JP2008169935A - 薄型衝撃緩衝材および薄型衝撃緩衝積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリコーンゲル(A)に、フィラー(B)を配合してなる薄型衝撃緩衝材であって、前記フィラー(B)は、シリコーンゲル(A)100重量部に対して、1〜3重量部の合成樹脂の外殻を有する微小中空体(b1)および10〜30重量部のシリカ(b2)であり、かつ前記薄型衝撃緩衝材の硬度は、アスカーC硬度が15〜60であり、厚みが0.5〜2.0mmの全範囲にわたり衝撃緩衝効率が70%以上である薄型衝撃緩衝材および薄型衝撃緩衝積層体を提供した。
【選択図】図6
Description
上記ノート型パソコンなどの情報機器を携帯する際に問題となっているのが、落下衝撃による破損である。これは、携帯機器を使用者が誤って落下させた場合、例えば、運送中に誤って落下した場合や操作中に本体を落下した場合、その他、何らかの不意な外力が加えられた場合など携帯機器が破損する可能性が多々存在する環境下で、用いられるのである。また、このような携帯機器を小型化する場合、機構部品が狭い筐体内に高密度に実装されることになるため、落下衝突などによる衝撃が筐体に作用した場合、機構部品が破損する可能性がある。それ以外にも外部衝撃を受ける機会は、携帯するほど非常に多い。
さらに、小型化に伴って携帯利便性が高くなるため、使用環境において前記破損因子の影響を受ける頻度が高くなり、製品の耐久性確保のための設計が必要となる。特にデータストレージとしてのハードディスク装置や、カメラモジュールなどの光学系部品では、精密な位置決め精度が要求されるため、耐衝撃対策は、不可欠である。
すなわち、携帯機器が小型化されると、このように(i)精密さゆえに衝撃に弱く、(ii)薄さゆえに緩衝材も薄くなり、緩衝性能がより低下するという、二つの視点を配慮した設計が重要であり、いずれか一方が欠如しても、製品として不十分なものとなりがちである。特に落下時の衝撃緩衝性能の低下については、顕著に問題となってくるのである。
特許文献1では、携帯型情報機器などに使用される小型のインバータに対しても利用できる、衝撃緩衝対策をした圧電トランスインバータが開示され、圧電トランスと、前記圧電トランスが電気的に接合されたインバータ基板とを備えたものであるが、ここで用いられている方法は、前記圧電トランスと前記インバータ基板との接合部を挟んで前記圧電トランスと前記インバータ基板に跨るように緩衝材を用いたことを特徴とし、また、緩衝材として、液状のシリコーン系材料を常温または硬化剤にてゲル状またはゴム状に変化させた緩衝材の配置構成による緩衝方法に過ぎない。
また、特許文献2では、緩衝材を厚くすることなく、簡単な構成で落下衝撃等による破損を容易に防止できると共に、小型化に対応できる携帯機器を提供する方法であるが、撮像素子を含む第1カメラモジュール部と、上記第1カメラモジュール部と組み合わせてカメラモジュールを構成する第2カメラモジュール部と、上記第1,第2カメラモジュール部を内部に収納する筐体と、上記第1カメラモジュール部または上記第2カメラモジュール部のいずれか一方と上記筐体とを接続する第1緩衝材と、上記第1カメラモジュール部と上記第2カメラモジュール部とを接続する第2緩衝材とを備えた二種の緩衝材の組合せによる緩衝構造に過ぎない。
さらに、特許文献3では、携帯端末を含む携帯情報処理装置の内部に、気体緩衝材を用いた筐体構造が開示されているが、これは、気体の圧縮弾性による衝撃緩衝構造に過ぎない。
特許文献4では、シリコーンゲルからなる芯体と、該芯体を被覆するシリコーンゴムとからなり、該シリコーンゲルおよびシリコーンゴムの内のいずれか一方が、フェニル基変性オルガノシロキサン成分単位および/またはフロロアルキル基変性オルガノシロキサン成分単位を有する変性オルガノポリシロキサンを含み、かつ他方が未変性オルガノポリシロキサンを含むことを特徴とするシリコーン系緩衝材が開示されている。
また、特許文献5では、JIS K2530−1976−50g荷重による針入度が50〜200程度のシリコーンゲルを基材にして、これに多数の微小中空球体を1〜4重量%混入し、上記微小中空球体は自己弾性変形し得る有弾性の合成樹脂を材料とした殻を有している事を特徴とした緩衝材が開示されている。
さらに、特許文献6では、シリコーンゴムに、破壊耐圧強度200Kg/cm2以下の粒径が200μm以下の微小中空ビーズを5〜50部混入してなる衝撃吸収材が開示されている。
したがって、薄さや小型といった特定条件下における十分な衝撃緩衝性能を有する新たな緩衝材が望まれている。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記薄型衝撃緩衝材の厚みが0.5〜2.0mmであり、且つ重錘落下試験における衝撃緩衝効率が70%以上であることを特徴とする薄型衝撃緩衝材が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記シリコーンゲル(A)の硬度は、アスカーC硬度が5〜55であることを特徴とする薄型衝撃緩衝材が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、前記難燃剤(C)は、膨張黒鉛であり、シリコーンゲル(A)100重量部に対して、3〜10重量部配合することを特徴とする薄型衝撃緩衝材が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記合成樹脂は、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニリデンとアクリロニトリルとの共重合体、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとの共重合体および塩化ビニリデンとアクリロニトリルとジビニルベンゼンとの三元共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする薄型衝撃緩衝材が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、前記薄型衝撃緩衝材の表面の少なくとも一部に、さらに、前記薄型衝撃緩衝材と同じ配合素材または異なる配合素材からなる凸状突起が形成されていることを特徴とする薄型衝撃緩衝材が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明に係る薄型衝撃緩衝材の表面の少なくとも一部に、さらに、単層または複層からなる、平滑または凹凸加工された樹脂基材を積層してなることを特徴とする薄型衝撃緩衝積層体が提供される。
その結果、本発明の薄型衝撃緩衝材は、例えば、ノート型パソコン、携帯電話、携帯型音楽情報機器、携帯ゲーム機等の携帯機器に、好適に用いることができ、さらには電気・電子製品の部品に要求される難燃性も向上させたので、電気・電子製品の小型化と衝撃緩衝性を同時に図る設計技術の発展に貢献できるものである。
本発明の薄型衝撃緩衝材は、シリコーンゲル(A)に、フィラー(B)を配合してなる薄型衝撃緩衝材であって、前記フィラー(B)は、シリコーンゲル(A)100重量部に対して、1〜3.5重量部の合成樹脂の外殻を有する微小中空体(b1)および10〜30重量部のシリカ(b2)であり、かつ前記薄型衝撃緩衝材の硬度は、アスカーC硬度が15〜60であることを特徴とするものである。ここで、アスカーC硬度とは、SRIS 0101(日本ゴム協会規格)に準拠して求める値である。
そして、本発明の顕著な効果として、シリコーンゲル(A)と、シリコーンゲル(A)100重量部に対して、1〜3.5重量部の合成樹脂の外殻を有する微小中空体(b1)および10〜30重量部のシリカ(b2)と、から構成され、かつ前記薄型衝撃緩衝材の硬度を、目的の衝撃力に応じてアスカーC硬度15〜60に調整することにより、0.5mm〜2mmの全範囲で、重錘落下試験での衝撃緩衝効率が70%以上という優れた性能を発揮する。
ここでいう衝撃緩衝効率とは、実施例で後述する重錘落下試験から求めた衝撃緩衝能力の目安であり、当該値が大きいほど衝撃緩衝性能が高く、衝撃緩衝材として優れている。
また、本発明の薄型衝撃緩衝材の硬度は、アスカーC硬度が15〜60の範囲で顕著な衝撃緩衝性を発揮する。前記薄型衝撃緩衝材のアスカーC硬度が15未満であると、柔らか過ぎて衝撃が加わったときに、前記薄型衝撃緩衝材は、厚み方向に著しく変形し、いわゆる底付き状態となり、衝撃緩衝性の効果が著しく低下する。一方、アスカーC硬度が60を超えると、前記薄型衝撃緩衝材が硬くなるため、底付きは解消されるが、衝撃が加わったときの反発力が大きくなり、衝撃緩衝効果が低下する。
本発明の薄型衝撃緩衝材において、基材として用いられるシリコーンゲル(A)は、アスカーC硬度が5〜55である。
シリコーンゲル(A)のアスカーC硬度が5未満であると、得られる薄型衝撃緩衝材の硬度が柔らか過ぎて衝撃が加わったときに、前記薄型衝撃緩衝材が厚み方向(衝撃印加方向)に著しく変形し、いわゆる底付き状態となり、衝撃緩衝効果が著しく低下する。一方、シリコーンゲル(A)のアスカーC硬度が55を超えると、得られる携帯型情報機器用の薄型衝撃緩衝材が硬くなるため底付きは解消されるが、衝撃が加わったときに、前記薄型衝撃緩衝材からの反発力が大きくなり、衝撃緩衝効果が低下する。
本発明の薄型衝撃緩衝材において、基材として用いられるシリコーンゲル(A)に、充填材であるフィラー(B)が配合され、そのフィラー(B)は、自己弾性変形し得る有弾性の合成樹脂の外殻を有する、略球状の微小中空体(b1)(以下バルーンともいう)と、シリカ(b2)である。
シリコーンゲル(A)に、フィラー(B)として、合成樹脂の外殻を有する微小中空体(b1)を配合することにより、シリコーンゲル材の緩衝特性を向上させている。通常、微小中空球は、一般にマイクロスフェアー、マイクロバルーン、ホローバブル、シンタクティックフォーム材と呼ばれ、また、バルーンとは、通常5μm〜300μmの間に介在する微細な中空球体につけられた名称で、ガラスバルーンなどの無機系と有機系のものがあるが、本発明においては、衝撃印加時において、衝撃緩衝材に体積変化を生じさせることが必須要件であるため、有機系の合成樹脂のものを用いる。
なお、微小中空体の殻壁内部には、空気以外の低沸点炭化水素等の低分子化合物や発泡剤等が存在していてもよい。
本発明の薄型衝撃緩衝材において、フィラー(B)として用いるシリカ(b2)は、前記薄型衝撃緩衝材の好適な硬度において、ゲル特有の粘弾性を維持しつつ、前記薄型衝撃緩衝材の耐衝撃強度を持たせる作用があり、前記シリコーン材料(A)と前記微小中空体(b1)と共動して、前記衝撃緩衝材の優れた衝撃緩衝性を発揮させるものと考察される。
微小中空体(b1)の配合量が1重量部未満であると、十分な衝撃緩衝効果が得られず、一方、配合量が3.5重量部を超えると、未硬化の前記シリコーン材料(A)に充填したときに粘度が著しく高くなり、シート成形が困難になるとともに、得られる緩衝材が脆くなるため、使用に耐えられなくなる傾向が顕著になる。また、通常は、フィラーの添加量が多くなると、衝撃緩衝材の硬度が大きくなる(硬くなる)が、前記の特に好ましい2.0〜3.0重量部の範囲においては、衝撃緩衝材の硬度変化が極めて小さいため、微小中空フィラーの添加量により、容易に衝撃緩衝性能を調整することができる。
また、シリカ(b2)の配合量が10重量部未満であると、前記シリコーン材料(A)の補強効果が小さく、耐衝撃強度の改善が乏しいため、得られる薄型衝撃緩衝材の衝撃緩衝効果が低下する。一方、配合量が30重量部を超えると、得られる薄型衝撃緩衝材に衝撃が加わったときの反発力が大きくなり、衝撃緩衝効果が低下する。
さらに、衝撃緩衝材の厚みが1mm以下の薄さになると、特に好ましい配合量である微小中空フィラー(b1)2.0〜3.0重量部において、衝撃緩衝材は、小さい応力で変形しやすくなり、高い衝撃緩衝性を得やすくなるので、その衝撃緩衝性能を確保しつつ、衝撃による衝撃緩衝材の底付きを防止でき、かつ、適度な曲げ強度(柔軟性)を有した衝撃緩衝材を得ることができるシリカ(b2)添加量として、18〜22重量部が特に好ましく、微小中空フィラー(b)と共動して、特に薄型化と衝撃緩衝性両立できる。
本発明の薄型衝撃緩衝材において、基材として用いられるシリコーンゲル(A)に、充填材であるフィラー(B)が配合され、さらに、難燃剤(C)を添加することができる。
前記難燃剤(C)は、本発明の薄型衝撃緩衝材の緩衝性能を損なわない範囲で、公知の難燃剤を適宜選択し、適量添加できるが、製造における取り扱い性や環境負荷の観点から、膨張黒鉛、金属水酸化物及びマグネタイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の難燃剤(C)が配合されることが好ましい。そして、膨張黒鉛、金属水酸化物及びマグネタイトからなる群からの選択は、目的の難燃レベル(例えばUL規格V94)に応じて行えば良い。さらに好ましくは、少量添加で難燃効果を付与できる理由から、膨張黒鉛が良い。
また、膨張黒鉛の添加量は、シリコーンゲル(A)100重量部に対して、3〜10重量部であり、好ましくは5〜10重量部である。膨張黒鉛の添加量が3重量部未満では、十分な難燃効果が得られず、一方、10重量部を超えると、原料混合時に未硬化材料の粘度が高くなり、シート成形性と厚み精度の確保が困難となる。
また、添加量は、衝撃緩衝性能と難燃レベル(例えばUL規格V94)が両立できる範囲で、適宜調整すれば良い。
さらに、マグネタイトの形状は、特に限定されるものではなく、球状、繊維状、不定形状等の所望の形状にすることができる。本発明においては、高い難燃性を得るためには、八面体形状微粒子であることが好ましい。
前記凸状突起は、凹穴が形成された型に、未硬化の薄型衝撃緩衝材を流し込み、同じ構成材料で凸状突起を一体硬化形成しても良いし、型の凹部に別配合の未硬化の薄型衝撃緩衝材を充填して、凸状突起の緩衝性能を変えた構造としても良い。
本発明の薄型衝撃緩衝材の形状例を図5に示す。
樹脂基材としては、前記薄型衝撃緩衝材の衝撃緩衝性能を損なわないものであれば、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミドなどのフィルムが好適である。
また、本発明においては、粘着層や剥離シートも樹脂基材として定義する。したがって、粘着層を具備したPETフィルムを例にとると、樹脂基材1(粘着層)と樹脂基材2(樹脂フィルム)を積層した複層の樹脂基材も、樹脂基材に該当するものである。
なお、樹脂フィルムに粘着層が積層される場合は、被装着物に対して貼付面となる側に積層する。また、取り扱い性のため剥離シートが積層されていても良い。前記樹脂基材に粘着層が積層されていると、被装着物への薄型衝撃緩衝積層体の貼付が容易となり、さらに密着強度も向上する。
また、別の態様例としては、真空成形で微細な凹部を有した真空成形型を用いて真空成形された凸型突起を有した樹脂基材に、同素材または異種樹脂からなる平滑な樹脂基材を積層してなるエアークッションシートを適用することができる。薄型衝撃緩衝材と薄型の樹脂製エアークッション材を積層することにより、薄型衝撃緩衝材の補強効果とともに衝撃緩衝性能をさらに向上できる効果がある。
本発明に係る薄型衝撃緩衝積層体の構成例を図6に示す。
本発明の薄型衝撃緩衝材は、シリコーンゲル(A)に、フィラー(B)を配合してなり、厚みが0.5〜2.0mmと薄くても、顕著な衝撃緩衝効果を発揮することに特徴があり、また、衝撃が加わったときに、体積変化を伴って衝撃緩衝作用を発現するため、設置空間の省スペース化を図ることができる。その結果、携帯型情報機器、例えば、ノート型パソコン、携帯電話、携帯型音楽情報機器、携帯ゲーム機等の携帯機器に、用いることができ、さらに、前記携帯機器の小型化を図ることができる。また、携帯用機器の外部に貼付して、衝撃緩衝保護部材としても有用である。
シリコーンゲル(A)として、アスカーC硬度が50である二液付加型の熱硬化性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製CF5058)のシリカ20重量%添加品を用い、また、フィラー(B)として、塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共重合体からなる微小中空体である日本フィライト社製の「エクスパンセル(登録商標)551DE40d42」(平均粒径が30〜50(40)μm、密度が42kg/m3)をシリコーンゲル100重量部に対して3重量部の配合量で、減圧混合し、減圧脱泡したのち、厚さ100μmPETフィルム上に、未硬化の前記混合物を適量注ぎ、さらに気泡を巻き込まないように別の厚さ100μmのPETフィルムを前記混合物の上に配置し、カレンダー成形機でシート化したのち、加熱硬化炉中で70℃で熱硬化させ、200mm×200mmの面積の厚さの異なる衝撃緩衝材を作製した。衝撃緩衝材の厚みは、カレンダー成形機の上下ロール間の隙間距離で調整した。
二液付加型の熱硬化性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製CF5058)のシリカ30重量%添加品を用い、かつ二液配合比を調整してなる、アスカーC硬度が60であるシリコーンゲル(A)を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚さの異なる衝撃緩衝材を作製した。
シリコーンゲル(A)として、アスカーC硬度が5である二液付加型の熱硬化性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製CF5057)のシリカ15重量%添加品を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚さの異なる衝撃緩衝材を作製した。
日本フィライト社製の「エクスパンセル(登録商標)551DE40d42」の添加量を、シリコーンゲル100重量部に対して1重量部添加に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さの異なる衝撃緩衝材を作製した。
シリコーンゲル(A)として、アスカーC硬度が5である二液付加型の熱硬化性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製CF5057)のシリカ10重量%添加品を用い、また、日本フィライト社製の「エクスパンセル(登録商標)551DE40d42」の添加量を、シリコーンゲル100重量部に対して1重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さの異なる衝撃緩衝材を作製した。
主な作製方法は、実施例1と同様にして、比較例1〜5の携帯型情報機器用の薄型衝撃緩衝材を作製した。その作製に用いた材料等を、以下に示し、表1に、配合量等の概要を示す。
また、比較例2は、日本フィライト社製の「エクスパンセル(登録商標)551DE40d42」を添加しないこと以外は、実施例1と同じ材料構成である。
さらに、比較例3は、二液付加型の熱硬化性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製CF5058)のシリカ無添加品を用いたこと以外は、実施例1と同じ材料構成である。
またさらに、比較例4は、日本フィライト社製の「エクスパンセル(登録商標)551DE40d42」を添加しないこと以外は、実施例3と同じ材料構成である。
さらに、比較例5は、二液付加型の熱硬化性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製CF5058)のシリカ無添加品を用い、かつ二液の配合比を調整したアスカーC硬度が80のシリコーンゲル(A)を用い、日本フィライト社製の「エクスパンセル(登録商標)551DE40d42」の添加量が4重量%である。
実施例、比較例で得た薄型衝撃緩衝材について、配合量と得られた衝撃緩衝材の硬度を表1及び表2に示す。これらの薄型衝撃緩衝材について、次の評価方法に基き、衝撃緩衝性能評価を実施した。
衝撃吸収特性の評価試験方法の概要:
試験片は、20mm×20mmで、厚みが0.25mm〜5mmのシートとした。
緩衝試験は、自社製の重錘落下試験機を用いて行った。前記試験機の構成を、図1に示す通り、試料台と、アルミニウム製のシャフト付の円盤重錘(衝突面:Φ45mm)と、前記重錘に設置した加速度ピックアップ(リオン社製PV−94)とからなり、シャフト付の円盤重錘は、低抵抗かつ同軌道で自然落下させるための軸受けで支持されている。
前記加速度ピックアップは、FFTアナライザー(株式会社エー・アンド・ディ製AD3542FFT ANALYZER)を介して、コンピューターに接続され、衝撃波形データが記録、解析される。また、シャフト付の円盤重錘の保持、落下は、シャフト付き円盤重錘(以下、重錘と称す)のシャフトに、固定ピンを挿入して、落下準備し、固定ピンを引き抜き、重錘を落下させた。
また、前記重錘の底面(衝突面)は、平坦である。また、試料台は、厚さ30mmのアルミニウム(硬質アルミ 2017)ブロックの上に、厚さ12mmのホクヨープライウッド社製の合成木板(JAS規格 コンクリート型枠用合板(F☆) 品質表示記号B−C)を接着剤で貼付し、合成板側が試料設置面となっている。
このときの落下高さhは、試験片上面と重錘の底面(衝突面)との間の最短距離である。
次に、ブランクデータとして、試験片無しで試料台に重錘を落下させ、同様にしてブランクの最大衝撃加速度G0を得た。
なお、このときの落下高さhは、試料台表面と重錘の底面(衝突面)との間の最短距離であり、試料片の試験高さの距離と同じに設定する。衝突力は、落下高さhを変えて調整した。
以上のようにして得られた、前記GsとG0の結果から、衝撃緩衝効率(エネルギー変換効率)を式1により算出して、衝撃吸収特性を評価した。また、印加した衝撃力は、式2から算出した。それらの評価結果を、図2〜4に示す。
衝撃力[N]=G0[G]×重錘重量[kg] −−−−−式2
式1、2において、Gsは、緩衝材上へ重錘を自由落下させて衝撃印加した時の最大衝撃加速度[G]を表し、G0は、試験台に重錘を自由落下させて衝撃印加した時の最大衝撃加速度[G]を表す。
本評価結果からから明らかなように、実施例1と比較例2の比較から、シリコーンの硬度を適正化して、かつシリカと中空フィラーを添加することにより、0.5mm〜2mmの全厚み範囲において、優れた衝撃緩衝性能が発揮されることがわかる。
また、比較例1の従来品との対比から、従来品では実現できなかった1mm近傍における高い衝撃緩衝効果を実現している。
これは、標準的な1.8インチハードディスク装置(約51g)を、木製床面に対して1mの高さから、自然落下させて、前記ハードディスク装置底面と床面が均一接触で衝突するという想定において、衝撃緩衝材の厚さが僅か1mmであるにもかかわらず、20mm□サイズの前記の衝撃緩衝材を前記ハードディスク衝突面に4箇所設置することで、約80%という優れた衝撃緩衝効率で衝撃を緩和でき、さらに、僅か0.5mmの厚さにあっても、70%の衝撃緩衝効率を実現できることを示唆した結果である。
一方、比較例1〜5にみるように、本発明の構成要件のうち、ひとつでも外れると衝撃緩衝効率が低くなり、衝撃緩衝材を薄くすることはできない。
これらのことから、本発明の薄型衝撃緩衝材は、厚みが薄くても優れた衝撃緩衝性能を有するものであるといえる。
実施例6では、難燃剤(C)として、膨張黒鉛(中越黒鉛社製のEX−MH)を、シリコーンゲル(A)100重量部に対して、3重量部配合した以外は、実施例1と同様にして、アスカーC硬度60の衝撃緩衝材を作製した。
また、実施例7では、前記膨張黒鉛を、シリコーンゲル(A)100重量部に対して、5重量部配合し、さらに、実施例8では、前記膨張黒鉛を、シリコーンゲル(A)100重量部に対して、10重量部配合した以外は、実施例6と同様にして、アスカーC硬度60の衝撃緩衝材を作製した。
実施例6〜8で得られた厚さ1mmの衝撃緩衝材について、次の評価方法に基き、燃焼性試験を実施した。それらの評価結果を、参考として実施例1とともに、表3に示す。
難燃試験方法の概要:
UL94V準拠の難燃試験を行い、難燃性を評価した。評価結果は、UL94V燃焼試験の評価方法に則り、燃え難い順にV0、V1、V2、NC(クラスV不適合)の4段階で行った。
2:チャージアンプ
3:加速度ピックアップ
4:シャフト型重錘
5:シャフト型重錘固定ピン
6:試料
7:試料台
71:試料台(合成木板)
72:試料台(アルミニウムブロック)
8:軸受け
601:衝撃緩衝材
602:樹脂基材
603:エンボス加工樹脂基材
604:粘着層
605:剥離シート
606:エアークッションシート
607:気体
610:衝撃緩衝積層体
620:衝撃緩衝積層体
630:衝撃緩衝積層体
640:衝撃緩衝積層体
650:衝撃緩衝積層体
660:衝撃緩衝積層体
Claims (9)
- シリコーンゲル(A)に、フィラー(B)を配合してなる薄型衝撃緩衝材であって、
前記フィラー(B)は、シリコーンゲル(A)100重量部に対して、1〜3.5重量部の合成樹脂の外殻を有する微小中空体(b1)および10〜30重量部のシリカ(b2)であり、且つ前記薄型衝撃緩衝材の硬度は、アスカーC硬度が15〜60であることを特徴とする薄型衝撃緩衝材。 - 前記薄型衝撃緩衝材の厚みが0.5〜2.0mmであり、且つ重錘落下試験における衝撃緩衝効率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の薄型衝撃緩衝材。
- 前記シリコーンゲル(A)の硬度は、アスカーC硬度が5〜55であることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄型衝撃緩衝材。
- シリコーンゲル(A)に、さらに、膨張黒鉛、金属水酸化物およびマグネタイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の難燃剤(C)を配合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄型衝撃緩衝材。
- 前記難燃剤(C)は、膨張黒鉛であり、シリコーンゲル(A)100重量部に対して、3〜10重量部配合することを特徴とする請求項4に記載の薄型衝撃緩衝材。
- 前記合成樹脂は、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニリデンとアクリロニトリルとの共重合体、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとの共重合体および塩化ビニリデンとアクリロニトリルとジビニルベンゼンとの三元共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の薄型衝撃緩衝材。
- 前記合成樹脂の外殻を有する微小中空体(b1)は、内部に熱膨張性物質を包含した微小球体を熱膨張させたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の薄型衝撃緩衝材。
- 前記薄型衝撃緩衝材の表面の少なくとも一部に、さらに、前記薄型衝撃緩衝材と同じ配合素材または異なる配合素材からなる凸状突起が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の薄型衝撃緩衝材。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の薄型衝撃緩衝材の表面の少なくとも一部に、さらに、単層または複層からなる、平滑または凹凸加工された樹脂基材を積層してなることを特徴とする薄型衝撃緩衝積層体。
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