JP6987636B2 - ケーキドーナツの製造方法 - Google Patents
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ケーキドーナツの食感改良法としては、特許文献1には、キサンタンガム/グアーガム及びビタミンCを所定量含むケーキドーナツ用吸油抑制剤を使用することで、油っぽさがあり食感が重たくなる傾向にあるケーキドーナツの食感を軽い食感にすることができることが開示されているが、同文献では、ケーキドーナツ生地の風味や口溶けについてはふれられていない。また、イーストドーナツの風味を改良する方法として、特許文献2では、イーストドーナツ生地を所定の条件下で過発酵をさせた後、新たに計量したイーストドーナツ各原料とを混合することで、深みのある優れた風味を付けることが出来ることが開示されているが、同文献の方法で得られたイーストドーナツは、食感がパン様で軽く、ケーキドーナツのような独特のふんわり感とは一線を画すものであった。
[1]小麦粉、糖及びパン酵母を含む液種用粉原料に液体原料を添加、混合して粘度200〜1800dPa・s(25℃)とした液種生地を4〜18℃で4〜19時間発酵させる工程及び、発酵させた液種生地に、膨張剤を含む本捏ね用粉原料を添加する工程を含むケーキドーナツの製造方法。
[2]パン酵母の量が液種用粉原料の全量に対し乾燥重量で0.5〜1.1質量%である、前記[1]に記載のケーキドーナツの製造方法。
[3]本捏ね用粉原料を、液種生地:本捏ね用粉原料=99.5〜45:0.5〜55の質量比で添加する、前記[1]又は[2]に記載のケーキドーナツの製造方法。
本発明における小麦粉は、ケーキドーナツに通常用いられるものであればいずれでもよい。薄力粉、中力粉、強力粉のいずれも使用することができるが、好ましくは強力粉である。液種用粉原料の全量に対する小麦粉の量は好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜85質量%、さらに好ましくは75〜85質量%である。
また本発明の液体原料には、水や液卵、牛乳、液体状の油等を含むことが出来る。
液種生地の粘度は、液種用粉原料及び液体原料の組成や量によって適宜調整することが出来る。例えば、液種用粉原料中の小麦粉の量が多くなると粘度が上がる傾向、液種用粉原料中の糖の量が多くなると粘度が下がる傾向にあり、また液種中の液卵の量が多くなると粘度が上がる傾向にある。
本発明において、本捏ね用粉原料は膨張剤を含む。本発明における膨張剤は、ケーキドーナツに通常用いられるものであればいずれでもよく、重曹、ふくらし粉、ベーキングパウダー、イスパタなどが挙げられるが、好ましくはベーキングパウダーである。
本発明において本捏ね用粉原料には、膨張剤の他に、小麦及びそれ以外の穀粉類、グラニュー糖等の甘味性糖類、脱脂粉乳等の乳類、ショートニング等の固形油脂類、卵粉、卵黄粉等の卵類、食塩、香料、着色料、増粘多糖類、変性澱粉などの公知のドーナツ用粉原料を何れも使用することができる。
本発明において、液種生地に対する本捏ね用粉原料の使用量の質量比は、好ましくは液種生地:本捏ね用粉原料=99.5〜45:0.5〜55、さらに好ましくは95〜45:5〜55、より好ましくは95〜65:5〜35である。液種生地に対する本捏ね用粉原料の使用量の質量比が99.5〜45:0.5〜55であれば、風味がより良好でふんわりした食感を有し、口溶けがより良好になる傾向に有る。
油ちょう方法は、例えば160〜200℃の温度の油の中で片面10〜120秒ずつ加熱することにより行うことができる。
表1に記載した液種用粉原料をミキサー(KitchenAid社製KSM5)に投入し、液体原料を少量ずつ添加して捏ね上げ温度24℃で混捏し、液種生地を得た。得られた液種生地の粘度は900dPa・s(25℃)であった。液種生地をステンレス容器に投入して密栓し、冷蔵庫内にて10℃で12時間発酵させた。
発酵させた液種生地90質量部と表2に記載した本捏ね用粉原料10質量部をミキサーに投入し、中速1分間、書き落とし後更に中速1分間混捏した。捏ね上げ温度は20℃であった。フロアタイムを15分間取った後、ドーナツカッター(ベルショー社製Fカッター)を使用して40gのリング状ケーキドーナツ生地を得た。得られた生地を190℃に熱したフライヤーに投入し、片面1分間フライしてケーキドーナツを得た。
表3に記載した配合のケーキドーナツミックス100質量部と水43質量部をミキサーに投入し、低速で1分30秒間混捏した。捏ね上げ温度は22℃であった。フロアタイムを10分間取った後、製造例1と同様にして標準的なケーキドーナツを得た。
表4に記載した配合の原料をミキサーに投入し、低速で3分間、中速で10分間混捏してイーストドーナツ用生地を得た。捏ね上げ温度は20℃であった。得られた生地を密封容器に入れ、20℃に保持した保温機で3時間発酵させて発酵生地を得た。得られた発酵生地100質量部と配合表の原料100質量部をミキサーに投入し、低速で3分間、中速で10分間混捏した。捏ね上げ温度は25℃であった。フロアタイム10分間の後、分割してベンチターム15分間とり、成形後、38℃で40分間ホイロした。180℃に熱したフライヤーに投入し、片面につき50秒間フライしてイーストドーナツを得た。
製造例1に従って実施例1のドーナツを得た。製造例2及び製造例3に従って比較例1及び2のドーナツを得た。製造したドーナツの粗熱がとれたら、パネラー10名により、比較例1の標準的なケーキドーナツを3点として表5に記載した評価基準に従って評価した。なお、本発明のケーキドーナツ用液種および比較例2の発酵生地の粘度は、ビスコテスタ粘度計(25℃)を用いて測定した。結果を表6に示す。
表7に記載の加水量として液種の粘度を調節した以外は製造例1に従ってケーキドーナツを製造し、表5に記載した評価基準に従って評価した。結果を表7に示す。
液種生地の粘度が本発明の範囲である実施例1〜3では、風味及び食感とも良好であった。液種生地の粘度が本発明の範囲より高い比較例3は、風味はやや弱く感じられ、食感は硬く感じ口溶けも不適であった。液種の粘度が本発明の範囲よりも低い比較例4は、粘度が低いために成形した生地が扁平になり、フライすることができなかったため評価しなかった。
発酵条件(発酵温度・発酵時間・パン酵母の量)を表3のように変更した以外は製造例1に従ってケーキドーナツを製造し、表5に記載した評価基準に従って評価した。結果を表8に示す。なお、パン酵母として使用したインスタントドライイーストを増減させる場合、小麦粉との置換により液種用粉原料の全量が100質量部になるよう調節した。
発酵温度を5℃、15℃で製造した実施例4、5では、風味及び食感とも良好であった。発酵温度を3℃、20℃で製造した比較例5、7では、風味はやや弱く感じられ食感はややふんわり感を感じず口溶けも不適であった。発酵時間を6時間、18時間で製造した実施例6、7では、風味及び食感とも良好であった。発酵温度を3時間で製造した比較例5、発酵温度を20時間で製造した比較例6では、風味はやや弱く感じられ食感はややふんわり感を感じず口溶けも不適であった。パン酵母を0.6%、1.0%を配合した実施例4、5では、風味及び食感とも良好であった。
液種生地と本捏ね資材の割合を表9に記載のように変更した以外は製造例1に従ってケーキドーナツを製造し、表5に記載した評価基準に従って評価した。結果を表9に示す。
Claims (3)
- 小麦粉、糖及びパン酵母を含む液種用粉原料に、液体原料を添加混合して粘度400〜1500dPa・s(25℃)とした液種生地を、4〜18℃で4〜19時間発酵させる工程及び、発酵させた液種生地に、膨張剤を含む本捏ね用粉原料を添加する工程を含むケーキドーナツの製造方法(但し、発酵させた液種生地と本捏ね用粉原料とを混捏して得られた生地をホイロ(焙炉)する工程を含む場合を除く)。
- パン酵母の量が液種用粉原料の全量に対し乾燥重量で0.5〜1.1質量%である、請求項1に記載のケーキドーナツの製造方法。
- 本捏ね用粉原料を、液種生地:本捏ね用粉原料=99.5〜45:0.5〜55の質量比で添加する、請求項1または2に記載のケーキドーナツの製造方法。
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