JP2003169725A - 座席、及び、乗物用座席 - Google Patents

座席、及び、乗物用座席

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JP2003169725A
JP2003169725A JP2001373743A JP2001373743A JP2003169725A JP 2003169725 A JP2003169725 A JP 2003169725A JP 2001373743 A JP2001373743 A JP 2001373743A JP 2001373743 A JP2001373743 A JP 2001373743A JP 2003169725 A JP2003169725 A JP 2003169725A
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movable seat
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Koichi Iwata
耕一 岩田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乗物の移動に応答して発生する遠心力を、局
所可動座部に作用させ、該可動座部を遠心力により枢動
自在に変動せしめ、かかる枢動変動により運転手/乗客
の腰部を強制的に枢動変動させ、ストレス放出運動とし
て座っている人の身体に強制的にフィードバックするこ
との可能な乗物用座席や敷物を提供する。 【解決手段】 床と係合するベース部と、身体腰部の局
所可動座部とを具え、この局所可動座部とベース部と
を、所定の形状の曲面に基づき枢動運動が可能な枢動機
構で直接接続し、更に、前記可動座部とベース部との枢
動する空間に、滑り防止材を介在させ、乗物の移動に伴
って、身体に作用する重力/加速度/遠心力に作動的に
関連して、前記局所可動座部を枢動自在に変動せしめ、
この座部変動が腰部を介してストレス放出運動として座
席に座っている人の身体にフィードバックされることに
より上記課題は解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、身体の一部、又
は、全体を、長時間、ほぼ一定の姿勢で、かつ、疲労感
を発生させずに、快適に支持すると共に、自然な着座感
で利用し続けることの可能な、薄く、軽量、コンパクト
で、耐久性/安定性に優れた、座席、乗物用座席、及び
/又は、上記座席等で利用可能な敷物に関する。尚、本
発明では、キーデバイス:軸部(ユニバーサルジョイン
ト機構)の動作が、大局的に観察すれば、ほぼ中央部を
中心として、3自由度の枢動回転する動きが、その原理
/動作の中心となるので、枢動と表現しているが、軸部
の回転転がり運動や回転滑り運動を回動と呼ぶのであれ
ば、本発明の枢動運動には、回動運動を含むのは、当業
者に明らかである。
【0002】
【従来の技術】a1) 米国特許USP3、309、137号には、Wieb
eによりボート等の乗物の座席であって、フィシング競
技に適した座席が開示されている。 a2) 米国特許USP5、728、049号には、Albertsにより治療
用座席であって、身体の座部を、ボールーソケットージョ
イント機構により、多自由度の回転運動が可能なように
構成した治療用椅子が記載されており、下半身、腰、背
中等に生ずる筋肉疲労を低減し、座ったままでの運動の
自由度を向上させるようになっている。 a3) 米国特許USP5、816、661号には、Sakuraiらにより乗
物用の座席であって、クッション性を向上させ、運転者
が長時間着座して運転操作をする場合でも、身体に無理
がかからず、安定した着座感があって疲れにくい座席装
置が開示されている。 a4) 米国特許USP5、783,278号には、Nishimuraらにより
補強繊維織物の製造方法及び装置が記載され、特に、炭
素繊維強化織物の製造方法が開示されている。 a5) 米国特許USP5、639、543号には、Isodaらによりリサ
イクルの容易な、3次元網状体構造体からなるクッショ
ン材が開示されている。 a6) 又、長時間、自動車、新幹線、飛行機等に乗ってい
ると、特に、エコノミークラスの座席では、非常に狭い
座席空間しか乗客に用意されておらず、身体に血行障害
が発生し、いわゆる、エコノミークラス症候群と呼ばれ
る症状を呈する乗客が増加している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
a1)〜a3)の各技術には、以下の様な問題点があった。 b1) 137(Wiebe)に記載された座席の構造には、本発明と
同様な発想も見受けられる。しかしながら、凸部の向き
が反対であるので、可動座部に自己復帰能力が無く、
又、利用者が座席に座った状態での、座部の動作に対す
る思想が、根本的に異なっている。則ち、a1)では、座
席に座ったフィシング競技中は、座席が、ふらふら、枢
動して揺れると、競技の重大な障害となるので、人が座
った状態では、座席は、基本的に揺動せず、床面等に、
しっかり固定されているのが望ましく、座った状態の姿
勢や角度を変更したい場合には、一度、腰を浮かして座
部の姿勢角度を変更し、改めて着座しなおす動作を基本
としている。従って、一度座席を傾けると、傾けた方向
に更に傾斜しやすくなり、座部に自己復帰機能が無いの
で、長時間、a1)のような座席を利用すると、姿勢保持
のため疲労感が蓄積されやすいといった問題点があっ
た。一方、本発明では、着座したままの状態で、着座者
が、特別に立ち上がったり、座部から離れたりすること
なく、座席に座ったままの状態で、可動座部を、前後/
左右方向に自由自在に枢動回転運動させてストレッチ運
動することが可能であり、固定座席をストレスが蓄積せ
ず、快適かつ動的に変動する可動座席に転換でき、座席
の利用者が、自由自在にその姿勢や角度を簡単にクッシ
ョン性よく(従来のクッション性は、静的荷重に対して
のみ考慮されているが、本発明では、静的クッション性
と同時に、座ったまま運動・変動している状態での動的
クッション性も提供でき、これを以下、枢動(ピボッ
ト)クッション性と呼ぶ)変更が可能であり、又、後述
するように、座部形状から自動的に生成される自己復帰
機能が内蔵されているので、自動的に一番バランスのと
れた姿勢角度の位置に移動するように機能し、更に、遠
心力等が作用した場合には、本発明の座部形状により、
遠心力を積極的に枢動運動の外部駆動源として活用し、
強制的ストレッチ運動が可能なストレス解消機能を有す
る局所可動座部に転換し、新しい機能を座席に付与して
いる。更に、滑り防止材の利用方法が異なっており、a
1)の弾性部材は、ネオプレンゴム等で構成され、永久圧
縮歪が30%以上と比較的大きく、体重等の重負荷を架け
て長時間使用していると、弾性が急速に失われてくる
が、本発明では、例えば、シリコーンゲル材やポリウレ
タン・エラストマを利用すると、永久圧縮歪は3%前後
で非常に安定しており、長時間使用してもほとんど変形
せず問題が無い。 b2) 049(Alberts)に記載された椅子では、身体の座部
を、凸面及び凹面の組合せにより構成し、かかる凸面及
び凹面の間には何も介在させていないので、本発明の枢
動クッション性が無く、5分以上連続して座り続けると
非常に座り心地が悪くなるといった問題点や、凸面及び
/又は凹面の加工精度/組立精度が粗いと、所望の回転
運動をさせた場合に、ごつごつした動きや騒音が発生
し、身体にフィードバックされるといった問題点や、回
転運動の自由度のみで並進運動の自由度が無いので、ス
トレッチ運動で可能な動きの自由度や移動可能な空間範
囲が特定の回転中心の回りだけに強く限定され、長時間
の利用ではストレスが蓄積されやすいといった問題点
や、部品点数が多く凹凸面に高精度の加工精度が要求さ
れ装置の価格が高くなる、下方に突出した機構となって
いるので装置全体の大きさを、その高さが低く薄く小型
化するのに限度があり、限られた空間と燃費向上のため
出来る限り軽量化された重量の範囲内で、安全/快適性
の要求される乗物の座席としては利用し難い機構である
といった問題点があった。 b3) 661(Sakurai等)に記載された乗物の座席の座部は、
その基本構造が、平面的、かつ、固定されて、座部自体
は、全く移動不可/回転不可の機構/構造のものが大半
なので、もともと動物の一種であり動き回ることが基本
の人間の本能を無意識の内に拘束し、着席者の全身の筋
肉や神経に、無意識の内に過大な疲労感/倦怠感が蓄積
する構造となっていた。又、想定されている着席者のモ
デルも、人体が、剛体のデッドマン(dead man)モデルで
近似され、骨格及び筋肉と共に小脳からの指令で運動能
力を発現可能な生きた人間モデルとは、全くかけ離れた
モデルを想定して疲労メカニズムが解析されているの
で、30分乃至2時間以上の長時間の連続使用では、ほと
んどその効果が認められなかった。 b4) 278(Nishimura等)に記載された補強繊維織物の製造
方法及び装置によれば、CFRPに適した炭素繊維強化織物
を、低コストで効率よく製造することができ、本発明で
も同様の強化繊維織物を利用すると、装置の軽量化に非
常に有効である。 b5) 543(Isoda等)に記載された3次元網状体構造体から
なるクッション材は、従来のクッション材を単に置き換
えただけであるが、本発明では、かかるクッション材が
滑り防止材としても利用可能であることを示した。 b6) 従って、自動車/電動車椅子等の車両や、飛行機
/船/電車等の乗物で長時間の移動を行う場合、乗物の
座席に、いわば、縛り付けられ/固定された状態で、移
動することとなり、じっとしていられなくなる疲労感/
痛みを解消することは、運転者/乗客にとり、切実な問
題であり、長時間の飛行等では、特に、エコノミークラ
ス症候群として重大な問題となっているが、かかる問題
点は、従来の技術では何等根本的解決手段が施されなか
った。又、テーブル/事務机/教室や音楽/演劇ホー
ル、パチンコ等のゲームセンター等でも、椅子に腰掛け
た状態で、身体の一部又は全体を、長時間、ほぼ一定の
姿勢で保持/支持し続けることも多く、限られた設置空
間の範囲内で、足、下肢、首、下半身、腰、背中、全身
等に生ずる、じっとしていられなくなる疲労感/痛みを
解消することは、生活者/作業者/生徒/観客/遊戯者
にとり、切実な問題であった。更に、病気や怪我によ
り、身体の機能に障害が生じ、布団やベッド等の寝台で
生活する場合にも、枕/寝台等に身体の一部又は全体
を、長時間、ほぼ一定の姿勢で保持/支持し続けること
となり、足、下肢、首、下半身、腰、背中、全身等に生
ずる、じっとしていられなくなる疲労感/痛みを解消す
ることは、生活者/病人/障害者にとり、切実な問題で
あった。よって、本発明は上述の様な事情に鑑みて成さ
れたものであり、本発明の目的は、従来放置されてき
た、身体の一部又は全体を、長時間、ほぼ一定の姿勢で
保持/支持し続けても、座席や敷物の利用者が、自分の
骨格、筋肉を無意識のうちに動かし姿勢等を微少変化さ
せ、足、下肢、首、下半身、腰、背中、肩、下半身/上
半身等に、蓄積されるストレスを無意識の内に発散させ
ることができ、非常に快適な使用感のする、金属製バネ
が不要で、薄く、小型、軽量、コンパクトで、耐久性/
安定性に優れた、枢動クッション性と自己復帰機能を有
する局所可動座部を具えた枢動自在な座席、乗物用座席
や敷物を提供することにある。又、本発明の他の目的
は、乗物の移動に応答して発生する遠心力を、局所可動
座部に作用させ、上記座部を遠心力により枢動自在に変
動せしめ、かかる枢動変動により運転手/乗客の腰部を
強制的に枢動変動させ、ストレス放出運動として座って
いる人の身体に強制的にフィードバックすることの可能
な、金属製バネが不要で、薄く、小型、軽量、コンパク
トで、耐久性/安定性に優れた枢動自在な乗物用座席や
敷物を提供することにもある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、乗物の座席に
関し、本発明の上記目的は、床と係合するベース部と、
身体腰部の局所可動座部とを具え、この局所可動座部と
前記ベース部とを、所定の形状の曲面に基づき枢動運動
が可能な枢動機構で直接接続し、更に、前記可動座部と
前記ベース部との枢動する空間に、滑り防止材を介在さ
せ、前記乗物の移動に伴って前記身体に作用する重力/
加速度/遠心力に作動的に関連して、前記局所可動座部
を枢動自在に変動せしめ、この座部変動が前記腰部を介
してストレス放出運動として前記座席に座っている人の
身体にフィードバックされるようにすることによって達
成される。又、本発明は、敷物にも関し、本発明の上記
目的は、ベース部と、身体腰部の座部とを具え、この座
部と前記ベース部とを、所定の形状の曲面に基づき枢動
運動が可能な枢動機構を形成するように直接接続し、又
は、載置し、更に、前記座部と前記ベース部との間の枢
動する空間に、滑り防止材を介在させ、前記敷物に作用
する重力/加速度/遠心力を、前記滑り防止材及び前記
枢動機構により、前記座部の局所枢動クッション変動に
転換し、前記敷物に座っている人に、枢動クッション変
動を提供することによっても達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の
好適な実施例について、詳細に説明する。尚、本発明の
乗物には、自動車/電動車椅子/トラック/ホークリフ
ト/ブルトーザ等の車両や、飛行機/船/電車等の乗
物、更に、馬車、自転車、オートバイ等の乗物、クレー
ン/建築機械/遊園地等の乗物を含み、又、本発明の椅
子を含む座席には、テーブル/事務机/教室/学校や音
楽/演劇ホール等で使用される椅子や、パチンコホール
/ゲームセンター等の遊戯施設等で使用される椅子を含
む。以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施例につ
いて、詳細に説明する。先ず、図1〜図7は、本発明の
座席9aを車両10aに組込んで一体に形成した1例を示す
図であり、図1(A)は、車両10aがカーブのある道路を走
行している様子を示す図、図1(B)は、本発明の座席9a
の全体を示す斜視図である。尚、図1〜図7において、
軸部5及び滑り防止材3a,3b、粘着材34、36等は、その積
層された構造を明確にするため、非常に、誇張された大
きさで描かれている。図2(A)は、中央に中空部93を有
する固体化外周フード4aを具えた座部1aを拡大した平面
図、図2(B)は、その2B-2Bでの横断面図である。図3
(A)は、下部がクッション補強材26aで形成された平板部
2aの平面図、同図(B)は、その3B-3Bでの横断面図、図3
(C)は、下部が剛性補強材26bで形成された平板部2bの平
面図、同図(D)は、その3D-3Dでの横断面図である。図4
(A)は、クッション材で形成された外周フード4aの平面
図、同図(B)は、その4B-4Bでの横断面図、図4(C)は、
コイル状支柱部8の平面図、同図(D)は、その正面図、同
図(E)は、その底面粘着材82の正面図である。図5(A)
は、滑り防止材3a又は3bの平面図、同図(B)は、その5B-
5Bでの横断面図、図5(C)は、滑り防止材3aの底面用粘
着部材34の平面図、同図(D)は、その横断面図、図5(E)
は、滑り防止材3aの上面用粘着部材36の平面図、同図
(F)は、その横断面図である。図6(A)は、軸部5の平面
図、同図(B)は、その6B-6Bでの横断面図、図6(C)は、
クッション補強材61の平面図、同図(D)は、その6D-6Dで
の横断面図、図6(E)は、クッション材62の平面図、同
図(F)は、その6F-6Fでの横断面図である。図7(A)は、
直線道路を走行中の図1(B)の座部1aの7A-7Aでの横断面
図、同図(B)は、その平面図、図7(C)は、図1(A)のカ
ーブを走行中に、座部1aに作用する遠心力を示す横断面
図、同図(D)は、その遠心力の作用する位置を示す平面
図、図7(E)は、図1(B)に示す座部1aの7E-7Eでの縦断
面図である。図8は、本発明の座席の動作を説明する図
であり、図8(A)は、本発明の座席に着座した状態での
前後方向の断面図、同図(B)は、その左右方向での横断
面図である。図9(A)は、本発明の座席で、可動座部7a
の位置を左上方に移動させて利用する場合の平面図、図
9(B)は、本発明の座席で、可動座部7aの位置を右下方
に移動させて利用する場合の平面図、図9(C)は、3次
元網状構造体からなるクッション材を滑り防止材として
使用した場合の一部を誇張して拡大した横断面図であ
る。図10は、本発明の座席を飛行機の座席9bに組込ん
で一体に形成した場合の動作を説明する図であり、図1
0(A)は、本発明の飛行機の座席9b全体の斜視図、同図
(B)は、その座部分1bを拡大した図、図10(C)は、その
前カバー4bを外した複数の座部の状態を示す図、同図
(D)は、前カバー4bを含む座部1bの前後方向の縦断面図
である。図11は、反りの無い薄板状平板部の1構成例
を示す断面斜視図である。図12は、ベース部の薄板状
平板殻体の種々の断面構造を示す図であり、図12(A)
は、強化繊維層の片側にマット層を配置したものの横断
面図、図12(B)は、強化繊維層の両側にマット層を配
置したものの横断面図、図12(C)は、マット層の両側
に強化繊維層22a,22bを配置したものの横断面図、図1
2(D)は、いずれかの態様のものに、更にゲルコート層
又は不織布層を設けたものの横断面図、図12(E)は、
種々の交差角からなる2方向性織物を積層させた薄板状
殻体の構成例を示す図である。図13は、軸部の曲面部
成形に用いるプリフォームを示しており、図13(A)
は、本発明のプリフォームの一部を破断した概略斜視
図、図13(B)は、その縦断面図、図13(C)は、図13
(A)のプリフォームの平面図である。図14は、ベース
部2i(i=r〜w)と可動座部7i(i=r〜w)との種々の形状の組
合せ構造を示す図であり、図14(A)は、ベース部2rの
上面が平面28で、可動座部7rの下部が凸曲面51の枢動機
構5rの横断面図の1例であり、同図(B)は、ベース部2s
が凸曲面28sで、可動座部7sの下部が平面51sの枢動機構
5sの横断面図の1例であり、同図(C)は、可動座部7tの
下部が凸曲面51tで、ベース部2tが凹曲面28tの枢動機構
5tの横断面図1例であり、同図(D)は、可動座部7uの下
部が凹曲面51uで、ベース部2uが凸曲面28uの枢動機構5u
の横断面図1例であり、同図(E)は、ベース部2vが凹曲
面28vで、可動座部7vの下部が平面51vの回動機構5vの横
断面図1例であり、同図(F)は、ベース部2wが平面28w
で、可動座部7wの下部が凹曲面51wの回動機構5wの横断
面図1例であり、合計6種類の組合せが、それぞれ、利
用可能である。
【0006】本発明の第1実施例の座席(椅子を含む)
9aは、乗物(自動車、トラック、電車、飛行機を含む)
10の座席として、一体に組込んで構成したもので、単に
可動座部7aの上に腰掛けるだけで特別な訓練を受けなく
ても容易に使用でき、可動座部7aに着座したままの状態
で着座者が、特別に立ち上がったり、座席9aから離れた
りすることなく、可動座部7aに腰掛けたままの状態で、
上半身及び下半身を前後/左右方向に自由自在に運動可
能な動的座席が提供でき、座席に座ったままでは容易に
姿勢の変更ができない従来の固定構造の椅子や乗物用固
定構造の座席と異なり、枢動回転を主体としたストレッ
チ運動中は勿論、単に着座している状態でも、並進移動
・回転運動を含む非常に多様な自由度を有するストレッ
チ運動が実行でき、長時間連続して使用しても疲労感の
蓄積しない非常に快適な枢動クッション性が得られる座
席構造が実現でき、更に、カーブ/右折/左折等で遠心
力が座席に作用した場合には、従来の静的座席では経験
することのない強制的ストレス発散用の枢動発散変動
が、可動座部7aから腰部を介して身体にフィードバック
されるので、血液の循環が促進され、ストレスが蓄積せ
ず、クッション性に優れ、快適かつ動的に変動し、運動
することの可能な可動座席を提供できる。座席9aの構造
は、図1(B)にその概略を示すように、座部1a及び背凭
れ(シートバック)92からなり、背凭れ92は従来と同様の
ものが利用でき、リクライニング式の背凭れが好まし
く、座部1aは、図示しない前後方向のスライド機構によ
り前後の位置が調節可能なものが好ましく、又、図示し
ないシートベルトも利用できるものが好ましい。しかし
て、座部1aは、図2(B)にその横断面を示すように、大
きくは2つの部分、則ち、略平面平板状のベース部2a
と、球殻の一部曲面殻体から成る軸部5及びクッション
補強材(裏打ち材)61ークッション材62-表皮材63を積層
して形成した衝撃吸収体60(通常のクッション材)から
なる局所可動座部7aとを具え、ベース部2aと可動座部7a
とで、枢動機構5aを形成し、、更に、枢動する可動座部
7aの周囲には、ベース部2aと一体に、中央に穴部47を有
し、その内部に中空部93の形成された3次元網状体等の
クッション材から成る固体化外周フード4aと、外周フー
ド4aを支持し可動座部の移動可動な空間を確保するため
の支柱部8とから構成されている。則ち、可動座部7aと
ベース部2aとは、所定の形状の曲面51に基づき枢動運動
が可能な枢動機構(ユニバーサルジョイント機構)5aを形
成する様に直接接続し、又は、載置され、更に、可動座
部7aとベース部2aとの間の枢動する空間に、適度な柔ら
かさを有しシート状物からなる滑り防止材3i(i=a〜c)を
介在させ、座部1aに作用する重力/加速度/遠心力を、
滑り防止材3i及び枢動機構5aにより、可動座部7aの局所
枢動クッション変動に転換し、この枢動クッション性
は、従来の固定構造の座席では全く提供されてこなかっ
たクッション作用であり、又、上記枢動機構により、座
席9aに座っている人に、遠心力を外部駆動源にした、腰
掛けたままでの強制的ストレス発散用ストレッチ運動が
可能な可動座席を提供し、或いは、着座者の自主的な意
思に基づいて利用可能な座ったままでの自立的ストレッ
チ運動を快適に補助・支援する局所可動座席を提供する
ようになっている。尚、図4に示す外周フード4a及び支
柱部8は、省略しても本発明の座席の機能に支障ないこ
とは当業者に明かであり、又、本発明の枢動クッション
性は、クッション補強材61ークッション材62からなる従
来の静的衝撃吸収体では全く生成したり提供することが
できず、かかる枢動クッション性は、枢動曲面51と滑り
防止材3iと平面状ベース部(又は曲面51に対応した凹曲
面28又は凸曲面28を有するベース部)2aとが組合わされ
て初めて生成され、適度な柔らかさを有する粘弾性力が
中心となり、適度の粘着力と、永久圧縮歪の少ない弾力
性とが、適宜組合わされ合成されて初めて実用可能であ
り、常時、体重が滑り防止材3iに負荷されるので滑り防
止材3iには後述する優れた耐久性能が要求され、かかる
滑り防止材3iを利用すると、着座している利用者の時々
刻々と変動する姿勢・角度や環境条件に応じて自動的に
快適な枢動クッション性能が生成され、可動座部7aが常
時変動することが身体変動の疲労蓄積や障害となるより
は、むしろ身体の自主的・自立的運動を補助し、しか
も、無意識の内に身体変動に快適に適応するようにクッ
ション作用が生成されるようになっている。図2の断面
構造の座部1aでは、ベース部2aの上方に形成された平ら
な平面状平板部の上面28に、後述する滑り防止材3iを載
置し、更に滑り防止材3iの上面に、可動座部7aの下部を
構成し下方に凸曲面を有する枢動曲面51を含む軸部5
が、直接、載置されて、枢動機構5aが形成され、特別な
外部動力源が何も用意されていない枢動運動機構である
にも拘らず、座席9aを利用中の環境条件により、例え
ば、乗物(自動車)の座席に着座していると、当該乗物
の移動に応答して、カーブ/右、左折等で発生する遠心
力が可動座部7aに作用し、外部駆動の特別な動力源無し
に、上記加速度が、着座者を乗せたままの可動座部7aを
自動的に大きく駆動して、着座者の腰部を局所強制的に
枢動/傾動せしめ、強制的ストレス発散運動が着座者に
提供される。或いは、上記乗物の移動に基づく加速度が
全く利用できない静止した事務用椅子として座席9aを利
用した場合でも、着座者の上半身等の僅かな身体移動に
より、その重心が僅かに変化すると、この僅かな重心移
動に応じて生成される重力モーメントに応答して可動座
部7aが駆動され、自動的に身体の重心移動作用として枢
動/傾動運動が、着座者の腰部を中心とした骨格ー筋肉
に引き起こされ、しかも同時に、かかる身体の骨格運動
が、瞬時に、着座者の小脳にフィードバックされ、更に
滑り防止材3iの粘着力の作用により可動座部がつるつる
滑ることが防止できるので身体を変動させた場合の骨格
のバランスをとる神経の働きを常時働かせておく必要が
無く、従って、従来固定されていて全く移動不可能な状
態で提供されていた座席の座部が、滑り防止材3iの適度
な粘弾性力により、瞬時に反作用方向に枢動/傾動可能
となり、着座空間という非常に狭く、制約条件の非常に
多い局所空間であっても、ストレス発散のために十分な
可動範囲のストレッチ運動を実行可能とする空間と頑強
な構造の機構が十分確保でき、無意識の内に、ほんの僅
かな重心移動で腰部を中心に、ゆったり、かつ、快適に
枢動クッション運動が実行できるようになっている。
尚、図2(B)の断面では、誇張して、外周フードの上部
内周面と可動座部のクッション材又は表皮材とが、接触
した状態で描かれているが、外周フードの上部内周面と
可動座部のクッション材又は表皮材との間には、間隙を
設け、通常は非接触の状態で載置され、可動座部が大き
く傾動された場合にのみ接触するように配設したほう
が、可動座部の手動シフト操作や外周フードの耐久性の
面からは好ましい。又、可動座部7aのクッション材62の
上面に、直接、シート、及び/又は、ネット状物で形成
した表皮材63を被覆した構造で可動座部を形成すると、
直接、可動座部の上表面を、敷物の上表面として露出さ
せることも可能であり、好ましい。従って、本発明の座
席9aは、飛行機や自動車等の乗物の座席として使用する
と、特に、長時間連続して着座し続ける場合に問題とな
るエコノミークラス症候群と呼ばれる症状に対しては、
特別に薬剤を服用しなくても、その効果が非常に感得で
き、かかる一見、非常に不安定に見える可動座部構造/
枢動機構の座席を設置して、乗物の運転をしたり、乗車
することは、非常に危険であると勝手に推測され、従
来、試行されることがなかったし、乗車中にかかる座席
の上で過ごすことは非常に疲労感を増すだけであると勝
手に想像され、従来試行されることもなかったが、本願
発明者が、自動車の座席に応用しシートベルトをした状
態で運転したところ、片道、約4〜5時間休みを取らず
に連続して運転しても、滑り防止材3iを含む枢動機構5a
により、可動座部7aの枢動運動に快適な粘弾性力に基づ
くクッション性が付与されて、枢動/傾動変動が生じて
も、座席の着座者に対し、非常に滑らかな腰部を中心と
した局所的下半身のストレス解消運動と、着座感の良好
かつ快適な座席を提供でき、しかも、シートベルトを着
用している場合等では、頭部及び前腕等の上半身は、背
骨が適宜自然に湾曲することにより、上記下半身の局所
的枢動運動に殆ど影響されず、又は、下半身の運動と同
時に、快適にストレスを発散でき、その結果、ほぼ一定
の姿勢を保って長時間運転していても、運転中、それま
で感じていた腰及び背骨や下半身の傷みが殆ど感じられ
ず、非常に快適に運転でき、更に降車後は、即座に、別
の仕事等に従事することが可能であった。又、従来の固
定化され静止した構造の椅子/座席やこれに付属した敷
物では、座っているだけの全く受動的な静的クッション
性のみが問題とされてきたので、かかる全身運動を補助
するストレス解消運動等の能動機能(動的クッション
性)に対しては、完全に配慮が欠けており、他方で、従
来のa2)に開示されているような枢動可能な治療用の椅
子では、つるつる滑るので特別な訓練が必要であり、か
つ、長時間の利用は不可能であり、クッション性は全く
考慮されておらず、運動の自由度や快適性に対しては、
全く配慮が欠けていたので、2〜4時間以上の長時間の
椅子/敷物の使用等とても想像できなかった。一方、本
発明の座席では、軸部5と平面28との間に、介挿された
滑り防止材3iの粘弾性力及び粘着力により、可動座部7a
の枢動運動に、同一姿勢の保持能力(粘着力による)と
クッション性(適度な柔らかさの弾性体の弾力性によ
る)を同時に付与できると共に、いわゆる凹凸曲面の組
合せ構造(ボールージョイント機構)では提供不可能な
可動座部7aの局所並進運動も回転運動と同時に提供可能
なので、可動座部7aのつるつるした不規則変動を完全に
防止でき、更に、ヨー、ピッチ、ロール等の3自由度以
上の回転運動能力と共に、前後/左右方向への局所並進
移動運動能力も付与でき、座部1aの高さ(厚さ)が60mm
以内の非常に薄く形成された僅かな設置空間であって
も、枢動変動/傾動移動中は、座席の着座者に対し、ス
トレス発散運動に対して十分に広い運動空間と着座した
ままでの非常に滑らかな動きが提供可能な機構と、着座
感の良好・快適な枢動クッション性を提供でき、2〜8
時間以上或いは24時間の連続長期間着座し続ける利用
方法でも、従来の座席や敷物と比較して、約1/5〜1/10
以下の疲労感しか発生しない、非常に快適かつ活動的な
座席/敷物が実現できている。更に、滑り防止材3iに
は、乗物の床等下方から伝達される不規則振動の吸収効
果があるので、活発能動的な動きが常時生じているにも
拘らず、非常に音が静かであり、軸部5及び補強材61ーク
ッション材62が積層されて形成された非常に軽量の座部
1aにより、無意識の内に、ストレス発散運動が自然に導
かれ、実行できるようになっている。又、座席を構成す
る部材を全て熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラスト
マで製作すると、資源のリサイクルが容易である。尚、
滑り防止材3iの剛性/柔かさは、本発明者の種々の実験
に基づく感じでは、人体の筋肉、又は、柔らかい肉組織
と、ほぼ同等の柔らかさが、最も好ましいように感じ
た。尚、本発明の座部1aは、そのまま単独で取り出し、
敷物(マット)として利用することも可能であり、かか
る利用方法では、従来の固定構造の座席を、簡単に枢動
クッション性を具えた動的可動座席に転換可能である。
【0007】次に、座部1aのベース部(ベース・フレー
ム)2i(i=a,b)の構造を詳細に説明すると、図3には2
種類のベース部2iが図示されており、図3(A)(B)のベー
ス部2aは、軽量で、かつ、平面(水平状態に設置した
り、又は、乗物等では図6(E)に示す様に、少し前方を
上方に傾斜させた平面状に設置するのが好ましい)状態
を、上部の可動座部7aに対して提供できる構造であり、
薄板平面状平板部全体としての剛性を主として受けもつ
部分となる薄板平板状殻体21と、その下方に殻体21と一
体に形成され、外周に嵌合突起部260を有するた衝撃吸
収用補強材(底面が平らなシート状物からなる熱可塑性
エラストマ26cや3次元網状構造体26d等の衝撃吸収用弾
性部材からなるクッション性補強材)26aからなる平板
部2aとして構成され、座部1aの不動部(固定側)は、更
に、図2(B)に示すような平板部2aの上面28に載置され
た滑り防止材3i(i=a〜c)と、可動座部7a全体を被包し、
嵌合溝46を介してベース部2aと一体に形成され、中央に
穴部47を有し、その内部が中空な3次元網状体等のクッ
ション材から成る固体化外周フード4a(図4(A)(B))
と、外周フード4aを支持し可動座部の移動可動な空間を
確保するためのコイル状支柱部8とから構成され、これ
らの構成部材は、それぞれ相互に着脱可能、又は、ワン
タッチ着脱可能に構成するのが好ましい。又、ベース部
2bは、図3(C),(D)に示すように、薄板平面状平板部全
体としての剛性を主として受けもつ部分となる薄板平板
状殻体21と、その下方に一体に形成された合成樹脂等か
らなる剛性補強材26bからなる平板部としても構成可能
であり、補強材26bには、図3(D)に示す様に、縦/横方
向に配設されたリブ27a,27bを一体に形成して、非常に
薄く軽量な構造であっても、その強度を高めることも可
能である。上記平板部2iの主たる剛性部材となってい
る、則ち、平板部全体としての剛性を主として受けもつ
部分となっている薄板平面平板状殻体21の主たる材質
は、可撓性部材、弾性部材、ABS樹脂、ポリエチレ
ン、ポリ塩化ビニル(以下、PVCという)、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン(以下、PPという)、ポリビニルア
ルコール(以下、PVAという)、メタクリル樹脂、石油
樹脂、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネ
ート、ポリアセタール、弗素樹脂、ポリイミド、ポリエ
ーテルエーテルケトン(以下、PEEKという)、ポリフ
ェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリシ
クロオレフィン等の熱可塑性樹脂、又は、フェノール樹
脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ア
ルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性
樹脂、則ち、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等の合成樹
脂材、又は、プラスチック、繊維強化プラスチック(以
下、FRPという)、又は、ポリアミノ酸、脂肪族ポリ
エステル、ポリーεーカプロラクトン、PVA、キトサ
ン、澱粉、セルロース等と汎用性ポリマーとの混合物等
の生分解樹脂部材、又は、ウレタンゴム、シリコーンゴ
ム、ポリエチレン及びポリスチレンの共重合体をポリマ
ーの主成分とする低硬度ゴム、ブタジエンゴム、イソプ
レンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、
スチレンーブタジエンゴム、エチレンープロピレンゴム、
クロロプレンゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴ
ム、弗素ゴム、多硫化ゴム、ポリエーテルゴム、クロロ
スルホン化ポリエチレン等の合成ゴム、又は、天然ゴ
ム、又は、これらの組合せから成るグループから選択さ
れたもの、更に、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ
アセタール、ポリエチレンテレフタレート(以下、PE
Tという)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBT
という)、ポリフェニレンエーテル、PEEK、ポリフ
ェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、
ポリエーテルスルホン、ポリケトンスルフィド、ポリエ
ーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリ四
弗化エチレン、芳香族ポリエステル、ポリアミノビスマ
レイミド、トリアジン樹脂等のエンジニアリングプラス
チック、軽量、高強度、高耐貫通衝撃性等の特性に優
れ、比弾性率が大きく、かつ、比強度が大きい炭素繊維
を用いた炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPと
いう)、炭素繊維、ボロン繊維、ポリケトン繊維、アラ
ミド繊維、ガラス繊維等の高強度強化繊維基材と、フェ
ノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレ
タン、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の
熱硬化性樹脂との複合材料である熱硬化性FRP、ガラ
ス繊維強化プラスチック(以下、GFRPという)、炭素
繊維、ボロン繊維、ポリケトン繊維、アラミド繊維、ガ
ラス繊維等の高強度強化繊維基材と、ポリエチレン、ポ
リアミド、PVC、ポリスチレン、PP、PVA、メタ
クリル樹脂、石油樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリカー
ボネート、ポリアセタール、弗素樹脂、ポリイミド、P
EEK、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダ
ゾール、ポリシクロオレフィン等の熱可塑性樹脂との複
合材料である熱可塑性FRP、合成皮革部材、多孔質性
部材、セラミックス部材、鉄、ステンレス、アルミニウ
ム、マグネシウム、チタン等の金属部材、磁性部材、木
材/竹/皮革等の天然部材、紙、板紙、ダンボール、及
びこれらの組合せから成るグループから選択される種々
の部材が利用可能であり、これらの部材には、更に、難
燃性部材、耐熱性部材、不燃性部材、自己消火性部材、
導電性部材を少なくとも1つ含むように配合せしめ、難
燃性や耐熱性を向上させたり、静電気対策を施すことも
可能である。上記薄板平板状殻体21は、FRPや合成樹
脂等で製作可能であり、その構造は、c1)軽量化の点で
は、FRP製の殻体21で構成するのが好ましく、又、c
2)資源のリサイクルの観点からは、熱可塑性樹脂、中で
も、ポリエステル、ポリアミド、及び/又は、ポリオレ
フィン系熱可塑性樹脂で構成するのが好ましい。 c1)先ず、軽量化に優れる薄板状FRP板で、上記薄板
平板状殻体21を構成する場合には、かかるFRP板21
は、例えば、図12に示すように、強化繊維からなる、
1枚、又は、2枚、3枚、4枚、5枚等の複数の強化繊
維基材21a、21bと、図示しない中央部に局所的に存在せ
しめた補強織物から構成し、強化繊維基材21i(i=a〜b)
は殻体の全面に積層し、マット状物22と強化繊維織物23
とで構成し、マット状物22は殻体21の上外表面側に積層
するのが好適で、殻体21の成形後の厚さは、0.15〜5mm
の範囲、より好ましくは、0.2〜3mmの範囲、更に好まし
くは、0.3〜2mmの範囲に形成するのが好ましい。0.15mm
未満の厚さでは所望の強度・剛性を得るのが難しいほ
か、衝撃によって板を貫通してしまうような傷が生じる
可能性が高い。一方5mmを越えると、強度・剛性は十分
であるが、重量の面で重くなる欠点がある。尚、平板状
FRP殻体21の厚さが、0.4〜3mmのもので、強度が十分
である場合には、リブの無い平板状のクッション性補強
材26aで、その厚さが1.0〜5.0mmの熱可塑性エラストマ
/フォーム材やポリエチレン系ゲル等のゲル材、3次元
網状体も利用可能であり(図9(C))、薄板状殻体21と一
体に発泡成形可能な、熱可塑性樹脂発泡体、オレフィン
系熱可塑性樹脂発泡体、発泡スチロール、ポリウレタン
系ゴム等の弾力性ゴムや、軟質或いは硬質のポリウレタ
ンフォーム、ビーズ発泡ポリスチレン、押出発泡ポリス
チレン、ポリエチレンフォーム、PPフォーム、フェノ
ールフォーム、ユリアフォーム、ポリ塩化フォーム、シ
リコンフォーム、エポキシフォーム、ポリイミドフォー
ム、メラミンフォーム、ポリエステルフォーム、エチレ
ン酢酸ビニルフォーム等も利用可能で、更に、軽量な熱
可塑性樹脂発泡材で、その比重が0.02以上で1.0以下の
ものも好ましく、比重が0.02以上で0.2以下であるとよ
り好ましく、シリコンゴム、スポンジ、3次元網状体等
のクッション材でも上記弾性補強部材26aを形成するこ
とができる。又、平板部2bには、その下部に一体に、前
後方向のリブ27a/左右方向のリブ27b(図3(D))、複
数の同心円形状/放射状等のリブを形成したり、サンド
イッチ構造で平板部を形成すると、軽量化を計りなが
ら、一段とその強度を高めることも可能であり、リブ及
び補強材を含む平板部2iの形状は、その上平面の形状が
円形/半円形/楕円形や正方形を含む矩形が加工しやす
く、補強材を含む平板部2iの大きさは、可動座部7aを前
後/左右方向に手動で移動させても利用可能なように、
基本的には、可動座部7aよりも大きなサイズが好適で、
具体的には、補強材を含む平板部の大きさは、水平方向
/奥行き方向の長さ(又円形の場合はその直径)は、20〜
130cmの範囲が好適で、25〜90cmの範囲にあるとより好
ましく、25〜50cmの範囲にあると更に好ましい。又、補
強材を含む平板部2iの底面から上平面28迄の高さ/厚さ
は、1.0〜30mmの範囲、より好ましくは、1.5〜15mmの範
囲、更に好ましくは、1.5〜8mmの範囲で、その重量を出
来るだけ軽量化したものが好ましい。そして、補強材を
含む平板部2iの外周部には、蒸れ感を防止するために、
単数又は複数の通気孔を設けることが好ましい。尚、自
動車等の座席では、図7(E)に示すように2つの傾斜さ
せた薄板状平面板を接着又は一体に形成した合成平面板
とすることも可能である。又、上記リブは、底部に形成
するのが好ましいが、勿論、形成しなくともよい。更
に、図4のように、弾性合成樹脂材、3次元網状構造体
や合成ゴム等の固体化外周フード4aを、平板部2iに着脱
可能に形成したり、及び/又は、平板部2iと一体に形成
し、その側面等に通気孔を形成することも可能であり、
フード上面中央の部材は撤去して中央部に空洞部を形成
し、可動座部のクッション材62の上面に、更に、直接表
皮材63を被覆した構造で可動座部7aを形成し(図2
(B))、直接、可動座部の上表面を、座席9aの上表面とし
て露出させてもよい。又、外周フード4aを除去し、可動
座部7aをネット状の表皮材で被包する場合には、補強材
を含む平板部2iの側面、及び/又は、底面に、表皮材の
下端に形成した中空部を貫通させて、麻糸や弾性ゴム・
ロープ等からなる係止用紐・糸状体を収納/係止する溝
部を設けると、表皮材の平板部2iへの着脱がワンタッチ
着脱可能となり、又、表皮材を、合成樹脂や合成ゴムの
不織布で形成し、その側面や上面に、単数又は複数の通
気孔を形成することも可能であるが、表皮材の全体、又
は、上面を、天然繊維、合成樹脂や合成ゴム等の部材か
らなるネット状物で形成すると、可動座部7aが枢動する
運動可能な自由空間を確保し、運動中ネット状物が相互
にずれて自在に変形するので表皮材座面部の硬さが枢動
運動の抵抗になることも少なく、通気性も確保でき好ま
しい。更に、図2の例では、平板部2iの上平面28の4隅
に、熱可塑性弾性樹脂や合成ゴム等から成る弾性材で構
成された螺旋(コイル)状の支柱部8が配設され、その底
部が粘着材及び/又は接着剤層82により上面28に固定さ
れ、支柱部8は、外周フード4aを支持するようになって
いるが、外周フード4aは、可動座部7aがその内部におい
て枢動するのに十分な、中空の移動空間を確保すると共
に、着座した場合には、大腿部の重量により容易に撓む
ような柔らかさの弾性特性を有する部材であることが好
ましい。又、支柱部8は、円柱/角柱のような縦長の固
体化し一体化した形状よりは、螺旋状のコイル形状に形
成すると、前後/左右の任意の方向に外周フード4aが変
形し撓む場合の抵抗力を低減することができ、好まし
い。しかして、自動車/飛行機等の乗物の座席用敷物で
は、極力軽量化を図ると共に、その強度を確保する場
合、平板部2iは、特に、炭素繊維、ボロン繊維、ポリケ
トン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等の高強度繊維部
材と、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポ
リエチレン、PVC、ポリスチレン、PP、PVA、メ
タクリル樹脂、石油樹脂、ポリアミド、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリカーボネート、ポリアセタール、弗素樹脂、
ポリイミド、PEEK、ポリフェニレンスルフィド、ポ
リベンズイミダゾール、ポリシクロオレフィン等の熱可
塑性樹脂との複合材料である熱可塑性FRP、及び/又
は、炭素繊維、ボロン繊維、ポリケトン繊維、アラミド
繊維、ガラス繊維等の高強度繊維部材と、フェノール樹
脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ア
ルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性
樹脂との複合材料である熱硬化性FRP、及び/又は、
ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、PE
T、PBT、ポリフェニレンエーテル、PEEK、ポリ
フェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリケトンスルフィド、ポ
リエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポ
リ四弗化エチレン、芳香族ポリエステル、ポリアミノビ
スマレイミド、トリアジン樹脂等のエンジニアリングプ
ラスチック部材、及び、これらの組合せから成るグルー
プから選択される部材で構成するのが好適で、例えば、
東レ株式会社のCFRPの一種で、トレカT700で平板部
2i及び可動座部7aの殻体主要部を構成すると、軽量かつ
耐熱性にも優れ、乗物用の敷物として、好ましい。又、
資源のリサイクルの観点からは、ポリケトン繊維や、ポ
リエステル繊維等のオレフィン系熱可塑性樹脂を基材と
した繊維部材と、ポリエチレン、ポリアミド、PVC、
ポリスチレン、PP、PVA、メタクリル樹脂、石油樹
脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアセ
タール、弗素樹脂、ポリイミド、PEEK、ポリフェニ
レンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリシクロ
オレフィン等の熱可塑性樹脂との複合材料である熱可塑
性FRPが、リサイクル資材の分別容易性、溶融再利用
性や、焼却時の燃焼ガスの安全性の観点から好ましい。
【0008】次に、曲面殻体軸部5、クッション補強材6
1ークッション材62ー表皮材63が下からこの順番で積層さ
れて形成された局所可動座部7aに関して説明すると、図
6(A)(B)に示すように、軸部5は、乗物等で使用する場
合には、出来る限り薄板状でかつ軽量化を図ることが好
ましく、軸部の主たる剛性材となっている、則ち、軸部
全体としての剛性を主として受けもつ部分であると共
に、可動座部7aの主たる剛性材となっている下方に凸曲
面を形成した薄板曲面状殻体51は、上記平板部2iの薄板
平面平板状殻体21と同様の部材が利用でき、絞り成形加
工等により所望の曲面形状を殻体に賦形し、軸部5を0.5
mm以下の極めて薄い球面殻体や熱可塑性樹脂単体で構成
することができ、軸部曲面部の捻り剛性や曲げ剛性が不
足するような場合には、殻体軸部の上面/上部に、前後
/左右方向のリブや、同心円状リブ55a/放射状リブ55b
(図6(A))/ウェブ/スチフナ等の剛性補強材55を形
成すると、軽量化と同時に、所望の剛性や強度を確保す
ることができ、かかる曲面殻体51は、FRPや合成樹脂
等で製作可能であり、その構造は、d1)軽量化の点で
は、FRP製の殻体51で構成するのが好ましく、又、d
2)資源のリサイクルの観点からは、熱可塑性樹脂、中で
も、ポリエステル、ポリアミド、及び/又は、ポリオレ
フィン系熱可塑性樹脂で構成するのが好ましい。又、殻
体軸部5の上面/凹部に形成されたリブ/ウェブ/スチ
フナ等の剛性補強材がクッション材62に対しごつごつし
た感触を与える場合には、軸部5とクッション材62との
間に、図6(C)(D)に示すように、弾性エラストマ、弾性
ゴムシート、ゲル材等からなるクッション補強材61を介
挿するのが好ましく、更に、補強材61の上に積層して使
用する通常のクッション材62は、図6(E)(F)に示すよう
に、その断面形状が、その中央部が凹形状に窪んだもの
が、装置全体の軽量化を図るためには好ましい。更に、
クッション材62の上表面は、直接、着座者と接触するこ
とになるので、表面保護のため、通気性に優れた表皮材
63をクッション材62の上表面に直接、積層し、又は、被
覆するのが好ましい。ところで、図2及び図7の例で
は、本発明の座席9aのベース部2aの上面28の形状と、可
動座部7aの下方枢動面51の形状とから形成される枢動機
構5i(i=r〜w)の断面形状の組合せは、後述するように全
部で6種類の枢動曲面の組合せが理論的に考えられる
が、その中で、ベース部2aが平面形状28で構成され、可
動座部7aの下方枢動曲面が凸曲面形状51の殻体で構成さ
れた枢動機構5aの1例を応用した例であるが、この組合
せが、ユーザが枢動運動する場合に提供可能な自由度が
最も多く、装置の自己復帰安定性、装置の製造しやすさ
等の観点から最も好ましく、ベース部2aの平板部の上平
面28に、滑り防止材3iを載置しその上に軸部5を更に載
置する構成が、可動座部7aの下部を構成し、枢動曲面51
を有する軸部5を平面28に直接載置する場合よりも、一
段と好ましく、固定側平面28ー可動下方凸曲面51から成
る枢動機構5aでは、ヨー、ピッチ、ロール等の3自由度
以上の回転運動制御が、単一の曲面で可能であり、かか
る曲面部(シェル又は殻体とも呼ぶ)51の形状として予
め賦形した所定の形状としては、例えば、球、半球、断
面が三日月状等の球殻の一部、回転楕円体、回転2次曲
面体、回転曲面体、一般の凸曲面体、又は、これらの曲
面体を組合せた曲面体を少なくとも一部に含む曲面によ
り形成された曲面殻体を利用して実現することが可能で
あるが、半球面又は断面が三日月状等の球面の一部を利
用するのが、製造が容易であり、回転運動の制御性も自
然かつ快適で、予測可能に制御(どの方向に可動座部7a
を傾ければ、身体がどの方向に変更可能であるかがユー
ザに分かりやすい)しやすく、好ましい。又、固定側平
面28ー可動下方凸曲面51から成る枢動機構5aは、後述す
る固定側凹曲面28ー可動凸曲面51から成るボールージョイ
ント式枢動機構5sと比較すると、機構の構造が単純であ
り、壊れにくく、製造しやすく、又、可動座部が固定さ
れた平面上を前後/左右方向に局所的に平行移動可能な
ので、着座したままの状態での、身体腰部の運動(移動)
可能な空間範囲、及び、運動の回転及び平行移動の自由
度を、飛躍的に向上させることが可能な構造を提供で
き、更に、着座者が重心のバランスを崩した場合にも、
自動的に重心のバランスする位置に復帰する(又は移動
する)自己復帰機能も具えており、装置の安定性の面か
らも非常に好ましい。更に、リブを含む軸部5の水平方
向の形状は、その上面形状が円形/半円形/楕円形や正
方形を含む矩形が加工しやすく、特に、上面が円形であ
ると、自動車/飛行機等の乗物において、乗降時に座部
に着座したままの状態で、可動座部7aをスピン回転させ
ることにより、身体の姿勢を正面から左右のドアや通路
方向に、容易に約90度回転させて姿勢を変更できるの
で、狭い座席からの昇降動作/昇降運動が、衣服等にも
ストレスを与えず、滑らかに無理無く実行できるので好
ましく、又、リブを含む軸部5の大きさは、水平方向/
奥行き方向の長さ(形状が円形の場合はその直径D51)
が、20〜150cmの範囲が好適で、25〜90cmの範囲にある
とより好ましく、乗物用では、25〜50cmの範囲にあると
更に好ましい。又、リブを含む軸部5全体の高さ/厚さ
は、3.0〜15cmの範囲が好適で、3〜10cmの範囲にあると
より好ましく、3〜7cmの範囲にあると一段と好ましく、
その重量を出来るだけ軽量化したものが、好ましい。そ
して、リブを含む軸部の外周部には、単数又は複数の通
気孔を設けることが、好ましい。又、リブ等の補強材を
含む曲面部51の殻体部分の厚さは、0.3〜25mmの範囲が
好ましく、0.5〜10mmの範囲が、より好ましく、0.5〜5m
mの範囲であれば、一段と好ましく、FRP/CFRP
製等の軸部では、上記リブは形成しなくても、十分な強
度で軸部の殻体をそのまま利用可能であり、曲面部51の
殻体部分の厚さは、0.3〜5.0mmの範囲が好適で、0.4〜4
mmの範囲が、より好ましく、0.5〜3mmの範囲であれば、
更に軽量化でき好ましい。そして、軸部の曲面部51は、
その曲面が球状殻体の一部で形成された場合は、その回
転中心が平板部2iの上方にあり、その回転半径R51は、2
0〜150cmの範囲が好適で、30〜120cmの範囲がより好ま
しく、40〜90cmの範囲が一段と好ましい。上記可動座部
7aは、FRP製殻体軸部5の内側上方凹部に、従来から
使用されているクッション補強材61ークッション材62か
ら成る衝撃吸収体60を有し、このクッション材62を主体
とした衝撃吸収体は、熱可塑性樹脂や熱可塑性弾性樹脂
から構成すると、資源のリサイクルが容易となるので好
ましく、又、上記衝撃吸収体は、着座時や起立時等の衝
撃力を適切に吸収し、人体腰部を適切に保護できる材質
が好ましく、例えば、弾力性熱可塑性弾性部材、発泡
材、スポンジ、3次元網状体等のクッション材62と、該
クッション材の裏側に、クッション補強材61として寒冷
紗、粗毛フェルト、不織布等の補強材を一体発泡し成形
してもよく、これら補強材は上記リブとの接触面におけ
る破れ防止を計り、クッション材により通常の着座中の
受動的な適度の快適性を付与している。尚、軸部5の内
側上方凹部に配設された衝撃吸収体60は、本発明の滑り
防止材3iに基づいて発生する可動座部7aの枢動クッショ
ン性とは、直接、関係無く、通常の受動的静的クッショ
ン性だけを付与するために設けられている。ところで、
上記クッション材62としては、通常の各種座席用クッシ
ョン材が利用でき、ポリウレタンフォーム等の成形品も
使用できるが、後述する合成樹脂製の3次元網状構造体
や弾力性熱可塑性弾性樹脂や熱可塑性エラストマ等の熱
可塑性部材で構成するのが好ましく、熱可塑性部材、中
でも、ポリエステル、ポリアミド、及び/又は、ポリオ
レフィン系熱可塑性部材で構成することが好ましく、か
かる熱可塑性部材として、本発明では、ガラス転移点温
度が少くとも40℃以上のものを使用するのが好まし
い。例えば、ポリエステルでは、PET、PEN、PC
HDT、PCHDN、PBT、PBN、ポリアリレ−ト
等、及びそれらの共重合ポリエステル等が例示できる。
ポリアミドでは、NY6、NY66、NY6−10等が
例示できる。ポリオレフィンとしては、PP、PB・1
等が例示できる。上記熱可塑性部材としては、表皮材63
や平板部2iにもポリエステルを用いる場合が多いので、
廃棄する場合にこれらの部材と特別に分離せずにリサイ
クルが可能な素材として、耐熱性も良好なPET、PE
N、PBN、PCHDT等のポリエステルが特に好まし
い。更には、難燃性ポリエステルとするのも好ましい。
更に、上記軸部5の薄板曲面状殻体51の主たる材質とし
ては、上記平板状殻体21と同様の部材が利用でき、FR
Pや合成樹脂等で製作可能であり、その構造は、d1)軽
量化の点では、FRP製の殻体51で構成するのが好まし
く、又、d2)資源のリサイクルの観点からは、熱可塑性
樹脂、中でも、ポリエステル、ポリアミド、及び/又
は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂で構成するのが好ま
しい。具体的には、殻体51には、可撓性部材、弾性部
材、ABS樹脂、ポリエチレン、PVC、ポリスチレ
ン、PP、PVA、メタクリル樹脂、石油樹脂、ポリア
ミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリア
セタール、弗素樹脂、ポリイミド、PEEK、ポリフェ
ニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリシク
ロオレフィン等の熱可塑性樹脂、又は、フェノール樹
脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ア
ルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性
樹脂、則ち、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等の合成樹
脂材/プラスチック、又は、FRP、又は、ポリアミノ
酸、脂肪族ポリエステル、ポリーεーカプロラクトン、P
VA、キトサン、澱粉、セルロース等と汎用性ポリマー
との混合物等の生分解樹脂部材、又は、ウレタンゴム、
シリコーンゴム、ポリエチレン及びポリスチレンの共重
合体をポリマーの主成分とする低硬度ゴム、ブタジエン
ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ア
クリルゴム、スチレンーブタジエンゴム、エチレンープロ
ピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルーブ
タジエンゴム、弗素ゴム、多硫化ゴム、ポリエーテルゴ
ム、クロロスルホン化ポリエチレン等の合成ゴム、又
は、天然ゴム、又は、これらの組合せから成るグループ
から選択されたもの、更に、ポリアミド、ポリカーボネ
ート、ポリアセタール、PET、PBT、ポリフェニレ
ンエーテル、PEEK、ポリフェニレンスルフィド、ポ
リアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、
ポリケトンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミ
ドイミド、ポリイミド、ポリ四弗化エチレン、芳香族ポ
リエステル、ポリアミノビスマレイミド、トリアジン樹
脂等のエンジニアリングプラスチック部材、CFRP、
炭素繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等の
高強度繊維部材と、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和
ポリエステル、ポリウレタン、アルキド樹脂、メラミン
樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂との複合材料であ
る熱硬化性FRP、GFRP、炭素繊維、ボロン繊維、
アラミド繊維、ガラス繊維等の高強度繊維部材と、ポリ
エチレン、ポリアミド、PVC、ポリスチレン、PP、
PVA、メタクリル樹脂、石油樹脂、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリカーボネート、ポリアセタール、弗素樹脂、ポ
リイミド、PEEK、ポリフェニレンスルフィド、ポリ
ベンズイミダゾール、ポリシクロオレフィン等の熱可塑
性樹脂との複合材料である熱可塑性FRP、合成皮革部
材、多孔質性部材、セラミックス部材、鉄、ステンレ
ス、アルミニウム、マグネシウム、チタン等の金属部
材、磁性部材、木材/竹/皮革等の天然部材、紙、板
紙、ダンボール、及びこれらの組合せから成るグループ
から選択される種々の部材が利用可能であり、これらの
部材には、更に、難燃性部材、不燃性部材、自己消火性
部材、導電性部材を少なくとも1つ含むように配合せし
め、耐熱性を向上させたり、静電気対策を施すことも可
能である。しかして、自動車/飛行機等の乗物の座席用
敷物では、極力軽量化を図ると共に、その強度を確保す
るため、殻体軸部5は、特に、ポリアミド、ポリカーボ
ネート、ポリアセタール、PET、PBT、ポリフェニ
レンエーテル、PEEK、ポリフェニレンスルフィド、
ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリケトンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリ
アミドイミド、ポリイミド、ポリ四弗化エチレン、芳香
族ポリエステル、ポリアミノビスマレイミド、トリアジ
ン樹脂等のエンジニアリングプラスチック部材、及び/
又は、炭素繊維、ポリケトン繊維、ボロン繊維、アラミ
ド繊維、ガラス繊維等の高強度繊維部材と、フェノール
樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、
アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化
性樹脂との複合材料である熱硬化性FRP、及び/又
は、炭素繊維、ポリケトン繊維、ボロン繊維、アラミド
繊維、ガラス繊維等の高強度繊維部材と、ポリエチレ
ン、ポリアミド、PVC、ポリスチレン、PP、PV
A、メタクリル樹脂、石油樹脂、ポリ塩化ビニリデン、
ポリカーボネート、ポリアセタール、弗素樹脂、ポリイ
ミド、PEEK、ポリフェニレンスルフィド、ポリベン
ズイミダゾール、ポリシクロオレフィン等の熱可塑性樹
脂との複合材料である熱可塑性FRP、及びこれらの組
合せから成るグループから選択される部材で構成するの
が好適で、例えば、東レ株式会社のCFRPの一種で、
トレカT700等の2方向性織物で可動座部7aの枢動曲面殻
体51を構成すると、軽量、高強度、高耐衝撃性、耐熱性
等の特性を満たし、曲面部形成時に良好な深絞り成形性
が要求される場合に好適で、乗物用の座席や敷物の軸部
として好ましい。 d1)先ず、軽量化に優れる薄板曲面状FRPで、反りの
少ない上記薄板曲面状殻体51を構成する場合には、かか
る殻体51は、例えば、図13(A)に示すように、強化繊
維からなる、1枚、又は、2枚、3枚、4枚、5枚等の
複数の強化繊維基材(図13(A)の例では51a、51bの2枚
構成)と、中央部に局所的に存在せしめた補強織物51e
から構成され、強化繊維基材51i(i=a〜b)は殻体の全面
に積層し、マット状物52iと強化繊維織物53iとで構成
し、マット状物52iは殻体51の下外表面側に積層するの
が好適で(図13(A)(B)では、製造工程の都合から実際
の使用時とは上下逆にして図示してある)、殻体51の成
形後の厚さは、0.15〜5mmの範囲、より好ましくは、0.2
〜3mmの範囲、更に好ましくは、0.3〜2mmの範囲に形成
するのが好ましい。0.15mm未満では所望の強度・剛性を
得るのが難しいほか、衝撃によって板を貫通してしまう
ような傷が生じる可能性が高い。一方5mmを越えると、
強度・剛性は十分であるが、重量の面で重くなる欠点が
ある。尚、曲面殻体51の厚さが、0.4〜3mmのもので、強
度が十分である場合には、軸部上方内側凹部にリブを形
成せず、直接、クッション補強材61ークッション材62ー表
皮材63を、薄板状殻体51と一体に形成してもよく、又、
シリコンゲル/ゴム、スポンジ材、3次元網状構造体等
のクッション材でも上記クッション材62等を形成するこ
とができ、更に、薄板状殻体51の内側上方凹部に一体に
発泡成形可能な、熱可塑性樹脂発泡体、オレフィン系熱
可塑性樹脂発泡体、発泡スチロール、ポリウレタン系ゴ
ム等の弾力性ゴムや、軟質或いは硬質のポリウレタンフ
ォーム、ビーズ発泡ポリスチレン、押出発泡ポリスチレ
ン、ポリエチレンフォーム、PPフォーム、フェノール
フォーム、ユリアフォーム、ポリ塩化フォーム、シリコ
ンフォーム、エポキシフォーム、ポリイミドフォーム、
メラミンフォーム、ポリエステルフォーム、エチレン酢
酸ビニルフォーム等も利用可能で、中でも、軽量な熱可
塑性樹脂発泡材では、その比重が0.02以上で1.0以下の
ものが好ましく、比重が0.02以上で0.2以下であるとよ
り好ましい。
【0009】次に、本発明の滑り防止材3i(i=a〜c)は、
可動座部7aと平面28との間に介挿された状態で、枢動ク
ッション性と呼ぶ粘弾性力及び粘着力を発揮するように
なっており、可動座部7aの枢動運動に、同一姿勢の保持
能力(粘着力による)とクッション性(弾性体の弾力性
による)を同時に付与できるシート状構造が好ましく、
図5(A)(B)には、滑り防止用基材30a,30bと、その外部
フィルムカバー32a,32bから構成された滑り防止部材3a,
3bの構造を示してあるが、滑り防止用基材30には、粘弾
性部材、粘着部材、プラスチック、合成樹脂部材、弾性
部材、3次元網状体からなるクッション材、天然ゴム/
合成ゴムを主体としたゴム系粘着材、ゲル材、シリコー
ンゲル、多孔性シリコーンゲル又は、ポリウレタンゲル
の少なくとも1つを含む部材、又は、これらを組合せた
部材が、好適に利用できるが、着座時に利用者の体重が
常時負荷される過酷な使用環境条件では、圧縮永久歪の
少ない部材がより好適で、その枢動クッション特性を最
も効果的に発揮させた使用形態から大きく以下のe1)〜e
3)の3種類に分類できる。又、乗物用座席では、通常、
金属フレームとクッション材とが、組立てられ、或る圧
力をもって押しつけられ合っている。そこに、人体の着
座によって荷重がかかると、互いに擦れ合う動きが生
じ、「異音」が発生していたが、本発明の座席/敷物で
は、平板部2aと、軸部5との間に、滑り防止材3iを介在
させているので、その副次効果として、いわゆる「シー
ト擦れ異音」が、根本的に発生せず、シート擦れ音を完
全に防止できる製品を提供することができる。先ず、滑
り防止用基材30として好適な粘弾性部材は、-50℃〜100
℃等の様に広範な温度で機能する材料である。最も好適
な粘弾性部材は、所望の動的損失率及び貯蔵弾性率にお
いて広範な温度及び周波数に適合して、本発明の滑り防
止基材を使用して、滑り防止及び振動/衝撃吸収が同時
に行われ、物品の許容可能な衝撃減衰を達成し、長時間
又はインパルス的振動により性能の著しい劣化を生じな
い材料である。上記粘弾性部材では、弾性の方向特性
は、等方性でも異方性でも良く、本発明の「異方性材
料」又は「非等方性材料」は、その特性が測定の方向に
左右される材料である。適切な粘弾性部材としては、シ
リコーンゲル/低硬度シリコーンゴム、ポリエチレン及
びポリスチレンの共重合体をポリマーの主成分とするゲ
ル又は低硬度ゴム、又はウレタンゲル/ウレタンエラス
トマ及びゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴ
ム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム等がある。その
他の有用な粘弾性部材としては、ポリエステル、ポリウ
レタン、ポリアミド、エチレンビニルアセテートコポリ
マー、ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラールポ
リビニルアセテートコポリマー、エポキシアクリレート
相互貫入網状ポリマー等がある。又、粘弾性部材として
好適な熱可塑性部材の例としては、ポリアクリレート、
ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエステ
ル、ポリスルホン、ポリスチレン、アクリロニトリル-
ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、PP、アセ
タールポリマー、ポリアミド、PVC、ポリエチレン、
ポリウレタン、及びこれらの組合せから成るグループか
ら選択した材料があるが、これらだけに限らない。有用
な粘弾性部材は、架橋してその長所を高めることも可能
であり、かかる粘弾性部材は、その多くが、熱硬化性樹
脂として分類され、粘弾性部材が熱硬化性樹脂である場
合、本発明の粘弾性部材を製造する前、この熱硬化性樹
脂は熱可塑性状態であるか又は未硬化状態である。熱硬
化性樹脂は、製造工程において硬化又は架橋して一般に
固体状態になるが、硬化した材料が上記の粘弾性を有す
る限り、硬化後にゲルになる。使用する特定の熱硬化性
樹脂に応じて、熱硬化性樹脂は、触媒等の硬化剤を含む
ことができ、硬化剤は、熱エネルギー等の適切なエネル
ギー源に暴露された場合、熱硬化性樹脂の重合を開始す
る。滑り防止基材30を主とする滑り防止材3iの振動減衰
特性は、効果的な量の繊維材料又は粒子材料を滑り防止
基材に含むことによって強化される。本発明で、繊維材
料又は粒子材料の「効果的な量」とは、滑り防止材の所
望の特性を少なくとも改善するのに十分な量である。一
般に、繊維材料又は粒子材料は、繊維材料又は粒子材料
を含まない同量及び同種の滑り防止材を含む構成部品の
歪エネルギー比を高めるのに効果的な量だけ使用され
る。一般に、歪エネルギー比は、少なくとも1つの振動
モードにおいて少なくとも約2の係数だけ増加すること
が好ましい。一般に、粘弾性部材中の繊維材料の量は、
滑り防止材全体の重量に基づいて約3〜60重量%の範囲内
であり、約10〜50重量%であれば好適で、約15〜45重量%
であれば更に好適で、約30〜35重量%であれば最も好ま
しい。一般に、滑り防止材中の粒子材料の量は、滑り防
止材全体の重量に基づいて約0.5〜20重量%の範囲であ
り、約5〜15重量%であれば好適で、約5〜10重量%であれ
ば最も好ましい。繊維材料は、繊維ストランド又は繊維
マットもしくはウェブの形態で良いが、繊維ストランド
が好ましい。繊維ストランドは、加工糸、紐、紡糸、粗
糸、フィラメント等で良い。繊維ストランドは、不規則
に、又は特定の配列で規則的に分散させることができ
る。繊維ストランド、つまり繊維又は細い加工糸状片の
アスペクト比は、少なくとも約2:1であることが好適
で、約2:1〜約20:1の範囲内のアスペクト比であれば更
に好ましい。繊維のアスペクト比は、繊維の長い方の寸
法対短い方の寸法の比率である。繊維材料は、硬化減衰
材料の減衰能力を高める任意の材料から構成することが
できる。本発明の用途に有用な繊維材料の例としては、
酸化アルミニウム、マグネシウム又は鋼繊維等の金属繊
維材料、及び炭素繊維、ガラス繊維等の非金属繊維材料
がある。一般に、ヤング率が高い繊維材料、つまり少な
くとも約1百万psi(6.9×109 Pascal)の弾性率を有する
繊維材料が好ましい。繊維材料は、非金属であれば最も
好ましい。非金属繊維材料の例としては、炭素、ガラ
ス、鉱物、合成又は天然耐熱性有機材料から成るグルー
プから選択した材料等様々な材料があるが、これらだけ
に限らない。好適な繊維材料は、有機材料、炭素、ガラ
ス及びセラミック繊維材料である。「耐熱性」繊維材料
とは、使用可能な繊維材料が、本発明の滑り防止材の製
造及び使用条件における融解、軟化又は分解に対して十
分に抵抗性があることを意味する。有用な天然有機繊維
材料としては、毛、絹、綿及びセルロースから成るグル
ープから選択した材料があるが、これらだけに限らな
い。有用な合成有機繊維材料としては、PVA、ナイロ
ン、PP、ポリエステル、レーヨン、ポリアミド、アク
リル、ポリオレフィン、アラミド及びフェノールから成
るグループから選択した材料があるが、これらだけに限
らない。本発明の用途に好適な有機繊維材料は、アラミ
ド繊維材料である。こうした材料は、デラウェア州、ウ
ィルミントンのDuPont Co.から「Kevlar」及び「Nome
x」の商標で市販されている。一般に、炭素繊維、又
は、セラミック繊維材料は本発明の用途に有用である。
本発明に適するセラミック繊維材料の例として、ミネソ
タ州、セントポールのMinnesota Mining and Manufactu
ring Co.が市販しているNEXTEL TMがある。市販されて
いる有用なガラス繊維材料は、ペンシルバニア州、ピッ
ツバーグのPPG Industries,Inc.がE-ガラスボビン
糸の商品名で市販しているもの、オハイオ州、トレドの
Owens Corningが「Fiberglass」連続フィラメント糸の
商品名で市販しているもの、及びオハイオ州、トレドの
Manville Corporationが「Star Rov 502」ガラス繊維ロ
ービングの商品名で市販しているものがある。長所を得
るには、長さが約100μmという短さの繊維材料を使用
することである。繊維の長さに制約はないが、これより
長い繊維の場合、繊維の界面が不十分であり、従って繊
維間の剪断面が減少する。繊維の太さ、つまり典型的な
繊維材料の直径は、少なくとも約5μmの範囲である。
繊維が細ければ細いほど、繊維材料の表面積は増加す
る。従って、好適な繊維材料は非常に細い。繊維の太さ
は、本発明の滑り防止材全体の所望の厚さによっても左
右される。従って、多くの一般的な繊維が適している。
本発明に有用な粒子材料は、粘弾性部材が粒子材料の表
面を湿潤させることができる限り、ガラス及びセラミッ
ク気泡もしくはビード、フレーク又は粉末の形態で良
い。粒子材料の寸法は、滑り防止材の構造の実際上の限
度の範囲内で異なって良く、又寸法の分布は不規則でも
特定の分布でも良い。粒子材料の寸法は、約0.1〜約5μ
m台であるが、約0.1〜約2μmであれば更に好ましい。
粒子材料は、滑り防止材の減衰能力を増加させる任意の
材料から構成することができる。本発明の用途に有用な
粒子の例としては、熱伝導性気泡、導電性気泡等の塗布
ガラス又は未塗布ガラス及びセラミック気泡又はビー
ド、酸化アルミニウム粉末及び窒化アルミニウム粉末等
の粉末、シリカ、硬化エポキシノジュール、未硬化エポ
キシノジュール等があり、弾性率が少なくとも約1万psi
(6.9×107 Pascal)の粒子が好ましい。有用な粒子材料
は約10万psi((6.9×108 Pascal)のヤング率を有するこ
とが更に好適で、弾性率が少なくとも1百万psi((6.9×1
09 Pascal)の粒子は最も好ましい。繊維材料及び粒子材
料の他に、本発明の滑り防止材は、タルク及びクレー等
の充填剤、着色剤、強化剤、難燃剤、自己消火材、不燃
材、耐熱材、帯電防止剤、並びに酸化防止剤等の添加剤
を任意に含むことができる。これらの各々の材料は、所
望の結果を得るのに十分な量だけ使用することができ
る。又、滑り防止材3iの上下表面に塗布した粘着材34,3
6又は滑り防止基材30b自体の粘着力の強さを直接調節す
ることにより、軸部5/可動座部7iの枢動する力を調節
することが可能であり、又、軸部5とベース部2iの底面2
8との間の枢動する力は、上記粘着材の接触面積や粘着
材の厚さを変更したり、更に、軸部曲面表面51の加工粗
さとベース部2iの表面28の加工表面粗さとを、同一や異
なる種々の仕上げ精度に仕上げることにより制御するこ
ともでき、鏡面のような表面の仕上げ精度が高い滑らか
な面の方が、表面の仕上げ精度が粗い木材等の凹凸表面
よりも、粘着材の粘着力が大きい効果が得られる。又、
滑り防止材3iには、枢動する枢動曲面部51や平面28の加
工精度/組立精度のばらつきを吸収する効果もあり、滑
り防止材を介在させないで、直接枢動面や平面を相互に
枢動させた場合には、枢動運動の制御操作中に、でこぼ
こ感じる表面加工精度の粗い曲面51や、三日月形状の2
つの曲面を接着/嵌挿して球面の一部を組立てた組立精
度の粗い曲面部51や、段差の有る平面28でも、厚さ1〜1
5mm前後の滑り防止材3iを介在させることにより、かか
る曲面部や平面の加工粗さ/組立粗さを吸収して、非常
に滑らかな枢動面が得られる利点があり、装置の低価格
化には、非常に有効である。
【0010】次に、本発明の滑り防止材3i(i=a〜c)に関
し、それぞれ、個別に、検討する。 e1)滑り防止材3aは、その基本構造が、固体と液体の中
間状態にあるゲル材、低硬度ゴム材、可撓性膜状物内に
流動体を充填した部材からなり、具体的には、シリコー
ンゲル/多孔性シリコーンゲルを含むゲル材や低硬度シ
リコーンゴム、並びに、シリコーンオイル等の液体、空
気等の気体等の滑り防止基材30a単体では剪断強度が不
足するので、外部フィルムカバー32aにより基材30aを完
全に密閉し、全体の剪断強度、耐摩耗性を補強して使用
する滑り防止材3aであり、基材30aには、この他に、P
VA等の水溶性ゲル等の粘弾性部材、水、蒸留水、オイ
ル(シリコーンオイルを含む)等の液体や、空気、窒素等
の気体等の流体も利用可能である。通常の粘弾性材や流
体等の基材30a単体では、耐摩耗性/耐摩擦性が不足
し、軸部の体重負荷を伴った圧縮性スピン運動に対し、
高度の耐摩耗性や耐摩擦性がなく、極めて短期間で、滑
り防止材として使用不能となってしまう場合、基材の剪
断強度を確保するため、図5(A)(B)に示す様に、基材30
aをカバー32aにより、完全に密閉した構造に構成し、更
に、少なくとも枢動曲面51側の接触面、又は、上下両表
面に、薄く感圧接着剤等の粘着材層34、36を貼着した滑
り防止材3a。 e2)ポリウレタン系エラストマやポリウレタン系ゴム、
又は、ポリエチレンーポリスチレン共重合体からなるゲ
ル部材等のように基材30b単体で、十分な剪断強度が確
保できるが、当該基材特有の粘弾性力、特に、強力な自
己粘着力により、単独で使用すると、枢動曲面51がスピ
ン回転等で基材30bを圧縮変形させた場合、基材30bが自
己融着し団子状に変形しやすいので、かかる自己融着を
防止するため、基材30bの枢動曲面51側の接触面を、少
なくとも、ポリエステル等の合成樹脂や天然繊維等から
なる外部ネット状カバー32bで、被包する必要のある滑
り防止材3b(尚、滑り防止材3bの組立作業性から基材30
b全体をカバー32bで被包してもよい)。 e3)熱可塑性樹脂を加工した不規則ランダムな3次元網
状構造体等のように基材30c単体では十分な弾力性と共
に剪断強度も確保できるが、当該滑り防止材3cに必要
な、適度の自己粘着力を補強し、枢動変動やスピン回転
等での、表面の擦れ合う摩擦音を低減し、可動座部の自
己保持能力を向上させるために、基材30Cの少なくとも
枢動曲面51側の接触面、又は、上下両表面に、薄く感圧
接着剤等の粘着部材34、36を貼着した滑り防止材3c(図
9(C))。
【0011】e1)滑り防止材3aに使用する基材30a用「ゲ
ル材」としては、JISーK2207-1980,50g荷重で測定した
針入度が約40〜200 のゲル材を用いるのが好ましい。
又、「低硬度シリコーンゴム」とは、JISA型硬度計によ
る硬度が40度以下のシリコーンゴム、並びに、高硬度シ
リコーンゴムにシリコーンオイル等を混合させてJISA型
硬度計による硬度が40度以下としたシリコーンゴムをい
い、例えば架橋密度を小さくすることにより得られる。
本発明に用いる「布」としては、伸縮性を有する編物の
他に、成型性を有する織布及び不織布等を好適に用いる
ことができる。尚、シリコーンゲルを基材30aに利用し
た場合には、シリコーンゲル独自のゲル特性、及び、非
常に優れた圧縮永久歪、適度な粘着力、適度な硬度、快
適な反発弾性と共に、下方からの可動座部の振動遮断効
果や、傾動時の消音効果もあり、極めて好適で、かかる
シリコーンゲル材としては、例えば、東京都港区にある
株式会社ジェルテックのαGEL(TM)で、圧縮永久歪3.3%
等がある。尚、圧縮永久歪の測定は、JIS6301の測定法
により行ったものである。又、基材30aの硬度はゴム材
に比べ極めて低くいずれもASKERC硬度15度以下であり、
圧縮永久歪はネオプレンゴムやブチルゴムに比べいずれ
も1/10程度と少ない上、常用最高温度も“α-GEL”では
200℃と高いため、防振材や緩衝材として広く用いられ
ている。基材30aとしては、そのASKERC硬度が4〜15度の
範囲のもので、厚み3〜6mmの範囲のものがより好まし
い。更に、シリコーンゴムにおいては、特注品となる
が、そのゴム硬度は上限が40度止まりで製作可能な30度
程度のゴム硬度を有するシリコーンゴム等が好ましく、
ゴム材の厚さは、10mm以下が好ましく、3〜6mmの範囲が
より好ましい。又、滑り防止基材30aが、液状物又はグ
リース状物等の流動体(媒体)を可とう性薄膜内に収納
(充填)した不定形材であるものも利用可能であり、液
状物又はグリース状物等の媒体30aと薄膜収納材32aで構
成され、媒体30aは、本実施態様では、薄膜収納材32aに
封入又は装填され密閉されている。液状物又はグリース
状物等の媒体30aとしては、例えば液状物ではフッ素系
不活性液体である“フロリナート”(住友スリーエム
(株)製)を用いることができ、この種液状物では、沸
点が250℃程度迄数種類の品種がある。又、完全に不活
性であるため、ゴム、金属、プラスチック等を侵さず、
優れた熱伝導性を有し、無毒、無臭、不燃性で安全であ
り好ましい。又、グリース状物等の媒体30aとしては、
例えば熱伝導性シリコングリース“アミコン”910-50
((株)グレースジャパン製)や特殊潤滑剤“モリコー
ト”FS3451(ダウコーニング(株)製)等がある。薄膜
収納材32aの適度な膜厚は20〜60μmの範囲が好ましく、
30〜50μmの範囲がより好ましい。又、薄膜収納材32aの
材質は、媒体30aの種類や加圧力の大きさ、滑り防止材
のサイズ等により異なることが十分予想されるため、一
種類に限定することはできないが、例えば市販されてい
るシリコーンゴムで厚さ0.5〜1mmのものを薄膜収納材32
aとして用いることができる。次に、上記αGELの物理特
性の1例を示すと、以下のようである。先ず、シリコー
ンゲルは、例えば次式(1)で示されるシリコーンゲル
の原液たる ジオルガノポリシロキサン(以下A成分という):RR12SiO−(R22Si O)nSiR12R…(1) [但し、Rはアルケニル基であり、R1 は脂肪族不飽和
結合を有しない一価の炭化水素基であり、R2 は一価の
脂肪族炭化水素基(R2 のうち少なくとも50モル%はメ
チル基であり、アルケニル基を有する場合にはその含有
率は10モル%以下である)であり、nはこの成分の25℃
における粘度が100〜10万cStになるような数である]
と、25℃における粘度が5千cSt以下であり、1分子中に
少なくとも2個のSi原子に直接結合した水素原子を有
するシリコーンゲルの原液たるオルガノハイドロジェン
ポリシロキサン(B成分)とからなり、且つ、このB成
分中のSi原子に直接結合している水素原子の合計量に
対するA成分中に含まれるアルケニル基の合計量の比
(モル比)が0.1〜2.0になるように調整された混合物を
硬化させることにより得られる付加反応型シリコーンコ
ポリマーである。このシリコーンゲルについて更に詳し
く説明すると、上記A成分は直鎖状の分子構造を有し、
分子の両末端にあるアルケニル基RがB成分中のSi原
子に直接結合した水素原子と付加して架橋構造を形成す
ることができる化合物である。この分子末端に存在する
アルケニル基は、低級アルケニル基であることが好まし
く、反応性を考慮するとビニル基が特に好ましい。又分
子末端に存在するR1は、脂肪族不飽和結合を有しない
一価の炭化水素基であり、このような基の具体例として
はメチル基、プロピル基及びヘキシル基等のようなアル
キル基、フェニル基並びにフロロアルキル基を挙げるこ
とができる。上記式(1)においてR2 は一価の脂肪族
炭化水素であり、このような基の具体的な例としては、
メチル基、プロピル基及びヘキシル基等のようなアルキ
ル基並びにビニル基のような低級アルケニル基を挙げる
ことができる。但し、R2のうち少なくとも50モル%はメ
チル基であり、R2 がアルケニル基である場合には、ア
ルケニル基は10モル%以下の量であることが好ましい。
アルケニル基の量が10モル%を越えると架橋密度が高く
なり過ぎて高粘度になりやすい。又nは、このA成分の
25℃における粘度が通常は100〜10万cSt、好ましくは20
0〜2万cStの範囲内になるように設定される。上記のB
成分は、A成分の架橋剤でありSi原子に直接結合した
水素原子がA成分中のアルケニル基と付加してA成分を
硬化させる。B成分は上記のような作用を有していれば
よく、B成分としては直鎖状、分岐した鎖状、環状、或
いは網目状などの種々の分子構造のものが使用できる。
又、B成分中のSi原子には水素原子の他、有機基が結
合しており、この有機基は通常はメチル基のような低級
アルキル基である。更に、B成分の25℃における粘度は
通常は5千cSt以下、好ましくは500cSt以下である。この
ようなB成分の例としては、分子両末端がトリオルガノ
シロキシ基で封鎖されたオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサン、ジオルガノシロキサンとオルガノハイドロジ
ェンシロキサンとの共重合体、テトラオルガノテトラハ
イドロジェンシクロテトラシロキサン、HR12SiO 1
/2単位とSiO 4/2単位とからなる共重合体ポリシロキ
サン、及びHR12SiO 1/2単位とR13SiO 1/2単位
とSiO 4/2単位とからなる共重合体ポリシロキサンを
挙げることができる。但し、上記式においてR1 は前記
と同じ意味である。そして上記のB成分中のSiに直接
結合している水素原子の合計モル量に対するA成分中の
アルケニル基の合計モル量との比率が通常は0.1〜2.0、
好ましくは0.1〜1.0の範囲内になるようにA成分とB成
分とを混合して硬化させることにより製造される。この
場合の硬化反応は、通常は触媒を用いて行なわれる。こ
こで使用される触媒としては、白金系触媒が好適であ
り、この例としては微粉砕元素状白金、塩化白金酸、酸
化白金、白金とオレフィンとの錯塩、白金アルコラート
及び塩化白金酸とビニルシロキ酸との錯塩を挙げること
ができる。このような錯塩はA成分とB成分との合計重
量に対して通常は0.1ppm(白金換算量、 以下同様)以
上、好ましくは0.5ppm以上の量で使用される。このよう
な触媒の量の上限については特に制限はないが、例えば
触媒が液状である場合、或いは溶液として使用すること
ができる場合には200ppm以下の量で十分である。そして
上記のようなA成分、B成分及び触媒を混合し、室温に
放置するか、或いは加熱することにより硬化して本発明
で使用されるシリコーンゲルが生成する。加熱して硬化
させる場合、加熱温度は通常50〜160℃である。このよ
うにして得られたシリコーンゲルは、JIS(K2207-1980,5
0g荷重)で測定した針入度が通常5〜250を有する。尚こ
のようなシリコーンゲルの硬度は、上記A成分とB成分
とにより形成された架橋構造によって変動する。シリコ
ーンゲルの硬化前の粘度及び硬化後の針入度は両末端が
メチル基であるシリコーンオイルを、得られるシリコー
ンゲルに対して5〜75重量%の範囲内の量であらかじめ添
加することにより調整することができる。このようにシ
リコーンゲルは上記のようにして調整することもできる
し、又市販されているものを使用することもできる。本
発明で使用することができる市販品の例としては、CF50
27,TOUGH-3,TOUGH-4,TOUGH-5,TOUGH-6,TOUGH-7,TOUGH-8
(トーレ・タ゛ウコーニンク゛シリコーン社製)やX32-902/CAT1300,KE1308/C
AT1300-L4(信越化学工業株式会社製)、F250-121(日本ユ
ニカ株式会社製)等を挙げることができる。又、上記の
A成分、B成分及び触媒の他に、顔料、硬化遅延剤、難
燃剤、導電性フィラー等をシリコーンゲルの特性を損な
わない範囲内で配合することもでき、更に防振、緩衝性
等を高める為に、微小中空球体のフィラーを混入してな
るシリコーンゲルを用いてもよく、このようなフィラー
材料に日本フィライト株式会社製造のフィライト(TM)や
同社販売のエクスパンセル(TM)マツモトマイクロスフェ
アー(松本油脂製薬株式会社製造販売)等が例示でき
る。
【0012】次に、滑り防止材3aの耐摩耗性/耐摩擦性
を考えると、滑り防止材が、他の物質(本発明では、軸
部5の枢動面51や載置面28)に、体重を支えるために、繰
返し接触/離脱することによって生じる滑り防止材3aの
剪断強度を確保するため、図5(A)(B)に示す様に、上記
滑り防止基材30aを、カバー32aにより完全に密閉するの
が好適で、かかるカバーは、滑り防止基材30aを完全に
覆うことにより、高度の耐摩耗性又は耐摩擦性を付与で
き、外部フィルムカバー32aにより、低ガラス転移温度T
g及び/又は低架橋レベルの粘弾性材/粘着材を使用す
ることが可能となり、最適な粘弾性材/粘着材を使用す
る際の粘着性に基づく種々の問題を排除でき、滑り防止
基材30aを100%、カバー32aで密閉すると、外部フィルム
カバーの寸法と特性等に応じて、剪断強度等を改善で
き、又、複数層のフィルムを使用することもでき、複数
の層は、フィルム層の障壁特性を改善することができ、
更に、滑り防止基材30aの全体を密閉するカバー32aを使
用すると、繰返し作用する剪断モード及び圧縮引張モー
ド負荷に対する滑り防止材の剪断特性を高めることもで
きる。上記カバー32aは、様々な特性を有する1つ又は
複数のフィルム及び/又はフィルムセグメントから成
り、これらのフィルム及び/又はフィルムセグメントの
化学組成、寸法(厚さ、幅、長さ)等は同じであっても異
なっても良い。これらのフィルムは、互いに結合し、重
なり合う、部分的に重なり合う等の状態が生じる。これ
らのフィルムは、連続していても不連続でも良い。外部
フィルムカバーを構成する各々のフィルムは、部材の性
能を変更するために様々な程度の表面粗さを任意に有し
て良い。外部フィルムカバーには、様々なフィルムを使
用することができる。フィルムは、織物及び/又は不織
布である。例えば、不織布は、PP及び/又はポリエス
テルの熱溶融吹込微少繊維で良い。フィルムは、ポリマ
ー及び/又は非ポリマーフィルムを使用することがで
き、適切なポリマーフィルムの例としては、ポリエステ
ル、結晶質ポリエステル、非晶質ポリエステル、ポリイ
ミド、ポリアミド、ポリエチレン、PP、アクリル樹
脂、フェノール樹脂、PVC、ポリウレタン、ポリスチ
レン、弗素化ポリマーフィルム(DuPontからTeflonの商
標で市販されているもの等)、ポリ酢酸ビニル、ナイロ
ン等から成るグループから選択されたものが利用できる
が、これらだけに限らない。有用な非ポリマーフィルム
としては、アルミニウム、金、銀、ステンレス鋼、銅、
黄銅等から成るグループから選択されたものがあるが、
これらだけに限らない。非晶質ポリエステルは好適なフ
ィルムである。更に、外部フィルムカバー32aの厚さ
は、約0.005〜約2.0mmのものが好適で、約0.05〜約1.5m
mのものがより好適で、約0.075〜約1.25mmのものが更に
好ましい。この他に、外部フィルムカバーの材質は水に
不溶性のものであれば、特に限定されないが、例えば、
耐水性のポリエチレン/ナイロン系ラミネートフィル
ム、ポリエチレン/ナイロン/EVAラミネートフィル
ム等のプラスチックフィルムが、薄くてもフィルム強
度、耐水性、ヒートシール性、加工性等に優れ、袋にし
て使用すれば便利である。更に、アルミホイル、アルミ
ホイルとプラスチックフィルムとの積層フィルム、ゴム
状フィルム、金属性フィルム等も使用できる。フィルム
及び/又はフィルムセグメントは、任意に金属化する、
コロナ処理する、着色する、剥離面を備える、静電気を
散逸することができる表面を備える、反射面を備える、
接着面を備える、耐環境性(つまり熱、湿度、化学薬
品、放射線及び/又は真空効果等に対する抵抗性)を備
える、耐摩耗性/耐摩擦性を備える、フィルム及び/又
はフィルムセグメントが接触することを意図されている
表面との環境的、機械的及び/又は化学的相溶性を備え
る、低エネルギー面を備える、気体状及び/又は液状障
壁特性を備える、及び/又はこうした特性を有する外部
フィルムカバー32を形成するために熱伝導性及び/又は
導電性を備えることができる。フィルムには、エポキ
シ、ワックス、シリコーン、フルオロポリマー等の各種
コーティングを塗布して、外部フィルムカバーに剥離特
性又は低エネルギー面を付与することができる。フィル
ムは、充填剤、強化剤、着色剤、繊維、粒子等、各種材
料を含浸させてその特性を任意に変えることができる。
フィルムの特性は、必要に応じて特定の範囲に局限する
ことができる。様々なフィルムを使用して、外部フィル
ムカバーに様々な特性を与えることができる。例えば、
外部フィルムカバーは、内側フィルムと外側フィルムと
して特定できる2つの層から構成して良い。内側フィル
ムは、滑り防止基材30aが容易に付着し、かつ外部フィ
ルムカバーの外側フィルムは、耐擦り傷性等、より優れ
た耐摩耗性を滑り防止材に与える様に選択することがで
きる。その他の外部フィルムカバーも可能である。外部
フィルムカバーは、フィルムの1つ、2つ、3つ、4
つ、5つ又はこれ以上の層から構成することができる。
もう1つの例として、外部フィルムカバーは、同じ内側
層と外側層と、異なる中間層とを備えることができる。
外部フィルムカバーが複数のフィルムから成る場合、そ
れらのフィルムは、感圧接着剤等の接着剤で互いに任意
に接着するか、又はその他の手段で互いに任意に接着し
て良い。その他の例としては、低密度/高密度/低密度
ポリエチレン構造、低密度/中密度/高密度ポリエチレ
ン構造、及び低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン
/高密度ポリエチレンから成る3層外部フィルムカバー
構造がある。上記のフィルム層の1つ又は複数の層は、
任意に熱伝導性又は導電性で良い。外部フィルムカバー
は、例えばポリエステル/ポリイミド又はアクリル樹脂
/ポリエステル又はポリエチレン/ポアミド等の構造か
ら構成しても良い。上記のとおり、滑り防止基材30a
は、外部フィルムカバー32aにより完全に密閉され、流
体状の滑り防止基材30aを完全に100%密閉する。滑り防
止基材に接触する外部フィルムカバーの表面は内面とみ
なされ、滑り防止基材に接触しない外部フィルムカバー
の表面は外面とみなされる。外部フィルムカバー32aの
上下表面に貼着する接着剤層/粘着材34、36は、同じか
又は異なる1つ又は複数の接着剤/粘着材層から構成す
ることができ、例えば、部分的に硬化させることもで
き、適切な粘着材の例としては、感圧接着剤、粘着材、
エポキシ樹脂、構造用エポキシ樹脂等があるが、これら
だけに限らない。粘着材層は連続していても、不連続で
も良い。更に、粘着材34、36の厚さは、約0.02〜約1.0mm
のものが好適で、約0.04〜約0.5mmのものがより好適
で、約0.05〜約0.25mmのものが更に好ましい。又、図5
(B)において、滑り防止材3aの上下表面は、平らな表面
に形成され、これらの表面は、滑り防止効果を高めるた
めに表面上に適度な粘度を有する粘着材層(最も一般的
には感圧接着剤又は粘着材)34、36が塗布され、粘着材層
36は、密閉用の外部フィルムカバー32aの上面に塗布さ
れ、適度な粘着力の粘着材で曲面殻体51と滑り防止材3a
との分離が可能であると共に、可動座部7aが大きく変動
しない場合には、可動座部をずれないように保持するの
に十分な大きさの粘着力を有する粘着材が好ましく、
又、粘着材層34は、外部フィルムカバー32aの下面に塗
布され、その粘着力は、滑り防止材3a及び可動座部7a
が、人が着座した状態で滑らない程度の粘着力を有する
ものが好ましい。尚、滑り防止基材30aの硬さは、シリ
コーンゲル材で、JISーK2207-1980,50g荷重で測定した
針入度が、約20〜200の範囲のゲル材を用いるのが好ま
しく、針入度が約40〜100の範囲のゲル材がより好まし
い。又、滑り防止材3iの硬度が非常に柔らか過ぎると、
船酔に似た不快感が生成されるので好ましくないが、上
記e1)の構成では、外部フィルムカバー32aと滑り防止基
材30aとの合成した硬度が、滑り防止材3aの硬度となる
ので、単独では非常に柔らかいシリコーンオイル等の液
体を含む流体部材や空気/窒素等の気体でも、外部フィ
ルムカバー32aの厚さや剛性を適宜調節することで、快
適に利用可能である。
【0013】e2)ポリウレタン系エラストマやポリウレ
タン系ゴム、又は、ポリエチレンーポリスチレン共重合
体からなるゲル材等のように基材30b単体で、十分な剪
断強度が確保できるが、当該基材特有の粘弾性力、特
に、強力な自己粘着力により、単独で使用すると、枢動
曲面51がスピン回転運動等で基材30bが圧縮変形される
と、基材30bが自己融着し団子状に変形しやすいので、
かかる自己融着を防止するため、基材30bの枢動曲面51
側の接触面を、少なくとも、ポリエステル等の合成樹脂
や天然繊維等からなる外部ネットカバー32bで、被包す
る必要のある滑り防止材3b(尚、滑り防止材3bの組立作
業性から基材30b全体をカバー32bで被包してもよい)。
本発明において、「ポリエチレン及びポリスチレンの共
重合体をポリマーの主成分とするゲル又は低硬度ゴム」
とは、一般にポリエチレンは、加流ゴムや熱可塑性エラ
ストマーよりもヤング率が大きいが、可塑剤との相溶性
が良く、そのため、可塑剤を多量に添加することがで
き、架橋密度を小さくすると共にポリエチレンに可塑剤
を多量に添加することにより、硬度が小さく、かつ、破
断伸度が大きい低硬度エラストマ(ゲル又は低硬度ゴム)
を得ることができ、このような低硬度エラストマは、荷
重により大きく弾性変形可能となる。しかして、ポリエ
チレンは、PP、PVC、ポリスチレン等と同様に、汎
用的な熱可塑性樹脂であるが、ポリエチレンは他の汎用
的な熱可塑性樹脂と異なり、エチレン(CH2 =CH2)
が直線的に重合したものであるから、分子構造が直線的
であり、高重合体が動き易いので、変形及び復元がスム
ースであるから、低硬度であるにもかかわらず、大きな
弾力性を呈す。尚、「低硬度ゴム」とは、JISA型硬度計
による硬度が40度以下のゴムをいい、本発明において、
本低硬度エラストマは、ポリエチレンとポリスチレンの
両者をポリマーの主成分とするが、ポリエチレンの比率
を大きくすることにより硬度を小さくすることができ、
一方、ポリスチレンの比率を大きくすることにより硬度
を大きくすることができ、従って、2つのポリマーを主
成分とすることで所望の硬度を得ることができる。ここ
で、ポリエチレンにブレンドするポリマーとしてポリス
チレンを選択する理由は、ポリスチレンも可塑剤との相
溶性が良いからである。又、ポリエチレン、ポリスチレ
ンは、比重も小さく積層体の軽量性を損なうこともな
い。本発明において、「ポリエチレン及びポリスチレン
をポリマーの主成分とする」とは、ポリエチレン及びポ
リスチレンの総量(合計)が、低硬度エラストマに含まれ
ている全てのポリマーの50重量%以上の割合で配合され
ていることをいう。又、「主成分」とするとは、ポリエ
チレン及びポリスチレン以外のポリマーがブレンドされ
ていない場合を含み、更に、これらの主成分に加えて、
SBS樹脂、SIS樹脂、EVA樹脂等の樹脂やEPD
M等のゴムをブレンドしてもよいことを意味する。かか
るポリエチレン及びポリスチレンの共重合体をポリマー
の主成分とするゲルとしては、東京都八王子市の株式会
社コスモ計器から発売されている「PE系ゲル(HC04N(T
M))」が利用でき、1.0〜2.5mmの厚さの「PE系ゲル」
を2、3枚又は複数枚積層したもののほうが、4.0〜7.5
mmの厚さのPE系ゲルを1枚敷いたものより柔らかく、
実験では、可動座部の傾動感、着座感が、遥かに快適で
あった。次に、滑り防止基材30b用のポリウレタン系エ
ラストマとしては、例えば、大阪市ジーベース株式会社
のGベース1、2やGベースシート(TM)等が利用可能で
あり、Gベース2の物理特性の1例を示すと、厚みが薄
くても良好な振動吸収性能を発揮し、かつ、軽量な衝撃
吸収材として、ポリウレタンエラストマに微小中空球体
を体積比で1%以上60%以下混合し、衝撃吸収率が80%以
上、粘着力が0.5kg/cm2以上3.5kg/cm2以下、比重が0.4g
/cm3以上1g/cm3以下の部材が好ましい。このように、微
小中空球体を混合すると、振動や衝撃等の外力を受けた
ときに上記微小中空球体がポリウレタンエラストマの内
部でゴム風船のように変形と復元を繰り返すため、衝撃
吸収性能が向上し、厚みを薄くしても良好な衝撃吸収力
を発揮する。特に、上下方向の振動吸収性能が良くな
る。しかも、比重が小さくなるため、軽量であり、更
に、それ自体に粘着力を有するため、更なる接着剤や両
面テープ等が不要で、工程を簡略化することができると
共に、軽量化・小型化に有利である。尚、上記微小中空
球体が、平均粒度が10μm以上100μm以下、比重が0.0
1g/cm3以上0.1g/cm3以下のものである場合には、衝撃吸
収材自体の厚みを薄くしても十分な衝撃吸収性能が発揮
される共に、軽量化にも有利である。更に、アスカーF
硬度が30以上80以下である場合には、比較的軽いものが
固定された場合の衝撃吸収性能が良好になる。上記ポリ
ウレタンエラストマとしては、特に限定するものではな
く、ポリプロピレングリコールとイソシアン酸エステル
とを主成分とし、これにフタル酸ジオクチルを添加した
もの等各種のものが用いられる。特に、中性ウレタンエ
ラストマに硬化剤を混入して半架橋状態にした粘性およ
び弾性を有するウレタン系ゴム(Gベース2)が好適に
用いられ、上記微小中空球体としては、特に限定するも
のではなく、ガラスバルーン,シリカバルーン,シラス
バルーン,カーボンバルーン,アルミナバルーン,ジル
コニアバルーン等の無機系のものや、フェノールバルー
ン,塩化ビニリデンバルーン等の有機系のものが用いら
れる。これらの中でも、特に、塩化ビニリデンやアクリ
ロニトリルを主成分とする熱可塑性樹脂を殻とし、膨張
剤として炭化水素を内包させ、加熱することにより外殻
の熱可塑性樹脂を軟化させると共に炭化水素を気化させ
て膨張させたもの(例えば、エクスパンセル:日本フェ
ライト社のTM)が、比重が小さく軽量化に適していると
共に衝撃吸収性能にも優れているため、好適に用いられ
る。上記微小中空球体の粒度としては、平均粒度が10μ
m以上100μm以下が好ましい。この平均粒度の上限値
としては、70μmであればより好ましく、下限値として
は、30μmがより好適である。10μm未満では、ポリウ
レタンエラストマの内部で微小中空球体がゴム風船のよ
うに変形と復元を繰り返す衝撃吸収性能の向上効果に乏
しく、100μmを超えると、粒径が大きすぎて衝撃吸収
材の厚みを薄くしたときに衝撃吸収性能の低下が激しい
からである。又、上記微小中空球体の比重としては、0.
01g/cm3以上0.1g/cm3以下が好ましい。この比重の上限
値としては、0.07g/cm3がより好ましく、下限値として
は、0.02g/cm3がより好適である。0.01g/cm3未満では、
微小中空球体の強度が弱くなり、ポリウレタンエラスト
マと混合したときに微小中空球体が破壊されやすくな
り、0.1g/cm3を超えると、軽量化が十分できないからで
ある。上記微小中空球体のポリウレタンエラストマに対
する混合率は、体積比で1%以上60%以下が好ましい。こ
の混合率の上限値としては、55%であればより好まし
く、52%であれば一層好ましい。又、混合率の下限値と
しては、5%がより好適であり、10%であれば一層好適で
ある。1%未満では、十分な衝撃吸収率が得られず、60%
を超えるとコストアップとなるうえ、微小中空球体とポ
リウレタンエラストマを混合させにくくなるからであ
る。そして、上記衝撃吸収材の特性として、衝撃吸収率
は、80%以上が好ましく、90%以上であればより好まし
い。80%未満では、十分な振動吸収性能が得られないか
らである。又、粘着力は、0.5kg/cm2以上3.5kg/cm2以下
が好ましく、1.0kg/cm2以上2.5kg/cm2以下であればより
好ましい。0.5kg/cm2未満では、固定する機器との固着
が十分にならず、3.5kg/cm2を超えると、誤って付着し
たときに除去しにくく組立作業が困難になるからであ
る。更に、比重は、0.4g/cm3以上1g/cm3以下が好まし
い。0.4g/cm3未満では微小中空球体の混合率が多くなり
すぎてポリウレタンエラストマと混合させにくくなり、
1g/cm3を超えると有効に軽量化できないからである。
又、上記滑り防止基材30bの硬度は、単体で使用し、外
部ネットカバーを併用する場合には、アスカーF硬度15
以上80以下が好ましく、アスカーF硬度20以上60以下で
あるとより好ましい。15未満では、軟らかすぎて誤って
付着したときに除去しにくく組立作業が困難になるう
え、十分な振動吸収性能が得られず、80を超えると、硬
すぎてかえって振動吸収性能に劣るからである。上記ポ
リウレタン系滑り防止基材30bは、例えば、次のように
して作ることができる。則ち、予めポリウレタンエラス
トマの硬化剤に所定比率の微小中空球体を混入してお
き、この微小中空球体入りの硬化剤を所定量の主剤に混
合して攪拌し、所定の厚みのシート状に形成したのち、
適当な温度(例えば70〜90℃程度)に適当な時間(例え
ば2〜4時間)保持して硬化させることにより、上記衝撃
吸収滑り防止基材が得られる。又、上記外部ネットカバ
ー32bは、様々な特性を有する1つ又は複数のカバーか
ら成り、これらのカバーの化学組成、寸法(厚さ、幅、
長さ)等は同じであっても異なっても良い。これらのカ
バーは、互いに結合し、重なり合う、部分的に重なり合
う等の状態が生じる。これらのカバーは、連続していて
も不連続でも良い。外部ネットカバーを構成する各々の
カバーは、部材の性能を変更するために様々な程度の表
面粗さを任意に有して良い。外部ネットカバーには、様
々なネット状織物、及び/又は、ネット状に加工した不
織布が利用可能である。外部ネットカバーは、ポリマー
カバー及び/又は非ポリマーカバーを使用することがで
き、適切なネット状ポリマーカバーの例としては、ポリ
エステル、結晶質ポリエステル、非晶質ポリエステル、
ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、PP、アクリ
ル樹脂、フェノール樹脂、PVC、ポリウレタン、ポリ
スチレン、弗素化ポリマー(DuPontからTeflonの商標で
市販されているもの等)、ポリ酢酸ビニル、ナイロン等
から成るグループから選択されたネット状物が利用でき
るが、これらだけに限らない。有用なネット状非ポリマ
ーカバーとしては、アルミニウム、金、銀、ステンレス
鋼、銅、黄銅等から成るグループから選択されたものが
あるが、これらだけに限らない。非晶質ポリエステルは
好適なネットカバーである。更に、カバー32bの厚さ
は、約0.005〜約2.0mmのものが好適で、約0.05〜約1.5m
mのものがより好適で、約0.075〜約1.25mmのものが更に
好ましい。この他に、外部ネットカバーの材質は水に不
溶性のものであれば、特に限定されないが、例えば、耐
水性のポリエチレン/ナイロン系ラミネートネット、ポ
リエチレン/ナイロン/EVAラミネートネット等のプ
ラスチックネットが、薄くてもネット強度、耐水性、加
工性等に優れ、ネット状の袋にして使用すれば便利であ
る。更に、アルミホイル状ネット、アルミホイルとプラ
スチックネットとの積層ネット、ゴム状ネット、金属性
ネット等も使用できる。外部ネットカバーは、任意に金
属化する、コロナ処理する、着色する、剥離面を備え
る、静電気を散逸することができる表面を備える、反射
面を備える、接着面を備える、耐環境性(つまり熱、湿
度、化学薬品、放射線及び/又は真空効果等に対する抵
抗性)を備える、耐摩耗性/耐摩擦性を備える、ネット
が接触することを意図されている表面との環境的、機械
的及び/又は化学的相溶性を備える、低エネルギー面を
備える、気体状及び/又は液状障壁特性を備える、及び
/又はこうした特性を有する外部ネットカバー32bを形
成するために熱伝導性及び/又は導電性を備えることが
できる。ネットには、エポキシ、ワックス、シリコー
ン、フルオロポリマー等の各種コーティングを塗布し
て、外部ネットカバーに剥離特性又は低エネルギー面を
付与することができる。ネットは、充填剤、強化剤、着
色剤、繊維、粒子等、各種材料を含浸させてその特性を
任意に変えることができる。ネットの特性は、必要に応
じて特定の範囲に局限することができる。様々なネット
を使用して、外部ネットカバーに様々な特性を与えるこ
とができる。例えば、外部ネットカバーは、内側ネット
と外側ネットとして特定できる2つの層から構成して良
い。内側ネットは、滑り防止基材が容易に付着し、かつ
外部ネットカバーの外側ネットは、耐擦り傷性等、より
優れた耐摩耗性を滑り防止基材に与える様に選択するこ
とができる。その他の外部ネットカバーも可能である。
外部ネットカバーは、ネットの1つ、2つ、3つ、4
つ、5つ又はこれ以上の層から構成することができる。
もう1つの例として、外部ネットカバーは、同じ内側層
と外側層と、異なる中間層とを備えることができる。外
部ネットカバーが複数のネットから成る場合、それらの
ネットは、感圧接着剤等の接着剤で互いに任意に接着す
るか、又はその他の手段で互いに任意に接着して良い。
上記のネット層の1つ又は複数の層は、任意に熱伝導性
又は導電性で良い。外部ネットカバーは、例えばポリエ
ステル/ポリイミド又はアクリル樹脂/ポリエステル又
はポリエチレン/ポアミド等の構造から構成しても良
い。上記のとおり、滑り防止材3bは、外部ネットカバー
32bにより被包され、滑り防止基材30bに接触する外部ネ
ットカバーの表面は内面とみなされ、滑り防止基材30b
に接触しない外部ネットカバーの表面は外面とみなされ
る。カバー32bの上下表面には、接着剤層/粘着材層34、
36を、貼着してもよいし、しなくてもよく、粘着材を使
用する場合には、同じか又は異なる1つ又は複数の接着
剤/粘着材層から構成することができ、例えば、部分的
に硬化させることができ、適切な粘着材の例としては、
感圧接着剤、粘着材、エポキシ樹脂、構造用エポキシ樹
脂等があるが、これらだけに限らない。粘着材層は連続
していても、不連続でも良い。更に、粘着材34、36の厚
さは、約0.02〜約1.0mmのものが好適で、約0.04〜約0.5
mmのものがより好適で、約0.05〜約0.25mmのものが更に
好ましい。又、カバー32bの上下表面に、接着剤層/粘
着材層34、36を貼着しない場合には、ネット状カバーの
隙間から、滑り防止基材30bの一部がシミだし、滑り防
止基材30bが、接着剤層/粘着材層34、36を兼ねることも
可能である。尚、上記のポリウレタン系エラストマやポ
リウレタン系ゴムでは、アスカーC硬度で、0〜50の範
囲のものが好ましく、15〜45の範囲のものがより好まし
い。
【0014】e3)熱可塑性樹脂を加工した不規則ランダ
ムな3次元網状構造体等のように滑り防止基材30c単体
では十分な弾力性と共に剪断強度も確保できるが、当該
滑り防止材3cに必要な、適度の自己粘着力を補強し、枢
動変動やスピン回転等での、表面の擦れ合う摩擦音を低
減し、可動座部の自己保持能力を向上させるために、基
材30cの少なくとも枢動曲面51側の接触面、又は、上下
両表面に、薄く感圧接着剤等の粘着材層34、36を貼着し
た滑り防止材3c。上記e3)の熱可塑性樹脂を加工した不
規則ランダムな3次元網状構造体に関しては、その構成
を、詳しく後述する。又、滑り防止基材30cの少なくと
も枢動曲面51側の接触面、又は、上下両表面に、薄く貼
着する感圧接着剤等の粘着材34、36に関しては、上記e1)
と同様の部材が利用でき、則ち、同じか又は異なる1つ
又は複数の接着剤/粘着材層から構成することができ、
例えば、部分的に硬化させることもでき、適切な粘着材
の例としては、感圧接着剤、粘着材、エポキシ樹脂、構
造用エポキシ樹脂等があるが、これらだけに限らない。
粘着材層は連続していても、不連続でも良い。更に、粘
着材34、36の厚さは、約0.02〜約1.0mmのものが好適で、
約0.04〜約0.5mmのものがより好適で、約0.05〜約0.25m
mのものが更に好ましい。例えば、図9(C)において、滑
り防止基材30cの上下表面は、平らな表面に形成され、
これらの表面は、滑り防止効果を高めるために表面上に
適度な粘度を有する粘着材(最も一般的には感圧接着剤
又は粘着材)34、36が塗布され、粘着材36は、基材30cの
上面に塗布され、適度な粘着力の粘着材で曲面殻体51と
滑り防止材3cとの分離が可能であると共に、可動座部7a
が大きく変動しない場合には、可動座部をずれないよう
に保持するのに十分な大きさの粘着力を有する粘着材が
好ましく、又、粘着材層34は、基材30cの下面に塗布さ
れ、その粘着力は、滑り防止材3c及び可動座部7aが、人
が着座した状態で滑らない程度の粘着力を有するものが
好ましい。上記滑り防止基材30i(i=a〜c)単体の厚さ
は、0.025〜15mmのものが利用可能であるが、乗物用に
軽量化するためには、0.05〜10mmの範囲の厚さでその性
能が発揮できるものが好適で、0.1〜6mmのものがより好
適であり、0.3〜6mmの厚さのものが一段と好ましい。
又、滑り防止材3iの形状が円形状や矩形であると、平板
部2iの上面28の全領域を覆うことが可能であるが、実験
によると滑り防止材3iの大きさは、上面28の大きさや曲
面部51の水平方向の大きさの約1/2〜1/3の大きさに短縮
可能である。本発明の滑り防止材3iは、多様な形状を有
することができ、この形状は、対称でも非対称でも良
く、適切な形状の例としては、角柱、切頭角錐、円筒、
及び、円柱、半球、等、その他の形状から成るグループ
から選択された形状があるが、これらだけに限らない。
又、滑り防止材3iの硬度が非常に柔らか過ぎると、船酔
に似た不快感が生成されるので好ましくないが、上記構
成例では、外部フィルムカバー/外部ネットカバーと滑
り防止基材30iとの合成した硬度が、滑り防止材3iの硬
度となるので、単独では非常に柔らかい部材でも、外部
フィルムカバー/外部ネットカバーの厚さや剛性を適宜
調節することで、快適に利用可能である。
【0015】かかる構成において、その動作を、図7、
図8を参照して説明する。本発明の座席9aは、従来の固
定構造の座席と同様に、座部1aの上に腰掛けるだけで特
別な訓練を受けなくても簡単に使用でき、座席9aの左右
方向をx軸に、前後方向をy軸に、上下方向をz軸にと
ると、可動座部7aとベース部2aとの間の枢動する空間
に、適度な柔らかさを有しシート状物からなる上記滑り
防止材3i(i=a〜c)を単独又は組合せ積層させて介在さ
せ、可動座部7aに作用する重力/加速度/遠心力を、滑
り防止材3i及び枢動機構5aにより、可動座部7aの局所枢
動クッション変動に転換し、座部1aに座っている人90
に、外部駆動式強制的ストレス発散用ストレッチ運動を
提供し、又は、着座者の自主的な意思に基づいて生成さ
れるストレッチ運動を快適に補助・支援するようになっ
ている。尚、滑り防止材3i用の粘弾性部材として、粘弾
性の任意の部材を含むことができ、その物性に応じて上
記e1)〜e3)のいずれかの利用形態を取り得るが、粘弾性
部材は粘性であり、従ってエネルギーを散逸することが
でき、しかも尚一定の弾性を示し、従ってエネルギーを
貯えることができる材料であり、粘弾性部材は、変形す
る際に機械的エネルギーを熱に変換することができ、一
般に長鎖分子を含むエラストマー部材であり、一般に、
荷重が加わることによって伸びる等の変形を生じ、荷重
が除去されてからしばらく後に収縮する等により、徐々
に元の形状を回復する。本発明に有用な粘弾性部材は、
熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマー又はゲル又は部
分的に硬化したこれらの組合せが可能で、熱硬化性ポリ
マーは粘弾性部材として有用だが、高度の振動減衰の有
効温度範囲が比較的低いために、熱可塑性ポリマーに比
べて使用されることが少ない。粘弾性部材は、ゲル材、
アクリレート等の熱可塑性ポリマー、又は、ウレタン・
エラストマであることが好ましい。しかして、乗物10
が、図示しない直線道路を真っ直ぐに一定速度で走行中
の場合や停車中の場合には、中空部93に埋設した可動座
部7aには、乗物10bの走行動作に起因した加速度は、作
用しないので、重力gが主として可動座部7aに作用しつ
づけ、そのバランス動作の左右方向の中心は、図7(A)
に示すように、x軸方向の枢動曲面51のほぼ中央部とな
り、この部位p71を中心として、軸部5が身体上部の重心
の移動に応答して、常時変動し、或いは、可動座部7aを
枢動変動させて着座者は強制的なストレッチ運動が可能
である。則ち、枢動機構5aで可動座部7aが水平に保持し
された状態では、その枢動構造は、滑り防止材3iの中央
部が、水平な下方凸曲面51の中央により下方に押圧され
て少し周辺部よりも凹み、同時に、滑り防止材3iから凸
曲面51への反力は、同心円状にバランスし、曲面51は、
滑り防止材3iからほぼ同心円状に同様な反力を受け、更
に、シリコーンゲル等のゲル材3iでは、腰部からの不規
則変動吸収効果や、乗物の床面からの不規則変動吸収効
果もある。又、可動座部7aのバランス動作の前後方向の
中心は、図7(B)に示すように、y軸方向の枢動曲面51
のほぼ中央部となり、この部位p71を中心として、身体
上部の重心の移動に応答して、常時軸部5が変動し、或
いは、可動座部7aを利用した強制的なストレッチ運動が
可能である。又、上記図7(A)(B)に示すバランス中心p7
1は、可動座部7aを、図10(A)(B)に示すように、適
宜、前後、及び/又は、左右方向に、手動操作等で、シ
フトさせて設置位置を変更することにより、容易に変更
することが可能である。更に、定速度で直線運動してい
る場合には、静止した図8に示す座席9aと同様な力学的
環境条件となり、重力加速度gのみが主として作用し、
枢動曲面51と滑り防止材3iと平面状ベース部2aとの間に
生成され、適度な硬度を有する粘弾性力を中心とした枢
動クッション力は、適度の粘着力と、永久圧縮歪の少な
い弾力性とが、適宜組合わされて合成され、着座してい
る利用者90の時々刻々と変動する姿勢・角度に応じて自
動的に、常時、停止すること無く生成され、図8(B)で
は、中央よりやや右側に傾動した部位の滑り防止材3i
が、その粘弾性部材の特性から、体重荷重が加わること
によって可動座部7aの曲面51により圧縮され局所的に伸
びる等の変形を生じ、その反対側は少し盛り上がった状
態で安定し、上半身の移動/運動により、荷重が負荷さ
れる部位が移動/変動して、除去されてからしばらく後
に収縮する等により、徐々に元の形状を回復するのであ
るが、上記枢動クッション力は、着座者90の時々刻々と
変動する姿勢・角度に応じて自動的に、常時、停止する
こと無く生成され、身体にフィードバックされるので、
その結果、身体全体がバランス良く、常時、活発に活動
し、頭脳への血流量が増加し、頭脳の働きを改善する効
果があり、しかも、身体変動の障害となることが一切な
く、更に、長時間使用しても身体の特定箇所に副作用を
発生させることも無く、又、無意識の内に身体変動によ
りストレスが発散できるので、ストレスが蓄積せず、快
適な使用感、着座感のする座席を提供することができ
る。
【0016】次に、等速度運動中や停車中に、少し水平
面から角度θだけ可動座部7aを枢動させ傾けた状態で
は、その枢動構造は、ミクロ的には、凸曲面51が滑り防
止材3iの傾けた側を圧接し、例えば、滑り防止材3iの左
傾斜側が圧接されて薄く伸び、反対側は、上方に盛り上
がると共に、滑り防止材3iの弾性により、可動座部7aが
水平の状態に戻ろうとする復元力が曲面51に作用してい
る状態で安定し、枢動/捻れ等あらゆる身体腰部の3次
元的な姿勢角(ヨー、ヒ゜ッチ、ロール運動の予測可能制御性は枢動
機構5aで確保されている)制御操作に対して、曲面51に
接触している滑り防止材3iの粘着力が一種の軽いブレー
キ力として常時作用し続けると共に、軽く元の水平状態
に戻そうとする弱い復元力としても常時作用し続けた状
態で安定し、更に、滑り防止材3iに、シリコーンゲル等
のゲル材を使用すると、ゲルの流動特性と共に薄く延び
て運動追従性が付加され、局所的並進運動/回転運動の
予測可能な操作性(所望の位置、姿勢角制御が容易に実
現でき、移動先での姿勢保持が予想した様に簡単に実現
でき、移動後予測しなかった不規則なドリフト変動が発
生しないので、予測可能と呼んでいる)が高まり、ゲル
材特有の弾性効果と共に、身体腰部の不規則変動吸収効
果も期待できる。図7/図8の例では、ベース部2aの上
方に形成された平らな平面状の上面28に、滑り防止材3i
を介して、可動座部7aの凸曲面51を有する軸部5が、直
接、載置されて、枢動機構5aが形成され、座席9aの座部
1aの場合、着座者90の上半身の僅かな身体移動により、
その重心が僅かに変化すると、この僅かな重心移動に応
じて生成される重力モーメントに応答して可動座部7aが
駆動され、自動的に身体の重心移動作用として枢動/傾
動運動が、着座者の腰部を中心とした骨格ー筋肉に引き
起こされ、しかも同時に、かかる身体の骨格運動が、瞬
時に、着座者の小脳にフィードバックされるので、従来
固定されていて全く利用可能な状態で提供されていなか
った座席の座部1aが、局所可動座部7aとして、滑り防止
材3iの適度に柔らかい粘弾性力により、瞬時に反作用方
向に枢動/傾動可能となり、着座空間という非常に狭
く、制約条件の非常に多い局所空間であっても、ストレ
ス発散のために十分な可動範囲のストレッチ運動を可能
とする空間と機構が十分確保でき、無意識の内に、ほん
の僅かな重心移動で腰部を中心に、ゆったり、かつ、快
適にストレス発散のための枢動クッション運動が座部1a
に腰掛けたまま実行できるようになっている。又、従来
の静止した固定構造の椅子/座席やこれに付属した敷物
では、座っているだけの全く受動的な静的クッション性
のみが問題とされてきたので、かかる全身運動を補助す
るストレス解消運動等の能動機能(動的クッション性)
に対しては、完全に配慮が欠けており、他方で、従来の
a2)に開示されているような枢動可能な治療用の椅子で
は、クッション性は全く考慮されておらず、運動の自由
度や快適性に対しては、全く配慮が欠けていたので、2
〜4時間以上の長時間の椅子/敷物の使用等とても想像
できなかった。一方、本発明の座席9aでは、可動座部7a
と平板部2aとの間に、介挿された滑り防止材3iの粘弾性
力及び粘着力により、可動座部7aの枢動運動に、同一姿
勢の保持能力(粘着力により、図7の例では、e1)の滑
り防止材3aの場合、フィルムカバー32aの上下面に貼着
された粘着材層34、36が粘着力の中心であるが、e2)のポ
リウレタン系ゴム/エラストマを利用した滑り防止材3b
の場合には、滑り防止基材30b自体の粘着力をネットカ
バーの隙間を介して直接利用可能である)とクッション
性(適度な柔らかさの弾性体の弾力性による)を同時に
付与できると共に、いわゆる凹凸曲面から構成されたボ
ールージョイント機構では提供不可能な可動座部7aのx
軸方向やy軸方向の局所並進運動/シフト移動も提供可
能であり、この結果、非常に広範囲な運動空間が確保で
き、更に、4時間以上連続して着座し続ける場合に問題
となる下半身を中心としたストレスも、図9(A)(B)に示
すように、可動座部7aを、平面28上で、x軸方向やy軸
方向に並進移動させてシフトさせて、設置位置を、強制
的に変更することにより対処可能であり、滑り防止材3i
の介挿されていないボールージョイント機構では発生し
やすい可動座部7aのつるつるし、非常に硬い着座感のす
る不規則変動や騒音を完全に防止できる。更に、可動座
部7aでは、ヨー、ピッチ、ロール等の3自由度以上の回
転運動能力が、1つの枢動曲面51で提供でき、垂直軸回
りの360度の時計回り、反時計回りのスピン回転運動も
自在に提供できると共に、前後(y軸)/左右(x軸)
方向への局所並進移動運動能力も付与でき、高さ60mm以
内の非常に薄く形成された僅かな設置空間であっても、
枢動変動/傾動移動中は、座席9aの着座者に対し、スト
レス発散運動に対して十分に広い運動空間と着座したま
ま、静かで、非常に滑らかな動きの自由度が提供可能な
機構と、着座感の良好・快適な枢動クッション性を提供
でき、2〜8時間以上、場合によっては24時間以上の
連続長期間着座し続ける利用方法でも、従来の座席や敷
物と比較して、約1/5〜1/10以下の疲労感しか発生しな
い、非常に快適かつ活動的な座席/敷物が実現できてい
る。尚、平板部2i及び軸部5を炭素繊維織物を母材とし
たCFRPで形成すると、それぞれの単体重量が、約50
〜150gの非常に軽量化した座部が実現でき、乗物に利用
する場合、経済的である。又、座部1aの上部は、本発明
では、固体化外周フード4a、コイル状の弾性支柱部8及
び可動座部7aで構成しているので、非常に柔軟かつ弾力
的に構成され、着座者が、特別に立ち上がったり、座席
9aから離れたりすることなく、可動座部7aに座ったまま
の状態で、前後/左右方向に自由自在に枢動回転運動し
てストレッチ運動することが可能であり、図8(A)(B)に
示すように、大腿部が移動する場合には、座部1aの上部
は、抵抗力の少なく、かつ、大腿部の移動した形状に応
じて変形可能な構造の部材で構成され、更に又、座部1a
の上部は、中空構造となっているので、外周フード4aの
内部で、可動座部7aが、出来るだけ抵抗力が少なく、か
つ、移動する身体の姿勢及び位置に応じて変形可能な構
造の部材で構成されている。従って、場合によっては、
上記座部1aにおいて、外周フード4aは、取付けなくて
も、機能的には、十分に利用可能であり、第三者の指等
の挟みを防止する観点からは、外周フード4aは、設けた
ほうが、より安全である。
【0017】次に、図1(A)に示すように、乗物10が、
カーブ状の道路を走行している場合、カーブcp6を走行
中は、中空部93に埋設した可動座部7aには、カーブ半径
R6に起因した進行方向に対して直角の半径方向に作用す
る遠心力に基づく加速度acが、通常の重力加速度gと合
成されて、可動座部7aに作用しつづけ、カーブ半径R6に
起因した遠心力Fcの大きさは、カーブを曲がる回転角速
度をωとすると、次式で表される。 Fc = m x R6 x ωxω ・・・(2) 但し、mは、遠心力の作用する物体の質量 式(2)から、カーブcp6で軸部5に作用する遠心力Fcを
考察すると、図7(C)の断面では、左側に作用する遠心
力f71は、カーブcp6の円弧中心p60に右側より近いの
で、回転半径が小さく、その結果左側より遠心力は相対
的に小さく、図7(C)の右側に作用する遠心力f72は、カ
ーブcp6の中心p60から左側より遠いので、回転半径が相
対的に大きく、その結果右側より相対的に遠心力は大き
く、かくして、反時計回りに左側に円弧中心のあるカー
ブを走行中は、必ず、座席9aに座っている人は、前進方
向に対して可動座部7aの右側がより大きな遠心力に引っ
張られて下がった状態で、かつ、左側が持ち上げられた
状態で、強制的枢動クッション変動を受けながら走行す
ることとなる。従って、可動座部7aのバランス動作の左
右方向の中心は、図7(C)(D)に示すように、x軸方向の
枢動曲面51の中央より少し右側にシフトした部位p72を
バランス動作の中心として、身体上部の重心を移動さ
せ、強制的ストレッチ運動が可能である。従って、可動
座部7aの枢動変動に応じて身体腰部を変動させ、その結
果、背骨を、左側に回転中心のあるzx面内の円弧に沿
って湾曲させながら、強制的ストレッチ運動が可能であ
る。又、時計回りに右側に円弧中心のあるカーブを走行
中は、必ず、座席9aに座っている人は、前進方向に対し
て可動座部7aの左側がより大きな遠心力に引っ張られて
下がった状態で、かつ、右側が持ち上げられた状態で、
強制的枢動クッション変動を受けながら走行することと
なる。従って、可動座部7aの枢動変動に応じて身体腰部
を移動させ、その結果、背骨を、右側に回転中心のある
zx面内の円弧に沿って湾曲させながら、強制的ストレ
ッチ運動が可能である。更に、式(2)から、可動座部
7aに作用する遠心力Fcの大きさを考察すると、遠心力Fc
は、カーブ半径R6に比例した大きさで、又、カーブを曲
がる回転角速度ωの2乗に比例しているので、左折(右
折)等を時速15Km/h以上の速度で行うと、上記前進方向
に対して可動座部7aの右側(又は左側)がより大きな遠
心力Fcに引っ張られて下がる現象が確実に体験でき、
又、通常の市街地のカーブを走行する場合には、カーブ
を時速30Km/h以上の速度で走行すると、上記前進方向に
対して可動座部7aの右側(又は左側)が遠心力Fcに引っ
張られて下がる現象が確実に体験できた。又、反時計回
りにカーブを走行中の可動座部7aのバランス動作の前後
方向の中心は、図7(D)に示すように、式(2)の遠心
力の影響は比較的小さく、y軸方向の枢動曲面51のほぼ
前後方向の中央の部位p72を中心として、身体上部の重
心の移動に応答して、常時変動し、或いは、強制的なス
トレッチ運動が可能である。尚、乗物10を、アクセル又
はブレーキを操作して、進行方向に平行に、加速又は減
速の加速度apを発生させると、可動座部7aには、この
加速度apにより、進行方向と平行に、後方又は前方に
移動させようとする力が、遠心力Fc及び重力gとは独立
して、作用するので、かかる加速時又は減速時の進行方
向と平行な、後方又は前方に移動させようとする力の影
響を低減するためには、図7(E)に示すように、前方を
少し持ち上げ後方を少し押し下げて傾斜させた平面板29
0で、前方y軸方向の先端部を少し上方に傾斜させて設
置したベース・フレームの上面に、可動座部7aを載置す
るのが好ましい。又、時計回りに円弧中心が右側にある
カーブを走行中は、必ず、前進方向に対して可動座部7a
の左側が遠心力に引っ張られて下がった状態で、かつ、
右側が持ち上げられた状態で、枢動クッション変動を受
けながら走行するので、可動座部7aのバランス動作の左
右方向の中心は、x軸方向の枢動曲面51の中央より少し
左側にシフトした部位を中心として、身体上部の重心の
移動に応答して、常時変動し、或いは、強制的なストレ
ッチ運動が可能である。更に、時計回りに上記カーブを
走行中の可動座部7aのバランス動作の前後方向の中心
は、式(2)の遠心力の影響は比較的小さく、y軸方向
の枢動曲面51のほぼ中央の部位を中心として、身体上部
の重心の移動に応答して、常時変動し、或いは、強制的
なストレッチ運動が可能である。従って、従来は、座部
1aの中空部93に、一見、非常に不安定に見える可動座部
7aや枢動機構5aと同等の構造を具えた可動座部等を設置
して、局所可動座部7aに腰掛けた状態で、乗物の運転を
したり、乗車することは、非常に危険であると勝手に推
測され、実際に実用化されることがなかったし、乗車中
にかかる局所可動座部7aの上で過ごすことは非常に疲労
感を増すだけであると勝手に想像され、従来試行される
こともなかったが、本願発明者が、従来の自動車の座席
を、本発明の座席9aに改造して、座部1aと同等の構造の
可動座部7aに腰掛けてシートベルトをして運転したとこ
ろ、先ず、着座した瞬間に、従来の静的固定構造の座席
では体験出来ない滑り防止材3iを含む枢動機構5aの反力
が感知でき、更に、ほんの少し身体を前後・左右に変動
させるだけで十分に、適度に柔らかい粘弾性力に基づく
動的な枢動クッション力が感得されて座席に座ったまま
の状態で身体の上部、下部或いは上下部を同時に運動さ
せることが可能であり、従来の固定式静的座席とは、根
本的に異なった非常に快適な着座感が得られ、更に、片
道、約4〜5時間休みを取らずに連続して運転しても、
常時、可動座部7aの枢動変動により、運転しながら同時
に快適なストレッチ運動も実行できることが分かった。
例えば、左折(右折)では、交差点で時速15Km/h以上の
速度で走行すると、前進方向に対して可動座部7aの右側
(又は左側)が反対側より大きな遠心力に引っ張られて
下がる現象が確実に体験でき、従って、身体の座部に触
れない頭部、手先、足先は左側に、腰部は右側に湾曲さ
せる強制的ストレッチ運動が左折する短期間内に体験で
き、又、通常の市街地のカーブを走行する場合には、円
弧中心が左側にあるカーブを時速30Km/h以上の速度で走
行すると、前進方向に対して可動座部7aの右側(又は左
側)が遠心力に引っ張られて下がる現象もカーブ走行中
ゆったりと確実に体験でき、特別に外部駆動源を設け無
くても、走行中に発生する遠心力を利用して、可動座部
7aを強制的に左右に枢動変動/傾動変動させることがで
きるので、可動座部7aの利用者に対し、非常に滑らかな
腰部を中心とした局所的、かつ、強制的な下半身/上半
身のストレス解消運動と、着座感の良好かつ快適な座席
を提供できることが分かった。更に、シートベルトを着
用している場合等では、頭部及び前腕等の上半身は、背
骨を適宜自然に湾曲させることにより、上記可動座部7a
に起因した腰部の強制的枢動運動に殆ど影響されず、又
は、腰部の強制的枢動運動と同期して同時に、快適にス
トレスを発散でき、その結果、遠くから眺めると、ほぼ
一定の姿勢を保って運転しているように見えても、運転
中無意識のうちに、常時、ヨー、ピッチ、ロール運動や
前後/左右方向の移動運動が可能で、身体を自然に動か
すことが可能となり、かかる可動座部7aに腰掛けた状態
での下半身/上半身のストレス解消運動により、それま
で感じていた腰及び背骨や下半身等の傷みが殆ど感じら
れず、非常に快適に運転でき、更に又、約4〜5時間以
上8時間前後、休みを取らずに連続して運転しても、可
動座部7aを、適宜、前後/左右方向に局所移動させ、同
一姿勢を保つことにより蓄積/発生する下半身のストレ
スが発散/防止でき、しかも、降車後は、即座に、別の
仕事等に従事することが可能であった。尚、平板部2i及
び軸部5を炭素繊維織物を母材としたCFRPで形成す
ると、それぞれの部材単体単独の重量が、約70〜150gの
非常に軽量化した座席9aが実現でき、乗物10の燃費が非
常に向上できると共に、座部1aの耐火性能、耐熱性能も
飛躍的に高められるので、非常に好ましい。又、上記乗
物10には、自動車/電動車椅子/トラック/ホークリフ
ト/ブルトーザ等の車両や、船/電車/バス等の乗物、
更に、車椅子、馬車、自転車、オートバイ等の乗物、ク
レーン/建築機械/遊園地等の乗物を含むことは、当業
者に明かである。
【0018】飛行機の座席は、通常、一定期間毎に洗濯
のために座席フレームから取外すことの可能な(革張り
し得る)織物カバーを有する。この要件が、織物カバー
が、座席フレームに固定されカバーの洗濯は全て通常そ
の場で行なわれる、自動車又は列車の座席等の他の乗物
の座席と、飛行機の座席との顕著な相違点である。現在
の飛行機は典型的には数百個の座席を有し、一定期間の
使用後に、汚れた織物カバーは洗濯のため取外される。
洗濯されたカバーは専門の作業員によって座席フレーム
に取付けられるが、専門の作業員は、最低限の時間内に
洗濯された多数のカバーを取付けようと試みる。図1及
び図2に対応させて示す図10は、本発明の座部1aと同
様な構造の座部1bを、飛行機の座席9bに、一体に組込ん
で形成し、短時間でより正確な取付及び位置決めを可能
にするカバー4bを具えると共に、本発明の可動座部7bを
応用し、ストレッチ運動が座席9bに着座したままの状態
で実行可能とし、いわゆるエコノミークラス症候群のよ
うな、長期間一定の姿勢で着座し続け、着座者が運動で
きないことから発生する病気を予防可能な座席フレーム
アセンブリとしたもので、それぞれ、同様の番号を付し
た装置は、同様の機能を果たすと共に、本発明の飛行機
用座席9bは、座席フレームアセンブリ1bとこれに取付け
るための前カバー4bとを含み、座席フレームアセンブリ
1bは、好ましくは、背部分q2と座部分q1とを有し、座部
分q1は、好ましくは、硬質の座席フレームq3を含み、座
席フレームに架設されたベースパネルq5の上面には、可
動座部7bが載置され、枢動機構5bが形成されると共に、
座席フレーム前縁及び/又は下面にはクリップ等により
カバー4bが取付けられるようになっている。尚、図10
では、シート・ベルトは、省略され、図示されていな
い。更に、座部q1は、基本的には、座部1aと同様な構造
であり、平板部2aと、滑り防止材3iと、可動座部7b(7a)
から構成され、略平面状の平板部2aは、薄板平板状殻体
からなり、その下方には、一体に薄板平板状クッション
材26aを形成してもよいし、しなくてもよい。更に、平
板部2aの上面28には滑り防止材3i(i=a〜c)が載置され、
その上に、軸部5及びクッション材62を一体に積層して
形成した局所可動座部7bが載置され、更に、カバー4bを
支持し可動座部7bの移動可動な空間を確保するために、
コイル状の弾性支柱部8が粘着材82により平板部2aに貼
着されるようになっている。尚、平板部2aは、ベースパ
ネルq5と一体に形成し、省略することも可能である。
又、座席フレームアセンブリ1bの背部分q3は、従来と同
様のリクライニング式構造のものが利用可能であり、背
部分q3の後部を覆うため、半硬質の背パネルq6を設ける
ことができ、この背パネルは、織物で覆われたフォーム
層を有する複合構造物であることが好ましい。背パネル
q6は、好ましくは、座席フレームアセンブリへの繰返し
ての取付け及び取外しを可能にする留め具によって座席
フレームアセンブリに取付けることができ、これらの留
め具は、カバーを座席フレームアセンブリに取付けるた
め使用されるクリップと同じ又は異なるものであり得
る。カバー4bは、複数のクリップにより座席フレームア
センブリ1bに取外し可能に固定可能であり、複数のクリ
ップは手動で係合可能かつ離脱可能な構成部品の対を有
し、各対の一の構成部品は座席フレームアセンブリ上に
あり、対の他の構成部品はカバー上にあり、上記一構成
部品と一対一対応で関連づけられ、このため、クリップ
は座席フレームアセンブリに対し前カバーを取外し可能
に保持し正確に位置決めするよう動作可能である。各ク
リップは、好ましくは、受け口構成要素とプラグ構成要
素とを含み、好ましい実施例においては、プラグ構成要
素は、プラグ構成要素が受け口構成要素の受け口の中に
ロックされるロック位置と、プラグ構成要素が受け口に
挿入可能であり又受け口から取出し可能である解放位置
との間で可動である回転可能な留め具を有する。カバー
4bは、好ましくは、背部分43bと座部分40bとを有し、背
部分と座部分とは曲線41bに沿って合せられ、そのた
め、カバーの座部分と背部分とは小さな折畳まれた状態
をとるよう合せて折畳み可能である。カバーの座部分の
前端縁は好ましくは、座席フレームアセンブリの下側方
前端縁に上記クリップにより取付けることができる。背
部分43bの上方端縁は、座席フレームアセンブリ1bの頭
あて領域に更なるクリップにより取付けられ得、又は、
代替的に、この取付は、座席フレームアセンブリの上方
端部を覆うようにぴったりと取付けられるフードとして
カバーの上方領域を形成することにより達成され得る。
いずれの場合にも、背部分43bと座部分40bとの切換え領
域を座席フレームアセンブリに取付けることが望まし
く、この取付は、2つの構成要素を含む合成樹脂クラス
プであって、一構成要素が座席フレームアセンブリに取
付けられ他構成要素が曲線領域41b内でカバーに取付け
られるもので好適に達成される。カバー4bの背部分と座
部分とは曲線41bに沿って合せられ、前カバーの座部分
と背部分とが合わされる曲線41bは、前カバーを前方か
ら見たときに窪みであり得、両部分はこの線に沿ってス
テッチングによって合わせられ得る。前カバー4bの各部
分は、裏あてスクリムと使用中目に見えるカバーの表面
上の織物の装飾的上層との間に挟まれる中間フォーム層
を有する複合構造物であり得る。
【0019】次に、図10を参照して、より詳細に説明
すると、飛行機用座席9bは、管状の合金で作られる硬質
のフレームq3と、合金又はジメトロール(Dymetrol)と
して知られるプラスチック複合材料で作られるパネルと
を有し、フレームq3は、座部分q1及び背部分q2を規定す
る。座部分q1は、好ましくは、硬質の座席フレームq3を
含み、硬質の座席フレームには、ベースパネルq5が架設
され、その上面に可動座部7bが載置されて、座席フレー
ムアセンブリ1bを形成する。座席フレームアセンブリ1b
は、基本的には、座部1aと同様な構造であり、平板部2a
と、滑り防止材3iと、可動座部7bからなり、座席フレー
ムq3に架設されたベースパネルq5の上面に載置される。
下部凸曲面部を有する可動座部7bをベースパネルq5に取
付ける場合、可動座部7bは滑り防止材3i上で、常時、枢
動変動し、回転ころがり運動や回転滑り運動をするの
で、平板部2aを、ベースフレームq5に強固に固定しても
無意味であり、平板状クッション材26aを、適度の粘着
力を有するゲル材等の粘着材で構成すると、床/ベース
パネルq5からの振動も防止できるので好ましく、又、平
板部2aを、ベースパネルq5と一体に形成し省略し、ベー
スパネル上面が平板部を兼ねた場合には、滑り防止材3i
の粘着力で、十分に可動座部7bを保持することも可能で
ある。更に、フレームアセンブリ1bの座部分q1及び背部
分q2は、前カバー4bに覆われ、半硬質背パネルq6が、フ
レームアセンブリの背の後部表面を覆う。座席フレーム
前縁及び/又はパネルq5下面に、可動座部7bを覆って、
クリップ等によりカバー4bが取付けられる。カバー4bの
座部分40bの領域で、特に可動座部7bを覆う領域は、ネ
ット状部材又は弾力性部材で構成し、枢動する可動座部
7bの移動抵抗を極力低減できる部材が好ましい。上記固
定用クリップは、従来の手荷物保持装置において使用さ
れるものと同様なクリップで、2つの構成要素を含む合
成樹脂クリップが、座席の様々な位置で使用され、特
に、前カバー4bの着脱に有用であり、このクリップの一
構成要素は、中央開口部を規定する細長い環を有する受
け口の形をとる。クリップの他構成要素は、プラグの形
をとり、ベースを有し、ベースの上には留め具が旋回可
能に装着され、留め具は、ロック位置とロック位置から
90度動かされた解放位置との間を回され得る。解放位置
にあるとき、留め具は、開口部に挿入可能であり、留め
具を90度回転させロック位置にすることで定位置にロッ
クされる。留め具を90度回転させてその解放位置にし、
クリップの2つの構成要素が離れられるようにすること
で、ロック位置からの解放が行なわれる。例えば、前カ
バー4bを座席フレームアセンブリ1bに取付ける場合、2
つのクリップが使用され、前カバーは、その背部分q2の
頂部に、各々クリップ受け口をもつ2つの上向きに突出
した耳を有する。頭当てで覆われるフレームの区域は、
2つのクリッププラグを担持し、2つのクリッププラグ
は2つの受け口と協働してフレームアセンブリに対して
前カバー4bの上方部の取外し可能な接続及び正確な位置
決めを行なう。則ち、クリップの受け口は、耳に取付け
られ、クリップのプラグ構成要素は、フレームに取付け
られ、このため耳をフレーム上に位置づけると、留め具
が開口部と位置が合い、開口部を通ることになり、留め
具をそのロック位置に回転させることが可能となる。こ
うして、耳がフレームの必要とされる位置に取付けら
れ、この位置からは、クリップを解放せずにはカバーの
耳を取外したり又は移動させたりできない。前カバー4b
の座部分40bは、可動座部7bの前端縁を超えて折り曲げ
られるフラップを前端縁42bに形成するよう十分な長さ
に作られ(図10(D))、フラップ42bの端縁はベースパ
ネルq5の前下方の、例えば、3つのクリッププラグとそ
れぞれ係合可能である3つのクリップ受け口を持ち、こ
れら3つのクリッププラグにより着脱される。前カバー
4bの座部分40bと背部分43bとの間の切換部は、(カバー
を前方から見たとき)窪みであるステッチング41bの曲線
で形成されるため、前カバー4bはフレームアセンブリ上
の定位置にきっちりと収まる。この線41bの曲がった形
状は、又、洗濯の搬送用に小さな折り畳まれた状態をと
る場合、前カバー4bをこの曲線41bに沿って折り曲げる
ことができることを意味する。曲線41bの領域を座席フ
レームに取付けることが望ましく、曲線41bにおいて又
は曲線41bの近くで短い帯紐によって前カバーに取付け
られる受け口部分及び短い帯紐によって座席フレームに
取付けられるプラグ部分を有するプラスチックのクラス
プにより固定される。革張りの頭当てq7は、前カバー4b
の耳を取付けるため使用されるクリップを隠す。結果的
に、前カバー4bを座席フレームアセンブリに取付けるた
めの取付具は全て、通常は見えなくなる。頭当てq7の縦
方向の調節を可能にする頭あて装着部を設けるのが好ま
しい。フレームアセンブリの後部表面は、半硬質背パネ
ルq6で覆われ、半硬質背パネルq6は、必要な形状に成形
され、織物層によって覆われる半硬質のフォーム層を用
いる複合構造を有する。複合材料は、自動車のルーフの
ライニングに使用されるものと同様である。又、半硬質
背パネルq6は、背パネルq6を座席フレームに取付けるた
めの穴を有する端縁フランジを有し、これらの端縁フラ
ンジは2つの側部フランジ及び下方端縁フランジであ
る。側部フランジは、フレームの側部部材を覆うように
折り畳まれ、留め具によって前方からフレームに取付け
られる。各留め具は、セレーテッドシャンクと回転を容
易にするための十字型スロットを備えるヘッドとを有
し、シャンクはフレーム内の穴に入るようフランジ内の
穴を通り、留め具は90度回転させられて、解放されるか
又はその定位置に固定される。下方端縁フランジは、同
様の留め具によってフレームの水平部材に取付けられ
る。上部織物パネルは、背パネルq6の上方領域の前方に
ステッチングされるか又は接着される。上部織物パネル
内の矩形の開口部が頭当て装着部を収納する。尚、前カ
バー4bの別の実施例として、上記別個になった頭当ての
位置に、前カバー4bが、フレームの上方革張り領域を覆
う一体的に形成されたフードを有する構造のものも利用
可能であり、かかる前カバー4bは、その上方部が、フー
ドによって定位置に位置づけられており、フードは裏返
しになったポケットの形状をとり、座席の頭当て領域を
きっちりと覆う。更に、背パネルq6の別の実施例として
は、背もたれ領域の後部を覆わず、背パネルが上方端縁
で終端し、上方端縁付近には、通常のヒンジで倒せるト
レイを保持するための保持クリップを設けた構造のもの
も利用可能であり、かかる背パネルq6の2つのフランジ
は、相互に係合可能な部品q81及びq82を有するプレスス
タッドによってフレームに取外し可能に固定される。い
ずれの実施例の背パネルq6も、織物、皮革又はレザーレ
ット(合成皮革)と、裏あてスクリムとの間に挟まれる
半硬質のフォーム層を有する複合構造である。パネルq6
は、冊子用のポケットを収納しヒンジで倒せるトレイを
受けるよう、必要な形状を有するように型で形成され
る。前カバー4bは、前カバー4bが取付けられるべき座席
フレームアセンブリの複雑な3次元形状に正しく沿う3
次元形状をもつ仕上がりカバーを提供するよう、熱、圧
力及び接着剤を用いて、二重押印具(double impressio
n tool)を使用して成形される。既知のカバーでは空隙
をまたいだり又はベルクロ取付具が必要となるような窪
んだ形状を、座席フレームアセンブリがもつ場合には、
これは特に重要である。座席フレームアセンブリの表面
形状に沿う後部表面形状を備える前カバー4bを成形する
ことによって、前カバー4bは座席フレームアセンブリ上
にきっちりと正確に取付けられる。(フードがある場合
もそれ以外の場合も)前カバー4bの必要とされる3次元
形状を達成するため、カバー4bは、例えば、パネルq6の
構成と同様の、裏あてスクリム、(実際には表層剥離グ
ラファイトウレタンフォームである)軟質フォーム及び
前カバー織物の重ね合わされた複合物で形成される。座
席9bの各実施例において、合成樹脂クリップ及びクラス
プの係合を解くことで座席フレームアセンブリ1bから迅
速に前カバー4bを取外すことができる。取外されたカバ
ー4bは、洗濯される場所への移送のため小さな状態にき
っちりと折畳まれ積重ねられ得る。同様にきっちりと折
畳まれ積重ねられた洗濯されたカバー4bは、次に、迅速
かつ正確な態様で座席フレームアセンブリに取付けられ
得、正確でしっかりとしたクリップとクラスプとの相互
係合によって、座席フレームアセンブリへの前カバー4b
のしっかりした保持及び極めて正確な位置づけが確実と
なる。座席フレームアセンブリの形状に沿うようなカバ
ーの3次元的成形が、きっちりした位置づけ及び正確な
取付を助ける。このため、取替えにより長い時間がかか
り、ベルクロに依存しているため不正確に取付けられや
すくなり得、許容可能な結果を得るためには一定の熟練
技術を必要とする既知のシステムと比較して、前カバー
4bは非熟練労働者によって迅速かつ正確に取替えられ得
る。更に、クリップによって、カバーを座席フレームに
対し繰返し取付け、取外すことが可能である。更に又別
の変形例として、好ましくは必要とされる形状に成形さ
れ、半硬質背パネルq6と同様の重ね合せ構造を含み得る
平板部とパネルを一体に形成した座受けq51を組入れる
ことで、座席9bが変形される。座受けq51は、端縁フラ
ンジに囲まれる中央窪み区域を有し、少なくとも前の端
縁フランジは、座部分q1前端縁をぴったりと包むよう丸
い形状に成形される。座受けq51を座部分q1にしっかり
と信頼性をもって(しかし取外し可能に)接続するた
め、座部分q1内の4つの受け口構成要素とそれぞれ係合
する4つのプラグ構成要素を、座受けの下側方がもつ。
可動座部7bは、座受けq51の上表面を平面形状に形成す
ることにより、座受けが、可動座部7bに対応する枢動機
構5bの平板部2aを兼ねることができる。座受けq51の前
端縁フランジは、織物カバー4bの前端縁を位置決めする
ための3つのプラグ構成要素を有する。プラグ構成要素
の更なる対が、座受けq51の後ろ端縁フランジ上に位置
決めされ、これらのプラグ構成要素はライン41bに沿っ
てカバー4b内に形成される1対の受け口構成要素と係合
可能である。これらのプラグ及び受け口構成要素は、上
記クラスプに代替可能である。カバー4bが取付けられる
とき、カバー4bは、可動座部7bを包み込み、座受けq51
内の窪み内の所定の位置に可動座部7bを支持する。かく
して、可動座部7b上にはプラグ又は受け口構成要素は全
く必要ないため、可動座部7bの取替えが必要な場合も、
プラグ又は受け口構成要素が失われることはない。
【0020】かくして、本発明の飛行機用座席9bでは、
着座者が、特別に立ち上がったり、座席9bから離れたり
することなく、座席9bに座ったままの状態で、前後/左
右方向に自由自在に枢動回転運動してストレッチ運動す
ることが可能な、ストレスが蓄積せず、快適かつ動的に
変動する座席9bを提供でき、図示しない飛行機が直線路
を真っ直ぐに一定速度で飛行中の場合や地上に停車中の
場合には、可動座部7bには、飛行機の走行動作に起因し
た加速度は、作用しないので、重力gが主として可動座
部7bに作用しつづけ、そのバランス動作の左右方向の中
心は、図7(A)と同様にx軸方向の枢動曲面51のほぼ中
央部となり、この部位p71を中心として、軸部5が身体上
部の重心の移動に応答して、常時変動し、或いは、可動
座部7bを枢動変動させて着座者は強制的なストレッチ運
動が可能である。又、可動座部7bのバランス動作の前後
方向の中心は、図7(B)に示すように、y軸方向の枢動
曲面51のほぼ中央部となり、この部位p71を中心とし
て、身体上部の重心の移動に応答して、常時軸部5が変
動し、或いは、可動座部7bを利用した強制的なストレッ
チ運動が可能である。又、上記図2及び図7で説明した
座部1aを利用した場合に得られる枢動クッション効果と
同様の効果も期待できる。尚、上記図7(A)(B)に示すバ
ランス中心p71は、可動座部7bを、図9(A)(B)に示すよ
うに、適宜、前後、及び/又は、左右方向に、手動操作
等で、シフトさせて設置位置を変更することにより、容
易に変更することが可能である。次に、図1(A)と同様
に飛行機が、進行方向の左側に円弧の中心があるカーブ
状の飛行路で飛行している場合には、カーブを飛行中
は、可動座部7bには、カーブ半径に起因した進行方向に
対して直角の半径方向に作用する遠心力Fbに基づく加速
度abが、通常の重力加速度gと合成されて、可動座部7b
に作用しつづける。その結果、式(2)と同様の大きさ
の遠心力が可動座部に作用し、図7(C)(D)に示すような
進行方向左側に作用する遠心力f71は、カーブの円弧中
心に右側より近いので、回転半径が小さく、その結果左
側より遠心力は相対的に小さく、又、可動座部7bの右側
に作用する遠心力f72は、カーブの中心から左側より遠
いので、回転半径が相対的に大きく、その結果右側より
相対的に遠心力は大きく、かくして、反時計回りに左側
に円弧中心のあるカーブ飛行路を飛行中は、必ず、座席
9bに座っている人は、前進方向に対して可動座部7bの右
側がより大きな遠心力に引っ張られて下がった状態で、
かつ、左側が持ち上げられた状態で、強制的枢動クッシ
ョン変動を受けながら飛行することとなる。従って、可
動座部7bのバランス動作の左右方向の中心は、図7(C)
(D)に示すように、x軸方向の枢動曲面51の中央より少
し右側にシフトした部位をバランス動作の中心として、
身体上部の重心を移動させ、強制的ストレッチ運動が可
能である。尚、時計回りに右側に円弧中心のあるカーブ
を飛行中は、必ず、座席9bに座っている人は、前進方向
に対して可動座部7bの左側がより大きな遠心力に引っ張
られて下がった状態で、かつ、右側が持ち上げられた状
態で、強制的枢動クッション変動を受けながら走行する
こととなる。尚、飛行機がアクセル又はブレーキを操作
して、進行方向に平行に、加速又は減速の加速度apを
発生させると、可動座部7bには、この加速度apによ
り、進行方向と平行に、後方又は前方に移動させようと
する力が、遠心力Fb及び重力gとは独立して、作用する
ので、かかる加速時又は減速時の進行方向と平行な、後
方又は前方に移動させようとする力の影響を低減するた
めには、図7(E)に示すように、前方を少し持ち上げ後
方を少し押し下げて傾斜させた平板部2aで、前方y軸方
向の先端部を少し上方に傾斜させて設置し、又は、前方
y軸方向の先端部を少し上方に傾斜させたベースパネル
q5の上面に、可動座部7bを載置するのが好ましい。従っ
て、従来は、飛行機の座席に、一見、非常に不安定に見
える構造を具えた可動座部7b等を設けて、局所可動座部
7bに腰掛けた状態で搭乗することは、非常に危険である
と勝手に推測され、実際に実用化されることがなかった
し、搭乗中にかかる局所可動座部7bの上で過ごすことは
非常に疲労感を増すだけであると勝手に想像され、従来
試行されることもなかったが、本発明の座席9bでは、先
ず、着座した瞬間に、従来の静的固定構造の座席では体
験出来ない上記滑り防止材3i(i=a〜c)を含む枢動機構の
反力が感知でき、更に、ほんの少し身体を前後・左右に
変動させるだけで十分に、柔らかい粘弾性力に基づく動
的な枢動クッション力が感得されて座席に座ったままの
状態で身体の上部、下部或いは上下部を同時に運動させ
ることが可能であり、従来の固定式静的座席とは、根本
的に異なった非常に快適な着座感が得られ、更に、太平
洋横断飛行等で約8時間以上連続して搭乗し利用して
も、常時、可動座部7bの枢動変動により、座部1aと同様
な着座しながら同時に快適な自主的又は強制的ストレッ
チ運動も実行できることが分かる。又、飛行中に発生す
る遠心力を利用して、可動座部7bを強制的に左右に枢動
変動/傾動変動させることができるので、可動座部7bの
利用者に対し、非常に滑らかな腰部を中心とした局所
的、かつ、強制的な下半身/上半身のストレス解消運動
と、着座感の良好かつ快適な座席を提供できることが分
かる。更に、シートベルトを着用している場合等では、
頭部及び前腕等の上半身は、背骨を適宜自然に湾曲させ
ることにより、上記可動座部7bに起因した腰部の強制的
枢動運動に殆ど影響されず、又は、腰部の強制的枢動運
動と同期して同時に、快適にストレスを発散でき、その
結果、遠くから眺めると、ほぼ一定の姿勢を保って搭乗
しているように見えても、飛行中無意識のうちに、常
時、ヨー、ピッチ、ロール運動や前後/左右方向の移動
運動が可能で、身体を自然に動かすことが可能となり、
かかる可動座部7bに腰掛けたままの状態での下半身/上
半身のストレス解消運動により、それまで感じていた腰
及び背骨や下半身等の傷みが殆ど感じられず、非常に快
適に飛行機に搭乗でき、更に又、約12時間前後、連続し
て太平洋横断飛行しても、可動座部7bを、適宜、前後/
左右方向に局所移動させ、同一姿勢を保つことにより蓄
積/発生する下半身のストレスが発散/防止でき、しか
も着地後は、即座に仕事等に従事することが可能であ
る。又、エコノミークラス症候群対策用の治療薬等を服
用しなくてもよい。尚、平面部2a及び軸部5を炭素繊維
織物を母材としたCFRPで形成すると、それぞれの部
材単体単独の重量が、約70〜150gの非常に軽量化した座
席9bが実現でき、飛行機の燃費が非常に向上できると共
に、座部q1の耐火性能、耐熱性能も飛躍的に高められる
ので、非常に好ましい。
【0021】次に、本発明の滑り防止材3a、及び3cに関
し、更に詳しく説明する。 e1) 先ず、その基本構造が、シリコーンゲル材又は多
孔性シリコーンゲル材等の針入度が40〜200の柔らかい
ゲル基材30a単体では剪断強度が不足するので、外部フ
ィルムカバー32aにより基材30aを完全に密閉し、全体の
剪断強度、耐摩耗性を補強して使用する滑り防止材3a
で、基材30aには、この他に、PVA等の水溶性ゲル等
の粘弾性部材、水、オイル(シリコーンオイルを含む)等
の液体や、空気、窒素等の気体等の流体も利用可能であ
り、通常の粘弾性部材や流体等の基材30a単体では、耐
摩耗性/耐摩擦性が不足し、軸部の体重負荷を伴った圧
縮性スピン運動に対し、高度の耐摩耗性や耐摩擦性がな
く、極めて短期間で、滑り防止材として使用不能となっ
てしまう場合、基材の剪断強度を確保するため、図5
(A)(B)に示す様に、基材30aをカバー32aにより、完全に
密閉した構造に構成し、更に、少なくとも枢動曲面51側
の接触面、又は、上下両表面に、薄く感圧接着剤等の粘
着材34、36を貼着した滑り防止材3a。上記針入度が40〜2
00 の柔らかいゲル材としては、この他に、吸水性ポリ
マ(V1)(V2)として、自重の200〜1千倍程度に吸水しうる
いわゆる高吸水性ポリマから構成されたゲル材が好適に
用いられ、上記吸水性ポリマは、粒子状や繊維状の形態
が好適に用いられるが、これらに限定されない。上記
「粒子状」にはペレット状や粉体状が含まれ、粒子状の
吸水性ポリマ(以下、吸水性ポリマ粒子(V1)という)を用
いる場合は、母材(保水性)中において互いに接触する様
に用いられることが好ましい。上記吸水性ポリマ粒子(V
1)としては、例えば、サンウエットIM-300、サンウエッ
トIM-1000(三洋化成工業(株)製)やアクアキープ(住友精
化(株)製)等の名称で入手可能な高吸水性ポリマ粒子が
好適なものとして挙げられるが、これらに限定されな
い。一方、繊維状の吸水性ポリマ(以下、吸水性ポリマ
繊維(V2)という)としては、例えばポリアクリル酸ナト
リウムを主成分とするポリマーを直接紡糸し、繊維形状
化させた高吸水、高吸湿性繊維が好適に用いられ、この
ような高吸水・高吸湿性繊維としては、例えば「ベルオ
アシス」(カネボウ合繊(株)製)等が入手可能である。本
発明の上記母材としては、ポリアクリル酸、その塩類、
ゼラチン、PVA、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム(以下、CMCと呼ぶ)、カラギーナン、アルギン酸
ソーダ、カルボキシビニルポリマ等の水溶性高分子が挙
げられ、これらの水溶性高分子は1種で用いてもよい
が、数種混合して用いる方が、保湿・貼着力等の点から
好適で、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、PVA、
ゼラチン、カラギーナンの混合物からなる水溶性高分子
にて構成されるものが好適なものとして挙げられるが、
これに限定されない。本発明の各ゲルにおいて、水溶性
高分子が、ポリアクリル酸ナトリウム、PVA、ゼラチ
ン、カラギーナンの混合物にて構成される場合、例え
ば、ゼラチン及びカラギーナンに対して、PVA及びポ
リアクリル酸ナトリウムは、1:1〜1:5の割合(重量比)で
配合され、全体で0.1〜25重量%となる様に選択される
が、1〜15重量%が好適で、3〜12重量%がより好適で、5
〜10重量%が最適である。又このとき、PVAに対して
ポリアクリル酸及びポリアクリル酸ナトリウムは、1:0.
5〜1:20の割合(重量比)で配合されることが好ましい。
本発明のゲルに用いられる水に吸熱的に溶解しうる化合
物は、固体状で含有されているものであっても良く、又
溶液状で含有されているものであっても良いが、製法上
の持続性等の点から前者の形態が好ましい。上記水に吸
熱的に溶解しうる化合物は、本発明の保水性母材を構成
する水溶性高分子内に含有されるものが好ましいが、こ
れに限定されなく、少なくとも表面が親水性を有する繊
維に担持されていてもよく、又吸水性ポリマに担持され
ていてもよく、更にこれらの担持形態が併用されている
ものであっても良い。上記水に吸熱的に溶解しうる化合
物としては、尿素、硝酸ナトリウム等が挙げられ、これ
らは単独で用いられても良いが、混合して用いても良
い。上記水に吸熱的に溶解しうる化合物は、母材に添加
混合する場合は、該母材の0.1〜25重量%の割合で用いら
れるが、0.5〜20重量%が好適で、0.5〜15重量%が更に好
ましい。又上記母材は、pHが通常は4〜10の範囲に調節
されるが、5〜9が好適で、6〜8にすればより好ましい。
上記母材には、低級アルコールを添加してもよく、かか
る低級アルコールとしては、例えばメチルアルコール、
エチルアルコール、プロピルアルコール等が挙げられる
が、これらに限定されず、水と均一に混合でき水の沸点
より低い温度で共沸できるものであれば好適に用いられ
る。更に上記母材には、グリセリン、ポリエチレングリ
コール等の公知の保湿剤が適宜混合されていてもよい。
又、本発明のゲル材としては、グアーガム、PVA、ポ
リアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、CM
C、澱粉等の水溶性高分子の高粘度水溶液若しくはこれ
らの水溶性高分子を無機塩又は有機系架橋剤で架橋した
含水ゲル材も使用できる。又、アニオン性水溶性高分子
を多価金属塩によってゲル化させたゲル材を使用するこ
ともできる。更に、アニオン性水溶性高分子とアルミニ
ウム塩を含むアルカリ性の水溶液を調製した後、有機及
び/又は無機の酸を添加してゲル化を進行させることに
より、ゲルの均一性及び強度に優れ、しかも袋やフィル
ム容器に充填しやすいゲル材を使用することもできる。
又、ゲル材として合成素材であるポリアクリル酸やポリ
アクリル酸塩等を用いた水性ゲル組成物は、ポリエチレ
ングリコール(PEG)やポリエチレンオキサイド(PE
O)、PVA、CMC、ポリアクリル酸及びその塩、カ
ルボキシビニルポリマー(CVP)を架橋したゲル状のも
のや水溶液等が使用できる。その形態としてはポリエチ
レン、PP等のフィルムで上記部材を密封したものが特
に好適である。
【0022】本発明の粘着性ゲル材としては、少なくと
もポリアクリル酸類、多価金属類及び水を含有する組成
物であって、含水率が該組成物100重量部あたり75〜95
重量部であり、気泡成分を実質的に含有しないものも使
用可能である。ここでポリアクリル酸類とは、ポリアク
リル酸のみならずその塩を包含する趣旨で用いられる。
ポリアクリル酸又はポリアクリル酸塩としては、直鎖状
又は分枝状の別を問わず、又その分子量も特に制限され
ないが、通常分子量1万〜1000万のものが用いられる。
ゲル強度を高めてより多くの水分を安定的に保持させる
という観点からは、特に100万〜700万の分子量のものが
望ましい。尚、ポリアクリル酸として、通常のアクリル
酸を重合して得られる重合体のほか、カルボキシビニル
ポリマー(カルポポール(TM))等のアクリル酸重合体を一
部架橋したものも好適に使用し得る。ポリアクリル酸の
塩としては、特に制限はないが、好適にはポリアクリル
酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等のポリアクリ
ル酸の一価金属塩、ポリアクリル酸モノエタノールアミ
ン、ポリアクリル酸ジエタノールアミン、ポリアクリル
酸トリエタノールアミン等のポリアクリル酸のアミン
類、ポリアクリル酸のアンモニウム塩等が例示される。
これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせ
て用いることもできる。より好ましくは、ナトリウム塩
である。上記ポリアクリル酸及びポリアクリル酸の塩
は、それぞれ単独で使用しても、又それらを組合わせて
用いることもできる。分子量が100万以上のポリアクリ
ル酸は一般的に入手が困難であることから、ポリアクリ
ル酸とポリアクリル酸の塩(例えば、ナトリウム塩)を併
用して用いる方が望ましい。但し、将来分子量100万以
上のポリアクリル酸の入手が容易になれば、この限りで
はない。ポリアクリル酸とポリアクリル酸の塩とを併用
する場合のそれらの配合比は、平均分子量が200万以
上、好適には400万以上になる様に調整されれば特に制
限されないが、具体的には0:10〜9:1(重量比)好ましく
は2:1〜1:2(重量比)の割合が例示される。粘着性ゲル材
100重量部に対するポリアクリル酸及び/又はポリアク
リル酸の塩の配合量は、通常1〜20重量部、好ましくは3
〜10重量部である。又、本発明で多価金属類とは、多価
金属、その塩及び多価金属化合物を広く包含する趣旨で
用いられる。これらの多価金属類としては、二価以上で
あって上記ポリアクリル酸又はポリアクリル酸の塩を架
橋せしめるものであれば特に制限されず、又一種のみな
らず二種以上を組合わせて使用することもできる。好適
にはマグネシウム、カルシウム、亜鉛、カドミウム、ア
ルミニウム、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル等
の多価金属、それらの塩又はそれらの化合物が例示され
るが、皮膚に対する安全性、生産性、ゲル特性の観点か
らより好ましくはアルミニウム、マグネシウム、カルシ
ウム又はそれらの化合物であり、とりわけアルミニウム
化合物が望ましい。例えばアルミニウム化合物として
は、具体的には水酸化アルミニウムのような水酸化物、
或いは塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アル
ミニウム、ステアリン酸アルミニウムのような無機酸又
は有機酸の正塩、もしくはそれらの塩基性塩、アルミニ
ウム明礬のような複塩、アルミン酸ナトリウムのような
アルミン酸塩、無機性アルミニウム錯塩及び有機性アル
ミニウムキレート化合物等が例示される。これらのアル
ミニウム化合物は、水溶性、難溶性の別を問わない。本
発明の粘着性ゲル材100重量部に対するこれらの多価金
属類の配合量は、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05
〜1重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。本
発明の粘着性ゲル材は、上記成分に加えて水成分を含有
するものであり、その含水率が標準状態で、最終組成物
100重量部あたり75〜95重量部、好ましくは80〜90重量
部、より好ましくは80〜85重量部である。当該組成物
は、ゲル材の流動性を高める特性を有する。本発明の粘
着性ゲル材は、上記成分を含有するものであればよい
が、更に多価アルコールを含んでいてもよい。かかる多
価アルコールは、ポリアクリル酸又はその塩等の分散媒
として有用な他、l−メントール等の油性成分を水に分
散・乳化させるときのバインダーにもなる。多価アルコ
ールとしては、直鎖状や分枝状等の形状及び分子量等に
よって特に制限されず、具体的にはグリセリン、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブチレングリコール、等が例示され、中でもグリ
セリン、プロピレングリコール、ブチレングリコールが
好適に挙げられる。これら多価アルコールの配合量は、
組成物100重量部当たり、0〜30重量部、好ましくは10〜
20重量部の範囲から適宜選択して用いられる。本発明の
粘着性ゲル材は、更にセルロース誘導体を含有していて
もよい。当該セルロース誘導体の配合は、非ニュートン
流体を示す本発明の組成物の加工性を良好にし、ゲルの
安定化を向上させ、又粘度の調整を簡便にする点で有用
である。使用されるセルロース誘導体としては特に制限
されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース
のアルカリ金属塩、ヒドロキシメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、メチルセルロース等が挙げられ、これらを1種又は
2種以上組み合わせて用いることもできる。好適には、
CMCが挙げられる。これらセルロース誘導体の配合量
は、組成物100重量部当たり、0.01〜10重量部、好まし
くは0.1〜5重量部の範囲から適宜選択して用いられる。
又本発明の粘着性ゲル材は、更に酒石酸、クエン酸、リ
ン酸、エチレンジアミン四酢酸又はそれらの塩の少なく
とも1種を含有していてもよい。尚、本発明の粘着性ゲ
ル材には、上記各成分に加えて必要に応じて、更に防腐
剤、ハッカ油やl−メントール等の香料、保湿剤、刺激
剤、除菌剤、抗菌剤等を配合することができる。上記粘
着性ゲル材は、組成物の各成分を混合・溶解する工程と
脱気処理工程とを含む方法を用いて製造される。混合・
溶解工程と脱気処理工程の順序は特に制限されることな
く、各成分を混合・溶解する前の水若しくは水溶液に対
して脱気処理を行ってもよいし、又水若しくは水溶液を
脱気しながら該溶液中に各成分を添加・混合してもよい
し、更には水若しくは水溶液と各成分とを混合・溶解し
た後に得られた溶液を脱気処理してもよい。揮発蒸発成
分配合の観点からは、予め脱気処理した水若しくは水溶
液に各成分を添加・配合する方法が好ましい。脱気処理
方法は特に制限されず、処理対象物、処理段階等に応じ
て種々選択できるが、処理組成物の安全性を考慮し、又
溶媒系の分散密度を上げないという点から、好ましくは
メッシュ濾過脱気又は真空脱気等の物理的処理による脱
気であり、中でも効率の良さから真空脱気が好ましい。
真空脱気は、例えば真空ポンプ等を使用した密閉真空法
によって行われる。ここで外部カバーフィルムとして
は、上記の粘着性ゲル材を被包できるものであれば特に
制限はなく、種々の織布、不織布及びフィルム等を使用
することができる。外部カバーフィルムとして織布もし
くは不織布を使用する場合、その素材は特に制限されな
いが、具体的には綿、麻、羊毛等の天然繊維、レーヨ
ン、アセテート等のセルロース系繊維、ナイロン、ビニ
ロン、スチロール、PP、ポリエチレン、PET、アク
リル等の合成繊維、綿、麻、毛等の天然繊維等が挙げら
れる。外部カバーフィルムを使用する場合、その素材は
特に制限されないが、具体的にはスチロール、PP、P
ET、ポリエチレン等が挙げられる。上記フィルムの厚
みについても、特に制限はないが、通常1〜1千μm、好
ましくは10〜500μmである。更に又、本発明の含水粘着
性ゲル材の原料となる高分子素材としては、寒天、アル
ギン酸塩、カラギーナン、ポリアクリルアミド、PV
A、光硬化性樹脂等がある。このうち、PVA含水ゲル
は含水率が高く、基質の透過性に優れ、生体との親和性
が高いことから、高分子含水ゲル材の中でも特に優れて
いる。PVA含水ゲル材の形状としては、流動性、充填
効果、取扱性を考慮した場合には球状が好ましい場合が
多い。又、PVA含有溶液を成形後、アセタール化処理
することにより、強度及び耐水性に優れたポリビニルア
セタールからなる含水ゲル材も得られる。本発明に使用
する原料であるPVAの平均重合度は特に制限はない
が、1千以上が好適で、1500以上がより好ましい。PV
Aの鹸化度についても特に制限はないが、98.5モル%以
上が好適で、99.85モル%以上が含水ゲル成形物の成形の
点でより好ましい。本発明に使用するPVAとしては、
無変性PVAの他に本発明の効果を阻害しない範囲で種
々の変性PVAを用いることができる。PVAの溶媒
は、水の他に、各種の溶剤を用いることができる。例え
ば、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレング
リコール等の多価アルコール、ジメチルスルホキシド、
ジメチルホルムアミド、ジエチレントリアミン等の溶剤
を一種又は二種以上混合して使用することができる。更
に、ロダン塩水溶液等もPVAの溶媒として使用でき
る。上記の溶媒にPVAを溶解して得られたPVA溶液
には、PVAのゲルを阻害しない範囲で、微生物及び酵
素等の生体触媒、微生物の培地、含水ゲル成形物の強度
を上げるための補強材、含水ゲル成形物の比重を調節す
るための充填剤等を添加しても良い。次に、上記の方法
により得られたPVA溶液を公知の方法により成形す
る。成形方法としては、以下の方法が例示される。 (1) PVA溶液を水素イオン指数を8以上に調節した
後、ほう酸系化合物を含む液体に接触させる。 (2) PVA溶液にほう酸系化合物を加えた後、水酸化ナ
トリウム等の塩基性溶媒に接触させる。 (3) PVA溶液に少なくとも一種のカチオンとの接触に
よりゲル化する能力のある水溶性高分子多糖類の混合溶
液を加えた後、カチオン含有化合物を含有する水溶液に
接触させる。 (4) PVA溶液をメタノール等のPVAの貧溶剤に接触
させる。 次に、上記の方法により得られた成形物を以下の方法等
によりゲル化させることにより、PVA含水ゲル成形物
が得られる。 (1) 成形物を、-5℃以下、好ましくは-10℃以下で凍結
した後、少なくとも1時間以上、好ましくは10時間以上
室温に保持して解凍する操作(凍結−解凍)を少なくとも
1回以上、好ましくは2回以上繰り返す。 (2) 成形物を、PVAの離液作用を有する化合物を含有
する液体に接触させる。接触時間は、10分以上、好まし
くは30分以上がよい。PVAの離液作用を有する化合物
としては、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カ
リウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、クエン
酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、クエン酸カリウ
ム、クエン酸マグネシウム、クエン酸アルミニウム、酒
石酸ナトリウム、酒石酸アンモニウム、酒石酸カリウ
ム、酒石酸マグネシウム、酒石酸アルミニウム等の化合
物のうちの少なくとも1種を含有する液体が挙げられる
が、とりわけ硫酸ナトリウム水溶液が好ましい。濃度は
100g/l以上が好適で、飽和水溶液が特に好ましい。この
様にして得られたPVA含水ゲル成形物をアセタール化
処理することにより、本発明のポリビニルアセタールか
らなる含水ゲル成形物が得られる。本発明におけるPV
Aの含水ゲル成形物のアセタール処理は、好ましくは、
酸の存在下で、PVA含水ゲル成形物をアルデヒド化合
物と反応させることにより得られる。アルデヒド化合物
としては、一般的なホルムアルデヒドの他に、ベンズア
ルデヒド、グリオキザール、スクシンアルデヒド、マロ
ンジアルデヒド、グルタルアルデヒド、テレフタルアル
デヒド、アジピンジアルデヒド等の各種のジアルデヒド
類又はそのアセタール化物を用いることができるが、こ
れらのアルデヒド化合物のなかでも、ホルムアルデヒ
ド、グリオキザール、マロンジアルデヒド又はそのアセ
タール化物、グルタルアルデヒドが好ましい。酸として
は、硫酸、塩酸、硝酸等の強酸、酢酸、ギ酸、リン酸、
シュウ酸等の弱酸を用いることができるが、これらのな
かでも強酸、とりわけ硫酸が好ましい。アセタール化の
度合(アセタール化度)は、アルデヒド化合物、酸の濃
度、反応時間及び温度によってコントロールすることが
できる。酸及びアルデヒド存在下では、含水ゲル成形物
が過膨潤することがあるために過膨潤抑制剤として、反
応液に硫酸ナトリウムを加えても良い。反応液のアルデ
ヒド濃度は0.1g/l以上、酸を用いる場合の酸濃度は0.5
〜300g/l、硫酸ナトリウムを用いる場合の硫酸ナトリウ
ム濃度は10〜300g/l及び反応温度10〜80℃が好適で、ア
ルデヒド濃度0.5〜200g/l、酸濃度1〜100g/l、硫酸ナト
リウム濃度15〜200g/lが特に好ましい。アセタール化度
としては、10〜80モル%、より好ましく20〜60モル%であ
る。尚、アセタール化処理は、PVA成形物をゲル化さ
せる前でも後でも良いが、PVA成形物をゲル化させた
後の方が好ましい。アセタール化処理して得られた含水
ゲル成形物は、充分水洗した後、滑り防止材に用いるこ
とができる。本発明の含水ゲル成形物の形状については
特に制限はなく、球状、繊維状、棒状、角型状、楕円
状、円盤状、円筒状、円柱状等のあらゆる形状が可能で
ある。これらの形状のなかでも円盤状が好ましい。
【0023】本発明において水性ゲル材30aの構成成分
として使用される水溶性ポリマーとしては、例えばCM
C、メチルセルロース、PVA、アルギン酸ソーダ、デ
ンプン、寒天、プルラン及びアクリルアミド系共重合体
が挙げられる。アクリルアミド系共重合体は非イオン
性、アニオン性、カチオン性、何れを用いても良く、例
えば非イオン性としてはポリアクリルアミド、ポリメタ
クリルアミド等が挙げられる。アニオン性としては、ポ
リアクリルアミド又はポリメタクリルアミドの部分加水
分解物、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリルアミド
又はメタクリルアミドとの共重合体及びその塩類、アク
リル酸又はメタクリル酸とアクリルアミド又はメタクリ
ルアミドと2−アクリルアミド−2メチルプロパンスル
ホン酸、ビニルスルホン酸又はビニルメチルスルホン酸
との3元共重合体及びその塩類等が挙げられる。カチオ
ン性としては、アクリルアミドとアクリロイル又はメタ
クリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロラ
イドの共重合物、アクリルアミドとトリメチルアンモニ
ウムクロライドの共重合物等が挙げられる。これらのう
ち、好ましいものはカチオン性、非イオン性及びアニオ
ン性のアクリルアミド系共重合体であり、特に好ましい
ものはアニオン性のアクリルアミド系共重合体である。
又以上例示した水溶性ポリマーは2種以上併用してもよ
い。該水溶性ポリマーは、その30℃、1規定硝酸ソーダ
水溶液中で測定した固有粘度が10(dl/g)以上であり、か
つ0.1重量%水溶液の曳糸性が50mm以上のものが好まし
い。曳糸性が高いものを用いることにより、ゲル材の形
状保持性が良好となる。該水性ゲル中の水と水溶性ポリ
マーの重量比は、通常100:0.1〜10、好ましくは100:0.5
〜8である。水溶性ポリマーが0.1未満では常温時の形状
保持性が低下し、10を越えると柔軟性が低下する。本発
明のゲル材中の水不溶性吸水性ポリマーと水溶性ポリマ
ーの重量比は、通常1:0.1〜10、好ましくは1:0.2〜3で
ある。水溶性ポリマーが0.1未満では繰り返し使用回数
が低下し、10を越えると該ゲル状物製造時、製造設備か
ら曳糸性の高いゲル状物を取り出すのに手間を有する。
本発明のゲル材には使用目的に照らして柔軟性に支障の
ない範囲でフィラー或いはガラス粉末を混入しても良
く、フィラーの例としては炭酸カルシウム、酸化アルミ
ニウム、オクチル酸アルミニウム、粉末マイカ、発泡ポ
リエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ウレタン、タル
ク、コルク等が挙げられる。ガラス粉末の例としては硼
酸塩ガラス、硅酸塩ガラス、燐酸塩ガラス等が挙げられ
る。水溶性ポリマーとの反応性の観点から硼酸塩ガラス
又は硼酸塩ガラスと他の酸化物ガラスとの混合物が望ま
しい。酸化物ガラスは板状ガラスを溶融、冷却後、粉砕
して用いる。ガラス粉末の粒度は特に制限は無いが、粒
径が小さく同じ粒径のものが望ましい。本発明のゲル材
30aとして、特定の多糖類を組合わせることにより、離
水せず、体積変動が小さいゲル材も利用でき、ヘリック
ス構造(螺旋形)を持つ多糖類と、マンナンを構成成分と
する多糖類とを組合せることが好適で、前者の多糖類に
は、キサンタンガム、カラギーナンがあげられ、後者の
多糖類には、ローカストビーンガム、グアーガム、寒
天、こんにゃく等が挙げられる。例えば、微生物から産
生される多糖類は、側鎖を持った構造で、加熱するとヘ
リックス型からランダム−コイル型(螺旋がほどけた形)
に構造変化する。マンナンは、側鎖部分と滑らかな部分
をもつ構造で、この滑らかな部分と多糖類のランダム−
コイル型の側鎖部分が結合することにより、網目構造を
形成してゲル化すると考えられている。かくして得たゲ
ル材は、ある特定のヘリックス構造を有する多糖類とマ
ンナンを構成成分とする多糖類とを、特定の割合で組合
せて、ゲル材をつくると、離水せず、しかも体積変化も
殆どない機能性ゲル材が得られる。この特性を持つ機能
性ゲル化物質は、キサンタンガムとローカストビーンガ
ムの組合せ、並びにカラギーナンとローカストビーンガ
ムの組合せである。キサンタンガムは微生物(Xanthamon
as campestris)により生産される多糖類である。水及び
熱湯に溶け、高粘稠液となり、特に耐熱性、耐酸性に優
れている。又、ローカストビーンガムは地中海沿岸に産
するマメ科の植物(キャロブ)の種子の胚芽から抽出され
る多糖類で、冷水によく分散して、加熱溶解すると粘稠
な溶液となる。カラギーナンは海草を抽出して得られる
増粘物質で蛋白質と反応性がある。キサンタンガムと、
ローカストビーンガムの混合ゲルにおいて種々の濃度の
キサンタンガム(X)及びローカストビーンガム(L)の溶液
をそれぞれ調製して、種々の割合で混合してゲルを調製
して、凍結解凍して離水量を測定すると、これらの混合
割合は、L/(X+L)>0.8で離水するが、L/(X+L)≦0.8、則
ちキサンタンガムの濃度が0.2以上では全く離水しない
ことがわかった。勿論どちらかだけではゲル化は起こら
ない。そして体積変化も殆ど起こらず、この結果、繰返
し再使用することが可能なことも分かった。更に、この
ゲルは、せいぜい1重量%程度の非常に低濃度で調製可
能なので、水の大きな融解熱を利用できる。次にカラギ
ーナンとローカストビーンガムの組合せについて説明す
る。単独で用いたカラギーナンゲルは、非常に脆く、ボ
ロボロしたタイプの組織になる。これに多量のローカス
トビーンガムを添加すると、根本的に性質の違う機能的
な組織のゲルができる。このゲル材は、カラギーナン単
独の場合に比べて、より弾力があり、柔軟で、より強固
な組織を有する。この組織のゲル材は、キサンタンガム
とローカストビーンガムの特定の組合せで得られるゲル
と同様に、体積変動の小さい、流動性のない、安定した
ゲル化物質である。このカラギーナンとローカストビー
ンガムの混合ゲルにおいて、カラギーナン(C)と、ロー
カストビーンガム(L)の混合割合について説明する。ロ
ーカストビーンガムの混合比を上げていくと、離水は添
加量に比例して減少し、C:L=1:9では全く離水しないゲ
ルができる。勿論ローカストビーンガムだけのときはゲ
ル化しない。これにより、繰り返し凍結解凍し再使用が
可能なことがわかった。則ち、カラギーナンとローカス
トビーンガムの組合せでは、カラギーナンの混合割合は
0をこえて1以下であればよい。則ちローカストビーン
ガムは9以上10未満である。以上のようなゲル材は、離
水が生じず、又、体積変動も殆どない。
【0024】本発明のゲル材30aとしては、又、ポリア
クリルアミドのゲル、PVA水溶液のゲル、官能基を含
む変性PVAのゲル等の合成高分子化合物系のゲル、高
吸水性樹脂とPVA水溶液との混合物を薬剤処理又は冷
凍処理を施すことによって得られたゲル、海藻を用いた
ゲル、ゼラチン、コンニャク等の天然高分子化合物系の
ゲル材等も利用できる。一般にゲル強度はゲル中におけ
る樹脂成分の濃度が低くなるに従って低下する傾向があ
るので、例えば合成高分子化合物系のゲルの場合、実用
性を考慮して含水ゲルの樹脂成分の濃度は5〜10重量%と
なる様に調整される。更に、高吸水性樹脂、平均重合度
1千未満及びケン化度90モル%以上のPVA、水とを高吸
水性樹脂とPVAの重量比が20/80〜80/20であり、かつ
樹脂分含量が10〜35重量%となる割合で60℃以下の温度
で混練する場合、放置安定性に優れたゲル材が製造でき
る。本発明のゲル材30aは、高吸水性樹脂の粉末乃至粒
状物にPVA水溶液を添加し、ついで60℃以下で混練を
行ってもよい。用いられる高吸水性樹脂としては、通常
市販されているものであればいずれのものでも使用しう
る。かかる高吸水性樹脂の具体例としては、例えば架橋
型ポリアクリル酸ナトリウム等の架橋型ポリアクリル酸
塩、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ス
ルホン化ポリエチレン、デンプン−(メタ)アクリロニト
リル共重合体のケン化物、デンプン−アクリル酸共重合
体、ポリアクリル酸アミド、ビニルエステル−不飽和カ
ルボン酸共重合体又はそのケン化物、ビニルエステル−
不飽和カルボン酸誘導体共重合体又はそのケン化物、変
性PVA架橋体等があげられ、これらの高吸水性樹脂は
単独で又は2種以上を混合して用いられる。上記ビニル
エステル−不飽和カルボン酸共重合体又はそのケン化物
及びビニルエステル−不飽和カルボン酸誘導体共重合体
又はそのケン化物に用いられる不飽和カルボン酸等の代
表例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸等の不飽和モノカルボン酸又はそのエステルや塩
等マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカル
ボン酸又はその部分もしくは完全エステルや塩等が挙げ
られる。尚、本発明は上記高吸水性樹脂の例示のみによ
って限定されるものでなく、本発明の範囲内であれば他
の高吸水性樹脂を使用してもよいことは勿論である。こ
れら高吸水性樹脂の中では、一定の水分を吸収して保持
し、PVA濃度を高くしてゲル化を促進せしめるため
に、吸水性に優れ、しかも安価で安定性に優れた、例え
ば架橋型ポリアクリル酸ナトリウム等の架橋型ポリアク
リル酸塩等を用いるのが好ましい。
【0025】e3)熱可塑性樹脂を加工した不規則ランダ
ムな3次元網状構造体等のように基材30c単体では十分
な弾力性と共に剪断強度も確保できるが、当該滑り防止
材3cに必要な、適度の自己粘着力を補強し、枢動変動や
スピン回転等での、表面の擦れ合う摩擦音を低減し、可
動座部の自己保持能力を向上させるために、基材30cの
少なくとも枢動曲面51側の接触面、又は、上下両表面
に、薄く感圧接着剤等の粘着部材34、36を貼着した滑り
防止材3c。上記滑り防止基材30cの少なくとも枢動曲面5
1側の接触面、又は、上下両表面に、図9(C)に示すよう
に、薄く貼着する感圧接着剤等の粘着材34、36に関して
は、上記e1)と同様の部材が利用でき、則ち、同じか又
は異なる1つ又は複数の接着剤/粘着材から構成するこ
とができ、例えば、部分的に硬化させることもでき、適
切な粘着材の例としては、感圧接着剤、粘着材、エポキ
シ樹脂、構造用エポキシ樹脂等があるが、これらだけに
限らない。粘着材層は連続していても、不連続でも良
い。更に、粘着材34、36の厚さは、約0.02〜約1.0mmのも
のが好適で、約0.04〜約0.5mmのものがより好適で、約
0.05〜約0.25mmのものが更に好ましい。尚、滑り防止基
材30cとしての熱可塑性樹脂を加工した不規則ランダム
な3次元網状構造体は、クッション材62としても利用可
能である。次に、滑り防止基材30cとして、熱可塑性樹
脂を加工した不規則ランダムな3次元網状構造体に関
し、その構成を、詳しく説明すると、本発明の熱可塑性
弾性樹脂とは、ソフトセグメントとして分子量300〜5千
のポリエーテル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコー
ル、ポリカーボネート系グリコール又は長鎖の炭化水素
末端をカルボン酸又は水酸基にしたオレフィン系化合物
等をブロック共重合したポリエステル系エラストマー、
ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマ
ー、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。熱
可塑性弾性樹脂とすることで、再溶融により再生が可能
となる為、リサイクルが容易となる。例えば、ポリエス
テル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルを
ハードセグメントとし、ポリアルキレンジオ−ルをソフ
トセグメントとするポリエステルエーテルブロック共重
合体、又は、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントと
するポリエステルエステルブロック共重合体が例示でき
る。ポリエステルエーテルブロック共重合体のより具体
的な事例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフ
タレン-2・6-ジカルボン酸、ナフタレン-2・7-ジカ
ルボン酸、ジフェニル-4・4’-ジカルボン酸等の芳香
族ジカルボン酸、1・4-シクロヘキサンジカルボン酸
等の脂環族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチ
ン酸ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、又はこれらの
エステル形成性誘導体等から選ばれたジカルボン酸の少
くとも1種と、1・4-ブタンジオール、エチレングリ
コール、トリメチレングリコール、テトレメチレングリ
コール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール等の脂肪族ジオ−ル、1・1-シクロヘキサン
ジメタノール、1・4-シクロヘキサンジメタノール等
の脂環族ジオ−ル、又はこれらのエステル形成性誘導体
等から選ばれたジオール成分の少くとも1種、及び、平
均分子量が約300〜5千のポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体か
らなるグリコール等のポリアルキレンジオールの内少く
とも1種から構成される三元ブロック共重合体である。
ポリエステルエステルブロック共重合体としては、ジカ
ルボン酸とジオール及び平均分子量が約300〜5千のポリ
ラクトン等のポリエステルジオ−ルの内少くとも各1種
から構成される三元ブロック共重合体である。熱接着
性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮すると、ジ
カルボン酸としてはテレフタル酸、又は、及びナフタレ
ン−2・6−ジカルボン酸、ジオ−ル成分としては1・
4−ブタンジオール、ポリアルキレンジオールとしては
ポリテトラメチレングリコールの3元ブロック共重合体
又は、ポリエステルジオールとしてポリラクトンの三元
ブロック共重合体が特に好しい。特殊な例では、ポリシ
ロキサン系のソフトセグメントを導入したものも使うこ
とができる。又、エラストマーに非エラストマー成分を
ブレンドされたもの、共重合したもの、ポリオレフィン
系成分をソフトセグメントにしたもの等も本発明の熱可
塑性弾性樹脂に包含される。ポリアミド系エラストマー
としては、ハードセグメントにナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、
ナイロン12等及びそれらの共重合ナイロンを骨格と
し、ソフトセグメントには、平均分子量が約300〜5千の
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド−プ
ロピレンオキシド共重合体からなるグリコール等のポリ
アルキレンジオールの内少くとも1種から構成されるブ
ロック共重合体を単独又は2種類以上混合して用いても
よい。更には、非エラストマー成分をブレンドされたも
の、共重合したもの等も本発明に使用できる。ポリウレ
タン系エラストマーとしては、通常の溶媒(ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド等)の存在又は不存
在下に、(A)数平均分子量1千〜6千の末端に水酸基を有
するポリエーテル及び又はポリエステルと(B)有機ジイ
ソシアネートを主成分とするポリイソシアネートを反応
させた両末端がイソシアネート基であるプレポリマー
に、(C)ジアミンを主成分とするポリアミンにより鎖延
長したポリウレタンエラストマーを代表例として例示で
きる。(A)のポリエステル、ポリエーテル類としては、
平均分子量が約1千〜6千、好適には1300〜5千のポリブ
チレンアジペート共重合ポリエステルやポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシ
ド共重合体からなるグリコール等のポリアルキレンジオ
−ルが好しく、(B)のポリイソシアネートとしては、従
来公知のポリイソシアネートを用いることができるが、
ジフェニルメタン−4・4’−ジイソシアネートを主体
としたイソシアネ−トを用い、必要に応じ従来公知のト
リイソシアネ−ト等を微量添加使用してもよい。(C)の
ポリアミンとしては、エチレンジアミン、1・2−プロ
ピレンジアミン等公知のジアミンを主体とし、必要に応
じて微量のトリアミン、テトラアミンを併用してもよ
い。これらのポリウレタン系エラストマーは単独又は2
種類以上混合して用いてもよい。尚、本発明の熱可塑性
弾性樹脂の融点は耐熱耐久性が保持できる140℃以上が
好ましく、160℃以上のものを用いると耐熱耐久性が向
上するのでより好ましい。本発明の滑り防止基材30cを
構成する三次元網状構造体の熱可塑性弾性樹脂のソフト
セグメント含有量は少くとも5重量%以上必要である。5
重量%以下では、弾力性や耐久性が劣るので好しくな
い。好適なソフトセグメント含有量は15重量%以上、よ
り好適には30重量%以上であり、耐熱耐へたり性からは8
0重量%以下が好しく、より好適には70重量%以下であ
る。尚、必要に応じ、抗酸化剤、耐光剤、難燃剤、着色
剤、抗菌剤、芳香剤、等を添加して機能性を付与でき
る。更に、本発明の三次元網状構造体としたクッション
層には、難燃性を付与してもよく、例えば、重縮合時に
燐含有エステル形成性化合物を共重合又は、及び窒素含
有成分を添加する方法や、重合後に燐含有難燃剤又は及
び窒素含有成分を添加して難燃性を付与する等の公知の
方法が採用できる。共重合比や、添加量は必要な難燃性
とゴム弾性や硬さ等の機械的な特性とのバランスで性能
低下せしめない量を設定できる。本発明の基材30cを構
成する三次元網状構造体を構成する熱可塑性弾性樹脂か
らなる成分は、示差走査型熱量計にて測定した融解曲線
において、融点以下に吸熱ピ−クを有するのが好しい。
融点以下に吸熱ピークを有するものは、耐熱耐へたり性
が吸熱ピ−クを有しないものより著しく向上する。例え
ば、本発明の好適なポリエステル系熱可塑性樹脂とし
て、ハードセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタ
ル酸やナフタレン−2・6−ジカルボン酸等を90モル%
以上含有するもの、より好適にはテレフタル酸やナフタ
レン−2・6−ジカルボン酸の含有量は95モル%以上、
特に好適には100モル%とグリコール成分をエステル交換
後、必要な重合度迄重合し、次に、ポリアルキレンジオ
ールとして、好適には平均分子量が500以上5千以下、特
に好適には1千以上3千以下のポリテトラメチレングリコ
ールを15重量%以上70重量%以下、より好適には30重量%
以上60重量%以下共重合量させた場合、ハードセグメン
トの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン−
2・6−ジカルボン酸の含有量が多いとハードセグメン
トの結晶性が向上し、塑性変形し難く、かつ、耐熱抗へ
たり性が向上するが、溶融熱接着後更に融点より少くと
も10℃以上低い温度でアニ−リグ処理するとより耐熱抗
へたり性が向上する。圧縮歪みを付与してからアニ−リ
ングすると更に耐熱抗へたり性が向上する。この様な処
理をした三次元網状構造体を示差走査型熱量計で測定し
た融解曲線では、室温以上融点以下の温度で吸熱ピーク
がより明確に発現する。尚、アニ−リングしない場合
は、融解曲線に室温以上融点以下の範囲に吸熱ピークが
発現しない。このことから類推するに、アン−リングに
より、ハードセグメントが再配列され、疑似結晶化様の
架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上しているので
はないかとも考えられる。(この処理を疑似結晶化処理
と定義する)この疑似結晶化処理効果は、ポリアミド系
弾性樹脂やポリウレタン系弾性樹脂にも有効である。
【0026】本発明の不織布敷布等で使用する熱可塑性
樹脂からなる繊維とは、上述の熱可塑性弾性樹脂及び、
又は熱可塑性非弾性樹脂からなる繊維なら、特には限定
されない。安価な不織布とする場合には、繊維は熱可塑
性非弾性樹脂からなるものを用いるのが望ましい。本発
明の中でいう熱可塑性非弾性樹脂とは、ポリエステル、
ポリアミド、ポリオレフィン等が例示できる。尚、本発
明ではガラス転移点温度が少くとも40℃以上のものを使
用するのが好しい。例えば、ポリエステルでは、PE
T、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘ
キシレンジメチレンテレフタレート(PCHDT)、ポリ
シクロヘキシレンジメチレンナフタレート(PCHD
N)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)、ポリブチ
レンナフタレ−ト(PBN)、ポリアリレ−ト等、及びそ
れらの共重合ポリエステル等が例示できる。ポリアミド
では、ポリカプロラクタム(NY6)、ポリヘキサメチレ
ンアジパミド(NY66)、ポリヘキサメチレンセバカミ
ド(NY6−10)等が例示できる。ポリオレフィンとし
ては、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン・1(PB・
1)等が例示できる。本発明に用いる熱可塑性非弾性樹
脂としては、クッション材の側地にポリエステルを用い
る場合が多いので、廃棄する場合に側地と不織布を分離
せずにリサイクルが可能な素材として、耐熱性も良好な
PET、PEN、PBN、PCHDT等のポリエステル
が特に好しい。更には、PET、PEN、PBN、PC
HDT等と重縮合して燐含有エステル形成性化合物を共
重合又は燐含有難燃剤を含有してなる難燃性ポリエステ
ル(以下難燃性ポリエステルと略す)が好しい。尚、塩化
ビニ−ルは自己消火性を有するが燃焼すると有毒ガスを
多く発生するので本発明に用いるのは好しくない。
【0027】本発明は、熱可塑性弾性樹脂からなる線条
がループを形成して、互いの接触部の大部分が接合した
三次元網状構造体を有する滑り防止基材30c及びクッシ
ョン層62であり、好適な実施形態としては、熱可塑性弾
性樹脂からなる線条ループを互いに融着した3次元網状
構造体にゴム弾性を併用したコイルスプリング機能によ
る振動吸収性、耐熱耐ヘタリ性、通気性を持たせ、クッ
ション層全体の耐ヘタリ性の向上と分別リサイクルを容
易にする機能を付与したものである。三次元立体構造体
は、熱可塑性弾性樹脂からなる連続線条がループを形成
し、接触部の大部分で接合一体化された立体スプリング
構造を形成しているので、形態的及び素材的なクッショ
ン機能を持つ。上方から与えられた変形応力を立体スプ
リング構造と素材のゴム弾性で受け止め、変形応力と変
形量に応じて構造全体が変形して応力を吸収しつつ適度
の弾性で体型を保持する。応力が解除されると、構造弾
性力とゴム弾性により直ちに回復して好適なクッション
性と耐へたり性を発揮する。フレームからの振動も熱可
塑性弾性樹脂の振動吸収機能で大部分の振動を吸収減衰
して振動遮断層として働く。公知の非弾性樹脂のみから
なる線条で構成した三次元網状構造体では、表面層で吸
収できない大きい変形を受けるとゴム弾性を持たないの
で圧縮変形により塑性変形を生じて回復しなくなり耐久
性が劣る。三次元網状構造体の表面が実質的にフラット
化される場合、上方から伝達される変形歪が面と面で伝
達されるので、応力集中を生じ難い。線条が接合してい
ない場合は、形態保持が出来ず、構造体が一体で変形し
ない為、応力集中による疲労現象が起こり耐久性が劣る
と同時に、形態が変形して体型保持ができなくなるので
好しくない。本発明の好適な接合の程度は、線条が接触
している部分の大半が接合した状態であり、最も好適に
は接触部分が全て接合した状態である。本発明の三次元
網状構造体を形成する線条の繊度は100デニール以上10
万デニール以下が好しい。見掛密度を0.2g/cc以下にし
た場合、10万デニールを越えると構成本数が少くなり、
密度斑を生じて部分的に耐久性の悪い構造ができ、応力
集中による疲労が大きくなり耐久性が低下するので好し
くない。他方、線条の繊度は、繊度が細すぎると抗圧縮
性が低くなり過ぎて変形による応力吸収性が低下するの
で100デニール以下は好しくない。線条繊度の好適な範
囲は抗圧縮性の効果が出易い300デニール以上、構成本
数の低下による構造面の緻密性を損わない5万デニール
以下である。より好適には500デニール以上、1万デニー
ル以下である。本発明の三次元網状構造体を構成する線
条の断面形状は特には限定されないが、中空断面や異形
断面にすることで好適な抗圧縮性(反発力)やタッチを付
与できるので特に好しい。抗圧縮性は繊度や用いる素材
のモジュラスにより調整して、繊度を細くしたり、柔か
い素材では中空率や異形度を高くし初期圧縮応力の勾配
を調整できるし、繊度をやや太くしたり、ややモジュラ
スの高い素材では中空率や異形度を低くして座り心地が
良好な抗圧縮性を付与する。中空断面や異形断面の他の
効果として中空率や異形度を高くすることで、同一の抗
圧縮性を付与した場合、より軽量化が可能となり、乗物
用座席では省エネルギー化ができる。本発明の三次元網
状構造体の見掛密度は、0.005g/ccでは反発力が失わ
れ、振動吸収能力や変形応力吸収能力が不充分となりク
ッション機能を発現させ難くなる場合があり、0.25g/cc
以上では反発力が高すぎて座り心地が悪くなる場合があ
るので、振動吸収能力や変形応力吸収機能が生かせてク
ッション体としての機能が発現され易い0.01g/cc以上0.
20g/cc以下が好しく、より好適には0.03g/cc以上0.08g/
cc以下である。本発明の三次元網状構造体は繊度の異な
る線状を見掛密度との組合せで最適な構成とする異繊度
積層構造とする方法も好適な実施形態として選択でき
る。本発明の三次元網状構造体の見掛密度は0.01g/cc〜
0.2g/ccである。0.01g/cc未満では体型保持や振動吸収
等のクッション機能が低下するので好しくない。0.2g/c
cを越えると反発弾性が大きくなり座り心地が悪くなる
ので好しくない。好適な見掛密度は0.02g/cc〜0.1g/cc
であり、より好適には0.03g/cc〜0.08g/ccである。本発
明の三次元網状構造体は、薄板状の三次元網状構造体を
接着せずに、単に積層させた場合は、極端に大きいずり
変形を受けると積層形態を維持できない場合も起こりう
る。この対策として、該積層構造の滑り防止基材が布帛
又は不織布で包まれて一体化させ、積層形態を維持する
方法が、本発明での最も好適な実施形態である。用いる
布帛や不織布としては、薄くて通気性が高く、かつ、強
度の高いものが好しく、例えば、金巾の様な布帛が例示
できる。本発明の乗物用座席は、ベース部、可動座部、
外周フード、側地、座部を包む布帛又は不織布、クッシ
ョン層の表皮上層を、全てポリエステルとすることで、
三次元網状構造体のみ分別することで、ポリエステル繊
維として再生が容易になるので、本発明の実施形態とし
て好しい。再生の方法は公知の方法、例えば、反毛処理
によるカードウェブ化により不織布化や、粉砕、再溶融
による再ペレット化による再生化が例示できる。尚、三
次元網状構造体も単独成分のみに分別しておくと、再ペ
レット化して再度三次元網状構造体化が可能である。他
の非相溶性ポリエステルが混入すると、三次元網状構造
体を溶融成形するときのせん断速度が極端に遅い為相分
離を起して異常流動を生じる為、三次元網状構造を形成
できなくなるので、三次元網状構造体を再生するには他
の素材が混入しない様に分別する必要がある。しかし、
射出成形用等の高せん断速度で形成できる溶融成形物に
は、混入していても相分離を起し難いので比較的容易に
溶融成形が可能である。この場合には、全てがポリエス
テルであれば許容できるので、分別せずに他の物に再生
する場合はこの方法が利用できる。
【0028】次に本発明の滑り防止基材30cに用いる三
次元網状構造体の製法は、例えば、複数のオリフィスを
持つ多列ノズルより熱可塑性弾性樹脂を各ノズルオリフ
ィスに分配し、該熱可塑性樹脂の融点より10℃以上高
く、50℃未満高い溶融温度で、該ノズルより下方に向け
て吐出させ、溶融状態で互いに接触させて融着接合させ
三次元構造を形成しつつ、引取り装置で挟込み冷却槽で
冷却せしめた後、擬似結晶化の為の熱処理して行って得
られる。三次元網状構造体の紡糸は、一般的な多成分押
出機を用い、熱可塑性弾性樹脂の融点より10℃より50℃
高い温度で溶融紡糸する。融点より10℃以上高くしない
とメルトフラクチャーを発生し正常な線条形成が出来な
くなり、又、吐出後ループ形成しつつ接触させ融着させ
る際、線条の温度が低下して線条同士が融着しなくなり
接着が不充分な網状体となる場合があり好しくない。他
方、融点より50℃以上高いと熱劣化が著しくなり、物性
の低下を生じるので好しくない。好適な溶融紡糸温度は
融点より15℃〜40℃高い温度、より好適には融点より15
℃〜30℃高い温度である。しかしながら、滞留時間が30
分以上では、好適な紡糸温度でも熱劣化が進み物性低下
を生じるので好しくない。好適な溶融紡糸温度での滞留
時間は15分未満が好しく、より好適には10分未満であ
る。本発明に適合させる三次元網状構造体を製造するに
際して用いるノズルオリフィスの形状は特には限定され
ないが、中空断面(例えば三角中空、丸型中空、突起つ
きの中空等となる形状)及び、又は異形断面(例えば三角
形、Y型、星型等の断面二次モ−メントが高くなる形
状)とすることで溶融状態の吐出線条が形成する三次元
構造が流動緩和し難くなり、又接触点での流動時間を長
く保持して接着点を強固にできるので特に好しい。特開
平1-2075号公報の接着の為の加熱をする場合、三次元構
造が緩和し易くなり平面的構造化し、三次元立体構造化
が困難となるので好しくない。網状体の特性向上効果と
しては、見掛の嵩を高くでき軽量化になり、又抗圧縮性
が向上し、弾発性も改良できへたり難くなる。中空断面
では中空率が80%を越えると断面が潰れ易くなるので、
好適には軽量化の効果が発現できる10%以上70%以下、よ
り好適には20%以上60%以下である。オリフィスの孔間ピ
ッチは線状が形成するループが充分接触できるピッチと
する必要がある。緻密な構造にするには孔間ピッチを短
くし、粗な構造にするには孔間ピッチを長くする。本発
明の三次元網状構造体を得る為のノズルの孔間ピッチは
特には制限されないが、好適には3mm〜20mm、より好適
には5mm〜10mmである。3mm未満では、ループ形成前に溶
融線条が接触して融着し正常な網状構造を形成できない
場合があり好しくない。20mmを超える孔間ピッチでは、
ループ形成時隣り合う線条同士が接触しない場合があり
好しくない。勿論、ループ径は、線条の太さと吐出線速
度に由来するので、形成する線条とのバランスで孔間ピ
ッチは設定するのが望ましい。吐出量は特には制限され
ないが、所望の線径と所望の見掛密度を得るのに、引取
り速度と線条の線速度とのバランスで設定するのが望ま
しい。所望に応じ異密度化や異繊度化もできる。列間の
ピッチ又は孔間のピッチも変えた構成、及び列間と孔間
の両方のピッチも変える方法等で異密度層を形成でき
る。又、オリフィスの断面積を変えて吐出時の圧力損失
差を付与すると、溶融した熱可塑性樹脂を同一ノズルか
ら一定の圧力で押出す吐出量が圧力損失の大きいオリフ
ィス程少くなる原理より列内、列間で異繊度線条からな
る三次元網状構造体も製造できる。次に、該ノズルより
下方に向けて吐出させ、ループを形成させつつ溶融状態
で互いに接触させて融着させ三次元構造を形成しつつ、
引取りネットで挟込み、網状体の表面の溶融状態の曲り
くねった吐出線条を45°以上折曲して変形させ表面をフ
ラット化すると同時に曲られていない吐出線条との接触
点を接着して構造を形成後、連続して冷却媒体(通常は
室温の水を用いるのが冷却速度を早くでき、コスト面で
も安くなるので好適)で急冷して本発明の三次元立体網
状構造体を得る。ノズル面と引取り点の距離は少くとも
40mm以下にすることで吐出線条が冷却され接触部が融着
しなくなることを防ぐのが好しい。吐出線条が吐出量5g
/分孔以上と多い場合は10mm〜40mmが好しく、吐出線条
が吐出量5g/分孔未満と少ない場合は5mm〜20mmが好し
い。網状体の厚みは溶融状態の三次元立体構造体両面を
挟込む引取りネットの開口幅(引取りネット間の間隔)で
決まる。本発明では上述の理由から引取りネットの開口
幅は5mm以上とする。次に水切り乾燥するが冷却媒体中
に界面活性剤等を添加すると、水切りや乾燥し難くなっ
たり、熱可塑性弾性樹脂が膨潤することもあり好しくな
い。尚、ノズル面と樹脂を固化させる冷却媒体上に設置
した引取りコンベアとの距離、樹脂の溶融粘度、オリフ
ィスの孔径と吐出量等により所望のループ径や線径を決
められる。冷却媒体上に設置した間隔が調整可能な一対
の引取りコンベアで溶融状態の吐線条を挟込み停留させ
ることで互いに接触した部分を融着させつつ、連続して
冷却媒体中に引込み固化させ網状構造を形成する時、コ
ンベアの間隔を調整することで、融着した網状構造が溶
融状態でいる間で厚み調節が可能となり、所望の厚みの
ものが得られる。コンベア速度も速すぎると、接触点の
形成が不充分になったり、融着点が充分に形成される前
に冷却され、接触部の融着が不充分になる場合がある。
又、速度が遅過ぎると溶融物が滞留し過ぎ、密度が高く
なるので、所望の見掛密度に適したコンベア速度を設定
する必要がある。本発明の好適な製造方法としては、該
網状体を一旦冷却後、又は成形して製品化に至る任意の
工程で熱可塑性弾性樹脂の融点より少くとも10℃以下の
温度でアニ−リングし疑似結晶化処理を行うのがより好
適な製法である。疑似結晶化処理温度は、少くとも融点
(Tm)より10℃以上低く、Tanδのα分散立ち上がり温度
(Tαcr)以上で行う。この処理で、融点以下に吸熱ピ−
クを持ち、疑似結晶化処理しないもの(吸熱ピ−クを有
しないもの)より耐熱耐へたり性が著しく向上する。本
発明に適用する好適な疑似結晶化処理温度は(Tαcr+10
℃)〜(Tm−20℃)である。単なる熱処理により疑似結晶
化させると耐熱耐へたり性が向上する。 又、該三次元
網状構造体を一旦冷却後、乾燥工程を経する場合、乾燥
温度をアニ−リング温度とすることで同時に疑似結晶化
処理ができる。又、製品化する工程で別途疑似結晶化処
理を行える。次に所望の長さ又は形状に切断して滑り防
止基材30cに用いる。
【0029】本発明の可動座部の上層表皮材63に用いる
不織布の製法は特には限定されず、公知の方法が適用で
きる。本発明の最も好適な実施形態としては、熱可塑性
弾性樹脂の熱接着成分を有する熱接着繊維と熱可塑性非
弾性樹脂からなる母材を混綿開繊したウェブを、軸部5
が嵌込める様に設計された熱成形型に詰めて熱成形によ
り接合し形状形成した不織布を用いる。以下にこの製法
を例示する。熱可塑性弾性樹脂からなる繊度が20デニー
ル以下の熱接着繊維は、低融点の熱可塑性弾性樹脂と高
融点の熱可塑性弾性樹脂とを個々に溶融し、公知の複合
紡糸により紡糸し、延伸して完成糸を得られる。が、こ
の方法では、熱接着成分の融点が低いので、延伸時に高
温で熱セットできない為、収縮率が30%〜80%と高いもの
しか得られないので、ウェブを熱成形する際ウェブ収縮
による成形寸法不良を生じる。本発明に適用するには、
この問題を解決する為、3千m/分以上の高速紡糸により
収縮率を10%以下に低収縮化して一気に完成糸にする方
法で得るのが好しい。次に、巻縮を付与し、所望のカッ
ト長に切断して熱接着繊維を得る。本発明に使用する熱
接着繊維の複合形態は特には限定されないが、熱接着繊
維としての機能が必要なのでサイドバイサイド又はシ−
スコアで、低融点成分が繊維の表面の50%以上を占める
のが好しく、低融点成分が繊維の表面の100%以上を占め
るのがより好しい。母材繊維は公知の方法で非弾性樹脂
を非対称冷却法又は複合紡糸法により潜在捲縮能を付与
し、延伸後熱処理により立体捲縮を発現させて切断又
は、切断後熱処理して立体捲縮を発現させて母材繊維を
得る。母材繊維は耐へたり性と耐熱性を要求されるの
で、初期引張り抵抗度が少くとも35g/デニール以上で、
70℃での初期引張り抵抗度が少くとも10g/デニール以上
としたものが好しい。嵩高性と抗圧縮性からの立体捲縮
の捲縮度は15%以上、捲縮数は10〜25個/inchが好しい。
かくして得れた熱接着繊維と母材繊維は混合開繊する。
熱接着繊維が少ないと振動吸収機能が低下して好しくな
い。熱接着繊維が多すぎると嵩高性が低下する場合があ
り、好適な熱接着繊維と母材繊維は混合比率が20/80〜6
0/40重量比として、オ−プナ−等で予備開繊混合した後
カ−ド等で開繊し、三次元化構造とした開繊ウェブを、
下層の三次元網状構造体を嵌込める様に、下層側に凹の
へこみを形成できる成形型に詰め込み、熱接着繊維が溶
融する温度より少くとも10℃以上高い温度に加熱後、圧
縮冷却して不織布上層を得る。好適な熱成形温度は、熱
接着成分の流動開始温度より20℃以上高い温度で行う。
20℃未満では熱接着成分が流動しない為、繊維同士の接
触部で接合できない場合があり好しくない。より好適に
は、熱処理時間を短縮できる50℃以上80℃未満で熱処理
を行う。100℃以上高温にすると熱接着成分が熱劣化を
生じる場合があり好しくない。加熱時間は1分〜15分以
内とするのが好しい。短時間では温度が上がらないので
接合できない場合があり、長時間では、接合点の熱接着
成分が流れて、強固な接合点形成ができない場合があ
る。又、繊維が劣化する場合があるので好しくない。本
発明の上層表皮材63を成形する場合の別の方法では、開
繊ウェブを成形型に詰めて圧縮してから加熱する方法も
採用できる。この場合は成形型はできるだけ熱容量の少
ない型を用いると昇温時間が短縮できるので好しい。例
えば、パンチングメタルの型を用いると加熱冷却媒体が
通り易く、早く昇温、冷却できる。アルミの鋳型では熱
容量が大きいので昇温時間が掛かり作業性が低下する場
合があり、熱風を通す孔を多く開け、高圧の熱媒体を通
すと早く昇温する。冷却も高圧の冷却媒体を通すのが好
しい。加熱冷却媒体としては、加熱空気、蒸気等の処理
が容易な気体が好しく、冷却媒体は冷却空気等が好し
い。必要に応じて、成形時に側地の引込み金具を上層に
埋設しておくことができる。金具を用いない場合は、接
合の為、例えば、ファスナー等を上層に接合できる。フ
ァスナーは上層の素材が例えばポリエステルであれば、
ポリエステルのものを用いると分別しないでリサイクル
が可能となるので好適な実施形態である。
【0030】かくして、得れた上層表皮材63に下層軸部
5を嵌込み、可動座部7aを得る。他の方法では、嵌込み
構造を持たない表皮材と軸部を積層して可動座部を得
る。得れた可動座部を、例えば目の粗い金巾で包込み、
例えば引込みにファスナーを用いる場合には、表皮材の
ファスナーが側地との接合に機能する様に切除又はファ
スナーの絡み端を突き出させておくことができる。引込
み金具を用いる場合には、金巾でそのまま包込むことが
できる。次に、側地を被せて座席の形状に合せて引込み
を行い、フレームにセットすると、本発明の乗物用座席
が得られる。用いる側地は特には制限されないが、通気
性の良いものを用いると蒸れ難くできるので、好適な実
施形態である。又、吸湿性の高いものを用いると、着座
時の臀部からの水蒸気の移動が容易になるのでより好適
な実施形態である。かくして得れた本発明の乗物用座席
は、優れた耐久性、枢動クッション性を有し、蒸れ難く
乗り心地が良好で、かつ、分別リサイクルが容易な乗物
用座席を提供できる。 実施例1: ポリエステル系エラストマ−として、ジメチ
ルテレフタレ−ト(DMT)又は、ジメチルナフタレ−ト
(DMN)と1・4−ブタンジオ−ル(1・4BD)を少量
の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、ポリテト
ラメチレングリコ−ル(PTMG)を添加して昇温減圧し
つつ重縮合せしめポリエ−テルエステルブロック共重合
エラストマ−を生成させ、次に抗酸化剤0.5%を添加混合
練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥して得れた
熱可塑性弾性樹脂原料(A-1,A-2,A-3)の処方を次に示
す。 (A-1:ハート゛セク゛メント(酸成分:DMT、ク゛リコール成分:1.4BG)、ソフトセ
ク゛メント(成分:PTMG,分子量:2千、含有量:58%)、樹脂特性
(融点:179℃、Tαcr:58℃)) (A-2:ハート゛セク゛メント(酸成分:DMN、ク゛リコール成分:1.4BG)、ソフトセ
ク゛メント(成分:PTMG,分子量:1千、含有量:28%)、樹脂特性
(融点:227℃、Tαcr:68℃)) (A-3:ハート゛セク゛メント(酸成分:DMI/DMT、ク゛リコール成分:1.4BG)、
ソフトセク゛メント(成分:PTMG,分子量:2千、含有量:52%)、樹脂特
性(融点:166℃、Tαcr:44℃)) 有効幅1千mm、有効厚み80mmのノズル面に、外径4mm、内
径3.2mmでトリプルブリッジの中空形成性断面としたオ
リフィスを、幅方向の孔間ピッチを8mm、列間ピッチを
6.92mmの正三角形の千鳥配列としたノズルを用いて、熱
可塑性弾性樹脂原料(A-1)を220℃の溶融紡糸温度で、吐
出量を3250g/分にてノズル下方に吐出させ、ノズル面25
cm下に冷却水を配し、幅1500mmのステンレス製エンドレ
スネットを平行に65mm間隔で一対の引取りコンベアを水
面上に一部出る様に配して、該溶融状態の吐出線状を曲
りくねらせループを形成して接触部分を接合させつつ3
次元網状構造を形成し、該溶融状態の三次元網状構造体
の両面を引取りコンベアで挟込みつつ毎分1mの速度で25
℃の冷却水中へ引込み固化させ両面をフラット化した
後、所定の大きさに切断し、110℃にて15分間熱風にて
乾燥熱処理して擬似結晶化して得れた両面がフラット化
された三次元網状構造体は、断面形状が三角おむすび型
の中空断面で中空率が28%、繊度が5600デニールの線条
で形成しており、線条は大部分が接合しており、平均の
見掛密度が0.05g/cc、融点以下122℃に吸熱ピークを有
するものであった。別途に、常法により公知の複合紡糸
機にて、熱可塑性弾性樹脂A-3をシース成分、A-2をコア
成分となる様に個々に溶融してオリフィス直前で分配
し、各吐出量を50/50重量比で、単孔当り1.6g/分孔(0.8
g/分:0.8g/分)として紡糸温度245℃にて吐出し、紡糸速
度3500m/分にて得た繊度が4.1デニール、乾熱160℃での
収縮率8%の糸を収束してトウ状でクリンパ−にて機械巻
縮を付与し、64mmに切断してシースコア断面の熱可塑性
弾性樹脂からなる熱接着繊維を得た。母材繊維は、常法
により、極限粘度0.63と0.56のPETを重量比50/50に
分配して単孔当り3.0g/分孔(1g/分:1g/分)として紡糸温
度285℃にてC型オリフィスよりサイドバイサイドにな
る様に吐出し、紡糸速度1300m/分で複合紡糸し、次に、
70℃及び180℃にて2段延伸して得た延伸糸を64mmに切
断し170℃にてフリー熱処理して立体捲縮を発現させ、
中空断面で中空率32%のサイドバイサイド構造の繊度6デ
ニール、初期引張り抵抗度38g/デニール、捲縮度20%、
捲縮数18個/inchの母材繊維を得た。得られた熱接着繊
維と母材繊維を40/60重量比で混合し、オープナ−にて
予備開繊した後カ−ドで開繊して得たウェブを、バケッ
ト型のシート用で着座部に三次元網状構造体を嵌込む枠
ができる様にしたパンチングメタルからなるメス型枠
に、所定の位置にセットした引き込み金具と共に、見掛
密度が0.05g/ccとなる様に詰め込み、180℃の熱風にて5
分間熱処理後、オス型枠で圧縮後、直ちに冷却し、次に
105℃にて10分間擬似結晶化処理して冷却し、クッショ
ン材上層となる不織布を得た。上層の熱接着繊維成分で
ある熱可塑性弾性樹脂にも114℃に融点以下に吸熱ピー
クを持っていた。次に、上層に下層となる両面がフラッ
トな三次元網状構造体を嵌込み、金巾でクッション材を
動かない様に包んで固定し、次に、側地を被せつつ、側
地を引込んでフレームにセットして乗物用座席を得た。
得られたクッション層の特性及び座席の評価(実施例1)
は、常温耐久性、耐熱耐久性及び座り心地の優れた車両
用座席であった。 実施例2: 熱可塑性弾性樹脂(A-3)を用い、紡糸温度を2
00℃とした以外実施例1と同様にして得た下層用の三次
元網状構造体は、線条の断面形状が三角おむすび型の中
空断面で中空率25%、繊度が5900デニールの線条が大部
分接合して両面がフラット化し、見掛密度が0.05g/ccで
あった。見掛密度を0.35g/ccとなる様に上層用の型枠に
詰めこんだ上層と、A-3を用いた下層用三次元網状構造
体を用いて、車両用座席を得た。クッション層特性と車
両用座席の評価結果は、上層が下層より柔かい場合で
も、常温耐久性、耐熱耐久性及び座り心地の優れた車両
用座席であった。
【0031】次に、平板部2i(i=a,b)の薄板平板状殻体2
1の構造に関して説明する。則ち、その構造は、c1)軽量
化の点では、FRP製の殻体21で構成するのが好まし
く、又、c2)資源のリサイクルの観点からは、熱可塑性
樹脂、中でも、ポリエステル、ポリアミド、及び/又
は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂で構成するのが好ま
しい。先ず、 c11)本発明の平板部2iの薄板状FRP製殻体21を、薄板
状FRP平板から構成する1例を次に説明する。かかる
FRP板を構成するFRPは、マトリックス樹脂と強化
繊維から構成でき、FRPのマトリクス樹脂としては、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂等の
熱硬化樹脂が好適であり、中でもフェノール樹脂が安価
かつ難燃性に優れており、好ましく、又、マトリクス樹
脂として、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、PBT
樹脂、PEEK樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱可塑性
樹脂も使用可能であり、更に、熱硬化性樹脂と熱可塑性
樹脂の混合樹脂も使用可能である。これらのマトリック
ス樹脂には、例えばリン酸エステル、ハロゲン化炭化水
素、酸化アンチモンやホウ酸亜鉛、含リンポリオール、
含臭素ポリオール、四塩化無水フタル酸、四臭化無水フ
タル酸のような公知の難燃剤を配合して難燃性を付与し
てもよい。上記したマトリックス樹脂のうち、フェノー
ル樹脂は、難燃剤を配合しなくても優れた難燃性を具え
ていることから好ましい。又、本発明のFRP用強化繊
維23としては、有機繊維、及び、無機繊維が利用可能で
あるが、無機繊維では、例えば、炭素繊維、ガラス繊維
が好ましく、有機繊維では、ポリケトン繊維、ポリアラ
ミド繊維、ビニロン繊維、PP繊維、ポリエチレン繊
維、PBO(ポリベンゾオキサゾール)繊維、ポリアミ
ド繊維等が利用でき、更に、チラノ繊維、シリコンカー
バイト繊維、シリコンナイトライド繊維、ボロン繊維、
アルミナ繊維、鉱物繊維等を使用することもでき、これ
らの繊維はコスト、性能を配慮して単独又は複合で使用
することができる。更に、強化繊維の形態としては、織
物(平織り、一方向織り)、不織布、編み物、組み物等
が挙げられるが、中でもFRPによく用いられ補強効果
が大きい織物の形態が好ましい。本発明の強化繊維基材
23に使用する強化繊維は、これら強化繊維を単独で使用
してもよく、軽量・高強度のFRPを得るためには、ポ
リケトン繊維、アラミド繊維或いは炭素繊維が好まし
く、耐衝撃性、経済性という点ではガラス繊維或いはポ
リエチレン繊維が好ましい。又、これら繊維を複数種類
組合せて、各繊維の特徴をバランスさせたハイブリッド
繊維(例えば、炭素繊維とガラス繊維を併用し、炭素繊
維の軽量性と、ガラス繊維の耐衝撃性の特徴をもたせる
使い方)も好ましい。又、強化繊維には、後述する樹脂
との接着を向上させるために、表面処理やサイジング剤
が付与されていると好ましい。炭素繊維は、実質的に炭
素元素だけからなる繊維状の炭素材料であり、原料であ
るポリアクリルニトリルを加熱焼成して得られるPAN
系炭素繊維と、ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維が
ある。中でも、PAN系の炭素繊維は比強度が高く好ま
しい。通常、単糸を6千〜30万本からなるストランドを3
〜10本束ねて(合糸して)使用する。又、用いられる繊
維の形態としては、クロス、マット、ストランド等を好
適に用いることができ、必要に応じて、或いは要求され
る機械特性等に応じて、強化繊維の層を複数層に積層し
て強化繊維基材を形成し、その強化繊維基材に樹脂を含
浸する。積層する強化繊維層には、一方向に引き揃えた
繊維層や織物層を適宜積層でき、その繊維配向方向も、
要求される強度の方向に応じて適宜選択できる。強化繊
維の形態としては、一方向に配置したもの、マットの形
態としたもの、織物等、いずれの形態も使用可能である
が、本発明のFRP板は少なくとも強化繊維の織物を含
んでいるのが好ましい。強化繊維の織物としては、二方
向性織物や一方向性織物を用いることができる。強化繊
維の織物以外に、強化繊維を一方向に配置したものやマ
ットの形態としたものを含むことは差し支えない。そし
て、これらの形態のものを、適用部位に応じて、適宜組
合せること、つまり適切な積層構成を採ることが好まし
い。このとき、異種強化繊維層の組合せ構成を採ること
もできるし、ある強化繊維層を、異種強化繊維の交織層
とすることもできる。例えば、FRP板における強化繊
維層の積層構成として、次のようなものを例示できる。
(g1)強化繊維の一方向性織物を複数層積層した強化繊維
層、或いは、強化繊維の二方向性織物を単数又は複数含
む強化繊維層を含むもの(図12(E))、(g2)該強化繊維
層23の上下いずれかの片側にガラス繊維や炭素繊維の強
化繊維のマット層22を配置したもの(図12(A))、(g3)
強化繊維層23の両側にマット層22を配置したもの(図1
2(B))、(g4)マット層22の両側に強化繊維層23を配置し
たもの(図12(C))、(g5)いずれかの態様のものに、更
にゲルコート層又は不織布層を設けたもの、(g6)いずれ
かの態様のものに、更にガラス繊維のマット層22g及び
ガラス強化繊維層23gを設けたもの(図12(D))、等を挙
げることができる。又、より具体的に望ましい態様を例
示すると、FRP板が、ガラス繊維のマット、炭素繊維
の織物、炭素繊維の織物及びガラス繊維のマットの4層
構成を有し、かつ、ガラス繊維のマットが上面外側にな
るように配置されている構成や、ガラス繊維のマット、
炭素繊維の織物、ガラス繊維のマット、炭素繊維の織物
の4層構成を有し、かつ、ガラス繊維のマットが上面外
側になるように配置されている構成や、ガラス繊維のマ
ット、炭素繊維の織物の2層構成に中央部に更に炭素繊
維の補強織物を配置したもので、かつ、ガラス繊維のマ
ットが上面外側になるように配置されている構成が好ま
しい。更に、炭素繊維の織物、ガラス繊維のマット、ガ
ラス繊維の織物及びガラス繊維のマットの4層構成と
し、かつ、炭素繊維の織物が上面外側になるように配置
した構成も可能であり、又、上記の様にFRP板が強化
繊維のマットを含み、かつ、サンドイッチパネル構造と
される場合には、該マットがコア材側になるように配置
するのが好ましい。又、軽量で強度を具えた強化繊維織
物の場合には、平組織の2方向性織物で、その経糸と緯
糸は90度の交角をもって製織するのが好適で、又、強化
繊維織物のカバーファクターは、80%以上が好適で、85
%以上であると、より好ましく、90%以上であると更に
好ましい。カバーファクターの大きな強化繊維織物を用
いてFRP殻体を成形すると、均一な成形品が得られ、
樹脂中にボイドが入ったり、応力が集中するような繊維
分散むらが発生しない。又、経糸と緯糸の交錯による抵
抗が大きくなり、耐衝撃性が向上する。カバーファクタ
ーCf(%)とは、織糸間に形成される空隙部の大きさに関
係する要素で、織物上に面積S1 の領域を設定したと
き、面積S1 内において織糸に形成される空隙部の面積
をS2 とすると、次式で定義される値をいう。 カバーファクターCf(%) = {(S1 −S2 )/S1 }
×100 又、上記強化繊維層(一方向性織物の積層構造や二方向
性織物の単層又は積層構造、或いはこれらの組合せ構造
を含む強化繊維層)における強化繊維の配向方向は、F
RP板の長手方向を0°方向(基準方向)とすると、0°
/90°、0°/90°/±45°、0°/±45°等の構成を採るこ
とが好ましい。ここで、0°、90°、45°とは、実質的
に0°、90°、45°の意味であり、それぞれ、丁度その
値のものはもちろんのこと、±10°程度の範囲の値を含
む概念である。各角度の強化繊維の量の割合は、要求特
性に応じて決めればよい。例えば長手方向の曲げ剛性が
最も強く要求される場合には、0°層の割合を多くし、
幅方向の曲げ剛性が要求される場合には、90°層の割合
を多くし、捩り剛性が要求される場合には、±45°層の
割合を多くすればよい。例えば、平板部にあっては、上
側に0°層を配置することが好ましい。つまり、一方向
性織物の場合には、その一方向に延びる織糸が敷物の長
手方向になるように配され、二方向性織物の場合には、
その経糸又は緯糸が敷物の長手方向になるように配され
ることが好ましい。又、強化繊維の織物やマット層等の
積層構造とする場合には、強化繊維の体積含有率を層毎
に設定することが好ましい。例えば、強化繊維の一方向
性織物の積層構造からなる強化繊維層、或いは二方向性
織物を含む強化繊維層の繊維体積含有率を高目に設定し
て、この強化繊維層を含むFRP層でFRP板の剛性、
強度の大部分を受けもたせ、上記マット層の繊維体積含
有率を低目に設定して、該マット層を含むFRP層に
は、主として他の機能、例えば表面保護機能、振動減衰
機能、熱伝導遮断機能、耐候機能、難燃機能等をもたせ
るようにしてもよい。又、織物は通常の強化繊維織物で
あってよいが、多数本の強化繊維からなる撚の無い、糸
幅が3〜16mm、糸幅/厚み比が20以上の扁平な強化繊維
糸を経糸及び緯糸とする2方向性の織物を使用すると、
織物を殻体の全面に切れ目なく積層でき、FRP製殻体
に強化繊維が連続的に配列できるので、わずかな繊維量
で十分な補強効果が発揮できる。又、強化繊維を織物の
形態で使用すると、FRPに重力方向の荷重がかかって
織物が破れる場合、織物の経糸と緯糸の交錯による抵抗
を受けるから、特定の破れやすい方向というものが無
く、織物が全面に切れ目なく積層されていると、織物の
重なりによる凹凸を防止した平らな平面を形成すること
ができる。尚、炭素繊維には、種々の特性を有する炭素
繊維が存在するが、炭素繊維織物25に使用する炭素繊維
扁平糸の特性としては、引張破断伸度が大きく、引張破
断強度が高いものが好ましく、引張破断伸度は1.5%以
上、単繊維直径が5〜20μmで、引張弾性率が18x103kgf/
mm2以上、引張強度が200kgf/mm2以上のものが好適で、
耐衝撃性が要求される製品については、引張弾性率が20
x103kgf/mm2以上、引張破断強度は250kgf/mm2以上、破
壊歪エネルギーとしては、4.0mm・kgf/mm3以上であると
より好ましい。上記において、引張弾性率はJIS-R7601
に準拠して測定されるものである。破壊歪みエネルギー
(w)は、JIS-R7601に準拠して測定された引張強度をσ
(kgf/mm2)、上記引張弾性率をE(kgf/mm2)としたとき、
式、w=σ2/2Eで定義されるものである。又、ガラ
ス繊維は、引張弾性率が7x103〜8x103kgf/mm2、引張強
度が250〜380kgf/mm2の通常のE(Electrical Glass)ガ
ラス繊維であってよいが、引張弾性率が8〜9x103kgf/mm
2、引張強度が350〜500kgf/mm2等の高強度、高弾性率の
ガラス繊維であってもよい。次に、成形に使用する強化
繊維織物の目付は、100〜600g/m2とすることが、耐衝撃
性に優れ、表面平滑性が良く、FRP製殻体の重量を軽
くするということから好ましい。100g/m2より小さいと
織物による衝撃エネルギー吸収量が小さくなり、又、経
糸と緯糸の交錯が甘くなるので、耐衝撃性が悪くなる。
600g/m2を越えると経糸と緯糸の交錯による凹凸が大き
くなり、マット状物を使用してもFRP殻体成形品の凹
凸が大きくなる。又、本発明におけるFRP板21の中央
部付近の肉厚は、周辺部より少し厚く、例えば、0.25〜
3.0mmの範囲に形成するのが好ましい。中央部の厚さを
0.25mmより薄くすると、耐衝撃性を確保することが難し
くなり、殻体が薄いので使用中の傷によって耐衝撃性が
低下していく危険がある。一方、3mmを越えると、耐衝
撃性は良いが、殻体自体が重く過剰品質となる。尚、F
RP製平面状殻体21の両側には耐熱剤を塗布してもよ
い。しかして、厚さ0.25〜2.0mmのような剛性の高い薄
板状殻体21では、このままの薄さで底面を露出させて搬
送/使用すると、硬い突起物に底面等が衝突した場合の
耐衝撃性が低下しやすいので、その底面に、厚さ1.0〜5
mm、より好ましくは、厚さ1.5〜3mmの下部クッション補
強材26aを形成又は一体に形成するのが好適で、クッシ
ョン補強材26aの形態は、弾性シート状や、中空構造
や、サンドイッチ構造とすることも可能であり、補強材
26aの材質としては、上記平板部2iの主たる材質と同様
の材質の部材が利用でき、資源のリサイクル性からは、
熱可塑性弾性樹脂、又は、熱可塑性エラストマが好まし
い。
【0032】c12)上記平板部2i(i=a,b)の薄板状FRP
製殻体21を、FRP平板であって、コストが安く、成形
時の繊維配向乱れが少なく、薄くても反りや歪みが少な
く、かつ物性に優れたFRP板で構成する製造方法の別
の1例としては、引き揃えられた連続繊維を含み、かつ
厚みが0.2〜0.5mmの範囲内にある連続繊維層を有し、か
つその連続繊維層の両側に不織布層が配されているFR
P板21mであって、不織布又は不織布プリプレグ上に、
連続繊維の一方向性プリプレグを、成形後の厚みが0.2
〜2.0mmの範囲、より好ましくは、0.2〜1.0mmの範囲、
更に好ましくは、0.2〜0.5mmの範囲となるように積層
し、更にその上に不織布又は不織布プリプレグを積層し
た後、積層体の側端部の少なくとも一部を開放した状態
で加熱、加圧成形することを特徴とするFRP板の製造
方法で実現できる。かかるFRP板は、引き揃えられた
連続繊維層と不織布層との層状構成を有し、成形後の厚
みが0.2〜2.0mmの範囲内である連続繊維層を有し、その
両側に不織布層を配置することにより、連続繊維の配向
乱れを少なくし、薄くても物性の優れたものにできる。
不織布層を挟さんで2層以上の連続繊維層を配置するこ
ともできる。連続繊維層は、一方向にシート状に引き揃
えられた強化繊維と樹脂とを複合してなる一方向性プリ
プレグを積層する方法で形成することができ、この場
合、1層の連続繊維層は、2枚以上のプリプレグからな
っていてもよい。間に不織布層を含まず、一体として成
形されていれば1層の連続繊維層となる。連続繊維層に
おける連続繊維の引き揃え方向は、層内で一方向であっ
てもよく、互いに交差する二方向以上であってもよい。
連続繊維層を構成する強化繊維としては、用途に応じて
炭素繊維(黒鉛繊維を含む)、ポリケトン繊維、ガラス
繊維、ボロン繊維、アラミド繊維等の高強度、高弾性率
繊維を用いる。特に、乗物用に使用されるFRP板の場
合には、軽量化の効果の発揮できる炭素繊維が好まし
い。連続繊維の形態は、例えば炭素繊維の場合は解撚
糸、有撚糸、無撚糸のいずれでもよいが、FRP板の仕
上がり厚みに制約があるような場合には、平面的に拡が
りやすい解撚糸や無撚糸を用いるのが好ましい。FRP
のマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性
樹脂を用いることができる。具体的には、エポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニロン樹脂、ポリ
アミド樹脂等がある。連続繊維層の樹脂含有率は、FR
P板の物性の面から15〜70重量%の範囲がよく、更に好
適には20〜40重量%がよい。不織布層の厚さは、10〜30
μmの範囲内とするのが好ましい。10μmより薄いと連続
繊維の配向乱れを生じやすくなる傾向があり、30μmを
越えるとFRP板が厚くなる。不織布を構成する繊維と
しては、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、ポリ
エステル繊維、PP繊維、等が挙げられる。中でも、炭
素繊維や、ポリアミド繊維等の熱可塑性繊維が好まし
い。熱可塑性繊維を用いる場合には、FRP板の成形温
度より高い融点を持つ繊維を選択するのが好ましい。則
ち、成形温度より低い融点を持つ繊維を用いると、連続
繊維の配向保持効果が小さくなることがあり、連続繊維
層の繊維の配向乱れを生じ易くなる傾向がでてくる。不
織布の目付は、不織布層の厚みを好ましい範囲とするた
めに、10〜100g/m2の範囲が好ましい。又、繊維長は1〜
30mmが好ましい。不織布に予めパンチング加工等で穴あ
け加工を施しておくと、加熱、加圧成形時に樹脂が含浸
されやすくなるので好ましい。又、最外層に不織布層が
配置されていると、摩擦等で表面がささくれ状になりに
くいことから、例えば、敷物として着座したときにでこ
ぼこした違和感を与えない効果がある。外側に不織布層
を有するFRP板は、全体厚みが2mmを超えない薄肉の
場合に、成形板の反りや歪みを防ぎ、物性に優れたもの
とする効果が特に大きい。不織布層を有するFRP板
は、不織布上に、一方向性プリプレグを成形後の厚みが
0.2〜0.5mmになるように積層し、更にその上に不織布を
積層した後、ホットプレス装置等を用い、側端部の少な
くとも一部を開放した状態で、加熱、加圧成形すること
によって製造することができる。一方向性プリプレグの
樹脂含有率が低い場合等には、不織布に予め樹脂を含浸
して不織布プリプレグとしたものを積層してもよい。
又、一方向性プリプレグを積層する際には、その繊維方
向は、一方向となるように積層してもよいが、互いに交
差する二方向以上となるように積層するのがFRP板の
剛性を高める点で好ましい。
【0033】次に、本発明の反りの少ない薄板状FRP
板21mを図11を用いて説明する。図11に示すFRP
板の積層構成は、[不織布(25a)//0°(23a)/90°(23b)/
/不織布(25b)//90°(23c)/0°(23d)//不織布(25c)]と
なっている。則ち、(0°/90°)の組み合わせからなる
2層の連続繊維層と、3層の不織布層とで構成されてい
る。このようなFRP板の製造は、先ず、一方向性プリ
プレグと不織布を所定の大きさに裁断後、不織布25aの
上に基準軸に対して連続繊維の方向が0°方向となるよ
うに一方向性プリプレグ23aを積層する。更に、その一
方向性プリプレグ23aの上に一方向性プリプレグ23bを基
準軸に対して90°となるように積層した後、ローラー状
の回転物で2つのプリプレグ間の空気を押し出す。空気
の除去が困難なときは縫い針等で空気溜まりを局部的に
刺して除去した後、再度ローラーで押さえるとよい。次
に、更に別の不織布25bを積層し、同様にローラーで押
さえる。同様に別のプリプレグ23c,23dを積層後、最外
層に不織布25cを積層する。各プリプレグと不織布とは
必ずしもFRP板と同一の大きさでなくてもよく、板内
に継ぎ目があってもよいが、位置を10〜50mm程度ずらし
て継ぎ目が一か所に集中しないようにするのがよい。こ
のように積層した積層体を、離型処理したステンレス板
或いは端部が開放された金型内に置き、ホットプレスに
よって、例えばマトリクス樹脂がエポキシ樹脂の場合に
は、予熱5分以内、面圧29〜100×104 Pa、温度120〜15
0℃にて30〜60分間加熱、加圧する。各積層された2つ
のプリプレグは、それぞれ1層の連続繊維層として一体
化される。 実施例3: プリプレグ目付が375g/m2で、炭素繊維とエ
ポキシ樹脂からなる一方向性プリプレグと、目付30g/m
2、繊維長12.7mmの炭素繊維不織布マットとを、幅400m
m、長さ500mmの長方形に裁断後、次のように積層した。
[0°//不織布//0°/0°//不織布//0°/0°//不織布//0
°]次に、積層体を、離型処理したステンレス製の板で
はさみ、ホットプレスにて、予熱3分、面圧98×104 P
a、温度150℃で30分加熱、加圧成形してFRP板を作成
した。FRP板の各層の厚みを断面観察により測定した
ところ、2枚のプリプレグ(0°/ 0°)からなる連続繊
維層は0.47mm、不織布層は20μmであった。FRP板に
は、繊維の配向乱れは見られず、反りや歪みもみられな
かった。又、燃焼させて樹脂を焼きとばした後、FRP
板を各層毎に分解して連続繊維の配向乱れを調べたが、
配向乱れは認められなかった。 実施例4: 実施例3と同様の方法で、次のように積層し
た。 実施例4 炭素繊維不織布のかわりに、目付30g/m2のポ
リエステル不織布を用いた他は実施例4と同様にして、
次のように積層した。[0°//不織布//90°/90°//不織
布//0°] 次に、積層体を、離型処理したステンレス製
の板ではさみ、ホットプレスにて、面圧98×104 Pa、温
度150℃で30分加熱、加圧成形してFRP板を作成し
た。FRP板の各層の厚みを断面観察により測定したと
ころ、2枚のプリプレグ(90°/ 90°)からなる連続繊
維層は0.47mm、不織布層は20μmであった。FRP板全
体の厚みは0.98mmであった。この硬化板から試験片を切
り出し、JIS-K7203に準じて曲げ試験を実施した。尚、
最外層の連続繊維方向が、試験片の長手方向と一致する
ようにとった。曲げ試験の結果は次の通りであった。 板厚:1.08mm 曲げ強度:1,180 MPa 曲げ弾性率:65.2 GPa 比較例3: 実施例3と同じ一方向性プリプレグを用い
て、次のように積層した。[0°/0°/0°/0°/0°/0
°]次に、実施例4と同様の方法で成形してFRP板を
作成した。FRP板には繊維の配向乱れが生じ、反りと
歪みが発生した。予熱時間を変更して成形しても結果は
同様であった。 比較例4: 実施例3と同じ材料を用いて、次のように
積層した。[0°/0°/0°//不織布//0°/0°/0°]次
に、実施例3と同様の方法で成形してFRP板を作成し
た。FRP板の各層の厚みを断面観察により測定したと
ころ、3枚のプリプレグ(0°/0°/0°からなる連続繊
維層は0.68mmであった。)FRP板には繊維の配向乱れ
が生じ、反りと歪みが発生した。予熱時間を変更して成
形しても結果は同様であった。 比較例5 実施例4と同じ材料を用いて、次のように積
層した。[0°//不織布//90°//不織布//90°//不織布/
/0°//不織布]次に、実施例4と同様の方法で成形して
FRP板を作成した。FRP板の各層の厚みを断面観察
により測定したところ、一枚のプリプレグからなる連続
繊維層は0.24mm、不織布層は20μmであった。FRP板
全体の厚みは1.02mmであった。この硬化板から実施例4
と同様にして試験片を切り出し、JIS-K7203に準じて曲
げ試験を実施した結果、次の通りであった。板厚:1.20m
m 曲げ強度:880 MPa 曲げ弾性率:52.0 GPa 本発明の不織布層を配したFRP板21mによれば、引き
揃えられた連続繊維を含み、かつ厚みが0.2〜2.0mmの範
囲内にある連続繊維層を有し、かつその連続繊維層の両
側に不織布層を配するので、連続繊維の配向乱れが少な
く、薄くても反りや歪みが少なく、物性に優れたFRP
板とすることができる。
【0034】c13)次に、上記平板部2i(i=a,b)の薄板状
FRP製殻体21のFRP部分が、平板部の主たる剛性部
材となっている、則ち、平板部全体としての剛性を主と
して受けもつ部分となっている構造の、軽量でかつ十分
な剛性、強度を具え、しかも加工性、組立性に優れたF
RP製殻体21から成る平板部2bの更に剛性を強化した別
の1例について説明する。上記主たる剛性部材として、
強化繊維の織物を含むFRP板の「主たる剛性部材」と
は、基本的に金属製枠材等を使用すること無く平板部に
要求される剛性を発揮できる部材のことをいい、ウエブ
及び/又はスチフナを有する場合には、そのウエブ及び
/又はスチフナを含む部材として、平板部全体の剛性の
50%以上を担う部材をいう。又、上記織物は、炭素繊
維、ポリケトン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維の少な
くとも一種の強化繊維を含んでいることが好ましい。更
に、上記殻体21は、強化繊維の織物を含む2枚のFRP
板、つまり、上面28側に配置されるFRP板と底面側に
配置されるFRP板と、両FRP板間に配置されたコア
材とのサンドイッチ構造とすることも可能であり、コア
材としては、発泡材が利用でき、発泡材としては、有
機、無機のいずれの発泡材も使用できるが、有機の発泡
材を使用する場合には、強化繊維で補強した発泡材を用
いることもできる。発泡材の他にも、木材、ハニカム材
等をコア材として用いることができる。又、2種以上の
異種材を併用することも可能である。又、上記2枚のF
RP板を使用した平板部の場合には、FRP板同士を連
結するウエブ、特にFRP製のウエブを設けることが好
ましく、又、FRP板にスチフナが結合された構造とす
ることもでき、該スチフナもFRPから構成できる。こ
のようなFRPウエブやFRPスチフナはFRP板と一
体に成形できる。各適用部位の要求特性に応じてFRP
殻体の剛性や強度を最適化することにより、軽量でかつ
高剛性、高強度の平板部を実現できる。又、殻体21は、
2枚のFRP板をウエブで連結し、両FRP板間に中空
の空間を形成した中空構造に構成してもよい。本発明の
平板部2bは、基本的に、一体成形可能なFRP板のみで
殻体を構成可能であるから、特別な金属製枠材やバネ材
等を必要とせず、従って、軽量化に加え、製造や組立が
極めて容易であり、製造、加工工数や組立工数の大幅な
低減が可能になる。FRP板の厚みは、FRP板の単板
構造の場合には、0.15〜3.0mmの範囲にあることが好ま
しく、FRP板間にコア材が配置される構造或いは空間
が形成される構造の場合には、1.5〜5.0mmの範囲にある
ことが好ましい。特に、サンドイッチ構造や中空構造の
場合には、厚くしすぎると、たとえ軽量化は達成されて
も、装置全体の高床化につながる恐れがあるので、上記
範囲内に納めることが好ましい。次に、FRPスチフナ
について説明する。平板部2bにおいては、例えば図3
(C)(D)に示すように、縦横に(敷物の長手方向及び幅方
向に)配置された縦リブ27a、及び横リブ27bがFRPス
チフナとして形成され、該FRPスチフナにより補強部
材が構成される。複数のスチフナをどのように配置する
かは、平板部に要求される機械的特性に応じて決めれば
よい。例えば、座席のベース部の場合には、平板部の長
手方向、幅方向の曲げ剛性、全体の捩り剛性が要求され
るため、縦横にスチフナを配置することが好ましく、更
に局所的にも高い剛性や強度が要求される箇所には、比
較的小さなピッチでスチフナを配置することが好まし
い。このような各スチフナの夫々が、或いは各スチフナ
からなる補強部材が、例えば、FRP板21と一体的に成
形される。上記各スチフナは、中実構造のスチフナ、中
空構造のスチフナ、中空スチフナ内にコア材が充填され
たスチフナのいずれの構造をも採り得る。スチフナ用コ
ア材としては、発泡材や木材、ハニカム材等を用いるこ
とができる。発泡材としては、例えば熱可塑性樹脂発泡
材、ポリスチレン、ポリエチレン、PP、PVC、PV
A、シリコン、ポリウレタン等の発泡体を用いることが
できる。ハニカム材の材質は特に限定しないが、例えば
発泡材に用いるのと同様の樹脂をハニカム構造に成形し
たものを使用できる。コア材には、剪断荷重や圧縮荷重
の一部を受けもたせることができるが、併せて他の機能
をもたせることができる。例えば、FRP板全体として
の断熱性を高めるために、できるだけ空隙率の高い構造
としたり、難燃性を高めるために、難燃剤を配合したり
難燃物質を併用したりすることができる。又、FRP板
全体の軽量化を図るためには、コア材の比重は低い方が
好ましい。例えば上述のような材料からなる発泡材の場
合、その比重は0.02〜0.2の範囲で選択することが好ま
しい。比重が0.02未満のものを用いると、荷重に対して
十分な強度が得られなくなるおそれがある。又、比重が
0.2を超えると、強度は高くなるが重量が大きくなり、
軽量化という本来の目的が損われる。スチフナの横断面
構造の代表的な例を挙げると、(h1)中実スチフナ、(h2)
中空スチフナ、(h3)その中にコア材を充填したスチフ
ナ、(h4)箱形中空スチフナ、(h5)その中にコア材を充填
したスチフナ、(h6)ハット形スチフナ、(h7)その中にコ
ア材を充填したスチフナ、(h8)ハット形でかつ箱形に形
成したスチフナ、(h9)その中にコア材を充填したスチフ
ナが、ある。このようなスチフナを強化繊維層の積層構
造を用いて形成する場合には、マット層を適切に配する
ことにより、積層が容易になると共に、表面保護等の機
能を適宜もたせることが可能となる。例えば、コア材充
填ハット形スチフナの場合、スチフナを構成するFRP
層が、マット層M/ロービングを含む層R(例えば、ロ
ービングクロスを含む層)/マット層Mの積層構成を有
し、コア材の表面にマット層Mが位置すると共に、スチ
フナの表面にマット層Mが位置するように構成される。
このM/R/Mの構成は複数組設けてもよい。例えば、
M/R/M/R/Mの積層構成とすることもできる。則
ち、ロービング等を有する層が他の層と積層される場
合、間にマット層をはさむと、円滑な積層が可能にな
る。又、コア材との間にマット層を介在させることによ
り、FRP層とコア材との密着が可能となる。更に、表
面にマット層を配置することにより、滑らかな、かつ適
切に保護された表面となる。上述のような平面状FRP
板(FRP板単独の場合及びスチフナ付きFRP板の場
合の両方を含む)は、ハンドレイアップ法、シートワイ
ンディング、バキュームバック法、プレス法、RTM法
(レジントランスファーモールディング法)の単独又は
組合せで成形することができる。平板部の場合、ハンド
レイアップ法等による完全一体成形方法が好ましく、
又、各パーツ単位で成形を実施し、後で接着剤等で接合
して一体化する方法も採用できる。本発明に係る平面状
FRP板21においては、その外面に各種表面材を設けて
もよい。表面材としては、例えば木材、金属、ゴム、発
泡材、FRP、プラスチック、不織布等を用いることが
できる。例えば、FRP板の上面に木板を貼着して床面
を形成したり、例えば上面にポリエステル不織布を積層
し、それをFRPフロアパネルと一体成形して、木材に
近い表面摩擦係数を有する床面を構成することもでき
る。表面摩擦係数を高めることにより、滑り防止性を向
上した床面とできる。又、特殊な表面材を有するFRP
板も製作でき、芯材を例えばマット、ロービング層を有
するFRP層から構成し、芯材の少なくとも片面に、例
えばポリエステル不織布層を設け、これらをマトリック
ス樹脂で一体に固めて成形したものでもよい。不織布層
にクロス目を付けておくと、適度な表面粗さが得られ、
滑り防止に有効である。又、使用中に表面が多少削られ
たとしても、内包された不織布層により、適度な表面粗
さが維持される。又、上下対称構造としておけば、反り
も防止できる。更に、表面材を設けることにより、FR
P板表面の保護を図ることができる。この表面保護のた
めに、FRP板の部位に応じて、或いは目的に応じて、
最適な表面材を選択すればよい。例えば、FRP板の底
面を構成する所定の範囲には、耐摩耗性、耐圧縮荷重性
等の高い材料を選定することが好ましい。FRP板の下
面の一部にわたる範囲には、衝撃吸収性等の高い材料が
好ましく、又、当り防止性、例えば外部衝撃荷重や、部
材同士の衝突に対し高い特性を有する材料も好ましい。
本発明に係るFRP板は、座席/敷物の軽量化等を主目
的とするものであるが、軽量特性以外にも、FRP板全
体として、或いは局所的に、次のような特性を有するこ
とが好ましい。例えば図3(D)に示すFRP板のよう
に、座席の長手方向における全体の曲げ剛性、幅方向に
おける全体の曲げ剛性、捩り剛性、及び底面の局所的な
曲げ剛性があるレベル以上にあることが望ましい。平板
部2iの場合、座部1aの左右方向における曲げ剛性は7x10
5N・m2 以上、捩り剛性は1.5x105N・m2 以上である
ことが好ましい。これら曲げ剛性、捩り剛性は、FRP
板自身の剛性によっても、又、ウエブやスチフナの適切
な設計、配置によっても達成できる。又、FRP板に
は、上述の曲げ剛性や捩り剛性の他に、高強度、高振動
減衰、高衝撃強度、低比重、低熱伝導率等の特性や、前
述した滑り防止等のための適切な表面摩擦係数等の特性
も要求される。又、乗物用座部1aには、一般に低床化で
きることが要求されるが、従来の可動座部では一切考慮
されていなかった低床化を、本発明に係るFRP板を用
いることにより効率よく実現することが可能になる。
【0035】c21)上記平板部2iの又別の構成例として、
薄板平板状殻体21及び下部補強材26aを、同一の系統の
合成樹脂で、同時に一体に形成し、80%以上、より好ま
しくは、90%以上の平板部の構成部材を、資源のリサイ
クルが容易な熱可塑性樹脂、中でも、ポリエステル、ポ
リアミド、及び/又は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂
で構成することもでき、かかる熱可塑性樹脂として、本
発明では、ガラス転移点温度が少くとも40℃以上のもの
を使用するのが好しい。例えば、ポリエステルでは、P
ET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロ
ヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCHDT)、ポ
リシクロヘキシレンジメチレンナフタレート(PCHD
N)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)、ポリブチ
レンナフタレ−ト(PBN)、ポリアリレ−ト等、及びそ
れらの共重合ポリエステル等が例示できる。ポリアミド
では、ポリカプロラクタム(NY6)、ポリヘキサメチレ
ンアジパミド(NY66)、ポリヘキサメチレンセバカミ
ド(NY6−10)等が例示できる。ポリオレフィンとし
ては、PP、ポリブテン・1(PB・1)等が例示でき
る。本発明に用いる熱可塑性樹脂としては、表皮材63や
可動座部の上部クッション材62にポリエステルを用いる
場合が多いので、廃棄する場合にこれらの部材と特別に
分離せずにリサイクルが可能な素材として、耐熱性も良
好なPET、PEN、PBN、PCHDT等のポリエス
テルが特に好しい。更には、PET、PEN、PBN、
PCHDT等と重縮合して燐含有エステル形成性化合物
を共重合又は燐含有難燃剤を含有してなる難燃性ポリエ
ステル(以下難燃性ポリエステルと略す)とするのも好し
い。尚、PVCは自己消火性を有するが、燃焼すると有
毒ガスを多く発生するので本発明に用いるのは好しくな
い。
【0036】c22)上記平板部2iの更に又別の構成例とし
て、薄板平板状殻体21は硬質の合成樹脂で構成し、又、
下部補強部材26aは、滑り防止基材30cと同様の合成樹脂
製の三次元網状構造体や弾力性熱可塑性弾性樹脂で構成
し、しかも、薄板平板状殻体21及び下部補強部材26a
を、同一の系統の合成樹脂で一体に形成し、80%以上、
より好ましくは、90%以上、更に好ましくは、95%以上の
平板部の構成部材を、資源のリサイクルが容易な熱可塑
性樹脂、中でも、ポリエステル、ポリアミド、及び/又
は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂で構成することもで
き、かかる熱可塑性樹脂として、本発明では、ガラス転
移点温度が少くとも40℃以上のものを使用するのが好し
い。例えば、ポリエステルでは、PET、PEN、PC
HDT、PCHDN、PBT、PBN、ポリアリレ−ト
等、及びそれらの共重合ポリエステル等が例示できる。
ポリアミドでは、NY6、NY66、NY6−10等が
例示できる。ポリオレフィンとしては、PP、PB・1
等が例示できる。本発明に用いる熱可塑性樹脂として
は、表皮材63や可動座部の上部クッション材62にポリエ
ステルを用いる場合が多いので、廃棄する場合にこれら
の部材と特別に分離せずにリサイクルが可能な素材とし
て、耐熱性も良好なPET、PEN、PBN、PCHD
T等のポリエステルが特に好しい。更には、難燃性ポリ
エステルとするのも好しい。
【0037】次に、殻体枢動曲面部51を有する軸部5及
び可動座部7aは、以下に示すような種々の方法で作成可
能である。 j1) 木材等を使用した場合、1回の加工で、直径D51=4
0cm前後の軸部を製作しようとすると、非常に大きな加
工機械が必要となるので、軸部を複数、例えば、上面が
2つの半円や、上面が3、4、5等の複数の分割円に分
割して、それぞれ、枢動曲面部を、所定の形状に加工し
た後に、中央断面や各分割円の側断面を接着材で貼着
し、上面が円形状の軸部を形成する。例えば、曲面部の
半径R51=52cm、上面円の直径D51=40cmの寸法で、木材を
使用して軸部を作成したところ、中央部の厚さ50mm、周
縁部の厚さ15mmで、約1100gであった。木材製の軸部で
は、種々の木材を選択することにより、その重量は、曲
面部51の枢動半径R51が40〜60cmの範囲で、上面水平方
向の円の直径D51=30〜50cmの範囲の軸部を作成する場合
は、その重量が、300〜1500gの範囲が好ましく、300〜7
50gの範囲であるとより好ましい。 j2) 合成樹脂単体で、軸部を作成する場合は、熱可塑
性樹脂、中でも、ポリエステル、ポリアミド、及び/又
は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂で構成することが好
ましく、かかる熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエス
テルでは、PET、PEN、PCHDT、PCHDN、
PBT、PBN、ポリアリレ−ト等、及びそれらの共重
合ポリエステル等が例示でき、ポリアミドでは、NY
6、NY66、NY6−10等が例示でき、ポリオレフ
ィンとしては、PP、PB・1等が例示できるが、これ
らの熱可塑性樹脂を利用し、曲面部の上面に、前後/左
右方向のリブや、同心円状/放射状等のリブを一体に形
成した金型により、樹脂単体で、射出成形して、先ず、
軸部5を製造し、軸部の上部に、更に合成樹脂製の三次
元網状構造体や弾力性熱可塑性弾性樹脂や熱可塑性エラ
ストマ等の熱可塑性部材で衝撃吸収体62ー63を、例え
ば、一体成形や一体発泡により成形するとよい。上記熱
可塑性樹脂は、他の樹脂、例えば熱硬化性樹脂に比べ衝
撃特性に優れているが、荷重を支えるのは樹脂単体であ
るため、想定される体重等の重負荷に耐えるには、比較
的曲面部を肉厚にする必要があるが、リブを考慮する
と、木材より薄板状に形成でき、又、軽量化可能であ
る。例えば、合成樹脂単体で、軸部を作成する場合、そ
の重量は、曲面部51の枢動半径R51が40〜60cmの範囲
で、上面水平方向の円の直径D51=30〜50cmの範囲の軸部
を作成する場合は、その重量が、150〜750gの範囲が好
ましく、150〜600gの範囲であるとより好ましい。 j3) 繊維強化複合材料、特にFRPには、炭素繊維糸
やガラス繊維糸、ポリケトン繊維、ポリアラミド繊維糸
等を用いて織物の形態にした強化繊維織物が多用されて
おり、中でも、比弾性率が大きく、かつ、比強度が大き
い炭素繊維からなる炭素繊維織物は、通常、一般のシャ
トル織機やレピア織機により製織されており、合成樹脂
と複合して所定形状に形成することによりCFRP等の
複合材料に用いる補強基材として用いられている。特
に、CFRPは、機械的特性や信頼性が優れることか
ら、炭素繊維は連続繊維の形で使われ、一方向性プリプ
レグや織物及びそのプリプレグに加工されて成形に供さ
れている。通常、FRPでは、複数層の強化繊維材に、
ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂
等の熱可塑性樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、
又は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合樹脂が含浸
され、射出成形される。成形前、成形時の取扱い易さ、
型への沿わせ易さ、成形後の機械的特性の優秀性等か
ら、強化繊維材として織物の形態にした強化繊維織物の
中で、一方向性プリプレグや織物は、連続繊維から構成
された一方向性シート状物であるので、任意の曲面形状
に深絞り成形されたプリフォームを成形することが困難
であり、おのずと成形される形状に制限があった。本発
明の軸部等の曲面形状を製作する場合、強化繊維織物や
そのプリプレグを、深絞り成形する必要があり、一般
に、織物は、曲面状の成形型に、皺を入れずにフィット
させることが困難なので、所定寸法の小片に裁断した織
物を、雌型の曲面形状に沿って、パッチワーク的に積層
し成形する方法や、織物に切れ目を入れて絞り成形する
方法が採られている。かかる成形方法では、雄型でプレ
スする際、織物材の積層位置がずれるので、予め成形工
程のばらつきを考慮した少し厚めの厚さの曲面部を作成
している。又、数十枚の小片の繊維基材を一枚一枚積層
するから、人手がかかり、製造価格は、上昇する傾向に
ある。 尚、一方向性織物/二方向性織物等に切れ目を
入れて深絞り成形する方法は、自動車等において、予め
設定された所定の衝撃力以上の衝撃が加わった場合に、
軸部を自動的に変形せしめ、予め設定された衝撃力に応
じて少しづつ軸部が押し潰されていくような特性を付与
させる場合には、有効な成形方法である。又、曲面部の
上面に、前後/左右方向のリブ/ウエブや、同心円状/
放射状等のリブ/ウエブを一体に形成して、先ず、軸部
5を製造し、かかる軸部の上部に、更に合成樹脂製の三
次元網状構造体や弾力性熱可塑性弾性樹脂や熱可塑性エ
ラストマ等の熱可塑性部材で衝撃吸収体62-63を、例え
ば、一体成形すると可動座部が完成する。例えば、一方
向性織物/プリプレグで、軸部を作成する場合、その重
量は、曲面部51の枢動半径R51が40〜60cmの範囲で、上
面水平方向の円の直径D51=30〜50cmの範囲の軸部を作成
する場合は、その重量が、100〜400gの範囲が好まし
く、100〜250gの範囲であるとより好ましい。 j4) GFRP製の軸部曲面部を作成する場合には、ガ
ラス繊維を50mm程度に切断しながらバインダーと共に吹
付け、曲面部の形に予備賦形したプリフォームを作製
し、これを金型にセットし、シロップ状の熱硬化性樹脂
/熱可塑性樹脂を投入して加熱・加圧し、樹脂を硬化さ
せる方法で、曲面部が作られる。樹脂単体の曲面部とは
異なり、強化繊維としてガラス長繊維が入っているので
耐衝撃性能は向上し、樹脂単体の曲面部よりは薄く、
又、軽くできる。しかしながら、ガラス繊維は引張弾性
率が小さいので、軽くするため薄くすると曲面部の剛性
が小さくなる。又、強化繊維は長繊維とはいえ切断され
ており、衝撃的な荷重を支えるには限度があり、熱可塑
性樹脂単体からなる曲面部よりは薄い肉厚であるが、耐
衝撃特性を向上させるためには、曲面部を肉厚にするの
が好ましい。又、深絞り成形品を成形する方法として、
強化繊維のストランドを10〜25mm程度に切断してランダ
ムに配向させ、樹脂を含浸させたシート・モールディン
グ・コンパンド(SMC)やチョップド・ストランド・
マット、又連続ストランドをループを描きながら配向し
たコンティニュアス・ストランド・マットによる方法が
知られているが、これら繊維基材だけでは、強化繊維が
短繊維であるため、又強化繊維の配向が制御できないた
め物性がばらつき、信頼性を高かめた成形品とし、又、
真っ直ぐ配列した連続繊維が入っていないので、衝撃に
対して弱いという問題を克服するためには、熱可塑性樹
脂単体からなる曲面部よりは薄い肉厚であるが、曲面部
を肉厚にするのが好ましい。又、曲面部の上面に、前後
/左右方向のリブ/ウエブや、同心円状/放射状等のリ
ブ/ウエブを一体に形成して、先ず、軸部5を製造し、
かかる軸部の上部に、更に合成樹脂製の三次元網状構造
体や弾力性熱可塑性弾性樹脂や熱可塑性エラストマ等の
熱可塑性部材で衝撃吸収体62-63を、例えば、一体成形
すると可動座部が完成する。例えば、GFRPで、軸部
を作成する場合、その重量は、曲面部51の枢動半径R51
が40〜60cmの範囲で、上面水平方向の円の直径D51=30〜
50cmの範囲の軸部を作成する場合は、その重量が、90〜
200gの範囲が好ましく、90〜150gの範囲であるとより好
ましい。
【0038】j5) 次に、本発明の深絞り成形された軸
部殻体のプリフォーム及びその製造方法であって、機械
的特性に優れ、しかも、そのばらつきが小さい深絞りF
RP成形品と、それを成形するためのプリフォームを、
優れた作業性をもって安価に製造できる方法であって、
FRP製曲面状の殻体を含む軸部において、該曲面部を
特定な強化繊維、強化繊維基材を積層した構成のFRP
殻体にすることにより、機械的特性を確保しながら薄板
曲面殻体状かつ軽量な曲面部を有する軸部を形成する方
法を説明する。かかる軸部は、扁平な強化繊維糸を織糸
とする織物を含むFRP製曲面部から成る殻体であっ
て、前記織糸の糸幅が3〜16mm、糸幅/厚み比が20以上
のものを使用するのが好ましく、糸幅/厚み比が30以上
のものを使用するとより好ましい。かかる強化繊維とし
ては、炭素繊維、ガラス繊維、ポリケトン繊維、ポリア
ラミド繊維、ビニロン繊維、PP繊維やポリエチレン繊
維等が用いられるが、特に、高弾性率、高強度の炭素繊
維、及び、ポリケトン繊維、ガラス繊維が好ましい。本
発明に使用する強化繊維は、これら強化繊維単独でもよ
いが、中でも、炭素繊維とガラス繊維等の、機械的な特
性の異なる2種類の繊維を強化繊維として併用して使用
すると、衝撃に伴うエネルギーの吸収量が大きくなる。
則ち、軸部に衝撃が加わると、衝撃箇所で樹脂の破壊と
同時に破断伸度の小さな炭素繊維が先ず破断するが、弾
性率がガラス繊維に比べ高いので、衝撃エネルギーを多
く吸収する。強化繊維の破壊は、破断伸度の異なる2種
類の繊維が存在しているので、衝撃により一気には進ま
ず、炭素繊維が破断して後、次に伸度の大きなガラス繊
維が破断することによって、更に衝撃に伴うエネルギー
を有効にFRP製殻体が吸収することができる。そし
て、扁平な強化繊維糸は、通常、マルチフィラメント糸
の形態とされ、上記FRP/CFRP製曲面殻体51は、
強化繊維からなる、1枚、又は、2枚、3枚、4枚、5
枚等の複数の強化繊維基材52と、中央底鉢部の部分に存
在せしめた補強織物53から構成され、強化繊維基材52は
殻体の曲面全面に積層されており、マット状物52aと強
化繊維織物52bから構成され、マット状物52aは殻体51の
外表面側に積層するのが好適で、殻体51単独の厚さは、
0.25〜5mmの範囲、より好適には、0.3〜2.5mmの範囲、
更に好ましくは、0.4〜2mmの範囲に形成するのが好まし
く、特に厚さ1.0mm以上の殻体では、十分な機械的強度
/剛性が確保できるので、リブ等は、不要である。本発
明に使用する強化繊維基材は、則ち強化繊維の中間素材
の形態では、マット状物と強化繊維織物の組合せが好ま
しい。マット状物及び織物を構成する強化繊維は同じ種
類であってよいが、マット状物はガラス繊維から成り、
織物は炭素繊維であると、衝撃の際、強化繊維によるエ
ネルギー吸収量が大きくなるので好ましい。マット状物
の形態は、切断された単繊維を繊維配向がランダムにな
るように分散し、バインダーやニードルパンチング等で
一体化したものであってもよいが、単繊維が多数本集束
したストランドで作られたマット状物の方がFRPにし
たときの耐衝撃性がよい。ストランド・マットは、スト
ランドを1/2〜2インチ程度に切断しながらバインダーと
共に、繊維配向がランダムになるよう吹き付け、軸部曲
面の形に予備賦形したプリフォームや、平面に吹き付け
てシート状にしたチョップド・ストランド・マットであ
ってよいし、連続しているストランドをループ状に配列
し、バインダーで形態固定したコンティニュアス・スト
ランド・マットであってもよい。尚、マット状物が、樹
脂の硬化収縮により、FRPの表面が凸凹になるのを防
ぎ、表面を平滑にするため、マット状物のストランドの
太さは細いものがよく、200〜500デニール程度が好まし
い。又、FRP製曲面殻体の重量を軽くし、軸部曲面部
の表面を平滑にするため、成形に使用するマット状物の
目付は、好ましくは100〜500g/m2である。マット状物の
目付が100g/m2より小さいと、マット層が薄くなり、又
はストランドが存在しない空隙部が大きくなるので強化
繊維織物を構成する織糸の屈曲によるFRP表面の凹凸
の防止がしにくくなる。又マット状物の目付が500g/m2
を越えると、軸部の重量を所定の範囲内に収めるために
は、耐衝撃性に勝る強化繊維織物の目付を小さくするこ
とが必要となり、強化繊維織物による衝撃エネルギー吸
収量が少なくなったり、又、強化繊維織物の経糸と緯糸
の交錯が甘くなるので、耐衝撃性が悪くなる。本発明に
おいて、FRP製殻体軸部5単独の重量は、曲面部51の
枢動半径R51が40〜60cmの範囲で、上面水平方向の円の
直径D51=30〜50cmの範囲の軸部を作成する場合、その重
量が、50〜400gの範囲が好ましく、60〜230gの範囲であ
るとより好ましく、60〜150gの範囲であると更に好まし
い。軸部の重量が50gより軽いと、曲面51が、体重の繰
返し負荷により変形/破壊したり、軸部の剛性が小さ
く、外力による変形量が大きくなり、不安定なものとな
る。又、軸部の重量が400gより重くなると、耐荷重性や
衝撃吸収性能は十分で、剛性も大きく安定した軸部とな
るが、重いので座部や敷物等の重量を増加させる。本発
明の深絞り成形されたプリフォームでは、2方向性強化
繊維織物を含み、かつ、その強化繊維織物の2方向に延
びる織糸の最小交角が20〜65度であるものが、好適で、
最小交角が20〜45度であると更に好ましい。ここで最小
交角とは、深絞り成形された状態で、上記強化繊維織物
中、2方向に延びる強化繊維糸の交差する角度が最小に
なった部分の、両強化繊維糸の交角のことをいう。則
ち、深絞りによって、上記強化繊維織物の織糸(2方向
に延びる強化繊維糸)には多かれ少なかれ目ずれが生
じ、目ずれによって両織糸の交角が変化する。そして、
この変化後の交角が最小になった部分の角度を最小交角
という。通常この最小交角は、深絞り領域の縁部或いは
その近傍に生じる。最小交角を20〜65度の範囲とするこ
とにより、目開きがなく、カバーファクターの高いプリ
フォームが得られる。このプリフォームにおけるカバー
ファクターは、85%以上であることが好適で、より好ま
しくは90%以上で、更に好ましくは、95%以上である。上
記のような最小交角を実現するためには、深絞り成形さ
れる強化繊維織物の各織糸が、深絞り成形の際、剪断方
向に動き易く、かつその際にも織糸の望ましい形態を保
って高いカバーファクターを保つ必要がある。通常の織
物では、深絞り成形が困難であるか、深絞り成形の際に
生じる皺を防止するためには切れ目を入れておかなけれ
ばならなかったが、上記のように織糸が剪断方向に動き
易く、上記のような最小交角を実現し得る強化繊維織物
を用いると、切れ目を入れておく必要がない。深絞り成
形された状態で上記のような最小交角を実現できる強化
繊維織物は、例えば扁平で実質的に撚りがない強化繊維
マルチフィラメント糸を織糸とする織物であり、かかる
扁平で実質的に撚りがない織り糸は、織物の状態で単糸
が互いに並行していることが必要である。ここで「実質
的に撚りがない」とは、糸長1m当たりに1ターン以上の
撚りがない状態をいう。つまり、現実的に無撚の状態を
いう。そのためには、無撚の扁平な強化繊維糸のボビン
を横取り解舒させ、解舒撚りが入らないように縦糸及び
横糸供給を行って織物にする。織糸に撚りがあると、そ
の撚りがある部分で糸幅が狭く収束して分厚くなり、製
織された織物の表面に凹凸が発生する。このため、製織
された織物は、外力が作用した際にその撚り部分に応力
が集中し、FRP等に成形した場合に強度特性が不均一
となってしまう。しかしながら、扁平状態の、実質的に
撚りがない織糸からなる強化繊維織物は、織糸の繊度を
大きくしても、又繊維密度を大きくしても、各織糸の交
錯部におけるクリンプは極めて小さく抑えられ、FRP
やCFRPにした際に高い機械強度特性が得られる。ク
リンプが小さいので、FRPやCFRPにした際の表面
平滑性が良く、所望の軸部曲面部の表面形態が容易に得
られる。織糸の繊度を上げられることから、織糸、ひい
ては強化繊維織物が、より安価に製造される。又、クリ
ンプが極めて小さく抑えられるので、織物目付を高く設
定でき、かつ、織糸の扁平状態を確保した状態にて、カ
バーファクターを100%近くに設定することが可能とな
る。従って、FRP等において、繊維含有率を高く設定
できると共に、織糸間の樹脂リッチな部分を極めて小さ
く抑えることができ、高強度でかつ均一な強度特性を有
する複合材料が得られる。更に、織物の形態で各織糸が
扁平な状態に維持されているから、樹脂の含浸性が極め
てよい。従って、一層均一な特性の複合材料が得られ、
目標とする強度特性が容易に得られる。
【0039】本発明に係る上記強化繊維織物では、上記
強化繊維マルチフィラメント糸の糸厚みが0.05〜0.2mm
の範囲で、糸幅/糸厚み比は20以上が好適で、30以上で
あるとより好ましい。糸厚みが0.05mm未満であると、薄
すぎて扁平糸の形態を保持するのが困難となり、0.2mm
以上であると、クリンプを小さく抑えることが困難とな
る。又、糸幅/糸厚み比が20未満であると、扁平糸の形
態の維持と同時にクリンプを抑えることの両方を同時に
達成することが難しくなる。糸幅/糸厚み比の上限は特
に限定しないが、現実の製織工程の行い易さを考慮する
と、上限値は150程度である。又、糸幅としては、3〜16
mmの範囲程度が製織しやすい。本発明で用いる強化繊維
織物は、各種形態に製織できる。各形態の織物において
は、織物厚み及び織物目付は以下のような範囲が好まし
い。前記扁平な強化繊維マルチフィラメント糸を経糸及
び緯糸とする織物とする場合には、織物厚みが0.07〜0.
4mm、織物目付が100〜400g/m2の範囲であることが好適
で、織物目付が120〜350g/m2であるとより好ましい(織
物-1)。上記織物において、強化繊維マルチフィラメン
ト糸を炭素繊維糸とする場合には、該炭素繊維糸のフィ
ラメント数が5千〜24千本、繊度が3千〜2万デニールで
あることが好ましい。又、扁平な強化繊維マルチフィラ
メント糸を経糸及び緯糸とする2方向性織物であって、
該経糸と緯糸の少なくとも一方が複数積層されてなる織
物とする場合には、織物厚みが0.2〜0.6mm、織物目付が
200〜600g/m2であることが好ましい(織物ー2)。扁平な
織糸であるため、このように複数積層した状態で織成し
ても、クリンプは小さく抑えられる。積層により、織物
の繊維密度を高めることができる。このようにすれば、
目付の大きな織物が可能となり、より繊維体積含有率の
大きなFRPの成形が可能となる。更に、補助糸を用い
た織物の形態とすることもできる。補助糸としては、繊
度が2千デニール以下の細い繊維からなる扁平な織糸を
使用することが好適で、更に好ましくは50〜600デニー
ルである。補助糸は、繊度が大きいとクリンプが大きく
なり、又、繊度が小さいと製織や取扱いに際して切断し
易い。この補助糸は、並行する扁平な織糸を一体に保持
することを目的に使用され、炭素繊維やガラス繊維等の
無機繊維、ポリケトン繊維、ポリアラミド繊維、ビニロ
ン繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維が使用でき、種
類に関しては特に限定はない。ここで、織物の繊維密度
とは、次式で定義される値をいう。 織物の繊維密度(g/m3)=[織物目付(g/m2)]/
[織物厚さ(mm)] 尚、織物目付(g/m2)及び織物厚さ(mm)は、それぞ
れJIS-R7602に準拠して測定した値である。この織物に
おいて、強化繊維マルチフィラメント糸を炭素繊維糸と
する場合には、該炭素繊維糸のフィラメント数が3千〜1
2千本、繊度が1,500〜1万デニールであることが好まし
い。上述の如く、繊度が3千〜2万デニール、或いは1,50
0〜1万デニールの太い糸を用いても、上記最適な織物目
付の範囲とすることにより、扁平糸の扁平状態が潰され
たり、織り目が粗くなり過ぎたり、樹脂の含浸性が悪化
したりすることを防止できる。尚、強化繊維糸が炭素繊
維糸の場合、使用する炭素繊維扁平糸の特性として、引
張破断伸度が大きく、引張破断強度が高い必要があり、
引張破断伸度は1.5%以上、単繊維直径が5〜20μmで、引
張弾性率が18x103kgf/mm2以上、引張強度が200kgf/mm2
以上のものが好適で、軸部の耐衝撃性が要求される製品
については、引張弾性率が20x103kgf/mm2以上、引張破
断強度は250kgf/mm2以上、破壊歪エネルギーとしては、
4.0mm・kgf/mm3以上であるとより好ましい。このような
高破壊歪エネルギーとすることにより、成形されるFR
Pの耐衝撃性が向上し、局部的な荷重負荷に対して強い
軸部の曲面部が得られる。炭素繊維糸の引張強度が、45
0kgf/mm2以上であると、更に好適で、これによって、成
形されるFRPの強度が一段と確保される。強化繊維糸
が炭素繊維糸の織物の場合、その目付は、FRPへの成
形時における樹脂含浸性を向上させ、又、交差積層によ
る疑似等方性を向上させるため、低いほうがよく、100
〜500g/m2の範囲にあるのが好ましく、120〜400g/m2の
範囲にあるとより好適で、140〜350g/m2の範囲にあると
更に好ましい。目付が、100g/m2より小さいと織物によ
る衝撃エネルギー吸収量が小さくなり、又、経糸と緯糸
の交錯が甘くなるので、耐衝撃性が悪くなる。500g/m2
を越えると経糸と緯糸の交錯による凹凸が大きくなり、
マット状物を使用してもFRP殻体成形品の凹凸が大き
くなる。則ち、目付が高いと、織物の厚みが増大するの
で、樹脂含浸性が悪くなるし、例えば、0゜方向と45゜
方向の交差積層を行ったとき、軸部の曲面部の厚みが増
大して軽量化効果が低減される。又、軸部に使用するガ
ラス繊維は、引張弾性率が7x103〜8x103kgf/mm2、引張
強度が250〜380kgf/mm2の通常のEガラス繊維であって
よいが、引張弾性率が8〜9x103kgf/mm2、引張強度が350
〜500kgf/mm2等の高強度、高弾性率のガラス繊維であっ
てもよい。上記のような各種形態の本発明で使用する強
化繊維織物は、例えば平組織されている。又、扁平な織
糸を用い、クリンプが極めて小さいことから、大きなカ
バーファクターの達成が可能である。例えば、前述の織
物ー1の形態とする場合で、かつ、扁平な強化繊維マルチ
フィラメント糸が炭素繊維糸からなる場合、織物目付と
炭素繊維糸の繊度とが次式の関係を満たし、かつ、カバ
ーファクターが95%以上であることが好ましい。 W=k・sqrt(D) 但し、W:織物目付(g/m2),k:比例
定数(1.4〜3.6),D:炭素繊維糸の繊度(デニール)、sq
rt()は平方根を表す 更に前述の織物ー2の形態とする場合であって、かつ、扁
平な強化繊維マルチフィラメント糸が炭素繊維糸からな
る場合、織物目付と炭素繊維糸の繊度とが次式の関係を
満たし、かつ、カバーファクターが95%以上であること
が好ましい。 W=k・sqrt(D) 但し、W:織物目付(g/m2),k:比例
定数(2.0〜6.0),D:炭素繊維糸の繊度(デニール)、sq
rt()は平方根を表す 上記のような強化繊維織物は、薄い扁平な強化繊維マル
チフィラメントからなる経糸や緯糸を用いている。従っ
て、目抜け度の小さな、則ちカバーファクターが大きな
織物となる。このようなカバーファクターの大きな強化
繊維織物を用いてプリフォームを深絞り成形し、更にF
RPを成形すると、均一な成形品が得られ、樹脂中にボ
イドが入ったり、応力が集中するような繊維分布むらが
発生しない。尚、上記のような扁平糸自身の作成方法と
しては、例えば、強化繊維糸の製造工程において、複数
の強化繊維からなる繊維束をロール等で所定の幅に拡
げ、扁平な形状にしてそのまま保持するか、或いは元に
戻らないようにサイジング剤等で形態を保持させればよ
い。特に、扁平形状を良好に保持するためには、扁平糸
に0.5〜1.5重量%程度の小量のサイジング剤を付着させ
ておくことが好ましい。上記扁平な強化繊維マルチフィ
ラメント糸からなる経糸及び/又は緯糸を用いて製織さ
れた、本発明に係る強化繊維織物は、それぞれの糸幅と
ほぼ等しい織物構造をなしていることが好ましい。これ
により経糸と緯糸が交錯する交錯部においては、空隙が
殆どなく繊維密度の高い織物となる。しかし、実際には
経糸と緯糸が交錯しているため、糸幅と等しい糸間隔に
することは難しい。そこで、製織された強化繊維織物に
おいては、経糸又は緯糸のいずれか一方の糸間は糸幅と
等しく、他方の糸間隔は糸幅より若干大きくなっていて
もよい。但し、糸間隔が、糸幅の1.2倍を越えると空隙
が大きくなって繊維密度の高い織物が得られない。この
ため、経糸や緯糸の織糸ピッチは、糸幅の1.0〜1.2倍、
即ち、織糸ピッチ/糸幅比は1.0〜1.2であることが望ま
しい。上述のような2方向性強化繊維織物を少なくとも
一枚含む本発明のプリフォームは、生の織物を深絞り成
形したものやプリプレグの形態から深絞り成形されてい
る。又、必要に応じて、強化繊維からなるマットが層状
に積層、例えば表面層としてマットが積層されたものに
成形されていてもよい。マットの積層により、それをF
RPにした際、より平滑な表面形態が得られる。このよ
うな強化繊維織物からなる強化繊維材が複数層積層さ
れ、深絞り成形された後、該強化繊維材に樹脂が含浸さ
れ、或いはプリプレグの状態で深絞り成形され、所望の
機械特性を有するFRP製軸部に成形される。この軸部
は、このFRP自身のみから構成されてもよく、このF
RPを用いた構成、例えば、該FRPの外側や中層にマ
ット層を設けた構造に構成されていてもよい。マット層
としては、ガラス繊維チョップドストランドマットやガ
ラス繊維コンティニュアスストランドマットを使用でき
る。特に軸部曲面部の最外層側にマット層を設ければ、
曲面部の表面平滑性を向上することができる。織物の積
層構成としては特に限定されず、一方向でも交差積層で
もよいが、あらゆる方向からの外力に対し均一に高い機
械的特性を発揮させるためには、特に交差積層が好まし
い。そして、積層された複数の織物を含む場合、互いに
隣接する織物をみたとき、織糸の交差角が25〜65度の範
囲にあることが好適で、交差角が25〜45度の範囲にある
とより好ましい。
【0040】本発明に係るプリフォームの1実施例を図
13を参照して説明する。本発明では、プリフォーム50
と共に、深絞り加工後の余分な部分を除去したプリフォ
ーム50aも、又、プリフォームという。プリフォーム50,
50aは、炭素繊維織物53a,53bとガラス繊維からなるコン
ティニュアス・ストランド・マット54a,54b4層の強化
繊維基材からなり、プリフォーム50,50aの天頂曲面凸部
(深絞り部であり、製作の都合上図13では、軸部5の
使用時とは上下逆の状態で図示されている)の外層部か
ら第1層にはコンティニュアス・ストランド・マット54
a、第2層目には炭素繊維織物53a、第3層目にはコンテ
ィニュアス・ストランド・マット54b、第4層目には炭
素繊維織物53bが積層されて、各炭素繊維織物及びコン
ティニュアス・ストランド・マットの強化繊維基材に皺
が入ることなく、切れ目がなくて一体に断面が三日月球
殻状のプリフォーム50,50aの全面を覆っている。第2層
目の炭素繊維織物53aは、x1-x1軸、y1-y1軸に対して経
糸及び緯糸が斜め方向に繊維配向し、第4層目の炭素繊
維織物53bは、x1-x1軸、y1-y1軸と45度位相のずれたx2-
x2軸、y2-y2軸に対して経糸及び緯糸が斜め方向に繊維
配向している。第2層目と第4層目の2枚の炭素繊維織
物53a,53bによって、機械的特性が疑似等方性になるよ
うになっている。炭素繊維織物53a,53bは平組織の織物
で、上記プリフォーム50,50a成形前には、その経糸及び
緯糸は90度の交角をもって製織されているが、深絞り成
形されたプリフォーム50,50aにあっては、各織糸が深絞
りによって目ずれし、最小交角θが本発明で特定した範
囲内の角度となっている。この最小交角θは、本実施例
では深絞り領域(プリフォームの凸部)の縁上で発生し
ている。尚、上記説明において、2層の炭素繊維織物を
使用したプリフォームについて説明したが、少なくとも
1層の炭素繊維織物を使用し、残りは他の強化繊維基材
であってよい。又、ガラス繊維からなるコンティニュア
ス・ストランド・マットと炭素繊維織物の2種類の強化
繊維基材を使用したプリフォームについて説明したが、
勿論、マットを使用せず全てが炭素繊維織物であってよ
いし、積層による繊維配向は好ましくは、上記に説明し
たように、炭素繊維織物の繊維配向が疑似等方性になる
ようにすればよいが、限定するものではない。同様に、
積層数も上記の4層に限定するものではなく、成形品に
要求される特性や厚みによって適宜決めることができ
る。尚、凸部の外層部から第1層目をガラス繊維やビニ
ロン繊維等からなるマット層にすると、成形品の塗装性
が向上し、種々のカラーを有する成形品が得られ、又、
FRP表面の平滑性のよい成形品が得られる。さて、型
に対し、特に炭素繊維織物がフィットする状況をよく観
察すると、炭素繊維は引張弾性率が大きいのでほとんど
伸びず、シート状の炭素繊維織物を断面が三日月球殻状
の形状に深絞り変形させると、型に対して経糸(0度)
及び緯糸(90度)が繊維配向している部分は引張られ、
斜め方向(±45度)に繊維配向している部分は織糸の交
差角が小さくなるように目ずれ変形して織物が型にフィ
ットした。プリフォームにおいて織糸の交差角が元の90
度の箇所は存在するが、交差角が目ずれにより種々に変
化しており、絞り度合いの高いプリフォームほど織糸の
交差角が小さくなっていた。又、炭素繊維織物の織物を
構成する2方向の炭素繊維の、プリフォームにおける最
小交角が本発明で特定したように20〜45度であれば、通
常の深絞りCFRP成形品、例えば、半径R51が20〜150
cmの範囲である軸部の曲面部のプリフォームは織物に切
れ目を入れずとも作製することが可能であることがわか
った。則ち、プリフォームにおける最小交角が65度以上
であれば、これら深絞り成形品のためのプリフォーム
は、織物に皺が入ったプリフォームとなるし、又、皺の
入らないプリフォームが入らないようにするには織物の
切れ目を入れることが必要となる。又、最小交角が20度
以下になると、この部分の経糸と緯糸の交錯度合いがき
つくなり、FRPに成形したとき、樹脂含浸性が悪くな
ったり、又織糸の屈曲、則ち、クリンプが大きくなり、
応力集中により強度低下するという問題がある。又、皺
を入れず、又、切れ目を入れずに一体に断面が三日月球
殻状のプリフォームの全面を覆うには、糸間の隙間が大
きく織糸によって形成される空隙の大きなメッシュ状の
炭素繊維織物を使用すれば可能である。この場合、斜め
方向に繊維配向している部分は、目ずれ変形して織糸の
交差角が小さくなり、糸間隔も小さくなり、この部分の
炭素繊維織物の織糸によって形成される空隙が小さくな
る、則ち、カバーファクターが大きくなるが、型に対し
て経糸及び緯糸が繊維配向している部分は、型に沿わせ
てもあまり目ずれ変形しないので、織糸によって形成さ
れる空隙は元のメッシュ状の炭素繊維織物の状態と変わ
らず大きい。則ち、カバーファクターが小さく、カバー
ファクターが織物全体では均一でなく、ばらついてしま
う。ところが本発明においては、前述のような扁平で実
質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメント糸を織糸
とする強化繊維織物を用いると、メッシュ織物を使用す
ることなく、高いカバーファクターが実現される。プリ
フォームにおける炭素繊維織物のカバーファクターは、
前述の如く、85%以上であることが好ましい。炭素繊維
織物のカバーファクターの小さなプリフォームを成形す
ると、FRP成形品の表面が凸凹したり、織糸によって
形成される空隙部に樹脂が偏在して樹脂過多部となり、
この部分にクラックが発生し、又ボイドが集中し、FR
Pの強度を低下させる。又、部分的にみて、この部分に
は炭素繊維が存在しないので、局部的に極めて強度の低
い部分が存在することになる。前記のプリフォーム50,5
0aに用いる炭素繊維織物においては、扁平な炭素繊維マ
ルチフィラメント糸からなる経糸と緯糸は、非常に粗い
密度で製織されており、更に織糸のクリンプが小さいの
で、織糸を目ずれさせやすい。則ち、前記炭素繊維織物
を目ずれ変形させた場合、経糸又は緯糸の糸間隔を詰め
る余裕が十分にあるので、扁平糸の糸幅を狭めつつ糸間
隔を小さくさせながら皺を発生させることなく大きく変
形させることができる。つまり、経糸と緯糸の交角を小
さくすることができ、炭素繊維織物に皺が入ることがな
く、切れ目がなくて一体に断面が三日月球殻状のプリフ
ォームの全面を覆うことができ、物性が高くて、ばらつ
きの少ない深絞りFRP成形品が得られる。上記のよう
な本発明のプリフォームは、次のように深絞り成形され
る。則ち、本発明のプリフォームの製造方法は、少なく
とも一枚の2方向性強化繊維織物を含む補強基材を、前
記強化繊維織物の織糸配向方向が深絞り中心を向く方向
に対して斜めの方向となる各隅部で固定して深絞り賦形
することを特徴とする方法からなる。上記強化繊維織物
は、前述の如く、扁平で実質的に撚りがない強化繊維マ
ルチフィラメント糸を織糸とする織物であることが好ま
しい。又、深絞り成形される補強基材としては、生の強
化繊維織物であってもよいし、補強基材の少なくとも一
層がプリプレグの形態をなしていてもよい。
【0041】本発明に係るプリフォームの製造方法を、
前述の図13に示したプリフォームに関して説明する。
先ず、マット54a,54b及び炭素繊維織物53a,53bを、型の
表面積より大きな所定の寸法に、経糸及び緯糸に沿って
矩形又は正方形に裁断する。次に、プリフォームの第1
層目となるマット54a、第2層目となる炭素繊維織物53
a、第3層目となるマット54b、第4層目となる炭素繊維
織物53bの順に、第2層目と第4層目の炭素繊維織物53
a,53bを45度ずらして重ね合わせる。次に枠で、第2層
目と第4層目の炭素繊維織物各々の4隅を固定し、好ま
しくはマットの各々の4隅も織物と同時に固定し雌型の
上に置き、雄型で押さえることによって、容易に、織物
に皺を入れずに深絞り賦形することができる。これによ
ってプリフォーム50が成形される。賦形と同時に、押し
切りで、隅にはみでた繊維基材を切り取ることによっ
て、簡単に、しかも効率よくプリフォーム50aを製造す
ることができる。上記深絞り成形の際の固定点は、炭素
繊維織物53a,53bの織糸配向方向が深絞り中心を向く方
向に対して斜めの方向となる4隅の点56及び57である。
この固定は、完全に定点に固定してもよいが、若干外向
きに張力をかけるようにすると、最小交角θを所定の範
囲に納めるための目ずれをおこさせやすいので、より好
ましい。又、炭素繊維以外の強化繊維基材として上記の
如くコンティニュアス・ストランド・マットを使用する
と、深絞りの賦形を行っても、ループ状のストランドが
伸びて型にフィットし、基材が賦形によって切れるよう
なことがないので好ましい。上記のプリフォームの製造
法は、繊維基材を全て同時に賦形する場合について説明
したが、繊維基材を1枚ずつ賦形し、各繊維基材を重ね
合わせてプリフォームとしてもよい。又、プリフォーム
の作製にあたって、マットとして熱可塑性ポリマーのバ
インダーで形態固定されたコンティニュアス・ストラン
ド・マットを使用したり、強化繊維織物として熱可塑性
ポリマーのバインダーを付着させた炭素繊維織物を使用
したり、又は炭素繊維織物とマットの間に熱可塑性ポリ
マーのバインダーとして粉末状、糸状や極薄の不織布等
を介在させ、型をこれら熱可塑性ポリマーの軟化点以上
に加熱させて賦形すると、型から取り出したプリフォー
ムの形態が安定するので、後の成形が容易となる。この
ような熱可塑性ポリマーとしては、低融点で、FRPの
特性を低下させないものが好適で、低融点の共重合ナイ
ロン樹脂や低融点のポリエステル樹脂等がよく、FRP
の特性を低下させないためには付着量はできるだけ少な
いほうがよく、プリフォームの繊維重量に対して、0.5
〜5重量%程度である。又、前述の如く、本発明のプリ
フォームやFRPを製造するための繊維基材として、炭
素繊維織物等にあらかじめBステージの熱硬化性のマト
リクス樹脂を含浸したプリプレグを用いることもでき
る。熱硬化性のマトリクス樹脂としては、エポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂やフ
ェノール樹脂であり、プリプレグにおける樹脂割合は30
〜60重量%程度である。更に、上記のように製造された
プリフォームを用いて、本発明に係るFRPが成形され
る。このFRPにおいては、マトリクス樹脂として、熱
硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が使用できる。マトリクス
樹脂は、その引張破断伸度が強化繊維織物の織糸の引張
破断伸度よりも大きいことが好適で、マトリクス樹脂と
して、引張破断伸度が3.5〜10%の熱硬化性樹脂又は引
張破断伸度が8〜200%の熱可塑性樹脂であることが好ま
しい。使用するマトリクス樹脂としては、エポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノ
ール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられるが、難燃性、耐
熱性の点からは、フェノール樹脂が好ましい。これらの
熱硬化性樹脂は、織物に含浸された状態ではBステージ
である。又、マトリクス樹脂として、ポリアミド樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、PBT樹
脂、PEEK樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱可塑性樹
脂も使用することができき、更に、熱硬化性樹脂と熱可
塑性樹脂の混合樹脂も使用可能である。本発明に係るF
RPは、通常の成形法で成形できる。例えば、前述のプ
リフォームを加熱された雌金型で作製し、この雌金型に
計量された、硬化剤を入れた液状の熱硬化性樹脂を入
れ、次に加熱された雄金型で加圧することによって、容
易に成形することができる。上記FRPの成形品として
は、各種形態を採り得る。例えば、軸部の曲面部、筐体
等である。本発明に係る軸部の曲面部の深絞りFRP成
形品では、少なくとも一層の強化繊維織物を含む繊維強
化樹脂成形用プリフォームにおいて、前記織物を構成す
る炭素繊維の最小交角が20〜45度である。プリフォーム
の形態において、前記織物を切れ目がなくて一体のもの
とでき、かつ各部におけるカバーファクターを85%以上
にできる。このようなFRP成形品は、深絞り成形品で
はあるが、強化繊維織物の経糸及び緯糸が切断すること
なく、又、皺も入らず、又カバーファクターも大きいの
で、成形品の物性、性能がよく、又ばらつきも少ない。
従って、軽量で信頼性の高い製品が得られる。又、深絞
りFRP成形品において少なくとも1層の強化繊維織物
が、切れ目なく、強化繊維が連続して成形品の全体にわ
たって入っているので、たとえ短繊維系のチョップド・
ストランド・マットや、連続繊維ではあるが、ループを
描きながらストランドが配列している、コンティニュア
ス・ストランド・マットと併用しても、耐衝撃性のよい
成形品となる。
【0042】以下に、本発明の望ましい実施例について
説明する。 実施例5: 糸幅が6.5mm、糸厚みが0.12mmの扁平状炭素
繊維(東レ(株)社製“トレカ”T700-SC-12K(繊度7,2
00デニール))を用い、平織組織で、経糸と緯糸の織密
度が1.25本/cmで、かつ扁平状を保持しながら製織し、
目付が200g/m2の織物を得た。得られたこの織物のカバ
ーファクターは、99%と織糸間の空隙がほとんどない織
物であった。次いで、織糸方向を一辺とする60cm角に裁
断した織物を4枚準備し、各裁断された織物片の中心を
合わせ、織糸角度が(0°,90°)/(±45°)/(±45
°)/(0°,90°)と交差積層した。そして、積層され
た織物基材を、軸部の曲面部から型取りした雌型にの
せ、その各織物の織糸配向方向が深絞り中心を向く方向
に対して、斜めの方向となる各々の隅を固定して、その
上から雄型を押し付けて賦形させた。以上の方法によっ
て得られたプリフォームは、曲面部の型通りで、かつ、
皺の発生がなく賦形されたものであった。又、プリフォ
ームにおけるカバーファクターは98%と空隙部が非常に
少なく、平滑なものであった。又、プリフォームにおけ
る各織物のバイアス方向は引き伸ばされた形となり、織
糸の最小交角は40度と大きく剪断変形されていた。前記
プリフォームを成形型によって熱硬化性ビニルエステル
樹脂を含浸させて成形品を得た。得られた成形品は、プ
リフォームにおける高いカバーファクターを維持し、樹
脂が偏在するような部分がなく炭素繊維が均一に分散
し、表面平滑な製品であった。又、成形品の断面観察に
おいてもボイドはなく均一に樹脂含浸されていた。 比較例6 比較例として、通常の炭素繊維織物(#6343:
東レ(株)社製 "トレカ”T300-3K(繊度1,800デニー
ル)を使い、平織組織の200g/m2目付織物)について前
記実施例5と同じ方法で賦形性の評価を行った。得られ
たプリフォームは、曲面部の縁部において各裁断織物の
バイアス方向部に皺が発生した。又、バイアス方向の織
糸交角は50度と前記実施例5のプリフォームに比べ小さ
いものであった。則ち、この比較例で用いた通常の炭素
繊維織物では、バイアス方向の伸長に対して各織糸が接
近し、拘束されているために限界を生じて皺になったも
のである。又、前記プリフォームを実施例と同じ方法で
成形したが、皺が存在したために設定厚さ通り成形する
ことが出来ず分厚いものであった。このようなことか
ら、樹脂が不足して樹脂の欠けたところが多く存在し、
表面の凸凹した製品であった。以上のように、目の粗い
織物は剪断変形し易いものの、目ずれを起こしたり、目
の空いたところが存在し、信頼性の必要なFRPには採
用出来ない問題がある。以上説明したように、本発明の
プリフォーム、及び本発明のプリフォームによる深絞り
成形軸部は、プリフォームにおける強化繊維織物織糸の
最小交角を特定したので、深絞りされていても、強化繊
維織物に切れ目が入らず、皺も入らず、又カバーファク
ターも大きいので、軽量で信頼性の高いFRP殻体軸部
とすることができる。又、少なくとも一層の強化繊維織
物が、切れ目がなく、炭素繊維が連続して成形品の全体
に入っているので、たとえ短繊維系のチョップド・スト
ランド・マットや、連続繊維ではあるが、ループを描き
ながらストランドが配列している、コンティニュアス・
ストランド・マットと併用しても、繰返し荷重負荷に対
して優れた成形品となる。更に、本発明に係るプリフォ
ームの製造方法によれば、単に織物の各々の隅を固定す
ることによって、深絞り成形された所望のプリフォーム
が賦形され、又、深絞りの軸部が成形されるので、生産
性がよい。本発明に係る軸部においては、そのFRP曲
面部に用いられる強化繊維織物を特定の扁平糸織物とし
たので、軽量化は勿論のこと、表面平滑性に優れ、か
つ、強度や耐衝撃性の機械的特性に優れた軸部を実現で
きる。又、切れ目を設けることなく容易に深絞り成形で
き、かつ、あらゆる方向に対して所望の機械的特性を容
易に達成できる。
【0043】又、別の軸部用曲面殻体の成形に用いるプ
リフォームの一例としては、プリフォームは全面を覆う
強化繊維織物とコンティニュアス・ストランド・マット
からなり、プリフォームの凸部(深絞り部)の外層部か
ら第1層目はコンティニュアス・ストランド・マット、
第2層目は強化繊維織物の2層構造として、殻体の厚み
を非常に薄くしたものもあり、かかるプリフォーム50b
では、コンティニュアス・ストランド・マット及び強化
繊維織物に皺が入ることはなくて、切れ目が無くて一体
に断面が三日月球状のプリフォームの全面を覆ってい
る。第2層目の次に第3層目の補強織物53cが積層され
ており(図13(B))、第3層目の織物は、プリフォーム
の中央凸部付近に部分的に入っており、第2層目の繊維
配向に対して45度ずれるように斜め方向に積層されてい
る。強化繊維織物は、上述と同様の平組織の織物で、プ
リフォームに賦形する前は、その経糸と緯糸は90度の交
角をもって製織されているが、深絞り成形されたプリフ
ォームにあっては、各織糸が深絞りによって目ずれし、
交角θが小さくなり20〜45度程度になる。又、本発明に
おける成形後の完成した軸部の中央底鉢部付近の肉厚は
0.75〜3mmが好ましい。0.75mmより薄くすると、耐衝撃
性を確保することがしにくくなり、曲面部が薄いので使
用中の傷によって耐衝撃性が著しく低下している危険が
ある。一方、3mmを越えると、耐衝撃性は良いが、曲面
部、則ち軸部が重くなり、乗物の燃費が悪くなる。尚、
本発明において底鉢部付近の肉厚とは、曲面部の最も低
い底鉢部を中心にして半径が5cmの円によって囲まれる
曲面部で、ランダムに測定したn=10箇所の平均値をさ
す。さて、可動座部7aを使用中は、軸部5の底鉢部に負
荷が集中する確率が最も大きい。従って、底鉢部を他の
部分に比べ、強化繊維織物の積層枚数を1〜2枚多くし、
FRP製曲面殻体の肉厚を大きくしておくと、軸部の安
全が確保されて、かつ軽いFRP製曲面殻体が得られ
る。底鉢部を、更に部分的に織物で補強するにあたっ
て、積層する場所は、ほぼ底鉢部の中心位置に、円形や
矩形に裁断した、面積が100〜600cm2程度の織物が積層
されるようにすればよい。尚、底鉢部の強化繊維織物は
軸部の曲面全面に積層される強化繊維織物と必ずしも同
じ織物である必要はなく、強化繊維の種類が異なる織物
であったり、単位面積当たり重量が異なる織物であって
よい。強化繊維基材の積層は、マット状物を軸部の外表
面側となるように最外層に積層し、ついで強化繊維織物
の全面積層、更に、補強織物を部分的に積層するとよ
い。強化繊維織物の曲面部に対する繊維配向は、特に限
定するものではないが、2方向配列している強化繊維の
方向が、軸部の前後方向と、左右の側部方向になるよう
にすれば、軸部の横方向の剛性が大きくなるので好まし
い。又、外表面は内面に比べて平滑性が要求されるの
で、外層をマット状物にすると、織糸の屈曲による凹凸
があっても、マット層の介在により、FRPにすると織
糸の屈曲による凹凸が外表面に現れず、平滑になる。F
RP製軸部の外表面が平滑であると、薄い滑り防止材3i
でも、クッション性のよい可動座部7aが得られる。本発
明のFRP製軸部は、例えば、球殻の一部の形状に賦形
された、マット状物と強化繊維織物から成る強化繊維基
材を、マット状物が外層になるように積層したものを、
加熱された金型に入れ、これにシロップ状の、不飽和ポ
リエステル樹脂、ビニルエステル樹脂やエポキシ樹脂等
の熱硬化性樹脂を入れ、加圧することによって樹脂含
浸、脱泡し、樹脂を硬化させることによって成形され
る。ついで表面をサンダーがけし、離形剤を除去し、表
面がボイドで窪んでいる部分を、サーフェイサーやパテ
埋めで平滑にし、その後塗料を塗布して仕上げる。又、
FRP製軸部の側部/外周部に、湿気によるムレ感を少
なくするため、複数の通気孔を設けることができる。通
気孔の大きさは、その直径が6mm以下、又は1個の面積
が30mm2以下とし、1側面での孔の合計面積は160mm2以
下、両側面での合計面積が320mm2以下で、互いに近接し
ないように設けるのが好ましい。FRPには織物の連続
繊維が配列しているので、通気孔を設けることによる衝
撃特性の低下はほとんど認められない。尚、本発明に用
いるFRP成形に使用するマトリクス樹脂としては、こ
の他、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹
脂が挙げられ、これらの熱硬化性樹脂は、織物に含浸さ
れた状態ではBステージである。特に、軸部曲面部に
は、引張破断伸度が3〜8%のビニルエステル樹脂が好適
であり、又、マトリクス樹脂として、ナイロン樹脂、ポ
リエステル樹脂、PBT樹脂、PEEK樹脂、ビスマレ
イミド樹脂等の熱可塑性樹脂も使用することができる。
【実施例】実施例6: Eガラス繊維の225デニールのス
トランドからなる、目付が225g/m2のコンティニュアス
・ストランド・マットを60cmx60cmの正方形に裁断し
た。又、東レ(株)製炭素繊維“トレカ”T700S,12千
フィラメント糸(引張弾性率が23.5x103kgf/mm2、破壊
歪みエネルギーが5.1mm・kgf/mm3の高靭牲炭素繊維)を
縦、横の2方向に使用した、目付が300g/m2の平組織の
2方向性扁平炭素繊維織物(炭素繊維織糸の撚数が零、
経糸の糸幅が5.0mm、緯糸の糸幅が5.1mm、経糸の糸幅/
厚み=31、緯糸の糸幅/厚み=32)を60cmx60cmと20cmx20
cmの正方形に裁断した。この裁断した、軸部の全面補強
用の60cm角のマットと織物をお互いの辺が一致するよう
に各1枚ずつ重ね、更に60cm角の織物の上に、底鉢部補
強用の20cm角の織物1枚を、その中心が底鉢部のほぼ中
心となるように、かつ交差角が45度になるように積層し
た。これら積層体をマットが軸部の外側、織物が軸部の
内側になるように、又、炭素繊維の方向が軸部の前後方
向と左右に側部方向に配列するように球面殻体形状に賦
形して、上面の直径D51が40cmのプリフォームを作製し
た。ついで、このプリフォームを120℃に加熱したメス
金型にセットし、常温でシロップ状のビニルエステル樹
脂を所定量投入して型締めした。樹脂を硬化させた後、
殻体としてのFRP成形品を取り出した。特に、FRP
の凸側の表面は平滑であり、ボイドもほとんど観察され
なかった。このFRP製殻体の重量を測定したところ、
210gであった。ついで、FRP製殻体をサンデングして
離形剤を除去し、塗装仕上げ加工した後の軸部重量を測
定したところ235gであった。又、底鉢部付近の曲面部の
肉厚は1.8mmであった。曲面部51の枢動面を炭素繊維等
の薄い殻体で形成することも可能であり、軸部5の上方
凹部の内面で、半径方向、及び/又は、円周方向に、リ
ブ55、トラス等を一体に形成すると、枢動面を薄く軽量
に形成しても、その強度が補強でき、効果的であり、そ
の先端部は、R形状に面取りするのが好ましい。又、凹
部の上部には、リブ等の衝突吸収用に薄いシート状のウ
レタン樹脂やゲル材等の衝撃吸収部材、及び/又は、布
/弾性部材61を、配設、載置し、その上に、従来使用さ
れてきた通常の通気性クッション材62を積層/配設する
のが好ましい。尚、曲面部51の外周部や弾性部材61に
も、通気性を向上させるため、小孔を多数箇所、形成す
ることは可能である。又、枢動面51の中央下部に図14
(A)に示すような凹部を形成し、可動座部を緩やかに固
定する係合手段を設けることも可能であるが、可動座部
には、利用者の全体重等がかかり、滑り防止材3iに過大
な圧縮力やスピン時の捻り力等が作用し、滑り防止材3i
に非常な耐摩耗性が要求されるので、集中荷重がかかり
やすく、滑り防止材の表面を破壊しやすい凹凸形状より
は、枢動面中央部は、滑らかな曲面形状に形成するの
が、好ましい。
【0044】次に、図14を参照して、本発明のベース
部2i(i=r〜w)の上面28と、可動座部7i(i=r〜w)の下方軸
部5の曲面51との枢動機構5の組合せの種類を検討する
と、図14(A)は、ベース部2rの上面が平面28で、可動
座部7rの下部が凸曲面51の枢動機構5rの横断面図の1例
であり、更に、ベース部2rの平面28には突起部282が形
成され、又、可動座部7rの曲面51には嵌合凹部512が形
成され、可動座部7rが大きく水平移動しないようになっ
ており、同図(B)は、ベース部2sが凸曲面28sで、可動座
部7sの下部が平面51sの枢動機構5sの横断面図の1例で
あり、ベース部2sの曲面28sには嵌合凹部284が形成さ
れ、又、可動座部7sの平面51sには突起部514が形成さ
れ、可動座部7sが大きく水平移動しないようになってお
り、同図(C)は、可動座部7tの下部が凸曲面51tで、ベー
ス部2tが凹曲面28tの枢動機構5tの横断面図1例であ
り、この構成例では、曲面51tの曲率半径よりも曲面28t
の曲率半径のほうが大きい曲率半径となるように設定す
るのが好ましく、同図(D)は、可動座部7uの下部が凹曲
面51uで、ベース部2uが凸曲面28uの枢動機構5uの横断面
図1例であり、同図(E)は、ベース部2vが凹曲面28vで、
可動座部7vの下部が平面51vの回動機構5vの横断面図1
例であり、同図(F)は、ベース部2wが平面28wで、可動座
部7wの下部が凹曲面51wの回動機構5wの横断面図1例で
あり、合計6種類の組合せが、それぞれ、利用可能であ
る。可動座部の位置/姿勢が枢動自在に変動する所定の
形状の凸又は凹曲面の構成を、図14を参照して更に詳
しく検討してみると、平板部2iの上面28と、可動座部の
下方曲面部51とが直結した枢動機構5を形成する曲面の
組合せは、図14(A)〜(F)に示すような6種類がある
が、これら6種類の各平面/凹凸曲面の組合せに対し
て、それぞれ、3自由度の回転運動を生成可能な枢動曲
面が形成でき、具体的には、図1や図6に示すような、
1曲面で、3自由度又は3自由度以上の回転運動制御が
可能な所定の形状の曲面部51は、例えば、球、半球、回
転楕円体、回転2次曲面体、回転曲面体、一般の曲面
体、円筒、又は、これらの曲面体を組合せた曲面体(曲
面殻体)を少なくとも一部に含む曲面により形成された
曲面を利用して実現することができる。尚、球面又は半
球面の一部を利用するのが、製造が容易であり、回転運
動の制御性も自然かつ快適で、予測可能に制御しやす
く、可動座部の水平方向の直径D54も大きくでき、剛性
が高められて、好ましい。特に、図14(A)、(B)に示す
平面と凸曲面との組合せで構成した枢動機構5r,5sは、
構造が単純で、又、従来の凹凸曲面の組合せから成る枢
動自在なball-socketタイプの軸部や回動自在な玉軸受
け等の枢動機構よりも、シリコーンゲル/ウレタン系ゴ
ム/エラストマー等の粘着部材を応用した滑り防止材3i
の上で、スピン回転や捻り、シフト移動等の運動制御性
を可動座部7に付勢する場合に、制御操作が自然で、可
動回転範囲/可動並進移動範囲が拡大できて、好まし
い。又、図14(C)、(D)に示す凹凸曲面の組合せから成
る枢動自在なball-socketタイプの枢動機構5t,5uを採
用する事も可能である。
【0045】
【発明の効果】以上に説明した様に、本発明の座席や敷
物によれば、従来放置されてきた、身体の一部又は全体
を、長時間、ほぼ一定の姿勢で着座し続けた場合に問題
となる自動車/電動車椅子等の車両や、飛行機/船/電
車等の乗物で長時間の移動を行う場合、乗物の座席に、
いわば、縛り付けられ/固定された状態で、移動するこ
ととなり、上記じっとしていられなくなる疲労感/痛み
を解消することが、特別な訓練を受けなくても可能であ
り、単に、可動座部の上に着座するだけで、自分の骨
格、筋肉を無意識のうちに動かし姿勢等を微少変化さ
せ、足、下肢、首、下半身、腰、背中、肩、下半身/上
半身等に、蓄積されるストレスを無意識の内に発散させ
ることができ、非常に快適な使用感のする、金属製バネ
が不要で、薄く、小型、軽量、コンパクトで、耐久性/
安定性に優れた、枢動クッション性と自己復帰機能を有
する局所可動座部を具えた枢動自在な動的座席を提供す
ることができる。又、本発明を乗物の座席に応用した場
合には、乗物の移動に応答して発生する遠心力を、該座
席の局所可動座部に作用させ、上記座部を遠心力により
枢動自在に変動せしめ、かかる枢動変動により運転手/
乗客の腰部を強制的に枢動変動させ、ストレス放出運動
として座っている人の身体に強制的にフィードバック
し、身体腰部にストレスの蓄積しない、エコノミー症候
群に対処可能な、金属製バネが不要で、薄く、小型、軽
量、コンパクトで、耐久性/安定性に優れた枢動自在な
座席を提供することもでき、更に、連続して24時間以
上の利用も可能であり、座席の主たる剛性材をCFRP
で構成すると、非常に軽量化でき、乗物の燃費向上にも
有効である。又、テーブル/事務机/教室や音楽/演劇
ホール等でも、椅子に腰掛けた状態で、身体の一部又は
全体を、長時間、ほぼ一定の姿勢で保持/支持し続ける
ことも多いが、本発明と同等の構造の座席を利用する
と、足、下肢、首、下半身、腰、背中、全身等に生ず
る、じっとしていられなくなる疲労感/痛みを容易に解
消することができ、作業者/生徒/観客にとり、朗報で
ある。更に、本発明の座部1a等を低床化し、単独で、小
型、軽量、コンパクトで、耐久性/安定性に優れた、枢
動自在/回動自在/揺動自在、及び/又は、左右及び/
又は前後方向に滑動自在な、敷き布団を含む寝台に応用
することも可能であり、病気や怪我により、身体の機能
に障害が生じ、布団やベッド等の寝台で生活する場合
や、枕/寝台等に身体の一部又は全体を、長時間、ほぼ
一定の姿勢で保持/支持し続ける場合に、足、下肢、
首、下半身、腰、背中、全身等に生ずる、じっとしてい
られなくなる疲労感/痛みを解消することができ、生活
者/病人/障害者にとり、朗報である。上記の説明に鑑
み、本発明に対してこれら及び他の変更を行うことがで
きる。従って、本発明は、以上の説明によって限定され
るものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみ
によって限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の座席9aを車両10aに組込ん
で一体に形成した1例を示す図であり、図1(A)は、車
両10aがカーブのある道路を走行している様子を示す
図、図1(B)は、本発明の座席9aの全体を示す斜視図で
ある。
【図2】 図2(A)は、中央に中空部93を有する固体化
外周フード4aを具えた座部1aを拡大した平面図、図2
(B)は、その2B-2Bでの横断面図である。
【図3】 図3(A)は、下部がクッション補強材26aで形
成された平板部2aの平面図、同図(B)は、その3B-3Bでの
横断面図、図3(C)は、下部が剛性補強材26bで形成され
た平板部2bの平面図、同図(D)は、その3D-3Dでの横断面
図である。
【図4】 図4(A)は、クッション材で形成された外周
フード4aの平面図、同図(B)は、その4B-4Bでの横断面
図、図4(C)は、コイル状支柱部8の平面図、同図(D)
は、その正面図、同図(E)は、その底面粘着材82の正面
図である。
【図5】 図5(A)は、滑り防止材3a又は3bの平面図、
同図(B)は、その5B-5Bでの横断面図、図5(C)は、滑り
防止材3aの底面用粘着部材34の平面図、同図(D)は、そ
の横断面図、図5(E)は、滑り防止材3aの上面用粘着部
材36の平面図、同図(F)は、その横断面図である。
【図6】 図6(A)は、軸部5の平面図、同図(B)は、そ
の6B-6Bでの横断面図、図6(C)は、クッション補強材61
の平面図、同図(D)は、その6D-6Dでの横断面図、図6
(E)は、クッション材62の平面図、同図(F)は、その6F-6
Fでの横断面図である。
【図7】 図7(A)は、直線道路を走行中の図1(B)の座
部1aの7A-7Aでの横断面図、同図(B)は、その平面図、図
7(C)は、図1(A)のカーブを走行中に、座部1aに作用す
る遠心力を示す横断面図、同図(D)は、その遠心力の作
用する位置を示す平面図、図7(E)は、図1(B)に示す座
部1aの7E-7Eでの縦断面図である。
【図8】 図8は、本発明の座席の動作を説明する図で
あり、図8(A)は、本発明の座席に着座した状態での前
後方向の断面図、同図(B)は、その左右方向での横断面
図である。
【図9】 図9(A)は、本発明の座席で、可動座部7aの
位置を左上方に移動させて利用する場合の平面図、図9
(B)は、本発明の座席で、可動座部7aの位置を右下方に
移動させて利用する場合の平面図、図9(C)は、3次元
網状構造体からなるクッション材を滑り防止材として使
用した場合の一部を誇張して拡大した横断面図である。
【図10】 図10は、本発明の座席を飛行機の座席9b
に組込んで一体に形成した場合の動作を説明する図であ
り、図10(A)は、本発明の飛行機の座席9b全体の斜視
図、同図(B)は、その座部分1bを拡大した図、図10(C)
は、その前カバー4bを外した複数の座部の状態を示す
図、同図(D)は、前カバー4bを含む座部1bの前後方向の
縦断面図である。
【図11】 図11は、反りの無い薄板状平板部の1構
成例を示す断面斜視図である。
【図12】 図12は、ベース部の薄板状平板殻体の種
々の断面構造を示す図であり、図12(A)は、強化繊維
層の片側にマット層を配置したものの横断面図、図12
(B)は、強化繊維層の両側にマット層を配置したものの
横断面図、図12(C)は、マット層の両側に強化繊維層2
2a,22bを配置したものの横断面図、図12(D)は、いず
れかの態様のものに、更にゲルコート層又は不織布層を
設けたものの横断面図、図12(E)は、種々の交差角か
らなる2方向性織物を積層させた薄板状殻体の構成例を
示す図である。
【図13】 図13は、軸部の曲面部成形に用いるプリ
フォームを示しており、図13(A)は、本発明のプリフ
ォームの一部を破断した概略斜視図、図13(B)は、そ
の縦断面図、図13(C)は、図13(A)のプリフォームの
平面図である。
【図14】 図14は、ベース部2i(i=r〜w)と可動座部
7i(i=r〜w)との種々の形状の組合せ構造を示す図であ
り、図14(A)は、ベース部2rの上面が平面28で、可動
座部7rの下部が凸曲面51の枢動機構5rの横断面図の1例
であり、同図(B)は、ベース部2sが凸曲面28sで、可動座
部7sの下部が平面51sの枢動機構5sの横断面図の1例で
あり、同図(C)は、可動座部7tの下部が凸曲面51tで、ベ
ース部2tが凹曲面28tの枢動機構5tの横断面図1例であ
り、同図(D)は、可動座部7uの下部が凹曲面51uで、ベー
ス部2uが凸曲面28uの枢動機構5uの横断面図1例であ
り、同図(E)は、ベース部2vが凹曲面28vで、可動座部7v
の下部が平面51vの回動機構5vの横断面図1例であり、
同図(F)は、ベース部2wが平面28wで、可動座部7wの下部
が凹曲面51wの回動機構5wの横断面図1例である。
【符号の説明】
1a、1b 座部 2a、2b,2i ベース部 21 平面殻体 22 マット材 23 強化繊維 26a、61 クッション補強材 26b,27a,27b,55a,55b 剛性補強
材、リブ 28 平面 3a,3b、3c,3i 滑り防止材 30a,30b、30c 滑り防止基材 32a,32b、4b カバー 34、36 粘着材 4a 外周フード 5a、5r,・・・、5w 枢動機構 5 軸部 51 枢動曲面、曲面殻体 62 クッション材 63 表皮材 7a、7b 可動座部 9a、9b 座席 92 背凭れ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B60N 2/44 B60N 2/44 4L048 C08J 5/04 CER C08J 5/04 CER CEZ CEZ C08K 3/00 C08K 3/00 7/02 7/02 C08L 101/00 C08L 101/00 D03D 1/00 D03D 1/00 A 15/00 15/00 C 15/12 15/12 Z Fターム(参考) 3B084 BA00 3B087 BD19 DE05 3B096 AD04 AD07 4F072 AB06 AB08 AB09 AB10 AD03 AD04 AD05 AD06 AD08 AD09 AD41 AD42 AD44 AD45 AD46 AF01 AL02 4J002 AA001 AA011 AA021 FD016 GC00 GL00 GN00 4L048 AA05 AA49 AB13 AC14 CA01 CA02 CA15 DA24 DA41

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 座席であって、床と係合するベース部
    と、身体腰部の局所可動座部とを具え、この局所可動座
    部と前記ベース部とを、所定の形状の曲面に基づき枢動
    運動が可能な枢動機構で直接接続し、又は載置し、更
    に、前記可動座部と前記ベース部との枢動する空間に、
    滑り防止材を介在させ、前記身体に作用する重力/加速
    度/遠心力に作動的に関連して、前記局所可動座部を枢
    動自在に変動せしめ、この座部変動が前記腰部を介して
    ストレス放出運動として前記身体にフィードバックされ
    るようにしたことを特徴とする座席。
  2. 【請求項2】 前記加速度及び/又は遠心力が、所定の
    大きさよりも小さくなった場合には、前記枢動機構によ
    り、前記座部が、所定のバランス位置に、自然に枢動し
    て移動し復帰するようになっている請求項1に記載の座
    席。
  3. 【請求項3】 前記滑り防止材が、粘弾性部材、粘着部
    材、感圧接着材、プラスチック部材、弾性部材、合成ゴ
    ム部材、ウレタン系ゴム部材、天然ゴム部材、ゲル材、
    シリコーンゲル材、多孔性シリコーンゲル材、低硬度シ
    リコーンゴム、ポリエチレン及びポリスチレンの共重合
    体をポリマーの主成分とするゲル又は低硬度ゴム、ウレ
    タンゲル材、シリコーンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴ
    ム、アクリルゴム、天然ゴム、スチレンーブタジエンゴ
    ム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレ
    ン-ビニルアセテートコポリマー、ポリビニルブチラー
    ル、ポリビニルブチラール-ポリビニルアセテートコポ
    リマー、エポキシ-アクリレート相互貫入網状ポリマ
    ー、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテ
    ルイミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリスチレ
    ン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンブロックコ
    ポリマー、ポリプロピレン、アセタールポリマー、ポリ
    アミド、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン及びこれらの組
    合せから成るグループから選択されたシート状部材から
    成り、単独又は複数の前記シート状部材を積層してなる
    請求項1又は2に記載の座席。
  4. 【請求項4】 前記滑り防止材と、前記座部との間に、
    更に、ネット状部材を介在させた請求項3に記載の座
    席。
  5. 【請求項5】 前記滑り防止材が、粘弾性部材、粘着部
    材、感圧接着材、プラスチック部材、弾性部材、合成ゴ
    ム部材、ウレタン系ゴム部材、天然ゴム部材、ゲル材、
    シリコーンゲル材、多孔性シリコーンゲル材、低硬度シ
    リコーンゴム、ポリエチレン及びポリスチレンの共重合
    体をポリマーの主成分とするゲル又は低硬度ゴム、ウレ
    タンゲル材、シリコーンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴ
    ム、アクリルゴム、天然ゴム、スチレン、ブタジエンゴ
    ム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレ
    ン-ビニルアセテートコポリマー、ポリビニルブチラー
    ル、ポリビニルブチラール-ポリビニルアセテートコポ
    リマー、エポキシ-アクリレート相互貫入網状ポリマ
    ー、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテ
    ルイミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリスチレ
    ン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンブロックコ
    ポリマー、ポリプロピレン、アセタールポリマー、ポリ
    アミド、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、 グアーガム、PVA、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ
    アクリルアミド、カルボキシメチルセルロースナトリウ
    ム(CMC)、澱粉等の水溶性高分子の高粘度水溶液若し
    くはこれらの水溶性高分子を無機塩又は有機系架橋剤で
    架橋した含水ゲル材、アニオン性水溶性高分子を多価金
    属塩によってゲル化させたゲル材、アニオン性水溶性高
    分子とアルミニウム塩を含むアルカリ性の水溶液を調製
    した後、有機及び/又は無機の酸を添加してゲル化した
    ゲル材、ポリアクリル酸やポリアクリル酸塩等を用いた
    水性ゲル材、 水、オイル、シリコーンオイル等の液体、空気、窒素等
    の気体、及びこれらの組合せから成るグループから選択
    され、 前記滑り防止材が、外部フィルムカバーにより完全に密
    閉され、 前記外部フィルムカバーが、結晶質ポリエステル、非晶
    質ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレ
    ン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、フェノール樹脂、
    ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、弗素化
    ポリマーフィルム、ポリ酢酸ビニル及びナイロンから成
    るグループから各々独立に選択されるフィルム層及び/
    又はフィルムセグメントを具えている請求項1に記載の
    座席。
  6. 【請求項6】 前記外部フィルムカバーの密閉された平
    らな上下表面上の少なくとも一方に、接着剤層又は粘着
    部材が、塗布されて存在する請求項5に記載の座席。
  7. 【請求項7】 前記滑り防止材の厚さが、2〜20mm
    の範囲である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の座
    席。
  8. 【請求項8】 前記枢動機構の所定の曲面が、球、半
    球、回転楕円体、回転2次曲面体、回転曲面体、一般の
    曲面体、又は、これらの曲面体の一部、又はこれらの曲
    面体を変形/組合せた曲面体を少なくとも一部に含む曲
    面により形成された請求項1乃至7のいずれか1項に記
    載の座席。
  9. 【請求項9】 前記枢動機構の所定の曲面を、殻体で形
    成すると共に、枢動曲面の反対側に、補強用リブ及び/
    又はトラスを形成又は一体に形成するようにした請求項
    8に記載の座席。
  10. 【請求項10】 前記枢動機構の前記枢動自在な座部側
    が、凸曲面であり、前記ベース部側が、平面、又は、凹
    曲面の組合せである、又は、前記座部側が、凹曲面であ
    り、前記ベース部側が、凸曲面の組合せである、又は、 前記座部側が、平面であり、前記ベース部側が、凸曲面
    の組合せである請求項1乃至9のいずれか1項に記載の
    座席。
  11. 【請求項11】 前記ベース部が、上面が平らな平板
    部、及び/又は、水平方向の外形が矩形又は円形の平板
    部を含む請求項1乃至10のいずれか1項に記載の座
    席。
  12. 【請求項12】 前記平板部の枢動空間の反対側に、補
    強用リブ及び/又はトラスを形成し又は一体に形成する
    ようにした請求項11に記載の座席。
  13. 【請求項13】 前記平板部の最低部と最高部の高さの
    差が、0.5〜50mmの範囲である請求項11又は1
    2に記載の座席。
  14. 【請求項14】 前記ベース部の平板部が、可撓性部
    材、弾性部材、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビ
    ニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアル
    コール、メタクリル樹脂、石油樹脂、ポリアミド、ポリ
    塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアセタール、
    弗素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、
    ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、
    ポリシクロオレフィン等の熱可塑性樹脂、又は、フェノ
    ール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタ
    ン、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱
    硬化性樹脂、則ち、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等の
    合成樹脂部材/プラスチック部材、又は、ポリアミノ
    酸、脂肪族ポリエステル、ポリーεーカプロラクトン、ポ
    リビニルアルコール、キトサン、澱粉、セルロース等と
    汎用性ポリマーとの混合物等の生分解樹脂部材、又は、
    ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエチレン及びポリ
    スチレンの共重合体をポリマーの主成分とする低硬度ゴ
    ム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、
    ブチルゴム、アクリルゴム、スチレンーブタジエンゴ
    ム、エチレンープロピレンゴム、クロロプレンゴム、ア
    クリロニトリルーブタジエンゴム、弗素ゴム、多硫化ゴ
    ム、ポリエーテルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン
    等の合成ゴム、又は、天然ゴム、又は、これらの組合せ
    から成るグループから選択されたもの、更に、ポリアミ
    ド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレン
    テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフ
    ェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
    フェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホ
    ン、ポリエーテルスルホン、ポリケトンスルフィド、ポ
    リエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポ
    リ四弗化エチレン、芳香族ポリエステル、ポリアミノビ
    スマレイミド、トリアジン樹脂等のエンジニアリングプ
    ラスチック部材、軽量、高強度、高耐貫通衝撃性等の特
    性に優れ、比弾性率が大きく、かつ、比強度が大きい炭
    素繊維を用いた炭素繊維強化プラスチック、炭素繊維、
    ボロン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等の高強度繊維
    部材と、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステ
    ル、ポリウレタン、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポ
    キシ樹脂等の熱硬化性樹脂との複合材料である熱硬化性
    繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化熱硬化性プラス
    チック(GFRP)、炭素繊維、ボロン繊維、アラミド繊
    維、ガラス繊維等の高強度繊維部材と、ポリエチレン、
    ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピ
    レン、ポリビニルアルコール、メタクリル樹脂、石油樹
    脂、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネー
    ト、ポリアセタール、弗素樹脂、ポリイミド、ポリエー
    テルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ
    ベンズイミダゾール、ポリシクロオレフィン等の熱可塑
    性樹脂との複合材料である熱可塑性繊維強化プラスチッ
    ク、合成皮革部材、多孔質性部材、セラミックス部材、
    鉄、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム、チタン
    等の金属部材、磁性部材、木材/竹/皮革等の天然部
    材、紙、板紙、ダンボール、及びこれらの組合せから成
    るグループから選択される請求項11乃至13のいずれ
    か1項に記載の座席。
  15. 【請求項15】 前記平板部が、難燃性部材、不燃性部
    材、自己消火性部材、導電性部材を少なくとも1つ含む
    請求項11乃至14のいずれか1項に記載の座席。
  16. 【請求項16】 前記平板部が、補強繊維材料を樹脂で
    強化してなる扁平な強化繊維糸を織糸とする織物を含む
    FRP製殻体から成り、前記織糸の糸幅が3〜16mm
    の範囲にあり、糸幅/厚み比が20以上である請求項1
    1乃至15のいずれか1項に記載の座席。
  17. 【請求項17】 前記織糸は織物の状態で単糸が互いに
    並行しており、及び/又は、前記織物のカバーファクタ
    ーが80%以上である請求項16に記載の座席。
  18. 【請求項18】 前記織物が2方向性織物からなり、及
    び/又は、当該2方向性織物の少なくとも一方の織糸
    は、前記扁平な強化繊維糸が単数又は複数積層されてな
    る請求項16又17に記載の座席。
  19. 【請求項19】 前記織物の強化繊維糸が炭素繊維糸か
    らなる請求項16乃至18のいずれか1項に記載の座
    席。
  20. 【請求項20】 前記炭素繊維糸の引張弾性率が20×
    103 kgf/mm2以上、破壊歪みエネルギーが4.
    0mm・kgf/mm3 以上である、及び/又は、前記
    織物目付が100〜600g/m2 の範囲にある請求項
    19に記載の座席。
  21. 【請求項21】 前記ベース部重量が100〜300g
    であり、及び/又は、前記平板部の殻体の厚さが0.5
    〜4mmの範囲であり、及び/又は、前記平板部の殻体
    外周部に、単数又は複数の通気孔を設けてなる請求項1
    6乃至20のいずれか1項に記載の座席。
  22. 【請求項22】 前記ベース部の最低部と最高部の高さ
    の差が、2〜150mmの範囲であり、及び/又は、前
    記ベース部の水平方向の長さが、前後/左右方向の長さ
    の短いほうの長さが、少なくとも、20〜60cmの範
    囲である請求項11乃至21のいずれか1項に記載の座
    席。
  23. 【請求項23】 前記ベース部と、前記座部とを、着脱
    可能又はワンタッチ着脱可能とし、及び/又は、前記座
    部の枢動する力を、前記滑り防止材の粘着力を直接調節
    すること、前記滑り防止材の接触面積や厚さを変更する
    こと、及び/又は、相互に枢動する面の表面加工粗さ/
    組立粗さを調節することにより、調節可能とした請求項
    1乃至22のいずれか1項に記載の座席。
  24. 【請求項24】 前記座部を、軸部と衝撃吸収体とで一
    体に形成した、又は、軸部と衝撃吸収体とに、着脱可能
    又はワンタッチ着脱可能に構成した請求項1乃至31の
    いずれか1項に記載の座席。
  25. 【請求項25】 前記軸部を、殻体で形成した、及び/
    又は、前記軸部の枢動曲面の反対側に、補強用リブ又は
    トラスを形成又は一体に形成するようにした請求項24
    に記載の座席。
  26. 【請求項26】 前記軸部の枢動する回転半径が、15
    〜150cmの範囲であり、及び/又は、前記軸部の枢
    動する曲面部の水平方向の長さが、10〜55cm、そ
    の高さが、10〜100mmの範囲であり、及び/又
    は、前記軸部に、単数又は複数の通気孔を形成した請求
    項24又は25に記載の座席。
  27. 【請求項27】 前記軸部が、可撓性部材、弾性部材、
    ABS樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチ
    レン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、メタク
    リル樹脂、石油樹脂、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデ
    ン、ポリカーボネート、ポリアセタール、弗素樹脂、ポ
    リイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレ
    ンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリシクロオ
    レフィン等の熱可塑性樹脂、又は、フェノール樹脂、尿
    素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、アルキド
    樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、
    則ち、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等の合成樹脂部
    材、又は、プラスチック部材、又は、ポリアミノ酸、脂
    肪族ポリエステル、ポリーεーカプロラクトン、ポリビニ
    ルアルコール、キトサン、澱粉、セルロース等と汎用性
    ポリマーとの混合物等の生分解樹脂部材、又は、ウレタ
    ンゴム、シリコーンゴム、ポリエチレン及びポリスチレ
    ンの共重合体をポリマーの主成分とする低硬度ゴム、ブ
    タジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ブチル
    ゴム、アクリルゴム、スチレンーブタジエンゴム、エチ
    レンープロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニ
    トリルーブタジエンゴム、弗素ゴム、多硫化ゴム、ポリ
    エーテルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン等の合成
    ゴム、又は、天然ゴム、又は、これらの組合せから成る
    グループから選択されたもの、更に、ポリアミド、ポリ
    カーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタ
    レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレン
    エーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレ
    ンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエ
    ーテルスルホン、ポリケトンスルフィド、ポリエーテル
    イミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリ四弗化エ
    チレン、芳香族ポリエステル、ポリアミノビスマレイミ
    ド、トリアジン樹脂等のエンジニアリングプラスチック
    部材、軽量、高強度、高耐貫通衝撃性等の特性に優れ、
    比弾性率が大きく、かつ、比強度が大きい炭素繊維を用
    いた炭素繊維強化プラスチック、炭素繊維、ボロン繊
    維、アラミド繊維、ガラス繊維等の高強度繊維部材と、
    フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリ
    ウレタン、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂
    等の熱硬化性樹脂との複合材料である熱硬化性繊維強化
    プラスチック、ガラス繊維強化熱硬化性プラスチック
    (GFRP)、炭素繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ガ
    ラス繊維等の高強度繊維部材と、ポリエチレン、ナイロ
    ン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、
    ポリビニルアルコール、メタクリル樹脂、石油樹脂、ポ
    リアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポ
    リアセタール、弗素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルエ
    ーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズ
    イミダゾール、ポリシクロオレフィン等の熱可塑性樹脂
    との複合材料である熱可塑性繊維強化プラスチック、合
    成皮革部材、多孔質性部材、セラミックス部材、鉄、ス
    テンレス、アルミニウム、マグネシウム、チタン等の金
    属部材、磁性部材、木材/竹/皮革等の天然部材、紙、
    ダンボール、及びこれらの組合せから成るグループから
    選択される請求項24乃至26のいずれか1項に記載の
    座席。
  28. 【請求項28】 前記軸部が、難燃性部材、不燃性部
    材、自己消火性部材、導電性部材を少なくとも1つ含む
    請求項24乃至27のいずれか1項に記載の座席。
  29. 【請求項29】 前記軸部が、補強繊維をマトリクス樹
    脂で強化してなる扁平な強化繊維糸を織糸とする織物を
    含むFRP製殻体から成り、前記織糸の糸幅が3〜16
    mmの範囲にあり、糸幅/厚み比が20以上である請求
    項24乃至28のいずれか1項に記載の座席。
  30. 【請求項30】 前記織糸は織物の状態で単糸が互いに
    並行している、及び/又は、前記織物のカバーファクタ
    ーが80%以上である、及び/又は、前記織物が2方向
    性織物からなる、及び/又は、当該2方向性織物の少な
    くとも一方の織糸は、前記扁平な強化繊維糸が単数又は
    複数積層されてなる請求項29に記載の座席。
  31. 【請求項31】 前記織物の強化繊維糸が炭素繊維糸か
    らなり、及び/又は、当該炭素繊維糸の引張弾性率が2
    0×103 kgf/mm2以上、破壊歪みエネルギーが
    4.0mm・kgf/mm3 以上であり、及び/又は、
    前記織物目付が100〜600g/m2 の範囲にある請
    求項29又は30に記載の座席。
  32. 【請求項32】 前記軸部重量が70〜300gであ
    る、及び/又は、前記軸部の底部における殻体の厚さが
    0.5〜3.0mmの範囲である、及び/又は、前記軸
    部の底部が、更に部分的に補強繊維織物で補強されてい
    る請求項29乃至31のいずれか1項に記載の座席。
  33. 【請求項33】 前記織物は深絞り成形されて、前記殻
    体の全面に切れ目なく積層されている、及び/又は、前
    記マトリクス樹脂は、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性
    樹脂である請求項29乃至32のいずれか1項に記載の
    座席。
  34. 【請求項34】 前記座席を、乗物用座席、椅子、座
    席、又は、寝台に載置した請求項1乃至33のいずれか
    1項に記載の座席。
  35. 【請求項35】 乗物の座席であって、床と係合するベ
    ース部と、身体腰部の局所可動座部とを具え、この局所
    可動座部と前記ベース部とを、所定の形状の曲面に基づ
    き枢動運動が可能な枢動機構で直接接続し、更に、前記
    可動座部と前記ベース部との枢動する空間に、滑り防止
    材を介在させ、前記乗物の移動に伴って前記身体に作用
    する重力/加速度/遠心力に作動的に関連して、前記局
    所可動座部を枢動自在に変動せしめ、この座部変動が前
    記腰部を介してストレス放出運動として前記座席に座っ
    ている人の身体にフィードバックされるようにしたこと
    を特徴とする乗物の座席。
  36. 【請求項36】 敷物であって、ベース部と、身体腰部
    の座部とを具え、この座部と前記ベース部とを、所定の
    形状の曲面に基づき枢動運動が可能な枢動機構を形成す
    るように直接接続し、又は、載置し、 更に、前記座部と前記ベース部との間の枢動する空間
    に、滑り防止材を介在させ、 前記敷物に作用する重力/加速度/遠心力を、前記滑り
    防止材及び前記枢動機構により、前記座部の局所枢動ク
    ッション変動に転換し、前記敷物に座っている人に、枢
    動クッション変動を提供するようにしたことを特徴とす
    る敷物。
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