JP6948814B2 - ポリプロピレン組成物を含む多層フィルムまたはシート - Google Patents
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Description
[1]コア層、およびその両面上に設けられた外層を備え、
当該外層とコア層の厚み比が1:30〜1:100であるシートまたはフィルムであって、
前記外層が、エチレンおよびC4〜C10−α−オレフィンからなる群より選択されるコモノマー0〜5.0重量%を含むプロピレン(共)重合体を含み、
前記コア層が、
成分(1)として、プロピレン単独重合体と、エチレンおよびC4〜C10−α−オレフィンからなる群より選択されるコモノマーを含むプロピレン共重合体とのブレンドであって、両者の重量比が10〜97:90〜3でありかつ当該ブレンド中の当該コモノマー含有量が0.1〜3重量%であるブレンド、ならびに
成分(2)として、60〜90重量%のエチレンと、1種類以上のC3〜C10−α−オレフィンとの共重合体からなるエチレン共重合体、
を含むポリプロピレン組成物を含み、
当該ポリプロピレン組成物が以下の(i)〜(iii)を備える
(i)前記成分(1):成分(2)の重量比が、60〜90:40〜10
(ii)メルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が1.0〜10g/10分
(iii)XSIV(キシレン可溶分の極限粘度)が0.05〜2.0dl/g、
多層シートまたはフィルム。
[2]前記ポリプロピレン組成物が、成分(1)中に成分(2)が分散している相構造を有する[1]に記載の多層シートまたはフィルム
[3]前記成分(1)におけるコモノマーがエチレンである、[1]または[2]に記載の多層シートまたはフィルム。
[4]前記成分(2)におけるα−オレフィンが、プロピレンまたはブテン−1である、[1]〜[3]のいずれかに記載の多層シートまたはフィルム。
[5]前記外層のプロピレン(共)重合体におけるコモノマーがエチレンである、[1]〜[4]のいずれかに記載の多層シートまたはフィルム。
[6] 前記ポリプロピレン組成物が核剤を含まないか、あるいは前記成分(1)と(2)の合計100重量部に対して、0.3重量部以下の核剤を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の多層シートまたはフィルム。
[7]前記外層におけるプロピレン(共)重合体が、当該重合体100重量部に対して、1.0重量部以下の核剤を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の多層シートまたはフィルム。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の多層シートまたはフィルムの製造方法であって、
工程(X):前記外層用のプロピレン(共)重合体を準備する工程、
工程(Y):前記コア層用のポリプロピレン組成物を準備する工程、ならびに
工程(Z):当該プロピレン(共)重合体およびコア層用のポリプロピレン組成物を共押出して多層シートまたはフィルムを形成する工程(Z1)、あるいは
当該プロピレン(共)重合体のフィルムまたはシート、および当該ポリプロピレン組成物フィルムまたはシートを準備して、これらをプレス成形して多層シートまたはフィルムを形成する工程(Z2)、を備え、
前記工程(Y)が、前記エチレンおよびC4〜C10−α−オレフィンからなる群より選択されるコモノマーを含むプロピレン共重合体の存在下で成分(2)の原料モノマーを重合して重合ブレンド1を調製することを含む、製造方法。
[9]前記工程(Y)が、プロピレン単独重合体の存在下で成分(2)の原料モノマーを重合して重合ブレンド2を調製し、前記重合ブレンド1と重合ブレンド2を混合することをさらに含む、[8]に記載の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X〜Y」は、両端の値すなわちXとYとを含む。「XまたはY」はX、Yのいずれか、あるいは双方を含む。
本発明のシート等は、コア層およびその両面上に設けられた外層を備える。図1に当該シート等の概要を示す。図1中、10はコア層、20は外層である。外層20とコア層10の厚み比は1:30〜1:100であり、好ましくは1:35〜1:90である。当該比が下限値未満であると製造安定性が低下し、上限値を超えると耐寒衝撃性が低下する。外層20はコア層の上面と下面に2つ存在するが、反りを低減する観点からこれらの厚み比は1:0.8〜1:1.2であることが好ましく、1:1であることがより好ましい。シート等の厚みはシート等の構成する層の合計の厚みである。
コア層10は成分(1)および成分(2)を含むポリプロピレン組成物を含む。成分(1)は、プロピレン単独重合体とプロピレン共重合体とのブレンドである。成分(2)はエチレン共重合体である。成分(1)と成分(2)の重量比は60〜90:40〜10であり、好ましくは65〜85:35〜15である。成分(2)の量が上限を超えるとシート等の剛性が低下し、下限未満であるとシート等の耐寒衝撃性が低下する。
成分(1)はプロピレン単独重合体とプロピレン共重合体とのブレンドである。両者の重量比は10〜97:90〜3でありかつ当該ブレンド中の当該コモノマー含有量は0.1〜3重量%である。すなわち、成分(1)中、プロピレン単独重合体の含有量は10〜97重量%である。当該含有量が下限値未満であると剛性が低下し、上限値を超えると透明性、耐寒衝撃性、および剛性のバランスを良好にするための成形条件が限定される。この観点から、プロピレン単独重合体の含有量は40〜90重量%が好ましい。またプロピレン共重合体はランダム共重合体であることが好ましい。
成分(2)はエチレンと1種類以上のC3〜C10−α−オレフィンとの共重合体からなるエチレン共重合体である。エチレンの含有量は60〜90重量%であるが、好ましくは65〜85重量%である。エチレン含有量が上限値を超えると得られるシート等の耐寒衝撃性が低下し、下限値未満であるとシート等の透明性が低下する。α−オレフィンはC3〜C10のα−オレフィンであるが、産業上、安価かつ安定的に流通され、かつ入手が比較的容易であることの観点からプロピレンまたはブテン−1が好ましい。
ポリプロピレン組成物は、当該組成物100重量部に対して1.0重量部以下、好ましくは0.3重量部以下の核剤を含んでいてもよいが、含まないことがより好ましい。ここでいう核剤とは樹脂中の結晶成分のサイズを小さく制御して透明性を高めるために用いられる添加剤(透明核剤)である。核剤の量が上限値を超えると、本発明の効果が発現し難くなる場合がある。
[MFR]
ポリプロピレン組成物は1.0〜10g/10分のメルトフローレート(「MFR」ともいう)を有する。メルトフローレートは230℃、荷重21.18Nで測定される。メルトフローレートが上限値を超えると成形時に耐ドローダウン性が低下し、下限値未満であると成形時の負荷が大きくなる。
ポリプロピレン組成物は0.05〜2.0dl/gのXSIVを有する。XSIVとは、ポリプロピレン組成物の25℃でのキシレン可溶分の極限粘度である。キシレン可溶分は結晶性を持たない成分であり、XSIVはその成分の分子量の指標である。キシレン可溶分の主体は成分(2)に由来する。当該組成物におけるXSIVは25℃のキシレンに可溶な成分を得て、当該成分の極限粘度を定法にて測定することで求められる。XSIVが上限値を超えると得られるシート等の透明性が低下し、下限値未満であると製造安定性が低下する。
ポリプロピレン組成物は、成分(1)中に成分(2)が分散している相構造を有することが好ましい。マトリックスである成分(1)がプロピレン単独重合体とプロピレン共重合体のブレンドであるかどうかは、DSCによって確認できる。例えば特開2011−184686の段落0037に記載の方法に従ってDSC分析を行うことで確認できる。具体的には、本発明で用いるポリプロピレン組成物を、極大加熱温度が順次低くなるように加熱と冷却を複数回繰り返した後に再加熱した際の熱分析による融解曲線が以下のx〜zを満たす場合、成分(1)がプロピレン単独重合体とプロピレン共重合体のブレンドである。
x)融解ピーク温度が165℃以上である。
y)170℃以上で融解する成分の割合が5%以上である。
z)160℃以下で融解する成分の割合が15%以上である。
便宜上、成分(1)のプロピレン単独重合体を「成分(1h)」、プロピレン共重合体を「成分(1c)」という。成分(1h)、成分(1c)、および成分(2)からなるポリプロピレン組成物は任意の方法で製造できる。例えば以下の方法で製造できる。
方法4−1:成分(1c)の重合体の存在下で成分(2)の原料モノマーを重合してブレンドを調製する工程、成分(1h)の原料モノマーを重合して重合体を得る工程、および前記ブレンドと重合体を混合する工程、を含む方法。
方法4−2:成分(1c)の重合体の存在下で成分(2)の原料モノマーを重合してブレンド1を得る工程、成分(1h)の重合体の存在下で成分(2)の原料モノマーを重合してブレンド2を得る工程、および両者を混合する工程、を含む方法。
外層は、エチレンおよびC4〜C10−α−オレフィンからなる群より選択されるコモノマー0〜5.0重量%を含むプロピレン(共)重合体を含む。すなわち、外層はプロピレン単独重合体またはプロピレンランダム共重合体を含む。ランダム共重合体においてコモノマーの含有量は5.0重量%以下であればよいが、1.0〜4.0重量%であることが好ましい。コモノマーの量が上限値を超えると得られるシート等の製造安定性が低下する。プロピレン単独重合体およびランダム共重合体は公知の方法で製造できる。プロピレンランダム共重合体におけるコモノマーは産業上、安価かつ安定的に流通され、かつ入手が比較的容易であることの観点からエチレンが好ましい。上記プロピレン(共)重合体は、1.0〜10g/10分のメルトフローレート(230℃、荷重21.18Nで測定)を有することが好ましい。メルトフローレートが上限値を超えると成形時に耐ドローダウン性が低下し、下限値未満であると成形時の負荷が大きくなる。
第1中間層は本発明の効果を損なわない限り任意のポリマーを含んでよい。例えば、本発明の3層からなるシート等をリサイクルして得たリターン材や、本発明の5層からなるシート等をリサイクルして得たリターン材を使用できる。第2中間層についても同様である。
本発明のシート等は、優れた透明性と耐寒衝撃性と剛性を有する。従来から非常に限られた成形条件を選択することで優れた透明性と耐寒衝撃性を兼ね備えるシート等を得ることが検討されている。しかし、本発明においては通常の成形条件においても、優れた透明性と耐寒衝撃性を兼ね備えたシート等を得ることができる。この理由は限定されないが、成分(1)中に成分(2)が分散している相構造を有するコア層が優れた耐寒衝撃性を発現する一方で小さな内部ヘイズを有し、融点が大きく異なる成分が存在しないため表面に凹凸が生じない外層が小さな外部ヘイズを有する結果、シート全体が優れた透明性を発現するためと推察される。
本発明のシート等は以下の工程を備える方法で製造されることが好ましい。
工程(X):前記外層用のプロピレン(共)重合体を準備する工程、
工程(Y):前記コア層用のポリプロピレン組成物を準備する工程、ならびに
工程(Z):当該プロピレン(共)重合体およびコア層用のポリプロピレン組成物を共押出して多層シートまたはフィルムを形成する工程(Z1)、あるいは
当該プロピレン(共)重合体のフィルムまたはシート、および当該ポリプロピレン組成物フィルムまたはシートを準備して、これらをプレス成形して多層シートまたはフィルムを形成する工程(Z2)。
ポリプロピレン組成物の製造方法(工程(Y))については前述のとおりである。工程(X)についても公知の方法で実施できる。ここでは当該工程における重合の詳細について説明する。本発明において重合は、原料モノマーを、(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体化合物を含有する固体触媒、(B)有機アルミニウム化合物、ならびに(C)外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて実施することが好ましい。
固体触媒は、公知の方法、例えばマグネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体化合物を相互接触させることにより調製できる。マグネシウム化合物とチタン化合物については公知の物を使用できる。電子供与体化合物は一般には「内部電子供与体」と称される。内部電子供与体としては、フタレート系化合物、スクシネート系化合物、ジエーテル系化合物が挙げられ、本発明においてはいずれも使用できる。
成分Bの有機アルミニウム化合物としては、公知の物を使用できる。
成分Cの電子供与体化合物は、一般に「外部電子供与体」と称される。本発明においては、公知の物を用いてよいが有機ケイ素化合物が好ましい。
重合は、液相中、気相中または液−気相中で実施してよい。重合圧力は、液相中で行われる場合には好ましくは25〜45barの範囲であり、気相中で行われる場合には好ましくは5〜30barの範囲である。連鎖移動剤(たとえば、水素またはZnEt2)などの当該分野で公知の慣用の分子量調節剤を用いてもよい。
本発明のシート等は準備したポリマーを用いてプレス成形または共押出成形によって製造できる。プレス時の温度は通常の温度である200〜230℃としてよい。また共押出時の押出温度およびTダイ温度も、それぞれ通常の温度である200〜230℃および210〜250℃としてよい。また、前述のとおり本発明のシート等は二次成形(延伸、真空成形等)を行う際に、比較的広い成形温度において安定して高透明性を達成できる。よって、例えば延伸温度は140〜170℃としてよい。
本発明のシート等は所望の形状に成形されて、種々の用途に使用できる。例えば、本発明のシート等は包装材料、容器用材料、特に食品容器として有用である。例えば、真空成形等によりシート等を容器へ成形できる。得られた容器は、透明性および耐寒衝撃性に優れるので、氷や氷菓用の容器、冷却飲料の容器として有用である。
1.重合体の調製
(1)外層用重合体
[重合体A1]
重合に用いる固体触媒を、欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により調製した。当該固体触媒は、MgCl2上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを上記の特許公報に記載された方法で担持させたものである。当該固体触媒と、トリエチルアルミニウム(TEAL)およびジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)を、固体触媒に対するTEALの重量比が11、TEAL/DIPMSの重量比が3.2となるような量で、−5℃で5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行った。
得られた予重合物を重合反応器に導入した後、水素とプロピレン、エチレンをフィードし、重合温度、水素濃度、エチレン濃度を、それぞれ75℃、0.12モル%、0.45モル%とし、圧力を調整することよって、プロピレン−エチレン共重合体を製造した。当該重合体は1.7重量%のエチレンを含むプロピレン−エチレンランダム共重合体である。当該重合体のパウダー100重量部に、核剤としてMillad 3988(ソルビトール系、ミリケンジャパン株式会社製)0.25重量部添加し、酸化防止剤としてBASF社製B225を0.2重量部、中和剤として淡南化学社製カルシウムステアレートを0.05重量部添加し、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌して混合した。この混合物を、ナカタニ機械株式会社製NVCφ50mm単軸押出機を用いて、シリンダ温度230℃で押出し、ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットしペレット状のプロピレン樹脂組成物を得て、重合体A1とした。重合体A1は核剤を含むポリプロピレン組成物である。
上記重合体A1のパウダーを用い、核剤を添加しなかった以外は、重合体A1と同様にして重合体A2を得た。重合体A2は、核剤を含まないプロピレンエチレン共重合体であり、共重合体組成および特性(核剤によるものを除く)は重合体A1の共重合体組成および特性と同じである。
ジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)の代わりにシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)を用い、固体触媒に対するTEALの質量比を8、TEAL/CHMMSの質量比を6.5とし、エチレンをフィードせず、水素濃度を0.024モル%とした以外は、重合体A1と同様にしてプロピレン単独重合体を製造した。得られた重合体のパウダー100重量部に、核剤としてMillad 3988の代わりにMillad NX8000J(ノニトール系、ミリケンジャパン株式会社製)を0.25重量部添加した以外は、重合体A1と同様にして重合体A3を得た。重合体A3は核剤を含むポリプロピレン組成物である。
核剤を添加しなかった以外は重合体A3と同様に製造した。重合体A4は核剤を含まないポリプロピレン組成物である。
[重合体B1]
MgCl2上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、欧州特許第728769号公報の実施例5に記載された方法により調製した。次いで、上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行った。得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、プロピレンとエチレンをフィードし、プロピレンの液相状態にてプロピレンエチレン共重合体を製造し、二段目の気相重合反応器でエチレン・ブテン−1共重合体を製造した。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。
重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、エチレン濃度、水素濃度が、それぞれ70℃、0.84モル%、0.06モル%、二段目の反応器では、重合温度、H2/C2、C4/(C2+C4)が、それぞれ80℃、0.26モル比、0.48モル比であった。また、共重合体成分の量が18重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。得られた重合体のパウダー100重量部に、核剤としてMillad 3988の代わりにアデカスタブNA−71(リン酸エステル系、株式会社ADEKA製)を0.25重量部添加した以外は、重合体A1と同様にして重合体B1を得た。重合体B1は、プロピレン−エチレンランダム共重合体マトリックス中に、エチレン−ブテン−1共重合体が分散し、かつ核剤を含むポリプロピレン組成物である。
一段目の反応器の重合温度、水素濃度を、それぞれ70℃、0.04モル%、二段目の反応器の重合温度、H2/C2、C4/(C2+C4)を、それぞれ80℃、0.24モル比、0.52モル比とし、共重合体成分の量が30重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整するとともに、得られた重合体のパウダーに核剤を添加しなかった以外は、重合体A1と同様にして重合体B2を得た。重合体B2はプロピレン単独重合体マトリックス中に、エチレン−ブテン−1共重合体が分散し、核剤を含まないポリプロピレン組成物である。
一段目の反応器の水素濃度を0.09モル%とし、核剤を添加しなかった以外は重合体B1と同様に製造した。重合体B3はプロピレン−エチレンランダム共重合体マトリックス中に、エチレン−ブテン−1共重合体が分散し、核剤を含まないポリプロピレン組成物である。
上記重合体B2のパウダー100重量部に、アデカスタブNA−71(リン酸エステル系、株式会社ADEKA製)を0.50重量部添加した以外は、重合体B2と同様にして重合体Cを得た。重合体Cは、プロピレン単独重合体マトリックス中に、エチレン−ブテン−1共重合体が分散し、かつ核剤を含むポリプロピレン組成物である。
このようにして準備した重合体の組成を表1にまとめた。
前述の重合体を、予め25mmφ3種3層フィルム・シート成形機(サーモ・プラスチック工業株式会社製)を用いて、成形温度230℃で成形し、厚み0.01〜0.9mmのフィルムまたはシートを得て、外層用単層フィルムまたはシートおよびコア層用単層シートとした。これらを重ね合わせてさらにプレス成形して(150、160℃にて加圧10MPa×30秒、30℃冷却×150秒)、積層体(3層シート)を製造した(いずれも大きさ10cm×10cm以上)。3層シートの厚みは0.8〜0.9mmであった。
(1)MFR
JIS K 7210に準じ、温度230℃、荷重21.18Nの条件下で測定した。
(2)XSIV
サンプル2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250ml入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間、撹拌し、サンプルを完全溶解した。その後、溶液を25℃で1時間冷却した。濾紙を用いて得られた溶液を濾過し、濾液を100ml採取し、アルミカップ等に移し、窒素パージを行いながら、150℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置してキシレン可溶分を得た。ウベローデ型粘度計を用いて、当該キシレン可溶分の135℃テトラヒドロナフタレン中で極限粘度を測定し、XSIV(dl/g)を得た。
上記成形により得た積層体を150℃または160℃で120秒加熱し、Bruckner社製フィルム延伸装置(KARO)を用いて2軸延伸を行ない、厚さ0.2mmのフィルム状積層体を得た。ISO 14782に準拠して、株式会社村上色彩技術研究所製、HM−150を使用し、前述のとおりにして得たフィルム状積層体のヘイズ測定を行い、透明性を評価した。同時に成形および冷却条件に由来するシート表面の凹凸の影響を除外するため、シートの両面に流動パラフィン(関東化学株式会社製、Liquid Paraffin Cat. No.32033−00)を刷毛にて塗布し、同様にヘイズ測定を行った。前者を「全ヘイズ」、後者を「内部ヘイズ」と定義した。またシート表面の寄与を見るため、「外部ヘイズ」(「全ヘイズ」−「内部ヘイズ」)を定義した。
JIS K7211−2に従い、2軸延伸を行っていない前記積層体を円柱形状のストライカー(打刻面12.7mmφ)を用いて試験速度1m/秒で−20℃にて打刻し、パンクチャーエネルギーを算出した。
JIS K7106に従い、2軸延伸を行っていない前記積層体のスティフネスを室温23℃の元でテーバー社製スティフネステスター(TB−150)を用いて測定した。
1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子株式会社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した値から算出した。
表2−1に示す重合体を用いて3層シートを製造し評価した。例えば、実施例1では、外層が重合体A1、コア層が重合体B1とB2のブレンドで構成される3層シートを製造した。重合体B1とB2は、ドライブレンドした後、フィルム・シート成形機の押出機(シリンダー)中で混合(溶融混練)された。コア層における成分(1)と(2)の重量比は71.2:28.8、成分(1)におけるプロピレン単独重合体とプロピレン共重合体の重量比は88:12、成分(1)中のエチレン含有量は0.37重量%であった。成分(2)であるエチレン−ブテン−1共重合体中のエチレンとブテンの重量比は75.2:24.8であった。
表2−2に示す重合体を用いて単層シートを製造し評価した。
[比較例3〜5]
表2−2に示す重合体を用いて3層シートを製造し評価した。
本発明のシートは透明性、耐寒衝撃性、および剛性のバランスに優れていることが明らかである。特に、実施例1と8の比較から、コア層が透明核剤を含まない方が高い透明性を与えることが明らかである。また実施例2と9の比較から、重合体B1を重合体A2に置き換えると剛性は向上するが透明性はやや低下することが明らかである。さらに、成分(1)中のコモノマー量を増量した実施例10では透明性は向上したが剛性は低下した。
実施例1、5、および比較例4で得た2軸延伸を行っていない積層体について、延伸温度140、165℃にて2軸延伸を行ってシートを得て、透明性(全ヘイズ)を評価した。延伸温度150、160℃の結果と合わせて図4に示す。
20 外層
30 第1中間層
40 第2中間層
Claims (9)
- コア層、およびその両面上に設けられた外層を備え、
当該外層とコア層の厚み比が1:30〜1:100であるシートまたはフィルムであって、
前記外層が、エチレンおよびC4〜C10−α−オレフィンからなる群より選択されるコモノマー0〜5.0重量%を含むプロピレン(共)重合体を含み、
前記コア層が、
成分(1)として、プロピレン単独重合体と、エチレンおよびC4〜C10−α−オレフィンからなる群より選択されるコモノマーを含むプロピレン共重合体とのブレンドであって、両者の重量比が10〜97:90〜3でありかつ当該ブレンド中の当該コモノマー含有量が0.1〜3重量%であるブレンド、ならびに
成分(2)として、60〜90重量%のエチレンと、1種類以上のC3〜C10−α−オレフィンとの共重合体からなるエチレン共重合体、
を含むポリプロピレン組成物であって、成分(1)のプロピレン単独重合体、プロピレン共重合体、またはブレンドの存在下で成分(2)の原料モノマーを重合して得られたポリプロピレン組成物を含み、
当該ポリプロピレン組成物が以下の(i)〜(iii)を備える
(i)前記成分(1):成分(2)の重量比が、60〜90:40〜10
(ii)メルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が1.0〜10g/10分
(iii)XSIV(キシレン可溶分の極限粘度)が0.05〜2.0dl/g、
多層シートまたはフィルム。 - 前記ポリプロピレン組成物が、成分(1)中に成分(2)が分散している相構造を有する、請求項1記載の多層シートまたはフィルム
- 前記成分(1)におけるコモノマーがエチレンである、請求項1または2に記載の多層シートまたはフィルム。
- 前記成分(2)におけるα−オレフィンが、プロピレンまたはブテン−1である、請求項1〜3のいずれかに記載の多層シートまたはフィルム。
- 前記外層のプロピレン(共)重合体におけるコモノマーがエチレンである、請求項1〜4のいずれかに記載の多層シートまたはフィルム。
- 前記ポリプロピレン組成物が核剤を含まないか、あるいは
前記成分(1)と(2)の合計100重量部に対して、0.3重量部以下の核剤を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の多層シートまたはフィルム。 - 前記外層におけるプロピレン(共)重合体が、当該重合体100重量部に対して、1.0重量部以下の核剤を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の多層シートまたはフィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の多層シートまたはフィルムの製造方法であって、
工程(X):前記外層用のプロピレン(共)重合体を準備する工程、
工程(Y):前記コア層用のポリプロピレン組成物を準備する工程、ならびに
工程(Z):当該プロピレン(共)重合体およびコア層用のポリプロピレン組成物を共押出して多層シートまたはフィルムを形成する工程(Z1)、あるいは
当該プロピレン(共)重合体のフィルムまたはシート、および当該ポリプロピレン組成物フィルムまたはシートを準備して、これらをプレス成形して多層シートまたはフィルムを形成する工程(Z2)、を備え、
前記工程(Y)が、前記エチレンおよびC4〜C10−α−オレフィンからなる群より選択されるコモノマーを含むプロピレン共重合体の存在下で成分(2)の原料モノマーを重合して重合ブレンド1を調製することを含む、製造方法。 - 前記工程(Y)が、プロピレン単独重合体の存在下で成分(2)の原料モノマーを重合して重合ブレンド2を調製し、前記重合ブレンド1と重合ブレンド2を混合することをさらに含む、請求項8に記載の製造方法。
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