JP3308040B2 - ポリオレフィン成形体 - Google Patents

ポリオレフィン成形体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリオレフィン成形体に
関し、特に機械的強度及び耐衝撃性に優れているととも
に、良好な光沢を有するポリオレフィン成形体に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】プロピ
レンホモポリマーは軽量であり、かつ機械的強度等に優
れているので、各種の分野に広く利用されている。しか
しながら、プロピレンホモポリマーの成形体は、耐衝撃
性が低いために、強い衝撃を受ける用途には不適当であ
った。
【0003】このようなプロピレンホモポリマーの耐衝
撃性を改良したものとして、結晶性プロピレン重合体
と、プロピレン−エチレン共重合体からなる、いわゆる
プロピレン−エチレンブロック共重合体が知られてい
る。
【0004】上記プロピレン−エチレンブロック共重合
体の成形体は、耐衝撃性は著しく改良されているもの
の、曲げ弾性率等の機械的強度の低下を招きやすく、耐
衝撃性と曲げ弾性率の両方を良好なレベルに維持するの
が困難であるという問題がある。またプロピレンホモポ
リマーの有する優れた表面光沢が損なわれるという問題
もある。特に、熱可塑性樹脂の一般的用途である射出あ
るいは押出成形体には、光沢が必要とされる場合があ
る。
【0005】そこで、本発明者らは、プロピレン−エチ
レンブロック共重合体の成形体において、プロピレンホ
モポリマーの特徴である優れた表面光沢が損なわれる原
因について研究した結果、プロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体中に存在するプロピレン−エチレン共重合体
が粒状となり、成形体の表面に凹凸を形成するためであ
ることがわかった。
【0006】したがって、本発明の目的は、機械的強度
及び耐衝撃性に優れているとともに、良好な光沢を有す
るポリオレフィン成形体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、プロピレン−エチレンブロック
共重合体を射出あるいは押出成形体としたときにその表
面光沢が低下するのは、プロピレン−エチレン共重合体
が粒状となるためであり、成形体の表面から15μm以
内の範囲でプロピレン−エチレン共重合体が、層状に延
在するようにすればよいことを見出した。また、本発明
者らは、上述したようにプロピレン−エチレン共重合体
を層状に延在させるとともに、曲げ弾性率及び衝撃強度
を所定のレベル以上に維持するためには、プロピレン−
エチレンブロック共重合体の結晶性プロピレン重合体の
極限粘度とプロピレン−エチレン共重合体の極限粘度と
が所定の範囲内にあるものを使用すればよいことを見出
した。以上の発見に基づき本発明に想到した。
【0008】すなわち、本発明のポリオレフィン成形体
は、プロピレン−エチレンブロック共重合体を溶融剪断
条件下で成形してなるものであって、前記プロピレン−
エチレンブロック共重合体は、結晶性プロピレン重合体
と、プロピレン−エチレン共重合体とからなり、前記結
晶性プロピレン重合体のエチレン含量が0.6 重量%以下
であり、前記プロピレン−エチレン共重合体の極限粘度
が1.7 以上であり、前記結晶性プロピレン重合体の極限
粘度と、前記プロピレン−エチレン共重合体の極限粘度
との比が0.4 〜1.0 であり、前記成形体の少なくとも表
面から15μmの範囲内では、前記プロピレン−エチレ
ン共重合体が偏平な形状を有し、かつ層状に延在してい
ることを特徴とする。
【0009】本発明を以下詳細に説明する。本発明のポ
リオレフィン成形体は、プロピレン−エチレンブロック
共重合体を溶融剪断条件下で成形してなる。
【0010】〔1〕プロピレン−エチレンブロック共重
合体 上記プロピレン−エチレンブロック共重合体は、実質的
に結晶性プロピレン重合体と、プロピレン−エチレ
ン共重合体とからなる。
【0011】(1) 構成部分 結晶性プロピレン重合体 結晶性プロピレン重合体としては、プロピレンのホモポ
リマー又は0.6 重量%以下のエチレンを含有するプロピ
レンコポリマーが挙げられる。また、他のコモノマー成
分として、ブテン−1、オクテン−1等の他のα−オレ
フィンやジエン系モノマー等を2モル%以下程度まで含
有していてもよい。
【0012】プロピレン−エチレン共重合体 プロピレン−エチレン共重合体は、低結晶性の部分であ
り、エチレンの含有率が30〜70重量%である。エチレン
の含有率が30重量%未満あるいは70重量%を超えると、
延性や衝撃強度が不足する。また上記プロピレン−エチ
レン共重合体は、少量(3モル%以下程度)のコモノマ
ー成分を含有していてもよい。コモノマー成分として
は、ブテン−1、オクテン−1等の他のα−オレフィン
やジエン系モノマー等が挙げられる。
【0013】上記プロピレン−エチレン共重合体は、1.
7 dl/g以上の極限粘度 (〔η〕C )を有する。プロピレ
ン−エチレン共重合体の極限粘度が1.7 dl/g未満では、
得られる組成物の耐衝撃性が低下する。なお、プロピレ
ン−エチレン共重合体の極限粘度は、後述するように結
晶性プロピレン重合体の極限粘度に対して、特定の比を
有する。
【0014】(2) 極限粘度 上述したような結晶性プロピレン重合体と、プロピ
レン−エチレン共重合体との極限粘度の比(〔η〕H
〔η〕C )は、0.4 〜1.0 の範囲内である。上記極限粘
度の比が0.4 未満では、射出成形あるいは押し出し成形
等の溶融剪断条件下での成形によりプロピレン−エチレ
ン共重合体が、層状となりにくくなる。
【0015】なお、結晶性プロピレン重合体と、プロピ
レン−エチレン共重合体との分離は、例えば、プロピレ
ン−エチレンブロック共重合体を沸騰キシレンに溶解
し、冷却して結晶性プロピレン重合体を不溶部として分
離することにより行うことができる。
【0016】(3) 割合 上述したようなプロピレン−エチレンブロック共重合体
全体における結晶性プロピレン重合体と、プロピレ
ン−エチレン共重合体との含有量については特に制限は
なく、所望とする機械的強度と耐衝撃性とに応じて適宜
設定することができる。
【0017】(4) 製造方法 上述したようなプロピレン−エチレンブロック共重合体
は、まずチーグラ触媒等の存在下でプロピレンを重合す
ることにより、結晶性プロピレン重合体(少量のコモノ
マー成分を含んでいてもよい)を生成し、次の段階でエ
チレン+プロピレンに切替えてプロピレン−エチレン共
重合体を生成することにより合成することができる。
【0018】なお、結晶性プロピレン重合体と、プロピ
レン−エチレン共重合体との割合は、それぞれの重合量
を適宜調節することにより所望のものとすることができ
る。
【0019】(5) 物性 上述したようなプロピレン−エチレンブロック共重合体
のメルトフローレート(MFR、230 ℃、2.16kg荷重)
は3〜100 g/10 分が好ましく、特に5〜80g/10 分が
好ましい。MFRの値が3g/10 分未満では得られる組
成物の成形性、特に射出成形性が低下し、また100 g/1
0 分を超えると機械的強度が低下するため好ましくな
い。
【0020】〔2〕ポリオレフィン成形体 本発明のポリオレフィン成形体は、上述したようなプロ
ピレン−エチレンブロック共重合体を溶融剪断条件下で
成形してなる。具体的には、射出成形、あるいは押し出
し成形により成形するのが好ましい。射出成形の場合、
一軸押出機、二軸押出機等の押出機を用いて、170 〜28
0 ℃、好ましくは190 〜230 ℃で溶融混練した後、180
〜280 ℃の樹脂温度及び100 〜1000kg/cm2 の射出圧力
で成形するのが好ましく、また押し出し成形の場合、17
0 〜280 ℃、好ましくは190 〜230 ℃で溶融混練した
後、180 〜280 ℃の樹脂温度及び50〜500 kg/cm2 の圧
力で成形するのが好ましい。
【0021】このような本発明のプロピレン−エチレン
ブロック共重合体からなる射出成形体は、少なくともそ
の表面から15μmの範囲内では、プロピレン−エチレ
ン共重合体は、偏平な形状を有し、かつ層状に延在して
いる。具体的には、アスペクト比 (MD/ND:樹脂の
射出あるいは押し出し方向(MD)と成形体の厚さ方向
(ND)との比) が3以上であるのが好ましい。このよ
うにプロピレン−エチレン共重合体が偏平な形状で層状
に延在しているので、本発明のポリオレフィン成形体
は、良好な光沢を有する。なお、成形体の表面から15
μmより内部の領域においても、プロピレン−エチレン
共重合体が偏平状であってもよいが、成形体の光沢とい
う点では、15μm以内の領域でそうなっていればよ
い。
【0022】このような本発明のポリオレフィン成形体
は、88%以上のグロス値を有し、曲げ弾性率と衝撃強
度とのバランスが良好である。
【0023】なお、本発明のポリオレフィン成形体は、
上記プロピレン−エチレンブロック共重合体100 重量%
に対して、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、プロピレン
−エチレンランダム共重合体、プロピレンホモポリマー
等の他のポリプロピレン、及びオレフィン系エラストマ
ー等を40重量%以下程度まで配合したものから製造す
ることもできる。
【0024】また、その他にその改質を目的として、各
種添加剤、例えば、充填材、熱安定剤、酸化防止剤、光
安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤
等を添加することができる。
【0025】
【作用】本発明のポリオレフィン成形体は、エチレン含
量が0.2 重量%以下で結晶性プロピレン重合体の極限粘
度と、プロピレン−エチレン共重合体の極限粘度との比
が所定の範囲内にあるプロピレン−エチレンブロック共
重合体を溶融剪断条件下で成形してなるものであり、成
形体の表面から15μm以内の範囲でプロピレン−エチ
レン共重合体が、偏平な層状となるので、良好な光沢を
有し、かつ機械的強度及び衝撃強度に優れている。
【0026】このような効果が得られる理由については
必ずしも明らかではないが、本発明においては、プロピ
レン−エチレンブロック共重合体における結晶性プロピ
レン重合体の極限粘度と、プロピレン−エチレン共重合
体の極限粘度との比を制御しているので、成形時の剪断
応力により結晶性プロピレン重合体とプロピレン−エチ
レン共重合体とが共に大きな変形を受ける結果、プロピ
レン−エチレン共重合体が重合体が剪断方向に大きく引
き伸ばされ、成形品表面にプロピレン−エチレン共重合
体の粒子形状が形成されず、結晶性プロピレン重合体と
プロピレン−エチレン共重合体との層状構造が形成され
るため、良好な光沢を有する成形体が得られると考えら
れる。また、プロピレン−エチレンブロック共重合体に
おけるプロピレン−エチレン共重合体の極限粘度を衝撃
強度を損なわない範囲に設定しているため、曲げ弾性率
と衝撃強度のバランスにも優れている。
【0027】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明する。製造例1 重合触媒の製造 還流冷却器を有する1リットルの反応容器に、窒素ガス
雰囲気下で、チップ状の金属マグネシウム(純度99.5
%、平均粒径1.6 mm) 8.3g及びn−ヘキサン250 ml
を入れ、68℃で1時間撹拌した後、金属マグネシウムを
取り出し、65℃で減圧乾燥し、予備活性化された金属マ
グネシウムを得た。
【0028】一方、n−ブチルエーテル140 ml及びn−
ブチルマグネシウムクロライドのn−ブチルエーテル溶
液(1.75モル/リットル)0.5 mlを加え、撹拌して懸濁
液とし、この懸濁液を55℃に保ち、さらにn−ブチルエ
ーテル50mlにn−ブチルクロライド38.5mlを溶解した。
この溶液を上述のようにして得られた予備活性化された
金属マグネシウムに、50分間で滴下した。その後撹拌し
ながら、70℃で4時間反応を行った後、反応液を25℃に
保持した。
【0029】次に、この反応液にHC(OC2 5 3
55.7mlを1時間で滴下し、滴下終了後、60℃で15分間反
応を行い、得られた反応生成固体をn−ヘキサン各300
mlで6回洗浄した。その後室温で1時間かけて減圧乾燥
し、マグネシウム19.0重量%、塩素28.9重量%を含有す
るマグネシウム含有固体31.6gを得た。
【0030】還流冷却器、撹拌機及び滴下ロートを有す
る300 mlの反応器に、このマグネシウム含有固体6.3 g
及びn−ヘプタン50mlを窒素ガス雰囲気下に投入し、こ
れを撹拌して懸濁液とし、この混濁液に常温で撹拌を続
けながら2,2,2−トリクロルエタノール20ml(0.02
ミリモル)とn−ヘプタン11mlとの混合液を滴下ロート
で30分間で滴下し、さらに80℃で1時間撹拌した。この
混濁液を濾過し、得られた固体を室温でn−ヘキサン各
100 mlで4回洗浄し、更にトルエン各100 mlで2回洗浄
して固体成分(固体成分A)を得た。
【0031】このようにして得られた固体成分A5.5 g
にトルエン40mlを加え、さらに四塩化チタンを四塩化チ
タン/トルエンの体積比が3/2になるように加えて90
℃に昇温した。次に、この混合物を撹拌しながらフタル
酸ジn−ブチル2mlとトルエン5mlの混合液を5分間で
滴下した後、120 ℃で2時間撹拌した。この混合液を90
℃で濾過することにより固体物質を得た。この固体物質
を90℃でトルエン各100 mlで2回洗浄した。さらに、四
塩化チタンを四塩化チタン/トルエンの体積比が3/2
になるように加えて、120 ℃で2時間撹拌した。この混
合液を110 ℃で濾過することにより固体物質を得た。こ
の固体物質を室温でn−ヘキサン各100mlで7回洗浄し
た。このようにして重合触媒5.5 gを得た。
【0032】実施例1 プロピレン−エチレンブロック共重合体の合成 上述のようにして得られた重合触媒27.7mg、n−ヘプタ
ン1リットル中に0.3モルのトリエチルアルミニウムを
含有する溶液4ml及びn−ヘプタン1リットル中に0.08
モルのジフェニルジメトキシシランを含有する溶液3ml
を混合し5分間保持したものを、窒素置換をして十分に
乾燥した5リットルのオートクレーブに投入した。
【0033】このオートクレーブ内に水素6.0 リットル
及び液体プロピレン3リットルを圧入した後、オートク
レーブ内部温度を70℃に昇温し、1時間かけて結晶性プ
ロピレン重合体の重合を行った。重合終了後、未反応プ
ロピレン及び水素をパージして、オートクレーブ内の圧
力を0.2 kg/cm2 ・Gとした。
【0034】次に得られたポリマーを少量採取した後、
系内に水素ガスを導入した。続いてプロピレンとエチレ
ンとの混合ガス(プロピレン:エチレン=2:3)を供
給して、オートクレーブ内部温度を70℃に昇温し、プロ
ピレン−エチレン共重合体の分率が20重量%になるま
で、プロピレン−エチレン共重合体の重合を行った。重
合終了後、未反応ガスをパージし、白色粉末状のプロピ
レン−エチレンブロック共重合体を得た。
【0035】このようにして得られたプロピレン−エチ
レンブロック共重合体における結晶性プロピレン重合体
(冷キシレン不溶部)の分率及び極限粘度、プロピレン
−エチレン共重合体(冷キシレン可溶部)の分率、極限
粘度及びエチレン含量、及び結晶性プロピレン重合体と
プロピレン−エチレン共重合体との極限粘度の比を測定
した。結果を第1表に示す。
【0036】射出成形体の製造 上述のようにして得られたプロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体のペレットを用いて、射出樹脂温度200 ℃、
射出圧力900 kg/cm2 にて射出成形を行い、光沢(グロ
ス)及びプロピレン−エチレン共重合体のドメインのア
スペクト比の測定を行った。結果を第1表にあわせて示
す。
【0037】比較例1 第1表に示すプロピレン−エチレンブロック共重合体の
ペレットをプレス成形して80mm×80mm×2mmのシート状
に成形したものを用いて、同様にして光沢(グロス)及
びプロピレン−エチレン共重合体のドメインのアスペク
ト比の測定を行った。結果を第1表に示す。
【0038】実施例2〜9及び比較例2〜6 結晶性プロピレン重合体(冷キシレン不溶部)及びプロ
ピレン−エチレン共重合体(冷キシレン可溶部)が第1
表に示すような極限粘度を有するように水素量をそれぞ
れ調節し、さらにプロピレン−エチレン共重合体の重合
時に第1表に示すようなエチレン含有率となるようにプ
ロピレンとエチレンとの混合ガスを供給して、重合を行
った以外は、同様にしてプロピレン−エチレンブロック
共重合体を製造した。
【0039】このようにして得られたプロピレン−エチ
レンブロック共重合体を使用して、実施例1と同様にし
てペレットを製造し、このペレットを用いて、実施例1
と同様にして射出成形体を製造し、同様にして光沢(グ
ロス)及びプロピレン−エチレン共重合体の平均アスペ
クト比の測定を行った。結果を第1表に示す。
【0040】また、実施例4、比較例1及び比較例3の
成形体を縦断し、電子顕微鏡(日立(株)製 H−70
00)で観察した断面の状態の模式図を図1〜3にそれ
ぞれ示す。
【0041】 第 1 表 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 結晶性プロピレン重合体 〔η〕H (1) 1.7 1.7 1.8 1.7 1.7 分率(2) 82 86 93 86 87 プロピレン− エチレン共重合体 〔η〕C (2) 2.9 2.7 2.4 2.7 3.1 エチレン含有量(3) 50 50 50 60 40 分率(2) 18 14 7 14 13 プロピレン−エチレンブロック共重合体 〔η〕H /〔η〕C 0.59 0.63 0.75 0.63 0.55 プロピレン−エチレン共重合体の特性 プロピレン−エチレン共重合体のドメインのアスペクト比(4) 14.5 10.0 15.0 10.5 6.7 物性 グロス(5) 90.7 90.2 90.5 88.6 90.3 曲げ弾性率(6) 8000 8700 9900 9000 8600 デュポン衝撃強度(7) 71 48 14 43 46 物性バランス(8) ○ ○ ○ ○ ○
【0042】 第 1 表 ( 続き ) 第一段の重合 実施例6 実施例7 実施例8 実施例9 〔η〕H (1) 2.4 1.2 1.7 1.7 エチレン含有量(3) − − 0.1 0.5 分率(2) 93 87 86 87 第2段の重合 〔η〕C (2) 4.3 1.9 2.6 2.9 エチレン含有量(3) 50 50 50 50 分率(2) 7 13 14 13 プロピレン−エチレンブロック共重合体 〔η〕H /〔η〕C 0.56 0.63 0.65 0.59 プロピレン−エチレン共重合体の特性 プロピレン−エチレン共重合体のドメインのアスペクト比(4) 9.1 8.0 10.7 6.7 物性 グロス(5) 88.7 89.5 90.1 89.5 曲げ弾性率(6) 9400 9000 8600 8200 デュポン衝撃強度(7) 25 35 54 47 物性バランス(8) ○ ○ ○ ○
【0043】 第 1 表 ( 続き ) 第一段の重合 比較例1 * 比較例2 比較例3 〔η〕H (1) 1.7 1.5 1.5 分率(2) 93 80 87 第2段の重合 〔η〕C (2) 2.9 4.3 4.5 エチレン含有量(3) 50 50 50 分率(2) 7 20 13 プロピレン−エチレンブロック共重合体 〔η〕H /〔η〕C 0.59 0.35 0.33 プロピレン−エチレン共重合体の特性 プロピレン−エチレン共重合体のドメインのアスペクト比(4) 1.4 2.1 2.2 物性 グロス(6) 70.8 73.9 72.7 曲げ弾性率(7) 7800 7800 8600 デュポン衝撃強度(8) 70 77 45 物性バランス(9) ○ ○ ○ 注) *:プレス成形体。
【0044】 第 1 表 ( 続き ) 第一段の重合 比較例4 比較例5 比較例6 〔η〕H (1) 1.4 1.5 1.7 エチレン含有量(3) − − 1.5 分率(2) 87 86 87 第2段の重合 〔η〕C (2) 8.0 1.6 2.8 エチレン含有量(3) 50 50 50 分率(2) 13 14 13 プロピレン−エチレンブロック共重合体 〔η〕H /〔η〕C 0.18 0.94 0.61 プロピレン−エチレン共重合体の特性 プロピレン−エチレン共重合体のドメインのアスペクト比(4) 2.8 17.0 10.0 物性 グロス(6) 83.1 90.3 90.2 曲げ弾性率(7) 8400 8800 7200 デュポン衝撃強度(8) 53 18 46 物性バランス(9) ○ × ×
【0045】(1) 極限粘度:柴山科学製 自動粘度測定
器により測定し、冷キシレン不溶部のものを〔η〕H
冷キシレン可溶部のものを〔η〕C として表示した。 (2) 分率:プロピレン−エチレンブロック共重合体全体
を100 重量%としたときの結晶性プロピレン重合体 (冷
キシレン不溶部) の割合と、プロピレン−エチレン共重
合体 (冷キシレン可溶部) の割合とをそれぞれ表示した
(単位は重量%)。 (3) エチレン含量:プロピレンモノマーとエチレンモノ
マーとの合計を100重量%としたときのエチレンモノ
マーの含有率(重量%)。 (4) プロピレン−エチレン共重合体のドメインのアスペ
クト比:80mm×80mm×2mmの射出成形体を射出方向に平
行な面で切断し、透過型電子顕微鏡(TEM)により写
真撮影し、日本アビオニクス(株)製のイメージアナラ
イザーにより、表面から15μmまでの部分のプロピレ
ン−エチレン共重合体のドメインの厚さ(成形体の表裏
方向)と、長さ(射出方向)とを計測し、その比をアス
ペクト(長さ/厚さ)としてその平均値を求めた。 (5) グロス:JIS K7105 により測定した(単位は%) 。 (6) 曲げ弾性率:JIS K7203 により測定した (単位はkg
f/cm2 ) 。 (7) デュポン衝撃強度:JIS K7211 により測定した (単
位はkg・cm) 。 (8) 物性バランス:上記(6) 曲げ弾性率及び(7) デュポ
ン衝撃強度の値を図4に示すようにグラフにプロット
し、図中に示す直線Xにより分割される領域のうち上側
に属するものを○、下側に属するものを×として評価し
た。なお、図4中、○は実施例を、●は比較例をそれぞ
れ示し、右隣の数字は実施例又は比較例の例No. を示
す。ただし、上記グラフにおける直線Xは、曲げ弾性率
7000〜10000kgf/cm2 及びデュポン衝撃強度1
0〜80の領域において有効なものとする。
【0046】第2表より明らかなように、実施例1〜9
のポリオレフィン成形体は、表面に光沢があり(グロス
値が88%以上) 、曲げ弾性率及びデュポン衝撃強度のバ
ランスが良好なものであった。なお、比較例1は、プロ
ピレン−エチレンブロック共重合体をプレス成形した試
験片による試験結果を示すものであるが、プレス成形で
はプロピレン−エチレン共重合体の平均アスペクト比を
3以上とすることができないため、グロス値が低かっ
た。
【0047】また、図1〜図3から明らかなように本発
明のポリオレフィン成形体の例である実施例4において
は、プロピレン−エチレン共重合体が、成形体の表面か
ら15μmの領域では偏平かつ層状に延在しているが、
プレス成形による比較例1、及びアスペクト比が3未満
である比較例3では、成形体の表面から15μmの領域
ではプロピレン−エチレン共重合体が粒状に存在してお
り、これにより光沢度(グロス値)が低くなっていると
考えられる。
【発明の効果】
【0048】以上に詳述したように、本発明のポリオレ
フィン成形体は、エチレン含量が0.2 重量%以下で結晶
性プロピレン重合体の極限粘度と、プロピレン−エチレ
ン共重合体の極限粘度との比が所定の範囲内にあるプロ
ピレン−エチレンブロック共重合体を溶融剪断条件下で
成形してなるものであり、成形体の表面から15μm以
内の範囲でプロピレン−エチレン共重合体が、偏平な層
状となるので、良好な光沢を有し、かつ機械的強度及び
衝撃強度に優れている。
【0049】このような本発明のプロピレン−エチレン
ブロック共重合体は、各種射出成形体あるいは押し出し
成形体、例えばボトル、各種容器、コンテナ、家電製品
等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4のポリオレフィン成形体におけるプロ
ピレン−エチレン共重合体のドメインの状態を示す概略
図である。
【図2】比較例1のポリオレフィン成形体におけるプロ
ピレン−エチレン共重合体のドメインの状態を示す概略
図である。
【図3】比較例3のポリオレフィン成形体におけるプロ
ピレン−エチレン共重合体のドメインの状態を示す概略
図である。
【図4】各実施例及び比較例の曲げ弾性率とデュポン衝
撃強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・プロピレン−エチレン共重合体 2・・・結晶性プロピレン重合部分
フロントページの続き (72)発明者 植木 聰 埼玉県志木市館二丁目4番地7−301号 (56)参考文献 特開 平4−279617(JP,A) 特開 昭59−41316(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 293/00 - 297/08 C08J 5/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン−エチレンブロック共重合体
    を溶融剪断条件下で成形してなる成形体において、前記
    プロピレン−エチレンブロック共重合体は、結晶性プロ
    ピレン重合体と、プロピレン−エチレン共重合体とから
    なり、前記結晶性プロピレン重合体のエチレン含量が0.
    6 重量%以下であり、前記プロピレン−エチレン共重合
    体の極限粘度が1.7 以上であり、前記結晶性プロピレン
    重合体の極限粘度と、前記プロピレン−エチレン共重合
    体の極限粘度との比が0.4 〜1.0 であり、前記成形体の
    少なくとも表面から15μmの範囲内では、前記プロピ
    レン−エチレン共重合体が偏平な形状を有し、かつ層状
    に延在していることを特徴とするポリオレフィン成形
    体。
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