JP2007301972A - 金属と樹脂の複合体及びその製造方法 - Google Patents

金属と樹脂の複合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属と樹脂を強固に一体化接合するように改善された金属部品と樹脂組成物部品の複合体とその製造技術である。
【解決手段】マグネシウム合金部品を金型にインサートし、樹脂組成物を射出させ接合して複合体を得る。マグネシウム合金板1に、常法の化成処理やその変形法を使用することで金属酸化物、金属炭酸化物、又は金属リン酸化物の表層を形成した部品が使用できる。金属酸化物、金属炭酸化物、又は金属リン酸化物からなる表面層にナノレベルでの結晶状物の量が多いほど表面は硬くミクロの目で見てザラザラ面になり射出接合力に良く、これらは化成処理法で制御できる。一方の樹脂組成物部品は、PBT又はPPS主成分とする樹脂組成物4を使用する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品等に用いられる金属と樹脂組成物からなる金属と樹脂の複合体及びその製造方法に関する。更に詳しくは、各種機械加工で作られたマグネシウム合金製の基材と、熱可塑性樹脂組成物を一体化して積層した複合体及びその製造方法に関し、各種電子機器、電化製品、医療用機器、自動車、鉄道車両、航空機、車両搭載用品、建築資材等の構造用部品や外装用部品に用いられる金属と樹脂との複合体とその製造方法に関する。
金属と合成樹脂を一体化する技術は、自動車、家庭電化製品、産業機器等の部品製造業等の広い産業分野から求められており、このために多くの接着剤が開発されている。この中には非常に優れた接着剤が提案されている。例えば、常温、又は加熱により機能を発揮する接着剤は、金属と合成樹脂を一体化する接合に使用され、この方法は現在では一般的な接合技術である。
しかしながら、接着剤を使用しない、より合理的な接合方法も従来から研究されてきた。マグネシウム、アルミニウムやその合金である軽金属類、又、ステンレス等の鉄合金類に対し、接着剤の介在なしで高強度のエンジニアリング樹脂を一体化する方法がその一例である。例えば、本発明者等は、予め射出成形金型内にインサートしていた金属部品に、溶融樹脂を射出して樹脂部分を成形すると同時に、その成形品と金属部品とを固着(接合)する方法を提案した(以下、略称して「射出接合」という。)。
この発明は、アルミニウム合金に対しポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、「PBT」という。)、又はポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、「PPS」という。)を射出接合させる製造技術を提案している(例えば、特許文献1参照。)。又、他にアルミニウム材の陽極酸化皮膜に大きめの穴を設け、この穴に合成樹脂体を食い込ませ接着させる接合技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献1の提案におけるこの射出接合の原理は、以下に示すようになっている。アルミニウム合金を水溶性アミン系化合物の希薄水溶液に浸漬させ、アルミニウム合金を水溶液の弱い塩基性によって微細にエッチングさせるものである。又、この浸漬では、アルミニウム合金表面へのアミン系化合物分子の吸着が同時に起こることが分かった。この処理がなされたアルミニウム合金を射出成形金型にインサートし、溶融した熱可塑性樹脂を高圧で射出させる。
このとき、熱可塑性樹脂と、アルミニウム合金表面に吸着していたアミン系化合物分子が遭遇することで発熱する。この発熱とほぼ同時に、この熱可塑性樹脂は低温の金型温度に保たれたアルミニウム合金に接して急冷され、このために結晶化しつつ固化せんとする樹脂は、固化が遅れて超微細なアルミニウム合金面上の凹部にも潜り込むことになる。このことにより、アルミニウム合金と熱可塑性樹脂は樹脂がアルミニウム合金表面から剥がれることなく強固に接合(固着)する。即ち、発熱反応が生じると強固な射出接合ができる。実際、アミン系化合物と発熱反応できるPBTやPPSがこのアルミニウム合金と射出接合ができることを確認している。
特開2004−216425号 WO2004/055248 A1号
本発明者らは、前記した発明を更に有効にすべく射出接合に適した樹脂組成物を模索して開発を行った。即ち、金属表面に微細凹部を無数に設けて接着させる技術をさらに発展させその開発を行った。その結果、アルミニウム合金と線膨張率を合わせただけの単純なPBTやPPS系組成物のみが最適ということではなく、この射出接合には双方の樹脂の結晶性に関する物質特性が更に大きく関係していることが判明してきた。その一方で、本発明者らは、射出接合される金属の表面層にも着目した。結果としてPBTやPPSの結晶性の特徴が理解出来たので、既に解明している超微細エッチング加工されたアルミニウム合金以外にも射出成形で接合できる場合があり得るとの推論に至った。以下、この推論を詳細に説明する。
金属形状物に熱可塑性樹脂を射出接合できるとして、その条件に大きくは二つあると考えられる。一つはマイクロメートルレベルの凹凸形状を有する金属表面層であり、更にこの凹凸を為す面自体が硬い面であり、且つ電子顕微鏡レベルで(ナノレベルの超微細さで)凹凸形状があることである。マイクロメートルレベルの大きな凹部径であればアミン系分子の吸着がなくともPBT、又はPPSは侵入可能なのである。二つ目は、樹脂が結晶性樹脂であり、結晶化率が高く樹脂の結晶部が硬くて機械的強度があり、且つ樹脂の固着に適当な大きさであること、即ち、具体的にはPBTやPPSである。この二条件がある中での射出成形では、溶融樹脂が樹脂の融点から約百℃程度の低温の金型やインサート金属に接し急冷される場合に、その樹脂の結晶化固化が金属表面凹部の中にて起こる得るのである。そうなれば樹脂と金属の間に強い接合(固着)が生じることになる。
更に射出接合に好ましい条件(三つ目の条件)として、前述した樹脂組成物が改良されていると更に射出接合が強いものになることが言える。即ち、結晶性を有する樹脂組成物は、急冷時に結晶化して固化するが、この固化速度が遅くなるようにする樹脂組成の改良である。要するに、急冷され樹脂融点より低温にされたとしても、直ちにその樹脂から種結晶が生じ、且つ成長して固化するものではない。ある微小時間は過冷却状態となって溶融状を保持するものである。この樹脂に何らかの異物樹脂を混入させることでその過冷却時間を遅らすことができると推定したのである。
種結晶、即ち、樹脂結晶としての最小の大きさは、おそらく10nm程度かそれ以上であり、種結晶が出来て成長が始まってしまった後から20〜80nm径の超微細凹部入口にたどり着いても、奥まで侵入するのは容易なことではない、と推定される。しかし急冷時に直ちに種結晶が出来ず、且つその後の結晶成長がやや遅い性質の樹脂組成物であれば、凹部直径が数百nmもあれば樹脂は凹部に入り得るのである。又、この凹部内の表面がザラザラしておれば凹部内でしっかり結晶化固化した樹脂組成物は抜け難く、この場合はさらに強固な接合を生じることができると考えられた。
マグネシウム合金はアルミニウム合金よりも更に軽量であり、これがマグネシウム合金の最大の特徴だが、一方でアルミニウム合金より一段と化学的に活性である。マグネシウム合金でも研磨等でむき出しの金属面とした直後には、自然酸化層が生じて多少の安定度は与えてくれる。しかしながら、この自然酸化層の安定度や丈夫さはアルミニウム合金の酸化皮膜層より遥かに劣る。例えば、アルミニウム合金では自然酸化層の上に防錆剤の油膜や塗装塗膜が存在すれば、結露がないような室内放置では十年以上の安定が保たれるが、マグネシウム合金では1年もしない内に脹れや錆が生じる。油膜や塗膜を通して拡散して来た水分子が、自然酸化層も通過してマグネシウムを酸化するのである。要するにマグネシウム合金を実際に使用するにおいては自然酸化層膜に代わる丈夫な皮膜で覆うことが必須である。
具体的には化成処理、又は電解酸化の何れかの手法でマグネシウム合金を処理することだが、現行では化成処理が一般的である。本発明者らは、実用的な観点から、化成処理をしたマグネシウム合金に対しても樹脂を射出接合できる技術を確立しようとした。幸い、化成処理したマグネシウム合金の表面は、金属本体である基材よりずっと硬い金属酸化物、金属炭酸化物、又は金属リン酸化物で覆われる。これは前述した射出接合で求められる二条件の内の金属側に求められる一つ、即ち、表面が硬い物質の凹凸で覆われていることに一致する。
本発明は、前述の理論的な推論のもとになされたものであり、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、マグネシウム合金に対して、PBT、又はPPSを主成分とする樹脂層が強力に接合が可能になるようにした金属と樹脂の複合体及びその製造方法を提供する。
本発明の他の目的は、表層を化成処理して耐食性に優れているマグネシウム金属からなる基材と、PBT、又はPPSを主成分とする樹脂組成物とが一体になった金属と樹脂の複合体及びその製造方法を提供する。
本発明の更に他の目的は、PBT、又はPPSを主成分とする熱可塑性樹脂組成物を射出成形により成形することにより、量産性、生産性が高い金属と樹脂の複合体及びその製造方法を提供する。
前記目的を達成するために本発明は次の手段をとる。
本発明の金属と樹脂の複合体の要旨は、マグネシウム合金からなる基材と、クロム、マンガン、バナジウム、カルシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、チタン、及びアルカリ金属炭酸塩から選択される1種以上を水溶液とし、この水溶液を使用して化成処理をすることで得られる金属酸化物、金属炭酸化物、及び金属リン酸化物の何れか1種が、前記マグネシウム合金の表面に形成された表層と、前記表層の凹部に射出成形により侵入して固化して固着され、かつ結晶性を有する熱可塑性樹脂であるポリブチレンテレフタレート樹脂、又はポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分とする樹脂層とからなる。
本発明の金属と樹脂の複合体の製造方法の要旨は、マグネシウム合金からなる鋳造物又は中間材から機械加工で形状化して形状部品とする形状化工程と、前記形状部品の表層に金属酸化物、金属炭酸化物、及び金属リン酸化物から選択される1種を形成する化成理工程と、前記液処理工程がなされた前記形状部品を射出成形金型にインサートして、ポリブチレンテレフタレート、又はポリフェニレンサルファイドを主成分とする溶融された樹脂組成物を射出する射出工程と、前記金属酸化物、又は前記金属リン酸化物の凹部に前記射出成形により侵入して固化して、前記形状部品と前記樹脂組成物とを一体に固着する固着工程とからなる。
以下、本発明を構成する各要素について、具体的に詳細に説明する。
〔基材〕
本発明でいう基材とは、複合体を構成する金属部分を意味する。この基材は、日本工業規格(JIS)で規定されているAZ31系等の展伸用合金、AZ91系等の鋳造用合金を含む市販、又は公知の全てのマグネシウム合金である。このマグネシウム合金は、鋳造用合金であれば、ダイカスト、チクソモールド、射出成形等の成形手段で所望の形に形状化した半製品、又それを更に所望の形状に機械加工して得られた機械部品等が使用できる。又、展伸用合金では、市販品である板材、棒材、角材、管材等、又それらをプレス加工、切削、研削等の機械加工を加えて形状化した部品が基材として使用できる。
[基材の表層(金属酸化物、金属炭酸化物、又は金属リン酸化物)]
本発明でいう表層とは、マグネシウム合金からなる基材の表面に形成された金属酸化物、金属炭酸化物、又は金属リン酸化物をいう。この表層を構成するものは、基材の素地より硬度があり、かつ機械的な強度が高いものが好ましい。通常、マグネシウム合金の表面は、イオン化傾向が高く空気中の湿気からでも腐食酸化し易いので表面処理が必要とされる。このためにマグネシウム又はマグネシウム合金は、異種金属の塩や酸の水溶液に浸漬することで、その表面に異種金属を含む金属酸化物、金属炭酸化物、金属リン酸化物等の安定層を形成させ、その層の存在によって内部金属の防食を行うという措置が一般に採用されている。
本発明の基材表面には水溶液浸漬処理による金属リン酸塩、金属炭酸塩、又は金属酸化物の層が形成されている。これは、イオン化傾向が高く空気中の湿気等からでも腐食酸化し易いマグネシウム合金を、異種金属の塩や酸の水溶液に浸漬することで表面に異種金属及び/又はマグネシウムの酸化物、炭酸化物、又はリン酸化物の安定層を形成させ、その層の存在によって内部金属の防食を行うというものである。金属の表面処理業界ではこのような浸漬処理を化成処理と呼んでいる。
その化成処理の前処理として行う脱脂や化学エッチングも含めて化成処理と言うことも多い。本発明では両者を混同することがないよう、「化成処理」は耐食層を作るための狭い意味での処理を意味することとし、この化成処理の前処理として行う脱脂やエッチング等の処理は「前処理」と称し、更に、前処理と化成処理の双方を含む全体を「液処理」と称する。
クロム系以外の化成処理はノンクロメート処理と呼ばれ、本発明者等が知る限りでは最近ではマンガン系の処理が主に使われている(例えば、日本国、特開平7−126858号、特開2001−123274号参照)。この他に、アルミニウム、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン等の複合酸化物から成る層を防食層として、表面に形成する方法もノンクロメート処理として知られている(例えば、日本国、特開2000−199077号参照)。歴史的には、クロム化合物を使用するクロメート処理法が耐食性に優れた処理法として長く使用されてきた。
しかしながら、クロメート処理用のクロム酸水溶液を用いるので、これが環境上で問題ある6価クロムを含むことから問題があり、昨今、クロムを使用しない化成処理法が求められていた。そこで、前述したマンガンやその他の金属を使用した方法が開発された。最近では、マンガン化合物を使った方法がクロメート処理に代替し得る方法と見られているようである。本発明で用いる基材は、これらの何れの方法で表面処理されたものであっても使用できる。
本発明者らの研究結果によれば、より好ましい要件は、(1)防食性が十分あること、(2)化成処理で得られた表面層に凹凸があり、且つ電子顕微鏡で見て表面に多くの結晶状物が認められることである。本発明では、要件(1)及び要件(2)の双方の要件が必要であるが、本発明では特に要件(2)に注目し検討した。マグネシウム又はマグネシウム合金が金属酸化物、金属炭酸化物、又は金属リン酸化物の硬く丈夫な表層を有することが好ましいからである。これは射出された結晶性を有する熱可塑性樹脂が、前述した硬く丈夫な凹凸のある表層に食い込んで結晶化して固化することが強い接合力を生むことから来ている。
化成処理で得られた硬く丈夫な表面層が、ミクロンメータレベルの大きな凹凸形状を有しており(別の表現で言えば「ミクロンレベルの粗度がある。」)、且つその凹部面にナノレベルの凹凸形状がある表面形状であれば、樹脂が金属の表面で捉えられることになり、即ち、樹脂が金属表面層の凹凸に引っかかることになりアンカー効果を生むのに好ましい。具体的には、電子顕微鏡での観察が必要であるが、1μm当りに板状結晶が2個以上認められる場合や、針状や棒状結晶が表面を広く覆っているか、又は針状や棒状結晶を外皮とする塊状物が連結して基材表面を覆っている場合が好ましい。また、電子顕微鏡観察で、約直径10nm、長さ100nm程度の円形柱が多数形成されているものであっても良い。ただし、この円形柱は、結晶物とは限らない。
この1μm当りに板状結晶が約2個以上認められる場合、板状結晶が凹凸部の壁の役割を為し、これが機械的に強固な固着手段となって固着力を高くするのに有効である。一方、針状や棒状結晶が表面を30%以上覆っていると、自然と頑丈な凹凸形状からなる固着手段を為し、且つこれが樹脂との引っかかりを良くして射出接合力を高くするのにより有効である。以下、各工程の具体的な実施方法とその考え方について述べる。
〔マグネシウム又はマグネシウム合金の表面処理/前処理〕
本発明でいう前処理とは、マグネシウム合金からなる基材の表面に金属酸化物、金属炭酸化物、又は金属リン酸化物からなる表層を形成するための前処理である。マグネシウム又はマグネシウム合金からなる基材は、まず脱脂槽に浸漬して機械加工で付着した油剤、切屑等の異物を除くのが好ましい。具体的には、市販のマグネシウム用脱脂材を、その薬剤メーカーの指定通りの濃度でマグネシウム用脱脂材を温水に溶かし、これにマグネシウム合金を浸漬し、更にこの後これを清浄水で水洗するのが好ましい。通常の市販品では、濃度5〜10%として液温を50〜80℃とし5〜10分浸漬する。次いで、酸性水溶液に浸漬してエッチングし、マグネシウム合金部品の表層を溶かして汚れと残存した油剤や界面活性剤の残分を除く。使用液は、PH2.0〜5.0の有機カルボン酸が良く、例えば酢酸、プロピオン酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸等の弱酸性水溶液が使用できる。
マグネシウム純度が100%に近い高純度マグネシウム以外は、マグネシウム合金に異種金属が含まれている。例えば、AZ31系、AZ91系ではアルミニウムが3〜9%、亜鉛が1%程度含まれており、アルミニウムや亜鉛は弱酸性水溶液を使ったこのエッチング工程では溶け難く不溶物として表面に沈着するから、これら沈着物を溶かして除去して清浄にする工程が必要である。
これは、いわゆるスマット除去と呼ばれている工程である。前述したAZ31B、AZ91D等では、まず弱塩基性水溶液に浸漬してアルミニウムのスマットを溶解し(第一スマット処理)、次に強塩基性水溶液に浸漬して亜鉛のスマットを溶かし去る(第二スマット処理)のが普通である。前述した第一スマット処理では市販のアルミニウム合金用の脱脂材水溶液が弱塩基性にて使用でき、本発明者等は、そのような市販されているアルミ用脱脂剤を5〜10%濃度で60〜80℃の水溶液として数分間浸漬する方法を取った。又、第二スマット処理としては、15〜25%濃度の苛性ソーダ水溶液を70〜80℃として、5〜10分間浸漬する方法を取った。
〔マグネシウム又はマグネシウム合金の表面処理/化成処理〕
本発明でいう化成処理とは、マグネシウム合金からなる基材の表面に金属酸化物、金属炭酸化物、又は金属リン酸化物からなる表層を形成するためのものである。前述した前処理が完了したら、次に液処理の中で本処理と言える化成処理を行う。化成処理は通常2段階の浸漬処理、即ちまず、弱酸性水溶液に極短時間浸漬して微細エッチングを行い、次いで従来技術である各種マグネシウム合金用の化成処理法を改善して実施することである。微細エッチング工程には、PH2.0〜6.0の有機カルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、フェノール、フェノール誘導体、等の弱酸性水溶液が使用でき、浸漬時間も15〜40秒と極短時間が好ましい。
又、本発明に用いる化成処理工程は従来知られている化成処理と基本的には同じ工程である。即ち、この化成処理方法は特許も多数なされ公開され公知技術であり、その詳細については省略する。この化成処理は、例えばクロム、マンガン、バナジウム、カルシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、チタン化合物、及びアルカリ金属炭酸塩から選択される1種以上の金属を含んだ水溶液、水性懸濁液に浸漬することにより、表層に金属酸化物、金属炭酸化物、又は金属リン酸化物を形成させて、マグネシウム合金の耐食性を向上させるものも提案されている。一方、実際に商業化されている化成処理は、本発明者等が知る限りにおいて、クロム酸系の水溶液に浸漬して酸化クロム、又はマグネシウムを含むクロム酸化物で表面を覆うクロメート法、又はリン酸マンガン系水溶液に浸漬してマンガンのリン酸化物で覆う方法の2種類のようである。
現在、6価クロムの使用は人体への影響から敬遠されており、前述した表面処理では後者が主流になってノンクロメート法として呼ばれているものに変わりつつある状況である。本発明者等にとって化成処理の目的は、耐食性を与えるだけでなく、射出接合されたとき材料力学的に機械強度が高い表面を形成することにある。本発明者等の検討結果によると、前述した特許出願されているタイプの化成処理や、実用化されているクロメート、ノンクロメート処理法の何れに於いても十分な耐食性が得られ、且つそこそこの強度の射出接合物が得られた。ただその中でも、特に射出接合結果の良かった物でその金属表面を電子顕微鏡で見ると、明確な微結晶が観察されたり綺麗なナノレベルの繰り返し構造が観察された。そして電子顕微鏡で見て結晶や綺麗な繰り返し構造が多く観察された物を調整するには微細エッチング工程を経たものが好ましい。
最も好ましいものの一つと思われた化成処理工程の具体例を示す。前処理を終わったマグネシウム合金部品を、再度、40℃前後とした0.1〜0.5%濃度の水和クエン酸水溶液に、15〜60秒間浸漬し微細エッチングし、この後イオン交換水で水洗する。次に化成処理液として、過マンガン酸カリ1〜5%、酢酸0.5〜2%、水和酢酸ナトリウム0.1〜1.0%を、含む水溶液を40〜60℃として用意し、これに前記マグネシウム合金部品を0.5〜2分間浸漬し水洗し、60〜90℃とした温風乾燥機に5〜20分間入れて乾燥する。酸化マンガンの薄層で覆われた茶褐色のマグネシウム合金部品が得られる。
一方、耐食性として最も優れていると一般に認められるクロメート処理法で本発明を実施するに好ましい方法の一例を示す。前記前処理を終わったマグネシウム合金の基材を、再度、40℃前後とした0.1〜0.5%濃度の水和クエン酸水溶液に、15〜60秒間浸漬し微細エッチングし、この後イオン交換水で水洗する。次いで化成処理液として、無水クロム酸(三酸化クロム)の15〜20%濃度の水溶液を60〜80℃として用意し、これに微細エッチングしたマグネシウム部品を2〜4分間浸漬し水洗する。これを60〜90℃とした温風乾燥機に5〜20分入れて乾燥する。表層がクロメート処理され表面が灰色のマグネシウム合金の基材が得られる。
〔樹脂層〕
本発明を構成する樹脂層は、結晶性を有する熱可塑性樹脂であるPBT、又はPPSを主成分とする樹脂である。ポリアミドも高度の結晶性樹脂であり本発明で使用できない樹脂ではないが、機械的強度が若干弱く且つ吸水性があるので長期間固着力を保てるかという観点で、現段階では信頼性におい充分でがなく本発明では使用しない。しかしながら、その用途によっては使用も可能である。なお、本発明でいう樹脂層とは、射出成形によって形成される部分であり、層の文字で示したが薄いものを指しているものではない、厚みを持ったものであり形状物である。
本発明の樹脂層には、機械的な各種特性を改善するためにPBT又はPPS以外のポリマー、ガラス繊維、炭素繊維等の充填剤、改質剤等を常法により必要に応じて混入させるのがよい。PBTの基本樹脂としては射出成形用に合成した各種のPBTが使用できる。一方、PPSの基本樹脂としては、直鎖状のものであっても、分岐構造を導入したものであっても、不活性ガス中で加熱処理を施したものであっても良いが、好ましくは分岐構造を導入したものや不活性ガス中で加熱処理を施したものが良い。
〔樹脂層(PPSとポリオリフィンの組成物)
本発明の樹脂層として主にPBT、又はPPSを用いるが、PPSの場合には特にポリオレフィン系樹脂を適量加えると固着強度がより強くなる。この推定される理由は、急冷時の結晶化速度がポリオレフィン系樹脂の適量の添加で遅くなるためと推定される。その結果、樹脂が化成処理面が成す凹部内に充分に侵入した後に結晶化固化し、固化前の溶融樹脂流れが凹部表面上のナノレベルのデコボコにもある程度対応する結果、滑り止め、抜け止めにもなって、固着強度が上がるものと理解される。
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂を加えたPPSからなる樹脂組成物は、PPS70〜97重量%、及びポリオレフィン系樹脂3〜30重量%を含む樹脂分組成物からなるのが好ましい。より好ましくは、固着性に優れた複合体とするにはPPS80〜97重量%、及びポリオレフィン系樹脂3〜20重量%を含む樹脂分組成とすることが良い。ここで、PPSが65重量%未満である場合、又は、97重量%を越える場合、得られる複合体は基材と樹脂層との固着力に劣るものとなる。
PPSとしては、PPSと称される範疇に属するものであればよく、その中でも樹脂組成物とする際の成形加工性に優れることから、溶融粘度が100〜30,000ポイズであるものが好ましい。この溶融粘度の測定は、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下、測定した値である。また、PPSはアミノ基やカルボキシル基等で置換したものや、重合時にトリクロロベンゼン等で共重合したものであってもよい。
また、PPSとしては、直鎖状のものであっても、分岐構造を導入したものであっても、不活性ガス中で加熱処理を施したものであっても使用できる。更に、このPPSは、加熱硬化前又は後に脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄等)、或いはアセトン等の有機溶媒による洗浄処理を行うことによって、イオン、オリゴマー等の不純物を低減させたものであってもよいし、重合反応終了後に酸化性ガス中で加熱処理を行って硬化を進めたものであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、通常知られているエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂等であり、市販されているものであってもよい。その中でも、特に接着性に優れた複合体を得るという観点から、無水マレイン酸変性エチレン系共重合体、グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体、グリシジルエーテル変性エチレン共重合体、エチレンアルキルアクリレート共重合体等であることが好ましい。
この無水マレイン酸変性エチレン系共重合体としては、例えば無水マレイン酸グラフト変性エチレン重合体、無水マレイン酸−エチレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体等をあげることができる。これらの中でも特に優れた複合体が得られる観点から、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体であることが好ましく、このエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体の具体的例示としては、「ボンダイン(製品名)」(日本国京都府京都市、アルケマ社製)」等が挙げられる。
このグリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体としては、グリシジルメタクリレートグラフト変性エチレン重合体、グリシジルメタクリレート−エチレン共重合体を挙げることができ、その中でも特に優れた複合体が得られることからグリシジルメタクリレート−エチレン共重合体であることが好ましく、このグリシジルメタクリレート−エチレン共重合体の具体例としては、「ボンドファースト(製品名)」(日本国東京都中央区、住友化学社製)」等が挙げられる。
このグリシジルエーテル変性エチレン共重合体としては、例えばグリシジルエーテルグラフト変性エチレン共重合体、グリシジルエーテル−エチレン共重合体を挙げることができ、該エチレンアルキルアクリレート共重合体の具体例としては、「ロトリル(製品名)」(日本国京都府京都市、アルケマ社製)」等が挙げられる。本発明の複合体においては基材と樹脂層との接合性がより優れたものとなることから、樹脂組成物はPPS70〜97重量%及びポリオレフィン系樹脂3〜30重量%を含む樹脂分の合計100重量部に対し、さらに多官能性イソシアネート化合物0.1〜6重量部、及び/又はエポキシ樹脂1〜25重量部を配合してなるものが好ましい。
この多官能性イソシアネート化合物は、市販の非ブロック型、ブロック型のものが使用できる。該多官能性非ブロック型イソシアネート化合物としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートフェニル)スルホン等が例示される。また、該多官能性ブロック型イソシアネート化合物としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有し、そのイソシアネート基を揮発性の活性水素化合物と反応させて、常温では不活性としたものであり、該多官能性ブロック型イソシアネート化合物の種類は特に規定したものではなく、一般的には、アルコール類、フェノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン化合物類等のブロック剤によりイソシアネート基がマスクされた構造を有する。該多官能性ブロック型イソシアネートとしては、例えば「タケネート(製品名)」(日本国東京都、三井化学ポリウレタン社製)」等が挙げられる。
このエポキシ樹脂としては、一般にビスフェノールA型、クレゾールノボラック型等として知られているエポキシ樹脂を用いることができ、該ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば「エピコート(製品名)」(日本国東京都、ジャパンエポキシレジン社製)」等が挙げられ、該クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、「エピクロン(製品名)」(日本国東京都、大日本インキ化学工業社製」等が挙げられる。
〔樹脂層(PBTとPETの混合した組成物)]
本発明の樹脂層の樹脂分は、PBT及びポリエチレンテレフタレート(PET)を混合した組成物であっても良い。PBT65〜100重量%、及びPET0〜35重量%の混合割合が適当である。
[充填剤]
本発明の樹脂層に使用する樹脂は、結晶性を有する熱可塑性樹脂であるポリブチレンテレフタレート樹脂、又はポリフェニレンサルファイド樹脂を主ポマーとして用いるが、これに機械的特性の改善等の理由から、これらのポリマーに充填剤を混合しても良い。この充填剤の混合割合は、ポリフェニレンサルファイド樹脂とポリオレフィン系樹脂の合計樹脂分100重量部、又はポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂の合計樹脂100重量部に対して、充填剤1〜200重量部を配合してなるものが良い。この充填剤としては繊維状充填剤、粒状充填剤、板状充填剤等の充填剤を挙げることができる。この繊維状充填剤としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられ、ガラス繊維の具体的例示としては、平均繊維径が6〜14μmのチョップドストランド等が挙げられる。また、該板状、粒状充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、マイカ、ガラスフレーク、ガラスバルーン、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、炭素繊維やアラミド繊維の粉砕物等が挙げられる。該充填剤は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤で処理したものあることが好ましい。
〔複合体の製造方法〕
本発明の複合体の製造方法としては、マグネシウム合金からなる基材を射出成形金型にインサートし金型を閉め樹脂を射出する方法、即ち射出接合法により製造することが好ましく、以下に好ましい製造例を述べる。射出成形金型を用意し、この金型を開いてその一方に前述のような処理等により得られた化成処理済みのマグネシウム合金からなる基材をインサートし、金型を閉じ、PBT又はPPSを含む樹脂分組成の熱可塑性樹脂組成物を射出し、固化した後に金型を開き離型することにより、複合体の製造を行う。
次に射出条件について説明する。金型温度としては特に樹脂の固化後に樹脂強度への影響が少なく、複合体の生産効率に優れることから100℃以上が好ましく、より好ましくは120℃以上である。一方、射出温度、射出圧、射出速度は、通常の射出成形条件と変わることはないが、強いて言えば射出速度と射出圧は高目がよい。
以上詳記したように、本発明の複合体は、樹脂組成物部品とマグネシウム合金からなる基材とが容易に剥がれることなく一体化できた。又、この複合体は、この基材の表層に金属酸化物、金属炭酸化物、又は金属リン酸化物を形成されているので、耐食性にも優れている。更に、PBT又はPPSを主成分とする熱可塑性樹脂組成物を射出成形により成形することにより、量産性、生産性が高いマグネシウム合金からなる基材と樹脂層からなる複合体を作ることができた。
以下、本発明の実施の形態を実施例によって説明する。図1、図2は各実施例の共通の図として使用される。図1は、可動側型板、固定側型板等からなる射出成形金型を模式的に示した金型構造図である。図2は、この射出成形金型により基材1と樹脂組成物4が一体に固着された複合体7の外観である。
所定形状に加工されたマグネシウム合金板1を可動側型板2、固定側型板3の間にインサートし、溶融した樹脂組成物4をノズルから射出し、ピンゲート5を介してそのキャビティに注入する。マグネシウム合金板1の表面に形成された微細凹部を有する接合面6に、樹脂組成物4が固着され、両者は一体化された複合体7を製造する。以下の各実施例は、各実施例で製造される複合体7の固着強度を計測するために、マグネシウム合金板1と樹脂組成物4を互いに引っ張り、その接合面6にせん断応力を負荷し、その破断強度を測定することにより、その固着力を確認したものである。
以下、本発明の実施例を詳記する。前提として、後述する実施例より得られた複合体の評価・測定に用いた、評価・測定方法、及び測定機材を以下に示す。
[評価・測定方法、及び測定機材]
(a)樹脂の溶融粘度測定
樹脂の溶融粘度を測定するために、熱可塑性、熱硬化性の各種プラスチックの溶融粘性、流動性能を測定するものとして知られている高化式フローテスターを用いた。直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター「CFT−500(製品名)」(日本国京都府、島津製作所社製)で、測定温度315℃、荷重0.98Mpa(10kgf)の条件下で溶融粘度の測定を行った。
(b)X線光電子分析装置(XPS観察)
表面観察方法の一つに、試料にX線を照射することによって試料から放出してくる光電子のエネルギーを分析し、 元素の定性分析等を行う光電子分析装置(XPS観察)により行った。この光電子分析装置は、数μm径の表面を深さ数nmまでの範囲で観察する形式の「AXIS−Nova(製品名)」(英国、クレイトス アナリティカル社/島津製作所社製)を使用した。
(c)電子顕微鏡観察
主に基材表面の観察のために電子顕微鏡を用いた。この電子顕微鏡は、走査型(SEM)の電子顕微鏡「S−4800(製品名)」(日本国東京都、日立製作所社製)」及び「JSM−6700F(製品名)」(日本国東京都、日本電子社製)を使用し、1〜2KVにて観察した。
(d)走査型プローブ顕微鏡観察
更に、主に基材表面の観察のために上記顕微鏡を用いた。この顕微鏡は、先端を尖らせた探針を用いて、物質の表面をなぞるように動かして表面状態を 拡大観察する走査型プローブ顕微鏡である。この走査型プローブ顕微鏡として、「SPM−9600(製品名)」(日本国京都府、島津製作所社製)」を使用した。
(e)複合体の接合強度の測定
引張り応力は、引張り試験機で複合体7を引っ張ってせん断力を負荷して、破断するときの破断力をせん断応力とした。この引張り試験機は、「モデル1323(製品名)」(日本国東京都、アイコーエンジニヤリング社製)」を使用し、引っ張り速度10mm/分でせん断力を測定した。
(f)塩水噴霧試験
本発明の複合体の耐食性を試験するめたに塩水噴霧試験を行った。この試験のために、塩水を噴霧して材料の耐食性、劣化等を試験する材料試験器の一種である塩水噴霧試験機「SPT−90(日本国東京都、スガ試験機社製)」を用いた。
[PPS組成物の調製例1]
このPPS調整例1は、PPSとポリオレフィン系樹脂の混合した調整例を示すものである。攪拌機を装備する50リットル容量を有するオートクレーブに、NaS・2.9HOを6,214g、及びN−メチル−2−ピロリドンを17,000g仕込み、窒素気流下で攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7160gとN−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。
重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が280ポイズのPPS(以下、PPS(1)と記す。)を得た。このPPS(1)を、さらに窒素雰囲気下250℃で3時間硬化を行いPPS(以下、PPS(2)と記す。)を得た。得られたPPS(2)の溶融粘度は、400ポイズであった。
得られたPPS(2)を6.0kgと、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体1.5kg「ボンダインTX8030(製品名)」(日本国京都府京都市、アルケマ社製)」、エポキシ樹脂「エピコート1004(製品名)」(日本国東京都、ジャパンエポキシレジン社製)」0.5kgをあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、二軸押出機「TEM−35B(製品名)」(日本国静岡県、東芝機械社製)」にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03−TP91(製品名)」(日本国東京都、日本板硝子社製)」を、サイドフィーダーから添加量が20重量%となるように供給しながら、シリンダー温度300℃で溶融混練してペレット化したPPS組成物(1)を得た。このPPS組成物(1)はポリオレフィン系樹脂が樹脂分合計の20%を占める樹脂組成であり、且つエポキシ樹脂分が樹脂分合計を100部として7部を占めるものである。得られたPPS組成物(1)を175℃で5時間乾燥した。
[PPS組成物の調製例2]
PPS組成物の調整例1で得られたPPS組成物(1)を、酸素雰囲気下250℃で3時間硬化を行いPPS(以下、PPS(3)と記す。)を得た。得られたPPS(3)の溶融粘度は、1800ポイズであった。得られたPPS(3)5.98kgとポリエチレン0.02kg「ニポロンハード8300A(製品名)」(日本国東京都、東ソー社製)をあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、前述の二軸押出機「TEM−35B」(前出)にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03−TP91」をサイドフィーダーから添加量が40重量%となるように供給しながら、シリンダー温度300℃で溶融混練してペレット化したPPS組成物(2)を得た。この組成物はポリオレフィン系樹脂が樹脂分合計の0.3%を占める樹脂組成である。得られたPPS組成物(2)を175℃で5時間乾燥した。
[PPS組成物の調製例3]
PPS組成物の調整例1で得られたPPS(2)を7.2kgと、グリシジルメタクリレート−エチレン共重合体0.8kg「ボンドファーストE(住友化学社製)」をあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、二軸押出機「TEM−35B」(前出)にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03−TP91」をサイドフィーダーから添加量が20重量%となるように供給しながら、シリンダー温度300℃で溶融混練してペレット化したPPS組成物(3)を得た。この組成物はポリオレフィン系樹脂が樹脂分合計の10%を占める樹脂組成である。得られたPPS組成物(3)を175℃で5時間乾燥した。
[PPS組成物の調製例4]
PPS組成物の調整例1で得られたPPS(2)4.0kgとエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体4.0kg「ボンダインTX8030(製品名)」(日本国京都府京都市、アルケマ社製)」をあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、二軸押出機「TEM−35B」(前出)にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03−TP91」をサイドフィーダーから添加量が20重量%となるように供給しながら、シリンダー温度300℃で溶融混練してペレット化したPPS組成物(4)を得た。この組成物はポリオレフィン系樹脂が樹脂分合計の50%を占める樹脂組成である。得られたPPS組成物(4)を175℃で5時間乾燥した。
[PBT組成物の調製例5]
市販のPBT樹脂「トレコン1101G45(日本国東京都、東レ社製)」とPET樹脂を二軸押出機「TEM−35B」(前出)を使用して、PBT47%、ガラス繊維38%を含むPBT組成物(1)を得た。このPBT組成物(1)は、PETが樹脂分合計の24%を占める樹脂組成物である。得られた組成物は、130℃で5時間乾燥した。
[実施例1]
最終表面加工が湿式のバフ掛けであり、その表面の金属結晶粒径の平均が7μmである0.8mm厚のAZ31Bマグネシウム合金(日本国東京都、日本金属工業社製)を用いた。このマグネシウム合金板を、18mm×45mm(0.8mm厚)の長方形片に切断し、マグネシウム合金板1とした。このマグネシウム合金板1の端部に貫通孔を開け、十個に対し塩化ビニルでコートした銅線を通し、複数枚のマグネシウム合金板1同士が互いに重ならないように銅線を曲げて加工し、全てを同時にぶら下げられるようにした。
脱脂槽に市販のマグネシウム合金用脱脂剤「クリーナー160(製品名)」(日本国東京都、メルテックス社製)」を水に投入して75℃、濃度10%の水溶液とした。これに前記合金片を5分浸漬しよく水洗した。続いて別の槽に40℃とした2%酢酸水溶液を用意し、これに前記の合金片を2分浸漬してよく水洗した。黒色のスマットが付着していた。続いて別の槽に75℃としたアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(製品名)」(日本国東京都、メルテックス社製)」7.5%水溶液を用意し、5分浸漬してよく水洗した。この液の弱塩基性でスマットの内のアルミニウム分が溶解できたものと見られた。続いて別の槽に75℃とした20%苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記の合金片を5分浸漬してよく水洗した。これでスマットの内の亜鉛分が溶解できたものと推定される。続いて別の槽に用意した40℃の2%の硝酸水溶液に1.5分浸漬してよく水洗した。
次に、別の槽に45℃としたリン酸マンガン系のノンクロメート化成処理液を用意した。即ち、重リン酸マンガン2.5%、85%濃度リン酸を2.5%、トリエチルアミンを2%含む水溶液を用意し、これに5分浸漬し、よく水洗して60℃にした温風乾燥機に10分入れて乾燥した。乾燥後、清浄なアルミ箔の上でマグネシウム合金板から銅線を抜いて置き、まとめて包み、更にこれをポリ袋に入れて封じ保管した。このとき、接合すべき面(貫通孔を開けたのと反対側の端部)に指等が接触しないようにした。
2日後、このうちの1個を電子顕微鏡による観察を行った。表面に板状結晶が多く見え、他に不定形物が見えた。板状結晶同士が作る空隙部の長径は600〜400nmで深さは500nm以上あった。1μm四方当たりに確認できる板状結晶は場所によって異なるが1〜5個であった。表面像を電子顕微鏡写真(図3参照。)に示す。更に、1日後に残りのマグネシウム合金板1を取り出し、油分等が付着せぬよう貫通孔のある方を手袋で摘まみ140℃とした射出成形金型にインサートした。金型を閉じガラス繊維30%を含むPBT樹脂組成物「タフペットG1030(製品名)」(日本国東京都、三菱レイヨン社製)」を射出温度260℃で射出した。金型温度は140℃であり、図2で示す一体化した複合体20個を得た。樹脂部の大きさは10mm×45mm×5mmであり、接合面6は10mm×5mmの0.5cmであった。
成形当日に4個を引っ張り破断試験したところ、平均のせん断力は11.8Mpaであった。又、成形当日に150℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールした5個は、更にその1日後に引っ張り試験したが、平均の剪断破断応力は、11.9MPaであった。残った一体化品10個に塗料「オーマック/シルバーメタリック(製品名)」(日本国大阪府、大橋化学工業社製)を10μm厚の設定で塗装し170℃×30分焼き付けた。1%塩水を使用して、常温で8時間塩水噴霧を行った後、水洗して乾燥したが、何れも外観上で異常は認められなかった。
[実施例2]
平均の金属結晶粒径が7μmである厚さ0.8mmのAZ31B合金板を入手した。実施例1と同様に切断して長方形片とし、これを75℃とした脱脂剤「クリーナー160」10%濃度の水溶液に5分浸漬し、よく水洗した。続いて別の槽に40℃とした酢酸2%の水溶液を用意し、これに前記のマグネシウム合金板1を2分浸漬してよく水洗した。黒色のスマットが付着していた。続いて別の槽に75℃としたアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(製品名)」(日本国東京都、メルテックス社製)」7.5%水溶液を用意し、5分浸漬してよく水洗した。続いて別の槽に75℃とした20%苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記のマグネシウム合金板1群を5分浸漬してよく水洗した。ここまでが前処理であり、処理法は実施例1と同じであった。
続いて別の槽に用意した40℃で0.5%濃度のクエン酸水溶液に15秒浸漬し、水洗した。次いで、過マンガン酸カリ3%、酢酸1%、酢酸ナトリウム0.5%を含む水溶液を45℃として用意し、1分浸漬し、よく水洗した。褐色となっており2酸化マンガンで覆われているようであった。60℃にした温風乾燥機に10分入れて乾燥した。清浄なアルミ箔の上でマグネシウム合金板1から銅線を抜いて置き、まとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。この作業で、接合すべき面(貫通孔を開けたのと反対側の端部)に指は触れなかった。
2日後、このうち1個を電子顕微鏡による観察を行ったところ、細かい針状結晶の生えた80〜120nm径の球状物が集まっており、これらが集まり接合し合って大きな周期の凹凸を作っており、その周期は0.5〜1μmでその凹部は深さが0.3〜1μmであった。1μm四方当たりに数えられる球状物は90〜120個であった。図4に写真を示す。更に1日後に残りのマグネシウム合金板1を取り出し、油分等が付着せぬよう貫通孔のある方を手袋で摘まみ140℃とした射出成形金型にインサートした。実施例1と全く同様にして図2に示す一体化した複合体10個を得た。成形当日に150℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、更にその1日後に引っ張り試験したが、平均のせん断力は11.6MPaであった。
[実施例3]
平均の金属結晶粒径が7μmである厚さ0.8mmのAZ31合金板を入手した。実施例1と同様に切断して長方形片とし、これを75℃とした脱脂剤「クリーナー160」10%濃度の水溶液に5分浸漬し、よく水洗した。続いて別の槽に40℃とした酢酸2%の水溶液を用意し、これに前記のマグネシウム合金板1を2分浸漬してよく水洗した。黒色のスマットが付着していた。続いて別の槽に75℃としたアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(製品名)」7.5%水溶液を用意し、5分浸漬してよく水洗した。続いて別の槽に75℃とした20%苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記のマグネシウム合金板1群を5分浸漬してよく水洗した。ここまでが前処理であり、処理法は実施例1と同じであった。
続いて別の槽に用意した40℃で0.5%濃度のクエン酸水溶液に15秒浸漬し、水洗した。次いで、ジルコンアセチルアセトナート0.12%、弗化チタン酸の40%水溶液を0.05%含む60℃とした水溶液に2分浸漬し、よく水洗した。60℃にした温風乾燥機に10分間入れて乾燥した。清浄なアルミ箔の上でマグネシウム合金板1から銅線を抜いて置き、まとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。この作業で、接合すべき面(貫通孔を開けたのと反対側の端部)に指は触れなかった。
更に、1日後に残りのマグネシウム合金板1を取り出し、油分等が付着せぬよう貫通孔のある方を手袋で摘まみ140℃とした射出成形金型にインサートした。実施例1と全く同様にして図2に示す一体化した複合体10個を得た。成形当日に150℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、更にその1日後に引っ張り試験したが、平均のせん断力は7.7MPa(78Kgf/cm2)であった。
[実施例4]
平均の金属結晶粒径が7μmである厚さ0.8mmのAZ31合金板を入手した。実施例1と同様に切断して長方形片とし、これを75℃とした脱脂剤「クリーナー160」10%濃度の水溶液に5分浸漬し、よく水洗した。続いて別の槽に40℃とした酢酸2%の水溶液を用意し、これに前述したマグネシウム合金板1を2分浸漬してよく水洗した。黒色のスマットが付着していた。続いて別の槽に75℃としたアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(製品名)」7.5%水溶液を用意し、5分浸漬してよく水洗した。続いて別の槽に75℃とした20%苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記のマグネシウム合金板1群を5分浸漬してよく水洗した。ここまでが前処理であり、処理法は実施例1と同じであった。
続いて別の槽に用意した40℃で0.5%濃度のクエン酸水溶液に15秒浸漬し、水洗した。次いで、亜鉛アセチルアセトナート2%、硫酸チタンの24%水溶液を1%、弗化ジルコニウム酸2アンモニウム0.1%を含む70℃とした水溶液に5秒浸漬し、よく水洗した。60℃にした温風乾燥機に10分入れて乾燥した。清浄なアルミ箔の上でマグネシウム合金板1から銅線を抜いて置き、まとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。この作業で、接合すべき面(貫通孔を開けたのと反対側の端部)に指は触れなかった。
更に1日後に残りのマグネシウム合金板1を取り出し、油分等が付着せぬよう貫通孔のある方を手袋で摘まみ140℃とした射出成形金型にインサートした。実施例1と全く同様にして図2に示す一体化した複合体10個を得た。成形当日に150℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、更にその1日後に引っ張り試験したが、平均のせん断力は6.9MPaであった。
[実施例5]
平均の金属結晶粒径が7μmである厚さ0.8mmのAZ31B合金板を入手した。実施例1と同様に切断して長方形片とし、脱脂を含む前処理を行った。前処理法は実施例1〜4と同じであった。続いて別の槽に用意した40℃で0.25%濃度の水和クエン酸水溶液に30秒浸漬し、水洗した。次いでクロム酸20%を含む75℃とした水溶液に前記マグネシウム片を5分間浸漬し、よく水洗した。次いで60℃とした温風乾燥機に10分入れて乾燥した。綺麗なアルミ箔の上でマグネシウム合金片から銅線を抜いて置き、まとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。この作業で、接合すべき面(貫通孔を開けた一端の反対側の他端)に指は触れなかった。
1日後、1個をESCAで観察した。クロムと酸素が大量に観察された。主成分は3価の酸化クロムか水酸化クロムとの複合物とみられた。更に1日後、マグネシウム合金片を取り出し、油分等が付着せぬよう貫通孔のある方を手袋で摘まみ140℃とした射出成形金型にインサートした。実施例1と全く同様にして図2で示す一体化した複合体7を20個得た。そのまま150℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、更にその1日後に引っ張り試験した処、平均のせん断力は6.6MPaであった。残った一体化品10個に塗料「オーマック/シルバーメタリック(製品名)」を10μm厚の設定で塗装し170℃×30分焼き付けた。5%塩水を使用して35℃での8時間塩水噴霧を行い水洗して乾燥したが、何れも外観上で異常は認められなかった。
[実施例6]
最終処理が湿式バフ掛けの平均の金属結晶粒径が、7μm以下である0.8mm厚のAZ31Bマグネシウム合金(日本国東京都、日本金属工業社製)を切断して実施例1と同じ形の長方形片とし、脱脂を含む前処理を行った。前処理法は実施例1〜5と同じであった。続いて別の槽に用意した40℃で0.25%濃度のクエン酸水溶液に30秒浸漬し、水洗した。次いで、炭酸カリウム1%を含む70℃とした水溶液に5分浸漬し、よく水洗した。60℃にした温風乾燥機に10分入れて乾燥した。清浄なアルミ箔の上でマグネシウム合金片から銅線を抜いて置き、まとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。この作業で、接合すべき面(貫通孔を開けたのと反対側の端部)に指は触れなかった。
1日後、1個を電子顕微鏡で観察した。その結果を図5の写真に示す。交錯した棒状結晶が網目模様となった綺麗なものであった。一方、ESCAによる分析ではマグネシウム、酸素、炭素の他に微量のアルミニウム、亜鉛、珪素が認められた。微量ではない炭素が確認されたので炭酸マグネシウムが表層の主成分であると推定された。更に、1日後に残りのマグネシウム合金片を取り出し、油分等が付着せぬよう貫通孔のある方を手袋で摘まみ140℃とした射出成形金型にインサートした。実施例1と全く同様にして射出成形し、図2に示す一体化した複合体7を20個得た。成形当日に150℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、更にその1日後に引っ張り試験したが、平均のせん断力は7.0MPaであった。
[実施例7]
実施例1と全く同様にして、平均の金属結晶粒径が7μm以下である0.8mm厚のAZ31Bマグネシウム合金(日本金属社製)片を使って前処理まで行った。次いで別の槽に用意した40℃で0.25%濃度のクエン酸水溶液に30秒浸漬し、水洗した。次いで、水和硝酸カルシウム1%、水和硝酸ストロンチウム1%、塩素化ナトリウム0.05%、及び80%リンを0.95%含む65℃とした水溶液に10分浸漬し、よく水洗した。60℃にした温風乾燥機に10分入れて乾燥した。清浄なアルミ箔の上でマグネシウム合金片から銅線を抜いて置き、まとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。この作業で、接合すべき面(貫通孔を開けた一端と反対側の他端)に指は触れなかった。1日後、1個をESCAで観察した。
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及び酸素が大量に、又ごく少量の亜鉛、アルミニウム、炭素、珪素が観察された。主成分はマグネシウムとカルシウムとストロンチウムの酸化物とみられた。単独組成物か複数組成物かは使用した分析装置では分からなかった。更に、1日後に残りのマグネシウム合金片を取り出し、油分等が付着せぬよう貫通孔のある方を手袋で摘まみ140℃とした射出成形金型にインサートした。実施例1と全く同様にして射出成形し、図2に示す一体化した複合体20個を得た。成形当日に150℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、更にその1日後に引っ張り試験したが、平均のせん断力は7.3MPaであった。
[実施例8]
実施例1と全く同様にして、平均の金属結晶粒径が7μm以下である0.8mm厚のAZ31Bマグネシウム合金片を使って前処理まで行った。次いで別の槽に用意した40℃で0.25%濃度のクエン酸水溶液に30秒浸漬し、水洗した。次いで、三塩化バナジウム1%を含む45℃とした水溶液に2分浸漬し、よく水洗した。60℃にした温風乾燥機に10分入れて乾燥した。清浄なアルミ箔の上でマグネシウム合金片から銅線を抜いて置き、まとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。この作業で、接合すべき面(貫通孔を開けたのと反対側の端部)に指は触れなかった。1日後、1個をESCAで観察した。バナジウム、酸素が大量に、マグネシウムが少量、又ごく少量の亜鉛、アルミニウム、珪素が観察された。主成分はバナジウム酸化物かバナジウムとマグネシウムの酸化物とみられた。
更に、1日後に残りのマグネシウム合金片を取り出し、油分等が付着せぬよう貫通孔のある方を手袋で摘まみ140℃とした射出成形金型にインサートした。実施例1と全く同様にして射出成形し、図2に示す一体化した複合体7を20個得た。成形当日に150℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、更にその1日後に引っ張り試験したが、平均のせん断力は7.0MPaであった。残った一体化品10個に塗料「オーマック/シルバーメタリック(製品名)」を10μm厚の設定で塗装し170℃×30分焼き付けた。5%塩水を使用して35℃での8時間塩水噴霧を行い水洗して乾燥したが、何れも外観上で異常は認められなかった。
[実施例9]
実施例9は、PPS系樹脂の効果を確認するためのものである。射出する樹脂としてガラス繊維30%を含んだPPS樹脂である「サスティールGS−30(製品名)」(日本国東京都、東ソー社製)を使用した。成形時の射出条件は、射出温度310℃で射出し、金型温度は140℃とした。この射出成形条件以外は、実施例1と全く同様の条件である。成形当日に4個を引っ張り破断試験したところ、平均のせん断力は8.8MPa(90Kgf/cm2)であった。又、成形当日に170℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールした5個は、更にその1日後に引っ張り試験したが、平均のせん断力は9.3MPaであった。
残った一体化品10個に塗料「オーマック/シルバーメタリック(製品名)」を10μm厚の設定で塗装し170℃×30分焼き付けた。1%塩水を使用して常温での8時間塩水噴霧を行い水洗して乾燥したが、何れも外観上で異常は認められなかった。
[実施例10]
実施例10は、PPS系樹脂の効果を確認するためのものである。マグネシウム合金片の処理は、実施例9と実質的に同一の処理を行い、射出接合も実施例9と全く同様に行った。ただし、使用した合成樹脂は、実施例9で使用した「サスティールGS−30」に換えて、PPS組成物の調整例1によるPPS組成物(1)を使用した。これで、図2で示す一体化した複合体7を20個得た。樹脂部の大きさは10mm×45mm×5mmであり、接合面6は10mm×5mmの0.5cmであった。
成形当日に4個を引っ張り破断試験したところ、平均のせん断力は13.0MPaであった。又、成形当日に170℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールした5個は、更にその1日後に引っ張り試験したが、平均のせん断力は12.8MPaであった。残った一体化品10個に塗料「オーマック/シルバーメタリック(製品名)」を10μm厚の設定で塗装し170℃×30分焼き付けた。5%塩水を使用して35℃での8時間塩水噴霧を行い水洗して乾燥したが、何れも外観上で異常は認められなかった。
[実施例11]
PPS組成物の調製例1により得られたPPS組成物(1)の代わりに、調製例3により得られたPPS組成物(3)を用いた以外は、実施例10と全く同様の方法にして複合体を得た。成形した日に170℃×1時間のアニールをし、その2日後にこの複合体を引っ張り試験機でせん断力を測定したところ、平均で12.5MPaであった。 残った一体化品10個に塗料「オーマック/シルバーメタリック(製品名)」(日本国大阪府、大橋化学工業社製)を10μm厚の設定で塗装し170℃×30分焼き付けた。5%塩水を使用して35℃での8時間塩水噴霧を行い水洗して乾燥したが、何れも外観上で異常は認められなかった。
[実施例12]
調製例1により得られたPPS組成物(1)の代わりに、調製例2により得られたPPS組成物(2)を用いた以外は、実施例10と全く同様にしてマグネシウム合金片を作成し、射出成形し、複合体を得た。得られた複合体を170℃で1時間アニールした。要するに、ポリオレフィン系ポリマーを僅かしか含まないPPSとフィラーのみのPPS系樹脂組成物を使用した実験である。1日後、これらを引っ張り試験したところ、せん断力は10個の平均で9.0MPaであった。実施例1の数値の約70%に過ぎず使用した樹脂材料の差異が結果として出たものである。
[実施例13]
平均の金属結晶粒径が7μmである厚さ0.8mmのAZ31B合金板を使用した。実施例1と同様に切断して長方形片とし、これを75℃とした脱脂剤「クリーナー160」10%濃度の水溶液に5分浸漬し、よく水洗した。続いて別の槽に40℃とした酢酸2%の水溶液を用意し、これに前記の合金片を2分浸漬してよく水洗した。黒色のスマットが付着していた。続いて別の槽に75℃としたアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(製品名)」7.5%水溶液を用意し、5分浸漬してよく水洗した。続いて別の槽に75℃とした20%苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記の合金片群を5分浸漬してよく水洗した。ここまでが前処理であり、処理法は実施例1と同じであった。
続いて別の槽に用意した40℃で0.5%濃度の水和クエン酸水溶液に15秒浸漬し、水洗した。次いで、過マンガン酸カリ3%、酢酸1%、水和酢酸ナトリウム0.5%を含む水溶液を45℃として用意し、1分浸漬し、よく水洗した。褐色となっていた。60℃にした温風乾燥機に10分入れて乾燥した。綺麗なアルミ箔の上でマグネシウム合金片から銅線を抜いて置き、まとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。この作業で、接合すべき面(貫通孔を開けたのと反対側の端部)に指は触れなかった。
2日後、1個をESCAで観察しマンガンと酸素が大量に観察され微量のマグネシウム、亜鉛、アルミニウム、炭素、珪素も観察された。主成分は二酸化マンガンを主成分とする酸化マンガンとみられた。色調も褐色でこれを裏付けた。更に1日後に残りのマグネシウム合金片を取り出し、油分等が付着せぬよう貫通孔のある方を手袋で摘まみ140℃とした射出成形金型にインサートした。実施例1と全く同様にして図2に示す一体化した複合体7を20個得た。
成形当日に170℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、更にその1日後に引っ張り試験したが、平均のせん断力は15.1MPaであった。残った一体化品10個に塗料「オーマック/シルバーメタリック(製品名)」を10μm厚の設定で塗装し170℃×30分焼き付けた。5%塩水を使用して35℃での8時間塩水噴霧を行い水洗して乾燥したが、何れも外観上で異常は認められなかった。
[実施例14]
実施例13と全く同様にして、AZ31B合金片を前処理した。次いで別の槽に用意した40℃で0.25%濃度の水和クエン酸水溶液に1分浸漬し水洗した。次いで過マンガン酸カリ2%、酢酸1%、水和酢酸ナトリウム0.5%を含む水溶液を45℃として用意し、1分浸漬し水洗した。60℃にした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。清浄なアルミ泊の上でマグネシウム合金片から銅線を抜いて置き、まとめて包み、更にこれをポリ袋に入れてこれを封じて保管した。
2日後、これを取り出し、140℃とした射出成形金型にインサートして、PBT組成物(1)を射出した。射出成形条件は、実施例1と同様であった。図2に示す一体化物を得て、これを同日内に150℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、更にその1日後に引っ張り試験したが、平均のせん断力は15.8MPaであった。
残った一体化品10個に塗料「オーマック/シルバーメタリック(製品名)」を10μm厚の設定で塗装し、170℃×30分焼付けた。5%塩水を使用しての35℃での8時間塩水噴霧を行い水洗して乾燥したが、何れも外観上では異常は認められなかった。
[比較例1]
比較例1は、実施例1の化成処理の効果を確認するために行ったものである。化成処理をしない点を除いて他は、実施例1と全く同様にしてマグネシウム合金板1を得た。即ち、AZ31Bマグネシウム合金板1を作り、脱脂し、荒エッチングし、脱スマットし、微細エッチングし、脱スマットまでした。要するに、リン酸マンガン系のノンクロメート処理のみをせず水洗して乾燥した。2日後に残りのマグネシウム合金板1を取り出し、油分等が付着せぬよう貫通孔のある方を手袋で摘まみ140℃として射出成形金型にインサートした。
射出成形金型を閉じ実施例1と同じPBT系樹脂を射出温度260℃で射出した。金型温度は140℃であり、図2で示す一体化した複合体14個を得た。樹脂部の大きさは10mm×45mm×5mmであり、接合面6は10mm×5mmの0.5cmであった。成形当日に150℃1時間のアニールをした後で4個を引っ張り破断試験したところ、平均のせん断力は7.4MPaあった。
残った一体化品10個に塗料「オーマック/シルバーメタリック(製品名)」を10μm厚の設定で塗装し170℃×30分焼き付けた。翌日、この塗装品に対し、1%塩水を使用して常温で8時間塩水噴霧を行い水洗して乾燥したところ、全ての一体化品で細かい塗膜脹れが観察された。この10個全てについて引っ張り破断試験をしたところせん断力は平均で4.9MPa(50Kgf/cm2)となった。破断面にも脆い酸化膜が浸入しており、化成処理をしていない場合は塗装のみでは実使用に耐えないことが確認された。
[比較例2]
化成処理をしなかった他は実施例1と全く同様にしてマグネシウム合金片を得た。即ち、AZ31Bマグネシウム合金片を作り、脱脂し、荒エッチングし、脱スマットし、微細エッチングし、脱スマットまでした。要するに、リン酸マンガン系のノンクロメート処理だけせず水洗して乾燥した。電子顕微鏡観察で結晶状の物は観察されず、表面はマグネシウムの自然酸化物層であった。
2日後に残りのマグネシウム合金片を取り出し、油分等が付着せぬよう貫通孔のある方を手袋で摘まみ140℃とした射出成形金型にインサートした。金型を閉じ調製例1により得られたPPS(1)を射出温度310℃で射出した。金型温度は140℃であり、図2で示す一体化した複合体14個を得た。樹脂部の大きさは10mm×45mm×5mmであり、接合面6は10mm×5mmの0.5cmであった。成形当日に4個を引っ張り破断試験したところ、平均のせん断力は11.3MPaであった。
残った一体化品10個に塗料「オーマック/シルバーメタリック(製品名)」を10μm厚の設定で塗装し170℃×30分焼き付けた。翌日、この塗装品に対し、5%塩水を使用して35℃での8時間塩水噴霧を行い水洗して乾燥したところ、全ての一体化品で細かい塗膜脹れが観察された。この10個全てについて引っ張り破断試験をしたところせん断力は平均で7.0MPaとなった。破断面にも脆い酸化膜が浸入しており、化成処理をしていない場合は塗装のみでは実使用に耐えないことが確認された。
[比較例3]
PPS組成物の調整例1のPPS組成物(1)の代わりに、PPS組成物の調整例4のPPS組成物(4)とした以外は、実施例10と同様の方法により複合体の製造を試みた。要するに、ポリオレフィン系ポリマーをごく大量に含むPPS系樹脂組成物を使用した実験である。この樹脂材料はPPS系材料というよりはポリオレフィン系材料というべきものである。成形時に多量のガスが発生し、射出成形困難で作業を中止した。
[比較例4]
最終表面加工が湿式のバフ掛けであり、その表面の金属結晶粒径の平均が7μmである0.8mm厚のAZ31Bマグネシウム合金(日本国東京都、日本金属工業社製)を用いた。これを18mm×45mm片に切断し、その片の端部に貫通孔を開け、塩化ビニルでコートした銅線を通し、複数個のマグネシウム合金片同士が重ならないように銅線を曲げて加工し、10個を同時にぶら下げられるようにした。
脱脂槽に市販のマグネシウム合金用脱脂剤「クリーナー160」を10%濃度で65℃とした湯に投入して溶かした。これに前記合金片を5分間浸漬し、充分に水洗し、67℃で15分間乾燥させた。要するに、脱脂処理のみ行った合金での接合強度を確認するための試験である。3日後、このうちの1個を電子顕微鏡で撮影した。その写真を図6に示す。更に1日経過した後、140℃とした射出成形金型にこの合金片をインサートし、PPS組成物(1)を射出した。射出成形条件は実施例10と同一条件で行ったが、射出成形金型を開いたときには、一体化物となっていなかった。
[比較例5]
使用した樹脂をPPS組成物(1)からPBT組成物(1)に換え、且つ射出成形滋養券を実施例1に合わせた以外は、比較例4と全く同様の実験を行った。この場合も射出成形金型を開くと、樹脂成形物とマグネシウム合金片は一体化して得られなかった。
次に示す表は、前述した実施例及び比較例の概要を示す一覧表である。
本発明の金属と樹脂の複合体及びその製造方法は、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品等に用いることができる。特に、マグネシウム合金は、重量あたりの強度や曲げ弾性率がアルミニウム合金や鉄鋼よりも高いので、構造材、又は部品としてもその用途は広い。この特性を活かして、軽量化が要請されているモバイル用電子機器、航空機の機体部品、自動車部品等にその応用が期待されている。
図1は、マグネシウム板片と樹脂組成物との複合体を製造する過程を模式的に示した射出成形金型の構成図である。 図2は、マグネシウム板片と樹脂組成物との複合体を模式的に示す単体の外観図である。 図3は、酢酸水溶液を荒エッチング剤として使用し、微細エッチング剤として希硝酸を使用し、更にリン酸マンガン系の化成処理をして得た金属結晶平均粒径7μm以下のAZ31Bマグネシウム合金の表面写真である。 図4は、酢酸水溶液を荒エッチング剤として使用し、微細エッチング剤としてクエン酸を使用し、更に過マンガン酸カリ系の化成処理をして得た金属結晶粒径7μm以下のAZ31Bマグネシウム合金の表面写真である。 図5は、酢酸水溶液を荒エッチング剤として使用し、微細エッチング剤として希硝酸を使用し、更に炭酸カリウム系の化成処理をして得た金属結晶平均粒径7μmのAZ31Bマグネシウム合金の表面写真である。 図6は、脱脂処理のみを行った金属結晶平均粒径7μmのAZ31Bマグネシウム合金(日本国東京都、日本金属工業社製)の表面写真である。
符号の説明
1…マグネシウム合金板
2…可動側型板
3…固定側型板
4…樹脂組成物
5…ピンポイントゲート
6…接合面
7…複合体

Claims (12)

  1. マグネシウム合金からなる基材と、
    クロム、マンガン、バナジウム、カルシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、チタン、及びアルカリ金属炭酸塩から選択される1種以上を水溶液とし、この水溶液を使用して化成処理をすることで得られる金属酸化物、金属炭酸化物、及び金属リン酸化物の何れか1種が、前記マグネシウム合金の表面に形成された表層と、
    前記表層の凹部に射出成形により侵入して固化して固着され、かつ結晶性を有する熱可塑性樹脂であるポリブチレンテレフタレート樹脂、又はポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分とする樹脂層と
    からなる金属と樹脂の複合体。
  2. 請求項1に記載の金属と樹脂の複合体において、
    前記表層には、電子顕微鏡観察で1μm四方の正方形面積当たりに板状結晶が2個以上認められることを特徴とする金属と樹脂の複合体。
  3. 請求項1に記載の金属と樹脂の複合体において、
    前記表層には、電子顕微鏡観察で針状結晶をまとった塊状物で覆われていることを特徴とする金属と樹脂の複合体。
  4. 請求項1に記載の金属と樹脂の複合体において、
    前記表層には、電子顕微鏡観察で約直径10nm、長さ100nm程度の円形柱が多数形成されていることを特徴とする金属と樹脂の複合体。
  5. 請求項1に記載の金属と樹脂の複合体において、
    前記樹脂層の樹脂分は、前記ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートを含むものである
    ことを特徴とする金属と樹脂の複合体。
  6. 請求項5に記載の金属と樹脂の複合体において、
    前記ポリブチレンテレフタレート65〜100重量%、及び前記ポリエチレンテレフタレート0〜35重量%である
    ことを特徴とする金属と樹脂の複合体。
  7. 請求項1ないし6に記載の金属と樹脂の複合体から選択される1項において、
    前記樹脂層は、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記ポリエチレンテレフタレート樹脂の合計樹脂100重量部に対して、さらに充填剤1〜200重量部を配合してなるものであることを特徴とする金属と樹脂の複合体。
  8. マグネシウム合金からなる鋳造物又は中間材から機械加工で形状化して形状部品とする形状化工程と、
    前記形状部品の表層に金属酸化物、金属炭酸化物、及び金属リン酸化物から選択される1種を形成する化成理工程と、
    前記液処理工程がなされた前記形状部品を射出成形金型にインサートして、ポリブチレンテレフタレート、又はポリフェニレンサルファイドを主成分とする溶融された樹脂組成物を射出する射出工程と、
    前記金属酸化物、又は前記金属リン酸化物の凹部に前記射出成形により侵入して固化して、前記形状部品と前記樹脂組成物とを一体に固着する固着工程と
    からなる金属と樹脂の複合体の製造方法。
  9. 請求項8に記載の金属と樹脂の複合体の製造方法において、
    前記化成処理工程は、クロム、マンガン、バナジウム、カルシウム、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、チタン化合物、及びアルカリ金属炭酸塩から選択される1種以上の水溶液を使用した化成処理であることを特徴とする金属と樹脂の複合体の製造方法。
  10. 請求項8に記載の金属と樹脂の複合体の製造方法において、
    前記表層には、電子顕微鏡観察で1μm四方の正方形面積当たりに板状結晶が2個以上認められることを特徴とする金属と樹脂の複合体の製造方法。
  11. 請求項8に記載の金属と樹脂の複合体の製造方法において、
    前記表層には、電子顕微鏡観察で針状結晶をまとった塊状物で覆われていることを特徴とする金属と樹脂の複合体の製造方法。
  12. 請求項8に記載の金属と樹脂の複合体の製造方法において、
    前記表層には、電子顕微鏡観察で約直径10nm、長さ100nm程度の円形柱が多数形成されていることを特徴とする金属と樹脂の複合体の製造方法。
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