JP2016074598A - 珪酸塩ガラスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化錫を用いて泡品位に優れた珪酸塩ガラスを製造する方法の提供。【解決手段】珪酸塩ガラスを製造するに当たり、清澄剤としてメディアン粒径D50が2〜50μmの範囲にある酸化錫粉末を用いる珪酸塩ガラスの製造方法であり、酸化物基準の質量%で、SiO2:50〜80%、Al2O3:5〜25%、B2O3:0.1〜20%、MgO:0〜15%、CaO:3〜15%、SrO:0〜15%、BaO:0〜15%、RO(ROは、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量):0〜25%、ZnO:0〜10%、ZrO2:0〜10%、SnO2:0.01〜1.5%であり、かつ実質的にアルカリ金属を含有しない珪酸塩ガラス。【選択図】なし

Description

本発明は、珪酸塩ガラスの製造方法に関するものである。特に、清澄剤として酸化錫粉末を使用する珪酸塩ガラスの製造方法に関するものである。
薄膜トランジスタ型アクティブマトリックス液晶ディスプレイ(TFT−AMLCD)等の電子デバイスは、薄型で消費電力も少ないことから、カーナビゲーション、デジタルカメラのファインダー、さらにはパソコンのモニター、テレビ等の様々な用途に使用されている。
一般的に、LCD用ガラス基板の材質として、実質的にアルカリ金属を含有しないアルミノ硼珪酸ガラス、いわゆる無アルカリガラスが使用されており、これまでに種々のガラス組成が提案されている。(特許文献1〜3参照)
ところで近年、パソコンモニター、テレビ等は画面が大型化してきており、ガラス基板中の泡、異物のスペックが従来に増して厳格化している。
このようなガラス基板を工業的に生産するには、調合したガラス原料をガラス溶融炉に投入して、溶融、清澄を行った後、ガラス融液を成形装置に供給し、オーバーフローダウンドロー法、フロート法、スロットダウンドロー法、ロールアウト法等の方法で、板状に成形し、切断する方法が採用されている。
特に、大型の無アルカリガラス基板を安価に、且つ、大量に製造する場合には、樋状の耐火物成形体上にガラス融液を供給して成形するオーバーフローダウンドロー法、及び溶融された錫浴上にガラス融液を供給して成形するフロート法がよく用いられている。
また、石油ストーブや薪ストーブの前面窓、耐熱調理容器、電子部品焼成用セッター、電子レンジ用棚板、電磁調理器用トッププレート、防火戸、カラーフィルターイメージセンサー基板等のガラス材料として、リチウムアルミノ珪酸塩系結晶化ガラスが用いられている。(例えば特許文献4〜6参照)リチウムアルミノ珪酸塩系結晶化ガラスは、結晶化条件を変更して析出結晶の種類や結晶粒径を変えれば、白色又は透明な外観を得ることができる。
この系の結晶化ガラスにおいても、特に電子部品用途に関しては、泡、異物のスペックが従来に増して厳格化している。
このような結晶化ガラス板を工業的に生産するには、調合したガラス原料をガラス溶融炉に投入して、溶融、清澄を行った後、ガラス融液を成形装置に供給し、スロットダウンドロー法、オーバーフローダウンドロー法、フロート法、ロールアウト法等の方法で、板状に成形し切断した後、結晶化する方法が採用されている。また、容器形状の結晶化ガラス製品を製造する際には、フィーダーより供給される溶融ガラス塊であるゴブをプレス成型した後、結晶化する方法が採用されている。
特許第2990379号公報 特開2002−29775号公報 特開2009−167090号公報 特開平11−228480号公報 特開平11−228181号公報 特開2006−1828号公報 特開2006−306690号公報
上記したような無アルカリガラスやリチウムアルミノ珪酸系結晶化ガラスを製造する際には、いずれも1500〜1600℃以上の高温で溶融することが必要であるため、従来は清澄剤として酸化ヒ素(As)が用いられてきた。ところが酸化ヒ素は毒性が強く環境上有害であることからその使用が避けられており、代わりに酸化錫(SnO)が広く用いられるようになってきている(例えば特許文献7)。酸化錫は、酸化砒素と同様1500〜1600℃の高温域にて、
2SnO → 2SnO + O
の反応により酸素ガス(O)を放出する。放出された酸素ガスがガラス中の泡に拡散することにより、泡の拡大、浮上促進が起こり、泡が除去される。
ところが酸化錫を用いた場合、泡品位が十分に高いガラスを得ることができない場合がある。
本発明の目的は、酸化錫を用いて泡品位に優れた珪酸塩ガラスを容易に製造する方法を提供するものである。
本発明者は上記課題を検証した結果、以下の知見を得た。
ガラスの清澄剤に用いられる酸化錫粉末は次のようにして作製される。まずSn 99.5%以上の金属錫地金のインゴットを溶解して粉砕し、これを硝酸で分解して、メタ錫酸を生成させる。これを焼成して粒子径1mm以下のSnOのヒュームを生成させ、焼結させる。その後、この焼結物を解砕することによって酸化錫粉末を得る。
ところが上記焼結過程に問題があると、得られる酸化錫粉末の粒度が不適切となり、これが原因で清澄性が悪化することが判明した。本発明はこの知見に基づいてなされたものである。
即ち、本発明の珪酸塩ガラスの製造方法は、珪酸塩ガラスを製造するに当たり、清澄剤としてメディアン粒径D50が2〜50μmの範囲にある酸化錫粉末を用いることを特徴とする。ここで「珪酸塩ガラス」とは、SiOを主成分とするガラス、より具体的にはSiOを50質量%以上含有するガラスを意味する。「酸化錫」とは、酸化第二錫(SnO)を指すが、酸化第一錫(SnO)を排除するものではない。またメディアン粒径D50は、レーザー回折式粒度分布計によって測定した粒度を意味する。
本発明においては、メディアン粒径D50が2〜50μmの範囲となるように酸化錫粉末の粒度を調整した後、使用することが好ましい。
本発明においては、メディアン粒径D50が2〜50μmの範囲となるように酸化錫粉末を分級した後、使用することが好ましい。
上記構成によれば、メディアン粒径D50が2〜50μmの酸化錫を容易に得ることができる。
本発明においては、珪酸塩ガラスが、無アルカリガラス又はリチウムアルミノ珪酸塩系結晶化ガラスであることが好ましい。ここで「無アルカリガラス」とは、実質的にアルカリ金属成分を含まないガラスを意味し、より具体的にはアルカリ金属酸化物(LiO、NaO、KO)の含有量が合量で1000ppm以下(0.1質量%以下)であるガラスを指す。「リチウムアルミノ珪酸塩系結晶化ガラス」とは、LiO、SiO及びAlを必須成分として含有するとともに、ガラス中に結晶(特にβ−スポジュウメン及び/又はβ−石英固溶体)が析出しているガラスを指す。
上記構成によれば、高温溶融が必要なガラスに本発明を適用することになり、本発明の効果を的確に享受できる。
本発明においては、酸化物基準の質量%で、SiO 50〜80%、Al 5〜25%、B 0.1〜20%、MgO 0〜15%、CaO 3〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜15%、RO(ROは、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量を表す) 0〜25%、ZnO 0〜10%、ZrO 0〜10%、SnO 0.01〜1.5%であり、かつ実質的にアルカリ金属を含有しない珪酸塩ガラスとなるようにガラス原料を調合し、溶融、成形することが好ましい。ここで「実質的にアルカリ金属を含有しない」とは、アルカリ金属酸化物(LiO、NaO、KO)の含有量が合量で5000ppm以下(0.5質量%以下)であることを意味する。
上記構成によれば、LCDの他、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等のフラットパネルディスプレイ装置や、各種電子部品の基板等に好適なガラスを得ることが可能である。
本発明においては、酸化物基準の質量%で、SiO 50〜80%、Al 12〜30%、LiO 1〜6%、MgO 0〜5%、ZnO 0〜10%、BaO 0〜8%、NaO 0〜5%、KO 0〜10%、TiO 0〜8%、ZrO 0〜7%、P 0〜10%、SnO 0.01〜2%含有する珪酸塩ガラスとなるようにガラス原料を調合し、溶融、成形した後、結晶化することが好ましい。
上記構成によれば、石油ストーブや薪ストーブの前面窓、耐熱調理容器、電子部品焼成用セッター、電子レンジ用棚板、電磁調理器用トッププレート、防火戸、カラーフィルターイメージセンサー基板等のガラス材料に好適な低膨張結晶化ガラスを得ることが可能である。
本発明の方法によれば、適正な粒度の酸化錫粉末を清澄剤として使用することができる。それゆえ、粒度が荒すぎてガラス溶融時のバッチ反応が遅れ、結果として十分な清澄性能が得られない、という不具合を効果的に解消することができる。よって高い泡品位が求められるフラットパネルディスプレイ装置や電子部品に使用されるガラス基板等の製造方法として好適である。
また本発明の方法によれば、酸化錫の粒度が細かすぎて取り扱い難い、という問題もない。
本発明の製造方法は、清澄剤として使用する酸化錫粉末として、メディアン粒径D50が2〜50μmの範囲にあるものを使用することにより、泡品位の高いガラスを容易に得ることができる。
以下、本発明の製造方法を詳述する。
まず、シリカ源、アルミナ源、硼酸源、アルカリ土類金属源、アルカリ金属源、清澄剤源等となるガラス原料を、目標とするガラス組成となるように混合してバッチを調製する。また必要に応じてガラスカレットをガラス原料として使用してもよい。なおガラスカレットとは、ガラスの製造の過程等で排出されるガラス屑である。各原料及びガラス組成については後述する。
次いで調合したバッチを、溶融窯のガラス原料投入口から投入し、溶融、ガラス化する。溶融窯へのバッチの投入は、連続的に行われるが、断続的であってもよい。また溶融窯内でのバッチの溶融温度は1500〜1600℃程度である。このようにしてガラス原料を溶融し、溶融ガラスとする。
次に溶融ガラスを成形装置に供給し、所定の肉厚、表面品位、形状を有するようにガラスを成形し、切断する。ガラスを板状に成形する方法としては、公知のオーバーフローダウンドロー法、フロート法、その他の板ガラス成形法を用いることができる。大型のガラス基板を大量に生産するには、オーバーフローダウンドロー法やフロート法を採用すればよい。研磨工程を省略したい場合には、オーバーフローダウンドロー法を採用すればよい。またガラスを容器状に成形する場合は、公知のプレス法等を使用すればよい。
さらに必要に応じて、熱処理して結晶化させたり、表面研磨、端面加工、絵付け等の後加工を施したりすることもできる。
このようにして作製されたガラス物品は、種々の用途に供される。
続いて本発明において使用するガラス原料について説明する。
シリカ源には、珪砂(SiO)を用いることができる。
アルミナ源にはアルミナ(Al)、または水酸化アルミニウム(Al(OH))等を用いることができる。
硼酸源には、硼酸(HBO)及び無水硼酸(B)を用いることができる。
アルカリ土類金属源には、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸バリウム(BaCO)、硝酸バリウム(Ba(NO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、硝酸ストロンチウム(Sr(NO)等が用いられる。
アルカリ金属源には、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、硝酸ナトリウム(NaNO)、硝酸カリウム(KNO)、スポジューメン(LiAlSi)等を用いることができる。
清澄剤源には、メディアン粒径D50が2〜50μmの範囲にある酸化錫(SnO)の粉末を用いる。酸化錫粉末は、ガラス原料を調合する前に、分級等の方法によりメディアン粒径D50が2〜50μmの範囲となるように調整しておけばよい。酸化錫粉末のメディアン粒径D50が2μmより小さいと、粒子間の凝集が起こり、調合プラントでの詰まりが生じ易くなる。酸化錫粉末のメディアン粒径D50が50μmより大きいと、酸化錫粉末のガラス融液への溶解反応が遅れ、融液の清澄が進まない。結果としてガラス溶融の適切な時期に酸素ガスを十分に放出できなくなり、ガラス製品中に泡が残存し易く、泡品位に優れた製品を得ることが難しくなる。またガラス製品中に、SnO結晶の未溶解ブツが出現する事態を引き起こし易くなる。酸化錫粉末のメディアン粒径D50の好適な範囲は5〜50μmである。
また清澄力を補完するために、塩化バリウム(BaCl)等の塩化物、或いはその他の清澄剤を併用してもよい。なお環境上の理由から、酸化ヒ素(As、As)や酸化アンチモン(Sb、Sb)の使用は避けるべきである。
上記以外にも、ガラス組成に応じて種々のガラス原料を用いることができる。例えば亜鉛源として酸化亜鉛(ZnO)等を、ジルコニア源としてジルコン(ZrSiO)等を、チタン源として酸化チタン(TiO)等を、リン酸源としてトリポリリン酸ソーダ(Na10)、メタリン酸アルミ(Al(PO)、リン酸マグネシウム(MgP)等をそれぞれ使用することができる。
次に、目標とするガラス組成を例示する。
例えばLCD用ガラス基板として使用される場合、電気特性、耐熱性、耐久性等に優れることが要求される。このような要求を満たす好適なガラスとして、酸化物基準の質量%で、SiO 50〜80%、Al 5〜25%、B 0.1〜20%、MgO 0〜15%、CaO 3〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜15%、RO(ROは、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量を表す) 0〜25%、ZnO 0〜10%、ZrO 0〜10%、SnO 0.01〜1.5%含有し、かつ実質的にアルカリ金属を含有しない無アルカリガラスを例示することができる。上記組成のガラスは、LCD基板用途以外にも、OLED、PDP、FED等のフラットパネルディスプレイ装置や各種電子部品の基板として、或いはこれらのカバーガラス等として好適に使用できる。
無アルカリガラスの組成範囲を上記のように限定した理由を以下に述べる。なお以降の説明では特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
SiOの含有量が少なすぎるとガラスの歪点が低下し、ディスプレイ装置を製造する際の熱処理工程で、ガラス基板が割れたり、熱変形や熱収縮が起こりやすくなったりする。また熱膨張係数が大きくなりすぎて、周辺材料の熱膨張係数との整合性が取りにくくなったり、耐熱衝撃性が低下しやすくなったりする。さらに、耐酸性も悪化する。一方、SiOの含有量が多すぎると、ガラスの高温粘度が高くなり、ガラスの溶融や成形が困難となる。また、熱膨張係数が小さくなりすぎて、周辺材料の熱膨張係数との整合性が取りにくくなる。SiO含有量の好適な範囲は52〜70%である。
Alの含有量が多すぎると、ガラスの歪点が低下し、ディスプレイを製造する際の熱処理工程で、ガラス基板が割れたり、熱変形や熱収縮が起こりやすくなったりする。一方、Alの含有量が少なすぎると、ガラスの耐バッファードフッ酸性が低下したり、ガラスの液相温度が上昇してガラス基板の成形が困難になったりする。Al含有量の好適な範囲は7〜22%である。
は、ガラスの粘性を低下させ、かつガラスの溶融性を高める成分であるが、過剰に含有すると、ガラスの歪点が低くなり、ディスプレイを製造する際の熱処理工程で、ガラス基板が割れたり、熱変形や熱収縮が起こりやすくなったりする。一方、Bの含有量が少なすぎると、融剤としての効果を得難くなる。B含有量の好適な範囲は3〜20%である。
MgOは、ガラスの歪点を低下させずに、高温粘度を低下させて、ガラスの溶融性を改善する成分である。MgOの含有量が多すぎると、クリストバライトやエンスタタイトの失透ブツが発生しやすくなる傾向にある。さらに耐バッファードフッ酸性が低下し、フォトエッチング工程でガラス基板が侵食され、その反応生成物がガラス基板の表面に付着し、ガラス基板が白濁しやすくなる。MgO含有量の好適な範囲は0〜10%である。
CaOは、ガラスの歪点を低下させずに高温粘度のみを低下させて、ガラスの溶融性を改善する。CaOの含有量が多すぎると、耐バッファードフッ酸性が低下するとともに、ガラスの密度や熱膨張係数が上昇する。CaOの含有量が少なすぎると高温粘度が上昇し溶融性が悪化し易くなる。CaO含有量の好適な範囲は3〜12%である。
SrOは、ガラスの耐薬品性と耐失透性を向上させる成分である。SrOの含有量が多すぎると、ガラスの密度や熱膨張係数が上昇する。SrO含有量の好適な範囲は0〜12%である。
BaOは、ガラスの耐薬品性と耐失透性を向上させる成分である。BaOの含有量が多すぎると、ガラスの密度や熱膨張係数が上昇する。BaO含有量の好適な範囲は0〜12%である。
アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO及びBaO)は、混合して含有させると、ガラスの溶融性と、耐失透性を向上させることができるが、これらの成分の合量ROが多すぎると、ガラスの密度が上昇する傾向にあり、ガラス基板の軽量化が困難となる。一方、これらの成分の合量ROが少なすぎると溶融性が悪化し、失透性が悪化し易くなる。ROの好適な範囲は3〜22%である。
ZnOは、ガラスの耐バッファードフッ酸性を改善するとともに、ガラスの溶融性を改善する成分である。ZnOの含有量が多すぎると、ガラスが失透しやすくなったり、歪点が低下したりする。ZnO含有量の好適な範囲は0〜5%である。
ZrOは、ガラスの耐薬品性、特に耐酸性を改善し、ヤング率を向上させる成分である。ZrOの含有量が多すぎると、ガラスの液相温度が上昇し、ジルコンの失透ブツが出やすくなる。ZrO含有量の好適な範囲は0〜2%である。
SnOは、清澄剤として作用する成分である。SnOの含有量が多すぎると失透が生じ易くなる。SnOの含有量が少なすぎると十分な清澄効果を発揮することが困難になる。SnOの好適な範囲は0.01〜1%である。
AsやSbは、環境上の理由から、実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にAsやSbを含有しない」とは、ガラス組成中のAsやSbの含有量が、各々0.1%(1000ppm)以下であることを意味する。
Feは、ガラスの透過率に影響を与える成分である。Feは、工程中或いは原料から不純物として混入する成分であるが、その含有量を0.001〜0.03%となるように調整することが好ましい。Feの含有量が多すぎると、ガラス基板の透過率が低下しやすくなる。一方、Feの含有量を0.001%より少なくしようとすると、原料コストや製造コストが上昇する。
アルカリ金属酸化物(LiO、NaO、KO)は、実質的に含有しないことが好ましい。アルカリ金属酸化物を実質的に含有しないとは、その含有量を0.5%以下に抑えるという意味である。アルカリ金属酸化物の含有量が合量で0.5%を超えると、基板上にTFTを成膜する際の熱処理時に、アルカリ金属が成膜されたTFT半導体物質中に拡散し、膜特性が劣化する。
上記以外にも、ガラス特性が損なわれない限り、種々の成分を添加可能である。例えばY、La、Nd、TiO等を添加しても良い。
また電磁調理器やガス調理器のトッププレート等に使用される場合、電気特性、耐熱性、耐久性等が要求される。このような要求を満たす好適なガラスとして、酸化物基準の質量%で、SiO 50〜80%、Al 12〜30%、LiO 1〜6%、MgO 0〜5%、ZnO 0〜10%、BaO 0〜8%、NaO 0〜5%、KO 0〜10%、TiO 0〜8%、ZrO 0〜7%、P 0〜10%、SnO 0.01〜2%含有するリチウムアルミノ珪酸塩系結晶化ガラスを例示することができる。なおこの結晶化ガラスは、調理用トッププレート以外にも、石油ストーブ、薪ストーブ等の前面窓、耐熱調理容器、電子部品焼成用セッター、電子レンジ用棚板、防火戸、カラーフィルターイメージセンサー基板等のガラス材料にも好適に使用できる。
例示したリチウムアルミノ珪酸系結晶化ガラスの組成範囲を上記のように限定した理由を以下に述べる。なお以降の説明では特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
SiOは、ガラスの骨格を形成すると共に、晶出結晶の主要構成成分でもある。SiOの含有量が少なすぎると熱膨張係数が大きくなりすぎる。一方、SiOの含有量が多すぎるとガラスの高温粘度が高くなり、ガラスの溶融や成形が困難となる。SiO含有量の好適な範囲は52〜77%である。
Alはガラスの骨格を形成すると共に、晶出結晶の構成成分でもある。Alの含有量が少なすぎると化学的耐久性が悪化し、またガラスが失透しやすくなる。一方、Alの含有量が多すぎると、ガラスの高温粘度が高くなり、ガラスの溶融や成形が困難となる。Al含有量の好適な範囲は13〜28%である。
LiOは、結晶構成成分であり、結晶性に大きな影響を与えると共に、ガラスの粘性を低下させる働きがある。LiOの含有量が少なすぎると、ガラスの結晶性が弱くなり、熱膨張係数が大きくなりすぎる。また、透明結晶化ガラスの場合には、結晶物が白濁しやすくなり、白色結晶化ガラスの場合には、白色度低下が起こりやすくなる。一方、LiOの含有量が多すぎると結晶性が強くなりすぎ、ガラスが失透したり、準安定なβ‐石英固溶体が得られなくなって結晶物が白濁したりして、透明結晶化ガラスを得ることができなくなる。LiO含有量の好適な範囲は1.2〜5.5%である。
MgOの含有量が多すぎると結晶性が強くなり、析出結晶量が強くなりすぎてしまう。MgOの好適な範囲は0〜4.5%である。
ZnOの含有量が多すぎると結晶性が強くなり、析出結晶量が強くなりすぎてしまう。ZnOの好適な範囲は0〜8%である。
またMgOとZnOの合量は0〜10%、特に0〜8%であることが好ましい。これらの成分の合量が多すぎると結晶物の着色が強くなりやすい。
BaOの含有量が多すぎると結晶の析出が阻害されるために十分な結晶量が得られず、熱膨張係数が大きくなりすぎる。さらに透明結晶化ガラスを得る場合には、結晶物が白濁しやすくなる。BaOの好適な範囲は0.3〜7%である。
NaOの含有量が多すぎると結晶性が弱くなって十分な結晶量が得られず、また熱膨張係数が大きくなりすぎる。NaOの好適な範囲は0〜4%である。
Oの含有量が多すぎると結晶性が弱くなって十分な結晶量が得られず、また熱膨張係数が大きくなりすぎる。さらに透明結晶化ガラスを得る場合には結晶物が白濁しやすくなる。KOの好適な範囲は0〜8%である。
またNaOとKOの合量は0〜12%であることが好ましい。これらの成分の合量が多すぎると熱膨張係数が大きくなりやすい。また透明結晶化ガラスを得る場合には結晶物が白濁しやすくなる。
TiOは結晶化時の核形成剤である。TiOの含有量が多すぎると不純物着色が著しくなる。TiOの含有量の好適な範囲は0.3〜7%である。
ZrOも結晶化時の核形成剤である。ZrOが多すぎるとガラス溶融が困難になると共に、ガラスの失透性が強くなる。ZrOの好適な範囲は0.5〜6%である。
またTiOとZrOの合量は0.5%以上であることが好ましい。これらの成分の合量が少なすぎると結晶の析出が不十分となって、所望の特性を得ることが困難になる。
は、分相を促進させて、結晶の析出を促がす成分である。含有量が多すぎるとガラスマトリックスの粘度が低下する。Pの好適な範囲は0〜5%である。
SnOは、清澄剤として作用するとともに、核形成剤としての機能も有しており、ZrO−TiO−SnO系結晶核を形成する。SnOの含有量が少なすぎると清澄効果が十分ではなく、結晶性が低下する。一方、SnOの含有量が多すぎるとFeイオンによる着色が著しくなり好ましくない。またガラス溶融が困難になったり、失透しやすくなったりする。SnO含有量の好適な範囲は0.01〜1.8%である。
またSnOによる清澄を補助するためにClを0〜2%含有させることができる。ただしClの含有量が多すぎると化学的耐久性が劣化してしまい好ましくない。Clの好適な範囲は0〜1%である。
上記以外にも、ガラス特性が損なわれない限り、種々の成分を添加可能である。例えばY、La、Nd等を添加しても良い。また着色剤として、例えばVを1.5%までは含有することができる。
なおAsやSbは、環境上の理由から、実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にAsやSbを含有しない」とは、ガラス組成中のAsやSbの含有量が、各々0.1%(1000ppm)以下であることを意味する。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
表1、2は本発明の実施例(No.1〜3、6〜8)及び比較例(No.4、5、9)をそれぞれ示している。
試料No.1〜5は次のようにして作製した。まず表1中のガラス組成となるようにガラス原料を調合し、連続溶融炉で溶融した。なお清澄剤として表中に示す粒度を有する酸化第二錫を使用した。続いて、オーバーフロー法で、肉厚が0.7mmとなるよう成形し、1.8m×1.5mのサイズに切断することで試料ガラスとした。
試料No.6〜9は次のようにして作製した。まず表2中のガラスガラス組成となるようにガラス原料を調合し、連続溶融炉で溶融した。なお清澄剤として表中に示す粒度を有する酸化第二錫を使用した。続いて、ロールアウト法で、肉厚が5mmとなるよう成形し、1m×1mのサイズに切断した。その後、800℃で2時間熱処理して結晶化させ、試料ガラスとした。なお得られた試料ガラスは何れも透明であり、X線回折の結果、β−石英固溶体が析出していた。
このようにして用意した各試料について、泡品位を評価した。結果を各表に示す。
表1、2から明らかなように、実施例であるNo.1〜3及びNo.6〜8の各試料は、泡数が40個/t以下と少なく、フラットパネルディスプレイ装置や電子部品に用いられるガラス基板やとして問題なく使用できるものであった。
これに対して、比較例であるNo.4及び9の各試料は、泡数が300個/t以上と多く、泡品位が劣っていた。またNo.5の試料は、酸化第二錫が微粉であるため調合プラントが詰り、ガラスバッチに酸化第二錫を供給できなかった。
なお泡品位の評価は、試料表面の泡を光学装置にて検出し、カウントした個数をガラス1t(トン)当りに換算して求めた。
本発明の製造方法は、既述の用途に限られるものではなく、例えば太陽電池用基板用途、フラットランプ、その他の電子部品用途等、種々のガラス製品の製造に適用することができる。また本方法が適用されるガラス組成は、上記した組成系に限られるものではなく、酸化錫を清澄剤として使用するガラスであればその組成は問わない。

Claims (5)

  1. 実質的にアルカリ金属を含有しない珪酸塩ガラスを製造するに当たり、清澄剤としてメディアン粒径D50が2〜9μmの範囲にある酸化錫粉末を用いることを特徴とする珪酸塩ガラスの製造方法。
  2. メディアン粒径D50が2〜9μmの範囲となるように酸化錫粉末の粒度を調整した後、使用することを特徴とする請求項1に記載の珪酸塩ガラスの製造方法。
  3. メディアン粒径D50が2〜9μmの範囲となるように酸化錫粉末を分級した後、使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の珪酸塩ガラスの製造方法。
  4. 酸化物基準の質量%で、SiO 50〜80%、Al 5〜25%、B 0.1〜20%、MgO 0〜15%、CaO 3〜15%、SrO 0〜15%、BaO 0〜15%、RO(ROは、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量を表す) 0〜25%、ZnO 0〜10%、ZrO 0〜10%、SnO 0.01〜1.5%であり、かつ実質的にアルカリ金属を含有しない珪酸塩ガラスとなるようにガラス原料を調合し、溶融、成形することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の珪酸塩ガラス
    の製造方法。
  5. Feの含有量が0.03質量%以下となるようにガラス原料を調合することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の珪酸塩ガラスの製造方法。
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