JP2006299127A - インクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用水性インクセット及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット記録方法において、(i) 高濃度プリント部における色再現範囲を縮小させず、かつインクセットを構成するインク数を最小限に抑えつつ、低濃度プリント部における粒状感を低減させること、(ii)色再現範囲を拡大すること、(iii) 滲みを防止し、鮮明性を向上させること、(iv) 色ムラを防止することを目的とする。
【解決手段】インクジェット記録用水性インクセットにおいて、シアンインクとブルーインクが次式(ICB)、(IICB)、(IIICB)、(IVCB)を満たすようし、シアンインクとグリーンインクの動的表面張力も同様の式を満たすようにする。
【数1】
Figure 2006299127

【数2】
Figure 2006299127

【選択図】なし

Description

本発明は、低濃度プリント部における粒状感の低減と、色再現範囲の拡大と、ブルーインク又はグリーンインクの記録部分の滲みと色ムラの防止に好適なインクジェット記録用水性インクセット、及びこのインクジェット記録用水性インクセットを使用するインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方式でカラー画像を表現する場合、一般に、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)及びシアンインク(C)の3色のインクから構成されるインクセット、あるいは、さらにブラックインク(K)を加えた4色のインクから構成されるインクセットが用いられている。
また、インクジェット記録方式において、一般に、画像の階調はインクの吐出によって被記録材上に形成されるドットの密度によって制御される。しかしながら、このような方法で階調を制御すると、低濃度プリント部においてはドット密度が減少するため、相対的に個々のドットが視認され易くなり、その結果として、画像が粒状感を呈するという問題が生じる。
これに対しては、シアンインクに関し、染料濃度の異なる2以上のインクを使用し、かつこれらの染料の種類を異ならせ、濃色インクには、耐光性には劣るが鮮明性に優れる染料を選択し、淡色インクには、鮮明性には劣るが耐光性に優れる染料を選択することが提案されており(特許文献1)、また、マゼンタインクについても同様の提案がなされている(特許文献2)。しかしながら、これらの方法に従うと、粒状感の改善は見られるものの、色再現範囲を拡大することができないという問題がある。
また、一般に、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクの3色のインクから構成されるインクセット、あるいは、さらにブラックインクを加えた4色のインクから構成されるインクセットでは、レッド色は、マゼンタインクとイエローインクを用いて表現されるが、このように2種のインクを用いてレッド色を表現すると、重ね打ちの着弾誤差によってシャープな印字品質や鮮やかな発色性が得にくいという問題があり、同様の問題は、マゼンタインクとシアンインクを用いてブルー色を表現する場合や、シアンインクとイエローインクを用いてグリーン色を表現する場合にも生じていた。
さらに、最近では、テキストのプリントをカラーで行う場合が増加し、本来スムーズで真っ直ぐを理想とするカラーテキストのラインエッジが、著しく波打つ滲みが問題となっている。
滲みの改善に対しては、カラーインクの浸透性を低くする手法が一般的に用いられる。しかしながら、記録紙等の被記録材には、それを構成する繊維の凹凸等の表面状態によって、インクが浸透しやすい部分と浸透しにくい部分とがあり、単にカラーインクの浸透性を低くすると、プリント物には、被記録材の浸透性のばらつきの影響がインクの浸透量のばらつきとなって現れ、単一色を意図した領域に色の濃淡、即ち、色ムラが生じやすくなる。これに対し、色ムラを改善するためにインクの浸透性を高くすると、色ムラは改善するものの、カラーテキストのプリントにおいて滲みが生じる。
特開平1−95093号公報 特開平2−127482号公報
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたものであり、シアンインクを用いるインクジェット記録方法において、(i) 高濃度プリント部における色再現範囲を縮小させず、かつインクセットを構成するインク数を最小限に抑えつつ、低濃度プリント部における粒状感を低減させること、(ii)色再現範囲を拡大すること、(iii) 滲みを防止し、鮮明性を向上させること、(iv) 色ムラを防止することを目的とする。
本発明者らは、インクジェット記録用水性インクセットを構成するインクの動的表面張力が、カラー画像の低濃度プリント部における粒状感の低減、滲み、及び色ムラに密接な関係があるという仮説の下に鋭意研究を行った結果、インクの動的表面張力を、30msと1000msという2段階のライフタイムで制御することにより、上述の(i)〜(iv)の目的を同時に達成できることを見出した。
即ち、本発明は、シアンインクとブルーインクを備えたインクジェット記録用水性インクセットであって、シアンインクとブルーインクの最大泡圧法による測定温度25℃での動的表面張力が次式(ICB)、(IICB)、(IIICB)、(IVCB)を満たすことを特徴とするインクジェット記録用水性インクセットを提供する。
Figure 2006299127
Figure 2006299127
また、本発明は、シアンインクとグリーンインクを備えたインクジェット記録用水性インクセットであって、シアンインクとグリーンインクの最大泡圧法による測定温度25℃での動的表面張力が次式(ICG)、(IICG)、(IIICG)、(IVCG)を満たすことを特徴とするインクジェット記録用水性インクセットを提供する。






Figure 2006299127
Figure 2006299127
さらに、本発明は、上述のインクジェット記録用水性インクセットを使用することを特徴とするインクジェット記録方法を提供し、特に、被記録材上のブルーインク記録部分又はグリーンインク記録部分にL***表色系による明度指数(L*)が60≦L* ≦85であるシアンインクを併用する態様を提供する。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットによれば、シアンインクとブルーインクの最大泡圧法による測定温度25℃での動的表面張力が前述の式(ICB)、(IICB)、(IIICB)、(IVCB)を満たすことにより、(i) シアンの低濃度プリント部における粒状感を低減すること、(ii) ブルー方向の色再現範囲を拡大すること、(iii)シアン色ないしブルー色のプリント部の滲みを防止すること、特に、ブルー色テキストを滲み無く鮮明にシャープにプリントすること、(iv) シアン色ないしブルー色のプリント部の色ムラを防止すること、が可能となり、また、シアンインクとグリーンインクの最大泡圧法による測定温度25℃での動的表面張力が前述の式(ICG)、(IICG)、(IIICG)、(IVCG)を満たすことにより、(i) シアンの低濃度プリント部における粒状感を低減すること、(ii) グリーン方向の色再現範囲を拡大すること、(iii)シアン色ないしグリーン色のプリント部の滲みを防止すること、特に、グリーン色テキストを滲み無く鮮明にシャープにプリントすること、(iv) シアン色ないしグリーン色のプリント部の色ムラを防止すること、が可能となる。
また、本発明のインクジェット記録用水性インクセットにおいて、シアンインク、及びブルーインク及び/又はグリーンインクに加えて、イエローインク及びマゼンタインクを備えることにより、フルカラー画像を色再現性よく形成することが可能となる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録用水性インクセットを使用してインクジェット記録を行う方法である。この方法でカラープリントを行う場合に、テキストのプリントのように被記録材上で滲みの改善が要求されるような場面では、ライフタイム1000msの動的表面張力が36mN/m以上の浸透性の低いブルーインクあるいはグリーンインクを多用することにより滲みの抑制されたシャープなプリントをすることが可能となり、イメージのプリントのように被記録材上で粒状感や色ムラが問題となる場面では、上述の浸透性の低いブルーインクあるいはグリーンインクと、ライフタイム30msの動的表面張力が49mN/m以下の浸透性の高いシアンインクとを併用することにより、粒状感、色再現性、滲み及び色ムラを共に改善したカラー画像を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、シアンインクとブルーインク、及び/又はシアンインクとグリーンインクの動的表面張力をライフタイム30msと1000msの2段階で制御したものである。
まず、シアンインクとブルーインクの動的表面張力の制御について説明すると、本発明のインクジェット記録用水性インクセットでは、シアンインクとブルーインクの最大泡圧法(25℃)でのライフタイム30msの動的表面張力が、前述のように式(ICB)、(IICB)を満たすようにする。このライフタイム30msの動的表面張力は、インクジェット記録においてインクが記録紙等の被記録材に付着した直後に被記録材の厚さ方向へ浸透する挙動に関係していると考えられ、この値が低く、被記録材の厚さ方向へインクが充分に浸透するとインクが被記録材の表面に残りにくくなり、粒状感が低減されると考えられる。また、この値が高いと、被記録材の表面における浸透性のばらつきの影響がインクの浸透量のばらつきとなって現れ易く、色ムラの原因となる。
本発明によれば、式(ICB)により、シアンインクのライフタイム30msの動的表面張力を49mN/m以下、好ましくは46mN/m以下とするので、被記録材の厚さ方向へのシアンインクの浸透性を充分に高め、粒状感や色ムラの発生を防止できる。特に、シアンインクとして明度指数(L*)が60≦L* ≦85のインクを使用することにより、シアンの低濃度プリント部における粒状感を効果的に低減させることができる。これに対し、シアンインクのライフタイム30msの動的表面張力が49mN/mを超えるとシアンインクの低濃度プリント部における粒状感を充分に低減することができない。
また、式(IICB)により、ライフタイム30msでのシアンインクの動的表面張力とブルーインクの動的表面張力の合計値を100mN/m以下、好ましくは96mN/m以下とするので、後述するように、ライフタイム1000msでのブルーインクの動的表面張力を36mN/m以上に高めてブルー色テキストの滲みを防止する場合においても、ブルー色イメージ等のブルーインク記録部分ではブルーインクとシアンインクとを併用してプリントすることにより、色ムラの発生を防止することができる。これに対し、この合計値が100mN/mを超えると、シアンインクとブルーインクの合計の浸透性が低すぎるため、ブルーインク記録部分の色ムラを防止できない。
なお、本発明において2つのインクを「併用」するとは、シアンインクとブルーインクの併用を例にとると、記録紙等の被記録材のシアンインクを付着させる部分にシアンインクを付着させる前、付着させた後、又は同時に、ブルーインクを付着させることをいう。ここで、シアンインクとブルーインクとは、被記録材上で重なり合ってもよく、互いに隣接するようにしてもよい。
一方、本発明によれば、シアンインクとブルーインクの最大泡圧法(25℃)でのライフタイム1000msの動的表面張力が、上述のように式(IIICB)、(IVCB)を満たす。このライフタイム1000msの動的表面張力は、インクが被記録材の厚さ方向に浸透した後に、被記録材の表面で滲み広がる挙動に関係していると考えられ、この値が低いと被記録材の表面方向のインクの浸透性が高く、滲みが生じ易い。
本発明によれば、式(IIICB)によりブルーインクのライフタイム1000msの動的表面張力を36mN/m以上、好ましくは40mN/m以上とするので、ブルーインク単独でブルー色を表現する場合のブルーの滲みを防止することができる。したがって、ブルー色テキストを滲みなく鮮明にプリントすることが可能となる。これに対し、ブルーインクのライフタイム1000msの動的表面張力を36mN/m未満とすると、ブルーインクの浸透性が高すぎるため、ブルー色テキストの滲みを防止することができない。
また、本発明によれば式(IVCB)により、ライフタイム1000msでのシアンインクの動的表面張力とブルーインクの動的表面張力の合計値を70mN/m以上、好ましくは75mN/m以上とするので、前述のように、ライフタイム30msでのシアンインクの動的表面張力を49mN/m以下として粒状感や色ムラを防止する場合においても、シアンインクとブルーインクの併用により再現するブルー色イメージ等のブルーインク記録部分の滲みを防止できる。これに対し、ライフタイム1000msでのシアンインクの動的表面張力とブルーインクの動的表面張力の合計値を70mN/m未満とすると、シアンインクとブルーインクを併用してもブルーインク記録部分における滲みを防止することができない。
このように、本発明のインクジェット記録用水性インクセットによれば、動的表面張力が制御されたシアンインクとブルーインクを用いることにより、(i) シアンの低濃度プリント部における粒状感を低減すること、(ii) ブルー方向の色再現範囲を拡大すること、(iii)シアン色ないしブルー色のプリント部の滲みを防止すること、特に、ブルー色テキストを滲み無く鮮明にシャープにプリントすること、(iv) シアン色ないしブルー色のプリント部の色ムラを防止することが可能となり、かかる効果をシアンインクとブルーインクの2種のインクにより達成することができる。
シアンインクとグリーンインクの動的表面張力の制御も同様に行うことができ、シアンインクとグリーンインクが前述の式(ICG)、(IICG)、(IIICG)、(IVCG)を満たすようにする。
これにより、(i) シアンの低濃度プリント部における粒状感を低減すること、(ii) グリーン方向の色再現範囲を拡大すること、(iii)シアン色ないしグリーン色のプリント部の滲みを防止すること、特に、グリーン色テキストを滲み無く鮮明にシャープにプリントすること、(iv) シアン色ないしグリーン色のプリント部の色ムラを防止すること、が可能となる。
なお、本発明のインクジェット記録用水性インクセットを使用する本発明のインクジェット記録方法では、基本的に、ブルー色はシアンインクとブルーインクを併用して表現し、グリーン色は、シアンインクとグリーンインクを併用して表現するが、テキストや線画等の色ムラがあまり問題とならず、専ら滲みの改善が要求される場合には、ブルーインクあるいはグリーンインクを単独で使用するのが好ましい。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、動的表面張力が前述の関係を有するシアンインク、ブルーインク及びグリーンインクの3種のインクを備えることができ、また、イエローインク及び/又はマゼンタインクを備えることができる。前述のシアンインク、ブルーインク及びグリーンインクに加えて、イエローインク及びマゼンタインクを備えることによりフルカラー画像を色再現性よく形成することが可能となる。また、必要に応じてブラックインクを備えても良い。イエローインク、マゼンタインク及びブラックインクとしては、公知のインクセットに用いられているものを使用することができる。
例えば、イエローインクとしては、L***表色系による色相角(h)が70°〜140°のイエローインクを使用することができ、マゼンタインクとしては、色相角(h)が335°≦h≦360°又は0°≦h≦5°のマゼンタインクを使用することができる。
本発明で規定する動的表面張力の値は、比較的短い寿命の表面張力を測定するのに適した最大泡圧法(バブルプレッシャー法)によるものであり、例えば、協和界面科学(株)製自動動的表面張力計BP−D4を用いて測定することができる。なお、動的表面張力の一般的な測定方法としては、最大泡圧法の他、振動ジェット法、メニスカス法等が知られている。
最大泡圧法による測定では、気体供給源から気体をプローブに送り、インクに浸したプローブ先端から気泡を発生させる。この際の気体流量を変化させることで、気泡発生速度を変え、それに伴い変化するインクからその気泡にかかる圧力より表面張力を測定する。気泡の半径がプローブ先端部分の半径に等しくなるとき、最大圧力(最大泡圧)を示す。このときのインクの動的表面張力σは、次式で表される。
Figure 2006299127
また、本発明でいうライフタイムとは、最大泡圧後に気泡がプローブから離れて、新しい表面が形成されてから次の最大泡圧に達するまでの時間をいう。
インクセットを構成する各インクの光学特性に関し、本発明のインクセットが、前述の式(ICB)、(IICB)、(IIICB)、(IVCB)の関係を満たすシアンインクとブルーインクを備える態様の場合、シアンインクのL***表色系による明度指数(L*)を60≦L* ≦85のライトシアンインクとし、ブルーインクのL***表色系による明度指数(L*)を35≦L* ≦45とすることが好ましい。
シアンインクを60≦L* とすることにより、式(ICB)により被記録材への浸透性が高いこととの相乗効果により、シアン色を含む低濃度プリント部の粒状感をより一層低減させることができる、また、シアンインクをL* ≦85とすることにより、本来のシアン色を再現することができる。
また、ブルーインクを35≦L* ≦45とすることにより、前述の式(IIICB)により被記録材への浸透性が低いことと相まって高濃度プリント部におけるシアン方向の色再現範囲を縮小させず、また、ブルー方向については、色再現範囲を顕著に拡大し、ブルー色の鮮明性を向上させることができる。
シアンインクとブルーインクの色相については、シアンインクのL***表色系による色相角(h)を215°≦h≦255°とすることが好ましい。この範囲に調整することにより、シアン色を充分に表現することが可能となる。さらに、シアンインクの彩度(C*)は40≦C*≦70となるように調整することが好ましい。彩度(C*)をこの範囲内とすることにより、鮮やかなシアン色を再現することが可能となる。
また、ブルーインクは、L***表色系による色相角(h)を270°≦h≦285°とすることが好ましい。この範囲に調整することにより、本来のブルー色を充分に再現することが可能となる。さらに、彩度(C*)は70≦C*≦80となるように調整することが好ましい。彩度(C*)をこの範囲に調整することにより、鮮やかなブルー色を再現することが可能となる。
本発明のインクセットが、前述の式(ICG)、(IICG)、(IIICG)、(IVCG)の関係を満たすシアンインクとグリーンインクを備える態様の場合、シアンインクは、前述のシアンインクとブルーインクを備える場合と同様に、L***表色系による明度指数(L*)を60≦L* ≦85、彩度(C*)を40≦C*≦70、色相角(h)を215°≦h≦255°とすることが好ましい。
一方、グリーンインクは、L***表色系による明度指数(L*)を35≦L* ≦60とすることが好ましい。これにより、前述の式(IIICG)により被記録材への浸透性が低いことと相まって高濃度プリント部におけるシアン方向の色再現範囲を縮小させず、また、グリーン方向については、色再現範囲を顕著に拡大し、グリーン色の鮮明性を向上させることができる。
また、グリーンインクは、L***表色系による色相角(h)を175°≦h≦215°とすることが好ましい。この範囲に調整することにより、本来のグリーン色を充分に再現することが可能となる。さらに、彩度(C*)は60≦C*≦80となるように調整することが好ましい。彩度(C*)をこの範囲に調整することにより、鮮やかなグリーン色を再現することが可能となる。
本発明における明度指数(L*)、色相角(h)、彩度(C*)は、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化されたL***表色系に基づくものである。なお、日本工業規格(JIS)ではJIS Z 8729に規定されている。
また、本発明において、明度指数(L*)は、光沢紙に各インクを解像度1200×1200dpiベタプリントしたものに対して、分光測色計等を用いて測定される値であり、色相角(h)と彩度(C*)は、同様のベタプリントに対して、まず知覚色度指数(a*、b*)を、分光測色計等を用いて測定し、測定されたa*、b*を用いて次(1)、(2)により算出される値である。
Figure 2006299127

Figure 2006299127
なお、彩度(C*)は、L***表色系色度図において原点((a*,b*)=(0,0))からの距離を表す。
また、L*、a*及びb*の測定で用いる「光沢紙」とは、ベースペーパー(原紙ペーパー)に表面平滑性が得られるコート層を設けた紙のことをいい、具体的には、画彩(登録商標)光沢仕上げ(富士写真フィルム(株)製)、インクジェットプリンタ用紙(光沢紙)(コクヨ(株)製)、厚手光沢紙(コダック(株)製)等が挙げられる。また、「解像度1200×1200dpiベタプリント」とは、解像度1200×1200dpiの領域が100%被覆されるようにプリントすることである。プリントに使用できるインクジェットプリンタとしては、ブラザー工業(株)製インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機MFC−5200J等を挙げることができ、分光測色計としては、Gretag Macbeth社製Spectrolino等を使用することができる。測色条件は、光源:D65、視野角:2°とする。
本発明のインクセットを構成する個々のインクは、それぞれ上述の所定の動的表面張力や、明度指数(L*)、色相角(h)、彩度(C*)を有するように、着色剤、水、及び水溶性有機溶剤を含有する。
各インクに含まれる着色剤としては、水溶性染料及び/又は顔料を挙げることができ、これらを適宜組み合わせて用いることにより所期のインク色に調整する。
即ち、水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等に代表される水溶性染料が用いられる。また、水溶性染料の構造としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料等が好ましい。特に、インクジェット記録方式のインクとして好適で、鮮明性、水溶性、安定性、耐光性その他の要求される性能を満たす水溶性染料としては、C.I.ダイレクトイエロー12,24,26,27,28,33,39,58,86,98,100,132及び142、C.I.ダイレクトレッド4,17,28,37,63,75,79,80,81,83及び254、C.I.ダイレクトバイオレット47,48,51,90及び94、C.I.ダイレクトブルー1,6,8,15,22,25,71,76,80,86,87,90,106,108,123,163,165,199及び226、C.I.ダイレクトグリーン1,26,28,59,80及び85等の直接染料;C.I.アシッドイエロー3,11,17,19,23,25,29,38,42,49,59,61,71及び72、C.I.アシッドレッド1,6,8,18,32,35,37,42,52,85,88,115,133,134,154,186,249、289及び407、C.I.アシッドバイオレット10,34,49及び75、C.I.アシッドブルー9,22,29,40,59,62,93,102,104,112,113,117,120,167,175,183,229及び234、C.I.アシッドグリーン3,5,9,12,15,16,19,25,27,28,36,40,41,43,44,56,73,81,84,104,108及び109等の酸性染料;C.I.ベーシックイエロー40、C.I.ベーシックレッド9,12及び13、C.I.ベーシックバイオレット7,14及び27、C.I.ベーシックブルー1,3,5,7,9,24,25,26,28及び29、C.I.ベーシックグリーン1及び4等の塩基性染料;C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド4,23,24,31及び56、C.I.リアクティブブルー7,13及び49、C.I.リアクティブグリーン5,6,7,8,12,15,19及び21等の反応性染料が挙げられる。
また、顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,13,16,74,83,93,128,134及び144、C.I.ピグメントレッド5,7,12,23,48(Mn),57(Ca),112,122,144,170,177,221,254及び264、C.I.ピグメントバイオレット19及び48(Ca)、C.I.ピグメントブルー 1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:5,15:6,16,17:1,22,27,28,29,36及び60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
ブラックインクの着色剤としても、水溶性染料及び/又は顔料を挙げることができ、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。水溶性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17,19,32,51,71,108,146,154及び168等の直接染料;C.I.アシッドブラック2,7,24,26,31,52,63,112及び118等の酸性染料;C.I.ベーシックブラック2等の塩基性染料;C.I.フードブラック1及び2等が挙げられる。また、顔料としては、例えば、MA8、MA100(三菱化学(株)製)、カラーブラックFW200(デグサ製)等のカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックとしては、分散剤を用いなくても水に分散可能な自己分散型のものを用いてもよい。自己分散型カーボンブラックは、その表面に、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基又はスルホン基のような少なくとも一種の親水基又はその塩を結合させる処理をすることによって得ることができる。この表面処理の具体例としては、特開平8−3498号公報及び特表2000−513396号公報に記載の方法を挙げることができる。また、自己分散黒色顔料としては、例えば、CAB−O−JET(登録商標)200及び300(キャボット製)、ボンジェット(登録商標)CW1(オリエント化学工業(株)製)等の市販品を利用することも可能である。
各インクにおける水溶性染料の含有量は、所望のプリント濃度や色彩により異なるが、少なすぎると被記録材上での発色が不充分であり、多すぎるとインクジェットヘッドのノズルの目詰まりが起きやすくなるので、好ましくは各インク全量に対して0.1〜15重量%、より好ましくは0.3〜10重量%、特に好ましくは0.5〜5.0重量%の範囲である。
各インクにおける顔料の含有量は、所望のプリント濃度や色彩により異なるが、少なすぎると被記録材上での発色が不充分であり、多すぎるとインクジェットヘッドのノズルの目詰まりが起きやすくなるので、好ましくは各インクの全量に対して1〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%の範囲である。
一方、各インクに使用する水は、脱イオン水とすることが好ましい。水の含有量は、水溶性有機溶剤の種類、インク組成、所望のインク特性に応じて決定されるが、少なすぎるとインクの粘度が上昇するためにインクジェットヘッドのノズルからの吐出が困難となり、多すぎると水分蒸発によって着色剤の析出、凝集等が生じ、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりが起きやすくなるので、好ましくは各インクの全量に対して10〜95重量%、より好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは20〜70重量%の範囲である。
各インクで使用する水溶性有機溶剤は、湿潤剤と浸透剤に大別される。
湿潤剤は、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを防止するためにインクに添加される。湿潤剤の具体例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の水溶性グリコールが挙げられる。湿潤剤としての水溶性有機溶剤の含有量としては、少なすぎるとインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを防止するために不充分であり、多すぎるとインクの粘度が上昇し、吐出が困難となるので、好ましくは各インクの全量に対して5〜50重量%、より好ましくは5
〜40重量%、特に好ましくは5〜35重量%の範囲である。
浸透剤は、プリントした際、インクを速やかに記録紙等の被記録材の内部に浸透させるためにインクに添加される。浸透剤の具体例としては、エチレングリコール系及びプロピレングリコール系のアルキルエーテルに代表されるグリコールエーテル等が挙げられる。エチレングリコール系アルキルエーテルの具体例としては、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールイソブチルエーテル等が挙げられ、プロピレングリコール系アルキルエーテルの具体例としては、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等が挙げられる。浸透剤としての水溶性有機溶剤の含有量は、所期の動的表面張力を得られるように適宜調整する。
本発明のインクセットを構成する各インクには、上述の湿潤剤及び浸透剤の他、インクジェットヘッドの先端部におけるインクの乾燥を防止したり、プリント濃度を高くしたり、鮮やかな発色をさせたりする水溶性有機溶剤を含むことができる。このような水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;グリセリン;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
本発明のインクセットを構成する各インクには、さらに、従来公知の界面活性剤;ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等の粘度調整剤;表面張力調整剤;防黴剤等を必要に応じて添加することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録を、本発明のインクセットを使用して行うものである。インクジェット記録の方式には特に制限はなく、静電吸引方式、圧電素子を用いる方式、サーマル方式などを挙げることができる。
以下に、試験例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
実施例1〜3、比較例1〜4
(1)インクの調製
表1に示したインク組成で、シアンインク1を次のように調製した。
まず、水63.3重量部、グリセリン30重量部、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル5重量部、界面活性剤として、ライオン(株)製サンノール(登録商標)DL−1430 0.2重量部を混合して、インク溶媒98.5重量部を調製した。次いで、シアン水溶性染料(C.I.ダイレクトブルー199)1.5重量部を攪拌中のインク溶媒98.5重量部に加え、さらに30分間撹拌し、孔径1μmのメンブランフィルターにて濾過し、シアンインク1を得た。
組成を表1に記載のように変更した以外は、シアンインク1と同様の操作を繰り返すことにより、シアンインク2〜4、ブルーインク1〜3、グリーンインク1、2、イエローインク及びマゼンタインクを調製した。
(2)動的表面張力と、L*、a*、b*、hの取得
動的表面張力は、協和界面科学(株)製自動動的表面張力計BP−D4を用いて、測定温度25℃にて、ライフタイム20ms〜5000msの測定条件で測定し、ライフタイム30msと1000msの動的表面張力を求めた。
各インクを所定のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;MFC−5200J)に装着して、光沢紙(富士写真フィルム(株)製;画彩(登録商標)光沢仕上げ)に解像度1200×1200dpiベタプリントをプリントし、そのベタプリントのL*、a*及びb*を、Gretag Macbeth社製Spectrolino(光源:D65;視野:2°)により測定した。
また、hは、a*及びb*の測定値をもとに、前述の式(1)を用いて求めた。
これらの結果を表1に示す。
(3)インクセットの構成
表1に示したインクを、表2に示したようにインク1、インク2又はインク3として組み合わせ、実施例1〜3、比較例1〜4のインクセットを構成した。なお、比較例2及び比較例4は従来のインクセットに相当する。
(4)インクセットの評価
(4-a)シアン色(C)の粒状感評価
表2に示した各インクセットについて、インクセットを構成するインクを所定のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;MFC−5200J)に装着し、光沢紙(富士写真フィルム(株)製;画彩(登録商標)光沢仕上げ)に、粒状感評価用としてシアンインクのグラデーションサンプルをプリントした。
得られたグラデーションサンプルの各パッチの明度指数(L*)を(2)と同様に測定し、シアン色のL*=90のパッチに対して、目視にて粒状感を以下の評価基準に基づき評価した。この評価結果を表2に示す。
〇…粒状感が認められない
△…粒状感がほとんど目立たないが、発生している
×…粒状感が目立ち、実用上問題あり
(4-b)ブルー色(B)又はグリーン色(G)の色再現評価
(4-a)と同様にプリンタを使用して光沢紙に、ブルー色の色再現評価用として、シアンインク(1〜4のいずれか一つ)、ブルーインク(1〜3のいずれか一つ)及びマゼンタインクの混合割合を変えて種々の色相のパッチを含むプリントパターンをプリントし、グリーン色の色再現評価用として、シアンインク(1、3、4のいずれか一つ)、グリーンインク(1又は2)及びイエローインクの混合割合を変えて種々の色相のパッチを含むプリントパターンサンプルをプリントした。
各プリントサンプルより、ブルー色又はグリーン色のパッチを選択し、目視にて、各色が充分に表現されているか否かを以下の評価基準に基づき評価した。この評価結果を表2に示す。
〇…高濃度色を充分に表現できている
△…高濃度色を表現できている
×…高濃度色の表現が不足している
(4-c)シアン色の濃度評価
(4-b)のプリントパターンサンプルより、シアン色のパッチを選択し、目視にて、シアン色が充分に表現されているか否かを以下の評価基準に基づき評価した。この評価結果を表2に示す。
〇…高濃度色を充分に表現できている
△…高濃度色を表現できている
×…高濃度色の表現が不足している
(4-d)ブルー色(B)又はグリーン色(G)の滲み評価
(4-a)と同様のプリンタを使用して普通紙(XEROX製;Xerox4200)に、滲み評価用として、ブルー色又はグリーン色の線のパターンサンプルを、ブルーインク又はグリーンインクを単独で用いることによりプリントした。ただし、これらのインクをもたないインクセットにおいては、インクセットを構成する2色のインクの重ね打ちによりプリントした。
得られたプリントパターンサンプルにおいて、ブルー色又はグリーン色の滲みを、目視にて、以下の評価基準に基づき評価した。この評価結果を表2に示す。
〇…滲みがほとんどない
△…滲みがやや発生している
×…滲みが明らかに発生している
(4-e)色ムラ評価
(4-a)と同様のプリンタを使用して普通紙(XEROX製;Xerox4200)に、色ムラ評価用として種々の色相のパッチを含むプリントパターンサンプルをプリントした。
得られたプリントパターンサンプルにおいて、特定の色に限らず、パッチ全体の色ムラを、目視にて、以下の評価基準に基づき評価した。この評価結果を表2に示す。
〇…色ムラがほとんど発生していない
△…やや色ムラが発生している
×…色ムラが明らかに発生している
(4-f)総合評価
(4-a)シアン色の粒状感評価、(4-b)ブルー色又はグリーン色の色再現評価、(4-c)シアン色の濃度評価、(4-d)ブルー色又はグリーン色の滲み評価、(4-e)色ムラ評価の結果から、以下の評価基準により総合評価を行った。結果を表2に示す。
○…すべての評価結果が、○である
△…評価結果のいずれかに、△がある
×…評価結果のいずれかに、×がある
Figure 2006299127
Figure 2006299127

表2に示したように、実施例1及び実施例2では、シアンインクが、ライフタイム30msの動的表面張力が充分に低いことにより紙への浸透性が高く、さらに着色剤濃度が低いため、シアン色の低濃度プリント部(L*=90)において粒状感がなかった。
また、実施例1及び実施例2では、ブルーインクを用いているために、充分なブルー色を表現することができ、また、このブルーインクはライフタイム1000msの動的表面張力が充分に高く、紙への浸透性が低いのでブルー色の線パターンに滲みが生じず、ブルーインクの単独使用のために重ね打ちによる着弾誤差が生ずることもなく、シャープなプリントが得られた。
さらに、カラープリント部の色ムラに関しては、浸透性の低いブルーインクに浸透性の高いシアンインクを併用することにより、色ムラの発生を低減させることができた。また、この併用により高濃度のシアン色とブルー色を再現できた。なお、シアンインクとブルーインクの併用により充分にブルー色といえる範囲の色を再現できたのは、シアンインクの着色剤濃度が低いことにより、ブルー色に与える影響が少ないためである。
同様に、実施例3においても、紙への浸透性が高く、着色剤濃度が低いシアンインクを用いているためにシアン色の低濃度プリント部(L*=90)において粒状感がなかった。また、実施例3ではグリーンインクを用いているために、充分なグリーン色を表現することができ、また、このグリーンインクは紙への浸透性が低いのでグリーン色の線パターンに滲みが生じず、グリーンインクの単独使用のために重ね打ちによる着弾誤差が生ずることもなく、シャープなプリントが得られた。
さらに、カラープリント部の色ムラに関しては、浸透性の低いグリーンインクに浸透性の高いシアンインクを併用することにより、色ムラの発生を低減させることができた。また、この併用により高濃度のシアン色とグリーン色を再現できた。なお、シアンインクとグリーンインクの併用により充分にグリーン色といえる範囲の色を再現できたのは、シアンインクの着色剤濃度が低いことにより、グリーン色に与える影響が少ないためである。
これに対し、比較例1及び比較例3では、シアンインクが、ライフタイム30msの動的表面張力が過度に高いことにより紙への浸透性が過度に低いため、シアン色の低濃度プリント部(L*=90)において粒状感が発生していた。また、ライフタイム30msの動的表面張力について、シアンインクとブルーインク又はグリーンインクの合計値が100mN/m以下ではあるが、カラープリントパターンのシアン低濃度部分はシアンインクのみで表現したため、色ムラが発生していた。なお、着色剤濃度の低いシアンインクと着色剤濃度の高いブルーインク又はグリーンインクを併用してシアン低濃度部分を再現しようとしても、着色剤濃度の高いブルーインク又はグリーンインクの影響が大きくでるので、うまく再現できない。さらに、比較例1及び比較例3では、ライフタイム1000msのブルーインク又はグリーンインクの動的表面張力が過度に低く、浸透性が過度に高いため、ブルー色又はグリーン色の線パターンで滲みが発生していた。
比較例2は着色剤濃度の高いシアンインクを用いているために、シアン色の低濃度プリント部(L*=90)において粒状感が発生していた。また、シアンインクの浸透性が高いため、シアンインクとマゼンタインクを用いて再現したブルー色の線パターンに滲みが生じていた。さらにブルーインクを用いていないため、ブルー色の色再現が劣っていた。
比較例2と同様に、比較例4では、着色剤濃度の高いシアンインクを用いているためにシアン色の低濃度プリント部(L*=90)に粒状感が発生し、シアンインクの浸透性が高いため、このシアンインクとイエローインクを用いて再現したグリーン色の線パターンに滲みが生じ、グリーン色の色再現が劣っていた。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、低濃度プリント部における粒状感を低減し、色再現範囲を拡大し、滲みや色ムラを改善するので、インクジェット記録用プリンタでカラー画像を再現する場合に有用となる。


Claims (15)

  1. シアンインクとブルーインクを備えたインクジェット記録用水性インクセットであって、シアンインクとブルーインクの最大泡圧法による測定温度25℃での動的表面張力が次式(ICB)、(IICB)、(IIICB)、(IVCB)を満たすことを特徴とするインクジェット記録用水性インクセット。
    Figure 2006299127


    Figure 2006299127

  2. シアンインクのL***表色系による明度指数(L*)が60≦L* ≦85であり、ブルーインクのL***表色系による明度指数(L*)が35≦L* ≦45である請求項1記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  3. シアンインクのL***表色系による色相角(h)が215°≦h≦255°であり、ブルーインクのL***表色系による色相角(h)が270°≦h≦285°である請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  4. さらに、グリーンインクを備え、シアンインクとグリーンインクの最大泡圧法による測定温度25℃での動的表面張力が、次式(ICG)、(IICG)、(IIICG)、(IVCG)を満たす請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセット。
    Figure 2006299127



    Figure 2006299127
  5. グリーンインクのL***表色系による明度指数(L*)が35≦L* ≦60である請求項4記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  6. グリーンインクのL***表色系による色相角(h)が175°≦h≦215°である請求項4又は5記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  7. さらに、イエローインク及び/又はマゼンタインクを備えた請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  8. シアンインクとグリーンインクを備えたインクジェット記録用水性インクセットであって、シアンインクとグリーンインクの最大泡圧法による測定温度25℃での動的表面張力が次式(ICG)、(IICG)、(IIICG)、(IVCG)を満たすことを特徴とするインクジェット記録用水性インクセット。
    Figure 2006299127

    Figure 2006299127
  9. シアンインクのL***表色系による明度指数(L*)が60≦L* ≦85であり、グリーンインクのL***表色系による明度指数(L*)が35≦L* ≦60である請求項8記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  10. シアンインクのL***表色系による色相角(h)が215°≦h≦255°であり、グリーンインクのL***表色系による色相角(h)が175°≦h≦215°である請求項8又は9記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  11. さらに、イエローインク及び/又はマゼンタインクを備えた請求項8〜10のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセットを使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
  13. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセットを使用し、被記録材上のブルーインク記録部分にL***表色系による明度指数(L*)が60≦L* ≦85であるシアンインクを併用するインクジェット記録方法。
  14. 請求項4〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセットを使用し、被記録材上のブルーインク記録部分及びグリーンインク記録部分にL***表色系による明度指数(L*)が60≦L* ≦85であるシアンインクを併用するインクジェット記録方法。
  15. 請求項8〜11のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセットを使用し、被記録材上のグリーンインク記録部分にL***表色系による明度指数(L*)が60≦L* ≦85であるシアンインクを併用するインクジェット記録方法。

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