JP3836202B2 - プロピレン系重合体組成物およびその成形品 - Google Patents

プロピレン系重合体組成物およびその成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、透明性に優れ、剛性および耐衝撃性に優れるとともに溶融張力が高く成形性にも優れたプロピレン系重合体組成物およびその成形品に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
結晶性プロピレン系重合体は、剛性、硬度および耐熱性などに優れており、射出成形、カレンダー成形、押出成形などの種々の成形方法によって容易に所望形状にすることができ、しかも安価であるので従来より広範な用途たとえば、家電製品のハウジング、フィルムまたはシート用途、容器用途、自動車内装用途、フェンダー、バンパー、サイドモール、マッドガード、ミラーカバーなどの自動車外装用途、一般雑貨用途などに広く利用されている。
【0003】
この結晶性プロピレン系重合体は耐衝撃性には劣るため、従来より上記のような用途に使用する際には、一般的にプロピレン系重合体に、ポリエチレンあるいはゴム成分たとえばポリイソブチレン、ポリブタジエン、非晶性または低結晶性エチレン・プロピレン共重合体(EPR)などが配合されている。
【0004】
このようなゴム成分の添加によって耐衝撃性の充分改善されたプロピレン系重合体組成物を得るには、ゴム成分を多量に添加したり、より低密度のゴム成分を用いる必要がある。しかしながらプロピレン系重合体組成物中に多量のゴム成分を含有させると、剛性が低下してしまうという問題点がある。またプロピレン系重合体に低密度のゴム成分を配合すると、プロピレン系重合体組成物の透明性が低下することがあった。
【0005】
本発明者は、このようなプロピレン系重合体組成物について研究したところ、プロピレン系重合体として特に溶融粘弾性装置で測定される角速度依存性損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)が1.05〜5.8と小さいプロピレン系重合体と、密度の異なる2種のエチレン系重合体とを特定量比で用いて形成されるプロピレン系重合体組成物は、剛性および耐衝撃性のいずれにも優れ、しかも透明性に優れていることを見出した。さらに上記プロピレン系重合体は、[η]=8〜30dl/g以上の高分子量成分を含有し、さらにこの高分子量成分がエチレンから導かれる単位を微量含有していると、プロピレン系重合体組成物はより一層優れた剛性および耐衝撃性を発現しうることを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、透明性に優れ、剛性および耐衝撃性に優れるとともに溶融張力が高く成形性にも優れたプロピレン系重合体組成物およびその成形品を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、
(A)
(1) 230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜20g/10分であり、
(2) 200℃、角速度ω=10-1rad/secで測定される角速度依存性損失正接 tanδ0.1と、
200℃、角速度ω=102rad/secで測定される角速度依存性損失正接 tanδ100との損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)が1.05〜5.8であり、
(3) 極限粘度[η]8〜30 dl /gの高分子量成分を0 . 1〜20重量%の量で含有する、
プロピレン系重合体40〜96重量%と、
(B)
(1) 密度d1 が0.905〜0.950g/cm3 であり、
(2) 190℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.001〜15g/10分である、
エチレン系重合体2〜30重量%と、
(C)
(1) 密度d2 が0.891g/cm3 未満であり、
(2) 190℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFFR)が0.001〜15g/10分である、
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体2〜30重量%と、
からなることを特徴としている。
【0008】
本発明で用いられるプロピレン重合体(A)は、上記のように (1)MFRが0.01〜20g/10分であり、(2) 損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)が1.05〜5.8、及び (3) 極限粘度[η]8〜30 dl /gの高分子量成分を0 . 1〜20重量%の量で含有するとともに、さらに(4) エチレンから導かれる単位を0.001〜5モル%の量で含有し、(5) 64℃デカン可溶成分を0.1〜25重量%の量で含有していることが望ましい。
【0009】
た本発明では、上記エチレン系重合体(B)の密度d1 と、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)の密度d2 との差(d1−d2)が0.045〜0.087g/cm3 であることが望ましい。
【0010】
本発明では、上記のようなプロピレン系重合体組成物からなるブロー成形品、フィルムまたはシート、射出成形品も提供される。
【0011】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るプロピレン系重合体組成物について具体的に説明する。
なお本発明において「重合」という語は、単独重合のみならず、共重合を包含した広い意で用いられることがあり、また「重合体」という語は、単独重合体のみならず、共重合体を包含した広い意で用いられることがある。
【0012】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、下記に示すようなプロピレン系重合体と、2種のエチレン系重合体とからなる。
これら各成分について説明する。
【0013】
(A)プロピレン系重合体
本発明では、プロピレン系重合体組成物を形成する際に、下記のような特性(1) (3) を有するプロピレン系重合体(A)が用いられる。
(1) 230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR:ASTM D1238)は、0.01〜20g/10分であり、好ましくは0.01〜18g/10分さらに好ましくは0.01〜15g/10分である。
(2) 200℃、角速度ω=10-1rad/secで測定される角速度依存性損失正接 tanδ0.1
と、200℃、角速度ω=102rad/secで測定される角速度依存性損失正接 tanδ100との損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)が1.05〜5.8であり、好ましくは1.05〜5.5さらに好ましくは1.05〜5.0である。
【0014】
上記のような角速度依存性損失正接は、溶融粘弾性測定装置を用いて測定することができる。具体的には、プロピレン系重合体を厚み2mm、半径12.5mmの円盤状シートに成形し、該シートを溶融粘弾性測定装置の平らな円板とコーン型プレート(半径12.5mm)との間に挟み、200℃において、プレートを上記周波数(角速度ω)で回転させて、一定歪み下で測定される。
【0015】
本発明で用いられるプロピレン系重合体は、上記のように低速(ω=10-1rad/sec)と高速(ω=102rad/sec)とで測定される溶融粘弾性の損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)が1.05〜5.8と小さいことを特徴としている。
【0016】
このように損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)が小さいプロピレン系重合体は、極めて剛性に優れており、後述するようにエチレン系重合体との混練によって混練前よりも剛性低下することがあっても、実用上充分な剛性を示す組成物を形成することができる。
【0017】
上記のような損失正接比を有するプロピレン系重合体は、たとえば後述するような多段重合により製造することができるが、従来一般的に用いられているプロピレン系重合体の損失正接比は、通常6〜10程度である。
【0018】
本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)の損失正接比は小さく、高分子量成分を含有していることを特徴としているが、 (3)極限粘度[η](135℃デカヒドロナフタリン中で測定)が8〜30dl/g、好ましくは8〜25dl/gである高分子量成分を、0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%の量で含有していることが望ましい。
【0019】
プロピレン系重合体(A)が、このような高分子量成分を含んでいると、本発明のプロピレン系重合体組成物は、より高い剛性を示す。本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)は、上記特性(1) (3) に加えて、さらに下記の特性(4) および(5) を満たしていることが好ましい。
(4) エチレンから導かれる単位を0.001〜5モル%好ましくは0.001〜4モル%さらに好ましくは0.001〜3.5モル%の量で含有し、
(5) 64℃デカン可溶成分を0.1〜25重量%好ましくは0.1〜20重量%さらに好ましくは0.1〜15重量%の量で含有している。
【0020】
上記(4) エチレンから導かれる単位は、プロピレン系重合体中の特に[η]8〜30dl/gの高分子量成分中に含有されていることが望ましい。プロピレン系重合体の高分子量成分が、上記のような量でエチレンから導かれる単位を含有していると、特に優れた耐衝撃性を発現するプロピレン系重合体組成物を形成することができる。
【0021】
64℃デカン可溶成分量は、下記のように求めることができる。
ガラス製二重管式恒温槽中のデカン約500ml中に、試料(プロピレン系重合体)約2gを精秤して入れ140℃で約1時間攪拌することにより完全に溶解させる。その後溶液の温度を攪拌下で緩やかに64℃まで降温させ、溶液の温度が一定になった後、一昼夜攪拌を続け、析出したデカン不溶部をグラスフィルタで濾別し、濾液を乾燥秤量することにより求めることができる。
【0022】
なお64℃デカン不溶成分は、上記で濾取されたデカン不溶部(パウダ状)を、約500mlのデカンに約140℃で完全に溶解した後、過剰のアセトン中で再沈澱させて濾別し、得られたデカン不溶成分を、約80℃の真空乾燥機において減圧下一昼夜乾燥して得られる。
【0023】
64℃デカン可溶成分は、通常プロピレン系重合体中のゴム成分およびアタクティックポリプロピレン成分である。
また本発明で用いられるプロピレン系重合体は、高結晶性であることが望ましく、具体的には上記のようなプロピレン系重合体の64℃デカン不溶成分について結晶性(立体規則性)を測定することができる。
【0024】
この64℃デカン不溶成分についてX線回折法により測定される結晶化度は、60%以上好ましくは65%以上さらに好ましくは65〜95%であることが望ましい。
【0025】
また立体規則性の指標となるペンタッドアイソタクティシティ値(mmmm分率)[M5]は、通常64℃デカン不溶成分でかつ沸騰ヘプタン不溶成分について測定されるが、0.95〜0.99好ましくは.97〜0.99であることが望ましい。
【0026】
ペンタッドアイソタクティシティ[M5]は、13C−NMRスペクトルにおけるピーク強度比[Pmmmm]/[Pw]として求められる。[Pmmmm]は、プロピレン単位のアイソタクチック結合5連鎖における第3単位目のメチル基ピーク強度であり、[Pw]は、全プロピレン単位のメチル基ピーク強度である。
【0027】
また本発明で用いられるプロピレン系重合体(A)の密度は、0.885〜0.91g/cm3 好ましくは0.895〜0.910g/cm3 であることが望ましい。本発明では、上記のような特性を満たしていれば、プロピレン系重合体(A)を特に限定することなく用いることができ、たとえばホモポリプロピレン、プロピレンと少量の他のα−オレフィンとの共重合体を用いることができる。該共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
【0028】
他のα−オレフィンとしては、たとえばエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられる。これらは2種以上共重合されていてもよい。このうちエチレンが好ましい。
【0029】
またプロピレン系重合体は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、他のモノマーから導かれる単位を極少量含有してもよく、このような他のモノマーとしてはスチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニル化合物、酢酸ビニルなどのビニルエステル、無水マレイン酸などの不飽和有機酸またはその誘導体、共役ジエン、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネンなどの非共役ポリエン類などが挙げられる。
【0030】
また本発明で用いられるプロピレン系重合体は、分岐状オレフィン類たとえば3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、ビニルノルボルナン、アリルノルボルナン、スチレン、ジメチルスチレン、アリルベンゼン、アリルトルエン、アリルナフタレン、ビニルナフタレンなどの単独重合体または共重合体を予備重合体として含有していてもよい。これらのうちでは特に3-メチル-1-ブテンなどが好ましい。このような分岐状オレフィン類から導かれる予備重合体は、プロピレン系重合体の核剤として作用すると考えられる。
【0031】
本発明では、プロピレン系重合体(A)として、ホモポリプロピレン、プロピレンと上記(4) で特定されるような極少量のエチレンとのランダム共重合体が好ましく、特に該ランダム共重合体が好ましい。
【0032】
プロピレン系重合体(A)は、上記した特性を満たせばその製造方法は特に限定されないが、たとえば後述するような高立体規則性ポリプロピレン製造用触媒を用いてプロピレンを多段重合させることにより得ることができる。
【0033】
本発明では、以下の各工程を気相重合法あるいは溶液重合法、懸濁重合法などの液相重合法いずれで行なってもよい。また重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式で行なってもよい。各段を複数の重合器たとえば2〜10器の重合器に分けて行なってもよい。
【0034】
重合媒体として、不活性炭化水素類を用いてもよく、また液状のプロピレンを重合媒体としてもよい。
また各工程の重合条件は、重合温度が約−50〜200℃好ましくは約20〜100℃の範囲で、また重合圧力が常圧〜100kg/cm2好ましくは約2〜50kg/cm2G の範囲内で適宜選択される。
【0035】
上記のような触媒を用いてプロピレンを多段重合させる際には、本発明の目的を損なわない範囲であれば、いずれかの段であるいは全段でプロピレンと上述したような他のモノマーを共重合させてもよい。
【0036】
たとえば一段目でポリマー好ましくは上記高分子量成分を製造し、得られたポリマーの共存下に、重合条件を変えて二段目以上の重合を行なうことによりプロピレン系重合体(A)を形成することできる。具体的には、高立体規則性ポリプロピレン製造用触媒の存在下に、プロピレンを重合させ、まず最終的に得られるプロピレン系重合体全量に対する重量分率(w1 )が0.1〜20重量%となるように高分子量成分([η]=8〜30dl/g)を製造し、次いで最終的に得られるプロピレン系重合体全量に対して80〜99.9重量%の低分子量成分([η]=0.5〜3dl/g)を製造することにより得ることができる。
【0037】
一段目に得られる高分子量成分の重量分率(w1 )は、最終的に得られたプロピレン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、得られる多重ピーク(二重ピーク)のうち、高分子量ポリプロピレンに対応するピークを、正規分布を有するピークと仮定して分離し、この面積の全ピーク面積に対する比として算出することができる。
【0038】
またたとえばプロピレンの重合を3段以上の多段で実施して、各段において分子量の異なるプロピレン系重合体を製造することが好ましい。製造法の一例として第1段目において極限粘度[η1st]が8〜30dl/g好ましくは8〜25dl/gのポリプロピレンを最終的に得られるプロピレン系重合体中0.1〜20重量%好ましくは0.1〜15重量%となる量で製造し、次いで第2段目において極限粘度[η2nd]が3〜10dl/g好ましくは4〜9dl/gのポリプロピレンを最終的に得られるプロピレン系重合体中19.9〜50重量%となる量で製造し、第3段目において極限粘度[η3rd]が0.8〜4.0dl/g好ましくは0.8〜3.0dl/gのポリプロピレンを最終的に得られるプロピレン系重合体中30〜80重量%となる量で製造することができる。
【0039】
このとき、{([η1st]+[η3rd])/2}−1≦[η2nd]≦{([η1st]+[η3rd])/2}+1を満たすことが望ましい。
上記の各段においてはプロピレンをホモ重合させるか、あるいはプロピレンと必要に応じて他のモノマーとを共重合させることができるが、一段目では好ましくは微量エチレンを含有する高分子量成分を製造することが望ましい。
【0040】
またこの1段目に得られる高分子量成分は、予備重合体として製造されてもよい。
上記各段の順序は特に限定されるものではなく、上記とは異なる順序で行ってもよいが、上記の順序が好ましい。
【0041】
各段のポリプロピレンの分子量は、たとえば重合系に供給される水素量を変えることにより調節することができる。
本発明では、このような多段重合によるプロピレン系重合体成分の形成工程に加えて、さらにプロピレンとエチレンとの共重合工程を行ってプロピレン・エチレン共重合ゴム成分を形成し、プロピレンブロック共重合体を製造することもできる。
【0042】
本発明では、上記のようなプロピレン系重合体を製造するに際して、高立体規則性のポリオレフィン製造用触媒を用いることが好ましく、たとえば
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含有する固体状チタン触媒成分と、
(b)有機金属化合物と、
(c)下記式(i) で示される有機ケイ素化合物(c-1)または複数の原子を介して存在する2個以上のエーテル結合を有する化合物(c-2)と
からなる触媒を用いることができる。
【0043】
a nSi(ORb4-n … (i)
(式中、nは1、2または3であり、Ra の少なくとも1つは2級または3級の炭化水素基であり、nが2または3のときRa は同一であっても異なっていてもよく、Rb は炭素数1〜4の炭化水素基であって、4−nが2または3であるときRb は同一であっても異なっていてもよい。)
上記のような固体状チタン触媒成分(a)は、マグネシウム化合物、チタン化合物および電子供与体を接触させることにより調製することができる。
【0044】
マグネシウム化合物としては、還元能を有するマグネシウム化合物および還元能を有さないマグネシウム化合物を挙げることができる。
還元能を有するマグネシウム化合物としては、マグネシウム−炭素結合あるいはマグネシウム−水素結合を有するマグネシウム化合物を挙げることができ、具体的にはジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドなどを挙げることができる。
【0045】
還元能を有さないマグネシウム化合物としては、たとえば塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム、メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムなどのアルコキシマグネシウムハライド、フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムなどのアリロキシマグネシウムハライド、エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n-オクトキシマグネシウム、2-エチルヘキソキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム、フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムなどのアリロキシマグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウムのカルボン酸塩などを挙げることができる。
【0046】
これら還元能を有さないマグネシウム化合物は、還元能を有するマグネシウム化合物から誘導した化合物、あるいは触媒成分の調製時に誘導した化合物であってもよい。還元能を有さないマグネシウム化合物を、還元能を有するマグネシウム化合物から誘導するには、たとえば還元能を有するマグネシウム化合物を、ポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シラン化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、エステル、アルコール、ハロゲン含有化合物、ケトンなどの活性な炭素−酸素結合を有する化合物と接触させればよい。
【0047】
またマグネシウム化合物は、触媒調製中に金属マグネシウムから誘導することもできる。
マグネシウム化合物は2種以上組合わせて用いることもできる。
【0048】
なお上記のようなマグネシウム化合物は、アルミニウム、亜鉛、ホウ素、ベリリウム、ナトリウム、カリウムなどの他の金属との錯化合物、複化合物を形成していてもよく、あるいは他の金属化合物との混合物であってもよい。
【0049】
本発明では、上述した以外にも多くのマグネシウム化合物が使用できるが、最終的に得られる固体状チタン触媒成分(a)中において、ハロゲン含有マグネシウム化合物の形をとることが好ましく、従ってハロゲンを含まないマグネシウム化合物を用いる場合には、触媒成分を調製する過程でハロゲン含有化合物と接触反応させることが好ましい。
【0050】
上記のうちでも還元能を有さないマグネシウム化合物が好ましく、ハロゲン含有マグネシウム化合物がさらに好ましく、塩化マグネシウム、アルコキシ塩化マグネシウム、アリロキシ塩化マグネシウムが特に好ましい。
【0051】
本発明では、触媒成分調製時には、マグネシウム化合物は液状状態で用いられることが好ましく、上記のようなマグネシウム化合物のうち、マグネシウム化合物が固体である場合には、電子供与体を用いて液体状態にすることができる。
【0052】
上記のようなマグネシウム化合物のうち、マグネシウム化合物が固体である場合には、電子供与体(液状化剤)を用いて液体状態にすることができる。
液状化剤としては、電子供与体として後述するようなアルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、エーテル類、アミン類、ピリジン類など、さらにテトラエトキシチタン、テトラ-n-プロポキシチタン、テトラ-i-プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラヘキソキシチタン、テトラブトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウムなどの金属酸エステル類などを用いることもできる。
【0053】
これらのうちでも、アルコール類、金属酸エステル類が特に好ましく用いられる。
固体状マグネシウム化合物の液状化反応は、固体状マグネシウム化合物と上記の液状化剤とを接触させ、必要に応じて加熱する方法が一般的である。この接触は、通常0〜200℃好ましくは20〜180℃より好ましくは50〜150℃温度で行なわれる。
【0054】
またこの液状化反応では、炭化水素溶媒などを共存させてもよく、たとえばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、灯油などの脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロヘキセンなどの脂環族炭化水素類、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが用いられる。
【0055】
固体状チタン触媒成分(a)の調製の際には、チタン化合物としてたとえば次式で示される4価のチタン化合物を用いることが好ましい。
Ti(OR)g4-g
(式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、0≦g≦4である。)
具体的にはTiCl4、TiBr4、TiI4 などのテトラハロゲン化チタン、
Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3、Ti(On-C49)Cl3、Ti(OC25)Br3、Ti(O-iso-C49)Br3 などのトリハロゲン化アルコキシチタン、
Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC25)2Cl2、Ti(On-C49)2Cl2、Ti(OC25)2Br2 などのジハロゲン化ジアルコキシチタン、
Ti(OCH3)3Cl、Ti(OC25)3Cl、Ti(On-C49)3Cl、Ti(OC25)3Br などのモノハロゲン化トリアルコキシチタン、
Ti(OCH3)4、Ti(OC25)4、Ti(On-C49)4、Ti(O-iso-C49)4、Ti(O-2-エチルヘキシル)4などのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。
【0056】
これらのうちでもハロゲン含有チタン化合物が好ましく、さらにテトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。これらチタン化合物は2種以上組合わせて用いることもできる。さらにチタン化合物は、炭化水素化合物あるいはハロゲン化炭化水素化合物などに希釈して用いることもできる。
【0057】
固体状チタン触媒成分(a)の調製の際に用いられる電子供与体としては、たとえばアルコール、フェノール、ケトン、アルデヒド、有機酸または無機酸のエステル、有機酸ハライド、エーテル、酸アミド、酸無水物、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート、含窒素環状化合物、含酸素環状化合物などが挙げられる。より具体的には、
メタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアルコール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素数1〜18のアルコール類、
フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール、ナフトールなどの低級アルキル基を有してもよい炭素数6〜20のフェノール類、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アセチルアセトン、ベンゾキノンなどの炭素数3〜15のケトン類、
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭素数2〜15のアルデヒド類、
ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、マレイン酸n-ブチル、メチルマロン酸ジイソブチル、シクロヘキセンカルボン酸ジn-ヘキシル、ナジック酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジn-ブチル、フタル酸ジ2-エチルヘキシル、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、クマリン、フタリド、炭酸エチルなどの炭素数2〜30の有機酸エステル、
アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリドなどの炭素数2〜15の酸ハライド類、
メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテルエポキシ-p-メンタンなどの炭素数2〜20のエーテル類、
酢酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸アミドなどの酸アミド類、
無水酢酸、無水フタル酸、無水安息香酸などの酸無水物、
メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミンなどのアミン類、
アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリルなどのニトリル類、
ピロール、メチルピロール、ジメチルピロールなどのピロール類、ピロリン、ピロリジン、インドール、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ジメチルピリジン、エチルメチルピリジン、トリメチルピリジン、フェニルピリジン、ベンジルピリジン、塩化ピリジンなどのピリジン類、ピペリジン類、キノリン類、イソキノリン類などの含窒素環状化合物、
テトラヒドロフラン、1,4-シネオール、1,8-シネオール、ピノールフラン、メチルフラン、ジメチルフラン、ジフェニルフラン、ベンゾフラン、クマラン、フタラン、テトラヒドロピラン、ピラン、ジヒドロピランなどの環状含酸素化合物などが挙げることができる。
【0058】
また上記の有機酸エステルとしては、下記一般式で表される骨格を有する多価カルボン酸エステルを特に好ましい例として挙げることができる。
【0059】
【化1】
Figure 0003836202
【0060】
式中、R1 は置換または非置換の炭化水素基、R2 、R5 、R6 は、水素あるいは置換または非置換の炭化水素基、R3 、R4 は、水素あるいは置換または非置換の炭化水素基であり、好ましくはその少なくとも一方は置換または非置換の炭化水素基である。またR3 とR4 とは互いに連結されて環状構造を形成していてもよい。炭化水素基R1 〜R6 が置換されている場合の置換基は、N、O、Sなどの異原子を含み、たとえば、C−O−C、COOR、COOH、OH、SO3H、−C−N−C−、NH2 などの基を有する。
【0061】
このような多価カルボン酸エステルとしては、具体的には、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、メチルコハク酸ジエチル、α-メチルグルタル酸ジイソブチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、フェニルマロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチル、ジブチルマロン酸ジエチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジエチル、β-メチルグルタル酸ジイソプロピル、エチルコハク酸ジアルリル、フマル酸ジ-2-エチルヘキシル、イタコン酸ジエチル、シトラコン酸ジオクチルなどの脂肪族ポリカルボン酸エステル、
1,2-シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、1,2-シクロヘキサンカルボン酸ジイソブチル、テトラヒドロフタル酸ジエチル、ナジック酸ジエチルなどの脂環族ポリカルボン酸エステル、
フタル酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸モノイソブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸エチルイソブチル、フタル酸ジn-プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジn-ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジn-ヘプチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジネオペンチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジフェニル、ナフタリンジカルボン酸ジエチル、ナフタリンジカルボン酸ジブチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸ジブチルなどの芳香族ポリカルボン酸エステル、
3,4-フランジカルボン酸などの異節環ポリカルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0062】
また多価カルボン酸エステルとしては、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジn-ブチル、セバシン酸ジn-オクチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシルなどの長鎖ジカルボン酸のエステルなどを挙げることもできる。
【0063】
さらに電子供与体としては、電子供与体(c)として後述するような有機ケイ素化合物またはポリエーテル化合物、水、あるいはアニオン系、カチオン系、非イオン系の界面活性剤などを用いることもできる。
【0064】
本発明では、上記のうちでもカルボン酸エステルを用いることが好ましく、特に多価カルボン酸エステルとりわけフタル酸エステル類を用いることが好ましい。
【0065】
これらの電子供与体は2種以上併用することもできる。
上記のようなチタン化合物、マグネシウム化合物および電子供与体を接触させる際には、ケイ素、リン、アルミニウムなどの他の反応試剤を共存させてもよく、また担体を用いて担体担持型の固体状チタン触媒成分(a)を調製することもできる。
【0066】
このような担体としては、Al23 、SiO2 、B23 、MgO、CaO、TiO2 、ZnO、SnO2 、BaO、ThO、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの樹脂などが挙げられる。これらのうちでも、Al23 、SiO2 、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体が好ましく用いられる。
【0067】
固体状チタン触媒成分(a)は、公知の方法を含むあらゆる方法を採用して調製することができるが、下記に数例挙げて簡単に述べる。
(1) 電子供与体(液状化剤)を含むマグネシウム化合物の炭化水素溶液を、有機金属化合物と接触反応させて固体を析出させた後、または析出させながらチタン化合物と接触反応させる方法。
【0068】
(2) マグネシウム化合物と電子供与体からなる錯体を有機金属化合物と接触、反応させた後、チタン化合物を接触反応させる方法。
(3) 無機担体と有機マグネシウム化合物との接触物に、チタン化合物および電子供与体を接触反応させる方法。この際予め該接触物をハロゲン含有化合物および/または有機金属化合物と接触反応させてもよい。
【0069】
(4) 液状化剤および場合によっては炭化水素溶媒を含むマグネシウム化合物溶液、電子供与体、担体との混合物から、マグネシウム化合物の担持された担体を得た後、次いでチタン化合物を接触させる方法。
【0070】
(5) マグネシウム化合物、チタン化合物、電子供与体、場合によっては更に炭化水素溶媒を含む溶液と、担体とを接触させる方法。
(6) 液状の有機マグネシウム化合物と、ハロゲン含有チタン化合物とを接触させる方法。このとき電子供与体を少なくとも1回は用いる。
【0071】
(7) 液状の有機マグネシウム化合物とハロゲン含有化合物とを接触させた後、チタン化合物を接触させる方法。この過程において電子供与体を少なくとも1回は用いる。
【0072】
(8) アルコキシ基含有マグネシウム化合物と、ハロゲン含有チタン化合物とを接触させる方法。このとき電子供与体を少なくとも1回は用いる。
(9) アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供与体からなる錯体と、チタン化合物とを接触させる方法。
【0073】
(10)アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供与体からなる錯体を、有機金属化合物と接触させた後、チタン化合物と接触反応させる方法。
(11)マグネシウム化合物と、電子供与体と、チタン化合物とを任意の順序で接触、反応させる方法。この反応に先立って、各成分を、電子供与体、有機金属化合物、ハロゲン含有ケイ素化合物などの反応助剤で予備処理してもよい。
【0074】
(12)還元能を有さない液状のマグネシウム化合物と、液状チタン化合物とを、電子供与体の存在下で反応させて固体状のマグネシウム・チタン複合体を析出させる方法。
【0075】
(13)(12)で得られた反応生成物に、チタン化合物をさらに反応させる方法。
(14)(11)あるいは(12)で得られる反応生成物に、電子供与体およびチタン化合物をさらに反応させる方法。
【0076】
(15)マグネシウム化合物と、電子供与体と、チタン化合物とを粉砕して得られた固体状物を、ハロゲン、ハロゲン化合物または芳香族炭化水素のいずれかで処理する方法。なおこの方法においては、マグネシウム化合物のみを、あるいはマグネシウム化合物と電子供与体とからなる錯化合物を、あるいはマグネシウム化合物とチタン化合物を粉砕する工程を含んでもよい。また粉砕後に反応助剤で予備処理し、次いでハロゲンなどで処理してもよい。反応助剤としては、有機金属化合物あるいはハロゲン含有ケイ素化合物などが用いられる。
【0077】
(16)マグネシウム化合物を粉砕した後、チタン化合物と接触させる方法。マグネシウム化合物の粉砕時および/または接触時には、電子供与体を必要に応じて反応助剤とともに用いる。
【0078】
(17)上記(11)〜(16)で得られる化合物をハロゲンまたはハロゲン化合物または芳香族炭化水素で処理する方法。
(18)金属酸化物、有機マグネシウムおよびハロゲン含有化合物との接触反応物を、電子供与体および好ましくはチタン化合物と接触させる方法。
【0079】
(19)有機酸のマグネシウム塩、アルコキシマグネシウム、アリーロキシマグネシウムなどのマグネシウム化合物を、チタン化合物、電子供与体、必要に応じてハロゲン含有炭化水素と接触させる方法。
【0080】
(20)マグネシウム化合物とアルコキシチタンとを含む炭化水素溶液と、電子供与体および必要に応じてチタン化合物と接触させる方法。この際ハロゲン含有ケイ素化合物などのハロゲン含有化合物を共存させることが好ましい。
【0081】
(21)還元能を有さない液状のマグネシウム化合物と、有機金属化合物とを反応させて固体状のマグネシウム・金属(アルミニウム)複合体を析出させ、次いで、電子供与体およびチタン化合物を反応させる方法。
【0082】
接触に用いられる各成分の使用量は調製方法によっても異なり一概には規定できないが、たとえばマグネシウム化合物1モル当り、電子供与体は0.01〜10モル好ましくは0.1〜5モルの量で、チタン化合物は0.01〜1000モル好ましくは0.1〜200モルの量で用いることが望ましい。
【0083】
このようにして得られる固体状チタン触媒成分(a)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含有しており、この固体状チタン触媒成分(a)において、ハロゲン/チタン(原子比)は約2〜200好ましくは約4〜100であり、前記電子供与体/チタン(モル比)は約0.01〜100好ましくは約0.02〜10であり、マグネシウム/チタン(原子比)は約1〜100好ましくは約2〜50であることが望ましい。
【0084】
本発明では、触媒として上記のような固体状チタン触媒成分(a)とともに有機金属化合物(b)が用いられる。この有機金属化合物としては、周期律表第I族〜第III族から選ばれる金属を含むものが好ましく、具体的には下記に示すような有機アルミニウム化合物、第I族金属とアルミニウムとの錯アルキル化合物、第II族金属の有機金属化合物などを挙げることができる。
【0085】
(b-1) 一般式 R1 mAl(OR2npq
(式中、R1およびR2は炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基であり、これらは互いに同一でも異なってもよい。Xはハロゲン原子を表し、0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で示される有機アルミニウム化合物。
(b-2) 一般式 M1AlR1 4
(式中、M1 はLi 、Na 、Kであり、R1 は前記と同じである。)で示される第I族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
【0086】
(b-3) 一般式 R1 2 2
(式中、R1 およびR2 は上記と同様であり、M2 はMg、ZnまたはCdである。)で示される第II族または第III族のジアルキル化合物。
【0087】
前記の(b-1) に属する有機アルミニウム化合物としては、たとえば
1 mAl(OR23-m
(R1 、R2 は前記と同様であり、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で示される化合物、
1 mAlX3-m
(R1 は前記と同様であり、Xはハロゲンであり、mは好ましくは0<m<3である。)で示される化合物、
1 mAlH3-m
(R1 は前記と同様であり、mは好ましくは2≦m<3である。)で示される化合物、
1 mAl(OR2nq
(R1 、R2 は前記と同様であり、Xはハロゲン、0<m≦3、0≦n<3、0≦q<3であり、かつm+n+q=3である。)で示される化合物などを挙げることができる。
【0088】
(b-1) に属するアルミニウム化合物としては、より具体的には、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド、
1 2.5Al(OR20.5 などで示される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド、
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド、
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムを挙げることができる。
【0089】
また(b-1) に類似する化合物としては、酸素原子あるいは窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができ、たとえば、(C252AlOAl(C252 、(C492AlOAl(C492 、(C252AlN(C25)Al(C252 、メチルアルミノオキサンなどのアルミノオキサン類を挙げることができる。
【0090】
前記(b-2) に属する化合物としては、
LiAl(C254
LiAl(C7154 などを挙げることができる。
【0091】
これらの中では有機アルミニウム化合物、特にトリアルキルアルミニウムが好ましく用いられる。
有機金属化合物(b)は2種以上組合わせて用いることもできる。
【0092】
本発明では、触媒として上記のような(a)固体状チタン触媒成分、(b)有機金属化合物とともに、電子供与体としての(c)有機ケイ素化合物(c-1)または複数の原子を介して存在する2個以上のエーテル結合を有する化合物(c-2)が用いられる。
【0093】
本発明で用いられる(c-1) 有機ケイ素化合物は、下記式で示される。
a nSi(ORb4-n … (i)
式中、nは1、2または3であり、nが1のときRa は2級または3級の炭化水素基であり、nが2または3のときRa の少なくとも1つは2級または3級の炭化水素基であり、Ra は同一であっても異なっていてもよく、Rb は炭素数1〜4の炭化水素基であって、4−nが2または3であるときRb は同一であっても異なっていてもよい。)
この式(i) で示される有機ケイ素化合物(c-1) において、2級または3級の炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、置換基を有するこれらの基あるいはSiに隣接する炭素が2級または3級である炭化水素基が挙げられる。より具体的に、
置換シクロペンチル基としては、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2-エチルシクロペンチル基、2-n-ブチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、2,4-ジメチルシクロペンチル基、2,5-ジメチルシクロペンチル基、2,3-ジエチルシクロペンチル基、2,3,4-トリメチルシクロペンチル基、2,3,5-トリメチルシクロペンチル基、2,3,4-トリエチルシクロペンチル基、テトラメチルシクロペンチル基、テトラエチルシクロペンチル基などのアルキル基を有するシクロペンチル基が挙げられる。
【0094】
置換シクロペンテニル基としては、2-メチルシクロペンテニル基、3-メチルシクロペンテニル基、2-エチルシクロペンテニル基、2-n-ブチルシクロペンテニル基、2,3-ジメチルシクロペンテニル基、2,4-ジメチルシクロペンテニル基、2,5-ジメチルシクロペンテニル基、2,3,4-トリメチルシクロペンテニル基、2,3,5-トリメチルシクロペンテニル基、2,3,4-トリエチルシクロペンテニル基、テトラメチルシクロペンテニル基、テトラエチルシクロペンテニル基などのアルキル基を有するシクロペンテニル基が挙げられる。
【0095】
置換シクロペンタジエニル基としては、2-メチルシクロペンタジエニル基、3-メチルシクロペンタジエニル基、2-エチルシクロペンタジエニル基、2-n-ブチルシクロペンテニル基、2,3-ジメチルシクロペンタジエニル基、2,4-ジメチルシクロペンタジエニル基、2,5-ジメチルシクロペンタジエニル基、2,3-ジエチルシクロペンタジエニル基、2,3,4-トリメチルシクロペンタジエニル基、2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル基、2,3,4-トリエチルシクロペンタジエニル基、2,3,4,5-テトラメチルシクロペンタジエニル基、2,3,4,5-テトラエチルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4,5-ペンタエチルシクロペンタジエニル基などのアルキル基を有するシクロペンタジエニル基が挙げられる。
【0096】
またSiに隣接する炭素が2級炭素である炭化水素基としては、i-プロピル基、s-ブチル基、s-アミル基、α-メチルベンジル基などを例示することができ、Siに隣接する炭素が3級炭素である炭化水素基としては、t-ブチル基、t-アミル基、α,α'-ジメチルベンジル基、アドマンチル基などを挙げることができる。
【0097】
上記式(i) で示される有機ケイ素化合物(c-1) は、nが1である場合には、
シクロペンチルトリメトキシシラン、2-メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,3-ジメチルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、iso-ブチルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類を挙げることができる。
【0098】
nが2である場合には、
ジシクロペンチルジエトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン類、
下記式(ii)で示されるジメトキシ化合物が挙げられる。
【0099】
【化2】
Figure 0003836202
【0100】
式中、Ra およびRc は、それぞれ独立にシクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロペンテニル基、置換シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、あるいはSiに隣接する炭素が2級炭素または3級炭素である炭化水素基である。
【0101】
これらのうちでも、ジメトキシシラン類、特に式(ii)で示されるジメトキシシラン類が好ましく、具体的に、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-t-ブチルジメトキシシラン、ジ(2-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ(3-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ-t-アミルジメトキシシランなどが好ましい。
【0102】
上記の有機ケイ素化合物(c-1) は、2種以上組合わせて用いることもできる。本発明で用いられる複数の原子を介して存在する2個以上のエーテル結合を有する化合物(以下ポリエーテル化合物ということもある)(c-2)では、これらエーテル結合間に存在する原子は、炭素、ケイ素、酸素、硫黄、リン、ホウ素から選ばれる1種以上であり、原子数は2以上である。これらのうちエーテル結合間の原子に比較的嵩高い置換基、具体的には炭素数2以上であり、好ましくは3以上で直鎖状、分岐状、環状構造を有する置換基、より好ましくは分岐状または環状構造を有する置換基が結合しているものが望ましい。また2個以上のエーテル結合間に存在する原子に、複数の、好ましくは3〜20より好ましくは3〜10特に好ましくは3〜7の炭素原子が含まれた化合物が好ましい。
【0103】
このようなポリエーテル化合物としては、たとえば下記式で示される化合物を挙げることができる。
【0104】
【化3】
Figure 0003836202
【0105】
式中、nは2≦n≦10の整数であり、R1 〜R26は炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、硫黄、リン、ホウ素およびケイ素から選択される少なくとも1種の元素を有する置換基であり、任意のR1 〜R26、好ましくはR1 〜R2nは共同してベンゼン環以外の環を形成していてもよく、主鎖中に炭素以外の原子が含まれていてもよい。
【0106】
これらのうちでも、1,3-ジエーテル類が好ましく用いられ、特に2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパンが好ましく用いられる。
【0107】
これらポリエーテル化合物(c-2)は、2種以上併用することができる。
本発明では、電子供与体(c)として上記のような有機ケイ素化合物(c-1) とポリエーテル化合物(c-2)とを併用することもできる。
【0108】
さらに下記式で示される有機ケイ素化合物を併用することもできる。
nSi(OR’)4-n
(式中、RおよびR’は炭化水素基であり、0<n<4であり、この式で示される有機ケイ素化合物中には、上記式(i) で示される有機ケイ素化合物(c-1) は含まれない。)
より具体的には、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシ(allyloxy)シラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシランなどが挙げられる。
【0109】
さらに類似化合物として、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、ジメチルテトラエトキシジシロキサンなどを用いることもできる。
本発明では、上記のような(a)固体状チタン触媒成分、(b)有機金属化合物、および(c)電子供与体からなる触媒を用いてプロピレン系重合体を製造するに際して、予め予備重合を行なうこともできる。
【0110】
予備重合は、(a)固体状チタン触媒成分、(b)有機金属化合物、および必要に応じて(c)電子供与体の存在下に、オレフィンを重合させる。
予備重合オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、1-ヘキサデセン、1-エイコセンなどの直鎖状のオレフィン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセンなどの分岐状オレフィン、アリルナフタレン、アリルノルボルナン、スチレン、ジメチルスチレン類、ビニルナフタレン類、アリルトルエン類、アリルベンゼン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘプタン、アリルトリアルキルシラン類などの分岐構造を有するオレフィンなどを用いることができ、これらを共重合させてもよい。
【0111】
これらの中では、エチレン、プロピレン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、アリルトリメチルシラン、ジメチルスチレンなどが好ましく用いられる。
【0112】
予備重合は、固体状チタン触媒成分(a)1g当り0.1〜1000g程度好ましくは0.3〜500g程度の重合体が生成するように行うことが望ましい。予備重合では、本重合における系内の触媒濃度よりもかなり高濃度で触媒を用いることができる。
【0113】
固体状チタン触媒成分(a)は、重合容積1リットル当りチタン原子換算で、通常約0.01〜200ミリモル好ましくは約0.05〜100ミリモルの濃度で用いられることが望ましい。
【0114】
有機金属化合物(b)は、固体状チタン触媒成分(a)中のチタン原子1モル当り通常約0.1〜100ミリモル好ましくは約0.5〜50ミリモルの量で用いることが望ましい。
【0115】
また電子供与体(c)は、予備重合時には用いても用いなくてもよいが、固体状チタン触媒成分(a)中のチタン原子1モル当り0.1〜50モル好ましくは0.5〜30モルさらに好ましくは1〜10モルの量で用いることができる。
【0116】
予備重合は、不活性炭化水素媒体に予備重合オレフィンおよび上記触媒成分を加え、温和な条件下で行うことが好ましい。
不活性炭化水素媒体のうちでは脂肪族炭化水素が好ましい。
【0117】
予備重合温度は、生成する予備重合体が実質的に不活性炭化水素媒体中に溶解しないような温度であればよく、通常−20〜+100℃好ましくは−20〜+80℃さらに好ましくは0〜+40℃程度である。
【0118】
予備重合は、回分式、連続式などで行うことができる。
予備重合時に、水素などを用いて分子量を調節することもできる。
本発明では、上記のようなエチレン・プロピレン共重合成分(i) の製造工程において、固体状チタン触媒成分(a)(または予備重合触媒)を、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、約0.0001〜50ミリモル好ましくは約0.001〜10ミリモルの量で用いることが望ましい。
【0119】
有機金属化合物(b)は、重合系中のチタン原子1モルに対する金属原子量で、約1〜2000モル好ましくは約2〜500モル程度の量で用いることが望ましい。電子供与体(c)は、有機金属化合物(b)の金属原子1モル当り、約0.001〜50モル好ましくは約0.01〜20モル程度の量で用いることが望ましい。
【0120】
予備重合触媒を用いたときには、必要に応じて固体状チタン触媒成分(a)、有機金属化合物(b)を新たに添加することもできる。予備重合時と本重合時との有機金属化合物(b)は同一であっても異なっていてもよい。
【0121】
また電子供与体(c)は、予備重合時または本重合時のいずれかに必ず1回用られ、本重合時のみに用いられるか、予備重合時と本重合時との両方で用いられる。予備重合時と本重合時との電子供与体(c)は同一であっても異なっていてもよい。
【0122】
上記のような触媒を用いると、重合時に水素を用いる場合においても得られるプロピレン系重合体の結晶化度あるいは立体規則性指数が低下したりすることがなく、また触媒活性が低下することもない。
【0123】
エチレン系重合体
本発明では、後述するように2種のエチレン系重合体が用いられるが、これらはとくにエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、エラストマー状物どうしであることが望ましい。
【0124】
このようなα−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンおよびこれらの組合わせなどが挙げられる。
【0125】
また本発明で用いられるエチレン系重合体は、本発明の特性を損なわない範囲であれば、必要に応じて他の重合性モノマーから導かれる単位を含有していてもよい。
【0126】
このような他の重合性モノマーとしては、たとえばスチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニル化合物類、酢酸ビニルなどのビニルエステル、無水マレイン酸などの不飽和有機酸またはその誘導体、共役ジエン類、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエンなどの非共役ポリエン類およびこれらの組合わせなどが挙げられる。
【0127】
エチレン系重合体は、このような他の重合性モノマーから導かれる単位を、10モル%以下好ましくは5モル%以下より好ましくは3モル%以下の量で含有していてもよい。
【0128】
本発明で用いられるエチレン系重合体(B)は、
(1) 密度d1 が0.905〜0.950g/cm3 であり、好ましくは0.905〜0.945g/cm3 さらに好ましくは0.908〜0.945g/cm3 である。なお本明細書において、密度は、JIS K7112 A法に準拠して測定された値である。
(2) 190℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.001〜15g/10分であり、好ましくは0.005〜15g/10分さらに好ましくは0.01〜10g/10分である。
【0129】
またこのエチレン系重合体(B)の屈折率は、1.5050〜1.5400好ましくは1.5070〜1.5400さらに好ましくは1.5090〜1.5350であることが望ましい。
【0130】
このようなエチレン系重合体(B)としては、高圧法で製造されるエチレンのホモポリマー、高圧法あるいは中低圧法で製造されるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体を例示することができ、これらの中ではとくにエチレン・α−オレフィンランダム共重合体が好ましい。
【0131】
エチレン系重合体(B)として用いられるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位を0.01〜5モル%、好ましくは0.5〜4モル%の量で含有していることが望ましい。またこのα−オレフィンは、上記したうちでも炭素数4〜10のα−オレフィン特に炭素数4〜8のα−オレフィンであることが好ましい。
【0132】
具体的に、エチレン系重合体(B)として用いられるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体は、エチレン・1-ヘキセンランダム共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテンランダム共重合体、エチレン・1-ブテンランダム共重合体、エチレン・1-オクテンランダム共重合体などが好ましい。
【0133】
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、
(1) 密度d2 が0.891g/cm3 未満であり、好ましくは0.889g/cm3 未満さらに好ましくは0.887g/cm3 未満である。
(2) 190℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.001〜15g/10分であり、好ましくは0.005〜15g/10分さらに好ましくは0.01〜10g/10分である。
【0134】
またこのエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)の屈折率は、1.4700〜1.4950好ましくは1.4720〜1.4950さらに好ましくは1.4750〜1.4950であることが望ましい。
【0135】
このようなエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、エチレンから導かれる単位を70〜90モル%好ましくは70〜88モル%の量で、上記のような炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位を70〜90モル%好ましくは70〜88モル%の量で含有していることが望ましい。
【0136】
またこのα−オレフィンは、上記したうちでも炭素数3〜10のα−オレフィン特に炭素数4〜8のα−オレフィンであることが好ましい。
具体的に、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)として、エチレン・ブテンランダム共重合体、エチレン・オクテンランダム共重合体などを好ましく用いることができる。
【0137】
本発明では、上記のように密度の異なるエチレン系重合体(B)とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)とが用いられるが、このエチレン系重合体(B)の密度d1 と、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)の密度d2 との差(d1−d2)g/cm3 が0.045〜0.087特に0.055〜0.087であることが望ましい。
【0138】
なお上記のエチレン系重合体(B)およびエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、バナジウム系触媒、チタン系触媒またはメタロセン系触媒などを用いる従来公知の方法により製造することができる。
【0139】
プロピレン系重合体組成物
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、上記のような
(A)プロピレン系重合体を、40〜96重量%、好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは60〜90重量%の量で、
(B)エチレン系重合体を、2〜30重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜30重量%の量で、
(C)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体を、2〜30重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは5〜25重量%の量で含有している。
【0140】
上記のように異なる密度を有するように選択された2種のエチレン系重合体は、プロピレン系重合体との混練性に優れており、ミクロ分散した組成物を形成することができる。これら各成分からは、透明性に優れ、剛性および耐衝撃性にも優れたプロピレン系重合体組成物を形成することができる。
【0141】
さらに上記のようなプロピレン系重合体(A)とゴム成分(B)および(C)とから形成される本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、溶融張力が高く、優れた成形性を示す。
【0142】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、上記のような各成分に加えて本発明の目的を損なわない範囲であれば、必要に応じて、他の樹脂類、他のエラストマー、各種添加剤などを含有していてもよい。
【0143】
たとえば他の樹脂類としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができ、具体的には、ポリ1-ブテンなどのα-オレフィン単独重合体またはα-オレフィン共重合体、α-オレフィンとビニルモノマーとの共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの変性オレフィン重合体、ナイロン、ポリカーボネート、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキサイド、石油樹脂、フェノール樹脂などを用いることができる。
【0144】
他のエラストマーとしては、上記エチレン系重合体(B)および(C)以外のオレフィンを主成分とする非晶性弾性共重合体、共役ジエン系ゴムなどを挙げることができる。
【0145】
また添加剤としては、核剤、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物などの流れ性改良剤、ウェルド強度改良剤などを用いることができる。
【0146】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、上記のような各成分を同時に、または逐次的にたとえばヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーブレンダー、リボンブレンダーなどに装入して混練した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練することによって得られる。
【0147】
これらのうちでも、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一に分散された高品質のプロピレン系重合体組成物を得ることができて好ましい。
【0148】
成形品
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、公知の成形方法を特に限定することなく採用して種々の形状の成形品に成形して、ポリオレフィン用途として公知の用途に広く利用することができる。成形品としては具体的に、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、カレンダー成形、発泡成形などの公知の熱成形方法により得られる成形品が挙げられる。これらのうちでも、射出成形品、フィルムまたはシート、ブロー成形品が好ましく提供される。
【0149】
射出成形品は、従来公知の射出成形装置を用いて公知の条件を採用して、プロピレン系重合体組成物を種々の形状に射出成形して製造することができる。本発明に係るプロピレン系重合体組成物からなる射出成形品は帯電しにくく、剛性、耐熱性、耐衝撃性、表面光沢、耐薬品性、耐磨耗性などに優れており、自動車内装用トリム材、自動車用外装材、家電製品のハウジング、容器などに幅広く用いることができる。
【0150】
プロピレン系重合体組成物の射出成形は、通常200〜250℃の樹脂温度で、また得られる射出成形品の形状にもよるが通常800〜1400kg/cm2 の射出圧で射出成形される上記のプロピレン系重合体組成物は、射出成形時の流動性などの成形性に優れている。
【0151】
上記のようなプロピレン系重合体からなるシートおよびフィルム成形品は、帯電しにくく、引張弾性率などの剛性、耐熱性、耐衝撃性、耐老化性、透明性、透視性、光沢、剛性、防湿性およびガスバリヤ性に優れており、包装用フィルムなどとして幅広く用いることができる。特に防湿性に優れるため、薬品の錠剤、カプセルなどの包装に用いられるプレススルーパック(press through pack)などに好適に用いられる。
【0152】
プロピレン系重合体を押出成形する際には、従来公知の押出装置および成形条件を採用することができ、たとえば単軸スクリュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押出機などを用いて、溶融したプロピレン系重合体組成物をTダイなどから押出すことによりシートまたはフィルム(未延伸)などに成形することができる。
【0153】
延伸フィルムは、上記のような押出シートまたは押出フィルム(未延伸)を、たとえばテンター法(縦横延伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法などの公知の延伸方法により延伸して得ることができる。
【0154】
シートまたは未延伸フィルムを延伸する際の延伸倍率は、二軸延伸の場合には通常20〜70倍程度、また一軸延伸の場合には通常2〜10倍程度である。延伸によって、厚み5〜200μm程度の延伸フィルムを得ることが望ましい。
【0155】
またフィルム状成形品として、インフレーションフィルムを製造することもできる。本発明の組成物は、溶融張力が高いためにインフレーション成形時にはドローダウンを生じにくい。
【0156】
ブロー成形品は、従来公知のブロー成形装置を用いて公知の条件を採用して、プロピレン系重合体組成物をブロー成形することにより製造することができる。
たとえば押出ブロー成形では、上記プロピレン系重合体組成物を樹脂温度100℃〜300℃の溶融状態でダイより押出してチューブ状パリソンを形成し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、樹脂温度130℃〜300℃で金型に着装することにより中空成形品を製造することができる。延伸(ブロー)倍率は、横方向に1.5〜5倍程度であることが望ましい。
【0157】
また射出ブロー成形では、上記プロピレン系重合体組成物を樹脂温度100℃〜300℃でパリソン金型に射出してパリソンを成形し、次いでパリソンを所望形状の金型中に保持した後空気を吹き込み、樹脂温度120℃〜300℃で金型に着装することにより中空成形品を製造することができる。し、中空成形品を得る。延伸(ブロー)倍率は、縦方向に1.1〜1.8倍、横方向に1.3〜2.5倍であるであることが望ましい。
【0158】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物からなるブロー成形品は、剛性、耐熱性および耐衝撃性に優れるとともに防湿性にも優れている。
上記のような本発明に係るプロピレン系重合体組成物からなる成形品は、高剛性が要求される広範な用途に利用することができ、たとえばハウジング、洗濯槽などの家電用途、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、インフレーションフィルムなどのフィルム用途、カレンダー成形、押出成形などによるシート用途、バッグ、レトルト容器などの容器用途、たとえばトリム、インパネ、コラムカバーなどの自動車内装用途、フェンダー、バンパー、サイドモール、マッドガード、ミラーカバーなどの自動車外装用途、一般雑貨用途などに好適に利用することができる。また注射器、試験管、ピペット、アニマルゲージ等の医療、理学用器具にも利用することができる。
【0159】
【発明の効果】
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、透明性に優れ、剛性および耐衝撃性に優れるとともに溶融張力が高く成形性にも優れている。このようなプロピレン系重合体組成物は種々の用途に有用であるが、特にブロー成形品、フィルムまたはシート、射出成形品用途に好適である。
【0160】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0161】
以下の実施例および比較例で用いられた各成分について以下に示す。
(A)プロピレン系重合体
ホモPP−1(ホモポリプロピレン)
(1)MFR=2.5g/10分
(2)損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)=2.5
(3)高分子量成分(極限粘度[η]=9.9dl/g)含量=7.8重量%
(6)密度d=0.906g/cm3
ホモPP−2(ホモポリプロピレン)
(1)MFR=2.1g/10分
(2)損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)=6.9
(3)高分子量成分(極限粘度[η]=10.2dl/g)含量=8.3重量%
(6)密度d=0.906g/cm3
ランダムPP−1(プロピレン・エチレンランダム共重合体)
(1) MFR=2.1g/10分
(2) 損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)=2.1
(4) エチレン単位含量=0.02モル%
(5) 64℃デカン可溶成分(DS64)含量=2.1重量%
(3) 高分子量成分(極限粘度[η]=10.1dl/g)含量=8.2重量%
(6) 密度d=0.905g/cm3
ランダムPP−2(プロピレン・エチレンランダム共重合体)
(1)MFR=1.8g/10分
(2)損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)=1.5
(4)エチレン単位含量=0.04モル%
(5)64℃デカン可溶成分(DS64)含量=2.5重量%
(3)高分子量成分(極限粘度[η]=11.2dl/g)含量=8.5重量%
(6) 密度d=0.904g/cm3
(B)エチレン系重合体エチレン・ヘキセンランダム共重合体
(1) 密度d1 =0.910g/cm3
(2) MFR=0.5g/10分
(3) エチレン単位含量=97モル%
(4) 屈折率nD =1.5135
エチレン・4-メチル-1-ペンテンランダム共重合体
(1) 密度d1 =0.930g/cm3
(2) MFR=3.5g/10分
(3) エチレン単位含量=99.2モル%
(4) 屈折率nD =1.5229
(C)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体EBR−1(エチレン・ブテンランダム共重合体)
(1) 密度d2 =0.861g/cm3
(2) MFR=0.5g/10分
(3) エチレン単位含量=82モル%
(4) 屈折率nD =1.4818
EBR−2(エチレン・ブテンランダム共重合体)
(1)密度d2 =0.902g/cm3
(2) MFR=0.6g/10分
(3) エチレン単位含量=95モル%
(4) 屈折率nD =1.5035
【0162】
【実施例1〜2】
表1に示すような各成分を、230℃で溶融混練してプロピレン系重合体組成物を得た。
【0163】
得られたプロピレン系重合体組成物を、230℃でプレス成形し、下記に示す評価方法により曲げ強度、耐衝撃強度、透明性を評価した。結果を表1に示す。
(1) 曲げ試験(曲げ弾性率:FM)
ASTM 790に準拠して、所定条件で射出成形した厚さ2mmの試験片を用いて、スパン間32mm、曲げ速度5mm/分の条件下で測定した。
(2) 耐衝撃強度(IZ)
ASTM D256に準拠して、厚さ3mmの試験片(後ノッチ)を用いて、0℃で測定した。
(3) 透明性(ヘイズ)
ASTM D1003−52に準拠して、厚さ0.5mmt の試験片を日本電色工業(株)製のデジタル濁度系NDH−20Dを用いて測定した。
(4) メルトテンション(MT)
メルトテンション(MT)は、溶融試料を一定速度で延伸したときの応力として測定される。具体的にはメルトテンションテスター(東洋精機製)により、測定温度230℃、ノズル径2.1mm、押出速度15mm/分の条件下で、押出されるストランドを、巻取り速度200rpm で巻き取る際にモノフィラメントにかかる張力として測定した。
(5) 屈折率(nD
ASTM D542に準拠して、アッベ屈折計2T型(アタゴ(株)製)を用いて、ナトリウム線(λ0=589.3nm)で測定した。
【0164】
【比較例1〜3】
表1に示すような各成分から実施例1と同様にしてプロピレン系重合体組成物を得た。結果を表1に示す。
【0165】
【表1】
Figure 0003836202
【0166】
【実施例3〜5】
表2に示すような各成分から実施例1と同様にしてプロピレン系重合体組成物を得た。結果を表2に示す。
【0167】
【比較例4】
表2に示すような各成分から実施例1と同様にしてプロピレン系重合体組成物を得た。結果を表2に示す。
【0168】
【表2】
Figure 0003836202

Claims (6)

  1. (A)
    (1) 230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が 0.01〜20g/10分であり、
    (2) 200℃、角速度ω=10-1rad/secで測定される角速度依存性損失正接tanδ0.1と、
    200℃、角速度ω=102rad/secで測定される角速度依存性損失正接tanδ100との損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)が1.05〜5.8であり、
    (3) 極限粘度[η]8〜30 dl /gの高分子量成分を0 . 1〜20重量%の量で含有する、
    プロピレン系重合体40〜96重量%と、
    (B)
    (1) 密度d1 が0.905〜0.950g/cm3 であり、
    (2) 190℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.001〜15g/10分である、
    エチレン系重合体2〜30重量%と、
    (C)
    (1) 密度d2 が0.891g/cm3 未満であり、
    (2) 190℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFFR)が0.001〜15g/10分である、
    エチレン・α−オレフィンランダム共重合体2〜30重量%と、
    からなるプロピレン系重合体組成物。
  2. (A)
    (1)230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜20g/10分であり、
    (2) 200℃、角速度ω=10-1rad/secで測定される角速度依存性損失正接tanδ0.1と、
    200℃、角速度ω=102rad/secで測定される角速度依存性損失正接tanδ100との損失正接比(tanδ0.1/tanδ100)が1.05〜5.8であり、
    (3) 極限粘度[η]8〜30 dl /gの高分子量成分を0 . 1〜20重量%の量で含有し、
    (4) エチレンから導かれる単位を0.001〜5モル%の量で含有し、
    (5) 64℃デカン可溶成分を0.1〜25重量%の量で含有する、
    プロピレン系重合体40〜96重量%と、
    (B)
    (1) 密度d1 が0.905〜0.950g/cm3 であり、
    (2) 190℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.001〜15g/10分である、
    エチレン系重合体2〜30重量%と、
    (C)
    (1) 密度d2 が0.891g/cm3 未満であり、
    (2) 190℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFFR)が0.001〜15g/10分である、
    エチレン・α−オレフィンランダム共重合体2〜30重量%と、
    からなるプロピレン系重合体組成物。
  3. エチレン系重合体(B)の密度d1 と、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)の密度d2 との差(d1−d2)が0.045〜0.087g/cm3 であることを特徴とする請求項1または2に記載のプロピレン系重合体組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のプロピレン系重合体組成物からなるブロー成形品。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のプロピレン系重合体組成物からなるフィルムまたはシート。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のプロピレン系重合体組成物からなる射出成形品。
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