JP2003189786A - 米粉を主原料として架橋ネットワーク構造体を形成する方法と、米粉を主原料とする含泡食品用生地と含泡食品とパンとその製造方法 - Google Patents

米粉を主原料として架橋ネットワーク構造体を形成する方法と、米粉を主原料とする含泡食品用生地と含泡食品とパンとその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、米粉を主原料とするだけでスポン
ジ状の架橋ネットワーク構造体を形成できる方法と技術
的知見を見出し、この新たな技術的知見に基づいて、架
橋ネットワーク構造体を形成する方法と、当該生地の粘
度を従来にない柔らかさに調製した含泡食品用生地と、
それを用いた米粉を主原料とする含泡食品とパンとその
製造方法とを具現化する技術に関するものである。 【構成】 米粉に酵母と水を加えた主原料に、必要に応
じて品質改善材や風味改善材といった副原料を加えて、
混合、混捏することにより当該混合原料が均一に分散・
混合させて作った粘弾性生地を、せん断速度0.01
(/s)での粘度が1x10〜4×10(Pa・s)と
なるように調製し、当該生地を酵母の発酵作用により発
泡膨張させたうえ、加熱処理をすることにより米粉を主
原料として架橋ネットワーク構造体を形成する方法と、
この方法を利用して形成された米粉を主原料とする含泡
食品用生地と、この含泡食品用生地を用いて製造した米
粉を主原料とした含泡食品やパンやその製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】従来、米粉には、小麦粉のように
グルテンが殆ど無く、他に粘弾性物質が含まれていない
ので、架橋ネットワーク構造体は形成されないとされて
いたが、鋭意研究開発の結果、米粉を主原料とするだけ
でスポンジ状の架橋ネットワーク構造体を形成できる方
法と技術的知見を見出した。そこで本発明者は、この新
たな技術的知見に基づいて、米粉に酵母と水を加えた主
原料と必要に応じて品質改善材や風味改善材を副原料と
して加えただけの材料を用いた生地で、架橋ネットワー
ク構造体を形成する方法と、当該生地の粘度を従来にな
い柔らかさに調製した含泡食品用生地と、それを用いた
米粉を主原料とする含泡食品と、その代表例である米粉
を主原料とするパンとその製造方法とを具現化する技術
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食生活の欧風化と多様化に伴い、米飯に
代わってパンやスポンジケーキ、マフィン、ラスク、な
どの小麦粉を原料とした食品の需要が拡大し、米の消費
量が減少する傾向にある。このように我国の主要農産物
である米の消費量が減少し、小麦の輸入が増大する状況
は、食の自給率確保から大いに問題がある。このため、
米を原料とする多様な加工食品の開発が強く要請されて
いる。
【0003】小麦粉は歴史的に非常に古くからパンなど
の含泡食品に使用されてきた。小麦粉が原料として使用
されてきた理由は水を含み混合した後のグルテンの粘弾
性に起因することが知られている。このグルテンの粘弾
性的性質はグリアジンとグルテニンという2つのタンパ
ク質が加水した状態で、機械的混合中にぶつかり合うこ
とにより、S−S結合などの新しい架橋ネットワーク構
造体が形成されることによる。イースト等で気泡を生成
した際、小麦粉グルテン以外の成分は粘度が低いため、
気泡の成長変形過程を促進する。そして、気泡が大きく
成長した際、壁の肉厚がうすくなるにも関わらず、グル
テン成分があることにより大きな気泡の骨格や特有のテ
クスチャーを形成しこの構造がつぶれることなく保つこ
とができる。ところが一方、うるち米、大麦、ライ麦、
マイロ、とうもろこし等、小麦以外の穀物粉にはこのグ
ルテン成分が含まれていない。このため、パンに代表さ
れる含泡食品は、小麦粉を使わず、100%米のみの主
原料からつくるのはできないものとされてきた。このた
め米粉は、古来より、団子、白玉、柏餅、草餅、などの
気泡の構造を有しない、柔弾性緻密構造加工食品に利用
されるのが一般的で、パンなどの含泡食品に加工される
ことはほとんどなかった。
【0004】近年、米を原料とする多様な加工食品の開
発要請から米粉を用いたパン類の製造をしようとする研
究が各方面でなされてきた。たとえば、特開平5−68
468号「パン生地用米粉」、特開平6−7071号
「米粉を用いたパンの製造方法」、特開平11−327
06「米粉及びそれを用いた加工食品の製造方法」、特
開平7−8158「新規なパン及び新規なパンの製造方
法」、特開平9−51754「パンの製造方法及び冷凍
パン並びに冷凍パン生地」、特開平11−225661
「パン及びその製造方法」などがそれである。しかし、
これらの発明は、いずれも小麦粉を部分的に米粉に置き
換えたもの、あるいは、小麦粉のグルテンと米粉を組み
合わせ、気泡が生成成長するプロセスにおいて、小麦粉
由来のグルテン構造の助けを借りて、気泡を成長させよ
うとする発想であった。これらも米粉を利用した含泡食
品ではあるが、小麦粉のグルテン以外のでんぷん成分を
米のでんぷん成分として、置き換えただけの処理であ
り、画期的な食品とはいいがたい。
【0005】また、古くから玄米パンがあるが、これも
上記と同様の発想である。また、特開2000−023
614「イースト発酵食品組成物」、特開平05−04
9386「パンの製造法」、特開平05−007448
「低蛋白パン用澱粉組成物及び低蛋白パンの製造法」に
は、小麦粉の一部を馬鈴薯澱粉などの澱粉に置き換えた
技術に関して開示している。しかし、これらも上記と同
様、主原料は小麦粉であり画期的な食品とはいいがた
い。
【0006】一方、近年米粉を主原料にして小麦粉を使
わない含泡米粉食品の開発も非常に少ないがいくつかの
例がある。たとえば、特開平5−130827「米粉パ
ンの製造方法」である。これは米粉パンの海綿構造形成
に必要な被膜性物として、餅米をアルファー化した糊状
物に、水飴やマルトトリオース、イサゴール、キタサ
ン、グアー、納豆菌粘質物などのような高分子粘性食品を
混和して発酵させた複合体を用いる方法である。これも
高分子粘性食品が不足している粘弾性を補充して複合体
に構成したものである。確かに小麦粉のグルテンは、混
入されていないが、それに代わる性質を有する高分子粘
性食品を加えるもので、発想としては前記のものと共通
である。
【0007】また、特開2001−69925「複合化
含泡米粉材料とこれを用いた含泡米粉食品」では、米粉
を主原料としてこれに精製絹フィブロインをグルテンに
代えて加えることにより含泡米粉食品を調製している。
これも泡の安定化促進のため精製絹フィブロインを補充
添加しているもので、添加物質に工夫はあるが、前記発
想は前記のものと共通している。尚、この実施例から
は、ベーキングパウダーを用いない場合のケーキ起泡に
は精製絹フィブロインは有効であるが、パンのように発
酵によって泡の生成と成長をともなう発泡プロセスをと
もなうとき、泡の安定性にどう寄与するかに関しては全
く示されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、独自のお
いしさをもった米粉を主原料としながら、小麦粉やグル
テンを用いないで、気泡が生成成長する発泡プロセスを
ともなわせた場合でも、その発泡倍率(発泡前後の体積
比)は、従来の小麦粉由来のパンとほぼ同じ程度にある
ようにするにはどうしたら良いか、米粉を主原料として
スポンジ状の架橋ネットワーク構造体を形成した発泡食
品を開発することを技術課題として研究開発を進めたも
のである。
【0009】従来の小麦粉を主原料としてつくられるパ
ンのイーストでの発酵する前の生地の粘度は、グルテン
が存在するためきわめて高い。たがって、米粉と酵母と
食塩と水とを主原料にして、必要に応じて糖類、油脂
類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味改善材等
の副原料を加えて、混合、混捏させて形成された生地で
は、上記の小麦粉での生地の粘度と同程度に調製すると
酵母での発酵工程時に発酵がすすまず、ふくらむことが
ない。
【0010】発泡プロセスについて、分野は異なるが発
泡成形性とプラスチックの粘度の関係について、近年基
礎的研究が進んできた。この研究知見では、粘度特性が
同じであれば、材料の分子構造にはそれほど依存せず、
良好に発泡するものと考えられている。本発明者は、異
質分野の学術的知見に基づいて、本件の場合にも粘度特
性に着目して、研究を進めることとした。
【0011】まず、小麦粉を主原料とするパン生地の場
合には、発酵時に生地の粘度が、せん断速度0.01
(/s)において約100000(Pa・s)(単位はパス
カル・セカンド)前後であることが解った。この様に小
麦粉を主原料とするパン生地の場合にはかなり高粘度で
あるため、パンの種類によってその形状を例えば、棒
状、ロール状、食パンでは四角の型に詰める等自由に成
形することができる。そして、この成形パン生地をイー
スト(酵母)により良好な発泡プロセスをへて、架橋ネ
ットワーク構造体を発形成させることができ、これを焼
成することにより固定される。
【0012】このため、米粉を主体として必要に応じて
副材料を添加した場合にも、このようなパンの場合と同
じか概念的に近い粘度特性であると考えられて試みられ
てきた。その場合には実験結果でも確認したように、米
粉を主原料にしたパン生地を従来と同じ高い粘度にした
のでは、良好な発泡倍率を得ることができなかった。こ
のため発明者は、米粉を主原料とした場合には、水分を
多くしてその素材に適した特定の粘度領域にある生地を
作ることを目指して実験検討をした。その結果、せん断
速度0.01(/s)での粘度が1x10〜4×10
(Pa・s)にした米粉を主原料とする生地にすると、
酵母の発酵作用によって良好な発泡が可能になり、その
生地を発泡膨張させることができる事が解った。しかも
その粘度領域にある生地にした場合には、発酵による発
泡プロセスを経て発泡膨張した生地は、焼成したり、蒸
したり、電子レンジで加熱したりすることにより、スポ
ンジ状の架橋ネットワーク構造体が形成されそれが固定
されるという技術知見を見出した。
【0013】本発明者は、このようにして見出された新
しい技術知見を利用すれば、従来困難とされてきた米粉
を主原料として用いながら、「酵母の発酵により良好な
発泡が可能な米粉を主原料とする含泡食品用生地」を提
供できること、このような含泡食品用生地を用いれば小
麦粉やグルテンや精製絹フィブロインや高分子粘性食品
など粘性補強材を特別に用いることなく、米粉独特の風
味を生かした米粉パンや米粉カステラや、スポンジケー
キ等の新しい含泡食品を容易に製造することができるこ
ととなった。本発明は、このように小麦粉とは異なる独
特の風味と味を持った米粉を主原料として用いた多様な
食品分野があらたな広がりをもって創出できるのに寄与
することが目的である。
【0014】
【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第
1発明は、米粉に酵母と水を加えた主原料に、必要に応
じて品質改善材や風味改善材といった副原料を加えて混
合・混捏することにより当該混合原料が均一に分散・混
合させて作った粘弾性生地を、せん断速度0.01(/
s)での粘度が1×10〜4x10P(Pa・s)とな
るように調製し、当該生地を酵母の発酵作用により発泡
膨張させたうえ、加熱処理をすることにより米粉を主原
料とする架橋ネットワーク構造体を形成する方法であ
る。
【0015】当該第1発明は、米粉に酵母と水を加えた
主原料として形成した粘弾性生地をせん断速度0.01
(/s)での粘度が1x10〜4×10Pa・s(パス
カル、セカンド)となるように調製すれば、これによっ
て発酵作用により良好な発泡膨張ができること、そして
これを加熱処理すれば米粉で架橋ネットワーク構造体を
形成することが出来るという基本発明である。従来から
米粉は、粘度補強材を加えなければ、スポンジ状の架橋
ネットワーク構造体ができないとされていたのを、粘度
調製をするだけで簡単に実現できることになったので、
米粉の食品としての利用態様が大きく広がることになっ
た。
【0016】特許を受けようとする第2発明は、米粉に
酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて糖類、
油脂類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味改善
材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合、混捏
することにより当該混合原料が均一に分散・混合させて
粘弾性を持った生地を作るが、この際、せん断速度0.
01(/s)での粘度が1×10〜4×10Pa・s
(パスカル、セカンド)となるように調製したことを特
徴とする米粉を主原料とする含泡食品用生地である。
【0017】本発明は、米粉を主原料にした発泡し得る
粘弾性を有する含泡食品用生地である。第一発明の原理
を応用した中間調理加工品である。このように、従来の
小麦粉の生地での粘度とは異なる素材に適した粘度領域
を具備した含泡食品用生地は、簡単に良好な発泡プロセ
スを経ることができ、米粉を主原料にした含泡食品を製
造することができるので便利である。
【0018】特許を受けようとする第3発明は、米粉
が、うるち米で製粉された米粉若しくはもち米で製造さ
れた米粉又はこれらが混合された米粉であることを含む
米粉を主原料とする第2発明に記載の含泡食品用生地で
ある。
【0019】ここでいう米粉とは、市販されている上新
粉やじょうよ粉をいう。また、米粉は、清酒における精
米時にも大量に生成される米粉も含む。たとえば、清酒
醸造元の極上粉や上粉などである。また、一般の粉砕機
械でも用意に米を粉砕することができ、これらの米粉も
含む。これらは、粉砕の粒の大きさや、粉砕プロセスの
条件で、米粉は水を含ませたときの粘度が著しく異な
る。このため、米粉と水分の比を調節することで、いろ
いろな米粉を単独または組み合わせて使用することがで
きる。
【0020】特許を受けようとする第4発明は、風味改
善材として、大豆粉末、馬鈴薯粉末を加えたことを特徴
とする米粉を主原料とする第2発明に記載の含泡食品用
生地である。
【0021】ここでいう大豆粉末とは、粉末状分離大豆
蛋白質粉末、構造性繊維状大豆蛋白、粒状大豆蛋白、粉
末状濃縮大豆蛋白などをいう。大豆蛋白質はイソフラボ
ンの供給源として知られており、大腸ガン、前立腺ガ
ン、などの発生率を低下させることがしられている。ま
た、最近のアメリカ食品医薬局(FDA)によると心臓
病の予防食品として効果があることが知られている。粉
末状分離大豆蛋白質粉末は水に良好に膨潤分散し、水と
粉末状分離大豆蛋白質粉末の重量比あるいは、その粉末
状分離大豆蛋白質粉末のグレードにより、粘度が調節可
能である。また、馬鈴薯澱粉とは、市販の片栗粉として
売られているもので、粒の大きさや水の量で粘度調節が
可能である。そのほか、既存の食味改良材料とは、従来
の小麦粉のパンに少量添加し利用されてきた、きな粉、
ライ麦、大麦、等をいう。
【0022】特許を受けようとする第5発明は、米粉に
酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて糖類、
油脂類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味改善
材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合・混捏
することにより当該混合原料が均一に分散・混合させ
て、せん断速度0.01(/s)での粘度が1x10
〜4x10(Pa・s)となるように調製した含泡食品
用生地となし、当該含泡食品用生地を酵母の作用で発酵
させることにより発泡膨張させたうえ、成形し、焼成す
るか、蒸すか又は電子レンジで加熱するなどの手段で加
熱処理をし、架橋ネットワーク構造体を形成したことを
特徴とする米粉を主原料とする含泡食品である。
【0023】当該第5発明は、米粉独特の風味を生かし
た米粉製パンや米粉製カステラや、米粉製スポンジケー
キ等を含む含泡食品である。本発明は、このように小麦
粉とは異なる独特の風味と味を持った米粉を主原料とし
て用いて、これまで困難とされてきた架橋ネットワーク
構造体態様を具備した米粉を主原料とする含泡食品であ
る。米粉のあらたな利用法を見出しての食品化である。
【0024】特許を受けようとする第6発明は、米粉
が、うるち米で製粉された米粉若しくはもち米で製造さ
れた米粉又はこれらが混合された米粉であることを含む
米粉を主原料とする第5発明に記載の含泡食品である。
【0025】特許を受けようとする第7発明は、風味改
善材として、大豆粉末、馬鈴薯粉末を加えたことを特徴
とする第5発明に記載の米粉を主原料とする含泡食品で
ある。
【0026】特許を受けようとする第8発明は、米粉に
酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて品質改
善材や風味改善材といった副原料を加えただけの混合原
料を用いて、粘度を柔らかく調製したパン生地となし、
そのパン生地を発酵により発泡膨張させ、焼成するか又
は蒸すことにより架橋ネットワーク構造体を形成してな
る米粉を主原料とするパンである。
【0027】本件発明のパンは、米粉を主原料とする含
泡食品の代表的な態様の商品である。パンは、非常にポ
ピュラーな主要食品であるが、本件発明の米粉を主原料
とするパンは、小麦粉やグルテンなど弾粘性を補強する
成分が入っていないので、従来の小麦粉製のパンとはそ
の食感と風味とが独特なものとなる。即ち、本発明は、
新しいお米独特のおいしさを持った米粉製パンとして商
品化できたものである。
【0028】特許を受けようとする第9発明は、米粉に
酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて糖類、
油脂類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味改善
材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合、混捏
して、当該混合原料が均一に分散・混合するとともに、
せん断速度0.01(/s)での粘度が1x10〜4
x10(Pa・s)の粘弾性を持ったパン生地を作成
し、当該パン生地を発酵させることにより発泡膨張させ
たうえ、成形し、焼成するか又は蒸すことを特徴とする
米粉を主原料とするパンの製造方法である。
【0029】第9発明は、従来困難とされていた米粉を
主原料とするパンを簡単に製造できる方法を提供したも
のである。即ち、米粉と酵母と食塩と水を加えた主原料
だけでパン生地を作り、そのパン生地の粘度を調整する
だけで、あとは従来と同じ手法で、発酵、形成、焼成工
程を進めるだけででスポンジ状の架橋ネットワーク構造
体を有するパンを安定して製造できるので便利である。
【0030】
【実施例】以下本発明を実施例に基づいて詳細に説明す
る。この実施例は、パンの調製をする事例である。本発
明は、このパンの調製をする実施例に限られるものでは
ないこと勿論である。
【0031】パンは通常、主原料として小麦粉、酵母、
食塩、水を用い、種類により副原料として糖類、油脂類
のほかに乳製品や卵などを用いて作られる。パンの製造
工程を示すと、まず、混合・混捏工程において、原料を
均一に分散・混合させて、適度な弾性と伸びを持ち、発
酵させるイーストを含んだ含泡食品用生地を調製する。
次に、発酵工程においては、酵母の作用で二酸化炭素が
生成され、生地を膨らませる。即ち、発酵させる発泡プ
ロセスにより発酵膨張した含泡材料をつくるのである。
これをパン製品の種類によって種種の形状に成形し、そ
のうえで焼成工程においては、生地をオーブンで焼くこ
とでパンをつくる。
【0032】一般にはこのようにしてパンをつくるので
あるが、業務用の製造工程には、いろいろな方法があ
る。代表的な方法としては、まず、配合材料の全部を同
時に捏ねて、その後、発酵させる直捏生地法がある。そ
のほかの代表的な製法としては、部分的な材料のみで中
種をまず作っておき、その中種を発酵させたあと、残り
の材料を加えてさらに捏ねて生地をつくり、これを発酵
させる中種中地法がある。後者の製法の特徴は、中種発
酵後の状態で、加える残りの量を制御できるので、製品
の品質が均一に出来ると一般的にいわれている。
【0033】本願発明の米粉をもちいる組成は、直捏生
地法でも、中種中地法でも良好に調製することができ、
その方法はどちらでも良い。ここの実施例1に示す結果
は、すべて直捏生地法で行った。
【0034】次に実施例に係るパンの調製をする際の組
成について、説明する。図1は、比較例の組成を示した表
1に、図2は、実施例の組成を表2に示す。ここで、小
麦粉は日清製粉製の強力粉を用いた。砂糖は、新三井製
糖製の砂糖を用いた。上新粉は中野食品工業株式会社の
上新粉を用い、ショートニングは、日本製粉製のショー
トニングを用いた。塩は、あらしお株式会社製の塩を用
いた。イーストは、S.I.Lesaffre(フランス)製のドラ
イイーストを用いた。極上粉は清酒の醸造元である
(株)小嶋総本店からのものを用いた。大豆蛋白質粉末
はフジプロテインテクノロジー株式会社製のプロリーナ
200、フジプロFX、ニュープジプロSE(いずれも
室温で粉末状)を用いた。馬鈴薯澱粉は、市販する片栗
粉を用いた。
【0035】混合・混捏は、ハンドミキサー(bamix
(スイス)製モデル100)を用いて10分間、最高出
力にて混合を行った。また、型の大きさは、縦13.5
センチ、横6.8センチ、高さ5.7センチの型をもち
い、これに生地を流し込み発酵させた。発酵時間は1時
間で、温度約35℃で行った。本願発明では、ショート
ニングを用いたが、バターでも代用できる。また、卵白
は卵黄を含んだ卵とすることもできるし、また、水とす
ることもできる。イーストは、ドライイーストでも、ま
た、生イーストでもよい。このように、主原料の米粉以
外は、従来から知られている一般的な、材料におきかえ
ることができる。本願発明の実施例ではすべて、米粉や
大豆蛋白質粉末は、前処理なしに用いた。しかし、水中
に前もってつける等の既存の処理方法をほどこしてもよ
い。また、米粉に代わるものとして、炊飯によりできた
ご飯がある。生地の粘度が、請求の範囲内であれば、ご
飯で置き換えることもできる。
【0036】次に、酵母の発酵作用による発泡生成によ
る生地の発泡倍率を測定した。発泡倍率は、パンの形を
形成する上で、重要な指標となる。本願発明において
は、発酵した前のイーストを含んだ材料を型のなかに流
し込み測定した高さを基準にし、発酵しさらにパンを焼
いた後の高さを測り、この高さの比より発泡倍率を計算
した。たとえば、発泡倍率は2倍とは、体積が2倍にふ
くれたことをいい、1倍とは、まったく、発酵前後で体
積の変化がないことを意味する。
【0037】また、原料の混合・混捏によりできた米粉
を主原料とする含泡食品用生地の粘度を測定した。当該
粘度測定は、レオメトリックス社製の回転タイプのレオ
メータ(製品名 ARES)を用いて、粘度が高い試料につ
いては平行平板型(円形の板が2枚あり、この間に試料
を入れて、片側(下側)が回転して、片側(上側)で応
力を検出する)を用い、実験は室温で、空気雰囲気中で
行った。粘度の低い試料については2重円筒型を用い
た。ここで粘度測定に用いた試料とは、全ての原料を混
合してできた、発酵前のパン生地のことである。測定条
件は、一定のひずみ速度(0.01 /s)で測定して、
約700秒後のほぼ安定した粘度の値を測定値とした。
試料が粘弾性的性質をもつと、粘度はひずみ速度ととも
に変化することが一般的にしられている。ここでは、発
酵に伴う変形の速度が非常に遅いため、0.01(/
s)という非常に遅い変形での粘度を、材料の粘度特性
の意義ある指標となると考えて規定した。試料で注意し
た点として、イースト(酵母)を含むと、室温での保存
や、室温での測定の最中に、気泡が生成成長してしまう
ため正確な測定が困難となる。そこで、表1,2(図
1、図2)の組成で、イースト(酵母)を含まないもの
を、別に容易して、これを粘度測定専用のサンプルとし
て用いた。これにより良好な再現性のある粘度測定結果
を得ることができた。
【0038】次に、比較例の結果の説明をする。図1に
は比較例での原材料すべて含めた組成を表1として示
し、図3には、結果を表3として示す。小麦粉を原料に
した従来のパンの生地(比較例1,2)は、水の量で多
少の粘度のコントロールはできるが、1.1x10
5.4x10という非常に高い粘度でも発泡倍率が
3.4や4.9という高い値に見られ、この領域で良好
なパンが得られる。
【0039】しかし、米粉を主原料にしたパンの生地
(比較例3)では、4.1x10と、ほぼ小麦粉原料
の生地(比較例2)と近い粘度の材料であるにもかかわ
らず、発泡倍率が極めて悪く、パンとしての構造として
適していない。また、食感も堅すぎて良好なものではな
かった。
【0040】また、米粉を主原料にして、しかも、水の
分量を極端に多くしたパンの生地(比較例4)では、
8.3x10と非常に低い粘度となる。しかし、この
場合粘度が低すぎて、気泡が生成と生長をしていくなか
で、気泡構造を保つことができず、発泡は全くしない
(発泡倍率1倍)。
【0041】一方、米粉の他に大豆蛋白質粉末を副原料
としてつかった生地の場合(比較例5)も、粘度が4.
5x10とほぼ従来の小麦粉からのパンの生地の粘度
と同じであると、発泡倍率が低く、パンの構造として適
していないばかりか、食感も悪い。
【0042】また、片栗粉100%では(比較例6)、
沈殿が生じてしまい、ふくらみも悪い。このように、従
来の小麦粉を原料とした生地と同程度の粘度では、予想
外にも、米粉を主原料と原料とした生地では粘度がたか
すぎて、イースト(酵母)により生成される気泡が成長
することができないため発泡倍率が低いことが明らかと
なった。粘度は、米粉と水分の量あるいは、米粉の種類
(極上粉の方が、上新粉より同量の水へ分散させると極
端に粘度が高い)で、極端に変化する。
【0043】同様に、粘度は大豆蛋白質粉末と水分の
量、大豆蛋白質粉末の種類(プロリーナ200の方が,
フジプロFX、ニュープジプロSEよりも、同程度の水
へ分散させると粘度が低い)で変化させることができ
る。
【0044】最後に、本件実施例の結果について説明す
る。図2には実施例での原材料すべて含めた組成を表2
として示し、図4には、結果を表4として示す。実施例
で用いた、米粉として上新粉と極上粉の両方を主原料と
して使用した生地(実施例1)では、粘度が1.4x1
となり、そのとき発泡倍率は2.3倍で、良好なパ
ンができる。また、原料の米粉として、上新粉のみを用
いて生地を作成した場合(実施例2)では、粘度が1.
8x10となり、そのとき発泡倍率は2.6倍とな
り、良好なパンができる。このように、米粉は1種類を
単独で用いようと、2種類を混合しようと、調製された
生地の粘度が範囲内の粘度であれば、良好なパンを作成
することができる。粘度は、水との比、あるいは米粉の
種類で、調製可能である。米粉と大豆蛋白質粉末の両方
を用いて作成された生地(実施例3)は粘度が1.9x
10となり、このとき発泡倍率は2倍である良好なパ
ンができる。
【0045】また、米粉と大豆蛋白質粉末との比を実施
例3とことなり変化させた場合(実施例4)は、粘度が
1.4x10となる。このとき発泡倍率は2倍で良好
なパンが作成できる。このように大豆蛋白質粉末を副原
料として使う場合も、範囲内の粘度にはいっていれば、
良好なパンが作成できる。さらに、実施例4と同様の組
成であるが、大豆蛋白質粉末の種類をことなるものとし
たのが実施例5,6である。同様に異なる大豆蛋白質粉
末を用いても、範囲内の粘度であれば、良好なパンが作
成できる。
【0046】また、水を大量にして粘度を下げて作成し
た生地が実施例7である。このとき粘度は1.7x10
であり、発泡倍率は2.2倍となり、気泡が大きいも
のと、小さい物とのばらつきが大きく、きめのばらつき
が大きいが、良好なパンができる。
【0047】また、実施例8から11のように、規定の
粘度範囲内であれば、片栗を添加しても、片栗粉と大豆
蛋白質の両方を添加しても、良好なふくらみとなる。以
上から示されるように、せん断速度0.01(/s)で
の粘度が1x10から4x10(Pa・s)にあるこ
とを特徴とする米粉を主原料とする、必要に応じて既知
の添加物を加えて作成された、生地材料を調製すること
により、良好な含泡食品をつくれることを初めて見いだ
した。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、比較例に用いた原料の組成を示す表1であ
る。
【図2】は、実施例に用いた原料の組成を示す表2であ
る。
【図3】は、比較例の結果まとめを示す表3である。
【図4】は、実施例の結果まとめを示す表4である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年4月11日(2002.4.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】米粉を主原料として架橋ネットワーク構
造体を形成する方法と、米粉を主原料とする含泡食品用
生地と含泡食品とパンとその製造方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 従来、米粉には、小麦粉のよう
にグルテンが殆ど無く、他に粘弾性物質が含まれていな
いので、架橋ネットワーク構造体は形成されないとされ
ていたが、鋭意研究開発の結果、米粉を主原料とするだ
けでスポンジ状の架橋ネットワーク構造体を形成できる
方法と技術的知見を見出した。そこで本発明者は、この
新たな技術的知見に基づいて、米粉に酵母と水を加えた
主原料と必要に応じて品質改善材や風味改善材を副原料
として加えただけの材料を用いた生地で、架橋ネットワ
ーク構造体を形成する方法と、当該生地の粘度を従来に
無い柔らかさに調製した含泡食品用生地と、当該その生
地をつくるための含泡食品用の調製米粉原料と、それら
を用いた米粉を主原料とする含泡食品と、その代表例で
ある米粉を主原料とするパンとその製造方法とを具現化
する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 食生活の欧風化と多様化に伴い、米飯
に代わってパンやスポンジケーキ、マフィン、ラスクな
どの小麦粉を原料とした食品の需要が拡大し、米の消費
量が減少する傾向にある。このように我国の主要農産物
である米の消費量が減少し、小麦の輸入量が増大する状
況は、食の自給率確保から大いに問題がある。このた
め、米を原料とする多様な加工食品の開発が強く要請さ
れている。
【0003】 小麦粉は歴史的に非常に古くからパンな
どの含泡食品に使用されてきた。小麦粉が原料として使
用されてきた理由は水を含み混合した後のグルテンの粘
弾性に起因することが知られている。このグルテンの粘
弾性的性質はグリアジンとグルテニンという2つのタン
パク質が加水した状態で、機械的混合中にぶつかり合う
ことにより、S−S結合などの新しい架橋ネットワーク
構造体が形成されることによる。イースト等で気泡を生
成した際、小麦粉グルテン以外の成分は粘度が低いた
め、気泡の成長変形過程を促進する。そして、気泡が大
きく成長した際、壁の肉厚がうすくなるにも関わらず、
グルテン成分があることにより大きな気泡の骨格や特有
のテクスチャーを形成しこの構造がつぶれることなく保
つことができる。ところが一方、うるち米、大麦、ライ
麦、マイロ、とうもろこし等、小麦以外の穀物粉にはこ
のグルテン成分が含まれていない。このため、パンに代
表される含泡食品は、小麦粉を使わず、100%米のみ
の主原料からつくるのはできないものとされてきた。こ
のため米粉は、古来より、団子、白玉、柏餅、草餅、な
どの気泡の構造を有しない、柔弾性緻密構造加工食品に
利用されるのが一般的で、パンなどの含泡食品に加工さ
れることはほとんどなかった。
【0004】 近年、米を原料とする多様な加工食品の
開発要請から米粉を用いたパン類の製造をしようとする
研究が各方面でなされてきた。たとえば、特開平5−6
8468号「パン生地用米粉」、特開平6−7071号
「米粉を用いたパンの製造方法」、特開平11−327
06「米粉及びそれを用いた加工食品の製造方法」、特
開平7−8158「新規なパン及び新規なパンの製造方
法」、特開平9−51754「パンの製造方法及び冷凍
パン並びに冷凍パン生地」、特開平11−225661
「パン及びその製造方法」などがそれである。しかし、
これらの発明は、いずれも小麦粉を部分的に米粉に置き
換えたもの、あるいは、小麦粉のグルテンと米粉を組み
合わせ、気泡が生成成長するプロセスにおいて、小麦粉
由来のグルテン構造の助けを借りて、気泡を成長させよ
うとする発想であった。これらも米粉を利用した含泡食
品ではあるが、小麦粉のグルテン以外のでんぷん成分を
米のでんぷん成分として、置き換えただけの処理であ
り、画期的な食品とはいいがたい。
【0005】 また、古くから玄米パンがあるが、これ
も上記と同様の発想である。また、特開2000−02
3614「イースト発酵食品組成物」、特開平05−0
49386「パンの製造法」、特開平05−00744
8「低蛋白パン用澱粉組成物及び低蛋白パンの製造法」
には、小麦粉の一部を馬鈴薯澱粉などの澱粉に置き換え
た技術に関して開示している。しかし、これらも上記と
同様、主原料は小麦粉であり画期的な食品とはいいがた
い。
【0006】 一方、近年米粉を主原料にして小麦粉を
使わない含泡米粉食品の開発も非常に少ないがいくつか
の例がある。たとえば、特開平5−130827「米粉
パンの製造方法」である。これは米粉パンの海綿構造形
成に必要な被膜性物として、餅米をアルファー化した糊
状物に、水飴やマルトトリオース、イサゴール、キタサ
ン、グアー、納豆菌粘質物などのような高分子粘性食品を
混和して発酵させた複合体を用いる方法である。これも
高分子粘性食品が不足している粘弾性を補充して複合体
に構成したものである。確かに小麦粉のグルテンは、混
入されていないが、それに代わる性質を有する高分子粘
性食品を加えるもので、発想としては前記のものと共通
である。
【0007】 また、特開2001−69925「複合
化含泡米粉材料とこれを用いた含泡米粉食品」では、米
粉を主原料としてこれに精製絹フィブロインをグルテン
に代えて加えることにより含泡米粉食品を調製してい
る。これも泡の安定化促進のため精製絹フィブロインを
補充添加しているもので、添加物質に工夫はあるが、前
記発想は前記のものと共通している。尚、この実施例か
らは、ベーキングパウダーを用いない場合のケーキ起泡
には精製絹フィブロインは有効であるが、パンのように
発酵によって泡の生成と成長をともなう発泡プロセスを
ともなうとき、泡の安定性にどう寄与するかに関しては
全く示されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】 本発明者は、独自の
おいしさをもった米粉を主原料としながら、小麦粉やグ
ルテンを用いないで、気泡が生成成長する発泡プロセス
をともなわせた場合でも、その発泡倍率(発泡前後の体
積比)は、従来の小麦粉由来のパンとほぼ同じ程度にあ
るようにするにはどうしたら良いか、米粉を主原料とし
てスポンジ状の架橋ネットワーク構造体を形成した発泡
食品を開発することを技術課題として研究開発を進めた
ものである。
【0009】 従来の小麦粉を主原料としてつくられる
パンが、イーストで発酵する前の生地の粘度は、グルテ
ンが存在するためきわめて高い。したがって、米粉と酵
母と食塩と水とを主原料にして、必要に応じて糖類、油
脂類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味改善材
等の副原料を加えて、混合、混捏させて形成された生地
では、上記の小麦粉での生地の粘度と同程度に調製する
と酵母での発酵工程時に発酵がすすまず、ふくらむこと
がない。
【0010】 発泡プロセスについて、分野は異なるが
発泡成形性とプラスチックの粘度の関係について、近年
基礎的研究が進んできた。この研究知見では、粘度特性
が同じであれば、材料の分子構造にはそれほど依存せ
ず、良好に発泡するものと考えられている。本発明者
は、このような異質分野の学術的知見に基づいて、本件
の場合にも粘度特性に着目して、研究を進めることとし
た。
【0011】 まず、小麦粉を主原料とするパン生地の
場合には、発酵時に生地の粘度が、せん断速度0.01
(/s)において約100000(Pa・s)(単位はパス
カル・セカンド)前後であることが解った。この様に小
麦粉を主原料とするパン生地の場合にはかなり高粘度で
あるため、パンの種類によってその形状を例えば、棒
状、ロール状、食パンでは四角の型に詰める等自由に成
形することができる。そして、この成形パン生地をイー
スト(酵母)により良好な発泡プロセスをへて、架橋ネ
ットワーク構造体を発形成させることができ、これを焼
成することにより固定される。
【0012】 このため、米粉を主体として必要に応じ
て副材料を添加した場合にも、このようなパンの場合と
同じか概念的に近い粘度特性であると考えられて試みら
れてきた。その場合には実験結果でも確認したように、
米粉を主原料にしたパン生地を従来と同じ高い粘度にし
たのでは、良好な発泡倍率を得ることができなかった。
このため発明者は、米粉を主原料とした場合には、水分
を多くしてその素材に適した特定の粘度領域にある生地
を作ることを目指して実験検討をした。その結果、せん
断速度0.01(/s)での粘度が1×10〜4×1
(Pa・s)にした米粉を主原料とする生地にする
と、酵母の発酵作用によって良好な発泡が可能になり、
その生地を発泡膨張させることができる事が解った。し
かもその粘度領域にある生地にした場合には、発酵によ
る発泡プロセスを経て発泡膨張した生地は、焼成した
り、蒸したり、電子レンジで加熱したりすることによ
り、スポンジ状の架橋ネットワーク構造体が形成されそ
れが固定されるという技術知見を見出した。
【0013】 本発明者は、このようにして見出された
新しい技術知見を利用すれば、従来困難とされてきた米
粉を主原料として用いながら、「酵母の発酵により良好
な発泡が可能な米粉を主原料とする含泡食品用生地」を
提供できること、このような含泡食品用生地を用いれば
小麦粉やグルテンや精製絹フィブロインや高分子粘性食
品など粘性補強材を特別に用いることなく、米粉独特の
風味を生かした米粉パンや米粉カステラや、スポンジケ
ーキ等の新しい含泡食品を容易に製造することができる
こととなった。本発明は、このように小麦粉とは異なる
独特の風味と味を持った米粉を主原料として用いた多様
な食品分野があらたな広がりをもって創出できるのに寄
与することが目的である。
【0014】
【課題を解決するための手段】 特許を受けようとする
第1発明は、米粉に酵母と水を加えた主原料に、必要に
応じて品質改善材や風味改善材といった副原料を加えて
混合・混捏することにより当該混合原料が均一に分散・
混合されるようにして作った粘弾性生地を、せん断速度
0.01(/s)での粘度が1×10 〜4×10(P
a・s)となるように調製し、当該生地を酵母の発酵作用
により発泡膨張させたうえ、加熱処理をすることにより
米粉を主原料とする架橋ネットワーク構造体を形成する
方法である。
【0015】 当該第1発明は、米粉に酵母と水を加え
た主原料として形成した粘弾性生地をせん断速度0.0
1(/s)での粘度が1×10〜4×10Pa・s(パ
スカル、セカンド)となるように調製すれば、これによ
って発酵作用により良好な発泡膨張ができること、そし
てこれを加熱処理すれば米粉で架橋ネットワーク構造体
を形成することが出来るという基本発明である。従来か
ら米粉は、粘度補強材を加えなければ、スポンジ状の架
橋ネットワーク構造体ができないとされていたのを、粘
度調製をするだけで簡単に実現できることになったの
で、米粉の食品としての利用態様が大きく広がることに
なった。
【0016】 特許を受けようとする第2発明は、米粉
に酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて糖
類、油脂類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味
改善材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合、
混捏することにより当該混合原料が均一に分散・混合さ
れるようにして粘弾性を持った生地を作るが、この際、
せん断速度0.01(/s)での粘度が1×10〜4
×10 P(Pa・s)となるように調製したことを特徴と
する米粉を主原料とする含泡食品用生地である。
【0017】 本発明は、米粉を主原料にした発泡し得
る粘弾性を有する含泡食品用生地である。第一発明の原
理を応用した中間調理加工品である。このように、従来
の小麦粉の生地での粘度とは異なる素材に適した粘度領
域を具備した含泡食品用生地は、簡単に良好な発泡プロ
セスを経ることができ、米粉を主原料にした含泡食品を
製造することができるので便利である。尚、当該米粉を
主原料とする含泡食品用生地には、常温の製品と冷凍品
の製品と両方が含まれるものである。この点は以下、第
3発明、第4発明、第5発明も同様である。
【0018】 特許を受けようとする第3発明は、米粉
が、うるち米で製粉された米粉若しくはもち米で製造さ
れた米粉又はこれらが混合された米粉であることを含む
米粉を主原料とする第2発明に記載の含泡食品用生地で
ある。
【0019】 ここでいう米粉とは、市販されている上
新粉や上粉をいう。また、米粉は、清酒における精米時
にも大量に生成される米粉も含む。たとえば、清酒醸造
元の極上粉や上粉などである。尚、上新粉は、瞬時に粉
砕されていて熱がかかっていないものであり、これに対
し上粉は、長時間熱がかかっているため、澱粉が糊化し
ていて粘り気を有しているというようにその物性は大き
く異なっている。従ってこれら上新粉と上粉を混合する
ことにより粘性を調整できるだけでなく、加熱すること
により更に粘性が強化するなどその物性が複雑化してお
り、酵母の作用で発酵させた際の発泡膨張性に大きな影
響を与えるものである。また、一般の粉砕機械でも容易
に米を粉砕することができ、これらの米粉も含む。これ
らは、粉砕の粒の大きさや、粉砕プロセスの条件で、米
粉は水を含ませたときの粘度が著しく異なる。このた
め、米粉と水分の比を調節することで、いろいろな米粉
を単独または組み合わせて使用することができる。例え
ば、米粉が、上新粉と上粉を混合した米粉である場合に
は、粘度が高くなるので含泡食品用生地として発泡し得
る粘弾性を保持させるのが容易になるので含泡食品用に
向いている原料となる。
【0020】 特許を受けようとする第4発明は、米粉
が、上新粉と上粉を混合した米粉であることを特徴とす
る第2発明又は第3発明に記載の含泡食品用生地であ
る。
【0021】 当該第4発明は、上新粉と上粉を混合し
た米粉原料を用いることにより、後で酵母と食塩と水を
加えた主原料に、必要に応じて糖類、油脂類、乳製品、
卵、その他の品質改善材又は風味改善材といった副原料
の一部又は全部を加えて、混合・混捏し、当該混合原料
が均一に分散・混合して、せん断速度0.01(/s)
での粘度が1×10〜4×10(Pa・s)となるよ
うに調製するのが容易となり、酵母の作用で発酵させた
際、発泡膨張させ易い含泡食品用生地を提供できるもの
である。
【0022】 特許を受けようとする第5発明は、風味
改善材として、大豆粉末、馬鈴薯粉末を加えたことを特
徴とする米粉を主原料とする第2発明に記載の含泡食品
用生地である。
【0023】 ここでいう大豆粉末とは、粉末状分離大
豆蛋白質粉末、構造性繊維状大豆蛋白、粒状大豆蛋白、
粉末状濃縮大豆蛋白などをいう。大豆蛋白質はイソフラ
ボンの供給源として知られており、大腸ガン、前立腺ガ
ン、などの発生率を低下させることがしられている。ま
た、最近のアメリカ食品医薬局(FDA)によると心臓
病の予防食品として効果があることが知られている。粉
末状分離大豆蛋白質粉末は水に良好に膨潤分散し、水と
粉末状分離大豆蛋白質粉末の重量比あるいは、その粉末
状分離大豆蛋白質粉末のグレードにより、粘度が調節可
能である。また、馬鈴薯澱粉とは、市販の片栗粉として
売られているもので、粒の大きさや水の量で粘度調節が
可能である。そのほか、既存の食味改良材料とは、従来
の小麦粉のパンに少量添加し利用されてきた、きな粉、
ライ麦、大麦、等をいう。
【0024】 特許を受けようとする第6発明は、上新
粉と上粉とを混合したことを特徴とする含泡食品用の調
製米粉原料である。
【0025】 当該第6発明は、前記のように、米粉を
上新粉と上粉とを混合した含泡食品用の調製米粉原料で
ある。これは後で酵母と食塩と水などの追加主原料と、
糖類、油脂類、乳製品、卵、品質改善材又は風味改善材
などといった副原料を加えて混合・混捏したとき、容易
にその粘度が酵母の作用で発酵させた際、発泡膨張させ
易い適度なものとなすことができるものである。
【0026】 特許を受けようとする第7発明は、上新
粉と上粉を混合した調製米粉原料に食塩と粉末状糖類と
粉末状乳製品とを組み合わせ混合したことを特徴とする
含泡食品用の粉末状基礎調製原料である。
【0027】 当該第7発明は、前記のように、米粉を
上新粉と上粉とを混合した含泡食品用の調製米粉原料
に、食塩と粉末状糖類と粉末状乳製品という粉状体原料
のみを組み合わせ調合した含泡食品用の粉末状基礎調製
原料である。これらは混合してもそれだけでは反応した
り、物性が変化したりすることがない。従って、このよ
うな粉末状基礎調製原料の形として商品化し、流通さ
せ、保存しておき、含泡食品を製造しようとする際に、
酵母と水と油脂類と卵を加えて混合・混捏するだけで粘
度が酵母の作用で発酵させた際、発泡膨張させ易い適度
な含泡食品用生地となすことができ、簡便に含泡食品を
製造することが出来る。
【0028】 特許を受けようとする第8発明は、米粉
に酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて糖
類、油脂類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味
改善材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合・
混捏することにより当該混合原料が均一に分散・混合さ
せて、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×10
〜4×10(Pa・s)となるように調製した含泡食
品用生地となし、当該含泡食品用生地を酵母の作用で発
酵させることにより発泡膨張させたうえ、成形し、焼成
するか、蒸すか又は電子レンジで加熱するなどの手段で
加熱処理をし、架橋ネットワーク構造体を形成したこと
を特徴とする米粉を主原料とする含泡食品である。
【0029】 当該第8発明は、米粉独特の風味を生か
した米粉製パンや米粉製カステラや、米粉製スポンジケ
ーキ等を含む含泡食品である。本発明は、このように小
麦粉とは異なる独特の風味と味を持った米粉を主原料と
して用いて、これまで困難とされてきた架橋ネットワー
ク構造体態様を具備した米粉を主原料とする含泡食品で
ある。米粉のあらたな利用法を見出しての食品化であ
る。
【0030】 特許を受けようとする第9発明は、米粉
が、うるち米で製粉された米粉若しくはもち米で製造さ
れた米粉又はこれらが混合された米粉であることを含む
米粉を主原料とする第5発明に記載の含泡食品である。
【0031】 特許を受けようとする第10発明は、上
新粉と上粉とを混合した含泡食品用の調製米粉に酵母と
食塩と水を加えて主原料となしたことを特徴とする第8
発明に記載の米粉を主原料とする含泡食品である。
【0032】 特許を受けようとする第11発明は、風
味改善材として、大豆粉末、馬鈴薯粉末を加えたことを
特徴とする第5発明に記載の米粉を主原料とする含泡食
品である。
【0033】 特許を受けようとする第12発明は、米
粉に酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて品
質改善材や風味改善材といった副原料を加えただけの混
合原料を用いて、粘度を柔らかく調製したパン生地とな
し、そのパン生地を発酵により発泡膨張させ、焼成する
か又は蒸すことにより架橋ネットワーク構造体を形成し
てなる米粉を主原料とするパンである。
【0034】 本件発明のパンは、米粉を主原料とする
含泡食品の代表的な態様の商品である。パンは、非常に
ポピュラーな主要食品であるが、本件発明の米粉を主原
料とするパンは、小麦粉やグルテンなど弾粘性を補強す
る成分が入っていないので、従来の小麦粉製のパンとは
その食感と風味とが独特なものとなる。即ち、本発明
は、新しいお米独特のおいしさを持った米粉製パンとし
て商品化できたものである。
【0035】 特許を受けようとする第13発明は、米
粉に酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて糖
類、油脂類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味
改善材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合、
混捏して、当該混合原料が均一に分散・混合するととも
に、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×10
〜4×10(Pa・s)の粘弾性を持ったパン生地を作
成し、当該パン生地を発酵させることにより発泡膨張さ
せたうえ、成形し、焼成するか又は蒸すことを特徴とす
る米粉を主原料とするパンの製造方法である。
【0036】 当該第13発明は、従来困難とされてい
た米粉を主原料とするパンを簡単に製造できる方法を提
供したものである。即ち、米粉と酵母と食塩と水を加え
た主原料だけでパン生地を作り、そのパン生地の粘度を
調整するだけで、あとは従来と同じ手法で、発酵、形
成、焼成工程を進めるだけでスポンジ状の架橋ネットワ
ーク構造体を有するパンを安定して製造できるので便利
である。
【0037】
【実施例】 以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説
明する。この実施例は、パンの調製をする事例である。
本発明は、このパンの調製をする実施例に限られるもの
ではないこと勿論である。
【0038】 パンは通常、主原料として小麦粉、酵
母、食塩、水を用い、種類により副原料として糖類、油
脂類のほかに乳製品や卵などを用いて作られる。パンの
製造工程を示すと、まず、混合・混捏工程において、原
料を均一に分散・混合させて、適度な弾性と伸びを持
ち、発酵させるイーストを含んだ含泡食品用生地を調製
する。次に、発酵工程においては、酵母の作用で二酸化
炭素が生成され、生地を膨らませる。即ち、発酵させる
発泡プロセスにより発酵膨張した含泡材料をつくるので
ある。これをパン製品の種類によって種種の形状に成形
し、そのうえで焼成工程においては、生地をオーブンで
焼くことでパンをつくる。
【0039】 一般にはこのようにしてパンをつくるの
であるが、業務用の製造工程には、いろいろな方法があ
る。代表的な方法としては、まず、配合材料の全部を同
時に捏ねて、その後、発酵させる直捏生地法がある。そ
のほかの代表的な製法としては、部分的な材料のみで中
種をまず作っておき、その中種を発酵させたあと、残り
の材料を加えてさらに捏ねて生地をつくり、これを発酵
させる中種中地法がある。後者の製法の特徴は、中種発
酵後の状態で、加える残りの量を制御できるので、製品
の品質が均一に出来ると一般的にいわれている。
【0040】 本願発明の米粉をもちいる組成は、直捏
生地法でも、中種中地法でも良好に調製することがで
き、その方法はどちらでも良い。ここの実施例1に示す
結果は、すべて直捏生地法で行った。
【0041】 次に実施例に係るパンの調製をする際の
組成について、説明する。図1は、比較例の組成を示した
表1に、図2は、実施例の組成を表2に示す。ここで、
小麦粉は日清製粉製の強力粉を用いた。砂糖は、新三井
製糖製の砂糖を用いた。上新粉は中野食品工業株式会社
製の上新粉を用い、ショートニングは、日本製粉製のシ
ョートニングを用いた。塩は、あらしお株式会社製の塩
を用いた。イーストは、S.I.Lesaffre(フランス)製の
ドライイーストを用いた。極上粉は清酒の醸造元である
株式会社小嶋総本店からのものを用いた。大豆蛋白質粉
末はフジプロテインテクノロジー株式会社製のプロリー
ナ200、フジプロF×、ニュープジプロSE(いずれ
も室温で粉末状)を用いた。馬鈴薯澱粉は、市販する片
栗粉を用いた。
【0042】 混合・混捏は、ハンドミキサー(bami×
(スイス)製モデル100)を用いて10分間、最高出
力にて混合を行った。また、型の大きさは、縦13.5
センチ、横6.8センチ、高さ5.7センチの型を用
い、これに生地を流し込み発酵させた。発酵時間は1時
間で、温度約35℃で行った。本願発明では、ショート
ニングを用いたが、バターでも代用できる。また、卵白
は卵黄を含んだ卵とすることもできるし、また、水とす
ることもできる。イーストは、ドライイーストでも、ま
た、生イーストでもよい。このように、主原料の米粉以
外は、従来から知られている一般的な材料におきかえる
ことができる。本願発明の実施例ではすべて、米粉や大
豆蛋白質粉末は、前処理なしに用いた。しかし、水中に
前もってつける等の既存の処理方法をほどこしてもよ
い。また、米粉に代わるものとして、炊飯によりできた
ご飯がある。生地の粘度が、請求の範囲内であれば、ご
飯で置き換えることもできる。
【0043】 次に、酵母の発酵作用による発泡生成に
よる生地の発泡倍率を測定した。発泡倍率は、パンの形
を形成する上で、重要な指標となる。本願発明において
は、発酵した前のイーストを含んだ材料を型のなかに流
し込み測定した高さを基準にし、発酵しさらにパンを焼
いた後の高さを測り、この高さの比より発泡倍率を計算
した。たとえば、発泡倍率は2倍とは、体積が2倍にふ
くれたことをいい、1倍とは、まったく、発酵前後で体
積の変化がないことを意味する。
【0044】 また、原料の混合・混捏によりできた米
粉を主原料とする含泡食品用生地の粘度を測定した。当
該粘度測定は、レオメトリックス社製の回転タイプのレ
オメータ(製品名 ARES)を用いて、粘度が高い試料に
ついては平行平板型(円形の板が2枚あり、この間に試
料を入れて、片側(下側)が回転して、片側(上側)で
応力を検出する)を用い、実験は室温で、空気雰囲気中
で行った。粘度の低い試料については2重円筒型を用い
た。ここで粘度測定に用いた試料とは、全ての原料を混
合してできた、発酵前のパン生地のことである。
【0045】 測定条件は、一定のひずみ速度(0.0
1 /s)で測定して、約700秒後のほぼ安定した粘度
の値を測定値とした。試料が粘弾性的性質をもつと、粘
度はひずみ速度とともに変化することが一般的にしられ
ている。ここでは、発酵に伴う変形の速度が非常に遅い
ため、0.01(/s)という非常に遅い変形での粘度
を、材料の粘度特性の意義ある指標となると考えて規定
した。試料で注意した点として、イースト(酵母)を含
むと、室温での保存や、室温での測定の最中に、気泡が
生成成長してしまうため正確な測定が困難となる。そこ
で、表1,2(図1、図2)の組成で、イースト(酵
母)を含まないものを、別に用意して、これを粘度測定
専用のサンプルとして用いた。これにより良好な再現性
のある粘度測定結果を得ることができた。
【0046】 次に、比較例の結果の説明をする。図1
には比較例での原材料すべて含めた組成を表1として示
し、図3には、結果を表3として示す。小麦粉を原料に
した従来のパンの生地(比較例1,2)は、水の量で多
少の粘度のコントロールはできるが、1.1×10
5.4×10という非常に高い粘度でも発泡倍率が
3.4や4.9という高い値に見られ、この領域で良好
なパンが得られる。
【0047】 しかし、米粉を主原料にしたパンの生地
(比較例3)では、4.1×10と、ほぼ小麦粉原料
の生地(比較例2)と近い粘度の材料であるにもかかわ
らず、発泡倍率が極めて悪く、パンとしての構造として
適していない。また、食感も堅すぎて良好なものではな
かった。
【0048】 また、米粉を主原料にして、しかも、水
の分量を極端に多くしたパンの生地(比較例4)では、
8.3×10と非常に低い粘度となる。しかし、この
場合、粘度が低すぎて気泡が生成と生長をしていくなか
で、気泡構造を保つことができず、発泡は全くしない
(発泡倍率1倍)。
【0049】 一方、米粉の他に大豆蛋白質粉末を副原
料としてつかった生地の場合(比較例5)も、粘度が
4.5×10とほぼ従来の小麦粉からのパンの生地の
粘度と同じであると、発泡倍率が低く、パンの構造とし
て適していないばかりか、食感も悪い。
【0050】 また、片栗粉100%では(比較例
6)、沈殿が生じてしまい、ふくらみも悪い。このよう
に、従来の小麦粉を原料とした生地と同程度の粘度で
は、予想外にも、米粉を主原料と原料とした生地では粘
度がたかすぎて、イースト(酵母)により生成される気
泡が成長することができないため発泡倍率が低いことが
明らかとなった。粘度は、米粉と水分の量、あるいは米
粉の種類(極上粉の方が、上新粉より同量の水へ分散さ
せると極端に粘度が高い)で、極端に変化する。
【0051】 同様に、粘度は大豆蛋白質粉末と水分の
量、大豆蛋白質粉末の種類(プロリーナ200の方が、
フジプロF×、ニュープジプロSEよりも、同程度の水
へ分散させると粘度が低い)で変化させることができ
る。
【0052】 最後に、本件実施例の結果について説明
する。図2には実施例での原材料すべて含めた組成を表
2として示し、図4には、結果を表4として示す。
【0053】 実施例で用いた、米粉として上新粉と極
上粉の両方を主原料として使用した生地(実施例1)で
は、粘度が1.4×10となり、そのとき発泡倍率は
2.3倍で、良好なパンができる。このように、上新粉
と極上粉の両方を主原料として使用した場合、上新粉は
瞬時に粉砕されていて熱がかかっていないのに対し、上
粉や極上粉は、50〜70時間という長時間熱がかかっ
ているので、澱粉がアルファー化し、糊化している。こ
のため、上新粉と上粉とを組合せることにより粘度の調
整が容易となり、安定した発泡倍率を得ることが出来
る。
【0054】 また、原料の米粉として、上新粉のみを
用いて生地を作成した場合(実施例2)では、粘度が
1.8×10となり、そのとき発泡倍率は2.6倍と
なり、良好なパンができる。このように、米粉は1種類
を単独で用いようと、2種類を混合しようと、調製され
た生地の粘度が範囲内の粘度であれば、良好なパンを作
成することができる。粘度は、水との比、あるいは米粉
の種類で、調製可能である。米粉と大豆蛋白質粉末の両
方を用いて作成された生地(実施例3)は粘度が1.9
×10となり、このとき発泡倍率は2倍である良好な
パンができる。
【0055】 また、米粉と大豆蛋白質粉末との比を実
施例3と異なり変化させた場合(実施例4)は、粘度が
1.4×10となる。このとき発泡倍率は2倍で良好
なパンが作成できる。このように大豆蛋白質粉末を副原
料として使う場合も、範囲内の粘度にはいっていれば、
良好なパンが作成できる。さらに、実施例4と同様の組
成であるが、大豆蛋白質粉末の種類を異なるものとした
のが実施例5,6である。同様に異なる大豆蛋白質粉末
を用いても、範囲内の粘度であれば、良好なパンが作成
できる。
【0056】 また、水を大量にして粘度を下げて作成
した生地が実施例7である。このとき粘度は1.7×1
であり、発泡倍率は2.2倍となり、気泡が大きい
ものと、小さい物とのばらつきが大きく、きめのばらつ
きが大きいが、良好なパンができる。
【0057】 また、実施例8から実施例11のよう
に、規定の粘度範囲内であれば、片栗粉を添加しても、
片栗粉と大豆蛋白質の両方を添加しても、良好なふくら
みとなる。以上から示されるように、せん断速度0.0
1(/s)での粘度が1×10から4×10(Pa・
s)にあることを特徴とする米粉を主原料とする、必要
に応じて既知の添加物を加えて作成された、生地材料を
調製することにより、良好な含泡食品をつくれることを
初めて見いだした。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年12月3日(2002.12.
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 従来、米粉には、小麦粉のよう
にグルテンが殆ど無く、他に粘弾性物質が含まれていな
いので、架橋ネットワーク構造体は形成されないとされ
ていたが、鋭意研究開発の結果、米粉を主原料とするだ
けでスポンジ状の架橋ネットワーク構造体を形成できる
方法と技術的知見を見出した。そこで本発明者は、この
新たな技術的知見に基づいて、米粉に酵母と水を加えた
主原料と必要に応じて品質改善材や風味改善材を副原料
として加えただけの材料を用いた生地で、架橋ネットワ
ーク構造体を形成する方法と、当該生地の粘度を従来に
無い柔らかさに調製した含泡食品用生地と、当該その生
地をつくるための含泡食品用の調製米粉原料と、それら
を用いた米粉を主原料とする含泡食品と、その代表例で
ある米粉を主原料とするパンとその製造方法とを具現化
する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 食生活の欧風化と多様化に伴い、米飯
に代わってパンやスポンジケーキ、マフィン、ラスクな
どの小麦粉を原料とした食品の需要が拡大し、米の消費
量が減少する傾向にある。このように我国の主要農産物
である米の消費量が減少し、小麦の輸入量が増大する状
況は、食の自給率確保から大いに問題がある。このた
め、米を原料とする多様な加工食品の開発が強く要請さ
れている。
【0003】 小麦粉は歴史的に非常に古くからパンな
どの含泡食品に使用されてきた。小麦粉が原料として使
用されてきた理由は水を含み混合した後のグルテンの粘
弾性に起因することが知られている。このグルテンの粘
弾性的性質はグリアジンとグルテニンという2つのタン
パク質が加水した状態で、機械的混合中にぶつかり合う
ことにより、S−S結合などの新しい架橋ネットワーク
構造体が形成されることによる。イースト等で気泡を生
成した際、小麦粉グルテン以外の成分は粘度が低いた
め、気泡の成長変形過程を促進する。そして、気泡が大
きく成長した際、壁の肉厚がうすくなるにも関わらず、
グルテン成分があることにより大きな気泡の骨格や特有
のテクスチャーを形成しこの構造がつぶれることなく保
つことができる。ところが一方、うるち米、大麦、ライ
麦、マイロ、とうもろこし等、小麦以外の穀物粉にはこ
のグルテン成分が含まれていない。このため、パンに代
表される含泡食品は、小麦粉を使わず、100%米のみ
の主原料からつくるのはできないものとされてきた。こ
のため米粉は、古来より、団子、白玉、柏餅、草餅、な
どの気泡の構造を有しない、柔弾性緻密構造加工食品に
利用されるのが一般的で、パンなどの含泡食品に加工さ
れることはほとんどなかった。
【0004】 近年、米を原料とする多様な加工食品の
開発要請から米粉を用いたパン類の製造をしようとする
研究が各方面でなされてきた。たとえば、特開平5−6
8468号「パン生地用米粉」、特開平6−7071号
「米粉を用いたパンの製造方法」、特開平11−327
06「米粉及びそれを用いた加工食品の製造方法」、特
開平7−8158「新規なパン及び新規なパンの製造方
法」、特開平9−51754「パンの製造方法及び冷凍
パン並びに冷凍パン生地」、特開平11−225661
「パン及びその製造方法」などがそれである。しかし、
これらの発明は、いずれも小麦粉を部分的に米粉に置き
換えたもの、あるいは、小麦粉のグルテンと米粉を組み
合わせ、気泡が生成成長するプロセスにおいて、小麦粉
由来のグルテン構造の助けを借りて、気泡を成長させよ
うとする発想であった。これらも米粉を利用した含泡食
品ではあるが、小麦粉のグルテン以外のでんぷん成分を
米のでんぷん成分として、置き換えただけの処理であ
り、画期的な食品とはいいがたい。
【0005】 また、古くから玄米パンがあるが、これ
も上記と同様の発想である。また、特開2000−02
3614「イースト発酵食品組成物」、特開平05−0
49386「パンの製造法」、特開平05−00744
8「低蛋白パン用澱粉組成物及び低蛋白パンの製造法」
には、小麦粉の一部を馬鈴薯澱粉などの澱粉に置き換え
た技術に関して開示している。しかし、これらも上記と
同様、主原料は小麦粉であり画期的な食品とはいいがた
い。
【0006】 一方、近年米粉を主原料にして小麦粉を
使わない含泡米粉食品の開発も非常に少ないがいくつか
の例がある。たとえば、特開平5−130827「米粉
パンの製造方法」である。これは米粉パンの海綿構造形
成に必要な被膜性物として、餅米をアルファー化した糊
状物に、水飴やマルトトリオース、イサゴール、キタサ
ン、グアー、納豆菌粘質物などのような高分子粘性食品を
混和して発酵させた複合体を用いる方法である。これも
高分子粘性食品が不足している粘弾性を補充して複合体
に構成したものである。確かに小麦粉のグルテンは、混
入されていないが、それに代わる性質を有する高分子粘
性食品を加えるもので、発想としては前記のものと共通
である。
【0007】 また、特開2001−69925「複合
化含泡米粉材料とこれを用いた含泡米粉食品」では、米
粉を主原料としてこれに精製絹フィブロインをグルテン
に代えて加えることにより含泡米粉食品を調製してい
る。これも泡の安定化促進のため精製絹フィブロインを
補充添加しているもので、添加物質に工夫はあるが、前
記発想は前記のものと共通している。尚、この実施例か
らは、ベーキングパウダーを用いない場合のケーキ起泡
には精製絹フィブロインは有効であるが、パンのように
発酵によって泡の生成と成長をともなう発泡プロセスを
ともなうとき、泡の安定性にどう寄与するかに関しては
全く示されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】 本発明者は、独自の
おいしさをもった米粉を主原料としながら、小麦粉やグ
ルテンを用いないで、気泡が生成成長する発泡プロセス
をともなわせた場合でも、その発泡倍率(発泡前後の体
積比)は、従来の小麦粉由来のパンとほぼ同じ程度にあ
るようにするにはどうしたら良いか、米粉を主原料とし
てスポンジ状の架橋ネットワーク構造体を形成した発泡
食品を開発することを技術課題として研究開発を進めた
ものである。
【0009】 従来の小麦粉を主原料としてつくられる
パンが、イーストで発酵する前の生地の粘度は、グルテ
ンが存在するためきわめて高い。したがって、米粉と酵
母と食塩と水とを主原料にして、必要に応じて糖類、油
脂類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味改善材
等の副原料を加えて、混合、混捏させて形成された生地
では、上記の小麦粉での生地の粘度と同程度に調製する
と酵母での発酵工程時に発酵がすすまず、ふくらむこと
がない。
【0010】 発泡プロセスについて、分野は異なるが
発泡成形性とプラスチックの粘度の関係について、近年
基礎的研究が進んできた。この研究知見では、粘度特性
が同じであれば、材料の分子構造にはそれほど依存せ
ず、良好に発泡するものと考えられている。本発明者
は、このような異質分野の学術的知見に基づいて、本件
の場合にも粘度特性に着目して、研究を進めることとし
た。
【0011】 まず、小麦粉を主原料とするパン生地の
場合には、発酵時に生地の粘度が、せん断速度0.01
(/s)において約100000(Pa・s)(単位はパス
カル・セカンド)前後であることが解った。この様に小
麦粉を主原料とするパン生地の場合にはかなり高粘度で
あるため、パンの種類によってその形状を例えば、棒
状、ロール状、食パンでは四角の型に詰める等自由に成
形することができる。そして、この成形パン生地をイー
スト(酵母)により良好な発泡プロセスをへて、架橋ネ
ットワーク構造体を発形成させることができ、これを焼
成することにより固定される。
【0012】 このため、米粉を主体として必要に応じ
て副材料を添加した場合にも、このようなパンの場合と
同じか概念的に近い粘度特性であると考えられて試みら
れてきた。その場合には実験結果でも確認したように、
米粉を主原料にしたパン生地を従来と同じ高い粘度にし
たのでは、良好な発泡倍率を得ることができなかった。
このため発明者は、米粉を主原料とした場合には、水分
を多くしてその素材に適した特定の粘度領域にある生地
を作ることを目指して実験検討をした。その結果、せん
断速度0.01(/s)での粘度が1×10〜4×1
(Pa・s)にした米粉を主原料とする生地にする
と、酵母の発酵作用によって良好な発泡が可能になり、
その生地を発泡膨張させることができる事が解った。し
かもその粘度領域にある生地にした場合には、発酵によ
る発泡プロセスを経て発泡膨張した生地は、焼成した
り、蒸したり、電子レンジで加熱したりすることによ
り、スポンジ状の架橋ネットワーク構造体が形成されそ
れが固定されるという技術知見を見出した。
【0013】 本発明者は、このようにして見出された
新しい技術知見を利用すれば、従来困難とされてきた米
粉を主原料として用いながら、「酵母の発酵により良好
な発泡が可能な米粉を主原料とする含泡食品用生地」を
提供できること、このような含泡食品用生地を用いれば
小麦粉やグルテンや精製絹フィブロインや高分子粘性食
品など粘性補強材を特別に用いることなく、米粉独特の
風味を生かした米粉パンや米粉カステラや、スポンジケ
ーキ等の新しい含泡食品を容易に製造することができる
こととなった。本発明は、このように小麦粉とは異なる
独特の風味と味を持った米粉を主原料として用いた多様
な食品分野があらたな広がりをもって創出できるのに寄
与することが目的である。
【0014】
【課題を解決するための手段】 特許を受けようとする
第1発明は、米粉に酵母と水を加えた主原料に、必要に
応じて品質改善材や風味改善材といった副原料を加えて
混合・混捏することにより当該混合原料が均一に分散・
混合されるようにして作った粘弾性生地を、せん断速度
0.01(/s)での粘度が1×10 〜4×10(P
a・s)となるように調製し、当該生地を酵母の発酵作用
により発泡膨張させたうえ、加熱処理をすることにより
米粉を主原料とする架橋ネットワーク構造体を形成する
方法である。
【0015】 当該第1発明は、米粉に酵母と水を加え
た主原料として形成した粘弾性生地をせん断速度0.0
1(/s)での粘度が1×10〜4×10Pa・s(パ
スカル、セカンド)となるように調製すれば、これによ
って発酵作用により良好な発泡膨張ができること、そし
てこれを加熱処理すれば米粉で架橋ネットワーク構造体
を形成することが出来るという基本発明である。従来か
ら米粉は、粘度補強材を加えなければ、スポンジ状の架
橋ネットワーク構造体ができないとされていたのを、粘
度調製をするだけで簡単に実現できることになったの
で、米粉の食品としての利用態様が大きく広がることに
なった。
【0016】 特許を受けようとする第2発明は、米粉
に酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて糖
類、油脂類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味
改善材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合、
混捏することにより当該混合原料が均一に分散・混合さ
れるようにして粘弾性を持った生地を作るが、この際、
せん断速度0.01(/s)での粘度が1×10〜4
×10 P(Pa・s)となるように調製したことを特徴と
する米粉を主原料とする含泡食品用生地である。
【0017】 本発明は、米粉を主原料にした発泡し得
る粘弾性を有する含泡食品用生地である。第1発明の原
理を応用した中間調理加工品である。このように、従来
の小麦粉の生地での粘度とは異なる素材に適した粘度領
域を具備した含泡食品用生地は、簡単に良好な発泡プロ
セスを経ることができ、米粉を主原料にした含泡食品を
製造することができるので便利である。尚、当該米粉を
主原料とする含泡食品用生地には、常温の製品と冷凍品
の製品と両方が含まれるものである。この点は以下、第
3発明、第4発明、第5発明も同様である。
【0018】 特許を受けようとする第3発明は、米粉
が、うるち米で製粉された米粉若しくはもち米で製造さ
れた米粉又はこれらが混合された米粉であることを含む
米粉を主原料とする第2発明に記載の含泡食品用生地で
ある。
【0019】 ここでいう米粉とは、市販されている上
新粉や上粉をいう。また、米粉は、清酒における精米時
にも大量に生成される米粉も含む。たとえば、清酒醸造
元の極上粉や上粉などである。尚、上新粉は、瞬時に粉
砕されていて熱がかかっていないものであり、これに対
し上粉は、長時間熱がかかっているため、澱粉が糊化し
ていて粘り気を有しているというようにその物性は大き
く異なっている。従ってこれら上新粉と上粉を混合する
ことにより粘性を調整できるだけでなく、加熱すること
により更に粘性が強化するなどその物性が複雑化してお
り、酵母の作用で発酵させた際の発泡膨張性に大きな影
響を与えるものである。また、一般の粉砕機械でも容易
に米を粉砕することができ、これらの米粉も含む。これ
らは、粉砕の粒の大きさや、粉砕プロセスの条件で、米
粉は水を含ませたときの粘度が著しく異なる。このた
め、米粉と水分の比を調節することで、いろいろな米粉
を単独または組み合わせて使用することができる。例え
ば、米粉が、上新粉と上粉を混合した米粉である場合に
は、粘度が高くなるので含泡食品用生地として発泡し得
る粘弾性を保持させるのが容易になるので含泡食品用に
向いている原料となる。
【0020】 特許を受けようとする第4発明は、米粉
が、上新粉と上粉を混合した米粉であることを特徴とす
る第2発明又は第3発明に記載の含泡食品用生地であ
る。
【0021】 当該第4発明は、上新粉と上粉を混合し
た米粉原料を用いることにより、後で酵母と食塩と水を
加えた主原料に、必要に応じて糖類、油脂類、乳製品、
卵、その他の品質改善材又は風味改善材といった副原料
の一部又は全部を加えて、混合・混捏し、当該混合原料
が均一に分散・混合して、せん断速度0.01(/s)
での粘度が1×10〜4×10(Pa・s)となるよ
うに調製するのが容易となり、酵母の作用で発酵させた
際、発泡膨張させ易い含泡食品用生地を提供できるもの
である。
【0022】 特許を受けようとする第5発明は、風味
改善材として、大豆粉末、馬鈴薯粉末を加えたことを特
徴とする米粉を主原料とする第2発明に記載の含泡食品
用生地である。
【0023】 ここでいう大豆粉末とは、粉末状分離大
豆蛋白質粉末、構造性繊維状大豆蛋白、粒状大豆蛋白、
粉末状濃縮大豆蛋白などをいう。大豆蛋白質はイソフラ
ボンの供給源として知られており、大腸ガン、前立腺ガ
ン、などの発生率を低下させることがしられている。ま
た、最近のアメリカ食品医薬局(FDA)によると心臓
病の予防食品として効果があることが知られている。粉
末状分離大豆蛋白質粉末は水に良好に膨潤分散し、水と
粉末状分離大豆蛋白質粉末の重量比あるいは、その粉末
状分離大豆蛋白質粉末のグレードにより、粘度が調節可
能である。また、馬鈴薯澱粉とは、市販の片栗粉として
売られているもので、粒の大きさや水の量で粘度調節が
可能である。そのほか、既存の食味改良材料とは、従来
の小麦粉のパンに少量添加し利用されてきた、きな粉、
ライ麦、大麦、等をいう。
【0024】 特許を受けようとする第6発明は、上新
粉と上粉とを混合したことを特徴とする含泡食品用の調
製米粉原料である。
【0025】 当該第6発明は、前記のように、米粉を
上新粉と上粉とを混合した含泡食品用の調製米粉原料で
ある。これは後で酵母と食塩と水などの追加主原料と、
糖類、油脂類、乳製品、卵、品質改善材又は風味改善材
などといった副原料を加えて混合・混捏したとき、容易
にその粘度が酵母の作用で発酵させた際、発泡膨張させ
易い適度なものとなすことができるものである。
【0026】 特許を受けようとする第7発明は、上新
粉と上粉を混合した調製米粉原料に食塩と粉末状糖類と
粉末状乳製品とを組み合わせ混合したことを特徴とする
含泡食品用の粉末状基礎調製原料である。
【0027】 当該第7発明は、前記のように、米粉を
上新粉と上粉とを混合した含泡食品用の調製米粉原料
に、食塩と粉末状糖類と粉末状乳製品という粉状体原料
のみを組み合わせ調合した含泡食品用の粉末状基礎調製
原料である。これらは混合してもそれだけでは反応した
り、物性が変化したりすることがない。従って、このよ
うな粉末状基礎調製原料の形として商品化し、流通さ
せ、保存しておき、含泡食品を製造しようとする際に、
酵母と水と油脂類と卵を加えて混合・混捏するだけで粘
度が酵母の作用で発酵させた際、発泡膨張させ易い適度
な含泡食品用生地となすことができ、簡便に含泡食品を
製造することが出来る。
【0028】 特許を受けようとする第8発明は、米粉
に酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて糖
類、油脂類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味
改善材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合・
混捏することにより当該混合原料が均一に分散・混合さ
せて、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×10
〜4×10(Pa・s)となるように調製した含泡食
品用生地となし、当該含泡食品用生地を酵母の作用で発
酵させることにより発泡膨張させたうえ、成形し、焼成
するか、蒸すか又は電子レンジで加熱するなどの手段で
加熱処理をし、架橋ネットワーク構造体を形成したこと
を特徴とする米粉を主原料とする含泡食品である。
【0029】 当該第8発明は、米粉独特の風味を生か
した米粉製パンや米粉製カステラや米粉製スポンジケー
キは勿論、その他の米粉製のピザ、ナン、ピロシキ、パウ
ンドケーキ、ドーナツ、ブラウニー、クッキー等を含む
含泡食品である。本発明は、このように小麦粉とは異な
る独特の風味と味を持った米粉を主原料として用いて、
これまで困難とされてきた架橋ネットワーク構造体態様
を具備した米粉を主原料とする含泡食品である。米粉の
あらたな利用法を見出しての食品化である。
【0030】 特許を受けようとする第9発明は、米粉
が、うるち米で製粉された米粉若しくはもち米で製造さ
れた米粉又はこれらが混合された米粉であることを含む
米粉を主原料とする第5発明に記載の含泡食品である。
【0031】 特許を受けようとする第10発明は、上
新粉と上粉とを混合した含泡食品用の調製米粉に酵母と
食塩と水を加えて主原料となしたことを特徴とする第8
発明に記載の米粉を主原料とする含泡食品である。
【0032】 特許を受けようとする第11発明は、風
味改善材として、大豆粉末、馬鈴薯粉末を加えたことを
特徴とする第5発明に記載の米粉を主原料とする含泡食
品である。
【0033】 特許を受けようとする第12発明は、米
粉に酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて品
質改善材や風味改善材といった副原料を加えただけの混
合原料を用いて、粘度を柔らかく調製したパン生地とな
し、そのパン生地を発酵により発泡膨張させ、焼成する
か又は蒸すことにより架橋ネットワーク構造体を形成し
てなる米粉を主原料とするパンである。
【0034】 本件発明のパンは、米粉を主原料とする
含泡食品の代表的な態様の商品である。パンは、非常に
ポピュラーな主要食品であるが、本件発明の米粉を主原
料とするパンは、小麦粉やグルテンなど弾粘性を補強す
る成分が入っていないので、従来の小麦粉製のパンとは
その食感と風味とが独特なものとなる。即ち、本発明
は、新しいお米独特のおいしさを持った米粉製パンとし
て商品化できたものである。
【0035】 特許を受けようとする第13発明は、米
粉に酵母と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて糖
類、油脂類、乳製品、卵、その他の品質改善材又は風味
改善材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合、
混捏して、当該混合原料が均一に分散・混合するととも
に、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×10
〜4×10(Pa・s)の粘弾性を持ったパン生地を作
成し、当該パン生地を発酵させることにより発泡膨張さ
せたうえ、成形し、焼成するか又は蒸すことを特徴とす
る米粉を主原料とするパンの製造方法である。
【0036】 当該第13発明は、従来困難とされてい
た米粉を主原料とするパンを簡単に製造できる方法を提
供したものである。即ち、米粉と酵母と食塩と水を加え
た主原料だけでパン生地を作り、そのパン生地の粘度を
調整するだけで、あとは従来と同じ手法で、発酵、形
成、焼成工程を進めるだけでスポンジ状の架橋ネットワ
ーク構造体を有するパンを安定して製造できるので便利
である。
【0037】
【実施例】 以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説
明する。この実施例は、パンの調製をする事例である。
本発明は、このパンの調製をする実施例に限られるもの
ではないこと勿論である。
【0038】 パンは通常、主原料として小麦粉、酵
母、食塩、水を用い、種類により副原料として糖類、油
脂類のほかに乳製品や卵などを用いて作られる。パンの
製造工程を示すと、まず、混合・混捏工程において、原
料を均一に分散・混合させて、適度な弾性と伸びを持
ち、発酵させるイーストを含んだ含泡食品用生地を調製
する。次に、発酵工程においては、酵母の作用で二酸化
炭素が生成され、生地を膨らませる。即ち、発酵させる
発泡プロセスにより発酵膨張した含泡材料をつくるので
ある。これをパン製品の種類によって種種の形状に成形
し、そのうえで焼成工程においては、生地をオーブンで
焼くことでパンをつくる。
【0039】 一般にはこのようにしてパンをつくるの
であるが、業務用の製造工程には、いろいろな方法があ
る。代表的な方法としては、まず、配合材料の全部を同
時に捏ねて、その後、発酵させる直捏生地法がある。そ
のほかの代表的な製法としては、部分的な材料のみで中
種をまず作っておき、その中種を発酵させたあと、残り
の材料を加えてさらに捏ねて生地をつくり、これを発酵
させる中種中地法がある。後者の製法の特徴は、中種発
酵後の状態で、加える残りの量を制御できるので、製品
の品質が均一に出来ると一般的にいわれている。
【0040】 本願発明の米粉をもちいる組成は、直捏
生地法でも、中種中地法でも良好に調製することがで
き、その方法はどちらでも良い。ここの実施例1に示す
結果は、すべて直捏生地法で行った。
【0041】 次に実施例に係るパンの調製をする際の
組成について、説明する。図1は、比較例の組成を示した
表1に、図2は、実施例の組成を表2に示す。ここで、
小麦粉は日清製粉製の強力粉を用いた。砂糖は、新三井
製糖製の砂糖を用いた。上新粉は中野食品工業株式会社
製の上新粉を用い、ショートニングは、日本製粉製のシ
ョートニングを用いた。塩は、あらしお株式会社製の塩
を用いた。イーストは、S.I.Lesaffre(フランス)製の
ドライイーストを用いた。極上粉は清酒の醸造元である
株式会社小嶋総本店からのものを用いた。大豆蛋白質粉
末はフジプロテインテクノロジー株式会社製のプロリー
ナ200、フジプロF×、ニュープジプロSE(いずれ
も室温で粉末状)を用いた。馬鈴薯澱粉は、市販されて
いる片栗粉を用いた。
【0042】 混合・混捏は、ハンドミキサー(bami×
(スイス)製モデル100)を用いて10分間、最高出
力にて混合を行った。また、型の大きさは、縦13.5
センチ、横6.8センチ、高さ5.7センチの型を用
い、これに生地を流し込み発酵させた。発酵時間は1時
間で、温度約35℃で行った。本願発明では、ショート
ニングを用いたが、バターでも代用できる。また、卵白
は卵黄を含んだ卵とすることもできるし、また、水とす
ることもできる。イーストは、ドライイーストでも、ま
た、生イーストでもよい。このように、主原料の米粉以
外は、従来から知られている一般的な材料におきかえる
ことができる。本願発明の実施例では、すべて米粉や大
豆蛋白質粉末は、前処理なしに用いた。しかし、水中に
前もってつける等の既存の処理方法をほどこしてもよ
い。また、米粉に代わるものとして、炊飯によりできた
ご飯がある。生地の粘度が、請求の範囲内であれば、ご
飯で置き換えることもできる。
【0043】 次に、酵母の発酵作用による発泡生成に
よる生地の発泡倍率を測定した。発泡倍率は、パンの形
を形成する上で、重要な指標となる。本願発明において
は、発酵した前のイーストを含んだ材料を型のなかに流
し込み測定した高さを基準にし、発酵しさらにパンを焼
いた後の高さを測り、この高さの比より発泡倍率を計算
した。たとえば、発泡倍率は2倍とは、体積が2倍にふ
くれたことをいい、1倍とは、まったく、発酵前後で体
積の変化がないことを意味する。
【0044】 また、原料の混合・混捏によりできた米
粉を主原料とする含泡食品用生地の粘度を測定した。当
該粘度測定は、レオメトリックス社製の回転タイプのレ
オメータ(製品名 ARES)を用いて、粘度が高い試料に
ついては平行平板型(円形の板が2枚あり、この間に試
料を入れて、片側(下側)が回転して、片側(上側)で
応力を検出する)を用い、実験は室温で、空気雰囲気中
で行った。粘度の低い試料については2重円筒型を用い
た。ここで粘度測定に用いた試料とは、全ての原料を混
合してできた、発酵前のパン生地のことである。
【0045】 測定条件は、一定のひずみ速度(0.0
1 /s)で測定して、約700秒後のほぼ安定した粘度
の値を測定値とした。試料が粘弾性的性質をもつと、粘
度はひずみ速度とともに変化することが一般的に知られ
ている。ここでは、発酵に伴う変形の速度が非常に遅い
ため、0.01(/s)という非常に遅い変形での粘度
を、材料の粘度特性の意義ある指標となると考えて規定
した。試料で注意した点として、イースト(酵母)を含
むと、室温での保存や、室温での測定の最中に、気泡が
生成成長してしまうため正確な測定が困難となる。そこ
で、表1,2(図1、図2)の組成で、イースト(酵
母)を含まないものを、別に用意して、これを粘度測定
専用のサンプルとして用いた。これにより良好な再現性
のある粘度測定結果を得ることができた。
【0046】 次に、比較例の結果の説明をする。図1
には比較例での原材料すべて含めた組成を表1として示
し、図3には、結果を表3として示す。小麦粉を原料に
した従来のパンの生地(比較例1,2)は、水の量で多
少の粘度のコントロールはできるが、1.1×10
5.4×10という非常に高い粘度でも発泡倍率が
3.4や4.9という高い値に見られ、この領域で良好
なパンが得られる。
【0047】 しかし、米粉を主原料にしたパンの生地
(比較例3)では、4.1×10と、ほぼ小麦粉原料
の生地(比較例2)と近い粘度の材料であるにもかかわ
らず、発泡倍率が極めて悪く、パンとしての構造として
適していない。また、食感も堅すぎて良好なものではな
かった。
【0048】 また、米粉を主原料にして、しかも、水
の分量を極端に多くしたパンの生地(比較例4)では、
8.3×10と非常に低い粘度となる。しかし、この
場合、粘度が低すぎて気泡が生成と生長をしていくなか
で、気泡構造を保つことができず、発泡は全くしない
(発泡倍率1倍)。
【0049】 一方、米粉の他に大豆蛋白質粉末を副原
料としてつかった生地の場合(比較例5)も、粘度が
4.5×10とほぼ従来の小麦粉からのパンの生地の
粘度と同じであると、発泡倍率が低く、パンの構造とし
て適していないばかりか、食感も悪い。
【0050】 また、片栗粉100%では(比較例
6)、沈殿が生じてしまい、ふくらみも悪い。このよう
に、従来の小麦粉を原料とした生地と同程度の粘度で
は、予想外にも、米粉を主原料と原料とした生地では粘
度がたかすぎて、イースト(酵母)により生成される気
泡が成長することができないため発泡倍率が低いことが
明らかとなった。粘度は、米粉と水分の量、あるいは米
粉の種類(極上粉の方が、上新粉より同量の水へ分散さ
せると極端に粘度が高い)で、極端に変化する。
【0051】 同様に、粘度は大豆蛋白質粉末と水分の
量、大豆蛋白質粉末の種類(プロリーナ200の方が、
フジプロF×、ニュープジプロSEよりも、同程度の水
へ分散させると粘度が低い)で変化させることができ
る。
【0052】 最後に、本件実施例の結果について説明
する。図2には実施例での原材料すべて含めた組成を表
2として示し、図4には、結果を表4として示す。
【0053】 実施例で用いた、米粉として上新粉と極
上粉の両方を主原料として使用した生地(実施例1)で
は、粘度が1.4×10となり、そのとき発泡倍率は
2.3倍で、良好なパンができる。このように、上新粉
と極上粉の両方を主原料として使用した場合、上新粉は
瞬時に粉砕されていて熱がかかっていないのに対し、上
粉や極上粉は、50〜70時間という長時間熱がかかっ
ているので、澱粉がアルファー化し、糊化している。こ
のため、上新粉と上粉とを組合せることにより粘度の調
整が容易となり、安定した発泡倍率を得ることが出来
る。
【0054】 また、原料の米粉として、上新粉のみを
用いて生地を作成した場合(実施例2)では、粘度が
1.8×10となり、そのとき発泡倍率は2.6倍と
なり、良好なパンができる。このように、米粉は1種類
を単独で用いようと、2種類を混合しようと、調製され
た生地の粘度が範囲内の粘度であれば、良好なパンを作
成することができる。粘度は、水との比、あるいは米粉
の種類で、調製可能である。米粉と大豆蛋白質粉末の両
方を用いて作成された生地(実施例3)は粘度が1.9
×10となり、このとき発泡倍率は2倍である良好な
パンができる。
【0055】 また、米粉と大豆蛋白質粉末との比を実
施例3と異なり変化させた場合(実施例4)は、粘度が
1.4×10となる。このとき発泡倍率は2倍で良好
なパンが作成できる。このように大豆蛋白質粉末を副原
料として使う場合も、範囲内の粘度にはいっていれば、
良好なパンが作成できる。さらに、実施例4と同様の組
成であるが、大豆蛋白質粉末の種類を異なるものとした
のが実施例5,6である。同様に異なる大豆蛋白質粉末
を用いても、範囲内の粘度であれば、良好なパンが作成
できる。
【0056】 また、水を大量にして粘度を下げて作成
した生地が実施例7である。このとき粘度は1.7×1
であり、発泡倍率は2.2倍となり、気泡が大きい
ものと、小さいものとのばらつきが大きく、きめのばら
つきが大きいが、良好なパンができる。
【0057】 また、実施例8から実施例11のよう
に、規定の粘度範囲内であれば、片栗粉を添加しても、
片栗粉と大豆蛋白質の両方を添加しても、良好なふくら
みとなる。以上から示されるように、せん断速度0.0
1(/s)での粘度が1×10から4×10(Pa・
s)にあることを特徴とする米粉を主原料とする、必要
に応じて既知の添加物を加えて作成された、生地材料を
調製することにより、良好な含泡食品をつくれることを
初めて見いだした。
【0058】
【効果】 本発明は、分野の異なる発泡成形性とプラス
チックの粘度の関係についての新しい技術知見を応用し
て、従来困難とされてきた米粉を主原料とした粘弾性生
地の粘度を所定の粘度領域に特定調製をするだけで、発
酵により良好な発泡が可能な米粉を主原料とする含泡食
品用生地を提供できるし、このような含泡食品用生地を
用いて加熱処理すれば、米粉であっても架橋ネットワー
ク構造体を形成することが出来る。その結果、米粉独特
の風味を生かした米粉パンや米粉カステラや、米粉スポ
ンジケーキは勿論、米粉製のピザ、ナン、ピロシキ、パ
イ、パウンドケーキ、ドーナツ、ブラウニー、クッキー
等の新しい含泡食品を容易に製造することができること
となった。本発明は、このように小麦粉とは異なる独特
の風味と味を持った米粉を主原料として用いた多様な食
品分野があらたな広がりをもって創出できるようになっ
たのである。
【0059】特に第1発明では、従来から米粉は、粘度
補強材を加えなければ、スポンジ状の架橋ネットワーク
構造体ができないとされていたのを、粘度調製をするだ
けで簡単に実現できることになったので、米粉の食品と
しての利用態様が大きく広がることになった。
【0060】また、第2発明、第3発明、第4発明、第
5発明は、米粉を主原料にした発泡し得る粘弾性を有す
る含泡食品用生地の具現化である。このような米粉製の
含泡食品用生地は、米粉製であっても簡単に良好な発泡
プロセスを経ることができ、米粉を主原料にした含泡食
品を製造することができるので便利である。更に第6発
明、第7発明は、これらは混合してもそれだけでは反応
したり、物性が変化したりすることがない必要な含泡食
品用粉末原料を混合調製したものである。このような粉
末状基礎調製原料の形として商品化し、流通させ、保存
しておくので、消費者は、酵母と水と油脂類と卵を加え
て混合・混捏するだけで発酵作用により容易に発泡膨張
する含泡食品用生地となすことができ、簡便に含泡食品
を製造することが出来る。
【0061】更に又、第8発明乃至第12発明は、小麦
粉とは異なる独特の風味と味を持った米粉を主原料とし
て用いて、これまで困難とされてきた架橋ネットワーク
構造体態様を具備した米粉を主原料とする含泡食品を具
現化したものである。米粉のあらたな利用法を見出して
の食品化である。
【0062】そして第13発明は、従来困難とされてい
た米粉を主原料とするパンを簡単に安定して製造できる
方法を具体的に提供したものである
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 501496245 小山 清人 山形県米沢市門東町2丁目7番21号の505 号 (72)発明者 藤井 恵子 山形県山形市飯田西2丁目2番9号の502 号 (72)発明者 東野 真由美 山形県米沢市林泉寺3丁目14番14号 (72)発明者 高橋 辰宏 山形県米沢市春日2丁目8番21号の202号 (72)発明者 小山 清人 山形県米沢市門東町2丁目7番21号の505 号 Fターム(参考) 4B032 DB01 DG08 DK12 DK18 DK33 DK35 DK41 DK47 DK54 DL01 DP13 DP33 4B036 LF15 LH22 LH26 LH30 LH48 LK06 LP01 LP02 LP16 LP24

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 米粉に酵母と水を加えた主原料に、必要
    に応じて品質改善材や風味改善材といった副原料を加え
    て、混合、混捏することにより当該混合原料が均一に分
    散・混合させて作った粘弾性生地を、せん断速度0.0
    1(/s)での粘度が1x10〜4×10(Pa・s)
    となるように調製し、当該生地を酵母の発酵作用により
    発泡膨張させたうえ、加熱処理をすることにより米粉を
    主原料として架橋ネットワーク構造体を形成する方法。
  2. 【請求項2】 米粉に酵母と食塩と水を加えた主原料
    に、必要に応じて糖類、油脂類、乳製品、卵、その他の
    品質改善材又は風味改善材といった副原料の一部又は全
    部を加えて、混合、混捏することにより当該混合原料が
    均一に分散・混合させて粘弾性を持った生地を作るが、
    この際、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×1
    〜4×10(Pa・s)となるように調製したこと
    を特徴とする米粉を主原料とする含泡食品用生地。
  3. 【請求項3】 米粉が、うるち米で製粉された米粉若し
    くはもち米で製造された米粉又はこれらが混合された米
    粉であることを含む米粉を主原料とする請求項2に記載
    の含泡食品用生地。
  4. 【請求項4】 風味改善材として、大豆粉末、馬鈴薯粉
    末を加えたことを特徴とする米粉を主原料とする請求項
    2に記載の含泡食品用生地。
  5. 【請求項5】 米粉に酵母と食塩と水を加えた主原料
    に、必要に応じて糖類、油脂類、乳製品、卵、その他の
    品質改善材又は風味改善材といった副原料の一部又は全
    部を加えて、混合・混捏することにより当該混合原料が
    均一に分散・混合させて、せん断速度0.01(/s)
    での粘度が1×10〜4×10(Pa・s)となるよ
    うに調製した含泡食品用生地となし、当該含泡食品用生
    地を酵母の作用で発酵させることにより発泡膨張させた
    うえ、成形し、加熱処理をして架橋ネットワーク構造体
    を形成したことを特徴とする米粉を主原料とする含泡食
    品。
  6. 【請求項6】 米粉が、うるち米で製粉された米粉若し
    くはもち米で製造された米粉又はこれらが混合された米
    粉であることを含む米粉を主原料とする請求項5に記載
    の含泡食品。
  7. 【請求項7】 風味改善材として、大豆粉末、馬鈴薯粉
    末を加えたことを特徴とする請求項5に記載の米粉を主
    原料とする含泡食品。
  8. 【請求項8】 米粉に酵母と食塩と水を加えた主原料
    に、必要に応じて品質改善材や風味改善材といった副原
    料を加えただけの混合原料を用いて、粘度を柔らかく調
    製したパン生地となし、当該パン生地を発酵により発泡
    膨張させ、焼成するか又は蒸すことによりスポンジ状の
    架橋ネットワーク構造体を形成してなる米粉を主原料と
    するパン。
  9. 【請求項9】 米粉に酵母と食塩と水を加えた主原料
    に、必要に応じて糖類、油脂類、乳製品、卵、その他の
    品質改善材又は風味改善材といった副原料の一部又は全
    部を加えて、混合、混捏して当該混合原料が均一に分散
    ・混合するようになすとともに、せん断速度0.01
    (/s)での粘度が1×10〜4×10 Pa・s(パス
    カル、セカンド)の粘弾性を持ったパン生地を作成し、
    当該パン生地を発酵させることにより発泡膨張させたう
    え、成形し、焼成するか又は蒸すことを特徴とする米粉
    を主原料とするパンの製造方法。
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