JP2003165804A - 高分子乳化剤及びそれを用いた乳化重合法 - Google Patents
高分子乳化剤及びそれを用いた乳化重合法Info
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Abstract
いられ得る合成重合体からなる高分子乳化剤を提供する
こと。また、そのような高分子乳化剤を用いた有用な乳
化重合法や、それによって得られたエマルジョンからな
る、優れた特性を有するエマルジョン型接着剤を提供す
ること。 【解決手段】 低分子主鎖成分としての(メタ)アクリ
ル系モノマー又はビニル系モノマーの5〜30重量%
と、親水性成分としてのアルコキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレートの30〜70重量%と、疎水
性成分としてのアルコキシポリプロピレングリコール
(メタ)アクリレート、ケイ素含有(メタ)アクリレー
ト又はフッ素含有(メタ)アクリレートの20〜65重
量%とからなるランダム若しくはブロック共重合体を主
成分として含有した。
Description
用いた乳化重合法に係り、特に、所定の不飽和モノマー
の乳化重合に際して、乳化剤として好適に用いられ、そ
して、それによって優れた特性のエマルジョン型接着剤
を提供し得る高分子乳化剤に関するものである。
溶け合わない別の液体、例えば有機液体が、細粒として
分散せしめられてなるエマルジョンを形成するに際し
て、その安定なエマルジョンを得るために、系内に、所
定の乳化剤を添加、存在せしめることが、行われてきて
いる。そして、そのような乳化剤は、通常、分子内に親
水性基と親油性基(疎水性基)の両方を含み、従って、
水と油の界面に吸着層を作り易い、所謂、表面活性な物
質として認識され、工業的な用途の他、医薬用の乳化製
剤において用いられ、また食品用乳化剤等としても、広
く用いられてきている。
化剤としては、一般に、界面活性剤の中から適宜に選択
され、例えば、アルカリ石鹸、有機アミン石鹸、高級ア
ルコールの硫酸エステル非イオン活性剤、タンパク質、
植物ゴム、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロー
ス、脂肪酸モノグリセリド類、ソルビタン脂肪酸エステ
ル類、ショ糖の脂肪酸エステル類等を挙げることができ
るが、それら乳化剤は、何れも、低分子量のものであっ
て、合成重合体からなる高分子量の乳化剤であって、実
用上において有効であるものは、殆ど知られていない。
つとして、乳化重合における使用を挙げることが出来
る。具体的には、水に不溶性の不飽和モノマーの重合に
際して、石鹸や表面活性剤等を乳化剤として用いて、そ
のような不飽和モノマーを水中に均一に分散せしめて、
水溶性の重合触媒を用いて重合せしめるものであって、
重合後においても、生成重合体は水に分散した乳化状態
で得られ、塗料や接着剤においては、そのような乳化状
態のまま、それぞれの用途に適用されることとなるので
あるが、乳化剤自体、生成重合体に対しては本来的に不
純物となることに加えて、得られる重合体の分子量が、
乳化剤の分子量に比べて遥かに大きく、それら両者間に
親和性乃至は相溶性が殆ど存在しないところから、乳化
重合の状態のままのエマルジョンは、乳化剤の存在によ
って物性的な悪影響を受け、例えば、接着剤にあって
は、耐水性や接着強度等の物性が低下する等の問題を内
在しているのである。
景にして為されたものであって、その課題とするところ
は、合成重合体からなる新規な高分子乳化剤であって、
特に、水系乳化重合における乳化剤として好適に用いら
れ得るものを提供することにあり、また、そのような高
分子乳化剤を用いた有用な乳化重合法、更には、それに
よって得られたエマルジョンからなる、優れた特性を有
するエマルジョン型接着剤を提供することにある。
題を解決するために、低分子主鎖成分としての(メタ)
アクリル系モノマー又はビニル系モノマーの5〜30重
量%と、親水性成分としてのアルコキシポリエチレング
リコール(メタ)アクリレートの30〜70重量%と、
疎水性成分としてのアルコキシポリプロピレングリコー
ル(メタ)アクリレート、ケイ素含有(メタ)アクリレ
ート又はフッ素含有(メタ)アクリレートの20〜65
重量%とからなるランダム若しくはブロック共重合体を
主成分として含有する高分子乳化剤を、その要旨とする
ものである。
あっては、主鎖成分として、低分子の(メタ)アクリル
系モノマー又はビニル系のモノマーを介在させつつ、重
合性の特定の親水性成分並びに重合性の特定の疎水性成
分が、ランダム共重合又はブロック共重合せしめられて
なる重合体にて、構成されてなるものであって、その重
合体主鎖中に、親水性成分と疎水性成分とが結合、含有
せしめられていることによって、それら親水性成分及び
疎水性成分に含まれる親水性セグメント及び疎水性セグ
メントが、重合体主鎖に対して側鎖(分岐鎖)部分とし
て存在し、以て親水性界面に対しては、その親水性セグ
メントが配向する一方、疎水性界面に対しては、その疎
水性セグメントが配向することによって、効果的な乳化
作用を発揮し得ることとなるのである。
化剤を用いて、不飽和モノマーの少なくとも1種からな
るモノマー組成物を、水系において乳化重合せしめるこ
とが、効果的に実現され得ることとなるのであり、これ
により、乳化安定性に優れた重合体エマルジョンが、有
利に得られるのである。
合法によって得られた重合体のエマルジョンは、そのま
ま、エマルジョン型接着剤として有利に用いられること
となる。そのようなエマルジョン型接着剤における接着
成分である重合体に対して、それを乳化せしめている乳
化剤も高分子であるところから、それらの間の相溶性乃
至は親和性を効果的に高め得て、耐水性や強度等の物性
の向上に効果的に寄与せしめ得るからである。
箇所や後述する箇所における(メタ)アクリル・・・な
る表示は、アクリル・・・なる化合物とメタクリル・・
・なる化合物の二つを総称する表示として用いられてお
り、また、・・・(メタ)アクリレートなる表示は、・
・・アクリレートなる化合物と・・・メタクリレートな
る化合物の二つを総称する表示として用いられているこ
とが、理解されるべきである。
高分子乳化剤において、それを構成する重合体の主鎖成
分として、少なくとも、低分子の(メタ)アクリル系モ
ノマー又はビニル系モノマーが用いられている必要があ
る。後述する重合性の特定の親水性成分や疎水性成分
が、何れも、マクロモノマーとなるところから、それら
成分の重合反応性を考慮して、前記した低分子の(メ
タ)アクリル系モノマーやビニル系モノマーを存在せし
めることによって、得られる重合体の重合度を向上せし
めることが出来るのである。
ては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)ア
クリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリフルオロエ
チル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル
(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等の
(メタ)アクリル系モノマーや、スチレン、α−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、ヒドロキシメチルスチ
レン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、アクリ
ロニトリル、塩化ビニル、N−ビニルラクタム、酢酸ビ
ニル等のビニル系モノマーを挙げることが出来る。
に、親水性セグメントを導入するための親水性成分は、
以下の化1にて示されるアルコキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレートが、用いられることとなる。
いて、R1 は水素原子又はメチル基であり、R2 はメチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基等の炭素数が6以下のアルキル基であり、更
にnは2〜50の整数である。
る重合体に、疎水性セグメントを導入するための疎水性
成分としては、下記化2にて示されるアルコキシポリプ
ロピレングリコール(メタ)アクリレートが、好適に用
いられることとなるが、また、それに代えて、ケイ素含
有(メタ)アクリレート又はフッ素含有(メタ)アクリ
レートも、有利に用いられることとなる。
水素原子又はメチル基が選択され、また、R4 として
は、前記した化1におけるR2 と同様に、炭素数が6ま
でのアルキル基が採用されることとなる。さらに、mに
あっても、上記の化1に示される化合物と同様に、2〜
50の整数である。
合物と同様に、疎水性成分として用いられるケイ素含有
(メタ)アクリレートや、フッ素含有(メタ)アクリレ
ートとしては、ポリシロキサン基を有する(メタ)アク
リレートや、フルオロアルキル基乃至はパーフルオロア
ルキル基を有する(メタ)アクリレート等の公知のもの
が、何れも用いられ得るが、その中で、ケイ素含有(メ
タ)アクリレートとしては、特に、下記の化3にて表さ
れるポリジメチルシロキサン(メタ)アクリレートが有
利に用いられることとなる。
子又はメチル基であり、Aはエチレン基、プロピレン
基、ブチレン基等の低級アルキレン基であり、Meはメ
チル基であり、pは2〜50の整数である。
成分と疎水性成分とからなる3成分を用いて、目的とす
る高分子乳化剤を形成するに際しては、それら3成分
を、低分子主鎖成分:5〜30重量%、親水性成分:3
0〜70重量%、疎水性成分:20〜65重量%の割合
において(それら3成分の合計量は100重量%であ
る)、用いる必要がある。けだし、低分子主鎖成分の割
合が5重量%よりも少なくなると、重合が進行し難く、
また30重量%を超えるようになると、得られる重合体
の疎水性が高くなり、O/W型のエマルジョン形成には
不適格となる問題を生じるからであり、また、親水性成
分が30重量%未満では、疎水性の増大によるHLB値
の低下と水溶性の減少が惹起される一方、70重量%を
超えるようになると、乳化安定性が低下する問題を惹起
するようになるからであり、更に、疎水性成分の割合が
20重量%よりも低くなると、乳化安定性が減少する問
題があり、一方、65重量%を超えるようになると、H
LB値の低下や水溶性の消失等の問題が惹起されること
となって、有効な乳化性能を発揮することが出来なくな
るからである。
本発明に従う高分子乳化剤を製造するに際しては、一般
に、リビングラジカル光重合方式にて、それら3成分が
ランダム共重合若しくはブロック共重合せしめられるこ
ととなる。具体的には、リビングラジカル光重合におい
ては、光源として、超高圧水銀ランプ(波長:250〜
546nm)等による紫外線を用い、更に、重合開始剤と
して、p−キシリレンビスジエチルジチオカルバメート
やベンジルジエチルジチオカルバメート等を用いて、モ
ノマー総量に等しい溶媒、例えばメチルエチルケトン等
の溶媒中において、Arガスによる加圧雰囲気下、20
〜25℃の温度で、数時間、光照射を行うことにより、
それら3成分のランダム共重合やブロック共重合が行わ
れるのである。
ては、前記3成分の所定割合のモノマー組成物を、同量
の溶媒に溶解せしめた後、耐圧容器内に収容し、それに
所定の開始剤を添加した後、Arガスを徐々に封入し
て、最終封入圧が4〜5kg/cm2 となるようにして重
合に供せしめるのである。なお、重合は、光源より、所
定時間の間、紫外線を照射することより行われることと
なる。そして、そのような重合操作によって得られた容
器内の重合生成物に対して、通常の再沈殿精製操作が施
され、その得られた沈殿物を、常温にて真空乾燥せしめ
ることにより、目的とする高分子乳化剤が得られるので
ある。
る場合にあっては、先ず、低分子主鎖成分と親水性成分
とが、上記の如きランダム共重合操作と同様にして、共
重合せしめられて、幹ポリマーが製造される。次いで、
この低分子主鎖成分と親水性成分からなる共重合体(幹
ポリマー)と共に、疎水性成分を、メチルエチルケトン
等の所定の溶媒に溶解せしめて、上記のランダム重合操
作と同様にして、ブロック共重合を行わしめるのであ
る。なお、その際、それぞれのモノマーの重合は、光照
射にて開始、進行せしめられることとなることは、言う
までもないところである。そして、得られたブロック共
重合体は、適当な単離操作が施されて、目的とする高分
子乳化剤として、採取されるのである。
めの3成分の重合は、上記した光重合方式を採用するこ
とによって行われる他、それら3成分のランダム共重合
体を得る場合にあっては、また、溶液熱重合方式にて実
施することも可能である。その場合において、それら3
成分は、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管を備えた三つ
口フラスコに収容され、更に溶媒として、メチルエチル
ケトンとp−キシレンの等量混合溶媒をモノマーの3.
5〜4倍量加え、更にアドビスイソブチロニトリル(開
始剤)を加えて、65℃の温度の油浴中において、8〜
10時間重合せしめることにより、目的とする3成分の
ランダム共重合体が得られるのである。なお、そのよう
にして得られた重合生成物は、n−ヘキサンでの再沈殿
精製操作を2回繰り返し、常温で真空乾燥せしめること
により、目的とする高分子乳化剤が得られることとな
る。
成分からなるランダム若しくはブロック共重合体は、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定された
数平均分子量(Mn)が5000〜100000程度の
ものであって、そのまま、高分子乳化剤として用いられ
る他、他の適当な公知の乳化剤と組み合わされて、高分
子乳化剤として用いられることとなるが、その使用に際
しては、一般に、従来からの乳化剤の使用方式が、その
まま適用可能である。具体的には、そのような本発明に
従う高分子乳化剤は、固形分の形態において、或いはそ
れを水に溶解せしめた形態において、それぞれの用途に
適用せしめられ得るのである。
剤は、通常の乳化剤が適用される各種用途に適宜に用い
られ得る他、特に、公知の各種の不飽和モノマーの少な
くとも1種からなるモノマー組成物を水系において乳化
重合せしめるに際しての乳化剤として、好適に用いられ
ることとなる。それは、選択された乳化重合用のモノマ
ー組成に対する高分子乳化剤の親和性に由来する共通成
分効果によるものと考えることが出来るのである。
剤を用いた水系の乳化重合において、そこで重合せしめ
られるモノマー組成と、用いられる高分子乳化剤の成分
組成を相互に対応させ得る柔軟性があり、具体的には、
乳化重合を行うモノマー組成に対応して、高分子乳化剤
の成分組成を変更したり、或いはそれとは逆に、高分子
乳化剤の成分組成に応じて、乳化重合を行うモノマー組
成を選択することが可能となるのである。例えば、高分
子乳化剤における低分子主鎖成分として、メチルメタク
リレート(MMA)の如き(メタ)アクリル系モノマー
を用いた場合にあっては、主鎖骨格は(メタ)アクリレ
ートとなるところから、各種の(メタ)アクリレートの
乳化重合が可能となるのであり、また疎水性成分とし
て、前記化2に示される如きアルコキシポリプロピレン
グリコール(メタ)アクリレートを用いた場合にあって
は、ポリプロピレングリコール単位が側鎖となって、そ
れは、それほど強い低表面張力成分となるものではない
ところから、各重合成分の表面張力を比較した場合にお
いて大きな偏りがなく、そのために、一般用途の乳化重
合にも適しているのである。
合にあっては、高分子乳化剤の骨格(低分子主鎖成分)
を、上記したMMAモノマーからスチレンに変更すれ
ば、親和性の観点から、より適合した乳化剤となるので
あり、更に、極めて表面自由エネルギーの低いケイ素含
有不飽和モノマーやフッ素含有不飽和モノマーを乳化重
合する場合にあっては、高分子乳化剤の疎水性成分を、
それぞれ、前記した化3にて示されるポリジメチルシロ
キサン(メタ)アクリレート等のケイ素含有(メタ)ア
クリレート、又はパーフルオロオクチルエチルメタクリ
レート等のフッ素含有(メタ)アクリレート等のモノマ
ーに変更すれば、また、界面化学的に適合した乳化剤と
なるのである。
化剤の使用量としては、乳化せしめられるモノマーに対
して充分な乳化能が発揮され得るように、乳化重合せし
められるモノマー組成物の100重量部に対して、少な
くとも1重量部以上の割合とすることが望ましい。ま
た、そのような高分子乳化剤の添加量の上限としては、
従来の低分子乳化剤の添加量に比べて遥かに大きく、一
般に、モノマー組成物の100重量部に対して、50重
量部程度の多量の添加も可能である。従来の低分子乳化
剤を用いた場合にあっては、それが10重量部以上も添
加されることは殆どないが、本発明に従う高分子乳化剤
の場合にあっては、乳化重合用成分との共通成分が乳化
剤成分にもなっているところから、重合生成物に悪影響
を及ぼさない程度において、多量に添加することが可能
となったのであり、事実、40重量部を添加した場合に
あっても、力学特性が低下しないことが認められてい
る。なお、かかる高分子乳化剤の添加量が50重量部を
超えるようになると、重合系のゲル化や弾性率の急激な
低下が惹起されるようになるところから、それ以上の添
加は避けることが望ましいのである。
の重合手法としては、例えば、連続乳化重合、一括乳化
重合、二段乳化重合、分割添加重合等の公知の乳化重合
法が採用され得、また、そのような乳化重合に際して採
用される重合温度や重合時間にあっても、特に制限され
るものではなく、目的とするエマルジョンの分子量やゲ
ル含有率等に応じて、適宜に設定されることとなる。更
に、かかる乳化重合に際しては、従来より乳化重合操作
に一般的に用いられている各種添加剤や助剤、例えば連
鎖移動剤、重合開始剤、キレート化剤等を使用すること
が出来ることは言うまでもないところである。
られたエマルジョンは、従来から公知の各種の用途に用
いられることとなるが、特に、本発明にあっては、その
ようなエマルジョンが、従来の低分子乳化剤ではなく、
本発明に従う高分子乳化剤を用いて得られたものであっ
て、しかも、そのような高分子乳化剤が先述せる如き特
徴を有しているところから、エマルジョンを構成する重
合体と高分子乳化剤との親和性が高められ得ていること
によって、耐水性や接着強度等の物性に優れたエマルジ
ョン型接着剤として、好適に用いられることとなる。
を与える不飽和モノマーとしては、本発明にあっては、
高分子乳化剤と同様な3成分のモノマーに加えて、更に
エチレン性不飽和カルボン酸が用いられることとなる。
具体的には、(メタ)アクリル系モノマー又はビニル系
モノマーからなる第1成分と、アルコキシポリエチレン
グリコール(メタ)アクリレートからなる第2成分と、
アルコキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレ
ート、ケイ素含有(メタ)アクリレート、又はフッ素含
有(メタ)アクリレートからなる第3成分と、エチレン
性不飽和カルボン酸からなる第4成分とを、前述せる如
き高分子乳化剤の存在下において、乳化重合せしめて得
られるエマルジョンを、接着剤の成分として用いるもの
であって、これにより、低分子乳化剤では実現の困難な
物性を備えた接着剤を提供し得ることとなったのであ
る。
の第1成分、第2成分及び第3成分としては、それぞれ
前記した高分子乳化剤を構成する低分子主鎖成分、親水
性成分及び疎水性成分と同一のモノマーが用いられてい
ることが望ましく、また、第4成分としてのエチレン性
不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタク
リル酸等のモノカルボン酸:イタコン酸、フマル酸、マ
レイン酸等の多価カルボン酸:マレイン酸モノメチルエ
ステル等の多価カルボン酸の部分エステル等を用いるこ
とが出来るが、それらの中でも特にモノカルボン酸が好
適に用いられることとなる。そして、それら第1成分〜
第4成分は、一般に、第1成分:50〜89重量%、第
2成分:5〜25重量%、第3成分:5〜25重量%、
第4成分:1〜20重量%程度の割合において用いられ
ることとなる(但し、それら4成分の合計量は100重
量%である)。
ョン型接着剤には、更に必要に応じて、従来から公知の
各種の添加剤、例えば粘着付与剤や、プロセスオイル等
の可塑剤、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、分散
剤、消泡剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤等が、本発明
の効果を妨げない範囲で、適宜に添加され得るものであ
ることは、従来からの接着剤と同様である。
本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発
明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約を
も受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更に
は、上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱し
ない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変
更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解さ
れるべきである。
クリレート(MMA)を用い、また親水性成分として、
メトキシ(ポリエチレングリコール)メタクリレート
(MPEGMA:化1におけるR1およびR2がそれぞれ
メチル基であり、nが23であるもの)を用い、更に疎
水性成分として、メトキシ(ポリプロピレングリコー
ル)メタクリレート(MPPGMA:化2におけるR3
及びR4がそれぞれメチル基であり、mが20であるも
の)を用いて、下記表1に示されるポリマー組成を与え
るモノマー配合組成において、リビングラジカル光重合
を行い、各種ポリマー組成のランダム共重合体からなる
高分子乳化剤を得た。
及びMPPGMAからなるモノマー組成物の100重量
部を、メチルエチルケトン(MEK)の100重量部に
溶解せしめた後、パイレックス(登録商標)製耐圧ガラ
スボトルに収容し、更に0.3重量部の開始剤(p−キ
シリレンビスジエチルジチオカルバメート)を添加せし
め、更にボトル内にArガスを徐々に供給して、最終封
入圧:4〜5kg/cm2 とした状態において、重合に供
した。なお、重合は、光源として紫外線(超高圧水銀ラ
ンプ:250〜546nm)を用い、かかる光源より距
離:10cmの位置にボトル(重合容器)を固定して、2
0〜25℃の温度下、6時間照射することにより、行っ
た。その後、ボトル内の重合生成物を、約10倍量のn
−ヘキサン中に注いで、再沈殿精製を行い、そしてその
得られた沈殿物を常温で真空乾燥することにより、目的
とする高分子乳化剤を得た。
いて、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)により、数平均分子量(Mn)及び重量平
均分子量(Mw)を測定すると共に、各高分子乳化剤の
水溶性及び乳化安定性についても評価し、それぞれの結
果を、下記表1に併せ示した。なお、乳化安定性につい
ては、3種のモノマー:MMA、MPPGMA及びMP
EGMAの乳化5時間後の状態において、評価したもの
である。
−4〜PE−6を用いて、下記表2に示されるモノマー
組成において、MMA、MPEGMA、MPPGMA、
AA(アクリル酸)、BA(ブチルアクリレート)を用
いて乳化重合することにより、下記表2に示される如き
状態の各種のエマルジョンを得た。なお、この高分子乳
化剤を使用した乳化重合に際して、モノマー組成として
は、重量比において、MMA/MPEGMA/MPPG
MA/AA=70/15/15/3(A組成)又はMM
A/MPEGMA/MPPGMA/AA/BA=70/
15/15/3/5(B組成)を採用し、そのようなモ
ノマーの合計量(A組成の場合には103重量部、B組
成の場合には108重量部)において、所定の高分子乳
化剤の3重量部を脱イオン水:30重量部に溶解した乳
化剤水溶液に対して、MMA、MPPGMA、MPEG
MA、AA、BAの順に配合して、ホモジナイザーにて
攪拌、乳化させ、予備乳化したモノマーエマルジョンを
調製した。そして、この得られたモノマーエマルジョン
に、1−ドデカンチオール(連鎖移動剤)の2重量部、
過硫酸アンモニウム(開始剤)0.5重量部を添加し
て、更に攪拌せしめた。そして、その得られた配合物
を、予め73〜77℃に保っておいた90重量部の脱イ
オン水の入った4つ口フラスコ(攪拌器、温度計、窒素
ガス導入管を備えている)に対して、送液ポンプを用い
て一定速度において2〜3時間かけて、先のモノマーエ
マルジョンを滴下せしめ、更に滴下終了の後、同温度で
2時間熟成を行って、重合終了とした。
ョンについて、その引張接着強度と90°剥離強度を、
JIS規定の方法に従って求め、その結果を、下記表3
に示した。なお、下記表3には、上記で得られた4種類
のポリマーエマルジョンの他、乳化剤として従来の低分
子乳化剤(アニオン系:ニューコール707SF、ノニ
オン系:プルロニックF−68)をそれぞれ1%濃度で
用いて得られたポリマーエマルジョンについての評価も
併せ示した。
かなように、本発明に従う高分子乳化剤は、優れた水溶
性を有しており、そして、それを乳化重合における乳化
剤として用いることにより、水系において乳化重合を有
効に行うことが出来るのであり、また、そのような乳化
重合によって得られたエマルジョンは、90°剥離強度
において優れた特徴を発揮し、接着剤として優れた特徴
を有するものであることが理解されるのである。
に従う高分子乳化剤は、水溶性に優れた乳化剤であり、
従って、水系の乳化重合における乳化剤として好適に用
いられ得ると共に、そのような乳化重合にて得られたエ
マルジョンは、また脱水性や剥離強度等の物性において
優れた特徴を発揮する接着剤としても有効に用いられ得
るのである。
Claims (3)
- 【請求項1】 低分子主鎖成分としての(メタ)アクリ
ル系モノマー又はビニル系モノマーの5〜30重量%
と、親水性成分としてのアルコキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレートの30〜70重量%と、疎水
性成分としてのアルコキシポリプロピレングリコール
(メタ)アクリレート、ケイ素含有(メタ)アクリレー
ト又はフッ素含有(メタ)アクリレートの20〜65重
量%とからなるランダム若しくはブロック共重合体を主
成分として含有することからなる高分子乳化剤。 - 【請求項2】 請求項1記載の高分子乳化剤を用いて、
不飽和モノマーの少なくとも1種からなるモノマー組成
物を、水系において乳化重合せしめることを特徴とする
乳化重合法。 - 【請求項3】 請求項2記載の乳化重合法によって得ら
れたエマルジョンからなることを特徴とするエマルジョ
ン型接着剤。
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