JP2003220638A - 射出成形機の潤滑装置 - Google Patents

射出成形機の潤滑装置

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JP2003220638A
JP2003220638A JP2002019825A JP2002019825A JP2003220638A JP 2003220638 A JP2003220638 A JP 2003220638A JP 2002019825 A JP2002019825 A JP 2002019825A JP 2002019825 A JP2002019825 A JP 2002019825A JP 2003220638 A JP2003220638 A JP 2003220638A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被潤滑部の全体を均一に潤滑することができ、
使用された潤滑剤を容易に回収することができるように
する。 【解決手段】駆動部と、該駆動部を駆動させることによ
って発生させられた回転を受け、回転運動を直進運動に
変換する運動方向変換部と、油供給源と、該油供給源か
ら供給された潤滑剤を前記運動方向変換部に供給する油
供給装置とを有する。この場合、潤滑剤の循環性が良い
ので、油供給口81の近傍だけでなく、被潤滑部の全体
を均一に潤滑することができる。また、使用された潤滑
剤を容易に回収することができるだけでなく、潤滑剤が
廉価であるので、射出成形機のコストを低くすることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形機の潤滑
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、射出成形機においては、加熱シリ
ンダ内において加熱され溶融させられた樹脂を、高圧で
射出し、金型装置内のキャビティ空間に充填(てん)
し、該キャビティ空間内において冷却して固化させて成
形品にするようになっている。
【0003】前記射出成形機は金型装置、型締装置及び
射出装置を有する。そして、前記金型装置は固定側金型
ユニット及び可動側金型ユニットを備え、前記型締装置
によって前記可動側金型ユニットを進退させることによ
り、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われる。
また、前記射出装置は、加熱シリンダ、及び該加熱シリ
ンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設され
たスクリューを備える。そして、該スクリューを前進さ
せることによって、加熱シリンダの先端に取り付けられ
た射出ノズルから樹脂が射出され、金型装置内のキャビ
ティ空間に充填されるようになっている。
【0004】また、前記射出装置は、射出成形機のフレ
ーム上に支持された射出装置本体、及び可塑化移動装置
を備え、該可塑化移動装置を作動させることによって、
加熱シリンダを進退させ、射出ノズルの前端に形成され
たノズル口を前記固定側金型ユニットの固定プラテンに
対して接離させることができる。そして、前記ノズル口
を固定プラテンに接触させた状態で前記射出ノズルから
樹脂が射出される。
【0005】ところで、前記射出成形機には、型締め用
のモータ、射出用のモータ、移動用のモータ等の駆動部
が配設されていて、該駆動部を駆動することによって発
生させられた回転が、ボールねじに伝達され、該ボール
ねじにおいて回転運動が直進運動に変換されるようにな
っている。
【0006】前記ボールねじは、ボールねじ軸、及び該
ボールねじ軸と螺(ら)合させられるボールナットを備
える。そして、前記ボールねじ軸とボールナットとはボ
ールを介して摺(しゅう)動させられるので、回転運動
が直進運動に変換されるのに伴ってボールねじ軸及びボ
ールナットとボールとの間に摩擦が発生する。そこで、
前記ボールナットの内周面と、ボールねじ軸の外周面に
おけるボールナット内の部分との間、すなわち、螺合部
に、ボールナットに形成された潤滑剤供給口を介して潤
滑剤としてグリースを供給し、摩擦が発生するのを抑制
するようにしている。なお、前記螺合部によって被潤滑
部が構成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の射出成形機においては、潤滑剤としてグリースが使
用されているが、グリースの循環性が悪いので、潤滑剤
供給口の近傍だけが潤滑され、被潤滑部の全体を均一に
潤滑することができない。
【0008】また、グリースは、粘度が高いので、使用
されたグリースを回収することが困難であるだけでな
く、高価であるので、射出成形機のコストが高くなって
しまう。
【0009】本発明は、前記従来の射出成形機の問題点
を解決して、被潤滑部の全体を均一に潤滑することがで
き、使用された潤滑剤を容易に回収することができ、コ
ストを低くすることができる射出成形機の潤滑装置を提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の射
出成形機の潤滑装置においては、駆動部と、該駆動部を
駆動させることによって発生させられた回転を受け、回
転運動を直進運動に変換する運動方向変換部と、油供給
源と、該油供給源から供給された潤滑剤を前記運動方向
変換部に供給する油供給装置とを有する。
【0011】本発明の他の射出成形機の潤滑装置におい
ては、さらに、前記運動方向変換部は、第1、第2の変
換要素、及び該第1、第2の変換要素間をシールし、油
密構造を形成するシール部材を備える。
【0012】本発明の更に他の射出成形機の潤滑装置に
おいては、さらに、前記運動方向変換部は密閉された潤
滑剤収容室内に配設される。
【0013】本発明の更に他の射出成形機の潤滑装置に
おいては、さらに、潤滑剤に含有される摩耗粉の量を検
出する摩耗粉検出部を有する。
【0014】本発明の更に他の射出成形機の潤滑装置に
おいては、さらに、前記摩耗粉検出部は電磁誘導によっ
て摩耗粉の量を検出する。
【0015】本発明の更に他の射出成形機の潤滑装置に
おいては、さらに、前記摩耗粉検出部は潤滑剤の油路に
おける圧力損失によって摩耗粉の量を検出する。
【0016】本発明の更に他の射出成形機の潤滑装置に
おいては、さらに、潤滑剤を冷却するための油冷却装置
を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】図1は本発明の第1の実施の形態における
射出装置の要部を示す概略図、図2は本発明の第1の実
施の形態における射出装置の概略図、図3は本発明の第
1の実施の形態における被潤滑部を示す断面図である。
なお、図1及び2と図3とは、ボールナット35の前後
が逆に示される。
【0019】図において、11はシリンダ部材としての
加熱シリンダ、12は該加熱シリンダ11内において回
転自在に、かつ、進退(図2において左右方向に移動)
自在に配設された射出部材としてのスクリューであり、
前記加熱シリンダ11の前端(図2において左端)に図
示されない射出ノズルが取り付けられ、該射出ノズルに
ノズル口が形成される。
【0020】前記スクリュー12は、スクリュー本体、
及び該スクリュー本体の前端に取り付けられた図示され
ないスクリューヘッドを備え、スクリュー本体の外周面
に図示されないフライトが螺旋状に形成され、該フライ
トによって螺旋状の溝が形成される。
【0021】前記加熱シリンダ11の後端(図2におい
て右端)は、前方射出サポート61に取り付けられ、該
前方射出サポート61と所定の距離を置いて後方射出サ
ポート62が配設される。前記前方射出サポート61
は、箱状の本体61a及びカバー61bから成る。そし
て、前記前方射出サポート61と後方射出サポート62
との間に複数のロッド63(図2においては、一つのロ
ッド63だけが示される。)が架設され、該ロッド63
によって前記前方射出サポート61と後方射出サポート
62との間に所定の距離が保持される。また、前方射出
サポート61、後方射出サポート62及びロッド63に
よって射出枠が構成される。
【0022】そして、前記スクリュー12の後端には、
カプラ59を介して円板形の形状を有する連結体64が
一体的に取り付けられ、該連結体64に筒状の支持体6
5がボルトbt1を介して取り付けられる。なお、前記
連結体64及び支持体65によって、スクリュー12と
一体に回転させられ、かつ、軸方向に移動させられる回
転摺動部材68が構成される。前記支持体65は軸方向
においてスクリュー12のストローク分の長さを有し、
外周面に雄スプライン67が形成される。
【0023】前記回転摺動部材68に回転を伝達してス
クリュー12を回転させるために、前記回転摺動部材6
8の外周を包囲するように筒状の回転部材78が配設さ
れ、該回転部材78の後端に、内周面に雌スプラインが
形成されたスプラインナット79がボルトbt2によっ
て取り付けられる。前記回転部材78は、前記前方射出
サポート61に対してベアリングb1、b2によって回
転自在に支持される。
【0024】そして、第1の駆動部としての電動の計量
用モータ70が配設され、該計量用モータ70は、計量
工程において駆動されて回転摺動部材68を回転させ、
射出工程において、拘束力を発生させて回転摺動部材6
8の回転を停止させる。前記計量用モータ70は、図示
されないステータ、該ステータの径方向における内方に
配設された図示されないロータ、出力軸74、及び該出
力軸74に取り付けられ、計量用モータ70の回転速度
を検出する第1のエンコーダ70aを備える。なお、前
記計量用モータ70は第1のエンコーダ70aの検出信
号に基づいて制御される。
【0025】そして、前記計量用モータ70と前記回転
摺動部材68との間に、出力ギヤ75、カウンタドライ
ブギヤ76、カウンタドリブンギヤ77及び前記回転部
材78が配設され、前記出力軸74に出力ギヤ75が取
り付けられ、出力ギヤ75とカウンタドライブギヤ76
とが噛(し)合させられ、カウンタドライブギヤ76と
カウンタドリブンギヤ77とが噛合させられ、カウンタ
ドリブンギヤ77が回転部材78にボルトbt3によっ
て取り付けられる。なお、前記出力ギヤ75、カウンタ
ドライブギヤ76及びカウンタドリブンギヤ77によっ
て回転を伝達する第1の伝動機構が構成される。
【0026】前記出力ギヤ75、カウンタドライブギヤ
76、カウンタドリブンギヤ77及び回転部材78は、
回転部材78に対する回転摺動部材68の軸方向におけ
る相対的な移動を許容しながら、前記計量用モータ70
が駆動されて発生させられた回転を回転摺動部材68に
伝達する。そのために、該回転摺動部材68は、前記回
転部材78に対して回転不能に、かつ、軸方向に移動自
在に配設される。また、前記回転部材78の前端におい
て、回転部材78の内周面と連結体64の外周面とがシ
ール60を介して摺動自在に接触させられ、前記回転部
材78の後端において、前記雌スプラインと前記雄スプ
ライン67とが摺動自在にスプライン係合させられる。
なお、前記スプラインナット79及び支持体65によっ
て第1の回転伝達部が構成され、前記スプラインナット
79によって第1の伝達要素が、支持体65によって第
2の伝達要素が構成される。
【0027】したがって、前記計量用モータ70を駆動
することによって出力軸74を回転させると、出力軸7
4の回転が出力ギヤ75、カウンタドライブギヤ76、
カウンタドリブンギヤ77及び回転部材78を介して前
記回転摺動部材68に伝達され、該回転摺動部材68が
正方向、又は必要に応じて逆方向に回転させられ、スク
リュー12が回転させられる。さらに、前記計量用モー
タ70の駆動を停止させ、拘束力を発生させて出力軸7
4を停止させると、回転摺動部材68の回転が停止させ
られ、スクリュー12の回転も停止させられる。
【0028】そして、前記回転摺動部材68より後方
(図2において右方)に、第2の駆動部としての電動の
射出用モータ90が配設され、該射出用モータ90は、
射出工程において駆動される。前記射出用モータ90
は、後方射出サポート62にロードセル96を介して固
定され、前環状体91a、スリーブ91b及び後プレー
ト91cから成るケース91、該ケース91に取り付け
られたステータ92、該ステータ92の径方向における
内方に配設されたロータ93、該ロータ93に取り付け
られた中空の出力軸94、該出力軸94を前記ケース9
1に対して回転自在に支持するベアリングb5、b6、
並びに前記出力軸94に取り付けられ、射出用モータ9
0の回転速度を検出する図示されない第2のエンコーダ
を備える。なお、前記出力軸94の内周面の軸方向にお
けるほぼ中央の部分はスプラインナット36として機能
し、該スプラインナット36の内周面に雌スプラインが
形成される。また、前記射出用モータ90は前記第2の
エンコーダの検出信号に基づいて制御される。
【0029】そして、前記射出用モータ90を駆動する
ことによってスクリュー12を進退させるために、回転
摺動部材68と射出用モータ90との間に、前方(図1
及び2において左方)から後方にかけて、伝動軸21、
第1の運動方向変換部としてのベアリングボックス22
及び伝動ユニット23が配設される。
【0030】前記伝動軸21は、前端から後端にかけて
形成された、小径のシャフト部84、及び該シャフト部
84に隣接させて一体に形成された大径のシャフト部8
5から成り、シャフト部84の後端に、前記シャフト部
84、85間の段部に当接させて環状フランジ部材89
が外嵌(かん)される。そして、前記伝動軸21は、前
端部(図2において左端部)においてベアリングb3に
よって、中央部において前記環状フランジ部材89を介
してベアリングb4によって、回転摺動部材68を回転
自在に、かつ、軸方向に移動不能に支持する。また、前
記シャフト部84の前端部に図示されない雄ねじが形成
され、該雄ねじと螺合させてベアリングナット80が配
設される。したがって、該ベアリングナット80を締め
付け、ベアリングナット80及び環状フランジ部材89
によってベアリングb3、b4を挟むことにより、伝動
軸21を回転摺動部材68に対して位置決めすることが
できる。
【0031】また、前記伝動ユニット23は、前端から
後端にかけて順に形成された、小径の軸部31、該軸部
31に隣接させて一体に形成されたねじ軸部としての大
径のボールねじ軸部32、該ボールねじ軸部32に隣接
させて一体に形成され、前記スプラインナット36とス
プライン係合させられるスプライン軸部33、及び前記
ボールねじ軸部32と螺合させて配設され、ナットとし
てのボールナット35から成る。なお、ボールねじ軸部
32の外周面に雄ねじが、前記スプライン軸部33の外
周面に雄スプラインが形成される。
【0032】また、ボールねじ軸部32によって第1の
変換要素が、ボールナット35によって第2の変換要素
が、ボールねじ軸部32及びボールナット35によっ
て、ねじ部としてのボールねじ部50が構成されるとと
もに、該ボールねじ部50によって第2の運動方向変換
部が構成される。したがって、前記ボールねじ部50に
おいて、射出用モータ90を駆動することによって発生
させられた回転がボールねじ軸部32に伝達されると、
回転運動をボールねじ軸部32の回転を伴う直進運動、
すなわち、回転直進運動に変換する。なお、前記スプラ
インナット36及びスプライン軸部33によって、第2
の回転伝達部が構成され、前記スプラインナット36に
よって第1の伝達要素が、スプライン軸部33によって
第2の伝達要素が構成される。
【0033】また、前記軸部31、ボールねじ軸部32
及びスプライン軸部33によって軸ユニット34が構成
される。該軸ユニット34は、前端部において、ベアリ
ングb7、b8によって、ベアリングボックス22に対
して回転自在に支持され、後端部(図1及び2において
右端部)において、出力軸94を介し、ベアリングb
5、b6によって、ケース91に対して回転自在に支持
される。そして、前記ベアリングボックス22の内周面
におけるベアリングb7、b8間に環状の突起38が形
成され、前記軸部31の前端部に図示されない雄ねじが
形成され、該雄ねじと螺合させてベアリングナット39
が配設される。したがって、該ベアリングナット39を
締め付け、ベアリングナット39、及び軸部31とボー
ルねじ軸部32との間に形成された段部によってベアリ
ングb7、b8を挟むことにより、伝動ユニット23を
ベアリングボックス22に対して位置決めすることがで
きる。
【0034】また、前記ボールナット35は環状体41
を介してロードセル96に取り付けられ、前記ボールね
じ部50によってボールねじ軸部32に発生させられる
回転直進運動の反力が、ボールナット35に加わり、環
状体41を介してロードセル96に伝達される。したが
って、射出用モータ90を駆動することによってスクリ
ュー12に発生させられる射出力及び保圧力を、ロード
セル96によって検出することができる。
【0035】次に、前記構成の射出装置の駆動方法につ
いて説明する。
【0036】まず、計量工程時に、前記計量用モータ7
0を駆動すると、出力軸74に発生させられた回転は、
出力ギヤ75、カウンタドライブギヤ76、カウンタド
リブンギヤ77、回転部材78及び回転摺動部材68を
介してスクリュー12に伝達され、該スクリュー12を
正方向に回転させる。
【0037】これに伴って、前記加熱シリンダ11に配
設された図示されないホッパから落下した図示されない
樹脂が前記スクリュー12の前記溝内を前進させられ、
スクリュー12が後退(図2において右方に移動)させ
られ、樹脂がスクリューヘッドの前方に蓄えられる。こ
のとき、スクリュー12に発生させられる後退力に伴っ
て、伝動軸21が後退させられ、前記後退力がベアリン
グb7、b8を介して軸ユニット34に伝達される。し
たがって、軸ユニット34は回転しながら後退させられ
る。
【0038】また、射出工程時に、前記計量用モータ7
0の駆動が停止させられ、拘束力が発生させられて回転
摺動部材68の回転が停止させられ、この状態で前記射
出用モータ90を駆動することによって出力軸94を回
転させると、出力軸94の回転は、スプライン軸部33
に伝達され、ボールねじ軸部32が一体に回転させられ
る。そして、該ボールねじ軸部32の回転運動は、ボー
ルねじ軸部32及びボールナット35によってボールね
じ軸部32の回転直進運動に変換され、軸部31を介し
てベアリングボックス22に伝達され、該ベアリングボ
ックス22において前記軸ユニット34の回転直進運動
は、直進運動に変換され、該直進運動は伝動軸21に出
力される。さらに、該伝動軸21の直進運動は、回転摺
動部材68及びカプラ59を介してスクリュー12に伝
達される。
【0039】このように、射出用モータ90を駆動する
ことによって、スクリュー12に直進運動を伝達するこ
とができるので、射出用モータ90を正方向に駆動する
ことによってスクリュー12を前進(図2において左方
に移動)させ、射出用モータ90を逆方向に駆動するこ
とによってスクリュー12を後退させることができる。
【0040】ところで、前記ボールナット35は、図3
に示されるように、ナット本体51、及び該ナット本体
51の上部に形成された切欠にボルトbt5、bt6に
よって固定され、リターンチューブ52を保持するブロ
ック53を備え、前記ナット本体51は、筒状部54、
及び該筒状部54の後端(図3において左端)に一体的
に形成されたフランジ部55から成る。
【0041】そして、前記ボールねじ軸部32とボール
ナット35とが螺合させられ、ボールねじ軸部32が回
転させられるのに伴って、ボールねじ軸部32の外周面
に形成された溝56、及びボールナット35の内周面に
形成された溝57によって形成されたほぼ円形のボール
通路内を、ボール58が回転しながら矢印方向に移動さ
せられる。また、ボールねじ軸部32とボールナット3
5とを常に螺合させるために、前記ボール58をボール
ナット35内において循環させるようにしている。な
お、59は振動センサである。
【0042】ところで、前記構成の射出成形機において
は、前記射出用モータ90を駆動するのに伴ってボール
ねじ軸部32が回転させられると、該ボールねじ軸部3
2とボールナット35とは、ボール58を介して摺動さ
せられるので、ボールねじ軸部32及びボールナット3
5とボール58との間に摩擦が発生する。そこで、ボー
ルねじ軸部32とボールナット35との螺合部に、潤滑
剤として潤滑油を供給し、摩擦が発生するのを抑制する
ようにしている。なお、前記螺合部によって被潤滑部が
構成される。
【0043】そのために、前記ナット本体51の前端
(図3において右端)及び後端に、第1、第2のシール
部材としてのオイルシール71、72が配設され、該オ
イルシール71、72によってボールねじ軸部32の外
周面とボールナット35の内周面との間がシールされ、
前記螺合部を密閉して、油密構造を有する潤滑室83が
形成される。また、ナット本体51の所定の箇所、例え
ば、リターンチューブ52からのボール58の戻り口の
近傍に油供給口81が、リターンチューブ52へのボー
ル58の送り口の近傍に油排出口82が筒状部54の壁
を貫通させて、かつ、前記潤滑室83に臨ませて形成さ
れる。この場合、油供給口81を介して潤滑室83に供
給された潤滑油は、潤滑室83内をボール58と同じ方
向に流れた後、油排出口82から排出されるので、被潤
滑部を十分に潤滑することができる。
【0044】そして、前記潤滑室83に潤滑油を供給す
るために、油供給装置としての油圧回路100が配設さ
れる。該油圧回路100において、油供給源としての循
環用のポンプ102のモータ103を駆動すると、油タ
ンク101内の潤滑油がフィルタ104を介して吸引さ
れ、油路L−1に吐出され、該油路L−1を介して前記
油供給口81に送られる。また、油排出口82から排出
された潤滑油は、油路L−2に排出され、油タンク10
1に回収される。なお、前記ベアリングボックス22、
ボールねじ部50、射出用モータ90、ポンプ102及
び油圧回路100によって射出成形機の潤滑装置が構成
される。
【0045】ところで、前記後方射出サポート62と一
体に、ベアリングボックス22、ボールナット35、環
状体41等を包囲して筒状体43が形成される。なお、
本実施の形態においては、筒状体43は後方射出サポー
ト62と一体に形成されるようになっているが、後方射
出サポート62と別体に形成することもできる。
【0046】そして、前記筒状体43とベアリングボッ
クス22との間をシールするために、ベアリングボック
ス22の外周面の所定の箇所に環状の溝44が形成さ
れ、該溝44に第3のシール部材としてのOリング45
が収容される。また、前記前環状体91aと出力軸94
との間をシールするために、前記前環状体91aの内周
縁におけるベアリングb5より前方に、環状の溝46が
形成され、該溝46に第4のシール部材としてのOリン
グ47が収容される。したがって、前記ベアリングボッ
クス22、筒状体43、環状体41、ロードセル96及
び出力軸94によって、前記軸ユニット34及びボール
ナット35を包囲し、密閉された潤滑剤収容室としての
潤滑油収容室88が形成される。
【0047】そして、前記潤滑室83に供給され、オイ
ルシール71、72とボールねじ軸部32との間から漏
れた潤滑油は、前記潤滑油収容室88内に溜(た)めら
れ、油路L−3を介して油タンク101に回収される。
【0048】このように、潤滑剤として潤滑油が使用さ
れるが、潤滑油の循環性が良いので、油供給口81の近
傍だけでなく、被潤滑部の全体を均一に潤滑することが
できる。また、使用された潤滑油を油タンク101に回
収することができるだけでなく、潤滑油が廉価であるの
で、射出成形機のコストを低くすることができる。
【0049】ところで、ボールねじ軸部32及びボール
ナット35とボール58との間の摩擦によって摩耗粉、
例えば、鉄粉が発生するので、前記被潤滑部を潤滑する
のに伴って潤滑油に摩耗粉が含有される。そこで、摩耗
粉の量を検出することによって、ボールねじ部50がど
の程度摩耗したかを知るようにしている。
【0050】そのために、前記油路L−2に、潤滑油内
の摩耗粉の量を表す鉄分量を検出するために摩耗粉検出
部としての検出装置111が配設され、該検出装置11
1は、前記鉄分量を電磁誘導によって検出し、検出信号
を図示されない制御部に送る。該制御部は、前記検出信
号を受けると、前記鉄分量が閾(しきい)値を超えたか
どうかを判断し、閾値を超えた場合、図示されない表示
装置にボールねじ部50の使用状態を表示する。したが
って、操作者は表示装置の表示内容に基づいて、ボール
ねじ部50の潤滑不良が発生していること、ボールねじ
部50が使用限界にきていること等の使用状態を認識す
ることができる。なお、油路L−2を介して油タンク1
01に回収された潤滑油に含有される摩耗粉は、油タン
ク101内に配設された摩耗粉回収除去装置105によ
って除去され、廃棄される。
【0051】また、前記油路L−2における検出装置1
11より下流側に油冷却装置112が配設され、該油冷
却装置112は、潤滑室83から排出された潤滑油を冷
却する。したがって、冷却された後の潤滑油を潤滑室8
3に供給し、被潤滑部を冷却することもできる。また、
潤滑油が熱によって劣化するのを防止することもでき
る。
【0052】次に、本発明の第2の実施の形態について
説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有する
ものについては、同じ符号を付与することによってその
説明を省略する。
【0053】図4は本発明の第2の実施の形態における
油圧回路を示す図である。
【0054】この場合、油路L−2に、上流側から下流
側にかけて、圧力センサ121、フィルタ122及び油
冷却装置112が配設され、潤滑油に含有される摩耗粉
の量を検出するための前記圧力センサ121は、油路L
−2における潤滑油の圧力を検出し、検出信号を図示さ
れない制御部に送る。
【0055】ところで、潤滑油に含有される摩耗粉の量
が多くなると、前記フィルタ122によって除去され、
フィルタ122内に溜められる摩耗粉が多くなり、油路
L−2における潤滑油の圧力損失を表す、フィルタ12
2より上流側の圧力が高くなる。そこで、制御部は、前
記検出信号を受けると、前記圧力センサ121によって
検出された圧力が閾値を超えたかどうかを判断し、閾値
を超えた場合、図示されない表示装置にボールねじ部5
0(図2)の使用状態を表示する。なお、前記圧力セン
サ121及びフィルタ122によって摩耗粉検出部が構
成される。
【0056】本実施の形態においては、ボールねじ部5
0における被潤滑部について説明しているが、可塑化移
動装置、型締装置等における被潤滑部に適用することも
できる。
【0057】なお、本発明は前記実施の形態に限定され
るものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させ
ることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除す
るものではない。
【0058】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、射出成形機の潤滑装置においては、駆動部と、該
駆動部を駆動させることによって発生させられた回転を
受け、回転運動を直進運動に変換する運動方向変換部
と、油供給源と、該油供給源から供給された潤滑剤を前
記運動方向変換部に供給する油供給装置とを有する。
【0059】この場合、潤滑剤の循環性が良いので、油
供給口の近傍だけでなく、被潤滑部の全体を均一に潤滑
することができる。また、使用された潤滑剤を容易に回
収することができるだけでなく、潤滑剤が廉価であるの
で、射出成形機のコストを低くすることができる。
【0060】本発明の他の射出成形機の潤滑装置におい
ては、さらに、潤滑剤に含有される摩耗粉の量を検出す
る摩耗粉検出部を有する。
【0061】この場合、摩耗粉の量を検出することによ
って、運動方向変換部の潤滑不良が発生していること、
運動方向変換部が使用限界にきていること等の使用状態
を検出することができる。
【0062】本発明の更に他の射出成形機の潤滑装置に
おいては、さらに、潤滑剤を冷却するための油冷却装置
を有する。
【0063】この場合、潤滑剤が油冷却装置によって冷
却されるので、被潤滑部を冷却することができるだけで
なく、潤滑剤が劣化するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における射出装置の
要部を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における射出装置の
概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における被潤滑部を
示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における油圧回路を
示す図である。
【符号の説明】
22 ベアリングボックス 32 ボールねじ軸部 35 ボールナット 50 ボールねじ部 71、72 オイルシール 88 潤滑油収容室 90 射出用モータ 100 油圧回路 102 ポンプ 111 検出装置 112 油冷却装置 121 圧力センサ 122 フィルタ L−2 油路

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)駆動部と、(b)該駆動部を駆動
    させることによって発生させられた回転を受け、回転運
    動を直進運動に変換する運動方向変換部と、(c)油供
    給源と、(d)該油供給源から供給された潤滑剤を前記
    運動方向変換部に供給する油供給装置とを有することを
    特徴とする射出成形機の潤滑装置。
  2. 【請求項2】 前記運動方向変換部は、第1、第2の変
    換要素、及び該第1、第2の変換要素間をシールし、油
    密構造を形成するシール部材を備える請求項1に記載の
    射出成形機の潤滑装置。
  3. 【請求項3】 前記運動方向変換部は密閉された潤滑剤
    収容室内に配設される請求項1に記載の射出成形機の潤
    滑装置。
  4. 【請求項4】 潤滑剤に含有される摩耗粉の量を検出す
    る摩耗粉検出部を有する請求項1に記載の射出成形機の
    潤滑装置。
  5. 【請求項5】 前記摩耗粉検出部は電磁誘導によって摩
    耗粉の量を検出する請求項4に記載の射出成形機の潤滑
    装置。
  6. 【請求項6】 前記摩耗粉検出部は潤滑剤の油路におけ
    る圧力損失によって摩耗粉の量を検出する請求項4に記
    載の射出成形機の潤滑装置。
  7. 【請求項7】 潤滑剤を冷却するための油冷却装置を有
    する請求項1に記載の射出成形機の潤滑装置。
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