JP3036284B2 - 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents

車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置

Info

Publication number
JP3036284B2
JP3036284B2 JP2490893A JP2490893A JP3036284B2 JP 3036284 B2 JP3036284 B2 JP 3036284B2 JP 2490893 A JP2490893 A JP 2490893A JP 2490893 A JP2490893 A JP 2490893A JP 3036284 B2 JP3036284 B2 JP 3036284B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
valve
belt
port
tension
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2490893A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06213317A (ja
Inventor
孝士 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2490893A priority Critical patent/JP3036284B2/ja
Publication of JPH06213317A publication Critical patent/JPH06213317A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3036284B2 publication Critical patent/JP3036284B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用ベルト式無段変
速機の油圧制御装置に関し、特に張力制御圧を制御する
調圧弁を含む油圧回路系のフェイルに対処する技術に関
する。
【0002】
【従来の技術】有効径が可変の一対の可変プーリに伝動
ベルトが巻き掛けられることにより変速比が無段階に変
化させられる車両用ベルト式無段変速機が知られてい
る。そして、このような車両用ベルト式無段変速機に
は、エンジン負荷に対応するエンジン負荷圧と上記ベル
ト式無段変速機の変速比に対応する変速比圧とに基づい
て、該伝動ベルトの張力を決定するための張力制御圧を
予め定めた目標圧に調圧する調圧弁を有する形式の油圧
制御装置が設けられる。たとえば特開平3−18166
2号公報や特願平4−73418号の明細書に記載され
たものがそれである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な従来の車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置で
は、張力制御圧を調圧する調圧弁を含む油圧回路系の故
障、たとえば、調圧弁のスプール弁子の固着、スロット
ル弁開度を検知してスロットル圧を発生させるスロット
ル弁のスプール弁子の固着、或いは、ベルト式無段変速
機の変速比に対応した変速比圧を発生させる変速比検知
弁またはリニヤ弁のスプール弁子の固着などにより、張
力制御圧が目標圧を下まわる状態となる場合があった。
このような場合には、伝動ベルトの挟圧力が不足してす
べりを発生させるおそれがある。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、油圧回路系の故
障に拘わらず、伝動ベルトの挟圧力の不足を防止する車
両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、発明の要旨を説明す
る図1に示すように、有効径が可変の一対の可変プーリ
に伝動ベルトが巻き掛けられることにより変速比が無段
階に変化させられる車両用ベルト式無段変速機におい
て、エンジン負荷に対応するエンジン負荷圧とそのベル
ト式無段変速機の変速比に対応する変速比圧とに基づい
て、その伝動ベルトの張力を決定するための張力制御圧
を、予め定めた目標圧に調圧する調圧弁を有する形式の
油圧制御装置であって、(a) 前記調圧弁により前記張力
制御圧を目標圧に調圧する制御の実行中において、その
張力制御圧を調圧するための油圧回路系の故障に起因し
前記伝動ベルトの張力が不足する領域を検出する張力
不足領域検出手段と、(b) その張力不足領域検出手段に
より検出された、伝動ベルトの張力が不足する領域で
は、その伝動ベルトのすべりを防止するための処置を施
すすべり防止手段とを、含むことにある。
【0006】
【作用】このようにすれば、張力不足領域検出手段によ
り検出された、張力制御圧を調圧するための油圧回路系
の故障に起因して伝動ベルトの張力が不足する領域で
は、すべり防止手段により、その伝動ベルトのすべりを
防止するための処置が施される。
【0007】
【発明の効果】したがって、本発明によれば、張力制御
圧を調圧する調圧弁を含む油圧回路系の故障に拘わら
ず、伝動ベルトの挟圧力の不足状態が好適に解消され得
る。しかも、伝動ベルトの挟圧力の不足状態が検出され
たときだけ、伝動ベルトのすべりを防止するための処置
が施されるので、たとえば変速比に拘わらず張力制御圧
を一定値だけ昇圧させる場合に比較して、特に高速走行
時或いは低変速比走行時における伝動ベルトの負荷を軽
減でき、伝動ベルトの耐久性を高めることができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0009】図2は、本発明の一例の油圧制御装置が適
用されたベルト式無段変速機を含むFF車両用横置トラ
ンスアクスルの骨子図であり、図3はその制御装置の構
成例を示すブロック線図である。図2において、エンジ
ン10の動力は、ロックアップクラッチ付フルードカッ
プリング12、前後進切換装置14、ベルト式無段変速
機(以下、CVTという)16、副変速機18、減速ギ
ヤ装置20、および差動歯車装置22を経て、駆動軸2
4に連結された車輪26へ伝達されるようになってい
る。
【0010】フルードカップリング12は、エンジン1
0のクランク軸28と接続されているポンプ翼車30
と、そのポンプ翼車30からのオイルにより回転させら
れるタービン翼車32と、そのタービン翼車32に相対
回転不能に連結された出力軸34と、ダンパ36を介し
て出力軸34に設けられたロックアップクラッチ38と
を備えている。上記ポンプ翼車30には油圧ポンプ40
が連結されており、各部の油圧アクチュエータを作動さ
せるための油圧が発生させられるようになっている。上
記フルードカップリング12では、解放側油室46へ作
動油が供給され且つ係合側油室48内の作動油が排出さ
れると、ロックアップクラッチ38が解放され、反対
に、係合側油室48へ作動油が供給され且つ解放側油室
46の作動油が排出されると、ロックアップクラッチ3
8が係合させられて、クランク軸28と出力軸34とが
直結されるようになっている。
【0011】前後進切換装置14は、後述のシフトレバ
ー142の操作位置に従って前進ギヤ段または後進ギヤ
段に択一的に切り換えられるダブルピニオン型の遊星歯
車装置であって、CVT16を挟んで上記フルードカッ
プリング12と反対側に配設されている。フルードカッ
プリング12の出力軸34はCVT16の入力軸58を
縦通させられており、遊星歯車装置は、その出力軸34
に相対回転不能に設けられたサンギヤ50と、サンギヤ
50と同心に設けられたリングギヤ52と、それ等サン
ギヤ50およびリングギヤ52の一方および他方と噛み
合い且つ互いに噛み合う一対の遊星ギヤ54および56
と、それ等の遊星ギヤ54および56を回転可能に支持
するとともにCVT16の入力軸58に相対回転不能に
連結されたキャリア60とを備えている。上記サンギヤ
50とキャリア60との間には多板式の前進クラッチC
1が設けられているとともに、リングギヤ52とハウジ
ング64との間には多板式の後進ブレーキB1が設けら
れており、ハウジング64内の前進用油圧アクチュエー
タ42および後進用油圧アクチュエータ44によってそ
れぞれ係合制御されるようになっている。前進クラッチ
C1が係合させられると、出力軸34とキャリア60と
が相対回転不能に連結されて入力軸58が出力軸34と
一体的に回転させられ、後進ブレーキB1が係合させら
れると、リングギヤ52の回転が阻止されるためキャリ
ア60更には入力軸58が出力軸34と反対方向、すな
わち車両を後進させる方向へ変速比γFR(=出力軸34
の回転速度/入力軸58の回転速度)で減速回転させら
れる。
【0012】CVT16は、上記入力軸58およびそれ
と平行な出力軸70を備えており、それ等の入力軸5
8、出力軸70には駆動側可変プーリ72、従動側可変
プーリ74がそれぞれ設けられているとともに、それら
の可変プーリ72、74間には伝動ベルト76が巻き掛
けられている。可変プーリ72および74は、入力軸5
8および出力軸70にそれぞれ固定された固定回転体7
8および80と、入力軸58および出力軸70にそれぞ
れ軸心方向の移動可能且つ軸まわりの相対回転不能に設
けられた可動回転体82および84とから成り、可動回
転体82および84がそれぞれその背面側に配設された
油圧アクチュエータ86および88によって軸心方向へ
移動させられることによりV溝幅、すなわち伝動ベルト
76の掛り径(有効径)が変化させられて、CVT16
の変速比γCVT (=入力軸58の回転速度Nin/出力軸
70の回転速度Nout )が変更されるようになってい
る。
【0013】副変速機18はシングルピニオン型の遊星
歯車装置にて構成された自動変速機であって、出力軸7
0と同心まわりの回転可能に配設されたサンギヤ90
と、出力軸70に相対回転不能に連結されたリングギヤ
92と、それ等のサンギヤ90およびリングギヤ92と
噛み合わされた遊星ギヤ94と、その遊星ギヤ94を回
転可能に支持するとともに第2出力軸96に相対回転不
能に連結されたキャリア98とを備えている。上記サン
ギヤ90とキャリア98との間には多板式の高速段用ク
ラッチC2が設けられているとともに、サンギヤ90と
ハウジング64との間には一方向クラッチ102および
多板式の低速段用ブレーキB2が直列に設けられてい
る。高速段用クラッチC2および低速段用ブレーキB2
はそれぞれ高速段用油圧アクチュエータ106および低
速段用油圧アクチュエータ108によって係合制御され
るようになっている。低速段用ブレーキB2が係合させ
られることにより成立させられた低速ギヤ段において、
一方向クラッチ102は、正トルク駆動状態ではサンギ
ヤ90のリングギヤ92と反対方向の回転を阻止する
が、負トルク駆動(エンジンブレーキ)状態では、その
リングギヤ92と同じ方向への回転を許容して駆動輪2
6の回転力をエンジン10側へ伝達する動力伝達経路を
解放するものである。したがって、低速段用ブレーキB
2が係合されると、低速ギヤ段が成立させられる。この
状態では、CVT16の出力軸70が車両を前進させる
方向へ回転させられると、キャリア98および第2出力
軸96は出力軸70の回転方向と同じ方向へ、変速比γ
AT(=出力軸70の回転速度Nout /第2出力軸96の
回転速度No )で減速回転させられる。逆に、高速段用
クラッチC2が係合されると、高速ギヤ段が成立させら
れる。この状態では、サンギヤ90とキャリア98とが
相対回転不能に連結されるため、上記遊星歯車装置は一
体回転させられるようになり、第2出力軸96は変速比
γAT=1で出力軸70と同じ方向へ回転させられる。な
お、前進時には低速段用ブレーキB2を係合させたまま
高速段用クラッチC2を係合させることによっても変速
段を切り換えることができる。
【0014】上記第2出力軸96には第1歯車110が
設けられており、中間軸112に設けられた第2歯車1
14と噛み合わされている。中間軸112は、第2出力
軸96の軸心bと平行な軸心cまわりの回転可能に配設
されているとともに、差動歯車装置22の大径歯車11
6と噛み合わされた第3歯車118を備えている。第2
歯車114は第1歯車110よりも大径で、第3歯車1
18は第2歯車114よりも小径であり、これ等の第1
歯車110、第2歯車114、および第3歯車118に
よって前記減速ギヤ装置20が構成されている。差動歯
車装置22は、駆動軸24と直交する軸まわりに回転可
能に支持され且つ大径歯車116と一体的に回転する一
対の差動小歯車120と、その差動小歯車120と噛み
合い且つ駆動軸24に連結された一対の差動大歯車12
2とを備えている。したがって、減速ギヤ装置20から
伝達された動力は、差動歯車装置22において左右の駆
動軸24へ均等に分配された後、左右の前輪(駆動輪)
26へ伝達される。
【0015】図3において、エンジン10の図示しない
吸気配管に設けられたスロットルセンサ130は、スロ
ットル弁開度θthを表す信号をトランスミッション用電
子制御装置132へ出力する。また、図示しないイグナ
イタに設けられたエンジン回転速度センサ134はエン
ジン回転速度Ne を表す信号を出力する。また、ハウジ
ング64に設けられた入力軸回転センサ136、第1出
力軸回転センサ138および第2出力軸回転センサ13
9は、CVT16の入力軸58の回転速度Nin、出力軸
70の回転速度Nout および第2出力軸96の回転速度
o を表す信号をそれぞれ出力する。また、駆動軸2
4、すなわち前輪26の回転を検出するためにハウジン
グ64に設けられた車速センサ140は、車速SPDに
対応する信号を出力する。また、操作位置センサ144
はシフトレバー142の操作位置Ps を表す信号を出力
する。更に、油圧センサ288は、張力制御圧Pbelt
表す信号を出力する。
【0016】上記トランスミッション用電子制御装置1
32は、CPU146、RAM148、ROM150、
および図示しないインターフェースなどからなる所謂マ
イクロコンピュータを備えており、CPU146は、R
AM148の一時記憶機能を利用しつつ予めROM15
0に記憶されたプログラムに従って上記入力信号を処理
し、CVT16の変速比制御のために第1電磁弁15
2、第2電磁弁154を駆動し、フルードカップリング
12のロックアップクラッチ38の係合制御のために第
3電磁弁156、第4電磁弁158を駆動し、張力制御
圧Pbeltを制御するために第5電磁弁160を駆動し、
副変速機18の変速段切換制御などのために第6電磁弁
162を駆動する。上記CVT16の変速比制御では、
たとえば、燃費および運転性が得られる最適曲線上に沿
ってエンジン10が作動するように予め求められた目標
入力軸回転速度Nin゜と実際の入力軸回転速度Ninとが
一致するように、図8に示す関係に従って第1電磁弁1
52および第2電磁弁154が駆動されて変速比γCVT
が調節される。また、上記張力制御圧制御では、たとえ
ば、二次側の油圧アクチュエータ88に作用される張力
制御圧Pbeltが伝動ベルト76のすべりが生じない範囲
で小さな値となる目標圧Popt と一致するように予め記
憶されたフィードバック制御式或いはフィードフォワー
ド制御式から第5電磁弁160が制御される。
【0017】図4は、シフトレバー142の操作位置に
関連して制御される、前進クラッチC1および後進ブレ
ーキB1と、高速段用クラッチC2および低速段用ブレ
ーキB2の作動状態と第6電磁弁162或いは変速段と
の関係とを示している。
【0018】図3の油圧制御回路170の要部は、たと
えば図5、図6、図7にそれぞれ分割して示すように構
成されている。図5乃至図7において、前記油圧ポンプ
40は、油圧制御回路170の油圧源を構成している。
油圧ポンプ40は図示しないオイルタンク内へ還流した
作動油をストレーナ174を介して吸入する一方、戻し
油路176を介して戻された作動油を吸入して第1ライ
ン油路178へ圧送する。第1ライン油路178内の作
動油はリリーフ型式の第1調圧弁180によって上記戻
し油路176およびクラッチ圧油路182へ漏出させら
れることにより、第1ライン油路178内の第1ライン
油圧Pr1が調圧されるようになっている。なお、184
は、上記第1ライン油圧Pr1の過昇圧を防止するための
リリーフ弁である。
【0019】上記第1調圧弁180は、スプール弁子1
90、スプリングシート192を介してスプール弁子1
90に閉弁方向の付勢力を付与するリターンスプリング
194、スプール弁子190に当接する第1プランジャ
196、およびその第1プランジャ196に当接しそれ
と同径の第2プランジャ198を備えている。スプール
弁子190は、第1ライン油路178に連通するポート
200aと戻し油路176に連通するドレンポート20
0bおよびクラッチ圧油路182に連通する200cと
の間を開閉するものである。そのスプール弁子190
は、第1ランド202と、それよりも大径の第2ランド
204と、その第1ランド202の端面にフィードバッ
ク圧を作用させるための油室206とを備えており、第
1ランド202と第2ランド204との間の油室208
は大気に開放されている。その油室206には、フィー
ドバック圧としての第1ライン油圧Pr1が絞り210を
介して作用させられ、スプール弁子190が開弁方向へ
付勢されるようになっている。スプール弁子190と同
軸に設けられた第1プランジャ196と第2プランジャ
198との間には、一次側油圧アクチュエータ86内の
油圧Pinを分岐油路211を介して導くための油室21
2が設けられており、さらに第2プランジャ198の端
面には張力制御圧Pbeltを導くための油室214が設け
られている。スプール弁子190の第1ランド202の
受圧面積をA1 、第1プランジャ196および第2プラ
ンジャ198の断面積をA3 、前記リターンスプリング
194の付勢力をWとすると、スプール弁子190は数
式1が成立する位置において平衡させられて第1ライン
油圧Pr1が調圧される。そして、この第1ライン油圧P
r1は、スロットル圧Pthを調圧するスロットル弁開度検
知弁220、各電磁弁に供給されるバルブ圧Pv を調圧
するバルブ圧調圧弁222、張力制御圧Pbeltを調圧す
る張力制御圧調圧弁224などへそれぞれ供給される。
【0020】
【数1】Pr1=〔(Pin or Pbelt)・A3+W /A1
【0021】上記第1調圧弁180においては、一次側
油圧アクチュエータ86内の油圧Pinが張力制御圧P
belt(定常状態ではPbelt=二次側油圧アクチュエータ
88内の油圧Pout )よりも高い場合には、第1プラン
ジャ196と第2プランジャ198との間が離間して上
記一次側油圧アクチュエータ内油圧Pinによる推力がス
プール弁子190の閉弁方向に作用するが、一次側油圧
アクチュエータ内油圧Pinが張力制御圧Pbeltよりも低
い場合には、第1プランジャ196に第2プランジャ1
98が当接することから、上記第2プランジャ198の
端面に作用している張力制御圧Pbeltによる推力がスプ
ール弁子190の閉弁方向に作用する。これにより、第
1ライン油圧Pr1は、一次側油圧アクチュエータ内油圧
inと張力制御圧Pbeltとのいずれか高い方の油圧に比
例した値に調圧され、油圧を発生させるための動力損失
が可及的に小さくされる。
【0022】前記スロットル弁開度検知弁220は、図
示しないアクセルペダルの操作に伴って回転させられる
スロットル弁と連動するスロットルカム230と、この
スロットルカム230のカム面に係合し、このスロット
ルカム230の回動角度に関連して軸方向位置が変化さ
せられるプランジャ232と、スロットル圧Pthを調圧
するスプール弁子234と、このスプール弁子234を
閉弁方向へ付勢するスプリング236とを備えている。
スプール弁子234は、スプリング238を介してプラ
ンジャ232から付与される開弁方向の推力と、上記ス
プリング236の閉弁方向の推力およびフィードバック
圧として作用するスロットル圧Pthに基づいて発生する
閉弁方向の推力とが平衡するように位置させられること
により、第1ライン油圧Pr1を減圧し、スロットル弁開
度θthとともに大きくなるスロットル圧Pthを発生させ
る。
【0023】前記バルブ圧調圧弁222は、スプリング
240から付与される開弁方向の推力とフィードバック
圧として作用するバルブ圧Pv に基づいて発生する閉弁
方向の推力とが平衡するように位置させられるスプール
弁子242を備え、元圧である第1ライン油圧Pr1の変
動に拘わらず、それを減圧して一定のバルブ圧Pv を発
生させる。このバルブ圧Pv は、第3電磁弁156、第
4電磁弁158、第5電磁弁160へそれぞれ供給され
る。上記第3電磁弁156、第4電磁弁158は、バル
ブ圧Pv が供給される入力ポートと、ドレンポートと、
出力ポートとを備え、球状弁子がドレンポートを閉じ且
つ入力ポートおよび出力ポート間を連通させるオン状態
と、球状弁子が入力ポートを閉じ且つドレンポートおよ
び出力ポート間を連通させるオフ状態とに切り換えられ
る3ポート2位置弁である。また、第5電磁弁160
は、スプリング244およびフィードバック圧により閉
弁方向に付勢されるスプール弁子246と、励磁電流に
応じた推力でそのスプール弁子246を開弁方向に付勢
するリニアソレノイド248とを備え、その励磁電流に
応じて増大する信号圧Plin を発生させるように構成さ
れている。
【0024】前記張力制御圧調圧弁224は、第1ライ
ン油圧Pr1を導く第1ライン油路178と張力制御圧P
beltを導く張力制御圧油路260との間を開閉するスプ
ール弁子262、スプリングシート264を介して開弁
方向の付勢力をスプール弁子262に付与するリターン
スプリング266、スプール弁子262に当接して開弁
方向の付勢力を付与するプランジャ268を備えてい
る。また、スプール弁子262の軸端には、順に径が大
きくなる第1ランド270、第2ランド272が順次形
成されている。第1ランド270と第2ランド272と
の間には、フィードバック圧としての張力制御圧Pbelt
が絞り274を通して導入される油室276が設けられ
ている。また、スプール弁子262の第1ランド270
端面側には、前記第5電磁弁160から基本的には変速
比γcvt に対応して出力される信号圧Plin が作用され
る油室278が設けられており、スプール弁子262が
変速比γcvt に基づいて閉弁方向へ付勢されるようにな
っている。プランジャ268には、スプール弁子262
側から順に径の小さくなる第3ランド280および第4
ランド282が設けられている。第4ランド282の端
面側にはエンジン負荷に対応するスロットル圧Pthを作
用させるための油室284が設けられており、スプール
弁子262がこのスロットル圧Pthにより開弁方向へ付
勢されるようになっている。また、上記第3ランド28
0および第4ランド282の間には、第4電磁弁158
から出力される信号圧Psol4が作用される油室286が
設けられ、この信号圧Psol4が発生させられた場合に
は、スプール弁子262が開弁方向へ付勢されて張力制
御圧Pbeltが所定圧高められるようになっている。した
がって、上記第1ランド270の受圧面積をA4 、第2
ランド272の断面の面積をA5 、第3ランド280の
断面の面積をA6 、第4ランド282の受圧面積を
7 、リターンスプリング266の付勢力をWとする
と、スプール弁子262は数式2が成立する位置におい
て平衡させられる。張力制御圧Pbeltは、エンジン10
の出力トルクに対応するスロットル弁開度θthと変速比
γcvt とに基づいて基本的に調圧されるので、伝動ベル
ト76の張力、すなわち挟圧力が必要かつ充分な値に制
御され、動力損失が低減されるとともに、伝動ベルト7
6の耐久性が高められている。
【0025】
【数2】 Pbelt=〔A7・Pth+(A6 −A7) Psol4+W −A4・Plin 〕/(A5−A4)
【0026】第1電磁弁152および第2電磁弁154
には、図示しない調圧弁により調圧される係合作動圧P
bcが供給されるようになっており、オフ状態であるとき
に絞り318および320より下流側をそれぞれドレン
へ開放するが、オン状態であるときに絞り318および
320より下流側をそれぞれ係合作動油圧Pbcとする2
ポート2位置弁である。
【0027】上記第1電磁弁152は、CVT16の変
速比変化方向を切り換えるための変速方向切換弁330
を制御し、第2電磁弁154は、CVT16の変速比変
化速度を制御するための変速速度制御弁332を制御す
る。変速方向切換弁330は、第1ライン油路178と
連通する第1入力ポート334、中程度の絞り336を
介して第1ライン油路178と連通する第2入力ポート
338、比較的小さな絞り340および比較的大きな絞
り342を介して一次側の油圧アクチュエータ86に連
通する第1出力ポート344、変速速度制御弁332の
入力ポート346と連通する第2出力ポート348、ド
レンポート350と、オフ位置においては第1入力ポー
ト334と第1出力ポート344との間および第2入力
ポート338と第2出力ポート348との間をそれぞれ
連通させるが、オン位置においては第2出力ポート34
8とドレンポート350との間を連通させるスプール弁
子352と、そのスプール弁子352をオフ位置へ向か
って付勢するスプリング354とを備えている。したが
って、第1電磁弁152がオフ状態とされると、スプー
ル弁子352はそのオフ位置に位置させられて一次側の
油圧アクチュータ86内へ作動油が供給されてCVT1
6は増速方向へ変化させられる。反対に、第1電磁弁1
52がオン状態とされると、スプール弁子352はその
オン位置に位置させられて一次側の油圧アクチュータ8
6内の作動油が上記ドレンポート350から排出されて
CVT16は減速方向へ変化させられる。
【0028】変速速度制御弁332は、前記入力ポート
346と、一次側の油圧アクチュータ86に連通する出
力ポート356と、オン位置においてはそれら入力ポー
ト346および出力ポート356の間を連通させ、オフ
位置においては遮断するスプール弁子358と、そのス
プール弁子358をオフ位置へ向かって付勢するスプリ
ング360とを備えている。したがって、第2電磁弁1
54がオフ状態とされると、スプール弁子358は入力
ポート346および出力ポート356の間を遮断するの
で、第1電磁弁152がオン状態であるときは緩減速モ
ードとなり、第1電磁弁152がオフ状態であるときに
は緩増速モードとなる。また、第2電磁弁154がオン
状態とされると、スプール弁子358は入力ポート34
6および出力ポート356の間を連通させるので、第1
電磁弁152がオフ状態であるときは急増速モードとな
り、第1電磁弁152がオン状態であるときには急減速
モードとなる。図8は、上記第1電磁弁152および第
2電磁弁154の作動状態の組み合わせとそれにより得
られるCVT16の変速モードとの関係を示している。
また、この図8は、変速比制御における制御偏差ΔNin
とそれを解消するために実行される変速モードとの関係
も示している。
【0029】次に、前記クラッチ圧油路182内のクラ
ッチ油圧Pclは、クラッチ圧調圧弁450によりスロッ
トル圧Pthに応じて調圧されるようになっている。この
クラッチ油圧Pclはロックアップクラッチ38の係合圧
力に関連するものであるが、クラッチ圧油路182内の
作動油は、絞り453を通して伝動ベルト76の摺動部
分、軸受け部分、遊星歯車の噛合部分、差動歯車装置2
2などへ潤滑油として圧送される。また、クラッチ圧調
圧弁450のリリーフポート455から流出させられる
作動油も潤滑油として同様に圧送される。クラッチ圧調
圧弁450は、クラッチ圧油路182内の作動油を戻し
油路176へ逃がすためのスプール弁子452と、この
スプール弁子452を閉弁方向へ付勢するためのスプリ
ング454と、スロットル圧Pthを受けてそれに基づく
閉弁方向の推力をスプール弁子452に伝達するプラン
ジャ456と、スプール弁子452に開弁方向の推力を
付与するためにフィードバック圧としてクラッチ油圧P
clを受け入れる油室458とを備えている。
【0030】ロックアップクラッチ38の係合および解
放を制御するために、第3電磁弁156により切り換え
られるロックアップリレー弁460と、第4電磁弁15
8により切り換えられるロックアップ制御弁462が設
けられている。ロックアップリレー弁460は、ドレン
ポート464、逆止弁466を介してクラッチ油圧Pcl
が供給される第1ポート468、第2ポート470、第
3ポート472、第4ポート474、第5ポート47
6、ドレンポート478と、それらのポート間を切り換
えるためのスプール弁子480と、そのスプール弁子4
80を油室482側へ付勢するスプリング484とを備
えている。このため、第3電磁弁156からの信号圧P
sol3が油室482へ供給されない状態では、スプール弁
子480は油室482側へ位置させられるので、第1ポ
ート468と第2ポート470、第3ポート472と第
4ポート474、第5ポート476とドレンポート47
8がそれぞれ連通させられる。反対に、第3電磁弁15
6からの信号圧Psol3が油室482へ供給された状態で
は、スプール弁子480は油室484側へ位置させられ
るので、ドレンポート464と第2ポート470、第1
ポート468と第3ポート472、第4ポート474と
第5ポート476がそれぞれ連通させられる。
【0031】ロックアップ制御弁462は、逆止弁46
6を介してクラッチ油圧Pclが供給される第1ポート4
90、ロックアップリレー弁460の第2ポート470
と接続された第2ポート492、ロックアップリレー弁
460の第5ポート476と接続された第3ポート49
4、ロックアップリレー弁460の第3ポート472と
接続された第4ポート496、フルードカップリング1
2の解放側油室46と接続された第5ポート498、フ
ルードカップリング12の係合側油室48と接続された
第6ポート500と、それらのポート間を切り換えるた
めのスプール弁子502と、そのスプール弁子502を
油室504側へ付勢するスプリング506とを備えてい
る。このため、第4電磁弁158からの信号圧Psol4
油室504へ供給されない状態では、スプール弁子50
2は油室504側へ位置させられるので、第2ポート4
92と第5ポート498、第4ポート496と第6ポー
ト500がそれぞれ連通させられる。反対に、第4電磁
弁158からの信号圧Psol4が油室504へ供給された
状態では、スプール弁子502はスプリング506側へ
位置させられるので、第1ポート490と第5ポート4
98、第3ポート494と第6ポート500がそれぞれ
連通させられる。
【0032】したがって、第4電磁弁158および第3
電磁弁156が共にオフ状態とされると、クラッチ油圧
clが第1ポート468、第2ポート470、第2ポー
ト492、第5ポート498を順次介して解放側油室4
6へ作用させられると同時に、係合側油室48内の作動
油は第6ポート500、第4ポート496、第3ポート
472、第4ポート474、オイルクーラ510を順次
介してドレンされ、ロックアップクラッチ38が解放さ
れる。すなわち第1解放モードとされる。このとき、係
合側油室48から排出される作動油の一部も、オイルク
ーラ510を経てドレンされる。このオイルクーラ51
0の上流側には、係合側油室48から排出される作動油
の圧力が所定値を超えたときにオイルクーラ510を経
ないでドレンするためのクーラバイパス弁512が設け
られている。また、第4電磁弁158および第3電磁弁
156が共にオン状態とされると、クラッチ油圧Pcl
第1ポート490、第5ポート498を介して解放側油
室46へ作用させられると同時に、係合側油室48内の
作動油は第6ポート500、第3ポート494、第5ポ
ート476、第4ポート474、およびオイルクーラ5
10を経てドレンされ、ロックアップクラッチ38が解
放される。すなわち第2解放モードとされる。
【0033】第4電磁弁158がオン状態とされ且つ第
3電磁弁156がオフ状態とされると、クラッチ油圧P
clが第1ポート490、第5ポート498を介して解放
側油室46へ作用させられると同時に、係合側油室48
内の作動油は第6ポート500、第3ポート494、第
5ポート476、ドレンポート478を介してドレンさ
れ、ロックアップクラッチ38が速やかに解放される。
この場合には、係合側油室48内の作動油がオイルクー
ラ510を経ないでドレンへ流出させられるのに加え
て、第4電磁弁158からの信号圧Psol4が張力制御圧
調圧弁224の油室286へ作用されて張力制御圧P
beltが高められるとともに、その張力制御圧Pbeltが第
1調圧弁180の油室214に作用されて一次ライン油
圧Pr1も高められるので、この一次ライン油圧Pr1を元
圧とするスロットル弁開度検知弁220から出力される
スロットル圧Pthも高められ、クラッチ圧調圧弁450
において調圧されるクラッチ圧Pclが高められることか
ら、ロックアップクラッチ38が急速に解放されるので
ある。このようなロックアップクラッチ38の急解放モ
ードは、車両の急停止に関連してCVT16の急減速変
速を実行する際に選択される。
【0034】第4電磁弁158がオフ状態とされ且つ第
3電磁弁156がオン状態とされると、クラッチ油圧P
clが第1ポート468、第3ポート472、第4ポート
496、第6ポート500を介して係合側油室48に作
用させられると同時に、解放側油室46内の作動油は第
5ポート498、第2ポート492、第2ポート47
0、ドレンポート464を介してドレンされ、ロックア
ップクラッチ38が係合される。すなわち係合モードと
される。図9は、第3電磁弁156および第4電磁弁1
58の作動状態の組み合わせとロックアップクラッチ3
8の作動モードとの関係を示している。
【0035】トランスミッション用電子制御装置132
では、ロックアップクラッチ38の係合制御、CVT1
6の変速比制御、張力制御圧制御、副変速機18の変速
段切換制御などが実行される。図1は、トランスミッシ
ョン用電子制御装置132の制御機能のうち、張力制御
圧Pbeltを調圧する油圧回路系に故障が発生したときの
処理をするフェイル処理制御の要部を示す機能ブロック
線図である。図において、張力不足領域検出手段520
は、張力制御圧調圧弁224により張力制御圧Pbelt
目標圧Popt に調圧する制御の実行中において、伝動ベ
ルト76の張力が不足する領域を検出し、すべり防止手
段522は、その張力不足領域検出手段520により検
出された伝動ベルト76の張力が不足する領域では、そ
の伝動ベルト76のすべりを防止するための処置を施
す。
【0036】図10は、トランスミッション用電子制御
装置132の制御作動の要部、すなわち張力制御圧P
beltを調圧するための油圧回路系に故障が発生したとき
の処理をするフェイル処理制御作動を説明するフローチ
ャートである。図のステップS1では、伝動ベルト76
のすべりを発生させない範囲でその負荷を軽減し且つ動
力損失を可及的に抑制するための目標圧Popt が算出さ
れる。この目標圧Poptは、たとえば数式3に従って算
出される。数式3において、AおよびBは定数、Vは車
速、Te はエンジン10の出力トルクである。
【0037】
【数3】Popt =A・Te (1+γCVT )−B・V2
【0038】続くステップS2では、張力制御圧調圧弁
224のメカ設定圧Pmec が予め記憶された関係(P
mec =f(γ,θth))から算出される。このメカ設定
圧Pmec は、数式2において信号圧Psol4およびPlin
が零であるときの張力制御圧調圧弁224の出力圧であ
る。
【0039】次いで、ステップS3では、油圧センサ2
88により実際の張力制御圧Pbeltが検出され、油圧P
dactとして記憶される。そして、ステップS4では、目
標圧Popt を得るための張力制御圧最適制御が実行され
ているか否かが判断されるとともに、そのステップS4
の判断が肯定された場合にはステップS5において、目
標圧Popt と油圧センサ288により検出された実際の
油圧Pdactとの差(=Popt −Pdact)が所定の判断基
準値δよりも大きいか否かが判断される。この判断基準
値δは、伝動ベルト76のすべりが発生する目標圧P
opt からの低下値と略同等の値に設定されている。
【0040】前記張力不足領域検出手段520に対応す
るステップS4およびS5の判断のいずれもが肯定され
た場合には、目標圧Popt を得るための張力制御圧の最
適制御中に関わらず実際の張力制御圧Pbelt(=
dact)が伝動ベルト76のすべりが発生する程度に低
下した状態、すなわち張力制御圧を調圧する油圧回路系
の故障によって伝動ベルト76の張力が不足した状態で
あるので、前記すべり防止手段522に対応するステッ
プS6において第4電磁弁158がオン状態とされて信
号圧Psol4が発生させられることにより、張力制御圧P
beltが所定圧高められる。これにより、伝動ベルト76
のすべりが解消される。
【0041】しかし、上記ステップS4およびS5の判
断のいずれかが否定された場合には、張力制御圧の最適
制御が実施されていないか或いは張力制御圧の最適制御
が正常に実行されている状態であるので、ステップS7
において第4電磁弁158がオフ状態とされる。
【0042】上述のように、本実施例によれば、張力不
足領域検出手段520に対応するステップS4およびS
5により検出された、伝動ベルト76の張力が不足する
領域では、すべり防止手段522に対応するステップS
6により、第4電磁弁158がオン状態とされて張力制
御圧Pbeltが所定圧高められることにより伝動ベルト7
6のすべりが解消される。したがって、張力制御圧P
beltを調圧する調圧弁224を含む油圧回路系の故障、
たとえば張力制御圧調圧弁224のスプール弁子262
の固着、第5電磁弁(リニヤ弁)160のスプール弁子
246の固着、スロットル弁開度検知弁220のスプー
ル弁子234の固着、バルブ圧調圧弁222のスプール
弁子242の固着などに拘わらず、伝動ベルト76の挟
圧力の不足状態が好適に解消され得る。しかも、伝動ベ
ルト76の挟圧力の不足状態が検出されたときだけ、伝
動ベルト76のすべりを防止するための処置が施される
ので、たとえば変速比γcvt に拘わらず張力制御圧P
beltを一定値だけ昇圧させる場合に比較して、特に高速
走行時或いは低変速比走行時における伝動ベルト76の
負荷を軽減でき、伝動ベルト76の耐久性を高めること
ができる。
【0043】図11、図12、図13は、本発明の他の
実施例の図10に相当する図である。図において、図1
1の実施例では、図10のステップS5に替わるステッ
プS5−1が設けられている。このステップS5−1で
は、伝動ベルト76のすべりが変速比γcvt 、エンジン
回転速度Ne 、入力軸回転速度Nin、出力軸回転速度N
out の変化率が所定の判断基準値を越えたことを以て直
接的に判断される。また、図12の実施例では、図10
のステップS5に替わるステップS5−2が設けられて
いる。このステップS5−2では、伝動ベルト76のす
べりにより車両の発進が不能か否かが判断される。たと
えば、スロットル弁開度θthが比較的大きくされた状態
で車速Vが略零であることを以て発進不能と判断され
る。
【0044】上記図11、図12の実施例でも、張力不
足領域検出手段520に対応するステップS4とS5−
1またはS5−2により検出された、伝動ベルト76の
張力が不足する領域では、すべり防止手段522に対応
するステップS6により、第4電磁弁158がオン状態
とされて張力制御圧Pbeltが所定圧高められるので、図
10の実施例と同様な効果が得られる。
【0045】図13の実施例では、図10のステップS
6に替わるステップS6−1が設けられると同時にステ
ップS7が除去されている。このステップS6−1は、
伝動ベルト76の挟圧力の不足と判断されるとCVT1
6の変速比γcvt を所定の値γ0 以下に制限することに
より伝動ベルト76のすべりが防止されている。したが
って、本実施例でも、前述の実施例と同様な効果が得ら
れる。
【0046】因に、図14は、張力制御圧の制御に関連
する油圧回路系が正常である場合の張力制御圧調圧弁2
24の出力特性を示している。図において、1点鎖線は
メカ設定圧Pmec 、破線は目標圧Popt 、実線はその目
標圧Popt に追従するように制御される実際の張力制御
圧Pbeltである。それらはスロットル弁開度θthおよび
変速比γcvt に応じてそれぞれ増減する。上記メカ設定
圧Pmec は、第5電磁弁(リニヤ弁)160が作動しな
い時の設定油圧値であってスロットル弁開度検知弁22
0が正常であると仮定された値である。したがって、第
5電磁弁(リニヤ弁)160ガ故障してもメカ設定圧P
mec は不変である。
【0047】図15は、第5電磁弁(リニヤ弁)160
のスティックなどによりそれから変速比γcvt に拘わら
ず一定の大きさの信号圧Plin が出力する故障が発生し
た状態の特性を示している。この場合には、実際の張力
制御圧beltはスロットル弁開度θthに応じて変化するが
メカ設定圧Pmec には達せず、目標圧Popt よりも下ま
わる領域が生じる。また、図16は、スロットル弁開度
検知弁220のスプール弁子234の固着などによりス
ロットル弁開度θthに拘わらず一定の大きさのスロット
ル圧Pthを出力する故障が発生した状態の特性を示して
いる。この場合には、実際の張力制御圧beltは目標圧P
opt に沿って変化するけれども、スロットル圧Pthを越
えることができないので、目標圧Popt よりも下まわる
領域が生じる。しかし、そのように実際の張力制御圧
beltが目標圧Popt よりも下まわる領域では、図10、
図11、図12の実施例のステップS6により、2点鎖
線に示すように所定値ΔPupだけ張力制御圧beltが上昇
させられるので、伝動ベルト76のすべりが防止され
る。
【0048】また、図17は、バルブ圧調圧弁222の
スプール弁子242の固着などにより充分な大きさのバ
ルブ圧Pv が出力されず、信号圧Plin の大きさが制限
されるので、実際の張力制御圧beltは目標圧Popt より
も下まわる領域が生じる。しかし、上記の故障では、第
4電磁弁158をオン状態とする方法でも張力制御圧
beltを充分に大きくできないことから、実際の張力制御
beltが目標圧Popt よりも下まわる領域では、図13
の実施例のステップS6−1により、CVT16の変速
比γcvt が所定値γo よりも低い領域に制限される。こ
の所定値γo は、張力制御圧beltを示す実線と目標圧P
opt を示す破線との交点、すなわち伝動ベルト76の張
力が不足しない領域と不足する領域との境界点に定めら
れているので、、伝動ベルト76のすべりが防止され
る。
【0049】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することも
できる。
【0050】たとえば、前述の実施例のステップS6で
は、張力制御圧Pbeltを高めるためにロックアップクラ
ッチ制御用の第4電磁弁158が用いられていたが、そ
の第4電磁弁158に替えて独立の電磁弁が用いられて
もよい。
【0051】また、前述の実施例のステップS6−1で
は、CVT16の変速比γcvt を所定値γ0 以下に制限
することにより伝動ベルト76のすべりが防止されてい
たが、伝動ベルト76のすべりを発生させない値までエ
ンジン10の出力トルクTeを低下させるように、エン
ジン用電子制御装置に燃料噴射量或いは点火時期などを
制御させる指令を電子制御装置132が出すようにして
もよい。
【0052】また、前述の実施例では、Popt −Pdact
>δであるとき、伝動ベルト76にすべりが発生したと
き、或いは発進不能であるときに油圧回路系が故障であ
ると判断されていたが、たとえば、Popt −Pdact>α
かつPmec −Pdact>βであるときや、スロットル弁開
度θthや車速Vなどの走行条件が変化しても第5電磁弁
160から出力される信号圧Plin が一定であるときに
油圧回路系が故障であると判断するようにしてもよい。
【0053】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図3の電子制御装置の制御機能の要部を説明す
る機能ブロック線図である。
【図2】図3の実施例が適用される車両用動力伝達装置
の骨子図である。
【図3】本発明の一実施例の制御装置の構成を説明する
ブロック線図である。
【図4】図2の動力伝達装置において、シフトレバーの
操作位置とギヤ段との関係を説明する図表である。
【図5】図3の油圧制御装置の構成を示す油圧回路図の
一部である。
【図6】図3の油圧制御装置の構成を示す油圧回路図の
一部である。
【図7】図3の油圧制御装置の構成を示す油圧回路図の
一部である。
【図8】図3の電子制御装置の変速比制御における制御
偏差と変速モードとの関係を説明する図である。
【図9】ロックアップクラッチの作動モードと図3の第
3電磁弁および第4電磁弁の作動の組合わせとの関係を
説明する図である。
【図10】図3の電子制御装置の制御作動の要部を説明
するフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施例における図10に相当す
る図である。
【図12】本発明の他の実施例における図10に相当す
る図である。
【図13】本発明の他の実施例における図10に相当す
る図である。
【図14】油圧回路系が正常な状態における図6の張力
制御圧の出力特性を説明する図である。
【図15】図6の第5電磁弁(リニヤ弁)の故障状態に
おける図6の張力制御圧の出力特性を説明する図であ
る。
【図16】図6のスロットル弁開度検知弁の故障状態に
おける図6の張力制御圧の出力特性を説明する図であ
る。
【図17】図6のバルブ圧調圧弁の故障状態における図
6の張力制御圧の出力特性を説明する図である。
【符号の説明】
72,74:可変プーリ 76:伝動ベルト 224:張力制御圧調圧弁 520:張力不足領域検出手段 522:すべり防止手段

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有効径が可変の一対の可変プーリに伝動
    ベルトが巻き掛けられることにより変速比が無段階に変
    化させられる車両用ベルト式無段変速機において、エン
    ジン負荷に対応するエンジン負荷圧と該ベルト式無段変
    速機の変速比に対応する変速比圧とに基づいて、該伝動
    ベルトの張力を決定するための張力制御圧を、予め定め
    た目標圧に調圧する調圧弁を有する形式の油圧制御装置
    であって、 前記調圧弁により前記張力制御圧を目標圧に調圧する制
    御の実行中において、該張力制御圧を調圧するための油
    圧回路系の故障に起因して前記伝動ベルトの張力が不足
    する領域を検出する張力不足領域検出手段と、 該張力不足領域検出手段により検出された、伝動ベルト
    の張力が不足する領域では、該伝動ベルトのすべりを防
    止するための処置を施すすべり防止手段とを含むことを
    特徴とする車両用自動変速機の油圧制御装置。
JP2490893A 1993-01-20 1993-01-20 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置 Expired - Fee Related JP3036284B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2490893A JP3036284B2 (ja) 1993-01-20 1993-01-20 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2490893A JP3036284B2 (ja) 1993-01-20 1993-01-20 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06213317A JPH06213317A (ja) 1994-08-02
JP3036284B2 true JP3036284B2 (ja) 2000-04-24

Family

ID=12151280

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2490893A Expired - Fee Related JP3036284B2 (ja) 1993-01-20 1993-01-20 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3036284B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4742723B2 (ja) * 2005-07-27 2011-08-10 日本精工株式会社 トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
WO2013031408A1 (ja) * 2011-08-30 2013-03-07 ジヤトコ株式会社 車両制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06213317A (ja) 1994-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0579554A (ja) 車両用無段変速機の制御装置
JP2626256B2 (ja) 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
JPS6374732A (ja) 無段変速機の変速制御装置
JPH04249667A (ja) ロックアップクラッチ付トルクコンバータを備えた車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
JPH04249665A (ja) 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
JP2527056B2 (ja) 車両用無段変速機の油圧制御装置
JP2629389B2 (ja) 車両用無段変速機の油圧制御装置
JP2699598B2 (ja) 車両用無段変速機の油圧制御装置
JPH0820016B2 (ja) 車両用無段変速機の油圧制御装置
JP2964815B2 (ja) 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
JP3116666B2 (ja) 車両用無段変速機の変速制御装置
JPH0510427A (ja) 車両用無段変速機の油圧制御装置
JP2626360B2 (ja) 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
JP3036284B2 (ja) 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
JP4066711B2 (ja) 無段変速機の制御装置
JP2626392B2 (ja) 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
JP3216286B2 (ja) 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
JP2621547B2 (ja) 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
JPH04285361A (ja) 車両用ベルト式無段変速機の制御装置
JPH05118424A (ja) 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
JPH0510426A (ja) 車両用無段変速機の油圧制御装置
JP3116616B2 (ja) 車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置
JP2692479B2 (ja) 車両用自動変速機の油圧制御装置
JPH0510428A (ja) 車両用無段変速機の制御装置
JPH0727215A (ja) 車両用自動変速機の油圧制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080225

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090225

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees