JPH08318303A - 熱間圧延における先端反り制御方法 - Google Patents

熱間圧延における先端反り制御方法

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JPH08318303A
JPH08318303A JP7128504A JP12850495A JPH08318303A JP H08318303 A JPH08318303 A JP H08318303A JP 7128504 A JP7128504 A JP 7128504A JP 12850495 A JP12850495 A JP 12850495A JP H08318303 A JPH08318303 A JP H08318303A
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JP
Japan
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cooling
tip
pass
rolled material
rolling
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Application number
JP7128504A
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English (en)
Inventor
Hirotsugu Ueda
太次 上田
Kenichi Oe
憲一 大江
Masaki Sudo
正樹 須藤
Shigemi Kajiura
茂実 梶浦
Hidekatsu Fukumitsu
英勝 福満
Atsushi Yabumoto
淳 薮本
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 圧延材の温度分布に対応する板厚方向の変
態分率および累積歪分布とに基づき、制御対象パスでの
先端反り量を所定値以下とする上下非対称冷却条件を算
出し、この上下非対称冷却条件により、制御対象パスに
おける圧延機入側の冷却手段で圧延材の冷却を行う。 【効果】 圧延材における板厚方向での変態分率・累積
歪分布の各変化を加味することにより、先端反りが極力
低減された精度の良好な先端反り制御を行うことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間圧延における先端
反り制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱間での厚板圧延時における圧延材のロ
ール噛み込み端で生じる先端反りは、生産性の低下・修
正工程の追加・品質劣化等の多大な問題を招く。特に、
高級鋼であるTMCP(Thermo Mechanical Controlled Proc
ess)鋼板における先端反りの発生は、圧延工程に引き続
く加速冷却工程での不均一冷却を生じさせる結果、品質
不良、鋼板内での不均一な残留歪の発生を招く大きな原
因になる。また、加速冷却により鋼板温度が低下してい
るために、オンラインでのホットレベラで矯正しきれな
い場合があり、オフラインでの追加矯正が必要となっ
て、物流・リードタイムの面で問題となる。さらに、特
に下反りが発生する場合には、鋼板での座屈波発生ある
いはロールキズ発生の原因となり問題となる。
【0003】このような多大な被害を招く先端反りは、
鋼板上下面の温度差、上下ロールの周速差、上下ロール
径差、ピックアップなどの種々の非対称圧延要因が複数
影響して発生することが知られ、従来、 上下ワークロール周速を制御する方法 ピックアップ量を制御する方法 鋼板と上下ワークロール間の摩擦係数差を制御する方
法 上下ワークロールに径差を付与する方法 鋼板の上下面温度差を制御する方法 などの先端反り制御方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上下
ワークロール周速を制御する方法、ピックアップ量を
制御する方法、鋼板と上下ワークロール間の摩擦係数
差を制御する方法では、圧延機の構造上の問題あるいは
操業条件上の制約などにより、制御方法として採用でき
ないか、できたとしても、発生する先端反りを制御する
のに必要な制御量を充分には確保できない。
【0005】一方、ワークロール径差による方法で
は、各圧延パス毎に変更できないために各パスでの先端
反りを全て制御することは困難であり、特定のパスにお
いて先端反り量を低減させる程度の効果しか期待できな
い等の制御法そのものに係わる問題を有している。さら
に、上記した〜の従来法のすべてに共通して、従来
考えられていた要因のみでは実機での先端反り挙動を正
確に予測することが困難であるため、適切な制御量を設
定できないという問題があり、特にTMCP鋼板において先
端反りを確実に制御することができない場合が顕著であ
った。
【0006】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みな
されたもので、先端反りを確実に制御し得る熱間圧延に
おける先端反り制御方法を提供することを目的とするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、以下の技術的手段を講じている。すな
わち、本発明の熱間圧延における先端反り制御方法は、
制御対象パスにおける圧延機入側に圧延材上下面の非対
称冷却を行うための冷却手段を設け、圧延材の温度分布
と、温度分布に対応する板厚方向の変態分率および累積
歪分布とに基づき制御対象パスでの先端反り量を所定値
以下とする上下非対称冷却条件を算出し、この上下非対
称冷却条件により上記の冷却手段を駆動して圧延材の冷
却を行うことを特徴とするものである。
【0008】また、上記の上下非対象冷却条件の算出
は、制御対象パスと前パスとでの温度分布変化・変態分
率変化・累積歪分布変化と、上下ロール周速比とが制御
対象パスでの先端反り量に及ぼす影響度および前パスで
の先端反り量を、それぞれ制御対象パスでの上下面変形
抵抗差に等価換算して合計し、この合計値に基づいて行
う。
【0009】前記冷却手段に、圧延材の上下面に所定の
非対称水量で冷却水を放射する所定長の冷却ゾーンを設
けた構成では、この冷却ゾーンを通過する圧延材の通板
速度を、前記上下非対称冷却条件に基づき算出される速
度に設定して、圧延材の上下非対称冷却を行う。一方、
前記冷却手段に、圧延材が所定の通板速度で通過する所
定長の冷却ゾーンを設けた構成では、この冷却ゾーンに
おける圧延材上下面に、前記上下非対称冷却条件に基づ
き算出される非対称水量の冷却水を放射して、圧延材の
上下非対称冷却を行う。
【0010】なお、圧延材の圧延をリバース圧延で行う
場合には、前パスを制御対象パスの2パス前として各パ
スでの上下非対称冷却条件を算出することが望ましい。
【0011】
【作用】本願発明者等は、実機での実験および理論解析
による種々の調査・検討の結果、圧延材における板厚方
向の上下面近傍での相変態(オーステナイトからフェラ
イトへの変態)の進展度合いの差、および累積歪の差が
先端反り挙動に大きく影響し、それら要因を考慮するこ
とにより実機での先端反り挙動を精度良く制御できるこ
とを見い出した。
【0012】例えば、高温域で圧延を行う場合(普通圧
延)よりも、比較的低温域まで圧延を行う場合(制御圧
延)の方が発生する先端反りは小さく、これは変態相に
起因するものとして説明できる。すなわち、制御圧延で
は、通常、鋼板の表裏面近傍に、水冷によってAr3変態
点以下の温度となって形成された変態相が存在し、この
状態で圧延されるが、そうした場合、変態塑性の影響に
より変形抵抗値が低下する。
【0013】実機では、仕上圧延前の水冷工程における
下部冷却水の鋼板上への水乗りや、仕上圧延工程でのデ
スケーリング水の鋼板上への沿い流れ等により、鋼板先
端部で上面側が下面側に比べて過冷され易いため、上面
側でより変態相が多く形成され、これが上下面温度差の
影響を緩和する方向に作用する。この結果、普通圧延に
比べて制御圧延の方が先端反りが小さくなる。
【0014】一方、例えば、通常のSi-Mn 鋼(非Nb鋼)
の圧延を行う場合に比べ、Nb鋼では大きな先端反りが発
生するが、これは累積歪に起因する。すなわち、Nb鋼で
は、圧延によって導入される加工歪の回復速度が、通常
のSi-Mn 鋼などに比べて一般的に遅く、圧延の進行に伴
い加工歪が累積して、変形抵抗値が大きくなっていく。
一方、変形抵抗値は空冷保持による加工歪の回復によっ
て保持時間とともに減少していくが、そうした場合、鋼
板の上下面で温度差があると、鋼板上下面方向で累積歪
の回復度合いが異なることになる。
【0015】実機では、上面側温度が下面側温度に比べ
て低いために、上面側でより歪回復が遅く、変形抵抗値
が下面側に比べ大きくなる。この結果、Nb鋼では非Nb鋼
に比べて変態点が低く、このため、前記した変態相の影
響が小さいことと相まって、非Nb鋼にくらべ大きな先端
反りが発生する。このように、先端反り挙動に板厚方向
の相変態の進展度合い、および累積歪状態が大きく影響
することが明らかとなり、したがって、先端反り制御に
際し、これら要因を取り入れることによって適切な制御
量の算出が可能となる。
【0016】そこで本発明のように、圧延材の温度分布
に対応する板厚方向の変態分率および累積歪分布とに基
づき制御対象パスでの先端反り量を所定値以下とする上
下非対称冷却条件を算出することによって、精度の良好
な先端反り制御を行うことができる。この場合、制御対
象パスと前パスとでの温度分布変化・変態分率変化・累
積歪分布変化と、上下ロール周速比とが制御対象パスで
の先端反り量に及ぼす影響度および前パスでの先端反り
量を、それぞれ制御対象パスでの上下面変形抵抗差に等
価換算し、これから上下非対称冷却条件を求めること
で、例えば上下ロール周速比の調整等を別途行う必要が
なくなるので、制御操作が簡単になる。
【0017】こうして求められた上下非対称冷却条件に
よって、圧延材の上下面に所定比率の水量を放射する所
定長の冷却ゾーンを備える構成の冷却手段では、冷却ゾ
ーンを通過する圧延材の通板速度を、また、圧延材が所
定の通板速度で通過する所定長の冷却ゾーンを備える構
成の冷却手段では、冷却ゾーンにおける圧延材上下面へ
の放射水量比をそれぞれ設定し、圧延材の非対称冷却を
行うことにより、制御対象パスで発生する先端反りを極
力小さなものとすることができる。
【0018】なお、リバース圧延を行う場合には、通
常、鋼板の長手方向の先端部(トップ部)と後端部(ボ
トム部)では、デスケーリング等に起因して板厚方向の
温度分布に差異があるために、ミル正転時に噛み込み側
となるトップ端とミル逆転時にミル噛み込み側となるボ
トム端では先端反り挙動が異なるようになる。このた
め、制御対象パスがミル正転パスである場合には、それ
以前のミル正転パスでの先端反り状態、また制御対象パ
スがミル逆転パスである場合には、それ以前のミル逆転
パスでの先端反り状態、すなわち、制御対象パスの2パ
ス前の先端反り状態に基づく制御量を算出することによ
って、より精度の良好な先端反り制御が可能となる。
【0019】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について図面
を参照して説明する。初めに、熱間圧延工程での先端反
り挙動に関し、板厚方向の上下面近傍における変態の進
展度合いと累積歪との影響を調査した結果について説明
する。図1は、圧延方法および鋼種を異ならせて実機で
圧延した場合の先端反りの測定結果を示すものであっ
て、高温域で圧延を行う普通圧延の場合(同図において
●で示す)と、比較的低温域まで圧延を行う制御圧延の
場合(○で示す)とでは、制御圧延の方が発生する先端
反りは小さい。また、○で示す圧延は通常のSi-Mn 鋼
(非Nb鋼)を用いた制御圧延であり、これと、Nb鋼を使
用した制御圧延(▲で示す)とを比較すると、非Nb鋼に
比べてNb鋼の方が非常に大きな先端反りが発生してい
る。
【0020】このような違いを生じさせる原因を、ま
ず、普通圧延と制御圧延との場合について説明する。制
御圧延では、通常、仕上圧延の開始前、あるいは仕上圧
延途中において、鋼板を所定の温度とするための水冷が
行われる。その際、鋼板の表裏面近傍に、水冷によって
変態点(Ar3点:オーステナイト相からフェライト相へ
変態を開始する温度)以下の温度となるために形成され
る変態相、および仕上圧延工程での温度低下で変態点以
下となるために形成される変態相が存在する。この状態
での圧延では、変態塑性の影響により変形抵抗値が低下
する。
【0021】図2に、制御圧延に用いる代表的なSi-Mn
鋼(非Nb鋼)の各圧延温度域での変形抵抗値を測定した
結果を示している。変態相とオーステナイト相との各変
形抵抗値は同一温度下では変態相の方が小さく、このた
め、同図のように、変態点(Ar3点)以下のある領域B
では、形成される変態相における変態塑性の影響によ
り、温度の低下とともに変形抵抗値が低下する現象がみ
られる。したがって、鋼板の上下面で温度差がある場合
には、鋼板上下面方向で変態相が形成される割合が異な
ることになり、このため、上下面での変形抵抗値に差異
が生じる。
【0022】特に実機では、仕上圧延前の水冷工程にお
いて、下部冷却水の鋼板上への水乗りによって鋼板先端
部で上面側が下面側に比べて過冷され、あるいは、仕上
圧延工程でのデスケーリング水の鋼板上への沿い流れ等
により上面側が過冷されるため、図3に示すように、上
面側で変態相がより多く形成される。これが、先端反り
に及ぼす上下面温度差の影響を緩和する方向に作用す
る。この結果、図1のように、制御圧延の方が普通圧延
に比べて発生する先端反りが小さくなるものと考えられ
る。
【0023】そこで、このような変態相の先端反りへの
影響度合いを調べるために、図2に示した変形抵抗値
と、実機で測定した各工程での代表的な鋼板の上下面温
度差を用いて、剛塑性有限要素法による変形解析によ
り、仕上圧延での各パスにおける先端反り量を算出し
た。その結果を図4に示す。この解析結果によれば、制
御圧延での先端反り挙動は普通圧延に比べて小さく、本
ケースでは、その差は最大で2倍以上であって、前述し
た実機での現象と良く一致している。このことから、変
態相が先端反りに非常に大きな影響を及ぼしているこ
と、特に、制御圧延と普通圧延との先端反り挙動の差異
は変態相の影響が多大であることが確認される。
【0024】次に、前記の図1における非Nb鋼とNb鋼と
での先端反り挙動の差異の原因について説明する。Nb鋼
では、圧延によって導入される加工歪の回復速度が通常
のSi-Mn 鋼などに比べて遅く、圧延の進行に伴って加工
歪が累積し、その結果、変形抵抗値が大きくなって行
く。
【0025】図5に、Nb鋼に加工歪を加え、その後の空
冷時間の経過に対する変形抵抗の変化に関する測定結果
を示す。図のように、変形抵抗値は、空冷保持による加
工歪の回復によって時間経過に伴って減少する。また、
その減少パターンは温度によって異なり、高温ほどより
短時間で歪回復が起こるため、変形抵抗が低下し始める
までの時間が短いことがわかる。
【0026】このことから、鋼板の上下面で温度差があ
る場合、鋼板上下面方向で累積歪の回復度合いが異なる
ことになり、このため、上下面での変形抵抗値に差異が
生じ、これが、先端反り挙動に大きく影響することにな
る。実機では、上面側温度が下面側温度に比べて低いた
めに、図6に示すように、上面側でより歪回復が遅く、
変形抵抗値の上昇が下面側に比べて大きくなる。Nb鋼で
は、非Nb鋼に比べて変態点が低く、この結果、前記した
変態相の影響が小さいことと相まって、図1に示したよ
うに、実機での圧延では、Nb鋼の方が非Nb鋼に比べて大
きな先端反りが発生するものと考えられる。
【0027】そこでこのような累積歪の影響度合いを調
べるため、図5の変形抵抗値と、実機で測定した仕上圧
延の各パスでの代表的な上下面温度差とに基づいて、前
記と同様に、各パスにおける先端反り量を解析した。そ
の結果を図7に示す。この解析結果によれば、Nb鋼での
先端反り挙動は非Nb鋼に比べて各パスとも大く、本ケー
スではその差は大きいパスで2倍以上であって、実機で
の現象と良く一致している。このことから、累積歪が先
端反りに非常に大きな影響を及ぼし、また、非Nb鋼とNb
鋼との先端反り挙動の差異は累積歪の影響が大であるこ
とが確認される。
【0028】このように、圧延時における先端反り挙動
には、板厚方向の上下面近傍での変態の進展度合いの
差、および累積歪の差が大きく影響し、条件によっては
これら要因が支配的になる。したがって、これら要因を
考慮することにより、実機での先端反りを良好に制御す
ることが可能となる。次に、上記に基づく制御量の算定
方法について説明する。
【0029】まず、各パスにおいて発生する先端反りの
反り曲率(反り量)をηとすると、 η=ηk+ηω+ηp …(1) ηk:上下面の変形抵抗差により発生する反り曲率 ηω:上下ロール周速差により発生する反り曲率 ηp:ピックアップの影響により発生する反り曲率但
し、ピックアップ量は実機では固定であるため、ηpは
板厚圧下率(パススケジュール)により決まる。 と表すことができる。この(1) 式におけるピックアップ
の影響により発生する反り曲率ηp、および上下ロール
周速差の影響により発生する反り曲率ηωは、理論解析
結果に基づきそれぞれ下式で表すことができる。
【0030】 ηp=a12 +a2X+a3 …(1-1) X:各パスにおける形状比、a1〜a3:定数 ηω=b1dω(b2X+b3)sin(b4X+b5) …(1-2) dω:上下ロール周速比、b1〜b5:定数 なお、以下では、これら各式に基づいて、制御対象パス
直前での冷却装置での上下面非対称冷却条件を制御量と
して求めるが、この際、本実施例ではリバース圧延を前
提としており、このとき、2パス前での測定値に基づい
て、制御対象パスの制御量を求める。
【0031】これは、リバース圧延では、ミル正転パス
とミル逆転パスとで先端反り挙動が異なるためである。
すなわち、通常、鋼板の長手方向の先端部(トップ部)
と後端部(ボトム部)とでは、デスケーリング等に起因
して板厚方向の温度分布が相違する。このため、ミル正
転時に噛み込み側となるトップ端と、ミル逆転時にミル
噛み込み側となるボトム端とでは、先端反り挙動が異な
るものとなる。
【0032】したがって、制御対象パスがミル正転パス
である場合には、それ以前のミル正転パスでの先端反り
状態を、また制御対象パスがミル逆転パスである場合に
は、それ以前のミル逆転パスでの先端反り状態での測定
値を用いる。このように、制御対象パスの2パス前の先
端反り状態を用いることで、リバース圧延において、よ
り正確な制御量の算出が可能になる。
【0033】そこで、制御対象パスの2パス前の圧延で
の反り曲率をηbとすると、これも、前記(1) 式と同様
に、 ηb=ηkb+ηωb+ηpb …(2) ηkb:2パス前での上下面の変形抵抗差により発生す
る反り曲率 ηωb:2パス前での上下ロール周速差より発生する反
り曲率 ηpb:2パス前でのピックアップの影響により発生す
る反り曲率 となる。ここで、ηbは実測される値、ηωb・ηpb
は、前記(1-1) 式、(1-2) 式に基づいて算出される値で
ある。したがって、2パス前での上下面の変形抵抗差に
より発生する反り曲率ηkbが、 ηkb=ηb−ηωb−ηpb …(2') により求められ、さらに、2パス前での上下面の変形抵
抗差Δkbが、 Δkb=F1(hb、rb、ηkb、σ) …(3) hb:制御対象パスの2パス前での板厚 rb:制御対象パスの2パス前での圧下率 σ :制御対象パスの2パス前での平均変形抵抗 で求められる。
【0034】上記の関係式F1 としては、一般的な反り
曲率ηkと上下面変形抵抗差Δkとについてエネルギー
法の応用により導かれる下式が用いられる。 Δk=〔1+{1/(1+r)}n 〕σ(1−r)h・ηk …(3-1) h:板厚、r:圧下率、σ:平均変形抵抗値、n:定数 以上の各式に基づいて、制御対象パスの2パス前での上
下面の変形抵抗差Δkbが算出される。
【0035】次に、制御対象パスにおいて発生する反り
曲率をηaとすると、これも前記(1) 式より ηa=ηka+ηωa+ηpa …(4) ηka:制御対象パスでの上下面変形抵抗差により発生
する反り曲率 ηωa:制御対象パスでの上下ロール周速差より発生す
る反り曲率 ηpa:制御対象パスでのピックアップの影響により発
生する反り曲率 と表すことができる。
【0036】そして、制御対象パスにおける上下面変形
抵抗差Δkaを次にように求める。すなわち、次式(5)
に示すように、2パス前の上下面変形抵抗差Δkbに、
この2パス前からの上下面温度差の変化による上下面変
形抵抗差の変化ΔkTを加え、さらに、板厚方向におけ
る変態分率変化による上下面変形抵抗差の変化Δkpt
と、累積歪分布変化による上下面変形抵抗差の変化Δk
eとを加えて求めるのである。
【0037】 Δka=Δkb+ΔkT+Δkpt+Δke …(5) 例えばΔkTについては、伝熱理論に基づく差分法や解
析解などによって予測される圧延ラインでの温度分布の
変化と、通常ミルセッティングのために用いられる変形
抵抗の予測式、あるいは、予め鋼種毎に求められている
前述の図2のような温度−変形抵抗のデータとから、制
御対象パスと2パス前との各上面温度に対応する変形抵
抗の差を求め、同様に、制御対象パスと2パス前との各
下面温度に対応する変形抵抗の差を求めた後、さらに、
両者の差を算出するという手順にて求めることができ
る。
【0038】ΔkptとΔkeとについても、上記と同
様に、温度分布の変化と、図2・図3・図5のようなデ
ータ、あるいは、データを基にした下式(6)(7)とから、
変態分率変化と累積歪分布変化とを上下面変形抵抗差と
して求める。 Δkpt=Ψ1(Ta、h、r、s、τ1) …(6) τ1 =Ω1(ΔTd、Ar3) Δke=Ψ2(Ta、h、r、s、τ2) …(7) τ2 =Σ〔Ω2(Ti 、hi 、rei 、ti )〕 ここで、Ta:制御対象パスでの鋼板温度 ΔTd:板厚方向の温度分布の変化 Ar3 :鋼板の変態温度 s:制御対象パスでの圧延速度 i:制御対象パスまでのパス数 Ti :iパス目の温度 hi :iパス目の板厚 rei :iパス目の圧下率 ti :iパス目から制御対象パスまでの時間 この結果、変態分率分布および累積歪分布の影響は、そ
れら要因による上下面変形抵抗差の変化として取り込ま
れることになる。
【0039】一方、制御対象パスでの上下ロール周速差
およびピックアップの影響については、それらにより上
下面変形抵抗差が変化すると仮想的に考え、予測される
反り曲率ηωa・ηpaから、下記の(8)(9)式に基づ
き、上下面変形抵抗差Δkωa・Δkpaにそれぞれ等
価換算する。 Δkωa=F1(ha、ra、ηωa) …(8) Δkpa=F1(ha、ra、ηpa) …(9) ha:制御対象パスでの板厚、ra:制御対象パスでの
圧下率 Δkωa:上下ロール周速差の影響を等価換算した上下
面変形抵抗差 Δkpa:ピックアップの影響を等価換算した上下面変
形抵抗差 なお、関数系F1 の具体形は前述の(3-1) 式と同じ したがって、制御対象パスにおける見かけの上下面変形
抵抗差Δkvとして、 Δkv=Δka+Δkωa+Δkpa …(10) が算出される。
【0040】この結果、制御対象パスにおいて発生する
反り曲率ηaが前記の(3-1) 式に基づいて算出され、こ
れは、上記の見かけの上下面変形抵抗差Δkvに比例す
ることになる。したがって、反り曲率ηaをゼロとする
ためには、制御対象パスにおける圧延直前の非対称冷却
条件として、上記の見かけの上下面変形抵抗差Δkvを
打ち消すような上下面温度差を設定すれば良い。この上
下面温度差ΔT(非対称冷却後から圧延開始までの復熱
を考慮した値)は、 ΔT=Δkv/α …(11) α:変形抵抗値σの温度変化に対する変化勾配で、α=
∂σ/∂T で求められる。さらに具体的には、制御対象パスでの非
対称冷却時における水量密度Wを一定とした場合には、
非対称冷却時間Δtが、 Δt=G1(W、ΔT、h、T) …(12) T:鋼板温度 により求まり、この非対称冷却時間Δtにより制御する
場合には、非対称冷却ゾーンの通板速度Vが、 V=L/Δt …(13) L:非対称冷却を行う冷却ゾーン長 により求められる。この通板速度下で非対称冷却を行う
ことにより、先端反りの発生を防止することができる。
【0041】なお、この場合、圧延材を冷却ゾーン内で
停止させて非対称冷却を行うように制御することもでき
るが、生産性等の面から通板状態で行うほうが好まし
い。一方、非対称冷却時間Δtを一定とする場合には、
水量Wを、 W=G2(Δt、ΔT、h、T) …(14) で求め、非対称冷却条件として設定する。
【0042】次に、上記のように非対称冷却条件を設定
して行った具体例な制御結果の一例を説明する。表1に
示す2種類の鋼種の制御圧延材を用い、リバース圧延の
1パス目を除く各奇数パスを制御対象パスとした。加熱
条件、圧延パススケジュールを表2に示す。また、今
回、特に上反りを制御する観点から非対称冷却は仕上圧
延機の入側に設置された表3に示す下面冷却装置を用い
た。下面冷却条件は水量を一定とし、冷却ゾーン通過時
の通板速度を、前記の制御方法に基づき各パス毎に算出
して設定した。
【0043】各奇数パスにおける先端反り量およびその
時に設定された非対称冷却条件を表4に示す。鋼種1と
鋼種2とのいずれの場合にも発生する先端反りは小さく
制御対象パスでは70mm以内の先端反り量となっている。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】〔比較例1〕非対称冷却による先端反り制
御を行わない点を除いて、使用した制御圧延材の鋼種、
加熱条件・圧延パススケジュールを前記実施例と同様に
して圧延を行い、リバース圧延の1パス目を除く各奇数
パスでの先端反り量を測定した。結果を表5に示す。
【0049】
【表5】
【0050】鋼種1(非Nb鋼)および鋼種2(Nb鋼)と
も各パスにおいて上反りが発生しており、鋼種1の場合
には最大430mm までの上反りが、また鋼種2の場合には
最大1180mmまでの上反りがそれぞれ発生している。 〔比較例2〕使用した制御圧延材の鋼種、加熱条件と圧
延パススケジュール、および、表3に示す下面冷却装置
を用いて非対称冷却を行う点は前記実施例と同一であ
り、冷却ゾーン通過時の通板速度の設定は、変態分率分
布および累積歪分布の影響を考慮しない従来の制御方法
に基づいて行った。この比較例2での非対称冷却条件
と、リバース圧延の1パス目を除く各奇数パスでの先端
反り量の測定結果とを表6に示す。
【0051】
【表6】
【0052】この比較例2では、鋼種1(非Nb鋼)の場
合、変態の影響が考慮されていないために下面冷却時間
が必要以上に大きく、このため、通板速度が適正値より
小さく設定される。この結果、各制御対象パスにおいて
特に問題の大きい下反りが発生している。また、鋼種2
(Nb鋼)の場合、累積歪の影響が考慮されていないため
に下面冷却時間が短く、このため、通板速度が適正値よ
り大きく設定される。この結果、各制御対象パスにおい
て最大300mm までの上反りが発生している。
【0053】以上の説明から明らかなように、変態の影
響および累積歪の影響を考慮した制御を行うことよっ
て、先端反りをより確実に制御することが可能である。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、
例えば、上記実施例ではリバース圧延を例に挙げたが、
その他のタンデム圧延等による熱間圧延にも適用するこ
とが可能である。
【0054】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明によれば、
圧延材における板厚方向での変態分率・累積歪分布の各
変化を加味して上下面非対称冷却条件が算出され、これ
によって圧延材に所定の温度分布が付与された状態で制
御対象パスでの圧延が行われる。この結果、先端反りが
極力低減された精度の良好な先端反り制御を行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧延方法と鋼種とを異ならせて圧延を行った場
合における先端反り量の測定結果の一例を示すグラフで
ある。
【図2】制御圧延に用いられる代表的なSi-Mn 鋼につい
ての圧延温度域での変形抵抗値の測定結果を示すグラフ
である。
【図3】制御圧延時における圧延材の上下面に温度差の
ある場合の相変態状況の説明図である。
【図4】仕上圧延での各パスにおける先端反り挙動の解
析結果を示すグラフである。
【図5】Nb鋼における加工歪の空冷保持による回復過程
を説明するための変形抵抗特性の測定結果の一例を示す
グラフである。
【図6】圧延材の上下面に温度差のある場合の累積歪状
態の説明図である。
【図7】Nb鋼と非Nb鋼とでの仕上圧延における各偶数パ
スでの先端反り挙動の解析結果を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 梶浦 茂実 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 福満 英勝 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 薮本 淳 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象パスにおける圧延機入側に圧延
    材上下面の非対称冷却を行うための冷却手段を設け、 圧延材の温度分布と、温度分布に対応する板厚方向の変
    態分率および累積歪分布とに基づき制御対象パスでの先
    端反り量を所定値以下とする上下非対称冷却条件を算出
    し、この上下非対称冷却条件により上記の冷却手段を駆
    動して圧延材の冷却を行うことを特徴とする熱間圧延に
    おける先端反り制御方法。
  2. 【請求項2】 制御対象パスと前パスとでの温度分布変
    化・変態分率変化・累積歪分布変化と、上下ロール周速
    比とが制御対象パスでの先端反り量に及ぼす影響度およ
    び前パスでの先端反り量を、それぞれ制御対象パスでの
    上下面変形抵抗差に等価換算して合計し、この合計値に
    基づき制御対象パスでの先端反り量を所定値以下とする
    上下非対称冷却条件を算出することを特徴とする請求項
    1記載の熱間圧延における先端反り制御方法。
  3. 【請求項3】 圧延材の上下面に所定の非対称水量で冷
    却水を放射する所定長の冷却ゾーンを前記冷却手段に設
    け、この冷却ゾーンを通過する圧延材の通板速度を、前
    記上下非対称冷却条件に基づき算出される速度に設定し
    て、圧延材の上下非対称冷却を行うことを特徴とする請
    求項1又は2記載の熱間圧延における先端反り制御方
    法。
  4. 【請求項4】 圧延材が所定の通板速度で通過する所定
    長の冷却ゾーンを前記冷却手段に設け、この冷却ゾーン
    における圧延材上下面に、前記上下非対称冷却条件に基
    づき算出される非対称水量の冷却水を放射して、圧延材
    の上下非対称冷却を行うことを特徴とする請求項1又は
    2記載の熱間圧延における先端反り制御方法。
  5. 【請求項5】 前パスを制御対象パスの2パス前として
    リバース圧延での各パスでの上下非対称冷却条件を算出
    することを特徴とする請求項2、3又は4記載の熱間圧
    延における先端反り制御方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010260069A (ja) * 2009-04-30 2010-11-18 Nippon Steel Corp 金属板材の圧延方法
CN104415974A (zh) * 2013-08-30 2015-03-18 宝山钢铁股份有限公司 一种热轧带钢生产精轧翘头控制方法
JP2021030300A (ja) * 2019-08-29 2021-03-01 Jfeスチール株式会社 熱延工程での反り予測方法、反り制御方法、熱延鋼板の製造方法、反り予測モデルの生成方法、及び熱延設備

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