JP2003012959A - 着色剤およびそれを含むインク組成物ならびにそれを用いた記録装置 - Google Patents
着色剤およびそれを含むインク組成物ならびにそれを用いた記録装置Info
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- JP2003012959A JP2003012959A JP2001202412A JP2001202412A JP2003012959A JP 2003012959 A JP2003012959 A JP 2003012959A JP 2001202412 A JP2001202412 A JP 2001202412A JP 2001202412 A JP2001202412 A JP 2001202412A JP 2003012959 A JP2003012959 A JP 2003012959A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 普通紙記録に対して滲み、裏写りがなく、耐
水性・耐光性・耐擦過性に優れ、色濃度の高い高品質
(高精細、高彩度)記録が可能な自己分散型カラー有機
顔料を含む水性のインク組成物およびそれを用いた両面
同時印写の可能な記録装置を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 結晶性カラー有機顔料を化学的処理およ
び/または物理的処理で改質することにより得られ、紫
外線可視吸収スペクトルにおいて、改質前と比較して短
波長側にシフトした分光吸収波長の極大ピークを有し、
かつX線回折スペクトルにおいて、最大強度を示す回折
線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線を主要ピー
クとする擬1次元結晶性を有する自己分散型カラー有機
顔料からなることを特徴とする着色剤により、上記の課
題を解決する。
水性・耐光性・耐擦過性に優れ、色濃度の高い高品質
(高精細、高彩度)記録が可能な自己分散型カラー有機
顔料を含む水性のインク組成物およびそれを用いた両面
同時印写の可能な記録装置を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 結晶性カラー有機顔料を化学的処理およ
び/または物理的処理で改質することにより得られ、紫
外線可視吸収スペクトルにおいて、改質前と比較して短
波長側にシフトした分光吸収波長の極大ピークを有し、
かつX線回折スペクトルにおいて、最大強度を示す回折
線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線を主要ピー
クとする擬1次元結晶性を有する自己分散型カラー有機
顔料からなることを特徴とする着色剤により、上記の課
題を解決する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式の記録(印刷)に好適な自己分散型カラー有機顔
料からなる着色剤およびそれを含むインク組成物ならび
にそれを用いた記録装置に関する。なお、本発明のイン
ク組成物は、各種マーキング用具や器具の着色剤として
も好適に使用できる。
録方式の記録(印刷)に好適な自己分散型カラー有機顔
料からなる着色剤およびそれを含むインク組成物ならび
にそれを用いた記録装置に関する。なお、本発明のイン
ク組成物は、各種マーキング用具や器具の着色剤として
も好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の機構
によりインクの小滴を吐出させ、その小滴をメディア上
に付着させ、ドットを形成して画像を記録する方式であ
る。このため、記録時の騒音が少ない、フルカラー化が
容易である、現像および定着が不要であり高速記録が可
能であるなどの特長を有している。近年、このインクジ
ェット記録方式は、ディスプレイなどに表示されたカラ
ー画像、各種図形、カラー原稿などを印刷する方法とし
て注目され、急速に普及している。
によりインクの小滴を吐出させ、その小滴をメディア上
に付着させ、ドットを形成して画像を記録する方式であ
る。このため、記録時の騒音が少ない、フルカラー化が
容易である、現像および定着が不要であり高速記録が可
能であるなどの特長を有している。近年、このインクジ
ェット記録方式は、ディスプレイなどに表示されたカラ
ー画像、各種図形、カラー原稿などを印刷する方法とし
て注目され、急速に普及している。
【0003】インクジェット記録方式の記録に用いられ
るインクは、メディア上では速やかに乾燥定着し、ノズ
ル内では乾燥しにくく、ノズル詰まりを起こしにくいと
いう矛盾した特性が要求される。また、基本性能として
保存安定性や安全性も要求される。さらに、メディアの
種類によって、インクの浸透・吸収状態が大きく異なる
ため、使用できる紙が制限されるなどの問題点がある。
特に、近年ではオフィスで一般に使用されているコピー
用紙、レポート用紙、ノート、便箋などのいわゆる普通
紙に対しても良好な記録を行えることが要求され、上記
の問題点についての早急な改善が望まれている。
るインクは、メディア上では速やかに乾燥定着し、ノズ
ル内では乾燥しにくく、ノズル詰まりを起こしにくいと
いう矛盾した特性が要求される。また、基本性能として
保存安定性や安全性も要求される。さらに、メディアの
種類によって、インクの浸透・吸収状態が大きく異なる
ため、使用できる紙が制限されるなどの問題点がある。
特に、近年ではオフィスで一般に使用されているコピー
用紙、レポート用紙、ノート、便箋などのいわゆる普通
紙に対しても良好な記録を行えることが要求され、上記
の問題点についての早急な改善が望まれている。
【0004】ここで、インクの好ましい条件を列挙す
る。 (1)メディア、特に普通紙に対して定着性が良好で、
印刷物を印刷直後に擦っても汚れたりせず、定着後の擦
過性が良好なこと (2)記録休止中、キャップをしない状態で放置されて
も、記録再開時直後から安定した吐出が得られること、
すなわち吐出口(オリフィス)付近のインクが乾燥しに
くく、目詰まりを生じないこと
る。 (1)メディア、特に普通紙に対して定着性が良好で、
印刷物を印刷直後に擦っても汚れたりせず、定着後の擦
過性が良好なこと (2)記録休止中、キャップをしない状態で放置されて
も、記録再開時直後から安定した吐出が得られること、
すなわち吐出口(オリフィス)付近のインクが乾燥しに
くく、目詰まりを生じないこと
【0005】(3)普通紙に対して、不定形または不規
則な滲みのない高品位な画像が得られること (4)微細な吐出口から液滴が常時安定して吐出され、
目詰まりを生じないこと (5)保存安定性が良好で、長時間にわたり初期性能が
保持されること (6)毒性などの点で安全性に優れること
則な滲みのない高品位な画像が得られること (4)微細な吐出口から液滴が常時安定して吐出され、
目詰まりを生じないこと (5)保存安定性が良好で、長時間にわたり初期性能が
保持されること (6)毒性などの点で安全性に優れること
【0006】インクは、着色剤としての染料または顔料
とそれを溶解または分散させるための溶媒を主成分とす
る組成物であり、必要に応じて各種添加剤が含まれて
る。また、10〜60μmの微細な吐出口からインクを
吐出させるために、オフィス、パーソナル分野向けのイ
ンクでは、酸性染料といった水溶性染料が主に用いられ
ている。これは、水溶性染料が色調、彩度、色再現域な
どの点で顔料よりも優れ、長期保存性などの面でインク
設計が容易なためである。
とそれを溶解または分散させるための溶媒を主成分とす
る組成物であり、必要に応じて各種添加剤が含まれて
る。また、10〜60μmの微細な吐出口からインクを
吐出させるために、オフィス、パーソナル分野向けのイ
ンクでは、酸性染料といった水溶性染料が主に用いられ
ている。これは、水溶性染料が色調、彩度、色再現域な
どの点で顔料よりも優れ、長期保存性などの面でインク
設計が容易なためである。
【0007】しかしながら、水溶性染料を用いたインク
は乾燥性が悪いという欠点がある。したがって、このよ
うなインクの場合には、ドットを形成させる際に、メデ
ィアに付着したインクの乾燥速度が早いこと、印字濃度
が高いことおよびドットの広がりや滲みが少ないことな
どが要求される。
は乾燥性が悪いという欠点がある。したがって、このよ
うなインクの場合には、ドットを形成させる際に、メデ
ィアに付着したインクの乾燥速度が早いこと、印字濃度
が高いことおよびドットの広がりや滲みが少ないことな
どが要求される。
【0008】一方、耐水性、耐光性に優れた顔料を用い
たインクでは、デザイン、ディスプレイ市場向けの大判
印刷の分野において実用化が進んでいる。しかし、多種
多様なメディアに高画質の出力が求められるオフィス、
パーソナル分野向けへの応用は困難な状況にある。
たインクでは、デザイン、ディスプレイ市場向けの大判
印刷の分野において実用化が進んでいる。しかし、多種
多様なメディアに高画質の出力が求められるオフィス、
パーソナル分野向けへの応用は困難な状況にある。
【0009】着色剤として顔料を用いた水性インクとし
ては、例えば、比較的極性の高い多孔質のカーボンブラ
ックを用いたもの(特開平8−3498号公報および特
表平10−510862号公報参照)、マイクロカプセ
ル化有機顔料を用いたもの(特開平9−151342号
公報および特開平10−140065号公報参照)があ
るが、彩度、乾燥速度、耐擦過性などの点で未だ充分と
は言えない。
ては、例えば、比較的極性の高い多孔質のカーボンブラ
ックを用いたもの(特開平8−3498号公報および特
表平10−510862号公報参照)、マイクロカプセ
ル化有機顔料を用いたもの(特開平9−151342号
公報および特開平10−140065号公報参照)があ
るが、彩度、乾燥速度、耐擦過性などの点で未だ充分と
は言えない。
【0010】顔料系のインクでは、長期間安定に溶媒中
に顔料を分散させること(保存安定性)、記録装置のノ
ズルの目詰まりがないことが特に求められる。例えば、
特開平6−212106号公報には、高分子分散剤、界
面活性剤などの分散剤などを用いて溶媒中に顔料を分散
させる技術が開示されている。しかしながら、このよう
な分散剤の添加は、一般にインクの泡立ちの原因とな
り、インクの吐出過程に影響を及ぼし、その結果、印字
ムラを引き起こすという問題がある。
に顔料を分散させること(保存安定性)、記録装置のノ
ズルの目詰まりがないことが特に求められる。例えば、
特開平6−212106号公報には、高分子分散剤、界
面活性剤などの分散剤などを用いて溶媒中に顔料を分散
させる技術が開示されている。しかしながら、このよう
な分散剤の添加は、一般にインクの泡立ちの原因とな
り、インクの吐出過程に影響を及ぼし、その結果、印字
ムラを引き起こすという問題がある。
【0011】特許第3000672号公報には、分散質
としての着色成分(着色剤)の粒子径ならびに分散媒の
表面張力特性を特定の範囲に制御することにより滲みの
発生を抑えたインクジェット記録用インクが開示されて
いる。しかしながら、上記の公報には、紫外線可視吸収
スペクトルにおいて、改質前と比較して短波長側にシフ
トした分光吸収波長の極大ピークを有し、かつX線回折
スペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次
(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとする擬1
次元結晶性を有する自己分散型カラー有機顔料を着色剤
として用いるという技術思想はない。
としての着色成分(着色剤)の粒子径ならびに分散媒の
表面張力特性を特定の範囲に制御することにより滲みの
発生を抑えたインクジェット記録用インクが開示されて
いる。しかしながら、上記の公報には、紫外線可視吸収
スペクトルにおいて、改質前と比較して短波長側にシフ
トした分光吸収波長の極大ピークを有し、かつX線回折
スペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次
(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとする擬1
次元結晶性を有する自己分散型カラー有機顔料を着色剤
として用いるという技術思想はない。
【0012】耐光性に優れた顔料を着色剤として使用す
れば耐水性・耐光性は容易に達成できるが、インクジェ
ット記録方式のインクとしては、安定なインクの吐出の
確保、インクの保存安定性、メディア表面への定着性が
問題となる。また、高い色濃度と耐擦過性の確保も未だ
達成できていない。さらに、顔料を着色剤とし、1次色
としてシアン顔料、マジェンタ顔料、イエロー顔料の3
色を基本とすると、混色による濁りが発生し易く、高彩
色な記録は実現できていないのが現状である。
れば耐水性・耐光性は容易に達成できるが、インクジェ
ット記録方式のインクとしては、安定なインクの吐出の
確保、インクの保存安定性、メディア表面への定着性が
問題となる。また、高い色濃度と耐擦過性の確保も未だ
達成できていない。さらに、顔料を着色剤とし、1次色
としてシアン顔料、マジェンタ顔料、イエロー顔料の3
色を基本とすると、混色による濁りが発生し易く、高彩
色な記録は実現できていないのが現状である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、普通紙記録
に対して滲み、裏写りがなく、耐水性・耐光性・耐擦過
性に優れ、色濃度の高い高品質(高精細、高彩度)記録
が可能な自己分散型カラー有機顔料を含む水性のインク
組成物およびそれを用いた両面同時印写の可能な記録装
置を提供することを課題とする。
に対して滲み、裏写りがなく、耐水性・耐光性・耐擦過
性に優れ、色濃度の高い高品質(高精細、高彩度)記録
が可能な自己分散型カラー有機顔料を含む水性のインク
組成物およびそれを用いた両面同時印写の可能な記録装
置を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、紫外線可視
吸収スペクトルにおいて、改質前と比較して短波長側に
シフトした分光吸収波長の極大ピークを有し、かつX線
回折スペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とその
n次(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとする
擬1次元結晶性を有する自己分散型カラー有機顔料から
なる着色剤を主成分として含むインク組成物を用いるこ
とによって、上記の課題を解決できることを見出し、本
発明を完成するに到った。また、本発明者らは、表面改
質技術を用いて親水化を施す過程で上記の条件を満たす
自己分散型を有するカラー有機顔料が得られることを見
出した。
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、紫外線可視
吸収スペクトルにおいて、改質前と比較して短波長側に
シフトした分光吸収波長の極大ピークを有し、かつX線
回折スペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とその
n次(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとする
擬1次元結晶性を有する自己分散型カラー有機顔料から
なる着色剤を主成分として含むインク組成物を用いるこ
とによって、上記の課題を解決できることを見出し、本
発明を完成するに到った。また、本発明者らは、表面改
質技術を用いて親水化を施す過程で上記の条件を満たす
自己分散型を有するカラー有機顔料が得られることを見
出した。
【0015】さらに、本発明者らは、自己分散型カラー
有機顔料を主成分としたインク組成物を用いると、普通
紙に対する滲みと裏写りが抑止され、1次色として、シ
アン、マジェンタ、イエローの3色に加え、レッド、グ
リーン、ブルーを用いると、色の濁りのない極めて高精
彩な記録装置、さらには両面同時印写の可能な記録装置
が実現できること、本発明のインク組成物は、長期間放
置後もその安定したインク吐出性能の確保を可能にし、
再起動時にノズルの目詰まりがないことを見出し、本発
明を完成するに到った。
有機顔料を主成分としたインク組成物を用いると、普通
紙に対する滲みと裏写りが抑止され、1次色として、シ
アン、マジェンタ、イエローの3色に加え、レッド、グ
リーン、ブルーを用いると、色の濁りのない極めて高精
彩な記録装置、さらには両面同時印写の可能な記録装置
が実現できること、本発明のインク組成物は、長期間放
置後もその安定したインク吐出性能の確保を可能にし、
再起動時にノズルの目詰まりがないことを見出し、本発
明を完成するに到った。
【0016】かくして、本発明によれば、結晶性カラー
有機顔料を化学的処理および/または物理的処理で改質
することにより得られ、紫外線可視吸収スペクトルにお
いて、改質前と比較して短波長側にシフトした分光吸収
波長の極大ピークを有し、かつX線回折スペクトルにお
いて、最大強度を示す回折線とそのn次(n:2以上の
整数)の回折線を主要ピークとする擬1次元結晶性を有
する自己分散型カラー有機顔料からなることを特徴とす
る着色剤が提供される。
有機顔料を化学的処理および/または物理的処理で改質
することにより得られ、紫外線可視吸収スペクトルにお
いて、改質前と比較して短波長側にシフトした分光吸収
波長の極大ピークを有し、かつX線回折スペクトルにお
いて、最大強度を示す回折線とそのn次(n:2以上の
整数)の回折線を主要ピークとする擬1次元結晶性を有
する自己分散型カラー有機顔料からなることを特徴とす
る着色剤が提供される。
【0017】また、本発明によれば、上記の着色剤を主
成分として含むことを特徴とするインク組成物が提供さ
れる。
成分として含むことを特徴とするインク組成物が提供さ
れる。
【0018】また、本発明によれば、(1)自己分散型
イエロー顔料、自己分散型マジェンタ顔料および自己分
散型シアン顔料をそれぞれ別々に含む上記のインク組成
物を組み合わせて使用することを特徴とする記録装置、
および(2)自己分散型イエロー顔料、自己分散型マジ
ェンタ顔料、自己分散型シアン顔料、自己分散型ブルー
顔料、自己分散型グリーン顔料および自己分散型レッド
顔料をそれぞれ別々に含む上記のインク組成物を組み合
わせて使用することを特徴とする記録装置が提供され
る。
イエロー顔料、自己分散型マジェンタ顔料および自己分
散型シアン顔料をそれぞれ別々に含む上記のインク組成
物を組み合わせて使用することを特徴とする記録装置、
および(2)自己分散型イエロー顔料、自己分散型マジ
ェンタ顔料、自己分散型シアン顔料、自己分散型ブルー
顔料、自己分散型グリーン顔料および自己分散型レッド
顔料をそれぞれ別々に含む上記のインク組成物を組み合
わせて使用することを特徴とする記録装置が提供され
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、自己分散型カラー有機顔料
からなる着色剤およびそれを用いた水系のインク組成物
について述べるが、これに限定されるものではなく、本
発明の技術思想は非水系のインク組成物にも適用でき
る。
からなる着色剤およびそれを用いた水系のインク組成物
について述べるが、これに限定されるものではなく、本
発明の技術思想は非水系のインク組成物にも適用でき
る。
【0020】本発明の着色剤は、結晶性カラー有機顔料
を化学的処理および/または物理的処理で改質すること
により得られ、紫外線可視吸収スペクトルにおいて、改
質前と比較して短波長側にシフトした分光吸収波長の極
大ピークを有し、かつX線回折スペクトルにおいて、最
大強度を示す回折線とそのn次(n:2以上の整数)の
回折線を主要ピークとする擬1次元結晶性を有する自己
分散型カラー有機顔料からなる。
を化学的処理および/または物理的処理で改質すること
により得られ、紫外線可視吸収スペクトルにおいて、改
質前と比較して短波長側にシフトした分光吸収波長の極
大ピークを有し、かつX線回折スペクトルにおいて、最
大強度を示す回折線とそのn次(n:2以上の整数)の
回折線を主要ピークとする擬1次元結晶性を有する自己
分散型カラー有機顔料からなる。
【0021】本発明の着色剤を構成する自己分散型カラ
ー有機顔料は、上記の条件を備えたイエロー顔料、マジ
ェンタ顔料およびシアン顔料の3原色、さらには補色と
なるブルー顔料、グリーン顔料およびレッド顔料であ
る。
ー有機顔料は、上記の条件を備えたイエロー顔料、マジ
ェンタ顔料およびシアン顔料の3原色、さらには補色と
なるブルー顔料、グリーン顔料およびレッド顔料であ
る。
【0022】このような自己分散型カラー有機顔料は、
紫外線可視吸収スペクトルにおいて、改質前と比較して
短波長側にシフト(ブルーシフト)した分光吸収波長の
極大ピークを有する。そのシフト量は顔料の種類によっ
て異なるが、顔料が所望の色彩を保持しているのであれ
ば特に問題はない。シフト量の好ましい例を表1に示
す。
紫外線可視吸収スペクトルにおいて、改質前と比較して
短波長側にシフト(ブルーシフト)した分光吸収波長の
極大ピークを有する。そのシフト量は顔料の種類によっ
て異なるが、顔料が所望の色彩を保持しているのであれ
ば特に問題はない。シフト量の好ましい例を表1に示
す。
【0023】また、自己分散型カラー有機顔料は、X線
回折スペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とその
n次(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとする
擬1次元結晶性を有するが、そのX線回折スペクトルは
顔料の種類によって異なる。ここで、「擬1次元結晶」
とは、実質的に1軸方向の周期性が認められる結晶を意
味する。また「主要ピーク」とは、最大強度を示す回折
線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線のピーク面
積が、全回折線のピーク面積の65%以上であることを
意味するが、X線回折スペクトルは、最大強度を示す回
折線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線のみから
なるのが好ましい。
回折スペクトルにおいて、最大強度を示す回折線とその
n次(n:2以上の整数)の回折線を主要ピークとする
擬1次元結晶性を有するが、そのX線回折スペクトルは
顔料の種類によって異なる。ここで、「擬1次元結晶」
とは、実質的に1軸方向の周期性が認められる結晶を意
味する。また「主要ピーク」とは、最大強度を示す回折
線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線のピーク面
積が、全回折線のピーク面積の65%以上であることを
意味するが、X線回折スペクトルは、最大強度を示す回
折線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線のみから
なるのが好ましい。
【0024】自己分散型カラー有機顔料のX線回折スペ
クトルにおける最大強度を示す回折線のブラッグ角(2
θ±0.2°)の好ましい例を表1に示す。なお、この
スペクトルはCuKα線(0.154050nm)を用
いた場合の数値である。
クトルにおける最大強度を示す回折線のブラッグ角(2
θ±0.2°)の好ましい例を表1に示す。なお、この
スペクトルはCuKα線(0.154050nm)を用
いた場合の数値である。
【0025】
【表1】
【0026】本発明の着色剤を構成する自己分散型カラ
ー有機顔料は、分光反射スペクトルにおける所望の吸収
波長域の最大波長と最小波長から導出される特定の範
囲、すなわち最大波長の1/4から最小波長の1/10
の範囲の体積平均粒子径を有しているのが好ましい。こ
こで、「体積平均粒子径」とは、粒子が立方体であると
仮定して、体積の個数平均値を粒子径に換算した値であ
り、電気泳動光散乱計などで測定したデータをもとに求
めることができる。
ー有機顔料は、分光反射スペクトルにおける所望の吸収
波長域の最大波長と最小波長から導出される特定の範
囲、すなわち最大波長の1/4から最小波長の1/10
の範囲の体積平均粒子径を有しているのが好ましい。こ
こで、「体積平均粒子径」とは、粒子が立方体であると
仮定して、体積の個数平均値を粒子径に換算した値であ
り、電気泳動光散乱計などで測定したデータをもとに求
めることができる。
【0027】自己分散型カラー有機顔料の体積平均粒子
径の最適値は、顔料の種類によって異なる。各顔料の所
望の(理想的な)分光反射スペクトルと吸収波長域(可
視光領域)は、図1に示すように波長400nm、50
0nm、600nmおよび700nmを基準として設定
される。図1の(a)、(b)および(c)はそれぞれ
イエロー顔料(ブルー顔料)、マジェンタ顔料(グリー
ン顔料)およびシアン顔料(レッド顔料)の理想的な可
視光の吸収特性を表す。
径の最適値は、顔料の種類によって異なる。各顔料の所
望の(理想的な)分光反射スペクトルと吸収波長域(可
視光領域)は、図1に示すように波長400nm、50
0nm、600nmおよび700nmを基準として設定
される。図1の(a)、(b)および(c)はそれぞれ
イエロー顔料(ブルー顔料)、マジェンタ顔料(グリー
ン顔料)およびシアン顔料(レッド顔料)の理想的な可
視光の吸収特性を表す。
【0028】つまり、各顔料の体積平均粒子径の最適値
は、分光反射スペクトルの各吸収波長域の最大波長の1
/4から最小波長の1/10の範囲であり、表2に示す
ような範囲になる。
は、分光反射スペクトルの各吸収波長域の最大波長の1
/4から最小波長の1/10の範囲であり、表2に示す
ような範囲になる。
【0029】
【表2】
【0030】本発明の自己分散型カラー有機顔料の粒子
は、従来のインク組成物に含まれる顔料の粒子(例えば
1000〜5000nm)と比べて非常に微細であり、
このように顔料の粒子径を限定することによって本発明
のより優れた効果(例えば、滲み特性、裏写り特性、保
存安定性)が発揮される。
は、従来のインク組成物に含まれる顔料の粒子(例えば
1000〜5000nm)と比べて非常に微細であり、
このように顔料の粒子径を限定することによって本発明
のより優れた効果(例えば、滲み特性、裏写り特性、保
存安定性)が発揮される。
【0031】自己分散型カラー有機顔料の体積平均粒子
径が、その顔料の有する吸収波長域の最大波長の1/2
以下、特に1/4以下になるほど透明になる。このこと
は、色重ねを行ったときに高品質(高精細、高彩度)の
記録を実現するために特に重要な特性となる。また、自
己分散型カラー有機顔料の体積平均粒子径が1/10未
満では光散乱がほとんどないレイリー散乱領域に入り、
粒子のブラウン運動による分散液中での安定性の点で2
00nm以下の領域が望まれることから、自己分散型カ
ラー有機顔料の体積平均粒子径はこの範囲が好ましい。
このような自己分散型カラー有機顔料を用いることによ
り、高彩度の発色が得られる安定なインク組成物が得ら
れる。また、本発明の自己分散型カラー有機顔料の粒子
は、全粒子の90%以上が本発明において規定する体積
平均粒子径の範囲に含まれ、かつその分布が単一のピー
クであることが好ましい。
径が、その顔料の有する吸収波長域の最大波長の1/2
以下、特に1/4以下になるほど透明になる。このこと
は、色重ねを行ったときに高品質(高精細、高彩度)の
記録を実現するために特に重要な特性となる。また、自
己分散型カラー有機顔料の体積平均粒子径が1/10未
満では光散乱がほとんどないレイリー散乱領域に入り、
粒子のブラウン運動による分散液中での安定性の点で2
00nm以下の領域が望まれることから、自己分散型カ
ラー有機顔料の体積平均粒子径はこの範囲が好ましい。
このような自己分散型カラー有機顔料を用いることによ
り、高彩度の発色が得られる安定なインク組成物が得ら
れる。また、本発明の自己分散型カラー有機顔料の粒子
は、全粒子の90%以上が本発明において規定する体積
平均粒子径の範囲に含まれ、かつその分布が単一のピー
クであることが好ましい。
【0032】現実には理想的な分光反射スペクトルを示
す自己分散型カラー有機顔料は存在しないので、分光反
射スペクトルの吸収波長域の実測値の最大波長λ1およ
び最小波長λ2を基準として、各自己分散型カラー有機
顔料の体積平均粒子径の最適範囲を特定してもよい。す
なわち、各自己分散型カラー有機顔料の体積平均粒子径
を、分光反射スペクトルにおける吸収波長域の実測値の
最大波長λ1および最小波長λ2のλ1/4からλ2/10
の範囲と特定してもよい。なお、ここで言う最大/最小
波長は、吸収極大を可視光領域(400〜700nm)
にもつ場合には、その吸収スペクトルの1次微分係数の
絶対値が最大となる位置での接線と波長軸の交点で定義
される(図6参照)。
す自己分散型カラー有機顔料は存在しないので、分光反
射スペクトルの吸収波長域の実測値の最大波長λ1およ
び最小波長λ2を基準として、各自己分散型カラー有機
顔料の体積平均粒子径の最適範囲を特定してもよい。す
なわち、各自己分散型カラー有機顔料の体積平均粒子径
を、分光反射スペクトルにおける吸収波長域の実測値の
最大波長λ1および最小波長λ2のλ1/4からλ2/10
の範囲と特定してもよい。なお、ここで言う最大/最小
波長は、吸収極大を可視光領域(400〜700nm)
にもつ場合には、その吸収スペクトルの1次微分係数の
絶対値が最大となる位置での接線と波長軸の交点で定義
される(図6参照)。
【0033】本発明において用いられる自己分散型カラ
ー有機顔料は、通常のカラー有機顔料を化学的処理およ
び/または物理的処理により改質することにより製造す
ることできる。この処理は粒子表面のみの改質には止ま
らず、結晶格子を大きく歪ませる程度まで改質するもの
であり、処理方法によっては同時に親水性も付与され
る。
ー有機顔料は、通常のカラー有機顔料を化学的処理およ
び/または物理的処理により改質することにより製造す
ることできる。この処理は粒子表面のみの改質には止ま
らず、結晶格子を大きく歪ませる程度まで改質するもの
であり、処理方法によっては同時に親水性も付与され
る。
【0034】自己分散型カラー有機顔料を作製するため
の化学的処理および/または物理的処理としては、酸素
雰囲気での紫外線照射(例えば、酸素ガス雰囲気中で低
圧水銀ランプ(λ:185nm)を照射する方法)、反
応性プラズマガス中での暴露(例えば、真空下で低圧酸
素ガスのグロー放電プラズマ中に暴露する方法)および
酸処理(例えば、大気下、湿式で、発煙硫酸やクロロス
ルホン酸で処理する方法)が挙げられるが、自己分散型
カラー有機顔料が最も得られやすいことから、酸処理が
好ましい。酸処理としては、例えば、結晶性カラー有機
顔料と顔料重量の10〜50倍程度の濃硫酸(98%)
とを0.5〜3時間程度攪拌し、得られた混合溶液を0
℃程度の水中に急速に析出攪拌する方法が挙げられる。
の化学的処理および/または物理的処理としては、酸素
雰囲気での紫外線照射(例えば、酸素ガス雰囲気中で低
圧水銀ランプ(λ:185nm)を照射する方法)、反
応性プラズマガス中での暴露(例えば、真空下で低圧酸
素ガスのグロー放電プラズマ中に暴露する方法)および
酸処理(例えば、大気下、湿式で、発煙硫酸やクロロス
ルホン酸で処理する方法)が挙げられるが、自己分散型
カラー有機顔料が最も得られやすいことから、酸処理が
好ましい。酸処理としては、例えば、結晶性カラー有機
顔料と顔料重量の10〜50倍程度の濃硫酸(98%)
とを0.5〜3時間程度攪拌し、得られた混合溶液を0
℃程度の水中に急速に析出攪拌する方法が挙げられる。
【0035】上記の改質処理では、有機顔料の耐性が求
められる。つまり、顔料によっては改質処理中に分解し
たり変色することもあるので、処理条件を最適化すると
共に耐性のある顔料の選定が重要となる。
められる。つまり、顔料によっては改質処理中に分解し
たり変色することもあるので、処理条件を最適化すると
共に耐性のある顔料の選定が重要となる。
【0036】このような顔料としては、例えば、印刷イ
ンク、トナー、塗料などの着色剤として用いられるアゾ
顔料(例えば、モノアゾイエロー顔料、ナフトールAS
顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾイエロー顔
料、ピラゾロン顔料、縮合アゾ顔料など)、多環式顔料
(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノ
ン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、チオ
インジゴ顔料、アンサンスロン顔料など)などが挙げら
れる。これらの顔料を上記の処理に付すことにより、本
発明の着色剤、すなわち自己分散型カラー有機顔料が得
られる。
ンク、トナー、塗料などの着色剤として用いられるアゾ
顔料(例えば、モノアゾイエロー顔料、ナフトールAS
顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾイエロー顔
料、ピラゾロン顔料、縮合アゾ顔料など)、多環式顔料
(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノ
ン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、チオ
インジゴ顔料、アンサンスロン顔料など)などが挙げら
れる。これらの顔料を上記の処理に付すことにより、本
発明の着色剤、すなわち自己分散型カラー有機顔料が得
られる。
【0037】処理に付される結晶性カラー有機顔料の具
体例を示す。イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイ
エロー74のようなモノアゾイエロー顔料、C.I.ピグメ
ントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー83および
C.I.ピグメントイエロー176のようなジスアゾイエロ
ー顔料、C.I.ピグメントイエロー128のような縮合ア
ゾ顔料、ならびにC.I.ピグメントイエロー151、C.I.
ピグメントイエロー180およびC.I.ピグメントイエロ
ー194のようなベンズイミダゾロン顔料などが挙げら
れ、これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー74、C.
I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー
151、C.I.ピグメントイエロー180およびC.I.ピグ
メントイエロー194が特に好ましい。
体例を示す。イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイ
エロー74のようなモノアゾイエロー顔料、C.I.ピグメ
ントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー83および
C.I.ピグメントイエロー176のようなジスアゾイエロ
ー顔料、C.I.ピグメントイエロー128のような縮合ア
ゾ顔料、ならびにC.I.ピグメントイエロー151、C.I.
ピグメントイエロー180およびC.I.ピグメントイエロ
ー194のようなベンズイミダゾロン顔料などが挙げら
れ、これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー74、C.
I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー
151、C.I.ピグメントイエロー180およびC.I.ピグ
メントイエロー194が特に好ましい。
【0038】マジェンタ顔料としては、C.I.ピグメント
レッド122、C.I.ピグメントレッド202およびC.I.
ピグメントバイオレッド19のようなキナクリドン顔
料、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッ
ド190およびC.I.ピグメントレッド224のようなペ
リレン顔料、ならびにC.I.ピグメントレッド175、C.
I.ピグメントレッド176およびC.I.ピグメントレッド
185のようなナフトールAS―ベンズイミダゾロン顔
料などが挙げられる。
レッド122、C.I.ピグメントレッド202およびC.I.
ピグメントバイオレッド19のようなキナクリドン顔
料、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッ
ド190およびC.I.ピグメントレッド224のようなペ
リレン顔料、ならびにC.I.ピグメントレッド175、C.
I.ピグメントレッド176およびC.I.ピグメントレッド
185のようなナフトールAS―ベンズイミダゾロン顔
料などが挙げられる。
【0039】シアン顔料としては、C.I.ピグメントブル
ー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメン
トブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3およ
びC.I.ピグメントブルー15:4のようなフタロシアニ
ン顔料などが挙げられる。
ー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメン
トブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3およ
びC.I.ピグメントブルー15:4のようなフタロシアニ
ン顔料などが挙げられる。
【0040】ブルー顔料としては、C.I.ピグメントブル
ー60およびC.I.ピグメントブルー15:6のようなフ
タロシアニン顔料などが挙げられる。グリーン顔料とし
ては、C.I.ピグメントグリーン7およびC.I.ピグメント
グリーン36のようなフタロシアニン顔料などが挙げら
れる。レッド顔料では、C.I.ピグメントレッド238の
ようなナフトールAS顔料、およびC.I.ピグメントレッ
ド221のような縮合アゾ顔料などが挙げられる。
ー60およびC.I.ピグメントブルー15:6のようなフ
タロシアニン顔料などが挙げられる。グリーン顔料とし
ては、C.I.ピグメントグリーン7およびC.I.ピグメント
グリーン36のようなフタロシアニン顔料などが挙げら
れる。レッド顔料では、C.I.ピグメントレッド238の
ようなナフトールAS顔料、およびC.I.ピグメントレッ
ド221のような縮合アゾ顔料などが挙げられる。
【0041】本発明のインク組成物は、上記の自己分散
型カラー有機顔料からなる着色剤を主成分として含む。
着色剤は、その1種を単独で、または2種以上を適宜組
み合わせて用いられる。その含有量は、1〜10重量%
が好ましく、2〜5重量%がより好ましい。着色剤が1
重量%未満の場合には、印字濃度が低くなるので好まし
くない。また、着色剤が10重量%を超える場合には、
粘度が高く、分散安定性に劣るので好ましくない。
型カラー有機顔料からなる着色剤を主成分として含む。
着色剤は、その1種を単独で、または2種以上を適宜組
み合わせて用いられる。その含有量は、1〜10重量%
が好ましく、2〜5重量%がより好ましい。着色剤が1
重量%未満の場合には、印字濃度が低くなるので好まし
くない。また、着色剤が10重量%を超える場合には、
粘度が高く、分散安定性に劣るので好ましくない。
【0042】本発明のインク組成物は、本発明の結晶性
カラー有機顔料からなる着色剤の他に、pH調整剤、目
詰まり防止剤、湿潤剤などが添加されてなるのが好まし
い。
カラー有機顔料からなる着色剤の他に、pH調整剤、目
詰まり防止剤、湿潤剤などが添加されてなるのが好まし
い。
【0043】pH調整剤の好ましい例としては、尿素、
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3
−ジメチル−イミダゾリジノン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミンなどの含窒素有機溶剤が挙げられ
る。これらの含窒素有機溶剤はインクの乾燥に伴う目詰
まり防止剤としても機能し、有効に用いられる。インク
組成物への含窒素有機溶剤の添加量は、1〜10重量%
程度、好ましくは2〜8重量%である。
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3
−ジメチル−イミダゾリジノン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミンなどの含窒素有機溶剤が挙げられ
る。これらの含窒素有機溶剤はインクの乾燥に伴う目詰
まり防止剤としても機能し、有効に用いられる。インク
組成物への含窒素有機溶剤の添加量は、1〜10重量%
程度、好ましくは2〜8重量%である。
【0044】湿潤剤は、インク組成物の保存安定性、記
録特性およびメディアに対する定着性の向上にも寄与す
る。また、含窒素有機溶剤と同様に、インクの乾燥によ
るノズルやオリフィスでの目詰まり防止剤としても機能
する。インク組成物への湿潤剤の添加量は、0.5〜4
0重量%程度、好ましくは3〜10重量%である。
録特性およびメディアに対する定着性の向上にも寄与す
る。また、含窒素有機溶剤と同様に、インクの乾燥によ
るノズルやオリフィスでの目詰まり防止剤としても機能
する。インク組成物への湿潤剤の添加量は、0.5〜4
0重量%程度、好ましくは3〜10重量%である。
【0045】湿潤剤の好ましい例としては、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタエチ
レングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエ
チレングリコール、オクタエチレングリコール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサン
トリオール、チオグリコール、へキシレングリコール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが
挙げられる。
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタエチ
レングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエ
チレングリコール、オクタエチレングリコール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサン
トリオール、チオグリコール、へキシレングリコール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが
挙げられる。
【0046】さらに、上記の湿潤剤に加えて、インク組
成物には低沸点有機溶剤を添加するのが好ましい。イン
ク組成物への低沸点有機溶剤の添加量は、0.5〜10
重量%程度、好ましくは1.5〜6重量%である。低沸
点有機溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−
ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノー
ル、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどの1
級、2級および3級アルコールが挙げられ、特に1級ア
ルコールが好ましい。
成物には低沸点有機溶剤を添加するのが好ましい。イン
ク組成物への低沸点有機溶剤の添加量は、0.5〜10
重量%程度、好ましくは1.5〜6重量%である。低沸
点有機溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−
ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノー
ル、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどの1
級、2級および3級アルコールが挙げられ、特に1級ア
ルコールが好ましい。
【0047】浸透剤は、乾燥性を早めるだけではなく、
メディア表面に着色剤を効率的に定着させたり、あるい
は普通紙において滲みを防止するといった重要な役割を
果たす。インク組成物への浸透剤の添加量は、0.1〜
5重量%程度、好ましくは0.5〜4重量%程度であ
る。なお、浸透剤の添加量が前記の範囲外の場合には、
乾燥性、滲み防止の効果が劣化するので好ましくない。
メディア表面に着色剤を効率的に定着させたり、あるい
は普通紙において滲みを防止するといった重要な役割を
果たす。インク組成物への浸透剤の添加量は、0.1〜
5重量%程度、好ましくは0.5〜4重量%程度であ
る。なお、浸透剤の添加量が前記の範囲外の場合には、
乾燥性、滲み防止の効果が劣化するので好ましくない。
【0048】浸透剤の好ましい例としては、エチレング
リコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール
−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−
ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエ
ーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル
などのグリコールエーテル類、アニオン型であるパーフ
ルオロアルキルスルホン酸アンモニウム塩、パーフルオ
ロアルキルスルホン酸カリウム塩、パーフルオロアルキ
ルカルボン酸カリウム塩 、ないしはノニオン型である
パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、
パーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素化アル
キルエステルなどのフッ素系界面活性剤などが挙げられ
るが、表面張力を低下させる機能をもつものであれば、
これらに限定されるものではない。
リコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール
−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−
ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエ
ーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル
などのグリコールエーテル類、アニオン型であるパーフ
ルオロアルキルスルホン酸アンモニウム塩、パーフルオ
ロアルキルスルホン酸カリウム塩、パーフルオロアルキ
ルカルボン酸カリウム塩 、ないしはノニオン型である
パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、
パーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素化アル
キルエステルなどのフッ素系界面活性剤などが挙げられ
るが、表面張力を低下させる機能をもつものであれば、
これらに限定されるものではない。
【0049】さらに、上記の浸透剤に加えて浸透性を制
御するために、インク組成物には界面活性剤、特にノニ
オン性界面活性剤を添加するのが好ましい。インク組成
物への界面活性剤の添加量は、0.1〜5重量%程度、
好ましくは0.5〜4重量%である。なお、界面活性剤
の添加量が前記の範囲外の場合には、滲み、裏写りが大
きくなるので好ましくない。カチオン界面活性剤および
アニオン界面活性剤は、本発明の着色剤との組み合わせ
において、泡立ちし易く、分散安定性が劣化し易く、裏
写りが大きくなり易いので好ましくない。
御するために、インク組成物には界面活性剤、特にノニ
オン性界面活性剤を添加するのが好ましい。インク組成
物への界面活性剤の添加量は、0.1〜5重量%程度、
好ましくは0.5〜4重量%である。なお、界面活性剤
の添加量が前記の範囲外の場合には、滲み、裏写りが大
きくなるので好ましくない。カチオン界面活性剤および
アニオン界面活性剤は、本発明の着色剤との組み合わせ
において、泡立ちし易く、分散安定性が劣化し易く、裏
写りが大きくなり易いので好ましくない。
【0050】ノニオン性界面活性剤の好ましい例として
は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシ
エチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチ
ルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテルなどのアルキルフェノール型、ポ
リオキシエチレンモノステアレートなどのアルキルエス
テル型、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノ
ラウレートなどのソルビタンエステル型、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレートなどのソルビタンエス
テルエーテル型が挙げられる。
は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシ
エチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチ
ルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオク
チルフェニルエーテルなどのアルキルフェノール型、ポ
リオキシエチレンモノステアレートなどのアルキルエス
テル型、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノ
ラウレートなどのソルビタンエステル型、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレートなどのソルビタンエス
テルエーテル型が挙げられる。
【0051】本発明のインク組成物には、さらにインク
の諸物性を改善するために必要に応じて適当な調整剤を
添加することができる。物性調整剤としては、例えば、
粘度調整剤、防カビ剤、防腐剤などが挙げられる。
の諸物性を改善するために必要に応じて適当な調整剤を
添加することができる。物性調整剤としては、例えば、
粘度調整剤、防カビ剤、防腐剤などが挙げられる。
【0052】本発明のインク組成物は、上記の各成分を
適宜、適当な方法で水に分散あるいは混合することによ
って調製することができる。凝集状態の本発明の着色剤
(自己分散型カラー有機顔料)を、本発明において規定
する体積平均粒子径の微粒子にまで分散する方法として
は、ダイノミル分散法、ペイントシェーカー分散法、ボ
ールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散
法、ビーズミル分散法、超音波分散法などの通常の方法
を採用することができる。
適宜、適当な方法で水に分散あるいは混合することによ
って調製することができる。凝集状態の本発明の着色剤
(自己分散型カラー有機顔料)を、本発明において規定
する体積平均粒子径の微粒子にまで分散する方法として
は、ダイノミル分散法、ペイントシェーカー分散法、ボ
ールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散
法、ビーズミル分散法、超音波分散法などの通常の方法
を採用することができる。
【0053】本発明によれば、色濃度の高い記録を実現
すると同時に、着色剤粒子の光散乱を制御することで鮮
やかな色再現(高彩色記録)も得られ、かつ普通紙に記
録した場合でも滲みと裏写りが極めて少ない記録が得ら
れる。また、本発明によれば、インク組成物の分散安定
性、保存安定性も向上する。
すると同時に、着色剤粒子の光散乱を制御することで鮮
やかな色再現(高彩色記録)も得られ、かつ普通紙に記
録した場合でも滲みと裏写りが極めて少ない記録が得ら
れる。また、本発明によれば、インク組成物の分散安定
性、保存安定性も向上する。
【0054】本発明のインク組成物を用いることによ
り、極めて品質の高い記録を実現でき、かつそれを用い
た記録装置が得られる。すなわち、顔料として、イエロ
ー顔料、マジェンタ顔料、シアン顔料の3原色のみなら
ず、ブルー顔料、グリーン顔料、レッド顔料の補色にお
いても透明性が高く、普通紙に対して滲まないインク組
成物が実現できるので、3色または6色カラーのインク
組成物およびそれを用いた記録装置を提供することがで
きる。記録装置としては、インクジェットプリンターの
ような公知の装置を用いることができる。
り、極めて品質の高い記録を実現でき、かつそれを用い
た記録装置が得られる。すなわち、顔料として、イエロ
ー顔料、マジェンタ顔料、シアン顔料の3原色のみなら
ず、ブルー顔料、グリーン顔料、レッド顔料の補色にお
いても透明性が高く、普通紙に対して滲まないインク組
成物が実現できるので、3色または6色カラーのインク
組成物およびそれを用いた記録装置を提供することがで
きる。記録装置としては、インクジェットプリンターの
ような公知の装置を用いることができる。
【0055】
【実施例】本発明を製造例、比較製造例、実施例および
比較例に基づいてさらに具体的に説明するが、これらの
製造例および実施例により本発明が限定されるものでは
ない。
比較例に基づいてさらに具体的に説明するが、これらの
製造例および実施例により本発明が限定されるものでは
ない。
【0056】製造例1〜9において得られた自己分散型
カラー有機顔料の紫外線可視吸収スペクトルを、株式会
社日立製作所製の分光光度計U−3310を用いて測定
した。また、製造例1〜9において得られた自己分散型
カラー有機顔料のX線回折パターンを、マックサイエン
ス社製の粉末X線回折装置MXP−18(X線源:Cu
Kα=0.154050nm)を用いて測定した。製造
例1〜3において得られた自己分散型カラー有機顔料の
分光反射スペクトルを、日本平板機材株式会社製の分光
測色計X−Rite938を用いて測定した。
カラー有機顔料の紫外線可視吸収スペクトルを、株式会
社日立製作所製の分光光度計U−3310を用いて測定
した。また、製造例1〜9において得られた自己分散型
カラー有機顔料のX線回折パターンを、マックサイエン
ス社製の粉末X線回折装置MXP−18(X線源:Cu
Kα=0.154050nm)を用いて測定した。製造
例1〜3において得られた自己分散型カラー有機顔料の
分光反射スペクトルを、日本平板機材株式会社製の分光
測色計X−Rite938を用いて測定した。
【0057】(製造例1)10℃前後に冷却した濃硫酸
(98%)100mlに、C.I.ピグメントイエロー18
0を約5g加え、3時間攪拌後、0℃の水中に急速に滴
下攪拌して、自己分散型カラー有機顔料を得た。得られ
た顔料の分光反射スペクトルならびに紫外線可視吸収ス
ペクトルをそれぞれ図2(a)および図3の(a)に示
す。図3の(b)には、濃硫酸で処理する前の顔料の紫
外線可視吸収スペクトルを示す。図3から、得られた顔
料の分光吸収波長の極大ピークが改質前と比較して短波
長側に約30nmシフトしていることがわかる。また、
X線回折スペクトルでは、ブラッグ角(2θ±0.2
°)5.4°に最大強度を示す回折線(最大回折ピー
ク)が観測された。
(98%)100mlに、C.I.ピグメントイエロー18
0を約5g加え、3時間攪拌後、0℃の水中に急速に滴
下攪拌して、自己分散型カラー有機顔料を得た。得られ
た顔料の分光反射スペクトルならびに紫外線可視吸収ス
ペクトルをそれぞれ図2(a)および図3の(a)に示
す。図3の(b)には、濃硫酸で処理する前の顔料の紫
外線可視吸収スペクトルを示す。図3から、得られた顔
料の分光吸収波長の極大ピークが改質前と比較して短波
長側に約30nmシフトしていることがわかる。また、
X線回折スペクトルでは、ブラッグ角(2θ±0.2
°)5.4°に最大強度を示す回折線(最大回折ピー
ク)が観測された。
【0058】(製造例2)濃硫酸を50℃に加熱し、顔
料としてC.I.ピグメントレッド185を用いる以外は製
造例1と同様にして、自己分散型カラー有機顔料を得
た。得られた顔料の分光反射スペクトルならびに紫外線
可視吸収スペクトルをそれぞれ図2(b)および図4の
(a)に示す。図4の(b)には、濃硫酸で処理する前
の顔料の紫外線可視吸収スペクトルを示す。図4から、
得られた顔料の分光吸収波長の極大ピークが改質前と比
較して短波長側に約60nmシフトしていることがわか
る。また、X線回折スペクトルでは、ブラッグ角(2θ
±0.2°)5.7°に最大回折ピークが観測された。
料としてC.I.ピグメントレッド185を用いる以外は製
造例1と同様にして、自己分散型カラー有機顔料を得
た。得られた顔料の分光反射スペクトルならびに紫外線
可視吸収スペクトルをそれぞれ図2(b)および図4の
(a)に示す。図4の(b)には、濃硫酸で処理する前
の顔料の紫外線可視吸収スペクトルを示す。図4から、
得られた顔料の分光吸収波長の極大ピークが改質前と比
較して短波長側に約60nmシフトしていることがわか
る。また、X線回折スペクトルでは、ブラッグ角(2θ
±0.2°)5.7°に最大回折ピークが観測された。
【0059】(製造例3)濃硫酸を150℃に加熱し、
顔料としてC.I.ピグメントシアン15:3を用いる以外
は製造例1と同様にして、自己分散型カラー有機顔料を
得た。得られた顔料の分光反射スペクトルならびに紫外
線可視吸収スペクトルをそれぞれ図2(c)および図5
の(a)に示す。図5の(b)には、濃硫酸で処理する
前の顔料の紫外線可視吸収スペクトルを示す。図5か
ら、得られた顔料の分光吸収波長の極大ピークが改質前
と比較して短波長側に約70nmシフトしていることが
わかる。また、X線回折スペクトルでは、ブラッグ角
(2θ±0.2°)5.7°に最大回折ピークが観測さ
れた。
顔料としてC.I.ピグメントシアン15:3を用いる以外
は製造例1と同様にして、自己分散型カラー有機顔料を
得た。得られた顔料の分光反射スペクトルならびに紫外
線可視吸収スペクトルをそれぞれ図2(c)および図5
の(a)に示す。図5の(b)には、濃硫酸で処理する
前の顔料の紫外線可視吸収スペクトルを示す。図5か
ら、得られた顔料の分光吸収波長の極大ピークが改質前
と比較して短波長側に約70nmシフトしていることが
わかる。また、X線回折スペクトルでは、ブラッグ角
(2θ±0.2°)5.7°に最大回折ピークが観測さ
れた。
【0060】(製造例4〜9)顔料としてC.I.ピグメン
トイエロー128、C.I.ピグメントレッド122、C.I.
ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー1
5:6、C.I.ピグメントグリーン7およびC.I.ピグメン
トレッド238をそれぞれ用いる以外は製造例1と同様
にして、自己分散型カラー有機顔料を得た。得られた顔
料はすべて分光吸収波長の極大ピークが改質前と比較し
て短波長側にシフトする、いわゆるブルーシフトが観測
された。また、得られた顔料のX線回折スペクトルの最
大回折ピークを表3に示す。
トイエロー128、C.I.ピグメントレッド122、C.I.
ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー1
5:6、C.I.ピグメントグリーン7およびC.I.ピグメン
トレッド238をそれぞれ用いる以外は製造例1と同様
にして、自己分散型カラー有機顔料を得た。得られた顔
料はすべて分光吸収波長の極大ピークが改質前と比較し
て短波長側にシフトする、いわゆるブルーシフトが観測
された。また、得られた顔料のX線回折スペクトルの最
大回折ピークを表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】(比較製造例)顔料として比較的耐光性の
弱い顔料(C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメン
トレッド23など)を製造例1〜3と同様にして処理し
たが、何れの改質技術においても、本発明に使用できる
自己分散型カラー顔料を得ることができなかった。
弱い顔料(C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメン
トレッド23など)を製造例1〜3と同様にして処理し
たが、何れの改質技術においても、本発明に使用できる
自己分散型カラー顔料を得ることができなかった。
【0063】実施例および比較例において得られたイン
ク組成物中の顔料の粒子サイズを、大塚電子株式会社製
の電気泳動光散乱光度計ELS−8000を用いて測定
し、得られたデータから体積平均粒子径(nm)を求め
た。
ク組成物中の顔料の粒子サイズを、大塚電子株式会社製
の電気泳動光散乱光度計ELS−8000を用いて測定
し、得られたデータから体積平均粒子径(nm)を求め
た。
【0064】
(実施例1)
製造例1の自己分散型顔料C.I.ピグメントイエロー180 2.5重量%
ジエチレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量%
n−プロパノール 3重量%
尿素 5重量%
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量%
イオン交換水 残部
【0065】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は66nmであった。
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は66nmであった。
【0066】
(実施例2)
製造例2の自己分散型顔料C.I.ピグメントレッド185 2.5重量%
ジエチレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量%
n−プロパノール 3重量%
尿素 5重量%
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量%
イオン交換水 残部
【0067】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は87nmであった。
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は87nmであった。
【0068】
(実施例3)
製造例3の自己分散型顔料C.I.ピグメントブルー15:3 2.5重量%
ジエチレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量%
n−プロパノール 3重量%
尿素 5重量%
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 0.2重量%
イオン交換水 残部
【0069】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は95nmであった。
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエーテルを除く前記成分を混合し、ペイ
ントコンディショナー装置(レッドレベル社製)により
直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8時間分散処
理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残りの構成成分
を混合し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過
してインク組成物を得た。得られたインク組成物中での
顔料の体積平均粒子径は95nmであった。
【0070】
(実施例4)
製造例4の自己分散型顔料C.I.ピグメントイエロー128 2.5重量%
ジエチレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量%
n−プロパノール 3重量%
尿素 5重量%
イオン交換水 残部
【0071】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8
時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残り
の構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィル
ターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組
成物中での顔料の体積平均粒子径は81nmであった。
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8
時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残り
の構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィル
ターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組
成物中での顔料の体積平均粒子径は81nmであった。
【0072】
(実施例5)
製造例5の自己分散型顔料C.I.ピグメントレッド122 2.5重量%
ジエチレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量%
n−プロパノール 3重量%
尿素 5重量%
イオン交換水 残部
【0073】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8
時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残り
の構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィル
ターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組
成物中での顔料の体積平均粒子径は101nmであっ
た。
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に8
時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残り
の構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィル
ターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組
成物中での顔料の体積平均粒子径は101nmであっ
た。
【0074】
(実施例6)
製造例6の自己分散型顔料C.I.ピグメントブルー15:4 2.5重量%
ジエチレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量%
n−プロパノール 3重量%
尿素 5重量%
イオン交換水 残部
【0075】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は72nmであっ
た。
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は72nmであっ
た。
【0076】
(実施例7)
製造例7の自己分散型顔料C.I.ピグメントブルー15:6 2.5重量%
ジエチレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量%
n−プロパノール 3重量%
尿素 5重量%
イオン交換水 残量
【0077】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は74nmであっ
た。
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は74nmであっ
た。
【0078】
(実施例8)
製造例8の自己分散型顔料C.I.ピグメントグリーン7 2.5重量%
ジエチレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量%
n−プロパノール 3重量%
尿素 5重量%
イオン交換水 残部
【0079】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は64nmであっ
た。
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は64nmであっ
た。
【0080】
(実施例9)
製造例9の自己分散型顔料C.I.ピグメントレッド238 2.5重量%
ジエチレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル 8重量%
n−プロパノール 3重量%
尿素 5重量%
イオン交換水 残部
【0081】ジエチレングリコール、テトラプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は86nmであっ
た。
グリコール、トリエチレングリコール−n−ブチルエー
テル、n−プロパノール、尿素を除く前記成分を混合
し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベル社
製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共に1
5時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去後、残
りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィ
ルターで濾過してインク組成物を得た。得られたインク
組成物中での顔料の体積平均粒子径は86nmであっ
た。
【0082】
(比較例1)
顔料C.I.ピグメントイエロー180 4.5重量%
ソルスパース27000 3重量%
n−プロパノール 2重量%
尿素 5重量%
ジプロピレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
イオン交換水 残部
【0083】n−プロパノール、尿素、ジプロピレング
リコール、テトラプロピレングリコールを除く前記成分
を混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径0.8mmのガラスビーズと共に1
2時間分散処理を施し、ガラスビーズを除去後、残りの
構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィルタ
ーで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組成
物中での顔料の体積平均粒子径は70nmであった。
リコール、テトラプロピレングリコールを除く前記成分
を混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径0.8mmのガラスビーズと共に1
2時間分散処理を施し、ガラスビーズを除去後、残りの
構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィルタ
ーで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組成
物中での顔料の体積平均粒子径は70nmであった。
【0084】
(比較例2)
顔料C.I.ピグメントレッド185 4.5重量%
ソルスパース27000 2.5重量%
n−プロパノール 2重量%
尿素 5重量%
ジプロピレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
イオン交換水 残部
【0085】n−プロパノール、尿素、ジプロピレング
リコール、テトラプロピレングリコールを除く前記成分
を混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径0.8mmのガラスビーズと共に1
2時間分散処理を施し、ガラスビーズを除去後、残りの
構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィルタ
ーで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組成
物中での顔料の体積平均粒子径は82nmであった。
リコール、テトラプロピレングリコールを除く前記成分
を混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径0.8mmのガラスビーズと共に1
2時間分散処理を施し、ガラスビーズを除去後、残りの
構成成分を混合し、0.45μmのメンブランフィルタ
ーで濾過してインク組成物を得た。得られたインク組成
物中での顔料の体積平均粒子径は82nmであった。
【0086】
(比較例3)
顔料C.I.ピグメントブルー15:3 4.5重量%
ソルスパース27000 2.5重量%
n−プロパノール 2重量%
尿素 5重量%
ジプロピレングリコール 5重量%
テトラプロピレングリコール 5重量%
イオン交換水 残部
【0087】n−プロパノール、尿素、ジプロピレング
リコール、テトラプロピレングリコールを除く前記成分
を混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共
に15時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去
後、残りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブラ
ンフィルターで濾過してインク組成物を得た。得られた
インク組成物中での顔料の体積平均粒子径は101nm
であった。
リコール、テトラプロピレングリコールを除く前記成分
を混合し、ペイントコンディショナー装置(レッドレベ
ル社製)により直径0.8mmのジルコニアビーズと共
に15時間分散処理を施し、ジルコニアビーズを除去
後、残りの構成成分を混合し、0.45μmのメンブラ
ンフィルターで濾過してインク組成物を得た。得られた
インク組成物中での顔料の体積平均粒子径は101nm
であった。
【0088】実施例および比較例で得られたインク組成
物の特性を、それぞれ以下に示す方法で評価した。
物の特性を、それぞれ以下に示す方法で評価した。
【0089】(A)反射濃度
各インク組成物を一定量(1.0ml)採取し、専用コ
ート紙(RW−P4A4)上にアプリケータ塗布したも
のを乾燥して、反射濃度測定用サンプルを得た。得られ
たサンプルについて、濃度計RD−918(マクベス社
製)を用いて、反射濃度を測定した。1.40以上の値
であれば、良好と評価した。
ート紙(RW−P4A4)上にアプリケータ塗布したも
のを乾燥して、反射濃度測定用サンプルを得た。得られ
たサンプルについて、濃度計RD−918(マクベス社
製)を用いて、反射濃度を測定した。1.40以上の値
であれば、良好と評価した。
【0090】(B)裏写り
反射濃度測定用サンプルと同様にして、インク組成物を
普通紙(SF−4AM3)上に塗布したものを乾燥し
て、裏写り評価用サンプルを得た。得られたサンプルの
裏面(インク組成物を塗布していない面)の反射濃度
を、濃度計RD−918(マクベス社製)を用いて測定
し、裏写りの程度を評価した。0.12以下の値であれ
ば、両面印刷が可能と評価した。
普通紙(SF−4AM3)上に塗布したものを乾燥し
て、裏写り評価用サンプルを得た。得られたサンプルの
裏面(インク組成物を塗布していない面)の反射濃度
を、濃度計RD−918(マクベス社製)を用いて測定
し、裏写りの程度を評価した。0.12以下の値であれ
ば、両面印刷が可能と評価した。
【0091】(C)色特性
反射濃度測定用サンプルについて、分光測色計(Spectr
odensitometer)X−Rite938(日本平版機材株
式会社製)を用いて、L*a*b*表色系における色特性
(明度、色度)を評価した。色の鮮やかさ(彩度C*)
は、次式により求めた。
odensitometer)X−Rite938(日本平版機材株
式会社製)を用いて、L*a*b*表色系における色特性
(明度、色度)を評価した。色の鮮やかさ(彩度C*)
は、次式により求めた。
【0092】
【数1】
【0093】(D)滲み特性
自動接触角計(協和界面科学株式会社製)を流用し、一
定量のインク組成物(0.7μl)を普通紙(SF−4
AM3)面に付着させて、紙面上での広がり(ドット
径)を測定し、紙面上でのドットの真円度の基準として
その標準偏差を求め、以下の基準により滲み特性を評価
した。 ◎ :広がりが1.5mm以下のもの ○ :広がりが2.5mm以下のもの × :広がりが2.5mmを超えるもの (△):標準偏差が0.2以上となるもの(真円度が悪
いもの)
定量のインク組成物(0.7μl)を普通紙(SF−4
AM3)面に付着させて、紙面上での広がり(ドット
径)を測定し、紙面上でのドットの真円度の基準として
その標準偏差を求め、以下の基準により滲み特性を評価
した。 ◎ :広がりが1.5mm以下のもの ○ :広がりが2.5mm以下のもの × :広がりが2.5mmを超えるもの (△):標準偏差が0.2以上となるもの(真円度が悪
いもの)
【0094】(E)保存安定性
各インク組成物(約20ml)をラボランスクリュー管
瓶に入れ、60℃で1ヶ月の保存テストを実施した。1
ヶ月後に動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500
(株式会社堀場製作所製)を用いて、顔料の粒子径を測
定した。得られた結果と予め測定しておいた保存テスト
前の粒子径とから変化率を求め、以下の基準により保存
安定性を評価した。 ◎ :変化率が15%以下のもの ○ :変化率が20%以下のもの △ :変化率が30%以下のもの × :変化率が30%を超えるもの
瓶に入れ、60℃で1ヶ月の保存テストを実施した。1
ヶ月後に動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500
(株式会社堀場製作所製)を用いて、顔料の粒子径を測
定した。得られた結果と予め測定しておいた保存テスト
前の粒子径とから変化率を求め、以下の基準により保存
安定性を評価した。 ◎ :変化率が15%以下のもの ○ :変化率が20%以下のもの △ :変化率が30%以下のもの × :変化率が30%を超えるもの
【0095】(F)耐光性
反射濃度測定サンプルを、耐光性試験機Q−SUN X
enon TestChamberに設置し、0.35
W/m2(λ=340nm)の光を300時間照射し
て、試験前後のΔEを測定した。以上の評価結果をまと
めて表4に示す。
enon TestChamberに設置し、0.35
W/m2(λ=340nm)の光を300時間照射し
て、試験前後のΔEを測定した。以上の評価結果をまと
めて表4に示す。
【0096】
【表4】
【0097】この結果より明らかなように、本発明の実
施例では、高い反射濃度と色の鮮やかさが得られ、普通
紙に対する滲みと裏写りが少なく、かつ保存安定性にも
優れたインク組成物が得られることがわかった。
施例では、高い反射濃度と色の鮮やかさが得られ、普通
紙に対する滲みと裏写りが少なく、かつ保存安定性にも
優れたインク組成物が得られることがわかった。
【0098】
【発明の効果】本発明によれば、紫外線可視吸収スペク
トルにおいて、改質前と比較して短波長側にシフトした
分光吸収波長の極大ピークを有し、かつX線回折スペク
トルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次(n:
2以上の整数)の回折線を主要ピークとする擬1次元結
晶性を有する自己分散型カラー有機顔料からなる着色剤
を主成分として含むインク組成物を用いることにより、
従来の有機顔料を用いたインク組成物の堅牢な耐光性が
やや弱くなるものの、欠点であったくすんだ色しか再現
できないという課題が克服できる。また、粒子サイズの
最適化は、色合い、鮮やかさへの効果のみならず、普通
紙への滲み防止と裏写り防止への効果も期待される。
トルにおいて、改質前と比較して短波長側にシフトした
分光吸収波長の極大ピークを有し、かつX線回折スペク
トルにおいて、最大強度を示す回折線とそのn次(n:
2以上の整数)の回折線を主要ピークとする擬1次元結
晶性を有する自己分散型カラー有機顔料からなる着色剤
を主成分として含むインク組成物を用いることにより、
従来の有機顔料を用いたインク組成物の堅牢な耐光性が
やや弱くなるものの、欠点であったくすんだ色しか再現
できないという課題が克服できる。また、粒子サイズの
最適化は、色合い、鮮やかさへの効果のみならず、普通
紙への滲み防止と裏写り防止への効果も期待される。
【図1】着色剤の理想的な分光反射スペクトルを示す図
である。
である。
【図2】製造例1〜3の自己分散型カラー顔料の分光反
射スペクトルを示す図である。
射スペクトルを示す図である。
【図3】製造例1の自己分散型カラー顔料(a)および
その処理前(b)の紫外線可視吸収スペクトルを示す図
である。
その処理前(b)の紫外線可視吸収スペクトルを示す図
である。
【図4】製造例2の自己分散型カラー顔料(a)および
その処理前(b)の紫外線可視吸収スペクトルを示す図
である。
その処理前(b)の紫外線可視吸収スペクトルを示す図
である。
【図5】製造例3の自己分散型カラー顔料(a)および
その処理前(b)の紫外線可視吸収スペクトルを示す図
である。
その処理前(b)の紫外線可視吸収スペクトルを示す図
である。
【図6】分光反射スペクトルの吸収波長域の実測値の最
大波長λ1および最小波長λ2の決定法を示す略図であ
る。
大波長λ1および最小波長λ2の決定法を示す略図であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
B41M 5/00 C09B 67/48 B
C09B 67/48 C
67/50 Z
67/50 67/52 Z
67/52 C09D 11/00
C09D 11/00 B41J 3/04 101Y
Fターム(参考) 2C056 EA05 FC01
2H086 BA01 BA02 BA53 BA55 BA59
BA62
4J039 AE07 AE11 BA29 BC05 BC06
BC07 BC12 BC13 BC14 BC15
BC20 BC33 BC54 BE01 BE22
BE33 CA06 EA15 EA16 EA17
EA20 EA21 EA35 EA36 EA38
EA41 EA44 EA47 GA24 GA26
Claims (19)
- 【請求項1】 結晶性カラー有機顔料を化学的処理およ
び/または物理的処理で改質することにより得られ、紫
外線可視吸収スペクトルにおいて、改質前と比較して短
波長側にシフトした分光吸収波長の極大ピークを有し、
かつX線回折スペクトルにおいて、最大強度を示す回折
線とそのn次(n:2以上の整数)の回折線を主要ピー
クとする擬1次元結晶性を有する自己分散型カラー有機
顔料からなることを特徴とする着色剤。 - 【請求項2】 自己分散型カラー有機顔料が、分光反射
スペクトルにおける所望の吸収波長域の最大波長の1/
4から最小波長の1/10の範囲の体積平均粒子径を有
する請求項1に記載の着色剤。 - 【請求項3】 自己分散型カラー有機顔料が、分光反射
スペクトルにおける吸収波長域の実測値の最大波長λ1
および最小波長λ2のλ1/4からλ2/10の範囲の体
積平均粒子径を有する請求項1に記載の着色剤。 - 【請求項4】 分光吸収波長の極大ピークのシフト量
が、10〜160nmである請求項1〜3のいずれか1
つに記載の着色剤。 - 【請求項5】 自己分散型カラー有機顔料が、C.I.ピグ
メントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー128、
C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロ
ー180およびC.I.ピグメントイエロー194から選択
された結晶性イエロー顔料を改質することにより得られ
た自己分散型イエロー顔料である請求項1〜4のいずれ
か1つに記載の着色剤。 - 【請求項6】 自己分散型イエロー顔料が、CuKα線
(0.154050nm)を用いたX線回折スペクトル
において、ブラッグ角(2θ±0.2°)5.4°に最
大回折ピークを有し、かつその体積平均粒子径が40〜
125nmの範囲にある請求項5に記載の着色剤。 - 【請求項7】 自己分散型カラー有機顔料が、C.I.ピグ
メントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.
I.ピグメントバイオレッド19、C.I.ピグメントレッド
149、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメント
レッド224、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグ
メントレッド176およびC.I.ピグメントレッド185
から選択された結晶性マジェンタ顔料を改質することに
より得られた自己分散型マジェンタ顔料である請求項1
〜4のいずれか1つに記載の着色剤。 - 【請求項8】 自己分散型マジェンタ顔料が、CuKα
線(0.154050nm)を用いたX線回折スペクト
ルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)5.7°に
最大回折ピークを有し、かつその体積平均粒子径が50
〜150nmの範囲にある請求項7に記載の着色剤。 - 【請求項9】 自己分散型カラー有機顔料が、C.I.ピグ
メントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.
I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー1
5:3およびC.I.ピグメントブルー15:4から選択さ
れた結晶性シアン顔料を改質することにより得られた自
己分散型シアン顔料である請求項1〜4のいずれか1つ
に記載の着色剤。 - 【請求項10】 自己分散型シアン顔料が、CuKα線
(0.154050nm)を用いたX線回折スペクトル
において、ブラッグ角(2θ±0.2°)5.7°に最
大回折ピークを有し、かつその体積平均粒子径が60〜
175nmの範囲にある請求項9に記載の着色剤。 - 【請求項11】 自己分散型カラー有機顔料が、C.I.ピ
グメントブルー60またはC.I.ピグメントブルー15:
6の結晶性ブルー顔料を改質することにより得られた自
己分散型ブルー顔料である請求項1〜4のいずれか1つ
に記載の着色剤。 - 【請求項12】 自己分散型カラー有機顔料が、C.I.ピ
グメントグリーン7またはC.I.ピグメントグリーン36
の結晶性グリーン顔料を改質することにより得られた自
己分散型グリーン顔料である請求項1〜4のいずれか1
つに記載の着色剤。 - 【請求項13】 自己分散型カラー有機顔料が、C.I.ピ
グメントレッド238またはC.I.ピグメントレッド22
1の結晶性レッド顔料を改質することにより得られた自
己分散型レッド顔料である請求項1〜4のいずれか1つ
に記載の着色剤。 - 【請求項14】 請求項1〜13のいずれか1つに記載
の着色剤を主成分として含むことを特徴とするインク組
成物。 - 【請求項15】 着色剤の含有量が、1〜10重量%で
ある請求項14に記載のインク組成物。 - 【請求項16】 さらに浸透剤を含み、その含有量が
0.1〜5重量%である請求項14または15に記載の
インク組成物。 - 【請求項17】 浸透剤が、グリコールエーテル類、フ
ッ素系界面活性剤および変性シリコーン類から選択され
る少なくとも1種である請求項16に記載のインク組成
物。 - 【請求項18】 自己分散型イエロー顔料、自己分散型
マジェンタ顔料および自己分散型シアン顔料をそれぞれ
別々に含む請求項14〜17のいずれか1つに記載のイ
ンク組成物を組み合わせて使用することを特徴とする記
録装置。 - 【請求項19】 自己分散型イエロー顔料、自己分散型
マジェンタ顔料、自己分散型シアン顔料、自己分散型ブ
ルー顔料、自己分散型グリーン顔料および自己分散型レ
ッド顔料をそれぞれ別々に含む請求項14〜17のいず
れか1つに記載のインク組成物を組み合わせて使用する
ことを特徴とする記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001202412A JP2003012959A (ja) | 2001-07-03 | 2001-07-03 | 着色剤およびそれを含むインク組成物ならびにそれを用いた記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001202412A JP2003012959A (ja) | 2001-07-03 | 2001-07-03 | 着色剤およびそれを含むインク組成物ならびにそれを用いた記録装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003012959A true JP2003012959A (ja) | 2003-01-15 |
Family
ID=19039223
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001202412A Pending JP2003012959A (ja) | 2001-07-03 | 2001-07-03 | 着色剤およびそれを含むインク組成物ならびにそれを用いた記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003012959A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005048020A (ja) * | 2003-07-31 | 2005-02-24 | Seiko Epson Corp | 水性インクセット |
JP2015063658A (ja) * | 2013-09-02 | 2015-04-09 | 株式会社リコー | インクジェット記録用インク組成物、記録装置及び記録物 |
-
2001
- 2001-07-03 JP JP2001202412A patent/JP2003012959A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005048020A (ja) * | 2003-07-31 | 2005-02-24 | Seiko Epson Corp | 水性インクセット |
JP2015063658A (ja) * | 2013-09-02 | 2015-04-09 | 株式会社リコー | インクジェット記録用インク組成物、記録装置及び記録物 |
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