JP2003166168A - 酸化繊維構造体、炭素繊維構造体、及びこれらの製造方法 - Google Patents

酸化繊維構造体、炭素繊維構造体、及びこれらの製造方法

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JP2003166168A
JP2003166168A JP2001366020A JP2001366020A JP2003166168A JP 2003166168 A JP2003166168 A JP 2003166168A JP 2001366020 A JP2001366020 A JP 2001366020A JP 2001366020 A JP2001366020 A JP 2001366020A JP 2003166168 A JP2003166168 A JP 2003166168A
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fiber structure
carbon fiber
precursor
oxidized
woven fabric
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JP2001366020A
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Kenji Shimazaki
賢司 島崎
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Teijin Ltd
Original Assignee
Toho Tenax Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 賦形性が良く、高密度、薄型の炭素繊維構造
体の原料として適した酸化繊維構造体、及び炭素繊維構
造体の製造方法を提供する。 【解決手段】 プリカーサー構造体4を、熱圧縮酸化処
理装置6において200〜350℃の空気中で、面圧
0.01〜1MPa、張力5〜500kPa・cmの範
囲で連続的に熱圧縮成型しながら酸化させることを特徴
とする酸化繊維構造体12の製造方法、並びに、この酸
化繊維構造体12を炭素化装置16において500℃以
上で不活性ガス中にて炭素化することを特徴とする炭素
繊維構造体20の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアクリロニト
リル(PAN)系繊維を原料とする酸化繊維構造体、炭
素繊維構造体、及びこれらの製造方法に関する。特に電
極材として有用な炭素繊維構造体等の炭素材料の原料に
適した酸化繊維構造体、炭素繊維構造体、及びこれらの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素材料は、その導電性、耐熱性、耐薬
品安定性に優れ、アース用構造体及び電極材等の通電
材、耐熱保護材、並びに、高温断熱材等に広く用いられ
ている。近年、炭素繊維は、その繊維形態の特徴を生か
した分野、すなわち柔軟性、加工性、成形性を生かした
分野に応用されている。特に薄型のシート状で、強度が
あり、形態的な取扱易さより、織物や不織布の形態の炭
素繊維構造体が開発されている。
【0003】この炭素繊維構造体を製造する方法におい
てPAN系繊維(プリカーサー)酸化方式で製造する場
合、次の方法(a.織物、b.不織布)がある。
【0004】a.織物:プリカーサー→酸化→酸化繊維
→紡績→製織→(圧縮処理)→炭素化 b.不織布:プリカーサー→酸化→酸化繊維→不織布加
工→(圧縮処理)→炭素化 しかし、プリカーサー酸化方式で製造する場合、プリカ
ーサーを酸化した後の酸化繊維はプリカーサーに比べ繊
維特性(結節強伸度)が低いため、この酸化繊維を織物
や不織布に加工する場合、加工性が悪く(加工費アッ
プ)、かつ織物や不織布表面のケバが発生し易く品位が
低下し易いという問題がある。。
【0005】また、上記炭素繊維構造体を製造する方法
においてプリカーサーの織物、不織布の酸化方式で製造
する場合、次の方法(c.織物、d.不織布)がある。
【0006】c.織物:プリカーサー→紡績→製織→酸
化→(圧縮処理)→炭素化 d.不織布:プリカーサー→不織布加工→酸化→(圧縮
処理)→炭素化 このプリカーサーの織物、不織布の酸化方式で製造する
場合、織物や不織布加工性は良好であるが、酸化時に過
度な張力により伸びを生じ易い、織物や不織布の幅方向
や厚さ方向にムラを生じ易い、並びに、蓄熱して燃焼・
切断し易いなどの問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、解決す
べき上記問題について鋭意検討した結果、プリカーサー
織物又は不織布等のプリカーサー構造体の優れた加工性
を利用すると共に、このプリカーサー構造体の熱軟化特
性を利用し酸化時に熱ローラーによる厚さ方向の圧力
と、プリカーサー構造体に掛かる張力を適度に調整する
ことにより、賦形性の良い酸化繊維構造体が得られるこ
とを知得した。
【0008】しかも、この酸化繊維構造体を炭素化する
ことにより賦形性が良い、高密度、薄型の炭素繊維構造
体が得られることを知得し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】従って、本発明の目的とするところは、上
記プリカーサーよりなる織物や不織布の酸化処理におけ
る繊維構造体特有の蓄熱燃焼等の問題を解決した、賦形
性が良く、高密度、薄型の炭素繊維構造体の原料として
適した酸化繊維構造体、炭素繊維構造体、及びこれらの
製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明は、以下に記載するものである。
【0011】〔1〕 ポリアクリロニトリル系繊維織物
又は不織布を、200〜280℃の空気中で、面圧0.
01〜1MPa、張力5〜50N/cmの範囲で連続的
に熱圧縮成型しながら酸化させることを特徴とする酸化
繊維構造体の製造方法。
【0012】〔2〕 〔1〕で製造した酸化繊維構造体
を500℃以上で不活性ガス中にて炭素化することを特
徴とする炭素繊維構造体の製造方法。
【0013】〔3〕 〔1〕で製造した酸化繊維構造
体。
【0014】〔4〕 〔2〕で製造した炭素繊維構造
体。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明の製造方法によって得られる酸化繊
維構造体は、プリカーサー織物又は不織布が、空気中で
熱圧縮成型されながら酸化されてなる酸化繊維構造体で
あって、酸化繊維の比重が1.36〜1.44であり、
酸化繊維構造体の、厚さが0.3〜2.0mm、嵩密度
が0.15〜0.55g/cm3、目付が70〜250
g/m2であり、且つ収縮ムラが低減された平滑性表面
を有する。
【0017】酸化繊維構造体を構成する酸化繊維の比重
が1.36より低い場合は、炭素繊維構造体を製造する
際の炭素化時において炭素繊維強度が劣化して炭素繊維
の微粉末が発生するので好ましくない。
【0018】酸化繊維構造体を構成する酸化繊維の比重
が1.44より高い場合は、酸化繊維の強度及び伸度低
下が低下して織物加工、不織布加工が難しくなるので好
ましくない。
【0019】酸化繊維構造体の厚さが0.3mm未満の
場合は、炭素化後に得られる炭素繊維構造体について、
その強度が低下する、加工時に切断や伸びが発生し易く
なる、加工性が低下する、並びに、賦形性が低下するな
どの不具合を生ずるので好ましくない。
【0020】酸化繊維構造体の厚さが2.0mmを超え
る場合は、炭素化後に得られる炭素繊維構造体につい
て、その嵩密度が低下して厚さ方向の電気抵抗値が増加
するので好ましくない。
【0021】酸化繊維構造体の嵩密度が0.15g/c
3より低い場合は、炭素化後に得られる炭素繊維構造
体について、その厚さ方向の電気抵抗値が増加するので
好ましくない。
【0022】酸化繊維構造体の嵩密度が0.55g/c
3より高い場合は、炭素化後に得られる炭素繊維構造
体について、その柔軟性が低下する、即ち構造体が剛直
になり易くなるので好ましくない。
【0023】酸化繊維構造体の目付が70g/m2より
低い場合は、炭素化後に得られる炭素繊維構造体につい
て、その強度が低下する、厚さ方向の電気抵抗値が増加
する、並びに、撥水性樹脂による構造体の片面処理時に
樹脂が裏面へしみ出し易いなどの不具合を生ずるので好
ましくない。
【0024】酸化繊維構造体の目付が250g/m2
り高い場合は、炭素化後に得られる炭素繊維構造体につ
いて、その厚さ方向の電気抵抗値が増加する、並びに、
紡績糸の扁平化加工が難しいなどの不具合を生ずるので
好ましくない。
【0025】本発明の酸化繊維構造体は、上記の好まし
い物性を有するのに加えて、収縮ムラが低減された平滑
性表面を有し、賦形性の良いものである。
【0026】本発明の酸化繊維構造体を炭素化して得ら
れる炭素繊維構造体は、厚さが0.10〜0.7mm、
目付が30〜150g/m2、嵩密度が0.20〜0.
45g/cm3、X線結晶サイズが1.3〜3.5nm
であることが好ましい。
【0027】炭素繊維構造体の厚さが0.10mm未満
の場合は、炭素繊維構造体の強力が低下する、加工時に
切断し易くなる、並びに、伸びが発生し易くなるなどの
不具合を生ずるので好ましくない。
【0028】炭素繊維構造体の厚さが0.7mmを超え
る場合は、厚さ方向に圧力が加わったとき、厚さムラが
大きくなり、特性値のバラツキが大きくなる、後加工時
の厚さ方向の特性ムラが大きくなる、並びに、厚さ方向
の電気抵抗値が増加するなどの不具合を生ずるので好ま
しくない。
【0029】炭素繊維構造体の目付が30g/m2より
低い場合は、炭素繊維構造体の強力が低下する、加工時
に切断し易くなる、並びに、伸びが発生し易くなるなど
の不具合を生ずるので好ましくない。
【0030】炭素繊維構造体の目付が150g/m2
り高い場合は、後加工時の厚さ方向の特性ムラが大きく
なる、厚さ方向の電気抵抗値が増加するなどの不具合を
生ずるので好ましくない。
【0031】炭素繊維構造体の嵩密度が1.0mg/g
より多いと、後述の炭素繊維構造体の後加工時に脱落毛
羽の発生、構造体からの脱落に伴う工程トラブル、作業
環境汚染、工程での毛羽蓄積による工程トラブル及び品
質低下等の問題が発生し易くなるので好ましくない。
【0032】炭素繊維構造体のX線結晶サイズが1.3
nm未満の場合は、燃料電池などの通電性を必要とする
用途に用いるとき、電気伝導性が悪い、電池性能が低下
するなどの不具合を生ずるので好ましくない。
【0033】炭素繊維構造体のX線結晶サイズが3.5
nmを超える場合は、繊維が脆くなり、脱落毛羽の発生
が大となるので好ましくない。
【0034】(酸化繊維構造体及び炭素繊維構造体の製
造)本発明の酸化繊維構造体は、その物性が上記範囲内
にあれば、その製造方法としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、プリカーサー織物又は不織布を、
200〜280℃の空気中で、面圧0.01〜1MP
a、張力5〜50N/cmの範囲で連続的に熱圧縮成型
しながら酸化(熱圧縮酸化処理)させることにより製造
することができる。
【0035】この酸化繊維構造体を更に500℃以上で
不活性ガス中にて炭素化することにより炭素繊維構造体
を製造することができる。
【0036】以下、本発明の酸化繊維構造体の製造方
法、及び炭素繊維構造体の製造方法について、詳細に説
明する。
【0037】(プリカーサー)本発明の酸化繊維構造体
の原料としてのプリカーサーは、ポリアクリロニトリル
(PAN)系が用いられる。
【0038】PAN系プリカーサー中のアクリロニトリ
ル(AN)単位は、モノマー単位及びコモノマー単位総
量に対して90〜98質量%が好ましい。コモノマーと
しては、アクリル酸メチルエステル、アクリルアミド、
イタコン酸等のビニルモノマーなどが例示される。
【0039】プリカーサーの適正な繊度は0.5〜4.
5dtexである。プリカーサーの繊度が0.5dte
xより低い場合は、単繊維の強力が低い為、紡績加工時
に糸切れが生じ易い、並びに、繊維の収束密度が高くな
り、酸化時に蓄熱し易くなり酸化条件によるコントロー
ルが難しいなどの不具合を生ずるので好ましくない。
4.5dtexより高い:酸化時間が長時間となり、生
産性が悪い、炭素化時に繊維強度が低下し微粉末が多量
に発生する、並びに、熱ローラーによる厚さのコントロ
ールが難しく炭素化時に厚さの復元現象が生じ易いなど
の不具合を生ずるので好ましくない。
【0040】(プリカーサー構造体)本発明の酸化繊維
構造体は、酸化繊維織物又は酸化繊維不織布であり、そ
れぞれ次に示すa:プリカーサー織物又はb:プリカー
サー不織布のプリカーサー構造体を経て製造される。
【0041】(a:プリカーサー織物)プリカーサー織
物には、次に示すa−1:紡績糸織物又はa−2:フィ
ラメント織物などがある。
【0042】(a−1:紡績糸織物)紡績糸織物には、
プリカーサーの繊維を定長カット又はバイアスカット
し、精紡糸より得られた紡績糸織物があり、更にこの織
物にオイル処理又は樹脂処理したものがある。織り形態
としては、平織り、朱糸織り、杉綾織り等を用いること
ができる。
【0043】(a−2:フィラメント織物)フィラメン
ト織物には、1K〜24Kのプリカーサーフィラメント
を織物加工したものがあり、更にこの織物にオイル処理
又は樹脂処理したものがある。
【0044】(b:プリカーサー不織布)プリカーサー
不織布には、プリカーサーの繊維を定長カットした後、
湿式又は乾式に不織布加工したものがあり、更にこの不
織布にオイル処理又は樹脂処理したものがある。
【0045】プリカーサー構造体の目付は50〜400
g/m2が好ましい。プリカーサー構造体の目付が50
g/m2未満の場合は、熱圧縮酸化処理時にプリカーサ
ーが張力の影響を受け伸び易くなるので好ましくない。
プリカーサー構造体の目付が400g/m2を超える場
合は、熱圧縮酸化処理時にプリカーサーが蓄熱し、燃焼
し易くなるので好ましくない。
【0046】プリカーサー構造体の嵩密度は0.04〜
0.25g/cm3が好ましい。プリカーサー構造体の
嵩密度が0.04g/cm3未満の場合は、熱圧縮酸化
処理時にプリカーサーが張力の影響を受け伸び易くなる
ので好ましくない。プリカーサー構造体の嵩密度が0.
25g/cm3を超える場合は、熱圧縮酸化処理時にプ
リカーサーが蓄熱し、燃焼し易くなるので好ましくな
い。
【0047】プリカーサー構造体中には、PAN系繊維
以外の繊維としてレーヨン系繊維、アラミド系繊維、フ
ェノールノボラック系繊維、ポリビニルアルコール系繊
維が含まれても良い。
【0048】これらの繊維を混合させることにより、構
造体の加工性を向上せしめると共に、プリカーサー構造
体の熱圧縮酸化処理時において、蓄熱や切断現象を改善
することができる。混合量としては、プリカーサー構造
体質量に対して30質量%以下が好ましい。
【0049】これらの繊維は炭素化収率がPAN系酸化
繊維に比べ低く、大部分焼失するため、混合量が30質
量%を超える場合は、酸化繊維構造体の嵩密度の低下及
び強度低下の原因となるので好ましくない。
【0050】これらの繊維は炭素化時に炭素繊維構造体
中に僅かではあるが、残存していても良い。
【0051】(熱圧縮酸化処理)上記プリカーサー構造
体は、空気中で多段の熱ローラーにて酸化温度200〜
280℃で熱圧縮酸化処理する。更に好ましくは、空気
中で多段の熱ローラーにて初期酸化温度200〜260
℃、温度勾配0.5〜3.5℃/分で、30〜120分
熱圧縮酸化処理する。
【0052】熱圧縮酸化処理時の構造体に掛かる張力は
5〜50N/cmが好ましい。熱圧縮酸化処理時の構造
体に掛かる張力が5N/cm未満の場合は、熱圧縮酸化
処理工程で構造体の垂れ込みやズレによりシワが発生す
る、並びに、安定的に連続処理することが難しいなどの
不具合を生ずるので好ましくない。熱圧縮酸化処理時の
構造体に掛かる張力が50N/cmを超える場合は、構
造体が伸び易くなり、幅が狭くなったり、厚さ及び目付
ムラを生じたりするので好ましくない。
【0053】熱圧縮酸化処理時の圧力は、面圧0.01
〜1MPaが好ましい。面圧が0.01MPa未満の場
合は、厚さ低減効果、賦形性改善効果等の圧縮処理効果
が得られないので好ましくない。なお、プリカーサーは
高温時に軟化し易い特性を有するため、面圧が1MPa
を超える場合は、構造体の厚さが過度に薄くなり嵩密度
が高くなり過ぎて強度低下と共に、蓄熱し燃焼切断の原
因となるので好ましくない。
【0054】熱圧縮酸化処理は、樹脂処理なし又は樹脂
処理後に行うことができるが、樹脂処理する場合は、厚
さ低減効果、賦形性改善効果等の圧縮処理効果が促進さ
れるので、より好ましいものである。
【0055】プリカーサー構造体を樹脂処理する場合、
濃度5.0質量%以下の樹脂浴に浸漬し、樹脂をプリカ
ーサー構造体質量に対して10.0質量%以下の範囲で
添着させることが好ましい。
【0056】樹脂の種類は、ポリアクリル酸エステル、
カルボキシメチルセローズ(CMC)、及びポリビニル
アルコール(PVA)等の取扱性の良い水溶性の樹脂が
好ましい。
【0057】樹脂の添着量が10.0質量%より多い場
合は、熱圧縮酸化処理時に構造体の柔軟性が低下し、剛
直になり、折れや切断を生じ易くなるので好ましくな
い。
【0058】樹脂浴濃度が5.0質量%より高い場合
は、樹脂の添着量を上記範囲にコントロールすることが
難しくなるので好ましくない。
【0059】(炭素化)上記の方法により作製された本
発明の酸化繊維構造体は、応用目的によっては炭素化さ
れ炭素繊維構造体にされる。
【0060】この炭素繊維構造体は、上記本発明の酸化
繊維構造体を、連続的に、不活性ガス雰囲気下、500
℃以上、好ましくは1300〜2500℃の温度にて焼
成し炭素化することによって得ることができる。不活性
ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等が用いられ
る。
【0061】焼成温度が1300℃より低い場合は、得
られる炭素繊維構造体の導電性が低下する、並びに、同
構造体の高温での耐熱性及び耐酸化性が低下するなどの
不具合を生ずるので好ましくない。焼成温度が2500
℃より高い場合は、得られる炭素繊維構造体の導電性は
向上し、安定するが、同構造体の強度が低下して炭素微
粉末が発生し易くなるので好ましくない。
【0062】次に、本発明の酸化繊維構造体の製造方
法、及び炭素繊維構造体の製造方法を図面を参照して説
明する。
【0063】図1は本発明の酸化繊維構造体の製造方
法、及び炭素繊維構造体の製造方法に用いる装置の一例
を示す概略図である。
【0064】図1において、2はロールであり、このロ
ール2からプリカーサー構造体4が巻出される。このプ
リカーサー構造体4は、予めプリカーサーをシート状に
加工し、必要に応じて樹脂処理した後、ロール2に巻取
ったものである。
【0065】ロール2から巻出されたプリカーサー構造
体4は、熱圧縮酸化処理装置6に搬送される。熱圧縮酸
化処理装置6において、プリカーサー構造体4は、熱ロ
ーラー8a、8b、8c、8dで熱圧縮されつつ、熱ロ
ーラー8a、8b、8c、8dと張力制御ロール10
a、10b、10cとにより張力をコントロールされな
がら熱圧縮酸化処理され、本発明の酸化繊維構造体12
が得られる。
【0066】なお、プリカーサー構造体4は、下流側ほ
ど熱圧縮酸化が進んで収縮するので、熱ローラー8a、
8b、8c、8dと張力制御ロール10a、10b、1
0cとの間隔は下流側ほど短くなる。
【0067】酸化繊維構造体12は、炭素化して炭素繊
維構造体20にする場合は、酸化繊維構造体搬送用ロー
ラー14、炭素化装置16、炭素繊維構造体搬送用ロー
ラー18を経てロール22に巻取られる。
【0068】
【実施例】本発明を以下の実施例及び比較例により詳述
する。
【0069】以下の実施例及び比較例の条件により酸化
繊維構造体、炭素繊維構造体等を作製し、得られた酸化
繊維構造体、炭素繊維構造体等の諸物性値を、以下の方
法により測定した。
【0070】厚さ:直径30mmの円形圧板で200g
の荷重(2.8kPa)時の厚さを測定した。
【0071】比重:液置換法(JIS R 7601、置
換液:エチルアルコール)により測定した。
【0072】繊維性能:乾強度、乾伸度、結節強度、結
節伸度はJIS L 1015により測定した。
【0073】目付:単位面積当たりの質量と、上記条件
により測定した厚さより算出した。
【0074】嵩密度:50mm角の炭素繊維構造体を1
20℃、2hrs乾燥後の質量と厚さより算出した。
【0075】酸素結合量:元素分析装置(CHNOコー
ダー)により、酸素含有率を測定し、これを酸素結合量
(酸化度合いの尺度)とした。
【0076】X線結晶サイズ:測定用サンプルを20m
m角に切り出し、広角X線回折測定での2θのピークの
半値幅と下記のシェラーの式より求めた。 X線結晶サイズ(nm)=(k×λ)/β×cosθ k:装置定数 0.90 λ:X線波長 0.154nm β:2θ=26.0°付近の最大ピークの半値幅 通電性(比抵抗値):2枚の50mm角(厚さ10m
m)の金メッキした電極に炭素繊維構造体の両面を圧力
10kPaで両面接触するように挟み、炭素繊維構造体
の電気抵抗値(R)を測定した。
【0077】風合い度:幅W(mm)のスリットの上
に、長さ100mm、幅1インチ(25mm)の炭素繊
維構造体を長さ方向がスリットと垂直になるように配置
した。幅2mm、長さ100mmの金属プレートでこの
炭素繊維構造体をスリット間に深さ15mmまで3mm
/secの速さで押し込み、このときの金属プレートに
負荷する最大荷重を風合い度とした。
【0078】尚、スリット幅Wは、炭素繊維構造体の厚
さT(mm)に対し、W/T=10〜12になるように
調製した。
【0079】実施例1〜2 PAN系プリカーサー(アクリロニトリル93質量%、
アクリル酸メチルエステル5質量%、イタコン酸2質量
%の組成、繊度1.3dtex)を51mmにカットし
たステープルを紡績し、上撚り200回/m、下撚り4
00回/mの40番手双糸を得た。この紡績糸を縦、緯
共に織り密度が19本/cmの平織りのプリカーサー織
物を作製した。目付は215g/cm2、厚さは0.4
5mmであった。
【0080】更に、PVA水溶液により処理しない織物
又は処理ありの織物(付着量0.5%質量%)を空気中
で、酸化温度235℃にて、収縮率を11%に調整し、
熱ローラーにて0.1KPa又は0.5KPaの圧力、
及び張力25N/cm又は25N/cmの条件下、熱処
理と同時に酸化処理を75分間行った結果、比重1.3
7又は1.38、厚さ0.31mm又は0.20mm、
目付252g/m2又は255gの幅方向にも収縮ムラ
の少ない、表面平滑性の良い酸化繊維構造体を得ること
ができた。
【0081】この酸化繊維構造体を窒素雰囲気下、17
50℃で2分間連続的に焼成することにより表1に示す
炭素繊維構造体を得た。
【0082】比較例1 実施例1と同じプリカーサー織物にPVA水溶液に処理
した付着量0.5質量%、厚さ0.45mm、目付21
5g/m2のプリカーサー織物を空気中で、酸化温度2
35℃で、収縮率を11%に調整し、熱ローラーにて
5.0KPaの圧力、及び張力25N/cmの条件下、
熱処理と同時に酸化処理を75分間行った結果、工程途
中で蓄熱燃焼し酸化繊維構造体を得ることができなかっ
た。
【0083】
【表1】
【0084】実施例3 PAN系プリカーサー(アクリロニトリル93質量%、
アクリル酸メチルエステル5質量%、イタコン酸2質量
%の組成、繊度1.3dtex)を38mmにカットし
たステープルを不織布加工し、目付は50g/m2、厚
さは0.50mmのプリカーサー不織布を得た。更に、
PVA水溶液により処理した不織布(付着量1.0%質
量%)を空気中で、酸化温度235℃にて、収縮率を1
0%に調整し、熱ローラーにて0.5KPaの圧力、及
び張力30N/cmの条件下、熱処理と同時に酸化処理
を75分間行った結果、比重1.37、厚さ0.13m
m、目付64g/m2の幅方向にも収縮ムラの少ない、
表面平滑性の良い酸化繊維構造体を得ることができた。
【0085】この酸化繊維構造体を窒素雰囲気下、17
50℃で2分間連続的に焼成することにより表2に示す
炭素繊維構造体を得た。
【0086】比較例2 実施例3と同じPVA処理したプリカーサー不織布(ア
クリロニトリル93質量%、PVA付着量1.0質量
%)を空気中で、酸化温度290℃にて、収縮率を5%
に調整し、熱ローラーにて、0.5KPaの圧力、及び
張力75N/cmの条件下、熱処理と同時に酸化処理を
75分間行った結果、工程途中で構造体に垂れ込みと皺
が生じ、蓄熱燃焼し、酸化繊維構造体を得ることができ
なかった。
【0087】
【表2】
【0088】
【発明の効果】本発明の酸化繊維構造体は、賦形性が良
く、しかも炭素化した場合、賦形性が良い、高密度、薄
型の炭素繊維構造体が得られる。
【0089】また、本発明の酸化繊維構造体の製造方法
によれば、プリカーサーを構造体に加工したものを熱圧
縮酸化処理しているので、構造体への加工性が良く、加
工費が低減できる。更に、プリカーサー構造体の熱軟化
特性を利用し熱圧縮酸化処理時に熱ローラーによる厚さ
方向の圧力と、プリカーサー構造体に掛かる張力を適度
に調整しているので、酸化処理における繊維構造体特有
の蓄熱燃焼等を防止でき、上記の優れた物性を有する酸
化繊維構造体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化繊維構造体の製造方法、及び炭素
繊維構造体の製造方法に用いる装置の一例を示す概略図
である。
【符号の説明】
2 ロール 4 プリカーサー構造体 6 熱圧縮酸化処理装置 8a、8b、8c、8d 熱ローラー 10a、10b、10c 張力制御ロール 12 酸化繊維構造体 14 酸化繊維構造体搬送用ローラー 16 炭素化装置 18 炭素繊維構造体搬送用ローラー 20 炭素繊維構造体 22 ロール

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアクリロニトリル系繊維織物又は不
    織布を、200〜280℃の空気中で、面圧0.01〜
    1MPa、張力5〜50N/cmの範囲で連続的に熱圧
    縮成型しながら酸化させることを特徴とする酸化繊維構
    造体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1で製造した酸化繊維構造体を5
    00℃以上で不活性ガス中にて炭素化することを特徴と
    する炭素繊維構造体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1で製造した酸化繊維構造体。
  4. 【請求項4】 請求項2で製造した炭素繊維構造体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013157314A (ja) * 2012-01-06 2013-08-15 Mitsubishi Rayon Co Ltd 固体高分子型燃料電池用ガス拡散層
KR101495108B1 (ko) 2013-01-29 2015-02-25 전북대학교산학협력단 탄소섬유용 내염화 열처리 장치 및 이를 이용한 내염화 섬유 제조방법

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