JP2018144379A - 炭素繊維不織布積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、特開2013−139655号公報には、ポリアミド繊維の不織布とその製造方法が記載されている。
ただし、配向角度および標準偏差はこの明細書の実施例で定義される。
本発明の炭素繊維不織布積層体は、炭素繊維連続フィラメントから構成される。この炭素繊維連続フィラメントの平均繊維径は3.0μm以下、好ましくは2.0μm以下である。平均繊維径が3.0μmを超えると不織布を構成する炭素繊維数が減少し、低い電気抵抗が得られない。他方、平均繊維径の下限は通常0.01μm程度である。これより細い炭素繊維を得ることは製造設備やコストの点で困難である。
本発明の炭素繊維不織布積層体は、一方の面の表面の厚み10〜50μmの炭素繊維不織布層(A層)と、該炭素繊維不織布層(A層)と接して炭素繊維不織布積層体をなす他方の炭素繊維不織布の層(B層)とから構成される。
本発明の炭素繊維不織布積層体は、見掛け密度が0.05〜1.0g/cm3、好ましくは0.08〜0.7g/cm3である。見掛け密度が0.05g/cm3未満であると不織布積層体としての破断強力が低下し、取扱い性が悪化するだけでなく、不織布内の導電パスが減少し、電気抵抗が高くなる。他方、見掛け密度が1.0g/cm3を超えると、気体の通過性が悪化する。
炭素繊維不織布層(A層)の表面をSEMで2000倍で観察したときの任意の30本の繊維の配向角度が20°以下かつ標準偏差が15以下である。配向角度は15°以下が好ましい。任意の30本の繊維の配向角度が20°を超えると水の排水性が低下し炭素繊維不織布積層体の表面に水が滞留するため、気体の透過性が低下する。また、標準偏差が15を超えると水の排水性が低下する。
本発明の炭素繊維不織布積層体は、面圧0.1kgf/cm2の荷重をかけて水に浸漬したときの水の浸透速度が繊維軸方向に対して、好ましくは30cm2/分以上、さらに好ましく32cm2以上である。30cm2/分未満であると水の排水性が低下し、不織布構造体内部に水が滞留するため気体の透過性が低下する。
本発明の炭素繊維不織布積層体は、厚み方向に1MPaで加圧した際の厚み方向の電気抵抗が好ましくは15mΩ/cm2以下、さらに好ましくは12mΩ/cm2以下である。15mΩ/cm2を超えると燃料電池の性能が低下する。
以下、ポリアクリロニトリルがホモポリマーである場合も、共重合体である場合も単にポリアクリロニトリルという。
(1)平均繊維径
測定対象を走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて観察・写真撮影し、繊維100本を任意に選出して測長し、それらの平均繊維径を算出した。なお、観察・写真撮影は1000倍で行った。
(2)配向角度・標準偏差
測定対象を走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて2000倍の倍率で観察・写真撮影した。写真から30本の繊維を任意に選出するとともに水平方向に基準直線1を設定した。当該30本の繊維のそれぞれが基準直線1に対してなす角度を測定し、角度の平均値を算出して基準角度とした。基準直線1に対して基準角度をなすように基準直線2を設定した。再度、当該30本の繊維のそれぞれが基準直線2に対してなす角度を測定した。角度の平均値を算出して配向角度とするとともに標準偏差を算出した。
(3)水の浸透速度
測定対象を縦8cm、横6cmの長方形に切り出し、縦20cm、横20cmのガラス板で挟み、サンプルの一辺(6cmの辺)がガラス板から1cmの奥行ではみ出して水に接触するようにした。ガラス板の上に面圧が0.1kgf/cm2となるように重りを乗せ、サンプルのガラスからはみ出した部分を水中に浸漬させ、水がガラス板に挟まれた不織布中を浸透する面積を測定した。
(4)厚み
測定対象をデジタルリニアゲージ(株式会社小野測器製、「DG−925」、測定端子部の直径1cm)を用い、10箇所において厚さを測定し、その平均値を求めた。
(5)坪量
測定対象を1辺が25mmの正方形に切り出し、その重量を電子天秤を用いて測定し、1辺が1mの正方形として換算し、坪量とした。
(6)厚み方向に1MPaで加圧した際の厚み方向の電気抵抗
2枚の50mm角、厚さ10mmの金メッキした電極で測定対象を電極が全面接触するように挟み、荷重1MPaを厚み方向に掛けたときの厚み方向の電気面積抵抗値を日置電機株式会社製抵抗計RM3542を用いて測定した。
(7)見掛け密度
測定対象を1辺が25mmの正方形に切り出し、その重量を電子天秤を用いて測定し、1辺が1mの正方形として換算し、坪量を測定し、厚みで除すことで密度とした。
(8)セル電圧
測定対象を1辺が50cmの正方形にカットし、これに触媒(Pt−Rt)を0.2mg/cm2担持させた。高分子電解質膜(ナフィオン117)の両面に上記触媒を担持させた炭素繊維不織布を接合してセルを構成した。温度80℃で電流密度0.6A/cm2でのセル電圧を測定した。
ポリアクリロニトリル共重合体をジメチルアセトアミド溶媒に12重量%の濃度になるように溶解させ紡糸溶液を得た。
紡糸溶液のポリマー濃度を14重量%とすること以外は実施例1と同様にして、炭素繊維不織布積層体を得た。評価結果を表1に示す。
焼成前の不織布層(A層)を得る際の捕集面の速度を1000m/分とすること以外は実施例1と同様にして、炭素繊維不織布積層体を得た。評価結果を表1に示す。
表面層の焼成前アクリル系共重合不織布を得る際の捕集面を固定して焼成前不織布繊維層(A層)を採取する事以外は、実施例1と同様にして極細炭素繊維不織布構造体を得た。評価結果を表1に示す。
炭素繊維不織布を、直径9μm、長さ6mmの炭素繊維とカーボンブラック微粒子、アラミドパルプ、PTFE、セルロース繊維、PVA繊維および抄紙用バインダー成分を、それぞれ24、35、8、15、8および10重量%の比率で混抄し、金属ロールの温度250℃、30μmのクリアランスを開けたカレンダーロールを通過させた後、400℃で乾燥させることで、湿式不織布からなる炭素繊維不織布を得た。評価結果を表1に示す。
Claims (6)
- 平均繊維径3.0μm以下の炭素繊維連続フィラメントからなり、見掛け密度が0.05〜1.0g/cm3かつ厚みが50〜200μmある炭素繊維不織布積層体であって、該炭素繊維不織布積層体は、一方の面の表面の厚み10〜50μmの炭素繊維不織布層(A層)と、該炭素繊維不織布層(A層)と接して炭素繊維不織布積層体をなす他方の炭素繊維不織布の層(B層)とから構成され、A層の表面をSEMで2000倍で観察したときの任意の30本の繊維の配向角度が20°以下かつ、標準偏差が15以下であることを特徴とする炭素繊維不織布積層体。
- 垂直方向に1MPaで加圧した際の垂直方向の電気抵抗値が15mΩ/cm2以下である、請求項1記載の炭素繊維不織布積層体。
- 面圧0.1kgf/cm2の荷重をかけて水に浸漬したときの水の浸透速度が繊維軸方向に対して30cm2/分以上である、請求項1記載の炭素繊維不織布積層体。
- 固体高分子型燃料電池用ガス拡散層として用いられる請求項1記載の炭素繊維不織布積層体。
- 炭素繊維不織布層(A層)が、ポリアクリロニトリル溶液を紡糸ノズルから吐出して繊維化し、繊維化したポリアクリロニトリルを一方向に高速で移動する捕集面上に捕集することで一方向に配向したポリアクリロニトリル繊維不織布を得て、その後、これを焼成することにより形成された、請求項1記載の炭素繊維不織布積層体。
- 一方の面の表面の厚み10〜50μmの炭素繊維不織布層(A層)と該炭素繊維不織布層(A層)と接して炭素繊維不織布積層体をなす他方の炭素繊維不織布の層(B層)とから構成される炭素繊維不織布積層体の製造方法であって、炭素繊維不織布層(A層)を形成するために、ポリアクリロニトリル溶液を紡糸ノズルから吐出し繊維化し、繊維化したポリアクリロニトリルを一方向に高速で移動する捕集面上に捕集することで一方向に配向したポリアクリロニトリル繊維不織布を得て、その後、これを焼成することにより炭素繊維不織布層(A層)を形成することを特徴とする、炭素繊維不織布積層体の製造方法。
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