行うようにした無段変速機の変速制御装置において、
少なくとも前記油圧アクチュエータ内の作動油の油圧、及び前記油圧アクチュエータでの変速に伴う作動油の変速流量に基づき、前記供給流量調整弁及び前記排出流量調整弁での前記弁体の等価絞り径を推定する推定手段と、
前記推定手段による等価絞り径と、等価絞り径推定時の前記制御手段の制御量に対応する標準絞り径との偏差を求め、記憶及び更新する学習手段と、
前記学習手段による偏差を、前記制御手段による前記両制御圧調整弁の制御に反映する偏差反映手段と
を備えることを特徴とする無段変速機の変速制御装置。 - 前記制御手段は、前記供給流量調整弁及び前記排出流量調整弁の一方を開弁させるとき、他方が閉弁状態に保持されるよう前記両制御圧調整弁を駆動制御するものである請求項1に記載の無段変速機の変速制御装置。
- 前記無段変速機は、
入力軸に設けられ、かつ溝幅を可変に構成した入力側可変プーリと、
出力軸に設けられ、かつ溝幅を可変に構成した出力側可変プーリと、
前記入力側可変プーリ及び出力側可変プーリに巻き掛けられて摩擦力により動力伝達を行う伝動ベルトと、
前記入力側可変プーリの溝幅を変化させる入力側油圧シリンダと、
前記出力側可変プーリの溝幅を変化させる出力側油圧シリンダと
を備え、前記入力側油圧シリンダ及び出力側油圧シリンダの一方が前記変速用の油圧アクチュエータにより構成されたものである請求項1又は2に記載の無段変速機の変速制御装置。 - 前記無段変速機は、前記変速用の油圧アクチュエータを前記入力側油圧シリンダとして備えるとともに、前記出力側油圧シリンダ内の作動油の油圧を検出する油圧検出手段を備えており、
前記推定手段における入力側油圧シリンダ内の作動油の油圧は、前記油圧検出手段による油圧と、前記入力側油圧シリンダ及び前記出力側油圧シリンダの推力比とに基づいて算出されるものである請求項3に記載の無段変速機の変速制御装置。 - 前記無段変速機は、前記入力軸の回転速度を検出する入力回転速度検出手段と、前記出力軸の回転速度を検出する出力回転速度検出手段とを備えており、
前記推定手段における前記変速流量は、前記入力回転速度検出手段及び前記出力回転速度検出手段による両回転速度の比の変化量である変速速度に基づいて算出されるものである請求項3又は4に記載の無段変速機の変速制御装置。 - さらに、前記変速速度が所定の領域から外れていると、少なくとも前記学習手段による偏差の更新を禁止する禁止手段を備える請求項5に記載の無段変速機の変速制御装置。
- 前記制御手段は、前記標準絞り径とその標準絞り径に対応する制御圧調整弁の制御量との関係に基づき、そのときの標準絞り径に応じた制御量に基づき前記制御圧調整弁を駆動制御するものであり、
前記偏差反映手段は、前記学習手段による前記偏差に基づき、前記標準絞り径と前記制御量との関係を補正するものである請求項1〜6のいずれかに記載の無段変速機の変速制御装置。 - 前記制御手段は、
変速停止に関する所定の条件が満たされたとき、前記両制御圧調整弁の駆動制御を通じて、前記供給流量調整弁及び前記排出流量調整弁を共に閉弁させることにより、前記変速用の油圧アクチュエータ内に前記作動油を閉じ込めた状態に保持する閉じ込み制御手段と、
前記閉じ込み制御手段による閉じ込み制御中に前記供給流量調整弁又は前記排出流量調整弁に所定圧の作動油を供給することにより、その閉じ込み制御中における変速比の変化を抑制する作動油供給制御手段と
を含んでおり、
さらに、前記作動油供給制御手段による前記所定圧を、前記学習手段による偏差に基づき補正する補正手段を設ける請求項1〜7のいずれかに記載の無段変速機の変速制御装置。
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- 2002-09-30 JP JP2002287023A patent/JP2004125009A/ja not_active Withdrawn
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