JP2003147242A - マジェンタインク組成物 - Google Patents

マジェンタインク組成物

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JP2003147242A
JP2003147242A JP2001347772A JP2001347772A JP2003147242A JP 2003147242 A JP2003147242 A JP 2003147242A JP 2001347772 A JP2001347772 A JP 2001347772A JP 2001347772 A JP2001347772 A JP 2001347772A JP 2003147242 A JP2003147242 A JP 2003147242A
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pigment
ink composition
organic pigment
magenta
weight
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JP2001347772A
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Yorihisa Tsubaki
頼尚 椿
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 普通紙記録に対して滲みがなく、耐水性・耐
光性・耐擦過性に優れ、低顔料濃度で、発色濃度の高い
高品質(高精細、高彩度)記録が可能な擬1次元結晶性
のマジェンタ有機顔料を含む水性のインク組成物を提供
することを課題とする。 【解決手段】 X線回折スペクトルにおいて、最大強度
を示す回折線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線
を主要ピークとして有する擬1次元結晶性のマジェンタ
有機顔料(M1)とマジェンタ有機顔料(M2)との混
合顔料を色材として含み、M1の最大強度を示す回折線
(I0)と2次の回折線(I2)との強度比(I2/I0
が0.2未満であり、かつM2の強度比(I2/I0)が
0.2以上であることを特徴とするマジェンタインク組
成物により、上記の課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式の記録(印刷)に好適なマジェンタインク組成物
に関する。なお、本発明のマジェンタインク組成物は、
各種マーキング用具や器具の着色剤としても好適に使用
できる。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の機構
によりインクの小滴を吐出させ、そのインク小滴をメデ
ィア(記録媒体)上に付着させ、ドットを形成して画像
を記録する方式である。このため、記録時の騒音が少な
い、フルカラー化が容易である、現像および定着が不要
であり、高速記録が可能であるなどの特長を有してい
る。近年、このインクジェット記録方式は、ディスプレ
イなどに表示されたカラー画像、各種図形、カラー原稿
などを印刷する方法として注目され、急速に普及してい
る。
【0003】インクジェット記録方式の記録に用いられ
るインクは、メディア上では速やかに乾燥定着し、ノズ
ル内では乾燥しにくく、ノズルの目詰まりを起こしにく
いという矛盾した特性が要求される。また、基本性能と
して保存安定性や安全性も要求される。さらに、メディ
アの種類によって、インクの浸透・吸収状態が大きく異
なるため、使用できる紙が制限されるなどの問題点があ
る。特に、近年ではオフィスで一般に使用されているコ
ピー用紙、レポート用紙、ノート、便箋などのいわゆる
普通紙に対しても良好な記録を行なえることが要求さ
れ、上記の問題点についての早急な改善が望まれてい
る。
【0004】インクは、着色剤(色材)としての染料ま
たは顔料とそれを溶解または分散させるための溶媒を主
成分とする組成物であり、必要に応じて各種添加剤が含
まれている。顔料を用いたインクは、オフィス、パーソ
ナル分野向けに多用されている水溶性染料を用いたイン
クよりも、耐水性、耐光性に優れ、デザイン、ディスプ
レイ市場向けの大判印刷の分野において実用化が進んで
いる。しかし、多種多様なメディアに高画質の出力が求
められるオフィス、パーソナル分野向けへの応用は困難
な状況にある。
【0005】着色剤として顔料を用いた水性インクとし
ては、例えば、比較的極性の高い多孔質のカーボンブラ
ックを用いたもの(例えば、特開平8−3498号公報
および特公表10−510862号公報参照)、マイク
ロカプセル化有機顔料を用いたもの(例えば、特開平9
−151342号公報および特開平10−140065
号公報参照)があるが、彩度、乾燥速度、耐擦過性など
の点で未だ充分とは言えない。
【0006】顔料系のインクでは、長期間安定に溶媒中
に顔料を分散させること(保存安定性)、記録装置のノ
ズルの目詰まりがないことが特に求められる。例えば、
特開平6−212106号公報には、高分子分散剤、界
面活性剤などの分散剤などを用いて溶媒中に顔料を分散
させる技術が開示されている。しかしながら、このよう
な分散剤の添加は、一般にインクの泡立ちの原因とな
り、インクの吐出過程に悪影響を及ぼし、その結果、印
字ムラを引き起こすという問題がある。
【0007】特開平8−3499号公報および特許第3
000672号公報には、分散質としての着色成分(着
色剤)の粒子径ならびに分散媒の表面張力特性を特定の
範囲に制御することにより滲みの発生を抑えたインクジ
ェット記録用インクが開示されている。
【0008】しかしながら、上記の公報には、X線回折
スペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次
(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとして有
し、かつ特定の回折強度比を有する擬1次元結晶性のマ
ジェンタ有機顔料(M1)とマジェンタ有機顔料(M
2)との混合顔料を色材として用いるという技術思想は
ない。
【0009】耐光性に優れた顔料を着色剤として使用す
れば、耐水性・耐光性の問題は容易に解消できるが、イ
ンクジェット記録方式のインクとしては、安定なインク
の吐出の確保、インクの保存安定性、メディア表面への
定着性が問題となる。また、高い色濃度と耐擦過性の確
保も未だ達成できていないのが現状である。また、顔料
を着色剤としたインクでは、高彩色な記録は実現できて
いない。そこで、低顔料濃度で高い発色濃度をもつ顔料
が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、普通紙記録
に対して滲みがなく、耐水性・耐光性・耐擦過性に優
れ、低顔料濃度で、発色濃度の高い高品質(高精細、高
彩度)記録が可能な擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔
料を含む水性のインク組成物を提供することを課題とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、X線回折スペ
クトルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次
(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとして有
し、かつ特定の回折強度比を有する擬1次元結晶性のマ
ジェンタ有機顔料(M1)とマジェンタ有機顔料(M
2)との混合顔料を色材として用いることによって、上
記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成する
に到った。また、本発明者は、表面改質技術を用いて親
水化を施す過程で、上記の条件を満たす擬1次元結晶性
のマジェンタ有機顔料が得られることを見出した。
【0012】かくして、本発明によれば、X線回折スペ
クトルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次
(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとして有す
る擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M1)とマジ
ェンタ有機顔料(M2)との混合顔料を色材として含
み、M1の最大強度を示す回折線(I0)と2次の回折
線(I2)との強度比(I2/I0)が0.2未満であ
り、かつM2の強度比(I2/I 0)が0.2以上である
ことを特徴とするマジェンタインク組成物が提供され
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、特定の回折強度比を有する
擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料の混合顔料を色材
として含む水系(水性)のマジェンタインク組成物につ
いて述べるが、これに限定されるものではなく、本発明
の技術思想は非水系(非水性)のマジェンタインク組成
物にも適用できる。
【0014】本発明のマジェンタインク組成物は、X線
回折スペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とその
n次(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとして
有する擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M1)と
マジェンタ有機顔料(M2)との混合顔料を色材として
含み、M1の最大強度を示す回折線(I0)と2次の回
折線(I2)との強度比(I2/I0)が0.2未満であ
り、かつM2の強度比(I2/I0)が0.2以上である
ことを特徴とする。
【0015】本発明における「擬1次元結晶」とは、実
質的に1軸方向の周期性が認められる結晶を意味する。
また、「主要ピーク」とは、最大強度を示す回折線とそ
のn次(n:2以上の整数)の回折線のピーク面積が、
全回折線のピーク面積の65%以上であることを意味す
る。
【0016】本発明の擬1次元結晶性のマジェンタ有機
顔料のX線回折スペクトルの主要ピークおよびその強度
比は、顔料の種類や後記する顔料の改質条件によって異
なる。最大強度を示す回折線(I0)のブラッグ角(2
θ±0.2°)の好ましい例は5.7°であり、2次の
回折線(I2)のブラッグ角(2θ±0.2°)の好ま
しい例は、11.5°である。なお、このスペクトルは
CuKα線(0.154050nm)を用いた場合の数
値である。
【0017】M1の最大強度を示す回折線(I0)と2
次の回折線(I2)との強度比(I2/I0)は0.2未
満、好ましくは0.1以下である。また、M2の最大強
度を示す回折線(I0)と2次の回折線(I2)との強度
比(I2/I0)は0.2以上、好ましくは0.5以上で
ある。
【0018】M1の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔
料は、紙への浸透性、定着性に優れるが、耐水性、耐光
性に劣るという染料に近い性質を示す。一方、M2の擬
1次元結晶性のマジェンタ有機顔料は、耐水性、耐光性
に優れるが、紙への浸透性、定着性に劣るという顔料に
近い性質を示す。M1およびM2の特性を表1にまとめ
る。
【0019】
【表1】
【0020】本発明のマジェンタインク組成物は、上記
のM1とM2との混合顔料を色材として含むので、両者
の利点を併せもつインク組成物となる。すなわち、図1
に示すように、M1は紙に近い所で定着性確保に寄与
し、M2は紙から離れた所で耐水性、耐光性確保に寄与
する。図中、Pは紙である。混合顔料の重量比は、両者
の利点のバランスを考慮して、0.2<(M2/M1)
<2.0であるのが好ましい。
【0021】本発明の擬1次元結晶性のマジェンタ有機
顔料は、分光反射スペクトルにおける所望の吸収波長域
の最大波長と最小波長から導出される特定の範囲、すな
わち最大波長の1/4から最小波長の1/10の範囲の
体積平均粒子径を有しているのが好ましい。ここで、
「体積平均粒子径」とは、粒子が立方体であると仮定し
て、体積の個数平均値を粒子径に換算した値であり、電
気泳動光散乱計などで測定したデータをもとに求めるこ
とができる。
【0022】擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料の体
積平均粒子径の最適値は、顔料の種類によって異なり、
マジェンタ有機顔料の所望の(理想的な)分光反射スペ
クトルと吸収波長域(可視光領域)は、図2(a)に示
すように波長500nmおよび600nmを基準として
設定される。したがって、擬1次元結晶性のマジェンタ
有機顔料の体積平均粒子径の最適値は、表2に示すよう
な範囲になる。
【0023】
【表2】
【0024】本発明の擬1次元結晶性のマジェンタ有機
顔料の粒子は、従来のマジェンタインク組成物に含まれ
る顔料の粒子(例えば、1000〜5000nm)と比
べて非常に微細であり、このように顔料の粒子径を限定
することによって本発明の優れた効果が発揮される。
【0025】本発明の擬1次元結晶性のマジェンタ有機
顔料の体積平均粒子径が、その顔料の有する固有吸収波
長域の最大波長の1/2以下、特に1/4以下になるほ
ど透明になる。このことは、色重ねを行ったときに高品
質(高精細、高彩度)の記録を実現するために特に重要
な特性となる。また、擬1次元結晶性のマジェンタ有機
顔料の体積平均粒子径が1/10未満では光散乱がほと
んどないレイリー散乱領域に入り、粒子のブラウン運動
による分散液中での安定性の点で200nm以下の領域
が望まれることから、擬1次元結晶性のマジェンタ有機
顔料の体積平均粒子径はこの範囲が好ましい。このよう
な擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料を用いることに
より、高彩度の発色を発現する安定なインク組成物が得
られる。また、本発明の擬1次元結晶性のマジェンタ有
機顔料の粒子は、全粒子の90%以上が本発明において
規定する体積平均粒子径の範囲に含まれ、かつその分布
が単一のピークであることが好ましい。
【0026】現実には理想的な分光反射スペクトルを示
す擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料は存在しないの
で、分光反射スペクトルの固有吸収波長域の実測値の最
大波長λ1および最小波長λ2を基準として、擬1次元結
晶性のマジェンタ有機顔料の体積平均粒子径の最適範囲
を特定してもよい。すなわち、擬1次元結晶性のマジェ
ンタ有機顔料の体積平均粒子径を、前記の条件でλ1
4からλ2/10の範囲としてもよい。なお、ここで言
う最大/最小波長は、吸収極大を可視光領域(400〜
700nm)にもつ場合には、その吸収スペクトルの1
次微係数の絶対値が最大となる位置での接線と波長軸の
交点で定義される(図7参照)。
【0027】本発明の擬1次元結晶性のマジェンタ有機
顔料は、pH3〜11の液体中でζ(ゼータ)電位の等
電点を有さないのが好ましい。ζ電位が等電点を有する
場合には、インク組成物中に擬1次元結晶性のマジェン
タ有機顔料が安定に存在しないので好ましくない。
【0028】本発明の擬1次元結晶性のマジェンタ有機
顔料は、例えば、通常の結晶性マジェンタ有機顔料を化
学的処理および/または物理的処理により改質すること
により製造することができる。この処理は粒子表面のみ
の改質には止まらず、結晶格子を大きく歪ませる程度ま
で改質するものであり、処理方法によっては同時に親水
性も付与される。
【0029】擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料を製
造するための化学的処理および/または物理的処理とし
ては、酸素雰囲気での紫外線照射(例えば、酸素ガス雰
囲気中で低圧水銀ランプ(λ:185nm)を照射する
方法)、反応性プラズマガス中での暴露(例えば、真空
下で低圧酸素ガスのグロー放電プラズマ中に暴露する方
法)および酸処理(例えば、大気下、湿式で、発煙硫酸
やクロロスルホン酸で処理する方法)が挙げられるが、
擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料が最も得られやす
いことから、酸処理が好ましい。酸処理としては、例え
ば、結晶性マジェンタ有機顔料と顔料重量の20〜40
倍程度の濃硫酸(98%)とを30〜60℃程度で0.
5〜2時間程度攪拌し、得られた混合溶液を0℃程度の
水中に急速に滴下攪拌する方法が挙げられる。
【0030】上記の改質処理では、有機顔料の耐性が求
められる。つまり、顔料によっては改質処理中に分解し
たり変色することもあるので、処理条件を最適化すると
共に耐性のある顔料の選定が重要となる。
【0031】本発明のインク組成物で用いられる擬1次
元結晶性のマジェンタ有機顔料は、M1とM2との混合
顔料であり、M1は上記の親水化処理を強く施すことに
より得られ、M2は親水化処理を弱く施すことにより得
られる。例えば、上記の濃硫酸による酸処理の場合、M
1は30〜50℃程度、1.5〜2.5時間程度の攪拌
条件で得られ、またM2は30〜50℃程度、0.5〜
1.0時間程度の攪拌条件で得られる。
【0032】処理に付される結晶性マジェンタ有機顔料
としては、例えば、印刷インク、トナー、塗料などの着
色剤として用いられるナフトールAS―ベンズイミダゾ
ロン顔料などの結晶性マジェンタ有機顔料が挙げられ
る。結晶性マジェンタ有機顔料の好ましい例としては、
C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド1
76およびC.I.ピグメントレッド185のようなナフト
ールAS―ベンズイミダゾロン顔料などが挙げられ、こ
れらの中でもC.I.ピグメントレッド185が特に好まし
い。
【0033】本発明のインク組成物は、上記の擬1次元
結晶性のマジェンタ有機顔料からなる混合顔料を色材と
して含み、その含有量は、1〜10重量%が好ましく、
1〜5重量%がより好ましい。色材が1重量%未満の場
合には、印字濃度が低くなるので好ましくない。また、
色材が10重量%を超える場合には、粘度が高く、分散
安定性に劣るので好ましくない。
【0034】本発明のマジェンタインク組成物には、色
材以外に、pH調整剤、目詰まり防止剤、湿潤剤、浸透
剤などが添加されていてもよい。
【0035】pH調整剤の好ましい例としては、尿素、
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3
−ジメチル−イミダゾリジノン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミンなどの含窒素有機溶剤が挙げられ
る。これらの含窒素有機溶剤はインクの乾燥に伴う目詰
まり防止剤としても機能し、有効に用いられる。インク
組成物への含窒素有機溶剤の添加量は、1〜10重量
%、好ましくは2〜8重量%である。
【0036】湿潤剤の好ましい例としては、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタエチ
レングリコール、ヘキサエチレングリコール、へプタエ
チレングリコール、オクタエチレングリコール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサン
トリオール、チオグリコール、へキシレングリコール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが
挙げられる。湿潤剤は、インク組成物の保存安定性、記
録特性およびメディアに対する定着性の向上にも寄与す
るが、含窒素有機溶剤と同様に、インクの乾燥によるノ
ズルやオリフィスでの目詰まり防止剤としても機能す
る。マジェンタインク組成物への湿潤剤の添加量は、
0.5〜40重量%、好ましくは3〜10重量%であ
る。
【0037】さらに、上記の湿潤剤に加えて、マジェン
タインク組成物には低沸点有機溶剤を添加するのが好ま
しい。マジェンタインク組成物への低沸点有機溶剤の添
加量は、0.5〜10重量%、好ましくは1.5〜6重
量%である。低沸点有機溶剤の好ましい例としては、メ
タノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プ
ロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、s
ec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタ
ノールなどの一価アルコールや、二価および三価アルコ
ールが挙げられ、特に一価アルコールが好ましい。
【0038】浸透剤は、乾燥性を早めるだけではなく、
メディア表面に色材を効率的に定着させたり、普通紙に
おいて滲みを防止するといった重要な役割を果たす。マ
ジェンタインク組成物への浸透剤の添加量は、0.1〜
5重量%、好ましくは1〜5重量%である。なお、浸透
剤の添加量が前記の範囲外の場合には、乾燥性、滲み防
止の効果が劣化するので好ましくない。
【0039】浸透剤の好ましい例としては、エチレング
リコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール
−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−
ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエ
ーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル
などのグリコールエーテル類、アニオン型であるパーフ
ルオロアルキルスルホン酸アンモニウム塩、パーフルオ
ロアルキルスルホン酸カリウム塩、パーフルオロアルキ
ルカルボン酸カリウム塩、ないしはノニオン型であるパ
ーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、パ
ーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素化アルキ
ルエステルなどのフッ素系界面活性剤などが挙げられる
が、表面張力を低下させる機能をもつものであれば、こ
れらに限定されるものではない。
【0040】さらに、上記の浸透剤に加えて浸透性を制
御するために、インク組成物には界面活性剤、特にノニ
オン性界面活性剤を添加するのが好ましい。インク組成
物への界面活性剤の添加量は、0.1〜5重量%程度、
好ましくは0.5〜4重量%である。なお、界面活性剤
の添加量が前記の範囲外の場合には、滲み、裏写りが大
きくなるので好ましくない。カチオン界面活性剤および
アニオン界面活性剤は、本発明の色材との組み合わせに
おいて、泡立ちし易く、分散安定性が劣化し易く、裏写
りが大きくなり易いので好ましくない。
【0041】ノニオン性界面活性剤の好ましい例として
は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシ
エチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチ
ルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテルなどのアルキルフェノール型、ポ
リオキシエチレンモノステアレートなどのアルキルエス
テル型、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノ
ラウレートなどのソルビタンエステル型、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレートなどのソルビタンエス
テルエーテル型が挙げられる。
【0042】本発明のマジェンタインク組成物には、さ
らにインクの諸物性を改善するために必要に応じて適当
な調整剤を添加することができる。物性調整剤として
は、例えば、粘度調整剤、防カビ剤、防腐剤などが挙げ
られる。
【0043】本発明のマジェンタインク組成物は、上記
の成分を適宜、適当な方法で水に分散あるいは混合する
ことによって調製することができる。凝集状態の擬1次
元結晶性のマジェンタ有機顔料、本発明において規定す
る体積平均粒子径の微粒子にまで分散する方法として
は、ダイノミル分散法、ペイントシェーカー分散法、ボ
ールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散
法、ビーズミル分散法、超音波分散法などの通常の方法
を採用することができる。
【0044】本発明によれば、色濃度の高い記録を実現
すると同時に、色材粒子の光散乱を制御することで鮮や
かな色再現(高彩色記録)も得られ、かつ普通紙に記録
した場合でも滲みや裏写りが極めて少ない記録が得られ
る。また、本発明によれば、マジェンタインク組成物の
分散安定性も向上する。さらに、本発明のマジェンタイ
ンク組成物を用いることにより、極めて品質の高い記録
を実現できる記録装置も得られる。
【0045】
【実施例】本発明を製造例、比較製造例、実施例および
比較例に基づいてさらに具体的に説明するが、これらの
製造例および実施例により本発明が限定されるものでは
ない。
【0046】製造例および比較製造例において得られた
擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料のX線回折パター
ンを、粉末X線回折装置(マックサイエンス社製、MX
P−18、X線源:CuKα=0.15405nm)を
用いて測定した。また、製造例1において得られた擬1
次元結晶性のマジェンタ有機顔料の分光反射スペクトル
を、分光測色計(日本平板機材株式会社製、X−Rit
e938)を用いて測定した。
【0047】製造例および比較製造例において得られた
顔料の水分散体のζ電位を、電気泳動光散乱光度計(大
塚電子株式会社製、ELS−8000)を用いて測定し
た。具体的には、得られた顔料を水に分散し、pHを
3、5,7、9および11に調整して、各pHにおける
ζ電位を上記の装置で測定した。
【0048】(製造例1)40℃前後に加熱した濃硫酸
(98%)約100gに、C.I.ピグメントレッド185
を4g加え、120分攪拌後、0℃の水中に急速に滴下
攪拌して、擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料を得
た。得られた顔料の分光反射スペクトルおよびX線回折
スペクトルをそれぞれ図2の(b)および図3に示す。
X線回折スペクトルでは、ブラッグ角(2θ±0.2
°)5.7°に最大強度を示す回折線(半値全幅(FW
HM)=0.6°)および11.5°にブロードな2次
の回折線が観測された。最大強度を示す回折線(I0
と2次の回折線(I2)との強度比(I2/I0)は0.
2未満であった。
【0049】また、得られた顔料の水分散体のζ電位測
定では、図5に示すようにpH3〜11において等電点
は観測されなかった。一方、原料として用いたC.I.ピグ
メントレッド185の水分散体のζ電位測定では、図6
に示すように酸性域で等電点が観測された。このことか
ら製造例1の顔料は、原料の顔料に比べて、水に対する
分散安定性が優れていることが確認された。
【0050】(製造例2)40℃前後に加熱した濃硫酸
(98%)約100gに、C.I.ピグメントレッド185
を4g加え、40分攪拌後、0℃の水中に急速に滴下攪
拌して、擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料を得た。
得られた顔料のX線回折スペクトルを図4に示す。X線
回折スペクトルでは、ブラッグ角(2θ±0.2°)
5.7°に最大強度を示す回折線(FWHM=0.6
°)および11.4°に2次の回折線が観測された。最
大強度を示す回折線(I0)と2次の回折線(I2)との
強度比(I2/I0)は0.2以上であった。また、得ら
れた顔料の水分散体のζ電位測定では、pH3〜11に
おいて等電点は観測されず、安定であった。
【0051】(製造例3)40℃前後に加熱した濃硫酸
(98%)約100gに、C.I.ピグメントレッド185
を4g加え、20分攪拌後、0℃の水中に急速に滴下攪
拌して、擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料を得た。
得られた顔料のX線回折スペクトルでは、ブラッグ角
(2θ±0.2°)5.7°に最大強度を示す回折線
(FWHM=0.6°)および11.4°に2次の回折
線が観測された。最大強度を示す回折線(I0)と2次
の回折線(I2)との強度比(I2/I0)は0.2以上
であった。また、得られた顔料の水分散体のζ電位測定
では、pH3〜11において等電点は観測されず、安定
であった。
【0052】(比較製造例1)40℃前後に加熱した濃
硫酸(98%)約100gに、C.I.ピグメントレッド1
85を4g加え、180分攪拌後、0℃の水中に急速に
滴下攪拌する処理を行ったが、本発明で使用できる擬1
次元結晶性のマジェンタ有機顔料は得られなかった。得
られた顔料のX線回折スペクトルでは、ブラッグ角(2
θ±0.2°)5.7°に最大強度を示す回折線(FW
HM=0.7°)のみが観測された。また、得られた顔
料の水分散体のζ電位測定では、pH3〜11において
等電点は観測されず、安定であった。
【0053】(比較製造例2)30℃前後に加熱した濃
硫酸(98%)約100gに、C.I.ピグメントレッド1
85を4g加え、10分攪拌後、0℃の水中に急速に滴
下攪拌する処理を行ったが、本発明で使用できる擬1次
元結晶性のマジェンタ有機顔料は得られなかった。得ら
れた顔料のX線回折スペクトルでは、擬1次元結晶性を
示す回折は観測されなかった。また、得られた顔料の水
分散体のζ電位測定では、酸性域で等電点が観測され
た。
【0054】(比較製造例3)130℃前後に加熱した
濃硫酸(98%)約100gに、C.I.ピグメントレッド
122を4g加え、90分攪拌後、0℃の水中に急速に
滴下攪拌する処理を行ったが、本発明で使用できる擬1
次元結晶性のマジェンタ有機顔料は得られなかった。得
られた顔料のX線回折スペクトルでは、ブラッグ角(2
θ±0.2°)5.7°に最大強度を示す回折線(FW
HM=0.7°)のみが観測された。また、得られた顔
料の水分散体のζ電位測定では、pH3〜11において
等電点は観測されず、安定であった。
【0055】実施例および比較例において得られたマジ
ェンタインク組成物中の顔料の粒子サイズを、電気泳動
光散乱光度計(大塚電子株式会社製、ELS−800
0)を用いて測定し、得られたデータから体積平均粒子
径(nm)を求めた。
【0056】 (実施例1) 製造例1の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M1) 2.0重量% 製造例2の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M2) 0.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残量
【0057】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのシルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してマジェンタインク組成物を得た。得られたマジェン
タインク組成物中での顔料の体積平均粒子径は78nm
であった。
【0058】 (実施例2) 製造例1の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M1) 1.5重量% 製造例2の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M2) 1.0重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残量
【0059】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのシルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してマジェンタインク組成物を得た。得られたマジェン
タインク組成物中での顔料の体積平均粒子径は89nm
であった。
【0060】 (実施例3) 製造例1の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M1) 1.25重量% 製造例2の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M2) 1.25重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残量
【0061】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのシルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してマジェンタインク組成物を得た。得られたマジェン
タインク組成物中での顔料の体積平均粒子径は101n
mであった。
【0062】 (比較例1) 製造例1の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残量
【0063】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのシルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してマジェンタインク組成物を得た。得られたマジェン
タインク組成物中での顔料の体積平均粒子径は69nm
であった。
【0064】 (比較例2) 製造例2の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残量
【0065】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのシルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してマジェンタインク組成物を得た。得られたマジェン
タインク組成物中での顔料の体積平均粒子径は110n
mであった。
【0066】 (比較例3) 比較製造例1の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M1)1.5重量% 製造例2の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M2) 1.0重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残量
【0067】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのシルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してマジェンタインク組成物を得た。得られたマジェン
タインク組成物中での顔料の体積平均粒子径は45nm
であった。
【0068】 (比較例4) 結晶性マジェンタ有機顔料C.I.ピグメントレッド185 2.5重量% ソルスパース27000 2.5重量% n−プロパノール 2重量% 尿素 5重量% ジプロピレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% イオン交換水 残量
【0069】n−プロパノール、尿素、ジプロピレング
リコール、テトラプロピレングリコールを除く前記成分
を混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径0.8mmのガラスビーズと共に1
2時間分散処理を施し、ガラスビーズを除去後、残りの
構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィルタ
ーで濾過してマジェンタインク組成物を得た。得られた
マジェンタインク組成物中での顔料の体積平均粒子径は
108nmであった。
【0070】 (比較例5) 製造例1の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M1) 1.0重量% 比較製造例2の結晶性マジェンタ有機顔料(M2) 1.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残量
【0071】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのシルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してマジェンタインク組成物を得た。得られたマジェン
タインク組成物中での顔料の体積平均粒子径は134n
mであった。
【0072】 (比較例6) 製造例4の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料 (C.I.ピグメントレッド122) 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% イオン交換水 残量
【0073】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのガラスビーズと共に12時
間分散処理を施し、ガラスビーズを除去後、残りの構成
成分を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで
濾過してマジェンタインク組成物を得た。得られたマジ
ェンタインク組成物中での顔料の体積平均粒子径は11
2nmであった。
【0074】実施例および比較例で得られたマジェンタ
インク組成物の特性を、それぞれ以下に示す方法で評価
した。
【0075】(A)反射濃度 各インク組成物を一定量(1.0ml)採取し、普通紙
(SF−4AM3)上にアプリケータ塗布したものを乾
燥して、反射濃度測定用サンプルを得た。得られたサン
プルについて、濃度計(マクベス社製、RD−918)
を用いて、反射濃度を測定した。反射濃度が0.8以上
の値であれば、印字濃度が高いと評価した。
【0076】(B)色特性 反射濃度測定用サンプルについて、分光測色計(日本平
版機材株式会社製、X−Rite938)でL***
表色系における色特性(明度、色度)を評価した。色の
鮮やかさ(彩度C*)は、次式により求めた。彩度が5
0以上の値であれば、彩度良好で高品質な記録が得られ
ると評価した。
【0077】
【数1】
【0078】(C)耐光性 反射濃度測定用サンプルを、耐光性試験機Q−SUN
Xenon TestChamberに設置し、0.7
5W/m2(λ=340nm)の光を240時間照射し
て、試験前後のΔEを計測した。得られた結果と以下の
基準から耐光性を評価した。 ○ :ΔEが10%以下のもの △ :ΔEが25%以下のもの × :ΔEが25%を超えるもの
【0079】(D)専用紙定着性 各インク組成物を専用紙(IJ)上にアプリケーターで
塗布したものを乾燥して、擦り試験用サンプルを得た。
得られたサンプル上に1kgの荷重をかけた消しゴム
を、移動距離5cmで3往復させる擦り試験を実施し
た。擦り試験前後の画像濃度の変化を濃度計(マクベス
社製、RD−918)を用いて測定し、画像の残存率を
求め、以下の基準により専用紙定着性を評価した。 ○ :残存率が80%以上のもの △ :残存率が60%以上のもの × :残存率が60%未満のもの
【0080】(E)総合評価 (A)〜(D)の評価結果と以下の基準から各インク組
成物を総合的に評価した。 ◎ :評価結果のすべてが「○」であるもの ○ :評価結果のうち、「△」が1つのみで、残りが
「○」であるもの △ :評価結果のうち、「△」および「×」が1つまた
は2つあり(但し、「△」が1つのみの場合を除く)、
残りが「○」であるもの × : 評価結果のうち、「△」および「×」が3つ以
上あるもの 表3および表4には、各マジェンタインク組成物に含ま
れる顔料の諸特性および各マジェンタインク組成物の評
価結果をそれぞれ示す。
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】この結果から明らかなように、本発明の実
施例では、低顔料濃度で高い反射濃度が得られ、耐光性
と専用紙定着性を両立させることが可能なマジェンタイ
ンク組成物が得られることがわかった。
【0084】
【発明の効果】本発明のマジェンタインク組成物は、X
線回折スペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とそ
のn次(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとし
て有し、かつ特定の回折強度比を有する擬1次元結晶性
のマジェンタ有機顔料(M1)とマジェンタ有機顔料
(M2)との混合顔料を色材として用いる。M1は紙に
近い所で定着性確保に寄与し、M2は紙から離れた所で
耐水性、耐光性確保に寄与するので、両者の利点を両立
したマジェンタインク組成物を提供することができる。
また、本発明のマジェンタインク組成物は、低顔料濃度
で高い発色性を示し、擬1次元結晶性のマジェンタ有機
顔料の粒子サイズを最適化することにより、色合い、鮮
やかさへの効果のみならず、普通紙への滲み防止効果も
期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマジェンタインク組成物の色材(顔
料)の用紙上での挙動を表わす模式図である。
【図2】マジェンタ色材の理想的な分光反射スペクトル
(a)と擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(製造例
1)の分光反射スペクトルを示す図である。
【図3】本発明の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料
(製造例1)のX線回折スペクトルを示す図である。
【図4】本発明の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料
(製造例2)のX線回折スペクトルを示す図である。
【図5】本発明の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料
(製造例1)の水分散体のζ電位のpH依存性を示す図
である。
【図6】本発明の擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料
(製造例1)の原料として用いた結晶性マジェンタ有機
顔料の水分散体のζ電位のpH依存性を示す図である。
【図7】分光反射スペクトルの吸収波長域の実測値の最
大波長λ1および最小波長λ2の決定法を示す略図であ
る。
【符号の説明】
M1 擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M1) M2 擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料(M2) P 紙

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線回折スペクトルにおいて、最大強度
    を示す回折線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線
    を主要ピークとして有する擬1次元結晶性のマジェンタ
    有機顔料(M1)とマジェンタ有機顔料(M2)との混
    合顔料を色材として含み、M1の最大強度を示す回折線
    (I0)と2次の回折線(I2)との強度比(I2/I0
    が0.2未満であり、かつM2の強度比(I2/I0)が
    0.2以上であることを特徴とするマジェンタインク組
    成物。
  2. 【請求項2】 混合顔料の重量比が、0.2<(M2/
    M1)<2.0である請求項1に記載のマジェンタイン
    ク組成物。
  3. 【請求項3】 擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料
    が、結晶性マジェンタ有機顔料を化学的処理および/ま
    たは物理的処理により改質され、親水化された顔料であ
    る請求項1または2に記載のマジェンタインク組成物。
  4. 【請求項4】 結晶性マジェンタ有機顔料が、C.I.ピグ
    メントレッド185である請求項3に記載のマジェンタ
    インク組成物。
  5. 【請求項5】 擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料
    が、CuKα線(0.154050nm)を用いたX線
    回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2
    °)5.7°に最大強度を示す回折線および11.5°
    に2次の回折線を有する請求項1〜4のいずれか1つに
    記載のマジェンタインク組成物。
  6. 【請求項6】 擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料
    が、50〜150nmの範囲の体積平均粒子径を有する
    請求項1〜5のいずれか1つに記載のマジェンタインク
    組成物。
  7. 【請求項7】 擬1次元結晶性のマジェンタ有機顔料
    が、pH3〜11の液体中でζ電位の等電点を有さない
    請求項1〜6のいずれか1つに記載のマジェンタインク
    組成物。
  8. 【請求項8】 色材の含有量が、1〜10重量%である
    請求項1〜7のいずれか1つに記載のマジェンタインク
    組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116096592A (zh) * 2020-09-04 2023-05-09 Agc株式会社 玻璃物品

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