JP2003246676A - サイアロンセラミックス多孔体及びその製造方法 - Google Patents

サイアロンセラミックス多孔体及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性が優れた高強度なサイアロンセラミッ
クス多孔体、その製造方法及びその用途を提供する。 【解決手段】 単一なサイアロン結晶粒子からなり、粒
界相が存在しない組織を有するセラミックス多孔体であ
って、窒化ケイ素を主成分とし、アルミナと窒化アルミ
ニウムを添加、或いはシリカと窒化アルミニウムを添加
して焼結することにより生成させたβサイアロン結晶相
を有してなり、平均気孔径が2μm以下で且つ気孔率が
35%以上であり、曲げ強度が50MPa以上であるこ
とを特徴とするセラミックス多孔体、その製造方法、及
び当該セラミックス多孔体からなる耐食性フィルター部
材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイアロンセラミ
ックス多孔体、その製造方法、及びその用途に関するも
のであり、更に詳しくは、微小な気孔を多量に含み、し
かも、耐食性が優れた高強度なサイアロンセラミックス
多孔体、その製造方法、及び当該サイアロンセラミック
ス多孔体からなるフィルター、担体、及び吸着機能を有
する製品に関するものである。本発明のセラミックス多
孔体は、耐熱性、耐食性及び耐熱衝撃性が要求される高
温脱塵フィルター、触媒用担体、及び吸着材等として有
用である。
【0002】
【従来の技術】従来、多孔質セラミックスは、例えば、
脱塵、ガス分離、固体分離等の各種フィルター材料、触
媒担体、吸着材、吸音材、断熱材、センサーなどとして
利用されている。当該多孔質フィルターは、特に、高温
の腐食環境下での脱塵フィルターや触媒担体等として利
用される場合には、優れた耐熱性、耐食性、耐熱衝撃
性、強度などが求められる。しかしながら、上記多孔質
セラミックスは、フィルターや触媒担体等の用途におい
ては、高い気孔率が求められる場合が多く、そのような
場合には、耐熱性、耐食性、耐熱衝撃性、強度などの特
性が損なわれることが多い。
【0003】このような多孔質セラミックスとしてよく
知られているものに、アルミナ、シリカ、アルミナシリ
カ、チタニア、コーディライト等の酸化物系セラミック
スと、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の非酸化物系セラミッ
クスがある。これらのうち、酸化物系セラミックスは、
一般に、化学的安定性に優れているが、耐熱性、耐熱衝
撃性、強度に劣る場合が多い。一方、非酸化物系セラミ
ックスの場合、窒化ケイ素セラミックスは、耐熱衝撃性
や強度に優れているが、耐食性に劣り、また、炭化ケイ
素セラミックスは、耐熱性、耐食性に優れているが、耐
熱衝撃性、強度に劣る場合が多い。
【0004】窒化ケイ素粉末をアルミナ及び窒化アルミ
ニウムと一緒に焼結すると、ケイ素はアルミニウムと、
窒素は酸素と置換され、サイアロン(Si−Al−O−
N)になる。サイアロンセラミックスは、粒界相が残さ
れないため、耐熱・耐食性の向上が期待できる。従来、
高気孔率のサイアロンセラミックス多孔体の製造方法と
して、例えば、特開平6−116054号公報に記載さ
れているように、まず、緻密体を作製して、得られた焼
結体について、エッチング処理し、サイアロン結晶粒子
以外の相を溶出除去することにより、多孔体を製造する
方法がある。しかし、この種の製造方法は、作製工程が
複雑なために、コストが高く実用化にはその適用が難し
いという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、高気孔率を
有し、しかも、耐熱性、耐食性及び機械的強度を有する
サイアロンセラミックスを開発することを目標として鋭
意研究を積み重ねた結果、窒化ケイ素とアルミナ及び窒
化アルミニウムの反応により、β−サイアロン結晶を生
成させて焼結体の緻密化を抑制して、サイアロンのz
値、焼結助剤の添加及び焼結条件を調整することによ
り、高耐食性のサイアロンセラミックス多孔体が作製で
き、これにより所期の目的が達成し得ることを見出し、
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、上述
のような従来技術の欠点を解決し、高気孔率を維持しつ
つ、耐熱性、耐食性及び機械的強度を兼ね備えたサイア
ロンセラミックス多孔体を提供することを目的とするも
のである。また、本発明は、上記特性を有するサイアロ
ンセラミックス多孔体を簡便な操作手段で作製すること
を可能とする当該サイアロンセラミックス多孔体の製造
方法を提供することを目的とするものである。更に、本
発明は、上記サイアロンセラミックス多孔体からなる優
れたフィルター、担体、及び吸着機能を有する耐食性部
材を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)単一なサイアロン結晶粒子からなり、粒界相が存
在しない組織を有するセラミックス多孔体であって、窒
化ケイ素を主成分とし、アルミナと窒化アルミニウムを
添加、或いはシリカと窒化アルミニウムを添加して焼結
することにより生成させたβサイアロン結晶相を有して
なり、平均気孔径が2μm以下で且つ気孔率が35%以
上であり、曲げ強度が50MPa以上であることを特徴
とするセラミックス多孔体。 (2)主成分であるβサイアロン結晶相以外のセラミッ
クス成分を含有しないことを特徴とする、前記(1)に
記載のセラミックス多孔体。 (3)気孔率が10体積%以上、60体積%以下の範囲
であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載
のセラミックス多孔体。 (4)前記βサイアロン組成になる原料粉末が、窒化ケ
イ素、窒化アルミニウム、アルミナ及びイットリアの混
合物から成り、当該サイアロン結晶粒子が、主として、
一般式Si6-z Alz z8-z (zは4以下の自然数
を示す)で表されるβ型サイアロン系であることを特徴
とする、前記(1)から(3)のいずれかに記載のセラ
ミックス多孔体。 (5)単一なサイアロン結晶粒子からなり、粒界相が存
在しない組織を有するセラミックス多孔体を製造する方
法であって、平均粒径3μm以下の窒化ケイ素粉末に、
アルミナと窒化アルミニウムを添加、或いはシリカと窒
化アルミニウムを添加して混合し、これを成形した後、
6気圧以上の窒素雰囲気中又は窒素を含む不活性雰囲気
中において1200℃以上の温度で焼結することを特徴
とするセラミックス多孔体の製造方法。 (6)サイアロンのz値、焼結助剤の添加及び焼結条件
を調整することにより、気孔率を制御することを特徴と
する、前記(5)に記載のセラミックス多孔体の製造方
法。 (7)前記(1)から(4)のいずれかに記載のセラミ
ックス多孔体からなることを特徴とするフィルター、担
体、及び吸着機能を有する耐食性部材。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明は、窒化ケイ素に添加した窒化アルミ
ニウムとアルミナがすべて窒化ケイ素の結晶に溶けるた
め、単一なサイアロン結晶粒子からなり、粒界相が存在
しない組織を有することを特徴とするセラミックス多孔
体に係るものである。また、本発明は、出発原料が、窒
化ケイ素、窒化アルミニウム及びアルミナであり、焼結
助剤が無添加か或いは微量添加であり、温度の上昇に伴
いサイアロン結晶粒子を有するセラミックス多孔体とす
ることを特徴とするセラミックス多孔体の製造方法に係
るものである。本発明のサイアロン結晶粒子は、焼結中
に窒化アルミニウムとアルミナが窒化ケイ素の結晶に溶
け、この反応によって自形の結晶が生成して、α相から
β相への相転移を行う。この自形のβサイアロン結晶粒
子は、きわめて耐熱性に優れ、高温ガス雰囲気下で化学
的に安定である。従来の焼結方法による窒化ケイ素セラ
ミックス多孔体などの骨格は、粒子が粒界を介して結合
したものであり、耐食性に劣るのに対して、本発明のセ
ラミックス多孔体の骨格は、均一な、かつ単一な組織で
あり、耐食性に優れている。
【0008】本発明では、原料粉末として、窒化ケイ素
と、窒化アルミニウム及びアルミナ、或いはシリカ及び
窒化アルミニウムが用いられる。窒化ケイ素としては、
平均粒径3μm以下の窒化ケイ素粉末が好適であり、窒
化アルミニウムとしては、平均粒径5μm以下、アルミ
ナとしては、平均粒径5μm以下、シリカとしては、平
均粒径5μm以下の粉末がそれぞれ好適である。原料粉
末は、所定の組成比のサイアロンセラミックスになるよ
うに各粉末を混合する。また、本発明においては、1重
量%以下のイットリアやイッテルビアなどの酸化物を添
加することができ、これらの酸化物は、焼結する時にサ
イアロン結晶の中に溶解し、また、その酸化物の量によ
り密度を制御できることが特徴である。本発明で添加さ
れる焼結助剤としては、上記イットリア、イッテルビア
などの酸化物が好適なものとして例示されるが、これら
に制限されるものではなく、これらと同効のものであれ
ば同様に使用することができる。
【0009】本発明のサイアロン結晶粒子としては、焼
結助剤が微量であるため、柱状のものだけではなく、同
軸状のものが得られる。また、本発明のセラミックス多
孔体は、単純なβ−サイアロン結晶粒子からなるが、α
−サイアロンやβ−サイアロン等の2種類以上の粒子か
らなっていてもよい。本発明のセラミックス多孔体は、
気孔径が2μm以下の開放した微細な気孔を多数有し、
表面積が大きいうえ、気孔率が40%前後であり、しか
も、目的に応じてこれらを制御することができ、フィル
ターや触媒担体等として優れた機能を備えている。ま
た、曲げ強度が50〜100MPaと高強度であるか
ら、構造体として高い信頼性を備えている。
【0010】次に、本発明の方法を更に詳しく説明す
る。本発明のセラミックス多孔体は、一般式Si6-z
zz 8-z (zは4以下の自然数を示す)で表され
るβ型サイアロン系である。本発明のセラミックス多孔
体は、基本的には平均粒径3μm以下の窒化ケイ素粉末
とアルミナと窒化アルミニウムをz=0〜4のβサイア
ロンとなるように計算し、適当な量の焼結助剤を混合す
る。この場合、窒化ケイ素粉末にシリカと窒化アルミニ
ウムの組合せで添加してもよい。これを成形した後、非
酸化性雰囲気中において1200℃以上の温度、より好
ましくは1500℃〜1900℃の温度で焼結する方法
により、目的のセラミックス多孔体を製造することがで
きる。
【0011】非酸化性雰囲気は、アルゴンや窒素ガス等
の不活性ガス、水素ガスや一酸化炭素ガス等の還元性ガ
ス、又はそれらの混合ガスであってよい。より高強度の
ものを得るためには、焼結温度を1500℃以上とする
ことが好ましい。しかし、焼結温度が過度に高くなる
と、気孔径や粒径が大きくなり、焼結体の強度低下を招
くことになる。本発明の窒化ケイ素質多孔体の製造方法
において、イットリア粉末及びイッテルビア粉末などの
酸化物は焼結助剤として働き、また、これらの酸化物が
なくでも、サイアロンになる成分のアルミナと窒化アル
ミニウムは焼結助剤として働き、相転移を十分に行い、
得られる焼結体に強度を付与する。更に、焼結助剤とし
て、例えば、イットリア粉末を1重量%以下で添加する
と、緻密化があまり促進されない範囲で焼結性が向上す
る。
【0012】また、本発明の窒化ケイ素質多孔体の製造
方法において、その焼結温度が上昇しても、サイアロン
結晶は低い温度で合成されるため、気孔率を維持するこ
とができる。また、z値の増加に伴ない、アルミナと窒
化アルミニウムの添加量も増加するため、密度が増加す
る傾向がある。しかし、z値の増加に伴ない、著しい粒
成長がある。焼結においては、温度分布が均一になるよ
うに、5〜10℃/分の速度で焼結温度まで上昇させ、
その温度に適当な時間保持して焼結することが好まし
い。以上説明した本発明の方法によれば、単一なβサイ
アロン粒子からなり、優れた強度、耐熱性、耐食性、耐
熱衝撃性を有するサイアロンセラミックス多孔体、その
製造方法、及び当該サイアロンセラミックス多孔体から
なる優れたフィルター、担体、及び吸着機能を有する部
材(製品)を提供することができる。本発明において、
上記フィルター、担体、及び吸着機能を有する部材(製
品)とは、従来、サイアロンセラミックス多孔体及びこ
の種のセラミックス多孔体が通常利用されているあらゆ
る種類の部材(製品)を包含するものであることを意味
する。
【0013】
【作用】本発明では、窒化ケイ素に添加した窒化アルミ
ニウムとアルミナがすべて窒化ケイ素の結晶に溶けるた
め、単一なサイアロン結晶粒子からなり、粒界相が存在
しない組織を有するセラミックス多孔体が得られる。こ
のように、本発明では、焼結する際に、試料の中に単結
晶のサイアロン粒子が生成されるため、緻密化が阻害さ
れることになり、それにより、微細な気孔を多量に含む
セラミックス多孔体が得られる。また、本発明では、サ
イアロンのz値と焼結条件により気孔率が制御でき、ま
た、単結晶のサイアロン粒子の生成により粒界相が存在
しないため、優れた耐食性が得られる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例に基いて具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定され
るものではない。 実施例1 (1)セラミックス多孔体の作製 平均粒径0.55μmのα−窒化ケイ素粉末(宇部興産
(株)製E10)に一次粒子径0.6μmの窒化アルミ
ニウムとアルミナ微細粉末(大明化学製のTMD)を、
表1に示したようにz値が0.5、1.0、2.0、
3.0、4.0になるように加え、これらをボールミル
中で湿式で混合した。表1にβサイアロンの各組成(重
量%)を示す。この混合粉末を、乾燥後、10〜30M
Paで成形し、寸法が約55mm×35mm×12mm
の成形体とした。この成形体を窒素雰囲気の電気炉に入
れ、1700〜1900℃で2〜8時間焼成した。
【0015】
【表1】
【0016】(2)多孔体の特性 得られたセラミックス多孔体の気孔率と嵩比重を水浸法
で測定し、曲げ強度をJIS R1601に準拠した3
点曲げ試験法により測定した。焼結前後の寸法から収縮
率を求めた。気孔径分布は約5mm×5mm×5mmの
小片を試料として水銀圧入法により測定した。その結果
をサイアロン多孔体の特性としてまとめて表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】得られた試料は、z値と焼結条件により気
孔率を50%以下に制御できる多孔体であった。上記試
料をX線回折によって同定したところ、結晶質のβサイ
アロンだけが確認された(図1参照)。また、上記試料
を高分解能電子顕微鏡で観察した結果、粒界に非晶質相
が全くないことが分かった(図2参照)。曲げ強度は、
気孔率が同程度の場合、z値が低いほど高い。耐食性を
評価するために、z=0.5、1、2の試料を1M H
Cl溶液に70℃で120時間に置き、質量と3点曲げ
強度の変化を調べた。その結果、腐食前後の質量と強度
に差異はなく、耐食性に優れた多孔体であることが分か
った。
【0019】実施例2 (1)セラミックス多孔体の作製 平均粒径0.55μmのα−窒化ケイ素粉末(宇部興産
(株)製E10)に一次粒子径0.6μmの窒化アルミ
ニウムとアルミナ微細粉末をz値が0.5になるように
加え、更に、焼結助剤として平均粒径2μmのイットリ
ア粉末を0.05、0.10、及び0.15重量%加
え、これをボールミル中で湿式混合した。これらの混合
粉末を乾燥後、10〜30MPaで成形し、寸法が約5
5mm×35mm×12mmの成形体を得た。この成形
体を窒素雰囲気の電気炉に入れ、1700〜1900℃
で2〜8時間焼成した。
【0020】(2)多孔体の特性 得られた多孔体の気孔率と嵩比重を水浸法で測定し、曲
げ強度をJIS R1601に準拠した3点曲げ試験法に
より測定した。焼結前後の寸法から収縮率を求めた。気
孔径分布は約5mm×5mm×5mmの小片を試料とし
て水銀圧入法により測定した。それらの結果をイットリ
ア添加サイアロン多孔体の特性としてまとめて表3に示
す。
【0021】
【表3】
【0022】得られた試料は、イットリアの添加量と焼
結条件により気孔率を50%以下で制御できる多孔体で
あった。イットリアを過度に添加した場合は、アルミナ
と低融点の粒界ガラス相を形成し、ほぼ緻密な焼結体と
なる。表3に示した程度のイットリアの微量添加は、試
料の緻密化への影響が少なく、また、粒界の拡散を活性
化させ、粒子間の結合が促進される。従って、イットリ
アの無添加の試料に比べると、曲げ強度がほぼ2倍に向
上する。イットリアもβサイアロン結晶に可溶であるた
め、その微量のイットリアはβサイアロン結晶に溶解し
て、粒界に残留するガラス相はほとんどない。このた
め、1200℃での曲げ強度を調べたところ、すべて室
温強度の80%以上の値を示した。
【0023】上記した実施例1及び2の結果から、本発
明のセラミックス多孔体は、単一なβサイアロン結晶か
らなり、微小な開気孔を有する気孔率の高い多孔体であ
り、しかも、優れた耐食性が備えていることが分かる。
40%の気孔率を有する多孔体の曲げ強度は、イットリ
アを添加していない場合には60MPaであるのに対
し、イットリアを添加した場合では100MPaに向上
している。また、1200℃の高温での強度低下が少な
く、優れた耐熱性も示した。
【0024】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、サイア
ロンセラミックス多孔体、その製造方法、及びその用途
に係るものであり、本発明によれば、1)焼結によりβ
サイアロン結晶を主成分とし、粒界相が存在しない組織
を有するセラミックス多孔体を作製することができる、
2)z値、焼結助剤の添加量及び焼結条件を調整するこ
とにより、気孔率を制御することができる、3)強度、
耐食性及び耐熱性等に優れ、しかも微細な開気孔を多量
に含む、気孔率が50%以下のセラミックス多孔体を提
供することができる、4)このセラミックス多孔体は、
高温腐食環境下で優れたフィルター、担体、及び吸着機
能を有する部材として有用である、という格別の効果が
奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作製した試料についてX線回折により
同定した結果を示す説明図である。
【図2】実施例で作製した試料について高分解能電子顕
微鏡により観察した粒界像を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 38/00 303 C04B 38/00 304Z 304 35/58 302A 302Y (72)発明者 楊 建鋒 愛知県名古屋市守山区吉根太鼓ケ根3233− 27吉根住宅7−102 Fターム(参考) 4D019 AA01 BA05 BB06 CB06 4G001 BA03 BA09 BA32 BA36 BA62 BB52 BC49 BC54 BD14 BD37 BE03 BE26 BE33 4G019 FA13 GA04 4G066 AA12B AA20B AA22A AA51B BA23 BA25 BA32 BA35 FA01 FA22 FA25 FA34 FA35

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一なサイアロン結晶粒子からなり、粒
    界相が存在しない組織を有するセラミックス多孔体であ
    って、窒化ケイ素を主成分とし、アルミナと窒化アルミ
    ニウムを添加、或いはシリカと窒化アルミニウムを添加
    して焼結することにより生成させたβサイアロン結晶相
    を有してなり、平均気孔径が2μm以下で且つ気孔率が
    35%以上であり、曲げ強度が50MPa以上であるこ
    とを特徴とするセラミックス多孔体。
  2. 【請求項2】 主成分であるβサイアロン結晶相以外の
    セラミックス成分を含有しないことを特徴とする、請求
    項1に記載のセラミックス多孔体。
  3. 【請求項3】 気孔率が10体積%以上、60体積%以
    下の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記
    載のセラミックス多孔体。
  4. 【請求項4】 前記βサイアロン組成になる原料粉末
    が、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミナ及びイッ
    トリアの混合物から成り、当該サイアロン結晶粒子が、
    主として、一般式Si6-z Alzz8-z (zは4以
    下の自然数を示す)で表されるβ型サイアロン系である
    ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の
    セラミックス多孔体。
  5. 【請求項5】 単一なサイアロン結晶粒子からなり、粒
    界相が存在しない組織を有するセラミックス多孔体を製
    造する方法であって、平均粒径3μm以下の窒化ケイ素
    粉末に、アルミナと窒化アルミニウムを添加、或いはシ
    リカと窒化アルミニウムを添加して混合し、これを成形
    した後、6気圧以上の窒素雰囲気中又は窒素を含む不活
    性雰囲気中において1200℃以上の温度で焼結するこ
    とを特徴とするセラミックス多孔体の製造方法。
  6. 【請求項6】 サイアロンのz値、焼結助剤の添加及び
    焼結条件を調整することにより、気孔率を制御すること
    を特徴とする、請求項5に記載のセラミックス多孔体の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から4のいずれかに記載のセラ
    ミックス多孔体からなることを特徴とするフィルター、
    担体、及び吸着機能を有する耐食性部材。
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