JP2003239163A - 高密度耐炎繊維不織布、炭素繊維不織布およびそれらの製造方法 - Google Patents

高密度耐炎繊維不織布、炭素繊維不織布およびそれらの製造方法

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JP2003239163A JP2002033603A JP2002033603A JP2003239163A JP 2003239163 A JP2003239163 A JP 2003239163A JP 2002033603 A JP2002033603 A JP 2002033603A JP 2002033603 A JP2002033603 A JP 2002033603A JP 2003239163 A JP2003239163 A JP 2003239163A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟で、ローラー等の曲げを有する工程の通
過性に優れ、巻物状に保管することができ、かつ電気抵
抗値の低い炭素繊維不織布、その前駆体である高密度耐
炎繊維不織布、およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 繊維含有率が90質量%以上であり、か
つ嵩密度が0.4〜0.8g/cm3である高密度耐炎
繊維不織布。さらには繊維がポリアクリロニトリル系耐
炎繊維であることが好ましい。また、炭素繊維不織布
は、嵩密度が0.2〜0.5g/cm3であり、厚さが
0.1〜0.5mmであり、かつ剛軟度が5〜15mN
cmであるものである。これは本発明の高密度耐炎繊維
不織布を不活性ガス雰囲気下で1000℃以上の温度で
処理することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、柔軟で折れしわの
発生しにくい、嵩密度が高い高密度耐炎繊維不織布、炭
素繊維不織布、およびその製造方法に関する。さらに詳
しくは、厚さ方向の電気抵抗値が低く、固体高分子型燃
料電池ガス拡散電極に好適に用いられる炭素繊維不織
布、およびその炭素繊維不織布の前駆体として好適に用
いられる高密度耐炎繊維不織布とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】通電性、ガス拡散性を有し、化学的安定
性に優れた特性を有するシート状の炭素材料を、燃料電
池用のガス拡散電極として用いる応用開発が進められて
いる。そして、中でも固体高分子型燃料電池は、ガス拡
散電極、高分子電解質膜、セパレータを接合したセル
を、用途に応じて数十〜数百枚積層する必要があり、そ
のため燃料電池を小型化するためには、薄く、強度の高
い炭素材料が求められている。
【0003】従来、このような炭素材料としては、炭素
成形体、炭素繊維織物、炭素繊維不織布等が知られてい
る。
【0004】炭素成形体は、シート状で高嵩密度であ
り、表面平滑性が高く、比較的電気抵抗値の低い材料で
ある。これは例えば、炭素繊維チョップを抄造した後、
フェノール樹脂等でバインディングし、シート化し、更
にこのものを炭素化することにより得られる炭素繊維強
化炭素製シート(C/Cペーパー)に代表される(特許
第2584497号公報、特開昭63−222078号
公報など)。
【0005】しかし、この炭素成形体シートは、金型を
用いたプレス成形によって成形されるため、厚さ精度と
表面平滑性に優れている反面、柔軟性に乏しいという問
題があった。このため、ローラー等の曲げを必要とする
工程を通すことが出来ず、長いシートを必要とする用途
には使用できなかった。また保管時にも巻物状に出来な
いため、適当な寸法に裁断せざるを得ず、巻物で使用す
る場合よりも無駄が生じやすいという問題があった。ま
た、このシートは脆性が高く、運搬や加工の際に生じる
衝撃等により、容易に破損が起きるという問題があっ
た。さらに炭素化度の低い樹脂の炭化物の存在や、使用
する炭素繊維の繊維長が短く、厚さ方向を向いた繊維が
少ないために、電気抵抗値が高くなるという問題もあっ
た。
【0006】この炭素成形体に比較して、炭素繊維織物
や炭素繊維不織布は柔軟で取扱いやすい炭素材料ではあ
る。しかし、炭素繊維織物を用いた場合には、織物であ
るため、表面平滑性に劣り、燃料電池内で高分子電解質
膜と接合した状態で数MPaの圧力をかけた場合、織物
表面の凹凸により高分子電解質膜が損傷するという問題
があった。また、炭素繊維織物には、フィラメント織物
と、紡績糸織物があり、特に撚りの無いフィラメント織
物に顕著であるが、炭素繊維軸方向の大部分が織物面方
向と平行であるために、織物面方向の電気抵抗値は低い
ものの、より重要な厚さ方向の電気抵抗値が高いという
問題があった。
【0007】一方炭素繊維不織布は、織物に比較して表
面凹凸こそ少ないものの、厚さ方向、面方向ともに電気
抵抗値が高いという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を解決するために行われたものであり、その目的は柔軟
で、ローラー等の曲げを有する工程の通過性に優れ、巻
物状に保管することができ、かつ電気抵抗値の低い炭素
繊維不織布、およびそのような炭素繊維不織布を得るこ
とのできる前駆体である高密度耐炎繊維不織布とその製
造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の高密度耐炎繊維
不織布は、繊維含有率が90質量%以上であり、かつ嵩
密度が0.4〜0.8g/cm3であることを特徴とす
る。さらにりん含有率が100〜500ppmであるこ
とが、また繊維がポリアクリロニトリル系耐炎繊維であ
ることが好ましい。
【0010】また、本発明の高密度耐炎繊維不織布の製
造方法は、繊維含有率が90質量%以上である耐炎繊維
不織布に、温度200〜360℃、圧力1〜100MP
aの条件で圧縮処理を行うことを特徴とする。さらに圧
縮処理後の耐炎繊維不織布の嵩密度を0.4〜0.8g
/cm3とすることが好ましい。
【0011】もう一つの本発明の炭素繊維不織布は、嵩
密度が0.2〜0.5g/cm3であり、厚さが0.1
〜0.5mmであり、かつ剛軟度が5〜15mNcmで
あることを特徴とする。さらに、引張強度が1N/cm
以上であることが好ましい。
【0012】また、本発明の炭素繊維不織布の製造方法
は、本発明の高密度耐炎繊維不織布を、不活性ガス雰囲
気下で1000℃以上の温度で処理することを特徴とす
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の高密度耐炎繊維不織布
は、主に耐炎繊維から構成された、嵩密度の高い高密度
耐炎繊維不織布である。
【0014】耐炎繊維以外の成分としては、耐熱性を向
上させるためのりん系有機化合物や、形態を保持しやす
くするための樹脂などを少量なら含んでも良い。しか
し、高密度でありながら柔軟であるためには、本発明の
高密度耐炎繊維不織布の繊維含有率は90質量%以上で
あることが必要である。好ましくは繊維含有率は95質
量%以上、さらには98.5質量%以上であることが最
適である。繊維以外の成分が少ないほど、柔軟性を維持
できる傾向にある。
【0015】本発明の高密度耐炎繊維不織布は、嵩密度
が0.4〜0.8g/cm3であることが必要である。
好ましくは0.41〜0.72g/cm3、さらには
0.45〜0.65g/cm3であることが好ましい。
嵩密度がこの範囲外である場合、物性と柔軟性のバラン
スを確保することができない。特に嵩密度が0.4g/
cm3未満の場合、嵩高くなるために賦形性が低下し、
嵩密度が0.8g/cm3を超える場合、通気性が低下
する。特に本発明の高密度耐炎繊維不織布を炭素化して
得た炭素繊維不織布を、燃料電池用ガス拡散電極として
用いた場合には、密度が低いと通電性が低下し、密度が
高いとガス拡散が困難となり、電池性能低下の原因とな
る。また、高密度耐炎繊維不織布の厚さは0.1〜0.
5mmであることが好ましい。
【0016】本発明の高密度耐炎繊維不織布には、りん
含有率が100〜500ppmであることが好ましい。
より好ましくは120〜450ppm、最も好ましくは
150〜350ppmである。りんを含有することによ
り、耐熱酸化性が高められる。りん含有率が100pp
m未満の場合、耐炎繊維の耐熱酸化性が低くなる傾向に
あり、高温圧縮処理により繊維強度が低下し、高密度耐
炎繊維不織布の強度が低下する傾向にある。りん含有率
が500ppmを超える場合にも、繊維の脆性が高くな
るため、耐炎繊維不織布の強度が低下する傾向にある。
【0017】高密度耐炎繊維不織布の引張強度は5N/
cm以上であることが好ましく、さらには5〜30N/
cm、より好ましくは7〜20N/cm、最も好ましく
は10〜15N/cmであることである。引張強度が低
い場合、充分な強度が得られず、取り扱い性に劣る。ま
た、断面積当たりの引張強度としては2〜12MPaで
あることが好ましく、より好ましくは3〜9MPa、最
も好ましくは4〜7MPaであることである。用いる耐
炎繊維の強度や、りん含有率を調整することによってこ
の強度は実現される。
【0018】本発明で用いられる耐炎繊維とは、プリカ
ーサ繊維を耐炎化させることによって得られる繊維のこ
とであり、好ましくは臨界酸素指数(以下LOI)が3
0〜60の繊維のことである。さらにはLOIが33〜
55、最も好ましくは35〜50の耐炎繊維であること
が好ましい。
【0019】耐炎繊維の原料となるプリカーサ繊維とし
ては、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、カイノール
系、レーヨン系など従来公知のいずれの繊維でも用いら
れる。しかし、強力の高い不織布とするためには、強伸
度の高いポリアクリロニトリル系繊維が最も好適であ
る。
【0020】耐炎繊維の比重は、1.30〜1.39で
あることが好ましい。さらには1.33以上であること
が、最も好ましくは1.35〜1.39の範囲であるこ
とである。耐炎繊維の比重が1.30未満の場合、炭素
化後に炭素微粉末が生じ易く、また、得られる炭素繊維
不織布の強度も低下する傾向にある。耐炎繊維比重が
1.39を超える場合、耐炎繊維の単繊維強度及び伸度
が低下し、耐炎繊維を用いて不織布とする際の加工性が
低下する傾向にある。また、圧縮処理時の繊維間膠着が
起こりにくくなる傾向にあり、膠着の無い場合には炭素
化時に厚さが増加する傾向にある。
【0021】本発明に用いられる耐炎繊維、および高密
度となる前の耐炎繊維不織布を得る方法を、ポリアクリ
ロニトリル系耐炎繊維を例にして説明する。製造原料の
プリカーサ繊維であるポリアクリロニトリル系繊維とし
ては、アクリロニトリルモノマー単位を90〜98質量
%、コモノマー単位を2〜10質量%含有するものが好
ましい。コモノマーとしては、アクリル酸メチルエステ
ル、アクリルアミド、イタコン酸等のビニルモノマーが
例示出来る。
【0022】プリカーサ繊維の繊度は、0.6〜3.3
dtexが好ましく、特に0.7〜3.0dtexの範
囲が好ましい。繊度が0.6dtex未満の場合は、後
に述べる耐炎化処理時に蓄熱切断が生じ易く、繊度が
3.3dtexを超える場合は、耐炎化処理に長時間を
要し、耐炎繊維の強度が劣化する傾向にある。
【0023】耐炎繊維は、このようなプリカーサ繊維を
空気中、高温で耐炎化させることにより環化反応を生じ
させ、酸素結合量を増加させて不融化、難燃化させる耐
炎化処理によって得られる。より具体的な耐炎化処理と
しては、例えばポリアクリロニトリル系繊維では、空気
中、初期耐炎化温度220〜250℃で10分間耐炎化
処理後、昇温速度0.2〜0.9℃/分で、最高温度2
50〜280℃まで加熱し、この温度で5〜30分間保
持する条件により得られる。
【0024】このようにして得られる、本発明の耐炎繊
維不織布中の耐炎繊維は、その繊度が0.8〜4.4d
texが好ましく、より好ましくは1.0〜3.3dt
exの範囲である。繊度がこの範囲を外れる場合には繊
維切れが生じ易く、最終的に炭素繊維不織布にした場合
に炭素微紛末が生じ易い傾向にある。繊度は製造原料の
プリカーサ繊維の繊度、耐炎化処理時のリラックス条件
等により調節出来る。
【0025】このようにして得た耐炎繊維は、定長カッ
トまたはトウリアクターでバイアスカットしてステープ
ルとする。不織布とするための耐炎繊維のステープルと
しては、耐炎繊維ステープルのクリンプ率が8〜16%
であることが好ましい。クリンプ率がこの範囲外にある
場合、耐炎繊維不織布を製造する際の繊維の分散性、目
付、厚さ等の特性むらが生じ易い。ステープルのクリン
プ数は2.4〜5.5ヶ/cmの範囲が好ましい。クリ
ンプ数が2.4ヶ/cm未満の場合、絡合が起きにくく
不織布加工が行いにくい傾向にある。またクリンプ数が
5.5ヶ/cmを超える場合、単繊維強度が低下した
り、クリンプ加工時に繊維切れが生じたりする傾向にあ
る。
【0026】耐炎繊維ステープルの標準状態の強度は8
〜40mN/dtexの範囲が好ましい。同じく標準状
態での伸度は8〜30%であることが好ましい。強度が
8mN/dtex未満の場合および伸度が8%未満の場
合には、耐炎繊維不織布製造時の加工性が低下する傾向
にある。
【0027】耐炎繊維ステープルの結節強度は5〜15
mN/dtexの範囲が好ましい。同じく結節伸度は5
〜10%の範囲が好ましい。結節強度が5mN/dte
x未満の場合および結節伸度が5%未満の場合には、耐
炎繊維不織布製造時の加工性が低下し、更に得られる耐
炎繊維不織布の強度が低下する傾向にある。
【0028】本発明で用いる耐炎繊維不織布は、上記の
耐炎繊維ステープルを用い、ニードルパンチ法やウォー
タージェット法等、従来公知の方法によって不織布とし
たものである。
【0029】この段階の耐炎繊維不織布の目付は50〜
300g/m2の範囲が好ましい。目付が50g/m2
満の場合、その後の圧縮処理工程で伸びが生じ易く、目
付や厚さの制御が困難となる傾向にある。また、炭素化
後の炭素繊維不織布の強度が低く、取り扱い性に難が出
てきやすい。目付が300g/m2を超える場合、薄く
なりにくい。例えば固体高分子型燃料電池用途に用いる
場合、このような高目付の耐炎繊維不織布を炭素化して
も、せいぜい180g/m2の炭素繊維不織布であるの
で、適した薄さの炭素繊維不織布にならないことが多
い。また、厚さ方向の電気抵抗値も高くなる傾向にあ
り、目付が高すぎることからガス拡散が困難となり、燃
料電池用ガス拡散電極として用いた場合には、電池性能
低下の原因となる。
【0030】耐炎繊維不織布の厚さは、その後の圧縮処
理によって最終調整する。だが、同じ目付であればより
薄い方が、低温、低圧力の圧縮処理で、繊維の損傷の少
ない高密度耐炎繊維不織布が得られるので好ましい。し
かし、耐炎繊維不織布の製造工程で厚さを薄くする為
に、例えばウォータージェットの水圧を高くすると、耐
炎繊維不織布の表面平滑性と強度が低下する為、耐炎繊
維不織布製造条件はこれらの点を考慮した上で決定する
必要がある。好ましい厚さは0.5〜2mmである。
【0031】もう一つの本発明である、高密度耐炎繊維
不織布の製造方法は、上記のような耐炎繊維不織布に、
圧縮処理を行う方法である。
【0032】この耐炎繊維不織布には、耐熱性を向上さ
せるためのりん系有機化合物や、形態を保持しやすくす
るための樹脂などを少量なら含んでも良い。しかし、圧
縮処理後に、高密度でありながら、柔軟であるために
は、耐炎繊維不織布の繊維含有率は90質量%以上であ
ることが必要である。好ましくは繊維含有率は95質量
%以上、さらには98.5質量%以上であることが最適
である。繊維以外の成分が少ないほど、柔軟性を維持で
きる傾向にあり、特に本発明の高密度耐炎繊維不織布を
炭化した場合に、得られる炭素繊維不織布が柔軟なもの
となる傾向にある。
【0033】りん系有機化合物は不織布加工性向上と、
圧縮処理時の耐熱性を高める目的で用いられるが、その
りん系有機化合物の種類としては、アルキル基又はアリ
ル基を有するホスフォネート又はホスフェート、具体的
にはトリブチルホスフォネート((C493PO4)、
トリヒドロキシエチルホスフェート((HOCH2
23PO4)、トリセチルホスフェート((C
16333PO4)等が例示出来る。また、これらのりん
系有機化合物に、アニオン系、カチオン系、又はノニオ
ン系分散剤を混合してもよい。
【0034】このようなりん系有機化合物は、プリカー
サ繊維の紡糸時もしくは耐炎化処理後などに付着させる
が、その付着量は不織布加工後の耐炎繊維不織布の状態
で0.5〜1.5質量%が好ましく、また、同じく耐炎
繊維不織布のりん含有率で100〜500ppmとなる
よう付着させるのが好ましい。より好ましくは120〜
450ppm、最も好ましくは150〜350ppmで
ある。例えば不織布加工をウォータージェット法で行う
場合、加工途中でりん系有機化合物が脱落するため、耐
炎繊維へのりん系有機化合物の付着はこの点を考慮に入
れた上で、耐炎繊維不織布のりん含有率が上記範囲内に
入るよう調整する。
【0035】りん含有率が100ppm未満の場合、耐
炎繊維の耐熱酸化性が低くなる傾向にあり、繊維が酸化
劣化を起こしやすく、高密度耐炎繊維不織布の強度が著
しく低下する傾向にある。りん含有率が500ppmを
超える場合には、繊維の脆性が高くなる傾向にあり、耐
炎繊維不織布の強度劣化を生じやすい。また、炭素化後
にロール状に巻いた場合幅方向に折れしわが発生する傾
向が強まり、強度の低下や巻姿が悪くなる傾向にある。
また、繊維の脆性が高い場合には炭素化後に炭素微粉末
が発生しやすい。
【0036】また、圧縮処理の前の耐炎繊維不織布に樹
脂を少量付着させる事により、圧縮処理がより効果的と
なって嵩密度の高い耐炎繊維不織布を得る事ができる。
しかし、樹脂処理を行った場合、炭素化後の炭素繊維不
織布の剛性と脆性が高くなる傾向にあるので、樹脂の付
着量は多くとも10質量%、できれば用いないことが好
ましい。樹脂の付着量の多い耐熱繊維不織布を炭素化し
て得た炭素繊維不織布では、剛軟度が高くなり、ロール
状に巻いた場合に折れて幅方向に折れしわが発生しやす
く、しわ部分の強度が低下する傾向にあり、巻姿も悪く
なりやすい。
【0037】本発明の高密度耐炎繊維不織布の製造方法
では、上記のようにして得られる耐炎繊維含有率が90
質量%以上である低嵩密度の耐炎繊維不織布に、温度2
00〜360℃、圧力1〜100MPaの条件で圧縮処
理を行うことを必須とする。
【0038】圧縮処理温度は、200〜360℃であ
る。さらには220〜320℃、最も好ましくは240
〜280℃で処理することである。圧縮処理温度が20
0℃未満の場合、耐炎繊維同士の膠着が不充分であり、
炭素化時に厚さの復元が大きく、本発明のような嵩密度
の高い炭素繊維不織布を得ることが出来ない。圧縮処理
温度が360℃を超える場合、前記りん系有機化合物付
着量を本発明記載の範囲内で最大にしても処理時の単繊
維の酸化劣化が著しい。このものを炭素化しても、強度
が低く、炭素微粉末が発生しやすいため、取り扱い性が
悪く、好ましくない。なお、酸化劣化を防ぐために、窒
素等の不活性ガス雰囲気下で圧縮処理を行うことが好ま
しい。
【0039】圧縮処理圧力は、1〜100MPaであ
る。さらには2〜50MPa、最も好ましくは3〜20
MPaで処理することである。圧縮処理圧力が1MPa
未満の場合は圧縮効果が低く、目標とする嵩密度の耐炎
繊維不織布を得ることが出来ない。また、圧縮処理圧力
が100MPaを超える場合、単繊維の損傷が生じ、得
られる高密度耐炎繊維不織布の強度低下が起きる。その
結果、炭素化時において、連続炭素化処理が困難にな
る。
【0040】耐炎繊維不織布の圧縮処理時間は、上記条
件において好ましくは3分間以内、より好ましくは0.
1秒〜1分間である。3分間よりも長時間圧縮処理を行
っても、厚さ低減効果はそれほど変わらない。繊維の損
傷は時間が短いほど防止することができる。
【0041】本方法では圧縮処理後の嵩密度は0.4〜
0.8g/cm3に合わせることが好ましい。このよう
な圧縮処理を施すには、ホットプレスやカレンダーロー
ラー等を用い、上記の条件で処理することによって得る
ことが出来る。
【0042】このようにして得られた本発明の高密度耐
炎繊維不織布は、高密度でありながら薄く、柔軟で折れ
しわが発生しにくいので、炭素繊維不織布の原料となる
のはもちろん、それ自体を耐炎性のシート状物として用
いることができる。本発明の高密度耐炎繊維不織布は、
耐炎繊維が90%以上であり、熱に弱い成分が少ないた
め、高温の条件下でも安定的に使用することができるの
である。例えば、摩擦材としての機能や耐炎性を付与す
るための、構造体の被覆用シート材などの用途に好適に
用いることができる。
【0043】また、別のもう一つの本発明である炭素繊
維不織布は、嵩密度が0.2〜0.5g/cm3であ
り、厚さが0.1〜0.5mmであり、かつ剛軟度が5
〜15mNcmであるものである。また、目付は30〜
180g/m2の範囲が好ましい。
【0044】本発明の炭素繊維不織布の嵩密度は0.2
〜0.5g/cm3であるが、さらには0.22〜0.
45g/cm3、最も好ましくは0.30〜0.40g
/cm3であることが好ましい。嵩密度がこの範囲外で
ある場合、電気抵抗とガスの透過性とのバランスを確保
することができない。例えば嵩密度が0.2g/cm 3
未満の場合には、電気抵抗値が増加する傾向にある。逆
に嵩密度が0.5g/cm3を超える場合には、通気性
が低下する傾向にある。特に本発明の炭素繊維不織布
を、燃料電池用ガス拡散電極として用いた場合には、密
度が低いと通電性が低下し、密度が高いとガス拡散が困
難となり、電池性能低下の原因となる。
【0045】本発明の炭素繊維不織布の厚さ方向電気抵
抗値は、通電材料として用いる場合は、4.0mΩ以下
が好ましい。さらには3.5mΩ以下、最も好ましくは
3.0mΩ以下である。厚さ方向電気抵抗値が4.0m
Ωを超える場合、通電材料として用いた場合の抵抗値が
高くなり、発熱する傾向にあるため、炭素材料の脆化が
起こることがある。
【0046】炭素繊維不織布の引張強度は1N/cm以
上が好ましく、一般には1〜7N/cmの範囲である。
引張強度が1N/cm未満の場合、連続的な加工等で不
織布自体に張力をかける場合に破断し易く、取り扱い性
が悪い。また、断面積あたりの引張強力は、0.3〜3
MPaであることが好ましく、さらには0.9〜2.8
MPa、もっとも最適なのは1.0〜2.6MPaの範
囲であることである。
【0047】本発明の炭素繊維不織布の剛軟度は、5〜
15mNcmである。好ましくは6〜13mNcm、最
適には7〜11mNcmの範囲である。剛軟度が5mN
cm未満の炭素繊維不織布は、本特許記載の目付の範囲
内では、実際的ではない。剛軟度が15mNcmを超え
る場合、剛直すぎることからローラーに通すことが出来
ず、連続的な加工が困難である為、取り扱い性が悪い。
また、炭素化後にロール状に巻いた場合、幅方向に折れ
しわが発生し、強度の低下や巻姿が悪くなる。
【0048】炭素繊維不織布の炭素微粉末発生量は25
mg/g以下が望ましい。好ましくは23mg/g以
下、さらには20mg/g以下が好ましい。炭素繊維不
織布の加工時に炭素微粉末が発生すると、加工工程での
トラブル発生、品質ムラ、工程環境の汚染の原因とな
る。更に、炭素微粉末は導電性であるので、周囲に飛散
した場合、電子機器の故障や、コンセントのショート等
の原因となる。本発明では繊維の脆化を抑えることによ
り、炭素微粉末発生量を減少させることができた。
【0049】また、本発明の炭素繊維不織布の製造方法
は、本発明の高密度耐炎繊維不織布を、不活性ガス雰囲
気下で1000℃以上の温度で処理することである。あ
るいは、本発明の製造方法に用いる高密度耐炎繊維不織
布として、前述の本発明の製造方法によって得た高密度
耐炎繊維不織布を用いることである。
【0050】本発明の炭素繊維不織布の製造方法では、
高密度耐炎繊維不織布を炭素化する。炭素化は、窒素、
ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下、好ましくは1
000〜2500℃で行う。なお、このとき昇温速度は
200℃/分以下が好ましく、170℃/分以下がより好
ましい。昇温速度が200℃/分を超える場合、結晶子
の成長速度は向上するが、繊維強度が低下し、炭素微粉
末が多量に発生する。
【0051】最高温度での滞留時間は30分間以内が好
ましく、0.5〜20分程度がより好ましい。
【0052】炭素化時の厚さ変化率は20%以下が好ま
しい。20%を超える場合、本特許で目的としている嵩
密度の炭素繊維不織布が得られない。
【0053】そして、このようにして得られた本発明の
炭素繊維不織布は、高嵩密度でありながら柔軟であり、
紙巻に容易に巻くことが可能なものである。さらに電気
抵抗値も低いので、燃料電池ガス拡散電極用の炭素繊維
不織布として極めて適したものである。
【0054】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。なお、各物性の測定は次の方法によった。
【0055】(1)耐炎繊維比重 溶剤置換法(溶剤:アセトン)により測定した。
【0056】(2)耐炎繊維物性 標準状態の強度、伸度、結節強度、結節伸度はJIS
L 1015により測定した。
【0057】(3)厚さ 直径30mmの円形圧板で1.96Nの荷量を負荷した
ときの厚さを測定した。
【0058】(4)目付 200mm×250mmの不織布を120℃で1時間真
空乾燥した後の質量値より算出した。
【0059】(5)嵩密度 上記の目付と厚さより算出した。
【0060】(6)りん系有機化合物付着量 1〜10gの耐炎繊維不織布を120℃で1時間真空乾
燥した後質量を測定し、そのもののりん系有機化合物を
ソックスレー抽出法(溶剤:エタノール/ベンゼン)によ
り抽出した。抽出物の質量を耐炎繊維不織布の質量で除
し、得られた値を百分率で表した。
【0061】(7)繊維含有率 上記りん系有機化合物付着量から以下の式を用いて算出
した。 繊維含有率(%)=100−りん系有機化合物付着量
(%) (8)りん含有率 耐炎繊維不織布を750℃で灰化し、残渣を王水で溶解
して希釈した後、その一定量に発色液(メタバナジン酸
アンモニウム)を加えて吸光度を測定し、標準液との吸
光度比から求めた。
【0062】(9)臨界酸素指数(LOI) JIS K 7201にしたがって測定した。
【0063】(10)不織布の引張強度 幅50mm、長さ120mm以上のサンプルを、チャッ
ク間距離100mmの治具に固定し、速度30mm/m
inで引っ張った時の破断強度。10mm幅に換算した
値を引張強度1として単位N/cmで示し、単位断面積
当たりに換算した値を引張強度2として単位MPaで示
した。
【0064】(11)炭素微粉末発生量 300mlのビーカー中に25℃に温度調整した水/エ
タノール(90/100容量基準)液200mlを入
れ、更にこの溶液に、炭素繊維不織布(10mm×5m
mにカット)の1gを入れ、ラボラン型回転子(長さ3
0mm、直径8mm)で10分間撹拌する。その後、撹
拌した炭素繊維不織布をステンレス製金網(8メッシ
ュ)で濾別し、濾液中の炭素微粉末をメンブレンフィル
ター(孔径6μm)で分離し、その重量を測定した。こ
の値から炭素繊維不織布単位重量当たりの炭素微粉末発
生量(mg/g)を算出した。
【0065】(12)剛軟度 JIS L 1096記載の方法(B法)に準拠して測
定した。
【0066】(13)柔軟性 幅W(mm)のスリット上に、長さ100mm、幅2
5.4mmの不織布を長さ方向がスリットと垂直になる
ように配置し、幅2mmの金属ブレードで不織布をスリ
ット間に深さ15mmまで3mm/秒の速さで押し込む
時の最大荷重を測定し、その値を柔軟性とした。なお、
スリット幅Wは、不織布の厚さt(mm)に対し、以下
の範囲で調整する。 W/t=10〜12
【0067】(14)厚さ方向電気抵抗値 2枚の50mm角(厚さ10mm)の金メッキした電極
で不織布の両面を全面接触するように挟み、荷重10k
Paを厚さ方向にかけた時の厚さ方向電気抵抗値を測定
した。
【0068】(15)厚さ変化率 高密度耐炎繊維不織布の厚さ(Ta)と、炭素化後の炭
素繊維不織布の厚さ(Tb)より、以下の式を用いて算
出した。 厚さ変化率(%)=(Tb−Ta)/Ta×100
【0069】(16)折れしわ数 直径76.2mmの紙管に、長さ5m、幅800mmの
炭素繊維不織布を厚さ方向に9.8N/cmの線圧をか
けながら長さ方向に巻く。再び広げて、目視によりしわ
数を数え、1m当りに換算した。
【0070】[参考例1](圧縮処理前の耐炎繊維不織
布1の作製) コモノマーとしてアクリル酸メチルを含有するポリアク
リロニトリル系繊維(繊度1.7dtex、アクリロニ
トリルモノマー97質量%)を空気中、初期耐炎化温度
230℃にて10分間処理後、温度勾配0.5℃/分で
260℃まで昇温した後、この温度で7分間処理した。
得られた繊度2.3dtex、比重1.37の耐炎繊維
にりん系有機化合物(トリヒドロキシエチルホスフェー
ト/ポリオキシエチレン)を1.0質量%付着させ、ク
リンプ処理後51mmに定長カットした結果、クリンプ
数3.5ヶ/cm、クリンプ率11%、強度23mN/
dtex、伸度23%、結節強度14mN/dtex、
結節伸度8%の耐炎繊維ステープルを得た。
【0071】この比重1.37の耐炎繊維ステープルを
用い、カード加工後、ウォータージェット方式により、
目付100g/m2、厚さ0.85mm、嵩密度0.1
2g/cm3、りん含有率323ppmの耐炎繊維不織
布1を作製した。
【0072】[参考例2](圧縮処理前の耐炎繊維不織
布2の作製) 参考例1の耐炎化処理時の温度勾配を0.5℃/分か
ら、0.7℃/分に変更した以外は参考例1と同様の処
理を行った。得られた繊維は繊度2.3dtex、比重
1.33の耐炎繊維であり、長さ51mm、クリンプ数
3.8ヶ/cm、クリンプ率14%、強度25mN/d
tex、伸度25%、結節強度16mN/dtex、結
節伸度11%の耐炎繊維ステープルを得た。
【0073】この比重1.33の耐炎繊維ステープルを
用い、参考例1と同様に処理し、目付100g/m2
厚さ0.85mm、嵩密度0.12g/cm3、りん含
有率325ppmの耐炎繊維不織布2を作製した。
【0074】[参考例3](圧縮処理前の耐炎繊維不織
布3の作製) 参考例1の耐炎化処理時の最高温度を260℃から、2
70℃に変更した以外は参考例1と同様の処理を行っ
た。得られた繊維は繊度2.3dtex、比重1.38
の耐炎繊維であり、長さ51mm、クリンプ数3.7ヶ
/cm、クリンプ率13%、強度22mN/dtex、
伸度19%、結節強度13mN/dtex、結節伸度5
%の耐炎繊維ステープルを得た。
【0075】この比重1.38の耐炎繊維ステープルを
参考例1と同様に処理し、目付100g/m2、厚さ
0.85mm、嵩密度0.12g/cm3、りん含有率
322ppmの耐炎繊維不織布3を作製した。
【0076】[参考例4](圧縮処理前の耐炎繊維不織
布4の作製) 参考例1の耐炎化処理時の温度勾配を0.5℃/分か
ら、0.7℃/分に変更し、最高温度を260℃から、
255℃に変更した以外は参考例1と同様の処理を行っ
た。得られた繊維は繊度2.3dtex、比重1.28
の耐炎繊維であり、長さ51mm、クリンプ数3.8ヶ
/cm、クリンプ率13%、強度29mN/dtex、
伸度18%、結節強度17mN/dtex、結節伸度1
1%の耐炎繊維ステープルを得た。
【0077】この比重1.28の耐炎繊維ステープルを
参考例1と同様に処理し、目付100g/m2、厚さ
0.85mm、嵩密度0.12g/cm3、りん含有率
328ppmの耐炎繊維不織布4を作製した。
【0078】[参考例5](圧縮処理前の耐炎繊維不織
布5の作製) 参考例1のりん系有機化合物(トリヒドロキシエチルホ
スフェート/ポリオキシエチレン)付着量を1.0質量%
から、0.6質量%に変更した以外は参考例1と同様の
処理を行った。得られた繊維は繊度2.3dtex、比
重1.38の耐炎繊維であり、長さ51mm、クリンプ
数3.7ヶ/cm、クリンプ率13%、強度23mN/
dtex、伸度24%、結節強度14mN/dtex、
結節伸度10%の耐炎繊維ステープルを得た。
【0079】この耐炎繊維ステープルを参考例1と同様
に処理し、目付100g/m2、厚さ0.85mm、嵩
密度0.12g/cm3、りん含有率263ppmの耐
炎繊維不織布5を作製した。
【0080】[参考例6](圧縮処理前の耐炎繊維不織
布6の作製) 参考例1のりん系有機化合物(トリヒドロキシエチルホ
スフェート/ポリオキシエチレン)付着量を1.0質量%
から、1.4質量%に変更した以外は参考例1と同様の
処理を行った。得られた繊維は繊度2.3dtex、比
重1.38の耐炎繊維であり、長さ51mm、クリンプ
数3.5ヶ/cm、クリンプ率12%、強度22mN/
dtex、伸度25%、結節強度14mN/dtex、
結節伸度10%の耐炎繊維ステープルを得た。
【0081】この耐炎繊維ステープルを参考例1と同様
に処理し、目付100g/m2、厚さ0.85mm、嵩
密度0.12g/cm3、りん含有率495ppmの耐
炎繊維不織布6を作製した。
【0082】[参考例7](圧縮処理前の耐炎繊維不織
布7の作製) 参考例1のりん系有機化合物(トリヒドロキシエチルホ
スフェート/ポリオキシエチレン)付着量を1.0質量%
から、0.1質量%に変更した以外は参考例1と同様の
処理を行った。得られた繊維は繊度2.3dtex、比
重1.38の耐炎繊維であり、長さ51mm、クリンプ
数3.5ヶ/cm、クリンプ率11%、強度23mN/
dtex、伸度21%、結節強度14mN/dtex、
結節伸度9%の耐炎繊維ステープルを得た。
【0083】この耐炎繊維ステープルを参考例1と同様
に処理し、目付100g/m2、厚さ0.85mm、嵩
密度0.12g/cm3、りん含有率47ppmの耐炎
繊維不織布7を作製した。
【0084】[参考例8](圧縮処理前の耐炎繊維不織
布8の作製) 参考例1のりん系有機化合物(トリヒドロキシエチルホ
スフェート/ポリオキシエチレン)付着量を1.0質量%
から、2.0質量%に変更した以外は参考例1と同様の
処理を行った。得られた繊維は繊度2.3dtex、比
重1.38の耐炎繊維であり、長さ51mm、クリンプ
数3.5ヶ/cm、クリンプ率12%、強度21mN/
dtex、伸度18%、結節強度13mN/dtex、
結節伸度9%の耐炎繊維ステープルを得た。
【0085】この耐炎繊維ステープルを参考例1と同様
に処理し、目付100g/m2、厚さ0.85mm、嵩
密度0.12g/cm3、りん含有率832ppmの耐
炎繊維不織布8を作製した。
【0086】[実施例1] (高密度耐炎繊維不織布の作製)参考例1の耐炎繊維不
織布に温度330℃、圧力5MPaの条件下、空気中で
1分間圧縮処理を施したところ、目付100g/m2
厚さ0.18mm、嵩密度0.56g/cm3、繊維含
有率99.0%、引張強度12N/cmの高密度耐炎繊
維不織布を得た。LOIは40であった。また、紙巻に
容易に巻きつけることができ、巻姿も良好であった。物
性を表1に示す。
【0087】(炭素繊維不織布の作製)この高密度耐炎
繊維不織布を窒素ガス雰囲気下、常温より昇温勾配12
0℃/分で1900℃まで昇温した後、この温度で2分
間処理して目付60g/m2、厚さ0.19mm、嵩密
度0.32g/cm3、引張強度2.3N/cm、剛軟
度8mNcm、電気抵抗値2.7mΩ、炭素微粉末発生
量17mg/gの炭素繊維不織布を得た。炭素化時の厚
さ変化率は6%であった。紙管に巻いたときの折れしわ
数は0ケ/mであり、巻姿は良好であった。物性を表1
に併せて示す。
【0088】[実施例2〜8]参考例1の圧縮前の耐炎
繊維不織布1を用いる代わりに、参考例2〜8の圧縮前
の耐炎繊維不織布を用いて、高密度耐炎繊維不織布およ
び炭素繊維不織布を作製した。それぞれの物性を表1に
併せて示す。
【0089】
【表1】
【0090】[実施例9〜14]参考例1の圧縮前の耐
炎繊維不織布を用い、圧縮条件のみを実施例1の温度3
30℃、圧力5MPaの条件から、表2に記載する条件
に変更した以外は実施例1と同様に行い、高密度耐炎繊
維不織布および炭素繊維不織布を作製した。それぞれの
物性を表2に併せて示す。
【0091】
【表2】
【0092】[実施例15]参考例1の圧縮前の耐炎繊
維不織布1を用意し、この耐炎繊維不織布1をカルボキ
シメチルセルロース(CMC)水溶液に浸漬、乾燥し
て、CMC樹脂付着量3.0質量%の圧縮前の耐炎繊維
不織布を得た。この耐炎繊維不織布に温度330℃、圧
力5MPaの条件下、空気中で1分間圧縮を施したとこ
ろ、目付100g/m2、厚さ0.14mm、嵩密度
0.70g/cm3、繊維含有率96.0%、引張強度
11N/cmの高密度耐炎繊維不織布を得た。
【0093】この高密度耐炎繊維不織布を窒素ガス雰囲
気下、常温より昇温勾配120℃/分で1900℃まで
昇温した後、この温度で2分間処理して目付60g/m
2、厚さ0.15mm、嵩密度0.40g/cm3、引張
強度0.2N/cm、剛軟度81mNcm、電気抵抗値
6.7mΩ、炭素微粉末発生量64mg/gの炭素繊維
不織布を得た。炭素化時の厚さ変化率は7%であった。
柔軟性は48gと優れており、紙巻に巻きつけることが
できた。ただし、紙管に巻いたときの折れしわ数は23
ケ/mと多目であった。
【0094】[比較例1]実施例15のCMC樹脂付着
量を3.0質量%から、12.0質量%に変更した以外
は、実施例15と同様に行い、高密度耐炎繊維不織布お
よび炭素繊維不織布を作製した。得られた高密度耐炎繊
維不織布は硬く、紙巻に巻くことができないものであっ
た。また、得られた炭素繊維不織布は、電気抵抗値が1
4.8mΩと高く、柔軟性も148gと劣ったものであ
り、紙管に巻いたときの折れしわ数は37ヶ/mと多
く、巻姿も不良であった。
【0095】
【発明の効果】本発明により、高嵩密度でありながら柔
軟で取り扱い性に優れた高密度耐炎繊維不織布、及びそ
の製造方法が提供された。そして、本発明の高密度耐炎
繊維不織布は、繊維以外の成分が少なく、炭素化し、高
嵩高密度の炭素繊維不織布の前駆体とするのに適したも
のである。
【0096】また本発明により、柔軟でローラー等の曲
げを有する工程の通過性に優れ、巻物状に保管すること
ができ、かつ電気抵抗値の低い炭素繊維不織布、及びそ
の製造方法が提供された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 101:28 D06M 101:28 (72)発明者 島崎 賢司 静岡県駿東郡長泉町上土狩234番地 東邦 テナックス株式会社内 Fターム(参考) 4L033 AB07 AC05 AC15 BA39 BA98 BA99 4L047 AA03 AA29 AB10 CA19 CB01 CB02 CB10 DA00 5H018 AA06 AS01 BB01 BB03 EE05 HH00 HH05 HH08 5H026 AA06 BB01 BB02 EE05 HH00 HH05 HH06 HH09

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維含有率が90質量%以上であり、か
    つ嵩密度が0.4〜0.8g/cm3であることを特徴
    とする高密度耐炎繊維不織布。
  2. 【請求項2】 りん含有率が100〜500ppmであ
    る請求項1記載の高密度耐炎繊維不織布。
  3. 【請求項3】 限界酸素指数(LOI)が30〜60で
    ある請求項1または2記載の高密度耐炎繊維不織布。
  4. 【請求項4】 引張強度が5N/cm以上である請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の高密度耐炎繊維不織布。
  5. 【請求項5】 繊維がポリアクリロニトリル系耐炎繊維
    である請求項1〜4のいずれか1項に記載の高密度耐炎
    繊維不織布。
  6. 【請求項6】 繊維の比重が1.30〜1.39である
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の高密度耐炎繊維不
    織布。
  7. 【請求項7】 繊維含有率が90質量%以上である耐炎
    繊維不織布に、温度250〜360℃、圧力1〜100
    MPaの条件で圧縮処理を行うことを特徴とする高密度
    耐炎繊維不織布の製造方法。
  8. 【請求項8】 圧縮処理後の耐炎繊維不織布の嵩密度を
    0.4〜0.8g/cm3とする請求項7記載の高密度
    耐炎繊維不織布の製造方法。
  9. 【請求項9】 嵩密度が0.2〜0.5g/cm3であ
    り、厚さが0.1〜0.5mmであり、かつ剛軟度が5
    〜15mNcmであることを特徴とする炭素繊維不織
    布。
  10. 【請求項10】 引張強度が1N/cm以上である請求
    項9記載の炭素繊維不織布。
  11. 【請求項11】 厚さ方向電気抵抗値が4mΩ以下であ
    る請求項9または10記載の炭素繊維不織布。
  12. 【請求項12】 炭素微粉末発生量が25mg/g以下
    である請求項9〜11のいずれか1項記載の炭素繊維不
    織布。
  13. 【請求項13】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    高密度耐炎繊維不織布を、不活性ガス雰囲気下で100
    0℃以上の温度で処理することを特徴とする炭素繊維不
    織布の製造方法。
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