JP4599344B2 - 非酸化物系多孔質セラミック材の製造方法 - Google Patents

非酸化物系多孔質セラミック材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非酸化物系多孔質セラミック材及びその製造方法に関する。
気体又は液体の濾過材、触媒担体、或いは、ガス分離材等として使用するセラミック分離膜の基材として、種々の多孔質セラミック材が使用されている。
近年、これらの用途に用いられる多孔質セラミック材として、窒化ケイ素、炭化ケイ素のような、ケイ素を主体とする非酸化物系セラミック材が注目されている。特に窒化ケイ素を主要構成要素とする多孔質セラミック材は、耐熱性や耐熱衝撃性に優れており、高温条件下(300℃以上、例えば600〜1000℃)で使用するのに適している。
例えば、特開平8−133857号公報(特許文献1)には、気体濾過用フィルターや触媒担体として高温条件下で使用する窒化ケイ素主体の多孔質セラミック材およびその製造方法が記載されている。
特開平8−133857号公報 特公昭61−38149号公報 特開平7−81909号公報 特開平11−79849号公報
上記列挙した用途等に用いられる非酸化物から成る多孔質セラミック材は、従来、当該非酸化物の粉末(例えば窒化ケイ素粉末)を原料として用い、その粉末を所定の形状に成形し、そして焼結する方法によって作製されている(上記特許文献1参照)。
しかし、窒化ケイ素等の非酸化物セラミック粉末は、他の一般的な酸化物セラミック粉末(シリカ粉、アルミナ粉等)に比べて高価な素材である。このため、かかる方法によって得られる窒化ケイ素等の非酸化物系セラミック材は、比較的コスト高であった。
そこで本発明は、従来よりも原料コストを抑え、より廉価に非酸化物系多孔質セラミック材、特に濾過材、触媒担体、セラミック分離膜(ガス分離膜等)の基材として適する多孔質セラミック材およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明によって非酸化物系多孔質セラミック材の製造方法が提供される。
本発明によって提供される製造方法の一つは、気孔率が35〜45%であり且つ水銀圧入法に基づく平均細孔径又は細孔径分布のピーク値が0.5〜2.0μmの範囲内にある、非酸化物系多孔質セラミック材を製造する方法である。そして、以下の3種の主要成分すなわち(a)「炭化ケイ素粉末」と、(b)「金属シリコン粉末」と、(c)「酸化イットリウム粉末及び酸化アルミニウム粉末」とを含む成形用材料であって、炭化ケイ素粉末((a)成分)100質量部に対して10〜100質量部の金属シリコン粉末((b)成分)が添加され、且つ、該金属シリコン粉末の含有量の2〜250mass%(質量%)に相当する量であって成形用材料全量の20mass%を超えない量の酸化イットリウム粉末及び酸化アルミニウム粉末((c)成分)が添加された成形用材料を用意する工程と、該成形用材料を所定の形状に成形する工程と、その成形用材料から成る成形体を窒化可能な雰囲気中で反応焼結させる工程(金属シリコンから窒化ケイ素を生じさせる工程)とを包含する。そして、前記反応焼結工程において、窒化可能な雰囲気中において1200〜1500℃の温度域で2〜12時間、前記成形体を焼成することを特徴とする。
この製造方法では、窒化ケイ素粉末や炭化ケイ素粉末よりも廉価である金属シリコン粉末を含有する成形用材料を用意(典型的には調製)する。これにより、原料コストの低減が実現され、より廉価に非酸化物系多孔質セラミック材を製造することができる。
また、金属シリコン粉末を上記の配合比で含有する成形用材料は、窒化ケイ素又は炭化ケイ素粉末のみから成る成形用材料よりも成形性が良好である(成形し易い)。このため、押出成形技法等を採用することによって、所望する形状の多孔質セラミック材を容易に製造することができる。
また、上記の配合比で炭化ケイ素と、金属シリコンと、酸化イットリウム及び酸化アルミニウムとを含む成形用材料を使用することによって、細孔径分布が比較的狭く、上記用途に適する非酸化物系多孔質セラミック材(さらに好ましくは平均細孔径又は細孔径分布のピーク値が0.6〜1.6μmの範囲内にあるもの、特に好ましくは平均細孔径又は細孔径分布のピーク値が0.8〜1.2μmの範囲内にあるもの)を製造することができる。
なお、特公昭61−38149号公報(特許文献2)、特開平7−81909号公報(特許文献3)および特開平11−79849号公報(特許文献4)には、金属シリコンを反応焼結させて窒化ケイ素成形体を製造する方法が記載されているが、これら公報に記載の方法は、自動車エンジン部品等として使用する緻密構造のセラミック体を製造するための方法であり、本発明の製造方法で製造されるような多孔質セラミック材を製造するのに適した方法ではない。
好ましい一つの製造方法では、上記成形用材料における金属シリコン粉末((b)成分)の含有率(添加量)が、炭化ケイ素粉末((a)成分)100質量部に対して20〜90質量部である。このことによって、濾過材あるいはガス分離膜の支持体(基材)として好適な多孔質セラミック材、典型的には孔径1μm前後の細孔に富むセラミック材を比較的廉価に製造することができる。
また、好ましい他の一つの製造方法では、前記(b)成分(金属シリコン粉末)の平均粒径と前記(a)成分(炭化ケイ素粉末)の平均粒径がいずれも1μm〜50μmであることを特徴とする材料を用いる。かかる平均粒径の粉末を混在させた成形用材料を用いると、孔径1μm前後の細孔に富み、上記用途に適する多孔質セラミック材を容易に製造することができる。
かかる平均粒径の粉末を混在させた成形用材料であって、さらに(c)成分(酸化イットリウム粉末及び酸化アルミニウム粉末)の平均粒径が0.1μm〜1μmである成形用材料を用いる製造方法が特に好ましい。
また、好ましい他の一つの製造方法では、前記成形工程において、前記成形用材料を成形圧30MPa〜200MPaで加圧成形する。
かかる加圧成形を行うことにより、細孔径分布が比較的狭い、上記用途に適する多孔質セラミック材を製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば成形用材料を調製するための原料粉末の配合比)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば原料粉末の混合方法や押出成形の手順)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明の実施に用いられる成形用材料は、炭化ケイ素と、金属シリコンと、酸化イットリウム及び酸化アルミニウムとを主成分とする粉末ベースの材料である。
使用する炭化ケイ素粉末としては、平均粒径(顕微鏡測定又は沈降法に基づく)が0.1〜100μmのものが適当であり、平均粒径が1〜50μmであるものが好適であり、1〜20μmであるものがさらに好ましく、2〜10μmであるものが特に好ましい。かかる平均粒径が100μmよりも大きすぎると、製造されるセラミック材の孔径および気孔率が大きくなりすぎ、上記用途に適さなくなる。一方、かかる平均粒径が0.1μmよりも小さすぎると、製造されるセラミック材は孔径および気孔率の小さい緻密構造となるため、上記用途に適さなくなる。
化ケイ素粉末としては、α型、β型、アモルファス型のいずれを使用してもよいが、特に熱的に安定なβ型結晶構造の炭化ケイ素粉末の使用が好ましい。β型の粉末のみ或いはβ型の存在割合の高い(例えば50mass%以上がβ型)炭化ケイ素粉末を使用することによって、気体又は液体の濾過材、触媒担体、セラミック分離膜を表面に形成するための多孔質基材として好適な孔径(典型的には上述の数値範囲)の細孔に富むセラミック材を容易に製造することができる。
金属シリコン粉末としては、従来から、反応焼結によって窒化ケイ素を製造するのに用いられているものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、比表面積0. 1〜5m2/gであるものが好ましい。また、平均粒径(顕微鏡測定又は沈降法に基づく)が1〜50μmであるものが好適であり、1〜20μmであるものがさらに好ましく、2〜10μmであるものが特に好ましい。
金属シリコン粉末の純度は高いほうが望ましく、例えば95%以上の純度のものが好適である。99%以上の高純度シリコンの使用が特に好ましい。なお、使用するシリコンの粉末形状は特に限定されず、球形又はそれに近い形状のみならず、例えばロールミルがけやスタンプミルがけによって調製された不規則形状の粒子の集合物である粉末も好適に使用することができる。
(c)成分の酸化イットリウム(Y23)粉末及び酸化アルミニウム(Al23)粉末としては、平均粒径(顕微鏡測定又は沈降法に基づく)が0.01〜5μm程度のものが適当であるが、共存させる(b)成分(金属シリコン粉末)および(a)成分(炭化ケイ素粉末)の平均粒径と同等かそれよりも小さい平均粒径のものが好ましい。特に0.1μm〜1μmのものが好ましい。
特に限定するものではないが、炭化ケイ素粉末と金属シリコン粉末とを混合する場合、不純物と金属シリコンの酸化に留意するとよい。例えば、窒素、アルゴン等の非酸化性雰囲気中でこれら原料粉末の混合(更に必要に応じて粉砕)を行うとよい。
炭化ケイ素粉末100質量部に対して10〜100質量部の金属シリコン粉末を加えるとよい。製造コスト削減の観点からは、炭化ケイ素粉末100質量部に対して50〜100質量部の金属シリコン粉末を加えることが好ましい。
一方、成形用材料に、金属シリコン粉末含有量の2〜250mass%に相当する量であって成形用材料全量の20mass%を超えない量の酸化イットリウム粉末及び酸化アルミニウム粉末を加えるとよい。製造コスト削減の観点からは、金属シリコン粉末含有量の5〜100mass%に相当する量の酸化イットリウム粉末及び酸化アルミニウム粉末を加えることが好ましい。
特に限定するものではないが、上記の用途(濾過材、触媒担体、セラミック分離膜の基材(支持体)等)に好ましい多孔質セラミック材は、水銀圧入法に基づく平均細孔径又は細孔径分布のピーク値が略0.5〜2.0μmの範囲内にあるものであり、さらに好ましくは平均細孔径又は細孔径分布のピーク値が0.6〜1.6μmの範囲内にあるものであり、特に好ましくは平均細孔径又は細孔径分布のピーク値が0.8〜1.5μm、さらには0.8〜1.2μmの範囲内にあるものである。また、機械的強度保持の観点から、気孔率(水銀圧入法に基づく)が45%以下であることが好ましく、30〜40%の気孔率のものがさらに好ましい。35〜40%の気孔率のものが特に好ましい。
かかる好適な数値範囲の平均細孔径又は細孔径分布のピーク値(水銀圧入法に基づく)ならびに気孔率を有する多孔質セラミック材を製造する場合には、炭化ケイ素粉末100質量部に対してほぼ20〜90質量部(特に好ましくは30〜90質量部)の金属シリコン粉末を混合するとよい。
このとき、酸化イットリウム粉末及び酸化アルミニウム粉末の添加量は、上記の範囲であれば特に制限はないが、酸化イットリウム粉末と酸化アルミニウム粉末の両方を合計で金属シリコン粉末含有量の2〜250mass%(さらに好ましくは該含有量の10〜100mass%)に相当する量であって成形用材料全量の20mass%を超えない量だけ含有するものが好ましい。また、酸化イットリウムと酸化アルミニウムのモル比(Y2O3/Al2O3)が概ね0.8〜1.2(さらに好ましくは0.9〜1.1)の範囲内となるようにこれら2種の粉末を添加するのが好ましい。
而して、これら原料粉末(上記(a)、(b)、(c)の各成分)の混合は、ボールミル、ミキサー等の一般的な混合手段を用いて行うことができる。
成形用材料には、上記原料粉末の他に種々の添加剤を適宜混在させることができる。例えば、粒成長を抑制したり、多孔質構造を安定化させたりする目的のために、(c)成分以外の種々の焼結助剤を添加することができる。
また、採用する成形法に応じて適当なバインダーを添加することができる。例えば、押出し成形に供試する成形用材料は、上記原料粉末の混合物に適当なバインダーと分散媒(水、エタノール等)を配合・混練することによって調製することができる。かかるバインダーとしては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース類、ポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、グリセリン等が使用できる。バインダーの配合比としては、上記3種の原料粉末の混合物100質量部に対して5〜30質量部程度が適当であるが特に限定するものではない。
なお、混練手段としては、ニーダーや種々のミキサー類(リボンミキサー、ヘンシェルミキサー等)が使用できる。
成形用材料を成形する方法は、特に限定されず、一般的なセラミック材の成形方法を適用することができる。例えば、押出し成形、プレス成形、型込め成形が挙げられる。フローティングダイやプレス機を利用した加圧成形(一軸加圧成形、静水圧プレス等)が好適である。
成形用材料の充填率にもよるので特に限定するものではないが、好ましくは、30MPa〜200MPa(例えば100MPa〜150MPa)程度の成形圧で加圧成形するとよい。平均細孔径(水銀圧入法に基づく)が0.5〜2μm程度(例えば0.8〜1.2μm)の多孔質セラミック材を製造する場合には、概ね50MPa〜200MPa(500〜2000kg/cm2)程度の加圧が好ましい。100MPa〜200MPa程度で加圧成形することが特に好ましい。250MPa以上の成形圧は、気孔率の著しい低下(25%以下)を招くので好ましくない。
本発明の製造方法では、窒化可能な雰囲気(好ましくは窒素分圧が50kPa以上となる窒素ガス、アンモニアガス等を主体とする雰囲気であって酸素を実質的に含まない雰囲気)中で、典型的には80〜120kPa(概ね0.8〜1.2atm)のガス圧で、窒化可能な温度域(好ましくは1200〜1500℃)で2〜12時間程度、上記成形用材料から成る成形体を焼成する。
これよりも焼成温度が高すぎたり焼成時間が長すぎたりすると、焼結体中に針状(繊維状)のβ型窒化ケイ素が多量に生成・析出し、所望するサイズよりも細孔径が小さくなったり細孔径分布がブロードになりがちであるため、好ましくない。
例えば、窒素雰囲気中で、室温から中間温度域(700〜900℃程度)まで2〜10℃/分程度(好ましくは5〜7℃/分)の昇温速度で加熱する。その後、窒化可能な温度域(典型的には1200℃以上)まで1〜5℃/分程度の昇温速度で加熱する。その後、窒化可能な温度域で2〜10時間程度保持することが好ましい。なお、かかる保持の間、温度を一定にする必要はなく適当に変動させてもよい。例えば1300℃で2時間保持し、その後1500℃まで1時間で昇温し、その温度でさらに1時間保持するような形態であってもよい。
上記の条件で反応焼結を行うことによって、金属シリコン粒子からα型窒化ケイ素を効率よく生成することができる。
本発明の製造方法によると、(a)、(b)及び(c)の各成分を上記配合比で含有する成形用材料を用いる結果、反応焼結で主としてα型結晶の窒化ケイ素が生成され、細孔径分布のピーク値又は平均細孔径が略0.5〜2μm(好ましくは0.6〜1.6μm、特に好ましくは0.8〜1.2μm)の範囲内にあり、気孔率が45%以下(好ましくは30〜40%程度、特に好ましくは35〜40%程度)である、上記用途に適する非酸化物系多孔質セラミック材を製造することができる。
本発明によると、炭化ケイ素粉末や窒化ケイ素粉末よりも廉価な金属シリコン粉末を利用することによって、濾過材、触媒担体、セラミック分離膜の基材等として用いられる多孔質セラミック材を比較的低コストで提供することができる。
従って、本発明の一側面として、各請求項に記載の工程を包含する、セラミック分離膜の基材(支持体)として好適に用いられる多孔質セラミック基材の製造方法および該方法によって得られたセラミック材が提供される。さらには、該セラミック材を支持体とするセラミック分離膜モジュール(例えばガス分離材)が提供される。
以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<(a)成分として炭化ケイ素を含む多孔質セラミック材の調製および評価>
高純度シリコン粉末(純度:96%以上、平均粒径:約12μm)と、平均粒径が約5μmの炭化ケイ素粉末(純度95%以上、フリーカーボン1%以下)と、平均粒径が約1μmの酸化イットリウム粉末と、平均粒径が約0.3μmの酸化アルミニウム粉末とを用いて、表1に示す配合比の成形用材料(実施例1〜4、比較例1〜4)を調製した。
すなわち、表1に示す配合比となるように、炭化ケイ素粉末に上記シリコン粉末を添加し、さらに添加シリコン粉末量に対して質量比で6mass%となる量の酸化イットリウム粉末および酸化アルミニウム粉末をそれぞれ添加し、適量の水を加えてボールミルで30分間混合することによって、実施例1〜4の成形用材料を調製した。
一方、表1中の比較例1〜3は、酸化イットリウム粉末および酸化アルミニウム粉末を添加することなく、炭化ケイ素粉末とシリコン粉末と水をボールミルに入れて各実施例と同様の処理を行って調製した成形用材料である。また、表1中の比較例4は、炭化ケイ素粉末、酸化イットリウム粉末、および酸化アルミニウム粉末をいずれも添加することなく、シリコン粉末と水をボールミルに入れて各実施例と同様の処理を行って調製した成形用材料である。
乾燥後、各成形用材料をそれぞれ直径29mmのプレス金型に充填した(試料重量:約3g)。
そして、約100MPa(1000kg/cm2)の成形圧で一軸加圧成形した。成形後、窒素雰囲気にした電気炉中で室温から800℃まで2時間かけて昇温し(昇温速度5〜7℃/分)、次いで1200℃まで2時間かけて昇温した(昇温速度2〜4℃/分)。その後、1375℃まで1時間かけて昇温し(昇温速度2〜4℃/分)、1375℃で2時間保持した後、1500℃まで1時間かけて昇温した(昇温速度1〜3℃/分)。そして1500℃で1時間保持した後、室温まで徐々に冷却した。
以上の一連の処理を行って、各成形用材料から上記金型に対応する直径29mm、高さ2mmの円板(ペレット)形状の多孔質セラミック材(実施例1〜4,比較例1〜4)を得た。
得られた各セラミック材の細孔径および気孔率を調べた。すなわち、市販の水銀ポロシメーター(マイクロメリテック社製品、商品名:AutoporeIII)を使用し、水銀圧入法に基づいて細孔径分布および平均細孔径ならびに気孔率を求めた。また、炭化ケイ素(SiC)と窒化ケイ素(Si3N4)の体積比を各原料の調合(使用量)から計算した。結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1〜4の多孔質セラミック材は、平均細孔径がいずれも0.9〜1.6μm程度であり、更にはその平均細孔径をほぼ中心にして狭い細孔径分布を示した。また、気孔率も35〜45%程度であった。従って、これらセラミック材は、ガスや水の濾過材として或いはガスや空気が透過可能な触媒担体として好適に用いられる。特に、実施例3および実施例4に係るセラミック材は、平均細孔径が0.8〜1.2μmの範囲内にあり、ガス分離等に用いられるセラミック分離膜の基材(支持体)として特に好適に用いることができる。
以下の実施例11〜44はいずれも参考例としての記載であり、本願特許請求の範囲に記載の発明についての実施例ではない。
<(a)成分として炭化ケイ素に代えて窒化ケイ素を含む多孔質セラミック材の調製および評価>
高純度シリコン粉末(純度:96%以上、平均粒径:約12μm)と、平均粒径が約4μmの窒化ケイ素粉末(純度95%以上)と、平均粒径が約1μmの酸化イットリウム粉末と、平均粒径が約0.3μmの酸化アルミニウム粉末とを用いて、表3に示す計6種類の成形用材料を調製した。
すなわち、表3に示す配合比となるように、窒化ケイ素粉末に上記シリコン粉末ならびに酸化イットリウム粉末および酸化アルミニウム粉末を添加し、適量の水を加えてボールミルで30分間混合することによって、6種類の成形用材料(1〜6)を調製した。これらのうち、実施例14〜16用と実施例20〜22用の成形用材料(2及び4)は、酸化イットリウムと酸化アルミニウムのモル比(Y2O3/Al2O3)が概ね1/2即ち0.5となるようにこれらの粉末を加えた。一方、その他の成形用材料は、モル比(Y2O3/Al2O3)が概ね1/1即ち1となるようにこれらの粉末を加えた。
乾燥後、各成形用材料をそれぞれ直径29mmのプレス金型に充填した(試料重量:約3g)。
そして、約50MPa(500kg/cm2)、約100MPa(1000kg/cm2)又は約150MPa(1500kg/cm2)の成形圧で一軸加圧成形した。
得られた成形体は、窒素雰囲気にした電気炉に収容し、上記実施例1〜6と同様の条件で窒化、焼成した。こうして、上記金型に対応する円板(ペレット)形状の多孔質セラミック材(実施例11〜28)を得た。
得られた各セラミック材の細孔径、気孔率、ならびに窒化ケイ素(原料成分、即ち(a)成分として添加したもの)と窒化反応によって生じた窒化ケイ素(即ち(b)成分由来)の体積比を上述の方法に準じて調べた。結果を表4に示す。
表4に示すように、各実施例の多孔質セラミック材は、平均細孔径がいずれも0.6μm以上あり、更にはその平均細孔径をほぼ中心にして狭い細孔径分布を示した。また、気孔率も30〜45%程度であった。従って、これらセラミック材は、ガスや水の濾過材として或いはガスや空気が透過可能な触媒担体として好適に用いられる。特に、実施例11,17,20,23および26に係るセラミック材は、平均細孔径が0.8μm以上あり、ガス分離等に用いられるセラミック分離膜の基材(支持体)として特に好適に用いることができる。
また、同一の成形用材料を用いた実施例11〜13、実施例14〜16、実施例17〜19、実施例20〜22、実施例23〜25または実施例26〜28の結果から、比較的大きな細孔径のセラミック材を製造するには、50MPa程度の成形圧が好ましいことが認められた。
また、実施例11と実施例14との比較、ならびに実施例17と実施例20との比較から、35〜40%の気孔率を実現するには、モル比(Y2O3/Al2O3)が概ね1となるように酸化イットリウム粉末及び酸化アルミニウムを添加することが好ましいことが認められた。
実施例26に係るセラミック材の表面(図1)および比較例2に係るセラミック材の表面(図2)を電子顕微鏡(SEM)で観察した。その結果、図2に示すように、比較例2に係るセラミック材の表面には、針状のβ型窒化ケイ素が多量に存在し、比較的緻密な構造であることが認められた。一方、図1に示すように、実施例26に係るセラミック材の表面には、針状のβ型窒化ケイ素は殆ど存在しておらず、ガス分離膜等の基材として好ましい0.8〜1.2μm程度の孔径の細孔に富む構造であることが認められた。
次に、表3に示す成形用材料1及び成形用材料5を用いて、三点曲げ強度試験片形状(幅3mm、高さ4mm、長さ40mmの真直梁形状)の多孔質セラミック材を作製し、JISに基づく三点曲げ強度を測定した。
すなわち、上記試験片形状に対応するプレス金型に各成形用材料を充填し、約20MPa(200kg/cm2)、約50MPa(500kg/cm2)、約100MPa(1000kg/cm2)又は約150MPa(1500kg/cm2)の成形圧で一軸加圧成形した。
得られた成形体は、窒素雰囲気にした電気炉に収容し、上記実施例1〜6と同様の条件で窒化、焼成した。こうして、上記金型に対応する三点曲げ強度試験片形状の多孔質セラミック材(成形用材料1について実施例31〜34、成形用材料5について実施例41〜44)を得た。而して、得られた各試験片について、室温(25℃)条件下及び高温(800℃)条件下でJISに基づく三点曲げ強度試験をそれぞれ行った。結果を表5に示す。
表5に示すように、いずれの成形用材料を用いた場合でも、温度条件に拘わらず、成形(プレス)圧の高いものほど高い曲げ強度を示した(実施例31<32<33<34、実施例41<42<43<44)。
特に成形用材料5(表3参照)を用いて作製した多孔質セラミック材(曲げ強度試験片)では、成形圧50MPaで40MPa以上、更に成形圧100MPaで50MPa以上、更に成形圧150MPaで80MPa以上の曲げ強度を実現した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
一実施例に係る多孔質セラミック材の表面構造を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。 一比較例に係る多孔質セラミック材の表面構造を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。

Claims (5)

  1. 気孔率が35〜45%であり且つ水銀圧入法に基づく平均細孔径又は細孔径分布のピーク値が0.5〜2.0μmの範囲内にある、非酸化物系多孔質セラミック材を製造する方法であって、
    炭化ケイ素粉末と、金属シリコン粉末と、酸化イットリウム粉末及び酸化アルミニウム粉末とを含む成形用材料であって、炭化ケイ素粉末100質量部に対して10〜100質量部の金属シリコン粉末が添加され、且つ、該金属シリコン粉末の含有量の2〜250mass%に相当する量であって成形用材料全量の20mass%を超えない量の酸化イットリウム粉末及び酸化アルミニウム粉末が添加された成形用材料を用意する工程と、
    該成形用材料を所定の形状に成形する工程と、
    該成形用材料から成る成形体を窒化可能な雰囲気中で反応焼結させる工程と、
    を包含し、
    ここで前記反応焼結工程において、窒化可能な雰囲気中において1200〜1500℃の温度域で2〜12時間、前記成形体を焼成することを特徴とする製造方法。
  2. 前記窒化可能な雰囲気は、酸素を実質的に含まない窒素ガス若しくはアンモニアガスを主体とする雰囲気である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記金属シリコン粉末の平均粒径と前記炭化ケイ素粉末の平均粒径はいずれも1μm〜50μmである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記酸化イットリウム粉末及び酸化アルミニウム粉末の平均粒径が0.1μm〜1μmである、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記成形工程において、前記成形用材料を成形圧30MPa〜200MPaで加圧成形する、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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