JP2008131005A - 端子を備えた電気・電子部品の構成体とその構成体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】端子と構成体の基体との気密性を向上させた端子を備えた電気・電子部品の構成体とその構成体の製造方法の提供。
【解決手段】電気・電子部品を構成するための構成体であって、長手方向に延びた形状をし、外周面に表面処理が施された金属製の端子35と、平板部と、この平板部に1以上立設され、前記端子の外周部に対して所定量大きい寸法の内周部が形成されている凸状部とからなり、前記内周部の面に表面処理が施された金属製の基体30と、前記金属製の端子35と前記金属製の基体30との間に射出され、前記金属製の端子35と前記金属製の基体30とを接合して一体化するための熱可塑性樹脂組成物40とからなることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、端子を備えた電気・電子部品の構成体とその構成体の製造方法に関する。さらに詳しくは、端子と構成体の基体とを、気密性高く接合させることができる端子を備えた電気・電子部品の構成体とその構成体の製造方法に関する。
一般に、電解コンデンサ等電気・電子部品は、内部から気体、液体等の漏洩、または、内部に性能を低下させる物質の侵入が発生する可能性があるため、この漏洩等を防止するために従来から種々の対策が施されている。また、最近は、電気・電子部品の小型大容量化を図ることが要望されている。
例えば、電解コンデンサは、コンデンサ素子を、アルミニウムや硬質樹脂などで構成したケース内に密封したものであり、コンデンサ素子は、両極の電極箔にそれぞれ電極引き出し手段であるリード端子を接続し、両極の電極箔を、セパレータを介して巻回することによって形成したものである。そして、ケースの開口部は、コンデンサ素子を格納したうえで封口体によって封止し、リード端子は、この封口体に形成した貫通孔を貫通させて外部に突出させることによって引き出している。
このような電解コンデンサでは、従来、リード端子が貫通する封口体を、ゴム等弾性体で構成することによってリード端子との密閉性を保持するようにしていた。しかしながら、封口体にゴムを使用した場合、ゴムは長期間の使用により次第に特性が劣化していく。すなわち、コンデンサ素子に含有される電解液が外部に散出したり、外部から電解コンデンサの特性を劣化させる物質の侵入を防止することが困難となるおそれがあり、電解コンデンサの特性を低下させ、寿命を短縮させてしまうという問題があった。また、ゴムは密閉性を発揮するためには、ある程度の厚みが必要であり、電解コンデンサの小型化には適していない。
このような問題を防止するために、金属材料製の封口体とすることが考えられるが、金属材料製の封口体を使用した場合、封口体を貫通するリード端子との間で、絶縁性を持たせるとともに気密性を保持するための構成を必要とする。
例えば、封口体の穴と端子との間に、筒状弾性絶縁部材を配置した構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、封口板(封口体)と内部リードとの間を、リン酸系ガラスを用いて密閉封止を行うアルミ電解コンデンサも知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、金属蓋体と金属ピン端子との間に低融点ガラスを封入充填することにより気密性を高めたコンデンサ用気密端子も知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平10−256102号公報 特開平09−129517号公報 特開平11−288854号公報
しかしながら、前述の特許文献で示した従来の技術は、ゴム製のものに比べ、気密性の向上が図れるものではあるが、まだ多くの課題を有し改良の余地のあるものであった。すなわち、特許文献1は、封口板とリード線と間に弾性絶縁部材を介在させたものであり、構造が簡素でなく、組み付けも容易でなかった。また、弾性絶縁部材が経時変化するおそれがまだ残っているものであった。
特許文献2,3の技術は、リン酸系ガラス、低融点ガラスを用いて密閉するものであり、ゴムのような経時変化は生じないが、製造コストが高く、使用環境が厳しい宇宙航空分野、先端科学分野などに採用されることが多いものであった。すなわち、一般の電子部品としては、生産が容易でなく、生産効率の低下、製造コストの上昇を招くおそれがあるという問題がある。そこで、電気・電子部品の小型大容量化が図れ、生産効率の優れた端子を備えた電気・電子部品の構造体及びその構造体の製造方法の開発が要望されていた。
一方、本出願人は、アルミニウム合金に対し、ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリフェニレンサルファイド樹脂を、射出成形の技術を利用してアルミニウム等の金属に接合させる技術を開発し、その技術を特開2003−103563号公報、特開2005−342895号公報、特開2005−119237号公報などに開示している。そして、この技術が、各種機器、各種部品の製造等いろいろな分野で活用されることが期待されている。
本発明は、このような従来の技術の問題点を解決するために開発されたものであり、次の目的を達成する。
本発明の目的は、端子と構成体の基体との気密性を向上させた端子を備えた電気・電子部品の構成体とその構成体の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、生産性を向上させた端子を備えた電気・電子部品の構成体とその構成体の製造方法を提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体は、
電気・電子部品を構成するための構成体であって、長手方向に延びた形状をし、外周部の面に表面処理が施された金属製の端子と、平板部と、この平板部に1以上立設され、前記端子の外周部に対して所定量大きい寸法の内周部が形成されている凸状部とからなり、前記内周部の面に表面処理が施された金属製の基体と、前記金属製の端子と前記金属製の基体が射出成形用の金型にインサートされた後、前記金属製の端子の前記外周部と前記金属製の基体の前記内周部との間に形成されたキャビティ内に射出され、前記金属製の端子及び前記金属製の基体と接合して一体化させるための熱可塑性樹脂組成物とからなることを特徴とする。
本発明2の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体は、本発明1において、
前記金属製の端子は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のものであり、前記表面処理は、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性アミン系化合物から選択される1種以上の水溶液に浸漬する処理を含むものであることを特徴とする。
本発明3の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体は、本発明1において、
前記金属製の端子は、銅または銅合金製のものであり、前記表面処理は、表面を化学エッチングする処理を含むものであることを特徴とする。
本発明4の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体は、本発明1において、
前記金属製の端子は、前記金属製の基体に2つ設けられているものであり、一方の前記金属製の端子は、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性アミン系化合物から選択される1種以上の水溶液に浸漬する表面処理がされたアルミニウムまたはアルミニウム合金製のものであり、他方の前記金属製の端子は、表面を化学エッチングする表面処理がされた銅または銅合金製のものであることを特徴とする。
本発明5の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体は、本発明3または4において、
前記銅または銅合金製の端子は、表面をセラミックス層で覆ったものであることを特徴とする。
本発明6の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体は、本発明1から4において、
前記熱可塑性樹脂組成物は、ポリブチレンテフレタレート樹脂またはポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分とする樹脂組成物であることを特徴とする。
本発明7の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体は、本発明6において、
前記熱可塑性樹脂組成物は、前記樹脂組成物に機械的性質改善のための繊維フィラー及び/または粉末型フィラーが加えられているものであることを特徴とする。
本発明8の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体は、本発明1から4において、
前記金属製の基体は、平板状の素材に絞り加工を行って凸状部を形成した後、前記凸状部の先端を削除して形成したものであることを特徴とする。
本発明9の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体は、本発明1から4において、
前記電気・電子部品は、コンデンサであり、前記基体は、前記コンデンサの蓋体であることを特徴とする。
本発明10の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体の製造方法は、
金属製の平板を絞り加工し、前記平板から突出するとともに端子の外径より所定量大きい寸法の内周部を有するU字状部が、1以上、形成された金属製の基体を加工する第1の工程と、前記U字状部の先端を削除し、前記内周部を貫通穴とする第2の工程と、前記端子の外周部、及び、前記基体の前記内周部に表面処理を施す第3の工程と、金型内に前記基体及び前記端子をインサートする第4の工程と、前記金型に形成されたキャビティ内に熱可塑性樹脂組成物を射出し、前記基体と前記端子とを一体化する第5の工程とからなることを特徴とする。
本発明11の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体の製造方法は、本発明10において、
前記金属製の端子及び基体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の端子及び基体であり、前記第3の工程は、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性アミン系化合物から選択される1種以上の水溶液に浸漬する表面処理を施す工程であることを特徴とする。
本発明12の端子を備えた電気・電子部品の部品構成体の製造方法は、本発明10において、
前記金属製の端子及び基体は、銅または銅合金製の端子及び基体であり、前記第3の工程は、表面を化学エッチングする表面処理を施す工程であることを特徴とする。
本発明は、以上のことから次のような効果を奏することとなった。
本発明の端子を備えた電気・電子部品の構成体は、金属製の端子の外周部と金属製の基体の内周部を表面処理した後、熱可塑性樹脂組成物を射出することで強固にかつ確実に接合でき、端子と熱可塑性樹脂組成物、蓋体と熱可塑性樹脂組成物とのあいだの気密性を向上させることができた。また、蓋体には所定の高さの凸状部が形成されており、この凸状部の長さ分に亘って、端子と熱可塑性樹脂組成物、蓋体と熱可塑性樹脂組成物を強固に接合させることができ、気密性を向上させることができた。
強固に接合した接合面は、経時変化を生じることなく、気密性を維持することができた。すなわち、電気・電子部品の信頼性向上が図れる。さらに、金属製の基体とすることで電気・電子部品の小型大容量化を図ることができた。
この構成体の製造方法は、端子を備えた電気・電子部品の構成体を、金属製の端子の外周部の面及び金属製の基体の内周部の面を表面処理した後、金型内にインサートし、熱可塑性樹脂組成物を射出して接合し、構成体を製造することができる。生産性のよい射出成形の技術を利用して製造することができるため、端子を備えた電気・電子部品の構成体の生産性、信頼性が向上し、安価で製造できるようにすることができた。
以下、本発明の端子を備えた電気・電子部品の構成体とその構成体の製造方法の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
本実施の形態では、電気・電子部品をコンデンサ(例えば、電解コンデンサ)として、構成体をコンデンサの蓋体として説明を行うが、金属製の端子を備え気密性を要求される電気・電子部品の構成体であればよいことはいうまでもない。例えば、電池、キャパシタ等であってもよい。
図1は、電気・電子部品としてのコンデンサの概要を図示した断面図である。図2は、蓋本体の平板状の素材を示す正面図、図3は、素材をプレス機械による絞り加工を行った中間加工体を示す断面図である。図4は、蓋本体、端子と樹脂とを射出接合で一体化した蓋体を示す断面図である。図5は、射出接合する前の状態の金型を示す断面図、図6は、射出接合した後の状態の金型を示す断面図である。
コンデンサ1は、箱体2、蓋体3とで形成されるケース内にコンデンサ素子4が挿入され、陽極箔、陰極箔の間に電解紙を挟み、両極箔を隔離して巻かれたコンデンサ素子4に設けられたケーブルが金属製の端子35,35に接続されている。箱体2と、蓋体3との上端接合部6は、カーリング加工で一体化されている。なお、上端接合部は、レーザ等による溶接、ロウ付け、摩擦溶接等で接合されていてもよい。このように、蓋体3の蓋本体30を金属製にすることで、箱体2との接合が容易にかつ確実になり、コンデンサ1の生産性向上、信頼性向上を図ることができる。
電気・電子部品の構成体である蓋体3は、金属製の基体である金属製の蓋本体30、金属製の端子35,35が、熱可塑性樹脂組成物40によって一体化されたものである。なお、金属製の基体は、金属製の端子が一体に接合されるものであればよく、箱体、容器のようなものであってもよい。金属製の蓋本体30の素材30aは、平面視が円形状、略円形状、矩形状、略矩形状などで、図2に示すような所定の厚さt(例えば、0.1〜0.5mm)の平板状のものである。平板状の素材30aがプレス機械等による絞り加工で、U字状の凸状部が2箇所形成された第1中間加工体を成形する。第1中間加工体のU字状の凸部の下部部分C(図3におけるA−A線より下部)を削除すると、第2中間加工体30bが形成される。第2中間加工体30bが蓋本体30となる。蓋本体30の凸状部は、例えば、高さhが3mm以上であることが好ましい。この高さhの範囲に亘って、金属製の端子35と熱可塑性樹脂組成物40、金属製の蓋本体30と熱可塑性樹脂組成物40とが強固に接合する。そのため、金属製の端子35と熱可塑性樹脂組成物40、金属製の蓋本体30と熱可塑性樹脂組成物40との間の気密性が向上し、内部から気体、液体等の漏洩、または、内部に性能を低下させる物質の侵入が発生することがない。
金属製の蓋本体30は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅及び銅合金の材料で製造されたものであることが好ましい。蓋本体30の少なくとも内周部30cの面には、後述する表面処理が施されている。
金属製の端子35は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金製であることが好ましい。金属製の端子35は、所定の形状(例えば、長さlが30mm、直径dがφ2mm)に形成されたものである。金属製の端子35は長尺のものを、所定の長さ(例えば30mm)に切断したものであってもよい。また、金属製の端子35の外周部35aには、後述するの表面処理が施されている。
金属製の蓋本体30には、図1に示すように、2本の端子35が設けられている。2本の端子は、同一の材料製(例えば、銅または銅合金製)であってもよいが、異なる材料製のものであってもよい。すなわち、金属製の端子35の一方が、プラス側の電極の端子で、例えば銅または銅合金製の端子であり、金属製の端子35の他方が、マイナス側の電極の端子で、例えばアルミニウムまたはアルミニウム製の端子であってもよい。
そして、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の蓋本体30に、銅または銅合金製の端子、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の端子を熱可塑性樹脂組成物40で一体に接合させてもよい。
金型10は、一方の金型11、他方の金型20とからなり、相対的に移動可能になっている。すなわち、開状態のとき、金属製の蓋本体30、金属製の端子35,35をインサートし、閉状態にするとキャビティ25が形成される(図5参照)。このキャビティ25に熱可塑性樹脂組成物40をゲート15を介して射出する(図6参照)。すなわち、金属製の端子35、蓋本体30を金型10にインサートして、これに熱可塑性樹脂組成物40を射出して両者を一体に接合する方法(以下、射出接合という)で接合したのである。熱可塑性樹脂組成物40が所定の温度まで冷えた後、金型10を開状態とし蓋体3(図3参照)を取り出すことができる。
熱可塑性樹脂組成物40としては、ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、PPS樹脂という)を主成分とするPPS(ポリフェニレンサルファイド)系樹脂組成物、または、ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBT樹脂という)を主成分とするPBT(ポリブチレンテレフタレート)系樹脂組成物が好ましい。
以下、金属製の端子35、金属製の蓋本体30がアルミニウムまたはアルミニウム合金製の端子、蓋本体である形態を実施の形態1として説明し、金属製の端子35、金属製の蓋本体30が銅または銅合金製の端子、蓋本体である形態を実施の形態2として説明を行う。さらに、金属製の端子35の一方がアルミニウムまたはアルミニウム合金製の端子、金属製の端子35の他方が銅または銅合金製の端子である形態を実施の形態3として説明を行う。
〔実施の形態1〕
〔表面処理1〕
本実施の形態1の蓋体3は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である端子35、蓋本体30に行う表面処理1について説明を行う。
端子35、蓋本体30の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金であり、そのアルミニウム合金はJIS規格でA1000〜A7000番系の物、また、JIS規格で鋳造用グレードとされた各種合金が使用できる。端子35は、引き抜き加工、押し出し加工、切断加工、切削加工、曲げ加工、研磨加工、鋸加工、フライス加工、プレス加工等により所定の形状にしたものであればよい。蓋本体30は、前述したように素材30aから第2中間加工体30bを、プレス機械による絞り加工、切削加工、切断加工等して形成すればよい。
端子35、蓋本体30は、接合する表面(端子35の外周部35aの面、蓋本体30の内周部30cの面)が厚く酸化や水酸化されていないことが必要であり、長期間の自然放置で表面に錆の存在が明らかなものも研磨加工して取り除くことが必要である。金属加工工程で残った表面の油層、指脂、汚れなどを取り去るため、市販のアルミニウム用脱脂剤を水に溶解して50〜70℃とした脱脂液に数分浸漬し水洗する。続いて濃度数%の希薄な酸や塩基の水溶液に順次浸漬して水洗しアルミニウム合金表面を溶解して化学的にエッチングし、新しい綺麗な金属面になるようにする。
続いて、この端子35、蓋本体30を、アンモニア、ヒドラジン、または水溶性アミン系化合物の水溶液に浸漬する。この浸漬工程により、前工程までで得た端子35、蓋本体30の接合する表面(端子35の外周部35aの面、蓋本体30の内周部30cの面)を無数の20〜50nm径の超微細凹部で覆わせる超微細エッチングを行うと共に、端子35、蓋本体30の表面にこれらアミン系化合物を吸着させることができる。
上記の水溶性アミン系化合物としては低級アミン類が使用でき、特にメチルアミン(CH3NH2)、ジメチルアミン((CH32NH)、トリメチルアミン((CH33N)、エチルアミン(C25NH2)、ジエチルアミン((C252NH)、トリエチルアミン((C253N)、エチレンジアミン(H2NCH2CH2NH2)、エタノールアミン(モノエタノールアミン(HOCH2CH2NH2))、アリルアミン(CH2CHCH2NH2)、ジエタノールアミン((HOCH2CH22NH)、アニリン(C67N)、トリエタノールアミン((HOCH2CH23N)等が好ましく、これらを水に溶解して使用する。
例えば、3〜10%のヒドラジン一水和物水溶液を40〜50℃とし、端子35、蓋本体30を数分浸漬し水洗する方法は、臭気に関する問題を発生させることなく扱いが容易な方法である。同様な効果は、15〜25℃の濃度15〜25%アンモニア水に10〜30分浸漬し水洗することでも得られるが、臭気に関する問題が発生する。他の水溶性アミンを使用する場合も温度と濃度、及び浸漬時間を試行錯誤で探る必要があるが、何れも臭気の点で問題が発生するおそれがあり、臭気の点で評価するとヒドラジン水溶液が好ましい。
これらの水溶液に浸漬処理することで、表面は例えばnm(ナノメートル)レベルのような微細な凹部が形成されたエッチング面を得ることができる。
この浸漬を終えた端子35、蓋本体30はよく水洗し、温風乾燥機内に入れて乾燥する。接合に関係する部位は手で触れぬようにしてアルミニウム箔に包みポリ袋に入れて封じ保管するとよい。
なお、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の端子、蓋体に施す表面処理は、表面を電解酸化させるアルマイト処理、アルミニウム等を、トリアジンチオール類のアルカリ塩、アミンアンモニウム塩などを溶解した水溶液中に漬けて電気鍍金(メッキ)と同様な考えで電気化学的な処理を行うものである有機鍍金処理、プライマ処理など他の種類の表面処理であってもよい。要するに、接合する表面に、例えばnmレベルのような微細な凹部が形成された面を得ることができる処理であればよい。
〔第1熱可塑性樹脂組成物〕
アルミニウム、アルミニウム合金に接合される第1可塑性樹脂組成物40としては、PBT系樹脂、PPS系樹脂を主とする樹脂組成物が好適である。また、第1PBT系樹脂組成物または第1PPS系樹脂組成物とアルミニウム、アルミニウム合金とを接合する場合、アルミニウム、アルミニウム合金の線膨張率に第1PBT系樹脂組成物または第1PPS系樹脂組成物の線膨張率を合うようにすることが必要となる。第1PBT系樹脂組成物としては、ポリマー分としてPBT単独ポリマー、PBTとポリカーボネート(PC)のポリマーコンパウンド、PBTとABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂のポリマーコンパウンド、PBTとポリエチレンテレフタレート(PET)のポリマーコンパウンド、PBTとポリスチレン(PS)のポリマーコンパウンド等が使用するとよい。
そして、これらポリマーに加えて、全体の20〜40%のフィラーを含む組成物であることが好ましい。フィラーの含有はアルミニウムまたはアルミニウム合金製の蓋本体30等と第1PBT系樹脂組成物または第1PPS系樹脂組成物との線膨張率を一致させるようにするとよい。フィラーには、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、その他これらに類する高強度繊維に加え、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、炭素繊維やアラミド繊維の粉砕物、その他類する樹脂充填用無機フィラーが含まれることが好ましい。
第1熱可塑性樹脂組成物40に関する他の課題は、第1熱可塑性樹脂組成物40に成形収縮があることであり、フィラーを含まない第1熱可塑性樹脂組成物40の成形収縮率は小さなものでも0.6%程度ある。しかし、フィラーを20〜40%含めることで多くの熱可塑性樹脂組成物は収縮率を0.3〜0.5%にすることができる。しかしながら、アルミニウム合金でもその冷却縮み、例えば射出時から室温まで100℃程度冷えるとして約0.2%の縮みは第1熱可塑性樹脂組成物40の成形収縮率より小さく、差がある。そのため、金型10から離型して時間が経ち第1熱可塑性樹脂組成物40が落ち着いてくると、界面に内部歪が生じ僅かな衝撃で界面破壊が起こって剥がれてしまう可能性がある。
しかし、数日以内に高温(例えば、第1PBT系樹脂組成物の場合は150℃程度)に1時間ほど放置すれば、残っていた内部歪は解消させることができる。従って、本実施の形態1の第1熱可塑性樹脂組成物40に関して重要なことは、フィラーを含有させて熱可塑性樹脂組成物の線膨張率を金属並みに下げることである。
〔蓋体の製造/射出接合1〕
射出成形用の金型10を用意し、金型10を開いてその他方の金型20に表面処理を行った端子35、蓋本体30をインサートし、金型10を閉め、第1熱可塑性樹脂組成物40(第1PPS系樹脂組成物または第1PBT系樹脂組成物)をキャビティ25に射出する。端子35、蓋本体30と、第1熱可塑性樹脂組成物(第1PPS系樹脂組成物または第1PBT系樹脂組成物)40とが射出接合される。端子35、蓋本体30、第1熱可塑性樹脂組成物(第1PPS系樹脂組成物または第1PBT系樹脂組成物)40が冷却され、第1熱可塑性樹脂組成物(第1PPS系樹脂組成物または第1PBT系樹脂組成物)40に端子35、蓋本体30が強固に接合し、一体化された後、金型10を開き離型する。このようにして端子35、蓋本体30に第1熱可塑性樹脂組成物(第1PPS系樹脂組成物または第1PBT系樹脂組成物)40を射出して一体化し蓋体3を形成することができる。この蓋体3のための射出成形は、生産性などを考慮すると優れた成形法であり、大量生産に適している。インサート用にロボットなどを使用すれば、より製造上の能率が向上する。
次に射出条件について述べる。第1熱可塑性樹脂組成物40単独の射出成形であっても十分な接合効果が発揮できるが、次に接合力を上げるための条件について説明する。即ち、原理的には高温の溶融樹脂が高圧で金属(アルミニウムまたはアルミニウム合金)製の端子35、蓋本体30と接触することが必要である。そのため、金型10にはまず十分なガス抜きを設けて溶融樹脂が円滑に端子35、蓋本体30の面に達するようにすることである。そのために金型温度を高くし、射出圧力も高くする。
射出接合後の端子35、蓋本体30が第1熱可塑性樹脂組成物40(第1PPS系樹脂組成物または第1PBT系樹脂組成物)により一体化された蓋体3は成形後アニール処理すると、成形収縮による内部歪を解消することができ、両者の接合をより安定的にすることができる。また、金型温度について具体的な最適温度は、110〜150℃がよく、好ましくは、130〜150℃がよい。
〔実施の形態2〕
〔表面処理2〕
銅または銅合金製である端子35、蓋本体30に行う表面処理2について説明を行う。この実施の形態2でいう銅または銅合金製の端子35、蓋本体30は、他の種類の金属に銅鍍金した銅鍍金品を含むものである。
端子35は、伸銅品を端子用に、引き抜き加工、押し出し加工、切断加工、切削加工、曲げ加工、研磨加工、鋸加工、フライス加工、プレス加工等したもの、端子用に加工した他の種類の金属に銅鍍金した銅鍍金品等であるとよい。また、銅鍍金品として、無電解銅鍍金、電解銅鍍金があるが双方使用できる。材質的な分類では、純銅系に加え、黄銅、りん青銅、洋白(白銅ともいう)などの銅合金を使用してもよい。
銅または銅合金製である蓋本体30は、前述したように素材30aから第2中間加工体30bを、プレス機械等による絞り加工、切削加工、切断加工等して形成すればよい。また、蓋本体30は、銅または銅合金以外の材料でもよく、その場合には少なくとも内周部30cの面が銅鍍金されたものとするとよい。
この実施の形態2の銅または銅合金製の端子35の外周部35aの面、蓋本体30の内周部30cの面は化学エッチングすることが必要であるが、更にその表面をセラミックス質で覆ったものが好ましい。このセラミックス質としては、酸化第2銅が好ましく使用できる。通常、銅及び銅合金に行う表面処理は、「イ.脱脂」、「ロ.化学エッチング」の2工程、または、「イ.脱脂」、「ロ.化学エッチング」、「ハ.表面硬化」の3工程である。
「イ.脱脂工程」は、一般に機械加工等を済ませた銅及び銅合金製の端子35、蓋本体30等には工作油や指脂が付着しているので、これを界面活性剤入りの水溶液に浸漬し水洗して除く処理工程である。界面活性剤以外に過酸化水素と、塩酸や硫酸等の鉱酸類を含ませて脱脂と同時に表面の自然酸化銅層も溶解し、生地の銅表面を剥き出しに出来る銅用の脱脂剤も市販されている。脱脂する必要がないような無電解銅鍍金工程などの終了品は、清浄な銅表面となっているので省くことができる。
「ロ.化学エッチング工程」は、銅を酸化し銅イオンとして水溶液に溶かし込む方法を使うのが一般的である。通常、溶解は金属微結晶の粒界面を先に進むので自然に微細凹凸面を作ることができる。結晶粒径は銅や銅合金が得られる工程で差異があるため、市販の銅用エッチング剤には伸銅用と無電解銅鍍金用、また、使用法で浸漬用とスプレー用などに分けられている。しかし化学エッチング剤の基本は酸化剤として過酸化水素を使い、生じる銅イオンの安定化剤となる硫酸を併用することである。
即ち、過酸化水素と硫酸を含む水溶液であり、市販品は更に何らかの第三成分が加えられて安定的に粗面化ができるように工夫されている。この実施の形態2ではこれらの何れもが使用できるが合金の種類によって浸漬条件を選択する必要はある。このようにして約10nm周期の10〜20nm幅で、長さ100nmレベル高さ10nm以上の微細壁状突起が、多数ある面で構成された1〜100μm(マイクロメートル)周期、または径であり高低差0.5μm以上の凹凸の粗表面形状にすることができる。
その表面は10〜20nm幅で高さ10nm以上の微細壁状突起が多数存在している。射出した改良樹脂は、μmレベルの粗面内には十分侵入でき、且つ凹部の内側にはnmレベルの細かい突起があって引っかかるのである。
このように、化学エッチングを適切な条件で行うと、適当な凹凸周期、適当な凹部の深さが得られるだけでなく、得られる凹部の微細形状は単純形状とはならず、凹部の多くはアンダー構造になるからである。アンダー構造とは、凹部を上から見た場合に見えない面があることであり、凹部の底からミクロの目で見たと仮定した場合にオーバーハング箇所が見えるということである。アンダー構造は、射出接合を容易に、かつ、確実にする。
前述した「イ.脱脂」、「ロ.化学エッチング」工程に続き、「ハ.表面硬化」工程を行うのが好ましい。しかしながら、「ハ.表面硬化」工程がなくとも銅は硬度が高い。それ故に銅の場合には表面硬化工程がなくともそれなりの射出接合強度を得ることができる。表面硬化工程の具体的な実施法として、所謂黒化処理が使用できる。苛性ソーダ3〜10%と、亜塩素酸ナトリウム1〜10%を含む水溶液を使用するのが好ましい。塩基性下では銅金属も酸化銅も比較的安定で溶解し難いのでその中で亜塩素酸塩によって銅を酸化する。銅イオンは溶解すること少なく水酸化物または酸化物になって表面層をなすと予測されるが、実際には浸漬時間を延ばしていくと青化、黒褐色化を経て黒色化するので、酸化第2銅(黒色)のアモルファス層または微結晶を若干含んだアモルファス層が生じる。
従来、輻射熱の放熱性を上げるべく行った黒化処理では、苛性ソーダと亜塩素酸ナトリウムの混合水溶液を85〜100℃の高温として酸化を進めるのが普通であるが、この実施の形態2では酸化銅層の厚さは最重要というわけではない。薄くてもしっかりした硬化層ができれば目的を達するので反応条件は温和な方に広く取れる。具体的には、上記の濃度の苛性ソーダと、亜塩素酸ナトリウムの水溶液を50〜80℃とし数分浸漬するのが好ましい。市販の銅用黒化処理剤もあり、同様に使用できる。
〔第2熱可塑性樹脂組成物〕
この実施の形態2で使用する第2熱可塑性樹脂組成物40は、射出成形により、銅または銅合金製の端子35の外周部35aの面、蓋本体30の内周部30cの面に直接的に接合されるものである。具体的には、結晶性の樹脂であるPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂を主成分とする第2PPS系樹脂組成物、または、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂を主成分とする第2PBT系樹脂組成物をいう。この第2PPS系樹脂組成物の樹脂分は、PPS樹脂を主成分としポリオレフィン系樹脂を従成分とする樹脂組成物である。また、第2PBT系樹脂組成物の樹脂分は、PBT樹脂を主成分としポリエチレンテレフタレート樹脂及び/またはポリオレフィン系樹脂を従成分とする樹脂組成物である。
この第2PPS系樹脂組成物は、前記PPS樹脂が70ないし97質量%、前記ポリオレフィン系樹脂が3ないし30質量%であると良い。また、第2PBT系樹脂組成物は、前記PBT樹脂が70ないし97重量%、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂及び/またはポリオレフィン系樹脂が3ないし30重量%であると良い。
第2PPS系樹脂組成物、第2PBT系樹脂組成物は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、その他強化繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、及びガラス粉から選ばれる1種以上のフィラー(充填材)を、組成物全体の20〜60重量%含むものであることが好ましい。これはこれらフィラーを含ませることで樹脂組成物の線膨張率を2〜3×10−5−1として銅及び銅合金に近いレベルに出来るためである。
〔第2PPS系樹脂組成物〕
さらに、第2PPS系樹脂組成物について説明する。樹脂分組成としてPPS樹脂70〜97%及びポリオレフィン系樹脂3〜30%を含む樹脂分組成物からなる場合、特に接合力に優れた複合体を得ることが出来る。ポリオレフィン系樹脂が3%以下の場合、ポリオレフィン系樹脂を含めたことによる射出接合力向上への効果が不確かなものとなり、一方、30%以上の場合も同様となる。また、ポリオレフィン系樹脂を30%以上添加したPPS樹脂は射出成形機の射出筒内でのポリオレフィン系樹脂の熱分解が影響してガス発生量が異常に大きくなり射出成形そのものが困難になる。
PPS樹脂成分としては、PPS樹脂と称される範疇に属するものであればよく、その中でも樹脂組成物部品とする際の成形加工性に優れることから直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重98N(10kgf)の条件下、測定した溶融粘度が100〜30000ポイズであるものであることが好ましい。また、PPS樹脂はアミノ基やカルボキシル基等で置換したものや、重合時にトリクロロベンゼン等で共重合したものであってもよい。
また、PPS樹脂は、直鎖状のもの、分岐構造を導入したもの、及び、不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもよい。さらに、このPPS樹脂は、加熱硬化前または後に脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄など)、あるいはアセトンなどの有機溶媒による洗浄処理を行うことによってイオン、オリゴマーなどの不純物を低減させたものであってもよく、重合反応終了後に酸化性ガス中で加熱処理を行って硬化を進めたものであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、通常ポリオレフィン系樹脂として知られているエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂等であり、市販のものであってもよい。その中でも、特に接着性に優れた複合体を得ることが可能となることから、無水マレイン酸変性エチレン系共重合体、グリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体、グリシジルエーテル変性エチレン共重合体、エチレンアルキルアクリレート共重合体等であることが好ましい。
この無水マレイン酸変性エチレン系共重合体としては、例えば無水マレイン酸グラフト変性エチレン重合体、無水マレイン酸−エチレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体等があり、その中でも特に優れた複合体が得られることからエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体であることが好ましい。エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体としては、例えば「ボンダイン(アルケマ社製)」等がよい。
このグリシジルメタクリレート変性エチレン系共重合体としては、グリシジルメタクリレートグラフト変性エチレン重合体、グリシジルメタクリレート−エチレン共重合体があり、その中でも特に優れた複合体が得られることからグリシジルメタクリレート−エチレン共重合体であることが好ましい。グリシジルメタクリレート−エチレン共重合体としては、「ボンドファースト(住友化学社製)」等がよい。グリシジルエーテル変性エチレン共重合体としては、例えばグリシジルエーテルグラフト変性エチレン共重合体、グリシジルエーテル−エチレン共重合体がある。エチレンアルキルアクリレート共重合体としては、例えば「ロトリル(アルケマ社製)」等がある。
この実施の形態2において、樹脂組成物はPPS樹脂70〜97重量%及びポリオレフィン系樹脂3〜30重量%を含む樹脂分合計100重量部に対し、さらに多官能性イソシアネート化合物0.1〜6重量部及び/またはエポキシ樹脂1〜25重量部を配合しているものであってもよい。この多官能性イソシアネート化合物は、市販の非ブロック型、ブロック型のものが使用できる。
この多官能性非ブロック型イソシアネート化合物としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートフェニル)スルホン等を例示することができる。また、多官能性ブロック型イソシアネート化合物としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有し、そのイソシアネート基を揮発性の活性水素化合物と反応させて、常温では不活性としたものである。多官能性ブロック型イソシアネート化合物の種類は特に規定したものではなく、一般的には、アルコール類、フェノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン化合物類等のブロック剤によりイソシアネート基がマスクされた構造を有する。
この多官能性ブロック型イソシアネートとしては、例えば「タケネート(三井竹田ケミカル社製)」等があげられる。このエポキシ樹脂としては、一般にビスフェノールA型、クレゾールノボラック型等として知られているエポキシ樹脂を用いることができ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば「エピコート(ジャパンエポキシレジン社製)」等が挙げられ、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、「エピクロン(大日本インキ化学工業社製)」等が挙げられる。
〔第2PBT系樹脂組成物〕
次に第2PBT系樹脂組成物について説明する。より好ましいのは前記したフィラー(充填材)だけでなく、樹脂分組成として3〜30%のPET樹脂及び/またはポリオレフィン系樹脂、70〜97%のPBT樹脂の組成を有する場合である。PBT樹脂を主成分、PET樹脂及び/またはポリオレフィン系樹脂を従成分として含む第2PBT系樹脂組成物は射出接合力に優れる。ここでいうポリオレフィン系樹脂とは、PPS樹脂の項で述べたものと同じである。PET樹脂及び/またはポリオレフィン系樹脂成分が、5〜20%の場合に最も接合力が高くなるが3〜5%、20〜30%であってもよい。しかし、30%以上であると接合力への効果が低く成り、且つ、PET樹脂成分が25%以上の場合は樹脂自体の強度が低下するおそれが生じる。また、ポリオレフィン系樹脂成分が30%以上の場合はガスの発生が増加し成形性が悪化しやすい。
〔蓋体の製造/射出接合2〕
この実施の形態2の蓋体3の製造方法は、端子35、蓋本体30をインサートした射出成形法であり、以下のように行う。射出成形用金型10を用意し、金型10を開いてその一方に前述の表面処理を施した銅や銅合金製の端子35、蓋本体30をインサートし、金型を閉じ、第2熱可塑性樹脂組成物(第2PBT系樹脂組成物または第2PPS系樹脂組成物)40を射出し、固化した後に金型10を開き離型することにより蓋体3の製造を行うことができる。
金型10の温度としては特に固化後樹脂強度への影響が少なく、蓋体3の生産効率に優れることから第2熱可塑性樹脂組成物(第2PBT系樹脂組成物、第2PPS系樹脂組成物)40では100℃以上が好ましく、より好ましくは120℃以上であるとよい。射出温度、射出圧、射出速度は特に通常の射出成形と変わらないが、強いて言えば、射出速度と射出圧は高目にすることが好適である。
〔実施の形態3〕
金属製の端子35の一方がアルミニウムまたはアルミニウム合金製の端子(以下、一方の端子という)、金属製の端子35の他方が銅または銅合金製の端子(以下、他方の端子という)、蓋本体30がアルミニウム合金製の場合について説明を行う。
蓋本体30の内周部30cのうち、他方の端子(銅または銅合金製の端子)が接合される他方の内周部30cには、銅または銅合金のメッキを施しておく。
一方の端子の外周部には、前述した表面処理1を施す。また、一方の端子が接合される一方の内周部30cにも、前述した表面処理1を施すとよい。
他方の端子の外周部には、前述した表面処理2を施す。また、他方の端子が接合される銅または銅合金のメッキがされた他方の内周部30cにも、前述した表面処理2を施すと良い。
一方の端子、他方の端子、蓋本体30を、射出成形用金型にインサートする。一方の端子、一方の内周部30c側のキャビティ25に、前述した第1熱可塑性樹脂組成物(第1PPS系樹脂組成物または第1PBT系樹脂組成物)40を射出する。他方の端子、他方の内周部30c側のキャビティ25に、前述した第2熱可塑性樹脂組成物(第2PPS系樹脂組成物または第2PBT系樹脂組成物)40を射出する。
このようにすることで、一方の端子と他方の端子の材質が異なる場合でも、金属製の蓋本体30に金属製の端子35を、一体に、強固に接合することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内で変更が可能なことはいうまでもない。
図1は、本発明の端子を備えた電気・電子部品としてのコンデンサの概要を示した断面図である。 図2は、蓋本体の平板状の素材を示す正面図である。 図3は、素材をプレス機械により絞り加工した中間加工体を示す断面図である、。 図4は、蓋本体、端子と樹脂とを射出接合で一体化した蓋体を示す断面図である。 図5は、射出接合する前の状態の金型を示す断面図である。 図6は、射出接合した後の状態の金型を示す断面図である。
符号の説明
1 … コンデンサ
2 … 箱体
3 … 蓋体
4 … コンデンサ素子
6 … 上端接合部
10 … 金型
11 … 一方の金型
15 … ゲート
20 … 他方の金型
25 … キャビティ
30 … 金属製の蓋本体
35 … 金属製の端子
40 … 熱可塑性樹脂組成物

Claims (12)

  1. 電気・電子部品を構成するための構成体であって、
    長手方向に延びた形状をし、外周部の面に表面処理が施された金属製の端子と、
    平板部と、この平板部に1以上立設され、前記端子が所定の間隔を有して貫通可能な内周部が形成されている凸状部とからなり、前記内周部の面に表面処理が施された金属製の基体と、
    前記金属製の端子と前記金属製の基体が射出成形用の金型にインサートされた後、前記金属製の端子の前記外周部と前記金属製の基体の前記内周部との間に形成されたキャビティ内に射出され、前記金属製の端子及び前記金属製の基体と接合して一体化させるための熱可塑性樹脂組成物とからなる
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体。
  2. 請求項1に記載された電気・電子部品の構成体において、
    前記金属製の端子は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のものであり、
    前記表面処理は、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性アミン系化合物から選択される1種以上の水溶液に浸漬する処理を含むものである
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体。
  3. 請求項1に記載された電気・電子部品の構成体において、
    前記金属製の端子は、銅または銅合金製のものであり、
    前記表面処理は、表面を化学エッチングする処理を含むものである
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体。
  4. 請求項1に記載された電気・電子部品の構成体において、
    前記金属製の端子は、前記金属製の基体に2つ設けられているものであり、
    一方の前記金属製の端子は、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性アミン系化合物から選択される1種以上の水溶液に浸漬する表面処理がされたアルミニウムまたはアルミニウム合金製のものであり、
    他方の前記金属製の端子は、表面を化学エッチングする表面処理がされた銅または銅合金製のものである
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体。
  5. 請求項3または4に記載された電気・電子部品の構成体において、
    前記銅または銅合金製の端子は、表面をセラミックス層で覆ったものである
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載された端子を備えた電気・電子部品の構成体において、
    前記熱可塑性樹脂組成物は、ポリブチレンテフレタレート樹脂またはポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分とする樹脂組成物である
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体。
  7. 請求項6に記載された端子を備えた電気・電子部品の構成体において、
    前記熱可塑性樹脂組成物は、前記樹脂組成物に、機械的性質改善のための繊維フィラー及び/または粉末型フィラーが加えられているものである
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体。
  8. 請求項1から4のいずれか1項に記載された端子を備えた電気・電子部品の部品構成体において、
    前記金属製の基体は、平板状の素材に絞り加工を行って凸状部を形成した後、前記凸状部の先端を削除して形成したものである
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体。
  9. 請求項1から4のいずれか1項に記載された端子を備えた電気・電子部品の構成体において、
    前記電気・電子部品は、コンデンサであり、
    前記基体は、前記コンデンサの蓋体である
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体。
  10. 金属製の平板を絞り加工し、前記平板から突出するとともに端子の外径より所定量大きい寸法の内周部を有するU字状部が、1以上、形成された金属製の基体を加工する第1の工程と、
    前記U字状部の先端を削除し、前記内周部を貫通穴とする第2の工程と、
    前記端子の外周部、及び、前記基体の前記内周部に表面処理を施す第3の工程と、
    金型内に前記基体及び前記端子をインサートする第4の工程と、
    前記金型に形成されたキャビティ内に熱可塑性樹脂組成物を射出し、前記基体と前記端子とを一体化する第5の工程とからなる
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体の製造方法。
  11. 請求項10に記載された電気・電子部品の構成体の製造方法において、
    前記金属製の端子は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のものであり、
    前記第3の工程は、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性アミン系化合物から選択される1種以上の水溶液に浸漬する表面処理を施す工程である
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体の製造方法。
  12. 請求項10に記載された電気・電子部品の構成体の製造方法において、
    前記金属製の端子は、銅または銅合金製のものであり、
    前記第3の工程は、表面を化学エッチングする表面処理を施す工程である
    ことを特徴とする端子を備えた電気・電子部品の構成体の製造方法。
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