JP2003211213A - 圧延鋼板の製造方法 - Google Patents

圧延鋼板の製造方法

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JP2003211213A JP2002013140A JP2002013140A JP2003211213A JP 2003211213 A JP2003211213 A JP 2003211213A JP 2002013140 A JP2002013140 A JP 2002013140A JP 2002013140 A JP2002013140 A JP 2002013140A JP 2003211213 A JP2003211213 A JP 2003211213A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数パスのリバース圧延により圧延鋼板を製
造するに際し、被圧延材の板反り量を操業上の大きな問
題を生じない程度に十分に抑制することができる圧延鋼
板の製造方法を提供する。 【解決手段】 被圧延材5にリバース圧延を行って圧延
鋼板を製造する方法であって、複数パスのうちの一のパ
スの直後のパスを行う際に、一のパスを終了した後の板
反り量の測定値と、板反り量の目標値との偏差に基づい
て一のパスで設定された上下のワークロール2a、2b
の周速度の設定量の変更量を求め、求めた変更量と、一
のパスにおける上下のワークロール2a、2bそれぞれ
の周速度の設定量と、被圧延材5に板反りの発生が予想
される噛込直後期間における、上下のワークロール2
a、2bの平均異速率とに基づいて、直後のパスを行う
際の上下のワークロール2a、2bそれぞれの周速度の
設定量を変更して直後のパスを行うことを、複数パスの
うちの連続する少なくとも2パスにおいて行うことによ
って、少なくとも2パスを終了した時点における板反り
の発生を抑制または解消する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧延鋼板の製造方
法に関するものであり、具体的には、例えば厚板の圧延
やホットストリップの粗圧延等のように、被圧延材に複
数パスのリバース圧延を行って圧延鋼板を製造する方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば厚板の圧延やホットストリップの
粗圧延等のように、被圧延材に複数パスのリバース圧延
を行って圧延鋼板を製造しようとすると、被圧延材の圧
延方向の先端部に上方向または下方向への板反りが発生
することがある。かかる板反りが発生すると、例えば、
その後のパスにおいて被圧延材が衝突してストリップガ
イドを破損するといった設備トラブルを生じたり、下反
りが発生した場合には製品である被圧延材に腰折れ等の
表面疵が発生したり、特に製品が制御圧延材である場合
には冷却むらが発生して所望の特性が得られないといっ
た、操業上の大きな問題が発生する。
【0003】このように板反りは、操業上の様々な問題
の原因となることから、その発生を完全に防止すべきも
のである。しかしながら、板反りは、被圧延材である鋼
板の上下面間の温度差や摩擦係数差、上下のワークロー
ルの周速度差やピックアップ量等といった極めて多くの
要因が複雑に影響し合って発生すると考えられる。この
ため、板反りの発生を完全に解消することは容易ではな
い。
【0004】そこで、このような板反りの発生を操業上
問題ない程度に抑制するため、例えば特開昭63−60
012号公報には、リバース圧延機の前後の少なくとも
一方の側に設置された反りセンサによりあるパスを終了
した被圧延材の板反り量(反り曲率)を測定し、予め求
めた、反り曲率と上下のワークロールの周速度差との関
係に基づいて、反り曲率が零となるように次パスを行う
際の上下のワークロールの異速率を設定する発明が開示
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
いずれの技術によっても、これまでは、被圧延材の板反
り量を操業上の大きな問題を生じない程度に抑制するこ
とはできなかった。
【0006】すなわち、本発明者らが確認した結果によ
れば、例えば特開昭63−60012号公報により開示
された発明により得られる板反りの抑制効果は、近時に
求められている板反りの抑制効果には達しないため、そ
の改善が必要である。
【0007】また、板反りは上述したように非常に多く
の要因が複雑に影響し合って発生する。このため、複数
パスのリバース圧延における各パスにおいて発生する板
反り量は一定ではなく不規則に増減する。
【0008】図9は、9パスのリバース圧延により厚板
を製造した際の各パスにおいて発生した板反り量(反り
曲率κ)の測定結果の一例を示すグラフであり、正の値
の反り曲率κは上反りが発生したことを意味し、負の値
の反り曲率κは下反りが発生したことを意味する。同図
にグラフで示すように、この例における反り曲率κは各
パスにおいて約+0.1〜−0.4(1×10-3/m
m)の範囲で変動していることから、発生する板反り量
は各パス毎に不規則に増減することがわかる。
【0009】これらの理由により、特開昭63−600
12号公報により開示された発明にしたがって、前パス
の板反り量の実測値に基づいて次パスの上下のワークロ
ールの異速率を設定したとしても、次パスの板反り量を
目標値に高精度で制御することはできない。このため、
例えば、最終パスの直前のパスにおける板反り量の実測
値に基づいて最終パスの上下のワークロールの異速率を
設定しても、最終パス後の製品の板反り量を目標の範囲
内に収めるように制御することはできない。
【0010】本発明の目的は、複数パスのリバース圧延
により圧延鋼板を製造するに際し、被圧延材の板反り量
を操業上の大きな問題を生じない程度に十分に抑制する
ことができる圧延鋼板の製造方法を提供することであ
り、これにより、例えば設備トラブル、鋼板の表面疵さ
らには制御圧延材の冷却むらによる品質劣化といった、
板反りに起因した操業上の各種の問題の発生を抑制で
き、特に、最終パス後の製品の板反り量をも目標の範囲
内に正確に収めるように制御できることから例えば厚板
やホットストリップ粗圧延材といった製品の品質向上を
図ることができる圧延鋼板の製造方法を提供することで
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述した課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(i)上下
のワークロールそれぞれの周速度の設定は、被圧延材に
板反りの発生が予想される噛込直後期間における異速率
の平均値(本明細書では「平均異速率」という)に基づ
いて行うこと、および/または、(ii)一のパスを終
了した後の板反り量の測定値と、最終パス後の板反り量
の目標値との偏差に基づいて一のパスの直後のパスを行
う際の反り制御要素(例えば上下のワークロールそれぞ
れの周速度)の設定量をフィードフォワード制御するこ
とを連続する少なくとも2パスにおいて行うことによっ
て、板反りを操業上の大きな問題を生じない程度に十分
に抑制もしくは解消することができることを知見し、か
かる知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成し
た。
【0012】本発明は、広義には、被圧延材に上下のワ
ークロールによる複数パスのリバース圧延を行って圧延
鋼板を製造する方法であって、被圧延材に板反りの発生
が予想される噛込直後期間での上下のワークロールの平
均異速率に基づいて、上下のワークロールそれぞれの周
速度を、板反りの発生が抑制または解消されるように設
定することを特徴とする圧延鋼板の製造方法である。
【0013】また、本発明は、被圧延材に上下のワーク
ロールによる複数パスのリバース圧延を行って圧延鋼板
を製造する方法であって、複数パスのうちの一のパスを
行う際に、一のパスの直前のパスを終了した後の板反り
量の測定値と、一のパスの後における板反り量の目標値
との偏差に基づき、被圧延材に板反りの発生が予想され
る噛込直後期間における上下のワークロールの平均異速
率を計算し、計算した平均異速率に基づいて一のパスに
おける上下のワークロールそれぞれの周速度を設定する
ことによって、板反りの発生を抑制または解消すること
を特徴とする圧延鋼板の製造方法である。
【0014】別の観点からは、本発明は、被圧延材に複
数パスのリバース圧延を行って圧延鋼板を製造する方法
であって、複数パスのうちの一のパスの直後のパスを行
う際に、一のパスを終了した後の板反り量の測定値と、
複数パスのうちの最終パスの後における板反り量の目標
値との偏差に基づいて直後のパスを行う際の反り制御要
素の設定量をフィードフォワード制御することを、複数
パスのうちの連続する少なくとも2パスにおいて行うこ
とによって、これら少なくとも2パスを終了した時点に
おける板反りの発生を抑制または解消することを特徴と
する圧延鋼板の製造方法である。
【0015】また、本発明は、被圧延材に複数パスのリ
バース圧延を行って圧延鋼板を製造する方法であって、
複数パスのうちの一のパスの直後のパスを行う際に、一
のパスを終了した後の板反り量の測定値と、複数パスの
うちの最終パスの後における板反り量の目標値との偏差
に基づいて直後のパスを行う際の反り制御要素の設定量
を変更して直後のパスを行うことを、複数パスのうちの
連続する少なくとも2パスにおいて行うことによって、
少なくとも2パスを終了した時点における板反りの発生
を抑制または解消することを特徴とする圧延鋼板の製造
方法である。この場合に、直後のパスを行う際の反り制
御要素の設定量の変更が、前記の偏差から、一のパスに
おける反り制御要素の設定量または実測値の変更量を求
め、求めた変更量と、一のパスにおける反り制御要素の
設定量または実測値とに基づいて、行われることが望ま
しい。
【0016】これらの本発明において、反り制御要素
が、リバース圧延を行う上下のワークロールそれぞれの
周速度であることが例示される。この場合に、上下のワ
ークロールそれぞれの周速度の設定量の変更が、被圧延
材に板反りの発生が予想される噛込直後期間における、
上下のワークロールの平均異速率に基づいて、行われる
ことが望ましい。
【0017】さらに、これらの本発明にかかる圧延鋼板
の製造方法では、一のパスが、複数パスにおける最終パ
スの1パス前のパスであることが例示される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる圧延鋼板の
製造方法の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細
に説明する。なお、以降の説明では、本発明における
「圧延鋼板」が熱間圧延により製造される厚板であると
ともに、本発明における「反り制御要素」が上下のワー
クロールそれぞれの周速度である場合を例にとる。この
反り制御要素には、下ワークロールの天面と入側テーブ
ルローラの天面との差を調整して、被圧延材の進入角度
を調整する「パスライン調整」や、水冷等により被圧延
材の上面と下面との温度差を調整する「表裏面温度差制
御」等も包含されるが、「反り制御要素」として上下の
ワークロールそれぞれの周速度を用いることが、板反り
の制御量が大きいために望ましいからである。
【0019】図1は、本実施の形態で用いる圧延装置1
の構成を模式的に示す説明図である。同図に示すよう
に、この圧延装置1は、上下一対のワークロール2a、
2bと、ワークロール2a、2bをそれぞれ支持するバ
ックアップロール3a、3bとを有するリバース圧延機
4を備えており、このリバース圧延機4により、被圧延
材5に熱間で複数パスのリバース圧延が行われ、最終的
に製品である厚板が製造される。
【0020】リバース圧延機4の前面側および後面側に
は、それぞれ、各パスにおける被圧延材5に生じる板反
り量を測定するための反りセンサ6a、6bが設置され
ており、反りセンサ6a、6bにより各パスを終了した
時点の被圧延材5の先端部に生じる板反り量が測定され
る。反りセンサ6a、6bにより測定された板反り量は
画像処理装置7へ送られる。そして、画像処理装置7に
より、入力された板反り量に基づいて反り曲率が計算さ
れ、計算された反り曲率は、後述する反り制御装置10
へ送られる。
【0021】また、図1中に示すデータ収集装置8によ
り、リバース圧延機4によるリバース圧延の各パスにお
ける圧延荷重、ワークロール周速度(圧延速度)さらに
は圧延トルク等の各データがリアルタイムで計測され
る。そして、データ収集装置8によりリアルタイムで計
測されたこれらのデータは、データ収集装置8から後述
する反り制御装置10へ送られる。
【0022】さらに、圧延機制御プロセスコンピュータ
9により、リバース圧延機4による各パスのパススケジ
ュール計算が行われ、得られたパススケジュールは反り
制御装置10へ送られる。
【0023】反り制御装置10では、画像処理装置7か
ら入力される反り曲率と、データ収集装置8から入力さ
れる圧延荷重、ワークロール周速度(圧延速度)さらに
は圧延トルク等の各データと、圧延機制御プロセスコン
ピュータ9から入力される各パスのパススケジュールと
に基づいて、被圧延材5の板反り量を低減するための上
下のワークロール2a、2bの異速率が計算され、計算
された異速率に基づいて、上下のワークロール2a、2
bそれぞれの周速度が計算される。
【0024】反り制御装置10により計算された上下の
ワークロール2a、2bの異速率および周速度は、モニ
タ11に送られてオペレータへの指示値として表示され
る。オペレータは、モニタ11に表示された上下のワー
クロール2a、2bの異速率および周速度の指示値にし
たがって、上下のワークロール2a、2bの周速度を手
動操作により設定する。
【0025】以上説明したように構成された圧延装置1
を用いて、被圧延材5に複数パスのリバース圧延を熱間
で行って厚板を製造するが、本実施の形態では下記2
点、すなわち、(i)一のパスの直前のパスにおける、
被圧延材5に板反りの発生が予想される噛込直後期間で
の上下のワークロール2a、2bの平均異速率に基づい
て、一のパスにおける上下のワークロール2a、2bそ
れぞれの周速度を、板反りの発生が抑制または解消され
るように設定すること、および(ii)例えば上述した
特開昭63−60012号公報により開示された発明の
ように板反り量を測定したパスの次のパスのみに着目す
るのではなくて、一のパスを終了した後の板反り量の測
定値と、複数パスのうちの最終パスの後における板反り
量の目標値との偏差に基づいて直後のパスを行う際の反
り制御要素の設定量をフィードフォワード制御すること
を、複数パスのうちの連続する少なくとも2パスにおい
て行うことによって、少なくとも2パスを終了した時点
における板反りの発生を抑制または解消することを特徴
とするものである。そこで、以下、これら2点の内容に
ついて詳細に説明する。なお、以降の本実施の形態の説
明では、「一のパス」が最終パスの1パス前のパスであ
る場合を例にとる。このため、本実施の形態では、「一
のパスの直前のパス」とは最終パスの2パス前のパスで
あり、「一のパスの直後のパス」とは最終パスである。
【0026】(i)噛込直後期間における平均異速率Δ
VIに基づいた、上下のワークロール2a、2bそれぞ
れの周速度Vu、Vlの設定 本実施の形態では略述すると、上下のワークロール2
a、2bによる被圧延材5に対する複数パスのリバース
圧延のうちの一のパス(上述したように、最終パスの1
パス前のパスを意味する)を行う際に、まず、この一の
パスの直前のパス(上述したように、最終パスの2パス
前のパスを意味し、以下単に「直前のパス」という)で
実測した板反り量から、一のパスにおいて板反り量を無
くすための異速率ΔVを設定する。すなわち、直前のパ
スにおける、被圧延材5に板反りの発生が予想される噛
込直後期間での上下のワークロール2a、2bの平均異
速率ΔVIに基づいて、一のパスにおける上下のワーク
ロール2a、2bそれぞれの周速度Vu、Vlを、板反
りの発生が抑制または解消されるように設定する。
【0027】図2は、板厚20.7mmから板厚16.
4mmまで圧延するあるパスにおける上下のワークロー
ル2a、2bの異速率と、被圧延材5に生じる反り曲率
κとの関係を調べた結果の一例を示すグラフであり、図
2(a)は噛込前の無負荷時の異速率ΔV(%)を示
し、図2(b)は被圧延材5に板反りの発生が予想され
る噛込直後期間における平均異速率ΔVI(%)を示
す。
【0028】ここで、異速率ΔVは、上ワークロール2
aの周速度をVuとし、下ワークロール2bの周速度を
Vlとすると、(1)式により求められる。 ΔV=(Vl−Vu)/Vl×100(%) ・・・・・・(1) また、直前のパスの噛込直後期間における平均異速率Δ
VIは、図3に例示する、直前のパスにおける異速率−
時間のグラフを用いて決定される。すなわち、本実施の
形態では、直前のパスにおいて被圧延材5に板反りの発
生が予想される噛込直後期間を、板反りの発生が予想さ
れる先端部の領域 (例えば被圧延材5の先端の噛込みか
ら圧延方向へ1000mmの長さの領域)が圧延される
のに要する時間(本実施の形態では0.3秒間とした)
と定め、この噛込直後期間における上下のワークロール
2a、2bそれぞれの平均周速度Vu’、Vl’を求
め、求めたワークロール2a、2bそれぞれの平均周速
度Vu’、Vl’を(1)式に代入することにより、直
前のパスにおける平均異速率ΔVIが求められる。
【0029】図2(a)および図2(b)に示すグラフ
から、被圧延材5に生じる反り曲率κは、被圧延材5が
リバース圧延機4に噛み込む前の無負荷時における上下
のワークロール2a、2bの異速率ΔVとの間には明確
な関数関係を有さないのに対し、噛込直後期間における
平均異速率ΔVIとの間には明確な関数関係を有するこ
とがわかる。このため、被圧延材5に生じる反り曲率κ
は、直前のパスでの噛込直後期間における平均異速率Δ
VIを変数とする関数fを用いて(2)式のように表さ
れる。ここで、この(2)式における係数aは、形状比
といわれるパラメータを用いて表される。
【0030】 κ=a×f (ΔVI) ・・・・・・(2) 図4は、形状比の説明図である。同図に示すように、入
側板厚をh1 とし、出側板厚をh2 とし、さらに接触弧
長をld とすると、形状比は、(接触弧長)/(入側板
厚および出側板厚の平均値) である、2ld /(h1
2 )として求められる。
【0031】図5は、(2)式における係数aと形状比
2ld /(h1 +h2 )との関係を示すグラフである。
図5にグラフで示すように、(2)式における係数a
は、形状比2ld /(h1 +h2 )の関数として表現す
ることができる。このため、図2(b)のグラフから求
められた(2)式の関係と、図5のグラフに示す関係と
に基づいて、直前のパスにおける噛込直後期間における
平均異速率ΔVIと反り曲率κとの関係は、形状比2l
d /(h1 +h2 )を用いて整理することができる。
【0032】すなわち、本実施の形態では、反り制御装
置10に、図2(b)のグラフから求められた(2)式
の関係と、図5のグラフに示す関係とが予め入力されて
おり、圧延機制御プロセスコンピュータ9により計算さ
れた、直前のパスのスケジュールが反り制御装置10に
入力されると、反り制御装置10は、形状比2ld
(h1 +h2 )を算出し、この算出値と予め入力された
図5のグラフの関係とにより、係数aの値を求める。そ
して、反り制御装置10は、求められた係数aの値を、
上述した(2)式に代入することによって、一のパスに
おいて板反り量が許容範囲内に収まるように反り曲率κ
を小さくすることができる、一のパスにおける噛込直後
期間における平均異速率ΔVIを求めることができる。
【0033】なお、形状比が1.0近傍の条件では、上
下のワークロール2a、2bの周速度を異ならせる異周
速圧延を行うことが難しい不安定領域となることがあ
る。すなわち、通常、形状比が1.0よりも大きくなる
と周速度が大きい側のワークロール2aまたは2bに向
けて板反りが発生するのに対し、形状比が1.0よりも
小さくなると、周速度が小さい側のワークロール2aま
たは2bに向けて板反りが発生し、いずれの場合にも板
反りの発生方向が定まる安定領域での圧延となるのに対
し、形状比が1.0近傍では、板反りの発生方向が定ま
らない不安定領域となることがある。このため、形状比
が1.0近傍の条件では、前述したような、例えばパス
ライン調整や表裏面温度差制御等の異周速圧延以外の他
の反り制御手法を適用するようにしてもよい。
【0034】ところで、オペレータの手動操作によって
一のパスについて実際に設定されるのは、噛込直後期間
における平均異速率ΔVIではなくて、無負荷時におけ
る上下のワークロール2a、2bそれぞれの周速度V
u、Vlにより規定される異速率ΔVである。このた
め、本実施の形態では、上述したようにして反り制御装
置10により算出された平均異速率ΔVIとなるよう
に、オペレータの操作によって無負荷時における上下の
ワークロール2a、2bそれぞれの周速度Vu、Vlを
設定するために、噛込直後期間におけるリバース圧延機
4の特性と圧延条件との関係を利用して、一のパスの噛
込直後期間における平均異速率ΔVIを正確に与える無
負荷時における異速率ΔV、すなわち上下のワークロー
ル2a、2bそれぞれの周速度Vu、Vlを算出するこ
とができる予測式を用いる。そこで、以下、この予測式
(3)〜(12)について説明する。
【0035】図1における反り制御装置10によって一
のパスが開始される前に把握可能な情報は、圧延機制御
プロセスコンピュータ9で計算される各パスの計算圧延
トルクと、基準圧延速度である。ここで、基準圧延速度
とは、同速度で圧延する場合の各パスの圧延速度であ
り、異周速圧延を行う場合には上ロールか下ロールのい
ずれか一方の圧延速度である。
【0036】ここで、計算圧延トルクTqsと、一のパ
スの噛込直後期間における最大圧延トルクの上下のワー
クロール2a、2bの平均値Tqiとの間には(3)式
の関係が成立する。なお、(3)式におけるC1 は係数
である。
【0037】 Tqi=C1 ×Tqs ・・・・・・・・(3) また、上下のワークロール2a、2bそれぞれの周速度
を異ならせる異周速圧延では、周速度が高い側のワーク
ロール2aまたは2bのトルクは増加するのに対し、周
速度が低い側のワークロール2aまたは2bのトルクは
減少する。このため、一のパスの無負荷時の異速率をΔ
Vとして、上ワークロール2aの噛込直後期間における
最大圧延トルクTqiu、下ワークロール2bの噛込直
後期間における最大圧延トルクTqilは、(4)式〜
(6)式によって計算される。なお、(6)式における
2 およびC3 はいずれも係数である。
【0038】 Tqiu=(1−Tqa×ΔV)×Tqi ・・・・・・・・(4) Tqil=(1+Tqa×ΔV)×Tqi ・・・・・・・・(5) Tqa=C2 ×(Tqi−C3 2 ・・・・・・・・(6) さらに、一のパスにおいて被圧延材5がワークロール2
a、2bに噛み込んだ時の時刻を0とすると、噛み込ん
だ時からt秒間経過した時点における上ワークロール2
aの圧延トルクTqu(t)、下ワークロール2bの圧
延トルクTql(t)は、それぞれ(7)式および
(8)式により計算される。
【0039】 Tqu(t)=Tqiu×g(t) ・・・・・・・・(7) Tql(t)=Tqil×g(t) ・・・・・・・・(8) 一方、一のパスにおいて噛み込んだ時からt秒間経過し
た時点における上ワークロール2aの速度Spu
(t)、下ワークロール2bの速度Spl(t)は、そ
れぞれ、(9)式〜(12)式により求められる。ここ
で、(9)式におけるVu、(11)式におけるVl
は、上ワークロール2a、下ワークロール2bそれぞれ
の一のパスにおける無負荷時の設定速度である。
【0040】 Spu(t)=(1−αu)×Vu ・・・・・・・・(9) αu=g(Tqu(t)) ・・・・・・・(10) Spl(t)=(1−αu)×Vl ・・・・・・・(11) αu=g(Tql(t)) ・・・・・・・(12) このように、上述した(1)式〜(12)式を用いるこ
とにより、一のパスの前に把握することができる情報で
ある、上ワークロール2aの速度Vuと、下ワークロー
ル2bの速度Vlと、計算圧延トルクTqsとに基づい
て、図3に例示する、一のパスにおける噛込直後期間に
おける時間−ロール周速度の関係を計算により求めるこ
とができ、計算により求めたこの関係により、一のパス
における噛込直後期間における平均異速率ΔVIを計算
により求めることができる。そして、一のパスにおける
噛込直後期間における平均異速率ΔVIから一のパスに
おける無負荷時の異速率ΔVを求めるには、例えば、一
のパスにおける無負荷時の異速率ΔVを仮定して(1)
式〜(12)式を用いて一のパスにおける噛込直後期間
における平均異速率ΔVIを求め、求めた平均異速率Δ
VIが板反り量から求まる平均異速率の所定値となるよ
うに繰り返し計算を行うことによって、一のパスにおい
て設定すべき無負荷時の異速率ΔVの値、すなわち一の
パスにおける無負荷時の上下のワークロール2a、2b
の設定速度Vu、Vlを求めることができる。
【0041】すなわち、本実施の形態では、一のパスに
おける噛込直後期間における平均異速率ΔVIと計算圧
延トルクTqsとから、被圧延材5の板反り量を抑制す
ることができる異速率ΔV、すなわち一のパスにおける
上下のワークロール2a、2bそれぞれの周速度Vu、
Vlを高精度で設定することができる。
【0042】このように、本実施の形態では、被圧延材
5に上下のワークロール2a、2bによる複数パスのリ
バース圧延を行って圧延鋼板を製造する際であって、複
数パスのうちの一のパス(最終パスの1パス前のパス)
を行う際に、この一のパスの直前のパス(最終パスの2
パス前のパス)における、被圧延材5に板反りの発生が
予想される噛込直後期間での上下のワークロール2a、
2bの平均異速率に基づいて、一のパスにおける上下の
ワークロール2a、2bそれぞれの周速度Vu、Vlを
設定する。
【0043】ここで、図2(b)のグラフを参照しなが
ら上述したように、噛込直後期間における平均異速率は
被圧延材5に生じる反り曲率との間に明確な相関関係を
有しており、本実施の形態ではこの噛込直後期間におけ
る平均異速率を因子として上下のワークロール2a、2
bそれぞれの周速度Vu、Vlを設定するため、板反り
の発生を高精度で抑制または解消することができる。
【0044】なお、以上の(i)項の説明では「一のパ
ス」が最終パスの1パス前のパスである場合を例にとっ
た。しかし、本発明における「一のパス」は、かかる形
態に限定されるものではなく、リバース圧延の複数のパ
スのうちのいずれか一つのパスであればよく、いずれの
パスの場合であっても、このパスを終了した後における
板反りの発生を高精度で抑制または解消することができ
る。
【0045】(ii)制御誤差に基づいた、一のパスの
直後のパスを行う際の反り制御要素の設定量のフィード
フォワード制御の、最終パスを含む連続する2パスにお
ける実施 上述した図9のグラフで例示するように、リバース圧延
の各パスにおいて発生する板反り量は、各パス毎に大き
く変化することがある。上記(i)項で説明したよう
に、噛込直後期間における平均異速率を用いることとと
もに、以下に説明するフィードフォワード制御を行うこ
とにより、各パス間における板反り量の変動をも相殺し
て、さらに高精度で板反りの発生を抑制または解消する
ことができる。
【0046】すなわち、本実施の形態では、反り制御装
置10により、リバース圧延機4による複数パスのうち
の一のパス(本実施の形態では、上述したように最終パ
スの1パス前のパスを意味する)を終了した後の板反り
量の測定値と、複数パスのうちの最終パスの後における
板反り量の目標値との偏差(本明細書では、以下「制御
誤差」という)を算出し、算出した制御誤差に基づいて
一のパスの直後のパス(本実施の形態では、最終パスを
意味し、以下単に「直後のパス」という)を行う際の上
下のワークロール2a、2bそれぞれの周速度Vu、V
lの設定量をフィードフォワード制御するという操作
を、最終パスを含む連続する2パス、すなわち一のパス
と直後のパスとについて行う。
【0047】具体的には、反り制御装置10により、直
前のパス(最終パスの2パス前のパス)を終了した後の
板反り量の測定値と、最終パスの後における板反り量の
目標値との制御誤差から、上述したように噛込直後期間
における上下のワークロール2a、2bの平均異速率に
基づいて設定された、一のパスでの上下のワークロール
2a、2bそれぞれの周速度の設定量の変更量を求め、
求めた変更量と直前のパスにおける上下ワークロール2
a、2bの周速度の設定量とに基づいて、一のパスにお
ける上下のワークロール2a、2bの周速度の設定量を
変更して設定する。そして、この設定量で一のパスを行
う。
【0048】次に、反り制御装置10により、一のパス
を終了した後の板反り量の測定値と、最終パスの後にお
ける板反り量の目標値との制御誤差から、上述したよう
に噛込直後期間における上下のワークロール2a、2b
の平均異速率に基づいて設定された、一のパスでの上下
のワークロール2a、2bそれぞれの周速度の設定量の
変更量を求め、求めた変更量と一のパスにおける上下ワ
ークロール2a、2bの周速度の設定量とに基づいて、
直後のパスにおける上下のワークロール2a、2bの周
速度の設定量を変更して設定する。そしてこの設定量で
直後のパス、すなわち最終パスを行う。
【0049】すなわち、本実施の形態では、直後のパス
を行う際の上下のワークロール2a、2bそれぞれの周
速度Vu、Vlの設定量の変更は、一のパスにおける制
御誤差から、一のパスで設定された異速率の設定量また
は実測値の変更量を求め、求めた変更量と、一のパスに
おける異速率の設定量または実測値とを加算することに
より行われる。
【0050】このように、本実施の形態では、反り制御
装置10により、前パスでの板反り量の測定値と最終的
な板反り量の目標値とから板反り量の制御誤差を求め、
かかる制御誤差を、前パスの直後の次パスでの異速率の
設定、すなわち、上下のワークロール2a、2bの速度
の設定にフィードフォワード制御するという制御を、最
終パスを含む連続する2パスで行うという、いわば板反
り量 (反り曲率) の誤差の学習制御を行う。このため、
直前のパス、一のパスおよび直後のパスにおいて発生す
る板反り量が各パス毎に変動したとしても、変動した板
反り量に十分に追従して、上下のワークロール2a、2
bそれぞれの周速度Vu、Vlを設定することができ
る。これにより、最終パス後の板反り量を目標値により
いっそう高精度で制御することができる。
【0051】なお、本実施の形態では、このようなフィ
ードフォワード制御を、一のパスと直後のパスとの2パ
スについて行っているが、直前のパス以上前の複数のパ
スについても適用することにより、直後のパスを含む3
パス以上の複数のパスでかかるフィードフォワード制御
を行うようにしてもよい。
【0052】また、以上の説明は、最終パスを含む2パ
ス以上の複数のパスにおいて上述したフィードフォワー
ド制御を行う場合に関するものであるが、最終パスを含
まない2パス以上の複数のパスにおいてかかるフィード
フォワード制御を行うようにしてもよい。これによって
も、フィードフォワード制御を行われた最後のパスを終
了した後の被圧延材5に生じる板反り量を顕著に低減で
き、これにより、このパスの近傍のパスにおける操業上
の問題を解消することができる。
【0053】そこで、以下、連続する2パスにおいてか
かるフィードフォワード制御を行う場合を一般化して説
明する。図6は、本実施の形態において、反り制御装置
10により行われるフィードフォワード制御の一例を示
すフローチャートである。なお、本例は、第(i+1)
パスと第(i+2)パスとにフィードフォワード制御を
適用する場合を示す。
【0054】図6におけるステップ(以下「S」と略記
する)1では、第iパス目の圧延を終了した後の被圧延
材5の先端に生じた板反り量 (反り曲率κi ) を測定す
る。そして、測定後にS2へ移行する。
【0055】S2において、反り曲率κi と反り曲率の
目標値κo から板反り量の制御誤差Δκi ( Δκi =κ
i −κo ) を求め、この制御誤差Δκi が零となるよう
に、(2)式および図5に示す係数aと形状比との関係
より、噛込直後期間における平均異速率ΔVIiを求
め、この平均異速率ΔVIiから(1)式〜(12)式
を用いて第iパスで設定された異速率ΔVi の修正量Δ
VSi を求める。すなわち、本実施の形態では、上下の
ワークロール2a、2bそれぞれの周速度の設定量は、
被圧延材5に板反りの発生が予想される噛込直後期間に
おける、リバース圧延を行う上下のワークロール2a、
2bそれぞれの平均異速率ΔVIiに基づいて、決定さ
れる。そして、S3へ移行する。
【0056】S3において、第iパス目の異速率ΔVi
とその修正量ΔVSi とから第(i+1)パスにおいて
設定される異速率ΔVi+1 をΔVi+1 =ΔVi +ΔVS
i として求め、この異速率ΔVi+1 で第(i+1)パス
の圧延を行う。そして、S4へ移行する。
【0057】S4において、第(i+1)パス目の圧延
を終了した後の被圧延材5の先端に生じた板反り量κ
i+1 を測定する。そして、測定後にS5へ移行する。S
5において、板反り量κi+1 と板反り量の目標κo から
板反り量の制御誤差Δκi+1 を、Δκi+1 =κi+1 −κ
o として求め、この制御誤差Δκi+1 からS2で説明し
た手法と同様にして異速率の修正量ΔVSi+1 を求め
る。そして、S6へ移行する。
【0058】S6において、第(i+1)パス目の異速
率ΔVi+1 とその修正量ΔVSi+1とから第(i+2)
パスの異速率ΔVi+2 をS3で説明した手法と同様の手
法で求め、この異速率ΔVi+2 で第(i+2)パスであ
る最終パスの圧延を行う。
【0059】このように、本実施の形態では、例えば上
述した特開昭63−60012 号公報により開示された発明の
ように、板反り量を測定したパスの次パスのみに着目す
るのではなくて、複数の各パスにおいて板反り量を徐々
に低減していくこと、具体的には、被圧延材5に複数パ
スのリバース圧延を行って圧延鋼板を製造する際の複数
パスのうちの一のパスの直後のパスを行う際に、一のパ
スを終了した後の板反り量の測定値と、複数パスのうち
の最終パスの後における板反り量の目標値との偏差に基
づいて直後のパスを行う際の上下のワークロール2a、
2bの周速度の設定量を変更して直後のパスを行うこと
を、複数パスのうちの連続する少なくとも2パスにおい
て行う。
【0060】このため、これらの少なくとも2パスを終
了した時点に向かって、これらのパスで板反り制御を行
うことができ、徐々に板反り量を低減して目標値に近づ
けることができる。このため、本実施の形態によれば、
これらのパスの各パスにおいて板反り量が不規則に変動
したとしても、これらの少なくとも2パスを終了した時
点においては、板反りの発生を抑制または解消すること
ができ、目標とする板反り量に高精度で制御することが
可能となる。
【0061】つまり、前述したように、板反りは、鋼板
の上下面の摩擦係数差や温度差、噛み込み角度の非対称
性、スケールの表裏差、さらには先端噛み込み端の材料
形状等といった様々な理由に起因して発生するため、各
パス毎の板反りの変動要因を正確かつ定量的に把握する
ことは事実上不可能である。これに対し、この本実施の
形態によれば、各パス毎の板反りの変動要因を正確かつ
定量的に把握しなくとも、各パス間における板反り量の
変動の影響を解消して、板反り量を目標値に高精度で制
御することができ、これにより、板反りに起因した各種
の問題の発生を抑制でき、特に、最終パスを含む2以上
のパスに適用することにより、最終パス後の製品の板反
り量を目標値に制御し、製品の品質や歩留りを向上する
ことができる。
【0062】
【実施例】さらに、本発明を実施例を参照しながらより
詳細に説明する。実施の形態で用いた、被圧延材5の先
端部の板反り量 (反り曲率κ) を測定する反りセンサ6
a、6bを前後に備えた図1に示す圧延装置1により仕
上総パス数が9パスからなるリバース圧延を行って、本
発明にかかる圧延鋼板の製造方法を実施することによ
り、厚板を熱間で製造した。
【0063】すなわち、本発明例として、第6パスの圧
延を終了した後における被圧延材5における板反り量を
測定し、測定した板反り量が板反り量の目標値となるよ
うに、第6パスの噛込直後期間における平均異速率を用
いて上下のワークロール2a、2bの異速率の修正量を
求め、求めた異速率の修正量と第6パスで設定された異
速率 (オペレータが経験的に設定したもの) とを加算す
ることによって、第7パスの異速率の設定値を求めた。
そして、求めた第7パスの異速率の設定値で、第7パス
の圧延を行った。
【0064】そして、第7パスの圧延を終了した後にお
ける被圧延材5における板反り量を測定し、測定した板
反り量が板反り量の目標値となるように、第7パスの噛
込直後期間における平均異速率を用いて上下のワークロ
ール2a、2bの異速率の修正量を求め、求めた異速率
の修正量と第7パスで設定された異速率とを加算するこ
とによって、第8パスの異速率の設定値を求めた。そし
て、求めた第8パスの異速率の設定値で、第8パスの圧
延を行った。
【0065】そして、第8パスの圧延を終了した後にお
ける被圧延材5における板反り量を測定し、測定した板
反り量が板反り量の目標値となるように、第8パスの噛
込直後期間における平均異速率を用いて上下のワークロ
ール2a、2bの異速率の修正量を求め、求めた異速率
の修正量と第8パスで設定された異速率とを加算するこ
とによって、第9パスの異速率の設定値を求めた。そし
て、求めた第9パスの異速率で最終パスである第9パス
の圧延を行った。
【0066】一方、比較例として、図1に示す圧延装置
1を用い、第8パスの圧延後の板反り量を測定し、測定
した板反り量が板反りの目標値となるように、上下ワー
クロール2a、2bの異速率の修正量を求め、この修正
量と第8パスで設定された異速率とを加算することによ
り、最終パスである第9パスの異速率を求め、この異速
率に設定して最終パスの圧延を行った。
【0067】表1には、本発明例および比較例それぞれ
での圧延条件をまとめて示す。
【0068】
【表1】
【0069】図7には、本発明例について、第6パス〜
第9パスにおける異速率(%)および反り曲率(10-3
/mm)の測定結果をグラフで示す。図7にグラフで示
すように、本発明例では、第7パスにおいて下反りが発
生したものの、第8パスでは目標値である狙い反り曲率
に近い値の上反りとなり、さらに第9パスの圧延によ
り、ほぼ狙い反り曲率 (上反り曲率0.2×10-3/m
m) の厚板を製造することができた。
【0070】これに対し、比較例では、第9パスの圧延
を終了した時点で、反り曲率が−0.3×10-3/mm
程度の下反りが発生し、目標とする板反り曲率を大きく
外れ、不芳であった。
【0071】また、図7に示すように、本発明により板
反り制御を開始した第7パスでは、狙い反り曲率を大き
く逸脱する反り曲率の下反りが発生していることがわか
る。このため、本発明例の学習制御は、複数パスのうち
の連続する少なくとも2パスにおいて行うことによって
効果が表れることがわかる。
【0072】また、図8には、本発明例および比較例に
ついて、最終パス完了後の反り曲率の実測値(10-3
mm)と形状比との関係をグラフで示す。なお、図9の
グラフにおける比較例は、オペレータが勘により経験的
に次パスの異速率を設定した例である。また、図8のグ
ラフにおける白丸は比較例を示し、黒丸は本発明例を示
す。
【0073】図8にグラフで示すように、本発明例によ
れば、最終パスにおいて発生する反り曲率を目標値の範
囲 (上反り曲率0〜0.4×10-3/mm) に制御する
ことができたのに対し、オペレータが勘に頼る従来例で
は、最終パスにおいて発生する反り曲率が、下反り曲率
−0.5×10-3/mm〜上反り曲率+1.0×10 -3
/mmという広い範囲でばらついてしまったことがわか
る。
【0074】(変形形態)実施の形態の説明では、「圧延
鋼板」が熱間圧延により製造される厚板である場合を例
にとった。しかし、本発明は厚板に限定されるものでな
く、例えばホットストリップの粗圧延材のように、複数
パスのリバース圧延を行われて製造される圧延鋼板であ
れば、等しく適用される。
【0075】また、実施の形態の説明では、「反り制御
要素」が上下のワークロールそれぞれの周速度である場
合を例にとった。しかし、本発明における「反り制御要
素」は上下のワークロールそれぞれの周速度に限定され
るものではなく、例えば前述した「パスライン調整」や
「表裏面温度差制御」等の板反り量を低減できる要素で
あれば、上下のワークロールそれぞれの周速度以外であ
っても等しく適用される。
【0076】また、実施の形態の説明では、最終パスと
最終パスの1パス前のパスとの2パスに本発明を適用し
た場合を例にとった。しかし、本発明はこの形態に限定
されるものではなく、最終パスを含まない他の2以上の
連続するパスに適用してもよい。これによっても、最終
パスを含まない他の2以上の連続するパスを終了した時
点における板反り量を確実に低減することができる。
【0077】また、実施の形態の説明では、前パスで設
定された異速率に対する修正量を求め、この修正量と前
パスで設定された異速率とから次パスで設定される異速
率を求めることにより最終的に上下のワークロールの周
速度を設定する場合を例にとった。しかし、本発明はか
かる形態に限定されるものではなく、例えば、前パスの
異速率を実測し、この異速率の実測値に対する修正量を
求め、この修正量と前パスでの異速率の実測値とから、
次パスに設定すべき異速率を求めるようにしてもよい。
【0078】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かる圧延鋼板の製造方法により、複数パスのリバース圧
延により圧延鋼板を製造するに際し、被圧延材の板反り
量を操業上の大きな問題を生じない程度に十分に抑制す
ることができた。
【0079】このため、本発明にかかる圧延鋼板の製造
方法により、例えば設備トラブル、鋼板の表面疵さらに
は制御圧延材の冷却むらによる品質劣化といった、板反
りに起因した操業上の各種の問題の発生を抑制でき、特
に、最終パス後の製品の板反り量をも目標の範囲内に正
確に収めるように制御できることから例えば厚板やホッ
トストリップ粗圧延材といった製品の品質向上を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態で用いる圧延装置の構成を模式的に
示す説明図である。
【図2】あるパスにおける上下のワークロールの異速率
と、被圧延材に生じる反り曲率との関係を調査した結果
の一例を示すグラフであり、図2(a)は噛込前の無負
荷時の異速率ΔV(%)を示し、図2(b)は被圧延材
に板反りの発生が予想される噛込直後期間における平均
異速率ΔVI(%)を示す。
【図3】直前のパスにおける異速率−時間の関係の一例
を示すグラフである。
【図4】形状比の説明図である。
【図5】(2)式における係数aと形状比2ld /(h
1 +h2 )との関係を示すグラフである。
【図6】実施の形態において、反り制御装置により行わ
れるフィードフォワード制御の実施の形態の一例を示す
フローチャートである。
【図7】実施例における第6パス〜第9パスにおける異
速率(%)および反り曲率(10-3/mm)の測定結果
を示すグラフである。
【図8】本発明例および比較例についての最終パス完了
後の反り曲率の実測値(10-3/mm)と形状比との関
係を示すグラフである。
【図9】9パスのリバース圧延により厚板を製造した際
の各パスにおいて発生した板反り量(反り曲率κ)の測
定結果の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 圧延装置 2a、2b 上下のワークロール 3a、3b 上下のバックアップロール 4 リバース圧延機 5 被圧延材 6a、6b 反りセンサ 7 画像処理装置 8 データ収集装置 9 圧延機制御プロセスコンピュータ 10 反り制御装置 11 モニタ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被圧延材に上下のワークロールによる複
    数パスのリバース圧延を行って圧延鋼板を製造する方法
    であって、 前記被圧延材に板反りの発生が予想される噛込直後期間
    での前記上下のワークロールの平均異速率に基づいて、
    前記上下のワークロールそれぞれの周速度を、前記板反
    りの発生が抑制または解消されるように設定することを
    特徴とする圧延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 被圧延材に上下のワークロールによる複
    数パスのリバース圧延を行って圧延鋼板を製造する方法
    であって、 前記複数パスのうちの一のパスを行う際に、該一のパス
    の直前のパスを終了した後の板反り量の測定値と、前記
    一のパスの後における板反り量の目標値との偏差に基づ
    き、前記被圧延材に板反りの発生が予想される噛込直後
    期間における前記上下のワークロールの平均異速率を計
    算し、計算した該平均異速率に基づいて前記一のパスに
    おける前記上下のワークロールそれぞれの周速度を設定
    することによって、前記板反りの発生を抑制または解消
    することを特徴とする圧延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 被圧延材に複数パスのリバース圧延を行
    って圧延鋼板を製造する方法であって、 前記複数パスのうちの一のパスの直後のパスを行う際
    に、前記一のパスを終了した後の板反り量の測定値と、
    前記複数パスのうちの最終パスの後における板反り量の
    目標値との偏差に基づいて前記直後のパスを行う際の反
    り制御要素の設定量をフィードフォワード制御すること
    を、前記複数パスのうちの連続する少なくとも2パスに
    おいて行うことによって、該少なくとも2パスを終了し
    た時点における前記板反りの発生を抑制または解消する
    ことを特徴とする圧延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 被圧延材に複数パスのリバース圧延を行
    って圧延鋼板を製造する方法であって、 前記複数パスのうちの一のパスの直後のパスを行う際
    に、前記一のパスを終了した後の板反り量の測定値と、
    前記複数パスのうちの最終パスの後における板反り量の
    目標値との偏差に基づいて前記直後のパスを行う際の反
    り制御要素の設定量を変更して該直後のパスを行うこと
    を、前記複数パスのうちの連続する少なくとも2パスに
    おいて行うことによって、該少なくとも2パスを終了し
    た時点における前記板反りの発生を抑制または解消する
    ことを特徴とする圧延鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記直後のパスを行う際の反り制御要素
    の設定量の変更は、前記偏差から、前記一のパスにおけ
    る反り制御要素の設定量または実測値の変更量を求め、
    求めた該変更量と、前記一のパスにおける反り制御要素
    の設定量または実測値とに基づいて、行われる請求項4
    に記載された圧延鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記反り制御要素は、前記リバース圧延
    を行う上下のワークロールそれぞれの周速度である請求
    項3から請求項5までのいずれか1項に記載された圧延
    鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記上下のワークロールそれぞれの周速
    度の設定量の変更は、前記被圧延材に板反りの発生が予
    想される噛込直後期間における、前記上下のワークロー
    ルの平均異速率に基づいて、行われる請求項6に記載さ
    れた圧延鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記一のパスは、前記複数パスにおける
    最終パスの1パス前のパスである請求項1から請求項7
    までのいずれか1項に記載された圧延鋼板の製造方法。
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