JP2006094810A - 大豆粉を主原料とした架橋ネットワーク構造体を形成する方法並びにそれから得られる大豆粉を主原料とした含泡食品用生地及び含泡食品 - Google Patents

大豆粉を主原料とした架橋ネットワーク構造体を形成する方法並びにそれから得られる大豆粉を主原料とした含泡食品用生地及び含泡食品 Download PDF

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Abstract

【課題】 大豆粉を主原料としてスポンジ状の架橋ネットワーク構造体を形成できる方法並びにそれによって調製した大豆粉を主原料とする含泡食品用生地及びパンなどの含泡食品の開発。
【解決手段】 大豆粉に酵母又は発泡剤及び水を主原料として含み、必要に応じて品質改善材や風味改善材を副原料として含む原料を、混合、混捏して前記混合原料が均一に分散・混合させて作った粘弾性生地を、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)となるように調製し、この生地を酵母の発酵又は発泡剤の発泡作用により発泡膨張せしめ、次いで、加熱処理することにより大豆粉を主原料とした架橋ネットワーク構造体を形成する方法と、それにより形成された大豆粉を主原料とする含泡食品用生地及びそれを用いて製造したパンなどの含泡食品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、大豆粉に酵母又は発泡剤と水を加えた主原料と必要に応じて品質改善材や風味改善材を副原料として加えただけの材料を用いた生地で、架橋ネットワーク構造体を形成する方法並びにそれによって得られる粘度を従来に無い柔らかさに調製した含泡食品用生地及びそれを用いた大豆粉を主原料とするパンなどの含泡食品に関する。
小麦粉は歴史的に非常に古くからパンなどの含泡食品に使用されてきた。小麦粉が原料として使用されてきた理由は水を含み混合した後のグルテンの粘弾性に起因することが知られている。このグルテンの粘弾性的性質はグリアジンとグルテニンという2つのタンパク質が加水した状態で、機械的混合中にぶつかり合うことにより、S−S結合などの新しい架橋ネットワーク構造体が形成されることによる。イースト等で気泡を生成した際、小麦粉グルテン以外の成分は粘度が低いため、気泡の成長変形過程を促進する。そして、気泡が大きく成長した際、壁の肉厚がうすくなるにも関わらず、グルテン成分があることにより大きな気泡の骨格や特有のテクスチャーを形成しこの構造がつぶれることなく保つことができる。しかしながら、うるち米、大麦、ライ麦、マイロ、とうもろこし等小麦以外の穀物粉や大豆粉などにはこの粘り成分を形成するグルテンは含まれていない。このため、パンに代表される含泡食品は、小麦粉を使わず、100%大豆のみの主原料からつくるのはできないものとされてきた。このため大豆は、古来より、豆腐、味噌、納豆、醤油、豆乳などの気泡の構造を有しない、加工食品に利用されるのが一般的で、パンなどの含泡食品に加工されることはほとんどなかった。
従来から、大豆粉は、小麦粉のパンに混ぜることにより、風味改善材、品質改善材として用いられてきた。例えば、特許文献1(焼き菓子及びその製造法)、特許文献2(パン用品質改良組成物及びそれを用いたパン類の製造方法)、特許文献3(混合物、プレミックス、パンおよびパンの製造法)など、いずれも大豆粉末又は大豆蛋白粉末を小麦粉のパンもしくはケーキに少量混合することにより、品質の改善を目的としている。また、特許文献4(製パン用品質改良剤)、特許文献5(大豆食品素材を用いたケーキ類食品)も同様である。
また、特許文献6(パン類の製造方法)も、小麦粉のパンに大豆蛋白を加えることで、栄養価の高いパン類の製造又はパンの老化防止を図るなど、従来の小麦粉パンに欠けているものを補うことを目的として添加されているにすぎない。
パン製品以外では、特許文献7(ケーキ用起泡剤及びその利用方法)、特許文献8(大豆食品素材を用いたクッキー様食品)においては、前者がケーキ起泡剤として大豆蛋白成分を利用し、後者は大豆粒子を小麦粉で作るクッキーに添加することで、ソフトで歯切れの良い食感を求めるものであり、これらも従来の菓子類の品質の改善を目的とした域を出ることはない。そのほか、市販されているパンの中にも、きな粉をまぜたものや大豆粒子を含んでいるものが見受けられるが、いずれも小麦粉のパンに混ぜ合わせるものであり、主原料を大豆粉のみとするパンとは全く異なる。
特開2002−142680号公報 特開2001−211813号公報 特開2002−238442号公報 特開2000−300156号公報 特開2000−83572号公報 特開平11−243844号公報 特開2001−057842号公報 特開2000−32903号公報
本発明の目的は、独自のおいしさをもった大豆粉を主原料としながら、小麦粉やグルテンを用いないで、気泡が生成成長する発泡プロセスをともなわせた場合でも、その発泡倍率(発泡前後の体積比)が、従来の小麦粉由来のパンとほぼ同じ程度になるようにするにはどうすれば良いか、大豆粉を主原料としてスポンジ状の架橋ネットワーク構造体を形成することができる発泡食品を開発するにはどうすればよいかということを技術課題として研究開発を進めたものである。
本発明に従えば、大豆粉、酵母又は発泡剤及び水を主原料として含み、必要に応じて風味改善材又は品質改善材を副原料として含む原料を、混合、混捏して前記混合原料が均一に分散・混合されるようにして作った粘弾性生地を、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)となるように調製し、この生地を酵母の発酵作用又は発泡剤の発泡作用により発泡膨張せしめ、次いで加熱処理することにより大豆粉を主原料とした架橋ネットワーク構造体を形成する方法が提供される。
本発明に従えば、また、大豆粉、酵母又は発泡剤及び水を主原料として含み、必要に応じて副原料として、糖類、油脂類、乳製品、卵、食塩、米粉、大麦粉、片栗粉、タピオカ粉、コーンスターチなどの澱粉及びソルガム粉から選ばれた少なくとも一種の風味改善材又は品質改善材を含む原料を、これらの混合原料が均一に分散・混合されるようにして混合、混捏して、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)となるように調製した粘弾性を有する大豆粉を主原料とした含泡食品用生地が提供される。
本発明に従えば、更に、大豆粉原料に、食塩、粉末状糖類、粉末状乳製品、粉末状油脂、粉末卵、米粉、大麦粉、澱粉及びソルガム粉の少なくとも一つを、風味改善材又は品質改善材として、組合せて混合して成る含泡食品用の粉末状基礎調製原料が提供される。
本発明に従えば、更にまた、前記含泡食品用生地を酵母の発酵作用又は発泡剤の発泡作用で発泡膨張させ、次いで成形し、加熱処理して架橋ネットワーク構造体を形成せしめてなる大豆粉を主原料とする含泡食品が提供される。
本発明に従えば、更にまた、大豆粉、酵母又は発泡剤、水を主原料として含み、必要に応じて糖類、油脂類、乳製品、卵、食塩、米粉、大麦粉、片栗粉、タピオカ粉、コーンスターチなどの澱粉及びソルガム粉から選ばれた少なくとも一種の風味改善材又は品質改善材を副原料として含む原料を、混合、混捏して混合原料が均一に分散・混合するようにすると共に、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)の粘弾性を有するようにして、パン生地を作成し、そのパン生地を酵母の発酵作用又は発泡剤の発泡作用により発泡膨張させ、次いで成形し、焼成するか又は蒸すことによって大豆粉を主原料とするパンを製造する方法が提供される。
従来、大豆粉には、小麦粉とは違って、グルテンが殆ど無く、他に粘弾性物質が含まれていないので、架橋ネットワーク構造体は形成されないとされていたが、本発明者らは、鋭意研究開発の結果、大豆粉を主原料とするだけで、小麦粉を用いることなく、スポンジ状の架橋ネットワーク構造体を形成させて、パンなどの含泡食品を製造することに成功した。
従来の小麦粉を主原料としてつくられるパンは、イーストで発酵する前の生地の粘度がグルテンの存在のためきわめて高くすることができるが、大豆粉と酵母又はベーキングパウダーなどの発泡剤と水とを主原料にして、必要に応じて糖類、油脂類、乳製品、卵、食塩、その他の品質改善材又は風味改善材を副原料として加えて、混合、混捏させて形成された生地では、従来の小麦粉を主原料とした生地の粘度と同程度に作ると酵母での発酵工程又はベーキングパウダーなどの発泡剤の発泡工程に所望の発酵や発泡がすすまず、膨らまなかった。
発泡プロセスについて、分野は異なるが発泡成形性とプラスチックの粘度の関係について、近年基礎的研究が進んできた。この研究知見では、粘度特性が同じであれば、材料の分子構造にはそれほど依存せず、良好に発泡するものと考えられている。本発明者は、このような異質分野の学術的知見に基づいて、前記課題を達成するに際し、粘度特性に着目して、研究を進めた。
まず、小麦粉を主原料とするパン生地の場合には、発酵時に生地の粘度が、せん断速度0.01(/s)において約100000(Pa・s)前後であることが解った。この様に小麦粉を主原料とするパン生地の場合にはかなり高粘度であるため、パンの種類によってその形状を、例えば棒状、ロール状、食パンでは四角の型に詰める等自由に成形することができる。そして、この成形パン生地をイースト(酵母)やベーキングパウダー(発泡剤)などにより良好な発泡プロセスを経て、架橋ネットワーク構造体を形成させることができ、これを焼成することにより固定されることを見出した。
このため、大豆粉を主体として必要に応じて副材料を添加した場合にも、このようなパンの場合と同じか概念的に近い粘度特性であると考えられて試みられてきた。しかし、大豆粉を主原料にしたパン生地を従来と同じ高い粘度にしたのでは、良好な発泡倍率を得ることができなかった。このため本発明者らは、大豆粉を主原料とした場合には、水分を多くしてその素材に適した特定の粘度領域にある生地を作ることによって、即ち、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)、好ましくは7×103〜5.2×104(Pa・s)にした大豆粉を主原料とする生地にすることにより、酵母の発酵作用によって良好な発泡が可能になり、その生地を発泡膨張させることができることが解った。しかもその粘度領域にある生地にした場合には、発酵や発泡による発泡プロセスを経て発泡膨張した生地は、焼成したり、蒸したり、電子レンジで加熱したりすることにより、スポンジ状の架橋ネットワーク構造体が形成され、それが固定されることを見出した。前記粘度の調整は前記配合成分に水の量を適宜変えることによって実施することができ、かかる調整は当業者であれば容易になしうることである。
本発明者らは、このようにして見出された新しい技術知見を利用すれば、従来困難とされてきた大豆粉を主原料として用いながら、酵母の発酵又はベーキングパウダーなどの発泡剤により良好な発泡が可能な大豆粉を主原料とする含泡食品用生地を提供できること、このような含泡食品用生地を用いれば、小麦粉やグルテンや精製絹フィブロインや高分子粘性食品など粘性補強材を特別に用いることなく、大豆粉独特の風味を生かした大豆粉パンや大豆粉ドーナツカステラや、スポンジケーキ、ピザ等の新しい含泡食品を容易に製造することができることとなった。本発明は、このように小麦粉とは異なる独特の風味と味を持った大豆粉を主原料として用いた多様な食品分野があらたな広がりをもって創出できるのに寄与することが目的である。
本発明の好ましい態様によれば、上記粘度範囲内の粘弾性生地を作製するために、大豆粉100重量部に対し、酵母又は発泡剤を0.5〜5重量部、更に好ましくは1.5〜3.5重量部、水を70〜150重量部、更に好ましくは95〜120重量部の範囲内で粘度調整することが好ましい。なお、風味改善材又は品質改善材を配合する場合の配合量には特に限定はないが、必要に応じ、45重量部以下、好ましくは5〜45重量部、更に好ましくは10〜30重量部配合すればよい。
本発明の第一の態様は、大豆粉に酵母又はベーキングパウダーなどの発泡剤と水を加えた主原料に、必要に応じて品質改善材や風味改善材といった副原料を加えて混合・混捏することにより当該混合原料が均一に分散・混合されるようにして作った粘弾性生地を、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)となるように調製し、当該生地を酵母の発酵作用により発泡膨張させたうえ、加熱処理をすることにより大豆粉を主原料とする架橋ネットワーク構造体を形成する方法である。
この第一の態様は、大豆粉に酵母又はベーキングパウダーなどの発泡剤と水を加えた主原料として形成した粘弾性生地を、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)となるように、調製すれば、これによって発酵作用により良好な発泡膨張ができること、そしてこれを加熱処理すれば大豆粉で架橋ネットワーク構造体を形成することができるという基本発明である。従来から大豆粉は、粘度補強材を加えなければ、スポンジ状の架橋ネットワーク構造体ができないとされていたのを、粘度調整をするだけで簡単に実現できることになったので、大豆粉の食品としての利用態様が大きく広がることになった。
本発明の第二の態様は、大豆粉に酵母又はベーキングパウダーなどの発泡剤と水を加えた主原料に、必要に応じて糖類、油脂類、乳製品、卵、食塩、その他の風味改善材又は品質改善材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合、混捏することにより混合原料が均一に分散・混合されるようにして粘弾性を持った生地を作るが、この際、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)となるように調整した大豆粉を主原料とする含泡食品用生地である。
本発明は、大豆粉を主原料にした発泡し得る粘弾性を有する含泡食品用生地にも関する。これは本発明の第一の態様の原理を応用した中間調理加工品である。このように、従来の小麦粉の生地での粘度とは異なる素材に適した粘度領域を具備した含泡食品用生地は、簡単に良好な発泡プロセスを経ることができ、大豆粉を主原料にした含泡食品を製造することができるので便利である。
ここでいう大豆粉とは、市販されている生大豆粉、脱脂大豆粉などの大豆粉をいう。好ましくはリポ欠大豆エルスターを原料とする粉は、青臭みがなく含泡食品にするとなお適している。市販されている熱のかかっているきな粉は、少量用いることはできるが主原料の大豆粉とはなりにくい。以下、生大豆粉を使用する場合を中心に本発明を記載するが、大豆粉として脱脂大豆粉を使用する場合には、原料配合中の水分の量を生大豆粉に比較して増加させることによって所望の粘度調整をすることができる。
本発明の第三の態様は、前記第二の態様において、品質改善材として、米粉、大麦粉、澱粉、ソルガム粉を加えた大豆粉を主原料とする、含泡食品用生地である。ここで米粉は市販されている上新粉や上粉であり、大麦粉も同様に市販のものをいう。また澱粉は、片栗粉、コーンスターチ、タピオカ粉などであり、ソルガム粉はソルガムの粉体状のものである。
本発明の第四の態様は、大豆粉原料に食塩と粉末状糖類と粉末状乳製品とを組み合わせ混合した含泡食品用の粉末状基礎調製原料である。この第四の態様は、前記のように、含泡食品用の調製大豆粉原料に、食塩と粉末状糖類と粉末状乳製品という粉状体原料のみを組み合わせ調合した含泡食品用の粉末状基礎調製原料である。これらは混合してもそれだけでは反応したり、物性が変化したりすることがない。従って、このような粉末状基礎調製原料の形として商品化し、流通させ、保存しておき、含泡食品を製造しようとする際に、酵母と水と油脂類と卵を加えて混合・混捏するだけで粘度が酵母の作用で発酵させる際やベーキングパウダーなどの発泡剤で発泡させた際に、発泡膨張させ易い適度な含泡食品用生地とすることができ、簡便に含泡食品を製造することができる。
本発明の第五の態様は、大豆粉に酵母又は発泡剤と水を加えた主原料に、必要に応じて糖類、油脂類、乳製品、卵、食塩、その他の風味改善材又は品質改善材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合・混捏することにより混合原料が均一に分散・混合されて、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)となるように調整して含泡食品用生地となし、この含泡食品用生地を酵母の作用で発酵させたり、又はベーキングパウダーなどの発泡剤の発泡により発泡膨張させたうえ、成形し、焼成するか、蒸すか又は電子レンジで加熱するなどの手段で加熱処理をし、架橋ネットワーク構造体を形成させた大豆粉を主原料とする含泡食品である。
前記第五の態様は、大豆粉独特の風味を生かした大豆粉製パンや大豆粉製ドーナツ、大豆粉製カステラや、大豆粉製スポンジケーキ、大豆粉製ピザ、等を含む含泡食品である。本発明は、このように小麦粉とは異なる独特の風味と味を持った大豆粉を主原料として用いて、これまで困難とされてきた架橋ネットワーク構造体態様を具備した大豆粉を主原料とする含泡食品であり、大豆粉のあらたな利用法を見出しての食品化である。
本発明の第六の態様は、含泡食品用の調製大豆粉に酵母と水を加えて主原料として用いた前記第五の態様の大豆粉を主原料とする含泡食品である。
本発明の第七の態様は、品質改善材として、米粉、大麦粉、澱粉、ソルガム粉を加えた前記第五の態様に記載の大豆粉を主原料とする含泡食品である。
本発明の第八の態様は、大豆粉に酵母と水を加えた主原料に、必要に応じて品質改善材や風味改善材といった副原料を加えただけの混合原料を用いて、粘度を柔らかく調製してパン生地となし、そのパン生地を発酵又は発泡により発泡膨張させ、焼成するか又は蒸すことにより架橋ネットワーク構造体を形成してなる大豆粉を主原料とするパンである。このパンは、大豆粉を主原料とする含泡食品の代表的な態様の商品である。パンは、非常にポピュラーな主要食品であるが、本発明に係る大豆粉を主原料とするパンは、小麦粉やグルテンなど粘弾性を補強する成分が入っていないので従来の小麦粉製のパンとはその食感と風味とが独特なものとなる。即ち、本発明は、新しい大豆独特のおいしさと、大豆の持つ健康的栄養素を多量にふくむ大豆粉製パンとして商品化できたものである。
本発明の第九の態様は、大豆粉に酵母又はベーキングパウダーなどの発泡剤と食塩と水を加えた主原料に、必要に応じて糖類、油脂類、乳製品、卵、食塩、その他の風味改善材又は品質改善材といった副原料の一部又は全部を加えて、混合、混捏して、混合原料を均一に分散・混合するとともに、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)の粘弾性を持ったパン生地を作成し、このパン生地を発酵させることにより発泡膨張させたうえ、成形し、焼成するか又は蒸すことによる、大豆粉を主原料とするパンの製造方法である。
前記第九の態様は、従来困難とされていた大豆粉を主原料とするパンを簡単に製造できる方法を提供したものである。即ち、大豆粉と酵母と水を加えた主原料だけでパン生地を作り、そのパン生地の粘度を調整するだけで、あとは従来と同じ手法で、発酵、形成、焼成工程を進めるだけでスポンジ状の架橋ネットワーク構造体を有するパンなどの含泡食品を安定して製造できるので便利である。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、以下の実施例においては、パンの調製をする例について説明するが、本発明を、このパンの調製をする実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
実施例1〜2及び比較例1〜4
パンは通常、主原料として小麦粉、酵母、食塩、水を用い、種類により副原料として糖類、油脂類のほかに乳製品や卵などを用いて作る。パンの製造工程を示すと、まず、混合・混捏工程において、原料を均一に分散・混合させて、適度な弾性と伸びを持ち、発酵させるイーストを含んだ含泡食品用生地を調製する。次に、発酵工程において、酵母の作用で二酸化炭素を生成させて、生地を膨らませる。即ち、発酵による発泡プロセスにより発酵膨張した含泡材料をつくる。この含泡材料をパン製品の種類によって種々の形状に成形し、そのうえで焼成工程において、含泡材料生地をオーブンで焼くことによりパンをつくる。
一般にはこのようにしてパンをつくるのであるが、業務用の製造工程には、いろいろな方法がある。代表的な方法としては、まず、配合材料の全部を同時に捏ねて、その後、発酵させる直捏生地法がある。そのほかの代表的な製法としては、部分的な材料のみで中種をまず作っておき、その中種を発酵させたあと、残りの材料を加えてさらに捏ねて生地をつくり、これを発酵させる中種中地法がある。後者の製法の特徴は、中種発酵後の状態で、加える残りの量を制御できるので、製品の品質が均一に出来ると一般的にいわれている。
本発明の大豆粉を用いる組成は、直捏生地法及び中種中地法のいずれの方法でも良好にパンなどの含泡食品を調製することができ、その方法はどちらでも良い。以下の実施例及び比較例に示す結果は、すべて直捏生地法で行った。
以下、実施例1〜2及び比較例1〜4のパンの調製に用いた原料の組成を示す。表Iには比較例1〜4の原料の組成を、そして表IIには実施例1〜2の組成を示す。
Figure 2006094810
Figure 2006094810
表I及び表IIにおいて、原料小麦粉は日本製粉、株式会社製のゴールデンヨットを用い、原料大豆粉は山形県産のタチユタカ並びにスズユタカを用いた。このタチユタカ並びにスズユタカは粉砕処理し、大豆粉(平均粉粒子径:20μm)にした。その際、粉砕は、オリジンフジ株式会社に委託し、熱のかからない胴体摩擦粉砕によった。また、原料きな粉は、粉砕前に熱をかけた上で作られた市販の青大豆きな粉(吉田製粉製)を用い、脱脂粉乳はよつ葉乳業株式会社製のスキムミルクを用い、砂糖は、新三井製糖株式会社製の砂糖(スプーン印 上白糖)を用いた。バターはよつ葉乳業株式会社の北海道バターを用い、塩は、マルニ株式会社製のエンリッチ塩を用い、イーストは、S.I.Lesaffre(フランス)製のドライイースト(インスタントドライイースト)を用いた。
混合・混捏は、(株)エフ・エム・アイのミキサー(キッチンエイドKSM90ww)を用いて、室温で15分間、最高出力にて混合を行った。また、型の大きさは、縦13.5cm、横6.8cm、高さ5.7cmの型を用い、これに生地を流し込み発酵させた。発酵時間は50分で、温度約35℃で行った。実施例では、バターを用いたが、バターに代えてショートニングでもマーガリンでも使用できる。また、卵白は卵黄を含んだ卵とすることもできるし、また、水とすることもできる。イーストは、ドライイーストでも、また、生イーストでもよい。また必要に応じてベーキングパウダーなどの発泡剤を加えることもできる。このように、主原料の大豆粉以外は、従来から知られている一般的な材料を使用することができる。但し、大豆粉については生大豆粉、脱皮大豆粉、脱脂大豆粉としなければならない。熱のかかったきな粉は少量用いることはできるが、主原料の大豆粉にはなりにくい。
次に、酵母の発酵作用による発泡生成後の生地の発泡倍率を測定した。発泡倍率は、パンの形を形成する上で、重要な指標となる。本例においては、発酵前のイーストを含んだ材料を型のなかに流し込み測定した高さを基準にし、発酵し、さらにパンを焼いた後の高さを測り、この高さの比より発泡倍率を計算した。たとえば、発泡倍率は2倍とは、体積が2倍にふくれたことをいい、1倍とは、まったく、発酵前後で体積の変化がないことを意味する。
また、原料の混合・混捏によりできた大豆粉を主原料とする含泡食品用生地の粘度を測定した。この粘度測定は、レオメトリックス社製の回転タイプのレオメータ(製品名・ARES)を用いて、粘度が高い試料については平行平板型(円形の板が2枚あり、この間に試料を入れて、片側(下側)が回転して、片側(上側)で応力を検出する)を用い、実験は室温で、空気雰囲気中で行った。粘度の低い試料については2重円筒型を用いた。ここで粘度測定に用いた試料は、全ての原料を混合してできた、発酵前のパン生地である。粘度測定条件は、一定のひずみ速度(0.01/s)で測定して、約700秒後のほぼ安定した粘度の値を測定値とした。試料が粘弾性的性質を有するときには、粘度はひずみ速度とともに変化することが一般的に知られている。本発明では、発酵に伴う変形の速度が非常に遅いため、0.01(/s)という非常に遅い変形での粘度を、材料の粘度特性の意義ある指標となると考えて規定した。試料の作成にあたり、注意しなければならないことは、イースト(酵母)を含むと、室温での保存や、室温での測定の間に、気泡が生成成長してしまうため正確な測定が困難となる。それ故、前記表I及びIIの組成において、イースト(酵母)を含まないものを、別に用意して、これを粘度測定専用の試料として用いた。これにより良好な再現性のある粘度測定結果を得ることができた。
次に、比較例1〜4の結果を先ず説明する。
比較例1〜4で用いた原材料の組成は表Iに示した通りであり、結果は以下の表IIIに示す。
Figure 2006094810
小麦粉を原料にした従来のパンの生地(比較例1及び2)は、水の量で多少の粘度のコントロールはできるが、1.1×105Pa・sや5.4×104Pa・sという非常に高い粘度でも発泡倍率が3.4倍や4.9倍という高い値が得られ、この領域で良好なパンを作ることができる。
原料の大豆として、熱かかった市販の青大豆きな粉を主原料にしたパンの生地(比較例3)では、発泡倍率が極めて低く(1.4倍)、パンとしての構造として適していない。また、食感も堅すぎて良好なものではなかった。
また、大豆粉を主原料にして、しかも、粉の分量を極端に少なくしたパンの生地(比較例4)では、粘度が非常に低くなる。この場合は、粘度が低すぎて、気泡が生成と生長をしていくなかで、気泡構造を保つことができず、発泡は良好ではない(発泡倍率1.6倍)。
次に本発明に係る実施例の結果について説明する。実施例1〜2で用いた原材料の組成は表IIで示した通りであり、実施例1〜2の結果は以下の表IVに示す。
Figure 2006094810
実施例1〜2及び比較例3で大豆粉として用いた熱のかからない胴体摩擦粉砕をした大豆粉を用いた実施例1では、発泡倍率は3.2倍で、良好なパンができた。
また、原料の大豆粉の量を増やして粘度を高くして生地を作成した実施例2では、発泡倍率が4.5倍となり、ふっくらした良好なパンを作成することができる。このように、調製された生地の粘度が本発明の範囲内の粘度であれば、良好なパンを作成することができる。この粘度は、水との比、又は大豆粉の種類は、この場合は、生大豆粉の方が良好なものができあがる。脱脂大豆粉は、粉の特性がことなるため、水分比が生大豆粉の場合とことなってくる。しかし、どちらも、生地の粘度調整により良好なパンとなる。
以上の通り、本発明によれば、小麦粉を用いることなく、大豆粉を主原料としたパンなどの含泡食品を市場に提供できる。

Claims (7)

  1. 大豆粉、酵母又は発泡剤及び水を主原料として含み、必要に応じて風味改善材又は品質改善材を副原料として含む原料を、混合、混捏して前記混合原料が均一に分散・混合されるようにして作った粘弾性生地を、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)となるように調製し、この生地を酵母の発酵作用又は発泡剤の発泡作用により発泡膨張せしめ、次いで加熱処理することにより大豆粉を主原料とした架橋ネットワーク構造体を形成する方法。
  2. 前記風味改善材又は品質改善材が糖類、油脂類、乳製品、卵、食塩、米粉、大麦粉、澱粉及びソルガム粉から選ばれたものである請求項1に記載の方法。
  3. 大豆粉、酵母又は発泡剤及び水を主原料として含み、必要に応じて副原料として、糖類、油脂類、乳製品、卵、食塩、米粉、大麦粉、澱粉及びソルガム粉から選ばれた少なくとも一種の風味改善材又は品質改善材を含む原料を、これらの混合原料が均一に分散・混合されるようにして混合、混捏して、せん断速度0.01(/s)での粘度が1×103〜7.8×104(Pa・s)となるように調製した粘弾性を有する大豆粉を主原料とした含泡食品用生地。
  4. 大豆粉原料に、食塩、粉末状糖類、粉末状乳製品、粉末状油脂、粉末卵、米粉、大麦粉、澱粉及びソルガム粉の少なくとも一つを、風味改善材又は品質改善材として、組合せて混合して成る含泡食品用の粉末状基礎調製原料。
  5. 請求項3に係る含泡食品用生地を酵母の発酵作用又は発泡剤の発泡作用で発泡膨張させ、次いで成形し、加熱処理して架橋ネットワーク構造体を形成せしめてなる大豆粉を主原料とする含泡食品。
  6. 前記風味改善材又は品質改善材が糖類、油脂類、乳製品、卵、食塩、米粉、大麦、澱粉及びソルガム粉から選ばれるものである請求項5に記載の大豆粉を主原料とする含泡食品。
  7. 前記含泡食品がパンであり、発泡膨張後の加熱処理が、焼成するか又は蒸すことによりスポンジ状の架橋ネットワーク構造体を形成する請求項5又は6に記載の含泡食品。
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