JP2003003110A - 着色剤およびそれを含むインク組成物ならびにそれを用いた記録装置 - Google Patents

着色剤およびそれを含むインク組成物ならびにそれを用いた記録装置

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JP2003003110A
JP2003003110A JP2001191505A JP2001191505A JP2003003110A JP 2003003110 A JP2003003110 A JP 2003003110A JP 2001191505 A JP2001191505 A JP 2001191505A JP 2001191505 A JP2001191505 A JP 2001191505A JP 2003003110 A JP2003003110 A JP 2003003110A
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dimensional crystalline
quasi
crystalline
ink composition
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JP2001191505A
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Satoshi Nishigaki
敏 西垣
Keiichi Kikawa
敬一 紀川
Momomi Aoki
百美 青木
Yorihisa Tsubaki
頼尚 椿
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 普通紙記録に対して滲み、裏写りがなく、耐
水性・耐光性・耐擦過性に優れ、色濃度の高い高品質
(高精細、高彩度)記録が可能な擬1次結晶性カラー有
機顔料を含む水性のインク組成物およびそれを用いた両
面同時印写の可能な記録装置を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 X線回折スペクトルにおいて、最大強度
を示す回折線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線
を主要ピークとして有する擬1次元結晶性カラー有機顔
料からなる着色剤により、上記の課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式の記録(印刷)に好適な擬1次元結晶性カラー有
機顔料からなる着色剤およびそれを含むインク組成物な
らびにそれを用いた記録装置に関する。なお、本発明の
インク組成物は、各種マーキング用具や器具の着色剤と
しても好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の機構
によりインクの小滴を吐出させ、その小滴をメディア上
に付着させ、ドットを形成して画像を記録する方式であ
る。このため、記録時の騒音が少ない、フルカラー化が
容易である、現像および定着が不要であり高速記録が可
能であるなどの特長を有している。近年、このインクジ
ェット記録方式は、ディスプレイなどに表示されたカラ
ー画像、各種図形、カラー原稿などを印刷する方法とし
て注目され、急速に普及している。
【0003】インクジェット記録方式の記録に用いられ
るインクは、メディア上では速やかに乾燥定着し、ノズ
ル内では乾燥しにくく、ノズル詰まりを起こしにくいと
いう矛盾した特性が要求される。また、基本性能として
保存安定性や安全性も要求される。さらに、メディアの
種類によって、インクの浸透・吸収状態が大きく異なる
ため、使用できる紙が制限されるなどの問題点がある。
特に、近年ではオフィスで一般に使用されているコピー
用紙、レポート用紙、ノート、便箋などのいわゆる普通
紙に対しても良好な記録を行えることが要求され、上記
の問題点についての早急な改善が望まれている。
【0004】インクは、着色剤としての染料または顔料
とそれを溶解または分散させるための溶媒を主成分とす
る組成物であり、必要に応じて各種添加剤が含まれてい
る。顔料を用いたインクは、オフィス、パーソナル分野
向けに多用されている水溶性染料を用いたインクより
も、耐水性、耐光性に優れ、デザイン、ディスプレイ市
場の向けの大判印刷の分野において実用化が進んでい
る。しかし、多種多様なメディアに高画質の出力が求め
られるオフィス、パーソナル分野向けへの応用は困難な
状況にある。
【0005】着色剤として顔料を用いた水性インクとし
ては、例えば、比較的極性の高い多孔質のカーボンブラ
ックを用いたもの(特開平8−3498号公報および特
表平10−510862号公報参照)、マイクロカプセ
ル化有機顔料を用いたもの(特開平9−151342号
公報および特開平10−140065号公報参照)があ
るが、彩度、乾燥速度、耐擦過性などの点で未だ充分と
は言えない。
【0006】顔料系のインクでは、長期間安定に溶媒中
に顔料を分散させること(保存安定性)、記録装置のノ
ズルの目詰まりがないことが特に求められる。例えば、
特開平6−212106号公報には、高分子分散剤、界
面活性剤などの分散剤などを用いて溶媒中に顔料を分散
させる技術が開示されている。しかしながら、このよう
な分散剤の添加は、一般にインクの泡立ちの原因とな
り、インクの吐出過程に影響を及ぼし、その結果、印字
ムラを引き起こすという問題がある。
【0007】特許第3000672号公報には、分散質
としての着色成分(着色剤)の粒子径ならびに分散媒の
表面張力特性を特定の範囲に制御することにより滲みの
発生を抑えたインクジェット記録用インクが開示されて
いる。しかしながら、上記の公報には、X線回折スペク
トルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次(n:
2以上の整数)の回折線を主要ピークとして有する擬1
次元結晶性カラー有機顔料を着色剤として用いるという
技術思想はない。
【0008】耐光性に優れた顔料を着色剤として使用す
れば耐水性・耐光性は容易に達成できるが、インクジェ
ット記録方式のインクとしては、安定なインクの吐出の
確保、インクの保存安定性、メディア表面への定着性が
問題となる。また、高い色濃度と耐擦過性の確保も未だ
達成できていない。さらに、顔料を着色剤とし、1次色
としてシアン顔料、マジェンタ顔料、イエロー顔料の3
色を基本とすると、混色による濁りが発生し易く、高彩
色な記録は実現できていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、普通紙記録
に対して滲み、裏写りがなく、耐水性・耐光性・耐擦過
性に優れ、色濃度の高い高品質(高精細、高彩度)記録
が可能な擬1次結晶性カラー有機顔料を含む水性のイン
ク組成物およびそれを用いた両面同時印写の可能な記録
装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、X線回折ス
ペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次
(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとして有す
る擬1次元結晶性カラー有機顔料、さらには分光反射ス
ペクトルにおける所望の吸収波長域から導出される特定
の範囲の体積平均粒子径を有する擬1次元結晶性カラー
有機顔料からなる着色剤を主成分として含むインク組成
物を用いることによって、上記の課題を解決できること
を見出し、本発明を完成するに到った。また、本発明者
らは、表面改質技術を用いて親水化を施す過程で上記の
条件を満たす擬1次元結晶性カラー有機顔料が得られる
ことを見出した。
【0011】さらに、本発明者らは、上記の擬1次元結
晶性カラー有機顔料を主成分としたインク組成物を用い
ると、普通紙に対する滲みと裏写りが抑止され、1次色
として、シアン、マジェンタ、イエローの3色に加え、
レッド、グリーン、ブルーを用いると、色の濁りのない
極めて高精彩な記録装置、さらには両面同時印写の可能
な記録装置が実現できること、本発明のインク組成物
は、長期間放置後もその安定したインク吐出性能の確保
を可能にし、再起動時にノズルの目詰まりがないことを
見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】かくして、本発明によれば、X線回折スペ
クトルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次
(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとして有す
る擬1次元結晶性カラー有機顔料からなる着色剤が提供
される。
【0013】また、本発明によれば、上記の着色剤を主
成分として含むインク組成物が提供される。
【0014】また、本発明によれば、(1)擬1次元結
晶性イエロー顔料、擬1次元結晶性マジェンタ顔料およ
び擬1次元結晶性シアン顔料をそれぞれ別々に含む上記
のインク組成物を組み合わせて使用することを特徴とす
る記録装置、および(2)擬1次元結晶性イエロー顔
料、擬1次元結晶性マジェンタ顔料、擬1次元結晶性シ
アン顔料、擬1次元結晶性ブルー顔料、擬1次元結晶性
グリーン顔料および擬1次元結晶性レッド顔料をそれぞ
れ別々に含む上記のインク組成物を組み合わせて使用す
ることを特徴とする記録装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、擬1次元結晶性カラー有機
顔料からなる着色剤およびそれを用いた水系のインク組
成物について述べるが、これに限定されるものではな
く、本発明の技術思想は非水系のインク組成物にも適用
できる。
【0016】本発明の着色剤は、X線回折スペクトルに
おいて、最大強度を示す回折線とそのn次(n:2以上
の整数)の回折線を主要ピークとして有する擬1次元結
晶性カラー有機顔料からなる着色剤である。「主要ピー
ク」とは、最大強度を示す回折線とそのn次(n:2以
上の整数)の回折線のピーク面積が、全回折線のピーク
面積の50%以上であることを意味するが、X線回折ス
ペクトルは、最大強度を示す回折線とそのn次(n:2
以上の整数)の回折線のみからなるのが好ましい。本発
明における「擬1次元結晶」とは、実質的に1軸方向の
周期性が認められる結晶を意味する。
【0017】本発明の着色剤を構成する擬1次元結晶性
カラー有機顔料は、上記の条件を備えたイエロー、マジ
ェンタおよびシアンの3原色の擬1次元結晶性カラー有
機顔料、さらには補色となるブルー、グリーンおよびレ
ッドの擬1次元結晶性カラー有機顔料である。
【0018】このような擬1次元結晶性カラー有機顔料
は、X線回折スペクトルにおいて、最大強度を示す回折
線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線を主要ピー
クとして有するが、そのX線回折スペクトルは顔料の種
類によって異なる。擬1次元結晶性カラー有機顔料のX
線回折スペクトルにおける最大強度を示す回折線のブラ
ッグ角(2θ±0.2°)の好ましい例を表1に示す。
なお、このスペクトルはCuKα線(0.154050
nm)を用いた場合の数値である。
【0019】
【表1】
【0020】本発明の着色剤を構成する擬1次元結晶性
カラー有機顔料は、分光反射スペクトルにおける所望の
吸収波長域の最大波長と最小波長から導出される特定の
範囲、すなわち最大波長の1/4から最小波長の1/1
0の範囲の体積平均粒子径を有しているのが好ましい。
ここで、「体積平均粒子径」とは、粒子が立方体である
と仮定して、体積の個数平均値を粒子径に換算した値で
あり、電気泳動光散乱計などで測定したデータをもとに
求めることができる。
【0021】擬1次元結晶性カラー有機顔料の体積平均
粒子径の最適値の範囲は、顔料の種類によって異なる。
各顔料の所望の(理想的な)分光反射スペクトルと吸収
波長域(可視光領域)は、図1に示すように波長400
nm、500nm、600nmおよび700nmを基準
として設定される。図1の(a)、(b)および(c)
はそれぞれイエロー顔料(ブルー顔料)、マジェンタ顔
料(グリーン顔料)およびシアン顔料(レッド顔料)の
理想的な可視光の吸収特性を表す。
【0022】つまり、各顔料の体積平均粒子径の最適値
は、分光反射スペクトルの各吸収波長域の最大波長の1
/4から最小波長の1/10の範囲であり、表2に示す
ような範囲になる。
【0023】
【表2】
【0024】本発明の擬1次元結晶性カラー有機顔料の
粒子は、従来のインク組成物に含まれる顔料の粒子(例
えば1000〜5000nm)と比べて非常に微細であ
り、このように顔料の粒子径を限定することによって本
発明のより優れた効果(例えば、滲み特性、裏写り特
性、保存安定性)が発揮される。
【0025】本発明の擬1次元結晶性カラー有機顔料の
体積平均粒子径が、その顔料の有する吸収波長域の最大
波長の1/2以下、特に1/4以下になるほど透明にな
る。このことは、色重ねを行ったときに高品質(高精
細、高彩度)の記録を実現するために特に重要な特性と
なる。また、擬1次元結晶性カラー有機顔料の体積平均
粒子径が1/10未満では光散乱がほとんどないレイリ
ー散乱領域に入り、粒子のブラウン運動による分散液中
での安定性の点で200nm以下の領域が望まれること
から、擬1次元結晶性カラー有機顔料の体積平均粒子径
はこの範囲が好ましい。このような擬1次元結晶性カラ
ー有機顔料を用いることにより、高彩度の発色が得られ
る安定なインク組成物が得られる。また、本発明の擬1
次元結晶性カラー有機顔料の粒子は、全粒子の90%以
上が本発明において規定する体積平均粒子径の範囲に含
まれ、かつその分布が単一のピークであることが好まし
い。
【0026】現実には理想的な分光反射スペクトルを示
す擬1次元結晶性カラー有機顔料は存在しないので、分
光反射スペクトルの吸収波長域の実測値の最大波長λ1
および最小波長λ2を基準として、各擬1次元結晶性カ
ラー有機顔料の体積平均粒子径の最適範囲を特定しても
よい。すなわち、各擬1次元結晶性カラー有機顔料の体
積平均粒子径を、分光反射スペクトルにおける吸収波長
域の実測値の最大波長λ1および最小波長λ2のλ1/4
からλ2/10の範囲と特定してもよい。なお、ここで
言う最大/最小波長は、吸収極大を可視光領域(400
〜700nm)にもつ場合には、その吸収スペクトルの
1次微分係数の絶対値が最大となる位置での接線と波長
軸の交点で定義される(図5参照)。
【0027】本発明の擬1次元結晶性カラー有機顔料
は、例えば、通常の結晶性カラー有機顔料を化学的処理
および/または物理的処理により改質することにより製
造することができる。この処理は粒子表面のみの改質に
は止まらず、結晶格子を大きく歪ませる程度まで改質す
るものであり、処理方法によっては同時に親水性も付与
される。
【0028】擬1次元結晶性カラー有機顔料を製造する
ための化学的処理および/または物理的処理としては、
酸素雰囲気での紫外線照射(例えば、酸素ガス雰囲気中
で低圧水銀ランプ(λ:185nm)を照射する方
法)、反応性プラズマガス中での暴露(例えば、真空下
で低圧酸素ガスのグロー放電プラズマ中に暴露する方
法)および酸処理(例えば、大気下、湿式で、発煙硫酸
やクロロスルホン酸で処理する方法)が挙げられるが、
擬1次元結晶性カラー有機顔料が最も得られやすいこと
から、酸処理が好ましい。酸処理としては、例えば、結
晶性カラー有機顔料と顔料重量の10〜50倍程度の濃
硫酸(98%)とを0.5〜3時間程度攪拌し、得られ
た混合溶液を0℃程度の水中に急速に滴下攪拌する方法
が挙げられる。
【0029】上記の改質処理では、有機顔料の耐性が求
められる。つまり、顔料によっては改質処理中に分解し
たり変色することもあるので、処理条件を最適化すると
共に耐性のある顔料の選定が重要となる。
【0030】このような顔料としては、例えば、印刷イ
ンク、トナー、塗料などの着色剤として用いられるアゾ
顔料(例えば、モノアゾイエロー顔料、ナフトールAS
顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾイエロー顔
料、ピラゾロン顔料、縮合アゾ顔料など)、多環式顔料
(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノ
ン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、チオ
インジゴ顔料、アンサンスロン顔料など)などの結晶性
カラー有機顔料が挙げられる。これらの顔料を上記の処
理に付すことにより、本発明の着色剤、すなわち擬1次
元結晶性カラー有機顔料が得られる。
【0031】処理に付される結晶性カラー有機顔料の具
体例を示す。イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイ
エロー74のようなモノアゾイエロー顔料、C.I.ピグメ
ントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー83および
C.I.ピグメントイエロー176のようなジスアゾイエロ
ー顔料、C.I.ピグメントイエロー128のような縮合ア
ゾ顔料、ならびにC.I.ピグメントイエロー151、C.I.
ピグメントイエロー180およびC.I.ピグメントイエロ
ー194のようなベンズイミダゾロン顔料などが挙げら
れ、これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー74、C.
I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー
151、C.I.ピグメントイエロー180およびC.I.ピグ
メントイエロー194が特に好ましい。
【0032】マジェンタ顔料としては、C.I.ピグメント
レッド122およびC.I.ピグメントレッド202のよう
なキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド149、C.
I.ピグメントレッド190およびC.I.ピグメントレッド
224のようなペリレン顔料、ならびにC.I.ピグメント
レッド175、C.I.ピグメントレッド176およびC.I.
ピグメントレッド185のようなナフトールAS―ベン
ズイミダゾロン顔料などが挙げられる。
【0033】シアン顔料としては、C.I.ピグメントブル
ー15、C.I.ピグメントブルー15:3およびC.I.ピグ
メントブルー15:4のようなフタロシアニン顔料など
が挙げられる。
【0034】ブルー顔料としては、C.I.ピグメントブル
ー60およびC.I.ピグメントブルー15:6のようなフ
タロシアニン顔料などが挙げられる。グリーン顔料とし
ては、C.I.ピグメントグリーン7およびC.I.ピグメント
グリーン36のようなフタロシアニン顔料などが挙げら
れる。レッド顔料では、C.I.ピグメントレッド238の
ようなナフトールAS顔料、およびC.I.ピグメントレッ
ド221のような縮合アゾ顔料などが挙げられる。
【0035】本発明のインク組成物は、上記の擬1次元
結晶性カラー有機顔料からなる着色剤を主成分として含
む。着色剤は、その1種を単独で、または2種以上を適
宜組み合わせて用いられる。その含有量は、1〜10重
量%が好ましく、2〜5重量%がより好ましい。着色剤
が1重量%未満の場合には、印字濃度が低くなるので好
ましくない。また、着色剤が10重量%を超える場合に
は、粘度が高く、分散安定性に劣るので好ましくない。
【0036】本発明のインク組成物は、本発明の着色剤
を主成分とし、さらにpH調整剤、目詰まり防止剤、湿
潤剤、浸透剤などが添加されてなる。
【0037】pH調整剤の好ましい例としては、尿素、
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3
−ジメチル−イミダゾリジノン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミンなどの含窒素有機溶剤が挙げられ
る。これらの含窒素有機溶剤はインクの乾燥に伴う目詰
まり防止剤としても機能し、有効に用いられる。インク
組成物への含窒素有機溶剤の添加量は、1〜10重量%
程度、好ましくは2〜8重量%である。
【0038】湿潤剤は、インク組成物の保存安定性、記
録特性およびメディアに対する定着性の向上にも寄与す
る。また、含窒素有機溶剤と同様に、インクの乾燥によ
るノズルやオリフィスでの目詰まり防止剤としても機能
する。インク組成物への湿潤剤の添加量は、0.5〜4
0重量%程度、好ましくは3〜10重量%である。
【0039】湿潤剤の好ましい例としては、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタエチ
レングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエ
チレングリコール、オクタエチレングリコール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサン
トリオール、チオグリコール、へキシレングリコール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが
挙げられる。
【0040】さらに、上記の湿潤剤に加えて、インク組
成物には低沸点有機溶剤を添加するのが好ましい。イン
ク組成物への低沸点有機溶剤の添加量は、0.5〜10
重量%程度、好ましくは1.5〜6重量%である。低沸
点有機溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−
ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノー
ル、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどの1
級、2級および3級アルコールが挙げられ、特に1級ア
ルコールが好ましい。
【0041】浸透剤は、乾燥性を早めるだけではなく、
メディア表面に着色剤を効率的に定着させたり、あるい
は普通紙において滲みを防止するといった重要な役割を
果たす。インク組成物への浸透剤の添加量は、0.1〜
5重量%程度、好ましくは0.5〜4重量%である。な
お、浸透剤の添加量が前記の範囲外の場合には、乾燥
性、滲み防止の効果が劣化するので好ましくない。
【0042】浸透剤の好ましい例としては、エチレング
リコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール
−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−
ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエ
ーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル
などのグリコールエーテル類、アニオン型であるパーフ
ルオロアルキルスルホン酸アンモニウム塩、パーフルオ
ロアルキルスルホン酸カリウム塩、パーフルオロアルキ
ルカルボン酸カリウム塩 、ないしはノニオン型である
パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、
パーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素化アル
キルエステルなどのフッ素系界面活性剤などが挙げられ
るが、表面張力を低下させる機能をもつものであれば、
これらに限定されるものではない。
【0043】さらに、上記の浸透剤に加えて浸透性を制
御するために、インク組成物には界面活性剤、特にノニ
オン性界面活性剤を添加するのが好ましい。インク組成
物への界面活性剤の添加量は、0.1〜5重量%程度、
好ましくは0.5〜4重量%である。なお、界面活性剤
の添加量が前記の範囲外の場合には、滲み、裏写りが大
きくなるので好ましくない。カチオン界面活性剤および
アニオン界面活性剤は、本発明の着色剤との組み合わせ
において、泡立ちし易く、分散安定性が劣化し易く、裏
写りが大きくなり易いので好ましくない。
【0044】ノニオン性界面活性剤の好ましい例として
は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシ
エチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチ
ルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテルなどのアルキルフェノール型、ポ
リオキシエチレンモノステアレートなどのアルキルエス
テル型、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノ
ラウレートなどのソルビタンエステル型、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレートなどのソルビタンエス
テルエーテル型が挙げられる。
【0045】本発明のインク組成物には、さらにインク
の諸物性を改善するために必要に応じて適当な調整剤を
添加することができる。物性調整剤としては、例えば、
粘度調整剤、防カビ剤、防腐剤などが挙げられる。
【0046】本発明のインク組成物は、上記の各成分を
適宜、適当な方法で水に分散あるいは混合することによ
って調製することができる。凝集状態の本発明の着色剤
(擬1次元結晶性カラー有機顔料)を、本発明において
規定する体積平均粒子径の微粒子にまで分散する方法と
しては、ダイノミル分散法、ペイントシェーカー分散
法、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミ
ル分散法、ビーズミル分散法、超音波分散法などの通常
の方法を採用することができる。
【0047】本発明によれば、色濃度の高い記録を実現
すると同時に、着色剤粒子の光散乱を制御することで鮮
やかな色再現(高彩色記録)も得られ、かつ普通紙に記
録した場合でも滲みと裏写りが極めて少ない記録が得ら
れる。また、本発明によれば、インク組成物の分散安定
性、保存安定性も向上する。
【0048】本発明のインク組成物を用いることによ
り、極めて品質の高い記録を実現でき、かつそれを用い
た記録装置が得られる。すなわち、顔料として、イエロ
ー顔料、マジェンタ顔料、シアン顔料の3原色のみなら
ず、ブルー顔料、グリーン顔料、レッド顔料の補色にお
いても透明性が高く、普通紙に対して滲まないインク組
成物が実現できるので、3色または6色カラーのインク
組成物およびそれを用いた記録装置を提供することがで
きる。記録装置としては、インクジェットプリンターの
ような公知の装置を用いることができる。
【0049】
【実施例】本発明を製造例、比較製造例、実施例および
比較例に基づいてさらに具体的に説明するが、これらの
製造例および実施例により本発明が限定されるものでは
ない。
【0050】製造例において得られた擬1次元結晶性カ
ラー有機顔料の分光反射スペクトルを、日本平板機材株
式会社製の分光測色計X−Rite938を用いて測定
した。また、製造例において得られた擬1次元結晶性カ
ラー有機顔料のX線回折パターンを、マックサイエンス
社製の粉末X線回折装置MXP−18(X線源:CuK
α=0.154050nm)を用いて測定した。
【0051】(製造例1)10℃前後に冷却した濃硫酸
(98%)約100gに、C.I.ピグメントイエロー18
0を5g加え、3時間攪拌後、0℃の水中に急速に滴下
攪拌して、擬1次元結晶性カラー有機顔料を得た。得ら
れた顔料の分光反射スペクトルおよびX線回折スペクト
ルをそれぞれ図1(a)および図2(a)に示す。X線
回折スペクトルでは、ブラッグ角(2θ±0.2°)
5.4°に最大回折ピーク(半値全幅(FWHM)=
0.7°)を示し、2次および3次の回折ピークが1
0.8°および16.1°に観測された。図2(b)に
は、濃硫酸で処理する前の顔料のX線回折スペクトルを
示す。
【0052】(製造例2)濃硫酸を50℃に加熱し、顔
料としてC.I.ピグメントレッド185を用いる以外は製
造例1と同様にして、擬1次元結晶性カラー有機顔料を
得た。得られた顔料の分光反射スペクトルおよびX線回
折スペクトルをそれぞれ図1(b)および図3(a)に
示す。X線回折スペクトルでは、ブラッグ角(2θ±
0.2°)5.7°に最大回折ピーク(FWHM=0.
6°)を示し、2次のブロードな回折ピークが11.5
°に観測された。図3(b)には、濃硫酸で処理する前
の顔料のX線回折スペクトルを示す。
【0053】(製造例3)濃硫酸を150℃に加熱し、
顔料としてC.I.ピグメントシアン15:3を用いる以外
は製造例1と同様にして、擬1次元結晶性カラー有機顔
料を得た。得られた顔料の分光反射スペクトルおよびX
線回折スペクトルをそれぞれ図1(c)および図4
(a)に示す。X線回折スペクトルでは、ブラッグ角
(2θ±0.2°)5.7°に最大回折ピーク(FWH
M=0.9°)が観測されたが、2次以上の高次の明瞭
な回折ピークは観測されなかった。図4(b)には、濃
硫酸で処理する前の顔料のX線回折スペクトルを示す。
【0054】(製造例4〜9)顔料としてC.I.ピグメン
トイエロー128、C.I.ピグメントレッド122、C.I.
ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー1
5:6、C.I.ピグメントグリーン7およびC.I.ピグメン
トレッド238をそれぞれ用いる以外は製造例1と同様
にして、擬1次元結晶性カラー有機顔料を得た。得られ
た顔料のX線回折スペクトルの最大回折ピーク(FWH
M)を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】(比較製造例)顔料として比較的耐光性の
弱い顔料(C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメン
トレッド23など)を製造例1〜3と同様にして処理し
たが、何れの改質技術においても、本発明に使用できる
擬1次元結晶性カラー顔料を得ることができなかった。
【0057】実施例および比較例において得られたイン
ク組成物中の顔料の粒子サイズを、大塚電子株式会社製
の電気泳動光散乱光度計ELS−8000を用いて測定
し、得られたデータから体積平均粒子径(nm)を求め
た。
【0058】 (実施例1) 製造例1の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントイエロー180 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残部
【0059】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は66nmであった。
【0060】 (実施例2) 製造例2の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントレッド185 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残部
【0061】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は87nmであった。
【0062】 (実施例3) 製造例3の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントブルー15:3 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残部
【0063】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は95nmであった。
【0064】 (実施例4) 製造例4の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントイエロー128 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% イオン交換水 残部
【0065】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8
時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残り
の構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィル
ターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組
成物中での顔料の体積平均粒子径は81nmであった。
【0066】 (実施例5) 製造例5の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントレッド122 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% イオン交換水 残部
【0067】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8
時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残り
の構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィル
ターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組
成物中での顔料の体積平均粒子径は101nmであっ
た。
【0068】 (実施例6) 製造例6の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントブルー15:4 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% イオン交換水 残部
【0069】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は72nmであっ
た。
【0070】 (実施例7) 製造例7の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントブルー15:6 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% イオン交換水 残量
【0071】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は74nmであっ
た。
【0072】 (実施例8) 製造例8の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントグリーン7 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% イオン交換水 残部
【0073】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は64nmであっ
た。
【0074】 (実施例9) 製造例9の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントレッド238 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% イオン交換水 残部
【0075】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は86nmであっ
た。
【0076】 (比較例1) 顔料C.I.ピグメントイエロー180 4.5重量% ソルスパース27000 3重量% n−プロパノール 2重量% 尿素 5重量% ジプロピレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% イオン交換水 残部
【0077】n−プロパノール、尿素、ジプロピレング
リコール、テトラプロピレングリコールを除く前記成分
を混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径0.8mmのガラスビーズと共に1
2時間分散処理を施し、ガラスビーズを除去後、残りの
構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィルタ
ーで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組成
物中での顔料の体積平均粒子径は70nmであった。
【0078】 (比較例2) 顔料C.I.ピグメントレッド185 4.5重量% ソルスパース27000 2.5重量% n−プロパノール 2重量% 尿素 5重量% ジプロピレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% イオン交換水 残部
【0079】n−プロパノール、尿素、ジプロピレング
リコール、テトラプロピレングリコールを除く前記成分
を混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径0.8mmのガラスビーズと共に1
2時間分散処理を施し、ガラスビーズを除去後、残りの
構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィルタ
ーで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組成
物中での顔料の体積平均粒子径は82nmであった。
【0080】 (比較例3) 顔料C.I.ピグメントブルー15:3 4.5重量% ソルスパース27000 2.5重量% n−プロパノール 2重量% 尿素 5重量% ジプロピレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% イオン交換水 残部
【0081】n−プロパノール、尿素、ジプロピレング
リコール、テトラプロピレングリコールを除く前記成分
を混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共
に15時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去
後、残りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブラ
ンフィルターで濾過してインク組成物を得た。得られた
インク組成物中での顔料の体積平均粒子径は101nm
であった。
【0082】実施例および比較例で得られたインク組成
物の特性を、それぞれ以下に示す方法で評価した。
【0083】(A)反射濃度 各インク組成物を一定量(1.0ml)採取し、専用コ
ート紙(RW−P4A4)上にアプリケータ塗布したも
のを乾燥して、反射濃度測定用サンプルを得た。得られ
たサンプルについて、濃度計RD−918(マクベス社
製)を用いて、反射濃度を測定した。1.40以上の値
であれば、良好と評価した。
【0084】(B)裏写り 反射濃度測定用サンプルと同様にして、インク組成物を
普通紙(SF−4AM3)上に塗布したものを乾燥し
て、裏写り評価用サンプルを得た。得られたサンプルの
裏面(インク組成物を塗布していない面)の反射濃度
を、濃度計RD−918(マクベス社製)を用いて測定
し、裏写りの程度を評価した。0.12以下の値であれ
ば、両面印刷が可能と評価した。
【0085】(C)色特性 反射濃度測定用サンプルについて、分光測色計(Spectr
odensitometer)X−Rite938(日本平版機材株
式会社製)を用いて、L***表色系における色特性
(明度、色度)を評価した。色の鮮やかさ(彩度C*
は、次式により求めた。
【0086】
【数1】
【0087】(D)滲み特性 自動接触角計(協和界面科学株式会社製)を流用し、一
定量のインク組成物(0.7μl)を普通紙(SF−4
AM3)面に付着させて、紙面上での広がり(ドット
径)を測定し、紙面上でのドットの真円度の基準として
その標準偏差を求め、以下の基準により滲み特性を評価
した。 ◎ :広がりが1.5mm以下のもの ○ :広がりが2.5mm以下のもの × :広がりが2.5mmを超えるもの (△):標準偏差が0.2以上となるもの(真円度が悪
いもの)
【0088】(E)保存安定性 各インク組成物(約20ml)をラボランスクリュー管
瓶に入れ、60℃で1ヶ月の保存テストを実施した。1
ヶ月後に動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500
(株式会社堀場製作所製)を用いて、顔料の粒子径を測
定した。得られた結果と予め測定しておいた保存テスト
前の粒子径とから変化率を求め、以下の基準により保存
安定性を評価した。 ◎ :変化率が15%以下のもの ○ :変化率が20%以下のもの △ :変化率が30%以下のもの × :変化率が30%を超えるもの
【0089】(F)耐光性 反射濃度測定サンプルを、耐光性試験機Q−SUN X
enon TestChamberに設置し、0.35
W/m2(λ=340nm)の光を300時間照射し
て、試験前後のΔEを測定した。10未満の値であれ
ば、良好と評価した。以上の評価結果をまとめて表4に
示す。
【0090】
【表4】
【0091】この結果より明らかなように、本発明の実
施例では、高い反射濃度と色の鮮やかさが得られ、普通
紙に対する滲みと裏写りが少なく、かつ保存安定性にも
優れたインク組成物が得られることがわかった。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、X線回折スペクトルに
おいて、最大強度を示す回折線とそのn次(n:2以上
の整数)の回折線を主要ピークとして有する擬1次元結
晶性カラー有機顔料からなる着色剤を主成分として含む
インク組成物を用いることにより、従来の有機顔料を用
いたインク組成物の堅牢な耐光性がやや弱くなるもの
の、欠点であったくすんだ色しか再現できないという課
題が克服できる。また、粒子サイズの最適化は、色合
い、鮮やかさへの効果のみならず、普通紙への滲み防止
と裏写り防止への効果も期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】着色剤の理想的な分光反射スペクトルと製造例
1〜3の擬1次元結晶性カラー顔料の分光反射スペクト
ルを示す図である。
【図2】製造例1の擬1次元結晶性カラー顔料(a)お
よびその処理前(b)のX線回折スペクトルである。
【図3】製造例2の擬1次元結晶性カラー顔料(a)お
よびその処理前(b)のX線回折スペクトルである。
【図4】製造例3の擬1次元結晶性カラー顔料(a)お
よびその処理前(b)のX線回折スペクトルである。
【図5】分光反射スペクトルの吸収波長域の実測値の最
大波長λ1および最小波長λ2の決定法を示す略図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 百美 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 椿 頼尚 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA05 FC01 2H086 BA55 BA60 4J037 AA30 DD05 EE28 FF02 FF06 FF07 FF08 FF18 FF22 FF25 4J039 BE01 EA15 EA16 EA17 EA20 EA35 EA36 EA38 EA42 EA47 GA24

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線回折スペクトルにおいて、最大強度
    を示す回折線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線
    を主要ピークとして有する擬1次元結晶性カラー有機顔
    料からなる着色剤。
  2. 【請求項2】 擬1次元結晶性カラー有機顔料が、分光
    反射スペクトルにおける所望の吸収波長域の最大波長の
    1/4から最小波長の1/10の範囲の体積平均粒子径
    を有する請求項1に記載の着色剤。
  3. 【請求項3】 擬1次元結晶性カラー有機顔料が、分光
    反射スペクトルにおける吸収波長域の実測値の最大波長
    λ1および最小波長λ2のλ1/4からλ2/10の範囲の
    体積平均粒子径を有する請求項1に記載の着色剤。
  4. 【請求項4】 擬1次元結晶性カラー有機顔料が、結晶
    性カラー有機顔料を化学的処理および/または物理的処
    理により改質された顔料である請求項1〜3のいずれか
    1つに記載の着色剤。
  5. 【請求項5】 擬1次元結晶性カラー有機顔料が、C.I.
    ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー12
    8、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイ
    エロー180およびC.I.ピグメントイエロー194から
    選択された結晶性イエロー顔料を改質することにより得
    られた擬1次元結晶性イエロー顔料である請求項1〜4
    のいずれか1つに記載の着色剤。
  6. 【請求項6】 擬1次元結晶性イエロー顔料が、CuK
    α線(0.154050nm)を用いたX線回折スペク
    トルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)5.4°
    に最大回折ピークを有し、かつその体積平均粒子径が4
    0〜125nmの範囲にある請求項5に記載の着色剤。
  7. 【請求項7】 擬1次元結晶性カラー有機顔料が、C.I.
    ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド20
    2、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッ
    ド190、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメン
    トレッド175、C.I.ピグメントレッド176およびC.
    I.ピグメントレッド185から選択された結晶性マジェ
    ンタ顔料を改質することにより得られた擬1次元結晶性
    マジェンタ顔料である請求項1〜4のいずれか1つに記
    載の着色剤。
  8. 【請求項8】 擬1次元結晶性マジェンタ顔料が、Cu
    Kα線(0.154050nm)を用いたX線回折スペ
    クトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)5.7
    °に最大回折ピークを有し、かつその体積平均粒子径が
    50〜150nmの範囲にある請求項7に記載の着色
    剤。
  9. 【請求項9】 擬1次元結晶性カラー有機顔料が、C.I.
    ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3
    およびC.I.ピグメントブルー15:4から選択された結
    晶性シアン顔料を改質することにより得られた擬1次元
    結晶性シアン顔料である請求項1〜4のいずれか1つに
    記載の着色剤。
  10. 【請求項10】 擬1次元結晶性シアン顔料が、CuK
    α線(0.154050nm)を用いたX線回折スペク
    トルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)5.7°
    に最大回折ピークを有し、かつその体積平均粒子径が6
    0〜175nmの範囲にある請求項9に記載の着色剤。
  11. 【請求項11】 擬1次元結晶性カラー有機顔料が、C.
    I.ピグメントブルー60またはC.I.ピグメントブルー1
    5:6の結晶性ブルー顔料を改質することにより得られ
    た擬1次元結晶性ブルー顔料である請求項1〜4のいず
    れか1つに記載の着色剤。
  12. 【請求項12】 擬1次元結晶性カラー有機顔料が、C.
    I.ピグメントグリーン7またはC.I.ピグメントグリーン
    36の結晶性グリーン顔料を改質することにより得られ
    た擬1次元結晶性グリーン顔料である請求項1〜4のい
    ずれか1つに記載の着色剤。
  13. 【請求項13】 擬1次元結晶性カラー有機顔料が、C.
    I.ピグメントレッド238またはC.I.ピグメントレッド
    221の結晶性レッド顔料を改質することにより得られ
    た擬1次元結晶性レッド顔料である請求項1〜4のいず
    れか1つに記載の着色剤。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれか1つに記載
    の着色剤を主成分として含むインク組成物。
  15. 【請求項15】 着色剤の含有量が、1〜10重量%で
    ある請求項14に記載のインク組成物。
  16. 【請求項16】 擬1次元結晶性イエロー顔料、擬1次
    元結晶性マジェンタ顔料および擬1次元結晶性シアン顔
    料をそれぞれ別々に含む請求項14または15に記載の
    インク組成物を組み合わせて使用することを特徴とする
    記録装置。
  17. 【請求項17】 擬1次元結晶性イエロー顔料、擬1次
    元結晶性マジェンタ顔料、擬1次元結晶性シアン顔料、
    擬1次元結晶性ブルー顔料、擬1次元結晶性グリーン顔
    料および擬1次元結晶性レッド顔料をそれぞれ別々に含
    む請求項14または15に記載のインク組成物を組み合
    わせて使用することを特徴とする記録装置。
JP2001191505A 2001-06-25 2001-06-25 着色剤およびそれを含むインク組成物ならびにそれを用いた記録装置 Pending JP2003003110A (ja)

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