JP7023793B2 - イーストドーナツの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イーストドーナツの製造方法に関する。
ドーナツは、一般的に、イーストを用いて生地を発酵させて膨らませるイーストドーナツと、イーストを用いずにケーキに近い配合でベーキングパウダーなどの膨張剤を用いて生地を膨らませるケーキドーナツとに分類される。両ドーナツはそれぞれ独特の食感、風味を有し、同じドーナツであっても種類が異なるものとして一般に認識されている。
ケーキドーナツに関し、例えば特許文献1には、複数個の環状ドーナツを上下複数段にずらして一体化した、新規形状のケーキドーナツが記載されている。特許文献1記載のケーキドーナツは、150~600デシパスカル秒の粘度を有する生地を用い、該生地を成形した後、その成形生地を、時間的間隔をおいてそのまま油槽に導き順次ずらして重ねて一体的に油ちょうすることで製造される。
一方、イーストドーナツは、生地の発酵工程を経て製造されることに起因して、発酵工程を経ずに製造されるケーキドーナツと比較して、もっちり感、ふんわり感に富んだ食感が特徴的である。また、イーストドーナツは、発酵によって生地に気泡を含有させるため、グルテン含量の高い強力粉を主体にした生地原料を用い、さらに、生地原料に対する加水量を少なめにして比較的粘度の高い粘土状の生地(いわゆるドウ)を用いるのが通常である。
イーストドーナツは、典型的には、生地の調製、発酵(一次発酵)、分割・丸め、ベンチタイム、成形、ホイロ(二次発酵)、ラックタイム、油ちょうという多数の工程を経て製造される。このため、イーストドーナツの製造には比較的大掛かりな設備と長時間を要し、例えば、店内で製造販売するいわゆるウインドベーカリーではこのような製造環境を整備することは困難であるため、製造工程、製造設備の簡略化が要望されている。
斯かる要望に応え得るイーストドーナツの製造方法に関し、特許文献2には、原料配合組成物100重量部に対して70~80重量部の加水を行ない混捏して生地を得た後、該生地を発酵させて発酵生地を得、該発酵生地を圧力式カツターにより分割・成形し、ホイロ工程を経ることなしに直ちに油ちょうを行なう方法が記載されている。特許文献2記載のイーストドーナツの製造方法は、製造工程の簡略化の観点からホイロ工程を除いた場合に懸念される不都合、例えば、ドーナツの表皮にシワができやすい、形状が悪いなどを生じさせないというものであり、形状の均整がとれた定形のイーストドーナツを効率よく製造することを目的とするものである。
また特許文献3には、ホイロ工程を行わないイーストドーナツの製造方法として、穀粉類、豆粉、グルテン粉末及びローストフラワーを含む生地原料を用いて生地を調製し、該生地を一次発酵する際に、発酵膨張率が80~200%になるように発酵を行う方法が記載されている。特許文献3記載の製造方法によれば、油っこくなく、外側がサックリとし且つ内側がもっちりとした食感を有するイーストドーナツが得られるとされている。
特開平11-276059号公報 特開昭60-234534号公報 特開2012-200193号公報
ドーナツの形状は多種多様であるが、いずれの形状であっても、形状に関して通常要望されるのは、ドーナツ各部の形が揃っていて全体的につり合いがとれた形状、即ち「均整のとれた形状」であり、同種のドーナツを多数製造した場合に、それら多数のドーナツどうしで形状が揃っていることが通常要望される。例えば、中央に貫通孔が形成された典型的な円環状のドーナツであれば、その外縁及び内縁(該貫通孔の周縁)の両方が平面視において略円形状であることが通常は要望される。そして、斯かる要望に沿わない、「不均整な形状」のドーナツは不良品として扱われ、通常、正規品としては流通しない。
しかしながら、ドーナツの形状が不均整であることが、却って該ドーナツの食感などにプラスに作用することがあり得る。例えば、均整のとれた形状のドーナツは、どこを食べても同じような食感であり、食する人によっては、面白みに欠けるといった批判的な感想となる可能性があるのに対し、不均整な形状のドーナツは、ドーナツ各部での形状の違いに起因してドーナツ各部で食感が異なるため面白みが感じられ、実際、このような不均整な形状のドーナツに対する需要が存在する。特にイーストドーナツは、もっちり感、ふんわり感に富んだ独特の食感を有しているところ、イーストドーナツの形状が不均整である場合には、その不均整な形状が、イーストドーナツ独特の食感にさらにアクセントとして加わる結果、イーストドーナツの食感がバラエティに富んだものとなることが期待される。このような、不均整な形状を有し且つ食感がバラエティに富んだイーストドーナツを、安定的に効率よく量産し得る技術は未だ提供されていない。
本発明の課題は、不均整な形状を有し且つ食感がバラエティに富んだイーストドーナツを安定的に効率よく量産し得る、イーストドーナツの製造方法を提供することである。
本発明は、少なくとも穀粉類及びイーストを含む生地原料に液体を添加してペースト状の生地を調製し、該生地を発酵させて発酵生地を得、該発酵生地を加熱された油中に投入して油ちょうする工程を有する、イーストドーナツの製造方法であって、油ちょう直前の前記発酵生地の粘度が20~150Pa・sである、イーストドーナツの製造方法である。
本発明によれば、不均整な形状を有し且つ食感がバラエティに富んだイーストドーナツを安定的に効率よく量産することができる。
図1は、本発明のイーストドーナツの製造方法の実施に使用可能な押出成形機の模式的な斜視図である。 図2は、本発明の製造方法により製造されたイーストドーナツの一例を示す図面代用写真である。
本発明のイーストドーナツの製造方法では、生地原料に液体を添加して生地を調製し(生地調製工程)、該生地を発酵させて発酵生地を得(発酵工程)、該発酵生地を加熱された油中に投入して油ちょうする(油ちょう工程)。本発明のイーストドーナツの製造方法は、油ちょうされる発酵生地が、従来のイーストドーナツの製造において採用されている粘土状の生地、いわゆるドウではなく、ドウよりも粘性の低いペースト状の生地を用いる点で特徴付けられる。具体的には、本発明で用いるペースト状の生地は、粘度が20~150Pa・sの範囲にあり、いわゆるバッターあるいはバッターに近い性状の生地である。このような比較的粘性の低い生地を用いることの利点の1つとして、イーストドーナツの製造効率の向上が挙げられる。
イーストドーナツは従来、塑性ないし伸展性を有する生地であるドウを調製し、フロアタイム、分割、ベンチタイムなどの工程を経た後、ベンチカット法、デパイダー法などにより生地を所定形状に成形し、さらにホイロ工程を経て製造されており、このような多数の工程を経ることによる製造効率の低さが課題の1つである。ベンチカット法は、生地を圧延してドーナツ型で型抜きする成形法、デパイダー法は、手指などで分割した生地をモルダーにてロール状にした後、そのロール状生地の長手方向両端を連結させて環状にする成形法であり、これらの成形法の適用には、適用対象である生地が、塑性ないし伸展性を有することが必要である。
イーストドーナツの製造効率を高める方法として、従来のイーストドーナツの製造において一次発酵(フロアタイム)後から油ちょうまでの間に実施されている工程を簡略化する方法、具体的には、「一次発酵により得られた発酵生地を成形後に速やかに油中に投入油ちょうする工程」を採用することが考えられる。斯かる工程の採用により、従来イーストドーナツの製造において行われていた生地の分割、成形、ホイロといった、比較的煩雑で時間のかかる作業が不要となり、イーストドーナツの製造効率が向上し得る。このような、「成形即油ちょう方式」は従来、主にケーキドーナツの製造で採用されており、サニタリーカッター、オープンケトル式ドーナツカッターなどとも呼ばれる、押出成形機を用いて行われている。斯かる成形即油ちょう方式は、典型的には、油ちょうが行われる高温の油の入った油槽の上方に押出成形機を配置し、該押出成形機に発酵生地を入れて常法に従って分割・成形を行い、該押出成形機の下端から油槽に向けて、所定形状に成形された発酵生地を押し出すことで実施される。
前記の成形即油ちょう方式の工程は、例えば、図1に示す押出成形機10を用いて実施することができる。押出成形機10は、底部に生地の押出口111を有する生地収容部11と、該生地収容部11に収容された生地を該押出口111から押し出すプランジャー12とを具備する。生地収容部11は、生地投入用の上部開口110を有し、該上部開口110から底部の押出口111に向かって漸次縮径する部分を有している。プランジャー12は、一方向に長い棒状をなし、その長手方向を垂直方向に一致させて、手動又はモーター等の駆動源による自動で、垂直方向を上下動自在に支持されている。押出成形機10の生地収容部11に前記発酵工程で得られた発酵生地を投入し、常法に従って押出成形機10を操作することで、該発酵生地の成形及び成形された該発酵生地の油中への投入を連続的に実施することが可能となる。その際、図3に示すように、押出成形機10を、油ちょうが行われる高温の油21の入った油槽20の上方に設置しておくと、プランジャー12によって押出口111から押し出された生地(成形された発酵生地)がそのまま油21中に投入されるようになるため好ましい。
しかしながら、従来のドウを用いたイーストドーナツの製造方法に、図1に示す如き押出成形機を用いた生地の分割・成形及び油槽への押し出しを採用して、前記の成形即油ちょう方式を実施した場合、ドウが比較的硬くてべたつきやすい性状であり、ハンドリング性に劣るものであることに起因して、生地を安定的に分割・成形することが難しく、製造効率の向上どころか、イーストドーナツの安定的な製造に支障をきたすおそれがあった。
そこで、本発明者らが種々検討した結果、油ちょう直前の発酵生地の粘度を20~150Pa・sという特定範囲に調整することで、イーストドーナツの製造において図1に示す如き押出成形機の使用が可能となり、従来実施されていたベンチカット法などによる生地の成形及びその後のホイロなどの工程が不要となって、イーストドーナツの製造効率が飛躍的に向上し得ることを知見した。本発明は斯かる知見に基づきなされたものである。このような、比較的低粘度のペースト状の生地を用いる本発明のイーストドーナツの製造方法によれば、例えば押出成形機を用いて、「発酵生地を分割・成形した後、ホイロ工程(二次発酵工程)を経ずに直ちに油ちょうする」という、従来のイーストドーナツの製造工程よりも簡略化された工程を採用することが可能であり、イーストドーナツを安定的に効率よく量産することが可能となる。
また、油ちょう直前の発酵生地の粘度が20~150Pa・sであると、特に、その成形・分割に際して押出成形機を用いた場合に、最終的に得られるイーストドーナツの形状が、適度に不均整になることが判明した。例えば、目的とするドーナツの形状が、ドーナツの代表的な形状の1つである、中央に貫通孔が形成された円環状である場合、通常は、平面視において外縁及び内縁(該貫通孔の周縁)の両方が略円形であるような、均整のとれた形状が理想とされるが、粘度が20~150Pa・sの範囲にある生地を押出成形機によって分割・成形するなどして、前記の「成形即油ちょう方式」を実施すると、それによって得られたイーストドーナツは、図2の図面代用写真における4個のドーナツのように、円環状の形状を有し、いわゆるリングドーナツとしての体をなしつつも、外縁及び/又は内縁が非円形であり、全体的に不均整な形状である。
そして、図2に示す如きドーナツの不均整な形状は、ドーナツの外観において面白みが加わって商品価値を高め得ることに加え、ドーナツ各部での形状の違いによる食感の違いが生じるため、ドーナツの食感においても面白みが加わって商品価値を高め得る。また、図2に示す如きドーナツの不均整な形状は、特に、もっちり感、ふんわり感といったイーストドーナツ固有の食感との相性がよく、イーストドーナツにおいては食感のアクセントとして作用し、その食感をバラエティに富んだものとし得る。従って本発明によれば、不均整な形状を有し且つ食感がバラエティに富んだイーストドーナツを安定的に効率よく量産することができる。
本発明において、油ちょうする直前の発酵生地の粘度は、前記の通り20~150Pa・sであり、好ましくは20~100Pa・s、より好ましくは20~60Pa・s、さらに好ましくは30~50Pa・sである。油ちょう直前の発酵生地の粘度が20Pa・s未満では、生地の保形性が低すぎてイーストドーナツの製造が困難となるおそれがあり、150Pa・sを超えると、圧力式ドーナツカッターを用いて生地を安定的に分割・成形し押し出すことが困難となるおそれがある。本明細書において、生地(発酵生地)の粘度は、測定対象の生地の品温を25℃に調整し、ブルックフィールド回転粘度計(B型粘度計)を用いて常法に従って測定された粘度を意味する。例えば、B型粘度計としてビスコメーターTVB10形(東機産業)を用い、ローターとしてSPINDLE NO.M4を使用することができる。発酵生地の粘度は、生地原料に添加する液体の量を調整する、生地に含まれる糖量を増やす、生地原料に含まれる穀粉の種類を変える等の方法により調整することができる。
本発明で用いる生地原料は、少なくとも穀粉類及びイーストを含み、常温常圧で粉体である。穀粉類としては、イーストドーナツの製造において従来用いられている穀粉及び澱粉を特に制限なく用いることができ、斯かる穀粉及び澱粉からなる群から選択される1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。生地原料におけるにおける穀粉類の含有量は、生地原料の全質量に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40~50質量%である。
前記穀粉としては、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉、小麦全粒粉、デュラムセモリナ等の小麦粉;ライ麦粉、米粉、コーンフラワー、コーングリッツ等が挙げられる。前記澱粉は、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を意味し、前記穀粉中に含まれる澱粉とは区別される。前記澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、タピオカ澱粉等の未加工澱粉、及びこれら未加工澱粉に油脂加工、α化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理の1つ以上を施した加工澱粉等が挙げられる。
油ちょう直前の発酵生地の粘度を確実に20~150Pa・sに調整して、本発明の所定の効果を確実に奏させるようにする観点から、本発明で用いる穀粉類の好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上が薄力粉であることが好ましい。本発明で用いる穀粉類の全部が薄力粉であると特に好ましい。
また、ドーナツの不均整な形状を作りつつも、リングドーナツとしての形状をなす観点から、本発明で用いる生地原料におけるイーストの含有量は、該生地原料中の穀粉類100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5~5質量部、さらに好ましくは3~4質量部である。
本発明で用いる生地原料には、穀粉類(穀粉、澱粉)及びイースト以外に必要に応じ、イーストドーナツの製造に従来用いられている他の原料を含有させてもよい。他の原料としては、例えば、乳化剤、油脂、卵、食塩、砂糖、乳原料、増粘剤、香料等が挙げられ、製造するイーストドーナツの種類等に応じて、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の製造方法においては、穀粉類及びイーストを含む生地原料に液体を添加してペースト状の生地を調製する(生地調製工程)。斯かる生地調製工程は、ミキサー(混合攪拌機)を用いて常法に従って行うことができ、ミキサーへの生地原料の投入順序などは常法に従えばよい。ミキサーとしては、製パン製菓用に従来用いられているものを用いることができ、例えば、縦型ミキサー、横型ミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー等が挙げられる。生地原料に添加する液体としては、水、牛乳、豆乳、卵等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
生地原料に対する液体の添加量は、油ちょう直前の発酵生地の粘度を20~150Pa・sに確実に調整する観点から、生地原料100質量部に対して水分添加量として、好ましくは60~80質量部である。生地に添加する液体が水の場合は、その液体としての水の添加量と前記水分添加量とは同じであるが、生地に添加する液体が水以外の他の液体の場合は、該他の液体の添加量は、該他の液体の含水率(例えば、牛乳の含水率は87.4質量%、全卵の含水率は76.4質量%)に基づき、前記水分添加量に換算される。例えば、生地原料100質量部に対して全卵を20.0質量部添加した場合、該全卵の添加量は水分添加量として、15.3質量部(=20.0×0.764)である。
本発明の製造方法においては、生地調製工程で得られたペースト状の生地を発酵させて発酵生地を得る(発酵工程)。発酵工程は、生地を所定の室温下で所定時間静置することで行うことができる。イーストドーナツに固有の食感であるもっちり感を際立たせて、油ちょう直前の発酵生地の粘度を20~150Pa・sとすることによって得られる前記の「不均整な形状」による食感のアクセントと相俟って、イーストドーナツの食感をより確実にバラエティに富んだものとする観点から、発酵工程における生地の発酵時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは45~75分である。また、同様の観点から、発酵工程における生地の発酵温度(生地の品温)は、好ましくは20~30℃、より好ましくは25~28℃である。
本発明の製造方法においては、発酵工程で得られた発酵生地を、必要に応じ分割・成形してから、油ちょうする。この発酵生地の分割・成形は、前述したように押出成形機を用いて行うことが好ましい。そうすることで、油ちょう直前の発酵生地の粘度を20~150Pa・sとすることと相俟って、前記の「成形即油ちょう方式」が可能となり、製造効率の向上が図られる。押出成形機としては、サニタリーカッター、オープンケトル式ドーナツカッターなど、公知のものを用いることができる。また、特許文献2に記載の圧力式カッターを用いることもできる。押出成形機の好ましい一例として、図1に示す押出成形機10を例示できる。
本発明の製造方法においては、発酵生地の油ちょう直前に、該発酵生地をミキシングしてもよい。これにより、生地全体を一定の粘度とすることができ、また、生地内部の余分の空気を抜き、安定した品質のドーナツ製品を効率良く製造することが可能となる。この発酵生地のミキシングは、該ミキシング後の発酵生地の粘度が20~150Pa・sとなるように、ミキシングの条件を調整する必要がある。発酵生地のミキシングは、縦型ミキサー、横型ミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー等の公知のミキサーを用いて常法に従って行うことができる。
本発明の製造方法において、発酵生地の油ちょうは常法に従って行うことができ、典型的には、加熱された高温の食用油が入った油槽に発酵生地を投入して行う。油ちょうの条件は、油ちょうする生地の重量、製造目的物たるイーストドーナツの形状等に応じて適宜調整すればよく特に制限されないが、例えば、イーストドーナツの形状を円環状の如きリング状(不均整なリング状)とする場合、油温170~190℃、油ちょう時間は、ドーナツの片面側につき60~120秒間(ドーナツ1個当たりの油ちょう時間120~240秒間)とすることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1~3及び比較例1~3〕
下記表1に示す組成の生地原料(ミックス)100質量部に対し、全卵20質量部と、所定量の水とをそれぞれ加え、市販の縦型ミキサーを用いて、低速で1分間、高速で3分間ミキシングしてペースト状の生地を調製した(生地調製工程)。次に、この生地をミキサーに入れたままの状態で、該生地の品温を25℃として60分間のフロアタイムをとることで該生地を発酵(一次発酵)させて発酵生地を得た(発酵工程)。そして、発酵生地を低速で1分間でミキシングした後、前述した押出成形機の1種である市販のプレーンプランジャー(ベルショウ社製、商品名「タイプFドーナツカッター(モーター式)」、1.5/8インチ)を用いて、ドーナツ1個当たりの生地重量が41gとなるように分割・成形し、その成形生地をホイロ工程(二次発酵工程)を経ずに直ちに油ちょうして、円環状のイーストドーナツを製造した。油ちょうは、油温190℃で、油ちょう時間は3分間(片面側につき1分30秒間)とした。
実施例及び比較例で用いた生地原料の組成:小麦粉(薄力粉又は強力粉)80質量%、砂糖11質量%、イースト4.4質量%、塩1質量%、乳化剤0.6質量%、脱脂粉乳3質量%
〔評価試験〕
各実施例及び比較例のイーストドーナツの製造において、押出成形機による生地の分割・成形及び油槽への押し出しのしやすさ(ハンドリング性)を、10名の専門パネラーに下記評価基準により評価してもらった。また、各実施例及び比較例で得られたイーストドーナツを10名の専門パネラーに目視観察してもらい、不均整度合いを下記評価基準により評価してもらった。評価結果を10名の専門パネラーの平均点として下記表1に示す。
(ハンドリング性の評価基準)
◎:押出成形機による押し出しに適した粘度であり、射出量も安定しており、極めて良好。
○:生地にややべたつきがあるか、又は生地が緩くやや保形性に劣るものの、大きな問題無く押出成形機による生地の押し出しができ、射出量も安定しており、良好。
△:生地にかなりべたつきがあるか、又は生地がかなり緩く保形性に劣るため、押出成形機による生地の押し出しに支障が出るおそれがあり、やや不良。
×:生地の粘度が高いため、押出成形機による生地の押し出しが困難であり、射出量が安定しないか、又は、生地の粘度が低いため、射出量が安定せず、不良。
(不均整度合いの評価基準)
◎:円環状の形状を有し、いわゆるリングドーナツとしての体をなしつつも、全体的に不均整な形状であり、極めて良好。
○:やや円環状の形状が崩れているか、又は全体的にやや均整がとれていて不均整度合いにやや欠けるものの、いわゆるリングドーナツとしての体をなし、全体的に不均整な形状であり、良好。
×:生地の粘度が高いため、全体的に均整がとれたいわゆるリングドーナツの形状をなしていて不均整度合いが略無いに等しいか、又は、生地の粘度が低いため、油ちょう時にドーナツの形状が崩れ過ぎた結果、ドーナツ全体として不定形状であって、いわゆるリングドーナツとしての体をなしておらず、不良。
Figure 0007023793000001
表1に示す通り、各実施例のイーストドーナツの製造方法は、油ちょう直前の発酵生地の粘度が20~150Pa・sの範囲にあり、該粘度が斯かる範囲から外れている各比較例のイーストドーナツの製造方法と比較して、ハンドリング性に優れていて、イーストドーナツを効率良く大量生産可能であり、また、得られたイーストドーナツは、リングドーナツとしての体をなしつつも不均整度合いが高く、外観及び食感の双方においてバラエティに富んだものであった。実際、各実施例で得られたイーストドーナツを専門パネラーに喫食してもらったところ、油っこくなく、外側はサックリとし、内側はもっちり感、ふんわり感があり、且つ不均整な形状に起因した部分的な食感の違いがあり、食感がバラエティに富んでいるとの高評価が得られた。

Claims (8)

  1. 少なくとも穀粉類及びイーストを含む生地原料に液体を添加してペースト状の生地を調製し、該生地を発酵させて発酵生地を得、該発酵生地を加熱された油中に投入して油ちょうする工程を有する、イーストドーナツの製造方法であって、
    前記生地原料における前記イーストの含有量が、前記穀粉類100質量部に対して1.5~5質量部であり、
    油ちょう直前の前記発酵生地の粘度が20~150Pa・sである、イーストドーナツの製造方法。
  2. 前記発酵生地を分割・成形した後、ホイロ工程を経ずに直ちに油ちょうする請求項1に記載のイーストドーナツの製造方法。
  3. 底部に生地の押出口を有する生地収容部と、該生地収容部に収容された生地を該押出口から押し出すプランジャーとを具備する押出成形機を用いて、前記発酵生地の成形及び成形された該発酵生地の前記油中への投入を連続的に実施する請求項2に記載のイーストドーナツの製造方法。
  4. 前記生地の発酵時間が30分以上である請求項1又は2に記載のイーストドーナツの製造方法。
  5. 前記発酵生地の油ちょう直前に、該発酵生地をミキシングする請求項1~4のいずれか1項に記載のイーストドーナツの製造方法。
  6. 前記生地原料における前記イーストの含有量が、前記穀粉類100質量部に対して3~5質量部である請求項1~5のいずれか1項に記載のイーストドーナツの製造方法。
  7. 前記生地原料に対する前記液体の添加量が、前記生地原料100質量部に対して水分添加量として60~80質量部である請求項1~6のいずれか1項に記載のイーストドーナツの製造方法。
  8. 前記穀粉類の80質量%以上が薄力粉である請求項1~7のいずれか1項に記載のイーストドーナツの製造方法。
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