JP6660867B2 - パン類の製造方法 - Google Patents

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本発明は、パン類の製造方法に関する。
近年、パン類に対する消費者の嗜好の一つとして、もちもち、かつしっとりした食感のパン類が好まれるようになっている。そのような食感のパン類を製造するためには、パン生地に添加する水の量を増やす方法がある。しかし、単に水の量を増やした場合、生地がベタついて作業性が低下し、出来上がったパン類に腰折れ(ケービング)等が発生し、外観が大きく損なわれる。
一方、もちもち、かつしっとりした食感のパン類を得る方法として、原料小麦粉の一部に熱水を添加し混捏して得た生地(湯種)を、残りの材料に添加して混捏する、いわゆる湯種法が知られている(特許文献1)。また、湯種の製造に用いる熱水の量を調整したり、増粘安定剤を併用するなど、その改良技術も提案されている(特許文献2、特許文献3)。さらに、湯種法の作業性を向上させるために、中種法における本捏の際に中種とともに湯種を添加する方法が提案されている(特許文献4)。しかし、湯種法では、原料小麦粉を高度にα化することは困難であり、さらに湯種法によるパン製造では、熱水を使用して調製した湯種を一旦冷却してから用いるため、製造時間が長くなるという問題もある。
湯種法における上記問題を解消する手段として、湯種の代わりにα化小麦粉および/またはα化澱粉を用いて、これを非α化小麦粉および水などとともに混捏する方法が提案されている(特許文献5、特許文献6)。しかし、α化小麦粉やα化澱粉は、単体で使用した場合吸水してダマになりやすいことから、これらの方法では、ダマになったα化小麦粉やα化澱粉によりパン生地中の水の分布が不均一になることで、作業性が低下したり、得られるパン類の品質にばらつきが生じるという問題がなお存在した。
したがって、もちもち、かつしっとりした食感を有するとともに、老化が遅く食感の経時的低下が少ないという品質を維持したパン類を、安定的に、簡便かつ容易な手段で製造することができる方法が求められている。
特開昭59−156236号公報 特開2006−42809号公報 特開2011−87515号公報 特開2011−103854号公報 特開2003−180233号公報 特開2003−199482号公報
本発明は、もちもち、かつしっとりした食感を有するとともに、当該食感の経時的低下が抑制されているパン類を、作業性よくかつ簡便に製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、α化穀粉の粒を水と混合して充分に吸水させることで得られるペースト状生地をパン類の生地に配合することにより、時間が経っても、もちもち、かつしっとりした食感を保ったパン類を製造することができること、しかもべたつきのない作業性のよいパン類生地が得られるため、パン類の製造作業が簡便かつ容易になることを見出した。
すなわち、本発明は、パン類の製造方法であって、
α化穀粉100質量部と水200〜500質量部とを混合してペースト状生地を調製すること;
非α化穀粉を含む材料と水とを混合して生地を調製し、次いで該生地と該ペースト状生地とを混合してパン類生地を得ること;
該パン類生地を発酵させること;および、
発酵させたパン類生地を加熱すること、
を含む方法を提供する。
また本発明は、パン類生地の製造方法であって、
α化穀粉100質量部と水200〜500質量部とを混合してペースト状生地を調製すること;および、
非α化穀粉を含む材料と水とを混合して生地を調製し、次いで該生地と該ペースト状生地とを混合してパン類生地を得ること、
を含む方法を提供する。
本発明によれば、もちもち、かつしっとりした食感を有し、かつ当該食感の経時的低下が抑制されているパン類を製造することができる。さらに、本発明により製造されるパン類生地は、調製が簡便でありしかも作業性がよいため、本発明によれば、簡便かつ容易な手順で、品質のばらつきが少なく、もちもち、かつしっとりした食感を保ったパン類を製造することが可能になる。
本明細書において、パン類とは、穀粉を主体とする生地を発酵させたものを加熱(例えば、焼成、蒸し、揚げ等)して得られる食品をいう。パン類としては、例えば、食パン(イギリスパン等)、菓子パン(あんパン、クリームパン等)や総菜パン(カレーパン等)、フランスパン(バゲット、バタール等)、ドイツパン(カイザーゼンメル、ライ麦パン等)、リッチパン(バターロール、デニッシュ等)、イタリアパン(フォカッチャ、パネトーネ等)、ベルギーパン(ワッフル等)、中近東パン(ナン、ピタパン等)などのパン;ピザ;中華まんおよび中華パン;イーストドーナツ等の発酵菓子、などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のパン類は、α化穀粉から調製したペースト状生地を配合したパン類生地から製造されることを特徴とする。パン類生地への該ペースト状生地の添加により、得られたパン類に、もちもち、かつしっとりした食感を付与することができる。また、該ペースト状生地を配合したパン類生地から得られたパン類は、時間が経っても、もちもち、かつしっとりした食感を維持することができる。したがって、上記ペースト状生地は、パン類の品質改良に、より詳細には、例えばパン類の食感改良またはパン類の食感の経時的な低下の抑制に、使用することができる。
さらに、上記ペースト状生地を配合したパン類生地は、従来のもちもち、かつしっとりした食感を有するパン類用の生地、例えば水分量の多い生地や湯種法による生地などと比べて、調製手順が簡便である。そのため、パン類生地に該ペースト状生地を配合することにより、均質なパン類生地を容易に調製することができ、ひいては一定してもちもち、かつしっとりした食感を有するパン類を容易に製造することができる。したがって、上記ペースト状生地は、パン類生地の品質改良に、より詳細には、例えばもちもち、かつしっとりした食感を有するパン類用の生地の作業性改善に、使用することができる。
したがって、本発明では、パン類生地に、α化穀粉と水を含むペースト状生地を含有させることによって、パン類の品質改良またはパン類生地の品質改良が達成される。より詳細には、該ペースト状生地は、α化穀粉と水とを混合し、ペースト状に調製した生地である。該ペースト状生地中のα化穀粉は、水との混合により吸水した状態になっている。
上記ペースト状生地の調製に使用されるα化穀粉は、通常の穀粉(α化処理されていない非α化穀粉)をα化処理して得られた穀粉である。穀粉の種類としては、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉等の小麦粉、ライ麦粉、ライ小麦粉、大麦粉、米粉、コーンフラワー、およびこれらの2種以上の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、該α化穀粉はα化小麦粉である。穀粉のα化処理の方法としては、穀粉中の澱粉をα化させることができる方法であれば特に限定されないが、穀粉を湿熱処理する方法が挙げられる。湿熱処理の方法としては、例えば、穀粉に水を添加し加熱する方法、穀粉を吸水させた後加熱する方法などが挙げられ、より具体的な例としては、穀粉を高速撹拌機で均一加水しながら、蒸気を添加し加熱処理する方法、エクストルーダーを用いて穀粉と水とを加熱混練する方法、穀粉を入れた密閉型容器内に、必要に応じて攪拌しながら、過熱水蒸気または飽和水蒸気を添加して該穀粉を加熱処理する方法、特開2009−34038号公報に記載の装置等を用いて飽和水蒸気雰囲気下で加熱処理する方法、などが挙げられる。
上記湿熱処理された穀粉は、棚乾燥、熱風乾燥、流動層乾燥などの方法で乾燥処理することができる。さらに乾燥後、必要に応じて適宜粉砕することができる。乾燥後のα化穀粉の粉砕処理には、ロール粉砕、ピンミル粉砕などの各種粉砕手段を必要に応じて採用することができる。
上記ペースト状生地に用いるα化穀粉は、好ましくはα化度が80%以上、より好ましくは85%以上である。該α化穀粉のα化度が80%未満であると、α化穀粉が充分に水を吸収できない場合があり、その結果、得られたパン類において、もちもち、かつしっとりとした食感が不充分になることがある。本明細書において、穀粉のα化度とは、BAP法(β−アミラーゼ・プルラナーゼ法)で測定されたα化度をいう。α化度が80%以上のα化穀粉は、例えば、穀粉100質量部と、水5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部とを、エクストルーダー等で加圧加熱処理することによって調製することができる(例えば、特開2009−17802号公報参照)が、製法はこれに限定されない。
上記ペースト状生地の調製に使用される水は、水道水、天然水、精製水など、生地製造に通常使用することができる水であれば、特に限定されない。使用する水の温度は、特に限定されないが、4〜50℃程度であればよく、好ましくは10〜40℃程度である。当該水は、予め加温する必要はなく、室温または周囲温度で使用することができる。
好適には、上記ペースト状生地は、α化穀粉100質量部に対して、水を、好ましくは200〜500質量部、より好ましくは250〜300質量部添加し、混合することで調製される。水の添加量が200質量部未満である場合、α化穀粉に水分が充分に行き渡りにくくなり、また水の添加量が500質量部を超える場合、α化穀粉が塊となりやすく、いずれの場合も、生地の作業性や得られたパン類の食感を低下させる可能性がある。
好ましくは、上記ペースト状生地は、α化穀粉と水と油脂とを混合し、ペースト状に調製した生地である。ペースト状生地に油脂を配合すると、ペースト状生地のベタつきなどが低減され、ペースト状生地の調製およびこれを用いたパン類生地の製造における作業性が向上する。当該ペースト状生地の調製に使用される油脂は、好ましくは融点が40℃以下の油脂であり、より好ましくは常温で液状の油脂である。当該油脂としては、例えば、菜種油、大豆油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、胡麻油、紅花油、ココナツオイル、米油、鯨油、ラード、ショートニング、バター、マーガリン等、およびこれらの2種以上の組合せが挙げられる。
上記ペースト状生地の調製に使用される油脂の量は、α化穀粉100質量部に対して5〜50質量部であればよいが、好ましくは10〜40質量部、さらに好ましくは10〜30質量部である。油脂の量が5質量部未満であると、ペースト状生地のベタつき低減効果が充分に得られず、他方、油脂の量が50質量部を超えると、ペースト状生地中に油脂が均一に分散せず、生地の作業性を低下させる可能性がある。また、ペースト状生地に配合する油脂の量が多過ぎると、得られたパン類がもちもちとした食感を充分に得られないことがある。
粒径の小さい粉末状のα化穀粉は、水を添加すると、水に触れた部分がすぐに糊状になりダマを形成しやすい。このダマは比較的強固な塊であり、パン生地に添加して混捏しても崩れにくく、パン類の品質を損なうおそれがある。一方、粉末状のα化穀粉をパン類生地の原料粉となる通常の穀粉(非α化穀粉)と予め混合した後に水を加えて混捏した場合でも、ダマはできないが、α化穀粉と非α化穀粉が同時に水を吸収するため、α化穀粉が充分に吸水せず、結果、一般的なパン類と比べて明確な違いが得られない。
したがって、上記ペースト状生地の調製に使用されるα化穀粉は、その全質量中の80質量%以上が、好ましくは粒径0.2〜3mm、より好ましくは粒径0.5〜1.5mmである。粒径0.2mm未満のものが80質量%を超えるα化穀粉は、水との混合の際にダマになることがあり、他方、粒径3.0mmより大きいものが80質量%を超えるα化穀粉は、パン類にしたときにα化穀粉の粒がそのまま残ってしまうことがあり、いずれも、得られるパン類の品質を低下させる可能性がある。本明細書における穀粉の粒径とは、ふるい法により測定された粒径をいう。より詳細には、「全質量中の80質量%以上が粒径X〜Ymmである穀粉」とは、その全量中に、目開きXmmのふるいを通過しないが目開きYmmのふるいを通過する画分を80質量%以上含む穀粉をいう。
ただし、油脂を併用するとダマの発生が抑制されるので、上記ペースト状生地に油脂を配合する場合は、α化穀粉の粒径は小さくともよい。例えば、油脂を配合するペースト状生地に使用されるα化穀粉は、好ましくは、その全質量中の80質量%以上が粒径0.2〜3mm、より好ましくは粒径0.5〜1.5mmであるが、全質量中の80質量%以上が粒径0.2mm以下であってもよい。
α化穀粉の粒度の調整には、通常の方法を採用すればよく、例えば篩分を行えばよい。好適には、上記湿熱処理で得られたα化穀粉や市販のα化穀粉を、篩分等により調整して、その80質量%以上が粒径0.2〜3mm、好ましくは粒径0.5〜1.5mmになるようにすればよい。
さらに、上記ペースト状生地は、そのパン類またはパン類生地の品質改良効果を妨げない範囲において、上記α化穀粉以外の他の穀粉類および/または澱粉類をさらに含んでいてもよい。当該他の穀粉類および澱粉類としては、上述した通常の穀粉(非α化穀粉)、各種澱粉(例えば、小麦澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等、ただしα化されていないもの)、およびそれらの2種以上の混合物などが挙げられる。好ましくは、該ペースト状生地における当該他の穀粉類および澱粉類の合計使用量は、上記α化穀粉100質量部に対して20質量部以下である。
上記ペースト状生地の調製においては、上記α化穀粉の全体が吸水し、ほぼ均一な状態のペースト状生地が得られる限り、その手順は特に限定されない。例えば、該ペースト状生地の調製には、通常使用される穀粉生地の混合手段、例えば小麦粉加工品の製造に一般的に用いられるミキサーなどを使用可能である。
調製されたペースト状生地は、直ちに次のパン類生地製造工程に用いてもよいが、ペースト状生地をより均一な状態にするためには、好ましくは1時間以上、より好ましくは3〜30時間、室温〜冷蔵で静置するとよい。
以上の手順で得られたペースト状生地を、パン類生地に配合する。ペースト状生地の配合の際には、パン類の原料粉およびその他の副原料を含む材料に、該ペースト状生地および水を添加して混捏し、パン類生地を製造してもよいが、予め原料粉および副原料を含む材料と水とを混捏して粗生地を調製してから、該粗生地に該ペースト状生地を混合し、さらに混捏してパン類生地を製造することが好ましい。該粗生地への該ペースト状生地の添加のタイミングは、好ましくは、上記原料粉等を含む材料と水との混捏工程の後半、例えば、上記原料粉等を含む材料と水との混捏開始時間を0%時間、最終的なパン類生地が練り上がり混捏を終了する時間を100%時間としたときに、60%時間以降、好ましくは80%時間以降、より好ましくは90%時間以降が好適である。このように、ある程度混捏した粗生地、好ましくは生地混捏工程の後半にペースト状生地を添加することで、ペースト状生地を配合したパン類生地のベタつきが防止され、生地の取り扱いがより容易になる。
本発明のパン類生地の製造に使用される上記原料粉としては、非α化穀粉(α化処理されていない穀粉)が挙げられ、非α化穀粉の例としては、小麦粉、ライ麦粉、ライ小麦粉、大麦粉、コーンフラワー、米粉等の穀粉であってα化されていないもの、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。このうち、非α化小麦粉を主体とする非α化穀粉が好ましい。小麦粉としては、パン製造に通常用いる小麦粉、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられるが、中でも強力粉、準強力粉、デュラム小麦粉、およびこれらの2種以上の混合物が好ましい。
本発明のパン類生地の製造に使用される副原料としては、パンの製造に通常用いられるもの、例えばサワー種、ルヴァン種、パネトーネ種等の各種発酵種やイースト(生イースト、ドライイースト等);イーストフード;砂糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水あめ、麦芽糖、乳糖等の糖類;卵または卵粉;加工もしくは未加工の澱粉類;脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズ粉末、ヨーグルト粉末、ホエー粉末などの乳製品;ショートニングやバター、マーガリンやその他の動植物油等の油脂類;乳化剤;膨張剤;増粘剤;甘味料;香料;着色料;アスコルビン酸;食塩等の無機塩類;グルコシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ等の酵素類;食物繊維、などを適宜使用することができる。本発明のパン類生地の製造に使用される水は、水道水、天然水、精製水など、生地製造に通常使用することができる水であれば、特に限定されない。または水の代わりに牛乳、豆乳等のミルクを使用することもできる。
本発明のパン類生地における上記ペースト状生地の配合量は、最終的に得られるパン類生地の製造に使用される全ての穀粉(上記原料粉および上記ペースト状生地に使用したα化穀粉を含む)全量中における該ペースト状生地に使用したα化穀粉の量が、乾物換算で、好ましくは3〜15質量%、より好ましくは5〜10質量%となる量である。当該量が3質量部未満であると、得られたパン類においてもちもち、かつしっとりとした食感が不充分になることがあり、他方、15質量部を超えると、パン類生地がべたつくなどして作業性が低下することがある。
本発明によるパン類生地の製造方法においては、パン類生地に上記ペースト状生地を配合すること以外は、生地製造の手法は特に限定されず、例えば、ストレート法、中種法、速成法、液種法、冷凍生地法などの各種常法に従って行うことができる。中種法の場合、上記ペースト状生地は、中種、本捏のどちらの段階で添加してもよいが、本捏の段階で添加することが好ましい。次いで、上記ペースト状生地を配合したパン類生地を、発酵させ、必要に応じて成形またはホイロして、その後加熱することで、パン類を製造することができる。加熱の方法としては、焼成、蒸し、揚げ(油ちょう)などが挙げられる。あるいは、本発明で得られたパン類生地を、そのまま、または発酵もしくは成形した状態で冷蔵または冷凍保存し、必要に応じて解凍および加熱してパン類を製造してもよい。
以下に、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の実施例において、α化小麦粉のα化度はBAP法によって測定した。
試験例1 α化小麦粉ペーストの均一性試験−ペーストの水分量
非α化小麦粉100質量部あたり10〜20質量部の水を添加し、エクストルーダーにて加圧加熱処理してα化小麦粉を調製した。得られたα化小麦粉を篩にて分級し、全体の80質量%が粒径0.5〜1.5mmになるように調整した。得られたα化小麦粉のα化度は85%であった。
得られたα化小麦粉100質量部に、表1記載の量の水を添加してすぐに混合した後、1時間以上室温で吸水させ、次いで冷蔵庫で一晩保管してペーストを調製した(ペースト1〜8)。翌日、ペーストの状態を下記評価基準で評価した。評価は10人によって行い、平均値を求めた。結果を表1に示す。
<評価基準>
分散性
1点:均一に水が行き渡らないか、または大きな塊ができる
2点:水がやや不均一であるか、または小さな塊ができる
3点:水が均一に行き渡り、塊がほとんどない
Figure 0006660867
試験例2 製パン試験−ペーストの配合量
試験例1で調製したペースト3のα化小麦粉ペーストを含む表2記載の材料から、表3記載の手順に従って、パン(製造例1〜6)を製造した。ミキシング終了後のパン生地の作業性、ならびに焼成24時間後のパンの食感について、下記評価基準で評価した。評価は10人によって行い、平均値を求めた。結果を表2に示す。
<評価基準>
生地作業性
1点:生地が扱いにくい
2点:やや生地が扱いにくい
3点:問題なく生地が扱える
食感
(もちもち感)
1点:対照と同じ
2点:ややもちもちとした食感がある
3点:もちもちとした食感がある
(しっとり感)
1点:パサつくか、硬い食感
2点:ややパサつくか、やや硬い食感
3点:対照と同じ
4点:ややしっとり・ソフトな食感
5点:しっとり・ソフトで良好な食感
Figure 0006660867
Figure 0006660867
試験例3 製パン試験−α化小麦粉の粒径
試験例1と同様の手順でα化小麦粉を調製し、篩にて分級して、全体の80質量%が表4記載の粒径を有するα化小麦粉を得た。得られたα化小麦粉のα化度は85%であった。これらのα化小麦粉から試験例1と同様の手順でペーストを調製した。ただし、水の量はα化小麦粉100質量部あたり250質量部とした。得られたペーストを用いて、試験例2と同様の手順でパン(製造例7〜11)を製造してパン生地の作業性を評価し、また下記評価基準にてパンの外観を評価した。結果を表4に示す。
<評価基準>
外観
1点:焼成後、α化小麦粉ペーストの形状が大きく残る
2点:焼成後、α化小麦ペーストの形状がやや残る
3点:焼成後、α化小麦粉ペーストの形状は見られない
Figure 0006660867
試験例4 製パン試験−α化小麦粉のα化度
試験例1と同様の手順で、α化度の異なるα化小麦粉を調製した。得られたα化小麦粉を篩にて分級し、全体の80質量%が粒径0.5〜1.5mmになるように調整した。これらのα化小麦粉から試験例1と同様の手順でペーストを調製した。ただし、水の量はα化小麦粉100質量部あたり250質量部とした。得られたペーストを用いて試験例2と同様の手順でパン(製造例12〜15)を製造し、パン生地の作業性、ならびに焼成24時間後のパンの食感を評価した。結果を表5に示す。
Figure 0006660867
試験例5 製パン試験−ペーストとα化粉との比較
試験例2と同様の手順で、ただし表6の配合にてパン(製造例16〜19)を製造し、パン生地の作業性、ならびに焼成24時間後のパンの食感を評価した。結果を表6に示す。
Figure 0006660867
試験例6 製パン試験−ペーストへの油脂添加
α化小麦粉100質量部に、表7記載の量の菜種油および水を添加し、均一になるまで混合してα化小麦粉ペーストを調製した。調製したペーストは、1時間以上室温で吸水させた後、冷蔵庫で一晩保管した。翌日、調製したペースト中での油脂の分散性を、下記基準にて評価した。また、調製したペーストを冷蔵庫で72時間保管し、下記基準にて調製直後との状態の違いを評価した。結果を表7に示す。
<評価基準>
ペースト中での油脂の分散性
1点:油脂が均一に分散しない。
2点:油脂がやや均一に分散する。
3点:油脂が均一に分散する。
ペーストの硬さ(調整直後と72時間冷蔵保管後の比較)
1点:硬い
2点:やや硬い
3点:調整直後とほぼ同様
さらに、冷蔵にて一晩保管した調製ペーストを用いて、試験例2と同様の手順で製パン試験を行った。パン生地へのペーストの配合量は、パン生地に含まれる小麦粉全量中における、ペーストに含まれるα化小麦粉の量が5質量%となるようにした。下記基準にてパン生地へのペーストの分散性を評価し、さらに試験例2と同様の手順で焼成24時間後のパンの食感を評価した。結果を表7に示す。
<評価基準>
ペーストのパン生地への分散性
1点:均一に分散しない。もしくは分散に時間を要する。
2点:やや均一に分散する。
3点:均一に分散する。
Figure 0006660867

Claims (8)

  1. パン類の製造方法であって、
    α化穀粉100質量部と水200〜500質量部とを混合してペースト状生地を調製すること;
    非α化穀粉を含む材料と水とを混捏して生地を調製し、次いで該生地と該ペースト状生地とを混合してパン類生地を得ること;
    該パン類生地を発酵させること;および、
    発酵させたパン類生地を加熱すること、
    を含む、方法。
  2. 前記パン類生地の製造に使用される穀粉全量中における前記α化穀粉の量が、乾物換算で3〜15質量%である、請求項1記載のパン類の製造方法。
  3. 前記α化穀粉のα化度が80%以上である、請求項1又は2記載のパン類の製造方法。
  4. ペースト状生地の調製の際に油脂5〜50質量部を添加する、請求項1〜3のいずれか1項記載のパン類の製造方法。
  5. 前記α化穀粉が、全質量中の80質量%以上が粒径0.2〜3mmである、請求項1〜4のいずれか1項記載のパン類の製造方法。
  6. 前記α化穀粉が、穀粉100質量部と水5〜30質量部をエクストルーダーにて加圧加熱処理してなるα化穀粉である、請求項1〜5のいずれか1項記載のパン類の製造方法。
  7. 前記α化穀粉がα化小麦粉である、請求項1〜6のいずれか1項記載のパン類の製造方法。
  8. パン類生地の製造方法であって、
    α化穀粉100質量部と水200〜500質量部とを混合してペースト状生地を調製すること;および、
    非α化穀粉を含む材料と水とを混合して生地を調製し、次いで該生地と該ペースト状生地とを混合してパン類生地を得ること、
    を含む、方法。
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