JP4791203B2 - 酸化物触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プロパンまたはイソブタンの気相接触酸化または気相接触アンモ酸化反応に用いる、テルル及びアンチモンから選ばれる少なくとも1種以上の元素、モリブデン、バナジウム及びニオブを含む酸化物触媒の製造方法に関する。
近年、不飽和酸または不飽和ニトリルを製造するに当たって、アルケンに替わってアルカンを出発原料にして、気相接触酸化または気相接触アンモ酸化反応を行い、対応する不飽和酸または不飽和ニトリルを製造する方法が着目されている。これらの反応に用いるテルル及びアンチモンから選ばれる少なくとも1種以上の元素とモリブデン、バナジウム及びニオブを含む触媒が種々提案されている。例えば、Mo−V−Nb−(Te/Sb)含有酸化物触媒が特許文献1〜8などに開示されている。
特開平5−208136号公報 特開平6−285372号公報 特開平7−144132号公報 特開平7−289907号公報 特開平9−157241号公報 特開2003−245545号公報 特開2003−320248号公報 特開2003−170044号公報
特許文献1〜5などでは、焼成の雰囲気を実質的に酸素不存在下とすることが好ましく、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中または真空中で行うことが好ましいとしている。さらに特許文献1及び4では、不活性ガス中に水素、炭化水素などの還元性ガスや水蒸気を含んでいてもよいとしている。
一方、特許文献8では、乾燥粉体は水の他、アンモニウム根、有機酸、無機酸を含むため、焼成途中でこれらが蒸発、分解などする際、触媒構成元素が還元されることを報告しており、焼成終了時での触媒の還元率を制御するために前段焼成温度を変更する方法、焼成時の気相中の酸素などの酸化性成分濃度を変更する方法、または焼成時の気相中のアンモニアなどの還元成分濃度を変更する方法が開示されている。
これらの特許文献に記載されているような触媒を用いてプロパンまたはイソブタンの気相接触酸化または気相接触アンモ酸化反応を実施するに際しては、目的物の高い収率や反応安定性が求められるばかりでなく、高い生産性が維持されることが求められる。しかしながら触媒構成元素が還元された状態でプロパンまたはイソブタンの気相接触酸化または気相接触アンモ酸化反応に用いるために、反応を継続するに伴って触媒構成元素の還元率が所望の範囲から変動するなどによって、目的物が高い収率で得られなかったり、目的物の生産性が徐々に低下することがあった。
このような課題があるにもかかわらず、これら特許文献には、触媒焼成に際して触媒構成元素を所望の還元率に制御するための方法についてしか記載がなく、プロパンまたはイソブタンの気相接触酸化または気相接触アンモ酸化反応中でも、目的物の収率が高くかつ高い生産性で反応を安定に維持できる触媒の製造方法については何ら記載がなかった。
本発明者らはこの課題を解決するため、プロパンまたはイソブタンの気相接触酸化反応または気相接触アンモ酸化反応に用いる、テルル及び/又はアンチモン、モリブデン、バナジウム及びニオブを含む酸化物触媒の製造方法について鋭意検討した。その結果、テルル化合物及び/又はアンチモン化合物、モリブデン化合物、バナジウム化合物及びニオブ化合物を含む水性混合液を乾燥し、焼成する工程で、前段焼成を終了するまでの過程において少なくとも5分間にわたりシアン化水素を含有する雰囲気下で熱処理を実施することによって驚くべきことに目的物の収率が高く、かつ高い生産性で反応を安定に維持することができる、優れた性能を発現する触媒を製造できることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、下記の通りの酸化物触媒の製造方法である。
(1)プロパンまたはイソブタンの気相接触酸化反応または気相接触アンモ酸化反応に用いる、テルル及び/又はアンチモン、モリブデン、バナジウム及びニオブを含む酸化物触媒の製造方法であって、テルル化合物及び/又はアンチモン化合物、モリブデン化合物、バナジウム化合物及びニオブ化合物を含む原料調合液を調製する工程と、該原料調合液の乾燥工程と、該乾燥工程で得られた触媒前駆体の焼成工程とからなり、該焼成工程が少なくとも5分間にわたりシアン化水素を10〜500ppm含有する雰囲気下で該触媒前駆体を焼成する工程を含むことを特徴とする酸化物触媒の製造方法。
(2)上記酸化物触媒が、下記の一般組成式(1)で示されることを特徴とする上記(1)に記載の酸化物触媒の製造方法。
MoNb (1)
(式(1)中、成分XはTe及び/又はSbであり、a、b、c及びnはMo1原子当たりの原子比を表し、0.1≦a≦1、0.01≦b≦1、0.01≦c≦1、nは構成金属の酸化状態によって決まる数である。)
(3)成分XがSbであることを特徴とする上記(2)に記載の酸化物触媒の製造方法。
(4)上記酸化物触媒がシリカを担体とするものであって、担体シリカの含有量が、触媒成分と担体シリカとからなるシリカ担持触媒の全重量の20〜80重量%であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の酸化物触媒の製造方法。
(5)上記原料調合液を調製するためのニオブの原料が、ジカルボン酸とニオブ化合物を含むものであり、該原料中のジカルボン酸/ニオブのモル比が1〜4であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の酸化物触媒の製造方法。
(6)シアン化水素を含有する雰囲気下での触媒前駆体の焼成を、200〜400℃で実施することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化物触媒の製造方法。
本発明により製造された触媒は、プロパンまたはイソブタンの気相接触酸化反応または気相接触アンモ酸化反応において、高い収率を維持したまま目的物を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の酸化物触媒の製造方法は、(I)原料を調合する工程、(II)工程(I)で得られた原料調合液を乾燥し、触媒前駆体を得る工程、及び(III)工程(II)で得られた触媒前駆体を焼成する工程の3つの工程から成る。
以下、各工程について説明する。
(I)原料を調合する工程
本発明における調合とは、溶媒に、触媒構成元素の原料を溶解または分散させることである。また、原料調合液とは、触媒構成金属及び担体成分を全て含有する溶液、またはスラリーを表す。調合工程を経て乾燥工程に入る前に幾つかの触媒成分を添加する場合、その添加成分以外の全ての触媒構成金属及び担体成分を含有する溶液、またはスラリーを原料調合液とする。
本発明により製造する酸化物触媒は、シリカ等の担体に担持したものであってもよい。担体としてシリカを用いる場合には、十分な強度を得るために、担体シリカの含有量は、触媒成分とシリカとから成るシリカ担持触媒の全重量の20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%とする。担体シリカの原料としては、シリカゾルを好適に用いることができるが、シリカ原料の一部または全量に、粉体シリカを用いることもできる。該粉体シリカは高熱法で製造されたものが好ましい。さらに、該粉体シリカは水に分散させて使用することが尚好ましい。
(II)乾燥工程
原料調合工程で得られた調合液を噴霧乾燥法によって乾燥させ、乾燥粉体を得る。噴霧乾燥法における噴霧化は遠心方式、二流体ノズル方式、または高圧ノズル方式によって行うことができる。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーターなどによって加熱された空気を用いることができる。熱風の乾燥機入口温度は150〜300℃が好ましい。得られた乾燥粉体は、通常すみやかに次の焼成工程に供給される。乾燥粉体を保管する必要がある場合は、吸湿しないように保管することが好ましい。
(III)焼成工程
乾燥工程で得られた乾燥粉体を焼成に供することによって酸化物触媒を得る。
本発明では、焼成を終了するまでの過程において少なくとも5分間にわたりシアン化水素を含有する雰囲気下で焼成を実施することにより、目的物の収率が高く、かつ目的物の生産性が高い触媒を製造する。
本発明において熱処理雰囲気中にシアン化水素を共存させる方法に特に限定はなく、焼成炉内にシアン化水素を供給する方法、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウムのように加熱による分解等によりシアン化水素を生成する物質を乾燥粉体と混合して焼成する方法、シュウ酸アンモニウムを予め原料調合液に添加する方法が採用できる。
雰囲気中に含有させるシアン化水素の含有量は、10〜1000ppm、好ましくは10〜500ppmである。
焼成雰囲気中のシアン化水素濃度は、例えばガスクロマトグラフ分析、ピリジンピラゾロン法、シアン化水素検知管、硝酸銀滴定法などによって測定することが可能である。
焼成は、回転炉、トンネル炉、環状炉、流動焼成炉、ロータリーキルン等を用いて行うことができる。乾燥粉体は静置して焼成すると、均一に焼成されず性能が悪化するとともに、割れ、ひびなどが生じる原因となるし、工業触媒としての生産性を考慮すると流動焼成炉またはロータリーキルン等で実施することが好ましい。
焼成は窒素などの実質的に酸素を含まないガス雰囲気下、好ましくは、不活性ガスを流通させながら実施する。不活性ガスの流通量は乾燥粉体1kg当たり、0.05〜15Nm/Hr、好ましくは0.1〜10Nm/Hrである。ロータリーキルンによる連続流通式焼成の場合は、乾燥粉体1kg/Hr当たり、0.05〜15Nm/Hr、好ましくは0.1〜10Nm/Hrである。
焼成は、不活性ガス流通下200℃〜450℃、好ましくは200℃〜400℃で一旦保持し、次いで500〜700℃、好ましくは550〜670℃で実施することが好ましい。500〜700℃、好ましくは550〜670℃での保持時間は0.5〜20時間、好ましくは1〜8時間である。このうち、シアン化水素を含有する雰囲気下での焼成は、前段の200〜400℃で行うことが望ましい。
このようにして製造された酸化物触媒の存在下、プロパンまたはイソブタンを気相接触酸化または気相接触アンモ酸化反応させて、対応する不飽和カルボン酸または不飽和ニトリルを製造する。
プロパンまたはイソブタンとアンモニアの供給原料は必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのガスを使用できる。供給酸素源としては、空気、純酸素または純酸素で富化した空気を用いることができる。さらに、希釈ガスとしてヘリウム、ネオン、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気、窒素などを供給してもよい。
反応に供給するアンモニアのアルカンに対するモル比は0.3〜1.5、好ましくは0.8〜1.2である。また、反応に供給する酸素のアルカンに対するモル比は0.1〜6、好ましくは0.1〜4である。反応圧力は5×10〜5×10Pa、好ましくは1×10〜3×10Paである。反応温度は350℃〜500℃、好ましくは380℃〜470℃である。
接触時間は0.1〜10(sec・g/cc)、好ましくは0.5〜5(sec・g/cc)である。但し、接触時間は次式で定義される;
接触時間(sec・g/cc)=(W/F)×273/(273+T)
ここで、
W=充填触媒量(g)
F=標準状態(0℃、1.013×10Pa)での原料混合ガス流量(Ncc/sec)、
T=反応温度(℃)
反応方式は、固定床、流動床、移動床など従来の方式を採用できるが、反応熱の除熱が容易で触媒層の温度がほぼ均一に保持できること、触媒を反応器から運転中に抜き出したり、添加することができるなどの理由から、流動床反応が最も好ましい。また、本発明の反応は、単流式であってもリサイクル式であってもよい。
次に本発明の酸化物触媒の好適な組成例について述べる。
本発明の製造方法によって製造されるテルル及び/又はアンチモン、モリブデン、バナジウム及びニオブを含む酸化物触媒の好ましい具体例としては下記の一般組成式(1)で示されるものを例示することが出来る。
MoNb (1)
式(1)中、成分XはTe及び/又はSbであり、a、b、c及びnはMo1原子当たりの原子比を表し、それぞれ0.1≦a≦1、0.01≦b≦1、0.01≦c≦1、そしてnは構成金属の酸化状態によって決まる数である。
成分XはSbであることが好ましい。また、Mo1原子当たりの原子比a、b、cは、それぞれ、0.1≦a≦0.5、0.01≦b≦0.5、0.1≦c≦0.5であることが好ましい。更には、0.2≦a≦0.3、0.05≦b≦0.2、0.2≦c≦0.3であることが特に好ましい。
本発明の酸化物触媒を製造するための成分金属の原料は特に限定されないが、例えば、下記の化合物を用いることができる。
Moの原料は、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを好適に用いることができる。Vの原料は、メタバナジン酸アンモニウムを好適に用いることができる。
Nbの原料は、ニオブ酸、ニオブの無機酸塩、及びニオブの有機酸塩の少なくとも1種を用いることができる。特にニオブ酸がよい。ニオブ酸はNb・nHOで表され、ニオブ水酸化物または酸化ニオブ水和物とも称される。中でも、特開平11−47598号公報に記載されている様に、Nbの原料がジカルボン酸とニオブ化合物とを含むものであり、ジカルボン酸/ニオブのモル比が1〜4、アンモニア/ニオブのモル比が2以下のニオブ原料液を用いることが好ましい。
成分XとしてTeを用いる場合、Teの原料はテルル酸を好適に用いることができる。成分XとしてSbを用いる場合、Sbの原料はアンチモン酸化物を好適に用いることができるが、特に三酸化二アンチモンが好ましい。
担体シリカの原料は、シリカゾルを好適に用いることができるが、シリカ原料の一部または全量に、粉体シリカを用いることもできる。該粉体シリカは高熱法で製造されたものが好ましい。さらに、該粉体シリカは水に分散させて使用することが尚好ましい。本発明の触媒の調製は、原料調合、乾燥及び焼成の3つの工程、すなわち上記の(I)〜(III)の工程を経て行うことができる。
次に上記の好適な触媒組成例であるアンチモン、モリブデン、バナジウム及びニオブを含む酸化物触媒を製造する際の原料調合工程の例について述べる。
まず、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム、三酸化二アンチモンを水に添加し、加熱して原料液(A)を調製する。この時、容器内は窒素雰囲気でもよい。三酸化二アンチモンに代えテルル酸を用いても良いし、同時に使用しても良い。ニオブ酸とジカルボン酸を水中で加熱撹拌して原料液(B)を調製する。このニオブ原料液(B)の少なくとも一部に、更にシュウ酸及び/または過酸化水素水を添加することができる。この時、H/Nbのモル比は0.5〜20、特に1〜20が好ましく、シュウ酸/Nbのモル比は1〜4が好ましい。更には、原料液(B)の少なくとも一部に過酸化水素、三酸化二アンチモンを添加してもよい。この時、H/Nbのモル比は0.5〜20、特に1〜20が好ましく、Sb/Nbモル比は0〜5、特に0.01〜2が好ましい。
目的とする組成に合わせて、これら原料液(A)、原料液(B)を好適に混合して、原料調合液を得る。この時、原料調合液は通常はスラリーになる。本発明の触媒がシリカ担持触媒の場合、シリカゾルを含むように原料調合液が調製される。シリカゾルは適宜添加することができる。また、成分Xとしてアンチモンを用いる場合は、混合液(A)、または、調合途中の混合液(A)の成分を含む液に、過酸化水素を添加することが好ましい。この時、H/Sb(モル比)は0.01〜5、好ましくは0.5〜3、特に好ましくは1〜2.5である。また、この時、30℃〜70℃で、30分〜2時間撹拌を続けることが好ましい。
この様にして得られた原料調合液を前記したような乾燥工程及び焼成工程で処理して前記一般式(1)で示される酸化物触媒を得る。
[実施例]
以下に本発明を、触媒の調製実施例及びプロパンの気相接触アンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製造実施例を用いて説明するが、本発明は、その要旨を越えない限りこれら実施例に限定されるものではない。
このアンモ酸化反応の結果を、次式で定義されるアクリロニトリル収率及びアクリロニトリル生産性によって評価した。
Figure 0004791203
仕込み組成式がMo0.22Nb0.09Sb0.25/40wt%−SiOで示される酸化物触媒を次のようにして製造した。
(ニオブ原料液の調製)
以下の方法でニオブ原料液を調製した。
水1740gにNbとして80.5重量%を含有するニオブ酸250.7gとシュウ酸二水和物〔H・2HO〕1009.1gを混合した。仕込みのシュウ酸/ニオブのモル比は5.0、仕込みのニオブ濃度は0.510(mol−Nb/kg−液)である。
この液を95℃で1時間加熱撹拌することによって、ニオブが溶解した水溶液を得た。この水溶液を静置、氷冷後、固体を吸引濾過によって濾別し、均一なニオブ混合液(ニオブ原料液)を得た。このニオブ原料液のシュウ酸/ニオブのモル比は下記の分析により2.19であった。
るつぼにこのニオブ混合液10gを精秤し、95℃で一夜乾燥後、600℃で1時間熱処理し、Nb0.932gを得た。この結果から、ニオブ濃度は0.69(mol−Nb/kg−液)であった。
また、300mlのガラスビーカーにこのニオブ混合液2.69gを精秤し、約80℃の熱水200mlを加え、続いて1:1硫酸10mlを加えた。得られた溶液をホットスターラー上で液温70℃に保ちながら、攪拌下、1/4規定KMnOを用いて滴定した。KMnOによるかすかな淡桃色が約30秒以上続く点を終点とした。シュウ酸の濃度は、滴定量から次式に従って計算した結果、1.51(mol−シュウ酸/kg)であった。
2KMnO+3HSO+5H
→ KSO+2MnSO+10CO+8H
この結果から、シュウ酸/ニオブのモル比は1.51/0.69=2.19である。
得られたニオブ原料液を、下記の触媒調製のニオブ原料液(B)として用いた。
(原料液調合・乾燥工程)
水4365gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NHMo24・4HO〕を1004.8g、メタバナジン酸アンモニウム〔NHVO〕を145.5g、三酸化二アンチモン〔Sb〕を206.9g加え、攪拌しながら90℃で1時間加熱して混合液A−1とした。
ニオブ混合液(B)736.5gを氷冷下で撹拌しながら、Hとして30wt%を含有する過酸化水素水115.3gをゆっくり添加した。その後、攪拌混合して、混合液B−1とした。
一方、水3696gに平均一次粒子径が12nmの粉体シリカ264gを添加し、室温で3時間攪拌して粉体シリカ懸濁液を得た。
得られた混合液A−1を70℃に冷却した後にSiOとして29.3wt%を含有するシリカゾル1829.4gを添加した。更にHとして30wt%を含有する過酸化水素水240.2gを添加し、50℃で1時間撹拌混合した。次に混合液B−1、粉体シリカ懸濁液及びシュウ酸アンモニウム一水和物〔(COONH・HO〕 58.4gを順次添加し、10分間攪拌混合して原料調合液を得た。
前記のように原料調合液にシュウ酸アンモニウム一水和物を添加するのは、後の焼成工程において、シュウ酸アンモニウム一水和物を加熱によって分解させシアン化水素を発生させ、焼成雰囲気中にシアン化水素を含有させるためである。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥機に供給して乾燥し、触媒前駆体である微小球状の乾燥粉体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
(焼成工程)
得られた乾燥粉体500gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、1.0Nm/HRの窒素ガス流通下、管を回転させながら、室温から350℃まで一定の昇温速度にて1時間で昇温させた。
焼成炉内の温度が200℃に到達したときの焼成炉内雰囲気のシアン化水素濃度をガスクロマトグラフで測定したが検出されなかった。さらにその5分後、10分後及び15分後に焼成炉内雰囲気のシアン化水素濃度をガスクロマトグラフで測定したところそれぞれ211ppm、84ppm及び32ppmであった。
350℃に到達後4時間保持し、次いで650℃まで4時間で昇温し、650℃で2時間保持することによって焼成を実施して触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応)
このようにして得られた触媒30gを、内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に充填し、反応温度440℃、反応圧力1.513×10Paでプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3.0:12のモル比の混合ガスを接触時間を調整しながら供給した。反応開始後12時間後、240時間後及び1200時間後のアクリロニトリル収率とアクリロニトリル生産性を表1に示す。反応開始から1200時間に渡り、高いアクリロニトリル収率を保ちつつ、アクリロニトリル生産性は安定に推移した。
焼成工程において、焼成管に流通させる窒素ガス量を10Nm/Hrとした以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した。焼成炉内の温度が200℃に到達したとき、その5分後、10分後及び15分後の焼成炉内雰囲気のシアン化水素濃度をガスクロマトグラフで測定した。得られた測定結果を後掲の表1に示す。
このようにして得られた触媒を用いて、実施例1と同様の方法でプロパンのアンモ酸化反応を行った。得られた結果を表1に示す。実施例1と同様、反応開始から1200時間に渡り、高いアクリロニトリル収率を保ちつつアクリロニトリル生産性は安定に推移した。
焼成工程において、焼成管に流通させる窒素ガス量を0.1Nm/Hrとした以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した。焼成炉内の温度が200℃に到達したとき、その5分後、10分後及び15分後の焼成炉内雰囲気のシアン化水素濃度をガスクロマトグラフで測定した。得られた測定結果は後掲の表1に示す。
このようにして得られた触媒を用いて、実施例1と同様の方法でプロパンのアンモ酸化反応を行った。得られた結果を表1に示す。実施例1と同様、反応開始から1200時間に渡り、アクリロニトリル収率及びアクリロニトリル生産性は安定に推移した。実施例1と同様、反応開始から1200時間に渡り、高いアクリロニトリル収率を保ちつつアクリロニトリル生産性は安定に推移した。
[比較例1]
焼成工程において、室温から350℃まで一定の昇温速度にて10時間で昇温させた以外は、実施例1と同様にして触媒を製造した。焼成炉内の温度が200℃に到達したとき、その5分後、10分後及び15分後の焼成炉内雰囲気のシアン化水素濃度をガスクロマトグラフで測定したが、いずれにおいてもHCNは検出されなかった。
これは、本比較例では実施例1に比べて昇温速度が遅くなり、単位時間あたりのシアン化水素発生量が測定機器の検出限界より少なくなったためと考えられる。
このようにして得られた触媒を用いて、実施例1と同様の方法でプロパンのアンモ酸化反応を行った。得られた結果を表1に示す。反応開始から1200時間の間、低いアクリロニトリル収率のまま推移し、アクリロニトリル生産性は徐々に低下した。
Figure 0004791203
本発明は、プロパンまたはイソブタンの気相接触酸化反応または気相接触アンモ酸化反応に用いる、テルル及びアンチモンから選ばれる少なくとも1種以上の元素、モリブデン、バナジウム及びニオブを含む酸化物触媒の製造方法に関する。本発明の触媒を用いると、これらの反応を安定して継続することができるため、特に不飽和酸又は不飽和ニトリルを従来よりも高い収率かつ高い生産性で製造することができ、産業上大いに有用である。

Claims (6)

  1. プロパンまたはイソブタンの気相接触酸化反応または気相接触アンモ酸化反応に用いる、テルル及び/又はアンチモン、モリブデン、バナジウム及びニオブを含む酸化物触媒の製造方法であって、テルル化合物及び/又はアンチモン化合物、モリブデン化合物、バナジウム化合物及びニオブ化合物を含む原料調合液を調製する工程と、該原料調合液の乾燥工程と、該乾燥工程で得られた触媒前駆体の焼成工程とからなり、該焼成工程が少なくとも5分間にわたりシアン化水素を10〜500ppm含有する雰囲気下で該触媒前駆体を焼成する工程を含むことを特徴とする酸化物触媒の製造方法。
  2. 上記酸化物触媒が、下記の一般組成式(1)で示されることを特徴とする請求項1に記載の酸化物触媒の製造方法。
    MoNb (1)
    (式(1)中、成分XはTe及び/又はSbであり、a、b、c及びnはMo1原子当たりの原子比を表し、0.1≦a≦1、0.01≦b≦1、0.01≦c≦1、nは構成金属の酸化状態によって決まる数である。)
  3. 成分XがSbであることを特徴とする請求項2に記載の酸化物触媒の製造方法。
  4. 上記酸化物触媒がシリカを担体とするものであって、担体シリカの含有量が、触媒成分と担体シリカとからなるシリカ担持触媒の全重量の20〜80重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物触媒の製造方法。
  5. 上記原料調合液を調製するためのニオブの原料が、ジカルボン酸とニオブ化合物を含むものであり、該原料中のジカルボン酸/ニオブのモル比が1〜4であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化物触媒の製造方法。
  6. シアン化水素を含有する雰囲気下での触媒前駆体の焼成を、200〜400℃で実施することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸化物触媒の製造方法。
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