JP2003026952A - 擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料からなる着色剤およびそれを含むインク組成物、記録装置 - Google Patents

擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料からなる着色剤およびそれを含むインク組成物、記録装置

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JP2003026952A
JP2003026952A JP2001216833A JP2001216833A JP2003026952A JP 2003026952 A JP2003026952 A JP 2003026952A JP 2001216833 A JP2001216833 A JP 2001216833A JP 2001216833 A JP2001216833 A JP 2001216833A JP 2003026952 A JP2003026952 A JP 2003026952A
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ink composition
pigment
organic pigment
quasi
magenta organic
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Yorihisa Tsubaki
頼尚 椿
Momomi Aoki
百美 青木
Keiichi Kikawa
敬一 紀川
Takahiro Horiuchi
貴洋 堀内
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Sharp Corp
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  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 普通紙記録に対して滲み、裏写りがなく、耐
水性・耐光性・耐擦過性に優れ、低顔料濃度で発色濃度
の高い高品質(高精細、高彩度)記録が可能な擬1次結
晶性マジェンタ有機顔料を含む水性のインク組成物を提
供することを課題とする。 【解決手段】 X線回折スペクトルにおいて、最大強度
を示す回折線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線
を主要ピークとして有し、かつ最大強度を示す回折線
(I0)と2次の回折線(I2)との強度比(I2/I0
が0.2以上である擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料
からなることを特徴とする着色剤により、上記の課題を
解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式の記録(印刷)に好適な擬1次元結晶性マジェン
タ有機顔料からなる着色剤およびそれを含むインク組成
物ならびに記録装置に関する。なお、本発明のインク組
成物は、各種マーキング用具や器具の着色剤としても好
適に使用できる。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の機構
によりインクの小滴を吐出させ、その小滴をメディア上
に付着させ、ドットを形成して画像を記録する方式であ
る。このため、記録時の騒音が少ない、フルカラー化が
容易である、現像および定着が不要であり高速記録が可
能であるなどの特長を有している。近年、このインクジ
ェット記録方式は、ディスプレイなどに表示されたカラ
ー画像、各種図形、カラー原稿などを印刷する方法とし
て注目され、急速に普及している。
【0003】インクジェット記録方式の記録に用いられ
るインクは、メディア上では速やかに乾燥定着し、ノズ
ル内では乾燥しにくく、ノズル詰まりを起こしにくいと
いう矛盾した特性が要求される。また、基本性能として
保存安定性や安全性も要求される。さらに、メディアの
種類によって、インクの浸透・吸収状態が大きく異なる
ため、使用できる紙が制限されるなどの問題点がある。
特に、近年ではオフィスで一般に使用されているコピー
用紙、レポート用紙、ノート、便箋などのいわゆる普通
紙に対しても良好な記録を行えることが要求され、上記
の問題点についての早急な改善が望まれている。
【0004】インクは、着色剤としての染料または顔料
とそれを溶解または分散させるための溶媒を主成分とす
る組成物であり、必要に応じて各種添加剤が含まれてい
る。顔料を用いたインクは、オフィス、パーソナル分野
向けに多用されている水溶性染料を用いたインクより
も、耐水性、耐光性に優れ、デザイン、ディスプレイ市
場の向けの大判印刷の分野において実用化が進んでい
る。しかし、多種多様なメディアに高画質の出力が求め
られるオフィス、パーソナル分野向けへの応用は困難な
状況にある。
【0005】着色剤として顔料を用いた水性インクとし
ては、例えば、比較的極性の高い多孔質のカーボンブラ
ックを用いたもの(特開平8−3498号公報および特
表平10−510862号公報参照)、マイクロカプセ
ル化有機顔料を用いたもの(特開平9−151342号
公報および特開平10−140065号公報参照)があ
るが、彩度、乾燥速度、耐擦過性などの点で未だ充分と
は言えない。
【0006】顔料系のインクでは、長期間安定に溶媒中
に顔料を分散させること(保存安定性)、記録装置のノ
ズルの目詰まりがないことが特に求められる。例えば、
特開平6−212106号公報には、高分子分散剤、界
面活性剤などの分散剤などを用いて溶媒中に顔料を分散
させる技術が開示されている。しかしながら、このよう
な分散剤の添加は、一般にインクの泡立ちの原因とな
り、インクの吐出過程に影響を及ぼし、その結果、印字
ムラを引き起こすという問題がある。
【0007】特許第3000672号公報には、分散質
としての着色成分(着色剤)の粒子径ならびに分散媒の
表面張力特性を特定の範囲に制御することにより滲みの
発生を抑えたインクジェット記録用インクが開示されて
いる。
【0008】しかしながら、上記の公報には、X線回折
スペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次
(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとして有
し、かつ最大強度を示す回折線(I0)と2次の回折線
(I2)との強度比(I2/I0)が0.2以上である擬
1次元結晶性マジェンタ有機顔料を着色剤として用いる
という技術思想はない。
【0009】耐光性に優れた顔料を着色剤として使用す
れば耐水性・耐光性は容易に達成できるが、インクジェ
ット記録方式のインクとしては、安定なインクの吐出の
確保、インクの保存安定性、メディア表面への定着性が
問題となる。また、高い色濃度と耐擦過性の確保も未だ
達成できていないのが現状である。そのためには、低い
顔料濃度で高い発色濃度をもつ顔料が望まれる。さら
に、顔料を着色剤とした場合、高彩色な記録は実現でき
ていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、普通紙記録
に対して滲み、裏写りがなく、耐水性・耐光性・耐擦過
性に優れ、低顔料濃度で発色濃度の高い高品質(高精
細、高彩度)記録が可能な擬1次結晶性マジェンタ有機
顔料を含む水性のインク組成物を提供することを課題と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、X線回折ス
ペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次
(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとして有
し、かつ最大強度を示す回折線(I0)と2次の回折線
(I2)の強度比(I2/I0)が0.2以上である擬1
次元結晶性マジェンタ有機顔料からなる着色剤を主成分
として含むインク組成物を用いることによって、上記の
課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到
った。また、本発明者らは、表面改質技術を用いて親水
化を施す過程で上記の条件を満たす擬1次元結晶性マジ
ェンタ有機顔料が得られることを見出した。
【0012】さらに、本発明者らは、上記の擬1次元結
晶性マジェンタ有機顔料を主成分としたインク組成物を
用いると、普通紙に対する滲みと裏写りが抑止され、色
の濁りのない極めて高精彩な記録、さらには両面同時印
写の可能な記録が実現できること、本発明のインク組成
物は、長期間放置後もその安定したインク吐出性能の確
保を可能にし、再起動時にノズルの目詰まりがないこと
を見出し、本発明を完成するに到った。
【0013】かくして、本発明によれば、X線回折スペ
クトルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次
(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとして有
し、かつ最大強度を示す回折線(I0)と2次の回折線
(I2)との強度比(I2/I0)が0.2以上である擬
1次元結晶性マジェンタ有機顔料からなることを特徴と
する着色剤が提供される。
【0014】また、本発明によれば、上記の着色剤を主
成分として含むインク組成物が提供される。
【0015】さらに、本発明によれば、上記のインク組
成物と、イエロー系インク組成物、シアン系インク組成
物、ブルー系インク組成物、グリーン系インク組成物お
よびレッド系インク組成物から選択されるインク組成物
とを組み合わせて使用することを特徴とする記録装置が
提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、擬1次元結晶性マジェンタ
有機顔料からなる着色剤およびそれを含む水系(水性)
のインク組成物について述べるが、これに限定されるも
のではなく、本発明の技術思想は非水系(非水性)のイ
ンク組成物にも適用できる。
【0017】本発明の着色剤は、X線回折スペクトルに
おいて、最大強度を示す回折線とそのn次(n:2以上
の整数)の回折線を主要ピークとして有し、かつ最大強
度を示す回折線(I0)と2次の回折線(I2)との強度
比(I2/I0)が0.2以上である擬1次元結晶性マジ
ェンタ有機顔料からなることを特徴とする。
【0018】本発明における「擬1次元結晶」とは、実
質的に1軸方向の周期性が認められる結晶を意味する。
また、「主要ピーク」とは、最大強度を示す回折線とそ
のn次(n:2以上の整数)の回折線のピーク面積が、
全回折線のピーク面積の65%以上であることを意味す
るが、X線回折スペクトルは、最大強度を示す回折線と
そのn次(n:2以上の整数)の回折線のみからなるの
が好ましい。
【0019】本発明の擬1次元結晶性マジェンタ有機顔
料のX線回折スペクトルの主要ピークおよびその強度比
は、顔料の種類によって異なる。最大強度を示す回折線
のブラッグ角(2θ±0.2°)の好ましい例は、5.
4°であり、2次の回折線のブラッグ角(2θ±0.2
°)の好ましい例は、11.5°である。なお、このス
ペクトルはCuKα線(0.15405nm)を用いた
場合の数値である。最大強度を示す回折線(I0)と2
次の回折線(I2)との強度比(I2/I0)としては、
0.2以上が好ましく、0.3〜0.6の範囲が特に好
ましい。
【0020】本発明の着色剤を構成する擬1次元結晶性
マジェンタ有機顔料は、分光反射スペクトルにおける所
望の吸収波長域の最大波長と最小波長から導出される特
定の範囲、すなわち最大波長の1/4から最小波長の1
/10の範囲の体積平均粒子径を有しているのが好まし
い。ここで、「体積平均粒子径」とは、粒子が立方体で
あると仮定して、体積の個数平均値を粒子径に換算した
値であり、電気泳動光散乱計などで測定したデータをも
とに求めることができる。
【0021】擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料の体積
平均粒子径の最適値は、顔料の種類によって異なる。マ
ジェンタ顔料の所望の(理想的な)分光反射スペクトル
と吸収波長域(可視光領域)は、図1(a)に示すよう
に波長500nmおよび600nmを基準として設定さ
れる。したがって、擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料
の体積平均粒子径の最適値は、分光反射スペクトルの吸
収波長域の最大波長の1/4から最小波長の1/10の
範囲、すなわち150〜50nmの範囲になる。
【0022】本発明の擬1次元結晶性マジェンタ有機顔
料の粒子は、従来のインク組成物に含まれる顔料の粒子
(例えば1000〜5000nm)と比べて非常に微細
であり、このように顔料の粒子径を限定することによっ
て本発明のより優れた効果(例えば、滲み特性、裏写り
特性、保存安定性)が発揮される。
【0023】本発明の擬1次元結晶性マジェンタ有機顔
料の体積平均粒子径が、その顔料の有する吸収波長域の
最大波長の1/2以下、特に1/4以下になるほど透明
になる。このことは、色重ねを行ったときに高品質(高
精細、高彩度)の記録を実現するために特に重要な特性
となる。また、擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料の体
積平均粒子径が1/10未満では光散乱がほとんどない
レイリー散乱領域に入り、粒子のブラウン運動による分
散液中での安定性の点で200nm以下の領域が望まれ
ることから、擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料の体積
平均粒子径はこの範囲が好ましい。このような擬1次元
結晶性マジェンタ有機顔料を用いることにより、高彩度
の発色が得られる安定なインク組成物が得られる。ま
た、本発明の擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料の粒子
は、全粒子の90%以上が本発明において規定する体積
平均粒子径の範囲に含まれ、かつその分布が単一のピー
クであることが好ましい。
【0024】現実には理想的な分光反射スペクトルを示
す擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料は存在しないの
で、分光反射スペクトルの吸収波長域の実測値の最大波
長λ1および最小波長λ2を基準として、擬1次元結晶性
マジェンタ有機顔料の体積平均粒子径の最適範囲を特定
してもよい。すなわち、擬1次元結晶性マジェンタ有機
顔料の体積平均粒子径を、分光反射スペクトルにおける
吸収波長域の実測値の最大波長λ1および最小波長λ2
λ1/4からλ2/10の範囲と特定してもよい。なお、
ここで言う最大/最小波長は、吸収極大を可視光領域
(400〜700nm)にもつ場合には、その吸収スペ
クトルの1次微分係数の絶対値が最大となる位置での接
線と波長軸の交点で定義される(図6参照)。
【0025】本発明の擬1次元結晶性マジェンタ有機顔
料は、pH3〜11の液体中でζ(ゼータ)電位の等電
点を有さないのが好ましい。ζ電位が等電点を有する場
合には、インク組成物中に擬1次元結晶性マジェンタ有
機顔料が安定に存在しないので好ましくない。
【0026】本発明の擬1次元結晶性マジェンタ有機顔
料は、例えば、通常の結晶性マジェンタ有機顔料を化学
的処理および/または物理的処理により改質することに
より製造することができる。この処理は粒子表面のみの
改質には止まらず、結晶格子を大きく歪ませる程度まで
改質するものであり、処理方法によっては同時に親水性
も付与される。
【0027】擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料を製造
するための化学的処理および/または物理的処理として
は、酸素雰囲気での紫外線照射(例えば、酸素ガス雰囲
気中で低圧水銀ランプ(λ:185nm)を照射する方
法)、反応性プラズマガス中での暴露(例えば、真空下
で低圧酸素ガスのグロー放電プラズマ中に暴露する方
法)および酸処理(例えば、大気下、湿式で、発煙硫酸
やクロロスルホン酸で処理する方法)が挙げられるが、
擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料が最も得られやすい
ことから、酸処理が好ましい。酸処理としては、例え
ば、結晶性マジェンタ有機顔料と顔料重量の10〜50
倍程度の濃硫酸(98%)とを0.5〜3時間程度攪拌
し、得られた混合溶液を0℃程度の水中に急速に滴下攪
拌する方法が挙げられる。
【0028】上記の改質処理では、有機顔料の耐性が求
められる。つまり、顔料によっては改質処理中に分解し
たり変色することもあるので、処理条件を最適化すると
共に耐性のある顔料の選定が重要となる。
【0029】このような顔料としては、例えば、印刷イ
ンク、トナー、塗料などの着色剤として用いられるナフ
トールAS―ベンズイミダゾロン顔料などの結晶性マジ
ェンタ有機顔料が挙げられる。これらの顔料を上記の処
理に付すことにより、本発明の着色剤、すなわち擬1次
元結晶性マジェンタ有機顔料が得られる。
【0030】処理に付される結晶性マジェンタ有機顔料
の具体例を示す。マジェンタ顔料としては、C.I.ピグメ
ントレッド175、C.I.ピグメントレッド176および
C.I.ピグメントレッド185のようなナフトールAS―
ベンズイミダゾロン顔料などが挙げられる。
【0031】本発明のインク組成物は、上記の擬1次元
結晶性マジェンタ有機顔料からなる着色剤を主成分とし
て含む。着色剤はその1種を単独で、または2種以上を
適宜組み合わせて用いられる。その含有量は、1〜10
重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。着色
剤が1重量%未満の場合には、印字濃度が低くなるので
好ましくない。また、着色剤が10重量%を超える場合
には、粘度が高く、分散安定性に劣るので好ましくな
い。
【0032】本発明のインク組成物は、上記の擬1次元
結晶性マジェンタ有機顔料からなる着色剤を主成分と
し、さらにpH調整剤、目詰まり防止剤、湿潤剤、浸透
剤などが添加されてなる。
【0033】pH調整剤の好ましい例としては、尿素、
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3
−ジメチル−イミダゾリジノン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミンなどの含窒素有機溶剤が挙げられ
る。これらの含窒素有機溶剤はインクの乾燥に伴う目詰
まり防止剤としても機能し、有効に用いられる。インク
組成物への含窒素有機溶剤の添加量は、1〜10重量%
程度、好ましくは2〜8重量%である。
【0034】湿潤剤は、インク組成物の保存安定性、記
録特性およびメディアに対する定着性の向上にも寄与す
る。また、含窒素有機溶剤と同様に、インクの乾燥によ
るノズルやオリフィスでの目詰まり防止剤としても機能
する。インク組成物への湿潤剤の添加量は、0.5〜4
0重量%程度、好ましくは3〜10重量%である。
【0035】湿潤剤の好ましい例としては、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタエチ
レングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエ
チレングリコール、オクタエチレングリコール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサン
トリオール、チオグリコール、へキシレングリコール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが
挙げられる。
【0036】さらに、上記の湿潤剤に加えて、インク組
成物には低沸点有機溶剤を添加するのが好ましい。イン
ク組成物への低沸点有機溶剤の添加量は、0.5〜10
重量%程度、好ましくは1.5〜6重量%である。低沸
点有機溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−
ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノー
ル、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどの1
級、2級および3級アルコールが挙げられ、特に1級ア
ルコールが好ましい。
【0037】浸透剤は、乾燥性を早めるだけではなく、
メディア表面に着色剤を効率的に定着させたり、あるい
は普通紙において滲みを防止するといった重要な役割を
果たす。インク組成物への浸透剤の添加量は、0.1〜
5重量%程度、好ましくは0.5〜4重量%である。な
お、浸透剤の添加量が前記の範囲外の場合には、乾燥
性、滲み防止の効果が劣化するので好ましくない。
【0038】浸透剤の好ましい例としては、エチレング
リコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール
−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−
ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエ
ーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル
などのグリコールエーテル類、アニオン型であるパーフ
ルオロアルキルスルホン酸アンモニウム塩、パーフルオ
ロアルキルスルホン酸カリウム塩、パーフルオロアルキ
ルカルボン酸カリウム塩、ないしはノニオン型であるパ
ーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、パ
ーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素化アルキ
ルエステルなどのフッ素系界面活性剤などが挙げられる
が、表面張力を低下させる機能をもつものであれば、こ
れらに限定されるものではない。
【0039】さらに、上記の浸透剤に加えて浸透性を制
御するために、インク組成物には界面活性剤、特にノニ
オン性界面活性剤を添加するのが好ましい。インク組成
物への界面活性剤の添加量は、0.1〜5重量%程度、
好ましくは0.5〜4重量%である。なお、界面活性剤
の添加量が前記の範囲外の場合には、滲み、裏写りが大
きくなるので好ましくない。カチオン界面活性剤および
アニオン界面活性剤は、本発明の着色剤との組み合わせ
において、泡立ちし易く、分散安定性が劣化し易く、裏
写りが大きくなり易いので好ましくない。
【0040】ノニオン性界面活性剤の好ましい例として
は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシ
エチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチ
ルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテルなどのアルキルフェノール型、ポ
リオキシエチレンモノステアレートなどのアルキルエス
テル型、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノ
ラウレートなどのソルビタンエステル型、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレートなどのソルビタンエス
テルエーテル型が挙げられる。
【0041】本発明のインク組成物には、さらにインク
の諸物性を改善するために必要に応じて適当な調整剤を
添加することができる。物性調整剤としては、例えば、
粘度調整剤、防カビ剤、防腐剤などが挙げられる。
【0042】本発明のインク組成物は、上記の各成分を
適宜、適当な方法で水に分散あるいは混合することによ
って調製することができる。凝集状態の本発明の擬1次
元結晶性マジェンタ有機顔料を、本発明において規定す
る体積平均粒子径の微粒子にまで分散する方法として
は、ダイノミル分散法、ペイントシェーカー分散法、ボ
ールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散
法、ビーズミル分散法、超音波分散法などの通常の方法
を採用することができる。
【0043】本発明によれば、色濃度の高い記録を実現
すると同時に、着色剤粒子の光散乱を制御することで鮮
やかな色再現(高彩色記録)も得られ、かつ普通紙に記
録した場合でも滲みと裏写りが極めて少なく、良好な擦
過性を有する記録が得られる。また、本発明によれば、
インク組成物の分散安定性、保存安定性も向上する。
【0044】本発明のインク組成物を用いることによ
り、極めて品質の高い記録を実現でき、かつそれを用い
た記録装置が得られる。すなわち、本発明のインク組成
物と、イエロー系インク組成物、シアン系インク組成
物、ブルー系インク組成物、グリーン系インク組成物お
よびレッド系インク組成物から選択されるインク組成物
とを組み合わせて使用することを特徴とする記録装置を
提供することができる。本発明のインク組成物以外のイ
ンク組成物としては、公知のものを用いることができ
る。記録装置としては、インクジェットプリンターのよ
うな公知の装置を用いることができる。
【0045】
【実施例】本発明を製造例、比較製造例、実施例および
比較例に基づいてさらに具体的に説明するが、これらの
製造例および実施例により本発明が限定されるものでは
ない。
【0046】製造例において得られた擬1次元結晶性マ
ジェンタ有機顔料、比較例において用いた顔料のX線回
折パターンを、マックサイエンス社製の粉末X線回折装
置MXP−18(X線源:CuKα=0.15405n
m)を用いて測定した。また、製造例1において得られ
た擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料の分光反射スペク
トルを、日本平板機材株式会社製の分光測色計X−Ri
te938を用いて測定した。
【0047】製造例および比較製造例において得られた
顔料の水分散体のζ電位を、大塚電子株式会社製の電気
泳動光散乱光度計ELS−8000を用いて測定した。
具体的には、得られた顔料を水に分散し、pHを3、
5,7、9および11に調整して、各pHにおけるζ電
位を上記の装置で測定した。
【0048】(製造例1)40℃前後に加熱した濃硫酸
(98%)約100gに、C.I.ピグメントレッド185
を5g加え、40分間攪拌後、0℃の水中に急速に滴下
攪拌して、擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料を得た。
得られた顔料の分光反射スペクトルおよびX線回折スペ
クトルをそれぞれ図1の(b)および図2に示す。X線
回折スペクトルでは、ブラッグ角(2θ±0.2°)
5.7°に最大回折ピーク(半値全幅(FWHM)=
0.6°)を示し、2次の回折ピークが11.4°に観
測された。最大および2次の回折ピークの強度比は、
0.56であった。
【0049】また、得られた顔料の水分散体のζ電位測
定では、図3に示すようにpH3〜11において等電点
は観測されなかった。一方、原料であるC.I.ピグメント
レッド185の水分散体のζ電位測定では、図4に示す
ように中性域に等電点が観測された。このことから製造
例1の顔料は、原料の顔料に比べて、水に対する分散安
定性に優れていることがわかる。
【0050】(製造例2)攪拌時間を120分間とする
こと以外は、製造例1と同様にして、擬1次元結晶性マ
ジェンタ有機顔料を得た。得られた顔料のX線回折スペ
クトルでは、ブラッグ角(2θ±0.2°)5.7°に
最大回折ピーク(FWHM=0.6°)を示し、2次の
回折ピークが11.5°に観測された。最大および2次
の回折ピークの強度比は、0.36であった。また、得
られた顔料の水分散体のζ電位測定では、pH3〜11
において等電点は観測されず、安定であった。
【0051】(比較製造例1)顔料としてC.I.ピグメン
トレッド122を用いる以外は、製造例1と同様にし
て、擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料を得た。得られ
た顔料のX線回折スペクトルでは、ブラッグ角(2θ±
0.2°)5.7°に最大回折ピーク(FWHM=0.
7°)を示したが、2次の回折ピークは観測されなかっ
た。また、用いた顔料の水分散体のζ電位測定では、p
H3〜11において等電点は観測されず、安定であっ
た。
【0052】(比較製造例2)40℃前後に加熱した濃
硫酸(98%)約100gに、C.I.ピグメントレッド1
85を5g加え、120分間攪拌後、0℃の水中に急速
に滴下攪拌して、擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料を
得た。得られた顔料のX線回折スペクトルを図5に示
す。X線回折スペクトルでは、ブラッグ角(2θ±0.
2°)5.7°に最大回折ピーク(FWHM=0.6
°)を示し、2次のブロードな回折ピークが11.5°
に観測されたが、最大および2次の回折ピークの強度比
は、0.152であった。また、得られた顔料の水分散
体のζ電位測定では、pH3〜11において等電点は観
測されず、安定であった。
【0053】(比較製造例3)40℃前後に加熱した濃
硫酸(98%)約100gに、C.I.ピグメントレッド1
85を5g加え、120分間攪拌後、0℃の水中に急速
に滴下攪拌して、擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料を
得た。得られた顔料X線回折スペクトルでは、ブラッグ
角(2θ±0.2°)5.7°に最大回折ピーク(FW
HM=0.7°)を示したが、2次の回折ピークは観測
されなかった。また、得られた顔料の水分散体のζ電位
測定では、pH3〜11において等電点は観測されず、
安定であった。
【0054】(比較製造例4)顔料として比較的耐光性
の弱い顔料(C.I.ピグメントマジェンタなど)を製造例
1〜2と同様にして処理したが、何れの改質技術におい
ても、本発明に使用できる擬1次元結晶性マジェンタ有
機顔料を得ることができなかった。
【0055】 (実施例1) 製造例1の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントレッド185 1.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残部
【0056】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は104nmであった。
【0057】 (実施例2) 製造例1の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントレッド185 2.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残部
【0058】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は115nmであった。
【0059】 (実施例3) 製造例2の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントレッド185 1.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残部
【0060】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は109nmであった。
【0061】 (比較例1) 結晶性顔料C.I.ピグメントレッド185 1.5重量% ソルスパース27000 2.5重量部 ジプロピレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% n−プロパノール 2重量% 尿素 5重量% イオン交換水 残部
【0062】ジプロピレングリコール、テトラプロピレ
ングリコール、n−プロパノール、尿素を除く前記成分
を混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径0.8mmのガラスビーズと共に1
2時間分散処理を施し、ガラスビーズを除去後、残りの
構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィルタ
ーで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組成
物中での顔料の体積平均粒子径は88nmであった。
【0063】用いた顔料のX線回折スペクトルでは、ブ
ラッグ角(2θ±0.2°)8.5°に最大回折ピーク
(FWHM=0.6°)を示したが、2次の回折ピーク
は観測されなかった。また、用いた顔料の水分散体のζ
電位測定では、pH7において等電点が観測された(図
4参照)。
【0064】 (比較例2) 比較製造例1の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントレッド122 1.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% イオン交換水 残部
【0065】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径2mmのジルコニアビーズと共に1時間
分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構
成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィルター
で濾過してインク組成物を得た。得られたインク組成物
中での顔料の体積平均粒子径は201nmであった。
【0066】 (比較例3) 比較製造例2の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントレッド185 1.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残部
【0067】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は95nmであった。
【0068】 (比較例4) 比較製造例3の擬1次元結晶性顔料C.I.ピグメントレッド185 1.5重量% ジエチレングリコール 5重量% テトラプロピレングリコール 5重量% トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量% n−プロパノール 3重量% 尿素 5重量% ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量% イオン交換水 残部
【0069】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は74nmであった。
【0070】実施例および比較例で得られたインク組成
物の特性を、それぞれ以下に示す方法で評価した。
【0071】(A)反射濃度 各インク組成物を一定量(1.0ml)採取し、専用コ
ート紙(RW−P4A4)上にアプリケータ塗布したも
のを乾燥して、反射濃度測定用サンプルを得た。得られ
たサンプルについて、濃度計RD−918(マクベス社
製)を用いて、反射濃度を測定した。反射濃度が1.2
以上の値であれば、印字濃度が高い良好なものと評価し
た。
【0072】(B)裏写り 反射濃度測定用サンプルと同様にして、インク組成物を
普通紙(SF−4AM3)上に塗布したものを乾燥し
て、裏写り評価用サンプルを得た。得られたサンプルの
裏面(インク組成物を塗布していない面)の反射濃度
を、濃度計RD−918(マクベス社製)を用いて測定
し、裏写りの程度を評価した。反射濃度が0.12以下
の値であれば、両面印刷が可能と評価した。
【0073】(C)色特性 反射濃度測定用サンプルについて、分光測色計(Spectr
odensitometer)X−Rite938(日本平版機材株
式会社製)を用いて、L***表色系における色特性
(明度、色度)を評価した。色の鮮やかさ(彩度C*
は、次式により求めた。彩度が52以上の値であれば、
高品質な記録が得られると評価した
【0074】
【数1】
【0075】(D)滲み特性 自動接触角計(協和界面科学株式会社製)を流用し、一
定量のインク組成物(0.7μl)を普通紙(SF−4
AM3)面に付着させて、紙面上での広がり(ドット
径)を測定し、紙面上でのドットの真円度の基準として
その標準偏差を求め、以下の基準により滲み特性を評価
した。 ◎ :広がりが1.5mm以下のもの ○ :広がりが2.5mm以下のもの × :広がりが2.5mmを超えるもの (△):標準偏差が0.2以上となるもの(真円度が悪
いもの)
【0076】(E)保存安定性 各インク組成物(約20ml)をラボランスクリュー管
瓶に入れ、60℃で1ヶ月の保存テストを実施した。1
ヶ月後に動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500
(株式会社堀場製作所製)を用いて、顔料の粒子径を測
定した。得られた結果と予め測定しておいた保存テスト
前の粒子径とから変化率を求め、以下の基準により保存
安定性を評価した。 ◎ :変化率が15%以下のもの ○ :変化率が20%以下のもの △ :変化率が30%以下のもの × :変化率が30%を超えるもの
【0077】(F)耐光性 反射濃度測定サンプルを、耐光性試験機Q−SUN X
enon TestChamberに設置し、0.35
W/m2(λ=340nm)の光を300時間照射し
て、試験前後のΔEを測定した。ΔEが15未満の値で
あれば、標準の耐光性を確保できると評価した。
【0078】以上の評価結果をまとめて表1および表2
に示す。表1の回折強度比および粒子サイズについて、
本発明の各基準に適合するものに「○」、適合しないも
のに「×」を付す。また、表2の反射濃度、裏写りおよ
び彩度について、上記の各基準に適合するものに
「○」、適合しないものに「×」を付す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】この結果より明らかなように、本発明の実
施例では、低顔料濃度で、高い反射濃度と色の鮮やかさ
が得られ、普通紙に対する滲みと裏写りが少なく、かつ
保存安定性にも優れたインク組成物が得られることがわ
かった。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、X線回折スペクトルに
おいて、最大強度を示す回折線とそのn次(n:2以上
の整数)の回折線を主要ピークとして有し、かつ最大強
度を示す回折線と2次の回折線の強度比(I2/I0)が
0.2以上である擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料か
らなる着色剤を主成分として含むインク組成物を用いる
ことにより、従来の有機顔料を用いたインク組成物の堅
牢な耐光性がやや弱くなるものの、欠点であったくすん
だ色しか再現できないという課題が克服でき、低顔料濃
度で高い発色性が得られる。また、粒子サイズの最適化
は、色合い、鮮やかさへの効果のみならず、普通紙への
滲み防止、裏写り防止および耐擦過性の効果も期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】着色剤の理想的な分光反射スペクトル(a)と
製造例1の擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料の分光反
射スペクトル(b)を示す図である。
【図2】製造例1の擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料
のX線回折スペクトルを示す図である。
【図3】製造例1の擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料
についての水分散体のζ電位の測定結果を示す図であ
る。
【図4】製造例1で用いた原料顔料についての水分散体
のζ電位の測定結果を示す図である。
【図5】比較製造例2の擬1次元結晶性マジェンタ有機
顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【図6】分光反射スペクトルの吸収波長域の実測値の最
大波長λ1および最小波長λ2の決定法を示す略図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09B 67/20 C09D 11/00 C09D 11/00 B41J 3/04 101Y (72)発明者 紀川 敬一 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 堀内 貴洋 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA04 EA13 FC02 2H086 BA55 BA60 BA62 4J039 BE01 BE22 BE30 BE33 CA06 EA15 EA16 EA17 EA20 EA35 EA36 EA38 EA47 GA26

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線回折スペクトルにおいて、最大強度
    を示す回折線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線
    を主要ピークとして有し、かつ最大強度を示す回折線
    (I0)と2次の回折線(I2)との強度比(I2/I0
    が0.2以上である擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料
    からなることを特徴とする着色剤。
  2. 【請求項2】 擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料が、
    分光反射スペクトルにおける所望の吸収波長域の最大波
    長の1/4から最小波長の1/10の範囲の体積平均粒
    子径を有する請求項1に記載の着色剤。
  3. 【請求項3】 擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料が、
    分光反射スペクトルにおける吸収波長域の実測値の最大
    波長λ1および最小波長λ2のλ1/4からλ2/10の範
    囲の体積平均粒子径を有する請求項1に記載の着色剤。
  4. 【請求項4】 擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料が、
    pH3〜11の液体中でζ電位の等電点を有さない請求
    項1〜3のいずれか1つに記載の着色剤。
  5. 【請求項5】 擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料が、
    結晶性マジェンタ有機顔料を化学的処理および/または
    物理的処理により改質された顔料である請求項1〜4の
    いずれか1つに記載の着色剤。
  6. 【請求項6】 擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料が、
    C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド1
    76およびC.I.ピグメントレッド185から選択された
    結晶性マジェンタ有機顔料を改質することにより得られ
    た顔料である請求項1〜5のいずれか1つに記載の着色
    剤。
  7. 【請求項7】 擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料が、
    CuKα線(0.15405nm)を用いたX線回折ス
    ペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)5.
    7°に最大回折ピークおよび11.5°に2次の回折ピ
    ークを有し、かつその体積平均粒子径が50〜150n
    mの範囲にある請求項1〜6のいずれか1つに記載の着
    色剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1つに記載の着
    色剤を主成分として含むインク組成物。
  9. 【請求項9】 着色剤の含有量が、1〜10重量%であ
    る請求項8に記載のインク組成物。
  10. 【請求項10】 擬1次元結晶性マジェンタ有機顔料を
    含む請求項7または8に記載のインク組成物と、イエロ
    ー系インク組成物、シアン系インク組成物、ブルー系イ
    ンク組成物、グリーン系インク組成物およびレッド系イ
    ンク組成物から選択されるインク組成物とを組み合わせ
    て使用することを特徴とする記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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