JP2003257093A - 光情報記録媒体の製造方法 - Google Patents
光情報記録媒体の製造方法Info
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Abstract
積層体表面にキズをつけないようにして、前記薄膜フィ
ルムを前記積層体の表面に載置して貼り合わせる貼り合
わせ工程を有する光情報記録媒体の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 基板上に少なくとも光反射層および記録
層が順次形成された積層体の前記記録層側の表面に対
し、薄膜フィルムの貼り合わせ面を略平行にしながら、
前記積層体の表面に前記薄膜フィルムを載置して貼り合
わせる貼り合わせ工程を有することを特徴とする光情報
記録媒体の製造方法である。
Description
製造方法に関し、特に、薄膜フィルムを貼り合わる貼り
合わせ工程を有する光情報記録媒体の製造方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】レーザ光を用いて情報を記録し、または
再生する光情報記録媒体(以下、「光ディスク」という
場合がある)としては、CD−R(Compact D
isc−recordable)、CD(Compac
t Disc)、DVD(digital versa
tile disc)、DVD−R(digitalv
ersatile disc−recordable)
等が既に普及しているが、近年、光ディスクに対して
は、映像情報等さらに大量のデータを格納したいという
要望があり、高密度化の検討が進んでいる。このような
光ディスクに対する記録密度は、おおむねディスク上の
光ビームのスポットサイズで決まり、このスポットサイ
ズは、レーザ波長をλ、対物レンズの開口数をNAとす
ると、λ/NAに比例する。このため、光ディスクに対
する記録密度を高めるためには、レーザ光の短波長化お
よび対物レンズの高NA化が必要となる。しかし、光デ
ィスクの傾きにより発生するコマ収差はNAの3乗に比
例して大きくなるため、高NA化によってディスクの傾
きに対するマージンが極めて小さくなり、わずかな傾き
でビームがぼやけ、高密度化が実現できなくなる。従っ
て、高密度化に対応した光ディスクでは、例えば、特開
平11−31337号公報に開示されているように、レ
ーザ光の透過層であるカバー層を十分薄いもの(例え
ば、0.1mm程度のもの)とし、高NA化に伴うディ
スクの傾きによるコマ収差の増加を抑制する必要があ
る。 【0003】十分に薄いカバー層を形成するには、例え
ば、基板上に光反射層および記録層等が形成された積層
体をスピンコータのターンテーブル上に載置し、前記積
層体上に紫外線硬化樹脂等からなる接着剤を塗布し、該
接着剤を介して前記積層体上に前記カバー層としての透
明の薄膜フィルムを載置する。その後、ターンテーブル
を高速回転させて積層体と薄膜フィルムとの間の接着剤
を延展してこれを薄膜化した後、ターンテーブル上から
紫外線照射装置へ搬送し、紫外線を照射して薄膜化した
接着剤を硬化させる。これにより、積層体上にフィルム
が接着されて光ディスクが製造される。 【0004】ところで、薄膜フィルムを積層体上に載置
するには、薄膜フィルムの中央に設けられた穴を支持し
て搬送する搬送手段により行われるのが一般的である。
しかし、当該搬送手段では、支持している部分が薄膜フ
ィルムの中央部だけであり、また、薄膜フィルムの厚さ
も非常に薄いため、その自重で外周部が下方に垂れ下が
ってしまう。従って、この状態で搬送されたきたまま薄
膜フィルムを積層体上に載置すると、薄膜フィルム外周
部が中央部よりも先に積層体表面に接するため、該積層
体表面にキズをつける可能性があった。特に、DVR−
blue(ソニー(株)が提唱する高密度記録媒体 2
2.5GB/枚)のような層構成においては、積層体の
最表面層が記録層であるため、該記録層にキズをつけ、
エラー発生の原因となる可能性がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】以上から、本発明は、
薄膜フィルムを貼り合わせる際に記録層等の積層体表面
にキズをつけないようにして、前記薄膜フィルムを前記
積層体の表面に載置して貼り合わせる貼り合わせ工程を
有する光情報記録媒体の製造方法を提供することを目的
とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題は、以下に示す
本発明により解決することができる。すなわち、本発明
は、基板上に少なくとも光反射層および記録層が順次形
成された積層体の表面に対し、薄膜フィルムの貼り合わ
せ面を略平行にしながら、前記積層体の表面に前記薄膜
フィルムを載置して貼り合わせる貼り合わせ工程を有す
ることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法である。
また、本発明の光情報記録媒体の製造方法においては、
前記貼り合わせ工程の前に、基板上に光反射層を形成す
る光反射層形成工程、記録層を形成する記録層形成工程
等の工程が設けられる。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明の光情報記録媒体の製造方
法は、基板上に少なくとも光反射層および記録層が順次
形成された積層体の表面に対し、薄膜フィルムの貼り合
わせ面を略平行にしながら、前記積層体の表面に前記薄
膜フィルムを載置して貼り合わせる貼り合わせ工程を有
する。また、前記貼り合わせ工程の前には、前記基板上
に前記光反射層を形成するための光反射層形成工程、前
記光反射層上に前記記録層を形成する記録層形成工程、
を始めとした光情報記録媒体を製造するための種々の公
知の工程が設けられる。以下、各工程について詳細に説
明する。 【0008】<貼り合わせ工程>貼り合わせ工程は、基
板上に光反射層および記録層等を形成して積層体とした
後、前記記録層等の光情報記録媒体の内部を保護するた
めに、前記積層体の記録層側の表面にカバー層としての
薄膜フィルムを貼り合わせる工程である。 【0009】前記薄膜フィルムとしては、透明な材質で
あれば、特に限定されないが、好ましくは、ポリカーボ
ネート、三酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリ塩化ビニル等の材質からなることが好ましい。
なお、「透明」とは、記録光および再生光に対して、該
光を透過する(透過率:90以上)ほどに透明であるこ
とを意味する。薄膜フィルムの厚さは、0.03〜0.
15mmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.
12mmの範囲であることがより好ましい。このような
範囲とすることにより、薄膜フィルムを貼り合わせる工
程における薄膜フィルムの取り扱いが容易となり、しか
も、コマ収差を抑えることができるという利益が得られ
る。 【0010】薄膜フィルムの貼り合わせは、以下に説明
するようにして行う。まず、基板とは反対側の積層体表
面に接着剤を塗布する。その後、積層体表面に対し、薄
膜フィルムの貼り合わせ面を略平行にしながら、前記積
層体の表面に前記薄膜フィルムを載置し、スピンコート
等をしながら貼り合わせる。ここで、「略平行」とは、
積層体表面に対し、薄膜フィルムの貼り合わせ面が平行
な状態である場合だけでなく、薄膜フィルムの貼り合わ
せ面がその中心から半径方向に向かって上側に反った状
態をもいう。略平行にしながら、薄膜フィルムを載置し
て貼り合わせることにより、薄膜フィルム外周部が中央
部よりも先に積層体表面に接することを防止できるの
で、該積層体表面をキズつけることがない。略平行な状
態に保ちながら当該薄層フィルムの貼り合わせるには、
種々の方法が考えられるが、図1、図3および図4に示
すようなスピンコータを用いたスピンコート法を適用し
て行うことが好ましい。 【0011】図1(a)は、当該貼り合わせ工程におけ
る薄層フィルムの貼り合わせに使用するスピンコータの
一例を示す概略構成図である。当該スピンコータには、
肉厚円板状のターンテーブル2が設けられている。ター
ンテーブル2の上面部の載置面に、積層体3が載置され
る。この載置面の中心部には、ターンテーブル2の軸心
であるスピンドル4の一部が突出して設けられている。
スピンドル4の突出部は、その外径が積層体3のセンタ
ーホールの内径よりも僅かに小径とされており、積層体
3が載置面上に載置されるとそのセンターホール内へ挿
入されて、積層体3をターンテーブル2と同軸的となる
ように位置決めする。また、スピンドル4の突出部に
は、図1(b)に示すように、中心から半径方向に向か
ってガスを供給するガス供給孔4aが設けられている。
それぞれのガス供給孔4aの間には、搬送アーム51の
ディスク連結部51aが連結する溝が設けられている。
ターンテーブル2にはその下面中心部に回転軸5が同軸
的に連結されており、この回転軸5にはターンテーブル
2を回転させるためのステッピングモータ(図示省略)が
直接、またはトルク伝達機構を介して連結されている。 【0012】一方、搬送アーム51は、図示しないディ
スク搬送装置と連動し上下左右に移動可能で、積層体3
および薄膜フィルム61をターンテーブル2の載置面に
載置したり、スピンコート後の積層体3および薄膜フィ
ルム61を紫外線照射装置に搬送したりする。この搬送
アーム51の先端部には略円筒状のディスク連結部51
aが連結されており、ディスク連結部51aが積層体3
等のセンターホールにその爪を引っかけて支持・搬送す
る。 【0013】当該スピンコータを使用して薄膜フィルム
61を貼り合わせるには、まず、図1(a)に示すよう
に、搬送アーム51により積層体3をターンテーブル2
の載置面に載置する。ターンテーブル2の載置面には、
複数の円環状の吸引溝が設けられており(図示省略)、
該吸引溝は、ターンテーブル2内に設けられたパイプ状
の連通路を通して真空ポンプ等の真空発生装置(図示省
略)に接続されている。前記真空発生装置は、ターンテ
ーブル2上に積層体3が載置されると吸引溝内へ負圧を
供給し、積層体3を載置面上に吸引固定する。 【0014】次に、ディスペンサ6を通じて接着剤を供
給する。ディスペンサ6から接着剤の供給時には、ディ
スペンサ6はセンターホールから所定距離だけ外周側と
なるように位置調整され、ターンテーブル2を低速回転
(10〜100rpm)させながらディスペンサ6から
接着剤を滴下する。これにより、ディスペンサ6から滴
下された接着剤はセンターホールから所定距離外周側で
リング状となって積層体3表面に付着する。なお、積層
体3上への接着剤の供給時に、ターンテーブル2を回転
させることなく、ディスペンサ6を周方向に沿って移動
させつつ接着剤を滴下してもよい。 【0015】該接着剤としては、UV硬化樹脂、EB硬
化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましく、特
に、UV硬化樹脂を使用することが好ましい。供給する
接着剤の量は、最終的に形成される接着層の厚さが、
0.1〜100μmの範囲、好ましくは0.5〜50μ
mの範囲、より好ましくは10〜30μmの範囲になる
ように調整する。 【0016】接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合
は、該UV硬化樹脂をそのまま、もしくはメチルエチル
ケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を
調製し、ディスペンサ6から積層体3表面に供給しても
よい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止す
るため、接着層を構成するUV硬化樹脂は硬化収縮率の
小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂として
は、例えば、大日本インキ化学工業(株)社製の「SD
−640」、「SD−661」、「SD−694」、
「SD−318」、「SD−347」、「SD−69
3」、「SD−715」、「EX−8204」、「EX
−8205」、「EX−8206」、;日本化成(株)
製の「UVF−001」;VANTICO社製の「XD
−451F−1」;Desolite社製の「650−
021」;日本化薬(株)製の「カヤラッドDVD−0
03」「カヤラッドDVD−180」「カヤラッドDV
D−230」「カヤラッドKCD−805」;スリーボ
ンド社製の「30Y−375C−2」「30Y−435
T」「30Y−266B1」;三菱レイヨン(株)製の
「ダイヤビームFS−6107」;東亜合成(株)社製
の「Luxtrak LCR0691」;等のUV硬化
樹脂を挙げることができる。 【0017】次に、搬送アーム51により薄膜フィルム
61を積層体3上にゆっくり下降させる。このとき、ガ
ス供給孔4aから半径方向に向かってガスを供給する。
このようにガスを供給することによって、薄膜フィルム
61の貼り合わせ面が、積層体3の表面と略平行となる
ので、既述のように、薄膜フィルム61外周部が中央部
よりも先に積層体3表面に接することを防止できる。従
って、積層体3の表面をキズつけることがない。供給す
るガスとしては、積層体3に塗布した接着剤を変質させ
なければ、特に限定されないが、空気、あるいは帯電を
防止する除電風等を使用することが好ましい。また、ガ
スの供給速度は、ガス供給孔のスリット形状や他の条件
によって適宜調整することが好ましい。 【0018】薄膜フィルム61のセンターホール内へス
ピンドル4の突出部を挿入し、薄膜フィルム61をター
ンテーブル2と同軸的になるように位置決めし、図2に
示すように、薄膜フィルム61を積層体3上に載置す
る。これにより、薄膜フィルム61が略平行の状態で積
層体3上に載置される。 【0019】次に、ターンテーブル2を高速(3000
〜10000rpm)で回転させる。これにより、積層
体3および薄膜フィルム61がターンテーブル2と一体
となって回転し、積層体3および薄膜フィルム61の間
の接着剤が遠心力により外周側へ延展し薄膜化される。
このとき、余剰の接着剤は、外周側へ飛散しターンテー
ブル2の周辺部に付着するが、硬化前の接着剤は十分流
動性を有しており、容易に除去および回収が可能であ
る。 【0020】また、図1のスピンコータと同様な効果を
得るため、図3に示すスピンコータを使用してもよい。
当該スピンコータは、スピンドル4の突出部でなく回転
軸5の周囲にガスを供給するガス供給孔31が設けられ
ている。図1のスピンコータと同様に、ガス供給孔31
から一定速度でガスを供給することにより、薄膜フィル
ム61の貼り合わせ面が、積層体3の表面と略平行とな
るので、既述のように、薄膜フィルム61外周部が中央
部よりも先に積層体3表面に接することを防止でき、積
層体3表面をキズつけることがない。なお、図3に示す
符号と、図1に示す符号が同一の部材は、それぞれ、同
一の機能を有する部材を意味する。 【0021】さらに、図1に示す搬送アーム51を図4
(a)に示すように、薄膜フィルム61の片側面を吸引
し保持できる吸引保持面51bを設けた構成としてもよ
い。すなわち、図4(b)に示すように、吸引保持面5
1bに薄膜フィルム61を吸引保持するための吸引孔5
2設け、吸引孔52から負圧を加える構成としてもよ
い。なお、この場合、図1(b)に示すようなガス供給
孔4aは任意で、必要に応じて設けることができる。ま
た、図4に示す符号と、図1に示す符号が同一の部材
は、それぞれ、同一の機能を有する部材を意味する。 【0022】図4に示すスピンコータで、薄膜フィルム
61を貼り合わせるには、吸引保持面51bにより薄膜
フィルム61の片側面を吸引し保持しながら、薄膜フィ
ルム61のセンターホール内へスピンドル4の突出部を
挿入し、ターンテーブル2と同軸的になるように位置決
めし、薄膜フィルム61を接着剤が塗布された積層体3
上に載置すればよい。吸引保持面51bは、積層体3表
面と平行になっているので、薄膜フィルム61を略平行
の状態で積層体3上に載置することができる。このよう
にすることで、薄膜フィルム外周部が中央部よりも先に
積層体表面に接することを防止できるので、該積層体表
面をキズつけることがない。また、図5に示すように、
吸引保持面51bを中心から半径方向に上側へ反るよう
な態様とすれば、薄膜フィルム61も中心から半径方向
に上側へ反るため、薄膜フィルム61をさらに効率よく
略平行状態で積層体3上に載置することが可能である。 【0023】その他に、薄膜フィルム61に静電気を帯
びさせて電気的引力によりこれを搬送し、略平行状態で
積層体3上に載置する等の方法を適用してもよい。以上
のような装置の特徴部分を適宜組合せることで、薄膜フ
ィルム61を略平行状態で貼り合わせることができる。 【0024】<光反射層形成工程>光反射層形成工程
は、後述する基板のプリグルーブが形成された面に光反
射性物質からなる光反射層を形成する工程である。前記
基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として
用いられている各種の材料を任意に選択して使用するこ
とができる。具体的には、ガラス;ポリカーボネート、
ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化
ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エ
ポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステ
ル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所
望によりこれらを併用してもよい。上記材料の中では、
耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、アモルフ
ァスポリオレフィン、ポリカーボネートが好ましく、ポ
リカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、
1.1±0.3mmとすることが好ましい。 【0025】基板には、トラッキング用の案内溝または
アドレス信号等の情報を表わす凹凸(プリグルーブ)が
形成されている。より高い記録密度を達成するためには
CD−RやDVD−Rに比べて、より狭いトラックピッ
チのプリグルーブが必要となる。例えば、DVR−bl
ueのような媒体構成として使用する場合には、プリグ
ルーブのトラックピッチは、200〜400nmの範囲
とすることを必須とし、好ましくは、250〜350n
mの範囲となる。また、プリグルーブの深さ(溝深さ)
は、20〜150nmの範囲とすることを必須とし、好
ましくは、50〜130nmの範囲となる。 【0026】なお、後述する光反射層が設けられる側の
基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、
下塗層を形成することが好ましい。該下塗層の材料とし
ては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸
・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共
重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリ
ルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロル
スルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化
ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイ
ミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢
酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤
等の表面改質剤;を挙げることができる。下塗層は、上
記材料を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製
した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、
エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に
塗布することにより形成することができる。下塗層の層
厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ま
しくは0.01〜10μmの範囲である。 【0027】光反射層は、レーザ光に対する反射率が高
い光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプ
レーティングすることにより基板上に形成することがで
きる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nm
の範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ま
しい。なお、前記反射率は、70%以上であることが好
ましい。 【0028】反射率が高い光反射性物質としては、M
g、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、
Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、C
d、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、P
o、Sn、Bi等の金属および半金属あるいはステンレ
ス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単
独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、ま
たは合金として用いてもよい。これらのうちで好ましい
ものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alお
よびステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、A
g、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましく
は、Au、Agあるいはこれらの合金である。 【0029】<記録層形成工程>記録層形成工程は、前
記光反射層上に記録層を形成する工程である。当該記録
層は、波長600nm以下のレーザ光により情報の記録
が可能で、記録物質としての色素を含有していることが
好ましい。当該記録層に含有される色素としては、シア
ニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色
素、フタロシアニン色素等が挙げられる。 【0030】また、特開平4−74690号公報、特開
平8−127174号公報、同11−53758号公
報、同11−334204号公報、同11−33420
5号公報、同11−334206号公報、同11−33
4207号公報、特開2000−43423号公報、同
2000−108513号公報、および同2000−1
58818号公報等に記載されている色素も好適に用い
られる。 【0031】記録層は、色素等の記録物質を、結合剤等
と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこ
の塗布液を基板表面に形成された光反射層上に塗布して
塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。塗
布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜15質量
%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範
囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ま
しくは0.5〜3質量%の範囲である。 【0032】塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸
エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケト
ン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタ
ン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルム
アミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水
素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン
等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプ
ロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等の
アルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノ
ール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール
エーテル類;等を挙げることができる。上記溶剤は使用
する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種
以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中に
はさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各
種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。 【0033】結合剤を使用する場合に、該結合剤の例と
しては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、
ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の
炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニ
ル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メ
チル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化
ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘
導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性
樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることが
できる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、
結合剤の使用量は、一般に記録物質に対して0.01倍
量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.
1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにし
て調製される塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.
01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5
質量%の範囲にある。 【0034】塗布方法としては、スプレー法、スピンコ
ート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート
法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げるこ
とができる。記録層は単層でも重層でもよい。また、記
録層の層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、
好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好まし
くは50〜100nmの範囲にある。 【0035】記録層には、該記録層の耐光性を向上させ
るために、種々の褪色防止剤を含有させることができ
る。褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチ
ャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、
既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用す
ることができる。その具体例としては、特開昭58−1
75693号公報、同59−81194号公報、同60
−18387号公報、同60−19586号公報、同6
0−19587号公報、同60−35054号公報、同
60−36190号公報、同60−36191号公報、
同60−44554号公報、同60−44555号公
報、同60−44389号公報、同60−44390号
公報、同60−54892号公報、同60−47069
号公報、同63−209995号公報、特開平4−25
492号公報、特公平1−38680号公報、および同
6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許3503
99号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号
第1141頁等に記載のものを挙げることができる。 【0036】前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止
剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質
量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の
範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好
ましくは5〜25質量%の範囲である。 【0037】以上のように、少なくとも、光反射層形成
工程、記録層形成工程、貼り合わせ工程を経た後は、積
層体とカバー層としての薄膜フィルムとの間に存在する
接着剤を硬化させることで光情報記録媒体とされる。例
えば、接着剤として紫外線硬化樹脂を使用した場合の接
着は、紫外線の照射はパルス型の光照射器(好ましく
は、UV照射器)を用いて行うのが好ましい。パルス間
隔はmsec以下が好ましく、μsec以下がより好ま
しい。1パルスの照射光量は特に制限されないが、3k
W/cm2以下が好ましく、2kW/cm2以下がより好
ましい。また、照射回数は特に制限されないが、20回
以下が好ましく、10回以下がより好ましい。 【0038】以上、記録物質として色素等の有機化合物
を含有する記録層を備えた光情報記録媒体の製造方法の
例について説明したが、記録層は、相変化により記録を
行う相変化記録層、光磁気により記録を行う光磁気記録
層であってもよい。例えば、相変化記録層とする場合に
は、誘電体層はZnS−SiO2等から構成し、光透過
層の代わりに誘電体層を設ける。また、相変化記録層に
は、記録物質としてSb、Te、Ag、In等のカルコ
ゲナイド等の金属化合物を使用することができる。 【0039】 【実施例】本発明を以下に示す実施例により具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0040】(実施例1)厚さ1.2mm、直径120
mmのスパイラル状のグルーブ(深さ75nm、幅0.
5μm、トラックピッチ1600nm)を有する射出成
形ポリカーボネート樹脂(帝人社製ポリカーボネート、
商品名パンライトAD5503)基板のグルーブを有す
る面上に、DCマグネトロンスパッタリングによりAg
からなる光反射層(厚さ:80nm)を形成した(光反
射層形成工程)。その後、下記化学式(1)で表わされ
る色素1gを2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プ
ロパノール148g中に添加し、2時間超音波照射を行
って溶解して、色素塗布液を調製した。この色素塗布波
を、図1に示すスピンコータによりスピンコート法によ
り回転数300rpmから4000rpmまで変化させ
ながら、23℃50%RHの条件で塗布して、記録層を
形成し、積層体を作製した(記録層形成工程)。 【0041】 【化1】 ・・・化学式(1) 【0042】作製した積層体の記録層上に接着剤(大日
本インキ化学工業(株)製:SD640)を、60rp
mの回転数でスピンコートし、回転を止めた後、薄膜フ
ィルムとしてポリエチレンテレフタレート(PET)フ
ィルム(厚さ:62μm)を略平行にしながら載置し
た。その後、4400rpmの回転数で回転させて前記
接着剤を記録層とPET薄膜フィルムとの間に延展さ
せ、貼り合わせを行った(貼り合わせ工程)。なお、P
ETフィルム貼り合わせは、図1に示すスピンコーター
のスピンドル4の突出部に設けたガス供給孔4aから外
周に向けて空気流を送り、その空気流の力でPET薄膜
フィルムの外周部が下に垂れないように略平行にして行
った。 【0043】PETフィルムを貼り合わせた後、これを
別のターンテーブルに移し、そのターンテーブルごとU
V照射器に移動させて、UV光を照射して接着剤を硬化
させ、積層体とPETフィルムとを接着し、光情報記録
媒体を作製した。このとき、搬送は、内周打ち抜き穴
(センターホール)に爪を引っ掛けて下の基板を支持し
て持ち上げ搬送した。 【0044】(比較例1)貼り合わせ工程において、P
ETフィルムを貼り合わせる時に空気流を用いることな
く貼り合わせた以外は実施例1と同様にしてPETフィ
ルム貼り合わせて光情報記録媒体を作製した。 【0045】実施例1および比較例1のそれぞれで作製
した光情報記録媒体について、PETフィルム側から目
視により記録層の表面状態を観察したところ、比較例1
では、キズが確認されたのに対し、実施例1ではキズが
確認されず良好な表面状態であった。 【0046】 【発明の効果】本発明によれば、薄膜フィルムを貼り合
わせる際に記録層等の積層体表面にキズをつけないよう
にして、前記薄膜フィルムを前記積層体の表面に載置し
て貼り合わせる貼り合わせ工程を有する光情報記録媒体
の製造方法を提供することができる。
を示す概略構成図であり、(a)は全体の概略を示し、
(b)はスピンドルの突出部を示す図である。 【図2】 図1に示すスピンコータにより、薄膜フィル
ムを貼り合わせた状態を示す図である。 【図3】 貼り合わせ工程に使用するスピンコータの他
の例を示す概略構成図である。 【図4】 貼り合わせ工程に使用するスピンコータの他
の例を示す概略構成図であり、(a)は全体の概略を示
し、(b)は搬送アームの吸引保持面の例を示す図であ
る。 【図5】 搬送アームの吸引保持面の他の例を示す図で
ある。 【符号の説明】 2・・・ターンテーブル 3・・・積層体 4・・・スピンドル 4a・・・ガス供給孔 5・・・回転軸 6・・・ディスペンサ 51・・・搬送アーム 61・・・薄膜フィルム
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板上に少なくとも光反射層および記録
層が順次形成された積層体の前記記録層側の表面に対
し、薄膜フィルムの貼り合わせ面を略平行にしながら、
前記積層体の表面に前記薄膜フィルムを載置して貼り合
わせる貼り合わせ工程を有することを特徴とする光情報
記録媒体の製造方法。
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