JP3602931B2 - 低硬度窒化珪素質焼結体及びこれを用いた半導体製造用部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サセプタ、静電チャック、リング、ダミーウエハ等の半導体製造用部品等に用いるための低硬度の窒化珪素質焼結体とこれを用いた半導体製造用部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体装置の製造工程において、シリコンウエハを支持または保持するためのサセプタ、静電チャックや、絶縁リングとして、あるいは各種治具等の半導体製造用部品には主にアルミナ等のセラミックスが用いられている。アルミナセラミックスは比較的に安価で、化学的にも安定なため広く使用されており、例えば、実開昭62−72602号、特開昭53−96762号にて提案されている。
【0003】
さらにウエハに成膜を行う場合に、予めダミーウエハを用いて成膜条件を決定する事が行われているが、このダミーウエハとしてはアルミナの単結晶体であるサファイアが用いられている。
【0004】
さらに、最近では、このような半導体製造用部品を、窒化珪素焼結体によって形成することも特開平4−77365号等にて提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記アルミナセラミックスは、硬度が18GPa程度であり、シリコンの硬度よりもかなり硬い。そのため、例えば、半導体の製造工程において、シリコンウエハを接触支持するような部品をアルミナセラミックスで形成すると、シリコンウエハやその他の部品を傷つけやすいなどの問題があった。また、窒化珪素、炭化珪素、ジルコニアなどのその他のセラミックスも軽量、化学的安定生においては優れるものの、例えば、一般的な緻密質の窒化珪素質焼結体の硬度は14〜15GPaである。また、反応焼結体などが硬度が低いが、気孔率が10%以上であり、強度および耐プラズマ性において問題がある。炭化珪素やジルコニアも同様である。
【0006】
この硬度は、焼結体中の気孔率を増加させることにより低くすることは可能であるが、その反面強度が低下するとともに、耐プラズマ性を劣化させ、さらには不純物の飛散源ともなるため、好ましくない。そのため、半導体製造用部品として、軽量、化学的安定性等の特性を有しつつ緻密質で低硬度の焼結体が得られていない。
【0007】
従って、本発明は、サセプタ、チャック、リング、ダミーウエハ等の各種半導体製造用部品等に用いるために、気孔率が低く、かつ低硬度を有する窒化珪素質焼結体と、それを用いた半導体製造用部品を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素結晶相と、希土類元素、珪素、アルミニウム、酸素および窒素を含む非晶質粒界相からなり、窒化珪素の含有量を50〜75重量%、アルミニウムを酸化物換算量で5〜10重量%、希土類元素の酸化物換算量、アルミニウムの酸化物換算量および不純物的酸素のSiO2換算量の合計量で25〜50重量%の割合として、ビッカース硬度を8〜12GPa、気孔率5%以下とすることにより、高強度や化学的安定性を具備しながら、低硬度化が達成され、シリコンと接触支持する場合においてもシリコンに対して傷つけることない半導体製造用部品を提供できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素を主結晶相とし、さらに、その主結晶粒子間に、少なくとも希土類元素、珪素、アルミニウム、酸素および窒素を含む非晶質粒界相により構成される。
【0010】
また、本発明によれば、この焼結体の物性として、ビッカース硬度が8〜12GPa、気孔率5%以下であることが重要である。これは、ビッカース硬度が、8GPaよりも低いと、部品自体の摩耗が激しく、12GPaを越えると、シリコンなどの接触部品を傷つけたり、摩耗させてしまうなどの問題が生じるためである。また、気孔率が5%よりも大きいと、焼結体自体の強度が低下するとともに、耐プラズマ性を劣化させ、かつ不純物の飛散源ともなる。
【0011】
また、半導体製造用部品として、機械的性能に問題ない範囲で被加工性をよくるために破壊靱性値(K1c)は3〜5MPa・m1/2 であることが望ましい。さらに、抗折強度が室温において500MPa以上であることが望ましい。
【0012】
さらに、粒界相は、非晶質であることが重要であり、粒界相中に多量の結晶相が存在すると焼結体の硬度を高める要因となるためである。
【0013】
本発明によれば、上記のような特性を得る上で、焼結体組成として、窒化珪素を50〜75重量%、好ましくは60〜70モル%含み、さらに、希土類元素の酸化物換算量、アルミニウムの酸化物換算量で5〜10重量%、および不純物的酸素のSiO2換算量の合計量で25〜50重量%、特に30〜40重量%の割合で含むことが重要である。
【0014】
ここで、各成分組成を上記の範囲に限定したのは、窒化珪素量が50重量%より少ない、言い換えれば、前記助剤量の合計量が50重量%よりも多いと、硬度が8GPaよりも低く強度も劣化する。逆に、窒化珪素量が75重量%よりも多い、言い換えれば、前記助剤量の合計量が25重量%よりも少ないと、硬度が12GPaを越えてしまう。望ましい組成範囲としては、希土類元素を酸化物換算量で10〜20重量%、アルミニウムを酸化物換算量で5〜10重量%、および不純物的酸素のSiO2 換算量で10〜20重量%の割合で含むのがよい。なお、不純物的酸素量は、焼結体中の全酸素量から、希土類元素酸化物および酸化アルミニウムに起因する酸素量を差し引いた残りの酸素量として算出される。なお、助剤を構成する成分、言い換えれば、粒界相形成成分を希土類元素、アルミニウム、珪素および酸素によって構成したのは、これら以外の成分が混入すると、耐プラズマ特性が劣化するためである。さらに、半導体製造用としての特性上、不純物の含有量は極力少ないことが望まれ、望ましくは、珪素、窒素、酸素、炭素、希土類元素、アルミニウム以外の元素の含有量が100ppm以下、特に50ppm以下であるのがよい。
【0015】
なお、焼結体中に含まれる希土類元素としては、Y、Er、Yb、Lu、Sm等が挙げられるが、特にコストの点でY2 O3 が望ましい。
【0016】
このような低硬度の窒化珪素質焼結体を作製するには、窒化珪素50〜75重量%、酸化アルミニウムを5〜10重量%に対して、希土類元素酸化物、酸化アルミニウムおよび酸化珪素を合計量で25〜50重量%の割合で配合する。この時、酸化珪素分は、窒化珪素粉末中の不可避的不純物酸素をSiO2換算したものも含まれる。より望ましくは、希土類元素酸化物を10〜20重量%、酸化アルミニウムを5〜10重量%、酸化珪素を10〜20重量%の割合で配合することが望ましい。
【0017】
用いる原料粉末としては、α型および/またはβ型の平均粒径が0.4〜1.2μm、不純物酸素量が0.5〜2重量%の窒化珪素粉末と、平均粒径が2μm以下の希土類元素酸化物粉末、酸化アルミニウム粉末および酸化珪素粉末を用いるのがよい。
【0018】
これらを上記の比率で配合した後、ボールミル等によって混合し、所望の成形手段、例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、射出成形、押出し成形等により任意の形状に成形後、焼成する。
【0019】
焼成は、窒素雰囲気中、1500〜1700℃、特に1600〜1650℃の温度で行う。なお、焼成温度を上記の範囲に限定したのは、1500℃よりも低いと緻密な焼結体が得られず、1700℃よりも高いと助剤成分が分解して気孔が多量に発生し強度が低下するためである。
【0020】
焼成方法としては、公知の焼成方法、例えば、ホットプレス方法、常圧焼成、窒素圧力2気圧以上の窒素ガス圧力焼成、さらには、これらの焼成後のガス圧1000気圧以上で熱間静水圧焼成すれば、さらに緻密な焼結体を得ることができる。
【0021】
【実施例】
窒化珪素粉末(α率92%、、平均粒径0.8μm、不純物酸素量1.0重量%、酸素を除く純度99.99%以上)と、平均粒径が0.5〜1.5μm、純度99.9%以上の各種の希土類元素酸化物粉末と各種の酸化アルミニウム粉末および酸化珪素粉末を用いて、成形体組成が表1に示す組成になるように調合後、1t/cm2 で金型成形した。なお、Fe、Cr、Ni等の金属元素量は50ppm以下に制御した。
【0022】
この成形体を炭化珪素質の匣鉢に入れて、表1の条件で焼成した。得られた焼結体をJIS−R1601にて指定されている形状まで研磨し、JISR1610に基づき荷重200gによりビッカース硬度を測定した。また、同時に破壊靱性(K1c、IF法)、さらにはアルキメデス法により気孔率を、さらにはJISR1601に基づき、室温における4点曲げ抗折強度を測定した。
【0023】
また、シリコン基板に対して、その焼結体を接触させて傷の有無を検査した。
【0024】
また、焼結体をCF4 +O2 のプラズマ中に3時間保持し、試験後の焼結体表面の変化を観察した。
【0025】
なお、表中、試料No.5は、窒化珪素粉末に代えて、同量に窒化珪素分の純度99.99%以上の珪素粉末を配合して同様に成形体を作製し、表1の条件で窒化させて焼結体を得た。
【0026】
【表1】
【0027】
表1によれば、窒化珪素の含有量が50重量%よりも少ない試料No.1では、硬度が8GPaよりも低く強度も小さくなり、逆に75重量%よりも多い試料No.15では、硬度が14GPaを越えるものであり、シリコンとの接触により傷の発生が顕著であった。また、焼成温度を下げて焼成して硬度を8.5GPaまで低減した試料No.4は、気孔率が5%を越えるものであり、その結果、強度が低く、しかもプラズマ中で腐食が観察された。
【0028】
また、反応焼結法により作製した試料No.5の焼結体は、硬度は適当であるが、気孔率が5%を越えるものであり、強度および耐プラズマ性の劣化が見られた。
【0029】
これらの比較例に対して、本発明に基づき、窒化珪素量および助剤量を制御した本発明の試料は、いずれもビッカース硬度Hvが8〜12GPa、気孔率5%以下、破壊靱性(K1c)3〜5MPa・m1/2 、抗折強度500MPa以上であり、シリコンとの接触においても傷をつけることがなく、耐プラズマ性も良好であった。
【0030】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の窒化珪素質焼結体は、その硬度が低く、シリコンとの接触においてもシリコンを傷つけることがなく、しかも緻密質であることから耐プラズマ性に優れることから、半導体製造用部品として、例えば、サセプタ、静電チャック、リング、等に使用した場合において、シリコンウエハと接触して支持する場合においても安定に高い寸法精度を維持でき、またダミーウエハとして用いることにより、精度の高い製造条件の設定が可能となる。
Claims (2)
- 窒化珪素結晶相と、希土類元素、珪素、アルミニウム、酸素および窒素を含む非晶質粒界相からなる窒化珪素質焼結体であって、窒化珪素を50〜75重量%、アルミニウムを酸化物換算量で5〜10重量%、希土類元素の酸化物換算量、アルミニウムの酸化物換算量および不純物的酸素のSiO2換算量の合計量で25〜50重量%の割合で含むとともに、ビッカース硬度が8〜12GPa、気孔率5%以下であることを特徴とする低硬度窒化珪素質焼結体。
- 窒化珪素結晶相と、希土類元素、珪素、アルミニウム、酸素および窒素を含む非晶質粒界相からなる窒化珪素質焼結体であって、窒化珪素を50〜75重量%、希土類元素の酸化物換算量、アルミニウムを酸化物換算量で5〜10重量%、アルミニウムの酸化物換算量および不純物的酸素のSiO2換算量の合計量で25〜50重量%の割合で含むとともに、ビッカース硬度が8〜12GPa、気孔率5%以下の低硬度窒化珪素質焼結体からなることを特徴とする半導体製造用部品。
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