JP2003170531A - 金属と樹脂の複合体及びその製造方法 - Google Patents
金属と樹脂の複合体及びその製造方法Info
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Abstract
さと熱可塑性樹脂組成物の良さを両立させ、生産性が高
く量産性があり、形状や構造の設計が自由にできると共
に、金属フレームと熱可塑性樹脂組成物を強固に一体化
させる。 【解決手段】底部6と辺部7と突起部8とを有し、ヒド
ラジン等の水溶性アミン系化合物(又はアンモニア)の
水溶液で表面が処理された金属フレームである下部筐体
4を、射出成形金型に挿入し、底部6と辺部7と突起部
8で囲繞される空間にポリアルキレンテレフタレートを
成分として含む熱可塑性樹脂組成物を射出して付着さ
せ、下部筐体の角部に形成されるボス部9を下部筐体と
強固に一体化させて、金属と樹脂の複合体を製造する。
Description
電子機器の筐体、構造用部品等に用いられる金属と樹脂
の複合体とその製造方法に関する。更に詳しくは、板金
加工、プレス加工、切削加工、ノッチング加工等で作ら
れた金属フレームと熱可塑性樹脂組成物を一体化した構
造物の構造に関し、産業用の各種制御機器、家庭用電化
製品、携帯電話等の通信機器、医療機器、車両搭載用や
建築資材用の筐体、構造用部品、外装用部品等に用いら
れる金属と樹脂の複合体とその製造方法に関する。
動車、家庭電化製品、産業機器等の部品製造等の広い分
野から求められており、このために多くの接着剤が開発
されている。この中には非常に優れた接着剤があり、例
えば常温又は加熱により機能を発揮する接着剤は、金属
と合成樹脂を一体化する接合に使われ、この方法は現在
では一般的な技術である。
合理的な接合方法がないか従来から研究されてきた。ア
ルミニウムやマグネシウムやそれらの合金等の軽金属
類,又はステンレス等の鉄合金類に対して、接着剤の介
在なしで高強度のエンジニアリング樹脂を一体化する方
法については、本発明者らの知る限りでは現在のところ
実用化されていない。本発明者らはこれらについて鋭意
研究開発を進めてきた。
の通りである。即ち、昨今の携帯電話,携帯用パソコ
ン,PDA等の携帯用電子機器の発展と市場拡大は、よ
り軽量丈夫で外観の優れた構造を求めており、アルミニ
ウムやマグネシウム等の軽合金製や薄いステンレスシー
ト製の外装部と、これと素材が全く異なる高強度樹脂製
シャーシーの組み合わせはその要望を担うものであり、
両者の合理的な接合手段が求められている。
一般消費者の環境に電磁波障害が入り込んできたため、
電気機器や電子機器の発する電磁波はできるだけ遮蔽し
なければならない。シールド材としてアルミニウム合金
は、金属であるが故に展性が高く加工容易で好ましい遮
蔽材である。一方、本発明で主に扱うポリブチレンテレ
フタレート(PBT)系樹脂は、耐熱性、機械的な強度
とも優れているので両者を容易な手段で接合する方法が
見つかればこの分野でも貢献することができる。
の如く軽量化や電磁波の遮蔽等を目指す携帯用電子機器
には限られず、金属と耐熱性や強度に優れた熱可塑性樹
脂組成物を射出、熱プレス、その他の加熱成形工程で強
固に接着できれば、その他にも驚くほど範囲の広い用途
が予想できる。即ち据置型の電子・電気機械や一般機械
(例えばテレビ、パソコン、ミシン等)においてケース
やシャーシーに使用すれば、軽量化やデザイン上で大き
なメリットがある。また、金属と樹脂の複合体における
温度サイクルによる強度低下を完全に抑えることが出来
るところまで技術が進めば、多種多様の機械部品に使え
るとみられる。更に、金属と樹脂の複合体を自動車や航
空機などの移動機械に使用できるまで応用が進めば、予
期できる用途として最もすばらしいものとなる。
てまず考えられるのは、コストや生産性を考慮するとイ
ンサート成形法である。即ち、金属板等を曲げ、切断、
絞り加工等のプレス加工、ミーリング等の切削加工やノ
ッチング加工等の加工法により、所望の形状に加工して
金属フレームを作り、射出成形金型にこの金属フレーム
を挿入した後に溶融した熱可塑性樹脂組成物を射出する
方法である。
5−51671号公報に開示され提案されている。提案
されたこの発明は、銅、黄銅、鉄、ステンレス、ニッケ
ル、亜鉛、アルミニウム等の金属板を、トリアジンチオ
ール類のアルカリ塩、アミンアンモニウム塩などを溶解
した水溶液中に漬けて電気鍍金と同様な考えで電気化学
的な処理を行うものである(この発明では「有機鍍金」
と称している)。
面に有機物層が強固に沈着して表面が有機層になるとい
うことが示されており、更に、この有機鍍金をした金属
板に各種プラスチックシートを重ねてホットプレートで
プレスすれば金属とプラストックが強固に接着するとい
うことが開示されている。
するために、使用する金属としてアルミニウム合金を使
用し、各種の合成樹脂を射出して試みた。本発明者らの
追試実験では、この合成樹脂にナイロン12を使用した
ときに高いアルミニウム/樹脂の接着(熱融着)強度を
確認できた。そこで更に、成形されたアルミニウム金属
をインサートし、この金型にナイロン12系樹脂を射出
するインサート射出成形による量産化、即ち商業化につ
いて詳細に検討をした。
いものではなかった。問題点として、例えば、前述した
「有機鍍金」の前にアルミニウム表面の油脂の除去、酸
化金属の除去、又は活性化のために前処理が必要であ
る。この前処理を安定した環境下で、かつ厳密な条件で
処理しないと好ましい接着力が得られないこと、「有機
鍍金」を施す条件が繊細で量産時の管理が容易ではない
こと、樹脂を射出するときにかなり高い金型温度にしな
いと好ましい接着力が得られないこと、この金型温度を
上げると成形サイクルが長くなり形状によっては成形品
を金型から離型するときに変形してしまうこと、などの
諸問題があることが分かった。
は、同業他社でも未だ企業化されておらず、本発明者ら
も製品化を見送った。しかし、もし実用的な方法が確立
できれば諸分野への応用範囲は広く、市場も大きいとみ
られる。接着方法として、金属片インサートによるエン
ジニアリング樹脂の射出による接着、いわゆる射出成形
法による製造方法を選び、金属側の表面層の改質に焦点
を絞って引き続き鋭意研究開発を進めた。
されたものであり、下記目的を達成する。本発明の目的
は、金属フレームと熱可塑性樹脂組成物を強固に一体化
することにより、電子機器の筐体等に用いられる金属と
樹脂の複合体とその製造方法を提供することにある。本
発明の他の目的は、生産性及び量産性の高い射出成形法
により、電子機器の筐体等に用いられる金属と樹脂が強
固に一体化された複合体とその製造方法を提供すること
にある。本発明の更に他の目的は、電磁シールド性が高
い金属フレームを用い、しかも熱可塑性樹脂組成物の成
形性を備えた、電子機器の筐体等に用いられる金属と樹
脂が強固に一体化された複合体とその製造方法を提供す
ることにある。
成するために次の手段を採る。本発明の金属と樹脂の複
合体は、底部から立設される辺部と、前記辺部から突設
されると共に前記辺部に対して折り曲げ可能な突起部と
を有し、水溶性アミン系化合物(又はアンモニア)水溶
液で表面が処理された金属製の金属フレームと、前記底
部、前記辺部、及び折り曲げられた前記突起部とで囲繞
される空間における前記金属フレームの表面に付着さ
れ、ポリアルキレンテレフタレート、前記ポリアルキレ
ンテレフタレートを主体とする共重合体、又は前記ポリ
アルキレンテレフタレートを成分として含む熱可塑性樹
脂組成物から選択される1種以上と、からなることを特
徴とする。
素材として、好ましくはアルミニウム合金が使用でき
る。アルミニウム合金は、金属の中では線膨張率が比較
的大きくて樹脂組成物のそれに合わせ易く、また展性及
び加工性に優れていて好ましい。この金属フレームは、
鋸加工、フライス加工、ドリル加工、プレス加工、研削
加工、研磨加工、及びノッチング加工等の種々の金属加
工法によって金属素材が切断、切削、曲げ、絞り、及び
研磨等されることにより、射出成形でのインサート用と
して必要な形状及び構造にされる。
れる辺部と、該辺部から突設されると共に該辺部に対し
て折り曲げ可能な突起部とを有し、該突起部が折り曲げ
られた形状・構造であり、例えば辺部及び突起部がノッ
チング加工された金属板が折曲加工されて、長方形状の
底部と、該底部の四周から直角に立設される四つの辺部
と、各辺部同士が交差する四つの角部に覆い被さるよう
に底部と平行に折り曲げられた四つの突起部とが形成さ
れた開口容器である。このように、辺部及び突起部がノ
ッチング加工された金属板の折曲加工にて金属フレーム
を容易に構成することができるので、生産性及び量産性
を向上できる。また各辺部同士が交差する金属フレーム
の角部に突起部を形成することにより、該角部において
金属フレームと熱可塑性樹脂組成物を強固に一体化でき
る。なお突起部の先端に該熱可塑性樹脂組成物に食い込
む食い込み部を形成することにより、金属フレームと熱
可塑性樹脂組成物をさらに強固に一体化できる。
性アミン系化合物(又はアンモニア)水溶液で表面を処
理する工程の前に、切削や研磨による物理的な表面更新
操作が施されたものであることが好ましい。本発明でい
う切削や研磨とは、必要な形状出しを前記の種々の金属
加工法によって行った後、更に切削及び/又は研磨する
ことをいう。もし、必要な形状出しの最終工程が切削や
研磨であり、しかもその切削や研磨の終了時からの保存
が後述するような好ましいものであるなら、本項での切
削及び/又は研磨は省略できる。本工程の目的は、水溶
性アミン系化合物(又はアンモニア)水溶液と接触させ
る前に金属表面を物理的に更新し、次工程の効果が表面
全体にできるだけ均一に効くようにすることにある。金
属表面は、通常、酸化物や水酸化物で覆われているが、
長期保存した物は酸化物層が内部に浸透して厚くなり、
酷くなると錆表面となるからである。
ているアルミ板は圧延工程で圧力と熱の洗礼を受けてお
り、更には耐候性を上げるために表面を軽く酸処理され
たものもあるので、表面の酸化物層の厚さは結構厚い。
このアルミ板を、微砂粒を混ぜた圧縮空気の強い流れで
研磨したとする(ブラスト処理)。この研磨で、酸化物
で覆われた表面が剥がし取られて金属アルミニウム原子
が一瞬剥き出しになり、次の瞬間には空気中の酸素に酸
化され酸化物膜が生成するが、この酸化物膜の厚さは薄
い。研磨後の金属フレームは、乾燥空気下で保存すれば
そう早くは変化しないが、高温高湿下なら酸化物や水酸
化物が増えて元の状態(研磨前の表面の様子)に早く近
づく。それ故、この工程後の保存も、湿気温度等の環境
を確認し、期間も短くすることが重要である。
は文字通り切削である。研磨はサンドペーパー、粉体研
磨材、研磨剤ペースト等を使用した磨き作業が好まし
い。砂粒や微粉研磨剤と圧縮空気や圧縮窒素を使ったサ
ンドブラスト処理、エアブラスト処理、又はブラスト処
理と言われる研磨は更に好ましい。目的から言って、研
磨時に温度があまり上がらず、共存する湿気水分が少な
い方が良いので、大量生産を前提とした商業化時にはブ
ラスト処理が好ましい。この工程後の金属フレームの保
存は前記した通りである。本発明者らによれば、ブラス
ト処理をしたアルミニウム合金の形状物は、乾燥空気下
に1週間程度の保存ならば、即日次工程に廻したものと
大差ないようであった。
性アミン系化合物(又はアンモニア)水溶液で表面を処
理する工程の前に、前記した切削や研磨による物理的な
表面更新操作が施されたものであることが好ましく、更
に加えて化学エッチングが施されたものであることが好
ましい。化学エッチングとは、使用する金属種が溶解す
る薬剤水溶液に短時間浸漬することである。アルミニウ
ム合金の場合、例えば水酸化ナトリウム水溶液に浸漬す
ると表面が溶解し微細な凹凸面が生じる。この場合、後
日に残存した水酸化ナトリウムによって腐食が進行しな
いよう、浸漬後に水洗し、薄い酸水溶液で洗浄し、更に
十分に水洗することが好ましい。化学エッチングにより
樹脂との接触面積が拡大し、且つ生じた微細凹凸が強固
な接着力を生むとみられる。
前述した物理的な表面更新操作は、本発明において必要
条件ではなく、最終的に得られた金属と樹脂の複合体が
その用途として必要な一体化強度を有していれば、過剰
でコストが余分にかかる工程は外すことが好ましい。
性アミン系化合物(又はアンモニア)水溶液への浸漬処
理の前に洗浄することが好ましい。勿論、化学エッチン
グが行なわれている場合は、その最終工程が水洗である
からこの工程を兼ねることができる。そこで、その他の
場合について述べるが、一般に金属加工物の表面には加
工油や指脂が付いているし、ブラスト処理後の金属フレ
ームでも砂や微細な油滴、汚れが付いているため、洗浄
を行うのは重要なことである。この洗浄は、有機溶剤で
の洗浄と水洗浄の組合せで行なうのが好ましい。例え
ば、アセトン、エタノールなどの水溶性の有機溶剤に浸
漬して油性汚れを除いた後に水洗浄し、強制空気で風乾
する。また強い油性物が付着している場合は、ベンジ
ン、キシレンなどの有機溶剤で洗浄した後に水洗浄し、
強制空気で乾燥する。
が良く、できれば洗浄工程と次工程は引き続いて実施さ
れるのが好ましい。連続的に処理する場合は、本工程最
後の乾燥工程が簡素化、または省略できる。また次工程
まで保存が必要な場合には、乾燥し、その後の保存は少
なくとも乾燥空気下で行い、温度も室温かそれ以下が好
ましい。アルミニウム合金形状物の場合、夏季であった
が、洗浄乾燥後、24時間乾燥空気中に室温下で保存し
て次工程に廻したが、即時に次工程に廻した物と有意差
はみられなかった。なお本発明者らは実施したことはな
いが、理屈では乾燥窒素下で、しかも低温下に保存すれ
ば、有効な期間は延長できるはずである。
アミン系化合物(又はアンモニア)水溶液による金属フ
レームの表面処理の具体的な方法について述べる。本発
明で用いる水溶性アミン系化合物は、ヒドラジンやその
誘導体、低級アミン系化合物、ピリジン、アニリン等を
指している。低級アミンとしては、メチルアミン、ジメ
チルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチ
ルアミン、トリエチルアミン等の易水溶性低級アミンが
特に好ましく使用できる。これら水溶性アミン系化合物
の種類によるが、濃度が数%〜数十%になるよう水に溶
解し、前記した洗浄後の金属フレームをここへ一定時間
浸漬する。
的に言えば、以下のようである。市販されているヒドラ
ジン水和物、又は60%ヒドラジン水溶液が原料として
使用できる。これを入手して水で希釈し、ヒドラジン濃
度として1〜5%、好ましくは2〜4%とする。使用す
るアルミニウム合金によって異なるが、A1050規格
(日本工業規格(JIS))のアルミニウム合金を使用
した場合、ヒドラジン水溶液のヒドラジン濃度を3%と
して60〜120秒浸漬したときに良い結果を示した。
の市販アンモニア水をそのまま使用する場合について述
べると、A1100アルミニウム合金処理に10〜30
分浸漬することで最終的に良好な結果が得られた。この
ように使用するアミン系化合物(又はアンモニア)や対
応する金属種によって最適処理条件は異なる。アルミニ
ウム合金について言えば、水溶性アミン系化合物濃度を
濃くすると処理時間を短くすることができるとみられる
が、短いと工程の安定性が損なわれる。一方、濃度を下
げると効果を発揮させるための浸漬時間が長くなる。
保存し、湿気に触れることがないようにするのが好まし
い。乾燥窒素下で保存すべきか否かまでは確認実験をし
ていない。アルミニウム合金の場合、1週間までの保存
であれば、乾燥空気下の室温で保存しても効力の続くこ
とは確認した。
可塑性樹脂組成物について述べる。この熱可塑性樹脂組
成物は、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレ
ンテレフタレートを主体とする共重合体、又はポリアル
キレンテレフタレートを成分として含む熱可塑性樹脂組
成物から選択される1種以上である。ここでポリアルキ
レンテレフタレートとしては、PBTが好ましい。また
熱可塑性樹脂組成物としては、PBT単独のポリマー、
PBTとポリカーボネート(PC)のポリマーコンパウ
ンド、PBTとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレ
ン樹脂(ABS樹脂)のポリマーコンパウンド、又はP
BTとポリエチレンテレフタレート(PET)のポリマ
ーコンパウンドから選択される1種以上が好ましい。
は非常に好ましい。その理由は、金属材料と樹脂材料と
の線膨張率の違いにある。一般的に言って、金属の線膨
張率は、熱可塑性樹脂のそれより大幅に小さく、加熱や
冷却した場合の伸縮の長さが互いに異なるのである。両
者の線熱膨張率が異なると、一体化品、即ち複合体の接
着面では温度変化で必ずズレ応力が生じる。接着剤によ
る接着であれば、弾性接着剤を使用することで両者間の
熱伸縮の差を吸収するが、本発明では剛性の高いもの同
士が直接接着していて逃げ場がない。それ故、温度変化
時のズレ応力を吸収し緩和するための工夫が必要であ
る。樹脂へのフィラーの大量混入がその解決策になる。
維、アラミド繊維、その他これらに類する高強度繊維が
良い。又、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリ
カ、タルク、粘土、炭素繊維やアラミド繊維の粉砕物、
その他これらに類する樹脂充填用無機フィラーを含有し
た熱可塑性樹脂組成物であることは非常に好ましい。フ
ィラーを含まない場合でも強固に接着し、金属に接着し
た熱可塑性樹脂組成物を剥がすには非常に強い力が必要
である。しかしながら、成形された複合体を温度サイク
ル試験にかけると、フィラーを含まない樹脂の系ではサ
イクルを重ねることで急速に接着強度が低下することが
多い。詳細に言えば、これには二つの原因がある。
性樹脂組成物に大きな差があることによる。アルミニウ
ムの線膨張率は金属の中では大きい方だが、それでも熱
可塑性樹脂組成物よりかなり小さい。フィラーの存在は
熱可塑性樹脂組成物の線膨張率を下げ、アルミニウム合
金の熱膨張率(純アルミニウムで2.386×10-5)
に近づける。フィラーの種類とその含有率を選べば、線
膨張率はアルミニウム合金にかなり近い値にできるもの
と推定される。
ームの冷却縮みと熱可塑性樹脂組成物の成形収縮の関係
である。フィラーを含まない熱可塑性樹脂組成物の成形
収縮率は、小さなものでも0.6%程度である。一方、
アルミニウム合金の冷却縮みは、例えば射出時から室温
まで100℃程度冷えるとして0.2%程度であり、熱
可塑性樹脂組成物の成形収縮率よりずっと小さく、両者
には差がある。よって、複合体を金型から離型して時間
が経ち、樹脂が落ち着いてくると、金属と樹脂の界面に
内部歪が生じ、僅かな衝撃で界面破壊が起こって剥がれ
てしまう。
きな方で使用金属種として好ましいことは既に述べた。
それでもアルミニウム合金では線膨張率は2〜3×10
-5℃ -1である。一方、PBTやPBT含有のポリマーコ
ンパウンドの線膨張率は7〜8×10-5℃-1である。P
BTやPBT含有のポリマーコンパウンドに高強度繊維
や無機フィラーを含有率で30〜50%含ませると、線
膨張率は2〜3×10 -5℃-1となり、アルミニウムとほ
ぼ一致する。また、このとき成形収縮率も低下する。成
形収縮率について更に詳細に言えば、PBTの高い結晶
性が収縮率を上げているので結晶性の低い樹脂であるP
ET、PC、ABS、PS、その他を混ぜてコンパウン
ド化した方が更に低下できる。ただ、PBT濃度も下が
るので、具体的には試行錯誤が必要である。
アンモニア)水溶液に浸漬する処理が行われた後、乾燥
した金属フレームを射出成形金型に挿入し、底部、辺
部、及び折り曲げられた突起部で囲繞される空間(並び
に後述するスペーサ等を形成するための所望の空間)に
形成されるキャビティ部に前記熱可塑性樹脂組成物を射
出し、該空間における金属フレームの表面に前記熱可塑
性樹脂組成物を付着させ、金属と樹脂を強固に一体化す
る。
温度は高い方が良い結果が得られるが無理に上げること
はなく、前記熱可塑性樹脂組成物を使う通常の射出成形
時とほぼ同様の条件で十分な接着効果が発揮できる。接
着力を上げるためには、むしろ金型のゲート構造におい
て出来るだけピンゲートを多く使うことに留意した方が
良い。ピンゲートでは樹脂通過時に生じるせん断摩擦で
瞬時に樹脂温度が上がり、これが良効果を生むものとみ
られる。要するに、円滑な成形を阻害しない範囲で出来
るだけ接着面に高温の樹脂溶融物が接するように工夫す
るのが良いように推定される。
の手法によって、底部、辺部、及び突起部で囲繞される
空間における金属フレームの表面に熱可塑性樹脂組成物
を付着させることにより、該熱可塑性樹脂組成物が金属
フレームの三面(即ち底部の表面、辺部の表面、及び突
起部の表面)に付着されるので、金属フレームと熱可塑
性樹脂組成物を強固に一体化することができる。この様
なことが可能になった理由は、金属フレームを水溶性ア
ミン系化合物(又はアンモニア)水溶液で処理したこと
にある。この処理により、適度のエッチングと適度の反
応性を有する金属表面状態が得られたのではないかと推
定される。本発明を使用することで、産業用の各種制御
機器、家庭用電化製品、携帯電話等の通信機器、医療機
器、車両搭載用や建築資材用等に用いられる筐体、構造
用部品、外装用部品等の製造において、金属フレームの
良さと熱可塑性樹脂組成物の良さを両立させ、生産性及
び量産性を向上でき、形状や構造の設計が自由にでき
る。
面を参照して説明する。以下においては、本発明に係る
金属と樹脂の複合体を、いわゆるノート型のパーソナル
コンピュータ(以下「パソコン」という。)の筐体に適
用した例について説明する。まず図1は、本発明に係る
金属と樹脂の複合体である下部筐体4を備えるパソコン
1を表す分解斜視図である。パソコン1は、キーボード
2a及びディスプレイ2bを有し、パソコン1の外殻を
形成する上部筐体2と、本発明に係る金属と樹脂の複合
体であり、同じくパソコン1の外殻を形成する下部筐体
4と、電磁波を発生する電子機器3a(例えばCPU,
ROM,RAMや、ディスクドライブ装置等)を有し、
上部筐体2及び下部筐体4の間に介在される電気回路基
板3と、からなる。
図である。下部筐体4は、底部6から立設される辺部7
と、該辺部7から突設されると共に該辺部7に対して折
り曲げ可能な突起部8とを有し、該突起部8が折り曲げ
られた形状・構造の金属フレームと、該金属フレームの
表面に付着された前記熱可塑性樹脂組成物と、からなる
ものである。
部8がノッチング加工された金属板5が折曲加工され
て、長方形状の底部6と、該底部6の四周から直角に立
設される四つの辺部7,7,7,7と、各辺部同士が交
差する四つの角部に覆い被さるように底部6と平行に折
り曲げられた四つの突起部8,8,8,8とが形成され
た開口容器である。
7、及び折り曲げられた突起部8で囲繞される空間にお
ける金属フレームの表面に付着されて、ボス部9を形成
する。このボス部9には、上部筐体2の四つの角部から
下方に向けて突設されるピン2c(図1を参照)が挿入
される孔が設けられる。さらに熱可塑性樹脂組成物は、
底部の中央における金属フレームの中央に付着されて、
スペーサ10を形成する。このスペーサ10には、パソ
コン1を組み立てた際に電気回路基板3が載置される。
レームを図3に示す製造工程にて製造し、該金属フレー
ムを水溶性アミン系化合物(又はアンモニア)水溶液に
浸漬する処理を行った後に乾燥し、該金属フレームを図
4に示す射出成形金型に挿入し、前記熱可塑性樹脂組成
物を射出することにより製造される。
に、長方形状の金属製の板材に切り込みを入れてノッチ
ング加工を行うことにより、四つの辺部7,7,7,7
と、該辺部の一方側の端から突設される突設部8,8,
8,8とを形成する。なお辺部7には、必要に応じて切
り込み部7aを形成する。この切り込み部7aは、ディ
スクドライブ装置に連通する開口部や各種の接続ポート
を形成するための部位である。
して四つの辺部7,7,7,7を鉛直に折り曲げる折曲
加工を行い、各辺部同士を溶接や接着剤等により固着す
る。さらに図3(c)に示すように、各辺部同士が交差
する四つの角部に覆い被さるように、各辺部に対して四
つの突起部8,8,8,8を底部6と平行に折り曲げる
折曲加工を行うと共に、ピン2cが挿入されるボス穴8
aを各突起部に形成する。なお必要に応じて、製造され
た金属フレームに対して、前記切削や研磨の工程,化学
エッチング工程、並びに洗浄工程を行う。
系化合物(又はアンモニア)水溶液に浸漬する処理を行
う。例えば水溶性アミン系化合物としてヒドラジンを使
用する場合には、濃度60%の市販のヒドラジン水溶液
をイオン交換水で希釈してヒドラジンとしての濃度が3
%のヒドラジン水溶液を作成し、前記前処理をして水洗
乾燥した金属フレームを投入し、液を攪拌して浸漬約2
分後に取り出し、別に用意したイオン交換水で洗浄す
る。
行われた金属フレームを射出成形金型11に挿入し、前
記熱可塑性樹脂組成物を射出する。具体的には、射出成
形金型11を構成する可動側型板12に形成されるキャ
ビティに金属フレームを挿入し、同じく射出成形金型1
1を構成する固定側型板12を閉じ、スライドコア14
を下方に移動させて該スライドコア14から突設される
ピン14aをボス穴8aに挿入する。そして、底部6、
辺部7、突起部8、及び可動側型板12で囲繞される空
間S1と、底部6及び可動側型板12で囲繞される空間
S2に、ランナ15及びゲート16を介して溶融状態の
熱可塑性樹脂組成物を射出して、金属フレームと熱可塑
性樹脂組成物を付着させ、下部筐体4を形成する。
いては、空間S1における金属フレームの表面に熱可塑
性樹脂組成物を付着させることにより、該熱可塑性樹脂
組成物が金属フレームの三面(即ち底部6の表面、辺部
7の表面、及び突起部8の表面)に付着されるので、金
属フレームと熱可塑性樹脂組成物を強固に一体化するこ
とができる。また空間S2にスペーサ10を形成するよ
うに、形状や構造の設計が自由にできる。
する。
工作用の1mm厚アルミ板(A1050アルミニウムと
みられる)を使用して、図3に示す製造工程で金属フレ
ームを製造した。この金属フレームをアセトンに10分
間浸漬して取り出し、水道水により洗浄した。続いてS
US製バットに3%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用
意し、前記金属フレームを1分間浸漬して化学エッチン
グし、取り出して水道水で洗浄した。次に別のSUS製
バットに1%の希硝酸を用意し、前記の金属フレームを
1分間浸漬し中和処理した。取り出して水道水で十分に
洗浄し、更にイオン交換水で洗浄した。
液をイオン交換水で希釈して、ヒドラジンとしての濃度
が3%のヒドラジン水溶液を作成した。これに前記した
水を切った金属フレームを投入しガラス棒で液を時々か
き混ぜた。金属フレーム表面から小さな発泡が起こり、
表面がやや黒っぽくなりかけた時点を終了点と決めて、
ヒドラジン水溶液から引き上げた。この間が約2分間の
浸漬であり、取り出して別に用意したイオン交換水の入
ったSUS製バットに投入した。
あけて水を切り、更にイオン交換水をかけて金属フレー
ムを水洗した。その後、エアガンを使って強制的に乾燥
し、開口部を封印できるチャック付きのポリエチレン製
の袋に入れて保存した。そして金属フレームを、保存開
始後3日でポリ袋のチャックを開いてポリ袋から取り出
し、油分等が付着せぬように手袋で摘まんで射出成形金
型11にインサートした。金型温度は90℃とし、射出
成形機の加熱筒の最終部分温度とノズルの温度は260
℃として、ガラス繊維20%、微細クレーフィラー20
%含有PBT/PET樹脂(PBT約80%+PET約
20%、三菱レイヨン社製「タフペットシリーズ」から
特にコンパウンドした物)を射出し、図2に示す下部筐
体4を得た。
した後、接着力を検査した。金属板5の部分を机の上に
押さえつけてボス部9及びスペーサ10を指で強く押す
ことにより剥がそうとしたが、指に傷がつきそうになる
まで押しても剥がすことは出来なかった。
温度サイクル試験を実施した。具体的には、室温から+
0.7℃/分で昇温して85℃にして2時間置き、次に
−0.7℃/分の速度で−40℃まで冷やし、−40℃
に2時間置き、今度は+0.7℃/分で昇温して85℃
に戻し2時間置いてからまた−40℃まで冷やすという
ものである。この温度サイクル試験を全100サイクル
してから前記と同じ接着力の検査をしたが、結果は温度
サイクル試験をしていない場合と同じであった。
て、高温高湿試験を実施した。この高温高湿試験は、8
5℃、60%湿度の条件下に24時間放置し、室温下に
1時間かけて戻すというものである。この高温高湿試験
の後に前記と同じ接着力の検査をしたが、結果は高温高
湿試験をしていない場合と同じであった。
ジン処理をした金属フレームを用意し保存した。但し、
この処理後、1週間保存した物を使用した。これ以外は
全く実験例1と同様にして、図2に示す下部筐体4を得
た。得られた下部筐体4について、実験例1と同様に接
着力の検査をしたが、結果は実験例1と同様で接着は非
常に強かった。なお前記温度サイクル試験を実施した下
部筐体4について、実験例1と同様に接着力の検査をし
た場合にも、結果は実験例1と同様で接着は非常に強か
った。
を、フィラーを含まないPBT(三菱レイヨン社製「タ
フペットG1030B」)にした。これ以外は全く実験
例1と全く同様にして、図2に示す下部筐体4を得た。
得られた下部筐体4について、実験例1と同様に接着力
の検査をしたが、結果は実験例1と同様で接着は非常に
強かった。なお前記温度サイクル試験を2回のみ実施し
た下部筐体4について、実験例1と同様に接着力の検査
をした場合には、ボス部9及びスペーサ10を指で強く
押すことにより剥がすことができた。フィラーの不在が
温度サイクル試験に対して弱くしているようであった。
ヒドラジン水溶液に代えて使用し、浸漬時間を20分と
した他は、実験例1と全く同様に金属フレームを処理
し、PBT系樹脂組成物を射出成形して、図2に示す下
部筐体4を得た。得られた下部筐体4について、成形後
室内に2日間放置した後に、実験例1と同様に接着力の
検査をしたが、結果は実験例1と同様で接着は非常に強
かった。
をイオン交換水1リットルに溶解した。この水溶液をア
ンモニア水に代えて使用した他は、実験例4と全く同様
に金属フレームを処理し、PBT系樹脂組成物を射出成
形して、図2に示す下部筐体4を得た。得られた下部筐
体4について、成形後室内に2日間放置した後に、実験
例1と同様に接着力の検査をしたが、結果は実験例1と
同様で接着は非常に強かった。
工作用の1mm厚アルミ板を使用して、図3に示す製造
工程で金属フレームを製造した。この金属フレームを両
面テープでゴムシートに貼り付けてブラスト装置に入れ
た。凹凸が約5μmレベルになるようにエアパルス時間
を設定し、エアブラスト処理をした。ブラスト装置から
取り出して平均で5時間以内置いた後、アセトンに10
分間浸漬して取り出し、イオン交換水により洗浄した。
%濃度のヒドラジン水溶液に2分間浸漬して処理を行
い、取り出して別に用意したイオン交換水の入ったビー
カーに投入した。よくかき混ぜた後、プラスチック製ザ
ルにあけて水を切り、更にイオン交換水をかけて金属フ
レームを水洗した。その後、エアガンを使って強制的に
乾燥し、塩化カルシウム乾燥剤を底部に充填した乾燥器
に入れて保存した。
燥器から取り出し、油分等が付着せぬように手袋で摘ま
んで射出成形金型11にインサートした。金型温度は1
00℃とし、射出成形機の加熱筒の最終部分温度とノズ
ルの温度は270℃として、実施例1で使用したのと同
じPBT/PET樹脂を射出し、図2に示す下部筐体4
を得た。
した後、接着力を検査した。金属板5の部分を机の上に
押さえつけてボス部9及びスペーサ10を指で強く押す
ことにより剥がそうとしたが、指に傷がつきそうになる
まで押しても剥がすことは出来なかった。
温度衝撃試験を実施した。この試験は、85℃に保った
熱風乾燥機に前記筐体を入れて2時間置き、室温下に取
り出して5分置き、今度は−40℃に保っている冷凍庫
に入れ、2時間置いてからまた室温下に5分置き、また
85℃熱風乾燥機に投入する繰り返し試験である。この
温度の上げ下げサイクルを10サイクル実施し、接着力
の検査をしたが、結果は温度衝撃試験をしていない場合
と同じであった。
て、高温高湿試験を実施した。この高温高湿試験は、8
5℃、60%湿度の条件下に24時間放置し、室温下に
1時間かけて戻すというものである。この高温高湿試験
の後に前記と同じ接着力の検査をしたが、結果は高温高
湿試験をしていない場合と同じであった。全体として見
た場合、接着物の破壊試験としては驚くほど安定した結
果を得た。
る。
樹脂の複合体がパソコン1の下部筐体4である例につい
て説明したが、これに限らず、該複合体は、産業用の各
種制御機器、家庭用電化製品、携帯電話等の通信機器、
医療機器、車両搭載用や建築資材用等に用いられる筐
体、構造用部品、外装用部品等であれば良く、その用途
は特に限定されない。
(下部筐体4)を構成する金属フレームが、辺部7及び
突起部8がノッチング加工された金属板5の折曲加工に
て形成される例について説明したが、これに限らず、金
属フレームは、例えばプレス加工により一体形成された
ものや、また底部6を構成する金属板と辺部7及び突起
部8を構成する金属板の溶接により形成されたもの等で
も良い。また金属フレームは長方形状の開口容器には限
られず、また底部6と辺部7も直交しているものには限
られず、さらに辺部7同士も直交しているものには限ら
れず(例えばカーブを描いているものでも良く)、その
形状は特に限定されない。
されて金属フレームが形成された後に水溶性アミン系化
合物(又はアンモニア)水溶液にて表面処理が行われる
例について説明したが、これに限らず、金属フレームが
形成される前の金属板5の段階で同処理が行われ、その
後に金属板5が折曲加工されて金属フレームが形成され
るものでも良い。即ち水溶性アミン系化合物(又はアン
モニア)水溶液による表面処理は、熱可塑性樹脂組成物
が射出されて金属フレームに付着する前に行われるもの
であれば、その効果を特に消し去る様な工程が間に入ら
なければ、そのタイミングは限定されない。消し去る様
な工程とは、これまでの記述で明快な様に、油性物で表
面が覆われる可能性のある加工工程、アルミニウム合金
で言えば強い酸性水溶液に漬けたり高温の蒸気に触れさ
せたりしてアルマイト化が起こるような処理工程、腐食
や錆を生じしめるような工程、等々である。
物(又はアンモニア)水溶液処理が、金属フレームを水
溶液に全体浸漬することにより金属フレームの全面につ
いて行われる例について説明したが、これに限らず、同
処理は、少なくとも熱可塑性樹脂組成物が付着する金属
フレームの一部分について行われるものでも良い。
て、一箇所の角部に対して一つの辺部7から突設された
一つの突起部8が折り曲げられて覆い被さる例について
説明したが、これに限らず、図5(a)に示すように、
一箇所の角部に対して各辺部7,7から突設された二つ
の突起部8,8が折り曲げられて覆い被さるようにして
も良い。
て、突起部8が角部に形成される例について説明した
が、これに限らず、図5(b)に示すように、突起部8
が辺部7の途中に形成されるようにしても良く、これに
よれば辺部7の途中において金属フレームと熱可塑性樹
脂組成物を強固に一体化できる。
起部8の先端をさらに折り曲げ加工することにより、該
突起部8の先端に熱可塑性樹脂組成物(ボス部9)に食
い込む食い込み部8bを形成するようにしても良く、こ
れによれば金属フレームと熱可塑性樹脂組成物をさらに
強固に一体化できる。なお食い込み部位8bは、熱可塑
性樹脂組成物に食い込むものであれば、その形状は特に
限定されない。
属と樹脂の複合体とその製造方法によれば、金属フレー
ムと熱可塑性樹脂組成物が容易に剥がれことなく一体に
なるので、電子機器の筐体等において、金属フレームの
良さと熱可塑性樹脂組成物の良さを両立させ、生産性が
高く量産性があり、形状や構造の設計が自由にできると
共に、熱可塑性樹脂組成物が金属フレームの三面(即ち
底部の表面、辺部の表面、及び突起部の表面)に付着さ
れるので、金属フレームと熱可塑性樹脂組成物を強固に
一体化することができる。従って、形状、構造上も機械
的強度の上でも問題がない電子機器の筐体等を作ること
ができた。本発明によると、金属筐体を備えたモバイル
電子機器等の軽量化や、電磁波シールドが必要な機器の
製造工程の簡素化に役立つものである。
る下部筐体を備えるパソコンを表す分解斜視図である。
である。
る。
Claims (12)
- 【請求項1】底部から立設される辺部と、前記辺部から
突設されると共に前記辺部に対して折り曲げ可能な突起
部とを有し、水溶性アミン系化合物水溶液で表面が処理
された金属製の金属フレームと、 前記底部、前記辺部、及び折り曲げられた前記突起部で
囲繞される空間における前記金属フレームの表面に付着
され、ポリアルキレンテレフタレート、前記ポリアルキ
レンテレフタレートを主体とする共重合体、又は前記ポ
リアルキレンテレフタレートを成分として含む熱可塑性
樹脂組成物から選択される1種以上と、 からなる金属と樹脂の複合体。 - 【請求項2】請求項1に記載の金属と樹脂の複合体にお
いて、 前記水溶性アミン系化合物がヒドラジン又は低級アミン
系化合物であることを特徴とする金属と樹脂の複合体。 - 【請求項3】請求項1に記載の金属と樹脂の複合体にお
いて、 前記水溶性アミン系化合物に代えてアンモニアを用いる
ことを特徴とする金属と樹脂の複合体。 - 【請求項4】請求項1ないし3から選択される1項に記
載の金属と樹脂の複合体において、 前記金属フレームがアルミニウム合金からなることを特
徴とする金属と樹脂の複合体。 - 【請求項5】請求項1ないし4から選択される1項に記
載の金属と樹脂の複合体において、 前記ポリアルキレンテレフタレートがポリブチレンテレ
フタレートであることを特徴とする金属と樹脂の複合
体。 - 【請求項6】請求項1ないし4から選択される1項に記
載の金属と樹脂の複合体において、 前記熱可塑性樹脂組成物が、ポリブチレンテレフタレー
ト単独のポリマー、ポリブチレンテレフタレートとポリ
カーボネートのポリマーコンパウンド、ポリブチレンテ
レフタレートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレ
ン樹脂のポリマーコンパウンド、ポリブチレンテレフタ
レートとポリエチレンテレフタレートのポリマーコンパ
ウンド、又はポリブチレンテレタフレートとポリスチレ
ンのポリマーコンパウンドから選択される1種以上であ
ることを特徴とする金属と樹脂の複合体。 - 【請求項7】請求項6に記載の金属と樹脂の複合体おい
て、 前記コンパウンドには、ガラス繊維、炭素繊維、アラミ
ド繊維等の高強度繊維、及び/又は炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土等の樹脂充填用
無機フィラー類が加えられているものであることを特徴
とする金属と樹脂の複合体。 - 【請求項8】請求項1ないし7から選択される1項に記
載の金属と樹脂の複合体において、 前記金属フレームが、前記表面が処理される前に、切削
や研磨による物理的な表面更新操作が施されたもの、及
び/又は薬剤水溶液に浸漬して行う化学エッチングが施
されたもの、であることを特徴とする金属と樹脂の複合
体。 - 【請求項9】請求項1ないし8から選択される1項に記
載の金属と樹脂の複合体において、 前記金属フレームが、前記辺部及び前記突起部がノッチ
ング加工された金属板の折曲加工にて形成されたもので
あることを特徴とする金属と樹脂の複合体。 - 【請求項10】請求項1ないし9から選択される1項に
記載の金属と樹脂の複合体において、 前記突起部が、前記辺部同士が交差する前記金属フレー
ムの角部に形成されることを特徴とする金属と樹脂の複
合体。 - 【請求項11】請求項1ないし10から選択される1項
に記載の金属と樹脂の複合体において、 前記突起部の先端に、前記熱可塑性樹脂組成物に食い込
む食い込み部が形成されることを特徴とする金属と樹脂
の複合体。 - 【請求項12】請求項1ないし11に記載の金属と樹脂
の複合体の製造方法であって、 前記水溶性アミン系化合物水溶液に浸漬する処理が行わ
れた後、乾燥された前記金属フレームを射出成形金型に
挿入し、 前記ポリアルキレンテレフタレートを含む前記熱可塑性
樹脂組成物を、前記底部、前記辺部、及び折り曲げられ
た前記突起部で囲繞される空間に射出することを特徴と
する金属と樹脂の複合体の製造方法。
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JP2001375405A JP4202015B2 (ja) | 2001-12-10 | 2001-12-10 | 金属と樹脂の複合体及びその製造方法 |
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