JP7278712B2 - パン類、及びパン類の製造方法 - Google Patents

パン類、及びパン類の製造方法 Download PDF

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本発明は、従来のパン類と比較して、水分含有量が高く、且つソフトで老化し難いパン類、及びそのようなパン類の機械製パンに対応可能な製造方法に関する。
従来から、パン類にしっとりとした食感を付与するために、通常よりも水分含有量を高めたパン類が開発されている。特に小麦粉100質量部に対して、水を70質量部以上含有するパン類の生地から焼成されるパン類は、多加水パン類とも称され、注目されている。しかしながら、このような水分含有量が高いパン類においては、パン類の形状を保持(安定化)するために、高温及び/又は長時間焼成により十分に焼き込んでクラスト部(焼成したパン類の外側の焼き色の付いている部分のことを称する)を焼き固める必要があり、クラスト部が硬くなってしまう傾向がある。また、クラム部(焼成したパン類の内側の軟らかい部分のことを称する)は、焼成直後はしっとりとして、且つソフトな食感であっても、経時的な老化により急速に硬くなり易い。したがって、水分含有量が高く、且つ長時間ソフトな食感が維持されたパン類を得ることは困難であった。また、水分含有量を高めたパン類は、上述の通り、製造時の生地に多量の水分を添加するため、生地のべたつきが激しく、取り扱いが極めて困難であり、リテールベーカリーにおいて、熟練のパン職人による手作業では製造できても、機械製パン法(分割機、丸め機、成形機等の工場ラインの製パン機械を用いる製パン方法のことを称する)によって大量生産することは困難であった。
市販(熟練の職人を有するリテールベーカリーで提供)の多加水パンとして、パン・ド・ロデヴが有名である。非特許文献1に記載されている通り、パン・ド・ロデヴの生地は加水量が粉の量に対して90%程度になるため、「スープのような生地」と例えられ、パン職人であっても扱うのが難しいことで知られている。そして、高温のオーブンで時間をかけてしっかり焼くため、焼成後のパンのクラストは厚くしっかりとしているのが特徴となっている。これまでも、水分含有量を高めたパン類の製造方法の技術開発は行なわれている。例えば、特許文献1では、パン類生地を製造する際の原料穀粉の加水に使用する水の一部又は全量として、(a)水分含量;90~99質量%、(b)破断応力;0.05~2kgf/cm2、(c)T2緩和時間;5~100mSの物性を有する高含水寒天ゲルを使用し、原料穀粉に対する総加水量を、各種パン類生地における標準総加水量の1.1~2.3倍に増加させたパン生地を形成し、以下常法により製パンすることを特徴と多加水製パン方法が開示されている。また、特許文献2では、パン生地用小麦粉、水、及び油脂類が混練されてパン生地が形成されると共に、前記パン生地が発酵されて発酵パン生地が形成され、さらに、前記発酵パン生地が焼成されてなるパンであって、前記パン生地用小麦粉は、平均粒径が60μm~120μmであると共に損傷澱粉を4.0重量%~7.0重量%含有する基準小麦粉と、平均粒径が20μm~40μmであると共に損傷澱粉を7.0重量%~12重量%含有する微粉砕小麦粉との混合粉体であり、前記混合粉体には、前記微粉砕小麦粉が20重量%~50重量%配合され、かつ、前記基準小麦粉に含まれる損傷澱粉と前記微粉砕小麦粉に含まれる損傷澱粉とが、合わせて7.0重量%~9.0重量%含まれてなるものであり、前記水は、パン生地用小麦粉の重量に対して70重量%より多く140重量%以下が配合されてなることを特徴とする多加水パンが開示されている。さらに、特許文献3では、穀粉100質量部に対し、水100~200質量部を含む多加水パン類の製造方法であり、(a)前記穀粉100質量部のうちの30~60質量部の穀粉、及び(b)前記(a)の穀粉100質量部に対し、200~250質量部の水を混捏して湯種を作製する工程を含む、多加水パン類の製造方法が開示されている。
特開2011-200140号公報 特開2014-200190号公報 特開2016-077202号公報
「これ1冊でわかる パン・ド・ロデヴ」旭屋出版(2015)
しかしながら、これらの先行技術を用いて水分含有量を高めたパン類であっても、経時的な老化により急速に硬くなり易いこと、及び機械製パン法による大量生産が困難であるということに対しては十分に改善されているとはいえない。
したがって、本発明の目的は、従来のパン類と比較して、水分含有量が高く、且つソフトで老化し難いパン類、及びそのようなパン類を機械製パン法により製造することが可能な製造方法を提供することにある。
上記目的は、クラスト部及びクラム部を有するパン類であって、(A)水分含有量が、前記パン類の質量に基づいて38~60質量%(好ましくは40~55質量%)であり、(B)前記パン類の比容積が、3.8cm3/g以上(好ましくは4.0cm3/g以上)であり、(C)前記パン類の焼成後1日経過後のクラスト部の、所定の測定方法によって測定される応力値が、100~400g(好ましくは100~300g)であり、(D)前記パン類の焼成後3日経過後のクラム部の、所定の測定方法によって測定される応力値が、400g以下(好ましくは350g以下)である、パン類を製造する方法であって、穀粉、α化澱粉(湯種製造中に糊化した澱粉を除く)を含む澱粉、及びグルテンからなる原料粉、及び水を含む材料を混捏して生地を調製する工程であり、前記水の配合量が、前記原料粉100質量部に対して、75~110質量部であり、前記α化澱粉の含有量が、前記原料粉の質量に基づいて1.25~10質量%であり、前記グルテンの含有量が、前記原料粉の質量に基づいて0.25~10質量%である工程を含むパン類の製造方法によって達成される。なお、前記パン類は焼成後、室温まで冷却した後、包装し、所定の期間保管した。また、水分含有量は、焼成後1日経過以内に、常圧加熱乾燥法(135℃、2時間)によって測定し、比容積は、焼成後1日経過以内に、体積及び重量を測定して算出した。
本発明により、従来のパン類と比較して、水分含有量が高く、且つソフトで老化し難いパン類を提供でき、そのようなパン類を熟練のパン職人によらずに、機械製パン法による大量生産によって製造することができる。
[パン類]
本発明のパン類は、クラスト部及びクラム部を有するパン類であって、(A)水分含有量が、前記パン類の質量に基づいて38~60質量%(好ましくは40~55質量%)であり、(B)前記パン類の比容積が、3.8cm3/g以上(好ましくは4.0cm3/g以上)であり、(C)前記パン類の焼成後1日経過後のクラスト部の、所定の測定方法によって測定される応力値が、100~400g(好ましくは100~300g)であり、(D)前記パン類の焼成後3日経過後のクラム部の、所定の測定方法によって測定される応力値が、400g以下(好ましくは350g以下)である。前記応力値は、(i)クラスト部の場合は、前記パン類の表面(上面)から20mmの厚さでスライスした切片(大きさ:3cm×3cm)について、テクスチャーアナライザー(Texture Analyser XTplus型 (Stable micro systems社製)で、直径10mmのシリンダー型プランジャーを用い、プランジャー速度10mm/s、150%圧縮(突き刺し)×1サイクルの条件で、前記表面側からクラスト部を貫通させた際の応力値を測定し、(ii)クラム部の場合は、前記パン類の表面(底面)から20mmの厚さでスライスした切片(大きさ:3cm×3cm)について、テクスチャーアナライザー(Texture Analyser XTplus型 (Stable micro systems社製)で、直径20mmのシリンダー型プランジャーを用い、プランジャー速度1mm/s、50%圧縮×2サイクルの条件で、前記表面と反対側のクラム部の応力値を測定することによって求めることができる。(A)の水分含有量を満たすパン類は、通常、多加水パン類であるが、後述する実施例で示す通り、従来の多加水パン類では、形状を保持するために焼き込むため、クラスト部が硬くなり、上記(C)におけるクラスト部の応力値は、500g以上である。また、クラム部では、焼成直後はしっとりとして、ソフトな食感が得られるものの、焼成後、経時的な老化により硬くなり易いため、上記(D)のように焼成後3日経過後のクラム部の応力値は、500g以上になる。したがって、これまで、上記のような(A)、(B)、(C)、及び(D)の物性を全て満たす多加水パン類は存在していなかった。本発明においては、以下に記載する多加水パン類の製造方法によって得られる、上記物性を満たす多加水パン類を初めて見出した。本発明のパン類においては、上記(D)の物性を満たすため、前記パン類の焼成後1日経過後のクラム部の前記測定方法(ii)によって測定される応力値が50~250gであることが好ましく、50~200gであることがより好ましい。
[パン類の製造方法]
本発明者らは、従来の多加水パンの製造方法では、加水量が過剰であるため、生地の混捏耐性が弱くなり、混捏工程において混捏不足の生地(不均一で厚みのある膜質の生地)となるため、焼成後のパン類はクラムの膜質が厚くなり、老化が早くなるものと推察した。そこで、本発明者らは、加水量の増加と生地の強化を両立できる配合を種々検討し、混捏耐性を改善し、十分に混捏することで均一で薄い膜質のクラムを得ることにより、焼成後のパン類の老化を遅らせるだけでなく、製造時の機械耐性の改善、及び焼成後のパン類の品質が通常製法のパン類に近いパン類(すなわち、本発明のパン類)を製造する方法を見出した。すなわち、本発明のパン類の製造方法は、本発明のパン類を製造する方法であって、穀粉、α化澱粉を含む澱粉、及びグルテンからなる原料粉、及び水を含む材料を混捏して生地を調製する工程であり、前記水の配合量が、前記原料粉100質量部に対して、75~110質量部である工程を含む。生地にα化澱粉とグルテンを配合することで、上記のような水の配合量が多い生地であっても、上記の物性を有する本発明のパン類を、熟練のパン職人によらずに、機械製パン法による大量生産によって製造することができる。
本発明において、前記α化澱粉の含有量は、前記原料粉の質量に基づいて1.25~10質量%であり、2.5~8質量%であることがより好ましい。前記グルテンの含有量は、前記原料粉の質量に基づいて0.25~10質量%であり、0.5~8質量%であることが好ましく、0.75~5質量%であることがより好ましい。また、前記グルテンは、前記α化澱粉5質量部に対して1質量部以上含有することが好ましく、2質量部以上含有することがより好ましい。α化澱粉は生地の加水量の増加に効果が大きいが、生地の混捏耐性を弱める傾向がある。一方、グルテンは、加水量の増加効果は、α化澱粉より低いが、生地の混捏耐性を強化する効果がある。本発明においては、両者を適切なバランスで併用することで、両者の好ましい効果をより増強させることができる。
本発明において、穀粉は、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、燕麦粉、トウモロコシ粉、ホワイトソルガム粉、米粉、大豆粉(きな粉)、緑豆粉、そば粉、アマランサス粉、キビ粉、アワ粉、ヒエ粉、穀物外皮(ふすまなど)の粉砕物等が挙げられる。本発明において、穀粉は、小麦粉を含むことが好ましく、小麦粉を主体とすることがより好ましい。小麦粉としては、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉、デュラム小麦粉等どのようなものでもよく、種々の小麦粉を混合して用いてもよい。
本発明において、澱粉は、植物から抽出した澱粉、及びこれらに物理的又は化学的加工を施した加工澱粉を意味し、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉等の澱粉、及びそれらの澱粉を原料として、物理的又は化学的に加工を施した加工澱粉が挙げられる。加工澱粉としては、どのような種類の加工澱粉でもよく、α化澱粉の他、例えば、湿熱処理澱粉;酸化澱粉;酸処理澱粉;酢酸澱粉(アセチル化澱粉)等のエステル化澱粉;リン酸化澱粉;ヒドロキシプロピル化澱粉等のエーテル化澱粉;リン酸架橋澱粉、アジピン酸架橋澱粉等の架橋澱粉;アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等の複数の加工を組み合わせた加工澱粉等が挙げられる。したがって、前記α化澱粉は、α化処理した澱粉だけでなく、架橋、アセチル化、ヒドロキシプロピル化等の加工を組み合わされたα化澱粉でもよい。本発明において、前記α化澱粉は、高い吸水性を有し、且つ生地のべたつきを抑制できる点で、α化架橋澱粉であることが好ましい。
本発明において、グルテンは、小麦粉等の穀類に含まれるグリアジンとグルテニンが絡み合って形成されるたん白質の一種である。グルテンは、活性グルテンともいい、例えば、小麦粉に水を加えて混捏し、グルテンが形成された生地を調製した後、その生地を洗浄して澱粉等を除去し、必要に応じてpH調整、アンモニア水等のアルカリ処理、酢酸等の酸処理、還元剤処理、乾燥、粉砕等することにより粉状物として得ることができる。本発明の組成物に含有するグルテンとしては、特に制限はなく、市販のものを適宜使用することができる。本発明において、前記グルテンは、伸展性に優れるアルカリ処理グルテン、又は酸処理グルテンであることが好ましい。
本発明において、前記穀粉、澱粉、及びグルテンからなる原料粉、及び水以外に、製パン用の生地に一般的に使用される他の材料を適宜含有することができる。他の材料としては、砂糖、ぶどう糖、麦芽糖、異性化糖、水あめ、粉あめ、オリゴ糖、デキストリン等の澱粉以外の糖質;バター、ラード、サラダ油、マーガリン、ショートニング等の油脂;脱脂粉乳、カゼイン、チーズ、ヨーグルト、牛乳等の乳製品;乾燥卵(全卵、卵白、卵黄)、液卵(全卵、卵白、卵黄)等の卵加工品;カカオ加工品、海藻由来素材、食塩、調味料、発酵液、ビタミンC、乳化剤、イーストフード、イースト、膨張剤、生地改良剤、香料、着色料等が挙げられる。
本発明において、生地を調製する工程は、通常のパン類と同様に、直捏法、中種法、湯種法等、公知の製パン方法を用いることができる。生地のべたつきをより低減できる点で、前記材料の一部を用いて湯種を作製する工程を含む湯種法が好ましい。湯種を作製するための前記材料の割合としては、特に制限はない。例えば、前記原料粉の全量100質量部の内、5~30質量部、好ましくは10~30質量部を用い、前記水の全量100質量部の内、4~70質量部、好ましくは4.5~68質量部(湯種に用いる原料粉100質量部に対する加水量が100~170質量部とするのがより好ましい)を用いて湯種を作製することができる。湯種の作製は、従来の方法を用いることができる。例えば、前記原料粉に所定量の水(70~100℃)を加えて混捏する方法や、前記原料粉に所定量の水を加え、加温下で混捏する方法等が挙げられる。作製された湯種は、常法により、湯種以外の材料と混捏する本捏工程によって、前記生地を調製することができる。
その後、得られた生地から、通常の製パン方法における各工程を行なうことによって、本発明の多加水パン類を製造することができる。例えば、前記生地を、必要に応じて、一次発酵、分割、成形し、二次発酵させた後、焼成することで製造することができる。本発明においては、上記のように水の配合量が多い生地であっても、クラスト部を焼き固めるような高温及び/又は長時間の焼成を必要としないので、クラスト部が比較的ソフトな本発明のパン類を容易に製造することができる。また、本発明においては、従来の水の配合量が多いパン類の生地と比較して、生地のべたつきが少ないため、機械耐性が高く、機械製パン法による大量生産に適している。したがって、本発明のパン類の製造方法は、前記生地を調製する工程から得られた生地を、製パン機械によって、分割、丸め及び/又は成形する工程を含むことができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.実施例1~5、参考例1のパンの調製
表1に示した実施例1~5、参考例1の材料を用いて、以下の方法で各実施例のパンを調製した。
(1)油脂以外の材料(小麦粉、グルテン、α化澱粉、塩、砂糖、イースト、及び水)をボウルに入れ、ミキサーの低速で5分間、中高速で8~12分間混捏した。
(2)(1)に油脂を加え、さらにミキサーの低速で3分間、中高速で5~10分間混捏して生地を調製した(捏上温度;26~28℃)。
(3)(2)で調製した生地を28℃で30分間のフロアタイムをとった後、分割丸め機(セミファシーFS-20(株式会社愛工舎製作所製))を用いて、一玉60gに分割・丸めを行い、室温で20分間のベンチタイムをとった。
(4)(3)の生地を小型モルダー(ミニモルダMQ(株式会社オシキリ製))を用いて、ロール状に成形し、38℃、相対湿度85%で60分間のホイロをとった。
(5)(4)の生地を220℃で10分間焼成した。
2.実施例6及び7のパンの調製
表2に示した実施例6及び7の材料を用いて、以下の方法でパンを調製した。
(1)湯種の材料をボウルに入れ、ミキサーの中速で30秒間、高速で2分間混捏し、湯種を調製した(捏上温度;60℃)。
(2)(1)で調製した湯種を25℃で3時間おいて粗熱をとった後、4℃で2時間冷蔵した。
(3)本捏の材料の油脂以外の材料(小麦粉、グルテン、α化澱粉、塩、砂糖、イースト、及び水)を(1)とは別のボウルに入れ、ミキサーの低速で2分間混捏した後、(2)の湯種を加え、さらに低速で3分間、中高速で10分間混捏した。
(4)(3)に油脂を加え、さらにミキサーの低速で3分間、中高速で8分間混捏して生地を調製した(捏上温度;27℃)。
(5)(4)で調製した生地を28℃で30分間のフロアタイムをとった後、分割丸め機(セミファシーFS-20(株式会社愛工舎製作所製))を用いて、一玉60gに分割・丸めを行い、室温で20分間のベンチタイムをとった。
(6)(5)の生地を小型モルダー(ミニモルダMQ(株式会社オシキリ製))を用いて、ロール状に成形し、38℃、相対湿度85%で60分間のホイロをとった。
(7)(6)の生地を220℃で10分間焼成した。
3.比較例1のパンの調製
表2に示した材料を用いて、以下の方法でパンを調製した。
(1)湯種の材料をボウルに入れ、ミキサーの中速で30秒間、高速で2分間混捏し、湯種を調製した(捏上温度;60℃)。
(2)(1)で調製した湯種を25℃で3時間おいて粗熱をとった後、4℃で2時間冷蔵した。
(3)本捏の材料の油脂以外の材料(小麦粉、塩、インスタントドライイースト、及び水)を(1)とは別のボウルに入れ、ミキサーの低速で2分間混捏した後、(2)の湯種を加え、さらに低速で2分間、中高速で10分間混捏した。
(4)(3)に油脂を加え、さらにミキサーの低速で2分間、中高速で14分間混捏して生地を調製した(捏上温度;27℃)。
(5)(4)で調製した生地を28℃で30分間のフロアタイムをとった後、4℃で1時間冷蔵した。
(6)(5)の生地を手作業にて、一玉60gに分割して、バンズ型に丸め、38℃、相対湿度85%で30分間のホイロをとった。
(7)(6)の生地を220℃で18分間焼成した。
4.比較例2のパンの調製
表3に示した材料を用いて、以下の方法でパン・ド・ロデヴ風のパンを調製した。なお、非特許文献1を参照して、クラスト部の厚みを抑えるため、加水量が少な目の配合とした。
(1)全ての材料(小麦粉、塩、モルト、インスタントドライイースト、及び水)をボウルに入れ、スパイラルミキサーを用いて、低速で7分間、中高速で12分間混捏した。(捏上温度;25℃)。
(2)(1)で調製した生地を28℃で60分間のフロアタイムをとった後、手作業にて、一玉60gに分割して形を整えてから、そのまま38℃、相対湿度85%で40分間のホイロをとった。
(3)(2)の生地を、240℃(蒸気あり)で15分間焼成した。
5.評価・分析方法
(1)作業性
生地の調製時の作業性について、以下の評価基準で評価した。各評価結果を表1~3に示す。
○:混捏、分割、丸め、成形の各工程で、製パン機械が問題なく使用できた
△:混捏、分割、丸め、成形の各工程の一部又は全てにおいて、製パン機械を使用した場合に、生地にダメージを負う状況が確認された
×:混捏、分割、丸め、成形の各工程の一部又は全てにおいて、製パン機械を利用できない状況が生じ、手作業が必要であった
(2)水分含有量
焼成されたパンを室温まで冷却した後、水分を常圧加熱乾燥法によって測定した。乾燥条件は、温度;135℃、時間;2時間で行なった。10個の試料を測定した平均値を結果として表1~3に示す。
(3)比容積
焼成されたパンを室温まで冷却した後、パンの体積(cm3)を、3Dレーザー体積計(Selnac-WinVM2100(株式会社アステックス製))を用いて測定し、それを質量(g)で除することで比容積(cm3/g)を算出した。10個の試料を測定した平均値を結果として表1~3に示す。
(4)クラスト部の応力値
焼成されたパンを、室温で保存し、パンの上部表面(焼成時に上方に位置し、開放されていた焼成面)から20mmの厚さでスライスした切片(大きさ:3cm×3cm)について、テクスチャーアナライザー(Texture Analyser XTplus型 (Stable micro systems社製)で、直径10mmのシリンダー型プランジャーを用い、プランジャー速度10mm/s、150%圧縮(突き刺し)×1サイクルの条件で、前記上部表面側からクラスト部を貫通させた際の応力値を測定した。10個の試料を測定した平均値を結果として表1~3に示す。
(5)クラム部の応力値
焼成されたパンを、各期間室温で保存し、パンの下部表面(焼成時に下方に位置し、鉄板に接していた焼成面)から20mmの厚さでスライスした切片(大きさ:3cm×3cm)について、テクスチャーアナライザー(Texture Analyser XTplus型 (Stable micro systems社製)で、直径20mmのシリンダー型プランジャーを用い、プランジャー速度1mm/s、50%圧縮×2サイクルの条件で、前記下部表面と反対側のクラム部の応力値を測定した。10個の試料を測定した平均値を結果として表1~3に示す。
Figure 0007278712000001
Figure 0007278712000002
Figure 0007278712000003
表1及び表2に示す通り、実施例1~7のパンは、水分含有量がパン類の質量に基づいて、40.1~47.4質量%であり、比容積が4.0cm3/g以上であり、焼成後1日経過後のクラスト部の応力値が180~230gであり、焼成後3日経過後のクラム部の応力値が320g以下であった。参考例1のパンは、通常のパンであり、高い比容積を有するが、水分含有量は36.0質量%と低い。参考例1のパンは、焼成後1日経過後のクラスト部の応力値は200gであり、ソフトなクラスト部を有するが、焼成後3日経過後のクラム部の応力値は360gと高くなっており、老化し易いものであった。一方、比較例1のパンは、高い水分含有量を有するが、比容積が3.6cm3/gと低いものであった。また、表3に示す通り、比較例2のパンは、高い水分含有量及び比容積を有するが、形状を保持するために十分に焼き込む必要があり、焼成後1日経過後のクラスト部の応力値が600g、及び焼成後3日経過後のクラム部の応力値が600gであり、共に極めて高い値を示した。したがって、水分含有量が、パン類の質量に基づいて38~60質量%であり、比容積が3.8cm3/g以上であり、焼成後1日経過後のクラスト部の応力値が100~400gであり、焼成後3日経過後のクラム部の応力値が400g以下であるパン類は、本発明において初めて見出されたものである。
また、上記の独特な物性を有するパンを製造する場合、表1及び2に示す通り、実施例1~7の製造方法においては、比較例1及び2とは異なり、α化澱粉、及びグルテンを含む原料粉、及び水を含む材料を混捏して生地を調製する工程を含む。これにより、上記の独特な物性のパンが得られるだけでなく、パンの水分含有量を高めるために水の配合量を多くした生地であっても、比較例1及び2のように手作業ではなく、製パン機械によって、分割、丸め、及び/又は成形することができることが見出された。なお、実施例1のパンの物性において、焼成後3日経過後のクラム部の応力値がやや高く、やや老化し易いことを考慮すると、α化澱粉の含有量は、原料粉の質量に基づいて1.25~10質量%であることが好ましくグルテンの含有量が、原料粉の質量に基づいて0.25~10質量%であることが好ましいことが示唆された。
以上の結果から、本発明のパン類は、従来のものと比較して、水分含有量が高く、且つ老化し難いパン類であり、本発明のパン類の製造方法は、上記のような水分含有量が高いパン類を、機械製パン法による大量生産により製造することが可能な製造方法であることが示唆された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、従来のパンと比較して、水分含有量が高く、且つ老化し難いパン類を提供でき、そのようなパン類を熟練のパン職人によらずに、機械製パン法による大量生産によって製造することができるので、しっとりとして、且つソフトな食感が長期間維持されたパン類を、低コストで提供することができる。

Claims (7)

  1. クラスト部及びクラム部を有するパン類であって、
    (A)水分含有量が、前記パン類の質量に基づいて38~60質量%であり、
    (B)前記パン類の比容積が、3.8cm3/g以上であり、
    (C)前記パン類の焼成後1日経過後のクラスト部の、以下の測定方法によって測定される応力値が、100~400gであり、
    (D)前記パン類の焼成後3日経過後のクラム部の、以下の測定方法によって測定される応力値が、400g以下である、
    パン類を製造する方法であって、
    穀粉、α化澱粉(湯種製造中に糊化した澱粉を除く)を含む澱粉、及びグルテンからなる原料粉、及び水を含む材料を混捏して生地を調製する工程であり、
    前記水の配合量が、前記原料粉100質量部に対して、75~110質量部であり、前記α化澱粉の含有量が、前記原料粉の質量に基づいて1.25~10質量%であり、前記グルテンの含有量が、前記原料粉の質量に基づいて0.25~10質量%である工程を含むパン類の製造方法。
    (応力値の測定方法)
    (i)クラスト部の場合は、前記パン類の表面から20mmの厚さでスライスした切片(大きさ:3cm×3cm)について、テクスチャーアナライザー(Texture Analyser XTplus型 (Stable micro systems社製)で、直径10mmのシリンダー型プランジャーを用い、プランジャー速度10mm/s、150%圧縮(突き刺し)×1サイクルの条件で、前記表面側からクラスト部を貫通させた際の応力値を測定し、
    (ii)クラム部の場合は、前記パン類の表面から20mmの厚さでスライスした切片(大きさ:3cm×3cm)について、テクスチャーアナライザー(Texture Analyser XTplus型 (Stable micro systems社製)で、直径20mmのシリンダー型プランジャーを用い、プランジャー速度1mm/s、50%圧縮×2サイクルの条件で、前記表面と反対側のクラム部の応力値を測定する。
  2. 前記パン類の焼成後1日経過後のクラム部の前記測定方法(ii)によって測定される応力値が50~250gである請求項1に記載のパン類の製造方法。
  3. 前記グルテンの含有量が、前記α化澱粉5質量部に対して1質量部以上である請求項1又は2に記載のパン類の製造方法。
  4. 前記α化澱粉が、小麦澱粉以外の澱粉由来である請求項1~3のいずれか1項に記載のパン類の製造方法。
  5. 前記α化澱粉が、タピオカ澱粉、及び/又は馬鈴薯澱粉由来である請求項1~4のいずれか1項に記載のパン類の製造方法。
  6. 前記α化澱粉が、α化架橋澱粉である請求項1~5のいずれか1項に記載のパン類の製造方法。
  7. 前記生地を調製する工程から得られた生地を、機械によって、分割、丸め及び/又は成形する工程を含む請求項1~のいずれか1項に記載のパン類の製造方法。
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