JP2007062118A - 複合体の製造方法 - Google Patents

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Fumio Kurihara
文夫 栗原
Kazuto Nagakusa
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Abstract

【課題】 樹脂組成物を金属製部材の表面に射出し、この金属製部材に対して高い接着強度を有する樹脂成形部が接着形成されてなる複合体を効率よく製造することができる複合体の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、内壁面の少なくとも一部に断熱層(212)が配設された金型の、断熱層(212)の表面に金属製部材(11)を配置し、その後、溶融した樹脂組成物をキャビティ空間(23a及び23b)に注入して、金属製部材と、この金属製部材の表面に接合された樹脂成形部とを有する複合体を製造する方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複合体の製造方法に関し、更に詳しくは、樹脂組成物を金属製部材の表面に射出し、この金属製部材に対して高い接着強度を有する樹脂成形部が接着形成されてなる複合体を効率よく製造することができる複合体の製造方法に関する。
近年、産業用制御機器、家庭用電化製品、携帯電話、携帯型電子情報端末等の通信機器、医療機器、車両用電子機器等の、構造用部品、外装用部品等において、板金加工、プレス加工、切削加工等による金属製部材と、ビス、ピン、ツメ、リブ、ボス等の樹脂製部材とが一体化した構造物が1次部品等として用いられている。
接着剤を用いることなく金属製部材及び樹脂製部材が一体化された構造物としては、例えば、金属フレームと、この金属フレームの表面に被覆及び付着された、エポキシ系樹脂等の熱硬化性合成樹脂からなる層と、この層の上面に、熱可塑性合成樹脂が熱融着により形成された部材とを備える電子機器筐体(特許文献1参照)や、金属ケースと、この金属ケースの表面に射出成形され、熱融着された、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたオレフィン系樹脂を含む樹脂製部材とを備える電子機器筐体(特許文献2参照)が開示されている。
特開2001−298277号公報 特開2002−225073号公報
上記の各機器においては、小型化が図られているものもあり、その場合には、構成部品においても小型化が必要不可欠となり、ビス、ピン、ツメ、リブ、ボス等所定形状の樹脂製部材を、より少ない工程で効率よく形成する方法が検討されている。
本発明は、樹脂組成物を金属製部材の表面に射出し、この金属製部材に対して高い接着強度を有する樹脂成形部が接着形成されてなる複合体を効率よく製造することができる複合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、内部に断熱層が配設された金型を用い、樹脂成形部を形成する前の金属製部材を、断熱層及びキャビティ空間が金属製部材を介して相対している位置関係となるように、該断熱層に密着させ、溶融した樹脂組成物をキャビティ空間に射出することにより、金属製部材に対する高い接着強度を有する樹脂成形部を効率よく形成することができ、形成された樹脂成形部の周縁部にバリの発生が抑制されたことを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の通りである。
1.内壁面の少なくとも一部に断熱層が配設された金型の、上記断熱層の表面に金属製部材を配置し、その後、溶融した樹脂組成物(以下、「射出成形用樹脂組成物」ともいう。)をキャビティ空間に注入して、上記金属製部材と、該金属製部材の表面に接合された樹脂成形部とを有する複合体を製造することを特徴とする複合体の製造方法。
2.内壁面の少なくとも一部に断熱層が配設されたコア型、及び、所定形状のキャビティを有するキャビティ型を備える金型を用いて、射出成形により、金属製部材と、該金属製部材の表面に接合された樹脂成形部とを有する複合体を製造する方法であって、上記金属製部材を、上記断熱層及び上記キャビティの間に配置し、型閉じする工程と、上記金属製部材と、上記キャビティ型との間に形成されたキャビティ空間に、溶融した射出成形用樹脂組成物を注入して、上記樹脂成形部を形成する工程と、を備えることを特徴とする複合体の製造方法。
3.上記断熱層が、エポキシ硬化樹脂組成物である上記1又は2に記載の複合体の製造方法。
4.上記金属製部材の表面に、トリアジンチオール誘導体を含む皮膜が形成されている上記1乃至3のいずれかに記載の複合体の製造方法。
5.上記樹脂成形部が形成される場所における上記金属製部材の最大厚さが、0.1〜2mmの範囲にある上記1乃至4のいずれかに記載の複合体の製造方法。
6.上記金属製部材が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる上記1乃至5のいずれかに記載の複合体の製造方法。
7.上記射出成形用樹脂組成物が、[A]ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体化合物とを含むビニル系単量体(b)を重合して得られたゴム強化共重合樹脂(A1)、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A1)及びビニル系単量体の(共)重合体(A2)の混合物からなるゴム強化樹脂(以下、「成分[A]」ともいう。)3〜97質量%と、[B]エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合及びアミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む熱可塑性結晶質重合体(以下、「成分[B]」ともいう。)97〜3質量%と(但し、[A]+[B]=100質量%である。)を含有する上記1乃至6のいずれかに記載の複合体の製造方法。
8.上記射出成形用樹脂組成物は、更に、充填剤を含み、該充填剤の含有量が、上記ゴム強化樹脂[A]及び上記熱可塑性結晶質重合体[B]の合計を100質量部とした場合に、1〜50質量部である上記7に記載の複合体の製造方法。
本発明の複合体の製造方法によれば、金属製部材と、該金属製部材の表面に接着形成された樹脂成形部とを備える複合体を効率よく製造することができ、形成された樹脂成形部の周縁部にバリの発生を抑制することができる。特に、射出成形時の金型内部の、樹脂成形部の形成される金属製部材の裏側に断熱層を有するために、溶融した射出成形用樹脂組成物がキャビティ空間に注入されて金属製部材の表面に達しても、到達部において該組成物の温度が溶融温度に近い温度で保持されるので、該組成物が、金属製部材の最表面における微細な凹部へも十分に入り込み、高い接着性を有する複合体を容易に製造することができる。また、同様の理由により、金型をより低い温度に設定することができ、複合体の連続製造の短縮化を図ることができる。
上記射出成形用樹脂組成物が、特定のゴム強化樹脂[A]及び熱可塑性結晶質重合体[B]を含有する場合には、金属製部材に対して高い接着強度を有する樹脂成形部を効率よく形成することができ、更には、形成された樹脂成形部の周縁部にバリの発生を抑制することができる。
また、上記射出成形用樹脂組成物が、更に、充填剤を所定量含有する場合には、金属製部材の線膨張係数に近い樹脂成形部を形成することができるので、寸法精度に優れ、界面剥離等の欠陥を低減することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、内壁面の少なくとも一部に断熱層が配設された金型の、上記断熱層の表面に金属製部材を配置し、その後、溶融した樹脂組成物(射出成形用樹脂組成物)をキャビティ空間に注入して、上記金属製部材と、該金属製部材の表面に接合された樹脂成形部とを有する複合体を製造するものである。
上記金型としては、通常の射出成形に用いられる金型を適用することができる。
射出成形用の金型は、通常、射出成形用樹脂組成物を注入する導入口及びそのための部品が配設された固定型と、成形品を取り出す等の目的で、開閉の往復運動をする可動型とを備える。上記固定型は、所定の目的を達するものであれば、複数の型を組み合わせてなるものであってもよい。また、上記可動型は、射出成形用樹脂組成物を注入する際に、射出圧に耐えうる圧力で閉め(型閉じし)、成形後は、成形品を取り出すために開く(型開きする)。更に、上記の固定型及び可動型は、加熱装置、冷却装置等を備えてもよい。
従って、上記金型の構造は、特に限定されず、ツープレート金型、スリープレート金型等のいずれでもよい。尚、上記金型の構成材料は、通常、ステンレス、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等である。
上記断熱層は、金型の内壁面の少なくとも一部に配設されるものであるが、少なくとも射出成形時に、上記金型の内壁面に密着するように配設される。この断熱層は、通常、可動型の内壁面に配設され、1箇所でも、2箇所でも、それ以上であってもよい。
複合体は、断熱層の表面に金属製部材が密着した状態で、溶融した射出成形用樹脂組成物をキャビティ空間に注入して製造されるが、断熱層を備えることにより、金属製部材の表面に達した樹脂組成物が溶融温度に近い温度で保持されるので、該組成物が、金属製部材の最表面における微細な凹部へも十分に入り込み、高い接着性を有する複合体を容易に製造することができる。更には、金型をより低い温度に設定することができ、複合体の連続製造の短縮化を図ることができる。
また、上記断熱層を備えることにより、金属製部材の表面に達した樹脂組成物が溶融温度に近い温度で保持されるので、金型の温度を、従来よりも低い温度に設定して、複合体を製造することもできる。従って、金型の温度をより低く調整して製造し、作業性を向上させることができる。即ち、成形後の複合体の取り出しは、通常、手作業であるため、複合体を連続的に、大量に製造する場合には、金型の温度が低いほど、複合体の取り出し時間、更には、次の製造のための加熱時間を短縮化できるため、作業性を大幅に向上することができる。
尚、この断熱層を備えない場合は、樹脂組成物の金属製部材への到達部から、その周辺へと該組成物の熱が逃げてしまい、組成物が、金属製部材の最表面における微細な凹部に十分に行き渡る前に固化してしまう場合がある。
上記断熱層の構成材料は、金型に注入される射出成形用樹脂組成物の溶融温度(通常、160〜300℃)、あるいは、成形時の金型の加熱温度において、変質、変形等の発生しない耐熱性を有するものであれば、特に限定されない。好ましくは、熱伝導率の低い、例えば、0.05cal/(cm・sec・℃)以下の材料からなるものである。尚、この断熱層は、単層体であってよいし、同一の又は異なる材料からなる積層体であってもよい。更には、他の形態による複合物であってもよい。
上記断熱層の構成材料としては、耐熱性樹脂組成物、セラミックス、ガラス、琺瑯等が挙げられる。
耐熱性樹脂組成物としては、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミダゾピロロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド等から選ばれる1種以上を用いてなる硬化樹脂組成物が挙げられる。尚、この組成物は、公知の充填剤等を含有してもよい。
また、セラミックスとしては、ジルコニア等が挙げられる。
本発明においては、上記断熱層がエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物から形成されたエポキシ硬化樹脂組成物からなることが好ましい。このエポキシ硬化樹脂組成物は、安価であり、これを用いることにより、十分な断熱性能が発揮される。
上記断熱層の形状は、金型の内壁面の所定位置に設けられた凹部の形状に対応したものであることが好ましく、通常、平板、曲板又は凹凸板である。尚、この断熱層の厚さは、特に限定されないが、通常、0.1mm以上である。
尚、上記断熱層の形状及び大きさは、金属製部材の形状及びその大きさ、並びに、形成される樹脂成形部(キャビティ空間)の形状及びその大きさにより、適宜、選択される。
上記金属製部材は、金属又は合金(以下、併せて「金属」という。)からなるものであり、例えば、アルミニウム及びそれを含む合金(アルミニウム合金)、銅(無酸素銅等)及びそれを含む合金(黄銅、青銅、アルミ黄銅等)、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、スズ、亜鉛、パラジウム、ステンレス、マグネシウム、マンガン等が挙げられる。これらのうち、軽量且つ高強度のアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。これらを用いると、金属製部材と、樹脂成形部との接着強度が一段と優れる。
上記金属製部材の形状は、平板状、曲板状、棒状、筒状、塊状等とすることができ、これらの組み合わせからなる構造体(貫通穴を有してもよい)であってもよい。また、樹脂成形部が形成されることとなる場所(部位)の形状は、特に限定されないが、平面、曲面、凹凸面、角部、尖状部等が挙げられる。
上記金属製部材は、樹脂成形部との接着強度を高めるために、その表面に前処理を施したものを用いることができる。前処理としては、化学的処理、物理的処理等が挙げられる。これらを組み合わせてもよい。また、これらのうち、化学的処理が好ましい。
化学的処理としては、トリアジン系化合物を用いる処理、トリアゾール系化合物を用いる処理、脱脂処理等が挙げられる。
上記トリアジン系化合物としては、下記式(I)〜(XI)で表される化合物等を用いることができる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2007062118
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これらのうち、式(I)〜(VIII)で表されるトリアジンチオール系化合物が好ましい。
トリアジンチオール系化合物を用いた化学的処理としては、例えば、特開平2−298284号公報等に開示されている。この方法は、トリアジンチオール系化合物の溶液を電着溶液として用い、金属製部材を陽極に、白金、チタン又はカーボンからなる板等を陰極として通電する電気化学的表面処理であり、該化合物の皮膜形成を行うものである。電圧及び電流を調整することにより、所定の厚さの皮膜を形成することができる。
また、物理的処理としては、ブラスト処理等が挙げられる。このブラスト処理は、金属製部材の表面に対し、金属粉、砂、ガラス粉等を吹き付けて表面を処理するものであり、ウェット型、ドライ型等、金属製部材の構成材料により選択することができる。
上記断熱層の効果をより発揮させるために、樹脂成形部が形成されることとなる場所における金属製部材の最大厚さは、好ましくは0.1〜2mmである。この金属製部材が肉厚であればあるほど、溶融した樹脂組成物が注入された瞬間に、金属製部材の内部に熱が逃げてしまい、樹脂組成物が、金属製部材の最表面を十分に被覆することなく固化してしまう場合がある。尚、樹脂組成物の注入による複合体の具体的製造方法については、下記の「他の本発明における"樹脂成形部を形成する工程"」と同様とするが、金属製部材は、断熱層及びキャビティ空間が、少なくとも金属製部材を介して相対している位置関係となるように、該断熱層に密着させることが好ましい。
また、他の本発明は、内壁面の少なくとも一部に断熱層が配設されたコア型、及び、所定形状のキャビティを有するキャビティ型を備える金型を用いて、射出成形により、金属製部材と、該金属製部材の表面に接合された樹脂成形部とを有する複合体を製造する方法であり、上記金属製部材を、上記断熱層及び上記キャビティの間に配置し、型閉じする工程(以下、「第1工程」という。)と、上記金属製部材と、上記キャビティ型との間に形成されたキャビティ空間に、溶融した射出成形用樹脂組成物を注入して、上記樹脂成形部を形成する工程(以下、「第2工程」という。)と、を備える。上記断熱層及び上記金属製部材については、前記説明が適用される。
上記コア型は、通常、可動型であり、その断面形状は、例えば、図6及び図7で示される。
図6のコア型21は、可動用型211と、この可動用型211の所定位置に設けられた凹部に、1箇所に配設された断熱層212とを備える。
また、図7のコア型21は、可動用型211と、この可動用型211の所定位置に設けられた凹部の、2箇所に配設された断熱層212a及び212bとを備える。
一方、上記キャビティ型は、樹脂成形部の形状に応じた凹部であるキャビティを備え、通常、固定型である。前記のように、射出成形用樹脂組成物を注入する導入口及びそのための部品等を備えるものであってよい。上記キャビティ型の断面形状は、例えば、図8で示される。
図8のキャビティ型22は、溶融した射出成形用樹脂組成物の導入口223を備える樹脂導入口付き固定型22aと、キャビティ224a及び224bを備えるキャビティ付き固定型22bとが一体化したものである。
上記コア型及び上記キャビティ型の構成材料は、特に限定されないが、通常、いずれも、ステンレス、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等である。
第1工程においては、金属製部材を、断熱層及びキャビティの間に配置し、型閉じする。即ち、例えば、図6のコア型21と、図8のキャビティ型22との間に金属製部材11を挟んだ状態で、これらの型を一体化させる(図1参照)。図1の金型は、金属製部材11が、図6に示されたコア型21における断熱層212と、図8に示されたキャビティ型22のキャビティ付き固定型22bとの間に配置され、コア型21及びキャビティ型22が型閉じした状態である。
このとき、上記金属製部材11を、断熱層212の表面に配置してから型閉じしてよいし、キャビティ型22(図8)が有するキャビティ224a及び224bの位置に合わせて、キャビティ型22の表面に配置してから型閉じしてもよい。
第2工程においては、金属製部材と、キャビティ型との間に形成されたキャビティ空間に、溶融した射出成形用樹脂組成物を注入して、樹脂成形部を形成する。即ち、この工程においては、上記第1工程により、予め、コア型及びキャビティ型を一体化させた金型を、公知の射出成形機に配設し、好ましくは160〜300℃の温度で溶融した樹脂組成物を金型のキャビティ空間に射出・注入するものである。
尚、射出成形用樹脂組成物の射出率は、特に限定されないが、好ましくは1〜300cm/秒である。また、金型の温度も、特に限定されず、好ましくは20〜100℃である。更に、金属製部材は、予め、加熱しておいてもよいが、本発明においては、予熱なしで、射出成形用樹脂組成物を注入することができる。
上記射出成形用樹脂組成物が、キャビティ空間に満たされた直後から、注入された樹脂組成物が固化するまでの間、所定圧力を一定時間加えることができる。その圧力(保圧、樹脂圧)は、好ましくは50〜500kg/cm、より好ましくは60〜300kg/cmである。
キャビティ空間の形状に応じた樹脂成形部が形成された後、公知の方法で、金型の冷却及び型開きを順次行い、複合体が得られる。
次に、射出成形用樹脂組成物について説明する。
この射出成形用樹脂組成物は、射出成形に用いられる公知の樹脂組成物であれば、特に限定されず、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、HIPS等のゴム強化樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンオキサイド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;液晶高分子等の1種以上を含むものを用いることができる。2種以上含む場合は、アロイであってもよい。この組成物には、充填剤等の添加剤が含まれていてもよい。
本発明において、好ましい射出成形用樹脂組成物は、[A]ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体化合物とを含むビニル系単量体(b)を重合して得られたゴム強化共重合樹脂(A1)、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A1)及びビニル系単量体の(共)重合体(A2)の混合物からなるゴム強化樹脂(以下、「成分[A]」ともいう。)と、[B]エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合及びアミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む熱可塑性結晶質重合体(以下、「成分[B]」ともいう。)とを含有する組成物である。
尚、本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
上記成分[A]は、ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体化合物とを含むビニル系単量体(b)を重合して得られたゴム強化共重合樹脂(A1)であるか、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A1)及びビニル系単量体の(共)重合体(A2)の混合物である。これらのゴム強化共重合樹脂(A1)及びビニル系単量体の(共)重合体(A2)は、それぞれ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゴム強化共重合樹脂(A1)の形成に用いられるゴム質重合体(a)としては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン系ブロック共重合体及びその水素添加物、スチレン・イソプレン系ブロック共重合体及びその水素添加物等のジエン系ゴム;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ブテン−1・非共役ジエン共重合体等のエチレン・α−オレフィン系ゴム;アクリル系ゴム;シリコーン系ゴム等が挙げられる。これらの重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらのうち、ジエン系ゴム、エチレン・α−オレフィン系ゴム及びアクリル系ゴムが好ましい。
上記ゴム質重合体(a)がジエン系ゴム又はアクリル系ゴムである場合、そのゲル含率は、好ましくは98質量%以下であり、更に好ましくは40〜98質量%である。この範囲とすることにより、耐衝撃性に優れた樹脂成形部を形成可能な射出成形用樹脂組成物とすることができる。
ゲル含率は、以下に示す方法により求めることができる。
まず、ゴム質重合体(a)1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置する。その後、100メッシュの金網(質量をW1グラムとする)で濾過したトルエン不溶分と金網を、温度80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量W2グラムとする)する。W1及びW2を、下記式(1)に代入して、ゲル含率を得る。
ゲル含率=[{W2(g)−W1(g)}/1(g)]×100 (1)
尚、ゲル含率は、ゴム質重合体(a)の製造時に用いた架橋性単量体の種類及びその使用量、分子量調節剤の種類及び使用量、重合時間、重合温度、重合転化率等を、適宜、設定することにより調整される。
ゴム強化共重合樹脂(A1)の形成に用いられるビニル系単量体(b)は、芳香族ビニル化合物並びにシアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体化合物の組み合わせのほか、これらの単量体と、酸無水物;ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物等とを、組み合わせて用いることができる。
上記各ビニル系単量体の使用量は、下記のとおりである。但し、ビニル系単量体(b)の全量を100質量%とする。
芳香族ビニル化合物の使用量は、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは10〜80質量%である。この範囲にあると、上記射出成形用樹脂組成物の成形加工性と、得られる樹脂成形部の機械的強度との物性バランスに優れる。
シアン化ビニル化合物を使用する場合には、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%である。この範囲にあると、上記射出成形用樹脂組成物の成形加工性と、得られる樹脂成形部の耐薬品性及び耐変色性との物性バランスに優れる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用する場合には、好ましくは1〜85質量%、より好ましくは10〜80質量%である。この範囲にあると、上記射出成形用樹脂組成物の成形加工性と、得られる樹脂成形部の着色性との物性バランスに優れる。
マレイミド系化合物を使用する場合には、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは10〜50質量%である。この範囲にあると、上記射出成形用樹脂組成物の成形加工性と、得られる樹脂成形部の耐熱性との物性バランスに優れる。
官能基を有するビニル系化合物を使用する場合には、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%である。この範囲にあると、成分[B]との相溶性を向上させ、機械的強度に優れた樹脂成形部を得ることができる。
ゴム質重合体(a)の存在下に重合されるビニル系単量体(b)のうち、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、メタクリル酸メチルが好ましい。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、マレイミド系化合物単位を分子へ導入する方法としては、無水マレイン酸を共重合してからイミド化する等してもよい。
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシル基を有する化合物としては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミノ基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、(メタ)アクリルアミン、N−メチルアクリルアミン、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、p−アミノスチレン等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボキシル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキサゾリン基を有する化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニル系単量体(b)を用いる際の好ましい組み合わせの例を以下に示す。
(1)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物
(2)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステル
(3)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステル
(4)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステル/マレイミド化合物
(5)芳香族ビニル化合物/マレイミド化合物
(6)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物/マレイミド化合物
ゴム強化共重合樹脂(A1)は、例えば、乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及びこれらを組み合わせた重合法により製造することができる。これらのうち、乳化重合及び溶液重合が好ましい。
ゴム強化共重合樹脂(A1)を乳化重合により製造する場合、通常、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等が用いられる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックス系を用いることもできる。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類;ターピノーレン類等が挙げられる。
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ラウリル酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、パルミチン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ロジン酸カリウム等のロジン酸塩等が挙げられる。
ゴム強化共重合樹脂(A1)を乳化重合により製造する場合、ゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(b)の使用方法としては、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、ビニル系単量体(b)を全量一括添加して重合してもよく、分割添加もしくは連続添加して重合してもよい。また、ゴム質重合体(a)の一部を重合途中で添加してもよい。
ゴム強化共重合樹脂(A1)を100質量部製造する場合、ゴム質重合体(a)の使用量は、好ましくは3〜85質量部、より好ましくは5〜75質量部、更に好ましくは5〜65質量部である。
乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により樹脂成分を凝固させ、更に、水洗、乾燥することにより、精製されたゴム強化共重合樹脂(A1)が得られる。凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸等を用いることができる。尚、2種以上のラテックスを製造した場合には、凝固を、別々に行ってもよいし、ラテックスを混合してから行ってもよい。
ゴム強化共重合樹脂(A1)を溶液重合により製造する場合、通常、公知のラジカル重合用不活性重合溶媒中で重合される。その溶媒としては、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜120℃の範囲である。
溶液重合の際には、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物等が好ましく用いられる。
連鎖移動剤を用いる場合、メルカプタン類;ターピノーレン類;α−メチルスチレンダイマー等を用いることができる。
また、ゴム強化共重合樹脂(A1)を塊状重合又は懸濁重合で製造する場合、公知の方法を適用でき、溶液重合において例示した重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることができる。
上記各方法により得られたゴム強化共重合樹脂(A1)中に残存する未反応のビニル系単量体(b)の含有量は、好ましくは10,000ppm以下、更に好ましくは5,000ppm以下である。
上記のようにして製造されたゴム強化共重合樹脂(A1)は、通常、ビニル系単量体(b)がゴム質重合体(a)にグラフト(共)重合してなる共重合樹脂(グラフト化ゴム質重合体)と、ゴム質重合体(a)にグラフトしていない未グラフト成分(ビニル系単量体(b)の(共)重合体)とを含む。グラフト化ゴム質重合体の数平均粒子径は、好ましくは500〜50,000Å、より好ましくは1,000〜20,000Å、更に好ましくは、1,000〜8,000Åの範囲にある。尚、数平均粒子径は、電子顕微鏡を用いる等、公知の方法で測定することができる。
ゴム強化共重合樹脂(A1)のグラフト率は、好ましくは5〜200質量%、より好ましくは10〜150質量%、更に好ましくは10〜100質量%である。このグラフト率が上記範囲にあると、得られる樹脂成形部の耐衝撃性に優れる。
尚、グラフト率は、以下に示す方法により求めることができる。
ゴム強化共重合樹脂(A1)1グラム中のゴム質重合体(a)の質量をSグラム、ゴム強化共重合樹脂(A1)1グラムをアセトン(但し、ゴム質重合体(a)にアクリルゴムを用いた場合はアセトニトリルを用いる。)20mlに溶解(振とう機により2時間振とう)させ、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離した際の不溶分の質量をTグラムとしたとき、グラフト率を下記式(2)により求めることができる。
グラフト率={(T−S)/S}×100 (2)
ゴム強化共重合樹脂(A1)のアセトン可溶分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.15〜1.0dl/g、より好ましくは0.2〜0.8dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲にあると、成形加工性と、得られる樹脂成形部の機械的強度との物性バランスに優れる。
尚、グラフト率及び極限粘度[η]は、ゴム強化共重合樹脂(A1)を製造する際の、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶媒等の種類や使用量、更には、重合時間、重合温度等を変化させることにより、容易に制御することができる。
次に、(共)重合体(A2)は、ビニル系単量体の(共)重合体である。
この(共)重合体(A2)の形成に用いられるビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物、官能基(ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、オキサゾリン基等)を有するビニル系化合物等が挙げられる。いずれも、上記ゴム強化共重合樹脂(A1)の形成に用いるビニル系単量体(b)の説明において例示した化合物を用いることができる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニル系単量体は、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体化合物とを含むことが好ましい。
尚、各化合物の使用量は、特に限定されないが、上記ビニル系単量体(b)と同様とすることができる。
従って、上記(共)重合体(A2)は、上記のゴム強化共重合樹脂(A1)の形成に用いたビニル系単量体(b)と全く同じ種類の化合物を用いて得られた(共)重合体であってよいし、異なる種類の化合物を用いて得られた(共)重合体であってもよい。
(共)重合体(A2)としては、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・フェニルマレイミド共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、スチレン・α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、(共)重合体(A2)は、公知の重合法、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合により製造することができる。
(共)重合体(A2)のアセトン可溶分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.15〜1.2dl/g、より好ましくは0.2〜1.0dl/g、更に好ましくは0.2〜0.8dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲にあると、成形加工性と、得られる樹脂成形部の機械的強度との物性バランスに優れる。
尚、この極限粘度[η]は、上記ゴム強化共重合樹脂(A1)の場合と同様、各種の製造条件を変化させることにより制御することができる。
上記成分[A]としては、得られる樹脂成形部の耐衝撃性が安定して発揮されることから、ゴム強化共重合樹脂(A1)及び(共)重合体(A2)の混合物を用いることが好ましい。
上記成分[A]に含有されるゴム質重合体(a)の含有割合は、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜45質量%、更に好ましくは5〜40質量%である。
上記射出成形用樹脂組成物において、成分[A]の含有量は、成分[A]及び[B]の合計を100質量%とした場合、好ましくは3〜97質量%であり、より好ましくは15〜85質量%、更に好ましくは20〜80質量%である。この範囲にあれば、上記射出成形用樹脂組成物の金属製部材に対する接着性に優れ、バリ発生の不良現象が抑制される。尚、この含有量が3質量%未満では、バリが発生する傾向にあり、一方、97質量%を超えると、樹脂成形部と金属製部材との接着強度が低下する傾向にある。
上記成分[B]は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合及びアミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む熱可塑性結晶質重合体である。即ち、極性を有する重合体である。この熱可塑性結晶質重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エーテル結合を含む結晶質重合体としては、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、セルロース等が挙げられる。
チオエーテル結合を含む結晶質重合体としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリチオエーテルスルホン等が挙げられる。
エステル結合を含む結晶質重合体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチルテレフタレート、ポリネオペンチルテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチレンナフタレート等のポリエステル;液晶ポリエステル等が挙げられる。
アミド結合を含む結晶質重合体としては、ナイロン4、6、7、8、11、12、6.6、6.9、6.10、6.11、6.12、6T、6/6.6、6/12、6/6T、6T/6I等のポリアミド樹脂等が挙げられる。
上記成分[B]としては、エステル結合を含む結晶質重合体が好ましく、特に、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
尚、上記成分[B]としては、射出成形用に市販されている熱可塑性樹脂を好適に用いることができる。
上記射出成形用樹脂組成物において、成分[B]の含有量は、成分[A]及び[B]の合計を100質量%とした場合、97〜3質量%であり、好ましくは85〜15質量%、更に好ましくは80〜20質量%である。
上記射出成形用樹脂組成物は、上記の成分[A]及び[B]の混和性等を向上させるために、相溶化剤を含有してもよい。
相溶化剤は、成分[A]及び[B]の種類及び組み合わせにより、適宜、選択される。例えば、成分[B]がポリブチレンテレフタレートである場合には、下記の重合体等を用いることができ、エポキシ基等の官能基を有するビニル系化合物(上記ゴム強化共重合樹脂(A1)の形成に用いることができる官能基含有ビニル系化合物)を含む単量体を重合して得られた(共)重合体が好ましく用いられる。
(1)エチレン・酢酸ビニル共重合体
(2)エチレン・メタクリル酸グリシジル共重合体
(3)エチレン・メタクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体
(4)エチレン・メタクリル酸グリシジル・アクリル酸メチル共重合体
上記相溶化剤を用いる場合の含有量は、上記の成分[A]及び[B]の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部である。
上記射出成形用樹脂組成物は、目的、用途に応じて、更に、充填剤、難燃剤、帯電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、耐候(光)剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、摺動剤、着色剤、発泡剤、抗菌剤、結晶核剤等の添加剤を含有してもよい。
上記射出成形用樹脂組成物は、充填剤を含有することが好ましい。この充填剤を含有することにより、形成される樹脂成形部の線膨張係数と、金属製部材の線膨張係数との差を小さくすることができ、一体化した構造物(複合体)の耐久性を高めることができる。
充填剤としては、金属、合金、無機化合物、有機化合物、高分子化合物、無機・有機複合物等からなるものを、繊維状(ウィスカーを含む)、粉末状、塊状、中空状、板状等として、目的、用途等に応じて用いることができる。この充填剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記のうち、繊維状の充填剤が好ましい。
繊維状の充填剤としては、ガラス繊維;炭素繊維;カーボンナノチューブ;上記の金属からなる金属繊維;アルミナ繊維、チタン酸カルシウム繊維、窒化ケイ素繊維等のセラミックス繊維;アラミド繊維、フェノール樹脂繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維等が挙げられる。これらのうち、ガラス繊維が好ましい。
また、粉末状等の充填剤としては、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、極微細活性化炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミナ、硫酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、カオリン、カオリンクレー、焼成クレー、パイロフライトクレー、シラン処理クレー、セリサイト、タルク、微粉タルク、ウォラスナイト、ゼオライト、ゾーノトナイト、アスベスト、マイカ、胡粉、セピオライト、エレスタダイト、ハイドロタルサイト、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、二酸化チタン、錫コート酸化チタン、錫コートシリカ、ガラスバルン、シリカバルン、フライアシュバルン、シラスバルン、カーボン系バルン、ガラスビーズ等が挙げられる。
尚、上記充填剤は、公知のカップリング剤、表面処理剤、集束剤等で処理したものを用いることもできる。このカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
上記充填剤の配合量は、上記の成分[A]及び[B]の合計を100質量部とした場合、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは3〜45質量部である。この範囲にあれば、形成される樹脂成形部に十分な強度を付与することができ、形成直後の収縮を抑制することができる。
難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられる。
有機系難燃剤としては、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化架橋ポリスチレン樹脂、ブロム化ビスフェノールシアヌレート樹脂、ブロム化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー、ブロム化アルキルトリアジン化合物等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル及びこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素と窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系、モリブデン系、スズ酸亜鉛、グアニジン塩、シリコーン系、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記難燃剤の配合量は、上記の成分[A]及び[B]の合計を100質量部とした場合、通常、2〜30質量部、好ましくは5〜25質量部である。
尚、上記難燃剤を配合する場合には、難燃助剤を併用することが好ましい。難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記射出成形用樹脂組成物は、上記の成分[A]、[B]、相溶化剤、添加剤等を各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、連続ニーダー、ロール等に投入し、加熱下で溶融混練することにより得られ、押出機等でペレット等に成形され、第2工程において用いられる。
本発明により製造される複合体の例を図2〜図5に示す。
図2の複合体1は、図1の金型を用いて得られたものであり、平板状の金属製部材11と、この金属製部材11の表面に形成された樹脂成形部12a及び12bとを備える態様である。
図3の複合体1は、平板状の金属製部材11と、この金属製部材11の表面に形成された、棒状の樹脂成形部12a及び12bとを備える態様である。
図4の複合体1は、平板状の金属製部材11と、この金属製部材11の表面に形成された、U字状の樹脂成形部12とを備える態様である。
図5の複合体1は、階段状の凹部を有する金属製部材11と、この金属製部材11の表面に形成された、棒状の樹脂成形部12a及び12bとを備える態様である。
本発明により製造される複合体は、金属製部材と、樹脂成形部との接着性に優れるため、被着体同士の形状、接着面積等によらず、接着強度(後述の実施例に示した方法に準ずる)を、1,000N以上、好ましくは1,200〜1,500Nとすることができる。
本発明により形成された樹脂成形部は、ビス、ピン、ツメ、リブ、ボス等として機能させることができる。従って、本発明の製造方法により得られる複合体は、産業用制御機器、家庭用電化製品、携帯電話、携帯型電子情報端末等の通信機器、医療機器、車両用電子機器等の、構造用部品、外装用部品(筐体等)等として好適である。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、実施例中において部及び%は、特に断らない限り質量基準である。
1.射出成形用樹脂組成物の原料成分
組成物の調製に用いる原料成分を以下に示す。
1−1.ゴム強化樹脂
下記のゴム強化共重合樹脂A1と、共重合体A2とを、1:1の質量比で混合し、ゴム強化樹脂として用いた。
(1)ゴム強化共重合樹脂A1
以下の方法で得られた樹脂を用いた。
撹拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、窒素気流中、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(数平均粒子径;3,500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部及びアクリロニトリル5部を投入し、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部及びブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加え、更に攪拌した。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。
1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、tert−ドデシルメルカプタン0.05部及びクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加した。
1時間重合を継続した後、2、2’−メチレンービス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。反応生成物であるラテックスから、樹脂成分を硫酸水溶液により凝固、水洗した後、乾燥してゴム強化共重合樹脂A1を得た。このA1のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は、0.45dl/gであった。
(2)アクリロニトリル・スチレン共重合体A2
以下の方法で得られた共重合体を用いた。
内容積30リットルのリボン翼を備えたジャケット付き重合反応容器を2基連結し、窒素置換した後、1基目の反応容器にスチレン75部、アクリロニトリル25部及びトルエン20部を連続的に添加した。その後、分子量調節剤としてtert−ドデシルメルカプタン0.06部及びトルエン5部の溶液、並びに、重合開始剤として、1、1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)0.1部及びトルエン5部の溶液を連続的に供給し、1基目の反応容器における重合温度を110℃にコントロールし、平均滞留時間2.0時間として重合を行った。重合転化率は57%であった。
次いで、得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤、及び重合開始剤の供給量と同量を連続的に取り出し2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器の重合温度は、130℃で行い、重合転化率は75%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は、2軸3段ベント付き押出機を用いて、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、極限粘度[η]が0.62dl/gのアクリロニトリル・スチレン共重合体A2を得た。
1−2.熱可塑性結晶質重合体
ポリプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート「ジュラネックス2002」(商品名)を用いた。
1−3.充填剤
ガラス繊維として、旭ファイバーグラス社製「CS03MA51A」(商品名)を用いた。このガラス繊維は、アミノシラン系カップリング剤、エポキシ系収束剤(AS)により処理されたものである。外径13μm、3mmチョッパー。
1−4.難燃剤
大日本インキ化学社製エポキシ系臭素化難燃剤「プラザームEC−20」(商品名)を用いた。
2.複合体の製造及び評価
複合体の製造に用いる射出成形用樹脂組成物は、上記の原料成分を、表1の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機を用いて溶融混練(シリンダー設定温度220℃)し、ペレットとした。
実施例1〜4及び比較例1〜4
各射出成形用樹脂組成物を、図9に示す金型及びスクリュー(内径19mm)を備える電動式竪型射出成形機(型式「TH−20RE」、日精樹脂工業社製)により、幅1.2cm、長さ5cm及び厚さ0.2cmのJIS規格アルミニウム板(A1050)が配置された金型のキャビティ空間23に注入し、図10に示す評価用試験片(複合体)を製造した。接着面積は、幅1.2cm及び長さ1.07cmである。
金型内に配設した断熱層は、エポキシ硬化樹脂組成物からなり、厚さ2mmの平板である。また、上記アルミニウム板は、予め、特開平2−298284号に記載された方法で前処理(以下、「TNT処理」という。)を行い、表面にトリアジンチオール誘導体を含む皮膜を形成させたものを用いた。
尚、比較例3においては、金型温度を90℃として、また、比較例4においては、金型温度を90℃とし、且つ、上記アルミニウム板を予め90℃で60秒間予熱してから、それぞれ、評価用試験片を製造した。
評価用試験片(複合体)は、射出成形機における保圧(樹脂圧)を、100kg/cmとした場合、及び150kg/cmとした場合の両方について、表1に示す条件で製造した。
得られた評価用試験片(複合体)について、島津製作所社製精密万能試験機「オートグラフAG5000E」(商品名)を用いて、引張速度50cm/分で接着強度を測定し、下記評価基準で接着安定性を評価した。更に、アルミニウム板の表面で、接合された樹脂板の周辺部におけるバリの発生の有無を目視観察した。これらの結果を表1に併記した。
○ ; 破壊モードがすべて材料破壊であり、接着強度のばらつきが±50kg以内である。
△ ; 破壊モードがすべて材料破壊であるが、接着強度のばらつきが±50kg以上である。
× ; 破壊モードが材料破壊及び界面破壊の両方である。
Figure 2007062118
4.実施例の効果
表1より、以下のことが明らかである。
実施例1〜4は、金型温度が50℃と低く、また、金属製部材を予熱しなくても、断熱層を有することから、金属製部材の予熱が十分行われ、金属製部材に対して高い接着強度を有する樹脂成形部が接着形成されたことが分かる。
一方、比較例1及び2は、断熱層を有さない例であり、金型温度が低いため、金属製部材の予熱が十分でなく、接着強度及び接着安定性に劣る。比較例3は、金型温度を90℃とした例であるが、断熱層を有さないため、金属製部材の予熱が十分でなく、接着強度及び接着安定性に劣る。また、比較例4は、予め、金属製部材を90℃で60秒間予熱した例であり、断熱層がなくても、上記実施例1〜4相当の性能を有する複合体を得ることができたが、製造時間が90秒と長くなった。従って、生産性に劣る。
本発明の製造方法により得られる複合体は、産業用制御機器、家庭用電化製品、携帯電話、携帯型電子情報端末等の通信機器、医療機器、車両用電子機器等の、構造用部品、外装用部品等、各種形状の金属製部材の表面又は内面に、ビス、ピン、ツメ、リブ、ボス等の樹脂成形部を備える製品、部品等として好適である。
複合体を製造する際に用いる金型の一例を示す概略断面図である。 本発明により製造される複合体の一例を示す概略断面図である。 本発明により製造される複合体の他の例を示す概略断面図である。 本発明により製造される複合体の他の例を示す概略断面図である。 本発明により製造される複合体の他の例を示す概略断面図である。 コア型の一例を示す概略断面図である。 コア型の他の例を示す概略断面図である。 キャビティ型の一例を示す概略断面図である。 実施例において評価用試験片(複合体)の製造に用いた金型を示す概略断面図である。 実施例にて製造した評価用試験片(複合体)を示す概略斜視図である。
符号の説明
1;複合体、11;金属製部材、12,12a及び12b;樹脂成形部、21;コア型、211;可動用型、212,212a及び212b;断熱層、22;キャビティ型、22a;樹脂導入口付き固定型、22b;キャビティ付き固定型、23,23a及び23b;キャビティ空間、223;樹脂組成物の導入口、224a及び224b;キャビティ。

Claims (8)

  1. 内壁面の少なくとも一部に断熱層が配設された金型の、上記断熱層の表面に金属製部材を配置し、その後、溶融した樹脂組成物をキャビティ空間に注入して、上記金属製部材と、該金属製部材の表面に接合された樹脂成形部とを有する複合体を製造することを特徴とする複合体の製造方法。
  2. 内壁面の少なくとも一部に断熱層が配設されたコア型、及び、所定形状のキャビティを有するキャビティ型を備える金型を用いて、射出成形により、金属製部材と、該金属製部材の表面に接合された樹脂成形部とを有する複合体を製造する方法であって、
    上記金属製部材を、上記断熱層及び上記キャビティの間に配置し、型閉じする工程と、上記金属製部材と、上記キャビティ型との間に形成されたキャビティ空間に、溶融した樹脂組成物を注入して、上記金属製部材の表面に樹脂成形部を形成する工程と、を備えることを特徴とする複合体の製造方法。
  3. 上記断熱層が、エポキシ硬化樹脂組成物からなる請求項1又は2に記載の複合体の製造方法。
  4. 上記金属製部材の表面に、トリアジンチオール誘導体を含む皮膜が形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  5. 上記樹脂成形部の形成場所における上記金属製部材の最大厚さが、0.1〜2mmの範囲にある請求項1乃至4のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  6. 上記金属製部材が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる請求項1乃至5のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  7. 上記樹脂組成物が、[A]ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体化合物とを含むビニル系単量体(b)を重合して得られたゴム強化共重合樹脂(A1)、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A1)及びビニル系単量体の(共)重合体(A2)の混合物からなるゴム強化樹脂3〜97質量%と、[B]エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合及びアミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む熱可塑性結晶質重合体97〜3質量%と(但し、[A]+[B]=100質量%である。)を含有する請求項1乃至6のいずれかに記載の複合体の製造方法。
  8. 上記樹脂組成物は、更に、充填剤を含み、該充填剤の含有量が、上記ゴム強化樹脂[A]及び上記熱可塑性結晶質重合体[B]の合計を100質量部とした場合に、1〜50質量部である請求項7に記載の複合体の製造方法。
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