JP2013157314A - 固体高分子型燃料電池用ガス拡散層 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用ガス拡散層 Download PDF

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Abstract

【課題】 高温低加湿条件においても良好な発電性能を発現できる固体高分子型燃料電池が求められていた。
【解決手段】 炭素短繊維を炭素により結着した炭素シートであって、下記圧縮試験にて求める圧力分布の標準偏差が0.8MPa〜1.6MPaである固体高分子型燃料電池用ガス拡散層。
<圧縮試験>
試験対象の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層から直径25mmの円形の試験片を作成し、感圧紙を挟んで試験片に対して面圧2MPaの荷重を付与し、2分間保持する。スキャナー及び解析ソフト(FPD9270:冨士フィルム株式会社製)で感圧紙を解析し、解析対象エリアを分割した各点における圧力データのアウトプットを得、荷重の圧力分布の標準編差を算出する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池に用いられるガス拡散層に関する。
固体高分子型燃料電池のガス拡散層には、炭素繊維シート、炭素繊維クロス、炭素繊維フェルト等の炭素繊維を用いた基材が一般的に用いられる。これらの基材は炭素繊維によって高い導電性を示すだけでなく、多孔質材料であるため、燃料ガスおよび生成水などの液体の透過性が高いためガス拡散層に好適な材料である。
固体高分子型燃料電池は、燃料ガスの外部流出を避けるためや、所望の発電性能をえるために、面圧として1〜数MPaの荷重を付与されて締結される。締結時にガス拡散層を介して局所的な荷重が掛かることによって、発電性能の低下や高分子電解質膜の破断や劣化および短絡電流を生じるという問題があった。
燃料電池の締結時にガス拡散層に生じる面圧ムラは、ガス拡散層の厚みムラ、構造ムラや圧縮変形時の弾性係数および、ガス拡散層の嵩密度に起因する。たとえば圧縮変形時の弾性係数が小さく、嵩密度の大きいガス拡散層は面圧ムラが大きくなる。面圧ムラの大きいガス拡散層であると、高分子電解質膜の破断や劣化、ガス拡散層内でのフラッディングと呼ばれる水詰まりが生じやすくなる。一方で、面圧ムラが小さなガス拡散層であると、圧縮変形時の弾性係数が大きくなることから、ガス流路へのガス拡散層の食い込みが生じることや、嵩密度が小さいことに起因してガス拡散層の空隙率が大きくなり、高電流密度域において発電性能の低下が生じる。上記のように、ガス拡散層の面圧ムラは大きすぎても、小さすぎても弊害が生じてしまうという問題があった。
燃料電池の締結荷重およびそれに付随して生じる面圧ムラが燃料電池の発電性能や耐久性に対して影響を示すことが先行技術文献に示されている。特許文献1では所望の発電性能を引き出すために、締結荷重を迅速に制御する装置を燃料電池システムに組み込む方法が開示されている。また、特許文献2では突起部を有する面圧付与板を用いることで、燃料電池発電ユニットを屈曲させて膜電極接合体にかかる面圧を均一にする方法が開示されている。特許文献3には燃料電池の電解質膜の面圧測定を行うシステムが開示されている。
特開2007−5229号公報 特開2010−123307号公報 特開2011−124132号公報
しかしながら、特許文献1、および特許文献2に記載の方法は、いずれも燃料電池システム全体についてのみ言及しており、構成部材自体に起因する面圧ムラには言及していない。また、特許文献3では締結荷重によって変形しやすく、屈曲やシワが生じる電解質膜の面圧を測定しているが、電解質膜に生じる面圧ムラの原因となる電解質膜の外側に配されたガス拡散層およびガス流路についての詳細な開示はなされていない。燃料電池セルの締結時に生じる面圧ムラ、特に燃料電池内部の電解質膜における面圧ムラは、電解質の外側に配されるガス拡散層やガス流路に起因するものである。とりわけ、ガス拡散層は燃料ガスの拡散性および発電時に生成する液水の排出性を担保すべく、一般的に多孔質の基材であり、圧縮時においては基材自体に面圧ムラが生じやすい。また使用方法によっては電解質に隣接する、もしくは、電極触媒層やマイクロポーラスレイヤー(MPL)層といった100μm以下の薄層を介して隣接することから、圧縮時においてガス拡散層に生じる面圧ムラは電解質膜に直接大きな影響を与えることが容易に推測される。具体的には、電解質膜および触媒の劣化などによって発電性能が低下するといった問題が生じていた。そこで、高温低加湿条件においても良好な発電性能を発現できる固体高分子型燃料電池が求められていた。
上記の問題を対処するには、ガス拡散層圧縮時の面圧ムラに着目し、ガス拡散層を圧縮した際に生じる面圧ムラを制御することが重要である。しかしながら、これまで面圧ムラの制御されたガス拡散層やその製造方法は開示されてこなかった。本発明は、上記のような問題を鑑みて燃料電池セルの締結(圧縮)荷重によって生じる面圧ムラが制御されたガス拡散層に関するものである。本発明の面圧ムラが制御されたガス拡散層を固体高分子型燃料電池に用いることによって、セル高温低加湿運転条件であっても良好な発電性能を発現できる。具体的には、前記課題は以下の発明(1)〜(3)によって解決される。
(1)炭素短繊維を炭素により結着した炭素シートであって、下記圧縮試験にて求める圧力分布の標準偏差が0.8MPa〜1.6MPaである固体高分子型燃料電池用ガス拡散層。
<圧縮試験>
試験片の大きさ:直径25mmの円形
感圧紙:プレスケール低圧用(富士フィルム株式会社製)
スキャナー及び解析ソフト:FPD9270(冨士フィルム株式会社製)
試験方法:試験対象の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層から試験片を3個作成し、各々の試験片について、圧縮試験機のプレス面の間に試験片および感圧紙を挟み込み、試験片に対して面圧2MPaの荷重を付与し、2分間保持する。面圧付与後の感圧紙を上記スキャナーでスキャンし、上記解析ソフトの試験片の解析対象エリアを17mm角に設定して解析を行い、解析対象エリアを分割した各点における圧力データのアウトプットを得る。得られた圧力データから試験片に付与された荷重の圧力分布の標準編差を算出する。試験片3個の標準偏差の平均値を求め、その値を試験対象の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層の圧力分布の標準偏差とする。
(2)嵩密度が0.25〜0.5g/cmである上記(1)に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層。
(3)無荷重時の厚みと2MPaの荷重で圧縮した際の厚みとの差が10〜90μmである上記(1)または(2)に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層。
本発明の面圧ムラが適正に制御されたガス拡散層を固体高分子型燃料電池に用いることによって高温低加湿条件において良好な発電性能を発現できる固体高分子型燃料電池を提供することができる。
以下、本発明について詳細に示す。
ガス拡散層としては、表面平滑性が高く、電気的接触が良好で、かつ機械的強度が高い複数本の炭素短繊維が集合してなる抄紙体が好ましい。本発明においては、炭素短繊維を炭素により結着した炭素シートを用いることができる。
炭素短繊維としては、その原料によらず用いることができるが、ポリアクリロニトリル(以後PANと略す。)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維から選ばれる1つ以上の炭素繊維を含むことが好ましく、PAN系炭素繊維あるいはピッチ系炭素繊維を含むことがより好ましい。
炭素短繊維の平均直径は、ガス拡散層としての表面平滑性と導電性の観点から、3〜30μm程度が好ましく、4〜20μmがより好ましく、4〜8μmがさらに好ましい。
炭素短繊維の長さは、抄紙時の分散性とガス拡散層としての機械的強度の観点から、2〜12mmが好ましく、3〜9mmがさらに好ましい。
炭素短繊維を互いに結着させるための炭素の炭素源としては、例えば、炭素繊維前駆体短繊維(b)、フィブリル状炭素前駆体繊維(b´)、加熱によって炭素化しうる樹脂(f)を用いることができる。これらをそれぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。
<加熱によって炭素化しうる樹脂(f)>
加熱によって炭素化しうる樹脂(f)としては、炭素化した段階でガス拡散層の炭素繊維を結着することのできる公知の樹脂から適宜選んで用いることができる。炭素化後に導電性物質として残存しやすいという観点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ピッチ等が好ましく、加熱による炭素化の際に炭化率の高いフェノール樹脂が特に好ましい。
<炭素繊維前駆体短繊維(b)>
炭素繊維前駆体短繊維(b)は、長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものである。炭素繊維前駆体短繊維(b)の繊維長は、分散性の点から、2〜20mm程度が好ましい。炭素繊維前駆体短繊維(b)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、炭素繊維前駆体短繊維(b)の直径は、炭素化時の収縮による破断を抑制するため、5μm以下であることが好ましい。
このような炭素繊維前駆体短繊維(b)として用いられるポリマーとして、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。このようなポリマーとしては、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーを挙げることができる。紡糸性および低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、炭素化時の残存質量が大きい点、さらに、後述する交絡処理を行う際の繊維弾性、繊維強度を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
<フィブリル状炭素前駆体繊維(b´)>
フィブリル状炭素前駆体繊維(b´)とは、適当な長さにカットした長繊維状の易割繊性海島複合繊維であり、リファイナーやパルパーなどによって叩解しフィブリル化するものである。フィブリル状炭素前駆体繊維(b´)は、共通の溶剤に溶解し、かつ非相溶性である2種類以上の異種ポリマーを用いて製造され、少なくとも1種類のポリマーが、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。
易割繊性海島複合繊維に用いられるポリマーのうち、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であるものとしては、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。中でも、紡糸性および炭素化処理工程における残存質量の観点から、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
アクリル系ポリマーは、アクリロニトリルを単独重合しても、アクリロニトリルとその他のモノマーとを共重合してもよい。アクリロニトリルと共重合されるモノマーとしては、一般的なアクリル系繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
アクリロニトリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、5万〜100万が好ましい。重量平均分子量が5万以上であることで、紡糸性が向上すると同時に、繊維の糸質が良好になる傾向にある。重量平均分子量が100万以下であることで、紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が高くなり、生産性が向上する傾向にある。
易割繊性海島複合繊維に用いられるポリマーのうち、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であるものとして、上述するアクリル系ポリマーを用いた場合、他のポリマーとしては、そのアクリロニトリル系ポリマーと共通の溶剤に溶解し、紡糸原液とした場合に安定に存在することが必要である。すなわち、紡糸原液においては、2種のポリマーの、非相溶性の度合いが大きい場合、繊維が不均質となるとともに、紡糸時における糸切れの原因となるため、繊維への賦形はできない場合がある。したがって、他のポリマーは、アクリロニトリル系ポリマーと共通の溶剤に溶解した場合に、アクリロニトリル系ポリマーに対して非相溶であるが、紡糸の際に海島構造を形成できる程度の混和性が必要である。また、湿式紡糸する場合、凝固槽、および洗浄槽において他のポリマーが水に溶解すると、脱落が起こり製造上問題であるため、他のポリマーは水に難溶性であることが必要である。
これらの要求を満足する他のポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられるが、酢酸セルロース、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂は、前述要件のバランスの点で、好ましく用いることができる。他のポリマーは、1種でもよく、2種以上でもよい。
フィブリル状炭素前駆体繊維(b´)として用いる易割繊性海島複合繊維は、通常の湿式紡糸法で製造することができる。炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であるものとしてアクリロニトリル系ポリマーを用いた場合、他のポリマーとを混合した後、溶剤に溶解して、易割繊性海島複合繊維の紡糸原液とする。または、アクリロニトリル系ポリマーを溶剤に溶解して得られる紡糸原液と、他のポリマーを溶剤に溶解して得られる紡糸原液とを、スタティックミキサー等で混合し、易割繊性海島複合繊維の紡糸原液としてもよい。溶剤としては、ジメチルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシドなどの有機溶剤を用いることができる。これらの紡糸原液を、ノズルより紡糸し、湿熱延伸、洗浄、乾燥および乾熱延伸を施こすことで、易割繊性海島複合繊維を得ることができる。
フィブリル状炭素繊維前駆体短繊維(b´)の断面形状は、特に限定されない。分散性、炭素化時の収縮による破断を抑制するため、フィブリル状炭素前駆体繊維(b´)の繊度は、1〜10dtexであることが好ましい。フィブリル状炭素前駆体繊維(b´)の平均繊維長は、分散性の観点から、1〜20mmが好ましい。
炭素源の炭素化は、不活性ガス中において1500〜2200℃で焼成することで行うことができる。
ガス拡散層は、通常、燃料電池に組み込む際に面圧0.2MPa〜数MPa程度の圧力で加圧される。この際に、ガス拡散層に面圧ムラが生じる。燃料電池のセル数が増えるにつれて、ガス拡散層の面圧ムラの影響は大きくなる。燃料電池の締結時にガス拡散層に生じる面圧ムラは、ガス拡散層の厚みムラ、構造ムラや圧縮変形時の弾性係数および、ガス拡散層の嵩密度に起因する。たとえば圧縮変形時の弾性係数が小さく、嵩密度の大きいガス拡散層は面圧ムラが大きくなる。面圧ムラの大きいガス拡散層であると、高分子電解質膜の破断や劣化、ガス拡散層内でのフラッディングと呼ばれる水詰まりが生じやすくなる。一方で、面圧ムラが小さなガス拡散層であると、圧縮変形時の弾性係数が大きくなることから、ガス流路へのガス拡散層の食い込みが生じることや、嵩密度が小さいことに起因してガス拡散層の空隙率が大きくなり、高電流密度域において発電性能の低下が生じる。ガス拡散層の面圧ムラは大きすぎても、小さすぎても弊害が生じてしまうという問題があることから、ガス拡散層の面圧ムラを適正に制御することが必要となる。
具体的には、直径25mmのガス拡散層の試験片に対して2MPaの荷重を付与する圧縮試験を行った際に生じる、試験片全体の圧力分布の標準偏差が0.8MPa〜1.6MPaであることが好ましい(圧力試験の詳細については後述する)。より好ましくは、標準偏差が0.8MPa〜1.6MPaである。面圧ムラが上記範囲にあるガス拡散層を燃料電池に用いることで、耐久性に優れ、運転条件に左右されず良好な発電性能を現することができる。面圧ムラの標準偏差が大きすぎるガス拡散層であると、高分子電解質膜の破断や劣化、ガス拡散層内でのフラッディングと呼ばれる水詰まりが生じやすくる。また一方で、極端に面圧ムラの標準偏差が小さなガス拡散層であると、圧縮変形時の弾性係数が大きくなることから、ガス流路へのガス拡散層の食い込みが生じる。
面圧ムラが適正に制御されたガス拡散層を提供するためには、目付ムラの少ない均一なガス拡散層が必要となる。ガス拡散層の目付ムラは、炭素短繊維と樹脂の分散した炭素シートの目付ムラに起因する。炭素シートの目付ムラは、たとえば炭素シートの製造方法として一般的な湿式抄紙法を用いた場合の抄紙速度や抄紙に供する繊維・樹脂成分の固形分濃度、および繊維配向の調整方法に影響を受ける。目付ムラの少ない炭素シートを得るには、抄紙速度は1m〜60m/分と低速が好ましく、より好ましくは、2m〜40m/分である。抄紙速度が遅すぎると炭素シートの生産性が著しく低下する。一方、抄紙速度が早すぎると生産性は高いが繊維同士が絡まったダマ等が多量に発生するため、炭素シートの目付ムラが大きくなってしまう。また、繊維配向の調整方法としては、抄紙ネットの傾斜角度を制御する方法や、ウォータージェットパンチング法等により物理的に繊維を移動させる方法を用いることができる。抄紙ネットの傾斜角度を制御する方法では、ワイヤー高さを調整することで角度を変えて繊維配向を制御することが出来る。ワイヤー高さは100mm〜500mmが好ましい。高さが低すぎると繊維配向を積極的にかけることができず、高すぎると繊維配向を適正に制御できない。
炭素シートの目付ムラを低減する効果的な手法としては、脱水条件の最適化が挙げられる。炭素シートの製造においては、炭素短繊維や炭素繊維前駆体繊維が分散したスラリーを、メッシュ上に連続的に流し、スラリーに対して脱水をかけることでシートが形成される。したがって、脱水工程は、流動性のあるスラリー状態から、構造の固定化された炭素シートになる間をとりもつ工程であるため、その条件によって様々な目付ムラを有する炭素シートを製造することができる。脱水の手法としては、重力による自然脱水に加え、抄紙ネット下に設置されたサクションボックスにおいて抄紙スラリーの減圧脱水を実施することができる。このときのサクションボックスの圧力としては、20〜80kPaが好ましい。また、より好ましくは30〜60kPaである。20kPa以下であると、抄紙ネットがサクションボックスに張り付いてしまい、抄造が困難になる。また、80kPa以上の場合は、脱水が進まず後の乾燥工程に大きな負荷を掛けてしまう。サクションボックスの数は1台でもよいが、段階的に脱水をかけることでより、炭素シートの目付ムラを調整可能であることおよび、含水率を下げることで、後工程における炭素シートの乾燥負荷を低減するという観点から、2台以上を用いることが好ましい。より好ましくは、シート流れ方向に3台以上のサクションボックス用いて減圧乾燥を行う。サクションボックスの配された脱水工程に供する搬送速度も重要である。搬送速度は抄紙速度によって決まってしまうが、1〜60m/分の範囲内であれば良好な目付ムラを示す炭素シートを得ることが出来る。
上述したように、抄紙スラリーを20〜80kPaで減圧脱水を実施し、その際の搬送速度を1〜60m/分とすることにより、本発明における圧縮試験にて求める圧力分布の標準偏差が0.8MPa〜1.6MPaである固体高分子型燃料電池用ガス拡散層を製造することができる。
<ガス拡散層の厚み>
固体高分子型燃料電池用ガス拡散層の厚みは50〜300μmが好ましい。薄すぎるとガス拡散層として適度な強度が得られず、厚すぎるとガス拡散層の電気抵抗値が悪くなる。さらに好ましいガス拡散層の厚みは70〜200μmである。
<面圧ムラの測定>
以下の圧縮試験により、ガス拡散層の面圧ムラを測定することができる。
用いる試験片の大きさは直径25mmの円形で、試験対象の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層から試験片を3個作成する。試験片は、打ち抜き治具等により、任意の方法で作成すればよい。試験片の作成に際しては、ガス拡散層を重ねることなく、ガス拡散層1層の試験片を作成する。面圧ムラの測定は、試験片を重ねることなく、試験片1枚ずつで実施する。各々の試験片について、圧縮試験機のプレス面の間に試験片および感圧紙(プレスケール低圧用(富士フィルム株式会社製))を挟み込み、試験片に対して面圧2MPaの荷重を付与し、2分間保持する。その後圧力試験機から試験編と感圧紙を取り出し、面圧付与後の感圧紙をスキャナー(FPD9270(冨士フィルム株式会社製))でスキャンし、解析ソフト(FPD9270(冨士フィルム株式会社製))の試験片の解析対象エリアを17mm角に設定して解析を行い、解析対象エリアを分割した各点における圧力データのアウトプットを得る。なお、前記スキャナーを解析ソフトは連動している。本発明においては解析ソフトにおいて試験片の解析対象エリアを17mm角に設定すれば、解析ソフトが自動的に解析対象エリアを18496点に分割され、解析により各々の点におけるある圧力データがアウトプットとして得られる。得られた圧力データから試験片に付与された荷重の圧力分布の標準編差を算出する。圧力分部の標準偏差を算出する方法としては、標準偏差を求めるために通常行われ得る計算を行えばよく、例えば表計算ソフトなどを用いればよい。試験片3個について各々標準偏差をもとめ、この3つの値の平均値を求め、その値を試験対象の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層の圧力分布の標準偏差とする。
<ウォータージェットパンチング>
繊維の配向を制御する第2の方法として、高圧液体噴射ノズルから、水などを噴出させ繊維を物理的に移動させる方法であるウォータージェットパンチング法が挙げられる。ウォータージェットパンチングに際し、ウォータージェットパンチングに用いる高圧液体噴射ノズルに振動を与えることで炭素繊維シートの表面にサインカーブ状の交絡パターン(交絡軌跡)を形成させることができる。これは、シート長さ方向の交絡のみならずシート幅方向の交絡に効果がありシート形態安定性を向上できる。シート搬送速度、ノズル振動速度、ノズル振り幅の関係によりシート表面に形成されるウォータージェットパンチングの軌跡は決まる。ノズル振動数としては1〜1000rpm程度、振り幅6mm程度で制御することが実用的な範囲であり、シート搬送速度を1〜10m/minに設定した場合、周期20〜100mm、振幅1〜3mmのサインカーブをシート上に形成することができる。高圧液体噴射ノズルから噴射される水の圧力を変化させることによって、炭素繊維シートの繊維配向を制御することが可能である。高圧液体噴射ノズルの高圧水流の圧力は0.1〜6MPaが好ましい。圧力が低すぎると繊維の交絡を良好にすることが難しい。圧力が高すぎると、不織布の形態が崩れ、破れが発生する。
更に、圧縮時に面圧ムラの適度に制御されたガス拡散層を得るためには、ガス拡散層の嵩密度が0.25〜0.6g/cmであることが好ましい。嵩密度が小さすぎると面圧ムラは小さくなるが、圧縮弾性変形量が大きくなるため燃料ガス流路への食い込みが生じ、燃料ガス供給時に圧力損失が生じるなどの問題があった。また、嵩密度が大きすぎると、面圧ムラが大きくなるだけでなく、燃料電池の耐久性に悪影響を与える。制御された面圧ムラを発現するために、より好ましいガス拡散層の嵩密度の範囲は、0.25〜0.5g/cmである。
加えて、面圧ムラが適正に制御されたガス拡散層を提供するためには、ガス拡散層の無荷重時の厚みと2MPaの荷重で圧縮時の厚みとの差が10〜100μmであることが好ましい。
ガス拡散層の無荷重時の厚みと2MPaの荷重による弾性変形厚みとの差が小さすぎると、ガス拡散層は基材としての強度は十分であるが、面圧ムラが大きくなってしまう。一方でガス拡散層の無荷重時の厚みと2MPaの荷重で圧縮時の厚みとの差が大きすぎると、圧縮時の面圧ムラは小さくなるが、弾性変形厚みが大きすぎるため燃料電池設計に支障をきたすという問題が生じる。
下記の手法を用いて各種物性値の測定を行なった。
(厚みの測定)
固体高分子型燃料電池用ガス拡散層の厚みは、厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージ((株)ミツトヨ製、商品名:7321)を使用して測定した。測定子の大きさは直径10mmで、測定圧力は1.5kPaとした。1種類に対して10点測定を行い、その平均値を厚みとした。
(嵩密度の測定)
固体高分子型燃料電池用ガス拡散層1m幅のうちから、3×3cm角の試験片を10点、幅方向に均等に取り出し、それぞれの厚みをマイクロメーターにより測定し、重量を天秤により秤量することで嵩密度を算出した。10点測定した目付の平均値を其のサンプルの代表値として採用した。
(面圧ムラの測定)
以下の圧縮試験により圧力ムラの測定を行った。
<圧縮試験>
試験片の大きさ:直径25mmの円形
感圧紙:プレスケール低圧用(富士フィルム株式会社製)
スキャナー及び解析ソフト:FPD9270(冨士フィルム株式会社製)
試験方法:試験対象の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層から試験片を3個作成し、各々の試験片について、圧縮試験機のプレス面の間に試験片および感圧紙を挟み込み、試験片に対して面圧2MPaの荷重を付与し、2分間保持する。面圧付与後の感圧紙を上記スキャナーでスキャンし、上記解析ソフトの試験片の解析対象エリアを17mm角に設定して解析を行い、解析対象エリアを分割した各点における圧力データのアウトプットを得る。得られた圧力データから試験片に付与された荷重の圧力分布の標準編差を算出する。試験片3個の標準偏差の平均値を求め、その値を試験対象の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層の圧力分布の標準偏差とする。
(目付ムラの測定)
炭素繊維シート(固体高分子型燃料電池用ガス拡散層)のうちから、3×3cm角の試験片を10点、シート長手方向に均等に取り出し、それぞれの重量を天秤により秤量することで、目付を算出した。10点測定した目付の平均値と最大値、最小値との差が、0.5g/m〜2.0g/mの範囲ないにあるものを合格、範囲外のものは不合格とした。
(圧縮変形厚みの測定)
本発明における圧縮変形厚みの測定の詳細は以下の通りである。
用いる試験片の大きさは直径25mmの円形であり、試験対象のガス拡散層を打ち抜き治具等により、任意の方法により円形のサンプルを得る。試験対象のガス拡散層から試験片を3個作成し、各々の試験片について、圧縮試験機のプレス面の間に試験片を挟み込み、無荷重時の試験片の厚みを計測する。次に試験片に対して面圧2MPaの荷重を付与し、1分間保持する。保持後の試験片の厚みを計測する。面圧付与前後でのガス拡散層の厚みの変化の平均値を圧縮変形厚み(無荷重時の厚みと2MPaの荷重で圧縮した際の厚みとの差)とした。
(発電性能の評価)
両面に触媒担持カーボン(触媒:Pt、触媒担持量:50質量%)からなる触媒層(触媒層面積:25cm、Pt付着量:0.3mg/cm)を形成したパーフルオロスルホン酸系の高分子電解質膜(膜厚:30μm)を、2組の撥水処理を施したガス拡散層で挟持し、これらを接合して得たMEAを蛇腹状のガス流路を有する2枚のカーボンセパレーターによって挟み、固体高分子型燃料電池(単セル)を形成し、温度を90℃としたこの単セルに水素ガスと空気を60℃のバブラーを介して供給して発電させた。起電力―電流密度曲線を記録し、電流密度1.0/cmで発電時に取り出される起電力を評価した。
<実施例1>
炭素短繊維として、長さ3mmにカットした平均直径7μmのPAN系炭素短繊維100質量部と、長さ3mmのポリビニルアルコール(PVA)繊維(商品名:VBP105−1、クラレ株式会社製)を11質量部とを水中で分散し、抄紙速度は50m/分で連続的に金網上に抄造し、脱水圧20kPaで行った後、乾燥して炭素繊維シートを得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さかった。
この炭素繊維シート100質量部に、フェノール樹脂(商品名:フェノライトJ−325、大日本インキ化学株式会社製)のメタノール溶液を含浸させ、室温でメタノールを十分に乾燥させ、フェノール樹脂の不揮発分を84質量部付着させたフェノール樹脂含浸炭素繊維シートを得た。
このフェノール樹脂含浸炭素繊維シートを2枚重ねて、250℃の温度で8×10N/mの線力のロールプレスを行い、フェノール樹脂を硬化させた。その後、不活性ガス(窒素)雰囲気中、1900℃で連続的に炭素化して、ガス拡散層を得た。得られたガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1にまとめた。
<実施例2>
抄紙速度を20m/minで行ったこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さく、ガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1に記載した。
<実施例3>
抄紙速度を2m/minで行ったこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さく、ガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1に記載した。
<実施例4>
抄造時の脱水圧を40kPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さく、ガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1に記載した。
<実施例5>
抄造時の脱水圧を40kPaとしたこと以外は、実施例2と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さく、ガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1に記載した。
<実施例6>
抄造時の脱水圧を40kPaとしたこと以外は、実施例3と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さく、ガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1に記載した。
<実施例7>
抄造時の脱水圧を60kPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さく、ガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1に記載した。
<実施例8>
抄造時の脱水圧を60kPaとしたこと以外は、実施例2と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さく、ガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1に記載した。
<実施例9>
抄造時の脱水圧を60kPaとしたこと以外は、実施例3と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さく、ガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1に記載した。
<実施例10>
抄造時の脱水圧を80kPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さく、ガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1に記載した。
<実施例11>
抄造時の脱水圧を80kPaとしたこと以外は、実施例2と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さく、ガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1に記載した。
<実施例12>
抄造時の脱水圧を80kPaとしたこと以外は、実施例3と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは小さく、ガス拡散層の面圧ムラも適正な範囲に制御されていた。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、良好な発電性能を示した。各種結果は表1に記載した。
<比較例1>
抄紙速度を80m/min、脱水圧10kPaで抄造を行ったこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは大きく、ガス拡散層の面圧ムラも大きな値となった。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、水づまりが生じ、発電を維持することが出来なかった。各種結果は表1に記載した。
<比較例2>
抄紙速度を0.1m/min、脱水圧10kPaで抄造を行ったこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは大きく、ガス拡散層の面圧ムラも大きな値となった。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、水づまりが生じ、発電を維持することが出来なかった。各種結果は表1に記載した。
<比較例3>
抄紙速度を80m/min、脱水圧100kPaで抄造を行ったこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは大きく、ガス拡散層の面圧ムラも大きな値となった。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、水づまりが生じ、発電を維持することが出来なかった。各種結果は表1に記載した。
<比較例4>
抄紙速度を0.1m/min、脱水圧100kPaで抄造を行ったこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは大きく、ガス拡散層の面圧ムラも大きな値となった。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、水づまりが生じ、発電を維持することが出来なかった。各種結果は表1に記載した。
<比較例5>
抄造時の脱水圧を10kPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは大きく、ガス拡散層の面圧ムラも大きな値となった。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、水づまりが生じ、発電を維持することが出来なかった。各種結果は表1に記載した。
<比較例6>
抄造時の脱水圧を100kPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは大きく、ガス拡散層の面圧ムラも大きな値となった。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、水づまりが生じ、発電を維持することが出来なかった。各種結果は表1に記載した。
<比較例7>
抄紙速度を80m/minで行ったこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは大きく、ガス拡散層の面圧ムラも大きな値となった。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、水づまりが生じ、発電性能が低下した。各種結果は表1に記載した。
<比較例8>
抄紙速度を0.1m/minで行ったこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維シートおよびガス拡散層を得た。得られた炭素繊維シートの目付ムラは大きく、ガス拡散層の面圧ムラも大きな値となった。また固体高分子型燃料電池の正極および負極にガス拡散層を組み込んで発電性能を評価したところ、水づまりが生じ、発電性能が低下した。各種結果は表1に記載した。
Figure 2013157314

Claims (3)

  1. 炭素短繊維を炭素により結着した炭素シートであって、下記圧縮試験にて求める圧力分布の標準偏差が0.8MPa〜1.6MPaである固体高分子型燃料電池用ガス拡散層。
    <圧縮試験>
    試験片の大きさ:直径25mmの円形
    感圧紙:プレスケール低圧用(富士フィルム株式会社製)
    スキャナー及び解析ソフト:FPD9270(冨士フィルム株式会社製)
    試験方法:試験対象の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層から試験片を3個作成し、各々の試験片について、圧縮試験機のプレス面の間に試験片および感圧紙を挟み込み、試験片に対して面圧2MPaの荷重を付与し、2分間保持する。面圧付与後の感圧紙を上記スキャナーでスキャンし、上記解析ソフトの試験片の解析対象エリアを17mm角に設定して解析を行い、解析対象エリアを分割した各点における圧力データのアウトプットを得る。得られた圧力データから試験片に付与された荷重の圧力分布の標準編差を算出する。試験片3個の標準偏差の平均値を求め、その値を試験対象の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層の圧力分布の標準偏差とする。
  2. 嵩密度が0.25〜0.5g/cmである請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層。
  3. 無荷重時の厚みと2MPaの荷重で圧縮した際の厚みとの差が10〜90μmである請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池用ガス拡散層。
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