JP2003245545A - 触媒の調製方法 - Google Patents

触媒の調製方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プロパンまたはイソブタンの気相接触酸化反
応または気相接触アンモ酸化反応に用いる酸化物触媒の
調製方法において、焼成を中断する場合、焼成途中の触
媒前駆体を、大量に劣化させることなく保管できる。 【解決手段】 焼成途中の触媒前駆体を酸素濃度100
0ppm以下で保管する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロパンまたはイ
ソブタンの気相接触酸化または気相接触アンモ酸化反応
に用いる、テルルおよびアンチモンから選ばれる少なく
とも1種以上の元素、モリブデン、バナジウムおよびニ
オブを含む酸化物触媒の調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、不飽和酸または不飽和ニトリルを
製造するに当たって、アルケンに替わってアルカンを出
発原料にして、気相接触酸化または気相接触アンモ酸化
反応を行い、対応する不飽和酸または不飽和ニトリルを
製造する方法が着目されている。これらの反応に用いる
テルルおよびアンチモンから選ばれる少なくとも1種以
上の元素とモリブデン、バナジウムおよびニオブを含む
触媒が種々提案されている。例えば、Mo−V−Nb−
Te含有酸化物触媒が、特開平2−257号公報、特開
平5−148212号公報、特開平5−208136号
公報、特開平5−279713号公報、特開平6−22
8074号公報、特開平6−285372号公報、特開
平7−144132号公報、特開平7−289907号
公報、特開平8−57319号公報、特開平8−141
401号公報、特開平10−28862号公報などに開
示されている。また、Mo−V−Nb−Sb含有酸化物
触媒は特開昭63−295545号公報、特開平2−9
5439号公報、特開平5−213848号公報、特開
平10−28862号公報、特開2001−58827
号公報などに開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】プロパンまたはイソブ
タンの気相接触アンモ酸化反応に用いる、テルルおよび
アンチモンから選ばれる少なくとも1種以上の元素、モ
リブデン、バナジウムおよびニオブを含む酸化物触媒の
調製方法であって、TeまたはSbから選ばれる少なく
とも1種以上の化合物、Mo化合物、V化合物およびN
b化合物を含む水性混合液を乾燥し、焼成する触媒の調
製方法は既に公知である。特開平6−285372号公
報、特開平7−289907号公報などでは、焼成工程
において、流動焼成炉や回転焼成炉を用いてもよく、ま
た静置状態で焼成ガスを流通させても良いとしている。
また、焼成の条件として、熱処理の温度を段階的に高く
していく方法が採用できるとしており、350〜700
℃で焼成する前に、通常150〜350℃で0.5〜5
時間程度での熱処理する方法を記載している。
【0004】しかしながら、従来のテルルおよびアンチ
モンから選ばれる少なくとも1種以上の元素、モリブデ
ン、バナジウムおよびニオブを含む酸化物触媒の調製方
法では、その性能が不十分であり、また、焼成に関し
て、所望の触媒性能を得るための指標がこれまで見出さ
れていなかった。特に、工業化の際は、大量に再現性良
く、優れた性能の触媒を調製する必要がある。また、量
が多いため触媒又はその前駆体の保管が必要となる。そ
のためにも、焼成条件や保管方法を管理することは、き
わめて重要である。上記公報では、焼成前駆体に関する
保管方法の記載やその指標に関する記載は無い。
【0005】本発明の目的は、プロパンまたはイソブタ
ンの気相接触酸化または気相接触アンモ酸化反応に用い
る、テルルおよびアンチモンから選ばれる少なくとも1
種以上の元素、モリブデン、バナジウムおよびニオブを
含む酸化物触媒の調製方法であって、反応成績が良く、
かつ、大量に製造した際の触媒のバラツキを抑制するた
めの触媒前駆体の保管方法を提供することである。すな
わち、プロパンまたはイソブタンの気相接触酸化反応ま
たは気相接触アンモ酸化反応に用いる触媒を調製する
際、焼成を中断しても性能を劣化させない方法を提供す
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの課題を
解決するため、アルカンの気相接触酸化または気相接触
アンモ酸化反応に用いる、テルルおよびアンチモンから
選ばれる少なくとも1種以上の元素、モリブデン、バナ
ジウムおよびニオブを含む酸化物触媒の調製方法につい
て鋭意検討した結果、TeまたはSbから選ばれる少な
くとも1種以上の化合物、Mo化合物、V化合物、Nb
化合物およびシリカゾルを含む水性混合液を乾燥し、焼
成する方法であって、焼成を中断する場合、焼成途中の
触媒前駆体を酸素濃度を1000ppm以下に保つこと
で、優れた性能を保持し、かつ性能の再現性良く触媒が
得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】即ち、本発明は、 [1]プロパンまたはイソブタンの気相接触酸化反応ま
たは気相接触アンモ酸化反応に用いる、テルルおよびア
ンチモンから選ばれる少なくとも1種以上の元素、モリ
ブデン、バナジウムおよびニオブを含む酸化物触媒の調
製方法において、TeまたはSbから選ばれる少なくと
も1種以上の化合物、Mo化合物、V化合物、Nb化合
物を含む水性混合液を乾燥し、実質的に酸素不存在下に
焼成する方法であって、焼成を中断する場合、焼成途中
の触媒前駆体を酸素濃度1000ppm以下の雰囲気で
保つことを特徴とする触媒の調製方法。 [2]該酸素濃度が10ppm以下であることを特徴と
する[1]に記載の触媒の調製方法。
【0008】[3]該酸化物触媒が、下記の一般組成式
(1)で示されることを特徴とする[1]または[2]
のいずれかに記載の触媒の調製方法。 Mo1aNbbcn (1) (式中、成分XはTeおよびSbから選ばれる少なくと
も1種以上の元素であり、a、b、c、nはMo1原子
当たりの原子比を表し、0.1≦a≦1、0.01≦b
≦1、0.01≦c≦1、そしてnは構成金属の酸化状
態によって決まる数である。)
【0009】[4]成分XがSbであることを特徴とす
る[1]〜[3]のいずれかに記載の触媒の調製方法。 [5]該酸化物触媒が、触媒構成元素の酸化物とシリカ
の全重量に対し、SiO 2換算で20〜60重量%のシ
リカに担持されていることを特徴とする[1]〜[4]
のいずれかに記載の触媒の調製方法。 [6]該ニオブ化合物が、ジカルボン酸とニオブ化合物
を含み、ジカルボン酸/ニオブのモル比が1〜4である
ことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の触
媒の調製方法。 [7]プロパンまたはイソブタンの気相接触酸化反応ま
たは気相接触アンモ酸化反応させて、対応する不飽和カ
ルボン酸または不飽和ニトリルを製造するに当たり、
[1]〜[6]のいずれかに記載の調製方法で調製され
た触媒を用いることを特徴とする不飽和酸または不飽和
ニトリルの製造方法、に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の触媒は、テルルおよびアンチモンから選ばれる
少なくとも1種以上の元素、モリブデン、バナジウムお
よびニオブを含むことを特徴とするものである。本発明
の触媒は、下記の一般組成式で示される; Mo1aNbbcn (式中、成分XはTeおよびSbから選ばれる少なくと
も1種以上の元素であり、a、b、c、nはMo1原子
当たりの原子比を表し、0.1≦a≦1、0.01≦b
≦1、0.01≦c≦1、そしてnは構成金属の酸化状
態によって決まる数である。) 成分XはSbであることが好ましい。
【0011】また、Mo1原子当たりの原子比a、b、
cは、それぞれ、0.1≦a≦0.5、0.01≦b≦
0.5、0.1≦c≦0.5であることが好ましい。更
には、0.2≦a≦0.3、0.05≦b≦0.2、
0.2≦c≦0.3が特に好ましい。また、c/aは1
以上が好ましい。反応形式に流動床を選択した場合、触
媒に充分な強度が要求され、その為、充分な量のシリカ
に担持する必要がある。本発明の触媒に用いる担体シリ
カの含有量は、触媒成分とシリカから成るシリカ担持触
媒の全重量比25〜70重量%、好ましくは30〜50
重量%である。
【0012】本発明の酸化物触媒を製造するための成分
金属の原料は特に限定されないが、例えば、下記の化合
物を用いることができる。Moの原料は、ヘプタモリブ
デン酸アンモニウムを好適に用いることができる。Vの
原料は、メタバナジン酸アンモニウムを好適に用いるこ
とができる。Nbの原料は、ニオブ酸、ニオブの無機酸
塩、およびニオブの有機酸塩などなどの少なくとも1種
を用いることができる。特にニオブ酸がよい。
【0013】ニオブ酸はNb25・nH2Oで表され、
ニオブ水酸化物または酸化ニオブ水和物とも称される。
中でも、特開平11−47598号公報に記載されてい
る様に、ジカルボン酸/ニオブのモル比が1〜4、アン
モニア/ニオブのモル比が2以下のニオブ原料液を用い
ることが好ましい。TeとSbの原料は、それぞれ、テ
ルル酸とアンチモン酸化物を好適に用いることができ
る。担体シリカの原料は、シリカゾルを好適に用いるこ
とができる。本発明の触媒の調製は、例えば、下記の原
料調合、乾燥および焼成の3つの工程を経て行うことが
できる。
【0014】(原料調合工程)先に述べた原料を用い、
原料調合液を得る。以下に一例を示す。ヘプタモリブデ
ン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム、三酸
化二アンチモンを水に添加し、加熱して原料液(A)を
調製する。三酸化二アンチモンに代えテルル酸を用いて
も良いし、同時に使用しても良い。ニオブ酸とシュウ酸
を水中で加熱撹拌して原料液(B)を調製する。原料液
Bは既に記した方法で用いることができる。このニオブ
原料液Bの少なくとも一部に、過酸化水素水を添加する
ことができる。この時、H22/Nbのモル比は0.5
〜20、特に1〜20が好ましい。更には、原料液Bの
少なくとも一部に過酸化水素、三酸化二アンチモンを添
加する事も好ましい。この時、H22/Nbのモル比は
0.5〜20、特に1〜20が好ましく、Sb/Nbモ
ル比は0〜5、特に0.01〜2が好ましい。
【0015】目的とする組成に合わせて、これら原料液
を好適に混合して、原料調合液を得る。この時、通常は
スラリーになる。原料混合液は、通常すみやかに次の乾
燥工程に供給され、乾燥粉体とする。本発明の触媒がシ
リカ担持触媒の場合、シリカゾルを含むように原料調合
液が調製される。シリカゾルは適宜添加することができ
る。また、成分Xとしてアンチモンを用いる場合は、混
合液(A)、または、調合途中の混合液(A)の成分を
含む液に、過酸化水素を添加することが好ましい。この
時、H22/Sb(モル比)は0.01〜5、好ましく
は0.5〜3、特に好ましくは1〜2.5である。ま
た、この時、30℃〜70℃で、30分〜2時間撹拌を
続けることが好ましい。
【0016】(乾燥工程)原料調合工程で得られた調合
液を噴霧乾燥法によって乾燥させ、乾燥粉体を得る。噴
霧乾燥法における噴霧化は遠心方式、二流体ノズル方
式、または高圧ノズル方式によって行うことができる。
乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーターなどによって加熱
された空気を用いることができる。熱風の乾燥機入口温
度は150〜300℃が好ましい。得られた乾燥粉体
は、通常すみやかに次の焼成工程に供給される。乾燥粉
体を保管する必要がある場合は、吸湿しないように保管
することが好ましい。
【0017】(焼成工程)乾燥工程で得られた乾燥粉体
を焼成に供することによって酸化物触媒を得る。焼成は
窒素などの実質的に酸素を含まないガス雰囲気下、好ま
しくは、不活性ガスを流通させながら、流動焼成炉また
はロータリーキルンなどで実施する。乾燥粉体は静置し
て焼成すると、均一に焼成されず性能が悪化するととも
に、割れ、ひびなどが生じる原因となる。不活性ガスの
流通量は乾燥粉体1Kg当たり、50〜2000Nリッ
トル/Hr、好ましくは50〜1500Nリットル/H
rである。ロータリーキルンによる連続流通式焼成の場
合は、乾燥粉体1Kg/Hr当たり、50〜2000N
リットル/Hr、好ましくは50〜1500Nリットル
/Hrである。この時、不活性ガスと乾燥粉体は向流で
も並流でも問題ないが、乾燥粉体から生成するガス成分
や、乾燥粉体とともに微量混入する空気を考慮すると、
向流接触が好ましい。
【0018】焼成工程は良好な性能を得るため、前段焼
成と本焼成に分けることが可能である。本焼成とは、触
媒とするために焼成された過程の中で最も高い温度で保
持された段階をいい、前段焼成とはそれ以前の焼成段階
をいう。前段焼成が更に数段に分かれていても良い。前
段焼成は、不活性ガス流通下、250℃〜450℃、好
ましくは300℃〜400℃で、一旦保持する事が好ま
しい。連続流通式焼成の場合、焼成管に供給される乾燥
粉体とともに空気が混入する可能性があるが、不活性ガ
スを向流で流通すれば問題ない。保持時間は30分以
上、好ましくは3〜8時間が好ましい。
【0019】本焼成は酸素不存在下、500〜700
℃、好ましくは550〜650℃で実施することができ
る。焼成時間は0.5〜20時間、好ましくは1〜8時
間である。焼成は本焼成まで連続して実施しても良い
が、焼成管の長さ、大きさの制約などの理由から、本焼
成に至る前に焼成途中で焼成を中断する場合がある。焼
成の中断とは、1時間以上加熱をやめることである。焼
成途中の触媒前駆体は、焼成管または焼成器から取り出
さずそのままにしても良いが、一般には触媒前駆体を回
収、保管し、あらためて本焼成を実施する場合が多い。
【0020】酸素存在下で焼成される触媒系の場合、焼
成を中断して触媒前駆体を取り出す際に、空気中の酸素
による酸化を懸念する必要はない。しかし、本発明にお
ける触媒系の様に、実質的に酸素不存在下で焼成を行う
場合、空気中の酸素で酸化される場合があるため、焼成
を中断し、焼成途中の触媒前駆体を抜き出す場合は、十
分に温度が下がってから短時間で回収するか、もしく
は、空気と接触させない様に回収することが好ましい。
一方、従来は、本発明の触媒系であっても、回収された
焼成途中の触媒前駆体は、室温では空気中の酸素では酸
化されないと考えられてきた。しかし、驚くべき事に、
焼成を中断し、空気中に取り出した触媒前駆体は、室温
であっても空気中の酸素により酸化が進行し、性能が悪
化することが判明した。そのため、本発明における触媒
を調製するに当たり、焼成を中断し触媒前駆体を回収
後、保管する場合は、低酸素濃度に維持する必要があ
る。また、保管温度は通常、室温(約25℃)である。
【0021】保管時、気相の酸素濃度は1000ppm
以下、好ましくは100ppm以下、更に好ましくは1
0ppm以下である。これを達成するため、窒素など酸
素を含まない不活性ガスを流通させて酸素濃度を低下さ
せる。保管後改めて本焼成を行い、触媒とする。このよ
うにして調製された触媒の存在下、アルカンをアンモニ
アおよび酸素と気相接触アンモ酸化して、対応する不飽
和ニトリルを製造することができる。アルカンおよびア
ンモニアの供給原料は必ずしも高純度である必要はな
く、工業グレードのガスを使用できる。また、反応後の
反応ガスから未反応のアルカンを回収、リサイクルして
原料の一部として使用する場合、リサイクルされるガス
はアルカンが主成分であるが、反応で生成するアルケ
ン、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、酸素などを含んで
いる場合がある。アルカンはプロパンまたはイソブタン
であることが好ましい。
【0022】供給酸素源としては、空気、純酸素または
純酸素で富化した空気を用いることができる。さらに、
希釈ガスとしてヘリウム、ネオン、アルゴン、炭酸ガ
ス、水蒸気、窒素などを供給してもよい。反応に供給す
るアンモニアのアルカンに対するモル比は0.3〜1.
5、好ましくは0.8〜1.2である。反応に供給する
酸素のアルカンに対するモル比は0.1〜6、好ましく
は0.1〜4である。反応圧力は0.5〜5atm、好
ましくは1〜3atmである。反応温度は350℃〜5
00℃、好ましくは380℃〜470℃である。接触時
間は0.1〜10(sec・g/cc)、好ましくは
0.5〜5(sec・g/cc)である。
【0023】但し、接触時間は次式で定義される; 接触時間(sec・g/cc)=(W/F)×273/
(273+T) ここで、 W=充填触媒量(g) F=標準状態(0℃、1atm)での原料混合ガス流量
(Ncc/sec)、 T=反応温度(℃) である。
【0024】反応方式は、固定床、流動床、移動床など
従来の方式を採用できるが、反応熱の除熱が容易で触媒
層の温度がほぼ均一に保持できること、触媒を反応器か
ら運転中に抜き出したり、添加することができるなどの
理由から、流動床反応が最も好ましい。以下に本発明
を、触媒の調製実施例およびプロパンの気相接触アンモ
酸化反応によるアクリロニトリルの製造実施例を用いて
説明する。
【0025】このアンモ酸化反応の結果を次式で定義さ
れるプロパン転化率、アクリロニトリル選択率およびア
クリロニトリル収率によって評価した。 プロパン転化率(%)=(反応したプロパンのモル数)
/(供給したプロパンのモル数)×100 アクリロニトリル選択率(%)=(生成したアクリロニ
トリルのモル数)/ (反応したプロパンのモル数)×
100 アクリロニトリル収率(%)=(生成したアクリロニト
リルのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×10
【0026】(ニオブ原料液の調製)特開平11−25
3801号公報に倣って、以下の方法でニオブ混合液を
調製した。水8450gにNb25として80.2重量
%を含有するニオブ酸1290gとシュウ酸二水和物
〔H2C2O4・2H2O〕4905gを混合した。仕
込みのシュウ酸/ニオブのモル比は5.0、仕込みのニ
オブ濃度は0.532(mol−Nb/Kg−液)であ
る。この液を95℃で1時間加熱撹拌することによっ
て、ニオブが溶解した水溶液を得た。この水溶液を静
置、氷冷後、固体を吸引濾過によって濾別し、均一なニ
オブ混合液を得た。このニオブ混合液のシュウ酸/ニオ
ブのモル比は下記の分析により2.32であった。
【0027】るつぼにこのニオブ混合液10gを精秤
し、95℃で一夜乾燥後、600℃で1時間熱処理し、
Nb250.864gを得た。この結果から、ニオブ濃
度は0.65(mol−Nb/Kg−液)であった。3
00mlのガラスビーカーにこのニオブ混合液3gを精
秤し、約80℃の熱水200mlを加え、続いて1:1
硫酸10mlを加えた。得られた溶液をホットスターラ
ー上で液温70℃に保ちながら、攪拌下、1/4規定K
MnO4を用いて滴定した。KMnO4によるかすかな淡
桃色が約30秒以上続く点を終点とした。シュウ酸の濃
度は、滴定量から次式に従って計算した結果、1.51
(mol−シュウ酸/Kg)であった。 2KMnO4+3H2SO4+5H224→K2SO4+2
MnSO4+10CO2+8H2O 得られたニオブ原料液を、下記の触媒調製のニオブ原料
液(B0)として用いた。
【0028】(乾燥粉体の調製)仕込み組成式がMo1
0.22Nb0.10Sb0.26n/45wt%−SiO2で示
される酸化物触媒となる乾燥粉体を次のようにして製造
した。水4750gにヘプタモリブデン酸アンモニウム
〔(NH46Mo724・4H2O〕を909.1
g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を13
1.7g、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を149.
5g加え、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱して混
合液A−1とした。ニオブ混合液(B0)786.6g
に、三酸化二アンチモン〔Sb23〕44.8gを加え
た。氷冷下で撹拌しながら、H22として30wt%を
含有する過酸化水素水185.5gをゆっくり添加し
た。その後、攪拌混合して、混合液B−1とした。
【0029】得られた混合液A−1を70℃に冷却した
後にSiO2として30.6wt%を含有するシリカゾ
ル2941.2gを添加した。更にH22として30w
t%を含有する過酸化水素水173.9gを添加し、5
0℃で1時間撹拌混合した。次に混合液B−1を添加し
て原料調合液を得た。得られた原料調合液を、遠心式噴
霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の乾燥粉体を得
た。乾燥機の入口温度は210℃、そして出口温度は1
20℃であった。上記操作を5回繰り返し、乾燥粉体を
集めて、以下の焼成例に用いた。乾燥粉体の保管は吸湿
しないよう、密閉できる容器を用いた。
【0030】(参考例1)乾燥粉体480gを直径3イ
ンチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの
窒素ガス流通下、管を回転させながら、340℃まで1
時間で昇温し、340℃で4時間保持した。その後、6
40℃まで1時間で昇温し、640℃で2時間保持して
本焼成して、触媒とした。内径25mmのバイコールガ
ラス流動床型反応管に調製して得られた触媒を30g充
填し、反応温度450℃、反応圧力常圧下にプロパン:
アンモニア:酸素:ヘリウム=1:0.7:1.58:
5.42のモル比の混合ガスを供給し、転化率が50%
となるように供給量を調節した。この時、アクリロニト
リル選択率=67.3%であった。
【0031】(参考例2)乾燥粉体480gを直径3イ
ンチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの
窒素ガス流通下、管を回転させながら、340℃まで1
時間で昇温し、340℃で4時間保持した。その後、一
旦室温まで冷却した。引き続き室温から640℃まで4
時間で昇温し、640℃で2時間保持して本焼成して、
触媒とした。得られた触媒を用いて、参考例1と同様に
してプロパンのアンモ酸化反応を行った。この時、アク
リロニトリル選択率=67.2%であった。
【0032】
【実施例1】乾燥粉体480gを直径3インチのSUS
製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通
下、管を回転させながら、340℃まで1時間で昇温
し、340℃で4時間保持した。その後、一旦室温まで
冷却の後、すみやかに触媒前駆体を抜き出し、窒素雰囲
気で7日間保管した。その後、再度焼成管に充填し、室
温から640℃まで4時間で昇温し、640℃で2時間
保持して本焼成して、触媒を得た。得られた触媒を用い
て、参考例1と同様にしてプロパンのアンモ酸化反応を
行った。この時、アクリロニトリル選択率=67.4%
であった。
【0033】
【実施例2】乾燥粉体480gを直径3インチのSUS
製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通
下、管を回転させながら、340℃まで1時間で昇温
し、340℃で4時間保持した。その後、一旦室温まで
冷却の後、すみやかに触媒前駆体を抜き出し、酸素濃度
100ppmの窒素流通下で7日間保管した。その後、
再度焼成管に充填し、室温から640℃まで4時間で昇
温し、640℃で2時間保持して本焼成して、触媒を得
た。得られた触媒を用いて、参考例1と同様にしてプロ
パンのアンモ酸化反応を行った。この時、アクリロニト
リル選択率=67.2%であった。
【0034】
【比較例1】乾燥粉体480gを直径3インチのSUS
製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通
下、管を回転させながら、340℃まで1時間で昇温
し、340℃で4時間保持した。その後、一旦室温まで
冷却の後、すみやかに触媒前駆体を抜き出し、空気雰囲
気下で7日間保管した。その後、再度焼成管に充填し、
室温から640℃まで4時間で昇温し、640℃で2時
間保持して本焼成して、触媒を得た。得られた触媒を用
いて、参考例1と同様にしてプロパンのアンモ酸化反応
を行った。この時、アクリロニトリル選択率=62.5
%であった。
【0035】
【発明の効果】本発明により、プロパンまたはイソブタ
ンの気相接触酸化反応または気相接触アンモ酸化反応に
用いる触媒を調製する際、焼成を中断しても性能を劣化
させない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA02A BA02B BA21C BB06A BB06B BC26A BC26B BC54A BC54B BC55A BC55B BC55C BC59A BC59B BD10A BE08C CB07 CB10 CB11 CB54 CB74 FA01 FB09 FB29 FB77 FC02 FC08 4H006 AA02 AC54 BA12 BA13 BA14 BA15 BA30 BA55 BA81 BC13 BC32 BE14 BE30 QN24 4H039 CA70 CL50

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロパンまたはイソブタンの気相接触酸
    化反応または気相接触アンモ酸化反応に用いる、テルル
    およびアンチモンから選ばれる少なくとも1種以上の元
    素、モリブデン、バナジウムおよびニオブを含む酸化物
    触媒の調製方法において、TeまたはSbから選ばれる
    少なくとも1種以上の化合物、Mo化合物、V化合物、
    Nb化合物を含む水性混合液を乾燥し、実質的に酸素不
    存在下に焼成する方法であって、焼成を中断する場合、
    焼成途中の触媒前駆体を酸素濃度1000ppm以下の
    雰囲気で保つことを特徴とする触媒の調製方法。
  2. 【請求項2】 該酸素濃度が10ppm以下であること
    を特徴とする請求項1に記載の触媒の調製方法。
  3. 【請求項3】 該酸化物触媒が、下記の一般組成式
    (1)で示されることを特徴とする請求項1または請求
    項2のいずれかに記載の触媒の調製方法。 Mo1aNbbcn (1) (式中、成分XはTeおよびSbから選ばれる少なくと
    も1種以上の元素であり、a、b、c、nはMo1原子
    当たりの原子比を表し、0.1≦a≦1、0.01≦b
    ≦1、0.01≦c≦1、そしてnは構成金属の酸化状
    態によって決まる数である。)
  4. 【請求項4】 成分XがSbであることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の触媒の調製方法。
  5. 【請求項5】 該酸化物触媒が、触媒構成元素の酸化物
    とシリカの全重量に対し、SiO2換算で20〜60重
    量%のシリカに担持されていることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の触媒の調製方法。
  6. 【請求項6】 該ニオブ化合物が、ジカルボン酸とニオ
    ブ化合物を含み、ジカルボン酸/ニオブのモル比が1〜
    4であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載の触媒の調製方法。
  7. 【請求項7】 プロパンまたはイソブタンの気相接触酸
    化反応または気相接触アンモ酸化反応させて、対応する
    不飽和カルボン酸または不飽和ニトリルを製造するに当
    たり、請求項1〜6のいずれかに記載の調製方法で調製
    された触媒を用いることを特徴とする不飽和酸または不
    飽和ニトリルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009261990A (ja) * 2007-07-17 2009-11-12 Asahi Kasei Chemicals Corp 酸化物触媒の製造方法
JP2011224509A (ja) * 2010-04-22 2011-11-10 Mitsubishi Rayon Co Ltd 触媒の製造方法およびメタクリル酸の製造方法

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