JP3967104B2 - 金属と樹脂の複合体とその製造方法 - Google Patents

金属と樹脂の複合体とその製造方法 Download PDF

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    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C66/00General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts
    • B29C66/70General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material
    • B29C66/71General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material characterised by the composition of the plastics material of the parts to be joined

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC等を内蔵した電子機器の筐体、構造用部品等に用いられる金属と樹脂の複合体とその製造方法に関する。更に詳しくは、板金加工、プレス加工、切削加工等で作られた金属と熱可塑性樹脂を一体化した構造物の構造に関し、産業用の各種制御機器、家庭用電化製品、携帯電話等の通信機器、医療機器、車両搭載用や建築資材用の筐体、構造用部品、外装用部品等に用いられる金属と樹脂の複合体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属と合成樹脂を一体化する技術は、自動車、家庭電化製品、産業機器等の部品製造等の広い分野から求められており、このために多くの接着剤が開発されている。この中には非常に優れた接着剤がある。常温、又は加熱により機能を発揮する接着剤は、金属と合成樹脂を一体化する接合に使われ、この方法は現在では一般的な技術である。
【0003】
しかしながら、接着剤を使用しない、より合理的な接合方法がないか従来から研究されてきた。マグネシウム、アルミニウムやその合金である軽金属類、ステンレスなど鉄合金類に対して、接着剤の介在なしで高強度のエンジニアリング樹脂を一体化する方法については、本発明者らの知る限りでは現在のところ実用化されていない。本発明者らはこれらについて鋭意研究開発を進めてきた。
【0004】
本発明者らがこの開発を進める理由は以下の通りである。即ち、昨今の携帯電話、携帯用パソコン、PDAなど携帯用電子機器の発展と市場拡大は、より軽量丈夫で外観の優れた構造を求めており、アルミニウムやマグネシウム等の軽合金製や薄いステンレスシート製の外装部と、これと素材が全く異なる高強度樹脂製シャーシーの組み合わせはその要望を担うものであり、両者の合理的な接合手段が求められている。
【0005】
また、IT時代を迎え、事業者のみならず一般消費者の環境に電磁波障害が入り込んできたため電気機器、電子機器の発する電磁波はできるだけ遮蔽しなければならない。シールド材としてアルミニウム合金は、金属であるが故に展性が高く加工容易で好ましい遮蔽材である。一方、本発明で主に扱うポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂は、耐熱性、機械的な強度とも優れているので両者を容易な手段で接合する方法が見つかればこの分野でも貢献することができる。
【0006】
なお、金属と樹脂の複合体の用途は、上述の如く軽量化や電磁波の遮蔽等を目指す携帯用電子機器には限られず、金属と耐熱性や強度に優れた熱可塑性樹脂を射出、熱プレス、その他の加熱成形工程で強固に接着できれば、その他にも驚くほど範囲の広い用途が予想できる。即ち据置型の電子・電気機械や一般機械(例えばテレビ、パソコン、ミシン等)においてケースやシャシーに使用すれば、軽量化やデザイン上で大きなメリットがある。また、金属と樹脂の複合体で軽量丈夫なパイプが得られれば、ロボット(例えば福祉ロボット)の腕や足に使用できる可能性がある。更に、金属と樹脂の複合体における温度サイクルによる強度低下を完全に抑えることが出来るところまで実用化技術が進めば、多種多様の機械部品に使えるとみられる。更にまた、金属と樹脂の複合体を自動車や航空機などの移動機械に使用できるまで応用が進めば、予期できる用途として最もすばらしいものとなる。
【0007】
上記の目的に合う最も容易な接合手段としてまず考えられるのは、コスト、生産性を考慮するとインサート成形法である。即ち、金属板等を曲げ、切断、絞り加工等のプレス加工、ミーリング等の切削加工等の加工法により、所望の形状にまず加工して金属形状物を作り、射出成形金型にこの金属形状物を挿入した後に溶融した熱可塑性樹脂組成物を射出する方法である。
【0008】
この手段に適合できそうな発明が、特公平5−51671号公報に開示され提案されている。提案されたこの発明は、銅、黄銅、鉄、ステンレス、ニッケル、亜鉛、アルミニウム等の金属板を、トリアジンチオール類のアルカリ塩、アミンアンモニウム塩などを溶解した水溶液中に漬けて電気鍍金と同様な考えで電気化学的な処理を行うものである(この発明では「有機鍍金」と称している)。
【0009】
この「有機鍍金」の処理を行うと、金属表面に有機物層が強固に沈着して表面が有機層になるということが示されており、更に、この有機鍍金をした金属板に各種プラスチックシートを重ねてホットプレートでプレスすれば金属とプラストックが強固に接着するということが開示されている。
【0010】
本発明者らは、この提案された発明を追試するために、使用する金属としてアルミニウム合金を使用し、各種の合成樹脂を射出して試みた。本発明者らの追試実験では、この合成樹脂にナイロン12を使用したときに高いアルミニウム/樹脂の接着(熱融着)強度を確認できた。そこで更に、成形されたアルミニウム金属をインサートし、この金型にナイロン12系樹脂を射出するインサート射出成形による量産化、即ち商業化について詳細に検討をした。
【0011】
しかし検討結果としては、それほど好ましいものではなかった。問題点として、例えば、前述した「有機鍍金」の前にアルミニウム表面の油脂の除去、酸化金属の除去、又は活性化のために前処理が必要である。この前処理を安定した環境下で、かつ厳密な条件で処理しないと好ましい接着力が得られないこと、「有機鍍金」を施す条件が繊細で量産時の管理が容易ではないこと、樹脂を射出するときにかなり高い金型温度にしないと好ましい接着力が得られないこと、この金型温度を上げると成形サイクルが長くなり形状によっては成形品を金型から離型するときに変形してしまうこと、などの諸問題があることが分かった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
提案された前述の技術は、同業他社でも未だ企業化されておらず、本発明者らも製品化を見送った。しかし、もし実用的な方法が確立できれば諸分野への応用範囲は広く、市場も大きいとみられる。接着方法として、金属片インサートによるエンジニアリング樹脂の射出による接着、いわゆる射出成形法による製造方法を選び、金属側の表面層の改質に焦点を絞って引き続き鋭意研究開発を進めた。
【0013】
本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記目的を達成する。
本発明の目的は、金属と樹脂を強力に接着することであり、電子機器の筐体等に用いられる金属と樹脂の複合体とその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、生産性の高い射出成形法により、電子機器の筐体等に用いられる金属と樹脂が強力に接着した複合体とその製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、電磁シールド性が高い金属を用い、しかも合成樹脂の成形性を備えた、電子機器の筐体等に用いられる金属と樹脂が強力に接着した複合体とその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段を採る。本発明の金属と樹脂の複合体は、水溶性還元剤で表面が処理された金属形状物と、前記表面に、ポリアルキレンテレフタレート、前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合体、又は前記ポリアルキレンテレフタレートを成分として含む熱可塑性樹脂組成物とが一体に付着されていることを特徴とする。ここで金属形状物は、水溶性還元剤で表面が処理される前に、切削及び/又は研磨工程が施されたものであることが好ましい。
【0015】
[金属形状物]
前記金属形状物の金属素材として、好ましくはアルミニウム合金が使用できる。アルミニウム合金は、熱膨張率が大きく、展性及び加工性に優れていて好ましい。金属形状物は、切断、切削、曲げ、絞り、研磨等の、鋸加工、フライス加工、ドリル加工、プレス加工、研削加工、研磨加工等により、射出成形でのインサート用として必要な形状、構造にされる。必要な形状、構造に加工された金属形状物は、接着すべき面が厚く酸化や水酸化されていないことが必要であり、長期間の自然放置で表面に錆の存在が明らかなものは研磨して取り除くことが必要である。
【0016】
なお、金属形状物で留意すべきことがある。詳細には後述するが、金属材料と合成樹脂材料である熱可塑性樹脂組成物とは熱膨張率が異なるので、加熱や冷却した場合の伸縮の長さが異なる。両者の熱膨張率を実質的に同一にすることは不可能なので、一体化品、即ち複合体の接着面では温度変化で必ずズレ応力が生じる。接着剤による接着であれば、両者の熱伸縮の差は弾性接着剤を使用し、この弾性変形内の変形のみで熱歪みを吸収するが、本発明では剛性の高いもの同士が直接接着していて逃げ場がない。それ故、温度変化時のズレ応力を吸収し緩和するための工夫が必要である。
【0017】
一つは、アルミニウム合金は金属の中では熱膨張率が最も大きい方であるから樹脂材料のそれに近いので本発明に好ましいこと、また、アルミニウム系材料を使う場合でも接着部の厚みを出きるだけ小さくしてズレ応力を減らすこと、更に、接着面となるべき面は面粗度の高い方がよいので、前もって砥石、サンドペーパー等で粗面を形成しておくと、熱可塑性樹脂組成物と金属との接着には有効である。更に付け加えれば、長く直線的な接着面を作らないことである。金属表面上に点々と凸状のボスを形成し、機械的に接合力を併用する方法であっても良い。
【0018】
[切削及び/又は研磨]
本発明でいう切削及び/又は研磨は、必要な形状出しを前記の種々の金属加工法によって行った後で、更に切削及び/又は研磨することをいう。もし、必要な形状出しの最終工程が切削や研磨であり、しかもその切削や研磨の終了時からの保存が後述するような好ましいものであるなら、本項での切削及び/又は研磨は省略できる。本工程の目的は、水溶性還元剤と接触させる前に金属表面を更新し、次工程の効果が更新面全体にできるだけ均一に効くようにすることにある。金属表面は、通常、酸化物や水酸化物で覆われているが、長期保存した物は酸化物層が内部に浸透して厚くなり、酷くなると錆表面となるからである。
【0019】
アルミニウム合金で例を言えば、市販されているアルミ板は圧延工程で圧力と熱の洗礼を受けており、更には耐候性を上げるために表面を軽く酸処理されたものもあるので、表面の酸化物層の厚さは結構厚い。このアルミ板を、微砂粒を混ぜた圧縮空気の強い流れで研磨したとする(ブラスト処理)。この研磨で、酸化物で覆われた表面が剥がし取られて金属アルミニウム原子が一瞬剥き出しになり、次の瞬間には空気中の酸素に酸化され酸化物膜が生成するが、この酸化物膜の厚さは薄い。研磨後の金属形状物は、乾燥空気下で保存すればそう早くは変化しないが、高温高湿下なら酸化物や水酸化物が増えて元の状態(研磨前の表面の様子)に早く近づく。それ故、この工程後の保存も、湿気温度等の環境を確認し、期間も短くすることが重要である。
【0020】
この工程について具体的に述べる。切削とは文字通り切削である。研磨はサンドペーパー、粉体研磨材、研磨剤ペースト等を使用した磨き作業が好ましい。砂粒や微粉研磨剤と圧縮空気や圧縮窒素を使ったサンドブラスト処理、エアブラスト処理、又はブラスト処理と言われる研磨は更に好ましい。目的から言って、研磨時に温度があまり上がらず、共存する湿気水分が少ない方が良いので、大量生産を前提とした商業化時にはブラスト処理が好ましい。この工程後の金属形状物の保存は前記した通りである。本発明者らによれば、ブラスト処理をしたアルミニウム合金の形状物は、乾燥空気下に1週間程度の保存ならば、即日次工程に廻したものと大差ないようであった。
【0021】
[洗浄]
金属形状物の表面には加工油や指脂が付いているため、洗浄を行う。またブラスト処理後の金属形状物は、通常は圧縮空気パルスで砂粒を吹き飛ばすクリーンアップで処理を終えるので洗浄工程が不要の場合もあるが、微細な油滴や汚れが付いているため、洗浄を行うのは悪いことではない。この洗浄は、有機溶剤での洗浄と水洗浄の組合せで行なうのが好ましい。例えば、アセトン、エタノールなどの水溶性の有機溶剤に浸漬して油性汚れを除いた後に水洗浄し、強制空気で風乾する。また強い油性物が付着している場合は、ベンジン、キシレンなどの有機溶剤で洗浄した後に水洗浄し、強制空気で風乾する。
【0022】
洗浄後の保存期間はできるだけ短くするのが良く、できれば洗浄工程と次工程(還元剤処理工程)は引き続いて実施されるのが好ましい。このように連続的に処理する場合は、前記乾燥が簡素化でき、場合によっては省略できる。また次工程まで保存が必要な場合には、保存は少なくとも乾燥空気下で行い、温度も室温かそれ以下が好ましい。アルミニウム合金形状物の場合、夏季であったが、洗浄乾燥後、24時間乾燥空気中に室温下で保存して次工程に廻したが、即時に次工程に廻した物と有意差はみられなかった。なお本発明者らは実施したことはないが、理屈では乾燥窒素下で、しかも低温下に保存すれば、有効な期間は延長できるはずである。
【0023】
[水溶性還元剤による処理]
次に、水溶性還元剤による処理の具体的な方法について述べる。本発明で用いる水溶性還元剤としては、ヒドラジンやその誘導体、水素化ホウ素アルカリ金属類、水素化アルミニウムアルカリ金属類が使用できる。好ましくは、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウムが使用できる。これら水溶性還元剤を数%濃度になるように水に溶解し、前記した洗浄後の金属形状物をここへ一定時間浸漬する。
【0024】
例えば、ヒドラジン処理液の作成法を具体的に言えば、以下のようである。市販されているヒドラジン水和物、又はヒドラジン水溶液が処理液の原料として使用できる。これを入手して水で希釈し、ヒドラジン濃度として1〜5%、好ましくは2〜4%とする。使用するアルミウム合金によって異なるが、A1050規格(日本工業規格(JIS))のアルミニウム合金を使用した場合、ヒドラジン水溶液のヒドラジン濃度を3%として60〜120秒浸漬したときに良い結果を示した。
【0025】
還元剤濃度を濃くすると、処理時間を短くすることができるとみられるが、金属との接触で還元剤の分解反応が進むおそれもあり、工程上の危険性も生じる。安全作業の観点からあまりに濃い濃度は好ましくない。一方、濃度を下げると効果を発揮させるための浸漬時間が長くなる。
【0026】
処理済みの金属形状物は、乾燥空気下で保存し、湿気に触れることがないようにするのが好ましい。乾燥窒素下で保存すべきか否かまでは確認実験をしていない。アルミニウム合金の場合、1週間までの保存であれば、乾燥空気下の室温で保存しても効力の続くことは確認した。
【0027】
[熱可塑性樹脂組成物]
次に、使用する熱可塑性樹脂組成物について述べる。この熱可塑性樹脂組成物は、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合体、又はポリアルキレンテレフタレートを成分として含む熱可塑性樹脂組成物から選択される1種以上である。ここでポリアルキレンテレフタレートとしては、PBTが好ましい。また熱可塑性樹脂組成物としては、PBT単独のポリマー、PBTとポリカーボネート(PC)のポリマーコンパウンド、PBTとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)のポリマーコンパウンド、PBTとポリエチレンテレフタレート(PET)のポリマーコンパウンドが好ましい。
【0028】
また、フィラーの含有は、前述したように金属形状物と熱可塑性樹脂組成物との熱膨張率を一致させるという観点から非常に重要である。フイラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、その他これらに類する高強度繊維が良い。又、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、炭素繊維やアラミド繊維の粉砕物、その他これらに類する樹脂充填用無機フィラーを含有した熱可塑性樹脂組成物であることは非常に好ましい。フィラーを含まない場合でも強固に接着し、金属に接着した熱可塑性樹脂組成物を剥がすには非常に強い力が必要である。しかしながら、成形された複合体を温度サイクル試験にかけると、フィラーを含まない樹脂の系ではサイクルを重ねることで急速に接着強度が低下することがある。これには二つの原因があると推定される。
【0029】
一つは、線膨張率で金属形状物と熱可塑性樹脂組成物に大きな差があることによる。アルミニウムの線膨張率は金属の中では大きい方だが、それでも熱可塑性樹脂よりかなり小さい。フィラーの存在は熱可塑性樹脂組成物の線膨張率を下げ、アルミニウム合金の熱膨張率(純アルミニウムで2.386×10-5)に近づける。フィラーの種類とその含有率を選べば、線膨張率はアルミニウム合金にかなり近い値にできるものと推定される。
【0030】
もう一つは、インサート成形後の金属形状物の冷却縮みと熱可塑性樹脂組成物の成形収縮の関係である。フィラーを含まない熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率は、小さなものでも0.6%程度である。一方、アルミニウム合金の冷却縮みは、例えば射出時から室温まで100℃程度冷えるとして0.2%程度であり、熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率よりずっと小さく、両者には差がある。よって、複合体を金型から離型して時間が経ち、樹脂が落ち着いてくると、金属と樹脂の界面に内部歪が生じ、僅かな衝撃で界面破壊が起こって剥がれてしまう。
【0031】
アルミニウムの熱膨張率は金属の中では最も大きな方で使用金属種として好ましいことは既に述べた。それでもアルミニウム系金属では熱膨張率、詳しくは温度変化に対する線膨張率は2〜3×10-5-1である。一方、PBTやPBT含有のポリマーコンパウンドの線膨張率は7〜8×10-5-1である。このPBTやPBT含有のポリマーコンパウンドの線膨張率を下げるため、フィラーの含有率は高い方が好ましく、含有率は20%以上、より好ましくは30%以上が好ましい。
【0032】
PBTやPBT含有のポリマーコンパウンドに高強度繊維や無機フィラーを含有率で30〜50%含ませると、線膨張率は2〜3×10-5-1となり、アルミニウムとほぼ一致する。また、このとき成形収縮率も低下する。成形収縮率について言えば、PBTの高い結晶性が収縮率を上げているので、結晶性の低い樹脂であるPET、PC、ABS、PS、その他を混ぜてコンパウンド化した方が更に低下できる。しかし、PBT濃度も下がるので、まだよくは分からない。
【0033】
[射出成形]
本発明では、金属形状物を水溶性還元剤を溶解した水溶液に浸漬する処理を行った後、これを乾燥し、射出成形金型にこれを挿入して金型を閉め、金属形状物と射出成形金型との間に形成されたキャビティ部に、熱可塑性樹脂組成物を射出する。
【0034】
射出条件について述べる。金型温度、射出温度は高い方が良い結果が得られるが無理に上げることはなく、前記の熱可塑性樹脂組成物を使う通常の射出成形時とほぼ同様の条件で十分な接着効果が発揮できる。接着力を上げるためには、むしろ金型のゲート構造において出来るだけピンゲートを使うことに留意した方が良い。ピンゲートでは樹脂通過時に生じるせん断摩擦で瞬時に樹脂温度が上がり、これが良効果を生むものとみられる。要するに、円滑な成形を阻害しない範囲で出来るだけ接着面に高温の樹脂溶融物が接するように工夫するのが良いように推定される。
【0035】
[作用]
本発明によれば、金属、特にアルミニウムを主に含む形状物と、ポリアルキレンテレフタレートを含む熱可塑性樹脂組成物をインサート成形による手法で強固に接着することができる。実用的には、この熱可塑性樹脂組成物として、高濃度のフィラーを含むPBTやPBTを主成分とするコンパウンドが好ましい。この様なことが可能になった理由は、金属を水溶性還元剤で処理したことである。この還元剤処理により、適度のエッチングと適度の反応性を有する金属表面状態が得られたのではないかと推定される。本発明を使用することで、携帯用電子機器の軽量化や、電磁波シールドが必要な機器の製造工程の簡素化に役立つものとみている。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。本発明の電子機器の筐体を携帯電話に採用した例で説明する。図1に示すものは、本発明の筐体を備えた携帯電話の正面図である。携帯電話1は、樹脂製の電話機本体2から構成されており、この電話機本体2内には電話の機能を実現するIC等の電子機器が内装されている。
【0037】
電話機本体2は二体からなり、その厚さ方向の中心の分割面で二分割される。電話機本体2の上面にはケースカバー3が配置され、この裏面には裏面本体4が配置されている。ケースカバー3は、制御パネルの機能と電話機本体2としての両方の機能を果たすものであり、複数の押しボタン5が配置されキー群を構成する。押しボタン5は、電話機本体2内に配置された接点類(図示せず)を駆動する。ケースカバー3と裏面本体4とは、ビス又はノッチ等の固定手段(図示せず)で一体に固定されている。
【0038】
図2は、図1のII−II線で切断したときのケースカバーの断面図である。ケースカバー3の外表面は、アルミニウム合金で作られた金属フレーム6から形成されている。金属フレーム6は、プレス機械とこれで駆動される金型により塑性加工し、更に必要に応じて機械加工して作られたものである。この金属の塑性加工方法、機械加工方法については周知であり、ここでは詳記しない。金属フレーム6は、IC等の電子部品から発生する電磁波、又は他の電子機器からの電磁波を遮蔽する。
【0039】
金属フレーム6は、ヒドラジン等による還元剤処理がなされている。金属フレーム6の内面には、隔壁と補強のために熱可塑性樹脂組成物のリブ7が一体に固着されている。この固着は後述する方法により射出成形されて金属フレーム6と一体化されている。熱可塑性樹脂組成物について、前述した通りのものを使用する。リブ7を射出成形する前に、金属フレーム6の表面は、次の様にヒドラジン等により還元剤処理する。
【0040】
ヒドラジンを使用する場合について簡単に述べてみる。濃度80%の市販のヒドラジン水和物水溶液を、イオン交換水で希釈してヒドラジン水和物としての濃度が5%のヒドラジン水溶液を作成した。このヒドラジン水溶液に、表面を有機溶剤等により洗浄し水洗乾燥した金属フレーム6を投入して浸漬し液を攪拌した。浸漬約1分後に取り出し、別に用意したイオン交換水で洗浄した。
【0041】
ヒドラジンで表面を処理された金属フレーム6は、リブ7を射出するための射出成形金型にインサートされる。図3は、金属フレーム6の表面に射出成形により熱可塑性樹脂組成物が充填される射出成形金型の断面図である。可動側型板10のキャビティ11に、前処理された金属フレーム6を挿入配置する。
【0042】
金属フレーム6をキャビティ11に挿入した状態で固定側型板15を閉じる。キャビティ11は、可動側型板10と固定側型板15とを閉めた状態で、金属フレーム6、可動側型板10、固定側型板15で形成された空間である。このキャビティ11にランナ17、ゲート16を介してリブ7を構成する溶融樹脂が供給され、リブ7の成形を行う。完成されたケースカバー3の筐体は、金属フレーム6と熱可塑性樹脂組成物で作られたリブ7とが一体に接合されて、強度的にも、外観のデザイン上も金属の特徴を活かし、しかも筐体内部の形状、構造も複雑な形状とすることができる。なお、ケースカバー3と共に電話機本体2を構成する裏面本体4も同様に製造される。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施例を実験例に換えて詳記する。
【0044】
[実験例1]
圧延法で得られた市販の電気工作用の1mm厚アルミニウム板を20mm×50mmの長方形片16個に切断した。このアルミニウム片をアセトン2リットルに10分間浸漬して取り出し、イオン交換水2リットルに漬けてかき混ぜ、プラスチック製ザルにあけ、更にイオン交換水1リットルをかけて洗浄した。
【0045】
一方、濃度80%の市販のヒドラジン水和物水溶液を、イオン交換水で希釈してヒドラジン水和物としての濃度が5%のヒドラジン水溶液2リットルを作成した。これに前記した水を切ったアルミニウム片を投入しガラス棒で液を時々かき混ぜた。この操作によりアルミニウム片の表面から小さな発泡が起こる。アルミニウム片は、表面がやや黒っぽくなりかけた時点を終了点と決めて、ヒドラジン水溶液から引き上げた。この間が約1分間の浸漬であり、SUS製ピンセットを使って素早く取り出し、別に用意したイオン交換水2リットルの入ったビーカーに投入した。
【0046】
よくかき混ぜた後、プラスチック製ザルにあけて水を切り、更にイオン交換水をかけてアルミニウム片を水洗した。その後、エアガンを使って強制的に乾燥し、開口部を封印できるチャック付きのポリエチレン製の袋に入れて保存した。このアルミニウム片を射出成形金型にインサートして、ガラス繊維20%、炭素繊維10%含有PBT/PC樹脂(PBT約90%+PC約10%、三菱レイヨン社製「タフペットS」)を射出し、図4で示すように一体化した複合体を得た。
【0047】
図4で21は金属片である。これは先ほど得たアルミニウム片と同じ厚さ1mmであり20mm×50mmの長方形形状である。ここへ2個のピンゲート22,23から樹脂組成物が注入されボス状物24とリブ形状物25が形成される。ボス状物24は接着面が直径8mmの円形状であり、リブ形状物25は接着面が8mm×25mmの長方形状である。ボス、リブとも高さが8mmあり、ボスの方は中心に径2mmの穴が開いておりトルク測定用のネジ山付き測定端をねじ込めるようにしてある。
【0048】
アルミニウム片のインサートについて更に詳しくは、還元剤処理後のアルミニウム片を保存開始後3日でポリ袋のチャックを開いてポリ袋から取り出し、油分等が付着せぬように手袋で摘まんで金型内にインサートした。金型温度は90℃とし、射出成形機の加熱筒の最終部分温度とノズルの温度は270℃とした。
【0049】
成形品を成形後室内に2日間放置した後、接着力を検査した。アルミ板部分を机の上に押さえつけてボス及びリブの先端を親指で水平方向に強く押して樹脂部分を剥がそうとしたが、指に傷がつきそうになるまで押しても剥がすことは出来なかった。この簡易的な試験を2個の成形品について実施したが同じであった。
【0050】
次に別の2個について、ペンチでリブの樹脂部を真上から(ペンチが垂直方向になるようにして)掴み、そのままペンチを傾けリブを剥がそうとした。しかし、2個とも接着面は全く剥がれずリブが途中から折れた。ボス部を同様にペンチで挟んで折り曲げたところ、2個ともアルミニウム板から剥がすことが出来たが、ボスの接着していたアルミ面には点々と小さな樹脂残砕が残っており材料破壊が生じていた。
【0051】
更に別の2個についてボスにある穴にネジ山付き測定端を突っ込んでトルク測定器を回した。ボスが剥がれる時のトルクを測ろうとしたが、全てのものでトルクが約50Ncmを過ぎた辺りで樹脂側の穴が削れてしまい空回りし、ボスは剥がれなかった。
【0052】
更に別の2個を取って金属皿の上に乗せ、90℃と−20℃の間の温度サイクル試験を実施した。室温から+1℃/分で昇温して90℃にして2時間置き、次に−1℃/分の速度で室温(実験時は25℃)まで戻し、2時間置いてからまた同じ速度で−20℃まで冷やした。−20℃に2時間置き、今度は+1℃/分で昇温して室温に戻し2時間置いてからまた昇温するという温度サイクル試験である。全10サイクルしてから前記と同じペンチとトルク測定器を使った試験をした。結果は温度サイクル試験をしない場合の試験結果と同じであった。
【0053】
更に別の2個について高温高湿試験を実施した。具体的には90℃、60%湿度の条件下に24時間放置し室温下に1時間かけて戻してから前記と同じペンチとトルク測定器を使った試験をした。結果は高温高湿試験をしていない前記試験の結果と同じであった。
【0054】
[実験例2]
実施例1と同様にして還元剤処理をしたアルミニウム片を用意し保存した。但し、還元剤処理後、1週間保存した物を使用した。これ以外は全く実験例1と同様にして、図4に示す試験用の複合体を10個得た。得られた10個について、実験例1と同様にペンチとトルク測定器を用いた破壊試験を行った。但し、5個づつの組に分け、温度サイクル試験をした組と、しない組とした。しかし全ての結果は実施例1と同様で接着は非常に強かった。
【0055】
[実験例3]
射出する熱可塑性樹脂組成物を、フィラーを含まないPBT(三菱レイヨン社製「タフペットG1030B」)にした。これ以外は全く実験例1と全く同様にして、図4に示す試験用の複合体を10個得た。得られた10個について、実験例1と同様にペンチとトルク測定器を用いた破壊試験を行った。但し、5個づつの組に分け、温度サイクル試験をした組と、しない組とした。温度サイクル試験をしなかった組は実験例1と同様で接着は非常に強かったが、温度サイクル試験をした組の5個はペンチ、ボス共に指で強く押しただけで剥がれた。フィラーの不在が温度サイクル試験に対して弱くしているようであった。
【0056】
[実験例4]
市販の水素化ホウ素ナトリウム10gを、イオン交換水1リットルに溶解して濃度約1%の水溶液を作成した。この水溶液をヒドラジン水溶液に代えて使用した他は、実験例1と全く同様にアルミニウム片を還元剤処理し、PBT系樹脂組成物を射出成形した。成形品を成形後室内に2日間放置した後、接着力を検査した。アルミ板部分を机の上に押さえつけてボス及びリブの先端を親指で水平方向に強く押して樹脂部分を剥がそうとしたが指に傷がつきそうになるまで押しても剥がすことは出来なかった。
【0057】
[実験例5]
市販の水素化アルミニウムリチウム10gを、イオン交換水1リットルに少量づつゆっくり溶解した。発泡があり、水に溶解するだけで一部は分解していると推定されたが、かまわず10gを溶解した。この水溶液をヒドラジン水溶液に代えて使用した他は、実験例1と全く同様にアルミニウム片を還元剤処理し、PBT系樹脂組成物を射出成形した。成形品を成形後室内に2日間放置した後、接着力を検査した。アルミ板部分を机の上に押さえつけてボス及びリブの先端を親指で水平方向に強く押して樹脂部分を剥がそうとしたが指に傷がつきそうになるまで押しても剥がすことが出来なかった。
【0058】
[実験例6]
圧延法で得られた市販の電気工作用の1mm厚アルミニウム板を20mm×50mmの長方形片100個に切断した。このアルミニウム片を両面テープでゴムシートに貼り付けてブラスト装置に入れた。凹凸が約5μmレベルになるようにエアパルス時間を設定し、エアブラスト処理をした。ブラスト装置から取り出して平均で5時間以内置いた後、アセトン4リットルに10分間浸漬して取り出し、イオン交換水4リットルに漬けてかき混ぜ、プラスチック製ザルにあけ、更にイオン交換水2リットルをかけて洗浄した。
【0059】
次に実験例1と同様に、アルミニウム片を5%濃度のヒドラジン水溶液に2分間浸漬して還元剤処理を行い、SUS製ピンセットを使って素早く取り出し、別に用意したイオン交換水4リットルの入ったビーカーに投入した。よくかき混ぜた後、プラスチック製ザルにあけて水を切り、更にイオン交換水をかけてアルミニウム片を水洗した。その後、エアガンを使って強制的に乾燥し、塩化カルシウム乾燥剤を充填した乾燥機に入れて保存した。
【0060】
このアルミニウム片を保存開始後3日で乾燥機から取り出し、油分等が付着せぬように手袋で摘まんで射出成形金型にインサートして、ガラス繊維20%、炭素繊維10%含有PBT/PET樹脂(PBT約85%とPET約15%、元樹脂は三菱レイヨン社製)を射出し、図4で示すように一体化した複合体を得た。なお金型温度は90℃とし、射出成形機の加熱筒の最終部分温度とノズルの温度は290℃とした。
【0061】
成形品を成形後室内に1週間放置した後、接着力を検査した。アルミ板部分を机の上に押さえつけてボス及びリブの先端を親指で水平方向に強く押して樹脂部分を剥がそうとしたが、指に傷がつきそうになるまで押しても剥がすことは出来なかった。この簡易的な試験を5個の成形品について実施したが同じであった。
【0062】
次に前記5個を含む計70個について、ペンチでリブの樹脂部を真上から(ペンチが垂直方向になるようにして)掴み、そのままペンチを傾けリブを剥がそうとした。しかし、70個とも接着面は全く剥がれずリブが途中から折れた。ボス部を同様にペンチで挟んで折り曲げたところ、15個はアルミニウム板から剥がすことが出来たが、ボスの接着していたアルミ面には点々と小さな樹脂残砕が残っており材料破壊が生じていた。残りの55個は剥がすことは出来ずボスが途中から折れた。
【0063】
更に別の10個についてボスにある穴にネジ山付き測定端を突っ込んでトルク測定器を回した。ボスが剥がれる時のトルクを測ろうとしたが、全てのものでトルクが約200Ncmを過ぎた辺りで樹脂側の穴が削れてしまい空回りし、ボスは剥がれなかった。
【0064】
更に別の10個を取って金属皿の上に乗せ、120℃と−20℃の間の温度サイクル試験を実施した。室温から+2℃/分で昇温して120℃にして2時間置き、次に−2℃/分の速度で室温(実験時は25℃)まで戻し、2時間置いてからまた同じ速度で−20℃まで冷やした。−20℃に2時間置き、今度は+2℃/分で昇温して室温に戻し2時間置いてからまた昇温するという温度サイクル試験である。全200サイクルしてから前記と同じペンチとトルク測定器を使った試験をした。結果は温度サイクル試験をしない場合の試験結果と同じであった。
【0065】
更に別の10個について高温高湿試験を実施した。具体的には90℃、60%湿度の条件下に24時間放置し室温下に1時間かけて戻してから前記と同じペンチとトルク測定器を使った試験をした。結果は高温高湿試験をしていない前記試験の結果と同じであった。
【0066】
全体として見た場合、接着物の破壊試験としては驚くほど安定した結果を得た。これはブラスト処理によりアルミニウム表面が更新され、その結果、還元剤処理が更新面の全面に効いて安定した表面性能を引き出せたものとみられる。
【0067】
【発明の効果】
以上の詳記したように、本発明の複合体とその製造方法は、一体にされる熱可塑性樹脂組成物と金属形状物とは容易に剥がれことなく一体になる。従って、形状、構造上も機械的強度の上でも問題がない電子機器の筐体等を作ることができた。
本発明によると、金属筐体を備えたモバイル電子機器等の軽量化や、電磁波シールドが必要な機器の製造工程の簡素化に役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の筐体を備えた携帯電話の正面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線で切断したときのケースカバーの断面図である。
【図3】図3は、金属フレーム6の表面に射出成形により熱可塑性合成樹脂が充填される射出成形金型の断面図である。
【図4】図4は、実験で製作した複合体の立体図である。
【符号の説明】
1…携帯電話
2…電話機本体
3…ケースカバー
5…押しボタン
6,12…金属フレーム
7…リブ
11…キャビティ
10…可動側型板
15…固定側型板

Claims (6)

  1. ヒドラジン水溶液で表面が処理されアルミニウム合金からなる金属形状物と、
    前記表面に、ポリアルキレンテレフタレート、前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とする共重合体、又は前記ポリアルキレンテレフタレートを成分として含む熱可塑性樹脂組成物とから選択される1種以上が射出成形により一体に付着していることを特徴とする金属と樹脂の複合体。
  2. 請求項に記載の金属と樹脂の複合体において、
    前記ポリアルキレンテレフタレートがポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする金属と樹脂の複合体。
  3. 請求項1又は2に記載の金属と樹脂の複合体において、
    前記熱可塑性樹脂組成物が、ポリブチレンテレフタレート単独のポリマー、ポリブチレンテレフタレートとポリカーボネートのポリマーコンパウンド、ポリブチレンテレフタレートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂のポリマーコンパウンド、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートのポリマーコンパウンド、ポリブチレンテレタフレートとポリスチレンのポリマーコンパウンドであることを特徴とする金属と樹脂の複合体。
  4. 請求項に記載の金属と樹脂の複合体において、
    前記コンパウンドには、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の高強度繊維、及び/又は炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土等の樹脂充填用無機フィラー類が加えられているものであることを特徴とする金属と樹脂の複合体。
  5. 請求項1ないしから選択される1項に記載の金属と樹脂の複合体において、
    前記金属形状物が、前記ヒドラジン水溶液で表面が処理される前に、切削及び/又は研磨工程が施されたものであることを特徴とする金属と樹脂の複合体。
  6. 請求項1ないしに記載の金属と樹脂の複合体の製造方法であって、
    前記金属形状物を前記ヒドラジン水溶液に浸漬する処理を行った後、これを乾燥し、射出成形金型にこれを挿入して金型を閉め、前記ポリアルキレンテレフタレートを含む前記熱可塑性樹脂組成物を射出することを特徴とする金属と樹脂の複合体の製造方法。
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