JP2010260069A - 金属板材の圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの制御範囲を明確にし、そりのない、或は、極めて反りの軽微な金属板材を安定して製造できる金属板材の圧延方法を提供する。
【解決手段】上作業ロール周速度をVu、下作業ロール周速度をVb、上下作業ロールの周速度の差ΔV=Vu−Vbとしたとき、χ1=ΔV/Vu、χ2=ΔV/Vb、χ3=ΔV/Max(Vu,Vb)のいずれかが圧延設定計算で−10%未満と計算された場合には、χを−10%≦χ<0%の範囲で再設定し、χ1、χ2及びχ3のいずれかが10%超と計算された場合にはχを0%<χ≦10%の範囲で再設定して圧延する。
但し、Max(Vu、Vb)は上下作業ロールの周速度Vu、Vbのいずれか大きい方とする。
【選択図】図1
【解決手段】上作業ロール周速度をVu、下作業ロール周速度をVb、上下作業ロールの周速度の差ΔV=Vu−Vbとしたとき、χ1=ΔV/Vu、χ2=ΔV/Vb、χ3=ΔV/Max(Vu,Vb)のいずれかが圧延設定計算で−10%未満と計算された場合には、χを−10%≦χ<0%の範囲で再設定し、χ1、χ2及びχ3のいずれかが10%超と計算された場合にはχを0%<χ≦10%の範囲で再設定して圧延する。
但し、Max(Vu、Vb)は上下作業ロールの周速度Vu、Vbのいずれか大きい方とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属板材の圧延方法および圧延装置に関し、特に、反りのない、あるいは極めて反りの軽微な金属板材を安定して製造することのできる、金属板材の圧延方法に関する。
板材の圧延時に発生する板材の反りは、圧延能率の低下、精整工程の増加など、製品の生産性に多大な影響を及ぼす。例えば、精整工程に関しては、レベラー、プレス等による反りの矯正が必要となり、極端な場合、不良部を切断しなければならないこともある。また、さらに大きな反りが発生した場合、板の衝突によって、圧延設備が破損することもある。この場合、板自体が製品価値を失うばかりでなく、生産停止、圧延設備の修理など多大の損害をもたらす。
圧延時に反りが発生するメカニズムについては、一般に、下記の圧延における上下の非対称要因が原因であると推察されている。
1)作業ロールと圧延材との摩擦係数の上下差 Δμ
2)圧延材の上下温度差(変形抵抗の上下差) Δt
3)上下作業ロール周速度の差 ΔV
4)幾何学条件
・上下作業ロールの半径差 ΔR
・板入射角(上下パスライン差)α
逆に言えば、反りが発生した場合、上記のいずれか、あるいは、その組み合わせで、制御すれば、反りが制御できることになる。特に、上下作業ロール周速度の差を用いた反り制御方法は、制御速度、制御安定制の観点から優れた制御方法であると考えられる。
圧延時に反りが発生するメカニズムについては、一般に、下記の圧延における上下の非対称要因が原因であると推察されている。
1)作業ロールと圧延材との摩擦係数の上下差 Δμ
2)圧延材の上下温度差(変形抵抗の上下差) Δt
3)上下作業ロール周速度の差 ΔV
4)幾何学条件
・上下作業ロールの半径差 ΔR
・板入射角(上下パスライン差)α
逆に言えば、反りが発生した場合、上記のいずれか、あるいは、その組み合わせで、制御すれば、反りが制御できることになる。特に、上下作業ロール周速度の差を用いた反り制御方法は、制御速度、制御安定制の観点から優れた制御方法であると考えられる。
特許文献1には、圧延パスで突然反りが発生するパスに対しても、制御する方法が開示されている。これは、多パスのリバース圧延において、前パスの圧延時の圧延情報(上下圧延トルクなど)に基づいて、反りの発生要因となる圧延材の変形抵抗の上下面差と摩擦係数の上下面差を分析し、次パス以降に発生する圧延反りの方向および反り量を予測し、これを上下ロール周速度差あるいはピックアップ量によって制御しようとするものである。
さらに特許文献2には、前パスにおける上下ワークロールの周速度および前パスにおける圧延材先端部の反り曲率半径とから前パスにおける異周速に起因する反り曲率と、前パスにおける異周速以外の要因による反り曲率を求め、この前パスにおける異周速以外の要因による反り曲率に基づいて、当該パスにおける反り曲率を求め、これを解消するように、当該パスにおける上下ワークロールの周速度差、上下材料温度差、上下摩擦係数差を単独あるいは組み合わせて設定して圧延反りを制御しようとするものである。
さらに特許文献2には、前パスにおける上下ワークロールの周速度および前パスにおける圧延材先端部の反り曲率半径とから前パスにおける異周速に起因する反り曲率と、前パスにおける異周速以外の要因による反り曲率を求め、この前パスにおける異周速以外の要因による反り曲率に基づいて、当該パスにおける反り曲率を求め、これを解消するように、当該パスにおける上下ワークロールの周速度差、上下材料温度差、上下摩擦係数差を単独あるいは組み合わせて設定して圧延反りを制御しようとするものである。
特許文献1及び2に記載された方法において、上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとで反りを制御しようとした際に、上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbの設定によっては、反り制御が不安定になることがあった。
そこで、本発明は、上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの制御範囲を明確にし、反りのない、あるいは極めて反りの軽微な金属板材を安定して製造することのできる、金属板材の圧延方法および圧延装置を提供することを課題とする。
そこで、本発明は、上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの制御範囲を明確にし、反りのない、あるいは極めて反りの軽微な金属板材を安定して製造することのできる、金属板材の圧延方法および圧延装置を提供することを課題とする。
本発明は上記の課題を達成するためになされたものであって、その要旨とするところは以下の通りである。
(1) 圧延中の上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの差ΔV=Vu−Vbと、上作業ロール周速度Vuとの比率(異周速率)χ1=ΔV/Vuが−10%以上+10%以下となるように、上下の作業ロールの周速度を、圧延前に設定してから、圧延を実施することを特徴とする金属板材の圧延方法。
(1) 圧延中の上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの差ΔV=Vu−Vbと、上作業ロール周速度Vuとの比率(異周速率)χ1=ΔV/Vuが−10%以上+10%以下となるように、上下の作業ロールの周速度を、圧延前に設定してから、圧延を実施することを特徴とする金属板材の圧延方法。
(2) 圧延中の上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの差ΔV=Vu−Vbと、下作業ロール周速度Vbとの比率(異周速率)χ2=ΔV/Vbが−10%以上+10%以下となるように、上下の作業ロールの周速度を、圧延前に設定してから、圧延を実施することを特徴とする金属板材の圧延方法。
(3) 圧延中の上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの差ΔV=Vu−Vbと、上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの値が大きい方の周速度Max(Vu,Vb)との比率(異周速率)χ3=ΔV/Max(Vu,Vb)が−10%以上+10%以下となるように、上下の作業ロールの周速度を、圧延前に設定してから、圧延を実施することを特徴とする金属板材の圧延方法。
(4) 前記異周速率であるχ1、χ2及びχ3のいずれかが圧延設定計算で−10%未満と計算された場合にはその異周速率χを−10%≦χ<0%の範囲で再設定し、χ1、χ2及びχ3のいずれかが10%超と計算された場合にはその異周速率χを0%<χ≦10%の範囲で再設定することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属板材の圧延方法。
(5) 異周速率を決める前記圧延後設定計算は、異周速率が−10%以上+10%以下の範囲で形状比Γの関数として求められる比例係数f(Γ)に基づくものであることを特徴とする前記(4)に記載の金属板材の圧延方法。
本発明の金属板材の圧延方法によれば、圧延中の上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの差ΔV=Vu−Vbと、上作業ロール周速度Vuとの比率(異周速率)χ1=ΔV/Vuが−10%以上+10%以下となるように、上下の作業ロールの周速度を、圧延前に設定してから、圧延を実施する。これによって、異周速率と反り曲率との関係が非線形となる条件を回避できる。
したがって、設定計算値χ(χ1あるいは、χ2あるいはχ3、以下同様)が−10%未満と計算された場合にはχを−10%≦χ<0%の範囲で再設定し、設定計算値χが10%超と計算された場合にはχを0%<χ≦10%の範囲で再設定すれば、χとκ*(規格化した反り曲率)とが非線形の関係となる不安定な制御を回避でき、安定した反りの制御が可能となる。なお、設定計算値χが−10%未満と計算された場合には、χの再設定値は−10%に近い値が好ましく、設定計算値χが10%超と計算された場合には、χの再設定値は−10%に近い値が好ましい。
したがって、設定計算値χ(χ1あるいは、χ2あるいはχ3、以下同様)が−10%未満と計算された場合にはχを−10%≦χ<0%の範囲で再設定し、設定計算値χが10%超と計算された場合にはχを0%<χ≦10%の範囲で再設定すれば、χとκ*(規格化した反り曲率)とが非線形の関係となる不安定な制御を回避でき、安定した反りの制御が可能となる。なお、設定計算値χが−10%未満と計算された場合には、χの再設定値は−10%に近い値が好ましく、設定計算値χが10%超と計算された場合には、χの再設定値は−10%に近い値が好ましい。
以下、本発明の作用および効果を説明する。
一般に、圧延によって反りが生ずる原因としては、1)作業ロールと圧延材との摩擦係数の上下差、2)圧延材の上下温度差(変形抵抗の上下差)、3)上下作業ロール周速度の差ΔV、4)幾何学条件があげられる。
そして、これらの反りが予測できれば、その反りを解消する異周速圧延を実施することにより、反りのない、あるいは極めて反りの軽微な金属板材を安定して製造することのできる。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された技術を用いて反りを制御しようとした際に、上下面の温度が大きかったり、上下の潤滑条件が大きく異なったりしたことが重なって上下対象性が大きく変化したときには、急に、制御が不安定になり、大きな反りが発生することがあった。
そこで、発明者らは、鋭意研究の結果、圧延中の異周速率χ(χ1、あるいはχ2、あるいはχ3)の絶対値が10%よりも大きくなれば異周速圧延による反り制御が不安定になり、場合によっては制御によって反りが拡大してしまうが、χを−10%以上+10%以下とすれば、異周速率と規格化した反り曲率κ*とが、線形関係であり、上下作業ロール周速度差(異周速圧延)による反り制御が安定することを見出した(図1)。
一般に、圧延によって反りが生ずる原因としては、1)作業ロールと圧延材との摩擦係数の上下差、2)圧延材の上下温度差(変形抵抗の上下差)、3)上下作業ロール周速度の差ΔV、4)幾何学条件があげられる。
そして、これらの反りが予測できれば、その反りを解消する異周速圧延を実施することにより、反りのない、あるいは極めて反りの軽微な金属板材を安定して製造することのできる。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された技術を用いて反りを制御しようとした際に、上下面の温度が大きかったり、上下の潤滑条件が大きく異なったりしたことが重なって上下対象性が大きく変化したときには、急に、制御が不安定になり、大きな反りが発生することがあった。
そこで、発明者らは、鋭意研究の結果、圧延中の異周速率χ(χ1、あるいはχ2、あるいはχ3)の絶対値が10%よりも大きくなれば異周速圧延による反り制御が不安定になり、場合によっては制御によって反りが拡大してしまうが、χを−10%以上+10%以下とすれば、異周速率と規格化した反り曲率κ*とが、線形関係であり、上下作業ロール周速度差(異周速圧延)による反り制御が安定することを見出した(図1)。
図1に入側で反りのない鋼板に圧延を施して、板先端部に発生した反りを異周速率に対してのデータを、それぞれの形状比ごとに分けてプロットしたものを示す。(a)、(b)、(c)いずれもχ3を−10%以上+10%以下とすれば、その範囲では異周速率と規格化した反り曲率κ*とが、線形関係にあることがわかる。
すなわち、χ3が−10%以上+10%以下であれば、κ*と形状比Γは、下記の関係式で表すことができる。
κ*=f(Γ)・χ3 ・・・・・・・・・・・・ 式(1)
f(Γ)は、図1における直線の傾きを表す関数であるが、この関数は、使用する圧延機に応じて、実験等で求めれば良い。
ここで、異周速率χ1,χ2,χ3の定義は、下記のとおりである。
異周速率χ1=ΔV/Vu
異周速率χ2=ΔV/Vb
異周速率χ3=ΔV/Max(Vu,Vb)
また、異周速率χ,反り曲率κおよび規格化した反り曲率κ*に関する記号を以下の様に定義するものとする。
Vu 圧延中の上作業ロール周速度
Vb 圧延中の下作業ロール周速度
ΔV=Vu−Vb 上下作業ロール周速度差
Max(Vu,Vb) 上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの値が大きい方の周速度
反り曲率κ=1/反り曲率半径ρ (圧延ラインより上方向に反る反りを上反り、正とし、圧延ラインより下方向に反る反りを下反り、負として表す。)
規格化した反り曲率κ*=ロール半径R/反り曲率半径ρ(上反り:+,下反り:−)
形状比Γ:圧延材と作業ロールとの接触投影弧長をロール入側と出側の板厚の平均 値で除した値。
すなわち、χ3が−10%以上+10%以下であれば、κ*と形状比Γは、下記の関係式で表すことができる。
κ*=f(Γ)・χ3 ・・・・・・・・・・・・ 式(1)
f(Γ)は、図1における直線の傾きを表す関数であるが、この関数は、使用する圧延機に応じて、実験等で求めれば良い。
ここで、異周速率χ1,χ2,χ3の定義は、下記のとおりである。
異周速率χ1=ΔV/Vu
異周速率χ2=ΔV/Vb
異周速率χ3=ΔV/Max(Vu,Vb)
また、異周速率χ,反り曲率κおよび規格化した反り曲率κ*に関する記号を以下の様に定義するものとする。
Vu 圧延中の上作業ロール周速度
Vb 圧延中の下作業ロール周速度
ΔV=Vu−Vb 上下作業ロール周速度差
Max(Vu,Vb) 上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの値が大きい方の周速度
反り曲率κ=1/反り曲率半径ρ (圧延ラインより上方向に反る反りを上反り、正とし、圧延ラインより下方向に反る反りを下反り、負として表す。)
規格化した反り曲率κ*=ロール半径R/反り曲率半径ρ(上反り:+,下反り:−)
形状比Γ:圧延材と作業ロールとの接触投影弧長をロール入側と出側の板厚の平均 値で除した値。
なお、上下作業ロール周速度差ΔVは、ΔV=Vb−Vuとしても差し支えないし、 規格化した反り曲率κ*の反り方向に関しても、上反りを負値、下反りを正値としても良い。また、規格化した反り曲率κ*を用いずに、反り曲率、反り高さ、反り高さ/ロール径などを用いても良い。なお、図1においては、χ3について反り曲率κ*を整理していたが、χ1及びχ2のどちらの定義を用いてもグラフの形に大きな変化は無い。
したがって、設定計算値χが−10%未満と計算された場合にはχを−10%≦χ<0%の範囲で再設定し、設定計算値χが10%超と計算された場合にはχを0%<χ≦10%の範囲で再設定すれば、χとκ*とが非線形の関係となる不安定な制御を回避でき、安定した反りの制御が可能となる。
したがって、設定計算値χが−10%未満と計算された場合にはχを−10%≦χ<0%の範囲で再設定し、設定計算値χが10%超と計算された場合にはχを0%<χ≦10%の範囲で再設定すれば、χとκ*とが非線形の関係となる不安定な制御を回避でき、安定した反りの制御が可能となる。
〔実施例1〕
圧延装置として、作業ロール直径995のリバース圧延機で、鉄の熱間圧延を行った結果を以下に示す。入側板厚42mm、板幅3400mmの同一寸法の板について7パスで出側板厚12mmとする圧延を実施した。3パス目にχ3Aが−10%未満に設定計算されるパスがあり、7パス目にχ3が10%超に設定計算されるパスがあった。これは当該パスにおいて発生が予測される反りを解消するために、大きな異周速率を設定する必要があると予測されるためである。別な言葉で言えば、3パス目と7パス目には、異周速以外に起因して−10%以上+10%以下の異周速率で修正しきれない反りが発生すると予測されることである。
したがって、この3パス目と7パス目は制御目標値を−10%以上+10%以下となるように置き換えて、χ3Bとして圧延した。この圧延の結果、3パス目と7パス目のとき、他のパスより反りが少々大きくなったが、置き換えた異周速率の分、反り発生を抑えることができ、何も問題なく圧延することができた。
一方、比較例では、3パス目と7パス目も含め、設定計算されたままのχ3aで、圧延を実施した。その結果、3パス目と7パス目で大きな反りが発生した。特に7パス目の反りは、最終パスで発生したので、後工程で、その反りを修正する必要性が生じた。
圧延装置として、作業ロール直径995のリバース圧延機で、鉄の熱間圧延を行った結果を以下に示す。入側板厚42mm、板幅3400mmの同一寸法の板について7パスで出側板厚12mmとする圧延を実施した。3パス目にχ3Aが−10%未満に設定計算されるパスがあり、7パス目にχ3が10%超に設定計算されるパスがあった。これは当該パスにおいて発生が予測される反りを解消するために、大きな異周速率を設定する必要があると予測されるためである。別な言葉で言えば、3パス目と7パス目には、異周速以外に起因して−10%以上+10%以下の異周速率で修正しきれない反りが発生すると予測されることである。
したがって、この3パス目と7パス目は制御目標値を−10%以上+10%以下となるように置き換えて、χ3Bとして圧延した。この圧延の結果、3パス目と7パス目のとき、他のパスより反りが少々大きくなったが、置き換えた異周速率の分、反り発生を抑えることができ、何も問題なく圧延することができた。
一方、比較例では、3パス目と7パス目も含め、設定計算されたままのχ3aで、圧延を実施した。その結果、3パス目と7パス目で大きな反りが発生した。特に7パス目の反りは、最終パスで発生したので、後工程で、その反りを修正する必要性が生じた。
〔実施例2〕
表1に示した本発明の実施例のパススケジュールにおいて、ほぼ同じ条件で10枚圧延した結果を表2に示す。この結果、圧延した板の10枚の全パスにおける反り曲率κ*の絶対値の最大値はκ*=0.098であり、反りとしては小さいものしか発生しなかった。
比較例として、特許文献1に記載された計算方法で設定計算し、異周速率の設定計算値が±10%異周速率を越えても修正しないで圧延した。その際、作業ロールの異周速率の絶対値は、頻繁に10%を超えた。その結果、圧延した板の10枚の全パスにおける反り曲率κ*の絶対値の最大値はκ*=0.612であり、大きな反りが発生するパスがあった。
表1に示した本発明の実施例のパススケジュールにおいて、ほぼ同じ条件で10枚圧延した結果を表2に示す。この結果、圧延した板の10枚の全パスにおける反り曲率κ*の絶対値の最大値はκ*=0.098であり、反りとしては小さいものしか発生しなかった。
比較例として、特許文献1に記載された計算方法で設定計算し、異周速率の設定計算値が±10%異周速率を越えても修正しないで圧延した。その際、作業ロールの異周速率の絶対値は、頻繁に10%を超えた。その結果、圧延した板の10枚の全パスにおける反り曲率κ*の絶対値の最大値はκ*=0.612であり、大きな反りが発生するパスがあった。
Claims (5)
- 圧延中の上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの差ΔV=Vu−Vbと、上作業ロール周速度Vuとの比率(異周速率)χ1=ΔV/Vuが−10%以上+10%以下となるように、上下の作業ロールの周速度を、圧延前に設定してから、圧延を実施することを特徴とする金属板材の圧延方法。
- 圧延中の上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの差ΔV=Vu−Vbと、下作業ロール周速度Vbとの比率(異周速率)χ2=ΔV/Vbが−10%以上+10%以下となるように、上下の作業ロールの周速度を、圧延前に設定してから、圧延を実施することを特徴とする金属板材の圧延方法。
- 圧延中の上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの差ΔV=Vu−Vbと、上作業ロール周速度Vuと下作業ロール周速度Vbとの値が大きい方の周速度Max(Vu、Vb)との比率(異周速率)χ3=ΔV/Max(Vu、Vb)が−10%以上+10%以下となるように、上下の作業ロールの周速度を、圧延前に設定してから、圧延を実施することを特徴とする金属板材の圧延方法。
- 前記異周速率であるχ1、χ2及びχ3のいずれかが圧延設定計算で−10%未満と計算された場合にはその異周速率χを−10%≦χ<0%の範囲で再設定し、χ1、χ2及びχ3のいずれかが10%超と計算された場合にはその異周速率χを0%<χ≦10%の範囲で再設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属板材の圧延方法。
- 異周速率を決める前記圧延設定計算は、異周速率が−10%以上+10%以下である範囲で形状比Γの関数として求められる比例係数f(Γ)に基づくものであることを特徴とする請求項4に記載の金属板材の圧延方法。
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2009
- 2009-04-30 JP JP2009111215A patent/JP2010260069A/ja active Pending
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