JP2010138211A - プロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた多層シート - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟性、透明性、強度(耐落下性、耐低温衝撃性)に優れ、且つ、多層成形時に界面荒れ等の外観不良、厚み変動が発生しにくい成形性に富み、又、ヒートシール等の2次加工時に溶融樹脂が流れ、薄肉化する現象に対する抑制効果に優れるプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた多層シートの提供。
【解決手段】逐次重合で得られる特定のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を含有するプロピレン系樹脂(A)45〜85wt%、特定の密度、MFRを有するエチレン−α−オレフィン共重合体(B)10〜35wt%、および特定の融解ピーク温度を有するプロピレン系(共)重合体(C)5〜20wt%を含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた多層シートに関するものであり、詳しくは、柔軟性、透明性、強度(耐落下性、耐低温衝撃性)に優れ、且つ、多層成形時に界面荒れ等の外観不良、厚み変動が発生しにくいといった成形性に富み、又、ヒートシール等の2次加工時に溶融樹脂が流れ、薄肉化する現象に対する抑制効果に優れているために、強度や外観に優れる多層シートを得ることが出来るプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた多層シートに関するものである。
プロピレン系樹脂から得られるフィルムやシートは、耐熱性に優れており、透明性及び光沢性などの光学的特性にも優れていることから、各種の包装用フィルム、容器として広く利用されている。ところが近年、これらの特性に加え、柔軟性も必要とされる軟質分野への展開が図られてきた。
本出願人は、これらの要求に対し、以前から柔軟性、透明性と耐熱性のバランスに優れた、メタロセン系触媒を用いた多段重合による、特定の成分組成及び分子量分布や組成分布などを有し、温度昇温溶離分別法における溶出特性を示すプロピレン−エチレンブロック共重合体についての発明およびその出願を行なってきた(例えば、特許文献1参照)。
しかし、該プロピレン−エチレンブロック共重合体は、メタロセン系触媒の特徴である分子量及び組成分布が狭いという特性を有しているため、これを多層シートに用いると、積層時の界面荒れによる外観不良や厚み変動が発生しやすい。また、得られた多層シートを、次に深絞り成形や製袋工程において、高温、高圧、長時間の高強度ヒートシールのような2次加工を行なうと、該プロピレン−エチレンブロック共重合体により得られる層において、溶融した樹脂が外側へ流れ出ることにより、他の部分に比べ薄くなり、外観が損なわれることはもちろん、衝撃が加わった際にそこからの破壊されやすい、といった問題を生じることが判明した。
特に、スパウト付スタンディングパウチのような分野は、このような問題が顕著に発生する。スパウトと積層シートとをヒートシールし、スパウト付スタンディングパウチを得る際、これらを完全にシールするためには、非常に過酷(高温、高圧、長時間等)なヒートシール条件を必要とするが、該プロピレン−エチレンブロック共重合体は、分子量分布がシャープであるため、このような過酷な条件下では、ヒートシール側面に溶融流動し、周りを盛上げて界面荒れによる外観不良を引き起こしたり、ヒートシール面が薄くなり、製品(シート)強度が著しく低下する。
また、水物袋用途においても、内部に入れておく水物の容量が大きくなる程、落下などの衝撃により、ヒートシール部より破裂する恐れが高くなるため、ヒートシール強度を大きくする必要がある。しかし、ヒートシール強度を大きくするために、過酷な条件下でヒートシールすると、前述と同じ問題が発生する。
この様に、過酷な条件下であっても、前述のような問題が発生しない積層シートが求められているのが現状であった。
特開2005−132979号公報
プロピレン系樹脂からなる積層シートにおいて、透明性および柔軟性を十分備えるためには、メタロセン触媒により得られた前記プロピレン−エチレンブロック共重合体を用いることが効果的である。しかしながら、該プロピレン−エチレンブロック共重合体からなる層を積層したシートは、ヒートシール等の2次加工によって、厚み変動や界面、表面荒れによる外観悪化、薄肉化による強度不足などの問題が発生してしまう。
したがって、本発明は、柔軟性、透明性、強度(耐落下性、耐低温衝撃性)に優れ、且つ、多層成形時に界面荒れ等の外観不良、厚み変動が発生しにくいといった成形性に富み、又、ヒートシール等の2次加工時に溶融樹脂が流れ、薄肉化する現象に対する抑制効果に優れるプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた強度や外観に優れる多層シートを提供することにある。
本発明者らは、上記問題点の解決のために多様な検討、解析を実施し、これらの問題点は、メタロセン触媒を用いたプロピレン−エチレンブロック共重合体が、分子量分布・組成分布が狭いことに起因することを見出した。このようなプロピレン−エチレンブロック共重合体は、高結晶性成分が極めて少ないため、ヒートシール時の応力により、厚み変動や外観悪化および薄肉化が生じることも判明した。そして、この問題の解決には、高分子量成分と高結晶成分が必要であることを見出した。一方、高結晶成分を添加すると柔軟性が損なわれてしまうために、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体の添加によって柔軟性を付与することにより、透明性、柔軟性のバランスを維持できるとの知見を得て、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン系樹脂(A)45〜85wt%、下記条件(B−i)〜(B−ii)を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体(B)10〜35wt%、および下記条件(C−i)を満たすプロピレン系(共)重合体(C)5〜20wt%を含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(A)プロピレン系樹脂
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度Tm(A1)が125〜135℃、エチレン含有量E(A1)が1.5〜3.0wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含有量E(A2)が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)であること
(A−ii)メルトフローレート(MFR(A):230℃、2.16kg)が4〜10g/10分の範囲であること
(A−iii)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表すtanδ曲線のピークが0℃以下に単一のピークを示すこと
(B)エチレン−α−オレフィン共重合体
(B−i)密度が0.860〜0.900g/cmの範囲であること
(B−ii)メルトフローレート(MFR(B):190℃、2.16kg)が2.0g/10分以上であること
(C)プロピレン系(共)重合体
(C−i)融解ピーク温度Tm(C)が150℃〜165℃の範囲であること
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系(共)重合体(C)がさらに条件(C−ii)を満たすことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(C−ii)メルトフローレート(MFR(C):230℃、2.16kg)が2.0〜8.0g/10分の範囲であること
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、プロピレン系(共)重合体(C)が条件(C1−i)を満たすプロピレン系(共)重合体成分(C1)と、条件(C2−i)〜(C2−iii)を満たすエチレン−プロピレン共重合体成分(C2)とからなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
プロピレン系(共)重合体成分(C1)
(C1−i)プロピレン系(共)重合体(C)中の配合比率が65〜75wt%であること
エチレン−プロピレン共重合体成分(C2)
(C2−i)重量平均分子量が80万〜300万の範囲であること
(C2−ii)エチレン含量が4〜8wt%の範囲であること
(C2−iii)プロピレン系(共)重合体(C)中の配合比率が25〜35wt%であること
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、プロピレン系(共)重合体(C)がプロピレン系(共)重合体成分(C1)とエチレン−プロピレン共重合体成分(C2)とを多段重合により製造されたものであることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明のプロピレン系樹脂組成物を用いることを特徴とする多層シートが提供される。
本発明のプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた多層シートにおける基本的な要件は、特定のプロピレン系樹脂(A)、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体(B)および特定のプロピレン系(共)重合体(C)とを用いることにある。
プロピレン系樹脂(A)は、メタロセン触媒を用いて得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体で、本発明のプロピレン系樹脂組成物の主成分であり、得られる多層シートに透明性および柔軟性をバランスよく付与させることができる。
プロピレン系樹脂(A)は、第1工程でエチレン含有量により制御された特定の範囲に融解ピーク温度を示すプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を、第2工程で特定のエチレン含有を持つことで柔軟性が高く、固体粘弾性測定において−60〜20℃の範囲にtanδ曲線のピークとして観測されるガラス転移温度が0℃以下に単一のピークを示すことにより相分離構造を取らないことが特定化される透明性を悪化させないプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を逐次重合することで得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)である。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、密度およびメルトフローレイトにより特定されるものであり、得られる多層シートに、透明性を損なわず柔軟性を付与させることができる。
プロピレン系(共)重合体(C)は、融解ピーク温度により特定されるものであり、プロピレン系樹脂(A)よりも融点ピーク温度を高くすることにより、得られる多層シートに、ブリードアウトなどの外観不良を起こさずに、厚み変動や界面荒れなどの外観不良、ヒートシール時の薄肉化を抑制する機能を付与させることができる。
したがって、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、透明性や柔軟性及び耐衝撃性などに優れ、かつ、積層時の厚み変動の低下、界面荒れなどの外観悪化を抑え、加えて、2次加工時の薄肉化を改良したものであるため、2次加工向けの多層シートとして好適に用いることが出来る。
本発明は、プロピレン系樹脂(A)、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および プロピレン系(共)重合体(C)を含有するプロピレン系樹脂組成物、それから得られる多層シートである。以下、本発明のプロピレン系樹脂組成物の構成成分、プロピレン系樹脂組成物の製造、多層シートについて詳細に説明する。
[I]プロピレン系樹脂組成物の構成成分
1.プロピレン系樹脂(A)
本発明のプロピレン系樹脂組成物の主成分として用いられるプロピレン系樹脂(A)(以下、成分(A)ということもある。)は、透明性や、柔軟性、及び、耐衝撃性が高いことが必要である。これらの要求を高い水準で満たすために、成分(A)は、以下の(A−i)〜(A−iii)の要件を満たすことが必要である。
(1)成分(A)の特性
(A−i)基本規定
本発明に用いられる成分(A)は、メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度Tm(A1)が125〜135℃、エチレン含量E(A1)が1.5〜3.0wt%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)(以下、成分(A1)ということもある。)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含量E(A2)が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)(以下、成分(A2)ということもある。)を50〜40wt%逐次重合することで得られる。
(i)成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A1)
第1工程で製造される成分(A1)は、本発明に用いられる成分(A)において結晶性を決定する成分である。成分(A)の耐熱性を向上させるためには、成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A1)(以下、Tm(A1)ということもある。)が高いことが必要である反面、Tm(A1)が高すぎると柔軟性や透明性が阻害される。また、Tm(A1)が低すぎると耐熱性が悪化し、ヒートシール時に薄肉化が進んでしまう。Tm(A1)は、125〜135℃の範囲にあることが必要であり、好ましくは128〜133℃以下である。
ここで、融解ピーク温度Tmは、示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)で求める値であり、具体的には、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度として求める値である。
(ii)成分(A1)のエチレン含有量E(A1)
成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A1)は、エチレン含有量によって制御され、本発明における成分(A1)のエチレン含有量E(A1)(以下、E(A1)ということもある。)は、1.5〜3.0wt%の範囲である。E(A1)が1.5wt%以下の場合には、Tm(A1)が高くなりすぎ、柔軟性や透明性が阻害される恐れがあり、3.0wt%以上の場合には、Tm(A1)が低くなりすぎ、ヒートシール時に薄肉化を生じる恐れがある。
(iii)成分(A)中に占める成分(A1)の割合
成分(A)中に占める成分(A1)の割合W(A1)は、成分(A)に耐熱性を付与する成分であるが、W(A1)が多過ぎると柔軟性や耐衝撃性及び透明性を充分に発揮することができない。そこで成分(A1)の割合は60wt%以下必要である。
一方、成分(A1)の割合が少なくなり過ぎると、Tm(A1)が十分であっても耐熱性が低下し、ヒートシール時に薄肉化を生じるため、成分(A1)の割合は50wt%以上でなければならない。
(iv)成分(A2)中のエチレン含量E(A2)
第2工程で製造される成分(A2)は、成分(A)の柔軟性と耐衝撃性及び透明性を向上させるのに必要な成分である。一般に、プロピレン−エチレンランダム共重合体においてエチレン含有量が増加することで結晶性は低下し、柔軟性向上効果は大きくなるため、成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)(以下、E(A2)ということもある。)は、8wt%以上であることが必要である。E(A2)が8wt%以下の場合には十分な柔軟性を発揮することが出来ず、好ましくは10wt%以上である。
一方、成分(A2)の結晶性を下げるためにE(A2)を増加させ過ぎると、成分(A1)と成分(A2)の相溶性が低下し、成分(A2)が成分(A1)と相溶化せずにドメインを形成するようになる。このような相分離構造において、マトリクスとドメインの屈折率が異なると透明性が急激に低下してしまう。そこで本発明に用いられる成分(A)中の成分(A2)のE(A2)は14wt%以下であることが必要であり、好ましくは12wt%以下である。
(v)成分(A)中に占める成分(A2)の割合
成分(A)中に占める成分(A2)の割合W(A2)は、多過ぎると耐熱性が低下するため、W(A2)は、50wt%以下に抑えることが必要である。
一方、W(A2)が少なくなり過ぎると柔軟性と耐衝撃性の改良効果が得られないため、W(A2)は、40wt%以上であることが必要である。
ここで、W(A1)及びW(A2)は、温度昇温溶離分別法(TREF)により求める値であり、エチレン含量E(A1)とE(A2)は、NMRにより求める値である。
具体的には、次の方法による。
(ア)温度昇温溶離分別法(TREF)によるW(A1)とW(A2)の特定
プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布を温度昇温溶離分別法(TREF)により評価する手法は、当業者によく知られているものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)
本発明に用いられる成分(A)は、成分(A1)と成分(A2)各々の結晶性に大きな違いがあり、また、メタロセン系触媒を用いて製造されることで各々の結晶性分布が狭くなっていることから双方の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより精度良く分別することが可能である。
本発明においては、具体的には次のように測定を行う。試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒である−15℃のo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)を1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
得られた溶出曲線において、成分(A1)と成分(A2)は結晶性の違いにより各々の温度T(A1)とT(A2)にその溶出ピークを示し、その差は充分大きいため、中間の温度T(A3)(={T(A1)+T(A2)}/2)においてほぼ分離が可能である。
ここで、T(A3)までに溶出する成分の積算量をW(A2)wt%、T(A3)以上で溶出する部分の積算量をW(A1)wt%と定義すると、W(A2)は成分(A2)の量と対応しており、T(A3)以上で溶出する成分の積算量W(A1)は結晶性が比較的高い成分(A1)の量と対応している。
測定に用いた装置、仕様を以下に示す。
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ × 150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm 表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル 光路長1.5mm 窓形状2φ×4mm長丸 合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
〔測定条件〕
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)
試料濃度:5mg/ml
試料注入量:0.1ml
溶媒流速 :1ml/分
(イ)エチレン含量E(A1)とE(A2)の特定
各成分のエチレン含有量E(A1)とE(A2)は、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により各成分を分離し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecukes 21 314−319(1988)に開示されたような測定方法をいう。具体的には、本発明において以下の方法を用いた。
(ウ)昇温カラム分別
直径50mmで高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/ml)200mlを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(A3)(TREF測定に得られる)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(A3)に保持したまま、T(A3)のo−ジクロロベンゼンを20ml/分の流速で800ml流すことにより、カラム内に存在するT(A3)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次に、10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒のo−ジクロロベンゼンを20ml/分の流速で800ml流すことにより、T(A3)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mlまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーを濾過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
(エ)13C−NMRによるエチレン含量の測定
上記分別により得られた成分(A1)と(A2)それぞれについてのエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した、13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種:日本電子(株)製 GSX−400又は同等の装置
(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules 17 1950 (1984)などを参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は表1の通りである。表中Sααなどの記号はCarmanら(Macromolecules 10 536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 2010138211
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、及びEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules 15 1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度とスペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) …(1)
[PPE]=k×I(Tβδ) …(2)
[EPE]=k×I(Tδδ) …(3)
[PEP]=k×I(Sββ) …(4)
[PEE]=k×I(Sβδ) …(5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} …(6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。
したがって、[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 …(7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明のプロピレン−エチレンランダム共重合体には少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が含まれ、それにより、表2に示す微小なピークを生じる。
Figure 2010138211
正確なエチレン含有量を求めるにはこれら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本発明のエチレン含有量は実質的に異種結合を含まないチーグラー・ナッタ系触媒で製造された共重合体の解析と同じく(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
(ここで、Xはモル%表示でのエチレン含有量である。)
(A−ii)成分(A)のメルトフローレートMFR(A)
本発明に用いられる成分(A)のメルトフローレートMFR(A)(以下、MFR(A)ということもある。)は、4〜10g/10分の範囲を取ることが必要である。
MFR(A)は、成分(A1)および成分(A2)に対応する各々のMFR(以下、MFR(A1)およびMFR(A2)ということもある。)の比率によって決定されるが、本発明においては、MFR(A)が4〜10g/10分の範囲にあれば、MFR(A1)およびMFR(A2)は、本発明の目的を損ねない範囲で任意である。ただし、両者のMFR差が大きく異なる場合には、外観不良等が生じる恐れがあるため、MFR(A1)およびMFR(A2)は、共に4〜10g/10分の範囲にあることが望ましい。
MFR(A)が低く過ぎると、スクリューの回転への抵抗が大きくなるために、モータ負荷や先端圧力が上昇するばかりでなく、シートの表面が荒れることで外観を悪化させるといった問題が生じるため、MFR(A)は4g/10分以上、好ましくは5g/10分以上であることが必要である。
一方で、MFR(A)が高すぎると、成形が不安定になりやすく、均一なシートを得ることが困難となるため、MFRは10g/10分以下、好ましくは8g/10分以下であることが必要である。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠して測定する値である。
(A−iii)tanδ曲線ピーク
本発明に用いられる成分(A)は、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表すtanδ曲線のピークが0℃以下に単一のピークを示すことが必要である。
成分(A)が相分離構造を取る場合には、成分(A1)に含まれる非晶部のガラス転移温度と成分(A2)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、ピークは複数となる。この場合には、透明性が顕著に悪化するという問題が生じる。
通常、プロピレン−エチレンランダム共重合体におけるガラス転移温度は、−60〜20℃の範囲において観測され、相分離構造を取っているかどうかは、本範囲における固体粘弾性測定により得られるtanδ曲線において判別可能であり、シートの透明性を左右する相分離構造の回避は、0℃以下に単一のピークを有することによりもたらされる。
ここで、固体粘弾性測定とは、具体的には、短冊状の試料片に特定周波数の正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで行う。周波数は1Hzを用い測定温度は−60℃から段階状に昇温し、サンプルが融解して測定不能になるまで行う。また、歪みの大きさは0.1〜0.5%程度が推奨される。得られた応力から、公知の方法によって貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”を求め、これの比で定義される損失正接(=損失弾性率/貯蔵弾性率)を温度に対してプロットすると0℃以下の温度領域で鋭いピークを示す。一般に0℃以下でのtanδ曲線のピークは非晶部のガラス転移を観測するものであり、本発明では、本ピーク温度をガラス転移温度Tg(℃)として定義する。
(2)成分(A)の製造方法
本発明に用いられる成分(A)の製造方法は、特開2005−132979号公報に記載の方法を用いることが出来る。
(3)プロピレン系組成物中における成分(A)の割合
成分(A)のプロピレン系組成物中に占める割合は、45〜85wt%の範囲であることが必要であり、好ましくは40〜80wt%である。
成分(A)の含有量が少なすぎると、良好な柔軟性、透明性が得られない。一方で、成分(A)の含有量が多くなりすぎると、ヒートシール等の2次加工時の薄肉化がより顕著に発生する恐れがある。
2.エチレン−α−オレフィン共重合体(B)
(1)成分(B)の特性
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体(B)(以下、成分(B)ということもある。)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを共重合して得られる共重合体であって、α−オレフィンとしては、炭素数3〜20、のもの、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン等を例示できる。成分(B)は、プロピレン系樹脂組成物の透明性、柔軟性を向上させる働きをする成分であって、以下の(B−i)〜(B−ii)の要件を満たすことが必要である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物には、柔軟性、透明性が要求される。透明性については、成分(B)の屈折率が成分(A)と大きく異なる場合には、得られるシートの透明性が悪化するため、屈折率をあわせることも重要である。屈折率は、密度によって制御可能であり、本発明において要求される透明性を得るには、密度を特定の範囲にすることが重要となる。
また、成分(A)は柔軟性に優れているが、成分(C)の添加によりその柔軟性が損なわれる。そこで、柔軟性を向上することのできる成分(B)の添加が必要である。
(B−i)密度
本発明に用いられる成分(B)は、密度が0.860〜0.900g/cmの範囲にあることが必要である。
密度が低くなりすぎると、屈折率差が大きくなり透明性が悪化するため、0.860g/cm未満の場合には、本発明に必要な透明性を確保することが出来ない。
一方、密度が高くなりすぎると、結晶性が高くなることで柔軟性が不足するため、0.900g/cm以下であることが必要で、好ましくは0.885g/cm以下である。
ここで、密度は、JIS K7112に準拠して測定する値である。
(B−ii)成分(B)のメルトフローレートMFR(B)
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、成形性を確保するために適度な流動性を持っていることが必要である。
したがって、成分(B)のメルトフローレートMFR(B)(以下、MFR(B)ということもある。)が低くすぎると流動性が不足し、分散不良が生じたりすることで透明性の低下を生じる。そこで、MFR(B)は、2.0g/10分以上であることが必要であり、好ましくは2.5g/10分以上である。
一方で、MFR(B)が高すぎると成形が不安定で膜厚変動が生じる。そこで、MFR(B)は、20g/10分以下が好ましく、15g/10分以下が特に好ましい。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠して測定する値である。
(2)成分(B)の製造方法
本発明に用いられる成分(B)は、成分(A)との屈折率差を小さくするために、密度を低くすることが必要であり、さらに、ベタツキやブリードアウトを抑制するためには結晶性及び分子量分布が狭いことが望ましい。そこで、成分(B)の製造には結晶性及び分子量分布の狭くできるメタロセン系触媒を用いることが望ましい。
(i)メタロセン系触媒
メタロセン触媒としては、エチレン−α−オレフィン共重合体の重合に用いられる公知の各種触媒を用いることが出来る。
具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35006号、特開平3−163088号の各公報などに記載されているメタロセン系触媒を例示できる。
(ii)重合方法
具体的な重合方法としては、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法などが挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。
なお、成分(B)は、メタロセン系ポリエチレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、デュポンダウ社製アフィニティー及びエンゲージ、日本ポリエチレン社製カーネル、エクソン社製EXACTなどが挙げられる。
これらの使用において、本発明の要件である密度とMFRを満足するグレードを適宜選択すればよい。
(3)プロピレン系樹脂組成物中における成分(B)の割合
成分(B)のプロピレン系樹脂組成物中に占める割合は、10〜35wt%の範囲であることが必要である。
成分(B)の含有量が少なすぎると、柔軟性の付与が不十分であり、成分(C)の添加による柔軟性の犠牲を取り戻すことはできない。一方で、成分(B)の含有量が多くなりすぎると、シートの厚みムラを生じ、良好な外観のシートを得ることができない。
そこで、成分(B)が組成物中に占める割合は、10〜35wt%の範囲にあることが必要で、10wt%未満の場合には、柔軟性付与が不十分であり、35wt%以上の場合には成形性が不足するため、用いることが出来ない。
3.プロピレン系(共)重合体(C)
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられるプロピレン系(共)重合体(C)(以下、成分(C)ということもある。)は、成形性、外観不良、薄肉化抑制成分として用いられる。
本発明において、主成分として用いられる成分(A)は、積層シートに高い柔軟性と透明性を付与させるのに極めて有効であるが、メタロセン系触媒により製造されているため、分子量分布が狭く、高結晶性成分および高分子量成分が少ないことに起因する積層時の厚み変動抑制や界面荒れなどの外観不良およびヒートシール時の薄肉化等の問題を有している。
そこで、成分(A)の分子量分布を拡げ、相対的に高結晶成分と高分子量成分を増やすそうとすると、必然的に低結晶成分と低分子量成分も増し、結果として、それが積層シート表面へのブリードアウトによるべたつき、外観不良といった問題が生じさせるため、透明性が要求される用途には不向きとなる。
高結晶成分および高分子量成分の少ない成分(A)に対し、成分(C)を特定量添加することにより、低結晶成分および低分子量成分の増加なしで、高結晶成分および高分子量成分を増加させることができ、その結果として、ブリードアウトなどの外観不良を起こさずに、厚み変動や界面荒れなどの外観不良、ヒートシール時の薄肉化を抑制する事が可能となる。
(1)成分(C)の特性
成分(C)は、以下の(C−i)の要件を満たすことが必要である。さらに、好ましくは、(C−ii)の要件を満たす。
(C−i)融解ピーク温度Tm(C)
成分(C)は、融解ピーク温度Tm(C)が150〜165℃の範囲にあり、より好ましくは155〜165℃である(共)重合体である。
Tm(C)が150℃未満であると高結晶成分が不足し、十分な流動性低下できず、薄肉化抑制効果が得られない恐れがある。Tm(C)が165℃を超えるものは工業的に製造することは難しい。
(C−ii)MFR
本発明における成分(C)は、分子量が高い成分(C2)を含んでいるにもかかわらず、組成物中で十分な分散が必要である。そのためには、成分(C)が適度な流動性を有することが必要であり、流動性の尺度であるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg荷重)(以下、MFR(C)ということもある。)が2.0〜8.0g/10分の範囲にあることが必要である。
MFR(C)が2.0g/10分未満の場合には、分散が悪化し、ゲルやフィッシュアイと呼ばれる外観不良を引き起こしてしまう。一方、8.0g/10分以上の場合には、柔軟性の低下といった物性上の問題を生じる。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠して測定する値である。
また、成分(C)は、下記(C1−i)の要件を満たすプロピレン系(共)重合体成分(C1)と下記(C2−i)〜(C2−iii)の要件を満たすエチレン−プロピレン共重合体成分(C2)からなる共重合体であることが好ましい。
ここで、成分(C1)はポリプロピレン成分であり、高結晶低分子量成分である。成分(C1)は、成分(A)よりも融解ピーク温度が高く、成分(A)が融解し、溶融流動を開始する温度では、結晶状態(固体状態)にあり、成分(A)の溶融流動を抑制させる作用を有しているため、ヒートシール時の薄肉化を抑制するのに有効な成分である。従って、成分(C1)は、成分(A)よりも結晶性が高い、プロピレンのみ、あるいは、エチレン量0.5wt%以下の共重合体からなるポリプロピレンもしくはプロピレン−エチレン共重合体であることが必要である。また、成分(C2)は、エチレン−プロピレン共重合体成分であり、低結晶高分子量成分である。成分(C2)は、溶融された高分子量成分が溶融粘度を高くすることにより、成分(A)の溶融流動を調整することで、2次加工時の薄肉化を抑制させるのに有効な成分である。
(C1−i)成分(C)中の成分(C1)の比率
成分(C)は、プロピレン系(共)重合体成分(C1)(以下、成分(C1)ということもある。)の成分比率(以下、W(C1)ということもある。)を65〜75wt%、エチレン−プロピレン共重合体成分(C2)(以下、成分(C2)ということもある。)の成分比率(以下、W(C2)ということもある。)を35〜25wt%からなる混合物であっても良いが、成分(C2)を均一に分散し、成分(C2)の塊発生に起因するゲル状物やフィッシュ・アイを防止しするという点において、多段重合によって得られるものが好ましい。
(C2−i)成分(C2)の重量平均分子量
成分(C2)は、ヒートシール時に、融解した成分(A)が、伸張や圧力により過流動するのを阻害させて、薄肉化を抑制するための成分である。このとき、成分(C2)の分子量が低いと、過流動を阻害する効果が不足し、薄肉化を十分に改良することが出来ない。そこで、成分(C2)は、GPCにより測定される重量平均分子量(以下、Mw(C2)ということもある。)が80万以上であることが必要である。一方で、分子量が高くなりすぎると分散性が悪化するため、分子量は300万未満に抑えることが必要である。
ここで、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定する値である。
(C2−ii)エチレン含量(E(C2))
成分(C2)は、成分(C1)よりも分子量が高いため、比較的低い温度で、成分(C1)よりも先に融解していることが必要である。そこで成分(C2)は、成分(C1)とは異なり、結晶性を低下させることが必要であり、結晶性は、成分(C2)に用いられるエチレン含有量(以下、E(C2)ということもある。)で制御されるためエチレン含有量を4〜8wt%にすることが必要である。
エチレン含有量が4wt%未満では、成分(C1)との融点差が小さくなり、成分(A)の溶融粘度を高くし、溶融流動を調整するという成分(C2)の作用が、溶融した成分(C1)により阻害される恐れがある。エチレン含有量が8wt%を超えると、融解ピーク温度が低くなり過ぎるために、成分(A)が融解する温度において、高い溶融粘度を維持できなくなるため、溶融粘度調整効果が得られにくいといった問題が起こる恐れがある。
ここで、E(C2は)、前述の13C−NMRスペクトル法により求める値である。
(C2−iii)成分(C)中の成分(C2)の配合比率(W(C2))
成分(C2)は、極めて分子量が高いため、W(C2)が多すぎると、成分(C)が組成物中で十分に分散することが出来ず、薄肉化抑制を出来ないばかりか、物性の悪化や、外観不良等の問題の原因となるため、35wt%以下であることが必要である。一方、W(C2)が少なすぎると、流動性を調整するために、成分(C)を多量に必要とするために、柔軟性や透明性の低下を招く恐れがあるため、25wt%以上であることが必要である。
ここで、W(C1)、W(C2)は、マテリアルバランスから求めることが出来るが、これらは各々分子量が大きく異なるため、GPC測定により得られた分子量に対する溶出割合のプロットからピーク分離を行うことで各成分の比率を特定して求める値である。
(2)成分(C)の製造方法
成分(C)は、プロピレン系(共)重合体成分(C1)とエチレン−プロピレン共重合体成分(C2)とからなるが、これらの各成分は流動性が極めて異なるため、両者を溶融混練により混ぜることは事実上、かなり困難である。一方、溶媒等に溶かしてブレンドすることはコスト面、環境面から好ましくない。そこで、本発明に用いられる成分(C)は第1工程で成分(C1)を、第2工程で成分(C2)を多段重合することで、重合分散させたものであることが好ましい。
この成分(C)を得るための触媒系としては、チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを主体とするもの、またはπ電子共役配位子を少なくとも1個有するメタロセン系の遷移金属化合物を用いることができる。ここで、成分(C2)は、より高分子量の成分が含まれるほどヒートシール特性の改良効果が大きいため、チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを主体とするものより製造されることが好ましい。
チタン含有固体触媒成分は、固体のマグネシウム化合物、四ハロゲン化チタン及び電子供与性化合物を接触させて得られる公知の担持型触媒成分、三塩化チタンを主成分として含む公知の触媒成分から選ばれる。
助触媒のアルミニウム化合物は、一般式AlRnX3−n(式中Rは炭素数2から10の炭化水素基を表し、nは3≧n>1.5の数を表す)で表される。チタン含有固体触媒成分が固体のマグネシウム化合物を含有する担体担持型触媒成分である場合はAlRまたはAlRとAlRXの混合物を使用するのが好ましく、一方三塩化チタンあるいは三塩化チタンを主成分として含む触媒成分である場合はAlRXを使用するのが好ましい。さらに本発明においては上記触媒および共触媒成分の他に第3成分として公知の電子供与性化合物を使用することができる。
また、成分(C)を得るための重合反応は、たとえばヘキサン、ヘプタンなどの不活性溶媒の存在下でも、不存在下、即ち液体プロピレンの存在下あるいは気相プロピレン中でも行うことができる。
反応は1基の重合槽を用いて回分式に行うこともできるし、2基以上の重合槽を直列につないで連続的に行うこともできる。
重合の順位は最初に成分(C1)を重合し次いで成分(C2)を重合する2段階で行なわれ、付加的に重合を行ない3段階、4段階で行ってもよい。
触媒は、第1段階で重合前に添加されるのが一般的である。後段に於いて触媒を補充することを必ずしも排除するものではないが、樹脂のブレンドでは得られない特性を得るためには、触媒は第1段階で添加するのが好ましい。
成分(C1)を得るための工程(1)は、プロピレンを水素の存在下に重合する。水素は工程(1)で得られる重合体のMFR(C1)が100〜200g/10分の範囲となるように制御される。一般には水素濃度(スラリー重合においては気相部濃度、液体プロピレン中の重合あるいは気相法においてはモノマー中の含有量を指す) が1〜50mol%、好ましくは3〜30mol%添加される。
工程(1)の重合温度は一般に40〜90℃であり、全重合量の65〜75重量%を製造する。
成分(C2)を得るための工程(2)は、高分子量成分を得るための重合であり、水素濃度は0.1mol% 以下の実質的に無水素状態で重合を進行せしめる。工程(2)で得られる重合体の重量平均分子量Mw(C2)は80万〜300万である。
重合温度は、通常40〜90℃、好ましくは50〜80℃であり、共重合コモノマーとしてエチレンを含みコモノマー含量E(C2)は、4〜8重量%の範囲となるようにモノマーの濃度を制御する。
(3)プロピレン系樹脂組成物中の成分(C)の割合
成分(C)がプロピレン系樹脂組成物中に占める割合は、5〜20wt%の範囲であることが必要である。
成分(C)を構成する成分(C1)は、成分(A)よりも融解ピーク温度が高いため、成分(A)が融解する温度でも結晶状態を保つことで、成分(A)が流動するのを抑え、成分(C)を構成する成分(C2)は、全体の流動性を低下させることによって、過流動するのを抑えることにより、薄肉化を抑制している。
このとき、成分(C)の量が少なすぎると、高結晶性成分や高分子量成分が不足し、十分な薄肉化抑制効果を得ることが出来ないため、5wt%以上であることが必要であり、好ましくは10wt%以上である。逆に、成分(C)の量が多くなりすぎると、柔軟性や透明性等の物性低下が顕著になり、本発明の樹脂組成物に要求される品質を満たすことが出来ないため、20wt%以下であることが必要であり、好ましくは18wt%以下である。
4.付加的成分(添加剤)
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物は、多層シートとして好適に用いられるため、ブリードアウトなど本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意の添加剤を配合する事が出来る。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることが出来る。各種添加剤について以下に詳しく述べる。
(1)酸化防止剤
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
これら酸化防止剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
酸化防止剤の配合量は、各々の樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部、配合量が上記範囲未満では、熱安定性の効果が得られず、樹脂を製造する際に劣化が起こり、ヤケとなってフィッシュアイの原因となる。また、上記範囲を超えるとそれ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
(2)アンチブロッキング剤
アンチブロッキング剤としては、平均粒子径1〜7μm、好ましくは1〜5μm、さらに好ましくは、1〜4μmである。平均粒子径が1μm未満では、得られるシートの滑り性、開口性が劣り好ましくない。一方、7μmを越えると、透明性、傷つき性が著しく劣り好ましくない。ここで平均粒子径は、コールターカウンター計測による値である。
アンチブロッキング剤の具体例としては、たとえば無機系としては、合成または天然のシリカ(二酸化珪素)、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート、タルク、ゼオライト、硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム等が使用される。
また、有機系としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシリルトセスキオキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド(ユリア樹脂)、フェノール樹脂等を用いることができる。
特に合成シリカ、ポリメチルメタクリレートが分散性、透明性、耐ブロッキング性、傷つき性のバランスから好適である。
また、アンチブロッキング剤は表面処理されたものを用いてもよく、表面処理剤としては、界面活性剤、金属石鹸、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、フッソ樹脂、シランカップリング剤、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸ソーダ等の縮合リン酸塩等を用いることができ、特に有機酸処理なかでもクエン酸処理されたものが好適である。処理方法は特に限定されるものではなく、表面噴霧、浸漬等公知の方法を採用することができる。
アンチブロッキング剤はいかなる形状であってもよく球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状等任意の形状とすることができる。
これらアンチブロッキング剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
アンチブロッキング剤を配合する場合の配合量は、樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.7重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。配合量が上記範囲未満では、シートのアンチブロッキング性、滑り性、開口性が劣りやすくなる。上記範囲を超えるとシートの透明性を損ない、また、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
(3)スリップ剤
スリップ剤としては、モノアマイド類、置換アマイド類、ビスアマイド類等が挙げられ、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
モノアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
不飽和脂肪酸モノアマイドとしては、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイド等が挙げられる。
置換アマイド類の具体例としては、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルチミン酸アマイド等が挙げられる。
ビスアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸ビスアマイドとして、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
不飽和脂肪酸ビスアマイドとしては、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
芳香族系ビスアマイドとしては、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アマイドなどが挙げられる。
これらの中では、特に、脂肪酸アマイドのうち、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイドが好適に使用される。
スリップ剤を配合する場合の配合量としては、樹脂100重量部に対して、0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.7重量部、より好ましくは0.1〜0.4重量部である。上記範囲未満では開口性や滑り性が劣り易くなる。上記範囲を超えると、スリップ剤の浮き出しが過剰となり、シート表面にブリードし透明性が悪化する。
(4)核剤
核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物((株)ADEKA製、商品名NA21)等が挙げられる。
上記核剤を配合する場合の配合量としては、各々の樹脂100重量部に対して、0.0005〜0.5重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.005〜0.05重量部である。上記範囲未満では核剤としての効果が得られない。上記範囲を超えると、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
また、上記以外の核剤として高密度ポリエチレン樹脂を挙げることができる。高密度ポリエチレン樹脂としては、密度が、0.94〜0.98g/cm、好ましくは、0.95〜0.97g/10cmである。密度がこの範囲を外れると透明性改良効果が得られない。高密度ポリエチレン樹脂の190℃メルトフローレイト(MFR)は、5g/10分以上、好ましくは7〜500g/10分、さらに好ましくは、10〜100g/10分である。MFRが5g/10分より小さいときは高密度ポリエチレン樹脂の分散径が充分に小さくならず、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。また、高密度ポリエチレン樹脂が微分散するためには好ましくは高密度ポリエチレン樹脂のMFRが本発明のプロピレン系樹脂のMFRより大きい方がよい。
核剤として使用される高密度ポリエチレン樹脂の製造は、目的の物性を有する重合体を製造し得る限りその重合方法や触媒について特に制限はない。触媒については、チーグラー型触媒(すなわち、担持または非担持ハロゲン含有チタン化合物と有機アルミニウム化合物の組み合わせに基づくもの)、カミンスキー型触媒(すなわち、担持または非担持メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物、特にアルモキサンの組み合わせに基づくもの)が挙げられる。高密度ポリエチレン系樹脂の形状については制限がなく、ペレット状であってもよく、また、粉末状であってもよい。
核剤として使用する場合、高密度ポリエチレンの配合量としては樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。上記範囲未満では核剤としての効果が得られない。上記範囲を超えると、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
(5)中和剤
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学工業(株)製)などを挙げることができる。
中和剤を配合する場合の配合量は樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部である。配合量が上記範囲未満では、中和剤としての効果が得られず、押出機内部の劣化樹脂を掻き出してフィッシュアイの原因となる。また、上記範囲を超えるとそれ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
(6)光安定剤
光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤が好適に使用され、従来公知のピペリジンの2位および6位の炭素に結合しているすべての水素がメチル基で置換された構造を有する化合物が特に限定されることなく用いられるが、具体的には以下のような化合物が用いられる。
具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
これらのヒンダードアミン系安定剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
ヒンダードアミン系安定剤を配合する場合の配合量は、樹脂100重量部に対して0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが望ましい。
ヒンダードアミン系安定剤の含有量が、0.005重量部未満であると、耐熱性、耐老化性等の安定性の向上効果がなく、2重量部より多いとそれ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
(7)帯電防止剤
帯電防止剤としては、従来から静電防止剤または帯電防止剤として使用されている公知のものであれば特に限定されることなく使用でき、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
上記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸またはロジン酸セッケン、N−アシルカルボン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミン塩等のカルボン酸塩;スルホコハク酸塩、エステルスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩;硫酸化油、硫酸エステル塩、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、硫酸エーテル塩、硫酸アミド塩等の硫酸エステル塩;リン酸アルキル塩、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸エーテル塩、リン酸アミド塩等のリン酸エステル塩などが挙げられる。
上記カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩等のアミン塩;アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、テトラアルキルアンモニウム塩、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)ジアルキルアンモニウム塩、N−アルキルアルカンアミドアンモニウムの塩等の第4級アンモニウム塩;1−ヒドロキシエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−1−アルキル−2−アルキル−2−イミダゾリン等のアルキルイミダゾリン誘導体;イミダゾリニウム塩、ピリジニウム塩、イソキノリニウム塩などが挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、p−アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル等のエーテル形;脂肪酸ソルビタンポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ソルビトールポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸グリセリンポリオキシエチレンエーテル等のエーテルエステル形;脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、2価アルコールエステル、ホウ酸エステル等のエステル形;ジアルコールアルキルアミン、ジアルコールアルキルアミンエステル、脂肪酸アルカノールアミド、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルカンアミド、アルカノールアミンエステル、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルカンアミン、アミンオキシド、アルキルポリエチレンイミン等の含窒素形などが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、モノアミノカルボン酸、ポリアミノカルボン酸等のアミノ酸形;N−アルキルアミノプロピオン酸塩、N,N−ジ(カルボキシエチル)アルキルアミン塩等のN−アルキル−β−アラニン形;N−アルキルベタイン、N−アルキルアミドベタイン、N−アルキルスルホベタイン、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン等のベタイン形;1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシ−1−ヒドロキシエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン、1−スルホエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン等のアルキルイミダゾリン誘導体などが挙げられる。
これらの中では、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、中でもモノグリセリド、ジグリセリド、ホウ酸エステル、ジアルコールアルキルアミン、ジアルコールアルキルアミンエステル、アミド等のエステル形または含窒素形の非イオン性界面活性剤;ベタイン形の両性界面活性剤が好ましい。
なお、帯電防止剤としては、市販品を使用することができ、例えば、エレクトロストリッパーTS5(花王(株)製、商標、グリセリンモノステアレート)、エレクトロストリッパーTS6(花王(株)製、商標、ステアリルジエタノールアミン)、エレクトロストリッパーEA(花王(株)製、商標、ラウリルジエタノールアミン)、エレクトロストリッパーEA−7(花王(株)製、商標、ポリオキシエチレンラウリルアミンカプリルエステル)、デノン331P(丸菱油化(株)製、商標、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート)、デノン310(丸菱油化(株)製、商標、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル)、レジスタットPE−139(第一工業製薬(株)製、商標、ステアリン酸モノ&ジグリセリドホウ酸エステル)、ケミスタット4700(三洋化成(株)製、商標、アルキルジメチルベタイン)、レオスタットS(ライオン(株)製、商標、アルキルジエタノールアミド)などが挙げられる。
帯電防止剤を配合する場合の配合量は樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部、さらに好ましくは0.1〜0.8重量部、もっとも好ましくは0.2〜0.5重量部である。これら帯電防止剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。帯電防止剤の配合量が、0.01重量部未満では、表面固有抵抗を減らして帯電による障害を防止することができない。2重量部より多いとブリードによるシート表面に粉吹きが発生しやすくなる。
[II]プロピレン系樹脂組成物の製造
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記のプロピレン系樹脂(A)、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)、プロピレン系(共)重合体(C)および必要に応じて他の添加剤をヘンシェルミキサー、vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサー等の混練機により混練する方法により得られる。
[III]多層シート
本発明の多層シートは、上記プロピレン系樹脂組成物を用い公知の方法で製造することができる。例えば、Tダイ、サーキュラーダイを用いた押出成形等の公知の技術によって製造する。
本発明の多層シートは、柔軟性に優れ、厚みムラ、界面荒れなどの外観不良による透明性悪化を抑制でき、かつ、深絞り成形などの2次加工において薄肉化を抑制できるために力学的強度の保持や、ヒートシールなどで生じる樹脂の過流動よる薄肉化やそれに伴う凹凸を抑制できるために良好な外観を保持できる。
本発明の多層シートは、優れた柔軟性を有していることを特徴としており、柔軟性の尺度である引張弾性率が、190MPa以下であることが望ましい。引張弾性率が180MPa以下、好ましくは170MPa以下であると触感が良く、高級感を醸し出すことが出来るという点で非常に優れている。
本発明の多層シートの使用方法は限定されるものではないが、一定時間、半溶融状態に晒される深絞り成形などによって得られる容器や、高温、高圧力、長時間のヒートシールによって得られる高強度シールを必要とする容器や袋として、例えば、スパウト付スタンディングパウチなどの水物包装や液状物充填包装、重量物包装などに好適である。容器としては高透明、且つ、肉厚が均一であること、袋としては高透明、ヒートシールによる薄肉化や、それに伴う凹凸が発生しないことで印刷ぶれの抑制など、優れた外観を活かせることを特徴としている。また、薄肉化を抑制できることで、極めて高い剥離強度(高強度シール)を有していることを特徴としている。
本発明の多層シートは、透明性の尺度であるHazeが10%以下、好ましくは8.0%以下、好ましくは6.0%以下であると内容物を明瞭に見せることができ、また、薄肉化によって発生する凹凸の凸部が300μm以下、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下であると、印刷のぶれなどの外観上の悪化を防ぐことができるため、内容物の商品価値を向上可能であるという点で非常に優れている。
以下において、本発明をより具体的にかつ明確に説明するために、本発明を実施例及び比較例との対照において説明し、本発明の構成の要件の合理性と有意性を実証するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた物性測定法、特性評価法、樹脂材料は以下の通りである。
1.物性の測定方法
(1)MFR:プロピレン系樹脂(A)およびプロピレン系(共)重合体(C)は、JIS K7210 A法 条件Mに従い、試験温度:230℃、公称荷重:2.16kg、ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mmで測定した。エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、JIS K7210 A法 条件Dに従い、試験温度:190℃、公称荷重:2.16kg、ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mmで測定した。
(2)密度:MFR測定時に得られた押出ストランドを用い、JIS K7112 D法に準拠して密度勾配管法で測定した。
(3)融解ピーク温度:セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度を測定した。
(4)固体粘弾性測定:
試料は、下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は−60℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
〔試験片の作成〕
規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
成形機:東芝機械製EC−20射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から 80,80,160,200,200,200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
保持圧力:20MPa
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅40mm 長さ80mm)
(5)成分(A)のW(A1)、W(A2)、E(A1)、E(A2):前述の方法で測定した。
(6)重量平均分子量:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した。
GPC測定における保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380,F288,F128,F80,F40,F20,F10,F4,F1,A5000,A2500,A1000
各々が0.5mg/mlとなるようにo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2ml注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する、粘度式の[η]=K×Mα は以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4 α=0.7
PE:K=3.92×10−4 α=0.733
PP:K=1.03×10−4 α=0.78
なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
装置:WATERS社製 GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製 MIRAN 1A IR検出器(測定波長 :3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/min
注入量:0.2ml
試料の調製 試料はo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)を用いて1mg/mlの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
(7)成分(C)のW(C1)、W(C2):
成分(C)は、成分(C1)と成分(C2)からなり、各成分の割合はマテリアルバランスから求めることが出来るが、これらは各々分子量が大きく異なるため、GPC測定により得られた分子量に対する溶出割合のプロットからピーク分離を行うことで各成分の比率を特定した。
ピーク分離は、市販の計算ソフトを用い、各成分が正規分布を有するとし、2成分でのフィッティングを行い、各成分の割合と重量平均分子量を求めた。
(8)成分(C2)中のエチレン含有量E(C2):
成分(C)はエチレンを含有しない成分(C1)とエチレンを含有する成分(C2)からなるため、成分(C)中のエチレン含有量と、各成分の比率から成分(C2)中のエチレン含有量を算出した。
すなわち、E(C2)=E(C)×100/W(C2)
(ただし、成分(C)中のエチレン含有量は、上記13C−NMR法により測定した。)
2.評価方法
(1)透明性(HAZE):
JIS−K7136−2000に準拠し、得られた積層シートの透明性をヘイズメータで測定した。得られた値が小さいほど透明性がよいことを意味し、この値が10%以下であると内容物確認しやすく、ディスプレイ効果を得る点で優れており、8%以下が好ましく、6%以下が特に好ましい。
(2)引張弾性率:
JIS K−7127−1989に準拠し、下記の条件にて、積層シートの流れ方向(MD)についての引張弾性率を測定した。得られた値が小さいほど柔軟性に優れていることを意味し、この値が190MPa以下であると触感のよい手触りで高級感を得る点で優れており、180MPa以下が好ましく、170MPa以下が特に好ましい。
サンプル長さ:150mm
サンプル幅:15mm
チャック間距離:100mm
クロスヘッド速度:1mm/min
(3)ヒートシール後の剥離強度測定:
(i)ヒートシール条件
融解ピーク温度が137℃のプロピレン系ランダム共重合体(日本ポリプロ社製ノバテックPP グレード名“FW4B”)の2mm厚の射出シートの上に、上記で得られた積層シートを重ねて、カップシーラー(シンワ機械社製)を用いて、シール幅8mm、シール圧力3.7kgf/cm2、シール時間5sec、シール温度(145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃)の条件でヒートシールを行ないヒートシール成形体を得た。
(ii)剥離試験
次に得られたヒートシール成形体のシート部分が中心になるように、10mm幅の短冊状に切り取って試験用サンプルとし、万能型試験機(テンシロン万能試験機、オリエンテック社製)を用いて上部チャックに積層シート、下部チャックに射出シートを固定させ、剥離速度500mm/minで剥離試験を行ない、積層シートのヒートシール強度を求めた。
得られたこの数値が高い程、積層シートが基材に対し強固に接着しており、高強度ヒートシール可能な積層シートであることを示す。この数値が2000gf/10mm以上であると重量物包装用途に充分に使用可能である。
また、2000gf/10mm以上のヒートシール強度を保有できるヒートシール温度幅が広い程、ヒートシールのような2次成形性に優れていることを意味する。
表中、基材破断と記載されている項目は、高温ヒートシール条件により、積層シートの薄肉化が進み、剥離される前に積層シートが切断されたことを意味する。
(4)ヒートシール後の凹凸測定:
実流条件の近傍であるヒートシール温度165℃でヒートシールしたヒートシール成形体について、3次元粗さ計(東京精密社製、SURFCOM 1500DX)を用いて、測定距離10mm、測定速度0.3mm/secの条件で、2次元粗さマッピングを行い、ヒートシールによって発生した凸部の高さ、および薄肉度合を測定した。
凸部の高さとは、ヒートシールにより加熱された積層シート内の溶融した樹脂が、ヒートシールの際の加圧により、ヒートシール部の側面に流動し、部分的に盛り上がった所の最長部を意味する。この数値が大きい程、盛り上がりが大きく、印刷ずれの発生や手触りが悪いといった点で好ましくないことを意味する。この数値が300μm以下であれば製品として問題なく、250μm以下が好ましく、200μm以下が特に好ましい。
また、薄肉度合とは、ヒートシールにより加熱された積層シート内の溶融した樹脂が、ヒートシールの際の加圧により、ヒートシール部の側面に流動し、ヒートシ−ル部の窪んだ所の最下部を意味する。この数値が小さい程、窪みが大きく、製品としての強度が不足することを意味する。この数値が−60μm以上であれば製品として問題なく、−55μm以上が好ましく、−50μm以上が特に好ましい。
(5)2次加工後の外観:
前記ヒートシール後の積層シートがヒートシールバーと接触した部分を目視し、外観良し悪しの判断を行った。外観が良いものはディスプレイ効果により、高級感を得ることができる。
○:ヒートシールバー接触部が平滑で表面が荒れていない状態
×:ヒートシールバー接触部が凸凹していて表面が荒れている状態
(6)落袋衝撃試験:
前記積層シート製造途中で得られる筒状成形体の片方を、前記ヒートシール条件におけるヒートシール温度が165℃の条件でヒートシールを行い、袋状に成形した後、その中に水250mlを詰め、その後、もう一方の口をインパルスシーラーで仮封止した後、さらに前記ヒートシール条件におけるヒートシール温度が165℃の条件でヒートシールを行ない、水を封じた水入り袋を成形した。得られた水入り袋を2mの高さから落下させ、破袋するかを試験した。
○:破袋しない
×:破袋した
3.使用樹脂
(1)プロピレン系樹脂(A)
下記製造例(A−1)〜(A−17)で得られた樹脂を用いた。
(製造例A−1)
(i)予備重合触媒の調製
(珪酸塩の化学処理)10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=25μm 粒度分布=10〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。
(珪酸塩の乾燥)先に化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。仕様及び乾燥条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状 内径50mm 加温帯550mm(電気炉) かき上げ翼付き回転数:2rpm 傾斜角:20/520 珪酸塩の供給速度:2.5g/分 ガス流速:窒素 96リットル/時間 向流乾燥温度:200℃(粉体温度)
(触媒の調製)撹拌および温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で充分置換した。乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で攪拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2,000mlに調製した。次に、先に調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。平行して、(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム2,180mg(0.3mM)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)33.1mlを加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して5,000mlに調製した。
(予備重合/洗浄)続いて、槽内温度を40℃昇温し、温度が安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄みを2,400mlデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液9.5ml、さらに混合ヘプタンを5,600ml添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5,600ml除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23mMモル(?)/L、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液を170ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。触媒1g当たりポリプロピレンを2.0g含む予備重合触媒が得られた。
この予備重合触媒を用いて、以下の手順に従ってプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造を行った。
(ii)第一重合工程
攪拌羽根を有する横型反応器(L/D=6、内容積100リットル)を十分に乾燥し、内部を窒素ガスで十分に置換した。ポリプロピレン粉体床の存在下、回転数30rpmで攪拌しながら、反応器の上流部に上記の方法で調整した予備重合触媒を(予備重合パウダーを除いた固体触媒量として)0.568g/hr、トリイソブチルアルミニウムを15.0mmol/hrで連続的に供給した。反応器の温度を65℃、圧力を2.1MPaGに保ち、且つ反応器内気相部のエチレン/プロピレンモル比が0.07、水素濃度が100ppmになるように、モノマー混合ガスを連続的に反応器内に流通させ、気相重合を行った。反応によって生じた重合体パウダーは、反応器内の粉体床量が一定になるように、反応器下流部より連続的に抜き出した。この時、定常状態になった際の重合体抜き出し量は10.0kg/hrであった。
第一重合工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合を分析したところ、MFRは6.0g/10分、エチレン含有量は2.2wt%であった。
(iii)第二重合工程
攪拌羽根を有する横型反応器(L/D=6、内容積100リットル)に、第一工程より抜き出したプロピレン−エチレン共重合体を連続的に供給した。回転数25rpmで攪拌しながら、反応器の温度を70℃、圧力を2.0MPaGに保ち、且つ反応器内気相部のエチレン/プロピレンモル比が0.453、水素濃度が330ppmになるように、モノマー混合ガスを連続的に反応器内に流通させ、気相重合を行った。反応によって生じた重合体パウダーは、反応器内の粉体床量が一定になるように、反応器下流部より連続的に抜き出した。この時、重合体抜き出し量が17.9kg/hrになるように活性抑制剤として酸素を供給し、第二重合工程での重合反応量を制御した。活性は31.4kg/g−触媒であった。
こうして得られたプロピレン系樹脂(A−1)の各種分析結果を表3に示す。
(製造例A−2〜9)
重合条件を表3に示すように変えた以外は(製造例A−1)と同様の製法で触媒調整及び重合を行った。
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたプロピレン系樹脂(A−2)〜(A−9)の各種分析結果を表3に示す。これらは成分(A)として本発明の要件を全て満たすものである。
(製造例A−10〜17)
重合条件を表4に示すように変えた以外は(製造例A−1)と同様の製法で触媒調整及び重合を行った。
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたプロピレン系樹脂(A−10)〜(A−17)の各種分析結果を表4に示す。これらは成分(A)として本発明の要件を満たさないものである。
Figure 2010138211
Figure 2010138211
(2)エチレン−α−オレフィン共重合体(B)
下記製造例(B−1)〜(B−6)で得られた樹脂を用いた。
(製造例B−1)
エチレンとヘキセン−1の共重合体を製造した。触媒の調製は、特表平7−508545号公報(触媒系の調製)に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0ミリモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等倍モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器にエチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が73重量%となるように供給し、反応器内の圧力を130MPaに保ち、127℃で反応を行った。1時間あたりのポリマー生産量は約2.5kgであった。
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)の各種分析結果を表5に示す。
(製造例B−2〜6)
重合時の1−ヘキセンの組成をと重合温度を表5に示すように変えた以外は製造例(B−1)と同様の製法で触媒調整及び重合を行った。
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(B−2)〜(B−7)の各種分析結果を表5に示す。
Figure 2010138211
(3)プロピレン系(共)重合体(C)
下記製造例(C−1)〜(C−6)で得られた樹脂および日本ポリプロ社製ノバテックPPシリーズを下記(C−7)〜(C−11)として用いた。(C−7)〜(C−11)のMFR、Tmを表6に示した。
(C−7):単段重合によって得たホモポリプロピレン、グレード名“EA9”
(C−8):単段重合によって得たホモポリプロピレン:グレード名“EA7A”
(C−9):単段重合によって得たホモポリプロピレン:グレード名“FY4”
(C−10):単段重合によって得たホモポリプロピレン:グレード名“FB3C”
(C−11):単段重合によって得たホモポリプロピレン:グレード名“EG7F”
(製造例C−1)
(i)固体触媒成分(a)の製造
充分に窒素置換した内容積50リットルの攪拌機付槽に、脱水および脱酸素したn−ヘプタン、20リットルを導入し、次いでMgClを10モル、Ti(O−n−C)4を20モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を12リットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、前記攪拌機付槽を用いて該槽に、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5リットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で3モル導入した。次いでn−ヘプタン2.5リットルにSiCl5モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。
次いで前記攪拌機付槽へn−ヘプタン2.5リットル導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して、70℃、30分間で導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでTiCl 2リットルを導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して成分(a)を製造するための固体成分(a1)を得た。この固体成分のチタン含量は2.0重量%であった。
次いで、窒素置換した前記攪拌機付槽にn−ヘプタンを8リットル、上記で合成した固体成分(a1)を400グラム導入し、成分(a2)としてSiCl 0.6リットルを導入して90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに成分(a3)として(CH=CH)Si(CH 0.54モル、成分(a4)として(t−C)(CH)Si(OCH 0.27モルおよび成分(a5)としてAl(C 1.5モルを順次導入して30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする成分(a)390gを得た。このもののチタン含量は、1.8重量%であった。
(ii)重合
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブをプロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度70℃の条件下、トリエチルアルミニウム30g、水素70リットル、および前記触媒aを10g加えた。オートクレーブを内温75℃に昇温した後、プロピレンを21.0kg/時、水素を79.8L/時の速度で供給し、重合を開始した。150分後プロピレン、水素の導入を停止。圧力は重合開始時0.34kg/cmG、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で5.4kg/cmGまで上昇した。その後、器内の圧力が3.5kg/cmGまで低下するまで残重合を行った後、未反応ガスを0.3kg/cmまで放出した。この間、重合温度は75±1℃の範囲に維持した(1段重合)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にセットした後、n−ブタノールを16.0cc導入、次いで、プロピレンを9.4kg/時、エチレンを0.6kg/時の速度で供給し、2段重合を開始した。135分後プロピレン、エチレンの導入を停止。圧力は、プロピレン、エチレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で4.1kg/cmGまで上昇した。その後、器内の圧力が1.8kg/cmGまで低下するまで残重合を行った後、器内の未反応ガスを0.3kg/cmまで放出。この間、重合温度は65±1℃の範囲に維持した(2段重合)。
得られたスラリーは、次の攪拌機付き槽に移送し、ブタノールを5リットル加え、70℃で3時間処理し、更に次の攪拌機付き槽に移送、水酸化ナトリウム100gを溶解した純水100リットルを加え、1時間処理した後、水層を静置後分離、触媒残渣を除去した。スラリーは遠心分離機で処理し、ヘプタンを除去、80℃の乾燥機で3時間処理しヘプタンを完全に除去、56.4kgのプロピレン系重合体を得た。
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたプロピレン系(共)重合体(C−1)の各種分析結果を表6に示す。
(製造例C−2〜6)
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたプロピレン系(共)重合体(C−2)〜(C−6)の各種分析結果を表6に示す。
Figure 2010138211
(実施例1)
(1)配合
成分(A)として製造例A−1で得られたプロピレン系樹脂(A−1)、成分(B)として製造例B−1で得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)、成分(C)として製造例C−1で得られたプロピレン系(共)重合体(C−1)を、各々80wt%、10wt%、10wt%になるように計量して得たプロピレン系樹脂組成物をヘンシェルミキサーに投入後、さらにプロピレン系樹脂組成物100重量部に対し、下記酸化防止剤1を0.07重量部、下記酸化防止剤2を0.07重量部および中和剤を0.01重量部添加し、充分に撹拌混合し、コンパウンドを得た。
酸化防止剤1:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 イルガノックス1010)
酸化防止剤2:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 イルガホス168)
中和剤:ステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)製 Ca−St)
(2)造粒
得られたコンパウンドを、スクリュ口径30mmの池貝製作所製PCM二軸押出機にて、スクリュ回転数200rpm、吐出量10kg/hr、押出機温度190℃で溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することで原料ペレットを得た。
(3)積層シートの物性評価
得られた原料ペレットを、中間層用押出機として、口径30mm、L/D=28の単軸押出機、表層用押出機として、口径18mm、L/D=28の単軸押出機を用いてマンドレル口径50mm、Lip幅0.6mmのサーキュラーダイから設定温度200℃にて押出し、水冷して、1m/minの速度で成形し、厚み200μmの筒状成形体を得た。次に、得られた筒状成形体の片側サイドをカッターで切り積層シートとした後、該積層シートを23℃、50%RHの雰囲気下において24時間以上状態調整した。
表皮層は、MFR5.0g/10分のプロピレン単独重合体(日本ポリプロ社製ノバテックPP グレード名“FY4”)を用い、10μmの厚みで中間層に積層されている。
積層シートの物性を評価した。評価結果を表7に示す。
本発明の構成を満たす積層シートは、透明性、柔軟性および2次加工適正に優れるものであった。
(実施例2〜9)
プロピレン系樹脂(A−1)の代わりに、成分(A)として製造例A−2〜9で得られたプロピレン系樹脂(A−2)〜(A−9)を用いた以外は実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表7に示す。
本発明の構成を満たす積層シートは、透明性、柔軟性および2次加工適正に優れるものであった。
(比較例1)
エチレン−α−オレフィン共重合体(B−1)およびプロピレン系(共)重合体(C−1)を用いない以外は実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表9に示す。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B−1)およびプロピレン系(共)重合体(C−1)を用いない積層シートは、2次加工適正の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
(比較例2)
プロピレン系(共)重合体(C−1)を用いない以外は実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表9に示す。
プロピレン系(共)重合体(C−1)を用いない積層シートは、2次加工適正の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
(比較例3)
エチレン−α−オレフィン共重合体(B−1)を用いない以外は実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表9に示す。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B−1)を用いない積層シートは、柔軟性を付与するエチレン−α−オレフィン共重合体を配合していないため、柔軟性および落袋強度の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
(比較例4)
エチレン−α−オレフィン共重合体(B−1)の配合比率が本発明の構成の範囲外の40wt%である以外は実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表9に示す。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B−1)の配合比率が本発明の構成の範囲外の40wt%である積層シートは、成形が不安定となり膜厚が変動し、良好な積層シートを得ることができないものであった。
(比較例5)
プロピレン系(共)重合体(C−1)の配合比率が本願構成の範囲外の30wt%である以外は実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表9に示す。
プロピレン系(共)重合体(C−1)の配合比率が本願構成の範囲外の30wt%である積層シートは、高結晶成分を特定量含有したプロピレン系(共)重合体(C−1)を多く配合したために、透明性、柔軟性および落袋強度の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
(比較例6)
プロピレン系樹脂(A−1)の代わりに、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)のエチレン含有量E(A1)と融解ピーク温度Tm(A1)が本発明の範囲外であるプロピレン系樹脂(A−10)を用いた以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表9に示す。
本発明の範囲内のプロピレン系樹脂(A)を用いない積層シートは、2次加工適正および落袋強度の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
(比較例7)
プロピレン系樹脂(A−1)の代わりに、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)のエチレン含有量E(A1)と融解ピーク温度Tm(A1)が本発明の範囲外であるプロピレン系樹脂(A−11)を用いた以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表9に示す。
本発明の範囲内のプロピレン系樹脂(A)を用いない積層シートは、柔軟性および落袋強度の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
(比較例8)
プロピレン系樹脂(A−1)の代わりに、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)との配合割合が本発明の範囲外であるプロピレン系樹脂(A−12)を用いた以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表9に示す。
本発明の範囲内のプロピレン系樹脂(A)を用いない積層シートは、2次加工適正および落袋強度の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
(比較例9)
プロピレン系樹脂(A−1)の代わりに、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)との配合割合が本発明の範囲外であるプロピレン系樹脂(A−13)を用いた以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表10に示す。
本発明の範囲内のプロピレン系樹脂(A)を用いない積層シートは、柔軟性および落袋強度の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
(比較例10)
プロピレン系樹脂(A−1)の代わりに、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)のエチレン含有量E(A2)が本発明の範囲外であるプロピレン系樹脂(A−14)を用いた以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表10に示す。
本発明の範囲内のプロピレン系樹脂(A)を用いない積層シートは、柔軟性および落袋強度の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
(比較例11)
プロピレン系樹脂(A−1)の代わりに、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)のエチレン含有量E(A2)およびtanδ曲線における0℃以下のピーク数が本発明の範囲外であるプロピレン系樹脂(A−15)を用いた以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表10に示す。
本発明の範囲内のプロピレン系樹脂(A)を用いない積層シートは、透明性が著しく劣ることが解る。
(比較例12)
プロピレン系樹脂(A−1)の代わりに、MFR(A)が本発明の範囲外であるプロピレン系樹脂(A−16)を用いた以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表10に示す。
本発明の範囲内のプロピレン系樹脂(A)を用いない積層シートは、成形時に表面に荒れが生じて外観の悪いシートしか得られないものであった。
(比較例13)
プロピレン系樹脂(A−1)の代わりに、MFR(A)が本発明の範囲外であるプロピレン系樹脂(A−17)を用いた以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表10に示す。
本発明の範囲内のプロピレン系樹脂(A)を用いない積層シートは、成形が不安定で膜厚変動が生じた。
(実施例10〜13)
エチレン−α−オレフィン共重合体(B−1)の代わりに、成分(B)として製造例B−2〜5で得られたエチレン−α−オレフィン共重合体(B−2)〜(B−5)を用いた以外は実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表8に示す。
本発明の構成を満たす積層シートは、透明性、柔軟性および2次加工適正に優れるものであった。
(比較例14)
エチレン−α−オレフィン共重合体(B−1)の代わりに、密度が本発明の範囲外であるエチレン−α−オレフィン共重合体(B−6)を用いた以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表10に示す。
本発明の範囲内のエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を用いない積層シートは、成形が不安定で膜厚変動が生じた。
(比較例15)
エチレン−α−オレフィン共重合体(B−1)の代わりに、MFRが本発明の範囲外であるエチレン−α−オレフィン共重合体(B−7)を用いた以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表10に示す。
本発明の範囲内のエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を用いない積層シートは、柔軟性および落袋強度の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
(実施例14、15)
プロピレン系(共)重合体(C−1)の代わりに、成分(C)として製造例C−2〜C−3で得られたプロピレン系(共)重合体(C−2)〜(C−3)を用いた以外は実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表8に示す。
本発明の構成を満たす積層シートは、透明性、柔軟性および2次加工適正に優れるものであった。
(比較例16)
プロピレン系(共)重合体(C−1)の代わりに、融解ピーク温度Tm(C)が本発明の範囲外であるプロピレン系(共)重合体(C−11)を用いた以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表10に示す。
本発明の範囲内のプロピレン系(共)重合体(C)を用いない積層シートは、2次加工適正および落袋強度の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
(実施例16〜19)
プロピレン系(共)重合体(C−1)の代わりに、成分(C)として市販のプロピレン系(共)重合体(C−7)〜(C−10)を用いた以外は実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表8に示す。
本発明の構成を満たす積層シートは、透明性、柔軟性および2次加工適正に優れるものであった。重量物包装用途には充分な性能を有しているものの、プロピレン系(共)重合体(C−7)〜(C−10)は、単段重合にて得られたものであるため、多段重合にて得られたプロピレン系(共)重合体(C−1)〜(C−3)と比べると、若干性能が劣っていることが確認された。
(参考例1〜3)
プロピレン系(共)重合体(C−1)の代わりに、成分(C)として製造例C−4〜C−6で得られたプロピレン系(共)重合体(C−4)〜(C−6)を用いた以外は実施例1と同様に、配合、造粒、積層シートを得、その物性評価を実施した。評価結果を表11に示す。
参考例1〜3により得られる積層シートは、多段重合にて得られたプロピレン系(共)重合体(C−4)〜(C−6)を使用している。多段重合にて得られたプロピレン系(共)重合体(C)を使用する場合は、プロピレン系(共)重合体(C)が、下記条件(C1−i)を満たすプロピレン系(共)重合体成分(C1)と、下記条件(C2−i)〜(C2−iii)を満たすエチレン−プロピレン共重合体成分(C2)とから構成されているかを充分に留意する必要がある。
(1)プロピレン系(共)重合体成分(C1)
(C1−i)プロピレン系(共)重合体(C)中の配合比率が65〜75wt%であること
(2)エチレン−プロピレン共重合体成分(C2)
(C2−i)重量平均分子量が80万〜300万の範囲であること
(C2−ii)エチレン含量が4〜8wt%の範囲であること
(C2−iii)プロピレン系(共)重合体(C)中の配合比率が25〜35wt%であること
上記の構成を満足していると、単段重合にて得られるプロピレン系(共)重合体(C)を用いるよりも、良好な結果を得ることができるが、この構成を外れると性能が著しく低下する恐れがある。
参考例1は、用いたプロピレン系(共)重合体(C)が、上記条件(C1−i)と(C2−iii)とを満足していないため、得られる積層シートは、ムラが発生し、良好なシートは得られなかった。
参考例2は、用いたプロピレン系(共)重合体(C)が、上記条件(C1−i)と(C2−iii)とを満足していないため、得られる積層シートは、2次加工適正および落袋強度の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
参考例3は、用いたプロピレン系(共)重合体(C)が、上記条件(C2−i)を満足していないため、得られる積層シートは、2次加工適正および落袋強度の乏しいものであり、重量物包装用途には不適であることが解る。
Figure 2010138211
Figure 2010138211
Figure 2010138211
Figure 2010138211
Figure 2010138211
以上の各実施例と各比較例とを対照して考察すれば、本発明の構成における各規定を満たす、本発明の新規なプロピレン系樹脂組成物は、柔軟性、透明性、に優れ、多層成形時に界面荒れ等の外観不良、厚み変動が発生しにくいといった成形性に富み、過酷なヒートシール条件においても、溶融樹脂が流れ、薄肉化する現象が生じにくいために、強度や外観に優れる多層シートを得ることができることが明白である。
柔軟性、透明性に優れ、多層成形時に界面荒れ等の外観不良、厚み変動が発生しにくいといった2次加工適正に富み、過酷なヒートシール条件においても、溶融樹脂が流れ、薄肉化する現象が生じにくいために、強度や外観に優れる多層シートを得ることができるプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた多層シートは、スタンディングパウチや水物包装などの重量物包装用途、深絞り成形によって得られる容器用途に極めて有用である。

Claims (5)

  1. 下記条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン系樹脂(A)45〜85wt%、下記条件(B−i)〜(B−ii)を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体(B)10〜35wt%、および下記条件(C−i)を満たすプロピレン系(共)重合体(C)5〜20wt%を含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
    (A)プロピレン系樹脂
    (A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度Tm(A1)が125〜135℃、エチレン含有量E(A1)が1.5〜3.0wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含有量E(A2)が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)であること
    (A−ii)メルトフローレート(MFR(A):230℃、2.16kg)が4〜10g/10分の範囲であること
    (A−iii)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表すtanδ曲線のピークが0℃以下に単一のピークを示すこと
    (B)エチレン−α−オレフィン共重合体
    (B−i)密度が0.860〜0.900g/cmの範囲であること
    (B−ii)メルトフローレート(MFR(B):190℃、2.16kg)が2.0g/10分以上であること
    (C)プロピレン系(共)重合体
    (C−i)融解ピーク温度Tm(C)が150〜165℃の範囲であること
  2. プロピレン系(共)重合体(C)がさらに条件(C−ii)を満たすことを特徴とする請求項1記載のプロピレン系樹脂組成物。
    (C−ii)メルトフローレート(MFR(C):230℃、2.16kg)が2.0〜8.0g/10分の範囲であること
  3. プロピレン系(共)重合体(C)が条件(C1−i)を満たすプロピレン系(共)重合体成分(C1)と、条件(C2−i)〜(C2−iii)を満たすエチレン−プロピレン共重合体成分(C2)とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
    プロピレン系(共)重合体成分(C1)
    (C1−i)プロピレン系(共)重合体(C)中の配合比率が65〜75wt%であること
    エチレン−プロピレン共重合体成分(C2)
    (C2−i)重量平均分子量が80万〜300万の範囲であること
    (C2−ii)エチレン含量が4〜8wt%の範囲であること
    (C2−iii)プロピレン系(共)重合体(C)中の配合比率が25〜35wt%であること
  4. プロピレン系(共)重合体(C)がプロピレン系(共)重合体成分(C1)とエチレン−プロピレン共重合体成分(C2)とを多段重合により製造されたものであることを特徴とする請求項3記載のプロピレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物を用いることを特徴とする多層シート。
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