JPWO2009063819A1 - 延伸シート用プロピレン系樹脂組成物、並びに該組成物を含む延伸シートおよび熱成形体 - Google Patents

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Abstract

[課題] 優れた剛性、耐熱剛性、透明性、均一延伸性、および熱成形性を有する延伸シート用のプロピレン系樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を含む延伸シートおよび熱成形体を提供する。本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物は、DSCで測定した融点が156〜170℃である高融点プロピレン系樹脂(A')10〜90重量%と、DSCで測定した融点が70〜155℃である少なくとも一種以上の低融点プロピレン系樹脂(A'')10〜90重量%(ただし、A’とA''の合計は100重量%)とを含んでなり、下記[1]〜[4]の要件を満たすことを特徴とする。[1]メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜10.0g/10minである。[2]DSCで測定した融点が150〜170℃である。[3]延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)中に、α−オレフィンコモノマー含有量が1〜11mol%である。[4]造核成分を含む。

Description

本発明は、延伸シート用プロピレン系樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を含む延伸シートおよび熱成形体に関する。
高透明シートは、食品、医療器具、医薬品、電子部品、文具、雑貨等の包装資材として幅広く用いられる。素材としては、透明性、剛性、および二次成形性(熱成形性)から二軸延伸ポリスチレン(OPS)シート、ポリ塩化ビニル(PVC)シート、またはアモルファスポリエチレンテレフタレート(A-PET)シート等が多い。
近年、環境保護、耐熱剛性、耐油性および低比重等などの観点からポリプロピレンシートへの代替が進められている。
ポリプロピレンは結晶性であるため、そのままでは半透明なシートとなる。そのため、透明性および剛性を向上させる一般的な手法として、造核剤を添加する方法が知られている(例えば特開2002-284942号公報に記載)。しかし、上記手法においても剛性(常温)および透明性が不充分であることからポリプロピレンシートへの代替は一部用途に限定されている。
ところで、ポリプロピレンは、延伸により剛性、透明性などの物性が向上することは公知の通りである。
BOPPとしてよく知られている二軸延伸ポリプロピレンフィルムの延伸倍率は、通常、縦×横=5×10倍程度の高倍率で行われている。このような高倍率延伸により、本発明の目的とするシート厚み(0.1〜1mm)を得るためには、延伸前のシート(原反)厚みを5〜50mmとする必要があり(BOPPは通常1〜3mm)、このような分厚い原反になると、原反を成形することは困難であり、現有設備では、延伸できない。そして、原反は通常厚みとして、低倍率延伸とした場合は、引き残し(ネッキング)による延伸ムラ(厚薄ムラ)が発生し易くなるため、目的とするシート厚みを得ることは困難である。
一軸延伸の場合、低倍率延伸としても延伸ムラは前記方法よりも少なく、目的とするシート厚みを得ることは比較的容易となるが、熱成形性から延伸倍率は3倍以下に抑える必要があるため、剛性、透明性等のシート物性は不充分となる(例えば、特開昭53-94371号公報、特開昭53-128673号公報)。また、特殊な原反急冷方式を組み合わせ一軸延伸する方法も知られているが(例えば、特公昭63-16256号公報、特公昭63-62377号公報)、シート物性はやや改善されるものの充分とはいい難く、加えて設備費(製造コスト)が高価になってしまうため好ましくない。
特開2002-284942号公報 特開昭53-94371号公報 特開昭53-128673号公報 特公昭63-16256号公報 特公昭63-62377号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、一軸延伸、二軸延伸、原反冷却、および延伸倍率等の延伸方法に制約を受けず、且つ、優れた剛性、耐熱剛性、透明性、均一延伸性、および熱成形性を有する延伸シート用のプロピレン系樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を含む延伸シートおよび熱成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定範囲の融点のプロピレン系樹脂同士を組み合わせた組成分布の広い樹脂組成物は、延伸方法に制約を受けずに延伸することができ、更に、該樹脂組成物を含む延伸シートは、剛性、耐熱剛性、透明性、均一延伸性、および熱成形性のバランスが極めて良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に記載した事項により特定される。
(1)DSCで測定した融点が156〜170℃である高融点プロピレン系樹脂(A')10〜90重量%と、DSCで測定した融点が70〜155℃である少なくとも一種以上の低融点プロピレン系樹脂(A'')10〜90重量%(ただし、A'とA''の合計は100重量%)とを含んでなり、下記[1]〜[4]の要件を同時に満たす延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)。
[1]MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜10.0g/10minである。
[2]DSCで測定した融点が150〜170℃である。
[3]延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)中に、α−オレフィンコモノマー含有量が1〜11mol%である。
[4]造核成分を含む。
(2)高融点プロピレン系樹脂(A')のα−オレフィンコモノマー含有量が0〜1.5mol%であり、低融点プロピレン系樹脂(A'')のα−オレフィンコモノマー含有量が1.6〜24mol%である(1)に記載の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)。
(3)(1)または(2)に記載の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を、少なくとも一軸方向に延伸した単層シート(B1)。
(4)(1)または(2)に記載の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を、少なくとも最上層または最下層の何れかに用いた多層シート(B2)であって、該多層シートが、少なくとも一軸方向に延伸しており、且つ該多層シートの最上層の融点(Tm1)と最下層の融点(Tm2)が、
1 ≦ Tm2 − Tm1 ≦ 100 (℃)
の関係を満たす多層シート(B2)。
(5)(1)または(2)に記載の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を、最上層および最下層の両方に用いた多層シート(B2')であって、多層シート(B2')の最上層を構成する樹脂組成物のα−オレフィンコモノマー含有量(C1)と、最下層を構成する樹脂組成物のα−オレフィンコモノマー含有量(C2)が、
C1 > C2
の関係を満たす多層シート(B2')。
(6)(3)に記載の単層シート(B1)を熱成形して得られる熱成形体。
(7)(4)に記載の多層シート(B2)または(5)に記載の多層シート(B2')を熱成形して得られる熱成形体。
(8)食品、医療器具、医薬品、電子部品、文具、雑貨等の内容物を包装する資材として用いられる熱成形体であって、前記多層シート(B2)または(B2')の最上層が、前記内容物に対して外面側となるように熱成形して得られる(7)に記載の熱成形体。
本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を含む単層および多層延伸シートは、剛性、耐熱剛性、透明性、均一延伸性、および熱成形性のバランスが極めて良好である。そして、この単層および多層延伸シートから得られた熱成形体は、剛性、耐熱剛性、透明性、耐油性等が高く、且つ低比重である特徴を有する。また、この多層延伸シートから得られた熱成形体は、成形後の後収縮が少なく変形が小さいため、形状安定性に優れている。このため、本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を含む単層および多層延伸シートは、食品、医療器具、医薬品、電子部品、文具、雑貨等の包装資材として幅広く用いることができる。
本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)は、高融点プロピレン系樹脂(A')と、少なくとも一種以上の低融点プロピレン系樹脂(A'')を含んでなる。
高融点プロピレン系樹脂(A')
高融点プロピレン系樹脂(A')は、DSCで測定した融点(Tm)が、156〜170℃、好ましくは、160〜170℃、更に好ましくは、163〜170℃の範囲内にある。Tmがこの範囲にあるとき、本発明のプロピレン系樹脂組成物(A)を含む延伸シートは、剛性および耐熱剛性に優れる。
高融点プロピレン系樹脂(A')は、プロピレンを構成単位として含む重合体であって、プロピレンの単独重合体ないし、プロピレンと、エチレンまたは炭素数が4〜20のα-オレフィン(α-オレフィンコモノマー)とのランダム共重合体である。ここで、炭素数が4〜20のα-オレフィンとしては、例えば1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。これらの中では、エチレンまたは炭素数4〜10のα-オレフィンが好ましい。α-オレフィンコモノマーの含有量は、高融点プロピレン系樹脂(A')中に0〜1.5mol%、好ましくは、0〜1.2mol%、更に好ましくは、0〜0.6mol%である。
また、高融点プロピレン系樹脂(A')の好ましい態様は、メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が0.3〜15.0g/10min、更に好ましくは0.6〜9.0g/10minの範囲内にある。MFRがこの範囲にあると、原反の押出性が優れる。
更に高融点プロピレン系樹脂(A')の好ましい態様は、13C-NMRスペクトルにおけるPmmmm及びPwの吸収強度から下記式(Eq-1)により求められる立体規則性指標[M5]の値が0.960〜0.990、更に好ましくは0.970〜0.990の範囲内にある。立体規則性指標[M5]がこの範囲にあると、延伸シートの剛性および耐熱剛性が優れる。
Figure 2009063819
(式中、[Pmmmm]はプロピレン単位が5単位連続してアイソタクチック結合した部位における第3単位目のメチル基に由来する吸収強度を示し、[Pw] はプロピレン単位のメチル基に由来する吸収強度を示す。)
このような高融点プロピレン系樹脂(A')の製造方法は、例えば、特開平2-84404号公報、特開平2-229807号公報、特開平3-7703号公報、などに記載されている方法を用いることができる。
低融点プロピレン系樹脂(A'')
低融点プロピレン系樹脂(A'')は、Tmが、70〜155℃、好ましくは70〜150℃、更に好ましくは78〜148℃の範囲内にある。Tmがこの範囲にあると、本発明のプロピレン系樹脂組成物(A)を含む延伸シートは、透明性、均一延伸性、熱成形性に優れる。
低融点プロピレン系樹脂(A'')は、プロピレンを構成単位として含む重合体であって、プロピレンと、エチレンまたは炭素数が4〜20のα-オレフィン(α-オレフィンコモノマー)とのランダム共重合体である。ここで、炭素数が4〜20のα-オレフィンとしては、例えば1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。これらの中では、エチレンまたは炭素数4〜10のα-オレフィンが好ましい。α-オレフィンコモノマーの含有量は、低融点プロピレン系樹脂(A'')中に1.6〜24mol%、好ましくは3.0〜24mol%、更に好ましくは3.7〜24mol%である。
また、低融点プロピレン系樹脂(A'')の好ましい態様は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.3〜15.0g/10min、更に好ましくは0.6〜9.0g/10minの範囲内にある。MFRがこの範囲にあると、原反の押出性が優れる。
このような低融点プロピレン系樹脂(A'')の製造方法は、Tmが130℃以上であれば、前記高融点プロピレン系樹脂(A')の製造方法でも可能であるが、Tmが130℃未満の場合はアタクティックポリプロピレン生成量が増加するため、用いることが出来ない。これに対し、メタロセン触媒を用いる方法は、アタクティックポリプロピレン生成量を抑えられるため、特に低融点プロピレン系樹脂(A'')の製造方法として望ましく、例えば、WO01/027124号公報、特開2002-275282号公報、特開2002-275330号公報、特開2002-275331号公報、特開2002-275332号公報、などに記載されている方法を用いることができる。
延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)
本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)は、高融点プロピレン系樹脂(A')と、少なくとも一種以上の低融点プロピレン系樹脂(A'')を組み合わせた樹脂組成物である。樹脂組成物(A)の構成割合は、樹脂組成物(A)中に、高融点プロピレン系樹脂(A')が10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%であり、少なくとも一種以上の低融点プロピレン系樹脂(A'')が、(二種以上の場合は、樹脂(A'')の合計量として)、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%である。
本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜10.0g/10min、好ましくは1.0〜5.0g/10minの範囲内にあり、Tmが150〜170℃、好ましくは155〜170℃、より好ましくは158〜170℃の範囲内にあり、α−オレフィンコモノマー含有量が樹脂組成物(A)中に1.0〜11mol%、好ましくは1.5〜8mol%の範囲内にあり、且つ造核成分を含む。
本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)は、多段重合によって製造することが可能である。例えば、直列に連結された二段以上の重合槽において、前段で高融点プロピレン系樹脂(A')を製造し、後段で低融点プロピレン系樹脂(A'')を連続的に製造することが可能である。
また上記以外に、別々に製造された高融点プロピレン系樹脂(A')および低融点プロピレン系樹脂(A'')を、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、またはバンバリーミキサーなどを用いて溶融混練し、プロピレン系樹脂組成物(A)を得ることも可能であるし、加えて、前記樹脂を直接シート成形機に供することも可能である。
造核成分
本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)に含まれる造核成分としては、公知の造核剤が制限なく使用できる。例えば、ソルビトール系化合物、フォスフェート系化合物、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸およびその金属塩、芳香族カルボン酸およびその金属塩、ロジン酸金属塩系化合物、ならびに、けい酸マグネシウム(タルク)等が挙げられる。また、ポリプロピレン重合触媒に造核成分となる反応性モノマーを予備重合させた後、プロピレンを重合して、得られたポリプロピレン(ポリマー核剤)も造核成分に含まれる。これらの造核成分の中で、上記ポリマー核剤が、相溶性、および造核効果が高く、且つシート成形機や熱成形機への汚染が極めて少ないため好ましい。
前記ポリマー核剤の予備重合で使用する反応性モノマーとしては、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、アリルナフタレン、アリルノルボルナン、スチレン、ジメチルスチレン類、ビニルナフタレン類、アリルトルエン類、アリルベンゼン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘプタン、アリルトリアルキルシラン類、等が挙げられる。
前記ポリマー核剤の製造方法は、特開平4-202505号公報、特開平4-202506号公報、特開平4-202510号公報、等に記載されている方法を用いることができる。
これらの造核成分は、延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)100重量部に対して、0.001〜0.5重量部、好ましくは0.0018〜0.3重量部である。
添加剤
本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を原料として、延伸シートを成形する場合、本発明の目的から逸脱しない範囲において、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、金属石鹸、塩酸吸収剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、およびアンチブロッキング剤等の添加剤を添加してもよい。
これらの添加剤の添加量は、種類により異なるが、本発明の目的を損なわない範囲であればよく、通常、延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)100重量部に対して、3重量部以下である。
延伸シートおよび熱成形体
本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を含み、かつ、少なくとも一軸方向に延伸したシートは、剛性、耐熱剛性、透明性、均一延伸性、および熱成形性のバランスが極めて良好となる。
本発明の延伸シートは、公知の製造方法によって得られ、例えば、前記延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を押出機へ供給し(多層の場合は複数の押出機を使用し)、樹脂温度を190〜280℃に調整、押出機先端に取り付けたTダイから押出し(多層の場合はTダイ直前またはTダイ内で合流させた後)、20〜80℃の温度に調整された冷却ロールによって引き取り原反を成形する。更に、130〜160℃の温度に調整された予熱ロールにて再加熱させ、縦方向に2〜5倍の延伸倍率でロール延伸し、100〜160℃の温度に調整されたアニールロールにより0〜10%弛緩させながら巻き取ることによって得ることができる。
また、延伸方法は限定されるものではなく、前記の縦一軸延伸以外に、テンターで横方向へ延伸する横一軸延伸であってもよく、前記の縦一軸延伸後にテンターで横方向へ延伸する逐次二軸延伸や、テンターのみで縦横同時に延伸する同時二軸延伸であってもよい。
本発明の延伸シートを製造する際の好ましい延伸倍率は、一軸延伸の場合は2〜6倍、より好ましくは3〜5倍、また二軸延伸の場合は縦/横それぞれ2〜6倍、より好ましくは3〜5倍の範囲である。
本発明の延伸シートは、延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)からなる単層シート(B1)あるいは、該樹脂組成物(A)を含む、二層以上の多層シート(B2)である。
通常、ポリプロピレン延伸シートは、延伸により緊張した分子鎖が熱により緩和するため収縮する特徴がある。ポリプロピレンのガラス転移温度(Tg)は0℃以下であるため、常温においても徐々に収縮する(後収縮)。ポリプロピレン延伸シートを、熱板成形、真空圧空成形等の熱成形によって二次加工した熱成形体は、夏場(高温)の保管や、長期保管等で後収縮し、変形する場合がある(容器等の四角を持つ形状の場合は、熱成形体の縁が、元の状態に対して外面側へ反り返る変形を生じ易い)。本発明の単層シート(B1)からなる熱成形体においても同様であるため、熱成形体の形状、保管方法等にはある程度の制約を受ける。
これに対し、本発明の多層シート(B2)からなる熱成形体は、上記変形が極めて小さいため、形状、保管方法等の制約は、解消ないし緩和することが可能となる。
本発明の多層シート(B2)は、少なくとも最上層または最下層の何れかに本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を用い、最上層には、最下層よりも低融点のポリプロピレン、好ましくは延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を用いる。このとき、最上下層(両最外層)の融点差(ΔTm)は、1〜100℃、好ましくは3〜30℃
、より好ましくは3〜15℃である。すなわち、該多層シートの最上層の融点(Tm1)と最下層の融点(Tm2)が(I)の関係を満たし、好ましくは(II)の関係を満たし、より好ましくは(III)の関係を満たすように層構成を設計することが重要である。
(I) 1 ≦ Tm2 − Tm1 ≦ 100 (℃)
(II) 3 ≦ Tm2 − Tm1 ≦ 30 (℃)
(III) 3 ≦ Tm2 − Tm1 ≦ 15 (℃)
また、本発明の多層シート(B2')は、最上層および最下層の両方に本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を用い、最上層を構成する樹脂組成物のα−オレフィンコモノマー含有量(C1)と、最下層を構成する樹脂組成物のα−オレフィンコモノマー含有量(C2)が、
C1 > C2 の関係を満たすことが重要である。
更に、該多層シートを熱成形する際、熱成形体の外面側に上記最上層(低Tm)、内面側に上記最下層(高Tm)となるようシートの向きを合せ成形することで、後収縮による変形を抑制することが可能となる。
すなわち、上記のような構成を有する本発明の多層シートを熱成形する際、多層シート(B2)または(B2')の最上層(低Tm側)が内容物に対して外面側となり、最下層(高Tm側)が内容物に対して内面側となるように、また別の表現によれば、多層シート(B2)または(B2')の最上層(低Tm側)が熱成形体の形状の凸面外側に、最下層(高Tm側)が凹面内側にとなるようにシートの向きを合せ成形することで、後収縮による変形を抑制することが可能となる。
また、上記のような構成を有する本発明の多層シート(B2')を熱成形する際、多層シート(B2')の最上層(C1側)が内容物に対して外面側となり、最下層(C2側)が内容物に対して内面側となるように、また別の表現によれば、多層シート(B2')の最上層(C1側)が熱成形体の形状の凸面外側に、最下層(C2側)が凹面内側にとなるようにシートの向きを合せ成形することでも、後収縮による変形を抑制することが可能となる。
通常、ポリプロピレンの延伸は、結晶化温度(Tc)以上、Tm以下の温度範囲で行われている。延伸シートの後収縮量は、その延伸温度に依存し、延伸温度が低い程(Tc近傍程)、後収縮量が大きく、延伸温度が高い程(Tm近傍程)、後収縮量が小さくなる傾向を示す。従って、前記多層シート(B2)からなる熱成形体は、該熱成形体の外面側に上記最上層(低Tm)および内面側に上記最下層(高Tm)を有するので、外面側のほうが内面側よりもTm近傍で延伸されることから、熱成形体の外面側の後収縮量が内面側よりも小さくなるため、変形は極めて小さくなる。また、該多層シートの融点差(ΔTm)、層厚み比、および延伸温度等を調節することで、内外面の後収縮量を任意に制御できるため、多様な形状に対応することが可能となる。
本発明の多層シート(B2)は、本発明の目的から逸脱しない範囲において、中間層に他樹脂を組み合わせることで、更なる付加価値を付けることができる。例えば、中間層にエチレン・ビニルアルコール共重合体を用いることで、酸素および二酸化炭素バリア性の向上や、水素化石油樹脂を含むポリプロピレン樹脂組成物を中間層に用いれば、水蒸気バリア性の向上、等が挙げられる。この他、中間層に用いられる他の樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、メタキシレンジアミン6やナイロン6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が挙げられる。
また、本発明の延伸シートから得られた熱成形体は、剛性、耐熱剛性、透明性、耐油性等が高く、且つ低比重であるため、食品、医療器具、医薬品、電子部品、文具、雑貨等の包装資材として幅広く用いることができる。
〔実施例〕
次に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
実施例における物性の測定方法は次の通りである。
1)メルトフローレート(MFR[g/10min])
ASTM D-1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。シリンダーには特に窒素を導入せずに直接ペレットをシリンダーに投入し溶融させた。
2)融点(Tm[℃])
DSCにて、30℃から230℃まで10℃/minで昇温し、230℃で10分間保持後、30℃まで10℃/minで冷却し、再び10℃/minで昇温する際に現れる吸熱ピーク温度を融点とした。
3)アイソタクティックペンタッド分率(mmmm:[M5])
13C-NMRスペクトルにおけるPmmmmおよびPwの吸収強度から前記式(Eq-1)により決定した。但し、ピーク帰属はPolymer, 1993, Vol34, No14, 3129-3131に従って行った。
4)均一延伸性(厚薄ムラ[−])
延伸シートの厚みを所定の間隔で合計30箇所測定し、その標準偏差を平均厚みで除した値を均一延伸性の指標とした(値が小さい程、均一延伸性が良好)。
5)引張弾性率(MPa)
シートからASTM D-638タイプ4型の試験片を打ち抜き、チャック間46mm、速度50mm/min、温度23℃または110℃とし、引っ張った際の応力-歪曲線の初期勾配より求めた。
6)霞度(HAZE[%])
JIS K7361に準拠した積分球150φ使用の日本電色工業社製TURBIDIMETERにて測定した。
7)加熱収縮率(SH[%])
シートから幅10mm、長さ100mm(L0)の試験片を打ち抜き、130℃のエアオーブンにて15分間加熱し、加熱後の長さ(L1)を測定、下記式(Eq-2)より算出した。
Figure 2009063819
8)熱成形性(賦型評点[点])
熱板成形機にて容器モデル金型(該寸:□90mm、深さ:20mm)を用い、所定の成形条件で熱成形し、得られた熱成形体の形状(モデル金型賦型性)を目視にて5点満点で評価した(値が大きい程、熱成形性が良好となり、評点3以上が好ましい)。
9)熱成形体変形量(反り変形量[mm])
熱成形体を50℃のエアオーブンにて1日エージングさせ、熱成形体の縁の反り量を測定した。
10)比重
JIS7112に準拠し、水中置換法にて測定した。
[実施例1]
造核成分として3-メチル-1-ブテン(3MB-1)を予備重合した後、プロピレンを単独重合させたTm=167℃、MFR=2g/10min、mmmm=0.972の高融点プロピレン系樹脂(A'-1)を75重量%、プロピレンとエチレン6mol%を共重合させたTm=135℃、MFR=2g/10minの低融点プロピレン系樹脂(A''-1)を25重量%組み合わせた樹脂組成物100重量部に対して、酸化防止剤として、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(IRGANOX1010、チバスペシャリティーケミカルズ社製、商標)を0.1重量部およびトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェノール)フォスフェート(IRGAFOS168、チバスペシャリティーケミカルズ社製、商標)を0.1重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウム(日本油脂社製)を0.1重量部配合し、単軸押出機を用いて、樹脂温度230℃で溶融混練してペレット状に造粒した。このとき造核成分である3MB-1重合体の割合は、上記樹脂組成物中に0.027重量%である。得られた樹脂組成物(ペレット)の物性を表1、2に示した。
上記ペレットを縦一軸延伸シート成形機へ供給し、樹脂温度250℃でTダイから押出し、温度30℃の冷却ロールで引き取りながら厚み1.2mmの原反を成形、温度150℃の予熱ロールにて再加熱後、延伸倍率を4倍としてロール延伸を行い、温度110℃でアニールし、厚み0.3mmの縦一軸延伸シートを得た。得られたシートの物性を表1、2に示した。
上記延伸シートを熱板成形機にて、前記容器モデル金型を用い、圧空エアー圧力0.64MPa、真空度0.09MPa、シート加熱時間3s、賦型時間3sに設定し、熱板温度100〜160℃の範囲で熱成形し、得られた熱成形体の中で白濁がなく最も良好な賦型評点を表1、2に示した。
[実施例2]
実施例1で用いた高融点プロピレン系樹脂(A'-1)を50重量%、実施例1で用いた低融点プロピレン系樹脂(A''-1)を50重量%組み合わせた樹脂組成物(3MB-1重合体の割合は、樹脂組成物中に0.018重量%)を用いた以外は実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した
[実施例3]
造核成分として3-メチル-1-ブテンを予備重合した後、プロピレンを単独重合させたTm=166℃、MFR=11g/10min、mmmm=0.972の高融点プロピレン系樹脂(A'-2)を50重量%、実施例1で用いた低融点プロピレン系樹脂(A''-1)を50重量%組み合わせた樹脂組成物(3MB-1重合体の割合は、樹脂組成物中に0.017重量%)を用いた以外は実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。
[実施例4]
実施例3で用いた高融点プロピレン系樹脂(A'-2)を50重量%、プロピレンとエチレン6mol%を共重合させたTm=135℃、MFR=10g/10minの低融点プロピレン系樹脂(A''-2)を50重量%組み合わせた樹脂組成物(3MB-1重合体の割合は、樹脂組成物中に0.017重量%)を用いた以外は実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。
[実施例5]
実施例1で用いた高融点プロピレン系樹脂(A'-1)を50重量%、プロピレンとエチレン5.4mol%を共重合させたTm=140℃、MFR=0.5g/10minの低融点プロピレン系樹脂(A''-3)を50重量%組み合わせた樹脂組成物(3MB-1重合体の割合は、樹脂組成物中に0.018重量%)を用いた以外は実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。
[実施例6]
プロピレンを単独重合させたTm=165℃、MFR=0.5g/10min、mmmm=0.979の高融点プロピレン系樹脂(A'-3)を40重量%、実施例5で用いた低融点プロピレン系樹脂(A''-3)を50重量%、および、造核成分として実施例1で用いたプロピレン系樹脂(A'-1)を10重量%組み合わせた樹脂組成物(3MB-1重合体の割合は、樹脂組成物中に0.0036重量%)を用いた以外は実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。
[実施例7]
実施例1で用いた高融点プロピレン系樹脂(A'-1)を25重量%、プロピレンとエチレン4mol%を共重合させたTm=138℃、MFR=1.3g/10minの低融点プロピレン系樹脂(A''-4)を50重量%、およびプロピレンと1-ブテン23.5mol%を共重合させたTm=78℃、MFR=7g/10minの超低融点プロピレン系樹脂(A''-5)を25重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、更に造核剤として、ビス[2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン-6-オキシド]水酸化アルミニウム塩(NA-21、ADEKA社製、商標)を0.13重量部組み合わせた樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様に溶融混練してペレット状に造粒した(3MB-1重合体の割合は、樹脂組成物中に0.009重量%)。また、上記ペレットをシート成形機へ供給し、予熱ロール温度を130℃に変更した以外は実施例1と同様に延伸シートを成形し、その結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1で用いた樹脂組成物から低融点プロピレン系樹脂(A''-1)を除き、高融点プロピレン系樹脂(A'-1)のみ100重量%(3MB-1重合体の割合は、樹脂中に0.036重量%)とした以外は実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。
[比較例2]
実施例6で用いた樹脂組成物から造核成分(A'-1)を除き、高融点プロピレン系樹脂(A'-3)を50重量%とし、低融点プロピレン系樹脂(A''-3)を50重量%組み合わせた樹脂組成物とした以外は実施例1と同様に行い、その結果を表1に示した。
[比較例3]
実施例7で用いた樹脂組成物から高融点プロピレン系樹脂(A'-1)と、超低融点プロピレン系樹脂(A''-5)を除き、低融点プロピレン系樹脂(A''-4)を100重量%と、造核剤(NA-21)0.13重量部のみ組み合わせた樹脂組成物とした以外は実施例7と同様に行い、その結果を表1に示した。
[比較例4]
実施例1で用いたプロピレン系樹脂(A'-1)を50重量%、実施例7で用いた超低融点プロピレン系樹脂(A''-5)を50重量%組み合わせた樹脂組成物(3MB-1重合体の割合は、樹脂組成物中に0.018重量%)を用いた以外は実施例7と同様に行い、その結果を表1に示した。
Figure 2009063819
[実施例8]
実施例1で得られたペレットを逐次二軸延伸シート成形機へ供給し、樹脂温度250℃でTダイから押出し、温度30℃の冷却ロールで引き取りながら厚み1.8mmの原反を成形し、温度150℃の予熱ロールにて再加熱、延伸倍率3倍としてロール延伸を行い、その後、テンターへ供給し、延伸温度155℃、延伸倍率3倍として横延伸し、温度160℃で幅5%弛緩しながらアニールを行い、厚み0.2mmの逐次二軸延伸シートを得た。得られたシートの物性を表2に示した。
[実施例9]
実施例8において、厚み3.0mmの原反を成形し、横延伸を5倍に変更した以外は実施例8と同様に行い、その結果を表2に示した。
[実施例10]
実施例8で得られた厚み1.8mmの原反を□85mmの大きさにカットし、卓上型二軸延伸機にて、延伸温度155℃、延伸倍率を縦×横=3×3倍とし同時二軸延伸を行った後、温度160℃で幅5%弛緩しながらアニールし、厚み0.2mmの同時二軸延伸シートを得た。得られたシートの物性を表2に示した。
[比較例5]
実施例1で得られたペレットをシート成形機へ供給し、樹脂温度250℃でTダイから押出し、温度30℃の冷却ロールで引き取りながら厚み0.3mmの無延伸シートを得た。得られたシートの物性を表2に示した。
Figure 2009063819
[実施例11]
押出機が二系列ある多層シート成形機を使用し、上層(低融点層)に、実施例1で用いた高融点プロピレン系樹脂(A'-1)を20重量%と、プロピレンとエチレン6mol%を共重合させ、タルク0.03重量部配合させたTm=139℃、MFR=3g/10minの低融点プロピレン系樹脂(A''-6)を80重量%とを組み合わせた樹脂組成物(造粒は実施例1と同様に行った)を用い、下層に、上記高融点プロピレン系樹脂(A'-1)を50重量%、上記低融点プロピレン系樹脂(A''-6)を50重量%組み合わせた樹脂組成物(3MB-1重合体の割合は、樹脂組成物中に0.0072重量%となり、造粒は実施例1と同様に行った)を用い、トータル厚み1.2mmの二種二層(層厚み比は上層:下層=1:2)の原反を成形した。更に、実施例1と同様に、ロール延伸にて厚み0.3mmの縦一軸延伸シートを成形し、該シートの熱成形体を得た。得られたシート、および熱成形体について測定した物性を表3に示した。
[実施例12]
実施例11において、層厚み比を上層:下層=1:4に変更した以外は、実施例11と同様に行い、その結果を表3に示した。
[実施例13]
実施例11において、上層(低融点層)に、実施例1で用いた高融点プロピレン系樹脂(A'-1)を5重量%と、低融点プロピレン系樹脂(A''-6)を95重量%とを組み合わせた樹脂組成物(3MB-1重合体の割合は、樹脂組成物中に0.0018重量%となり、造粒は実施例1と同様に行った)を用い、層厚み比を上層:下層=1:1、予熱ロール温度を130℃に変更した以外は実施例11と同様に行い、その結果を表3に示した。
[実施例14]
実施例11で下層に用いた樹脂組成物で、実施例1と同様に縦一軸延伸(単層シート)を行い、その結果を表3に示した。
[比較例6]
現在、食品容器の蓋材等で使用されている無延伸ポリプロピレン(PP)シート(厚さ0.3mm)の物性を表3に示した。
[比較例7]
現在、弁当容器の蓋材等で使用されている二軸延伸ポリスチレンシート(OPSシート)(厚さ0.25mm)の物性を表3に示した。
Figure 2009063819
本発明の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を含む延伸シートは、剛性、耐熱剛性、透明性、均一延伸性、および熱成形性のバランスが極めて良好であり、そして、この延伸シートから得られた熱成形体は、剛性、耐熱剛性、透明性、耐油性等が高く、且つ低比重であるため、食品、医療器具、医薬品、電子部品、文具、雑貨等の包装資材として幅広く用いることができる。

Claims (8)

  1. DSCで測定した融点が156〜170℃である高融点プロピレン系樹脂(A')10〜90重量%と、
    DSCで測定した融点が70〜155℃である少なくとも一種以上の低融点プロピレン系樹脂(A'')10〜90重量%(ただし、A'とA''の合計は100重量%)とを含んでなり、
    下記[1]〜[4]の要件を満たすことを特徴とする延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)。
    [1]メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜10.0g/10minである。
    [2]DSCで測定した融点が150〜170℃である。
    [3]延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)中に、α−オレフィンコモノマー含有量が1〜11mol%である。
    [4]造核成分を含む。
  2. 前記高融点プロピレン系樹脂(A')のα−オレフィンコモノマー含有量が0〜1.5mol%であり、前記低融点プロピレン系樹脂(A'')のα−オレフィンコモノマー含有量が1.6〜24mol%であることを特徴とする請求項1に記載の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)。
  3. 請求項1または2に記載の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を、少なくとも一軸方向に延伸した単層シート(B1)。
  4. 請求項1または2に記載の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を、少なくとも最上層または最下層の何れかに用いた多層シート(B2)であって、
    該多層シートが、少なくとも一軸方向に延伸しており、かつ、
    該多層シートの最上層の融点(Tm1)と最下層の融点(Tm2)が、
    1 ≦ Tm2 − Tm1 ≦ 100 (℃)
    の関係を満たすことを特徴とする多層シート(B2)。
  5. 請求項1または2に記載の延伸シート用プロピレン系樹脂組成物(A)を、最上層および最下層の両方に用いた多層シート(B2')であって、前記多層シート(B2')の最上層を構成する樹脂組成物のα−オレフィンコモノマー含有量(C1)と、最下層を構成する樹脂組成物のα−オレフィンコモノマー含有量(C2)が、
    C1 > C2
    の関係を満たすことを特徴とする多層シート(B2')。
  6. 請求項3に記載の単層シート(B1)を熱成形して得られる熱成形体。
  7. 請求項4に記載の多層シート(B2)または請求項5に記載の多層シート(B2')を熱成形して得られることを特徴とする熱成形体。
  8. 食品、医療器具、医薬品、電子部品、文具、雑貨等の内容物を包装する資材として用いられる熱成形体であって、前記多層シート(B2)または(B2')の最上層が、前記内容物に対して外面側となるように熱成形して得られることを特徴とする請求項7に記載の熱成形体。
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