JP2003192377A - ガラス及びディスプレイ用ガラス基板 - Google Patents
ガラス及びディスプレイ用ガラス基板Info
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Abstract
し、酸化砒素を含有することがなく、ガラス中の気泡を
減少することが可能なガラスを提供する。 【構成】 酸化砒素及びアルカリ金属酸化物を実質的に
含有せず、SnO2を0.005〜0.4質量%、アル
カリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO、Ba
O)を8〜13.5重量%含有し、SnO2のモル含有
量をYs、アルカリ土類金属酸化物のモル含有量をXと
して、Ys≦0.13X−1の式を満足し、質量%で、
SiO2 50〜70%、Al2O3 10〜19%、B2
O3 5〜15%、MgO 0〜3%、CaO 0〜1
2%、SrO 0〜6%、BaO 0〜5%、ZnO
0〜2%、ZrO2 0〜1%、TiO2 0〜5%、P
2O50〜5%、Sb2O3 0〜5%の組成を有する。
Description
Lディスプレイ等のフラットディスプレイ基板及び、電
荷結合素子(CCD)、等倍近接型固体撮像素子(CI
S)等のイメージセンサー、ハードディスク、フィルタ
ー、太陽電池用等のガラス基板材料として適したガラス
およびそれを用いたディスプレイ用ガラス基板に関する
ものである。
スプレイ等のフラットディスプレイ基板として、ガラス
基板が広く使用されている。
ックス液晶ディスプレイ(TFT−LCD)等の電子デ
バイスは、薄型で消費電力も少ないことから、カーナビ
ゲーションや、デジタルカメラのファインダー、近年で
はパソコンのモニターやTVなど、様々な用途に使用さ
れている。
は、透明導電膜、絶縁膜、半導体膜、金属膜等が成膜さ
れ、しかもフォトリソグラフィ−エッチング(フォトエ
ッチング)工程によって種々の回路やパターンが形成さ
れる。これらの成膜およびフォトエッチング工程におい
て、ガラス基板には、種々の熱処理や薬品処理が施され
る。
→レジストパターン形成→エッチング工程→レジスト剥
離工程の繰り返しで構成される。エッチング液は、膜の
種類によって使い分けがなされ、Al、Mo系膜のエッ
チングにはリン酸系溶液、ITO系膜のエッチングには
王水(HCl+HNO3)系溶液、SiNx、SiO2膜
等のエッチングにはバッファードフッ酸(BHF)溶液
など、多種多様な薬液が使用される。また、これらのエ
ッチング液は、低コスト化を考慮して、使い捨てではな
く、循環の液系フローをもって管理されている。
グの際、薬液とガラス基板との反応生成物が、循環フロ
ー系のフィルターを詰まらせたり、不均質エッチングに
よってガラス表面に白濁をおこす、あるいは薬液の成分
が変化することによって、エッチングレートが不安定に
なる等、様々な問題を引き起こす可能性がある。特にB
HFに代表されるフッ酸系の薬液はガラス基板を強く浸
食するため、上記のような問題が発生しやすい。従って
この種のガラス基板には、特に耐BHF性に優れている
ことが要求されている。
量が小さいだけでなく、外観変化を引き起こさないこと
が重要である。つまり薬液処理によってガラスの外観が
白濁や荒れなどの変化を起こさないことは、光の透過率
が重要なディスプレイ基板として不可欠な特性である。
耐BHF性について必ずしも一致せず、例えば同じ浸食
量を示すガラスであっても、その組成によって薬品処理
後に外観変化を引き起こしたり、引き起こさなかったり
する場合がある。
ガラス基板は、熱処理や薬品処理が施されるため、次の
ような特性が要求される。 (1)ガラス中にアルカリ金属酸化物が含有されている
と、熱処理中にアルカリイオンが成膜された半導体物質
中に拡散し、膜特性の劣化を招くため、アルカリ金属酸
化物を実質的に含有しないガラス、すなわち無アルカリ
ガラスであること。 (2)フォトエッチング工程において使用される種々の
酸、アルカリ等の薬品によって劣化しないような耐薬品
性を有すること。 (3)成膜、アニール等の工程における熱処理によっ
て、熱収縮しないこと。そのためには高い歪点を有し、
耐熱性に優れていること。例えば多結晶シリコン(P−
Si)TFT−LCDの場合、その工程温度が400〜
600℃であるため、このような用途のガラス基板に
は、歪点が630℃以上、好ましくは650℃以上であ
ることが要求される。
工程温度は、最近低くなったが、a−Si・TFT−L
CDの製造工程温度に比べると未だ高い。ガラス基板の
耐熱性が低いと、P−Si・TFT−LCDの製造工程
中で、ガラス基板が400〜600℃の高温にさらされ
た時に、熱収縮と呼ばれる微小な寸法収縮が起こり、こ
れがTFTの画素ピッチのずれを引き起こして表示不良
の原因となる虞れがある。またガラス基板の耐熱性が低
すぎると、ガラス基板の変形、そり等が起こる虞れがあ
る。
のガラス基板には、以下のような特性も要求される。 (4)ガラス中に基板として好ましくない溶融欠陥が発
生しないように溶融性に優れていること。具体的には、
102.5dPa・sの粘度に相当する温度が、1650
℃以下、好ましくは1630℃以下であることが要求さ
れる。 (5)ガラス中に溶融や成形中に発生する異物が存在し
ないように耐失透性に優れていること。
主としてダウンドロー法やフロート法により成形され
る。ダウンドロー法の例としては、スロットダウンドロ
ー法やオーバーフローダウンドロー法等が挙げられ、ダ
ウンドロー法で成形したガラス基板は研磨加工が不要で
あるため、コストダウンを図りやすいという利点があ
る。ただしダウンドロー法によってガラス基板を成形す
る場合には、ガラスが失透しやすいため、耐失透性に優
れたガラスが要求される。具体的には、ダウンドロー法
でガラスが成形される温度を考慮すると、ガラスの液相
温度は1200℃未満、より望ましくは1150℃未満
で、液相粘度は105dPa・s以上、より望ましくは
105.5dPa・s以上であることが必要である。
では、ガラスメーカーで成形されたガラス基板(素板)
の上に複数個分のデバイスを作製した後、デバイス毎に
分割切断して製品とすることによって、生産性の向上、
コストダウンを図っている。しかもTVやパソコンのモ
ニター等の用途においては、デバイスそのものにも大型
のものが要求されており、これらのデバイスを多面取り
するために、1000×1200mmといった大面積の
ガラス基板が要求されている。
携帯型のデバイスにおいては、携帯時の利便性から、機
器の軽量化が要求されており、ガラス基板にも軽量化が
要求されている。ガラス基板の軽量化を図るには、基板
を薄肉化することが有効であり、現在、TFT−LCD
用ガラス基板の標準の厚みは約0.7mmと非常に薄く
なっている。
ス基板は、自重によるたわみが大きく、そのことが製造
工程において大きな問題になっている。
メーカーで成形された後、切断、徐冷、検査、洗浄等の
工程を通過する。これらの工程中、ガラス基板は、複数
段の棚が形成されたカセットに出し入れされる。このカ
セットは、左右の内側2面、あるいは左右および奥の内
側3面に形成された棚に、ガラス基板の両辺、あるいは
3辺を載置するようにして水平方向に保持できるように
なっているが、大型で、薄型のガラス基板はたわみ量が
大きいため、ガラス基板をカセットの棚に入れる際に、
ガラス基板の一部が、カセットや他のガラス基板に接触
して破損したり、カセットの棚からガラス基板を取り出
す際に、大きく揺動して不安定となりやすい。またディ
スプレイメーカーにおいても、同じ形態のカセットが使
用されているため、同様の問題が発生している。
量は、ガラスの密度に比例し、ヤング率に反比例して変
化する。従ってガラス基板のたわみ量を小さく抑えるた
めには、ヤング率/密度の比で表される比ヤング率を高
くする必要がある。比ヤング率を高めるためには、ヤン
グ率が高く、しかも密度が低いガラス材質が必要となる
が、同じ比ヤング率でも、より密度の低いガラスでは、
軽くなる分だけ同一重量のガラスの板厚を厚くできる。
ガラスのたわみ量は板厚の二乗に反比例して変化するの
で、板厚を厚くできることによるたわみ低減への効果は
非常に大きい。ガラスの密度を下げることはガラスの軽
量化を図る上でも大きな効果があるので、ガラスの密度
はできるだけ小さい方が良い。具体的には、2.50g
/cm3以下、好ましくは2.45g/cm3以下の密度
が要求される。
比較的多量のアルカリ土類金属酸化物が含有されてい
る。ガラスの低密度化を図るためには、アルカリ土類金
属酸化物の含有量を低減することが有効であるが、アル
カリ土類金属酸化物はガラスの溶融性を促進させる成分
であるため、その含有量を減らすと溶融性が低下する。
ガラスの溶融性が低下すると、ガラス中に泡、異物等の
内部欠陥が発生しやすくなる。ガラス中の泡や異物は、
光の透過を妨げるため、ディスプレイ用ガラス基板とし
ては致命的な欠陥となるが、このような内部欠陥を抑え
るためには、ガラスを高温で長時間溶融しなければなら
ない。
への負担を増加させる。例えば、窯に使用されているア
ルミナやジルコニアといった耐火物は、高温になればな
るほど激しく浸食され、窯のライフサイクルも短くな
る。また、高温で使用可能な部材は限られるため、使用
される全ての部材が割高になる。更に、窯の内部を常に
高温に保つためのランニングコストは低温で溶融するガ
ラスに比べて高くなる等、高温での溶融はガラスを生産
する上において非常に不利なものであるため、低温で溶
融することが可能な無アルカリガラスが求められてい
る。
衝撃性も重要な要求特性項目である。ガラス基板の端面
には面取りを行ったとしても微細な傷やクラックが存在
しており、熱による引張り応力が傷やクラックに集中し
て働くと、時としてガラス基板が割れることがある。ガ
ラスの破損はラインの稼働率を下げるだけでなく、破損
の際に生じた微細なガラス粉がガラス基板上に付着し、
断線不良やパターニング不良等を引き起こす恐れが大き
い。
げることが重要視されている。これに伴って、ガラス基
板の熱処理工程の短縮化が図られ、ガラス基板は、より
急激な加熱と冷却を受けることになり、ガラス基板への
熱衝撃はより一層大きくなる傾向にある。更に、上記し
たようにガラス基板は大型化しており、ガラス基板に温
度差がつきやすくなるだけでなく、端面に微少なキズ、
クラックが発生する確率も高くなり、熱工程中で基板が
破壊する確率が高くなる。この問題を解決する最も根本
的かつ有効な方法は、ガラス基板の温度差から生じる熱
応力を減らすことであり、そのため熱膨張係数の低いガ
ラスが求められている。またTFT材料との熱膨張差が
大きくなると、ガラス基板にそりが発生するため、P−
Si等のTFT材料の熱膨張係数(約30〜33×10
-7/℃)に近似する熱膨張係数、具体的には、25〜4
0×10-7/℃、好ましくは28〜35×10-7/℃の
熱膨張係数を有することが求められる。
スは、溶融し難く、安価に高品質のガラス基板を大量に
供給するためには、その溶融性を改善し、泡、異物等に
よる不良率を低減することが非常に重要である。
は、フラットディスプレイ用ガラス基板を製造する場合
に最も歩留まりに影響を与える。すなわちフラットディ
スプレイ用ガラス基板では、長さが0.1mm以上の気
泡が、1m角の大きさのガラス基板中に一個でも存在す
ると不良品となる。また、この種のガラス基板中の気泡
は、ガラス成形時に板ガラスが引き出される方向に伸張
するため、溶融時には非常に小さい気泡であっても、基
板では0.1mm以上の長さになりやすく、溶融ガラス
中の気泡を極力減らすことが最も重要な課題となってい
る。
め、清澄剤と呼ばれる少量の成分が添加されている。代
表的な清澄剤としては、ぼう硝等の硫酸塩、食塩等の塩
化物、亜砒酸、酸化アンチモン、酸化セリウム等が挙げ
られるが、無アルカリガラスは、その溶融温度が非常に
高いため、特に高温での溶融時に清澄効果の大きい酸化
砒素(As2O3又はAs2O5)が主に使用されている。
境負荷化学物質の一つであるため、近年の環境に対する
関心の高まりと共に、その使用やガラス中への含有が困
難になってきている。
澄剤としては、酸化第二スズ(SnO2)が挙げられる
が、SnO2は、無アルカリガラス中に多量に含まれる
と、成形時に失透物として晶出するという問題がある。
ての要求特性を満足し、酸化砒素を含有することなく、
ガラス中の気泡を減少することが可能な無アルカリガラ
スを提供することである。
を繰り返した結果、SiO2−Al2O3−B2O3−RO
系の無アルカリガラスにおいて、酸化砒素を含有せず、
ガラス中の気泡を十分に減少させるためには、SnO2
の含有が不可欠であること、SnO2結晶をガラス中に
晶出させることなく、含有できるSnO2量は、ガラス
中のアルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、Sr
O、BaO)の含有量によって制限されることを見いだ
し、本発明を提案するに到った。
びアルカリ金属酸化物を実質的に含有せず、SnO2を
0.005〜0.4質量%、アルカリ土類金属酸化物
(MgO、CaO、SrO、BaO)を8〜13.5質
量%含有し、SnO2のモル含有量をYs、アルカリ土
類金属酸化物のモル含有量をXとして、Ys≦0.13
X−1の式を満足し、次の組成(質量%) SiO2 50〜70% Al2O3 10〜19% B2O3 5〜15% MgO 0〜 3% CaO 0〜12% SrO 0〜6% BaO 0〜5% ZnO 0〜2% ZrO2 0〜1% TiO2 0〜5% P2O5 0〜5% Sb2O3 0〜5% を有することを特徴とする。
O2を0.01〜0.5質量%含有し、ZrO2のモル含
有量をYz、アルカリ土類金属酸化物のモル含有量をX
として、Yz≦0.13X−1の式を満足することを特
徴とする。
ラス基板は、上記のガラスからなることを特徴とする。
成形性を改善する作用を有するが、その含有量が少なく
なるほど、含有可能なSnO2の量も減少する。つまり
ガラス中にSnO2結晶を晶出させないためのSnO2許
容量は、アルカリ土類金属酸化物が少なくなるほど低下
し、アルカリ土類金属酸化物が多くなるほど上昇する。
ただしアルカリ土類金属酸化物が多くなりすぎると、ガ
ラスの密度や熱膨張係数が高くなるため好ましくない。
善できるアルカリ土類金属酸化物の含有量と、SnO2
結晶を晶出を防止できるSnO2含有量の臨界値を検討
した結果、SnO2を0.005〜0.4質量%、アル
カリ土類金属酸化物を8〜13.5質量%含有し、且
つ、Ys≦0.13X−1の式を満足させることで、ガ
ラスの低密度化、低膨張化を図りながら、溶融性、成形
性に優れ、ガラス中の泡数を十分に低減し、SnO2結
晶の晶出を抑えることが可能となることを導き出した。
含有範囲を限定した理由を説明する。
わる清澄剤として用いられる成分であり、その含有量
は、0.005〜0.4質量%である。0.005質量
%より少ないと、十分な清澄効果が得られず、0.4質
量%より多いと、ガラス中にSnO2結晶が生成されや
すくなる。SnO2の好ましい含有量は、0.01〜
0.4質量%である。
る。50質量%より少ないと、耐薬品性、特に耐酸性が
悪化する。また70質量%より多いと、高温粘度が高く
なり、溶融性が悪くなると共に、ガラス中に失透異物
(クリストバライト)の欠陥が生じ易くなる。SiO2
の好ましい含有量は55質量%以上(より好ましくは6
0質量%以上)、68質量%以下(より好ましくは66
質量%以下)である。
る。10質量%より少ないと、液相温度が上昇し、ガラ
ス中にクリストバライトの失透異物が生じやすくなると
共に、歪点が低下しやすくなる。また19質量%より多
いと、ガラスの耐バッファードフッ酸性が低下し、ガラ
ス表面に白濁が生じやすくなると共に、ガラスの失透性
が低下し、ガラス中にムライトや長石系の失透が発生し
やすくなる。Al2O3の好ましい含有量は11質量%以
上(より好ましくは14質量%以上)、18.0質量%
以下である。
性を改善する成分である。B2O3が5質量%より少ない
と、融剤としての働きが不十分となると共に、耐バッフ
ァードフッ酸性が悪化する。また15質量%より多い
と、ガラスの歪点が低下し、耐熱性が低下すると共に耐
酸性が悪化する。B2O3の好ましい含有量は、7質量%
以上(より好ましくは8.6質量%以上)、14質量%
以下(より好ましくは12質量%以下)である。
温粘性を下げ、ガラスの溶融性を改善する。またアルカ
リ土類金属酸化物の中では密度を上げる作用が最も小さ
い。しかしながら多量に含有すると液相温度が上昇し、
耐失透性が低下する。またMgOはバッファードフッ酸
と反応して生成物を形成し、ガラス基板表面の素子上に
固着したり、ガラス基板に付着してこれを白濁させる恐
れがあるため、その含有量には制限がある。従ってMg
Oの含有量は0〜3質量%、好ましくは0〜1質量%、
より好ましくは0〜0.5質量%、さらには実質的に含
有しないことが望ましい。
ることなく、高温粘性を下げ、ガラスの溶融性を著しく
改善する成分であり、その含有量は0〜12質量%であ
る。CaOが12質量%より多くなると、ガラスの耐バ
ッファードフッ酸性が悪化し、ガラス基板表面が浸食さ
れやすくなると共に、反応生成物がガラス基板表面に付
着してガラスを白濁させ、さらにガラスの密度や熱膨張
係数が高くなりすぎるため好ましくない。CaOの好ま
しい含有量は、4質量%以上(より好ましくは5質量%
以上)、10質量%以下(より好ましくは9質量%以
下)である。
と共に失透性を改善する成分であるが、多量に含有する
と、溶融性が低下すると共に、ガラスの密度や熱膨張係
数が上昇するため好ましくない。SrOの含有量は、0
〜6質量%である。
向上させる成分であるが、多量に含有すると、溶融性が
悪化すると共に、ガラスの密度や熱膨張係数が上昇する
ため好ましくない。BaOの含有量は、0〜5質量%で
ある。
リ土類金属酸化物は、ガラスの液相温度を下げ、ガラス
中に結晶異物を生じさせ難くすることにより、ガラスの
溶融性、成形性を改善する効果がある。SnO2の失透
を防ぐためには、アルカリ土類金属酸化物の含有が必要
不可欠であるが、多量に含有すると、ガラスの密度が
2.50g/cm3より高くなり、熱膨張係数が40×
10-7/℃より高くなるため、その含有量は、合量で8
〜13.5質量%に制限される。より望ましい範囲は、
8〜13質量%である。
ッ酸性を改善すると共に溶融性を改善する成分である
が、2質量%以上含有するとガラスが失透しやすくな
る。また歪点が低下するため好ましくない。ZnOの好
ましい含有量は、0〜1質量%である。
性を改善する成分であるが、1質量%より多くなると、
液相温度が上昇し、ジルコンの失透異物が出易くなるた
め好ましくない。ZrO2の好ましい範囲は0〜0.5
質量%である。
も、溶融炉の耐火物等から0.01質量%以上混入する
可能性がある。ZrO2の含有量とSnO2の失透性の間
には、密接な関係があり、ZrO2が多くなるほど、S
nO2の著しい失透を引き起こしやすくなるため、でき
るだけ少なくすることが望ましい。このZrO2に起因
するSnO2の失透を抑えるためには、ZrO2を0.5
質量%以下に抑え、且つ、アルカリ土類金属酸化物の含
有量を規制することが望ましい。具体的には、ZrO2
のモル含有量をYz、アルカリ土類金属酸化物のモル含
有量をXとして、Yz≦0.13X−1の式を満足させ
ることが望ましい。
性を改善し、かつ高温粘性を下げて溶融性を向上する成
分であるが、多く含有するとガラスに着色を生じ、その
透過率を減ずるためディスプレイ用のガラス基板として
は好ましくない。よってTiO2は0〜5質量%、好ま
しくは0〜2質量%に規制すべきである。
失透性を向上する成分であるが、多く含有するとガラス
中に分相、乳白が起こると共に、耐酸性が著しく悪化す
るため好ましくない。よってP2O5は0〜5質量%、好
ましくは0〜4質量%に規制すべきである。
2O3、Nb2O3、La2O3を5質量%程度まで含有する
ことができる。これらの成分は歪点、ヤング率等を高め
る働きがあるが、多く含有すると密度が増大してしまう
ので好ましくない。
3は、いずれもSnO2と併用することによって、清澄作
用を促進させる成分である。特にSb2O3とSb2O
5は、その効果が大きいが、過度に含有させると、ガラ
スの密度を上昇させるため好ましくない。よってSb2
O3とSb2O5は、Sb2O3換算で5質量%以下、好ま
しくは3質量%以下とする。またClも、ガラスの溶融
性を改善、促進する作用が大きく、1質量%まで含有さ
せることができる。従って、本発明においては、SnO
2と共に、Sb2O3又はSb2O5、及びClを共存させ
ると、非常に泡品位に優れたガラスが得られやすい。そ
の他の清澄剤や様々な成分は、ガラス特性に悪影響を与
えない範囲で含有させることができる。
ガラスの透過率を低下させるため、避けるべきである。
具体的には、0.01質量%未満に抑えるべきである。
さらにCr、Ni、Co、Mo等の着色成分もガラスの
透過率を低下させるため避けるべきである。具体的に
は、0.01質量%未満に抑えるべきである。
ら、酸化砒素及びアルカリ金属酸化物を実質的に含有し
ない。尚、本発明において実質的に含有しないとは、不
純物として混入する程度であり、ガラス原料から含有さ
れるものではないことを意味している。具体的には、酸
化砒素とアルカリ金属酸化物は、各々0.05質量%以
下、より好ましくは0.02重量%以下、さらに好まし
くは0.01重量%以下となるように抑える必要があ
る。
する。
No.1〜9)と、比較例ガラス(試料No.10〜1
4)を示している。尚、表中のMCSBは、アルカリ土
類金属酸化物の合量値を意味し、Xは、アルカリ土類金
属酸化物のモル含有量を意味している。
した。
調合したバッチを白金坩堝に入れ、1600℃で24時
間溶融した後、カーボン板上に流し出して板状に成形し
た。こうして得られたガラス試料について、密度、熱膨
張係数、歪点、102.5dPa・sの温度、液相温度、
SnO2の失透の有無、耐HCl性、耐BHF性の各種
特性を測定して表に示した。
1〜9の各ガラス試料は、密度が2.45g/cm3以
下、熱膨張係数が35×10-7/℃以下であり、軽量化
が図れ、耐熱衝撃性に優れている。また歪点が650℃
以上と高いため、熱収縮が小さく、102.5dPa・s
の温度が1619℃以下であった。さらに液相温度が1
090℃以下であり、白金界面でのSnO2の失透も認
められなかった。また耐HCl性、耐BHF性および泡
切れ性に優れていた。
1の各試料は、密度と液相温度が高く、ガラス−白金界
面にSnO2の失透が大量に発生した。No.12の試
料は、密度が高く、泡切れ性が悪かった。No.13の
試料は、密度と熱膨張係数が高く、歪点が低く、耐HC
l性が悪かった。No.14の試料は、102.5dPa
・sの温度と液相温度が高く、SnO2の失透が認めら
れた。またBHF溶液によって外観が変化した。
によって測定した。熱膨張係数は、ディラトメーターを
用いて、30〜380℃の温度範囲における平均熱膨張
係数を測定した。
に基づいて測定した。この値が高いほど、ガラスの耐熱
性が高いということになる。
02.5ポイズの温度を記載したものであり、周知の白金
球引き上げ法により測定した。この値が低いほど溶融性
に優れていることになる。
篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ
(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れ、
温度勾配炉中で24時間保持した後、これを取り出して
から顕微鏡で観察し、ガラス中に失透(結晶異物)が発
生した温度を測定したものである。
nO2の失透は、ガラスと耐火物との界面や白金との界
面に析出しやすい。そこで液相温度を測定したガラス試
料を用い、特に白金−ガラス界面を顕微鏡で観察し、1
050℃以上の温度でSnO2の結晶が認められたもの
を「あり」、認められなかったものを「なし」として表
に示した。
方法で評価した。まず各ガラス試料の両面を光学研磨し
た後、一部をマスキングしてから所定の濃度に調合した
薬液中で、定めた温度で定めた時間浸漬した。薬液処理
後、マスクをはずし、マスク部分と浸食部分の段差を表
面粗さ計で測定し、その値を浸食量とした。また各ガラ
ス試料の両面を光学研磨した後、所定の濃度に調合した
薬液中で、定めた温度で定めた時間浸漬してから、ガラ
ス表面を目視で観察し、ガラス表面が白濁したり、荒れ
たり、クラックが入っているものを×、わずかに白濁が
見られるものを△、全く変化の無いものを○とした。
は、130BHF溶液(NH4HF:4.6質量%,N
H4F:36質量%)を用いて20℃、30分間の処理
条件で測定した。外観評価は、63BHF溶液(HF:
6質量%,NH4F:30質量%)を用いて、20℃、
30分間の処理条件で行った。また耐HCl性の浸食量
は、10質量%塩酸水溶液を用いて80℃、24時間の
処理条件で測定した。外観評価は、10質量%塩酸水溶
液を用いて80℃、3時間の処理条件で行った。
1mm以上)の数を計測し、ガラス100g中の泡数が
100個を超えるものは「×」、10〜100個の範囲
のものは「△」、10個未満のものは「○」で表記し
た。
試験溶融炉で溶融し、オーバーフローダウンドロー法で
成形することによって、厚み0.5mmのディスプレイ
用ガラス基板を作製したところ、規格内の泡品位で、失
透も発生しなかった。このガラス基板の反りは0.07
5%以下、うねり(WCA)は0.15μm以下(カッ
トオフfh:0.8mm、fl:8mm)、表面粗さ
(Ry)は100Å以下(カットオフλc:9μm)で
あり、表面精度に優れ、液晶ディスプレイ用ガラス基板
として適したものであった。
密度が2.50g/cm3以下であり、(2)熱膨張係
数が25〜40×10-7/℃であり、(3)歪点が63
0℃以上であり、(4)102.5dPa・sの温度が、
1650℃以下であり、(5)液相温度が1200℃未
満であり、(6)SnO2の結晶が析出せず、(7)所
定のBHF溶液の処理による浸食量や外観の変化が少な
い、(8)所定のHCl溶液の処理による浸食量や外観
の変化が少ない、というTFT−LCD用ガラス基板と
しての要求特性項目を全て満足し、酸化砒素及びアルカ
リ金属酸化物を実質的に含有せず、ダウンドロー法で成
形可能であるため、環境負荷が少なく、安価に高品質の
ガラス基板が得られ、特に液晶ディスプレイ用ガラス基
板として好適である。
等のフラットディスプレイパネル、CCD、CIS等の
イメージセンサー、ハードディスク、フィルター、太陽
電池等のガラス基板としても適している。
Claims (3)
- 【請求項1】 酸化砒素及びアルカリ金属酸化物を実質
的に含有せず、SnO2を0.005〜0.4質量%、
アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO、B
aO)を8〜13.5質量%含有し、SnO2のモル含
有量をYs、アルカリ土類金属酸化物のモル含有量をX
として、Ys≦0.13X−1の式を満足し、次の組成
(質量%) SiO2 50〜70% Al2O3 10〜19% B2O3 5〜15% MgO 0〜 3% CaO 0〜12% SrO 0〜6% BaO 0〜5% ZnO 0〜2% ZrO2 0〜1% TiO2 0〜5% P2O5 0〜5% Sb2O3 0〜5% を有することを特徴とするガラス。 - 【請求項2】 ZrO2を0.01〜0.5質量%含有
し、ZrO2のモル含有量をYz、アルカリ土類金属酸
化物のモル含有量をXとして、Yz≦0.13X−1の
式を満足することを特徴とする請求項1記載のガラス。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載のガラスからなるこ
とを特徴とするフラットディスプレイ用ガラス基板。
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