JP2003267913A - (トリフルオロメチル)ケイ皮酸類の製造方法 - Google Patents

(トリフルオロメチル)ケイ皮酸類の製造方法

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JP2003267913A
JP2003267913A JP2002374043A JP2002374043A JP2003267913A JP 2003267913 A JP2003267913 A JP 2003267913A JP 2002374043 A JP2002374043 A JP 2002374043A JP 2002374043 A JP2002374043 A JP 2002374043A JP 2003267913 A JP2003267913 A JP 2003267913A
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benzaldehyde
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xylene
cinnamic acid
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Michio Ishida
道夫 石田
Masakatsu Tsukamoto
将功 塚本
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業的に入手の容易な物質を原料として、純
度の高い(トリフルオロメチル)ケイ皮酸類を簡便に、
かつ効率良く製造する。 【解決手段】 キシレン中において、(トリフルオロメ
チル)ベンズアルデヒド類に対し、等量若しくは小過剰
量の無水酢酸及び酢酸カリウムを混合し、60℃〜20
0℃に加熱する。原料が十分消費されたことを確認後、
反応混合物に水を加えて2相分離する操作を少なくとも
3回実施する。キシレン相を冷却して目的物の結晶を析
出させた後、キシレンを用いた再結晶もしくは洗浄操作
を行い、乾燥する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬・農薬の中間
体として、また含フッ素基導入試薬として有用な(トリ
フルオロメチル)ケイ皮酸類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式[2]で表される(トリフルオロ
メチル)ケイ皮酸類
【0003】
【化3】
【0004】(式中、nは1または2を表す。Lは各々
独立して、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アルキル
基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基(これらの
アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基
は、炭素数が1〜20であり、炭素鎖に分岐を有しても
よく、炭素どうしの結合の一部が二重結合になっていて
もよい)、またはこれら前記の基が環上に置換基として
結合していてもよいアリール基を表す。nが1のときp
は0〜4の整数であり、nが2のときpは0〜3の整数
である。)の製造方法として、3−(トリフルオロメチ
ル)ブロモベンゼンを原料として、これに酢酸パラジウ
ム、ホスフィン類ならびに塩基の存在下、アクリル酸を
作用させ、3−(トリフルオロメチル)ケイ皮酸を得る
方法が知られている(非特許文献1)。また、活性の向
上した含フッ素パラジウム錯化合物を触媒として(トリ
フルオロメチル)ブロモベンゼン類、塩基およびアクリ
ル酸を混合し、反応させる方法が知られている(特許文
献1)。
【0005】
【非特許文献1】Metalloorg.Khim.
(1989)、911〜914のケミカルアブストラク
ト(ケミカルアブストラクト、1989年、第112
巻、第157787号)。
【特許文献1】特開2000−229912号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記、非特許文献1と
特許文献1の方法において原料に用いられる(トリフル
オロメチル)ブロモベンゼン類には複数種類の異性体が
存在する。これらの異性体の沸点はお互いに近接してい
るため、特定の異性体を高い純度で単離することは困難
である。原料中の異性体の反応性は類似しているため、
得られる(トリフルオロメチル)ケイ皮酸類も、対応す
る複数の異性体の混合物となる。この混合物の中から、
特定の異性体のみを高い純度で得ようとすると、反応後
の精製操作に過大な負荷がかかる。
【0007】すなわち、純度の高い(トリフルオロメチ
ル)ケイ皮酸類を工業的に製造するためには、入手の容
易な化合物を出発原料として、より効率良く製造する手
段を見いだすことが必要課題であった。
【0008】
【課題を解決するための具体的手段】本発明者らはかか
る問題点に鑑み、(トリフルオロメチル)ケイ皮酸類を
工業的に合成する方法につき、鋭意、検討を行った。そ
の結果、一般式[1]で表される(トリフルオロメチ
ル)ベンズアルデヒド類
【0009】
【化4】
【0010】(式中、nは1または2を表す。Lは各々
独立して、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨー
ド)基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ
基、アルコキシカルボニル基(これらのアルキル基、ア
ルコキシ基、アルコキシカルボニル基は、炭素数が1〜
20であり、炭素鎖に分岐を有していてもよく、炭素ど
うしの結合の一部が二重結合になっていてもよい)、ま
たはこれら前記の基が環上に置換基として結合していて
もよいアリール基を表す。nが1のときpは0〜4の整
数であり、nが2のときpは0〜3の整数である。)
に、無水酢酸と金属酢酸塩とを混合して反応させると、
一般式[2]で表される(トリフルオロメチル)ケイ皮
酸類が高収率で得られ、分離の難しい不純物が生成しな
いため、反応終了後の精製も容易であることを見いだし
た。本発明者らはさらに、この反応をキシレンを溶媒と
して行うと特に円滑に実施できることを見いだし、本発
明を完成したものである。本発明の方法によれば、通常
に入手できる化合物を出発原料として、99%を超える
純度の(トリフルオロメチル)ケイ皮酸類をもごく容易
に得ることができる。
【0011】すなわち本発明は、一般式[1]で表され
るトリフルオロメチルベンズアルデヒド類に無水酢酸と
金属酢酸塩とを混合し、反応させることを特徴とし、ま
た特にその反応がキシレン中で実施されることを特徴と
する、一般式[2]で表される(トリフルオロメチル)
ケイ皮酸類の新規製造手段を提供する。
【0012】以下、本発明につき詳細に説明する。本発
明における、一般式[1]で表される(トリフルオロメ
チル)ベンズアルデヒド類は芳香環に1個のアルデヒド
基(−CHO)と、1個または2個のトリフルオロメチ
ル基を有することを特徴とする。芳香環上に他の置換基
(L)を有していても良いが、このLは無水酢酸と金属
酢酸塩の共存下で不活性な基に限定され、具体的には各
々独立して、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨ
ード)基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキ
シ基、アルコキシカルボニル基(これらのアルキル基、
アルコキシ基、アルコキシカルボニル基は、炭素数が1
〜20(好ましくは炭素数が1〜10,さらに好ましく
は1〜6)であり、炭素鎖に分岐を有していてもよく、
炭素どうしの結合の一部が二重結合になっていてもよ
い)、またはこれら前記の基が環上に置換基として結合
していてもよいアリール基のことである。
【0013】一般式[1]で表される(トリフルオロメ
チル)ベンズアルデヒド類は具体的には、2−(トリフ
ルオロメチル)ベンズアルデヒド、3−(トリフルオロ
メチル)ベンズアルデヒド、4−(トリフルオロメチ
ル)ベンズアルデヒド、2,3−ビス(トリフルオロメ
チル)ベンズアルデヒド、 2,4−ビス(トリフルオ
ロメチル)ベンズアルデヒド、2,5−ビス(トリフル
オロメチル)ベンズアルデヒド、2,6−ビス(トリフ
ルオロメチル)ベンズアルデヒド、3,4−ビス(トリ
フルオロメチル)ベンズアルデヒド、3,5−ビス(ト
リフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2−ニトロ−5
−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2−メチ
ル−5−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2
−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒ
ド、2−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ベンズ
アルデヒド、2−メトキシ−3,5−ビス(トリフルオ
ロメチル)ベンズアルデヒド等が挙げられるが、これら
に限定されない。本発明において何れの(トリフルオロ
メチル)ベンズアルデヒドを原料としても、当該化合物
中のアルデヒド基(−CHO)が−CH=CH−COO
H基に変換され、その他の基は変化を受けない、対応す
るケイ皮酸誘導体を選択的に得ることができる。
【0014】これらの中でも3−(トリフルオロメチ
ル)ベンズアルデヒドを原料として3−(トリフルオロ
メチル)ケイ皮酸を得る反応、ならびに4−(トリフル
オロメチル)ベンズアルデヒドを原料として4−(トリ
フルオロメチル)ケイ皮酸を得る反応は、原料の入手の
特に容易なこと、生成物の有用性の特に顕著なことか
ら、特に好ましい例として挙げられる。
【0015】本発明に使用する金属酢酸塩としては酢酸
ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カ
ルシウムなどの汎用の金属酢酸塩が挙げられる。中でも
酢酸カリウムは安価であり、取り扱いやすいことから特
に好ましい。
【0016】各試薬の混合比に特別な制限はないが、各
試薬の中では(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド
が相対的に高価で、無水酢酸と金属酢酸塩は安価なこと
から、(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドに対し
て無水酢酸と金属酢酸塩をやや過剰に用い、(トリフル
オロメチル)ベンズアルデヒドの反応転化率を高めるの
が好ましい。具体的には(トリフルオロメチル)ベンズ
アルデヒド1モルに対し、無水酢酸と金属酢酸塩をそれ
ぞれ1〜2モル用いることが好ましい。
【0017】溶媒には格段の制限はなく、無溶媒でも行
うこともできる。しかし原料の(トリフルオロメチル)
ベンズアルデヒドが液体であるのに対し、目的物の(ト
リフルオロメチル)ケイ皮酸は100℃以下では固体で
あるから、本反応系では反応の経過と共に系内に固体成
分が増大する。したがって本発明の反応は溶媒中で実施
する方が好ましい。ここで本発明者らは溶媒として、非
水溶性の非プロトン性有機溶媒であって、かつ極性を持
つものを用いると、各試薬が溶媒に適度に溶解し、反応
が速く円滑に進み、好ましいことを見いだした。具体的
にはトルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチル
ベンゼン類、ジエチルベンゼン類、メチルシクロヘキサ
ン、1−メチルシクロヘキセン、クロロベンゼン、ブロ
モベンゼン、塩化ベンジル、ベンゾトリフルオリド、ビ
ス(トリフルオロメチル)ベンゼン類など、本発明の反
応条件で分解せず、沸点が概ね70℃以上200℃以下
の溶媒が取扱いやすい。
【0018】特にキシレン中で反応を行うと、反応混合
物が着色しにくいため、キシレンを溶媒として使用する
ことが特に好ましい。キシレンに対しては、目的物(ト
リフルオロメチル)ケイ皮酸類の溶解度が温度に大きく
依存し、100℃以上では高い溶解性を示すが、反応後
に冷却すると目的物が析出して、取扱いやすいスラリー
を形成するため、精製操作が行いやすいという利点もあ
る。キシレンとは、o−キシレン、m−キシレン、p−
キシレン、または工業用キシレン(o−キシレン、m−
キシレン、p−キシレンおよびエチルベンゼンの約2
0:45:20:15の混合物)のことで、これらの何
れも好適に用いることができる。このうちo−キシレ
ン、m−キシレン、および工業用キシレンは0℃付近で
も固結することがなく、取扱いやすいので特に好まし
い。キシレンを溶媒として用いる場合、その量は(トリ
フルオロメチル)ベンズアルデヒド1kgに対して、
0.4kg〜5.0kgが好ましく、0.5kg〜1.
5kgが特に好ましい。0.4kg未満であると、キシ
レン中に(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドや
(トリフルオロメチル)ケイ皮酸が十分に溶解せず、敢
えて溶媒を使用する効果が十分に得られないので好まし
くない。また5.0kgより多く用いても反応性はほと
んど向上せず、経済的に不利であるから好ましくない。
【0019】反応温度(内部の液体の温度)は60℃〜
200℃の範囲であるが、100℃〜150℃が特に好
ましい。60℃未満であると反応が遅く、また溶媒を用
いた場合にも、原料や生成物が十分な溶解性を示さず、
取扱いにくく、また溶媒を使用する利点も十分得られな
いことから好ましくない。一方、200℃を超えると反
応混合物が着色しやすく、副生物も生じやすいから好ま
しくない。
【0020】本発明は、溶媒の存在下または非存在下
で、上記(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、無
水酢酸および金属酢酸塩を混合し、所定の温度で撹拌を
継続することにより達せられる。各試薬は一時に混合し
てもよいが、(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒ
ド、無水酢酸または金属酢酸塩のうちの何れか2種の試
薬を予め混合した混合物に、残りの1種類の試薬を連続
的、あるいは逐次的に添加する方が反応温度の制御がし
やすく、好ましい。例えば、反応器にキシレン、無水酢
酸、酢酸カリウムの所定量を予め投入し、撹拌しながら
所定温度まで加熱した後に、(トリフルオロメチル)ベ
ンズアルデヒドを逐次的あるいは連続的に導入するのは
好ましい方法である。
【0021】反応時間には特別な制限はなく、条件によ
って最適の反応時間は異なるので、薄相クロマトグラフ
ィー、ガスクロマトグラフィーなどの方法で反応混合物
の組成を測定しながら反応を行い、原料の(トリフルオ
ロメチル)ベンズアルデヒドが十分に減少したことを確
認後、終了するのが望ましい。キシレンを使用して10
0〜150℃で反応を行い、(トリフルオロメチル)ベ
ンズアルデヒドが当初の5%に減少するまで反応を継続
する場合、要する時間は典型的には2〜8時間である。
【0022】なお、本反応は空気中でも、窒素、ヘリウ
ム、アルゴンなどの不活性気体中でも行うことができ
る。これらの気体の共存によって、反応性、着色などの
挙動にほとんど差異が見られないので、通常、空気中で
行えばよい。
【0023】反応終了後の精製操作は通常の方法によれ
ばよく、特別な制限はない。しかし本反応系には無水酢
酸、金属酢酸塩、副生物である酢酸が共存することか
ら、反応混合物を水洗することが効果的である。この水
洗操作は、反応終了時、目的物がキシレン等の非水溶性
溶媒中に溶けた状態(概ね80℃以上の状態)で、水/
有機溶媒の不均一溶媒系として行ってもよいし、室温付
近まで冷却して目的物を析出させた後、水/固体の不均
一系として行ってもよい。水洗は3回以上行うのが効果
的であり、そのうちの1回は塩酸等、強酸での洗浄を行
うと、金属酢酸塩の除去がより効果的に行える。前者の
場合、水相の除去は2相分離によればよく、後者の場合
は、吸引ろ過器や遠心分離器を用いたろ過法により、目
的物を含む固体を捕集すればよい。なお前者の場合、2
相分離後に、得られた有機相を室温付近に冷却すれば、
目的物が析出しスラリーが得られるので、これをろ過す
れば、目的物を主成分とする固体を捕集することができ
る。
【0024】上記、得られた固体中には、(トリフルオ
ロメチル)ベンズアルデヒドその他の有機性不純物が含
まれる。これらを除去するためには、キシレン等の有機
溶媒で洗浄するか、再結晶を行えばよい。本反応系では
再結晶を行わなくても、吸引ろ過を行いながら、ロート
上でキシレン等の溶媒をかけて洗浄するだけでも99%
の純度を超える(トリフルオロメチル)ケイ皮酸を得ら
れる場合が多い。
【0025】精製操作の終わった固体を減圧乾燥するこ
とにより、溶媒または水が除去され、(トリフルオロメ
チル)ケイ皮酸の白色結晶が得られる。
【0026】本発明により得られた(トリフルオロメチ
ル)ケイ皮酸は、その後、塩化チオニル等の塩素化剤で
塩素化すると、一般式[3]
【0027】
【化5】
【0028】(式中、n、L、pの意味は前記に同じ)
で表される(トリフルオロメチル)ケイ皮酸クロリドを
得ることができる。さらにこの(トリフルオロメチル)
ケイ皮酸クロリドをアンモニアガスあるいはアンモニア
水と反応させると、含フッ素有機中間体として有用な、
一般式[4]
【0029】
【化6】
【0030】(式中、n、L、pの意味は前記に同じ)
で表される(トリフルオロメチル)ケイ皮酸アミドを得
ることができる。本発明の方法によって製造した、一般
式[2]で表される(トリフルオロメチル)ケイ皮酸
は、異性体等、分離の難しい不純物を含有しないため、
その後の工程によって製造される、一般式[3]または
一般式[4]で表される誘導体も、純度の高い物質とし
て容易に得ることができる。
【0031】
【実施例】以下に、本発明を実施例を以て説明するが、
本発明はこれらの実施例により限定されない。
【0032】[実施例1]3−(トリフルオロメチル)
ケイ皮酸の製造 撹拌器、乾留管、滴下ロート、温度計を備えたガラス製
の4口フラスコ(1リットル)に酢酸カリウム117g
(1.20mol)、無水酢酸153g(1.50mo
l)および工業用キシレン145gを投入し、撹拌しな
がら加熱した。混合物の内部温度が120℃となった
ら、3−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(純
度99.1%)164g(0.934mol)を滴下ロ
ートで30分間かけて滴下した(その間、反応液の内温
は120〜140℃に維持した)。その後、反応液の内
温130〜140℃にて5時間、撹拌を継続し、反応を
終了した。
【0033】反応終了後、キシレンを144g追加し、
撹拌を続けて内部温度を120℃に安定させた。続いて
水26gを逐次的に添加した。この操作時には発熱が伴
うので、撹拌を行いつつ、液の内温を120〜140℃
の範囲に保ちつつ、ゆっくりと行った。水の滴下完了
後、放冷して80℃になった直後に、反応混合物を速や
かに2リットルの4口フラスコに移動させた。
【0034】この、4口フラスコに移動した混合液に、
80℃の温水を229g加え、80℃で30分撹拌した
後、同温度で30分静置し、2相分離を行った(水相を
廃棄)。次に、得られた有機相に、35%塩酸37g
と、80℃の温水218gを添加し、80℃で30分撹
拌した後、同温度で30分静置し、2相分離を行った
(塩酸相を廃棄)。得られた有機相に、80℃の温水を
255g加え80℃で30分撹拌した後、同温度で30
分静置し、2相分離を行った(水相を廃棄)。
【0035】次いで、得られた有機相を20℃に冷却
し、12時間撹拌を続けたところ、スラリーが得られ
た。有機相を5℃に冷却し、さらに1時間撹拌を継続
し、スラリーを熟成させた。
【0036】続いて得られたスラリーをブフナー式真空
ろ過器に注ぎ、固体成分をロート上に捕集した。吸引を
行いながら、10℃に冷やした工業用キシレン90gを
この固体にゆっくりとかけて、洗浄を行った。
【0037】捕集された固体を60℃、1300〜26
00Paにて、6時間、真空乾燥したところ、白色粉末
121gを得た。ガスクロマトグラフィーおよび液体ク
ロマトグラフィーにより、この固体の組成を分析したと
ころ、どちらの分析手段によっても3−(トリフルオロ
メチル)ケイ皮酸の純度は99.9%であった(0.5
61mol)(単離収率60.0%)。
【0038】[実施例2]4−(トリフルオロメチル)
ケイ皮酸の合成 撹拌器、還流管、温度計を備え、試薬を逐次で添加する
ことのできる定量ポンプに接続したステンレス製の反応
器(50リットル)に酢酸カリウム4.71kg(4
8.1mol)、無水酢酸6.14kg(60.1mo
l)および工業用キシレン5.81kgを投入し、撹拌
しながら加熱した。混合物の内部温度が120℃となっ
たら、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド
(純度99.9%)6.53kg(37.5mol)を
定量ポンプを用いて30分かけて導入した(その間、反
応液の内温は120〜140℃に維持した)。その後、
反応液の内温130〜140℃にて5時間、撹拌を継続
し、反応を終了した。
【0039】反応終了後、キシレンを5.89kg追加
し、続いて水10.4kgを逐次的に添加した。水の滴
下完了後、液温を100〜135℃に保ち2時間撹拌を
継続した。室温まで放冷したところ次第に固体が析出
し、スラリーが形成された。次いで、この混合物に35
%塩酸水溶液を5.0kg加え、室温で1時間、撹拌を
続けた。
【0040】この混合物をろ過して固体を捕集した。こ
の固体を8kgの工業用キシレン中に投入し、室温下1
時間、撹拌を行った。
【0041】次いでこのキシレンとの2相混合物をろ過
して、固体を捕集し、1kgのキシレンを少量ずつかけ
ながら洗浄した。
【0042】得られた固体を20リットルの温水(80
℃)を加えて、1時間撹拌した後、ろ過し、固体を捕集
した。
【0043】捕集された固体を60℃、1300Paに
て、20時間、真空乾燥したところ、白色粉末5.30
kgを得た。ガスクロマトグラフィーおよび液体クロマ
トグラフィーにより、この固体の組成を分析したとこ
ろ、どちらの分析手段によっても4−(トリフルオロメ
チル)ケイ皮酸の純度は99.9%であった(24.4
mol)(単離収率65.0%)。
【0044】
【発明の効果】本発明は、(トリフルオロメチル)ケイ
皮酸類を簡便に効率良く製造する手段を提供する。本発
明の方法によれば、分離の難しい不純物が生成しないた
め、高純度の目的物を製造する上で特に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC25 BA02 BA32 BA69 BB11 BJ50 BS10 4H039 CA65 CF30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[1]で表される(トリフルオロ
    メチル)ベンズアルデヒド類 【化1】 に無水酢酸と金属酢酸塩とを混合し、反応させることを
    特徴とする、一般式[2]で表される(トリフルオロメ
    チル)ケイ皮酸類の製造方法。 【化2】 (式[1]、式[2]中、nは1または2を表す。Lは
    各々独立して、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アル
    キル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基(これ
    らのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル
    基は、炭素数が1〜20であり、炭素鎖に分岐を有して
    もよく、炭素どうしの結合の一部が二重結合になってい
    てもよい)、またはこれら前記の基が環上に置換基とし
    て結合していてもよいアリール基を表す。nが1のとき
    pは0〜4の整数であり、nが2のときpは0〜3の整
    数である。)
  2. 【請求項2】 (トリフルオロメチル)ベンズアルデヒ
    ドが3−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドであ
    ることを特徴とする、請求項1に記載の、3−(トリフ
    ルオロメチル)ケイ皮酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 (トリフルオロメチル)ベンズアルデヒ
    ドが4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドであ
    ることを特徴とする、請求項1に記載の、4−(トリフ
    ルオロメチル)ケイ皮酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応をキシレン中で行うことを特徴とす
    る、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の(トリフル
    オロメチル)ケイ皮酸類の製造方法。
JP2002374043A 2002-01-08 2002-12-25 (トリフルオロメチル)ケイ皮酸類の製造方法 Pending JP2003267913A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004106282A1 (ja) * 2003-05-30 2004-12-09 Central Glass Company, Limited (トリフルオロメチル)ケイ皮酸アミドの製造方法
CN114917850A (zh) * 2022-06-13 2022-08-19 宁夏恒力生物新材料有限责任公司 一种长碳链二元酸发酵液水相提纯的装置及方法

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