JP2003268173A - ポリプロピレン系樹脂組成物およびそのフィルム - Google Patents
ポリプロピレン系樹脂組成物およびそのフィルムInfo
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Abstract
衝撃性、耐熱性および剛性に優れた樹脂成形体が得られ
るポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 他のオレフィンの単位が5重量%以下で
あるプロピレンと他のオレフィンとの共重合体、または
プロピレンの単独重合体からなる成分と、プロピレンの
単位が50重量%超〜85重量%以下である、プロピレ
ンと他のオレフィンとの共重合体およびプロピレンの単
位が15〜50重量%であり、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフによる分子量分布(Mw/Mn)が3.0
以下であり、NMR測定値を用いて式1から求められる
ブロック性(CSD)が1.3以下であるプロピレン共
重合体であり、かつ、ポリプロピレン系樹脂組成物全体
に占める割合が3重量%以上である、プロピレンと他の
オレフィンとの共重合体を含む成分からなるポリプロピ
レン系樹脂組成物。
Description
樹脂組成物およびその成形体に関する。特に、本発明
は、成形時に成形機、成形条件の影響を受けず、フィッ
シュアイ等の発生が無く、外観および透明性に優れ、か
つ、低温での耐衝撃性、耐熱性および剛性に優れた樹脂
成形体を得ることのできるポリプロピレン系樹脂組成物
およびそのフィルムに関する。
合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロ
ピレンブロック共重合体)を用いた成形品は、経済性に
優れ、多岐の分野にわたり使用されている。しかし、一
般に、プロピレン単独重合体を用いた成形品は、高い剛
性を有する反面、耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性に劣
るという欠点がある。そのため、低温での耐衝撃性を向
上させるために多くの提案がなされてきた。それらの提
案は、一般に、まず最初にプロピレンのホモ成分を生成
させ、その後にエチレン−プロピレンランダム共重合体
成分を導入してプロピレンブロック共重合体を製造する
ことに関するものである。プロピレン系ブロック共重合
体を用いた成形品は、低温での耐衝撃性が優れるため
に、自動車、家電分野などの各産業分野で広く用いられ
ている。
ピレン系ブロック共重合体は、低温での耐衝撃性、剛性
が優れるものの、透明性が悪いために用途が限定される
欠点があった。
れ、特定の粘度およびエチレン/プロピレン共重合体量
を制御したプロピレンブロック共重合体が、特開平6−
313048号公報、特開平7−286020号公報、
特開平8−27238号公報に開示されている。しか
し、それらの改良品においても成形機や成形条件よって
耐衝撃性および透明性が充分に発現しないという問題が
あった。
は、プロピレンブロック共重合体とプロピレンブロック
共重合体のホモ部分に対する特定のMFR比および粘度
比をもつオレフィン系またはスチレン系エラストマーか
らなる樹脂組成物が開示されている。しかし、その特定
のMFR比および粘度比の範囲では、成形機および成形
条件の影響をうけ、耐衝撃性および透明性が十分に発現
されないという問題があった。
如き従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を行った結果、特
定の制御されたポリプロピレン系樹脂組成に特定のゴム
成分を導入することによって、成形条件の影響をほとん
ど受けることなく、透明性、剛性および耐衝撃性に優れ
る樹脂組成物が得られることを見出したものである。
形条件の影響を受けず、フィッシュアイ等の発生が無
く、外観および透明性に優れ、かつ、低温での耐衝撃
性、耐熱性および剛性に優れた樹脂成形体を得ることの
できるポリプロピレン系樹脂組成物を提供しようとする
ものである。
ピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−
オレフィンとの共重合体であって、エチレンおよび/ま
たは炭素数4〜12のα−オレフィンに由来する単位が
5重量%以下である共重合体、またはプロピレンの単独
重合体からなるポリプロピレン成分(A)40〜80重
量%と、共重合体(B−1)および共重合体(B−2)
を含む共重合体成分(B)20〜60重量%とからなる
ポリプロピレン系樹脂組成物であって、共重合体(B−
1)および共重合体(B−2)はともにプロピレンとエ
チレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィン
との共重合体であり、共重合体(B−1)はプロピレン
に由来する単位が50重量%超〜85重量%以下であ
り、共重合体(B−2)はプロピレンに由来する単位が
15〜50重量%であり、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフによる分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下
であり、NMR測定値を用いて求められるブロック性
(CSD)が1.3以下であるプロピレン共重合体であ
り、かつ、ポリプロピレン系樹脂組成物全体に占める割
合が3重量%以上である、ポリプロピレン系樹脂組成物
を提供する。
成分(A)は、プロピレン単独重合体またはプロピレン
とエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフ
ィンとの共重合体であって、エチレンおよび/または炭
素数4〜12のα−オレフィンに由来する単位が5重量
%以下である共重合体である。炭素数4〜12のα−オ
レフィンとは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メ
チル−1−ペンテン等のα−オレフィンである。ポリプ
ロピレン成分(A)におけるプロピレン以外のモノマー
に由来する単位は5重量%以下である。これらの重合体
は、それぞれ単独で用いられてもよく、2種以上を併用
してもよい。これらの重合体は、例えば、公知のチーグ
ラー・ナッタ系触媒やメタロセン触媒を用い、公知の重
合方法によって製造されるものである。
性が特に要求される場合にはプロピレン単独重合体であ
ることが好ましく、また耐衝撃性と透明性が特に要求さ
れる場合にはプロピレンとエチレンおよび/またはα−
オレフィンの共重合体であることが好ましい。この成分
(A)が前記プロピレンの共重合体の場合、そのエチレ
ンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンに由
来する単位は5重量%以下であり、好ましくは0.1〜
3.5重量%以下である。エチレンおよび/または炭素
数4〜12のα−オレフィンに由来する単位が5重量%
より多いと成形品における剛性および耐熱性が低下す
る。
[η]Aは2.0〜4.8dl/gである場合、成形条
件の影響をほとんど受けることなく、成形品の透明性、
剛性および耐衝撃性がより向上するので好ましい。ここ
で、極限粘度は、デカリン中、135℃で測定した値で
ある。ポリプロピレン成分(A)の極限粘度[η]A
は、より好ましくは2.5〜4.5dl/gの範囲、さ
らに好ましくは、2.8〜4.0dl/gの範囲であ
る。
レートは、0.3〜15g/10分の範囲であるのが好
ましく、0.5〜5g/10分の範囲がさらに好まし
い。このメルトフローレートの範囲内である場合、成形
条件の影響をほとんど受けずに、成形品の透明性、剛性
および耐衝撃性がより向上するので好ましい。なお、本
発明におけるポリプロピレン成分(A)のメルトフロー
レートは、JIS K7210に準処し、230℃、荷
重2.16kgで測定した値であり、以下においてはこ
れをMFRということもある。
則性は96%以上であるのが好ましい。この立体規則性
が96%以上である場合、成形品の剛性と耐衝撃強度の
バランスがより向上するので好ましい。さらに好ましく
は97%以上であり、特に好ましくは98%以上であ
る。
ける成分(A)の含有量は40〜80重量%であり、よ
り好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは60
〜80重量%の範囲である。成分(A)の含有量が40
重量%未満では、耐衝撃性は向上するものの剛性が低下
することがあり、また80重量%を超えると、剛性は向
上するが耐衝撃性が成形条件の影響を受けて低下するこ
とがある。
(B−1)と、共重合体(B−2)を含む。共重合体
(B−1)および共重合体(B−2)は、プロピレンと
エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィ
ンとの共重合体である。
レフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メ
チル−1−ペンテン等のα−オレフィンである。共重合
体(B−1)および(B−2)は、いずれも、好ましく
はプロピレンとエチレンの共重合体である。
由来する単位は50重量%超〜85重量%以下であり、
好ましくは55〜85重量%である。85重量%以上で
あると低温での耐衝撃性が不十分であり、50重量%以
下であると重合で生成したパウダーの流動性が劣り、ブ
ロック共重合体の製造上問題となる。
1は、1.4〜5.0dl/gであることが好ましい。
5.0dl/gを超えると、耐衝撃性は向上するものの
透明性が低下することがある。また1.4dl/g未満
であると耐衝撃性が低下することがある。極限粘度
[η]B−1は、より好ましくは2.0〜4.5dl/
g、さらに好ましくは2.5〜4.0dl/gの範囲で
ある。
する単位を15〜50重量%、好ましくは20〜40重
量%含む。
エーションクロマトグラフによる分子量分布(Mw/M
n)は3.0以下であり、好ましくは2.8以下、さら
に好ましくは2.6以下である。またNMR測定値を用
いて求められるブロック性(CSD)は1.3以下であ
り、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下
である。
レン系樹脂組成物全体に占める割合が3重量%以上であ
る場合、成形時の高せん断下においても、共重合体(B
−1)および(B−2)を含む(B)成分の分散層の全
体の長さが所望に保持されて耐衝撃性の保持もしくはそ
の向上をもたらすこととなる。共重合体(B−2)が本
発明のポリプロピレン系樹脂組成物全体に占める割合
は、5重量%以上であるのが好ましく、7重量%以上か
つ25重量%以下であるのがさらに好ましい。
2は、0.5〜6.0dl/gであることが好ましい。
極限粘度はより好ましくは1.0〜5.0dl/gの範
囲、さらに好ましくは1.0〜4.0dl/gの範囲で
ある。極限粘度[η]B−2が0.5dl/g未満であ
ると、耐衝撃性などの物性が成形条件の影響を受けやす
くなったり、耐衝撃性が低下したりすることがある。
6.0dl/gを超えると透明性が低下することがあ
る。また、共重合体(B−2)は異種結合を有するのが
好ましい。この明細書において、異種結合量とは、筒井
等によって提案(Polymer、30、1350、1
989年)された方法に基づき13C−NMRスペクト
ルによって測定されるポリプロピレン分子鎖中の2,1
−挿入反応および1,3−挿入反応に起因する異種結合
量の存在割合を意味する。
レン成分(A)の粘度比([η]B−1/[η]A)は
1.5以下であることが好ましく、さらに好ましくは
1.3以下、最も好ましくは1.2以下である。1.5
以下であれば、低温における耐衝撃性がより向上し、ま
た透明性も向上するので好ましい。
−1)と共重合体(B−2)の極限粘度([η]B−
2)の比([η]B−1/[η]B−2)は、0.8以
上であるのが好ましく、より好ましくは0.9〜5.0
の範囲、さらに好ましくは1.1〜4.0の範囲であ
る。0.8未満であれば、透明性が低下することがあ
る。また、耐衝撃性の点から4.0以下が特に好まし
い。
(B−1)の方が共重合体(B−2)よりその重量にお
いて過剰で有ることが、ポロプロピレン成分(A)とそ
れに層状あるいは針状に分散した共重合体成分(B)の
界面における結合力の点から望ましく、これにより層構
造が安定化する。その重量比[(B−1)/(B−
2)]は1.2〜6.0であるのが好ましく、より好ま
しくは1.5〜5.0、さらに好ましくは1.8〜4.
0の範囲である。
と共重合体(B−1)および共重合体(B−2)を含む
共重合体成分(B)からなる樹脂組成物の製造方法につ
いて説明する。
(B−2)とをそれぞれ別々に製造し、混合してもよ
い。また、これらを多段重合法により1つの重合系内で
製造してもよい。また、両者を組み合わせてもよい。
(B−2)をそれぞれ別々に製造し、別途製造された成
分(A)とともに混合してもよく、また共重合体(B−
1)と共重合体(B−2)を多段重合法で製造し、成分
(A)と混合してもよい。
1)とを1つの重合系内で多段重合法により製造し、別
に得られた共重合体(B−2)と混合してもよい。ある
いは、成分(A)と共重合体(B−2)とを1つの重合
系内で多段重合法により製造し、別に得られた共重合体
(B−1)と混合してもよい。
重合体(B−1)とを多段重合法により1つの重合系内
で製造してブロック共重合体を得、次いで共重合体(B
−2)と混合するのがよい。
−1)および共重合体(B−2)は公知の触媒系を用い
て製造することができる。多段で重合を行う場合、各段
で使用する触媒系はそれぞれ異なっていてもよい。
物を構成する成分(A)と成分(B)を製造するにあた
って、多段重合法により、成分(A)の全部または一部
と成分(B)の全部または一部を1つの重合系内で製造
する場合、成分(A)と成分(B)はそれぞれキシレン
不溶分と可溶分として特定される。具体的には、多段重
合により得られた重合体を135℃のオルトキシレンに
いったん溶解した後、25℃に冷却してポリマーを析出
させる。そのとき析出した成分をキシレン不溶分とし、
溶解している成分をキシレン可溶分とする。キシレン可
溶分は、エタノールで再沈し、回収する。そして、それ
ぞれ、キシレン不溶分を成分(A)とし、キシレン可溶
分を成分(B)として、各種測定を行う。
成する重合体の製造は、ヘキサン、へプタン、灯油など
の不活性炭化水素またはプロピレンなどの液化α−オレ
フィン溶媒の存在下で行うスラリー法、無溶媒下の気相
重合法などにより、室温から130℃、好ましくは50
〜90℃の温度および2〜50kg/cm2の圧力の条
件で行うことができる。重合工程における反応器として
は、当該技術分野で通常用いられるものを適宜利用する
ことができ、例えば、攪拌層型反応器、流動床型反応
器、循環式反応器を用い、連続式、半回分式、回分式の
何れの方法によってもよい。
は公知のものであってよい。具体的には、チーグラー触
媒系やメタロセン触媒系を用いて重合することができ
る。
触媒やマグネシウム担持型チタン触媒が挙げられ、マグ
ネシウム担持型触媒系としては(a)チタン、マグネシ
ウム、ハロゲンを必須成分として含有する固体触媒成
分、(b)有機アルミニウム化合物および(c)電子供
与性化合物(第三成分)から構成される公知の触媒系が
挙げられる。具体例として、特開昭57−63310号
公報、特開昭57−63311号公報、特開昭58−8
3006号公報、特開昭58−138708号公報、特
開昭62−20507号公報、特開昭61−29600
6号公報、特開平2−229806号公報、特開平2―
33103号公報、特開平2−70708号公報に記載
の触媒系などを用いることができる。
メタロセン化合物と(e)助触媒および必要に応じて
(f)有機金属化合物からなる触媒が挙げられ、(d)
のメタロセン化合物としては公知のものを用いることが
できる。(e)助触媒は(e−1)有機アルミニウムオ
キシ化合物および(e−2)イオン性化合物からなる群
より選ばれる少なくとも1種の化合物であってよい。
ミニウム化合物、有機リチウム化合物、有機亜鉛化合
物、有機マグネシウム化合物等があり、これらは複数を
併用することも可能である。好ましくは、有機アルミニ
ウム化合物である。有機アルミニウム化合物としては、
炭素数1から20の炭化水素基を1以上含むものが挙げ
られ、アルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウ
ム、トリアルキルアルミニウム等がある。
ば、特開昭61−130414号公報、特開昭63−2
95607号公報、特開昭64−51408号公報、特
開平1−275609号公報、WO96/41808号
公報、特表平7−501573号公報、WO96/40
796号公報、WO97/19959号公報等に記載の
触媒系を用いることができる。
限定なく、スラリー重合法、気相重合法、塊状重合法、
溶液重合法、懸濁重合法等の何れの方法を用いてもよ
い。また、重合時には、例えば、水素のような、一般に
用いられる連鎖移動剤を用いることにより、得られる重
合体の分子量を調節することができる。
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族
炭素、シクロペンタン、シクロへキサンなどの脂環式炭
化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど
の脂肪族炭化水素やハロゲン化炭化水素を用いることが
できる。これらの溶媒は1種を単独で用いてもよく、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。
媒として用いてもよい。なお、重合方法によっては無溶
媒で行うこともできる。
(e−1)の有機アルミニウムオキシ化合物との使用割
合は、有機アルミニウムオキシ化合物(アルミニウム原
子換算)/遷移金属化合物のモル比で通常1〜10,0
00の範囲になるように選ばれるのが好ましい。活性、
経済性、重合体の品質の点から、好ましいモル比は10
〜5,000であり、さらに好ましくは20〜2,00
0である。
2)のイオン性化合物との使用割合は、(d)メタロセ
ン化合物1モルに対し、(e−2)イオン性化合物の使
用割合が0.05〜100モルであるのが好ましく、よ
り好ましくは0.1〜50モル、さらに好ましくは1〜
10モルである。
メタロセン化合物1モルに対し、通常1〜100,00
0モルの範囲であるのが好ましく、さらに好ましくは1
0〜50,000の範囲である。
もよい。その場合、予備重合モノマーとしては、上記に
おいて各成分の構成モノマーとして挙げたものを用いる
ことができる。
成する各重合体成分を混合する方法としては、公知の方
法を用いることができる。例えば、リボンブレンダー、
タンブラー、ヘンシェルミキサーなどを用いて各成分を
混合し、さらにニーダー、ミキシングロール、バンバリ
ーミキサー押出機などを用いて溶融混合する方法であ
る。溶融混合時の温度は、通常170〜280℃である
のがよく、好ましくは190〜260℃である。
しては、熱可塑性樹脂に対して慣用される他の添加剤を
本発明の目的を損なわない範囲内で配合してもよい。か
かる添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候性安定
剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、
染料、顔料、オイル、ワックス等がある。
より、フィルム、シート、チューブ、ボトルなどに成形
することができる。また、この樹脂組成物は、単体で使
用することもできるし、他の材料と積層して用いること
もできる。
は、従来公知の水冷式、または空冷式押出しインフレー
ション法、Tダイ法などが挙げられる。他の材料と積層
する場合も、上記方法の共押出し法およびドライラミネ
ーション法、押出しラミネーション法等を用いることが
できる。
中空成形法が挙げられる。チューブは、使用分野によっ
て適当な厚さおよび直径に成形される。
形体は、共重合体成分(B)が、ポリプロピレン成分
(A)中に層状あるいは針状に分散しており、その分散
した共重合体成分(B)層の平均長さ(aL)が1.5
μm以上である。
あり、より好ましくは1.7μm以上、さらに好ましく
は1.8μm以上である。aLが1.5μm未満では耐
衝撃性や透明性が低下することがある。
合体成分(B)のアスペクト比は通常3.0以上であ
り、好ましくは5.0以上、さらに好ましくは8.0以
上である。アスペクト比が3.0以上の場合において耐
衝撃性と透明性が特に良好となる。
形品の表面近傍にあっても良いが、特に全領域にあるも
のは光学特性、機械的強度がさらに優れることから好ま
しい。
る。ただし、本発明は、これらの例により何ら限定され
るものではない。
と略す)による重量平均分子量(Mw)、数平均分子量
(Mn)の比である分子量分布(Mw/Mn)は、以下
のように定義される。分子量の分かっている一連の単分
散標準ポリスチレンのGPC測定を行い、ポリスチレン
の分子量と溶出時間の関係式(以下、校正曲線とする)
を作成する。R.Lew, D.Suwanda,
S.T.Balke; J.Appli.Polm.S
ci,vol.35,pp.1049−1063(19
88)に記載されているポリスチレンとポリプロピレン
の固有粘度と分子量との関係式に基づき、ポリスチレン
の分子量からのポリプロピレンの分子量換算式を求め
る。ポリプレピレンのGPC測定データから校正曲線を
使用して分子量を求め、さらに分子量換算式を使用して
ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)、数平均分子
量(Mn)を求める。具体的には、ShodexHT−
806Mカラム(昭和電工(株)製)を2本直列に接続
したWaters社製150C型GPC装置を用いて測
定することができる。このようにして共重合体の分子量
を求め、さらに以下の分子量換算式を使用して、重量平
均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め、その
値から分子量分布(Mw/Mn)を求める。
「ゲルクロマトグラフィ<基礎編>」講談社発行(19
72年)に詳細に述べられている。
およびアスペクト比の測定 平均長さaLおよびアスペクト比は、走査型電子顕微鏡
(以下「SEM」と略す)写真の画像解析によって得ら
れる。 SEM写真の撮影 観察像は、フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、切削機を
用いて観察面を平滑に調製した試料をキシレンでエッチ
ングし、さらに金蒸着したものをSEM観察することに
より得られる。このように得られたSEM写真では、一
般にエッチングにより除去された共重合体成分(B)が
存在した部分が暗部として、マトリックスのポリプロピ
レン成分(A)が明部として撮影される。 画像処理 次に画像解析装置を用い、共重合体成分(B)の平均長
さ(aL)を求める方法について説明する。
D(成形時の樹脂の流動方向)に平行な面のSEM写真
を用い、市販の画像処理装置である(株)東芝制TOS
PIX−U型高精度モニター粒子解析パッケージを用い
て測定することができる。具体的には、SEM写真の濃
淡画像を解析装置に読み込み、共重合体成分(B)を
黒、ポリプロピレン成分(A)を白の2値画像に変換す
る。各粒子に関して、その黒い部分の外周上の任意の2
点間を定め、その距離のうち最も大きいものをその粒子
の最大長(L)、Lに対して垂直な距離を厚み(T)と
し、全測定粒子の平均の最大長を平均長さ(aL)とし
た。また同時に各粒子のLとTの比の平均を平均のアス
ペクト比とする。
60gの条件で測定した値である。
ティシティー分率[mm](%)は、全ポリプロピレン
単位3連鎖の構造におけるmmの割合を示すものであ
る。すなわち、13C−NMRにおける各プロピレン単
位3連鎖中、第2単位目のプロピレンのメチル基に由来
するピーク面積を求めることによって算出される。例え
ば、プロピレン単独重合体の場合は特開平7−1963
4号公報、プロピレン共重合体の場合は特開平8−73
532号公報および特開平8−283343号公報に記
載の方法に従って求めることができる。
た。
パルス幅:8.0μs 、パルス繰り返し時間:3.0
s、積算回数:10000回、測定温度:120℃、内
部標準:ヘキサメチルジシロキサン、溶媒:1,2,4
−トリクロロベンゼン/ベンゼン−d6(容量比3/
1)、試料濃度:0.1g/ml) 6)プロピレン単位3連鎖のトリアドタクティシティー
分率[mm] 特開平7−19634号公報に記載の方法を参考にし
て、13C−NMRの測定結果から下記の式により算出
した。
(mmに帰属される)ICH3 :19.0〜22.4
ppmに現れるピーク面積(mm、mrおよびrrに帰
属される) 7)ブロック性(CSD) ブロック性(CSD)は、エチレンとプロピレンの反応
性比のことであり、この定義は高分子学会編、「共重合
1 反応解析」、p5〜13、培風館発行(1975
年)に述べられている。計算方法は、Soga,K.,
Park,J.R.,Shiono,T.;Polym
er Communications,Vol.32,
No.10,p310(1991)の方法に従った。す
なわち、図1の13C−NMRスペクトルのa、b、
c、f、g、iの強度比を用い、以下の式で求めた。
0.5×g+0.25×f)×a]/[0.5×(b+
c)]2 8)フィルムインパクト フィルムを10cm×1mの大きさにサンプリングし、
−5℃の恒温室に2時間放置した。その後この恒温室内
で(株)東洋精機製作所製フィルムインパクトテスター
に半径1/2インチの半球状の撃芯を取り付け、1つの
サンプルにつき10回試験を行い、衝撃エネルギーを測
定した。これらの衝撃エネルギーの値をフィルムの厚み
で除して、その10点の平均値をフィルムインパクトと
し、耐衝撃性の尺度とした。
m、チャック間250mm、引張速度5mm/分の条件
で、成形時の樹脂の流動方向(MD)について引張弾性
率を測定した。
した。
た。オルトキシレン250mlにサンプル2.5gを入
れ、加熱しながら攪拌して沸騰温度まで昇温し、30分
以上かけて完全溶解させる。完全溶解を確認した後、攪
拌を行いながら100℃以下になるまで放冷し、さらに
25℃に保った恒温槽にて2時間保持する。その後、析
出した成分をろ紙によりろ別し、得られたろ液を蒸発乾
燥させる。ろ液の蒸発乾燥品について、135℃デカリ
ン中において極限粘度[η]を測定する。
造方法(成分(A)と共重合体(B−1)を多段重合法
により製造する方法)を以下に示す.また、これらの物
性値を表1に示す。
0g、出光興産(株)製のワセリンオイルCP14N
500mlおよび信越シリコーン(株)製のシリコーン
油KF96 500ml中、窒素雰囲気下に、120℃
で完全に溶解させた。この混合物を、特殊機化工業
(株)製のTKホモミキサーを用い、120℃、500
0回転/分で2分間攪拌した。攪拌を保持しながら、2
リットルの無水ヘプタン中に0℃を超えないように移送
した。得られた白色固体を、無水ヘプタンで十分に洗浄
し、室温下で真空乾燥し、さらに窒素気流下で部分的に
脱エタノール化した。この塩化マグネシウム担体を四塩
化チタンおよびフタル酸ジブチルで処理することにより
重合触媒を得た。
−ヘプタン500ml、トリエチルアルミニウム6.0
g、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.99g
および上記1)で得られた重合触媒10gを投入し、0
〜5℃の温度範囲で5分間攪拌した。次に、重合触媒1
g当たり10gのプロピレンが重合するようにプロピレ
ンをオートクレーブ中に供給し、0〜5℃の温度範囲で
1時間予備重合した。得られた予備重合触媒をn−ヘプ
タン500mlで3回洗浄し、以下の重合に使用した。
トクレーブに上記の方法で調製した予備重合固体触媒
2.0g、トリエチルアルミニウム11.4gおよびシ
クロヘキシルメチルジメトキシシラン1.88gを入
れ、次いでプロピレン18kgおよびプロピレンに対し
て5,000モルppmになるように水素を装入し、7
0℃まで昇温させ、1時間重合を行った。1時間後、未
反応のプロピレンを除去し、重合を終結させた。
の重合 上記第1段目の重合が終結した後、液体プロピレンを除
去し、温度75℃でエチレン/プロピレン=26/74
(モル比)の混合ガス2.2Nm3/時間を供給し、水
素を、エチレン、プロピレンおよび水素の合計量に対し
て50,000モルppmになるように供給し、40分
間重合を行った。40分後未反応ガスを除去し、重合を
終結させた。その結果、6.0kgの重合体が得られ
た。
トクレーブにPP−1の製造に関して上記した方法で得
られた予備重合固体触媒2.0g、トリエチルアルミニ
ウム11.4gおよびシクロヘキシルメチルジメトキシ
シラン1.88gを入れ、次いでプロピレン18kgお
よびプロピレンに対して6500モルppmになるよう
に水素を装入し、70℃まで昇温させ、1時間重合を行
った。1時間後、未反応のプロピレンを除去し、重合を
終結させた。
の重合 上記第1段目の重合が終結した後、液体プロピレンを除
去し、温度75℃でエチレン/プロピレン=19/81
(モル比)の混合ガス2.2Nm3/時間を供給し、水
素を、エチレン、プロピレンおよび水素の合計量に対し
て20,000モルppmになるように供給し、60分
間重合を行った。60分後未反応ガスを除去し、重合を
終結させた。その結果、5.8kgの重合体が得られ
た。
のように行った以外は前述したPP−2の製造のための
操作を繰り返した。
の重合 第1段目の重合が終結した後、液体プロピレンを除去
し、温度75℃でエチレン/プロピレン=30/70
(モル比)の混合ガス2.2Nm3/時間を供給し、水
素を、エチレン、プロピレンおよび水素の合計量に対し
て23,000モルppmになるように供給し、35分
間重合を行った。35分後未反応ガスを除去し、重合を
終結させた。その結果、6.0kgの重合体が得られ
た。
のように行った以外は前述したPP−2の製造のための
操作を繰り返した。
の重合 第1段目の重合が終結した後、液体プロピレンを除去
し、温度75℃でエチレン/プロピレン=30/70
(モル比)の混合ガス2.2Nm3/時間を供給し、水
素を、エチレン、プロピレンおよびび水素の合計量に対
して50,000もるppmになるように供給し、35
分間重合を行った。35分後未反応ガスを除去し、重合
を終結させた。その結果、5.7kgの重合体が得られ
た。
て、水素をエチレン、プロピレンおよび水素の合計量に
対して43,000モルppmになるように供給した以
外は前述したPP−1の製造のための操作を繰り返し
た。その結果、6.1kgの重合体が得られた。
て、水素をエチレン、プロピレンおよび水素の合計量に
対して1 00,000モルppmになるように供給し、
40分間重合を行った以外は前述したPP−1の製造の
ための操作を繰り返した。その結果、6.1kgの重合
体が得られた。
のように行った以外は前述したPP−1の製造のための
操作を繰り返した。
の重合 第1段目の重合が終結した後、液体プロピレンを除去
し、温度75℃でエチレン/プロピレン=30/70
(モル比)の混合ガス2.2Nm3/時間を供給し、水
素を、エチレン、プロピレンおよび水素の合計量に対し
て5,000モルppmになるように供給し、35分間
重合を行った。35分後未反応ガスを除去し、重合を終
結させた。その結果、6.2kgの重合体が得られた。
トクレーブにPP−1の製造に関して上記した方法で得
られた予備重合固体触媒2.0g、トリエチルアルミニ
ウム11.4gおよびシクロヘキシルメチルジメトキシ
シラン1.88gを入れ、次いでプロピレン18kg、
エチレン120Lおよびプロピレンに対して6,500
モルppmになるように水素を装入し、70℃まで昇温
させ、1時間重合を行った。1時間後、未反応のプロピ
レンを除去し、重合を終結させた。
の重合 上記第1段目の重合が終結した後、液体プロピレンを除
去し、温度75℃でエチレン/プロピレン=30/70
(モル比)の混合ガス2.2Nm3/時間を供給し、水
素を、エチレン、プロピレンおよび水素の合計量に対し
て50,000モルppmになるように供給し、30分
間重合を行った。30分後未反応ガスを除去し、重合を
終結させた。その結果、6.0kgの重合体が得られ
た。
てエチレンを60L装入し、第2段目の重合において重
合時間を35分とした以外は前述したPP−8の製造の
ための操作を繰り返した。その結果6.7kgの重合体
が得られた。
いてエチレンの供給量を250Lとし、第2段目の重合
において重合時間を25分とした以外はPP−9の製造
方法の通り行った。その結果6.7kgの重合体が得ら
れた。
2) エチレンプロピレン共重合体(B−2)として、タフマ
ーP 180、タフマーP480およびタフマーP880
(すべて三井化学(株)製)を用いた。
法 実施例1〜6、比較例1〜4 各成分を表1記載の割合となるよう混合し、この混合物
100重量部に対してフェノール系酸化防止剤0.30
重量部およびステアリン酸カルシウム0.1重量部を配
合した。この混合物をヘンセルミキサーにより室温で3
分間混合した後、スクリュー径40mmの単軸押出機
(シリンダー温度210℃)により溶融混練することで
ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
社製)を用い、ダイス温度260℃、シリンダー温度2
60℃、チルロール温度50℃の条件により、表記載の
スクリュー回転数で厚さ約70μmのフィルムを成形し
た。
条件の影響を受けず、フィッシュアイ等の発生が無く、
外観および透明性に優れ、かつ、低温での耐衝撃性、耐
熱性および剛性に優れた樹脂成形体を得ることのできる
ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体を提供す
ることができる。
クトル図。
Claims (7)
- 【請求項1】 プロピレンとエチレンおよび/または炭
素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体であって、
エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィ
ンに由来する単位が5重量%以下である共重合体、また
はプロピレンの単独重合体からなるポリプロピレン成分
(A)40〜80重量%と、共重合体(B−1)および
共重合体(B−2)を含む共重合体成分(B)20〜6
0重量%とからなるポリプロピレン系樹脂組成物であっ
て、 共重合体(B−1)および共重合体(B−2)はともに
プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜12の
α−オレフィンとの共重合体であり、 共重合体(B−1)はプロピレンに由来する単位が50
重量%超〜85重量%以下であり、 共重合体(B−2)はプロピレンに由来する単位が15
〜50重量%であり、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフによる分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であ
り、NMR測定値を用いて求められるブロック性(CS
D)が1.3以下であるプロピレン共重合体であり、か
つ、ポリプロピレン系樹脂組成物全体に占める割合が3
重量%以上である、ポリプロピレン系樹脂組成物。 - 【請求項2】 共重合体(B−1)と共重合体(B−
2)の重量比[(B−1)/(B−2)]が1.2〜
6.0である、請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組
成物。 - 【請求項3】 ポリプロピレン成分(A)と共重合体
(B−1)の極限粘度比([η]B−1/[η]A)が
1.5以下であり、かつ、共重合体(B−1)と共重合
体(B−2)の極限粘度比([η]B−1/[η]B−
2)が0.8以上である、請求項1または2記載のポリ
プロピレン系樹脂組成物。 - 【請求項4】 共重合体(B−2)が異種結合を有し、
かつ、プロピレンに由来する単位が15〜35重量%で
ある共重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の
ポリプロピレン系樹脂組成物。 - 【請求項5】 ポリプロピレン成分(A)の立体規則性
が96%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の
ポリプロピレン系樹脂組成物。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載したポリ
プロピレン樹脂組成物を成形することにより得られ、共
重合体成分(B)がポリプロピレン成分(A)中に層状
もしくは針状に分散しており、その分散層の平均長さ
(aL)が1.5μm以上であるポリプロピレン系樹脂
成形体。 - 【請求項7】 成形体がフィルムである、請求項6記載
のポリプロピレン系樹脂成形体。
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