JP2683452B2 - セラミックス多孔体およびその製造方法 - Google Patents

セラミックス多孔体およびその製造方法

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JP2683452B2 JP50047095A JP50047095A JP2683452B2 JP 2683452 B2 JP2683452 B2 JP 2683452B2 JP 50047095 A JP50047095 A JP 50047095A JP 50047095 A JP50047095 A JP 50047095A JP 2683452 B2 JP2683452 B2 JP 2683452B2
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久雄 竹内
成二 中畑
貴宏 松浦
千尋 河合
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は、一般的には流体中の異物除去のためのフ
ィルタ材料あるいは触媒担体として有用なセラミックス
多孔体に関し、より特定的には窒化ケイ素質セラミック
ス多孔体およびその製造方法に関するものである。
背景技術 フィルタ材料あるいは触媒担体に用いられる多孔体と
しては、樹脂、金属またはセラミックスなどの多くの材
料からなるものが知られている。これらの中で、セラミ
ックス材料からなるフィルタまたは触媒担体は、他の材
料では対応不可能な高温あるいは腐食性の強い環境下で
用いられることが多い。アルミナ(Al2O3)などの酸化
物セラミックスからなるフィルタまたは触媒担体は、既
に実用化されている。
これに対して、非酸化物セラミックスからなる多孔体
に関しては、実用化された例は少ないが、特開昭63−29
1882号公報には、熱処理によって作製された窒化ケイ素
基あるいは炭化ケイ素基の多孔体が開示されている。ま
た、特開平1−188479号公報には、比較的粗粒のケイ粗
粉末と窒化ケイ素粉末の混合粉末を成形した後、窒化す
ることによって固体ターゲットとしての多孔体を製造す
る方法が開示されている。
上述のように、樹脂または金属からなる多孔体は、高
温または腐食性雰囲気のもとでの使用は困難である。た
とえば、高温排気ガス中での異物除去のためのフィル
タ、あるいは有害物質の分解触媒の担体には、セラミッ
クス製の多孔体を使用することが必要不可欠である。
セラミックス製多孔体としては、アルミナ製のものが
実用化されている。アルミナからなる多孔体において
は、気孔径、気孔率や曲げ強度は多種多様なものが存在
するが、気孔率が35〜40%、平均細孔径が25〜130μm
の場合には、曲げ強度が20〜35MPaであり、多孔体とし
ての強度が用途によっては十分ではなかった。
また、上述の特開昭63−291882号公報に開示されてい
る窒化ケイ素基の多孔体においては、気孔率が30%未満
であり、流体の透過性が十分でない、一般に、セラミッ
クスの強度は気孔率の増加に従って低下する傾向があ
り、気孔率と強度を両立させることは極めて困難であっ
た。
そこで、この発明は上述の問題点を解決するためにな
されたものであり、気孔率が高く、かつ強度の高いセラ
ミックス多孔体を提供することを目的とする。
発明の開示 本発明者らは、上述の課題について鋭意検討した結
果、窒化ケイ素(Si3N4)粉末と所定の添加物粉末の混
合粉末の成形体を高温で熱処理することにより、柱状の
β−Si3N4(β型窒化ケイ素)結晶粒子を主成分とし、
気孔率が高い場合にも高い強度を維持することが可能な
窒化ケイ素質セラミックス多孔体を作製することができ
ることを見出した。
この発明に従った窒化ケイ素質セラミックス多孔体
は、気孔率が30%以上で、アスペクト比が3以上のβ型
窒化ケイ素6角柱状粒子を含み、β型窒化ケイ素6角柱
状粒子の窒化ケイ素粒子全体に対する割合が60%以上
で、希土類元素の化合物を少なくとも1種、その希土類
元素の酸化物換算で1体積%以上20体積%を含む窒化ケ
イ素質セラミックス多孔体において、平均細孔径が0.05
μm以上12μm以下、常温における曲げ強度が80MPa以
上であることを特徴とする。
また、この発明に従った窒化ケイ素質セラミックス多
孔体において、β型窒化ケイ素6角柱状粒子の窒化ケイ
素粒子全体に対する割合が好ましく90%以上である。
上記の窒化ケイ素質セラミックス多孔体は、周期律表
II a族、III b族元素または遷移金属元素の化合物を少
なくとも1種、その各元素の酸化物換算で5体積%以下
含んでもよい。
この発明の窒化ケイ素質セラミックス多孔体は、温度
1000℃における曲げ強度が50MPa以上であるのが好まし
い。
さらに、要約すれば、この発明に従った窒化ケイ素質
セラミックス多孔体の製造方法は以下の工程を備える。
a,窒化ケイ素粉末に希土類元素の化合物粉末を少なくと
も1種、その希土類元素の酸化物換算で1体積%以上20
体積%以下添加して、あるいはさらに周期律表II a族、
III b族元素および遷移金属元素の化合物を少なくとも
1種、その各元素の酸化物換算で5体積%以下添加して
混合粉末を準備する工程。
b.上記混合粉末から成形体を作製する工程。
c.成形体を窒素含有雰囲気中で1500℃以上2100℃以下の
温度で熱処理する工程。
この発明において、希土類元素の化合物は、熱処理中
に、原料窒化ケイ素(Si3N4)粉末の表面に存在するSiO
2と反応して液相を生成し、Si3N4を固溶して柱状のβ−
Si3N4結晶粒子を析出させる働きをする。また、希土類
元素の化合物は、熱処理後には、β−Si3N4粒子の外に
粒界相として存在し、β−Si3N4を繋いで強度を維持す
る働きをする。なお、希土類元素とは、Sc、Yおよびラ
ンタノイド系元素をいう。希土類元素の化合物の添加率
としては、酸化物換算で1〜20体積%の範囲が適してお
り、2〜10体積%とするのがさらに望ましい。粒界相の
形態としては、Y2O3・SiO2等のシリンケート、Y2O3・Si
3N4等の酸窒化物がある。希土類元素の化合物の添加量
が1体積%未満の場合には、β−Si3N4結晶粒子の柱状
化が十分ではなく、20体積%を超える場合には、高温に
おける耐酸化性や強度が低下するほか、希土類元素が一
般に高価であることから製造コストの上昇に繋がるとい
う問題がある。
また、周期率表II a族、III b族元素および遷移金属
元素の化合物は、通常、焼結体を作製する場合に添加さ
れるものである。上記の希土類元素の化合物は、周期律
表II a族、III b族元素および遷移金属元素の化合物の
併用した場合、液相生成温度を低下させ、緻密化を促進
するとともに強度を向上させる働きをする。なお、周期
律表II a族の元素とは、Be、Mg、Ca、Srなどをいい、II
I b族の元素とは、B、Al、Gaなどをいい、遷移金属元
素とは、Fe、Ti、Zrなどをいう。
気孔率の高い多孔体を作製する観点からは、これらの
元素の化合物の添加率は少ないほうが好ましい。その添
加率は、各元素の酸化物換算で5体積%以下が適してお
り、2体積%以下とするのが望ましく、さらにより好ま
しくは1体積%以下である。
一方、周期律表II a族、III b族元素および遷移金属
元素の化合物の添加によって、より低温領域から液相が
生成するため、粒成長も低温領域がら生じる。これは、
液相に溶解したSi3N4の再析出によって粒成長が起こ
り、粒成長開始温度が低下するためと考えられる。この
ため、II a、III b族元素および遷移金属元素の化合物
を添加した場合には、低温で高強度多孔体を得ることが
でき、製造コストの面で有利となる。また、このような
低温領域の粒成長は微細な結晶粒子を生成する傾向があ
るため、細孔径の小さな多孔体を作製することができ
る。
これらII a、III b族元素および遷移金属元素の化合
物の添加率が5体積%を超える場合には、低温領域から
緻密化効果が大きいため、柱状粒成長を生じる前に緻密
化してしまい、多孔体の気孔率が低下するほか、耐酸化
性が低下するという問題あがる。
なお、遷移金属の中でも、特にTiなどのIV a族元素の
化合物を添加した場合には、その化合物が1600℃以上の
高温でβ−Si3N4と反応し、結晶粒同士の結合力を増加
させることができ、高強度の多孔体が得られる。
原材料として用いられるSi3N4粉末は、α−Si3N4を主
成分とするものが一般的であるが、原材料としてβ−Si
3N4、非晶質の窒化ケイ素を用いてもよい。窒化ケイ素
粉末の平均粒径は0.1μm以上20μm以下とするのが好
ましい。窒化ケイ素粉末の平均粒径が0.1μm未満で
は、粉末同士の凝集が激しく起こり、得られる成形体の
密度が相対密度で30%以上にならず、成形体のハンドリ
ング強度や熱処理後の多孔体の強度が不十分となる。ま
た、窒化ケイ素の平均粒径が20μmを超えると、熱処理
による焼結性が低下し、多孔体の強度として80MPa以上
の強度が得られない。
上述の希土類元素の化合物や周期律表II a族、III b
族元素および遷移金属元素の化合物は、酸化物粉末とし
て添加するものが最も一般的であるが、水酸化物やアル
コキシドのように、分解して水酸化物や酸化物の粉末を
生成する化合物として添加することも可能である。ま
た、これらの化合物を窒化物粉末等の形態で添加するこ
とも可能である。
これらの粉末は、ボールミル法などの所定の方法を用
いて混合した後、成形される。成形方法についても、金
型プレスやCIP(冷間静水圧成形)法などの所定の方法
を用いることができる。成形密度は、粉末の特性や目的
とする多孔体を気孔率によって異なる。
柱状粒子の成長を促進させるとともに、高い気孔率を
得るためには、成形密度は低いほうか好ましい。ところ
が、成形体のハンドリングに必要な強度の確保や熱処理
後の多孔体の強度を高くするためには、ある一定レベル
以上の成形密度で成形体を作製する必要がある。市販の
α−Si3N4粉末を用いた場合には、理論密度の30〜60%
とするのが望ましく、35〜50%に設定することがより望
ましい。なお、希土類元素の化合物のみを添加する場合
には、成形密度が相対密度で30%未満では熱処理後の気
孔率が30%以上になるが、気孔径も大きくなり、柱状晶
が形成されても曲げ強度の高い多孔体が得られない。一
方、成形密度が相対密度で60%を超えると、多孔体にお
いて十分高い曲げ強度を得ることができるが、気孔率が
30%未満となり、気孔径も小さくなる。
得られた成形体は、熱分解などによって成形助剤(樹
脂など)を除いた後、窒素含有雰囲気中で1500℃以上の
温度で熱処理される。この熱処理によってβ−Si3N4
の遷移(α型粉末を用いた場合)や粒成長(柱状化)が
進み、主としてβ−Si3N4柱状粒子からなる多孔体に変
化する。熱処理温度は、添加物の組成や原料粉末の粒
径、目的とする多孔体の平均細孔径、気孔率によって異
なる。
たとえば、Y2O3などの希土類元素の化合物のみを添加
する場合には、1700℃以上の高温領域で熱処理する必要
がある。この場合、より高温で熱処理を行なっても緻密
化があまり進行しないため、細孔径が非常に大きくなる
ような温度領域で熱処理することも可能である、これに
対し、希土類元素の化合物に加えて、周期律表II a族、
III b族元素および遷移金属元素の化合物を添加した場
合には、前述のように、低温領域から液相が生成し、こ
の液相に溶解したSi3N4が柱状のβ型粒子として析出す
るため、低温領域の熱処理でも高強度の多孔体を作製す
ることができる。しかし、高温で熱処理する場合には、
緻密化が進行するため、多孔体の作製方法としては不適
切である。このようなII a、III b族元素および遷移金
属元素の化合物の添加率が高いほど緻密化が促進されや
すく、気孔率も小さくなりやすい。
したがって、II a、III b族元素および遷移金属元素
の化合物の添加量が0体積%を超え、1体積%以下では
1600〜1900℃、その化合物の添加量が1体積%を超え、
2体積%以下では1600〜1850℃、その添加量が2体積%
を超え、5体積%以下では1500〜1700℃の範囲内の温度
が成形体の熱処理温度として好ましい。通常、成形体の
熱処理温度が1500℃未満では粒成長が十分ではない。
また、窒化ケイ素は高温では分解圧が高くなるため、
熱処理温度によって窒素分圧を大きくする必要がある。
熱処理の雰囲気としては、窒素を含む非活性雰囲気であ
ればよく、アルゴン(Ar)などの混合雰囲気でもよい。
周期律表II a族、III b族元素の化合物を添加しない場
合には、1700℃以上の温度が必要であるが、2100℃を超
える熱処理は、粒成長が著しく、気孔径の大きな多孔体
の製造には有利であるが、気孔率を30%以上、かつ曲げ
強度を室温で80MPa以上、温度1000℃で50MPa以上の本発
明の範囲内に制御するためには、窒素分圧を数百気圧以
上にしなければならず、装置面でコストが高くなる問題
がある。また、2100℃を超える熱処理を行なうと、多孔
体の曲げ強度も低下する傾向があるので、用途が限られ
る問題も生じる。したがって、熱処理温度は2100℃以下
が好ましい。
このようにして得られた多孔体は、希土類元素の化合
物、周期律表II a族、III b族元素および遷移金属元素
の化合物またはSi3N4粉末に由来するSi含有物質から生
成した粒界相でβ−Si3N4柱状結晶粒子を繋いだ構造を
有しており、気孔率が高い場合にも高い強度を示す。高
い強度を示す原因としては、一般に用いられるAl2O3
多孔体が球状の結晶粒子からなる多結晶の網目構造を有
しているのと異なり、本発明の多孔体においては、柱状
の結晶粒子が絡み合った構造を有することや、柱状粒子
がほとんど欠陥のない単結晶であるため、非常に高い強
度(数GPa)を有することなどと考えられる。
また、この多孔体では、0.05μm以上12μm以下の範
囲内で平均細孔径を原料粉末の粒径と成形体密度によっ
て任意に制御することができる。平均細孔径が0.05μm
未満では、柱状粒の発達が十分ではなく、そのアスペク
ト比が3未満になる。その結果、気孔率が低下してしま
う。また、平均細孔径が12μmを超える場合、結晶粒の
大きさが長径で36μm以上となる、または短径で12μm
以上となるのいずれか少なくとも1つの現象が生じ、強
度低下を引き起こしてしまう。したがって、平均細孔径
を上記の範囲内に制御することにより、精密ろ過等の分
野においてより高温下で、または負荷のかかる場合など
で本発明の多孔体を使用することができる。
柱状粒子となるβ−Si3N4の割合は、Si3N4全体の60%
以上の望ましく、さらに90%以上となることがより一層
望ましい。このようにβ−Si3N4の割合を非常に高い値
に規定するのは、Si3N4のもう1つの結晶型であるα−S
i3N4は球形を示し、強度低下の原因となるためである。
β−窒化ケイ素柱状粒径が窒化ケイ素粒子全体の60%以
上90%未満の場合結晶構造はα−窒化ケイ素柱状粒とβ
−窒化ケイ素柱状粒とが複合した形態をとる。このと
き、β−柱状粒はα結晶粒の存在している部分同士を連
結するので、β化率が60%未満のものよりも高い強度を
得ることができる。また、このような柱状粒子の成長は
緻密化を防止する役割も果たす。Si3N4は高い耐酸化性
を示すので、高温において、高い負荷が加わる場合で
も、窒化ケイ素質セラミックス多孔体は破損することな
く用いられ得る。さらに、この発明の窒化ケイ素質セラ
ミックス多孔体は高い強度と低い熱膨張係数を有するの
で、熱衝撃に対しても優れた特性を有する。
以上、窒化ケイ素質セラミックス多孔体について説明
してきたが、高い気孔率と高い強度を兼ね備えること
は、本質的には柱状粒子の絡まった構造に起因するもの
である。そのため、このような柱状粒子の絡まった構造
を有する他の材料も同様の効果を発揮する。たとえば、
不純物としてSiと希土類元素の酸化物などの焼結助剤を
含む窒化アルミニウムにおいても、このような挙動がみ
られる。したがって、一般的には気孔率が30%以上のセ
ラミックス多孔体において、アスペクト比が3以上の柱
状セラミックス粒子を主成分とすれば、上述のような効
果を得ることができる。アスペクト比とは、柱状粒子の
長径と短径との比率をいい、一般的には高いほうが上述
の効果に優れ、3未満である場合には高強度化に及ぼす
効果が小さい。
また、この窒化ケイ素質セラミックス多孔体の柱状径
は6角柱構造をしている。この場合、その細孔を形成す
るのは6角柱の側面である。この側面は平面であるの
で、その表面を触媒となる金属(たとえば白金)で被覆
する場合に、表面に均一にその金属を付着することがで
き、触媒としての性能が上昇することが本発明者らの研
究の結果、判明している。
発明を実施するための最良の形態 実施例1 平均粒径が0.3μm(比表面積:11m2/g)のα型窒化ケ
イ素(α−Si3N4)を主成分とする窒化ケイ素粉末に平
均粒径が0.5μm(比表面積:7m2/g)の酸化イットリウ
ム粉末を添加し、エタノールを溶媒としてボールミルを
用いて72時間混合した。酸化イットリウム粉末の添加量
は第1表に示される。
このようにして得られた混合粉末を乾燥した後、成形
助剤を添加し、100mm×100mmの金型を用いて20kg/cm2
圧力で成形した。得られた成形体は、いずれの組成にお
いても、厚みが約15mm、相対密度が約35%であった。な
お、相対密度は、重量と寸法の測定から算出した成形体
密度を、窒化ケイ素と添加物の加重平均である理論密度
で割ることによって求めた。
得られた成形体を第1表に示される条件で熱処理を施
すことにより、多孔体を得た。この多孔体から3mm×4mm
×40mmの大きさのJIS1601に準拠した三点曲げ試験用試
験片を切出した。この試験片を用いて、常温と1000℃に
おける曲げ強度を測定した。また、相対密度から、気孔
率を算出した(気孔率(%)=100−相対密度
(%))。さらに、得られた多孔体を用いてX線回折を
行なうことにより、X線回折ピーク強度比よりβ化率を
求めた。その算出式は以下に示される。
(β化率)(%)={A/(A+B)}×100 ここで、Aはβ型窒化ケイ素のX線回折ピーク強度を
示し、Bはα型窒化ケイ素のX線回折ピーク強度比を示
す。
また、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて破断面を観察
することにより、平均結晶粒径を求めた。平均細孔径に
関しては、水銀ポロシメータを用いて測定した。これら
の測定結果は第1表に示される。
実施例2 希土類元素の化合物として、酸化イットリウム粉末の
代わりに第2表に示される各土類元素の酸化物粉末を用
いた以外は、実施例1と同様の方法で多孔体を作製し、
評価した。その結果は第2表に示される。この結果か
ら、酸化イットリウム以外の希土類酸化物を用いても同
様の窒化ケイ素多孔体が得られることがわかる。
実施例3 A群の添加物として希土類元素の酸化物である酸化イ
ットリウムと、これに加えてB群の添加化合物として周
期律表II a族、III b族および元素遷移金属元素の化合
物である、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび
酸化チタニウムを添加した以外は、実施例1と同様の方
法で多孔体を作製し、評価した。その結果は第3表に示
される。
第3表から明らかなように、希土類酸化物のみを添加
した実施例よりも低温で窒化ケイ素多孔体を作製するこ
とが可能であることがわかる。
実施例4 平均粒径が0.5μmの窒化アルミニウム粉末に、同じ
粒径の酸化ケイ素粉末(20.6体積%)と酸化イットリウ
ム粉末(1.2体積%)を添加し、エタノールを溶媒とし
てボールミルを用いて72時間混合した。
このようにして得られた混合粉末を乾燥した後、成形
助剤を添加し、10mm×10mmの金型を用いて20kg/cm2の圧
力で成形した。得られた成形体の密度は相対密度で37%
であった。
この成形体を大気中で温度600℃で1時間熱処理して
成形助剤を除去した後、大気圧の窒素中、温度1700℃で
1時間熱処理して多孔体を得た。この多孔体を気孔率、
平均細孔径、結晶粒子の平均アスペクト比は、それぞ
れ、35%、1.6μm、4であった。また、常温と1000℃
における三点曲げ強度は、それぞれ90MPa、60MPaであっ
た。
実施例5 平均粒径が0.3μm、7.0μm、12.0μmのα型窒化ケ
イ素原料粉末を使用して、実施例1と同様の方法で酸化
イットリウム粉末の含有量が0.3μmの粉末の場合、4
体積%、7.0μmおよび12.0μmの場合、5体積%とな
るように混合粉末を作製し、第4表に示す相対密度の成
形体を作製した。成形体密度は1軸成形圧力を1kg/cm2
以上2000kg/cm2以下の範囲で変化させることにより調製
した。得られた成形体の成形助剤を分解した後の熱処理
を4気圧の窒素中、温度1800℃で2時間の同一条件で行
なったほか、実施例1と同一の条件で処理、評価した。
その評価結果は第4表に示される。
その結果から、原料粉末の平均粒径および成形体の密
度を制御することにより、熱処理後に得られた多孔体の
平均細孔径を制御することができることがわかる。
実施例6 本発明の製造方法を用いて作製された平均細孔径が0.
1〜5.0μmの窒化ケイ素質セラミックス多孔径をφ25mm
×0.5mmの円盤状に加工した。これらの多孔体を用いて
イソプロピルアルコール(20℃)および純水(20℃)の
透過実験を行なった。その結果は第5表に示される。こ
こで、比較例として、同じ細孔径を有するαアルミナ質
セラミックス多孔体を用いた場合の流量結果を第5表に
示す。
この結果から、窒化ケイ素質多孔体の液体透過流量は
アルミナ質多孔体よりも高い性能を有することがわか
る。
産業上の利用可能性 以上のように、この発明によれば、気孔率が高く、か
つ強度が高いセラミックス多孔体が得られる。この多孔
体は高温特性と耐薬品性に優れているので、高温で使用
されるフィルタや腐食性の高い雰囲気中で使用される触
媒担体として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河合 千尋 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 平3−150275(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気孔率が30%以上で、アスペクト比が3以
    上のβ型窒化ケイ素6角柱状粒子を含み、β型窒化ケイ
    素6角柱状粒子の窒化ケイ素粒子全体に対する割合が60
    %以上で、希土類元素の化合物を少なくとも1種、その
    希土類元素の酸化物換算で1体積%以上20体積%以下含
    む窒化ケイ素質セラミックス多孔体において、 平均細孔径が0.05μm乃至以上12μm以下、常温におけ
    る曲げ強度が80MPa以上であることを特徴とする、窒化
    ケイ素質セラミックス多孔体。
  2. 【請求項2】周期律表II a族、III b族元素、遷移金属
    元素の化合物を少なくとも1種、その各元素の酸化物換
    算で5体積%以下含む、請求の範囲第1項記載の窒化ケ
    イ素質セラミックス多孔体。
  3. 【請求項3】温度1000℃における曲げ強度が50MPa以上
    である、請求の範囲第1項記載の窒化ケイ素質セラミッ
    クス多孔体。
  4. 【請求項4】β型窒化ケイ素6角柱状粒子の窒化ケイ素
    粒子全体に対する割合が90%以上である、請求の範囲第
    1項記載の窒化ケイ素質セラミックス多孔体。
  5. 【請求項5】気孔率が30%以上でアスペクト比が3以上
    のβ型窒化ケイ素6角柱状粒子を含み、β型窒化ケイ素
    6角柱状粒子の窒化ケイ素粒子全体に対する割合が60%
    以上である窒化ケイ素質セラミックス多孔体の製造方法
    において、 粒子状の窒化ケイ素粉末に希土類元素の化合物粉末を少
    なくとも1種、その希土類元素の酸化物換算で1体積%
    以上20体積%以下、添加して混合粉末を準備する工程
    と、 前記混合粉末から成形体を作製する工程と、 窒素含有雰囲気中で1700℃以上2100以下の温度で前記成
    形体を熱処理する工程とを備えた、窒化ケイ素質セラミ
    ックス多孔体の製造方法。
  6. 【請求項6】0.1μm以上20μm以下の範囲内の平均粒
    径を有する前記窒化ケイ素粉末を用い、前記混合粉末か
    ら成形体を作製する工程において、得られた成形体の密
    度を相対密度で30%以上60%以下の範囲内で制御する、
    請求の範囲第5項記載の窒化ケイ素質セラミックス多孔
    体の製造方法。
  7. 【請求項7】気孔率が30%以上でアスペクト比が3以上
    のβ型窒化ケイ素6角柱状粒子を含み、β型窒化ケイ素
    6角柱状粒子の窒化ケイ素粒子全体に対する割合が60%
    以上である窒化ケイ素質セラミックス多孔体の製造方法
    において、 粒子状の窒化ケイ素粉末に希土類元素の化合物粉末を少
    なくとも1種、その希土類元素の酸化物換算で1体積%
    以上20体積%以下、周期律表II a族、III b族および遷
    移金属の元素を化合物を少なくとも1種、その元素の酸
    化物換算で0体積%を超え、1体積%以下、添加しても
    混合粉末を準備する工程と、 前記混合粉末から成形体を作製する工程と、 窒素含有雰囲気中で1600℃以上1900℃以下の温度で前記
    成形体を熱処理する工程とを備えた、窒化ケイ素質セラ
    ミックス多孔体の製造方法。
  8. 【請求項8】気孔率が30%以上でアスペクト比が3以上
    のβ型窒化ケイ素6角柱状粒子を含み、β型窒化ケイ素
    6角柱状粒子の窒化ケイ素粒子全体に対する割合が60%
    以上である窒化ケイ素質セラミックス多孔体の製造方法
    において、 粒子状の窒化ケイ素粉末に希土類元素の化合物粉末を少
    なくとも1種、その希土類元素の酸化物換算で1体積%
    以上20体積%以下、周期律表II a族、III b族および遷
    移金属の元素の化合物を少なくとも1種、その元素の酸
    化物換算で1体積%を超え、2体積%以下、添加して混
    合粉末を準備する工程と、 前記混合粉末から成形体を作製する工程と、 窒素含有雰囲気中で1600℃以上1850℃以下の温度で前記
    成形体を熱処理する工程とを備えた、窒化ケイ素質セラ
    ミックス多孔体の製造方法。
  9. 【請求項9】気孔率が30%以上でアスペクト比が3以上
    のβ型窒化ケイ素6角柱状粒子を含み、β型窒化ケイ素
    6角柱状粒子の窒化ケイ素粒子全体に対する割合が60%
    以上である窒化ケイ素質セラミックス多孔体の製造方法
    において、 粒子状の窒化ケイ素粉末に希土類元素の化合物粉末を少
    なくとも1種、その希土類元素の酸化物換算で1体積%
    以上20体積%以下、周期律表II a族、III b族および遷
    移金属の元素の化合物を少なくとも1種、その元素の酸
    化物換算で2体積%を超え、5体積%以下、添加して混
    合粉末を準備する工程と、 前記混合粉末から成形体を作製する工程と、 窒素含有雰囲気中で1500℃以上1700℃以下の温度で前記
    成形体を熱処理する工程とを備えた、窒化ケイ素質セラ
    ミックス多孔体の製造方法。
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JP2009544460A (ja) * 2006-07-21 2009-12-17 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド 改善されたディーゼル粒子フィルター

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